説明

喉頭鏡

【課題】喉頭鏡の収納・保管用スペースの節減を図るとともに、喉頭鏡の携帯性を向上させる。
【解決手段】把持可能な柱状のハンドル10と、ハンドル10に接続されるブレード20と、を備え、ブレード20が先端部21から喉頭に挿入される喉頭鏡1である。ハンドル10の一端部とブレード20の根元部22とを回動自在に接続する回動軸50と、ハンドル10とブレード20とのなす角度が零度を上回る所定角度のときにハンドル10に対するブレード20の回動を阻止する回動阻止手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、喉頭鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、全身麻酔や救命救急措置に必要な医療処置としての気管挿管を実施する際に、喉頭鏡が使用されている。喉頭鏡は、気管挿管施行者から把持されるハンドルと、このハンドルに接続され患者の口から喉頭に挿入されるブレードと、を備え、気管挿管施行者が声帯や気管入口部を視認して気管挿管を行うための医療器具である。
【0003】
現在においては、結像用のグラスファイバー材料等からなる結像ガイドをブレードに取り付け、この結像ガイドにより得られた気管入口部等の像を結像する結像ユニットをハンドル内に組み込んだファイバー内視鏡型の喉頭鏡が提案されている。また、近年においては、CCD(Charge Coupled Device)を有する撮像ヘッドを喉頭鏡のブレードに装着し、CCDで取得した画像情報を外部に伝送して表示・記録する喉頭鏡システムが提案されている(特許文献1参照)。このようなCCDを有する喉頭鏡を採用すると、ファイバー内視鏡型の喉頭鏡と比較して解像度を大幅に向上させることが可能となる。
【特許文献1】国際公開第03/068056号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記した特許文献1に記載されたような従来の喉頭鏡は、画像を取得するための撮像ヘッドをブレードに装着(固定)し、この撮像ヘッドに接続されたケーブルをハンドルの長手方向に沿って延在させて配置した構造を有している。このような従来の喉頭鏡においては、ハンドルの端部にブレードの端部を剛接合し、ハンドルに対するブレードの相対的な位置を固定することにより、ケーブルに大きな引張力が作用すること等を防いでいた。
【0005】
しかし、前記した従来の喉頭鏡においては、ハンドルに対してブレードが所定の角度をなす状態(すなわち使用時の状態)でハンドルにブレードが固定されるため、非使用時(収納・保管時)に余分なスペースを要するという問題があった。また、このような従来の喉頭鏡は、前記したような使用時の状態から折り畳むことができないため、嵩張って持ち運び難いという問題があった。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、喉頭鏡の収納・保管用スペースの節減を図るとともに、喉頭鏡の携帯性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明に係る喉頭鏡は、把持可能な柱状のハンドルと、このハンドルに接続されるブレードと、を備え、ブレードが先端部から喉頭に挿入される喉頭鏡であって、ハンドルの一端部とブレードの根元部とを回動自在に接続する回動軸と、ハンドルとブレードとのなす角度が零度を上回る所定角度のときにハンドルに対するブレードの回動を阻止する回動阻止手段と、を備えるものである。
【0008】
かかる構成を採用すると、ハンドルに対してブレードを回動させることができ、かつ、ハンドルとブレードとのなす角度が零度を上回る所定角度のときにハンドルに対するブレードの回動を阻止する(すなわちハンドルに対してブレードを一時的に固定する)ことができる。従って、喉頭鏡の非使用時には、ハンドルとブレードとのなす角度が略零度になるまでハンドルに対してブレードを回動させて喉頭鏡を折り畳むことができるので、喉頭鏡の携帯性を向上させることができ、また、喉頭鏡の収納・保管スペースを節減することができる。一方、喉頭鏡の使用時には、ハンドルとブレードとのなす角度を所定角度(例えば略90度)にした状態で維持することができる。
【0009】
前記喉頭鏡において、画像情報を取得する撮像素子を有しブレードに設けられた装着部に着脱自在に装着される撮像部と、撮像部に接続され撮像素子で取得した画像情報を伝送する可撓性のケーブルと、を備えることができる。
【0010】
