説明

喫食用容器を兼ねた包装袋

【課題】円滑な切り裂き力で容易に弱化線に沿った所定の切り裂きを行い、喫食用容器として使用する喫食用容器を兼ねた包装袋を提供すること。
【解決手段】左右両側端に設けられた縦シール部と上端に設けられた上横シール部を少なくとも備え、前記縦シール部の長さが前記上横シール部の長さより短くなく、充填された食品が自立状態で加熱されると共に、喫食用容器を兼ねる包装袋であって、
前記上横シール部の内側縁部を基準とした高さ1/3ないし2/3の位置に、左右両側端の前記縦シール部の間に亘って直線状に水平に延びる弱化線を設け、
前記縦シール部の少なくとも一方の内側縁部に、内側へ突出した突出シール部を、前記弱化線と交わるように設け、
前記縦シール部の他方の外側縁部に、前記弱化線に連結する切り裂き開始部を設け、
前記突出シール部の内側縁に、前記弱化線と交わるシール凹部を形成したことを特徴とする包装袋。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、喫食用容器を兼ねた包装袋、さらに詳しくは、電子レンジ等により加熱された包装袋中の充填物を、他の食器等に移すことなく、上記包装袋を充填物の表面より上位置で切断して浅くし、食器としても使用する喫食用を兼ねた包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
スタンディングパウチや平パウチ等の包装袋に充填された固形状食品や固液混合食品、乾燥食品等の充填物は、包装袋に充填したまま電子レンジ等で加熱し、加熱後の充填物を食器等に移して喫食することが一般的に行われている。
この包装袋は、加熱された充填物の熱膨張や水蒸気の発生による内圧上昇を回避して、包装袋の破袋を防ぐため、加熱前に開封又は通気用切り込みの切り開きを行っている。
加熱前の開封の位置又は通気用切り込みの切り開きの位置は、これらの開封部や切り開き部から充填物がこぼれることを恐れて、包装袋の極上方領域に決められることが一般的である。
【0003】
従来、加熱前に通気のための開封を容易に行うために、包装袋の開封所望位置に弱化線を設けることが行われている。弱化線とは、それ以外の部分と比較して引き裂き等が小さい力で容易に行うことができる小さな幅の線状の領域である。
【0004】
従来の弱化線に関する技術として、包装袋を構成するラミネート材料として、基材の片面に第1の樹脂層及び該第1の樹脂層よりも高い融点を有する第2の樹脂層を積層した積層フイルムを使用するとともに、第1、第2の樹脂層側に溝状の薄肉弱化部を設けることによって、直線状にかつ容易に開封することができるとともに、密閉性が保たれ、しかも製造が容易な易開封性包装袋が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
従来の他の弱化線に関する技術として、少なくとも外表面層及び/または中間層が分子配向された熱可塑性樹脂から成る積層体を重ね合わせ形成され且つ上方シート及び下方シートの線状引き裂き予定部が少なくとも部分的に弱化されている易引き裂き性包装袋において、前記線状引き裂き予定部の外表面樹脂層及び/または中間樹脂層が、引き裂き方向を横断する方向の幅が1mmよりも大きい範囲にわたって、前記横断方向に連続的に或いは前記横断方向に断続的に溶融弱化樹脂層を形成し、かつ前記線状引き裂き予定部の外表面樹脂層及び/または中間樹脂層がJIS K0068による水分含有量が0.1重量%以上の熱可塑性樹脂を該樹脂の発泡により弱化樹脂層とした易開封性包装袋が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
従来のさらに他の弱化線に関する技術として、表面基材層、中間層および熱接着性樹脂層が順次積層された積層体からなる包装袋の開封位置に、該中間層に連続した直線状の開封用切れ目が形成され、前記開封用切れ目の両端における前記包装袋の側端縁熱接着部の少なくとも一方にノッチが設けられた包装袋において、ノッチが前記開封用切れ目から離れた位置に設けられ、側端縁熱接着部に先端部が前記開封用切れ目に位置して前記側端縁熱接着部の外縁に対して「逆くの字」状の切れ目が前記積層体を貫通するように形成した包装袋が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−081341号公報
