説明

営業支援方法、営業支援システム及びコンピュータプログラム

【課題】事業者の営業活動の候補先である顧客を効率的に抽出して、営業店での営業活動を効率的に行えるようにする。
【解決手段】顧客8の所在地を特定する情報・識別情報及び担当営業店5の識別情報を含む顧客情報を格納する顧客DB10と顧客毎の取引情報を格納する取引DB11とを備えるホストコンピュータと4、営業店端末6とが通信ネットワークを介して接続されるコンピュータシステムで構成され、予め設定された所定の抽出条件に基づいて前記取引DB11から該当する取引情報を抽出する取引情報抽出部16と、抽出された取引情報に関連付けられた顧客識別情報に基づいて、その顧客の情報及び担当営業店5の識別情報を顧客DB10から検索する顧客情報検索部17と、検索された取引情報と顧客の所在地特定情報とを合成して営業支援マップ7を生成して出力する営業支援マップ生成部19とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、事業者の顧客の所在地を特定する情報・識別情報及びこの顧客担当の営業店の識別情報を含む顧客情報を格納する顧客データベース(DB)と顧客毎の取引情報を格納する取引データベース(DB)とを備えるホストコンピュータと、営業端末とが通信ネットワークを介して接続されるコンピュータシステムによって実行される営業支援方法、営業支援システム及びコンピュータシステムに営業支援方法を実行させるためのコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、種々の事業者の営業担当者が新規顧客の開拓、既存顧客の確保及び売上げ増のために、日常の営業活動を行っている。例えば、多数の営業店(支店)を有する金融機関では、情報管理センタのホストコンピュータ(勘定系システム)に日々格納される取引情報に基づいて営業の有力なターゲットとなる顧客を抽出し、この顧客の情報や取引情報を担当する営業店に毎日発信している。各営業店では、送信されてきた情報を担当エリアなどに従って営業担当者毎に振り分ける。各営業担当者は、振り分けられた顧客の所在地を視認できるよう地図に着色したりマークし、紹介する金融商品のパンフレット等と共に携帯して日々の営業活動を行っている。
【0003】
また、このような営業活動をより効率的に行うため、例えば、複数の顧客の住所(法人の所在地を含む)や顧客情報を営業担当者の携帯通信端末の地図上に表示したり(特許文献1)、複数の顧客について訪問回数や営業担当者を識別できるように地図画像上に異なる表示をしたり(特許文献2)、商品購入実績などの所定の条件で抽出した顧客を地図上に識別可能に表示すること(特許文献3〜5)などの種々の営業支援の仕組みが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−76834号公報
【特許文献2】特開2003−288469号公報
【特許文献3】特開2004−30563号公報
【特許文献4】特開2004−227531号公報
【特許文献5】特開2002−215879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の営業支援の仕組みは、顧客を絞り込む場合の条件を営業店が独自に決定していた。そのため、金融機関のように多数の営業店を保有する事業者の場合は、各営業店が営業ターゲットを絞り込むための最新の取引情報を保有する必要がある。顧客の取引情報は秘密性の高い個人情報であるため、金融機関内の専用回線を通じて送受信されるが、全ての取引情報を多数の営業店に送信するのは、時間的にもコスト的にも大きな負担となる。また、営業店側でも、ホストコンピュータから送られてきた取引情報を保管しておくための設備やセキュリティ対策が必要になる。
【0006】
一方、上記したように、金融機関ではホストコンピュータが各営業店毎に顧客を絞り込んで最小限の取引情報及び顧客情報だけを専用回線で送信するようにしている。しかし、営業店では、受け取った情報を紙に印刷して複数の営業担当者に振り分け、各営業担当者が独自に加工しているため、担当者や管理者の負荷が大きく、営業効率を向上させるための仕組みが要望されている。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、事業者の営業活動の候補先である顧客を効率的に抽出して、営業店での営業活動を効率的に行えるようにする営業支援方法、営業支援システム及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の第1の主要な観点によれば、金融機関の顧客情報を顧客IDに関連付けて管理する顧客DBと、前記顧客と当該金融機関との取引情報を、当該顧客DBに格納された顧客IDに関連付けて格納する取引DBと、当該金融機関の各営業店の担当エリアの定義を各営業店IDに関連付けて格納する営業店テーブルと、を有する営業支援システムにより実行される営業支援方法であって、前記顧客DBは、顧客が銀行に届け出た住所を含む個人情報のマスターデータと、この顧客を担当する担当営業店の識別情報と、顧客営業用訪問先所在地とその家形情報を電子地図上で表示するためのリンクコードとを格納するものであり、前記取引DBは、取引情報として金融商品の契約・解約若しくは契約内容の変更、融資の申込、口座の開設、所定額以上の口座への入出金、顧客情報の変更の届出、各種取引の見積もりの依頼、資料請求、当該顧客との折衝履歴の情報を、当該取引を行った営業店の営業店ID及び取引を行った顧客の顧客IDに関連付けて格納するものであり、前記営業支援システムは、各営業店に設けられた営業店端末と通信可能に接続されているものであり、この営業支援方法は、コンピュータが、何れかの営業店端末から入力若しくは選択された取引情報抽出条件に基づき、前記取引DBからこの抽出条件に合致する取引情報を特定する顧客取引情報抽出工程と、コンピュータが、前記抽出された取引情報に関連付けられた顧客IDに基づき、顧客DBから当該顧客の担当営業店を特定する担当営業店特定工程と、コンピュータが、前記抽出された取引情報に関連付けられた顧客IDに基づいて前記顧客DBから当該顧客のリンクコードを取り出し、前記取引情報と前記顧客営業用訪問先所在地とを合成して訪問先の家形と共に電子地図上に表示してなる営業支援マップを生成し前記ネットワークを介して担当営業店の営業店端末に配信する営業支援マップ生成工程と、コンピュータが、前記営業店端末から顧客営業用訪問先所在地の修正・追加の情報を受け付け、受け付けた追加/修正情報に基づいて前記顧客DBの各顧客に関連付けられた顧客情報のうち、(前記マスターデータは更新せずに)リンクコードのみを更新する顧客情報更新工程とを有することを特徴とする方法が提供される。
【0009】
