説明

商業施設データ分析装置

【課題】商業施設に関するデータのばらつきの外的要因を考慮して商業施設を分類することができる、商業施設データ分析装置を提供すること。
【解決手段】商業施設データ分析装置1は、商業施設の環境に関する環境データと、資源に関する資源データと、地理に関する地理データと、を含んだ商業施設データを格納する商業施設DB13aと、環境軸と、資源軸と、地理軸と、によって構成される3次元空間に、複数の商業施設の各々を位置付ける施設位置特定部12aとを備え、施設位置特定部12aは、商業施設DB13aから各商業施設の商業施設データを取得し、当該取得した商業施設データに含まれる環境データに基づいて環境軸に対応する商業施設の位置を特定し、資源データに基づいて資源軸に対応する商業施設の位置を特定し、かつ、地理データに基づいて地理軸に対応する商業施設の位置を特定することにより、3次元空間に複数の商業施設の各々を位置付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の商業施設に関するデータを分析するための商業施設データ分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商業施設の経営状態分析等を行うため、複数の商業施設の各々から取得した実績データ(例えば、病院における手術件数等の診療実績データや、ホテルにおける宿泊者数等の利用実績データ等)を比較することが行われている。例えば、医療機関の経営・運営状況を他の医療機関の実績情報を利用して分析するための、医療機関向けの経営支援システムが提案されている。このシステムでは、各医療機関はレセプトコンピュータからインターネット回線上のWWWサーバに医療機関の実績情報をアップロードする。WWWサーバは、ベンチマーク手法によるデータ分析を行うことで医療機関の実績情報を他の医療機関の実績情報と比較し、その比較結果をレポートとして、医療機関に提供する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−319041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、商業施設に関連する各種の外的要因により、商業施設の実績データにばらつきが生じる場合がある。しかしながら、上述の如き従来のシステムでは、この外的要因を考慮しておらず、外的要因が大きく異なる商業施設間で実績データの比較を行ってしまう場合があった。その結果、ばらつきの大きい実績データに基づいてデータ分析を行う必要が生じ、商業施設の経営や運営の判断に有用な分析データを取得することができない可能性があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、商業施設に関するデータのばらつきの外的要因を考慮して商業施設を分類することができ、ばらつきの小さいデータに基づく分析を可能とする、商業施設データ分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の商業施設データ分析装置は、複数の商業施設に関するデータを分析するための商業施設データ分析装置であって、前記複数の商業施設の各々に関する商業施設データであって、前記商業施設の環境に関する環境データと、前記商業施設の資源に関する資源データと、前記商業施設の地理に関する地理データと、を含んだ商業施設データを格納する商業施設データ格納手段と、前記環境データに対応して設定された環境軸と、前記資源データに対応して設定された資源軸と、前記地理データに対応して設定された地理軸と、によって構成される3次元空間に、前記複数の商業施設の各々を位置付ける施設位置特定手段とを備え、前記施設位置特定手段は、前記商業施設データ格納手段から前記複数の商業施設の各々の前記商業施設データを取得し、当該取得した商業施設データに含まれる前記環境データに基づいて前記環境軸に対応する前記商業施設の位置を特定し、当該取得した商業施設データに含まれる前記資源データに基づいて前記資源軸に対応する前記商業施設の位置を特定し、かつ、当該取得した商業施設データに含まれる前記地理データに基づいて前記地理軸に対応する前記商業施設の位置を特定することにより、前記3次元空間に前記複数の商業施設の各々を位置付ける。
【0007】
また、請求項2に記載の商業施設データ分析装置は、請求項1に記載の商業施設データ分析装置において、前記施設位置特定手段は、前記環境軸、前記資源軸、及び前記地理軸をそれぞれ所定の分割数で分割することによって、前記3次元空間を複数の分割領域に分割し、当該複数の分割領域のいずれかに前記複数の商業施設の各々を位置付けることにより、前記複数の商業施設をグループ化する。
【0008】
また、請求項3に記載の商業施設データ分析装置は、請求項1又は2に記載の商業施設データ分析装置において、前記商業施設データ格納手段に格納された前記商業施設データは、前記複数の商業施設の各々の商圏に関する商圏データを含み、前記商業施設データ格納手段に格納された前記商圏データに基づいて、共通の商圏に属する商業施設を特定し、当該特定された商業施設の前記商業施設データを、前記商業施設データ格納手段から取得する同一商圏データ取得手段を備え、前記施設位置特定手段は、前記同一商圏データ取得手段にて取得された前記商業施設データを対象として、前記3次元空間に前記複数の商業施設の各々を位置付ける。
【0009】
また、請求項4に記載の商業施設データ分析装置は、請求項3に記載の商業施設データ分析装置において、前記商圏データは、前記複数の商業施設の各々の所在位置を特定するための所在位置データを含み、前記同一商圏データ取得手段は、前記商業施設データ格納手段に格納された前記所在位置データに基づいて、基準位置から所定面積内に位置する商業施設を特定し、当該特定した商業施設を、前記共通の商圏に属する商業施設とする。
【0010】
また、請求項5に記載の商業施設データ分析装置は、請求項3に記載の商業施設データ分析装置において、前記商圏データは、前記複数の商業施設の各々への移動時間を特定するための移動時間データを含み、前記同一商圏データ取得手段は、前記商業施設データ格納手段に格納された前記移動時間データに基づいて、基準位置から所定時間内に移動できる商業施設を特定し、当該特定した商業施設を、前記共通の商圏に属する商業施設とする。
【0011】
