説明

商品販売データ処理装置及びその制御プログラム

【課題】客が購入した商品が一般用医薬品である場合に店舗側によって薬事法上の義務が果たされたか否かを容易に判別でき、客に安心感を与えることが可能な商品販売データ処理装置を提供すること。
【解決手段】取引内容に関するレシートを発行する商品販売データ処理装置において、各店員の資格を記憶し、各店員のサインオンを受け付ける。そして、販売される商品に割り当てられた所定の商品区分を判別し、サインオンを受け付けた店員の中から、各店員の資格と商品区分とに基づいて当該商品の販売権限を有する店員を特定する。さらに、特定した店員に関する情報を客面表示部に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンビニエンスストア、スーパーマーケットおよびドラッグストアなどで商品の販売処理に使用される商品販売データ処理装置及びその制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、コンビニエンスストア、スーパーマーケットおよびドラッグストアなどでは一般用医薬品の販売が行われている。一般用医薬品とは、医薬品のうち効能,効果の人体に対する作用が著しくなく、医薬関係者から提供された情報に基づき、需要者の選択により使用されるものである。
【0003】
上記一般用医薬品は、薬事法36条の3において第1類医薬品,第2類医薬品および第3類医薬品の3つのリスク区分に分類されている。第1類医薬品とは、その副作用等により日常生活に支障をきたす程度の健康被害が生ずるおそれがある医薬品のうちその使用に関し特に注意が必要なものとして厚生労働大臣が指定するものなどであり、第2類医薬品とは、その副作用等により日常生活に支障をきたす程度の健康被害が生ずるおそれがある医薬品(第1類医薬品を除く。)であって厚生労働大臣が指定するものであり、第3類医薬品とは、第1類医薬品及び第2類医薬品以外の一般用医薬品である。また、第2類医薬品のうち特に注意を要する医薬品については指定第2類医薬品と称され、通常の第2類医薬品と商品の包装への表示において若干異なる取扱いがなされる。
【0004】
一般用医薬品の販売について、図12を用いて説明する。各リスク区分における規定は、販売に対応すべき専門家や情報提供に関して差異がある。すなわち、第1類医薬品は薬剤師でなければ販売することができないのに対し、第2類医薬品および第3類医薬品については薬剤師に加えて登録販売者も販売することができる。また、第1類医薬品は販売時において文書による情報提供が義務付けられているのに対し、第2類医薬品は積極的な情報提供については努力義務に止まり、第3類医薬品は積極的な情報提供について薬事法上の規定が設けられていない。ただし、第1類医薬品、第2類医薬品および第3類医薬品のすべてにおいて、購入者からの相談があった場合に情報提供を行わなければならない旨が規定されている。
【0005】
ところで、従来コンビニエンスストア、スーパーマーケットおよびドラッグストアなどでは、POS(Point Of Sales)端末などの商品販売データ処理装置を用いて商品の販売処理が行われている。商品販売データ処理装置は、付属のスキャナを用いた商品に付されたバーコードのスキャニングなどによる商品コードの入力を受け付け、入力された商品コードに基づいて商品価格などの商品データを取得し、この商品データに基づいて商品を販売処理する。商品販売データ処理装置の中には、操作者が所持するカードに印字された高密度バーコードをスキャナによりスキャニングして当該操作者の操作可能範囲を読み取り、この操作可能範囲内において操作を許可するものも知られている。(例えば特許文献1を参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−182408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、一般用医薬品を販売する際にはリスク区分に応じて販売方法などが異なるが、客は商品が適正に販売されたか否かを判断するためには、いちいち商品に付されたリスク区分を確認しなければならない。このような確認作業は、特に多数の商品を一度に購入した際には面倒である。
【0008】
また、例えば第1類医薬品を購入した際に店員から当該商品の説明を受けたとしても、後にこの店員が薬剤師であったか否かを判断することは容易ではない。すなわち、説明義務が履行されたとしてもその信憑性に欠け、安心感をもって医薬品を使用することができない。
【0009】
