説明

嗅覚計および相互作用測定装置

【課題】コンタミネーションの発生防止を図る。パネルに供給する試料ガスの濃度を変化させてもガス流量を一定に維持する。試料ガスの濃度調整、メンテナンスを容易にする。
【解決手段】試料ガスを希釈して嗅覚ポート2に供給する嗅覚計1であって、試料ガス流路3と、試料ガス流路3に合流する希釈ガス流路4と、試料ガス流路3の希釈ガス流路4が合流する位置5よりも下流に設けられた混合部6と、試料ガス流路3の混合部6よりも下流に設けられ流量x(L/min)のガスが流入する分岐点7から分岐する廃棄流路8を備え、試料ガス流路3の分岐点7よりも下流に流量制御装置9を設けてガスの流量をx−y(L/min)に制御すると共に、廃棄流路8に流量制御装置10を設けてガスの流量をy(L/min)に制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、嗅覚計および相互作用測定装置に関する。更に詳しくは、本発明は、試料ガスを希釈して嗅覚ポートに供給し被験者に嗅がせる嗅覚計、および当該嗅覚計を複数備え、複数の試料ガスを混合して嗅覚ポートに供給し被験者に嗅がせる相互作用測定装置に関するものである。また、本発明は、閾値測定装置としての使用に適した嗅覚計、および当該嗅覚計を複数備える相互作用測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
嗅覚計の試料ガスの希釈倍率を変えるための機構として、例えば特公昭57−45332号公報に開示された2段希釈機構がある。この2段希釈機構は、図11に示すように、被験臭気受入口101から試料ガスを導入するためのサンプリングポンプ102と、受入口103から無臭の新鮮空気を導入するための吸引ポンプ104を有しており、三路弁105,106の切り換えによって、マスク107に供給する試料ガスのルートを切り換えている。
【0003】
即ち、試料ガスを、被験臭気受入口101→サンプリングポンプ102→三路弁105→直結流路108→三路弁106→制御流路109→減圧弁110→スロットバルブ111→三方接手112→混合空気供給流路113→混合空気供給流路114→混合空気流路115→マスク107へと流す場合には、三方接手112とマスク107の直前位置の2箇所で新鮮空気を混合し希釈を行なう。また、試料ガスを、被験臭気受入口101→サンプリングポンプ102→三路弁105→フローコントロールバルブ117→迂回流路116→合流点118→流路119→分流路120→サンプリングポンプ121→三路弁106→制御流路109→減圧弁110→スロットバルブ111→三方接手112→混合空気供給流路113→混合空気供給流路114→混合空気流路115→マスク107へと流す場合には、合流点118、三方接手112、マスク107の直前位置の3箇所で新鮮空気を混合し希釈を行なう。
【0004】
この2段希釈機構では、フローコントロールバルブ117、スロットバルブ111を操作して流量を調整することで、検査に適した濃度範囲の試料ガスを得ることができる。
【0005】
また、図12に示すように、異なる直径のガラス毛細管131を複数備えることでマルチ・チャネル構造に適合させた嗅覚計が開発されている(特開平11−14510号)。この嗅覚計では、マスフロー制御器132,133によって調整されたサンプル・キャリアガスを飽和チャンバ134から混合制限135に供給し、バルブ136から供給される窒素と混合して混合チャンバ137から複数のガラス毛細管131に分配する。そして、サンプル・キャリアガスはコンピュータ制御注入機構138によって選択された一のガラス毛細管131から嗅覚ポート139内に注入され、ガスフローに混合される。
【0006】
各ガラス毛細管131の直径はそれぞれ異なっている。そのため、コンピュータ制御注入機構138の操作によってガラス毛細管131の選択を切り換えることで嗅覚ポート139へのサンプル・キャリアガスの注入流量を変えることができ、嗅覚ポート139内で混合されてパネル(検査員)に供給されるガスの濃度を変えることができる。
【0007】
【特許文献1】特公昭57−45332号
【特許文献2】特開平11−14510号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特公昭57−45332号公報の2段希釈機構では、以下の問題があった。即ち、この2段希釈機構では、試料ガスを装置内に導入するためにサンプリングポンプ102が必要である。また、排出用流路119が開放系であることからガス流量を調整するためにサンプリングポンプ102,121や減圧弁110が必要である。サンプリングポンプ102,121や減圧弁110にはニオイが付着し易い。このため、コンタミネーション(ニオイの汚染)が生じ易かった。また、希釈調整前の濃い状態の試料ガスを、被験臭気受入口101→サンプリングポンプ102→三路弁105→直結流路108→三路弁106→制御流路109→減圧弁110→スロットバルブ111→三方接手112へと流したり、被験臭気受入口101→サンプリングポンプ102→三路弁105→フローコントロールバルブ117→迂回流路116→合流点118へと流す構成である。このことからも装置内にニオイが付着し易く、コンタミネーションを生じ易かった。
【0009】
また、マスク107に供給されるガスの全流量は試料ガスを希釈する新鮮空気の流量に依存するので、試料ガスの希釈倍率を変えるとマスク107に供給されるガスの全流量も変化してしまい、パネルに供給するガス流量を一定に維持することができなかった。
【0010】
一方、特開平11−14510号公報の嗅覚計では、試料ガスの濃度(希釈倍率)を変化させるために複数のガラス毛細管131からなるキャピラリーを使用しているので、試料ガスの希釈がガラス毛細管131の径に依存することになる。ガラス毛細管131自体の径を変化させて調整することはできないので、現在取り付けられているガラス毛細管131の径が所望の希釈濃度に対応するものでない場合には、対応する径のガラス毛細管131を準備して取り替える必要がある。このため、評価の目的やサンプル、パネルに適した条件に応じて試料ガスの希釈濃度を迅速に調整することが困難であった。また、キャピラリー(ガラス毛細管131の集合)のメンテナンスは装置から外して焼きだす必要があるなど煩雑なものであり、メンテナンスが面倒であった。さらに、嗅覚ポート139内で混合されパネルに供給されるガスの全流量はガラス毛細管131から注入される試料ガスの流量に依存するので、試料ガスの希釈倍率を変えるとパネルに提示されるガスの全流量も変化してしまい、パネルに提示するガス流量を一定に維持することができなかった。
【0011】
本発明は、ニオイが付着し易い構成要素の使用を抑えてコンタミネーションの発生防止を図ることができる嗅覚計と、当該嗅覚計を利用した相互作用測定装置を提供することを目的とする。また、本発明は、パネルに供給するガス流量を一定に維持することができる嗅覚計と、当該嗅覚計を利用した相互作用測定装置を提供することを目的とする。また、本発明は、試料ガスの濃度調整が容易で、メンテナンスが容易な嗅覚計と、当該嗅覚計を利用した相互作用測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かかる目的を達成するために、請求項1記載の発明は、試料ガスを希釈ガスによって希釈して嗅覚ポートに供給する嗅覚計において、試料ガスが流される試料ガス流路と、試料ガス流路に合流し、希釈ガスが流される希釈ガス流路と、試料ガス流路の希釈ガス流路が合流する位置よりも下流に設けられ、試料ガスと希釈ガスとを均一に混合する第1の混合部と、試料ガス流路の第1の混合部よりも下流に設けられ流量x(L/min)のガスが流入する分岐点から分岐する第1の廃棄流路を備え、試料ガス流路の分岐点よりも下流に第1の流量制御装置を設けてガスの流量をx−y(L/min)に制御すると共に、第1の廃棄流路に第2の流量制御装置を設けてガスの流量をy(L/min)に制御するものである。
【0013】
したがって、試料ガス流路を流れる試料ガスは、希釈ガス流路から供給される希釈ガスによって希釈される。試料ガス流路を流れる試料ガスは合流した希釈ガスと共に第1の混合部に流入し、均一に混合されて希釈される。希釈ガスの混合によって試料ガス(希釈後の試料ガス)の流量は多くなる。希釈後の試料ガスは分岐点へと流入し、第1の流量制御装置によって制限された流量だけ試料ガス流路の下流へと流れ、その他の余分な量は第1の廃棄流路へと流入する。
【0014】
いま、試料ガス流路の分岐点に流入する希釈後試料ガスの流量がx(L/min)であり、分岐点から試料ガス流路の下流へと流れる希釈後試料ガスの流量が第1の流量制御装置によってx−y(L/min)に制限されている場合、流量y(L/min)の希釈後試料ガスが不要になる。第1の廃棄流路に設けられた第2の流量制御装置は流量をy(L/min)に制御するので、希釈後試料ガスの不要量と第1の廃棄流路の流量とが一致する。このため、分岐点から試料ガス流路の下流へと流れる希釈後試料ガスの流量と第1の流量制御装置によって制御される流量とを一致させることができる。また、試料ガスの流量制御を行なうのに、試料ガスを吸引するポンプや圧力調整のための減圧弁が不要な構造となる。
【0015】
