噴射装置、および噴出器
【課題】一般人はもちろんのこと、特に握力が弱くなったり、関節の自由度が低下したりしている高齢者や障害者などに、使い勝手のよいトリガー式の噴射装置および噴出器を提供する。
【解決手段】容器10の口部10aに取り付け、トリガーレバー23を操作してステム17を押し込み、そのステムを通して容器10の内容物を噴射口28から噴射する噴射装置Pにおいて、噴射口28を有する噴射部材24を、トリガーレバー23により妨げられることなくステム17に対してそれを中心として回動自在に取り付けるものである。例えば、噴射部材24をトリガーレバー23の外部上に設けて、そのトリガーレバーにより妨げられることなくステム17に対して噴射部材24を回動自在に取り付ける。および、そのような噴射装置Pを容器10の口部10aに取り付けた噴出器である。
【解決手段】容器10の口部10aに取り付け、トリガーレバー23を操作してステム17を押し込み、そのステムを通して容器10の内容物を噴射口28から噴射する噴射装置Pにおいて、噴射口28を有する噴射部材24を、トリガーレバー23により妨げられることなくステム17に対してそれを中心として回動自在に取り付けるものである。例えば、噴射部材24をトリガーレバー23の外部上に設けて、そのトリガーレバーにより妨げられることなくステム17に対して噴射部材24を回動自在に取り付ける。および、そのような噴射装置Pを容器10の口部10aに取り付けた噴出器である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、容器の口部に取り付け、トリガーレバーを操作してステムを押し込み、容器の内容物を、ステムを通して噴射部材の噴射口から外部に向けて噴射する噴射装置に関する。および、そのような噴射装置を容器の口部に取り付けた、化粧用、整髪用等の噴出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トリガー式噴出器では、例えば図11に示すように、容器1を持ってトリガーレバー2に人指し指等を掛け、トリガーレバー2を支軸3を支点として矢示方向に回動することによりステム4を押し込み、ポンプ式では容器1の内容物を汲み上げ、エアゾール式では噴射剤の圧力で容器1の内容物を押し出し、ステム4を通してそのステム4に取り付ける噴射部材5の噴射口6から外部へと噴射していた。
【0003】
【特許文献1】特開2003−230854号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、このような従来のトリガー式噴出器では、トリガーレバー2は、支軸3で支柱部7に取り付けてなり、操作方向である垂直面方向には回動できるが、ステム4まわりの水平面方向には回動できなかった。よって、トリガーレバー2内に位置する噴射部材5も、トリガーレバー2により回動を妨げられてステム4まわりには回動することができず、トリガーレバー2の操作方向に対して内容物の噴射方向が固定されていた。
【0005】
この種の噴出器がヘアスプレーである場合には、図12に示すような前頭部aや首まわりb、また図13に示すような後頭部cなどに噴射液を塗布することとなる。例えば、首まわりbに実際に塗布する場合には、図14に示すように使用したり、図15に示すように使用したりすることとなり、使い勝手がよいときと悪いときとがあった。
【0006】
従来、手首を返して使用しなければならず、使い勝手が悪いときには、図16に示すようにトリガーレバー2に親指を掛けて使用したりもしていたが、この場合にも、持ち手がゆるくなったりして使いにくい場合があることは否めなかった。
【0007】
そこで、この発明の目的は、一般人はもちろん、特に握力が弱くなったり、関節の自由度が低下したりしている高齢者や障害者などに、使い勝手のよいトリガー式の噴射装置および噴出器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのため、請求項1ないし4に記載の発明は、容器の口部に取り付け、トリガーレバーを操作してステムを押し込み、そのステムを通して容器の内容物を噴射口から噴射する噴射装置において、噴射口を有する噴射部材を、トリガーレバーにより妨げられることなくステムに対して回動自在に取り付けるものである。例えば、噴射部材をトリガーレバーの外部上に設けて、そのトリガーレバーにより妨げられることなくステムに対してそれを中心として回動自在に噴射部材を取り付ける。
【0009】