本発明は、上記のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、客が購入した商品が一般用医薬品である場合に店舗側によって薬事法上の義務が果たされたか否かを容易に判別でき、客に安心感を与えることが可能な商品販売データ処理装置及びその制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、客が購入する商品を販売処理し、この客が購入する商品の少なくとも合計金額を客に対して表示するための客面表示部を備えた商品販売データ処理装置において、各店員の資格を記憶した資格記憶手段と、各店員のサインオンを受け付けるサインオン受付手段と、販売される商品に割り当てられた所定の商品区分を判別する商品区分判別手段と、前記サインオン受付手段によりサインオンを受け付けた店員の中から、前記資格記憶手段に記憶された各店員の資格と前記商品区分判別手段により判別した商品区分とに基づいて当該商品の販売権限を有する店員を特定する店員特定手段と、この店員特定手段により特定された店員に関する情報を前記客面表示部に表示させる店員情報表示手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0011】
かかる手段を講じた本発明によれば、客が購入した商品が一般用医薬品である場合に店舗側によって薬事法上の義務が果たされたか否かを容易に判別でき、客に安心感を与えることができる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態におけるPOS端末の制御回路を示す模式図。
【図2】同実施形態における販売員マスタのデータ構造の一例を示す模式図。
【図3】同実施形態におけるサインオン処理にてCPUが実行する処理の流れ図。
【図4】同実施形態における権限管理テーブルのデータ構造の一例を示す模式図。
【図5】同実施形態において販売員マスタメンテナンス処理にてCPUが実行する処理の流れ図。
【図6】同実施形態における販売員マスタメンテナンス画面の一例を示す模式図。
【図7】同実施形態における入力画面が表示された販売員マスタメンテナンス画面の一例を示す模式図。
【図8】同実施形態において商品の販売処理にてCPUが実行する処理の流れ図。
【図9】同実施形態における印字データ作成処理にてCPUが実行する処理の流れ図。
【図10】同実施形態においてPOS端末の客面ディスプレイに表示される販売員情報の一例を示す模式図。
【図11】同実施形態においてPOS端末が発行したレシートの一例を示す模式図。
【図12】一般用医薬品のリスク区分を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明にかかる商品販売データ処理装置であるPOS端末1の制御回路を示す模式図である。POS端末1は、制御の中枢としてCPU2を搭載している。このCPU2に対し、各種制御プログラムなどの固定的データを格納したROM(Read Only Memory)3、RAM(Random Access Memory)4、I/O(Input/Output)ポート5、LAN(Local Area Network)インターフェイス(I/F)6、ハードディスクドライブ(HDD)7、キーボードコントローラ8、ディスプレイコントローラ9、客面ディスプレイコントローラ10、プリンタコントローラ11、スキャナインターフェイス(I/F)12およびスピーカコントローラ13などを、例えばPCIバスなどのバスライン14を介して接続している。
【0014】
そして、I/Oポート5にモードスイッチ5aとドロワ開放装置5bとを接続し、LANインターフェイス6にLANケーブル6aを接続し、キーボードコントローラ8にキーボード8aを接続し、ディスプレイコントローラ9にタッチパネル式ディスプレイ9aのタッチパネルセンサ9bとディスプレイ部9cとを接続し、客面ディスプレイコントローラ10に客面表示部としての客面ディスプレイ10aを接続し、プリンタコントローラ11にレシートプリンタ11aを接続し、スキャナインターフェイス12にスキャナ12aを接続し、スピーカコントローラ13に音声出力手段としてのスピーカ13aを接続している。
【0015】