【特許文献2】特開2004−136980号公報
【特許文献3】特開2007−106497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これらの弱化線は、一方の側のヒートシール部の任意の高さ位置から始まり、水平に延び、他方の側のヒートシール部の同一の高さ位置に終わり、その高さ位置については、充填物のこぼれを最少にすること以外は特に考慮されていない。
【0009】
包装袋の両側縁の弱化線開始部には、切り欠き部が形成され、比較的容易に小さな把持力と引き裂き力によって弱化線の切り裂きを開始することができる。
一方、包装袋の両側の熱溶着されたヒートシール部は、それ以外の熱溶着されていない袋部分に比較して約2倍の厚さがあって、切り裂き強度も前記袋部分に比較して2倍近くである。従って、弱化線に沿った引き裂き線が終端のヒートシール部に到達したときに、開封者は、突然大きな抵抗力すなわち引っ掛かりを感じる。その結果、開封者は、充填物の多くを収容している弱化線より下の袋本体部を把持する指による把持力と、弱化線より上の袋頂部を把持する指による把持力を強め、引き裂き力を大きくしなければならない。
【0010】
上述した引き裂き線が終端近くのヒートシール部に到達したときの引き裂きに対して突然現れる大きな抵抗力や、その抵抗力を超越するためのより大きな引き裂き力は、弱化線より下の袋下部を押し潰して、充填物を溢れこぼすおそれが高い。電子レンジや熱湯等による加熱後に充填物を溢れこぼすようなことになれば火傷等の問題が発生することになる。
【0011】
さらに、上述した引き裂き線が終端のヒートシール部に到達したときの引き裂き力に対して突然現れる大きな抵抗力は、熱溶着されていない袋部分の表側のフィルム等の構成材料及び裏側のフィルム等の構成材料の切り裂き線が異なる高さ位置に到達したとき、さらに大きくなり、その弊害も大きくなる。
【0012】
(発明の目的)
本発明は、従来の包装体の引き裂き開封に関する上述した問題とともに、包装袋を喫食用容器としても使い勝手よく使用することができる包装袋に変化させることに鑑みてなされたものであって、包装袋の喫食用容器としての深さを考慮し、弱化線に沿った所定の切り裂きを行うことができる喫食用容器を兼ねた包装袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、
左右両側端に設けられた縦シール部と上端に設けられた上横シール部を少なくとも備え、前記縦シール部の長さが前記上横シール部の長さより短くなく、充填された食品が自立状態で加熱されると共に、喫食用容器を兼ねる包装袋であって、
前記上横シール部の内側縁部を基準とした高さ1/3ないし2/3の位置に、左右両側端の前記縦シール部の間に亘って直線状に水平に延びる弱化線を設け、
前記縦シール部の少なくとも一方の内側縁部に、内側へ突出した突出シール部を、前記弱化線と交わるように設け、
前記縦シール部の他方の外側縁部に、前記弱化線に連結する切り裂き開始部を設け、
前記突出シール部の内側縁に、前記弱化線と交わるシール凹部を形成したことを特徴とする包装袋である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の喫食用容器を兼ねた包装袋によれば、喫食用容器としての深さを考慮し、かつ円滑な切り裂き力で容易に弱化線に沿った所定の切り裂きを行うことができる、包装袋を構成することができる。すなわち、前記弱化線に沿った滑らかな所定の切り裂きによって喫食用容器とすることができるという効果を有する。
【0015】
また、前記弱化線の位置を包装袋の前記上横シール部の内側縁部を基準とした高さ位置1/3ないし2/3にすることにより、喫食用容器として適当な深さの包装袋とすることができ、食品の充填量も少な過ぎるということもなく、反対に多過ぎるということもない。
なお、充填された食品が自立状態で加熱されるとは、充填された食品を電子レンジで加熱する場合、熱水注入で加熱する場合等の方法を含むものであり、固形物食品や固液混合食品の加熱の場合は電子レンジで加熱するが、粉末食品(スープの素など)や乾燥食品(膨化米飯など)の加熱の場合は熱水注入で加熱する。
【0016】
(発明の実施態様)