この発明の第2の主要な観点によれば、金融機関の顧客情報を顧客IDに関連付けて管理する顧客DBと、前記顧客と当該金融機関との取引情報を、当該顧客DBに格納された顧客IDに関連付けて格納する取引DBと、当該金融機関の各営業店の担当エリアの定義を各営業店IDに関連付けて格納する営業店テーブルと、を有する営業支援システムであって、前記顧客DBは、顧客が銀行に届け出た住所を含む個人情報のマスターデータと、この顧客を担当する担当営業店の識別情報と、顧客営業用訪問先所在地とその家形情報を電子地図上で表示するためのリンクコードとを格納するものであり、前記取引DBは、取引情報として金融商品の契約・解約若しくは契約内容の変更、融資の申込、口座の開設、所定額以上の口座への入出金、顧客情報の変更の届出、各種取引の見積もりの依頼、資料請求、当該顧客との折衝履歴の情報を、当該取引を行った営業店の営業店ID及び取引を行った顧客の顧客IDに関連付けて格納するものであり、前記営業支援システムは、各営業店に設けられた営業店端末と通信可能に接続されているものであり、この営業支援システムは、コンピュータが、何れかの営業店端末から入力若しくは選択された取引情報抽出条件に基づき、前記取引DBからこの抽出条件に合致する取引情報を特定する顧客取引情報抽出手段と、コンピュータが、前記抽出された取引情報に関連付けられた顧客IDに基づき、顧客DBから当該顧客の担当営業店を特定する担当営業店特定手段と、コンピュータが、前記抽出された取引情報に関連付けられた顧客IDに基づいて前記顧客DBから当該顧客のリンクコードを取り出し、前記取引情報と前記顧客営業用訪問先所在地とを合成して訪問先の家形と共に電子地図上に表示してなる営業支援マップを生成し前記ネットワークを介して担当営業店の営業店端末に配信する営業支援マップ生成手段と、コンピュータが、前記営業店端末から顧客営業用訪問先所在地の修正・追加の情報を受け付け、受け付けた追加/修正情報に基づいて前記顧客DBの各顧客に関連付けられた顧客情報のうち、(前記マスターデータは更新せずに)リンクコードのみを更新する顧客情報更新手段とを有することを特徴とするシステムが提供される。
【0010】
この発明の第3の主要な観点によれば、金融機関の顧客情報を顧客IDに関連付けて管理する顧客DBと、前記顧客と当該金融機関との取引情報を、当該顧客DBに格納された顧客IDに関連付けて格納する取引DBと、当該金融機関の各営業店の担当エリアの定義を各営業店IDに関連付けて格納する営業店テーブルと、を有する営業支援システムにより実行されるコンピュータプログラムであって、前記顧客DBは、顧客が銀行に届け出た住所を含む個人情報のマスターデータと、この顧客を担当する担当営業店の識別情報と、顧客営業用訪問先所在地とその家形情報を電子地図上で表示するためのリンクコードとを格納するものであり、前記取引DBは、取引情報として金融商品の契約・解約若しくは契約内容の変更、融資の申込、口座の開設、所定額以上の口座への入出金、顧客情報の変更の届出、各種取引の見積もりの依頼、資料請求、当該顧客との折衝履歴の情報を、当該取引を行った営業店の営業店ID及び取引を行った顧客の顧客IDに関連付けて格納するものであり、前記営業支援システムは、各営業店に設けられた営業店端末と通信可能に接続されているものであり、このコンピュータプログラムは、コンピュータが、何れかの営業店端末から入力若しくは選択された取引情報抽出条件に基づき、前記取引DBからこの抽出条件に合致する取引情報を特定させる顧客取引情報抽出指令と、コンピュータが、前記抽出された取引情報に関連付けられた顧客IDに基づき、顧客DBから当該顧客の担当営業店を特定させる担当営業店特定指令と、コンピュータが、前記抽出された取引情報に関連付けられた顧客IDに基づいて前記顧客DBから当該顧客のリンクコードを取り出し、前記取引情報と前記顧客営業用訪問先所在地とを合成して訪問先の家形と共に電子地図上に表示してなる営業支援マップを生成し前記ネットワークを介して担当営業店の営業店端末に配信させる営業支援マップ生成指令と、コンピュータが、前記営業店端末から顧客営業用訪問先所在地の修正・追加の情報を受け付け、受け付けた追加/修正情報に基づいて前記顧客DBの各顧客に関連付けられた顧客情報のうち、(前記マスターデータは更新せずに)リンクコードのみを更新させる顧客情報更新指令とを有することを特徴とするコンピュータプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、所定の条件で抽出された取引情報と顧客所在地とを合成して担当営業店毎に営業支援用ドキュメントを生成するようにしたので、各営業店サイドで取引情報等に従って個別に営業対象の顧客を抽出、選択する必要がない。これにより、事業者の営業活動の候補先である顧客を効率的に抽出して、営業店での営業活動を効率的に行えるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係る営業支援システムの概要を説明するネットワーク構成図及び機能ブロック図である。
【図2】図2は、複数のレイヤーと営業支援マップの一例を示す図である。
【図3】図3は、顧客情報及び取引情報のポップアップ画面の一例を示す図である。
【図4】図4は、表示レイヤーの選択画面の例を示す図である。
【図5】図5は、本発明の処理工程を示すフローチャートである。
【図6】図6は、本発明の第2の実施形態に係る営業支援システムの概要を説明するネットワーク構成図及び機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を銀行などの金融機関に適用した実施の形態を図面に基づき説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係る営業支援システムの概要を示すネットワーク構成図および機能ブロック図である。この図において符号1で示す営業支援システムは、金融機関2の情報管理センタ3に設置されたホストコンピュータ4と、複数の営業店5、5に夫々設置される営業店端末6、6とが行内の専用回線(通信ネットワーク)を介して接続されて構成される。このホストコンピュータ4は、従来周知の勘定系システムや情報系システム、分析用サーバ、データベースサーバなどと称される1又は2以上のコンピュータシステム、若しくは専用のコンピュータシステムによって構成される。なお、営業店5には本店や支店、出張所なども含む。
【0015】