RAM4は、操作責任者の登録(以下、サインオンと称す)をした店員に関する情報を記憶する責任者登録エリア4aや買上商品の商品販売データを登録するための商品登録エリア4bなど処理場面に応じて各種の記憶領域を形成する。ドロワ開放装置5bは、CPU2からの指令に応じて図示しないドロワを開放する。LANインターフェイス6は、LANケーブル6aを介して接続される店舗サーバなどとのデータ通信を制御する。キーボードコントローラ8は、キーボード8aから操作されたキーに対応するキー信号を取り込みCPU2に通知する。ディスプレイコントローラ9は、CPU2からの指令によりディスプレイ部9cに各種の画面を選択的に表示させるとともに、タッチパネルセンサ9bの信号を取り込みタッチ位置座標を求めてCPU2に通知する。客面ディスプレイコントローラ10は、客の支払う合計金額等の表示データに対応した文字などを客面ディスプレイ10aに表示させる。プリンタコントローラ11は、レシートプリンタ11aによるレシート印字及びジャーナル印字を制御する。スキャナインターフェイス12は、スキャナ12aにてスキャニングされたバーコードデータを入力する。スピーカコントローラ13は、スピーカ13aによる音声の出力を制御する。なお、キーボード8aは、数値データを置数入力するための置数キーの他、PLUキー,小計キー,預/現計キー,合計キーなどの各種ファンクションキーを配設したものである。
【0016】
ハードディスクドライブ7には、店員の販売権限などの情報を記憶した販売員マスタ7a(資格記憶手段)および一般用医薬品のリスク区分に応じた各種の情報を記憶した権限管理テーブル7bが記憶されている。
【0017】
図2は、販売員マスタ7aのデータ構造の一例を示す模式図である。販売員マスタ7aには、店員ごとに一意に割り当てられた“10000001”,“10000002”などの店員コードに関連付けて店員の氏名、資格取得日及び薬事法権限コードが記憶されている。この薬事法権限コードは、“1”が薬剤師、“2”が登録販売者、“0”が無資格者である旨を表している。
【0018】
店員がPOS端末1の操作を担当するためには、上記サインオンをしなければならない。サインオンを行うためには、先ずキーボード8aに設けられたサインオンキーを操作してサインオンを宣言する。このようにサインオンが宣言された後にCPU2が実行するサインオン処理の流れ図を図3に示している。この処理は、ROM3に記憶された動作プログラムに基づいて実行される。
【0019】
先ず、CPU2は、ST101として店員コードの入力を受け付ける。その間、ST102として店員コードが入力されたか否かを判断する。店員コードは、キーボード8aに設けられた置数キーの操作により入力することができるし、バーコード化された店員コードをスキャナ12aによりスキャニングして入力することもできる。
【0020】
このような方法で店員コードが入力されると(ST102のYes)、ST103として入力された店員コードと同一の店員コードを有するレコードが販売員マスタ7aから検索され、ST104として該当するレコードがRAM4に形成された責任者登録エリア4aにロードされる。かくして店員のサインオンが完了する。
なお、上記サインオン処理において各部が実行する処理は、サインオン受付手段を構成する。
また、POS端末1をキャッシャとして操作する者の他、その補助者や一般用医薬品に対する説明義務を履行するための有資格者など複数名が同時にサインオンすることも可能である。この場合においても、サインオンした各店員のレコードがキャッシャ、補助者または有資格者の別を特定可能にして責任者登録エリア4aにそれぞれロードされる。なお、一般用医薬品に対する説明義務を履行するための有資格者がサインオンした場合には、1つの取引が終了するごとにそのサインオンが解除されるなどの運用に設定することも可能である。
【0021】
次に、上記権限管理テーブル7bについて説明する。図4は、権限管理テーブル7bのデータ構造の一例を示す模式図である。権限管理テーブル7bには、第1類医薬品、第2類医薬品、指定第2類医薬品および第3類医薬品のそれぞれのリスク区分ごとに、一般の販売員、薬剤師および登録販売者がPOS端末1にサインオンした場合の販売処理に関するデータが記憶されている。リスク区分ごとのデータには、販売フラグおよび区分記号が記憶されている。販売フラグは、そのリスク区分の医薬品をサインオンした販売員の権限で販売することができるか否かを判別するためのフラグであり、“0”が販売可能、“1”が販売不可能である旨を示している。区分記号は、各リスク区分を特定するための記号であり、本実施形態においては第1類医薬品に“A”、第2類医薬品に“B”、指定第2類医薬品に“C”、そして第3類医薬品に“D”をそれぞれ割り当てている。
【0022】