請求項2に記載の実施形態においては、前記包装袋が、スタンディングパウチであることを特徴とする。簡易な構成の包装袋でありながら喫食用容器として使用できる利点がある。
【0017】
請求項3に記載の実施形態においては、前記包装袋が、スタンディングホルダーによって自立状態を維持する包装袋であることを特徴とする。スタンディングパウチばかりでなく平パウチであっても安全に加熱でき、かつ加熱された充填物の熱が手に伝わり難く使い勝手がよい喫食用容器として使用できる利点がある。
【0018】
請求項4に記載の実施形態においては、充填された食品が電子レンジで加熱される包装袋であって、前記突出シール部に、破袋防止貫通口を設けることを特徴とする。充填された食品を電子レンジで加熱する際には、加熱前に開封又は通気用切り込みを切り開くことを忘れた場合にも、内部の圧力を適時に逃がすことにより破袋を有効に防止することができる。
【0019】
請求項5に記載の実施形態においては、充填された食品が電子レンジで加熱される包装袋であって、前記突出シール部にまで至る破袋防止用切り欠きを有することを特徴とする。請求項5に記載の実施形態においてはまた、前記請求項4と同様に充填された食品を電子レンジで加熱する際には、前記請求項4と同様の効果が得られると共に、切り裂き開始部が破袋防止用切り欠きを兼ねるように構成できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1実施形態の包装袋の平面図である。
【図2】図1の突出シール部の拡大平面図である。
【図3】第2実施形態の包装袋の平面図である。
【図4】比較実験で使用した本発明の包装袋の平面図である。
【図5】比較実験で使用した本発明以外の包装袋の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明の実施の形態の包装袋を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態の包装袋)
第1実施形態の包装袋100は、図1に示すように、扁平状の包装袋からなるいわゆるスタンディングパウチである。
【0022】
包装袋100の材料は、特に限定されるものではないが、少なくとも基材フィルムとヒートシール性フィルムとを備えた積層体を使用する。
基材フィルムとしては、具体的には、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアラミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、フッ素系樹脂等がある。
これらの材料からなるプラスチックフィルムないしシートとしては、未延伸フィルム、あるいは一軸方向又は二軸方向に延伸した延伸フィルムのいずれも使用することができる。また、これらのフィルムを各種の方法で気体透過性を小さくしたものも使用できる。
【0023】
ヒートシール性フィルムとしては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテンポリマー、ポリエチレン又はポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等のフィルムないしシートを使用することができる。
包装袋100は、上述した積層体を使用し、その内層のヒートシール性樹脂層の面を対向させて折り重ねるか、又はそれらを重ね合わせ、その周縁端部をヒートシールしたものであり、袋状に構成される。
【0024】
また、中間層として用いられる基材フィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酸化珪素、酸化アルミニウム等の無機物の蒸着を施したフィルム、或いは紙、合成紙等がある。
【0025】
製袋方法としては、上記の積層体の内層面を対向させて折り重ね、又は二枚の積層体の内層面同士を重ね合わせ、さらにその外周の周縁端部を、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型等のヒートシール形態によりヒートシールして、本実施形態に係る複合容器(図示せず)を構成する種々の形態の軟包装袋(図示せず)を製造する。上記のヒートシールの方法は公知のものであり、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等が挙げられる。