各営業店5には複数の営業担当者が在籍し、営業支援システム1によって作成された後述の営業支援マップ7を活用して担当する顧客8a、8b...に対して種々の営業活動を行う。ここで、図1で複数の顧客8a、8b...を囲む枠は営業店5の担当エリアを示し、営業店5、5から延びる矢印は営業店5の担当顧客であることを示す。この例の顧客8cは、営業店Bの担当エリアに所在地(住所等)を有するが、現在は営業店Aが担当する顧客である。担当エリアは、行政区画などの他、金融機関2や各営業店5、複数の営業店を統括するエリア管理者などが任意に設定する。ここで、顧客8には、金融機関2の何れかの営業店5との取引経験がある既存顧客と、取引経験がない潜在顧客とが含まれる。潜在顧客については、外部情報等に基づいてその顧客8を抽出した営業店5や本店、担当未定を示す架空営業店等が担当営業店として登録される。
【0016】
ホストコンピュータ4は、図示しないCPU、RAM、HDDやROMなどの記憶装置、マウスやキーボードなどの入力装置、LEDディスプレイやプリンタなどの出力装置、モデムなどの通信デバイス及び各種ドライブが通信バスで接続された周知の物理構成を備えている。記憶装置は、図1に示すように、顧客データベース(DB)10、取引情報データベース(DB)11、地図データ格納部12、後述する営業支援マップ生成部19が生成した営業支援マップ7を格納する営業支援マップ格納部13、営業店テーブル14及びプログラム格納部15を備えている。
【0017】
顧客DB10は、近年、各種の事業者で導入が進められている統合顧客データベースファイル(MCIF:Marketing Customer Information File)であり、顧客8の所在地を特定する情報や氏名などの個人情報のマスターデータ及びこの顧客担当の営業店5の識別情報(営業店コード)を含む顧客情報を一意の顧客識別情報(ID)に関連付けて格納するものである。ここで、所在地特定情報には、顧客から届け出のあった住所(マスターデータ)や、営業担当者が顧客を訪問した際に入手した住所以外の顧客の連絡先(勤務先、居所など)に基づいて電子地図上で特定されるリンクコード(家形情報等)等が含まれる。このリンクコードには例えば顧客IDが紐付けられており、後述するように、電子地図上で顧客所在地を特定することができる。なお、このリンクコードは、本発明の営業支援システム用に使用される情報であり、他の処理(各種発送書類の印刷等)には前記マスターデータが参照される。
【0018】
また、本実施形態では、各営業店5の営業担当者がその顧客8を訪問した日付や営業活動の内容、訪問予定日などの訪問履歴情報をこの営業担当者の社員コード(識別情報)若しくはこの営業担当者が在籍する営業店5のコードに関連付けて格納する。これにより、各営業担当者の営業活動予定表を立案・変更したり、営業候補先を抽出することがより容易になる。
【0019】
取引DB11は、一般に、勘定系元帳と称され、顧客毎の日々の取引情報を顧客担当営業店5や取引を担当した営業店5のコード(識別情報)、取引日時、取引種別コード、取引額等を1取引1レコードとして格納するものである。なお、既存の勘定系システムから営業支援に必要なデータだけを抽出して取引DB11を生成するようにしてもよい。
【0020】
地図データ格納部12は、図示しない外部のベンダーからベクトル形式やビットマップ形式等で作成されたデジタルマップデータ(住宅地図情報)を導入して格納するものである。この地図データは、ベンダーから最新のものが随時提供され、都度更新される。
【0021】
営業店テーブル14は、各営業店5の担当エリアの住所情報(都道府県名、市町村名、町名の各コードや郵便番号等)や各営業店5毎の抽出条件及びその種別コードを営業店コードと共に格納するものである。本実施形態では、後述するように、各営業店5が特定の抽出条件に限定したり、独自の抽出条件を追加することができるようにしているため、抽出条件及びその種別コードを全ての営業店5の営業店コードに関連付けて登録しておく。
【0022】
プログラム格納部15には、本発明の機能を実現するコンピュータソフトウェアプログラムが格納されている。金融機関2(情報管理センタ3)のオペレータがマウスやキーボードなどの入力装置を操作して各種の指令(コマンド)を入力することで、このソフトウェアプログラムがCPUによってRAM上に呼び出されて実行されることで、ホストコンピュータ4のOS(オペレーションシステム)と協働してこの発明の機能を奏するようになっている。
【0023】
具体的には、このコンピュータソフトウェアプログラムは、図示しないメインプログラムの他、取引情報抽出部16(抽出条件選択受付部及び第2の抽出条件受付部)、顧客情報検索部17、営業店特定部18、営業支援マップ生成部19(ドキュメント出力手段)、顧客情報更新処理部20(顧客情報更新受付部、顧客情報更新部)及び外部から送信・伝達された各種のデータをHDDなどの記憶装置(各DBや格納部10〜13)に格納・更新するデータ登録部21を備えている。
【0024】
取引情報抽出部16は、予め設定されたデフォルトの抽出条件及び前記営業店テーブル14を参照して、特定の営業店5のコードに関連付けられた追加の抽出条件に基づいて前記取引DB11から該当する取引情報を抽出するものである。例えば、既存顧客については、何れかの営業店5との間で行った金融商品の契約・解約若しくは契約内容の変更、融資の申込、口座の開設、所定額以上の口座への入出金、顧客情報の変更の届出、各種取引の見積もりの依頼、資料請求、何れかの営業店5が当該顧客と折衝した履歴情報など、の少なくとも何れかを条件として該当する取引情報を抽出する。取引情報の抽出自体は従来から行われた検索手法を採用できる。また、潜在顧客については、各種取引の見積もりの依頼、資料請求、何れかの営業店5が当該顧客と折衝した履歴情報など、の少なくとも何れかを条件として該当する取引情報を抽出する。なお、特定の営業店5が追加した条件は、当該営業店5が担当する顧客8若しくは担当エリアに所在地を有する顧客8に限定して、その取引情報を抽出するようにするのが好ましい。これにより、迅速な処理が可能になると共に、この取引情報が誤って他の営業店5に配信された場合でも顧客情報に基づいて瞬時に識別可能になる。
【0025】
本実施形態の取引情報抽出部16は、何れかの営業店端末6から、デフォルトで設定された複数の取引情報抽出条件から1又は2以上の抽出条件の選択や、デフォルトの抽出条件と異なる第2の抽出条件を専用回線を通じて受け付けた場合に、これらの抽出条件の種別コードを営業店5又は営業店端末6の識別情報(コード)に関連付けて前記営業店テーブル14に登録する機能も有する。
【0026】
デフォルト設定されている複数の抽出条件の中には、特定の営業店5にとってほとんど不要な抽出条件もあり、一方で、特定の営業店5では担当エリアの特性により、独自の抽出条件を設定したい場合が少なくない。例えば、商業地区を担当する営業店では、「高額納税者」のような個人の所在地を基準にする抽出条件は馴染まない。一方で、例えば、新興住宅地や若年層向けの賃貸集合住宅が密集する地域や、富裕者層が多く居住する住宅地等を担当する営業店では、「新規口座開設先」や「投資信託未取引先」等の条件で顧客を抽出したい場合がある。これを、営業店サイドで独自に取引情報等を蓄積して抽出するのは営業店のコンピュータシステムやオペレータへの負荷が大きく高コストになるため、ホストコンピュータで一括処理させるのが好ましい。