さて、上記販売員マスタ7aに記憶されるデータは、販売員マスタメンテナンス処理にて編集することができる。図5は、販売員マスタメンテナンス処理にてCPU2が実行する処理の流れ図である。この処理は、キーボード8aに設けられた所定の操作キーの操作や、タッチパネル式ディスプレイ9aに表示された所定の操作キーのタッチ操作をトリガとして、ROM3に記憶された動作プログラムに基づいて実行される。
【0023】
先ず、CPU2は、ST(ステップ)201として販売員マスタメンテナンス画面20を表示する。図6は、販売員マスタメンテナンス画面20の一例を示す模式図である。販売員マスタメンテナンス画面20は、販売員マスタ7aに記憶されたレコードを表示するデータ表示欄20aと各種操作キーを表示する操作キー表示エリア20bとを備えている。データ表示欄20aには、販売員マスタ7aに登録された各販売員の販売員コード、販売員の氏名および薬事法権限コードに基づいて判別される資格が一覧表示される。操作キー表示エリア20bには、各種操作に関するヘルプ画面を表示する際にタッチ操作するヘルプ(HELP)キー、新たな販売員のレコードを作製する際にタッチ操作する入力キー、キーボード8aのキー操作などで選択したレコードの内容を変更する際にタッチ操作する変更キー、同様に選択したレコードを削除する際にタッチ操作する削除キーおよび販売員マスタメンテナンス処理を終了する際にタッチ操作するための終了キーなどが表示される。
【0024】
販売員マスタメンテナンス画面20が表示された状態で、CPU2は、ST202としてキーボード8aのキー操作や操作キー表示エリア20bに表示された操作キーのタッチ操作による各種入力を受け付ける。そして、何らかの入力を受け付けたときには、ST203としていずれの入力がなされたかを判定する。このとき、操作キー表示エリア20bに表示された入力キー若しくは変更キーがタッチ操作されたと判断されるときには(ST203の“入力キー,変更キー操作”)、ST205としてデータ表示欄20aに代えてそのとき選択されていたレコードを編集するための入力画面20cを表示する。なお、入力キー若しくは変更キーのタッチ操作以外の入力がなされたと判断されるときには(ST203の“その他”)、ST204としてその入力に応じた処理を実行する。例えば、操作キー表示エリア20bに表示された終了キーがタッチ操作されたときには、当該販売員マスタメンテナンス処理を終了する。
【0025】
図7は、入力画面20cが表示された販売員マスタメンテナンス画面20の一例を示す模式図である。入力画面20cには、販売員コードの入力欄、販売員氏名の入力欄、資格の入力欄及び資格取得日の入力欄が表示される。各入力欄には、キーボード8aのキー操作によりデータ入力が可能であり、資格の入力欄には、上記薬事法権限コードと同様に当該店員が有する資格に応じて“0”,“1”または“2”のいずれかを入力する。
【0026】
入力画面20cを表示した状態で、CPU2は、ST206として販売員コード、販売員氏名、資格及び資格取得日のデータ編集を受け付ける。さらに、データ編集を受け付けている間、ST207として操作キー表示エリア20bに表示された一覧キーの操作を待つ。このとき、一覧キーの操作がなされた場合には(ST207のYes)、販売員コードの入力欄、販売員氏名の入力欄、資格の入力欄及び資格取得日の入力欄に入力されたデータで販売員マスタ7aのデータを更新する。すなわち、入力キーがタッチ操作されたことにより入力画面20cが表示されている場合には、販売員コードの入力欄、販売員氏名の入力欄、資格の入力欄及び資格取得日の入力欄に入力されたデータを新規データとして販売員マスタ7aに追加し、変更キーがタッチ操作されたことにより入力画面20cが表示されている場合には、変更キーがタッチ操作された際に選択されていたレコードに対応する販売員マスタ7a中のレコードを販売員コードの入力欄、販売員氏名の入力欄、資格の入力欄および資格取得日の入力欄に入力されたデータで更新する。このように販売員マスタ7aのデータを更新した後には、ST208として入力画面20cに代えて再びデータ表示欄20aを表示し、ST202の処理に戻って各種入力を受け付ける。
【0027】
次に、POS端末1による商品の販売処理について説明する。
図8は、商品の販売処理にてCPU2が実行する処理の流れ図である。この処理は、ROM3に記憶された動作プログラムに基づいて実行される。
【0028】
先ず、CPU2は、ST301としてスキャナ12aによる商品に付されたバーコードのスキャニングやキーボード8aのキー操作による商品コードの入力を待つ。そして、商品コードが入力されたと判断したときには(ST301のYes)、ST302として入力された商品コードに基づいて商品マスタから商品データを取得する。上記商品マスタは、ハードディスクドライブ7に記憶しておいてもよいし、店舗サーバに記憶しておいてLANインターフェイス6を介して店舗サーバにアクセスし、商品コードに応じた商品データを取得するようにしてもよい。