また、請求項6に記載の商業施設データ分析装置は、請求項3に記載の商業施設データ分析装置において、前記商圏データは、前記複数の商業施設の各々が属する行政圏域を特定するための行政圏域データを含み、前記同一商圏データ取得手段は、前記商業施設データ格納手段に格納された前記行政圏域データに基づいて、同一の行政圏域に属する商業施設を特定し、当該特定した商業施設を、前記共通の商圏に属する商業施設とする。
【0012】
また、請求項7に記載の商業施設データ分析装置は、請求項1から6のいずれか一項に記載の商業施設データ分析装置において、前記商業施設データ格納手段に格納された前記商業施設データは、当該商業施設データが取得された時間を特定する取得時間データを含み、前記商業施設データ格納手段に格納された前記取得時間データに基づいて、所定時間内に取得された商業施設データを、前記商業施設データ格納手段から取得する同一時間データ取得手段を備え、前記施設位置特定手段は、前記同一時間データ取得手段にて取得された前記商業施設データを対象として、前記3次元空間に前記複数の商業施設の各々を位置付ける。
【0013】
また、請求項8に記載の商業施設データ分析装置は、請求項1から7のいずれか一項に記載の商業施設データ分析装置において、前記施設位置特定手段は、前記環境軸、前記資源軸、及び前記地理軸をそれぞれ所定の分割数で分割することによって、前記3次元空間を複数の分割領域に分割し、当該複数の分割領域のいずれかに前記複数の商業施設の各々を位置付けることにより、前記複数の商業施設をグループ化するものであって、当該環境軸、当該資源軸、及び当該地理軸の各々に対応する複数のデータ項目の組み合わせ毎に、前記複数の分割領域のいずれかに前記複数の商業施設の各々を位置付け、前記複数のデータ項目の組み合わせ毎に前記商業施設が位置する前記分割領域の内、基準となる商業施設が位置する分割領域と一致する分割領域の割合を、前記複数の商業施設の各々について算出する一致率算出手段を備える。
【0014】
また、請求項9に記載の商業施設データ分析装置は、請求項1から8のいずれか一項に記載の商業施設データ分析装置において、前記商業施設は病院である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の商業施設データ分析装置によれば、施設位置特定手段は、商業施設データ格納手段から複数の商業施設の各々の商業施設データを取得し、当該取得した商業施設データに含まれる環境データに基づいて環境軸に対応する商業施設の位置を特定し、当該取得した商業施設データに含まれる資源データに基づいて資源軸に対応する商業施設の位置を特定し、かつ、当該取得した商業施設データに含まれる地理データに基づいて地理軸に対応する商業施設の位置を特定することにより、環境軸、資源軸、及び地理軸によって構成される3次元空間に複数の商業施設の各々を位置付けるので、商業施設に関するデータのばらつきの外的要因を考慮して商業施設を分類することができる。従って、同じ分類に属する商業施設のデータを用いることにより、ばらつきの小さいデータに基づく分析を行うことが可能となる。
【0016】
また、請求項2に記載の商業施設データ分析装置によれば、施設位置特定手段は、環境軸、資源軸、及び地理軸をそれぞれ所定の分割数で分割することによって、3次元空間を複数の分割領域に分割し、当該複数の分割領域のいずれかに複数の商業施設の各々を位置付けることにより、複数の商業施設をグループ化するので、商業施設に関するデータのばらつきの外的要因について共通の特性を持った商業施設をグループ化できる。
【0017】
また、請求項3に記載の商業施設データ分析装置によれば、施設位置特定手段は、同一商圏データ取得手段にて取得された商業施設データを対象として、3次元空間に複数の商業施設の各々を位置付けるので、共通の商圏に属する商業施設に限定してグループ化を行うことができる。
【0018】
また、請求項4に記載の商業施設データ分析装置によれば、同一商圏データ取得手段は、商業施設データ格納手段に格納された所在位置データに基づいて、基準位置から所定面積内に位置する商業施設を特定し、当該特定した商業施設を、共通の商圏に属する商業施設とするので、共通の面積圏に属する商業施設に限定してグループ化を行うことができる。
【0019】
また、請求項5に記載の商業施設データ分析装置によれば、同一商圏データ取得手段は、商業施設データ格納手段に格納された移動時間データに基づいて、基準位置から所定時間内に移動できる商業施設を特定し、当該特定した商業施設を、共通の商圏に属する商業施設とするので、共通の時間圏に属する商業施設に限定してグループ化を行うことができる。
【0020】
また、請求項6に記載の商業施設データ分析装置によれば、同一商圏データ取得手段は、商業施設データ格納手段に格納された行政圏域データに基づいて、同一の行政圏域に属する商業施設を特定し、当該特定した商業施設を、共通の商圏に属する商業施設とするので、共通の行政圏に属する商業施設に限定してグループ化を行うことができる。
【0021】
また、請求項7に記載の商業施設データ分析装置によれば、施設位置特定手段は、同一時間データ取得手段にて取得された商業施設データを対象として、3次元空間に複数の商業施設の各々を位置付けるので、商業施設に関するデータのばらつきの要因の一つである「時間」を考慮して商業施設を分類することができる。
【0022】
また、請求項8に記載の商業施設データ分析装置によれば、施設位置特定手段は、環境軸、資源軸、及び地理軸の各々に対応する複数のデータ項目の組み合わせ毎に、複数の分割領域のいずれかに複数の商業施設の各々を位置付け、一致率算出手段は、複数のデータ項目の組み合わせ毎に商業施設が位置する分割領域の内、基準となる商業施設が位置する分割領域と一致する分割領域の割合を、複数の商業施設の各々について算出するので、当該算出した割合を利用して基準となる商業施設と類似している他の商業施設群を抽出することができ、ばらつきの小さいデータに基づく分析を行うことが可能となる。
【0023】
また、請求項9に記載の商業施設データ分析装置によれば、商業施設は病院であるので、病院に関するデータのばらつきの外的要因を考慮して病院を分類することができる。従って、同じ分類に属する病院のデータを用いることにより、ばらつきの小さいデータに基づく分析を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】商業施設データ分析装置の電気的構成を機能概念的に示したブロック図である。