そして、容器の口部に取り付け、使用時には、内容物を塗布する噴射目的部位に合わせて、噴射部材をステムまわりに適宜回動し、トリガーレバーの操作方向に対する噴射部材の噴射口からの内容物の噴射向きを変更する。
【0010】
噴射部材には、指を当ててステムの押し下げを可能とする指当て部を設けるとよく、またトリガーレバーにカバー部材を回動自在に取り付け、そのカバー部材で噴射部材を被うとともに、そのカバー部材を回動するとき噴射部材もともに回動するとよい。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか1に記載の噴射装置を、容器の口部に取り付けることを特徴とする、ポンプ式噴出器である。また、請求項6に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか1に記載の噴射装置を、容器の口部に取り付けることを特徴とする、エアゾール式噴出器である。
【発明の効果】
【0012】
したがって、請求項1ないし4に記載の発明によれば、容器の口部に取り付け、使用時には、噴射目的部位に合わせて、噴射部材をステムまわりに適宜回動し、トリガーレバーの操作方向に対する内容物の噴射向きを変更するので、従来のようにトリガーレバーの操作方向に対して内容物の噴射方向が固定されず、例えば自分の後頭部に噴射する場合などに使い勝手のよいトリガー式の噴射装置を提供することができる。特に、握力が弱くなったり、関節の自由度が低下したりしている高齢者や障害者などに有用である。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、噴射部材に、指を当ててステムの押し下げを可能とする指当て部を設けるので、トリガー式のみならず、プッシュ式としても使用することができ、噴射目的部位や使用者の身体的障害の状況などに応じて適宜選択的にトリガーレバーを回動したり噴射部材を押し下げたりして使用することで、使い勝手を一層向上することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、カバー部材で噴射部材を被うので、ステムへの取り付け部分を見えないように隠して外観を向上することができる。
【0015】
請求項5および6に記載の発明によれば、使用時には、噴射目的部位に合わせて、噴射部材をステムに対して適宜回動し、トリガーレバーの操作方向に対する内容物の噴射向きを変更するので、トリガーレバーの操作方向に対して内容物の噴射方向が固定されず、例えば自分の後頭部に噴射する場合などに使い勝手のよいポンプ式およびエアゾール式の噴出器を提供することができる。特に、握力が弱くなったり、関節の自由度が低下したりしている高齢者や障害者などに有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、この発明の実施の最良形態につき説明する。
図1には往復ポンプ式の噴出器の外観を、図2にはその中央縦断面を示す。
【0017】
図中符号10は、容器である。容器10は、プラスチック材料でボトル形状につくり、その口部10a外周に雄ネジを設け、図示省略するが、この例では、内部に、内容物として整髪用の噴射液を収納する。
【0018】
その容器10の口部10aには、ポンプ式噴射装置Pを取り付ける。
ポンプ式噴射装置Pには、ネジキャップ11を設ける。ネジキャップ11は、内周に雌ネジを有するとともに、頂部中央に中心孔をあけてなる。そして、頂部をシリンダ12のフランジ12a上に乗せ、容器10の口部10aに被せてネジ付けてなる。
【0019】
そのシリンダ12には、フランジ12aを設けるとともに、径方向に貫通する空気吸込み孔12bをあけ、ネジキャップ11の中心孔を通して上端部を上向きに突出する。他方、シリンダ12の下部は、内部に、吸込口12cと管取付口12dを続けて設ける。そして、その管取付口12d内にパイプ13の上端部を圧入し、そのパイプ13内と吸込口12cとを連通してなる。反対に、吸込口12cのすぐ上には、下方に向けて漸次小径となる弁座を続けて設ける。
【0020】
このようなシリンダ12内には、ボール状の逆止弁14を入れて弁座上に乗せてから、コイルスプリング15を挿入して段部上に乗せる。その後、開閉弁16を取り付けた、ピストンを兼ねるステム17を入れ、コイルスプリング15上に乗せる。ステム17は、管状で、内部に噴出路17aを設け、その噴出路17aと連通して径方向に横孔17bを設け、その横孔17b位置の外周に円周溝を形成する。
【0021】
一方、開閉弁16は、円筒形状で、中間部に内面から内向きに突出して環状凸部16aを設ける。そして、その環状凸部16aを前記円周溝内にはめ付け、開閉弁16の外周上下部をシリンダ12の内周面に摺動自在に押し当ててなる。