【0029】
CPU2は、ST303として上記のように取得した商品データや買上点数などからなる商品販売データをRAM4に形成された商品登録エリア4bに登録する。また、この商品販売データをタッチパネル式ディスプレイ9aおよび客面ディスプレイ10aに表示させる。しかる後、ST304としてキーボード8aに設けられた小計キーが操作されているか否かを判断する。小計キーが操作されていないと判断したときには(ST304のNo)、再びST301の処理に戻って商品コードの入力を待つ。
【0030】
一方、小計キーが操作されていると判断したときには(ST304のYes)、ST305として当該取引の合計金額の算出、算出した合計金額のタッチパネル式ディスプレイ9aおよび客面ディスプレイ10aへの表示、値引き/割引処理などを行い、ST306としてキーボード8aに設けられた締めキーの操作を待つ。そして、締めキーが操作されたときには(ST306のYes)、ST307として客からの預り金額から当該取引の合計金額を減算することで釣銭額を算出してタッチパネル式ディスプレイ9aおよび客面ディスプレイ10aに表示し、I/Oポート5を介してドロワ開放装置5bにドロワを開放させるなどの締め処理を実行する。
【0031】
しかる後、ST308として当該取引のレシートの印字データ作成処理を実行する(印字データ作成手段)。印字データ作成処理については、図9の説明にて後述する。印字データ作成処理にて印字データを作成した後、ST309としてレシートプリンタ11aを制御して、作成した印字データに基づくレシートを印字し発行する(レシート発行手段)。このようにレシートを発行した後、商品販売処理を終了する。
【0032】
次に、上記ST308の処理における印字データ作成処理について説明する。
図9は、印字データ作成処理にてCPU2が実行する処理の流れ図である。なお、印字データ作成処理は、ROM3に記憶された動作プログラムに基づいて実行される。
【0033】
印字データ作成処理において、先ずCPU2は、ST401としてRAM4にフラグFを形成し、その値を“0”に初期化する。次に、ST402としてRAM4にレシートの印字データ作成用の作業用メモリエリアを形成して、この作業用メモリエリアにヘッダ部分、取引日時、レジナンバ(No.)および取引ナンバ(No.)などのヘッダ情報と店員情報を印字データに追加する。上記ヘッダ部分は、所定の図形や店舗のコマーシャル情報などからなり、予めROM3或いはハードディスクドライブ7に記憶されている。上記取引日時は、POS端末1が備える時計部から取得される。上記レジナンバは、当該POS端末1が設置されたレジに割り当てられた番号であり、ROM3或いはハードディスクドライブ7に予め記憶されている。上記取引ナンバは、各取引を特定するための番号であり、例えばRAM4にカウンタを形成して取引が処理されるごとにインクリメントすることで各取引に割り当てられる。上記店員情報は、責任者登録エリア4aにキャッシャとして登録された店員の店員コードと氏名である。
【0034】
次に、CPU2は、ST403として上記ST303の処理においてRAM4に形成された商品登録エリア4bに登録された商品販売データを1つ抽出する。そして、ST404としてST403の処理にて抽出した商品販売データに基づいて当該商品の商品名、買上点数および商品価格を特定し、これらを印字データに追加する。
【0035】
しかる後、CPU2は、ST405として当該商品が一般用医薬品であるか否か、一般用医薬品である場合にはどのリスク区分に属するのかを判断する(商品区分判別手段)。上記商品マスタから取得される商品データには、当該商品が第1類医薬品、第2類医薬品、指定第2類医薬品、第3類医薬品または一般用医薬品以外の商品のいずれであるかを特定するためのリスク区分情報が含まれており、ST405の処理においては、このリスク区分情報に基づいて当該商品が一般用医薬品であるか否かが判断される。そして、当該商品が一般用医薬品である場合には(ST405のYes)、ST406として上記フラグFの値を“1”に設定する。さらに、ST407として特定した当該商品のリスク区分に応じた区分記号を権限管理テーブル7bから取得し、ST408として取得した区分記号を印字データに追加する。このように印字データへ区分記号を追加する位置は、当該商品に区分記号が付されていることを一見して認識できるような位置に設定されることが望ましい。