【0027】
顧客情報検索部17は、抽出された取引情報に関連付けられた顧客IDに基づいて、その顧客8の所在地などの基礎情報や担当営業店5のコードを前記顧客DB10から検索するものである。ここで、顧客情報検索部17は、顧客DB10の訪問履歴情報を参照して前回訪問日から所定期間以上経過している顧客8を特定する機能も有する。この未訪問先顧客の情報も取引情報として担当営業店の端末6に配信される。これにより、抽出された取引情報に未訪問先情報を加えることができ、重点営業先の絞込みに有益な情報を提供できる。
【0028】
また、本実施形態の顧客情報検索部17は、前記取引DB11から、所定期間内(直近6ヶ月以内等)の取引量(取引件数及び取引額)を顧客毎に集計する機能と、集計された取引量が所定値以上の顧客を抽出する機能とを備えている。抽出条件となる「所定値」としては、例えば、6ヶ月間に入金、出金若しくは振込みが100件以上、入金合計額が1000万円以上、などが考えられる。
【0029】
さらに、本実施形態の顧客情報検索部17は、顧客DB10を参照して、前記抽出された取引情報に係る顧客8の営業担当者が特定の者である場合に、その取引情報を他の取引情報と識別する情報(フラグや通常とは異なる取引識別コード等)を含ませるようにしている。例えば、営業成績や経験年数、役職などを考慮して、各営業店で特定の営業担当者に担当させたい/担当させたくない顧客の属性を登録できるようにしておき、このような顧客が抽出された場合には、担当営業店で瞬時に視認できるようにしておくのが営業効率の面で好ましい。
【0030】
営業店特定部18は、前記顧客情報検索部17が検索した営業候補先の顧客8(特定の取引を行った顧客、未訪問先の顧客及び取引量が多い顧客)について、顧客DB10を参照して担当営業店5を特定するものである。このように特定された営業店5に対して、営業支援マップ7が配信される。
【0031】
ここで、営業店特定部18は、営業候補先の顧客8が所定期間内(過去6ヶ月間等)に行った取引の量(件数、金額及びそれらの比率等)を集計して、取引の処理量が設定値以上の他の営業店5を特定する機能も有する。「設定値」としては、6ヶ月間の取引処理件数が100件、取引処理金額の合計が1000万円、若しくは取引件数100件以上の顧客について処理件数の比率が80%、などが設定される。
【0032】
例えば、顧客8が自宅付近の営業店5で口座を開設したが、入出金などの取引は勤務先の他の営業店5で行う場合や、引越しによって当初の担当営業店5では取引を行わなくなる場合がある。このような顧客8を営業候補先として抽出した場合に、口座を管理する担当営業店5とは別に、その顧客8との取引量が多い他の営業店5にも取引情報等を提供するのが好ましい。そこで、本実施形態では、取引情報から特定の顧客8を抽出した後に、その顧客8の取引履歴から取引量が多い他の営業店5を検索することにした。このようにして検索した他の営業店5にも、後述するようにこの顧客8の取引情報を取り込んだ営業支援マップ7が配信される。なお、特定する他の営業店5は1店に限定されず、営業担当として適当と思われる場合は、2以上の「他の営業店」を検索するようにしてもよい。
【0033】
また、この営業店特定部18は、担当営業店コードに基づいて前記営業店テーブル14を参照してこの営業店5の担当エリアを特定し、顧客8の所在地がこの担当エリアに含まれるかを判別する機能も有する。担当エリア外である場合は(図1の顧客8c)、前記営業店テーブル14からこの顧客8の所在地を担当エリアに含む他の営業店5を検索し、当該他の営業店5の端末6にも顧客情報及び取引情報を配信する。このような、担当エリアや上記した取引量に基づいて担当営業店以外の他の営業店を抽出することで、営業担当としてより適切な営業店を抽出でき、営業効率を一層向上させることができる。
【0034】
営業支援マップ生成部19は、前記顧客DB10や取引DB11に格納された顧客8の取引情報及び所在地特定情報(本実施形態では前記リンクコード)と、前記地図データ格納部12から取得したその所在地が含まれる地域のデジタルマップデータとを合成して営業支援マップ7(営業支援用ドキュメント)を生成すると共に、後述する顧客基礎情報表示画面(図3参照)を生成して行内専用回線を介して関連する営業店5に配信するものである。配信方法としては、電子メールに添付して送信したり、FTPサーバにアップロードする他、従来のような紙に印刷してFAXや郵送で送付してもよい。
【0035】
この営業支援マップ生成部19は、具体的には、図2(A)〜(C)に示すように、顧客所在地の座標上に当該顧客の複数の抽出条件に夫々対応したハッチングで視覚的に表示した画像形式のレイヤーa〜cを生成し、これらのレイヤーa〜cを前記デジタルマップデータ上に重ねることで図2(D)に示す営業支援マップ7を生成する。一例として、レイヤーaは直近1週間以内に500万円以上の大口入金先の顧客、レイヤーbは6ヶ月以上の未訪問先の顧客、レイヤーcは外貨預金保有先の顧客、を夫々示している。これにより、どの顧客がどの条件で抽出されたかを容易に視認できる。このようにして作成された営業支援マップ7を各営業店の端末6を介して、若しくは営業担当者の携帯端末9に直接送信することで、効率的な営業スケジュールを立案したり、営業先で容易に顧客情報や取引情報を確認できる。
【0036】
なお、図2では、理解を容易にするために、道路を一点鎖線で示し、全ての建造物を破線で示しているが、実際は抽出条件に合致する顧客所在地の位置だけがハッチングで表示される。マンションやアパート、オフィスビルなどの複数の人(自然人・法人)が入居している建造物では、建造物全体がハッチング表示されるが、その建物の位置にポインタを合わせてクリックすることでその建物に所在地を有する複数の対象顧客のリストをポップアップ画面で表示したりプルダウンメニューを表示して、図3の顧客基礎情報を表示させる顧客を営業店端末6や営業担当者の携帯端末9から選択させるのが好ましい。
【0037】
また、本実施形態では、複数の取引情報毎に生成された複数のレイヤーa、b・・・nのうち、ホストコンピュータ4や営業店端末6の入力手段で選択入力された1又は2以上の抽出条件に係る取引情報のレイヤーを前記電子地図データ上に重ねることで営業支援マップ7を生成するようにしている。具体的には、営業店端末6やホストコンピュータ4のディスプレイ(出力手段)に図4に示す「表示レイヤー選択画面」を表示させ、この画面のチェックボックスにチェックされたレイヤーだけを地図データと合成できるようにしている。ここで、レイヤー番号が数字のものは、ホストコンピュータ4でデフォルト設定された画一的な抽出条件に係るレイヤーを示し、レイヤー番号が欧文字(A、B)のものは特定の営業店5が独自に設定した抽出条件に係るレイヤーを示す。