かかる構成を採用すると、ブレードの装着部に装着された撮像部の撮像素子(例えばCCD)を用いて、声帯や気管入口部付近の画像情報を取得することができ、この取得した画像情報を、ケーブルを介して外部に伝送することができる。撮像部はブレードに設けられた装着部に着脱自在となっており、ケーブルは可撓性を有しているため、ハンドルに対してブレードが回動した際に撮像部がブレードに引っ張られて破損したりケーブルが折損したりすることを防止することができる。
【0011】
また、前記喉頭鏡において、喉頭鏡が折り畳まれた状態にあるときにブレードの装着部から抜脱した状態となる一方、ハンドルとブレードとのなす角度が所定角度になるまでブレードを回動させたときにブレードの装着部に装着された状態となり所定方向を向くように姿勢が調整される撮像部を採用することが好ましい。
【0012】
かかる構成を採用すると、ハンドルとブレードとのなす角度が所定角度になるまでブレードを回動させる(すなわち折り畳まれた喉頭鏡を開いてハンドルに対してブレードを一時的に固定する)と、ブレードの装着部に撮像部が自動的に装着されて自動的に所定方向に向くこととなる。従って、折り畳まれた状態の喉頭鏡を開く操作を行うだけで、速やかに使用状態に移行させることができ、撮像部をブレードに装着する手間や撮像素子の方向調整を行う手間を省くことができる。
【0013】
また、前記喉頭鏡において、ハンドルの長手方向に沿って延在しかつハンドル側からブレードの根元部を経由してブレード先端部側へ延在するように配置されるとともに、先端部が撮像部に接続されるケーブルを採用することができる。かかる場合に、ケーブルのブレード根元部近傍部分を収納して支持することにより、ケーブルの先端部をブレードの先端部側に向けるようにケーブルをブレード根元部近傍部分で緩やかに湾曲させるケーブルパイプを採用することが好ましい。
【0014】
かかる構成を採用すると、ケーブルパイプでケーブルのブレード根元部近傍部分を収納して支持することにより、ケーブルを予め緩やかに湾曲させておくことができる。従って、使用状態(ハンドルとブレードとのなす角度を所定角度にした状態)にある喉頭鏡を折り畳む際に、ケーブルのブレード根元部近傍部分が大きな角度で屈曲して折損することを未然に防止することができる。
【0015】
また、前記喉頭鏡において、ケーブルの先端部近傍部分を当接させるケーブル当接部と、折り畳まれた喉頭鏡をケーブルの先端部近傍部分がケーブル当接部に当接しない状態で開いたときにケーブルをブレード根元部近傍部分で緩やかに湾曲させるケーブル案内部と、を有するブレードを採用することができる。
【0016】
かかる構成を採用すると、折り畳まれた喉頭鏡を、ケーブルの先端部近傍部分がケーブル当接部に当接しない状態(撮像部が装着部に装着されない状態)で開いたとき(ブレードをハンドルに対して回動させたとき)に、ケーブル案内部により、ケーブルをブレード根元部近傍部分で緩やかに湾曲させることができる。従って、ケーブル及び撮像部がブレードから外れた状態で喉頭鏡を開いた場合においても、ケーブルの折損を未然に防止することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、喉頭鏡の収納・保管用スペースを節減することができ、なおかつ、喉頭鏡の携帯性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る喉頭鏡について説明する。
【0019】
まず、図1〜図8を用いて、本実施形態に係る喉頭鏡1の構成について説明する。
【0020】
喉頭鏡1は、図1〜図7に示すように、把持可能な柱状のハンドル10と、ハンドル10に接続されるブレード20と、画像情報を取得するCCD(撮像素子)を有するCCDヘッド30と、CCDヘッド30に接続された可撓性のCCDケーブル40と、を備えている。
【0021】
ハンドル10は、略円柱形状を有しており、その内部には、CCDケーブル40を収納する空間が設けられている。ハンドル10の長手方向略中央部における外表面所定領域11には、気管挿管施行者が把持した際の滑り止めを実現させるメッシュ加工が施されている。ハンドル10の下端部には、図示されていない各種電子機器が収納される筐体12が接続されている。また、ハンドル10の上端部には、図2及び図3に示すように、ブレード20の根元部22を嵌め込む凹部13が設けられており、回動軸50を介してブレード20の根元部22がハンドル10の凹部13に回動自在に取り付けられている。図3に示すように、ハンドル10の凹部13の左右内側面には、後述する係止用球体60を嵌合させるための嵌合穴14が設けられている。
【0022】