また、請求項2記載の嗅覚計は、試料ガス流路の第1の混合部と分岐点との間に試料濃度確認用のポートを備えるものである。したがって、第1の混合部を通り抜けた希釈後試料ガスのニオイを試料濃度確認用のポートから直接嗅ぐことができ、嗅覚計管理者が自分の嗅覚によって希釈後の試料ガスのニオイの強さを確認することができる。
【0016】
また、請求項3記載の嗅覚計は、試料ガス流路の分岐点よりも上流の位置に洗浄液を供給する洗浄液供給系と、第1の流量制御装置を迂回する迂回流路と、試料ガス流路に試料ガスが流れるときには迂回流路を閉じ、洗浄液が流れるときには迂回流路を開く開閉弁を備えるものである。
【0017】
したがって、嗅覚計の不使用時に洗浄を行なう場合には、迂回流路は開閉弁によって開かれており、洗浄液は迂回流路を通って試料ガス流路の上流側から下流側へと流れる。このため、第1の流量制御装置が洗浄液によるダメージを受けることがない。即ち、気体用の第1の流量制御装置(例えばマスフローコントローラ)が液体である洗浄液に接触することを防止することができる。一方、嗅覚計を使用する場合には迂回流路は開閉弁によって閉じられており、希釈後の試料ガスは第1の流量制御装置を必ず通過する。このため、第1の流量制御装置による試料ガスの流量制御が可能である。
【0018】
また、請求項4記載の嗅覚計は、試料ガス流路と嗅覚ポートとの間に多段階希釈機構を設け、多段階希釈機構は、試料ガス流路から分岐する複数の試料ガスサブ流路と、試料ガスサブ流路に対応して同数設けられた希釈ガスサブ流路及び流路切換装置と、試料ガスサブ流路に設けられた第3の流量制御装置と、希釈ガスサブ流路に設けられた第4の流量制御装置を備え、流路切換装置は、対応する試料ガスサブ流路と希釈ガスサブ流路とを一緒に嗅覚ポートへと続く第1の連通路と第2の廃棄流路とのいずれか一方に切換可能に連通させるものであり、第3の流量制御装置の流量は試料ガスサブ流路毎に異なると共に、第4の流量制御装置の流量は希釈ガスサブ流路毎に異なっており、且つ第3の流量制御装置の流量と第4の流量制御装置の流量は、対応するもの同士を合計した流量が全て等しいものである。
【0019】
したがって、試料ガス流路から多段階希釈機構に導かれた流量x−y(L/min)の試料ガスは各試料ガスサブ流路に流入し、第3の流量制御装置によって流量制御された後、流路切換装置へと流入する。一方、それぞれの希釈ガスサブ流路に流入した希釈ガスは第4の流量制御装置によって流量制御された後、流路切換装置へと流入する。そして、流路切換装置が第1の連通路側に切り換えられている場合には、試料ガスと希釈ガスは第1の連通路に流入して嗅覚ポートへと導かれる。一方、流路切換装置が第2の廃棄流路側に切り換えられている場合には、試料ガスと希釈ガスは第2の廃棄流路へと流れて廃棄される。試料ガスサブ流路、希釈ガスサブ流路、流路切換装置は複数且つ同数設けられているので、試料ガス流路から供給された試料ガスを更に希釈して嗅覚ポートに供給又は第2の廃棄流路から廃棄する流路が複数系統(段階数)形成される。
【0020】
いま、各系統の第3の流量制御装置の流量を例えばO1,O2,O3,…とし、第4の流量制御装置の流量を例えばA1,A2,A3,…とすると、各系統毎の合計の流量は例えば(O1+A1),(O2+A2),(O3+A3),…となる。第3の流量制御装置の流量O1,O2,O3,…は試料ガスサブ流路毎即ち各系統毎に異なっており(O1≠O2≠O3≠…)、第4の流量制御装置の流量A1,A2,A3,…は希釈ガスサブ流路毎即ち各系統毎に異なっている(A1≠A2≠A3≠…)。また、各系統毎の合計の流量は全て等しくなっている((O1+A1)=(O2+A2)=(O3+A3)=…)。したがって、各系統毎の濃度(希釈倍率)は異なったものとなる。
【0021】
各系統の流路切換装置を1つずつ第1の連通路側に切り換えることで、濃度の異なる試料ガスをその流量を変えずに1つずつ切り換えて嗅覚ポートに供給することができる。一方、流路切換装置が第2の廃棄流路側に切り換えられている系統では、試料ガスは第2の廃棄流路に流される。
【0022】
また、請求項5記載の嗅覚計は、第2の廃棄流路には第5の流量制御装置が設けられており、第5の流量制御装置は第1の連通路の流量と等しい流量に調整されている。したがって、試料ガスが流路切換装置から第1の連通路へと流れる場合の流量と、流路切換装置から第2の廃棄流路へと流れる場合の流量が等しくなる。このため、流路切換装置をいずれに切り換えても試料ガスの流量は変化せず、流路切換え時(系統切換え時)に嗅覚ポートに供給される試料ガスの圧力が一時的に変動して流量が変動するのを抑制することができる。
【0023】
また、請求項6記載の嗅覚計は、多段階希釈機構を通り抜けた試料ガスにキャリアガスを合流させる第1のキャリアガス供給系を備えるものである。したがって、多段階希釈機構を通り抜けて嗅覚ポートに向かう試料ガスの流れに向けて第1のキャリアガス供給系からキャリアガスが供給される。キャリアガスの供給によって試料ガスの流れは流速及び流量を増し、嗅覚ポートへと迅速に到達する。
【0024】
さらに、請求項7記載の相互作用測定装置は、請求項1から6のいずれか1つに記載の嗅覚計を複数備えると共に、嗅覚計によって希釈された試料ガスを合流させる合流路と、合流路で合流した試料ガスを混合させる第2の混合部と、第2の混合部によって混合された試料ガスを嗅覚ポートに導く第2の連通路を備えるものである。
【0025】
したがって、各嗅覚計によって希釈された試料ガスは合流路に流入して合流した後、第2の混合部に流入して均一に混合される。混合された試料ガスは第2の連通路によって嗅覚ポートに導かれる。
【0026】
また、請求項8記載の相互作用測定装置は、合流後の試料ガスにキャリアガスを合流させる第2のキャリアガス供給系を備えるものである。したがって、合流路で合流した試料ガスの流れに向けて第2のキャリアガス供給系からキャリアガスが供給される。キャリアガスの供給によって試料ガスの流れは流速及び流量を増し、嗅覚ポートへと迅速に到達する。
【発明の効果】
【0027】
かかる目的を達成するために、請求項1記載の嗅覚計では、試料ガスが流される試料ガス流路と、試料ガス流路に合流し、希釈ガスが流される希釈ガス流路と、試料ガス流路の希釈ガス流路が合流する位置よりも下流に設けられ、試料ガスと希釈ガスとを均一に混合する第1の混合部と、試料ガス流路の第1の混合部よりも下流に設けられ流量x(L/min)のガスが流入する分岐点から分岐する第1の廃棄流路を備え、試料ガス流路の分岐点よりも下流に第1の流量制御装置を設けてガスの流量をx−y(L/min)に制御すると共に、第1の廃棄流路に第2の流量制御装置を設けてガスの流量をy(L/min)に制御するので、分岐点から試料ガス流路の下流へと流れる希釈後試料ガスの流量と第1の流量制御装置によって制御される流量とを一致させることができる。このため、希釈ガスの混合流量に影響されずに希釈後の試料ガスの圧力を一定に保つことができ、第1の流量制御装置による流量制御をより高精度に行なうことができる。この結果、嗅覚ポートに供給する試料ガスの流量コントロールや濃度コントロールが容易になる。また、試料ガスの流量制御を行なうのに試料ガスを吸引するポンプや圧力調整のための減圧弁が不要な構造であり、これらの機器類へのニオイ付着が問題になることがない。このため、ニオイが付着し難い構造であり、コンタミネーションの防止を図ることができる。
【0028】
またニオイのコンタミネーションの防止を図ることができる構造であり、万が一コンタミネーションが生じた場合でも容易に洗浄が可能な構造であるので、メンテナンスが容易である。
【0029】
またフローチューブメータやマスフローコントローラ等の流量制御装置を用いて、広範囲の流量を迅速に制御可能な構造であるので、試料ガスの濃度調整が容易である。
【0030】
即ち、希釈段階や流量に応じて、各希釈段階にある廃棄ラインの流量をあらかじめ調整することで、減圧弁などの可逆的な力を必要とせず、装置内圧力を常時一定に保つことが可能になるため、希釈ライン(希釈の回数/希釈ガスの流量)の影響を受けることなく、一定した濃度コントロールをすることができる。また、そのため次の希釈に移行する試料ガスの流量をごく少量でも正確にしかも迅速に調整することが可能となり、理論希釈限界に近いダイナミックレンジ(1:1010)を得ることが実現した。このため、試験サンプル(ニオイ物質)の事前希釈(アルコールなどの溶媒による物質原体(原液)を希釈)が不要となり、希釈誤差の心配がなく、また溶媒と試験サンプルの間の化学的相互作用の心配もなくなり、試験サンプルそのものの正確なデータを入手することが可能になる。
【0031】
また、結果として試料ガスを循環させるためのポンプや減圧弁が不要であり、装置内のニオイ吸着の危険性を抑制することができる。
【0032】
これらの結果、多種多様なニオイ物質を、迅速かつ簡便な操作で扱え、しかも精密に濃度コントロールする(広範囲の希釈能力:例えばppmオーダー〜ppbオーダー)ことができる。
【0033】
また、本発明の嗅覚計は様々な評価方法に対して適用できる。具体的な効果として、閾値測定を実施する場合、段階法(段階的に試料ガスの濃度を調整)や調整法(パネル応答に応じて試料ガスの濃度を調整)を簡便かつ精確に実施できる構造である。
【0034】