【図2】商業施設DBに格納されている情報を例示した表である。
【図3】商業施設データ分析処理のフローチャートである。
【図4】基準位置の座標と所定面積とに基づき特定される商圏と病院の所在位置との関係を例示した概念図である。
【図5】最寄り駅から15分以内の範囲として特定された商圏と各病院への移動時間との関係を例示した概念図である。
【図6】市区町村名に基づき特定された商圏と各病院が属する市区町村との関係を例示した概念図である。
【図7】商業施設DBの小項目「人口(千人)」に対応する環境データの正規分布曲線を例示したグラフである。
【図8】27の分割領域に分割された3次元空間を例示した図である。
【図9】位置情報と組み合わせ情報とを格納した位置テーブルを例示した表である。
【図10】複数の病院の各々の病床数を、地図上における各病院に対応する位置にて重畳表示させた場合を例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る商業施設データ分析装置の実施の形態を詳細に説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0026】
なお、実施の形態に係る商業施設データ分析装置は、複数の商業施設に関するデータを分析するためのものであり、例えば病院やホテル等の商業施設に関するデータの分析に用いることができる。以下の実施の形態では、病院に関するデータの分析に商業施設データ分析装置を用いる場合を例として説明する。
【0027】
(構成)
最初に、本実施の形態に係る商業施設データ分析装置の構成について説明する。図1は、商業施設データ分析装置の電気的構成を機能概念的に示したブロック図である。この図1に示すように、商業施設データ分析装置1は、入力部10、ディスプレイ11、制御部12、及びデータ記録部13を備えている。
【0028】
(構成−入力部)
入力部10は、商業施設データ分析装置1が実行する各種処理に必要な情報の入力を受け付ける入力手段であり、例えばキーボードやマウス等の公知の入力手段を用いることができる。
【0029】
(構成−ディスプレイ)
ディスプレイ11は、制御部12の制御によって各種情報を表示するための表示手段であり、液晶パネルディスプレイ等の公知のディスプレイを用いることができる。
【0030】
(構成−制御部)
制御部12は、商業施設データ分析装置1を制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。
【0031】
この制御部12は、機能概念的に、施設位置特定部12a、同一商圏データ取得部12b、及び同一時間データ取得部12cを備えている。施設位置特定部12aは、環境データに対応して設定された環境軸と、資源データに対応して設定された資源軸と、地理データに対応して設定された地理軸と、によって構成される3次元空間に、複数の病院の各々を位置付ける施設位置特定手段である。同一商圏データ取得部12bは、共通の商圏に属する病院を特定し、当該特定された病院の商業施設データを、後述の商業施設データベースから取得する同一商圏データ取得手段である。同一時間データ取得部12cは、所定時間内に取得された商業施設データを、商業施設データベースから取得する同一時間データ取得手段である。これらの制御部12の各構成要素によって実行される処理の詳細については後述する。
【0032】
(構成−データ記録部)
データ記録部13は、商業施設データ分析装置1の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、外部記憶装置としてのハードディスク(図示省略)の如き磁気的記録媒体を用いて構成されている。ただし、ハードディスクに代えてあるいはハードディスクと共に、フラッシュメモリの如き半導体型記憶媒体、又はDVDやブルーレイディスクの如き光学的記録媒体を含む、その他の任意の記録媒体を用いることができる。このデータ記録部13は、商業施設データベース13a(以下、データベースをDBと略記する)を備えている。
【0033】
商業施設DB13aは、複数の病院の各々に関する商業施設データを格納する商業施設データ格納手段である。ここで「商業施設データ」には、病院の環境に関する環境データと、病院の資源に関する資源データと、病院の地理に関する地理データと、が含まれる。図2は、商業施設DB13aに格納されている情報を例示した表である。図2に示すように、商業施設DB13aには、項目「施設名」、「環境」、「資源」、「地理」、「商圏」、及び「取得日」に対応する情報が相互に関連付けて格納されている。項目「施設名」に対応して格納される情報は、病院の名称を特定する情報である(図2では「A病院」等)。項目「環境」に対応して格納される情報は、病院の環境に関する環境データである。具体的には、病院の実績データをばらつかせる各種要因のうち、需要面の要因(例えば人口、患者数、世帯数、事業所数等)を特定する情報が、当該需要面の各要因を示す小項目(図2では「人口(千人)」や「患者数(千人)」等)に対応して格納されている(図2では「人口(千人)」に対応して「506」等)。項目「資源」に対応して格納される情報は、病院の資源に関する資源データである。具体的には、病院の実績データをばらつかせる各種要因のうち、供給面の要因(例えば病院数、病床数、医療機器台数等)を特定する情報が、当該供給面の各要因を示す小項目(図2では「病院数」や「病床合計」等)に対応して格納されている(図2では「病院数」に対応して「79」等)。項目「地理」に対応して格納される情報は、病院の地理に関する地理データである。具体的には、病院の実績データをばらつかせる各種要因のうち、各病院の商圏の拡がりを制約する要因を特定する情報が、各要因を示す小項目(図2では「居住余地指数」や「密度距離指数」等)に対応して格納されている(図2では「居住余地指数」に対応して「87.7」等)。
【0034】
