説明

噴水装置

【課題】特別な設備を設置することなく、一本のノズルのみで噴出水自体に変化のある噴水装置を提供する。
【解決手段】表面には吐出口53を設け、底面には通水孔51を設け、これら吐出口と通水孔とは連結孔52で連通し、該吐出口より流水を噴出するようにしたノズル5と、流水の導水管8内に回動可能に設置され、上記通水孔に対向する複数の連通孔12を設け、導水管中を流れる流水を遮断・給水する開閉弁4および該開閉弁を回動するための駆動機構2とから構成され、該開閉弁を回動させることにより、上記ノズル底面に形成した通水孔と開閉弁に開設した連通孔とが互いに合致したときに、ノズルの吐出口より流水を噴出するようにしたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴水装置に関するもので、噴出水に変化のある噴水を提供することができる噴水装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
通常、公園あるいは工場の片隅に設置されている噴水は、山間を流れる渓流や谷間を流れ落ちる滝と同様、我々の耳,眼を楽しませてくれて、非常に心安らぐものである。
しかし、いずれの噴水も、単に真上に噴き上げられるだけで、噴出する水に全く変化のないものが殆んどである。なかには、機械的にある周期をもって水を噴出させたり止めたりして、断続的に変化をもたせたものや、噴出水の反動を利用してノズル本体を回動したり、揺動することにより、噴出水に回転運動あるいは揺動運動をさせるようにしたものがある。
また、数十本〜数百本の噴水ノズルをコンピュータ制御して噴出水に変化をつけ、美感を誘うようにしたものがあるが、これはハイテク噴水と呼ばれる噴水で、コンピュータ制御により、CDやライブによる演奏等の音楽に合わせて照明を点滅したり、噴水ポンプや給水弁の開閉を行うことにより水を遮断・給水して、あたかも噴水形状が変化しているように演出し、水のダンス,アクアアートの世界を現出させるものである。
【0003】
このような課題に対し、本発明者が考案した種々の噴水が提案されている。例えば、実公昭54−479号公報には、噴出水を断面正方形から十字状へ連続的に変化させたり、あるいは逆円錐状から円柱状へ連続的に変化させることができる噴水が提案されている。また、実公昭54−2240号公報には、噴出水に扇を連続的に開閉するような変化をさせる噴水が提案されている。
更に、実公昭57−20293号公報には、上記実公昭54−2240号公報に記載されたのと同様に、噴出水に扇を連続的に開閉するような変化をさせる噴水が提案されている。
【0004】
また、特開平8−131900号公報には、ノズルから水平方向に噴出する水の流れを扇形拡散板によりほぼ直角方向に拡散させ、且つ該扇形拡散板により拡散する水の扇形開角を制限設定する一対の開角板を角度変更可能に設け、扇を開閉する形状の噴水にする扇形噴水装置が提案されている。
【0005】
【特許文献1】実公昭54−479号公報
【特許文献2】実公昭54−2240号公報
【特許文献3】実公昭57−20293号公報
【特許文献4】特開平8−131900号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献に記載された噴水装置は、確かに噴出する水に変化はあるが、いずれも噴出水を単純な繰り返しの往復運動をさせるのみであり、観者にすぐ飽きられてしまうものである。
それに、特許文献1〜3に記載された噴水装置の場合、いずれも複数の歯車とカム機構を組み合わせたもので、機械的なロスが多く、流水により得られる駆動力を無駄なく確実に伝達するのが困難である。そして、流水の流路中にカム等が介在するため、流水抵抗が大きく、また、係合部や回動する軸支部が多いため、漏水発生の可能性が高まり噴出効率が悪い。
特許文献4に記載された噴水装置の場合、扇形拡散板により拡散する水の扇形開角を制限設定する一対の開角板を角度変更可能に設け、この一対の開角板の角度を変更駆動する開角変更駆動装置が必要であり、該装置を駆動するために外部からの強力な動力が不可欠であると共に、多大の設備投資が必要である。拡散水の扇形開角を変更することは可能であるが、開角変更すると、その開角での拡散水の変化はある。しかし、単にその角度の範囲内での往復運動をするにすぎない。従って、該噴水装置も単純な往復運動をさせるのみである。