ブレード20は、患者の口から喉頭に挿入される部分であり、図4及び図5に示すように、側面視で根元部22から先端部21になるに従って上方に凸になるように緩やかに湾曲した略円弧形状を有している。ブレード20の先端部21は、患者の口に最初に挿入される部分である。ブレード20の先端部21は、図1及び図4〜図7に示すように、患者の口に挿入し易いように正面視で上下方向に細く左右方向に所定長延在する細長い形状を有し、かつ、患者の喉頭を傷つけないように先端が若干丸みを帯びた形状を有している。ブレード20の根元部22は、ハンドル10の凹部13に嵌め込まれるような凸形状を有している。
【0023】
ブレード20の根元部22の左右外側面には、図3に示すように、穴部23が設けられ、これら穴部23の内部には、係止用球体60と、係止用球体60を外方に突出させるように付勢する弾性部材61と、が収納されている。係止用球体60は、弾性部材61の付勢力によりブレード20の根元部22からその一部が常時外方に突出するような状態で取り付けられている。
【0024】
そして、図2〜図5に示すように、ハンドル10とブレード20とのなす角度が所定角度(例えば略90度)のときに、ハンドル10の凹部13の嵌合穴14にブレード20の根元部22に設けられた係止用球体60が嵌合し、根元部22が凹部13に係止する。この結果、ハンドル10に対するブレード20の回動が阻止されることとなる。すなわち、ハンドル10の嵌合穴14と、ブレード20の根元部22に設けられた係止用球体60と、により、本発明における回動阻止手段が構成される。一方、ハンドル10とブレード20とが係止状態にあるときに、ブレード20を回動させるような力を作用させると、弾性部材61の付勢力に抗して係止用球体60が内側に押圧されて穴部23に収納され、係止用球体60が嵌合穴14から外れて、根元部22と凹部13との係止状態が解除される。この結果、ハンドル10に対するブレード20の回動が許容されることとなる(図9)。
【0025】
また、ブレード20は、図4及び図5に示すように、CCDケーブル40の一部を当接させて支持するケーブル当接部24を有している。ケーブル当接部24は、図2及び図3に示すように断面L字形状を有し、CCDケーブル40の先端部からハンドル10側へと所定長延在する部分の上部及び右側部を当接させて支持することにより、湾曲したCCDケーブル40の姿勢を維持させるものである。また、ブレード20は、CCDケーブル40の先端に取り付けられたCCDヘッド30を着脱自在に装着させるヘッド装着部25を有している。
【0026】
また、ブレード20は、折り畳まれた喉頭鏡1を、CCDケーブル40の先端部近傍部分がケーブル当接部24に当接しない状態(CCDヘッド30がヘッド装着部25に装着されない状態)で開いたときに、CCDケーブル40をブレード根元部近傍部分で緩やかに湾曲させるケーブル案内部26を有している。ケーブル案内部26は、図6に示すように、ケーブル当接部24の後方に設けられた滑らかな曲線部である。このようなケーブル案内部26を設けることなくCCDケーブル40がケーブル当接部24から外れた状態で喉頭鏡1を開くと、ケーブル当接部24の後方部分がCCDケーブル40に当接してCCDケーブル40が折損するおそれがある。これに対し、本実施形態においては、ケーブル当接部24の後方にケーブル案内部26が設けられているため、CCDケーブル40がケーブル当接部24から外れた状態で喉頭鏡1を開いた場合においても、ケーブル案内部26によりCCDケーブル40のブレード根元部近傍部分が緩やかに湾曲して、CCDケーブル40の先端部が左側方に案内されることとなる。
【0027】
CCDヘッド30は、CCDケーブル40の先端に取り付けられ、CCD(撮像素子)を有して患者の声帯や気管入口部の画像を取得するものであり、本発明における撮像部として機能する。CCDヘッド30は、ブレード20のヘッド装着部25に着脱自在に装着される。CCDヘッド30により取得された画像は、CCDケーブル40を経由して、外部の画像処理装置に伝送される。
【0028】
CCDヘッド30は、喉頭鏡1が折り畳まれた状態にあるとき(図9(C))に、ブレード20のヘッド装着部25から抜脱した状態となる。一方、CCDヘッド30は、折り畳まれた喉頭鏡1を開きハンドル10とブレード20とのなす角度が所定角度になるまでブレード20を回動させてハンドル10とブレード20とを係止状態にしたとき(図4及び図5)に、ブレード20のヘッド装着部25に装着された状態となる。また、CCDヘッド30は、ブレード20のヘッド装着部25に装着されたときに所定方向を向くように姿勢が調整されている。
【0029】