ここで「商圏」とは、例えば各病院の来院者、あるいは来院者となる可能性がある者の居住範囲を意味する。また、「居住余地指数」とは、病院の商圏の内、居住者が存在する地域の占める割合を示す指数であり、例えば商圏をメッシュ分割した場合において、居住余地指数=商圏内において居住者が存在するメッシュ数/商圏内の総メッシュ数×100として算出される。この場合、居住余地指数が高い程、居住阻害要因(海、山、あるいは河川等)が少ないことを示している。また、「密度距離指数」は、病院からの距離に応じた人口集積度合を示す指数であり、例えば商圏をメッシュ分割した場合において、各メッシュについての「メッシュ内の人口/病院からメッシュまでの距離の2乗」の総和が密度距離指数として算出される。この場合、密度距離指数が高い程、病院の近傍で人口が集積していることを示している。さらに地理データとして、アクセシビリティ指数、集積度指数、交通量指数、標高差指数等を用いてもよい。「アクセシビリティ指数」は、病院へのアクセス性を示す指数であり、例えば、アクセシビリティ指数=(病院から所定時間内に到達可能な範囲の面積)/(病院から所定時間内に到達可能な最大距離を半径とする病院を中心とした円の面積)として算出される。この場合、アクセシビリティ指数が高い程、病院へのアクセス性が良いことを示している。また、「集積度指数」は、病院からの距離に応じた人口や病院等の集積度合を示す指数であり、例えば、集積度指数=(病院を中心とする半径L1の円内の人口や病院数)/(病院を中心とする半径L2(>L1)の円内の人口や病院数)として算出される。この場合、集積度指数が高い程、病院の近傍で人口や病院等が集積していることを示している。また、「交通量指数」は、病院の商圏内における交通量を示す指数であり、例えば、商圏内を通過する各道路についての「商圏内における所定時間当たりの通行車両数×商圏内に占める当該道路の面積の割合」の総和が交通量指数として算出される。この場合、交通量指数が高い程、交通が盛んであることを示している。また、「標高差指数」は、商圏内における高低差の度合を示す指数であり、例えば商圏をメッシュ分割した場合において、商圏内の各メッシュの標高値の分散が標高差指数として算出される。この場合、標高差指数が高い程、商圏内の高低差が激しいことを示している。
【0035】
項目「商圏」に対応して格納される情報は、複数の病院の各々の商圏に関する商圏データであり、小項目「所在位置」、「移動時間」、及び「行政圏域」に対応する情報が相互に関連付けて格納されている。小項目「所在位置」に対応して格納される情報は、複数の病院の各々の所在位置を特定するための所在位置データであり、例えば各病院の座標が格納される(図2では「x1,y1」等)。小項目「移動時間」に対応して格納される情報は、複数の病院の各々への移動時間を特定するための移動時間データであり、例えば各病院について設定された基準位置(例えば各病院の最寄り駅等)から当該病院への移動時間を特定する情報が格納される(図2では「12分」等)。小項目「行政圏域」に対応して格納される情報は、複数の病院の各々が属する行政圏域を特定するための行政圏域データであり、例えば各病院の所在位置の都道府県や市区町村を特定する情報が格納される(図2では「D県F市」等)。項目「取得日」に対応して格納される情報は、商業施設データが取得された時間を特定する取得時間データであり、例えば各病院の商業施設データが取得された日を特定する情報が格納される(図2では「2010/12/13」等)。
【0036】
なお、商業施設DB13aに格納されているこれらの情報は、各病院の所定の商圏(例えば各病院を中心とする所定半径の円形商圏、各病院から所定時間内に到達可能な範囲の時間商圏、各病院と同じ市区町村や2次医療圏を示す行政商圏等)内を対象として予め取得され、入力部10やネットワーク(図示省略)等を介して商業施設DB13aに格納される。
【0037】
(処理)
次に、このように構成された商業施設データ分析装置1によって実行される商業施設データ分析処理について説明する。図3は、商業施設データ分析処理のフローチャートである(以下の各処理の説明ではステップを「S」と略記する)。この商業施設データ分析処理は、例えば商業施設データ装置の電源が投入された後、商業施設データ分析処理を実行すべき旨の指示が入力部10を介して入力された場合に開始される。
【0038】
図3に示すように、商業施設データ分析処理が開始されると、制御部12は、商業施設データ分析装置1による分析対象とする商業施設データが取得された時間と、分析対象とする商業施設データに対応する病院が属する共通の商圏との指定を受け付けるための画面を、ディスプレイ11に表示させる(SA1)。例えば制御部12は、分析対象とする商業施設データが取得された期間の開始日と終了日とを指定するための指定画面をディスプレイ11に表示させる。また制御部12は、分析対象とする商業施設データに対応する病院として、基準位置から所定面積内に位置する病院を指定するための指定画面(例えば基準位置の座標と所定面積との入力画面)、基準位置から所定時間内に移動できる病院を指定するための指定画面(例えば基準位置の種別(例えば最寄り駅)と所定時間との入力画面)、あるいは同一の行政圏域に属する病院を指定するための指定画面(例えば市区町村名の入力画面)を、ディスプレイ11に表示させる。
【0039】
続いて制御部12は、商業施設データ分析装置1による分析対象とする商業施設データが取得された時間と、分析対象とする商業施設データに対応する病院が属する共通の商圏とが、入力部10を介して指定されるまで待機する(SA2、No)。
【0040】
商業施設データ分析装置1による分析対象とする商業施設データが取得された時間と、分析対象とする商業施設データに対応する病院が属する共通の商圏とが、入力部10を介して指定された場合(SA2、Yes)、例えば、分析対象とする商業施設データが取得された期間の開始日と終了日とが入力部10を介して指定されると共に、共通の商圏を特定するための基準位置の座標と所定面積、基準位置の種別と所定時間、あるいは市区町村名が入力部10を介して指定された場合、同一時間データ取得部12cは、商業施設DB13aに格納された取得時間データに基づいて、入力部10を介して指定された時間内に取得された商業施設データを、商業施設DB13aから取得する(SA3)。すなわち同一時間データ取得部12cは、商業施設DB13aにおいて項目「取得日」に対応して格納されている取得時間データに基づき、各商業施設データが取得された日を特定し、当該特定した取得日が入力部10を介して指定された開始日と終了日との間に含まれている場合に、その商業施設データを商業施設DB13aから取得する。
【0041】
続いて、同一商圏データ取得部12bは、SA3で同一時間データ取得部12cが取得した商業施設データに含まれる商圏データに基づいて、共通の商圏に属する病院を特定する(SA4)。
【0042】