また、上記した多数のノズルを使用して躍動感のある噴水の演出を行う設備を構築する場合には、これらの装置自体は勿論であるが、噴水装置を作動させるためのコンピュータ制御装置に莫大な費用を要するものである。それに、個々のノズルは単に断続的に噴出するのみで、複数のノズルが協調して初めて噴出水に動きがあるような演出が可能となるものである。
【0007】
本発明者らは、その後研究開発を重ね、上記種々の問題を解消したもので、ノズル自体に複数の吐出口を設け、該吐出口に連通する通水孔を開閉弁によって開閉することにより、一本のノズルのみで噴出水自体に造形的でより変化のある美しい噴水を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ノズルよりの噴出水に変化をもたせるようにした噴水装置であって、表面には吐出口が設けられ、底面には通水孔が設けられ、これら吐出口と通水孔とは連結孔で連通し、該吐出口より流水を噴出するようにしたノズルと、流水の導水管内に回動可能に設置され、上記通水孔に対向する複数の連通孔を設け、導水管中を流れる流水を遮断・給水する開閉弁および該開閉弁を回動するための駆動機構とから構成され、該開閉弁と上記ノズルの底面とを当接して摺動可能に設け、該開閉弁を回動させることにより、上記ノズル底面に形成した通水孔と開閉弁に開設した連通孔とが互いに合致したときに、ノズルの吐出口より流水を噴出するようにしたことを特徴とする噴水装置である。
【0009】
上記開閉弁をパルスモーターやステッピングモーターなどの原動機による外部動力で回動するようにしたこと、あるいは流水の導水管内に設置し、該流水の運動エネルギーを回転エネルギーに変換して駆動力を取り出すための羽根車による駆動機構で回動するようにしたことにより、開閉弁の回動速度を自由に制御したり、あるいは外部動力を全く必要としないで噴水を楽しめるようにしたことを特徴とする噴水装置である。
【0010】
本発明は、上記通水孔と吐出口を連結する連通孔の中ほどに、貯留部を形成することにより、噴出水に安定性を与えるようにしたことを特徴とする噴水装置である。
【0011】
本発明は、導水管を流れる流水を噴出するためのノズルをケーシングに螺合することにより、該ノズルと流水を遮断・給水するための開閉弁とを着脱可能とし、これら開閉弁およびノズルを交換できるようにしたことにより、簡便に演出の異なる噴水が実現でき、変化のある種々の噴水を観賞できるようにしたことを特徴とする噴水装置である。
【0012】
本発明は、導水管を分岐して形成したバイパス流路内に上記羽根車を設置したことにより、流水の導水管内に羽根車など流水抵抗を増大させる余分な部品を介在させないようにしたことを特徴とする噴水装置である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1〜3の本発明によれば、開閉弁には複数の連通孔を設け、ノズルにはその表面に複数の吐出口を設け、底面には通水孔が設けられ、これら吐出口と通水孔とは連結孔で連通し、該吐出口より流水を噴出するようにし、ノズルの吐出口に通じる通水孔を開閉弁により開閉し、流水を給水あるいは遮断するようにしたものであり、該開閉弁の回動により、上記ノズル底面に形成した通水孔と開閉弁に開設した連通孔とが互いに合致したときに、流水をノズルの吐出口へ給水するようにしたので、開閉弁の回動により吐出口より噴出する流水が時間とともに変化し、一本の噴水ノズルのみで、噴出水に動的で変化のある立体的な美しい噴水が演出できるようになった。上記開閉弁に設けた連通孔のレイアウトおよびノズルに設けた吐出口のレイアウトにより、噴出水の形状・噴出時間・動きなどの異なる噴水が実現でき、より変化に富む立体的な美しい噴水が演出できるようになった。
また、開閉弁は比較的ゆっくり回動しているため、ノズル底面に設けた通水孔を徐々に開いて全開し、そして徐々に閉じられるため、通水孔を通過する流水は、徐々に増量し徐々に減量されることになり、噴出水に趣のある雰囲気をかもし出すものである。
【0014】