また、請求項2記載の嗅覚計では、試料ガス流路の第1の混合部と分岐点との間に試料濃度確認用のポートを備えているので、第1の混合部を通り抜けた希釈後試料ガスのニオイを試料濃度確認用のポートから直接嗅ぐことができ、嗅覚計管理者が自分の嗅覚によって希釈後の試料ガスのニオイ強度を確認することができる。このため、極端に強いニオイの試料ガスが試料ガス流路の下流へと流れるのを防止することができ、ニオイの付着を未然に防いでコンタミネーションを防止することができる。特に、第1の流量制御装置と第2の流量制御装置として使用可能なマスフローコントローラ(MFC)は、ニオイが付着し易く且つ洗浄が困難であり、一旦ニオイが付着するとその使用が困難になる。本発明では、極端に強いニオイの試料ガスが試料ガス流路の下流へと流れるのを防止することができるので、第1の流量制御装置と第2の流量制御装置として使用するMFCをニオイ付着から守ることができる。
【0035】
即ち、2段階希釈に移行する前に、試料ガスのニオイ強度を測定することで、極端にニオイ強度が強い試料ガスを次段階希釈に移行するのを阻止することが可能となり、装置内にニオイ吸着する危険性を最小限に留めることができる。この結果、多種多様なニオイ物質を、より一層、迅速かつ簡便な操作で扱うことが可能になる。
【0036】
また、請求項3記載の嗅覚計では、試料ガス流路の分岐点よりも上流の位置に洗浄液を供給する洗浄液供給系と、第1の流量制御装置を迂回する迂回流路と、試料ガス流路に試料ガスが流れるときには迂回流路を閉じ、洗浄液が流れるときには迂回流路を開く開閉弁を備えているので、試料ガス流路の洗浄が可能となり、たとえ試料ガス流路にニオイが付着したとしても洗浄液によって洗い流すことができる。このため、コンタミネーションを防止することができる。
【0037】
即ち、ニオイが装置内に吸着した場合の予防策として、段階希釈に使用する流量制御装置(たとえは、マスフローコントローラ)とは別に、洗浄ラインを並列することで、ニオイ吸着の高い試料ガスを試験した後などに、溶剤洗浄が可能となり、装置内の洗浄が容易かつ迅速に行うことができる。この結果、多種多様なニオイ物質を、より一層、迅速かつ簡便な操作で扱うことが可能になる。
【0038】
また、請求項4記載の嗅覚計では、試料ガス流路と嗅覚ポートとの間に多段階希釈機構を設け、多段階希釈機構は、試料ガス流路から分岐する複数の試料ガスサブ流路と、試料ガスサブ流路に対応して同数設けられた希釈ガスサブ流路及び流路切換装置と、試料ガスサブ流路に設けられた第3の流量制御装置と、希釈ガスサブ流路に設けられた第4の流量制御装置を備え、流路切換装置は、対応する試料ガスサブ流路と希釈ガスサブ流路とを一緒に嗅覚ポートへと続く第1の連通路と第2の廃棄流路とのいずれか一方に切換可能に連通させるものであり、第3の流量制御装置の流量は試料ガスサブ流路毎に異なると共に、第4の流量制御装置の流量は希釈ガスサブ流路毎に異なっており、且つ第3の流量制御装置の流量と第4の流量制御装置の流量は、対応するもの同士を合計した流量が全て等しいので、濃度の異なる試料ガスを流量を変えずに1つずつ切り換えて嗅覚ポートに供給することができる。このように、濃度の異なる試料ガスを1つずつ切り換えて嗅覚ポートに供給することができるため、試料ガスのニオイを感じる濃度の閾値測定に適している。しかも、嗅覚ポートに供給する試料ガスの濃度を変えてもその流量は変化しないので、流量の変化によってニオイの感じ方が変化するのを防止することができ、正確に閾値測定を行うことができる。さらに、流路切換装置が第2の廃棄流路側に切り換えられている系統では、試料ガスは第2の廃棄流路に流されており、流れを止めることがないので、流れの停滞によってニオイが溜まり流路切換直後の流し始めにニオイが強くなる現象の発生を防止することができ、この点からも正確に閾値測定を行うことができる。
【0039】
即ち、各ニオイ物質を試験に適した濃度(閾下から閾上濃度)に調整後、第3及び第4の流量制御装置(例えば、フローチューブメータ)にて試料ガスと希釈ガスのレシオを調整し、多段階希釈の検査ガスを調合することで、各種条件(評価手法、サンプル、パネル)に応じて、希釈レンジ(例えば1.5fold)や濃度レンジ(例えば1ppm〜100ppm)を容易かつ瞬時に調整が可能となり、より詳細なデータ取りが実現できる。例えば、より細かな濃度範囲でデータを取る必要がある場合は、希釈レンジを狭く設定することが可能であり、また目的のデータ付近を精密に測定する必要がある場合、濃度レンジを狭く設定することも可能である。更には最終的にパネル(検査員)に提示されるサンプルの流量を一定に調整することが可能であり、流量の差異に影響されない信頼のあるデータを入手することが実現できる。
【0040】
また、請求項5記載の嗅覚計では、第2の廃棄流路には第5の流量制御装置が設けられており、第5の流量制御装置は第1の連通路の流量と等しい流量に調整されているので、流路切換装置の切換による試料ガスの流量変動を抑制することができる。このため、各系統の流路切換装置を次々に切り換えて嗅覚ポートに供給する試料ガスの濃度を変えてもその流量を一定に維持できるので、流量の変化によってニオイの感じ方が変化するのを防止することができ、より一層正確に閾値測定を行うことができる。
【0041】
また、請求項6記載の嗅覚計では、多段階希釈機構を通り抜けた試料ガスにキャリアガスを合流させる第1のキャリアガス供給系を備えているので、希釈した試料ガスを迅速に嗅覚ポートに到達させることができ、試料ガスが嗅覚ポートに到達するまでのタイムラグを短くすることができる。また、キャリアガスによって試料ガスを更に希釈することができる。さらに、試料ガスの流量を増やすことができ、パネルの呼吸に必要な流量の確保が容易になる。
【0042】
さらに、請求項7記載の相互作用測定装置では、請求項1から6のいずれか1つに記載の嗅覚計を複数備えると共に、嗅覚計によって希釈された試料ガスを合流させる合流路と、合流路で合流した試料ガスを混合させる第2の混合部と、第2の混合部によって混合された試料ガスを嗅覚ポートに導く第2の連通路を備えているので、各嗅覚計によって希釈された試料ガスを混合して嗅覚ポートに供給することができる。各嗅覚計によって試料ガスは正確に希釈されているので、混合の割合を正確に制御することができ、試料ガスの相互作用を正確に測定することができる。また、試料ガスは嗅覚ポートに供給される直前に混合されるので、試料ガス同士が反応して変質するのを抑制することができ、この点からも試料ガスの相互作用を正確に測定することができる。さらに、各嗅覚計毎に試料ガスの濃度や種類を変えるのは容易であり、混合する試料ガスの濃度や種類を変化させて嗅覚ポートに供給する試料ガスを変化させるのが容易である。各嗅覚計から供給される試料ガスは、異なる種類の試料ガスでも良く、同じ種類の試料ガスであって濃度が異なるものでも良い。
【0043】
また、請求項8記載の相互作用測定装置では、合流後の試料ガスにキャリアガスを合流させる第2のキャリアガス供給系を備えているので、混合した試料ガスを迅速に嗅覚ポートに到達させることができ、試料ガスが嗅覚ポートに到達するまでのタイムラグを短くすることができる。また、キャリアガスによって試料ガスを更に希釈することができる。さらに、試料ガスの流量を増やすことができ、パネルの呼吸に必要な流量の確保が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、本発明の構成を図面に示す最良の形態に基づいて詳細に説明する。
【0045】
図1に、本発明の嗅覚計の実施形態の一例を示す。嗅覚計1は、試料ガスを希釈ガスによって希釈して嗅覚ポート2に供給するものであって、試料ガスが流される試料ガス流路3と、試料ガス流路3に合流し、希釈ガスが流される希釈ガス流路4と、試料ガス流路3の希釈ガス流路4が合流する位置5よりも下流に設けられ、試料ガスと希釈ガスとを均一に混合する第1の混合部6と、試料ガス流路3の第1の混合部6よりも下流に設けられ、流量x(L/min)のガスが流入する分岐点7から分岐する第1の廃棄流路8を備え、試料ガス流路3の分岐点7よりも下流に第1の流量制御装置9を設けてガスの流量をx−y(L/min)に制御すると共に、第1の廃棄流路8に第2の流量制御装置10を設けてガスの流量をy(L/min)に制御するものである。なお、流量x(L/min)について、2回目の希釈後のものをx1(L/min)、3回目の希釈後のものをx2(L/min)と記す。また流量y(L/min)について、2回目の希釈後のものをy1(L/min)、3回目の希釈後のものをy2(L/min)と記す。
【0046】
本実施形態の嗅覚計1は、試料ガスの希釈を3回行なった後、多段階希釈機構によって希釈を行ない、さらに1回希釈を行なう。ただし、希釈を行なう回数はこれに限るものではなく、必要とする試料ガスの濃度等に応じて適宜変えることができる。
【0047】
検査の対象となるニオイ物質11は例えば液体であり、容器12内に収容されている。ニオイ物質11は揮発してガスの状態で容器12内の液面より上の部分に溜まっている。容器12は、例えばガラス製のものであり、ニオイ物質11に余分なニオイを付着させることがない。容器12は、例えばウォータバス13内に沈められており、一定温度に保たれる。ウォータバス13には例えばクーリングシステム14及び図示しないヒーティングシステムが設けられており、ウォータバス13の温度が設定温度よりも高くなるとクーリングシステム14が作動して温度を下げ、設定温度よりも低くなるとヒーティングシステムが作動して温度を上げる。
【0048】