例えば、分析対象とする商業施設データに対応する病院が属する共通の商圏を特定するための基準位置の座標と所定面積とがSA2で指定された場合、同一商圏データ取得部12bは、SA3で同一時間データ取得部12cが取得した商業施設データの内、小項目「所在位置」に対応する所在位置データに基づき、病院の所在位置を特定し、SA2で指定された基準位置の座標と所定面積とに基づき特定される商圏(以下、必要に応じて「面積圏」)の範囲(すなわち基準位置から所定面積)内に位置する病院を特定する。図4は、基準位置の座標と所定面積とに基づき特定される商圏と病院の所在位置との関係を例示した概念図である。この図4の例では、座標(x1,y1)に位置する病院Aと、座標(x3,y3)に位置する病院Cとは、基準位置から所定面積内に位置しているが、座標(x2,y2)に位置する病院Bは、基準位置から所定面積内に位置していない。従って、同一商圏データ取得部12bは、SA2で指定された基準位置の座標と所定面積とに基づき特定される共通の面積圏に属する病院として、病院A及び病院Cを特定する。
【0043】
図3に戻り、分析対象とする商業施設データに対応する病院が属する共通の商圏を特定するための基準位置の種別と所定時間とがSA2で指定された場合、同一商圏データ取得部12bは、SA3で同一時間データ取得部12cが取得した商業施設データの内、小項目「移動時間」に対応する移動時間データに基づき、基準位置(例えば病院の最寄り駅)から病院への移動時間を特定し、SA2で指定された基準位置の種別と所定時間とに基づき特定される商圏(以下、必要に応じて「時間圏」)の範囲(例えば最寄り駅から所定時間)内に移動できる病院を特定する。図5は、最寄り駅から15分以内の範囲として特定された商圏と各病院への移動時間との関係を例示した概念図である。この図5の例では、病院A及び病院Bには、それぞれの最寄り駅から15分内に移動できるが、最寄り駅から病院Cへの移動時間は15分より長くなっている。従って、同一商圏データ取得部12bは、SA2で指定された基準位置の種別と所定時間とに基づき特定される共通の時間圏に属する病院として、病院A及び病院Bを特定する。
【0044】
図3に戻り、分析対象とする商業施設データに対応する病院が属する共通の商圏を特定するための市区町村名がSA2で指定された場合、同一商圏データ取得部12bは、SA3で同一時間データ取得部12cが取得した商業施設データの内、小項目「行政圏域」に対応する行政圏域データに基づき、病院が属する行政圏域を特定し、SA2で指定された市区町村名に基づき特定される商圏(以下、必要に応じて「行政圏」)に属する病院を特定する。図6は、市区町村名に基づき特定された商圏と各病院が属する市区町村との関係を例示した概念図である。図6の例では、病院Aは「D県F市」に属しており、病院B及び病院Cは「E県G市」に属している。従って、例えばSA2で「E県G市」が指定された場合、同一商圏データ取得部12bは、当該指定された「E県G市」として特定される共通の行政圏に属する病院として、病院B及び病院Cを特定する。
【0045】
図3に戻り、SA4の処理の後、施設位置特定部12aは、SA4で特定した病院を位置付ける対象となる3次元空間を構成する3軸の各々に対応するデータ項目の組み合わせを選定する(SA5)。すなわち施設位置特定部12aは、3次元空間を構成する環境軸、資源軸、及び地理軸に対応するデータ項目の組み合わせを選定する。例えば施設位置特定部12aは、図2の商業施設DB13aの項目「環境」に従属する各小項目(図2では「人口(千人)」や「患者数(千人)」等)のいずれかに対応するデータ項目を、環境軸として選択する。また、施設位置特定部12aは、図2の商業施設DB13aの項目「資源」に従属する各小項目(図2では「病院数」や「病床合計」等)のいずれかに対応するデータ項目を、資源軸として選択する。また、施設位置特定部12aは、図2の商業施設DB13aの項目「地理」に従属する各小項目(図2では「居住余地指数」や「密度距離指数」等)のいずれかに対応するデータ項目を、地理軸として選択する。
【0046】
図3に戻り、SA5の処理の後、施設位置特定部12aは、環境軸、資源軸、及び地理軸をそれぞれ所定の分割数で分割することによって、3次元空間を複数の分割領域に分割する(SA6)。各軸の分割数や分割基準は任意に設定することができる。ここで、環境データ、資源データ、及び地理データが、正規分布に従うと仮定する。この場合、施設位置特定部12aは、SA4で特定した各病院の商業施設データに基づき、SA5で選定した環境軸に対応する環境データ、資源軸に対応する資源データ、及び地理軸に対応する地理データの各々について、最小値、最大値、最頻値μ、及び分散σを特定する。そして、環境軸、資源軸、及び地理軸の各軸を、当該各軸に対応する商業施設データの最小値から(μ−σ)までの領域、(μ−σ)から(μ+σ)までの領域、及び(μ+σ)から最大値までの領域の3領域に分割する。これにより、環境軸、資源軸、及び地理軸で構成される3次元空間が、3×3×3=27の分割領域に分割される。
【0047】
図7は、SA5で環境軸に対応するデータ項目として商業施設DB13aの小項目「人口(千人)」を選択した場合における、当該小項目「人口(千人)」に対応する環境データの正規分布曲線を例示したグラフである。この図7の例では、施設位置特定部12aは、SA4で特定した各病院の小項目「人口(千人)」に対応する環境データの最小値、最大値、最頻値μ、及び分散σを特定する。そして、環境軸を、小項目「人口(千人)」に対応する環境データの最小値から(μ−σ)までの領域、(μ−σ)から(μ+σ)までの領域、及び(μ+σ)から最大値までの領域の3領域に分割する。
【0048】
図3に戻り、SA6の処理の後、施設位置特定部12aは、SA6で分割した複数の分割領域のいずれかに複数の病院の各々を位置付けることにより、複数の病院をグループ化する(SA7)。すなわち施設位置特定部12aは、SA4で特定した各病院の商業施設データに含まれる環境データに基づいて環境軸に対応する病院の位置を特定し、当該商業施設データに含まれる資源データに基づいて資源軸に対応する病院の位置を特定し、かつ、当該商業施設データに含まれる地理データに基づいて地理軸に対応する病院の位置を特定することにより、3次元空間における複数の分割領域のいずれかに複数の病院の各々を位置付け、複数の病院をグループ化する。
【0049】