そして、開閉弁を回動するための駆動機構を、水の流れを利用して羽根車を回転させ、該羽根車の回転数を遊星歯車により大きく減速して回転力にトルクをもたせ、確実に開閉弁を回動するようにしているので、ポンプ・電動機・モーター等の外部よりの動力を全く必要とすることなく、水が流れているところであれば、どこであっても、いつまでも美しい躍動美あふれる噴水風景を提供することができるようになった。しかも、流水の流路には流水抵抗を増大させるものが存在しないので、噴出効率が著しく向上した。
そして、流水の運動エネルギーを利用して回転エネルギーに変換する構造にしているので、ポンプ・電動機・モーター等の外部よりの動力を全く必要としないので、これらに起因する故障がなく、従って補修の必要がなく、省エネルギー対策としての効果もあり、地球温暖化防止のためのECO効果も大きい。
また、他の実施例として開閉弁の駆動機構をパルスモーターやステッピングモーターなどの原動機を装備して、開閉弁を回動するようにしているので、該開閉弁の回動速度を自由に制御することが可能であり、より安定した噴出水の演出が可能になると共に、噴出水に緩急をつけることにより、非常に変化のある演出が可能となる。
【0015】
請求項4の発明によれば、通水孔と吐出口を連結する連通孔の中ほどに、貯留部を形成したことにより、噴出水の水量を充分確保できると共に、噴出水の安定性を著しく向上させることができた。
【0016】
請求項5の発明によれば、ノズルは螺合によりケーシングに着脱可能としているので、これらノズルおよび開閉弁の着脱を容易に行うことができる。そのため、通水孔の位置・形状の異なる開閉弁および吐出口の位置・形状の異なるノズルをそれぞれ複数準備し、該開閉弁およびノズルを適宜組み合わせて交換することにより、噴出水の形状・噴出時間・動きなどを容易に変えることができ、より変化に富む立体的な美しい噴水を演出できるようになった。このように、開閉弁およびノズルの組合せを定期的に交換すれば、簡単に演出の異なる美しい噴水を提供することができ、観者に飽きさせることがなく、いつまでも新鮮な気持ちで噴水を観賞できるようになった。
また、本発明によれば、ノズル自体を噴水装置のケーシングに螺合あるいは嵌合により固着しているので、確実に液蜜にすることができ、間隙部や摺動部からの漏水を防止することができると共に、ノズルの着脱が容易であり、水垢除去などの分解清掃やノズルの清掃のメンテナンス作業を簡便に、しかも非常に容易に行うことができる。
【0017】
請求項6の発明によれば、羽根車は導水管を分岐して形成したバイパス流路内に設置しているので、噴水のための流水に全く抵抗が発生することなく、噴出水の安定性を著しく向上させることができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明による噴水装置の最良の形態について図面により詳細に説明する。
図1は本発明による噴水装置の最良の形態を示す分解断面側面図である。同図において、1は噴水装置で、該噴水装置1は、動力を得るための羽根車からなる駆動機構2,該駆動機構2の回転数を減速するための遊星歯車による減速機3,流水を遮断・給水するための開閉弁4および流水を噴出するためのノズル5より構成されている。
駆動機構2は、噴水装置1のケーシング6の筒状部6bに回動自在に介装され、該ケーシング6は水源より流れる流水7の導水管8内に介装され、締付バンド9により該導水管8に固着されることにより、導水管8としての機能も果たすものである。
また、駆動機構2は、鉄やステンレス鋼等の板状部材を捻ることにより、また鋳造により、あるいは合成樹脂により一体的に螺旋状に形成され、流水7の流れにより回転可能であり、この回転力が動力の源となるものである。即ち、該駆動機構2が回転することにより、流水7の運動エネルギーを吸収して、後述する開閉弁4の回動のための回転エネルギーに変換するものである。駆動機構2の回転数は,当該捻り羽根の径,傾斜角等に依存するため一概に規定することができるものではない。
【0019】