【0036】
区分記号を印字データに追加した後、或いは上記ST405の処理にて当該商品が一般用医薬品でないと判断した場合には(ST405のNo)、CPU2は、ST409として商品登録エリア4bに未抽出の商品販売データがあるか否かを判断する。未抽出の商品販売データがあると判断した場合には(ST409のYes)、ST403の処理に戻って未抽出の商品販売データの中から1つ商品販売データを抽出し、再びST403〜ST409の処理を実行する。
【0037】
一方、ST409の処理にて未抽出の商品販売データがないと判断した場合には(ST409のNo)、ST410としてフラグFに“1”が設定されているか否かを判断する。フラグFに“1”が設定されていると判断したときには(ST410のYes)、ST411として登録された一般用医薬品の販売に必要な資格を特定する。具体的には、商品登録エリア4bに登録された一般用医薬品のリスク区分に対して権限管理テーブル7bに記憶された販売フラグを参照し、“0”が設定されている資格を特定する。複数の一般用医薬品が商品登録エリア4bに登録されている場合には、それらの全てについて販売フラグが“0”に設定されている資格を特定する。例えば商品登録エリア4bに第1類医薬品と第2類医薬品とが登録されている場合には、図4に示した権限管理テーブル7bにおけるそれぞれの商品販売フラグに“0”が設定されている薬剤師が特定される。また、商品登録エリア4bに第2類医薬品と第3類医薬品とが登録されている場合には、図4に示した権限管理テーブル7bにおけるそれぞれの商品販売フラグに“0”が設定されている薬剤師および登録販売者が特定される。
【0038】
このように販売に必要な資格を特定した後、ST412として当該資格を有する店員を責任者登録エリア4aに登録された店員の中から検索する。具体的には、当該資格の薬事法権限コードと同一の薬事法権限コードが関連付けされたレコードを責任者登録エリア4aから検索する。
なお、上記ST411およびST412の処理は、サインオンを受け付けた店員の中から商品の販売権限を有する店員を特定する店員特定手段を構成する。
【0039】
次に、ST413として当該資格を有する店員が見つかったか否かを判断する。当該資格を有する店員が見つかった場合には(ST413のYes)、ST414として当該店員の資格と氏名とを印字データに追加する(店員情報追加手段)。また、ST415として当該店員の資格と氏名とを客面ディスプレイ10aに表示させる(店員情報表示手段)。さらに、ST416としてスピーカ13aを動作させて当該店員の資格と氏名とを音声出力により通知する(店員情報通知手段)。一方、当該資格を有する店員が見つからなかった場合には(ST413のNo)、ST417として所定の警告をタッチパネル式ディスプレイ9aに表示する。
【0040】
ST410の処理にてフラグFに“1”が設定されていないと判断したとき(ST410のNo)、またはST416の処理の後、あるいはST417の処理の後、CPU2は当該印字データ作成処理を終了し、作成した印字データに基づくレシートを商品販売処理におけるST309の処理にて印字する。
【0041】
図10は、上記ST415の処理にて客面ディスプレイ10aに店員の資格と氏名とを表示させたときの画面30の一例を示す模式図である。この例は、画面30を左右に2分割し、さらに右側の画面を上下に2分割する。そして、左側の画面30aに、資格を有する店員に関する情報として氏名、資格、資格取得日を表示させる。右側の上部画面30bには、上記ST405の判断処理にて一般用医薬品であると判断された商品の商品名と、ST407の処理にて取得した当該商品のリスク区分に応じた区分記号とを表示させる。右側の下部画面30cには、当該取引の合計金額、預り金額及び釣銭額を表示させる。
【0042】
このように、客用ディスプレイ3aにおいては、当該取引の合計金額、預り金額及び釣銭額とともに、当該取引にて購入された一般医薬品の商品名及びその区分と、当該医薬品の販売資格を有する販売員の氏名、資格及び資格取得日が表示される。
【0043】
図11は、POS端末1が発行したレシート40の一例を示す模式図である。レシート40には、ST402の処理にて印字データに追加されたヘッダ部分、取引日付“2009年04月01日”、レジナンバ“レジNo.0001”、キャッシャの店員コードおよび氏名、ST404の処理にて印字データに追加された例えば一般用医薬品でない“抗菌ガーゼ”,第1類医薬品である“胃腸薬”および第2類医薬品である“頭痛薬”などの商品販売データ、ST408の処理にて印字データに追加された区分記号“A”および“B”、ST414の処理にて印字データに追加された有資格者の資格および氏名40aなどが印字されている。