図8は、27の分割領域に分割された3次元空間を例示した図である。例えば、病院Aの商業施設データに含まれる環境データに基づいて施設位置特定部12aにより特定された環境軸に対応する病院Aの位置が、当該環境軸に対応する環境データの(μ+σ)から最大値までの領域(図8の環境軸の「3」に対応する領域)内であり、資源データに基づいて特定された資源軸に対応する病院Aの位置が、当該資源軸に対応する資源データの最小値から(μ−σ)までの領域(図8の資源軸の「1」に対応する領域)内であり、かつ、地理データに基づいて特定された地理軸に対応する病院Aの位置が、当該地理軸に対応する地理データの(μ+σ)から最大値までの領域(図8の地理軸の「3」に対応する領域)内である場合、施設位置特定部12aは、図8において斜線で示した分割領域に病院Aを位置付ける。施設位置特定部12aは、他の病院についても同様に位置付けを行うことにより、複数の病院を分割領域毎にグループ化する。
【0050】
図3に戻り、SA7の処理の後、施設位置特定部12aは、各病院の位置する分割領域を特定する位置情報と、3次元空間を構成する3軸の各々に対応するデータ項目の組み合わせを特定する組み合わせ情報とを関連付けて、データ記録部13に記録する(SA8)。
【0051】
続いて施設位置特定部12aは、3次元空間を構成する3軸の各々に対応するデータ項目の全ての組み合わせについて、SA6からSA8の処理を実行したか否かを判定する(SA9)。その結果、データ項目の全ての組み合わせについて、SA6からSA8の処理を実行していない場合(SA9、No)、施設位置特定部12aはSA5に戻り、まだSA6からSA8の処理を実行していないデータ項目の組み合わせを選定する(SA5)。以降、3次元空間を構成する3軸の各々に対応するデータ項目の全ての組み合わせについて、SA6からSA8の処理を実行するまで、SA5からSA9の処理を繰り返す。
【0052】
一方、3次元空間を構成する3軸の各々に対応するデータ項目の全ての組み合わせについて、SA6からSA8の処理を実行した場合(SA9、Yes)、制御部12は商業施設データ分析処理を終了する。
【0053】
図9は、位置情報と組み合わせ情報とを格納した位置テーブルを例示した表である。図9に示すように、位置テーブルには、項目「施設名」、及び「データ項目組み合わせ」に対応する情報が格納される。また、項目「施設名」に対応する情報と、項目「データ項目組み合わせ」に対応する情報とに対応付けて、各病院の位置する分割領域を特定する位置情報が格納される。さらに図9の位置テーブルには、項目「一致病院数」及び「一致率」に対応する情報が格納されているが、これらの情報については後述する。
【0054】
項目「施設名」に対応して格納される情報は、病院の名称を特定する情報である(図9では「A病院」等)。項目「データ項目組み合わせ」に対応して格納される情報は、3次元空間を構成する3軸の各々に対応するデータ項目の組み合わせを特定する組み合わせ情報である(図9では「人口、病院数、居住余地指数」等)。これらの病院の名称と組み合わせ情報とに対応付けて、各病院の位置する分割領域を特定する位置情報が格納されている(図9では、「A病院」についてデータ項目の組み合わせが「人口、病院数、居住余地指数」の場合に位置が「313」等)。なお、図9では位置情報を3桁の数字で表している。この3桁の数字の最左側の桁は環境軸に対応する病院の位置を示し、中央の桁は資源軸に対応する病院の位置を示し、最右側の桁は地理軸に対応する病院の位置を示している。また、「1」は各軸に対応する商業施設データの最小値から(μ−σ)までの領域、「2」は(μ−σ)から(μ+σ)までの領域、「3」は(μ+σ)から最大値までの領域を示している。
【0055】
また、図9の位置テーブルにおいて項目「一致病院数」に対応して格納される情報は、基準となる病院と同じ分割領域に位置する病院の数を、データ項目の組み合わせ毎に特定する情報である(図9では、「A病院」を基準とし、データ項目の組み合わせが「人口、病院数、居住余地指数」である場合に、「A病院」の位置「313」と同じ分割領域に位置する病院の数が「35」等)。
【0056】
また、図9の位置テーブルにおいて項目「一致率」に対応して格納される情報は、データ項目の組み合わせ毎に病院が位置する分割領域の内、基準となる病院が位置する分割領域と一致する分割領域の割合を、病院毎に特定する情報である(図9では、データ項目の組み合わせ毎に「B病院」が位置する分割領域の内、基準となる「A病院」が位置する分割領域と一致する分割領域の割合が「92%」等)。この項目「一致率」に対応して格納される情報は、例えば制御部12が備える一致率算出手段(図示省略)により算出され、位置テーブルに格納される。この項目「一致率」に対応して格納される情報に基づき、病院の実績データにばらつきを生じさせる外的要因が、基準となる病院と類似している他の病院群を抽出することができ、当該抽出した病院群の実績データを分析することにより、ばらつきの小さいデータに基づく分析を行うことが可能となる。例えば図3のSA9において、3次元空間を構成する3軸の各々に対応するデータ項目の全ての組み合わせについて、SA6からSA8の処理を実行したと判定された場合(SA9、Yes)、制御部12が図9の位置テーブルをディスプレイ11に表示させるようにしてもよい。
【0057】
(効果)
このように実施の形態によれば、施設位置特定部12aは、商業施設DB13aから複数の病院の各々の商業施設データを取得し、当該取得した商業施設データに含まれる環境データに基づいて環境軸に対応する病院の位置を特定し、当該取得した商業施設データに含まれる資源データに基づいて資源軸に対応する病院の位置を特定し、かつ、当該取得した商業施設データに含まれる地理データに基づいて地理軸に対応する病院の位置を特定することにより、環境軸、資源軸、及び地理軸によって構成される3次元空間に複数の病院の各々を位置付けるので、病院に関するデータのばらつきの外的要因を考慮して病院を分類することができる。従って、同じ分類に属する病院のデータを用いることにより、ばらつきの小さいデータに基づく分析を行うことが可能となる。
【0058】
また、施設位置特定部12aは、環境軸、資源軸、及び地理軸をそれぞれ所定の分割数で分割することによって、3次元空間を複数の分割領域に分割し、当該複数の分割領域のいずれかに複数の病院の各々を位置付けることにより、複数の病院をグループ化するので、病院に関するデータのばらつきの外的要因について共通の特性を持った病院をグループ化できる。