【0022】
ところで、シリンダ12の上端には、カラーリング18を設ける。そのカラーリング18は、外筒部と内筒部とを同心で形成し、外筒部からは支柱部18aを斜め上向きにのばす。そして、シリンダ12内に内筒部を入れて下端を前記開閉弁16の上端に突き当て、ステム17を介してコイルスプリング15を少し圧縮するとともに、外筒部をシリンダ12の上端部に被せて掛け止めしてなる。
【0023】
これにより、コイルスプリング15の付勢力でステム17を押し上げ、その円周溝の下段部を前記開閉弁16の環状凸部16aの下面に押し当てて、噴出路17aとシリンダ室20間の連通を遮断する。ステム17は、カラーリング18の内筒部内を通して上向きに突出する。ステム17の上端部には、外周の対応する位置に一対の円形係合突部17cを形成する。
【0024】
他方、カラーリング18の支柱部18aの先端には、水平な支軸22でトリガーレバー23の基端を取り付ける。トリガーレバー23は、直角に折れ曲がり、その曲げ部に切欠き23aを設けてその切欠き23aにステム17の先端を通し、一対の円形係合突部17c上に載せてなる。そして、支軸22を中心として垂直面方向に回動自在にトリガーレバー23を取り付け、回動したときステム17をシリンダ12内に押し込み可能とする。
【0025】
さて、トリガーレバー23の切欠き23aを通って上向きに突出するステム17先端には、ステム17まわりに水平面方向に回動自在に噴射部材24を取り付ける。このとき、ステム17と噴射部材24の係合部には、Oリング25を設けて、それらの間からの液漏れを防止している。
【0026】
噴射部材24は、扇形状をなし、その要部分にノズルホルダ26の円筒基端をはめ付ける。ノズルホルダ26は、先端側にノズル部材27を取り付け、そのノズル部材27に設ける噴射口28を噴射部材24内の吐出通路30に連通する。
【0027】
いま、この噴出器を使用するときは、容器10を手で持って噴射口28を、噴射液を塗布する噴射目的部位に向け、トリガーレバー23をコイルスプリング15に抗して回動し、ステム17をシリンダ12内に押し込む。すると、シリンダ12内面との摩擦抵抗により開閉弁16はそのままの位置でステム17が動き、開閉弁16の環状凸部16aの上面に円周溝の上段部を接触する。
【0028】
そして、ステム17の押し込みとともに、開閉弁16を変形して横孔17bを開き、シリンダ室20と噴出路17aとを連通する一方、シリンダ室20の圧を高め、シリンダ室20の内容物を横孔17bを通して噴出路17aに送り出し、噴射部材24に入れて吐出通路30を通して噴射口28から外部へと噴射する。
【0029】
使い勝手が悪いときは、噴射目的部位に合わせて、トリガーレバー23の上に設ける噴射部材24をステム17まわりに適宜回動し、トリガーレバー23の操作方向に対する噴射部材24の噴射口28からの内容物の噴射向きを可変とする。例えば図3に示すように、噴射部材24をステム17まわりに水平面方向に180度回動する。これにより、トリガーレバー23の操作方向に対する噴射口28からの内容物の噴射向きを逆向きとし、目的部位によっては使用時の使い勝手を向上する。
【0030】
ところで、噴射部材24には、例えば図4に示すように、指を当ててステム17の押し下げを可能とする指当て部32を設けるとよい。このようにすると、トリガーレバー23を回動しても、噴射部材24を押し下げても、噴射口28から内容物を噴射することができ、トリガー式としてもプッシュ式としても使用することができるから、噴射目的部位や使用者の身体的障害の状況などに応じて適宜選択的にトリガーレバー23を回動したり噴射部材24を押し下げたりして使用することで、使い勝手を一層向上することができる。
【0031】
図5ないし図8には、さらに他例の噴出器を示す。
この例の噴出器では、トリガーレバー23にカバー部材33を回動自在に取り付け、そのカバー部材33で噴射部材24を被うとともに、そのカバー部材33を回動するとき噴射部材24もともに回動するようにする。
【0032】
すなわち、図5に示す状態では、トリガーレバー23を矢印A方向に操作すると、噴射口28から内容物を矢印B方向に噴射する。しかし、その状態から、カバー部材33をステム17を中心として水平面方向に矢印C方向に回動すると、そのカバー部材33で押してそのカバー部材33内の噴射部材24もステム17を中心として水平面方向に矢印C方向に回動し、図6に示す状態となる。この図6に示す状態では、トリガーレバー23を矢印D方向に操作すると、噴射口28から内容物を矢印E方向に噴射することとなる。