容器12内には流路15を通じてキャリアガスが供給される。キャリアガスは例えば窒素ガスである。ただし、窒素ガスに限るものではない。キャリアガス源16から供給されるキャリアガスは流量制御装置17によって所定の流量に制御された後、容器12内に流入する。流量制御装置17は、例えばマスフローコントローラ(MFC)である。ただし、マスフローコントローラに限るものではなく、例えばフローチューブメータ、ニードルバルブ等の使用も可能である。キャリアガスの流入によって容器12内に溜まっていたガス状のニオイ物質11(試料ガス)が強制的に気化されて、試料ガス流路3を構成する流路3aに追い出される。
【0049】
試料ガス流路3は、例えば流路3a〜3dによって構成されている。即ち、流路3a〜3dによって一例の試料ガス流路3が構成されている。流路3aと3bの間には第1の混合部6が、流路3bと3cの間には第1の流量制御装置9が、流路3cと流路3dの間には第1の混合部6がそれぞれ設けられている。第1の流量制御装置9は、例えばマスフローコントローラである。ただし、マスフローコントローラに限るものではなく、例えばフローチューブメータ、ニードルバルブ等の使用も可能である。
【0050】
図2に第1の混合部6を示す。第1の混合部6は例えば上面と底面の中央が内側に突出している混合空間6aを有しており、試料ガスの流れと希釈ガスの流れとが合流した流れを頂部から導入して底面に衝突させて試料ガスと希釈ガスの混合を促進する。そして、均一に混合されて希釈された試料ガスは混合部6の周壁6bから流出する。即ち、混合部6の頂部に試料ガス流路3の上流側の流路3aが接続され、混合部6の周壁6bに試料ガス流路3の下流側の流路3bが接続されている。流路3bは周壁6aの径方向に対して、旋回方向上流側にずれた位置に接続されている。このため、混合空間6a内の圧力が流路3bの開口付近で低くなり、混合空間6a内に図2(B)中に矢印で示す方向の旋回流が発生する。この旋回流の発生によっても試料ガスと希釈ガスの混合が促進される。
【0051】
流路3bと流路3dには分岐点7が設けられており、各分岐点7から第1の廃棄流路8が分岐している。各廃棄流路8は集合されて、例えばベントルームに開口している。各廃棄流路8には第2の流量制御装置10が設けられている。このため、第1の廃棄流路8は大気開放となっていない。第2の流量制御装置10は、例えばフローメータ(FM)である。ただし、フローメータに限るものではなく、例えばニードルバルブ等の使用も可能である。
【0052】
希釈ガスは例えば無臭の空気である。希釈ガスを供給するガス源18は、乾燥機19とレギュレータ59とカーボンフィルタ20を通過してマニホールド21に供給される。マニホールド21からは例えば4本の希釈ガス流路4が分岐している。第1の希釈ガス流路4Aは試料ガス流路3aの位置5に合流している。第1の希釈ガス流路4Aには流量制御装置27が設けられており、その流量を例えばx1−c(L/min)に制御している。流量制御装置27は、例えばマスフローコントローラである。ただし、マスフローコントローラに限るものではなく、例えばフローチューブメータ、ニードルバルブ等の使用も可能である。第2の希釈ガス流路4Bは試料ガス流路3cの位置5に合流している。第2の希釈ガス流路4Bには流量制御装置28が設けられており、その流量を例えばs(L/min)に制御している。流量制御装置28は、例えばマスフローコントローラである。ただし、マスフローコントローラに限るものではなく、例えばフローチューブメータ、ニードルバルブ等の使用も可能である。第3の希釈ガス流路4Cは多段階希釈機構23のマニホールド24に接続されている。第4の希釈ガス流路4Dは集合通路25に接続されている。第4の希釈ガス流路4Dには流量制御装置26が設けられており、その流量を例えばv(L/min)に制御している。流量制御装置26は、例えばフローメータである。ただし、フローメータに限るものではなく、例えばニードルバルブ等の使用も可能である。第4の希釈ガス流路4Dは、多段階希釈機構23を通り抜けた試料ガスに希釈ガス(キャリアガス)を合流させる第1のキャリアガス供給系である。
【0053】
試料ガス流路3と嗅覚ポート2との間には多段階希釈機構23が設けられている。多段階希釈機構23は、試料ガス流路3から分岐する複数の試料ガスサブ流路29と、試料ガスサブ流路29に対応して同数設けられた希釈ガスサブ流路30及び流路切換装置31と、試料ガスサブ流路29に設けられた第3の流量制御装置32と、希釈ガスサブ流路30に設けられた第4の流量制御装置33を備え、流路切換装置31は、対応する試料ガスサブ流路29と希釈ガスサブ流路30とを一緒に嗅覚ポート2へと続く第1の連通路34と第2の廃棄流路35とのいずれか一方に切換可能に連通させるものであり、第3の流量制御装置32の流量は試料ガスサブ流路29毎に異なっており、第4の流量制御装置33の流量は希釈ガスサブ流路30毎に異なっており、且つ第3の流量制御装置32の流量と第4の流量制御装置33の流量は、対応するもの同士を合計した流量が全て等しいものである。
【0054】
本実施形態では、試料ガスサブ流路29、希釈ガスサブ流路30、流路切換装置31、第1の連通路34、第2の廃棄流路35は、例えば7本ずつ設けられている。試料ガスサブ流路29、希釈ガスサブ流路30、流路切換装置31、第1の連通路34、第2の廃棄流路35は、対応するもの同士が接続されて一の系統を構成している。即ち、例えば7系統の流路が設けられている。なお、図1では4系統の流路のみを記載し、他の系統の流路の記載を省略している。試料ガスサブ流路29は流路3dに接続されたマニホールド36によって、希釈ガスサブ流路30は、第3の希釈ガス流路4Cに接続されたマニホールド24から分岐している。
【0055】
流路切換装置31の一例を図3に示す。流路切換装置31は、例えばソレノイドバルブ31cによって流路を切り換える弁であり、2つの切換位置31a,31bを有している。流路切換装置31は、第1の切換位置31aでは試料ガスサブ流路29と希釈ガスサブ流路30を第1の連通路34に連通させ、第2の切換位置31bでは試料ガスサブ流路29と希釈ガスサブ流路30を第2の廃棄流路35に連通させる。ソレノイドバルブ31cが付勢されていない状態(スイッチオフ状態)では、リターンスプリング31dによって第2の切換位置31bに切り換えられている。一方、ソレノイドバルブ31cが付勢されると(スイッチオン状態)、リターンスプリング31dの付勢力に抗して第1の切換位置31aに切り換えられる。
【0056】
第3の流量制御装置32及び第4の流量制御装置33は、例えばフローチューブメータである。ただし、フローチューブメータに限るものではなく、例えばマスフローコントローラ、ニードルバルブ等の使用も可能である。第3の流量制御装置32の流量は、例えばO1,O2,O3,…,O7にそれぞれ設定されている。また、第4の流量制御装置33の流量は、例えばA1,A2,A3,…,A7にそれぞれ設定されている。ここで、流量O1,O2,O3,…,O7は互いに異なっている(O1≠O2≠O3≠…≠O7)。また、流量A1,A2,A3,…,A7は互いに異なっている(A1≠A2≠A3≠…≠A7)。そして、各系統毎の合計の流量(O1+A1),(O2+A2),(O3+A3),…,(O7+A7)が全て等しくなるように、各流量O1〜O7、A1〜A7はそれぞれ設定されている。したがって、各系統毎の合計の流量(O1+A1),(O2+A2),(O3+A3),…,(O7+A7)の濃度(希釈倍率)は異なったものとなる。
【0057】
各系統の第2の廃棄流路35は第1の廃棄流路8に合流して、例えばベントルームに開口している。第2の廃棄流路35には第5の流量制御装置37が設けられており、大気開放になっていない。第5の流量制御装置37は第1の連通路34の流量と等しい流量に調整されている。第5の流量制御装置37は、例えばフローメータである。ただし、フローメータに限るものではなく、例えばニードルバルブ等の使用も可能である。
【0058】
各系統の第1の連通路34はマニホールド25によって1本に集合された後、第1の供給流路38に接続され、更に嗅覚ポート2に接続されている。第1の供給流路38の途中には混合部39が設けられている。混合部39は、例えば第1の混合部6と同じものである。また、マニホールド25には、第3の廃棄流路40が接続されており、第3の廃棄流路40は洗浄液用廃棄タンク41に接続されている。
【0059】
嗅覚計1は、試料ガス流路3の第1の混合部6と分岐点7との間に試料濃度確認用のポート42を備えている。本実施形態では、試料ガス流路3の途中の2箇所に第1の混合部6と分岐点7を設けており、試料濃度確認用のポート42も2箇所に設けている。ただし、試料濃度確認用のポート42を設ける箇所数は2箇所に限るものではなく、例えば1箇所でも良く、3箇所以上でも良い。また、試料濃度確認用のポート42を設けるのを省略しても良い。試料濃度確認用のポート42は開閉可能なポートであり、嗅覚計1の使用時には閉じられている。試料濃度確認用のポート42は例えば嗅覚計管理者等が試料ガスのニオイを嗅ぐときに開いて使用される。
【0060】