減速機3は、遊星歯車による減速機であり、上記駆動機構2は該遊星歯車の中心に位置する太陽ギヤ3aの回転軸と同軸上に固定されている。該太陽ギヤ3aの軸心部は、流水7が自由に流れることができるように空隙Sが設けられている。そして、遊星ギヤ3bは、太陽ギヤ3aに複数個噛み合わさっていると共に、ケーシング6(6a)の内周壁に一体形成された外輪ギヤ3cに噛み合わされている。また、複数個の遊星ギヤ3bは、キャリア10により一体的に、且つ個々の遊星ギヤ3bが回動可能に連結されている。該遊星歯車による減速機3の作用により、駆動機構2の回転数が大きく減速され回転力にトルクをもたせ、遊星ギヤ3bに伝達されることになる。
上記太陽ギヤ3a,遊星ギヤ3bおよび外輪ギヤ3cからなる遊星歯車による減速機3は、前記ケーシング6のギヤボックス6aに収納されており、該外輪ギヤ3cは、ケーシング6のギヤボックス6aの内周壁に一体的に形成されている。また、本実施例では太陽ギヤ3aの外径を駆動機構2の外径よりやゝ大きめにしているが、これは流水7を流れやすくするために空隙Sを確保するためであるが、これに特定するものではなく、該太陽ギヤ3aの外径を小さくし、歯数を少なくすれば、減速比を高めることができることは言うまでもない。それに、上記駆動機構2の回転軸と太陽ギヤ3aの回転軸とが同軸に軸支できるので、導水管8中で生じる抵抗を極力抑えることができる。
【0020】
上記開閉弁4は、ビス,ボルトなどの締付具11により、遊星歯車の遊星ギヤ3bを連結するキャリア10に回動可能に固着されており、上記減速機3と後述するノズル5との間に、且つ該ノズル5に当接して摺動自在に取着けられている。このように構成することにより、導水管8内を流水7が流れると、駆動機構2が回転し、この回転数が遊星歯車による減速機3により大きく減速され、遊星ギヤ3bおよびキャリア10を介して開閉弁4を確実に回動させる。
例えば、駆動機構2が図1下方より見て時計回りの右回転をすると、太陽ギヤ3aが該駆動機構2と一体的に同軸上に軸支されているため、太陽ギヤ3aは同様に右回転し、該太陽ギヤ3aに噛合する遊星ギヤ3bは、反時計回りに自転しながら外輪ギヤ3c上を転動し、太陽ギヤ3aと同方向に回動する。該外輪ギヤ3cは固定されているので、キャリア10を介して遊星ギヤ3bに回動可能に取着されている開閉弁4は、同じく時計回りの右回転することになる。
該開閉弁4には、複数の連通孔12,12a,12b,・・が開設され、導水管8を流れてきた流水7が、該連通孔12,12a,12b,・・を通過して、同図中矢印で示すようにノズル5の通水孔51,51a,51b,・・に流れ込み、連結孔52,52a,52b,・・を通過して、吐出口53,53a,53b,・・より噴出される。
同図中符号13は止水栓で、該止水栓13を開くことにより導水管8へ流水7の供給を行い、閉じることにより導水管8へ流水7の供給を止めることができるものである。
【0021】
上記ノズル5は、本実施例の場合、略半球状に形成されており、上記ケーシング6の外周縁6cに螺着されている。該ノズル5の底面には凹部14が形成され、該凹部14内には上記開閉弁4が収納されると共に、ノズル5の底面には通水孔51,51a,51b,51cが設けられ、その表面には吐出口53,53a,53b,53cが形成されている。また、該ノズル5内部には連結孔52,52a,52b,52cが形成されており、該連結孔52,52a,52b,52cにより上記通水孔51,51a,51b,51cとそれぞれに対応する吐出口53,53a,53b,53cとが連通されている。上記開閉弁4がノズル5の底面に当接し摺動して回動することにより、該ノズル5の底面に設けた通水孔51,51a,51b,51cのいずれかと上記開閉弁4に開設した連通孔12,12a,12b,12cのいずれかとが互いに合致したときに、流水7は合致した連通孔12,12a,12b,12cから通水孔51,51a,51b,51cに流れ、更に連結孔52,52a,52b,52cを通って、それぞれに対応する吐出口53,53a,53b,53cより噴出され、噴水を形成するものである。
なお、本実施例では、開閉弁4をキャリア10に締付具11により取着したものを示したが、開閉弁4を直接遊星ギヤ3bに回動自在に直接取着しても良いことは言うまでもない。
【0022】