【0033】
図6に示す状態から、カバー部材33をさらに矢印C方向に回動すると、再びカバー部材33で押してそのカバー部材33内の噴射部材24もステム17を中心として矢印C方向に回動し、図7に示す状態となる。この図7に示す状態では、トリガーレバー23を矢印D方向に操作すると、内容物の噴射向きを逆向きとして噴射口28から内容物を矢印F方向に噴射することとなる。そして、例えば図8に示すごとく、前頭部に向けて噴射するときなどに使用する。
【0034】
図9および図10には、カバー部材を使用するまたさらに他例の噴出器を示す。
この例では、ステム17の先端にパイプ34の下部を圧入し、そのパイプ34の上部にそのパイプ34を中心として回動自在に噴射部材24を取り付けるとともに、適宜トリガーレバー23にカバー部材33を回動自在に取り付け、そのカバー部材33で噴射部材24を被うものである。そして、カバー部材33をステム17まわりに回動するとき、噴射部材24もともに回動する。トリガーレバー23を操作したときには、図10に示すように、そのトリガーレバー23に取り付けるカバー部材33もともに回動し、ステム17とともに噴射部材24も押し下げる。
【0035】
さて、上述した例では、ポンプ式の噴射装置Pを容器10の口部10aに取り付け、トリガーレバー23を操作したとき、容器10の内容物をいったんシリンダ室20に汲み上げてから、そのシリンダ室20の内容物を噴射口28から外部へと噴射するポンプ式噴出器に適用し、噴射部材24をステム17まわりに回動することにより、トリガーレバー23の操作方向に対して噴射部材24の噴射口28からの噴射向きを可変とした。
【0036】
しかし、エアゾール式の噴射装置を容器の口部に取り付け、容器に噴射剤とともに内容物を収納し、トリガーレバーを操作したとき、出口弁を開いて容器の内容物を噴射剤の圧力で噴射口から外部へと噴射するエアゾール式噴出器に適用し、同様に噴射部材24をステム17まわりに回動することにより、トリガーレバーの操作方向に対して噴射部材の噴射口からの噴射向きを可変とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】この発明に係るポンプ式噴出器の外観斜視図である。
【図2】その中央縦断面図である。
【図3】噴射部材を回動して噴射方向を変えた状態の外観図である。
【図4】この発明に係るポンプ式噴出器の他例の外観斜視図である。
【図5】この発明に係る噴出器のさらに他例の外観斜視図である。
【図6】その噴射部材を回動して噴射方向を変えた状態の外観図である。
【図7】噴射部材をさらに回動して噴射方向を変えた状態の外観図である。
【図8】その状態での噴出器の使用状態図である。
【図9】この発明に係る噴出器のまたさらに他例の中央縦断面図である。
【図10】そのトリガーレバーを回動した状態の外観図である。
【図11】従来の噴出器の使用状態図である。
【図12】噴出器の噴射目的部位を示す図である。
【図13】噴出器の他の噴射目的部位を示す図である。
【図14】噴射目的部位に向けての実際の使用状態図である。
【図15】別の使用状態図である。
【図16】従来の噴出器のトリガーレバーに親指を掛けて使用する場合を示す図である。
【符号の説明】
【0038】
10 容器
10a 口部
17 ステム
23 トリガーレバー
24 噴射部材
28 噴射口
32 指当て部
33 カバー部材
P 噴射装置
【技術分野】
【0001】
この発明は、容器の口部に取り付け、トリガーレバーを操作してステムを押し込み、容器の内容物を、ステムを通して噴射部材の噴射口から外部に向けて噴射する噴射装置に関する。および、そのような噴射装置を容器の口部に取り付けた、化粧用、整髪用等の噴出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トリガー式噴出器では、例えば図11に示すように、容器1を持ってトリガーレバー2に人指し指等を掛け、トリガーレバー2を支軸3を支点として矢示方向に回動することによりステム4を押し込み、ポンプ式では容器1の内容物を汲み上げ、エアゾール式では噴射剤の圧力で容器1の内容物を押し出し、ステム4を通してそのステム4に取り付ける噴射部材5の噴射口6から外部へと噴射していた。
【0003】