CCDケーブル40は、CCDヘッド30で取得した画像情報を伝送するものである。CCDケーブル40は、図4及び図5に示すように、ハンドル10の長手方向に沿って延在しかつハンドル10側からブレード20の根元部22を経由してブレード20の先端部21側へ延在するように配置されるとともに、その先端部がCCDヘッド30に接続されている。CCDケーブル40は、弾性を有する材料で構成されており、折曲すると元の形状に戻ろうとする力(復元力)が作用する。
【0030】
CCDケーブル40のブレード20の根元部近傍部分は、図4に示すように、ケーブルパイプ70によって収納され支持されている。ケーブルパイプ70は、CCDケーブル40の先端部(及びこれに接続されたCCDヘッド30)をブレード20の先端部21側に向けるように、CCDケーブル40をブレード20の根元部近傍部分で緩やかに湾曲させるものである。ケーブルパイプ70により、CCDケーブル40は、図8に示すように予め緩やかに湾曲した状態で支持される一方、ケーブルパイプ70より先端側にある部分を上下左右に曲げることができるようになっている。また、CCDケーブル40のハンドル10に沿った部分は、ハンドル10の内部に収納されている。
【0031】
次に、図9等を用いて、本実施形態に係る喉頭鏡1の動きについて説明する。
【0032】
喉頭鏡1を使用する際には、図1〜図7に示すように、ハンドル10とブレード20とのなす角度を所定角度に設定して、ハンドル10に対するブレード20の回動を阻止する。このとき、ハンドル10の凹部13の嵌合穴14にブレード20の根元部22に設けられた係止用球体60が嵌合し、ブレード20の根元部22がハンドル10の凹部13に係止している(図3参照)。このような使用状態においては、図4に示すように、CCDケーブル40がブレード20のケーブル当接部24に当接してその湾曲した姿勢が維持されるとともに、CCDヘッド30が所定方向を向くようにブレード20のヘッド装着部25に装着されている。
【0033】
このような使用状態から喉頭鏡1を折り畳むには、ブレード20を図4及び図9に示したR方向(折り畳む方向)に回動させるような力を作用させる。すると、ブレード20に設けられた係止用球体60がハンドル10の凹部13の内側面により内方に押圧されて穴部23に収納され、係止用球体60がハンドル10の嵌合穴14から外れて、ブレード20の根元部22とハンドル10の凹部13との係止状態が解除される。この結果、図9(A)に示すように、ハンドル10に対するブレード20の回動軸50を中心とした回動が許容されることとなる。このようにハンドル10とブレード20との係止状態が解除されると、図9(A)に示すようにCCDヘッド30がブレード20のヘッド装着部25から抜脱するが、CCDケーブル40はブレード20のケーブル当接部24に依然として当接している。
【0034】
ハンドル10とブレード20との係止状態を解除した後、図9(B)に示すように回動軸50を中心にブレード20をR方向にさらに回動させると、CCDヘッド30はブレード20のヘッド装着部25から徐々に遠ざかる。この際、CCDケーブル40はブレード20のケーブル当接部24に依然として当接している。その後、ブレード20の先端部21がハンドル10に当接するまで回動軸50を中心にブレード20をR方向に回動させることにより、図9(C)に示すように喉頭鏡1を折り畳むことができる。このように折り畳んだ状態においても、CCDケーブル40はブレード20のケーブル当接部24に依然として当接しているため、CCDケーブル40がその弾性により上方に跳ね上げられることがない。さらに、CCDヘッド30もまたケーブル当接部24に当接しているため、CCDケーブル40の弾性によるCCDヘッド30の前方への跳ね上げが抑制される。従って、CCDヘッド30に付着した体液の飛散を防ぐことが可能となる。
【0035】
一方、図9(C)に示すように折り畳んだ状態の喉頭鏡1を開いて使用状態にするには、ブレード20を図9に示したR方向(開く方向)に回動させるような力を作用させることにより、回動軸50を中心にブレード20をR方向に回動させる。この際、CCDケーブル40はブレード20のケーブル当接部24に当接したままとされ、CCDヘッド30はブレード20のヘッド装着部25に徐々に近づいていく。そして、図1〜図7に示すように、ハンドル10とブレード20とのなす角度が所定角度に到達すると、ハンドル10の凹部13の嵌合穴14にブレード20の根元部22に設けられた係止用球体60が嵌合し、ブレード20の根元部22がハンドル10の凹部13に係止する。この結果、ハンドル10に対するブレード20の回動が阻止される。また、ハンドル10とブレード20とのなす角度が所定角度に到達すると同時に、CCDヘッド30が所定方向を向くようにブレード20のヘッド装着部25に装着される。このように折り畳んだ状態の喉頭鏡1を開く際には、CCDケーブル40の復元力を利用してブレード20をR方向に自動的に回動させることができ、CCDケーブル40の復元力により最終的にCCDヘッド30をヘッド装着部25に装着させることができる。