また、嗅覚計1は、試料ガス流路3の分岐点7よりも上流の位置に洗浄液を供給する洗浄液供給系43と、第1の流量制御装置9を迂回する迂回流路44と、試料ガス流路3に試料ガスが流れるときには迂回流路44を閉じ、洗浄液が流れるときには迂回流路44を開く開閉弁45を備えている。本実施形態では、洗浄液供給系43を試料ガス流路3の流路3aに接続し、迂回流路44は流路3bと流路3cの間の第1の流量制御装置9を迂回している。迂回流路44は分岐点7よりも下流の位置と、合流位置5よりも上流の位置を直接接続している。洗浄液供給系43は、例えば洗浄液を貯留するタンク46と、タンク46内の洗浄液を試料ガス流路3に圧送するポンプ47より構成されている。洗浄液は、例えばエタノール等の溶剤である。
【0061】
次に、嗅覚計1の作動について説明する。
【0062】
キャリアガス源16からキャリアガスが容器12内に供給されると、容器12内の試料ガスがキャリアガスと共に試料ガス流路3に送り出される。試料ガスがキャリアガスによって送り出されることで、1回目の希釈が行なわれる。キャリアガス源16から供給されるキャリアガスの流量は流量制御装置17によって例えばc(L/min)に制御されており、キャリアガスによって気化および希釈されながら試料ガス流路3に送り出される試料ガスの流量もc(L/min)になる。一方、ガス源18からは希釈ガスが供給されており、この希釈ガスは乾燥機19、カーボンフィルタ20を通過してマニホールド21に流入し、4本の希釈ガス流路4A〜4Dに分配される。
【0063】
試料ガス流路3に送り出された試料ガスは流路3a内で第1の希釈ガス流路4Aから供給された流量の希釈ガスと合流し、第1の混合部6によって均一に混合されて希釈される。即ち、2回目の希釈が行なわれる。希釈によって試料ガスの流量は多くなる。希釈後の試料ガスは分岐点7へと流入し、第1の流量制御装置9によって制限された流量だけ試料ガス流路3の下流即ち流路3cへと流れ、その他の余分な試料ガスは分岐点7から第1の廃棄流路8へと流入する。
【0064】
いま、第1の希釈ガス流路4Aの希釈ガスの流量は流量制御装置27によって例えばx1−c(L/min)に制御されており、試料ガスの流量c(L/min)と併せて、分岐点7に流入するガスの流量はx1(=c+x1−c)(L/min)となる。第1の流量制御装置9はその流量を例えばx1−y1(L/min)に制御しており、流量y1(=x1−(x1−y1))(L/min)の試料ガスが不要になる。第1の廃棄流路8に設けられた第2の流量制御装置10はその流量を例えばy1(L/min)に制御するので、試料ガスの不要量y1と第1の廃棄流路8の流量y1とが一致する。このため、分岐点7から流路3cへと流れる試料ガスの流量x1−y1と第1の流量制御装置9によって制御される流量x1−y1とを一致させることができる。
【0065】
分岐点7から流路3cへと流れた試料ガスは流路3c内で第2の希釈ガス流路4Bから供給された希釈ガスと合流し、第1の混合部6によって均一に混合されて希釈される。即ち、3回目の希釈が行なわれる。希釈によって試料ガスの流量は多くなる。希釈後の試料ガスは2番目の分岐点7へと流入し、多段階希釈機構23によって制限された流量だけ試料ガス流路3の下流即ち多段階希釈機構23へと流れ、その他の余分な試料ガスは分岐点7から第1の廃棄流路8へと流入する。即ち、2回目の希釈では流量制御装置9が試料ガス流路3の下流側への流量を制御していたが、3回目の希釈では流量制御装置9の代わりに多段階稀釈機構23が試料ガス流路3の下流側への流量を制御しており、第1の流量制御装置として機能する。
【0066】
いま、第2の希釈ガス流路4Aの希釈ガスの流量は流量制御装置28によって例えばs(L/min)に制御されており、試料ガスの流量x1−y1(L/min)と併せて、分岐点7に流入するガスの流量はs+x1−y1(以下、x2に置き換える)(L/min)となる。多段階希釈機構23は全体の流量を例えばx2−y2(L/min)に制御しており、流量y2(=x2−(x2−y2))(L/min)の試料ガスが不要になる。第1の廃棄流路8に設けられた第2の流量制御装置10はその流量を例えばy2(L/min)に制御するので、試料ガスの不要量y2と第1の廃棄流路8の流量y2とが一致する。このため、分岐点7から多段階希釈機構23へと流れる試料ガスの流量x2−y2と多段階希釈機構23によって制御される流量x2−y2とを一致させることができる。
【0067】
試料ガス流路3の流路3dから多段階希釈機構23に導かれた流量x2−y2(L/min)の試料ガスはマニホールド36から各試料ガスサブ流路29に流入し、第3の流量制御装置32によって流量制御された後、流路切換装置31へと流入する。一方、第3の希釈ガス流路4Cからマニホールド24に流入して各希釈ガスサブ流路30に分配された希釈ガスは第4の流量制御装置33によって流量制御された後、流路切換装置31へと流入する。
【0068】
そして、流路切換装置31が第1の連通路34側(第1の切換位置31a)に切り換えられている場合には、試料ガスと希釈ガスは第1の連通路34に流入して集合通路25に導かれる。これにより、4回目の希釈が行なわれる。例えば、第1の系統では、第3の流量制御装置32の流量はO1であり、第4の流量制御装置33の流量はA1であるので、試料ガスの濃度はO1/(O1+A1)となる。また、第2の系統では、第3の流量制御装置32の流量はO2であり、第4の流量制御装置33の流量はA2であるので、試料ガスの濃度はO2/(O2+A2)となる。第3〜第7の系統についても同様である。流量の関係は、O1≠O2≠O3≠…≠O7であり、A1≠A2≠A3≠…≠A7であり、(O1+A1)=(O2+A2)=(O3+A3)=…=(O7+A7)であるので、各系統の試料ガスの濃度は異なったものとなる。
【0069】
なお、7系統の全てにおいて試料ガスと希釈ガスの両方を流路切換装置31に流すようにしても良い(O1,O2,O3,…,O7≠0、A1,A2,A3,…,A7≠0)が、いずれか一の系統で試料ガスのみを流路切換装置31に流すようにしても良い(A1=0、A2,A3,…,A7≠0)。また、いずれか一の系統で希釈ガスのみを流路切換装置31に流すようにしても良い(O1,O2,O3,…,O6≠0、O7=0)。
【0070】
一方、流路切換装置31が第2の廃棄流路35側(第2の切換位置31b)に切り換えられている場合には、試料ガスと希釈ガスは第2の廃棄流路35へと流れて廃棄される。
【0071】
7つの系統の流路切換装置31を1つずつ第1の連通路34側に切り換えることで、濃度の異なる試料ガスをその流量を変えずに1つずつ切り換えて集合通路25に供給することができる。一方、流路切換装置31が第2の廃棄流路35側に切り換えられている系統では、試料ガスは第2の廃棄流路35に流されている。
【0072】
各系統の合計の流量は、例えばw(=(O1+A1)=(O2+A2)=(O3+A3)=…=(O7+A7))(L/min)であり、集合通路25に接続される流路が切り換えられてもガス流量は一定である。
【0073】
また、第2の廃棄流路35の第5の流量制御装置37は、第2の廃棄流路35の流量を第1の連通路34の流量と等しい流量、即ちw(L/min)に調整している。このため、流路切換装置31をいずれの位置に切り換えても試料ガスの流量は変化せず、流路切換時に嗅覚ポート2に供給される試料ガスの圧力が一時的に変動して流量が変動するのを抑制することができる。
【0074】
集合通路25に流入した流量w(L/min)の試料ガスは、第1のキャリアガス供給系4Dから供給された流量v(L/min)のキャリアガスと合流し、混合部39によって均一に混合されて希釈される。これにより5回目の希釈が行なわれる。また、キャリアガスの供給によって試料ガスの流れは流速及び流量を増し、嗅覚ポート2に迅速に到達し、パネル(検査員)に提示される。例えば、集合通路25に流入した流量5(=w)(L/min)の試料ガスを流量25(=v)(L/min)希釈ガスで希釈し、流量30(L/min)の試料ガスをパネルに提示することができる。
【0075】
多段階希釈機構23では、各系統毎に濃度の異なる試料ガスが形成されるので、7段階に濃度を調整した試料の中から一の濃度の試料を選択してパネルに提示することができる。
【0076】
例えば、2回目の希釈後の試料ガスが分岐点7に流入する量x1が10(L/min)、3回目の希釈後の試料ガスが分岐点7に流入する量x2が10(L/min)、第3の希釈ガス流路4Cの流量が30〜35(L/min)、流量制御装置26によって制限される第1のキャリアガス供給系の流量vが25(L/min)、第1の連通路34の流量wが5(L/min)、第5の流量制御装置37によって制限される第2の廃棄流路35の流量wが5(L/min)、第1の供給流路38の流量が30(L/min)、第1の廃棄流路8と第2の廃棄流路35を集合させた流量が25〜30(L/min)となっている。
【0077】
また、多段階稀釈機構23の希釈ステップ(fold)は、例えばニオイ有無の識別率が約95%から5%になるように調整され、且つ90%の検査員(無嗅覚症をスクリーニングした後の検査員)をカバーできるように調整されている。例えば、流量O1が5000.0(mL/min)、流量O2が1666.7(mL/min)、流量O3が555.6(mL/min)、流量O4が185.2(mL/min)、流量O5が61.7(mL/min)、流量O6が20.6(mL/min)、流量O7が6.9(mL/min)、流量A1が0.0(mL/min)、流量A2が3333.3(mL/min)、流量A3が4444.4(mL/min)、流量A4が4814.8(mL/min)、流量A5が4938.3(mL/min)、流量A6が4979.4(mL/min)、流量A7が4993.1(mL/min)である。これにより、各段(各系統)の稀釈倍率は、1段目が1,2段目が3,3段目が9,4段目が27,5段目が81,6段目が243,7段目が729となる。そして、各段の第1の連通路34の流量は5000(mL/min)となり、第2の廃棄流路35の流量も5000(mL/min)となる。