【0059】
また、施設位置特定部12aは、同一商圏データ取得部12bにて取得された商業施設データを対象として、3次元空間に複数の病院の各々を位置付けるので、共通の商圏に属する病院に限定してグループ化を行うことができる。
【0060】
また、同一商圏データ取得部12bは、商業施設DB13aに格納された所在位置データに基づいて、基準位置から所定面積内に位置する病院を特定し、当該特定した病院を、共通の商圏に属する病院とするので、共通の面積圏に属する病院に限定してグループ化を行うことができる。
【0061】
また、同一商圏データ取得部12bは、商業施設DB13aに格納された移動時間データに基づいて、基準位置から所定時間内に移動できる病院を特定し、当該特定した病院を、共通の商圏に属する病院とするので、共通の時間圏に属する病院に限定してグループ化を行うことができる。
【0062】
また、同一商圏データ取得部12bは、商業施設DB13aに格納された行政圏域データに基づいて、同一の行政圏域に属する病院を特定し、当該特定した病院を、共通の商圏に属する病院とするので、共通の行政圏に属する病院に限定してグループ化を行うことができる。
【0063】
また、施設位置特定部12aは、同一時間データ取得部12cにて取得された商業施設データを対象として、3次元空間に複数の病院の各々を位置付けるので、病院に関するデータのばらつきの要因の一つである「時間」を考慮して病院を分類することができる。
【0064】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0065】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0066】
(分散や統合について)
また、上述した各電気的構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成できる。例えば、商業施設データ分析装置1の機能の一部を他の機器に持たせて、当該他の機器と商業施設データ分析装置1とをネットワークを介して通信可能に接続することにより、他の機器と商業施設データ分析装置1とで構成される商業施設データ分析システムを構築することができる。
【0067】
(商業施設データ分析処理について)
上記実施の形態では、図3のSA3において、同一時間データ取得部12cが、入力部10を介して指定された時間内に取得された商業施設データを商業施設DB13aから取得し、SA4において、SA3で同一時間データ取得部12cが取得した商業施設データに含まれる商圏データに基づいて、共通の商圏に属する病院を特定すると説明したが、SA3若しくはSA4のいずれか、又は両方の処理を省略してもよい。すなわち、例えばSA3の処理を省略し、商業施設データが取得された時間に関わらず、商業施設DB13aに格納されている全ての商業施設データに含まれる商圏データに基づいて、SA4で共通の商圏に属する病院を特定するようにしてもよい。また、SA4の処理を省略し、各病院が属する商圏に関わらず、SA3で同一時間データ取得部12cが取得した全ての商業施設データを対象としてSA5以降の処理を実行するようにしてもよい。あるいは、SA3及びSA4の処理を省略し、商業施設DB13aに格納されている全ての商業施設データを対象としてSA5以降の処理を実行するようにしてもよい。
【0068】
また、上記実施の形態では、図3のSA6において、施設位置特定部12aが、環境軸、資源軸、及び地理軸の各々を3領域に分割することによって、3次元空間を27の分割領域に分割する場合を例として説明したが、各軸及び3次元空間をこれとは異なる数に分割してもよい。
【0069】
また、上記実施の形態では、施設位置特定部12aが、環境軸、資源軸、及び地理軸の各軸を、当該各軸に対応する商業施設データの最小値から(μ−σ)までの領域、(μ−σ)から(μ+σ)までの領域、及び(μ+σ)から最大値までの領域の3領域に分割すると説明したが、これとは異なる位置で各軸を分割するようにしてもよい。例えば、最小値から最大値までの間を均等に3分割するようにしてもよい。
【0070】
また、上記実施の形態では、図9の位置テーブルに、項目「一致病院数」及び「一致率」に対応する情報が格納されている場合を例として説明したが、これらの情報とは異なる任意の指標を示す情報を位置テーブルに格納するようにしてもよい。例えば、3次元空間を構成する3軸の各々に対応するデータの項目の組み合わせと当該組み合わせに対応する病院の位置とのセットのパターン(例えば図9の「A病院」について、データの項目の組み合わせ「人口、病院数、居住余地指数」と、これに対応する病院の位置「313」とのセット、データの項目の組み合わせ「人口、病院数、密度距離指数」と、これに対応する病院の位置が「312」とのセット・・・というパターン)に応じて各病院を類型化し、その類型を特定する情報を各病院の名称に対応付けて位置テーブルに格納するようにしてもよい。
【0071】
また、制御部12が、所定の期間毎に(例えば1年毎に)、入力部10やネットワーク(図示省略)を介して複数の病院の各々に関する商業施設データを取得し、商業施設DB13aに格納することとしてもよい。この場合、制御部は、各病院について当該所定期間における各商業施設データの変化量を算定して当該算定結果を商業施設DB13aに格納すると共に、その時に取得された商業施設データに基づいて商業施設データ分析処理を実行することで3次元空間における各病院の位置を特定し、当該特定した位置を商業施設DB13aに格納する。このように商業施設DB13aに格納された所定期間毎の商業施設データの変化量と、所定期間毎の3次元空間における各病院の位置とに基づき、制御部12は、商業施設データの変化量に対応する各病院の3次元空間における位置の遷移パターンを特定する。これにより、病院について商業施設データの変化が生じた場合に、商業施設データの変化に対応して3次元空間における当該病院の位置がどのように遷移するのかを推定することが可能となる。また、3次元空間における病院の位置の遷移パターンに最も影響を与える商業施設データを特定することが可能となる。
【0072】