【0044】
このようにレシート40には、第1類医薬品である“胃腸薬”の商品販売データには第1類医薬品の区分記号“A”が付され、第2類医薬品である“頭痛薬”の商品販売データには第2類医薬品の区分記号“B”が付されるとともに、一般用医薬品を販売した有資格者である店員の資格と氏名とが印字される。そのため、客は、自身が購入した一般用医薬品が適法に販売権限を有する者によって販売され、説明義務が果たされたか否かを判別することができるので、客に安心感を与えることができる。
【0045】
しかも、このレシート40が発行されると同時に、客面ディスプレイ10aには有資格者である店員の資格、氏名及び資格取得日が表示される。したがって、客に対して、自身が購入した一般用医薬品が適法に販売権限を有する者によって販売され、説明義務が果たされたか否かを通知できるので、より一層客に安心感を与えることができる。
【0046】
また、有資格者である店員の資格と氏名は、音声によっても客に通知される。したがって、客面ディスプレイ10aを見ていない客、もしくは見ることができない客に対しても通知できるので、店側にとっても安心感を得ることができる。
【0047】
また、客面ディスプレイ10aには、有資格者である店員に関する情報とともに、客が購入した商品のうち一般用医薬品に属する名称と、その区分記号とが表示される。したがって、客は、自身が購入した商品のどれが一般用医薬品に該当するのか、また、一般用医薬品である場合にはどのリスク区分に属するのかを、画面を一見して知ることができる。このようにリスク区分などを一見して知ることができれば、店舗側が適法に一般用医薬品を販売しているか否かをより容易に判断できる。
【0048】
なお、この発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階においては、その要旨を逸脱しない範囲内にて各構成要素を適宜変形して具体化することができる。
【0049】
例えば、上記実施形態においては、客面ディスプレイに有資格者の資格、氏名及び資格取得日が表示されるとしたが、資格のみまたは資格と氏名のみであってもよい。また、その他の店員に関する情報を加えるようにしてもよい。
【0050】
また、一般用医薬品の商品名に区分記号を表示してその商品のリスク区分を判別できるようにしたが、リスク区分に応じて表示文字の書体を変更するなど他の方法により判別できるようにしてもよい。
【0051】
また、薬事法やその関連規則などの改正に伴いリスク区分が変更されたり、新たな販売資格が生じたりした場合であっても、販売員マスタ7aおよび権限管理テーブル7bを適当に変更することにより、上記販売員マスタメンテナンス処理や上記印字データ作成処理などを実行することができる。
【0052】
また、前記実施形態では、レシートの発行と同時に客面ディスプレイ10aに有資格者である店員に関する情報を表示させたが、表示させるタイミングはこれに限定されるものではない。例えば、図8に示した商品販売処理のルーチンにおいて、ST303にて商品登録エリア4bに商品販売データを登録した際に、当該商品が一般用医薬品であるか否か、一般用医薬品である場合にはどのリスク区分に属するのかを判断し、一般用医薬品である場合にはそのリスク区分から当該一般用医薬品の販売に必要な資格を特定し、当該資格を有する店員を責任者登録エリア4aに登録された店員の中から検索して、客面ディスプレイ10aに表示させるようにしてもよい。また、このとき、スピーカ13aを動作させて当該店員の資格と氏名とを音声出力により通知してもよい。ただし、一般用医薬品の登録毎に音声が出力されていては煩わしいので、同一内容の音声出力は、1取引で1回のみに制限することが望ましい。
【0053】
また、本発明は、客面ディスプレイ10aを用いた店員情報表示手段だけを採用し、音声出力による店員情報通知手段を省略したものであってもよい。あるいは、逆に音声出力による店員情報通知手段だけを採用し、客面ディスプレイ10aを用いた店員情報表示手段を省略したものであってもよい。
【0054】
この他、前記実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全体構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…POS端末、2…CPU、3…ROM、4…RAM、7a…販売員マスタ、7b…権限管理テーブル、9a…タッチパネル式ディスプレイ、10a…客面ディスプレイ、11a…レシートプリンタ、20…販売員マスタメンテナンス画面、30…客面ディスプレイの画面、40…レシート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