【0036】
以上説明した実施形態に係る喉頭鏡1においては、ハンドル10に対してブレード20を回動させることができ、かつ、ハンドル10とブレード20とのなす角度が零度を上回る所定角度のときにハンドル10に対するブレード20の回動を阻止する(すなわちハンドル10に対してブレード20を一時的に固定する)ことができる。従って、喉頭鏡1の非使用時には、図9(C)に示すように、ハンドル10とブレード20とのなす角度が略零度になるまでハンドル10に対してブレード20を回動させて喉頭鏡1を折り畳むことができるので、喉頭鏡1の携帯性を向上させることができ、また、喉頭鏡1の収納・保管スペースを節減することができる。一方、喉頭鏡1の使用時には、ハンドル10とブレード20とのなす角度を所定角度にした状態で維持することができる。
【0037】
また、以上説明した実施形態に係る喉頭鏡1においては、ブレード20のヘッド装着部25に装着されたCCDヘッド30を用いて、声帯や気管入口部付近の画像情報を取得することができ、この取得した画像情報を、CCDケーブル40を介して外部に伝送することができる。CCDヘッド30はブレード20に設けられたヘッド装着部25に着脱自在となっており、CCDケーブル40は可撓性を有しているため、ハンドル10に対してブレード20が回動した際にCCDヘッド40がブレード20に引っ張られて破損したりCCDケーブル40が折損したりすることを防止することができる。
【0038】
また、以上説明した実施形態に係る喉頭鏡1においては、ハンドル10とブレード20とのなす角度が所定角度になるまでブレード20を回動させる(すなわち折り畳まれた喉頭鏡1を開いてハンドル10に対してブレード20を一時的に固定する)と、ブレード20のヘッド装着部25にCCDヘッド30が自動的に装着されて所定方向に向くこととなる。従って、折り畳まれた状態の喉頭鏡1を開く操作を行うだけで、速やかに使用状態に移行させることができるので、CCDヘッド30をブレード20に装着する手間やCCDヘッド30の方向調整を行う手間を省くことができる。
【0039】
また、以上説明した実施形態に係る喉頭鏡1においては、ケーブルパイプ70でCCDケーブル40のブレード根元部近傍部分を収納して支持し、CCDケーブル40を予め緩やかに湾曲させておくことができる。従って、使用状態(ハンドル10とブレード20とのなす角度を所定角度にした状態)にある喉頭鏡1を折り畳む際に、CCDケーブル40のブレード根元部近傍部分が大きな角度で屈曲して折損することを未然に防止することができる。
【0040】
また、以上説明した実施形態に係る喉頭鏡1においては、CCDケーブル40がブレード20のケーブル当接部24から外れたまま(CCDヘッド30がブレード20のヘッド装着部25に装着されないまま)折り畳んだ状態から開いたときに、ケーブル案内部26により、CCDケーブル40をブレード根元部近傍部分で緩やかに湾曲させることができる。従って、CCDケーブル40及びCCDヘッド30がブレード20から外れた状態で喉頭鏡1を開いた場合においても、CCDケーブル40の折損を未然に防止することができる。
【0041】
なお、以上の実施形態においては、ハンドル10の嵌合穴14と、ブレード20の根元部22に設けられた係止用球体60と、により、回動阻止手段を構成した例を示したが、回動阻止手段はこのような構成に限定されるものではない。すなわち、ハンドル10とブレード20とのなす角度が零度を上回る所定角度のときにハンドル10に対するブレード20の回動を阻止するような構成であれば、いかなる構成を回動阻止手段として採用してもよい。例えば、ハンドル10側に係止用球体を設け、ブレード20側に嵌合穴を設けることもできる。
【0042】
また、以上の実施形態においては、CCDケーブル40を左側方に緩やかに湾曲させるケーブル案内部26を採用した例を示したが、CCDケーブル40の折損を防止するように緩やかにCCDケーブル40を湾曲させるような構成(形状、構造)であれば、いかなる構成を採用してもよい。
【0043】