また、複数の病院の位置を示す地図をディスプレイ11に表示させると共に、当該複数の病院の各々に関する商業施設データを、地図上における各病院に対応する位置にて重畳表示させるようにしてもよい。図10は、複数の病院の各々の病床数を、地図上における各病院に対応する位置にて重畳表示させた場合を例示した図である。この図10では、病床数に対応する記号(図10の例では、黒丸が100床、白丸が10床に対応)が、各病院に対応する位置にて重畳表示されている。これにより、複数の病院の各々に関する商業施設データを一見して容易に把握可能な態様でディスプレイ11に表示させることができる。
【符号の説明】
【0073】
1 商業施設データ分析装置
10 入力部
11 ディスプレイ
12 制御部
12a 施設位置特定部
12b 同一商圏データ取得部
12c 同一時間データ取得部
13 データ記録部
13a 商業施設DB

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の商業施設に関するデータを分析するための商業施設データ分析装置であって、
前記複数の商業施設の各々に関する商業施設データであって、前記商業施設の環境に関する環境データと、前記商業施設の資源に関する資源データと、前記商業施設の地理に関する地理データと、を含んだ商業施設データを格納する商業施設データ格納手段と、
前記環境データに対応して設定された環境軸と、前記資源データに対応して設定された資源軸と、前記地理データに対応して設定された地理軸と、によって構成される3次元空間に、前記複数の商業施設の各々を位置付ける施設位置特定手段とを備え、
前記施設位置特定手段は、前記商業施設データ格納手段から前記複数の商業施設の各々の前記商業施設データを取得し、当該取得した商業施設データに含まれる前記環境データに基づいて前記環境軸に対応する前記商業施設の位置を特定し、当該取得した商業施設データに含まれる前記資源データに基づいて前記資源軸に対応する前記商業施設の位置を特定し、かつ、当該取得した商業施設データに含まれる前記地理データに基づいて前記地理軸に対応する前記商業施設の位置を特定することにより、前記3次元空間に前記複数の商業施設の各々を位置付ける、
商業施設データ分析装置。
【請求項2】
前記施設位置特定手段は、前記環境軸、前記資源軸、及び前記地理軸をそれぞれ所定の分割数で分割することによって、前記3次元空間を複数の分割領域に分割し、当該複数の分割領域のいずれかに前記複数の商業施設の各々を位置付けることにより、前記複数の商業施設をグループ化する、
請求項1に商業施設データ分析装置。
【請求項3】
前記商業施設データ格納手段に格納された前記商業施設データは、前記複数の商業施設の各々の商圏に関する商圏データを含み、
前記商業施設データ格納手段に格納された前記商圏データに基づいて、共通の商圏に属する商業施設を特定し、当該特定された商業施設の前記商業施設データを、前記商業施設データ格納手段から取得する同一商圏データ取得手段を備え、
前記施設位置特定手段は、前記同一商圏データ取得手段にて取得された前記商業施設データを対象として、前記3次元空間に前記複数の商業施設の各々を位置付ける、
請求項1又は2に記載の商業施設データ分析装置。
【請求項4】
前記商圏データは、前記複数の商業施設の各々の所在位置を特定するための所在位置データを含み、
前記同一商圏データ取得手段は、前記商業施設データ格納手段に格納された前記所在位置データに基づいて、基準位置から所定面積内に位置する商業施設を特定し、当該特定した商業施設を、前記共通の商圏に属する商業施設とする、
請求項3に記載の商業施設データ分析装置。
【請求項5】
前記商圏データは、前記複数の商業施設の各々への移動時間を特定するための移動時間データを含み、
前記同一商圏データ取得手段は、前記商業施設データ格納手段に格納された前記移動時間データに基づいて、基準位置から所定時間内に移動できる商業施設を特定し、当該特定した商業施設を、前記共通の商圏に属する商業施設とする、
請求項3に記載の商業施設データ分析装置。
【請求項6】
前記商圏データは、前記複数の商業施設の各々が属する行政圏域を特定するための行政圏域データを含み、
前記同一商圏データ取得手段は、前記商業施設データ格納手段に格納された前記行政圏域データに基づいて、同一の行政圏域に属する商業施設を特定し、当該特定した商業施設を、前記共通の商圏に属する商業施設とする、
請求項3に記載の商業施設データ分析装置。
【請求項7】
前記商業施設データ格納手段に格納された前記商業施設データは、当該商業施設データが取得された時間を特定する取得時間データを含み、
前記商業施設データ格納手段に格納された前記取得時間データに基づいて、所定時間内に取得された商業施設データを、前記商業施設データ格納手段から取得する同一時間データ取得手段を備え、
前記施設位置特定手段は、前記同一時間データ取得手段にて取得された前記商業施設データを対象として、前記3次元空間に前記複数の商業施設の各々を位置付ける、
請求項1から6のいずれか一項に記載の商業施設データ分析装置。
【請求項8】
前記施設位置特定手段は、前記環境軸、前記資源軸、及び前記地理軸をそれぞれ所定の分割数で分割することによって、前記3次元空間を複数の分割領域に分割し、当該複数の分割領域のいずれかに前記複数の商業施設の各々を位置付けることにより、前記複数の商業施設をグループ化するものであって、当該環境軸、当該資源軸、及び当該地理軸の各々に対応する複数のデータ項目の組み合わせ毎に、前記複数の分割領域のいずれかに前記複数の商業施設の各々を位置付け、
前記複数のデータ項目の組み合わせ毎に前記商業施設が位置する前記分割領域の内、基準となる商業施設が位置する分割領域と一致する分割領域の割合を、前記複数の商業施設の各々について算出する一致率算出手段を備える、
請求項1から7のいずれか一項に記載の商業施設データ分析装置。
【請求項9】
前記商業施設は病院である、
請求項1から8のいずれか一項に記載の商業施設データ分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−141661(P2012−141661A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−292136(P2010−292136)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000003621)株式会社竹中工務店 (1,669)
【出願人】(597062650)技研商事インターナショナル株式会社 (13)
【Fターム(参考)】