客が購入する商品を販売処理し、この客が購入する商品の少なくとも合計金額を客に対して表示するための客面表示部を備えた商品販売データ処理装置において、
各店員の資格を記憶した資格記憶手段と、
各店員のサインオンを受け付けるサインオン受付手段と、
販売される商品に割り当てられた所定の商品区分を判別する商品区分判別手段と、
前記サインオン受付手段によりサインオンを受け付けた店員の中から、前記資格記憶手段に記憶された各店員の資格と前記商品区分判別手段により判別した商品区分とに基づいて当該商品の販売権限を有する店員を特定する店員特定手段と、
この店員特定手段により特定された店員に関する情報を前記客面表示部に表示させる店員情報表示手段と、
を備えたことを特徴とする商品販売データ処理装置。
【請求項2】
取引内容に関するレシートの印字データを作成する印字データ作成手段と、
前記店員特定手段により特定された店員に関する情報を前記印字データ作成手段により作成される印字データに追加する店員情報追加手段と、
この店員情報追加手段により前記店員に関する情報が追加された印字データに基づいてレシートを発行するレシート発行手段と、
をさらに具備したことを特徴とする請求項1記載の商品販売データ処理装置。
【請求項3】
前記店員情報表示手段は、前記レシート発行手段によりレシートを発行するのと同時に前記店員特定手段により特定された店員に関する情報を前記客面表示部に表示させることを特徴とする請求項2に記載の商品販売データ処理装置。
【請求項4】
客が購入する商品を販売処理する商品販売データ処理装置において、
各店員の資格を記憶した資格記憶手段と、
各店員のサインオンを受け付けるサインオン受付手段と、
販売される商品に割り当てられた所定の商品区分を判別する商品区分判別手段と、
前記サインオン受付手段によりサインオンを受け付けた店員の中から、前記資格記憶手段に記憶された各店員の資格と前記商品区分判別手段により判別した商品区分とに基づいて当該商品の販売権限を有する店員を特定する店員特定手段と、
音声出力手段と、
前記店員特定手段により特定された店員に関する情報を前記音声出力手段により音声として通知する店員情報通知手段と、
を備えたことを特徴とする商品販売データ処理装置。
【請求項5】
取引内容に関するレシートの印字データを作成する印字データ作成手段と、
前記店員特定手段により特定された店員に関する情報を前記印字データ作成手段により作成される印字データに追加する店員情報追加手段と、
この店員情報追加手段により前記店員に関する情報が追加された印字データに基づいてレシートを発行するレシート発行手段とを備え、
前記店員情報報知手段は、前記レシート発行手段によりレシートを発行するのと同時に前記店員特定手段により特定された店員に関する情報を前記音声出力手段により音声として報知することを特徴とする請求項4に記載の商品販売データ処理装置。
【請求項6】
客が購入する商品を販売処理し、この客が購入する商品の少なくとも合計金額を客に対して表示する客面表示部を備えた商品販売データ処理装置を、
各店員のサインオンを受け付けるサインオン受付手段と、
販売される商品に割り当てられた所定の商品区分を判別する商品区分判別手段と、
前記サインオン受付手段によりサインオンを受け付けた店員の中から、各店員の資格を記憶した資格記憶手段に記憶された各店員の資格と前記商品区分判別手段により判別した商品区分とに基づいて当該商品の販売権限を有する店員を特定する店員特定手段と、
この店員特定手段により特定された店員に関する情報を前記客面表示部に表示させる店員情報表示手段と、
して機能させるための商品販売データ処理装置の制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−212459(P2012−212459A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−140955(P2012−140955)
【出願日】平成24年6月22日(2012.6.22)
【分割の表示】特願2009−130449(P2009−130449)の分割
【原出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】