【0038】
この複数のレイヤーは、営業支援マップ格納部13の記憶エリアとのリンクが設定されており、営業支援マップ7でハッチング表示された顧客位置にポインタを合わせてクリックすると、図3に示す基礎情報参照画面が所定のレイアウトで生成され、ポップアップ表示される。この例では、顧客の氏名・所在地・職業などの顧客基本情報40、担当営業店や営業担当者の情報41、直近の取引情報42、営業担当者の訪問履歴43、これらの情報の中から選択された営業活動に関連するトピックスや定型のメッセージ44が表示される。トピックスの例としては、この顧客を抽出した条件となった取引情報(300万円以上の入出金、未訪問期間等)の他、顧客DB10に保有されているその他の営業上の情報が表示される。
【0039】
また、この顧客基礎情報表示画面から前記営業支援マップ7を参照できるように「地図表示」のボタン50も用意されている。なお、抽出された顧客名や所在地、取引情報のトピックスなどのインデックスを視覚的にリスト表示したドキュメントファイルを作成し、このファイル中に記憶装置の記憶エリアとリンクさせた「地図表示」や「詳細情報表示」などのボタンを設定したり、文字列等にリンクを設定して相互に参照表示可能にしてもよい。
【0040】
さらに、前記基礎情報表示画面には、顧客を訪問した営業担当者が、顧客情報を更新するためのボタン51が設定される。基礎情報表示画面を表示させた営業店端末6を見て営業担当者がこのボタン51がクリックすると、営業店端末6の後述する顧客情報更新依頼部26が起動して、図示しない顧客情報更新画面に遷移して顧客情報の追加/修正の入力を受け付ける。入力された情報は、顧客情報更新依頼部26によってホストコンピュータ4に送信される。
【0041】
顧客情報更新処理部20は、顧客8を訪問した営業担当者が営業店端末6若しくは携帯端末9に顧客情報の追加/修正情報を入力し顧客情報の更新を依頼してきた場合に、この営業店端末6等から行内専用回線を通じて対象となる顧客のIDと追加/修正情報を取得し、顧客DB10を更新するものである。例えば、顧客の住所等が郵便物は届くが正確ではない場合に(部屋番号や建物名の未登録又は相違、番地の下一桁の相違等)、訪問した営業担当者が現場で確認して正確な情報に更新するのが好ましい。
【0042】
ここで、顧客DB10に登録されている所在地特定情報のマスターデータは、顧客から届出のあった顧客の個人情報そのものであるため、金融機関2の判断で修正等するのは好ましくない。一方で、営業活動においては、顧客の実情に合致した情報が必要になるため、随時最新の情報、正確な情報に更新するのが好ましい。そこで、追加・修正情報を取得したホストコンピュータ4は、顧客DB10のマスターデータは更新せずに、前記リンクコードのフィールドだけ更新するようにした。
【0043】
営業店端末6は、各営業店5に少なくとも1台以上設置される汎用のコンピュータ(営業店サーバ)であり、図示しないCPU、RAM、HDDやROMなどの記憶装置、入力装置、出力装置、通信デバイス及び各種ドライブが通信バスで接続された周知の物理構成を備えている。この営業店端末6は、営業店6が担当する顧客の基礎情報を格納するデータベース22を備えていると共に、ホストコンピュータ4から定期的に送信されてくる営業支援マップ7を各営業担当者の端末9や図示しないプリンタに出力する機能を備えている。営業担当者の携帯端末9に営業支援マップ7を転送する場合には、営業担当者は外出先でも顧客情報や取引情報をポップアップ画面(図3参照)で確認することができる。
【0044】
この営業店端末6は、営業担当者が保有する携帯端末9に代替可能である。すなわち、この携帯端末9の通信機能を利用してホストコンピュータ4から直接営業支援マップ7や顧客情報を受信するようにしてもよい。営業店5や端末9の数が多くない場合には、このような集中処理が効率的である。また、営業店5が予め詳細な抽出条件を設定したり、少数の抽出条件に絞り込んで(選択して)おくことが容易になるため、営業活動を全国一律の画一的なものでなく、営業店の担当エリアの属性・特性・イベント等に応じてフレキシブルに行うことができる。この場合には、営業担当者IDや携帯端末9のIDに基づいて営業支援マップ7を個別に生成して各担当者(携帯端末9)等に送信するのが好ましい。
【0045】
また、所定のセキュリティ対策を講じた上で外出先から公衆回線を通じて営業店端末6やホストコンピュータ4に携帯端末9が接続できるように構成してもよい。これにより、営業担当者に最新の営業情報や追加情報を提供したり、顧客情報や取引情報を携帯端末9にリアルタイムで送信できるようになる。
【0046】
以下、この実施形態の詳細な機能を実際の動作と共に、図5のフローチャートを参照して説明する。
この実施形態の処理工程は、前記取引情報抽出部16が行う取引データの抽出(ステップS1)と、前記顧客情報検索部17が行う営業候補先となる顧客の特定(ステップS2)と、前記営業店特定部18が行う営業担当候補となる営業店の特定(ステップS3)と、前記営業支援マップ生成部27が行う営業支援マップ7の生成及び営業担当候補となる営業店への配信(ステップS4)とに大別される。以下、各処理工程について説明する。
【0047】
まず、取引データの抽出処理(ステップS1)においては、営業時間外(夜間等)の所定時刻が到来すると、前記取引情報抽出部16が起動して予め設定された複数の抽出条件に従って取引DB11から取引情報の抽出を開始する(ステップS1−1、S1−2)。この場合の抽出条件には、デフォルトで設定された全国一律の条件と、特定の営業店5が追加設定した条件の両方が含まれる。追加設定された条件によって抽出された取引情報については、当該営業店5のコードが関連付けられる。全ての条件で取引情報の抽出が完了すると(ステップS1−2のNo)、顧客情報の特定処理に移行する。
【0048】
顧客情報の特定処理(ステップS2)においては、顧客情報検索部17が、抽出された全ての取引情報について顧客IDを特定する(ステップS2−1)。また、直近6ヶ月間の全ての取引情報について顧客毎の取引件数及び取引金額(取引量)を集計し(ステップS2−2)、取引件数及び取引金額の何れかが所定値以上に達した顧客を特定する(ステップS2−3)。前記取引情報の抽出条件を満たすような目立つ取引は行っていなくても、一定期間の取引量が多い顧客も有力な営業先候補となる。さらに、前記顧客情報DB11の訪問履歴フィールドを参照して、所定期間以上訪問していない顧客も抽出する(ステップS2−4)。
【0049】
このようにして特定された営業候補先の顧客8について、次のステップS3において、営業担当候補となる営業店5を特定する。この処理工程では、まず、営業店特定部18が、前記特定された全ての顧客8について、顧客DB10に登録されている担当営業店Aのコードを検索する(ステップS3−1)。