【特許文献1】特開2003−230854号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、このような従来のトリガー式噴出器では、トリガーレバー2は、支軸3で支柱部7に取り付けてなり、操作方向である垂直面方向には回動できるが、ステム4まわりの水平面方向には回動できなかった。よって、トリガーレバー2内に位置する噴射部材5も、トリガーレバー2により回動を妨げられてステム4まわりには回動することができず、トリガーレバー2の操作方向に対して内容物の噴射方向が固定されていた。
【0005】
この種の噴出器がヘアスプレーである場合には、図12に示すような前頭部aや首まわりb、また図13に示すような後頭部cなどに噴射液を塗布することとなる。例えば、首まわりbに実際に塗布する場合には、図14に示すように使用したり、図15に示すように使用したりすることとなり、使い勝手がよいときと悪いときとがあった。
【0006】
従来、手首を返して使用しなければならず、使い勝手が悪いときには、図16に示すようにトリガーレバー2に親指を掛けて使用したりもしていたが、この場合にも、持ち手がゆるくなったりして使いにくい場合があることは否めなかった。
【0007】
そこで、この発明の目的は、一般人はもちろん、特に握力が弱くなったり、関節の自由度が低下したりしている高齢者や障害者などに、使い勝手のよいトリガー式の噴射装置および噴出器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのため、請求項1ないし4に記載の発明は、容器の口部に取り付け、トリガーレバーを操作してステムを押し込み、そのステムを通して容器の内容物を噴射口から噴射する噴射装置において、噴射口を有する噴射部材を、トリガーレバーにより妨げられることなくステムに対して回動自在に取り付けるものである。例えば、噴射部材をトリガーレバーの外部上に設けて、そのトリガーレバーにより妨げられることなくステムに対してそれを中心として回動自在に噴射部材を取り付ける。
【0009】
そして、容器の口部に取り付け、使用時には、内容物を塗布する噴射目的部位に合わせて、噴射部材をステムまわりに適宜回動し、トリガーレバーの操作方向に対する噴射部材の噴射口からの内容物の噴射向きを変更する。
【0010】
噴射部材には、指を当ててステムの押し下げを可能とする指当て部を設けるとよく、またトリガーレバーにカバー部材を回動自在に取り付け、そのカバー部材で噴射部材を被うとともに、そのカバー部材を回動するとき噴射部材もともに回動するとよい。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか1に記載の噴射装置を、容器の口部に取り付けることを特徴とする、ポンプ式噴出器である。また、請求項6に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか1に記載の噴射装置を、容器の口部に取り付けることを特徴とする、エアゾール式噴出器である。
【発明の効果】
【0012】
したがって、請求項1ないし4に記載の発明によれば、容器の口部に取り付け、使用時には、噴射目的部位に合わせて、噴射部材をステムまわりに適宜回動し、トリガーレバーの操作方向に対する内容物の噴射向きを変更するので、従来のようにトリガーレバーの操作方向に対して内容物の噴射方向が固定されず、例えば自分の後頭部に噴射する場合などに使い勝手のよいトリガー式の噴射装置を提供することができる。特に、握力が弱くなったり、関節の自由度が低下したりしている高齢者や障害者などに有用である。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、噴射部材に、指を当ててステムの押し下げを可能とする指当て部を設けるので、トリガー式のみならず、プッシュ式としても使用することができ、噴射目的部位や使用者の身体的障害の状況などに応じて適宜選択的にトリガーレバーを回動したり噴射部材を押し下げたりして使用することで、使い勝手を一層向上することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、カバー部材で噴射部材を被うので、ステムへの取り付け部分を見えないように隠して外観を向上することができる。
【0015】
請求項5および6に記載の発明によれば、使用時には、噴射目的部位に合わせて、噴射部材をステムに対して適宜回動し、トリガーレバーの操作方向に対する内容物の噴射向きを変更するので、トリガーレバーの操作方向に対して内容物の噴射方向が固定されず、例えば自分の後頭部に噴射する場合などに使い勝手のよいポンプ式およびエアゾール式の噴出器を提供することができる。特に、握力が弱くなったり、関節の自由度が低下したりしている高齢者や障害者などに有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、この発明の実施の最良形態につき説明する。