また、以上の実施形態においては、撮像素子として「CCD(Charge Coupled Device)」を採用した例を示したが、「CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)」を撮像素子として採用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施形態に係る喉頭鏡の正面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る喉頭鏡の背面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る喉頭鏡の一部断面図を含む背面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る喉頭鏡の左側面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る喉頭鏡の右側面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る喉頭鏡の平面図である。
【図7】本発明の実施形態に係る喉頭鏡の底面図である。
【図8】本発明の実施形態に係る喉頭鏡のケーブルの動きを示す説明図である。
【図9】本発明の実施形態に係る喉頭鏡のハンドルに対するブレードの動きを説明するためのものであり、(A)はハンドルとブレードとの係止状態を解除してブレードを折り畳む方向に若干回動させた状態を示す説明図、(B)は(A)の状態からブレードを同方向にさらに回動させた状態を示す説明図、(C)は(B)の状態からブレードを同方向にさらに回動させて喉頭鏡を折り畳んだ状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0045】
1…喉頭鏡、10…ハンドル、14…嵌合穴(回動阻止手段)、20…ブレード、21…ブレードの先端部、22…ブレードの根元部、24…ケーブル当接部、25…ヘッド装着部、26…ケーブル案内部、30…CCDヘッド(撮像部)、40…CCDケーブル、50…回動軸、60…係止用球体(回動阻止手段)、70…ケーブルパイプ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
把持可能な柱状のハンドルと、このハンドルに接続されるブレードと、を備え、前記ブレードが先端部から喉頭に挿入される喉頭鏡であって、
前記ハンドルの一端部と前記ブレードの根元部とを回動自在に接続する回動軸と、
前記ハンドルと前記ブレードとのなす角度が零度を上回る所定角度のときに前記ハンドルに対する前記ブレードの回動を阻止する回動阻止手段と、を備える、
喉頭鏡。
【請求項2】
画像情報を取得する撮像素子を有し前記ブレードに設けられた装着部に着脱自在に装着される撮像部と、
前記撮像部に接続され前記撮像素子で取得した画像情報を伝送する可撓性のケーブルと、を備える、
請求項1に記載の喉頭鏡。
【請求項3】
前記撮像部は、
前記喉頭鏡が折り畳まれた状態にあるときに前記ブレードの前記装着部から抜脱した状態となる一方、前記ハンドルと前記ブレードとのなす角度が前記所定角度になるまで前記ブレードを回動させたときに前記ブレードの前記装着部に装着された状態となり所定方向を向くように姿勢が調整されるものである、
請求項2に記載の喉頭鏡。
【請求項4】
前記ケーブルは、
前記ハンドルの長手方向に沿って延在しかつ前記ハンドル側から前記ブレードの根元部を経由して前記ブレード先端部側へ延在するように配置されるとともに、その先端部が前記撮像部に接続されるものであり、
前記ケーブルのブレード根元部近傍部分を収納して支持することにより、前記ケーブルの先端部を前記ブレードの先端部側に向けるように前記ケーブルをブレード根元部近傍部分で緩やかに湾曲させるケーブルパイプを備える、
請求項2又は3に記載の喉頭鏡。
【請求項5】
前記ブレードは、
前記ケーブルの先端部近傍部分を当接させるケーブル当接部と、
折り畳まれた前記喉頭鏡を前記ケーブルの先端部近傍部分が前記ケーブル当接部に当接しない状態で開いたときに前記ケーブルをブレード根元部近傍部分で緩やかに湾曲させるケーブル案内部と、
を有するものである、
請求項4に記載の喉頭鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−11424(P2009−11424A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−173882(P2007−173882)
【出願日】平成19年7月2日(2007.7.2)
【出願人】(502109050)ファイバーテック株式会社 (3)
【Fターム(参考)】