【0050】
ここで、検索された担当営業店Aの営業店コードに基づいて営業店テーブル14を参照してこの営業担当エリアを特定すると共に、顧客IDに基づいて顧客DB10を参照して顧客所在地を特定し、両者を比較する(ステップS3−2)。顧客所在地が担当営業店の担当エリア外である場合は(ステップS3−2のNo)、営業店特定部18が営業店テーブル14の担当エリア情報を参照して、顧客所在地を担当エリアに含む他の営業店Bを検索する(ステップS3−3)。
【0051】
さらに、前記ステップS2で特定された全ての顧客について所定期間(直近6ヶ月間等)の取引情報を集計し、これらの顧客の取引を処理した件数若しくは処理比率が上位の営業店Cを特定する(ステップS3−4)。なお、集計期間や上位抽出の基準(何件以上、何%以上等)は適宜調整できる。
【0052】
以上のようにして特定された全ての営業店A、B、Cを各顧客に対する営業担当候補として前記顧客DB10に登録(更新)する(ステップS3−5)。
【0053】
次いで、前記営業支援マップ生成部19が起動し、各営業店(A〜C)に配信する営業支援マップを生成する(ステップS4)。すなわち、営業支援マップ生成部19は、営業候補先として特定された全ての顧客の所在地が含まれるエリアの地図データを前記地図データ格納部12から読み出してメモリに一時的に格納しておく(ステップS4−1)。次いで、複数の抽出条件毎に画像形式のレイヤー(図2(A)〜(C)参照)を夫々生成し(ステップS4−2)、前記読み出した地図データと合成して営業支援マップ7を作成する(ステップS4−3)。この営業支援マップ7は、前記ステップS3で特定された営業担当候補の全ての営業店A〜Cに行内の専用回線を介して配信される(ステップS4−4)。営業店A〜Cに配信された営業支援マップ7は、営業用の携帯端末9に転送されたり、プリンタで紙に印刷される。
【0054】
上記したS1〜S4までの各処理の一部又は全部は、ホストコンピュータ4が夜間などの営業時間外にバッチ処理で実行する。なお、情報処理量やホストコンピュータの処理能力、行内専用回線の通信速度などによっては、営業時間内にリアルタイムで処理することも可能である。また、バッチ処理を基本とし、営業店から指示があった場合に、当該営業店から選択された抽出条件に従って最新の取引情報に基づく営業候補先の顧客をリアルタイムで抽出して営業支援マップを配信するようにしてもよい。
【0055】
(第2の実施形態)
【0056】
次に、図6を参照して本発明の第2の実施形態を説明する。なお、上記した第1の実施形態と同一若しくは相当する構成については、同一の符号を付して重複説明は省略する。
【0057】
この実施形態の営業支援システム60は、ホストコンピュータ61が抽出した取引情報及び顧客情報に基づいて、営業店端末62が営業支援マップ7を生成する点に特徴を有する。 そのため、この実施形態における営業店端末62は、ホストコンピュータ61から定期的に送信されてくる取引情報及び顧客情報を登録する機能、外部のベンダーから購入したデジタルマップデータ(住宅地図情報)を格納する機能、及びこれらの情報に基づいて、この営業店5に所属する営業担当者向けに営業支援マップ7を生成して出力する機能を備えている。他の機能については、上記した第1の実施形態と同様である。また、ホストコンピュータ61は、図5で説明した処理工程のS1〜S3を同様に実行する。
【0058】
このように、ホストコンピュータ61と営業店端末62とで分散処理することで、データ通信量を低減でき、行内回線への負荷を最小限に抑えることができる。従って、データの更新頻度を高めて営業店端末62に最新の取引情報等を配信できる。これにより、営業店端末62の処理能力や営業担当者の出勤状況、地域のイベントなどに応じて営業店サイドでマップの生成のタイミングなどをフレキシブルに決定できる。
【0059】
なお、この発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲で種々変形可能である。
【0060】
例えば、上記実施形態では、複数のレイヤー毎に画像形式(ハッチング)の種類を異ならせて地図データと合成して表示するようにしたが、数字や記号、文字列などのテキスト形式で識別可能に表示してもよい。例えば、第1の抽出条件(大口入金先)で抽出された顧客所在地の該当位置には「1」や「大口」の文字を表示する。この場合は、複数のレイヤーを重ねて表示した時に数字や文字列が互いに重ならないように、レイヤー毎に数字等を標記する位置を振り分けておくことが好ましい。
【0061】
また、特定のコンピュータシステムを営業店サーバとしてホストコンピュータ4との間で統合処理を行わせ、このサーバに複数の営業店端末6や携帯端末9を接続可能に構成してもよい。
【0062】
さらに、営業支援ドキュメントに含ませる(表示させる)顧客の情報をユーザの認証レベル等に応じて変更することもできる。具体的には、顧客情報の参照レベルを人事データ等に基づいて予め決定しておき、本システムへのログイン情報に基づいてユーザの参照レベルを判定する。例えば、営業担当者は所属支店の顧客情報のみ、支店長等の管理職は所属支店と隣接する他の支店の顧客情報、エリア統括者は担当する複数の支店と隣接する他のエリアの複数の支店の顧客情報、本店の管理担当部門や役員レベルの管理職は全支店の顧客情報、を参照できるようにする。これにより、顧客情報を厳格に管理できる。
【0063】
また、電子地図に含まれる家形情報に基づいて潜在顧客を抽出するようにしてもよい。例えば、家形情報から土地の面積を算出したり、さらにこれと周辺の路線価等とを参照して保有不動産の推定価格を算出することで、富裕層の顧客を抽出することができる。これにより、電話帳などに基づいて有望顧客候補を抽出する場合に比べて、特定エリア内の潜在顧客を自動的に抽出することができる。
【符号の説明】
【0064】
1、60...営業支援システム
2...金融機関
3...情報管理センタ
4、61...ホストコンピュータ
5...営業店
6、62...営業店端末
7...営業支援マップ
8(8a〜8c)...顧客
9...携帯端末
10...顧客データベース(DB)
11...取引データベース(DB)
12...地図データ格納部
13...営業支援マップ格納部
14...営業店テーブル
15...プログラム格納部
16...取引情報抽出部
17...顧客情報検索部
18...営業店特定部
19...営業支援マップ生成部
20...顧客情報更新処理部
21...データ登録部
22...基礎情報データベース(DB)
26...顧客情報更新依頼部
27...営業支援マップ生成部
40...顧客基本情報
41...担当営業店情報