【0078】
なお、使用する第3の流量制御装置32の容量は、1段目が5000.0(mL/min),2段目が3000.0(mL/min),3段目が1000.0(mL/min),4段目が200.0(mL/min),5段目が100.0(mL/min),6段目が50.0(mL/min),7段目が7.0(mL/min)である。
【0079】
嗅覚計1では、試料ガスの希釈ガスやキャリアガスとして窒素ガスと空気を使用している。窒素ガスの他に空気を使用することで、高価な窒素ガスの使用量を減らしコストを安くすることができる共に、嗅覚ポート2から搬出する試料ガスを通常の大気に近い状態にすることができる。その一方で、容器12内へは窒素ガスを供給するので、ニオイの変化を最小限に抑えることができる。
【0080】
本発明の嗅覚計1では、2回目の希釈後において、分岐点7から流路3cへと流れる試料ガスの流量x1−y1と第1の流量制御装置9によって制御される流量x1−y1とを一致させることができる。このため、希釈後の試料ガスの圧力を一定に保つことができ、第1の流量制御装置9による流量制御をより高精度に行なうことができる。この結果、流路3cへと供給する試料ガスの流量コントロールや濃度コントロールが容易になり、パネルに提示する試料ガスの濃度を高精度に調整することができる。
【0081】
また、3回目の希釈後において、分岐点7から流路3dへと流れる試料ガスの流量x2−y2と第1の流量制御装置9と同様に機能する多段階稀釈機構23によって制御される流量x2−y2とを一致させることができる。このため、希釈後の試料ガスの圧力を一定に保つことができ、多段階稀釈機構23による流量制御をより高精度に行なうことができる。この結果、第1の連通路34へと供給する試料ガスの流量コントロールや濃度コントロールが容易になり、パネルに提示する試料ガスの濃度を高精度に調整することができる。
【0082】
また、嗅覚計1は試料ガスを吸引するポンプや圧力調整のための減圧弁が不要な構造であり、これらの機器類へのニオイ付着が問題になることがない。このため、コンタミネーションの防止を図ることができる。
【0083】
また、多段階希釈機構23を備えているので、濃度の異なる試料ガスを流量を変えずに1つずつ切り換えて嗅覚ポート2に供給することができる。このように、濃度の異なる試料ガスを1つずつ切り換えて嗅覚ポート2に供給することができるため、試料ガスのニオイを感じる濃度の閾値測定に適している。しかも、嗅覚ポート2に供給する試料ガスの濃度を変えてもその流量は変化しないので、流量の変化によってニオイの感じ方が変化するのを防止することができ、正確に閾値測定を行うことができる。さらに、流路切換装置31が第2の廃棄流路35側に切り換えられている系統では、試料ガスは第2の廃棄流路35に流されており、流れを止めることがないので、流れの停滞によってニオイが溜まり流路切換直後の流し始めにニオイが強くなる現象の発生を防止することができ、この点からも正確に閾値測定を行うことができる。
【0084】
また、第2の廃棄流路35に第5の流量制御装置37を設け、試料ガスが流路切換装置31から第1の連通路34へと流れる場合の流量と、流路切換装置31から第2の廃棄流路35へと流れる場合の流量を等しくしている。このため、流路切換装置31の切換による試料ガスの流量変動を抑制することができる。したがって、各系統の流路切換装置31を次々に切り換えて嗅覚ポート2に供給する試料ガスの濃度を変えてもその流量を一定に維持できるので、流量の変化によってニオイの感じ方が変化するのを防止することができ、より一層正確に閾値測定を行うことができる。即ち、流路切換装置31の開閉状態に左右されずに、装置内圧力を一定に保つことができる。また、希釈ガスの流量に左右されずに、装置内圧力を一定に保つことができる。これらにより、流量が一定に調整できてサンプル濃度を正確に調整することができると共に、希釈倍率の調整が広がり、幅広い濃度サンプル(ニオイが強い〜弱い)が調整することができる。
【0085】
さらに、多段階希釈機構23を通り抜けた試料ガスにキャリアガスを合流させる第1のキャリアガス供給系4Dを備えているので、希釈した試料ガスの流速を増加させて迅速に嗅覚ポート2に到達させることができ、試料ガスが嗅覚ポート2に到達するまでのタイムラグを短くすることができる。また、キャリアガスによって試料ガスを更に希釈することができる。さらに、試料ガスの流量を増やすことができ、パネルの呼吸に必要な流量の確保が容易になる。
【0086】
嗅覚計管理者が試料ガスのニオイの強さを確認する場合には、試料濃度確認用のポート42を使用する。本実施形態では、2箇所に試料濃度確認用のポート42を設けているので、2回目の希釈後の試料ガスのニオイと、3回目の希釈後の試料ガスのニオイを直接嗅ぐことができる。このため、嗅覚計管理者が自分の嗅覚によって希釈後の試料ガスのニオイ強度を確認することができ、ニオイが強いと判断した場合には稀釈倍率を変える等の手段を講じることができるので、極端に強いニオイの試料ガスが試料ガス流路3の下流へと流れるのを防止することができる。強いニオイの試料ガスが流れるのを防止できるので、その下流側でのニオイの付着を未然に防いでコンタミネーションを防止することができる。
【0087】
試料ガス流路3を洗浄する場合には、開閉弁45を操作して迂回流路44を開き、洗浄液供給系43のポンプ47を作動させる。ポンプ47の作動によってタンク46内の洗浄液が流路3aに圧送され、流路3a→第1の混合部6→流路3b→迂回流路44→流路3c→第1の混合部6→流路3d→多段階希釈機構23→第2の廃棄流路35へと流れ、洗浄を行なう。迂回流路44を設けているので、第1の流量制御装置9は洗浄液によるダメージを受けることはない。また、洗浄液の一部は流路3bの分岐点7から第1の廃棄流路8へと流れたり、流路3dの分岐点7から第1の廃棄流路8へと流れ、洗浄を行なう。したがって、仮にこれらの流路にニオイが付着したとしても、付着したニオイを洗い流すことができる。このため、コンタミネーションを防止することができる。
【0088】
洗浄後、ポンプ47を停止し、流路内に残る洗浄液を洗浄液用廃棄タンク41内に回収した後、開閉弁45を操作して迂回流路44を閉じる。これによって、第1の流量制御装置9による流量制御が可能になり、嗅覚計1を使用することができる。
【0089】
次に、相互作用測定装置について説明する。図4に、本発明の相互作用測定装置51の実施形態の一例を示す。相互作用測定装置51は、嗅覚計1を複数備えると共に、嗅覚計1によって希釈された試料ガスを合流させる合流路48と、合流路48で合流した試料ガスを混合させる第2の混合部49と、第2の混合部49によって混合された試料ガスを嗅覚ポート2に導く第2の連通路50を備えている。
【0090】
なお、本実施形態では、相互作用測定装置51を構成する嗅覚計1の第1のキャリアガス供給系4Dは省略されている。その代わり、複数の試料ガスを迅速に混合することを目的として、各嗅覚計1から供給された試料ガスを合流させた流れにキャリアガスを合流させる第2のキャリアガス供給系52を備えている。本実施形態では、2重の第2のキャリアガス供給系52を備えている。ただし、第1のキャリアガス供給系4Dを省略せずに、第2のキャリアガス供給系52を設けても良い。
【0091】
嗅覚計1は、例えば4台設けられている。ただし、4台に限るものではなく、例えば2台、3台、5台以上でも良い。各嗅覚計1の第1の供給流路38は合流路48によって合流された後、第2の供給流路53よって混合流路54に導かれる。合流路48には前側の第2のキャリアガス供給系52が、混合流路54には後側の第2のキャリアガス供給系52がそれぞれ接続されている。混合流路54は第3の供給流路55によって混合部49に接続され、更に第2の連通路50によって嗅覚ポート2に接続されている。
【0092】
各嗅覚計1の容器12には、例えば異なる種類のニオイ物質11が収容されている。各嗅覚計1の容器12は、例えば共通のウォータバス13に入れられている。ただし、各嗅覚計1の容器12を別々のウォータバス13に入れても良く、いくつかのグループに分けてグループ毎に共通のウォータバス13に入れても良い。複数のウォータバス13を使用する場合には、ニオイ物質11を揮発させる温度を相違させることができる。また、各嗅覚計1の容器12に同一のキャリアガス源16からキャリアガスを供給しても良いし、別々のキャリアガス源16からキャリアガスを供給しても良い。
【0093】
第2のキャリアガス供給系52のキャリアガスは、例えば無臭の空気である。キャリアガスを供給するガス源18は、乾燥機19とカーボンフィルタ20を通過してマニホールド56に供給される。なお、ガス源18として、嗅覚計1のガス源18を利用しても良いし、嗅覚計1のガス源18とは別のガス源を準備してそれを使用しても良い。
【0094】