【0026】
第1実施形態の包装袋100は、図1に示すように、左右両側端に設けられた縦シール部102と上端に設けられた上横シール部104を少なくとも備え、充填された食品が自立状態で加熱されると共に、喫食用容器を兼ねる包装袋であって、透明蒸着二軸延伸ポリエステル/二軸延伸ポリアミド/無延伸ポリプロピレンと示される積層構成である。包装袋100は、当該包装袋の外側面高さvが、当該包装袋の外側面横幅hと等しいか又はより長い。例えば、v=165mm、h=129mmである。縦シール部102の縦シール幅wは、上横シール部104の上横シールwと等しい。例えば、w=6mmである。
なお、縦シール幅wは4ないし8mmであることが好ましい。縦シール部の幅が4mmより小さい場合、充分なシール強度、すなわち厚生省告示第370号「食品、添加物等の規格基準」によってレトルト食品用包装袋に求められるシール強度2.3kg/15mm以上を得ることができないおそれがある。縦シール部の幅が8mmより大きい場合、包装袋として必要なシール強度を超え、不要なシール部を含むことになる。
【0027】
前記包装袋100には、前記上横シール部104の内側縁部を基準とした高さ1/3ないし2/3の位置に、左右両側端の前記縦シール部102の間に亘って直線状に水平に延びる弱化線132が設けられている。当該弱化線132には、後述するように弱化線132に沿って上記包装袋100を切断して、当該包装袋100を食器として使用できるようにする作用がある。
両側の縦シール部102の高さ方向中央部分には、包装袋100の内側へ突出した突出シール部110が形成されている。すなわち、当該突出シール部110は前記弱化線と交わるように設けられる。突出シール部110は、高さp、上辺ts、底辺bsの台形である。例えば、p=3mm、ts=20mm、bs=32mmである。
【0028】
突出シール部110のシール域内の、パウチ高さ方向下部に、図1及び2に示すように、貫通孔であるの破袋防止貫通口120を有する。破袋防止貫通口120の位置は、弱化線132よりやや下方の高さ位置であり、かつ縦シール部102の内側縁の延長線上にかかる位置、あるいは突出シール部110に更に入り込んだ位置である。なお、破袋防止貫通口の形状としては、前記したように円孔状のもの、十字状のもの、U字状のもの、あるいはそれらの変形のもの等を掲げることができる。
【0029】
包装袋100は、さらに、図1に示すように、上方切り込み130を有する。
上方切り込み130は、破袋防止のために、包装袋100の加熱に先立つ開封を行うためのものである。当該上方切り込み130は、V形以外に、U形、直線、あるいは円弧等の形状でもよい。
【0030】
包装袋100の使用方法は、電子レンジや熱水注入等による加熱に先立ち、上方切り込み130によって上方切り込み130から上方の一部又はすべてを切断して、包装袋100の上方の一部又はすべてを開封する。
その後、包装袋100内の充填物を電子レンジや熱水注入等によって加熱する。加熱によって充填物から発生する水蒸気は、上方切り込み130の切断によってできた開口部から包装袋100外へ放出される。
【0031】
電子レンジや熱水注入等による加熱のうち、電子レンジ加熱の場合、当該加熱に先立つ上方切り込み130による開封をまったく行うことなく加熱した場合、電子レンジ加熱が進むにつれて、充填固形食品等から水蒸気が発生して包装袋100内部が高圧になり、包装袋100が膨らむ。包装袋100の膨らみは、全体が球状又は球状に近い形になる。すなわち、図1の平面図において、包装袋100の中心部Cが最も厚さがあるようになる。
【0032】
この状態からさらに加熱が進むと、包装袋100はさらに大きく膨らむようになり、包装袋100に破裂あるいは貼り合わせ部の剥離を起こさせようとする力(以下、破袋力という)が、図1に中心部Cを中心とする点線150で示すように同心円状に波及する。
その結果、破袋力は、突出シール部110に最初に大きく作用し、突出シール部110が剥離する。突出シール部110の剥離が進むと、やがて剥離は破袋防止貫通口120に到達して通気が行われ、破袋のおそれはなくなる。この間、縦シール部の突出シール部110以外の部分は、中心部Cからの距離が突出シール部110より大きいから、縦シール部の突出シ―ル部110以外の部分に、縦シール部の突出シール部110に作用する破袋力より大きい破袋力が作用することはない。