42...取引情報
43...訪問履歴情報
44...トピックスメッセージ
50...地図表示ボタン
51...情報更新ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金融機関の顧客情報を顧客IDに関連付けて管理する顧客DBと、
前記顧客と当該金融機関との取引情報を、当該顧客DBに格納された顧客IDに関連付けて格納する取引DBと
当該金融機関の各営業店の担当エリアの定義を各営業店IDに関連付けて格納する営業店テーブルと、
を有する営業支援システムにより実行される営業支援方法であって、
前記顧客DBは、顧客が銀行に届け出た住所を含む個人情報のマスターデータと、この顧客を担当する担当営業店の識別情報と、顧客営業用訪問先所在地とその家形情報を電子地図上で表示するためのリンクコードとを格納するものであり、
前記取引DBは、取引情報として金融商品の契約・解約若しくは契約内容の変更、融資の申込、口座の開設、所定額以上の口座への入出金、顧客情報の変更の届出、各種取引の見積もりの依頼、資料請求、当該顧客との折衝履歴の情報を、当該取引を行った営業店の営業店ID及び取引を行った顧客の顧客IDに関連付けて格納するものであり、
前記営業支援システムは、各営業店に設けられた営業店端末と通信可能に接続されているものであり、
この営業支援方法は、
コンピュータが、何れかの営業店端末から入力若しくは選択された取引情報抽出条件に基づき、前記取引DBからこの抽出条件に合致する取引情報を特定する顧客取引情報抽出工程と、
コンピュータが、前記抽出された取引情報に関連付けられた顧客IDに基づき、顧客DBから当該顧客の担当営業店を特定する担当営業店特定工程と、
コンピュータが、前記抽出された取引情報に関連付けられた顧客IDに基づいて前記顧客DBから当該顧客のリンクコードを取り出し、前記取引情報と前記顧客営業用訪問先所在地とを合成して訪問先の家形と共に電子地図上に表示してなる営業支援マップを生成し前記ネットワークを介して担当営業店の営業店端末に配信する営業支援マップ生成工程と、
コンピュータが、前記営業店端末から顧客営業用訪問先所在地の修正・追加の情報を受け付け、受け付けた追加/修正情報に基づいて前記顧客DBの各顧客に関連付けられた顧客情報のうち、(前記マスターデータは更新せずに)リンクコードのみを更新する顧客情報更新工程と
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1の方法において、
前記取引DBは、取引金額及び取引日時を含む取引情報を格納するものであり、
この方法はさらに、
コンピュータが、前記取引DBから、所定期間内の取引件数若しくは取引額の何れかを含む取引量を、前記顧客取引情報抽出工程で抽出された取引情報に関連付けられた顧客ID毎に集計する工程と、前記集計された取引量が所定値以上の顧客を抽出する工程と、を実行する顧客情報検索工程を有し、
前記営業支援マップ生成部は、コンピュータが、前記抽出された取引量が所定値以上の顧客の顧客IDに基づいて、前記顧客DBから当該顧客のリンクコードを取り出し、前記取引情報と前記顧客所在地とを合成して訪問先の家形と共に電子地図上に表示する営業支援マップを生成するものである
ことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1の方法において、
前記顧客DBは、営業担当者がその顧客を訪問した日付を含む訪問履歴情報を格納するものであり、
この方法はさらに、
コンピュータが前記顧客取引情報抽出工程で抽出された取引情報に関連付けられた顧客ID及び顧客DBの訪問履歴情報を参照して前回訪問日から所定期間以上経過している顧客の情報を検索する顧客情報検索工程を有し、
前記営業支援マップ生成部は、コンピュータが、前記顧客情報検索工程で検索された顧客の顧客IDに基づいて、前記顧客DBから当該顧客のリンクコードを取り出し、前記取引情報と前記顧客所在地とを合成して訪問先の家形と共に電子地図上に表示する営業支援マップを生成するものである
ことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1の方法において、
前記営業支援マップ生成工程は、コンピュータが、顧客所在地の座標上に当該顧客の取引情報を視覚的に表示したテキスト形式若しくは画像形式のレイヤーを生成し、このレイヤーを電子地図データ上に重ねることで営業支援マップを生成するものであることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4の方法において、
前記営業支援マップ生成工程は、コンピュータが、複数の抽出条件で抽出された取引情報毎に夫々レイヤーを生成し、営業店端末の入力手段で選択された1又は2以上の抽出条件に係る取引情報のレイヤーを前記電子地図データ上に重ねることで営業支援マップを生成するものであることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1の方法において、
さらに、コンピュータが、何れかの営業店端末から予め設定された複数の取引情報抽出条件から1又は2以上の抽出条件の選択を通信ネットワーク経由で受け付け、この営業店の営業店IDに関連付けて営業店テーブルに登録する抽出条件選択受付工程を備え、(0021)
前記顧客取引情報抽出工程は、コンピュータが、前記抽出条件として、営業店テーブルを参照し当該営業店が選択した前記1又は2以上の抽出条件を取り出し、この抽出条件に合致する取引情報のうち、前記顧客DB及び営業店テーブルに基づき、この営業店の担当エリアの定義内に営業訪問先所在地を有する顧客の取引情報を抽出するものである
ことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1の方法において、
さらに、コンピュータが、前記営業店端末から予め設定された複数の取引情報抽出条件と異なる第2の抽出条件を通信ネットワーク経由で受け付け、この営業店の営業店IDに関連付けて営業店テーブルに登録する第2の抽出条件受付工程を備え、
前記顧客取引情報抽出工程は、コンピュータが、前記抽出条件として、営業店テーブルを参照し当該営業店が送信した前記第2の抽出条件を取り出し、この抽出条件に合致する取引情報のうち、前記顧客DB及び営業店テーブルに基づき、この営業店の担当エリアの定義内に営業訪問先所在地を有する顧客の取引情報を抽出するものである
ことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1の方法において、
コンピュータが、前記営業店テーブルを参照して、顧客DBから検索された顧客情報に含まれる所在地特定情報が前記担当営業店の担当エリアの定義内であるかを判別し、担当エリアの定義外である場合は前記営業店テーブルから当該顧客の所在地を担当エリアの定義内に含む他の営業店を検索する営業店特定工程を有するものであり、