図1には往復ポンプ式の噴出器の外観を、図2にはその中央縦断面を示す。
【0017】
図中符号10は、容器である。容器10は、プラスチック材料でボトル形状につくり、その口部10a外周に雄ネジを設け、図示省略するが、この例では、内部に、内容物として整髪用の噴射液を収納する。
【0018】
その容器10の口部10aには、ポンプ式噴射装置Pを取り付ける。
ポンプ式噴射装置Pには、ネジキャップ11を設ける。ネジキャップ11は、内周に雌ネジを有するとともに、頂部中央に中心孔をあけてなる。そして、頂部をシリンダ12のフランジ12a上に乗せ、容器10の口部10aに被せてネジ付けてなる。
【0019】
そのシリンダ12には、フランジ12aを設けるとともに、径方向に貫通する空気吸込み孔12bをあけ、ネジキャップ11の中心孔を通して上端部を上向きに突出する。他方、シリンダ12の下部は、内部に、吸込口12cと管取付口12dを続けて設ける。そして、その管取付口12d内にパイプ13の上端部を圧入し、そのパイプ13内と吸込口12cとを連通してなる。反対に、吸込口12cのすぐ上には、下方に向けて漸次小径となる弁座を続けて設ける。
【0020】
このようなシリンダ12内には、ボール状の逆止弁14を入れて弁座上に乗せてから、コイルスプリング15を挿入して段部上に乗せる。その後、開閉弁16を取り付けた、ピストンを兼ねるステム17を入れ、コイルスプリング15上に乗せる。ステム17は、管状で、内部に噴出路17aを設け、その噴出路17aと連通して径方向に横孔17bを設け、その横孔17b位置の外周に円周溝を形成する。
【0021】
一方、開閉弁16は、円筒形状で、中間部に内面から内向きに突出して環状凸部16aを設ける。そして、その環状凸部16aを前記円周溝内にはめ付け、開閉弁16の外周上下部をシリンダ12の内周面に摺動自在に押し当ててなる。
【0022】
ところで、シリンダ12の上端には、カラーリング18を設ける。そのカラーリング18は、外筒部と内筒部とを同心で形成し、外筒部からは支柱部18aを斜め上向きにのばす。そして、シリンダ12内に内筒部を入れて下端を前記開閉弁16の上端に突き当て、ステム17を介してコイルスプリング15を少し圧縮するとともに、外筒部をシリンダ12の上端部に被せて掛け止めしてなる。
【0023】
これにより、コイルスプリング15の付勢力でステム17を押し上げ、その円周溝の下段部を前記開閉弁16の環状凸部16aの下面に押し当てて、噴出路17aとシリンダ室20間の連通を遮断する。ステム17は、カラーリング18の内筒部内を通して上向きに突出する。ステム17の上端部には、外周の対応する位置に一対の円形係合突部17cを形成する。
【0024】
他方、カラーリング18の支柱部18aの先端には、水平な支軸22でトリガーレバー23の基端を取り付ける。トリガーレバー23は、直角に折れ曲がり、その曲げ部に切欠き23aを設けてその切欠き23aにステム17の先端を通し、一対の円形係合突部17c上に載せてなる。そして、支軸22を中心として垂直面方向に回動自在にトリガーレバー23を取り付け、回動したときステム17をシリンダ12内に押し込み可能とする。
【0025】
さて、トリガーレバー23の切欠き23aを通って上向きに突出するステム17先端には、ステム17まわりに水平面方向に回動自在に噴射部材24を取り付ける。このとき、ステム17と噴射部材24の係合部には、Oリング25を設けて、それらの間からの液漏れを防止している。
【0026】
噴射部材24は、扇形状をなし、その要部分にノズルホルダ26の円筒基端をはめ付ける。ノズルホルダ26は、先端側にノズル部材27を取り付け、そのノズル部材27に設ける噴射口28を噴射部材24内の吐出通路30に連通する。
【0027】
いま、この噴出器を使用するときは、容器10を手で持って噴射口28を、噴射液を塗布する噴射目的部位に向け、トリガーレバー23をコイルスプリング15に抗して回動し、ステム17をシリンダ12内に押し込む。すると、シリンダ12内面との摩擦抵抗により開閉弁16はそのままの位置でステム17が動き、開閉弁16の環状凸部16aの上面に円周溝の上段部を接触する。
【0028】
そして、ステム17の押し込みとともに、開閉弁16を変形して横孔17bを開き、シリンダ室20と噴出路17aとを連通する一方、シリンダ室20の圧を高め、シリンダ室20の内容物を横孔17bを通して噴出路17aに送り出し、噴射部材24に入れて吐出通路30を通して噴射口28から外部へと噴射する。