マニホールド56からは前側の第2のキャリアガス供給系52と後側の第2のキャリアガス供給系52が分岐している。前側の第2のキャリアガス供給系52には流量制御装置57が設けられており、その流量を例えばu(L/min)に制限している。流量制御装置57は、例えばフローメータである。ただし、フローメータに限るものではなく、例えばマスフローコントローラ、ニードルバルブ等の使用も可能である。また、後側の第2のキャリアガス供給系52には流量制御装置58が設けられており、その流量を例えばt(L/min)に制限している。流量制御装置58は、例えばフローメータである。ただし、フローメータに限るものではなく、例えばマスフローコントローラ、ニードルバルブ等の使用も可能である。
【0095】
次に、相互作用測定装置51の作動について説明する。
【0096】
各嗅覚計1によって希釈された試料ガスは合流路48に流入して合流する。場合によっては、試料ガスではなくブランクガスが合流することもある。しかし双方の場合とも常に総流量は等しく調整されている。また、合流路48には前側の第2のキャリアガス供給系52からキャリアガスが供給される。いま、4台の嗅覚計1からそれぞれw(L/min)の試料ガスが供給されており、前側の第2のキャリアガス供給系52からu(L/min)のキャリアガスが供給されるので、第2の供給流路53には流量4w+u(L/min)のガスが流入し、さらに、混合流路54には後側の第2のキャリアガス供給系52からt(L/min)のキャリアガスが供給されるので、第3の供給流路55には流量4w+u+t(L/min)のガスが流入する。このガスは混合部49で均一に混合された後、第2の連通路50から嗅覚ポート2に供給され、パネルに提示される。試料ガスの流れにキャリアガスを供給することで試料ガスの流れは流速及び流量を増すので、試料ガスは嗅覚ポート2に迅速に到達し、パネルに提示される。
【0097】
本発明の相互作用測定装置51では、各嗅覚計1によって希釈された試料ガスを均一に混合して嗅覚ポート2に供給することができる。各嗅覚計1によって試料ガスは正確に希釈されており、また、正確な流量で供給されているので、各試料ガスを正確に混合でき、試料ガスの相互作用を正確に測定することができる。また、試料ガスは嗅覚ポート2に供給される直前に混合されるので、試料ガス同士が反応して変質しニオイに影響するのを抑制することができ、この点からも試料ガスの相互作用を正確に測定することができる。さらに、各嗅覚計1によって試料ガスの濃度や種類を変えるのは容易であり、混合する試料ガスの濃度や種類を変化させて嗅覚ポート2に供給する試料ガスを変化させるのが容易である。各嗅覚計1から供給される試料ガスは、異なる種類の試料ガスでも良く、同じ種類の試料ガスであって濃度が異なるものでも良い。
【0098】
また、4台全ての嗅覚計1の試料ガスを同時に混合させる必要はなく、一部の嗅覚計1の試料ガスを組み合わせて混合させると共にその組み合わせを変化させるようにしても良い。例えば、混合させる試料ガスの組み合わせを、(第1の嗅覚計1、第2の嗅覚計1)、(第1の嗅覚計1、第3の嗅覚計1)、(第1の嗅覚計1、第4の嗅覚計1)、(第2の嗅覚計1、第3の嗅覚計1)、…等のように変化させても良い。
【0099】
また、合流後の試料ガスにキャリアガスを合流させる第2のキャリアガス供給系52を備えているので、混合した試料ガスの流速を増加させて迅速に嗅覚ポート2に到達させることができ、試料ガスが嗅覚ポート2に到達するまでのタイムラグを短くすることができる。また、キャリアガスによって試料ガスを更に希釈することができる。さらに、試料ガスの流量を増やすことができ、パネルの呼吸に必要な流量の確保が容易になる。
【0100】
例えば、流量制御装置57によって制限される前側の第2のキャリアガス供給系52の流量uは5(L/min)、流量制御装置58によって制限される後側の第2のキャリアガス供給系52の流量tは15(L/min)、第2の供給流路53の流量は15(L/min)、第3の供給流路55の流量は30(L/min)となっている。
【0101】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
【0102】
例えば、上述の説明では、嗅覚計1(相互作用測定装置51の嗅覚計1も含む。以下、同じ。)は試料濃度確認用のポート42を備えていたが、試料濃度確認用のポート42を省略しても良い。
【0103】
また、上述の説明では、嗅覚計1は洗浄液供給系43と迂回流路44を備えていたが、これらを省略しても良い。
【0104】
また、上述の説明では、嗅覚計1は多段階稀釈機構23を備えていたが、多段階稀釈機構23を省略しても良い。なお、多段階稀釈機構23を省略した場合には、流路3dから試料ガスを嗅覚ポート2へと導くようにすることが好ましい。
【0105】
また、上述の説明では、嗅覚計1は第1のキャリアガス供給系4Dを備えていたが、第1のキャリアガス供給系4Dを省略しても良い。
【0106】
また、上述の説明では、相互作用測定装置51は第2のキャリアガス供給系52を備えていたが、第2のキャリアガス供給系52を省略しても良い。
【0107】
また、上述の説明では、多段階稀釈機構23の流路を7系統設け、7段階の希釈を行うことをできるようにしていたが、系統の数は7に限るものではない。
【0108】
また、多段階稀釈機構23の流路切換装置31を3ポート弁にしても良い。この場合の流路切換装置31を図5に示す。試料ガスサブ流路29と希釈ガスサブ流路30とを合流させた後、流路切換装置31に接続する。この流路切換装置31は、第1の切換位置31aでは試料ガスサブ流路29と希釈ガスサブ流路30の合流路を第1の連通路34に連通させ、第2の切換位置31bでは試料ガスサブ流路29と希釈ガスサブ流路30の合流路を第2の廃棄流路35に連通させる。ソレノイドバルブ31cが付勢されていない状態(スイッチオフ状態)では、リターンスプリング31dによって第2の切換位置31bに切り換えられている。一方、ソレノイドバルブ31cが付勢されると(スイッチオン状態)、リターンスプリング31dの付勢力に抗して第1の切換位置31aに切り換えられる。
【実施例1】
【0109】
(閾値の測定1)
本発明の嗅覚計1を閾値測定装置として使用し実際に閾値測定を行なった。測定の対象として、ニオイ物質であるGamma-butyrolactoneを嗅覚計1にて、一定の気相濃度に調整し試料ガスとした後、パネル20名(女性12名、20〜40代、健康体、繰返し2回)にて官能評価(2/5識別法、上昇系列法)を行い、ニオイ閾値を測定した。その結果を図6に示した。試料ガスの提示条件は、各サンプル3秒間の提示、次トライアルまでの休憩時間15秒であった。なお調整された気相濃度は、ヘッドスペース固相マイクロ抽出法にて抽出し、ガスクロマトグラフ質量分析計、水素炎イオン化検出ガスクロマトグラフを用いて分析し、気相濃度を算出した。なお、図6より、ニオイ閾値は113(ppm)であり、95%信頼限界は59〜261(ppm)であった。このように、本発明の嗅覚計1を閾値測定装置(2/5識別法、上昇系列法)として使用できること及びその使用に適していることを確認できた。
【実施例2】
【0110】
(閾値の測定2)
本発明の嗅覚計1を閾値測定装置として使用し実際に閾値測定を行なった。測定の対象として、ニオイ物質であるGamma-butyrolactoneを嗅覚計1にて、一定の気相濃度に調整し試料ガスとした後、パネル25名(女性13名、20〜55代、健康体)にて官能評価(2AFC-modified staircase法)を行い、ニオイ閾値を測定した。その結果(個々のデータは一部抜粋)を表1に示した。また、本装置にて調整された試料ガスの濃度は、0.12、0.25、0.49、0.98、1.95、3.90、7.81、15.63、31.25、62.50、125.00、250.00、500.00、1000.00、1500.00、2000.00(全てppm)であった。試料ガスの提示条件は、各サンプル3秒間の提示、次トライアルまでの休憩時間15秒である。なお調整された気相濃度は、ヘッドスペース固相マイクロ抽出法にて抽出し、ガスクロマトグラフ質量分析計、水素炎イオン化検出ガスクロマトグラフを用いて分析し、気相濃度を算出した。なお、表1より、ニオイ閾値は213.8(ppm)であった。このように、本発明の嗅覚計1を閾値測定装置(2AFC-modified staircase法)として使用できること及びその使用に適していることを確認できた。
【表1】

【0111】
上記2種類の測定からも明らかなように、本発明の嗅覚計1は閾値測定装置としての使用に適している。しかも、種々の測定法を実施できる汎用性の高い閾値測定装置として使用することができる。上記2種類の測定法の他にも、例えば、識別法、恒常法等の使用が可能である。
【実施例3】
【0112】
(相互作用の測定)
本発明の相互作用測定装置51を使用して相互作用の測定を行なった。測定の対象として、ニオイ物質であるコーヒー香料(小川香料社製)とコーヒーリカバリー(小川香料社製)を相互作用測定装置51にて、混合物状態を作成し、一定の気相濃度に調整し試料ガスとした後、パネル20名(女性12名、20〜40代、健康体、繰返し2回)にて官能評価(5段階尺度法)を行い、ニオイ強度を測定した。官能評価に使用した採点基準は、強く感じる:5点、若干強く感じる:4点、中程度:3点、若干弱く感じる:2点、弱く感じる:1点である。その結果を図7に示した。図7より、コーヒーリカバリー(小川香料社製)を添加することでニオイ強度があがった。このように、本発明の相互作用測定装置は成分間相互作用の有無を精確に測定することが確認できた。