【0033】
加熱終了後、弱化線132に沿って上記包装袋100を切断して、適切な深さになった当該包装袋100を食器として使用して、前記電子レンジや熱水注入等で加熱された充填物を喫食する。
弱化線132の両端部、すなわち縦シール部102の外縁には、当該弱化線132の切り始めを容易にするために、円弧形切り裂き開始部134が設けられている。
円弧形切り裂き開始部134の包装袋内側端すなわち円弧形の頂部は、縦シール部102の内側縁よりも包装袋外側にあるように決定される。前記円弧形切り裂き開始部134は、円弧形以外にU型、V形、あるいは直線等の形状であってもよいことは、前述の上方切り込み130の場合と同様である。
【0034】
突出シール部110の包装袋内側縁には、前記弱化線と交わるように熱溶着されていない凹部すなわち円弧凹み136が形成されている。
円弧凹み136は、他方側の円弧形切り裂き開始部134から始まった切れ目が、包装袋100の表フィルムと裏フィルムで異なった高さ位置で他方側の円弧凹み136に到達したときに、切れ目が円弧凹み136から円弧形切り裂き開始部134に進む間に、表裏で高さ位置が異なっていた切れ目を同一高さ位置にする作用を有する。
【0035】
(第2実施形態の包装袋)
第2実施形態の包装袋200は、図3に示すように、左右対称であって、第1実施形態の包装袋100と同一の構成については、第1実施形態の包装袋100と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0036】
包装袋内部の高さaが153mmの場合、上横シール部の内側縁部からa/3の距離、即ち上横シール部の内側縁部から51mmの位置に設けた弱化線232と交わるように両側の縦シール部202の内側縁部に、内側へ突出した突出シール部210が形成されている。突出シール部210は、高さp、上辺ts、底辺bsの台形である。例えば、p=3mm、ts=20mm、bs=32mmである。
突出シール部210の高さ方向中央部分に、図3に示すように、略v形の破袋防止用切り欠き234が形成されている。両側の破袋防止用切り欠き234は、切断開封を容易にするためのハーフカット線等の弱化線からなる切れ目232によって結ばれている。
【0037】
略v形の破袋防止用切り欠き234の深さは、少なくとも当該切り欠き234の頂部238が、縦シール部202の内側縁の延長線上にかかる位置であるように決定される。なお、破袋防止用切り欠き234は、略v形に限らずU型等であってもよい。
【0038】
(比較実験)
図4及び図5に示す実験包装袋は、透明蒸着二軸延伸ポリエステルと二軸延伸ポリアミドである基材フィルムと無延伸ポリプロピレンであるヒートシール性フィルムとを備えた積層体からなり、当該包装袋の外側面高さv=165mm、当該包装袋の外側面横幅h=129mm、縦シール部102の縦シール幅w=6mmの包装袋を使用して、切り込み及び円弧凹みの作用効果を確認するための比較実験を行った。
実験包装袋は、スタンディングパウチであって、幅34mmのガゼット部250を有する。
【0039】
両側の縦シール部102の高さ方向中央の突出シール部110は、高さp=3mm、上辺ts=20mm、底辺bs=32mmの台形である。縦シール部102の外側縁には,半径1.5mmの円弧状の切り込み252を設けた。
【0040】
第1実験包装袋300は、図4に示すように、半径3mmの半円弧の円弧凹み136を有する。第2実験包装袋400は、図5に示すように、円弧凹みを有せず、その他の構成は第1実験包装袋300と同一である。
【0041】
図4の第1実験包装袋300及び第2実験包装袋400には、調理済みのペンネとソースを160g充填し、レトルト処理を行った。電子レンジによる加熱に先立ち、縦シール部102の上方外側縁に設けた第1ノッチ260から通気用切り込みを作った。その後、第1実験包装袋300及び第2実験包装袋400は、共に紙製のスリーブに収納して電子レンジ内で600W出力で,1分間加熱され、以下の比較実験を行った。
比較実験(評価)を行ったのは、20歳代有識女性30名及び30歳代有識女性30名の合計60名である。実験者は、一方の側の切り込み252から弱化線132を経て他方の側の切り込み252までカットして、第1実験包装袋300及び第2実験包装袋400を喫食できる状態にした。このカットの評価は、以下の通りである。