【0029】
使い勝手が悪いときは、噴射目的部位に合わせて、トリガーレバー23の上に設ける噴射部材24をステム17まわりに適宜回動し、トリガーレバー23の操作方向に対する噴射部材24の噴射口28からの内容物の噴射向きを可変とする。例えば図3に示すように、噴射部材24をステム17まわりに水平面方向に180度回動する。これにより、トリガーレバー23の操作方向に対する噴射口28からの内容物の噴射向きを逆向きとし、目的部位によっては使用時の使い勝手を向上する。
【0030】
ところで、噴射部材24には、例えば図4に示すように、指を当ててステム17の押し下げを可能とする指当て部32を設けるとよい。このようにすると、トリガーレバー23を回動しても、噴射部材24を押し下げても、噴射口28から内容物を噴射することができ、トリガー式としてもプッシュ式としても使用することができるから、噴射目的部位や使用者の身体的障害の状況などに応じて適宜選択的にトリガーレバー23を回動したり噴射部材24を押し下げたりして使用することで、使い勝手を一層向上することができる。
【0031】
図5ないし図8には、さらに他例の噴出器を示す。
この例の噴出器では、トリガーレバー23にカバー部材33を回動自在に取り付け、そのカバー部材33で噴射部材24を被うとともに、そのカバー部材33を回動するとき噴射部材24もともに回動するようにする。
【0032】
すなわち、図5に示す状態では、トリガーレバー23を矢印A方向に操作すると、噴射口28から内容物を矢印B方向に噴射する。しかし、その状態から、カバー部材33をステム17を中心として水平面方向に矢印C方向に回動すると、そのカバー部材33で押してそのカバー部材33内の噴射部材24もステム17を中心として水平面方向に矢印C方向に回動し、図6に示す状態となる。この図6に示す状態では、トリガーレバー23を矢印D方向に操作すると、噴射口28から内容物を矢印E方向に噴射することとなる。
【0033】
図6に示す状態から、カバー部材33をさらに矢印C方向に回動すると、再びカバー部材33で押してそのカバー部材33内の噴射部材24もステム17を中心として矢印C方向に回動し、図7に示す状態となる。この図7に示す状態では、トリガーレバー23を矢印D方向に操作すると、内容物の噴射向きを逆向きとして噴射口28から内容物を矢印F方向に噴射することとなる。そして、例えば図8に示すごとく、前頭部に向けて噴射するときなどに使用する。
【0034】
図9および図10には、カバー部材を使用するまたさらに他例の噴出器を示す。
この例では、ステム17の先端にパイプ34の下部を圧入し、そのパイプ34の上部にそのパイプ34を中心として回動自在に噴射部材24を取り付けるとともに、適宜トリガーレバー23にカバー部材33を回動自在に取り付け、そのカバー部材33で噴射部材24を被うものである。そして、カバー部材33をステム17まわりに回動するとき、噴射部材24もともに回動する。トリガーレバー23を操作したときには、図10に示すように、そのトリガーレバー23に取り付けるカバー部材33もともに回動し、ステム17とともに噴射部材24も押し下げる。
【0035】
さて、上述した例では、ポンプ式の噴射装置Pを容器10の口部10aに取り付け、トリガーレバー23を操作したとき、容器10の内容物をいったんシリンダ室20に汲み上げてから、そのシリンダ室20の内容物を噴射口28から外部へと噴射するポンプ式噴出器に適用し、噴射部材24をステム17まわりに回動することにより、トリガーレバー23の操作方向に対して噴射部材24の噴射口28からの噴射向きを可変とした。
【0036】
しかし、エアゾール式の噴射装置を容器の口部に取り付け、容器に噴射剤とともに内容物を収納し、トリガーレバーを操作したとき、出口弁を開いて容器の内容物を噴射剤の圧力で噴射口から外部へと噴射するエアゾール式噴出器に適用し、同様に噴射部材24をステム17まわりに回動することにより、トリガーレバーの操作方向に対して噴射部材の噴射口からの噴射向きを可変とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】この発明に係るポンプ式噴出器の外観斜視図である。
【図2】その中央縦断面図である。
【図3】噴射部材を回動して噴射方向を変えた状態の外観図である。
【図4】この発明に係るポンプ式噴出器の他例の外観斜視図である。
【図5】この発明に係る噴出器のさらに他例の外観斜視図である。