【0113】
この結果、本発明の相互作用測定装置は相互作用の測定に適していることを確認できた。
【実施例4】
【0114】
(気相濃度の測定1)
本発明の嗅覚計1によって目的の濃度の試料ガスが得られるか否かを確認する測定を行なった。本発明の嗅覚計1によって、調整された試料ガス(Acetic acid)は、ヘッドスペース固相マイクロ抽出法(DVB/carboxen/PDMS)にて抽出し、ガスクロマトグラフ質量分析計、水素炎イオン化検出ガスクロマトグラフを用いて分析し、気相濃度を算出した。その結果を図8に示した。カラムはStabilwax(30m×0.32mm×1μm)を使用した。カラムオーブンの温度は60℃で4分間維持した後、毎分6℃ずつ230℃まで上昇させた。
【0115】
図8からも明らかなように、設定値と実測値で直線性が得られた。つまり目的の設定値を正確に調整できた。
【実施例5】
【0116】
(気相濃度の測定2)
本発明の相互作用測定装置51によって試料ガスを正確に調整できることを確認するための実験を行なった。本発明の相互作用測定装置51によって、設定条件(a:単一のチャンバー(嗅覚計1)を稼動(閾値測定時)、b:複数のチャンバーを稼動(相互作用測定時)、c:1段希釈ラインを稼動(検査対象である試料ガスとは異なるラインにおいて)、d:2段希釈ラインを稼動(検査対象である試料ガスとは異なるラインにおいて))が異なる環境下において、試料ガス(Acetic acid)を調整し、ヘッドスペース固相マイクロ抽出法(DVB/carboxen/PDMS)にて抽出し、ガスクロマトグラフ質量分析計、水素炎イオン化検出ガスクロマトグラフを用いて分析し、気相濃度を算出した。その結果を図9に示した。カラムはStabilwax(30m×0.32mm×1μm)を使用した。カラムオーブンの温度は60℃で4分間維持した後、毎分6℃ずつ230℃まで上昇させた。なお、図9のグラフa〜dは上述の設定条件a〜dのグラフである。4種類のグラフa〜dは殆ど一致しており、図9では殆ど重なって示されている。
【0117】
図9から明らかなように、検査対象である試料ガスの気相濃度は、設定条件に左右されることなく正確に調整できた。
【実施例6】
【0118】
(装置内圧力の測定)
ニオイ切り替えバルブ(流路切換装置31)の切替時の装置内圧力の変動を測定した。その結果を図10に示した。図10において、縦軸は嗅覚ポートの圧力(Pa)、横軸は時間(ms)である。また、バルブ切替のタイミングは6000msの時点である。図10からも明らかなように、ニオイ切り替えバルブの閉開に左右されずに、装置内圧力を一定に調整できた。このことからニオイ切り替えバルブの切替に左右されることなく一定した濃度の試料ガスをパネル(被験者)に対して提示することが実現できることを確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明の嗅覚計の実施形態の一例を示す概略構成図である。
【図2】嗅覚計の第1の混合部の一例を示し、(A)はその斜視図、(B)はその平面図、(C)はその断面図である。
【図3】嗅覚計の流路切換装置の一例を示す概略構成図である。
【図4】本発明の相互作用測定装置の実施形態の一例を示す概略構成図である。
【図5】嗅覚計の流路切換装置の他の例を示す概略構成図である。
【図6】本発明の嗅覚計を使用して行なった閾値測定の結果(ニオイ識別率の測定結果)を示す図である。
【図7】本発明の相互作用測定装置を使用して行なった相互作用の測定の結果を示す図である。
【図8】本発明の嗅覚計を使用して濃度調整した試料ガスが目的の濃度になっているか否かを確認する測定の結果(試料ガスの測定結果)を示す図である。
【図9】本発明の相互作用測定装置を使用して試料ガスを正確に調整できることを確認する実験の結果(試料ガスの測定結果)を示す図である。
【図10】ニオイ切り替えバルブ(流路切換装置)の切替時の装置内圧力の測定結果を示す図である。
【図11】従来の嗅覚計の2段希釈機構を示す概略構成図である。
【図12】従来の他の嗅覚計を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0120】
1 嗅覚計
2 嗅覚ポート
3 試料ガス流路
4 希釈ガス流路
4D 第1のキャリアガス供給系
5 試料ガス流路の希釈ガス流路が合流する位置
6 第1の混合部
7 分岐点
8 第1の廃棄流路
9 第1の流量制御装置
10 第2の流量制御装置
23 多段階希釈機構
29 試料ガスサブ流路
30 希釈ガスサブ流路
31 流路切換装置
32 第3の流量制御装置
33 第4の流量制御装置
34 第1の連通路
35 第2の廃棄流路
37 第5の流量制御装置
42 試料濃度確認用のポート
43 洗浄液供給系
44 迂回流路
45 開閉弁
48 合流路
48 合流路
49 第2の混合部
50 第2の連通路
51 相互作用測定装置
52 第2のキャリアガス供給系

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料ガスを希釈ガスによって希釈して嗅覚ポートに供給する嗅覚計において、前記試料ガスが流される試料ガス流路と、前記試料ガス流路に合流し、前記希釈ガスが流される希釈ガス流路と、前記試料ガス流路の前記希釈ガス流路が合流する位置よりも下流に設けられ、前記試料ガスと前記希釈ガスとを均一に混合する第1の混合部と、前記試料ガス流路の前記第1の混合部よりも下流に設けられ流量x(L/min)のガスが流入する分岐点から分岐する第1の廃棄流路を備え、前記試料ガス流路の前記分岐点よりも下流に第1の流量制御装置を設けてガスの流量をx−y(L/min)に制御すると共に、前記第1の廃棄流路に第2の流量制御装置を設けてガスの流量をy(L/min)に制御することを特徴とする嗅覚計。
【請求項2】
前記試料ガス流路の前記第1の混合部と前記分岐点との間に試料濃度確認用のポートを備えることを特徴とする請求項1記載の嗅覚計。
【請求項3】
前記試料ガス流路の前記分岐点よりも上流の位置に洗浄液を供給する洗浄液供給系と、前記第1の流量制御装置を迂回する迂回流路と、前記試料ガス流路に前記試料ガスが流れるときには前記迂回流路を閉じ、前記洗浄液が流れるときには前記迂回流路を開く開閉弁を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の嗅覚計。
【請求項4】
前記試料ガス流路と前記嗅覚ポートとの間に多段階希釈機構を設け、前記多段階希釈機構は、前記試料ガス流路から分岐する複数の試料ガスサブ流路と、前記試料ガスサブ流路に対応して同数設けられた希釈ガスサブ流路及び流路切換装置と、前記試料ガスサブ流路に設けられた第3の流量制御装置と、前記希釈ガスサブ流路に設けられた第4の流量制御装置を備え、前記流路切換装置は、対応する前記試料ガスサブ流路と前記希釈ガスサブ流路とを一緒に前記嗅覚ポートへと続く第1の連通路と第2の廃棄流路とのいずれか一方に切換可能に連通させるものであり、前記第3の流量制御装置の流量は前記試料ガスサブ流路毎に異なると共に、前記第4の流量制御装置の流量は前記希釈ガスサブ流路毎に異なっており、且つ前記第3の流量制御装置の流量と前記第4の流量制御装置の流量は、対応するもの同士を合計した流量が全て等しいことを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の嗅覚計。
【請求項5】
前記第2の廃棄流路には第5の流量制御装置が設けられており、前記第5の流量制御装置は前記第1の連通路の流量と等しい流量に調整されていることを特徴とする請求項4記載の嗅覚計。
【請求項6】
前記多段階希釈機構を通り抜けた試料ガスにキャリアガスを合流させる第1のキャリアガス供給系を備えることを特徴とする請求項4又は5記載の嗅覚計。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1つに記載の嗅覚計を複数備えると共に、前記嗅覚計によって希釈された試料ガスを合流させる合流路と、前記合流路で合流した試料ガスを混合させる第2の混合部と、前記第2の混合部によって混合された試料ガスを嗅覚ポートに導く第2の連通路を備えることを特徴とする相互作用測定装置。
【請求項8】
合流後の試料ガスにキャリアガスを合流させる第2のキャリアガス供給系を備えることを特徴とする請求項7記載の相互作用測定装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図7】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−20208(P2008−20208A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−189727(P2006−189727)
【出願日】平成18年7月10日(2006.7.10)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2006年7月11日〜13日 日本味と匂学会主催の「日本味と匂学会第40回大会」において文書をもって発表
【出願人】(591011410)小川香料株式会社 (173)
【出願人】(599150263)
【氏名又は名称原語表記】Monell Chemical Senses Center
【Fターム(参考)】