前記営業支援マップ生成工程は、コンピュータが、顧客DBから検索された担当営業店の端末及び前記他の営業店の端末に、通信ネットワークを介して顧客情報及び取引情報を夫々配信するものである
ことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1の方法において、
前記取引DBは、取引を担当した営業店の営業店IDを含む取引情報を格納するものであり、
この方法はさらに、コンピュータが、抽出された取引情報に関連付けられた顧客IDに基づいて、顧客DBからその顧客の情報を検索する工程と、検索された顧客の所定期間内の取引情報を前記取引DBから検索する工程と、検索された取引情報に含まれる取引担当営業店の営業店IDに基づいて所定期間内における営業店毎の担当件数、累計処理金額若しくは担当比率を集計する工程と、を備え、
前記営業支援マップ生成工程は、コンピュータが、担当営業店及び前記集計された担当件数等が上位の1又は2以上の営業店の営業店端末に前記営業支援マップを通信ネットワーク経由で夫々配信するものである
ことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1の方法において、
前記営業支援マップ生成工程は、コンピュータが、抽出された顧客情報及び/若しくはその取引情報を視覚的に一覧表示したインデックスファイルと、顧客情報及び/若しくは取引情報の詳細を表示する情報表示画面とを生成するものであり、このインデックスファイルと情報表示画面とは所定の選択ボタンによって相互に参照表示可能であることを特徴とする方法。
【請求項11】
金融機関の顧客情報を顧客IDに関連付けて管理する顧客DBと、
前記顧客と当該金融機関との取引情報を、当該顧客DBに格納された顧客IDに関連付けて格納する取引DBと
当該金融機関の各営業店の担当エリアの定義を各営業店IDに関連付けて格納する営業店テーブルと、
を有する営業支援システムであって、
前記顧客DBは、顧客が銀行に届け出た住所を含む個人情報のマスターデータと、この顧客を担当する担当営業店の識別情報と、顧客営業用訪問先所在地とその家形情報を電子地図上で表示するためのリンクコードとを格納するものであり、
前記取引DBは、取引情報として金融商品の契約・解約若しくは契約内容の変更、融資の申込、口座の開設、所定額以上の口座への入出金、顧客情報の変更の届出、各種取引の見積もりの依頼、資料請求、当該顧客との折衝履歴の情報を、当該取引を行った営業店の営業店ID及び取引を行った顧客の顧客IDに関連付けて格納するものであり、
前記営業支援システムは、各営業店に設けられた営業店端末と通信可能に接続されているものであり、
この営業支援システムは、
コンピュータが、何れかの営業店端末から入力若しくは選択された取引情報抽出条件に基づき、前記取引DBからこの抽出条件に合致する取引情報を特定する顧客取引情報抽出手段と、
コンピュータが、前記抽出された取引情報に関連付けられた顧客IDに基づき、顧客DBから当該顧客の担当営業店を特定する担当営業店特定手段と、
コンピュータが、前記抽出された取引情報に関連付けられた顧客IDに基づいて前記顧客DBから当該顧客のリンクコードを取り出し、前記取引情報と前記顧客営業用訪問先所在地とを合成して訪問先の家形と共に電子地図上に表示してなる営業支援マップを生成し前記ネットワークを介して担当営業店の営業店端末に配信する営業支援マップ生成手段と、
コンピュータが、前記営業店端末から顧客営業用訪問先所在地の修正・追加の情報を受け付け、受け付けた追加/修正情報に基づいて前記顧客DBの各顧客に関連付けられた顧客情報のうち、(前記マスターデータは更新せずに)リンクコードのみを更新する顧客情報更新手段と
を有することを特徴とするシステム。
【請求項12】
金融機関の顧客情報を顧客IDに関連付けて管理する顧客DBと、
前記顧客と当該金融機関との取引情報を、当該顧客DBに格納された顧客IDに関連付けて格納する取引DBと
当該金融機関の各営業店の担当エリアの定義を各営業店IDに関連付けて格納する営業店テーブルと、
を有する営業支援システムにより実行されるコンピュータプログラムであって、
前記顧客DBは、顧客が銀行に届け出た住所を含む個人情報のマスターデータと、この顧客を担当する担当営業店の識別情報と、顧客営業用訪問先所在地とその家形情報を電子地図上で表示するためのリンクコードとを格納するものであり、
前記取引DBは、取引情報として金融商品の契約・解約若しくは契約内容の変更、融資の申込、口座の開設、所定額以上の口座への入出金、顧客情報の変更の届出、各種取引の見積もりの依頼、資料請求、当該顧客との折衝履歴の情報を、当該取引を行った営業店の営業店ID及び取引を行った顧客の顧客IDに関連付けて格納するものであり、
前記営業支援システムは、各営業店に設けられた営業店端末と通信可能に接続されているものであり、
このコンピュータプログラムは、
コンピュータが、何れかの営業店端末から入力若しくは選択された取引情報抽出条件に基づき、前記取引DBからこの抽出条件に合致する取引情報を特定させる顧客取引情報抽出指令と、
コンピュータが、前記抽出された取引情報に関連付けられた顧客IDに基づき、顧客DBから当該顧客の担当営業店を特定させる担当営業店特定指令と、
コンピュータが、前記抽出された取引情報に関連付けられた顧客IDに基づいて前記顧客DBから当該顧客のリンクコードを取り出し、前記取引情報と前記顧客営業用訪問先所在地とを合成して訪問先の家形と共に電子地図上に表示してなる営業支援マップを生成し前記ネットワークを介して担当営業店の営業店端末に配信させる営業支援マップ生成指令と、
コンピュータが、前記営業店端末から顧客営業用訪問先所在地の修正・追加の情報を受け付け、受け付けた追加/修正情報に基づいて前記顧客DBの各顧客に関連付けられた顧客情報のうち、(前記マスターデータは更新せずに)リンクコードのみを更新させる顧客情報更新指令と
を有することを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−208953(P2012−208953A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−158172(P2012−158172)
【出願日】平成24年7月14日(2012.7.14)
【分割の表示】特願2005−345098(P2005−345098)の分割
【原出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(397077955)株式会社三井住友銀行 (120)
【出願人】(302064762)株式会社日本総合研究所 (367)
【Fターム(参考)】