【図6】その噴射部材を回動して噴射方向を変えた状態の外観図である。
【図7】噴射部材をさらに回動して噴射方向を変えた状態の外観図である。
【図8】その状態での噴出器の使用状態図である。
【図9】この発明に係る噴出器のまたさらに他例の中央縦断面図である。
【図10】そのトリガーレバーを回動した状態の外観図である。
【図11】従来の噴出器の使用状態図である。
【図12】噴出器の噴射目的部位を示す図である。
【図13】噴出器の他の噴射目的部位を示す図である。
【図14】噴射目的部位に向けての実際の使用状態図である。
【図15】別の使用状態図である。
【図16】従来の噴出器のトリガーレバーに親指を掛けて使用する場合を示す図である。
【符号の説明】
【0038】
10 容器
10a 口部
17 ステム
23 トリガーレバー
24 噴射部材
28 噴射口
32 指当て部
33 カバー部材
P 噴射装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の口部に取り付け、トリガーレバーを操作してステムを押し込み、そのステムを通して容器の内容物を噴射口から噴射する噴射装置において、
前記噴射口を有する噴射部材を、前記トリガーレバーにより妨げられることなく前記ステムに対して回動自在に取り付けることを特徴とする、噴射装置。
【請求項2】
前記噴射部材を前記トリガーレバーの上に設けて、そのトリガーレバーにより妨げられることなく前記ステムに対して前記噴射部材を回動自在に取り付けることを特徴とする、請求項1に記載の噴射装置。
【請求項3】
前記噴射部材に、指を当てて前記ステムの押し下げを可能とする指当て部を設けることを特徴とする、請求項2に記載の噴射装置。
【請求項4】
前記トリガーレバーにカバー部材を回動自在に取り付け、そのカバー部材で前記噴射部材を被うとともに、そのカバー部材を回動するとき前記噴射部材もともに回動することを特徴とする、請求項1に記載の噴射装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1に記載の噴射装置を、容器の口部に取り付けることを特徴とする、ポンプ式噴出器。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれか1に記載の噴射装置を、容器の口部に取り付けることを特徴とする、エアゾール式噴出器。
【請求項1】
容器の口部に取り付け、トリガーレバーを操作してステムを押し込み、そのステムを通して容器の内容物を噴射口から噴射する噴射装置において、
前記噴射口を有する噴射部材を、前記トリガーレバーにより妨げられることなく前記ステムに対して回動自在に取り付けることを特徴とする、噴射装置。
【請求項2】
前記噴射部材を前記トリガーレバーの上に設けて、そのトリガーレバーにより妨げられることなく前記ステムに対して前記噴射部材を回動自在に取り付けることを特徴とする、請求項1に記載の噴射装置。
【請求項3】
前記噴射部材に、指を当てて前記ステムの押し下げを可能とする指当て部を設けることを特徴とする、請求項2に記載の噴射装置。
【請求項4】
前記トリガーレバーにカバー部材を回動自在に取り付け、そのカバー部材で前記噴射部材を被うとともに、そのカバー部材を回動するとき前記噴射部材もともに回動することを特徴とする、請求項1に記載の噴射装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1に記載の噴射装置を、容器の口部に取り付けることを特徴とする、ポンプ式噴出器。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれか1に記載の噴射装置を、容器の口部に取り付けることを特徴とする、エアゾール式噴出器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−341173(P2006−341173A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−168066(P2005−168066)
【出願日】平成17年6月8日(2005.6.8)
【出願人】(000144463)株式会社三谷バルブ (142)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月8日(2005.6.8)
【出願人】(000144463)株式会社三谷バルブ (142)
【Fターム(参考)】
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