【0042】
評価 第1実験包装袋300(本発明) 第2実験包装袋400
切り易い 12名(20.0%) 2名( 3.3%)
やや切り易い 25名(41.7%) 16名(26.7%)
どちらとも言えない 8名(13.3%) 9名(15.0%)
あまり切り易くない 12名(20.0%) 30名(50.0%)
切れ難い 3名( 5.0%) 3名( 5.0%)
【0043】
上記評価により、第1実験包装袋300(本発明)が第2実験包装袋400よりも切り易く、第1実験包装袋300(本発明)をより容易に喫食できる状態にすることができることが理解できる。
【0044】
(変形例)
本発明の包装袋の実施形態は左右対称であるが、本発明の包装袋は左右対称を必須としてはいない。本発明の包装袋は、突出シール部を一方の縦シールのみに設けても、本発明の包装袋の作用・効果を有効に得ることができる。
【符号の説明】
【0045】
100 包装袋
102 縦シール部
104 上横シール部
110 突出シール部
120 破袋防止貫通口
130 上方切り込み
132 弱化線
134 円弧形切り裂き開始部
136 円弧凹み

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右両側端に設けられた縦シール部と上端に設けられた上横シール部を少なくとも備え、前記縦シール部の長さが前記上横シール部の長さより短くなく、充填された食品が自立状態で加熱されると共に、喫食用容器を兼ねる包装袋であって、
前記上横シール部の内側縁部を基準とした高さ1/3ないし2/3の位置に、左右両側端の前記縦シール部の間に亘って直線状に水平に延びる弱化線を設け、
前記縦シール部の少なくとも一方の内側縁部に、内側へ突出した突出シール部を、前記弱化線と交わるように設け、
前記縦シール部の他方の外側縁部に、前記弱化線に連結する切り裂き開始部を設け、
前記突出シール部の内側縁に、前記弱化線と交わるシール凹部を形成したことを特徴とする包装袋。
【請求項2】
前記包装袋が、スタンディングパウチであることを特徴とする請求項1記載の包装袋。
【請求項3】
前記包装袋が、スタンディングホルダーによって自立状態を維持する包装袋であることを特徴とする請求項1記載の包装袋。
【請求項4】
充填された食品が電子レンジで加熱される包装袋であって、前記突出シール部に、破袋防止貫通口を設けることを特徴とする請求項1記載の包装袋。
【請求項5】
充填された食品が電子レンジで加熱される包装袋であって、前記切り裂き開始部が前記突出シール部にまで至ることで破袋防止用切り欠きの役割を兼ねることを特徴とする請求項1記載の包装袋。
【請求項6】
左右両側端に設けられた縦シール部と上端に設けられた上横シール部を少なくとも備え、前記縦シール部の長さが前記上横シール部の長さより短くない包装袋に、食品が充填されており、前記包装袋を自立させた状態で前記食品を加熱し、その後に該包装袋を喫食用容器として兼用する包装袋入り食品であって、
前記包装袋の前記上横シール部の内側縁部を基準とした高さ1/3ないし2/3の位置に、左右両側端の前記縦シール部の間に亘って直線状に水平に延びる弱化線を設け、
前記包装袋の前記縦シール部の少なくとも一方の内側縁部に、内側へ突出した突出シール部を、前記弱化線と交わるように設け、
前記包装袋の前記縦シール部の他方の外側縁部に、前記弱化線に連結する切り裂き開始部を設け、
前記包装袋の前記突出シール部の内側縁に、前記弱化線と交わるシール凹部を形成しており、
前記包装袋には、加熱後の前記食品の上面が前記弱化線より下であるように食品が充填されていることを特徴とする包装袋入り食品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−76743(P2012−76743A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−220545(P2010−220545)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【出願人】(000111487)ハウス食品株式会社 (262)
【Fターム(参考)】