上記ケーシング6は、ギヤボックス6aと筒状部6bからなっており、ギヤボックス6aには前記遊星歯車にて構成される減速機3が収納され、筒状部6bには上記駆動機構2が回動自在に介装されている。また、ギヤボックス6aの内周壁にはギヤが設けられ、上記遊星歯車の外輪ギヤ3cの機能を果たすものである。これらギヤボックス6aと筒状部6bとは、図1に示すように互いに螺合して形成しても良いし、一体的に形成しても良いことは言うまでもない。
上記した駆動機構2のケーシング6への取着のために必要な軸受・シールなどの細部構造については、通常の周知技術による装備がなされているが、これら全てを記載すると複雑になるので、詳細な説明並びに図面への記載については省略する。
【0023】
次に、開閉弁4とノズル5との関係について、図面により詳細に説明する。
図2は、図1中X−X線における噴水装置1の断面平面説明図で、理解をしやすくするために開閉弁4とノズル5のみを示しており、開閉弁4は点線で示し、ノズル5は実線で示す。同図中図1と同じ符号のものは同一物を示し、詳細な説明は省略する。
同図に示すように、通水孔51はノズル5の中心に設けられ、順次外方へ通水孔51a〜51cが中央の通水孔51を中心にして左右対称に一直線上に設けられている。これに対し、開閉弁4には、上記ノズル5の通水孔51と同じく中心に連通孔12が、そして該通水孔51a〜51cに対向して四方へ十字状に連通孔12a〜12cが設けられている。このように構成することにより、中心に設けられた通水孔51と連通孔12は常時合致しているが、開閉弁4が同図中矢印の方向に回動することにより、通水孔51aと連通孔12a,通水孔51bと連通孔12b,通水孔51cと連通孔12cが合致すると、導水管8を流れる流水7は、連通孔12,12a,12b,12cおよび通水孔51,51a,51b,51cを流れ、図1に示す連結孔52,52a,52b,52cを通過して、それぞれに対応する吐出口53,53a,53b,53cより噴出することになる。
【0024】
更に、開閉弁4が同図中矢印の方向に回動すると、通水孔51のみが常時開かれているが、通水孔51a,51b,51cは閉じられ、流水7は連通孔12,通水孔51および連結孔52を通過して吐出口53のみから勢い良く噴出される。そして、開閉弁4が更に回動し、通水孔51aと連通孔12a,通水孔51bと連通孔12b,通水孔51cと連通孔12cが合致すると、導水管8を流れる流水7は、吐出口53は勿論のこと、それぞれに対応する通水孔51a〜51c,連結孔52a〜52cを通過して、吐出口53a〜53cからも噴出することになる。この場合、該流水7が定量であるため、吐出口53a〜53cから噴出される水量分が減るので、吐出口53からの噴出量は減少することになる。このようにして、吐出口53からの噴出水は高くなったり低くなったりすると共に、吐出口53a,吐出口53b,吐出口53cからは開閉弁4が90度回動する毎に断続的に噴出される。
なお、本実施例では、連通孔12a,12b,12cの大きさを略同じにしているが、この場合、開閉弁4の回転角の関係で、同時に合致することなく、連通孔12aが合致してから、少しの時間差で連通孔12b、そして連通孔12cと合致することになる。従って、噴出水にも時間差が生じることになり、噴水の挙動により変化のある演出を提供できるものである。不一致になる場合も同様である。また、該連通孔12a,12b,12cの大きさを順次大きくして、連通孔12b,連通孔12cと外方へいくに従って大きな扇形にすると、連通孔12a〜12cと通水孔51a〜51cとはそれぞれ同時に合致することになり、吐出口53a〜53cから同時に噴出されることは言うまでもない。
【0025】
上記のように、連通孔12,12a,12b,12cと通水孔51,51a、51b,51cとは、いずれかが合致するように設計し、吐出口53,53a,53b,53cのいずれかから流水7が噴出するようにして、導水管8内の水圧が異常に高まらないようにすることが望ましい。
また、図2に記載の符号11は締付具で、該締付具11は4ヶ所設けられており、遊星ギヤ3bが4個回動自在に締結されていることを示している。この遊星ギヤ3bの数は、特定するものではない。以下の実施例においても同じである。
また、上記開閉弁4の取り付けについては、本実施例では締付具11にて締付固定するように示したが、これに特定するものではなく、例えば遊星ギヤ3bに突起部を形成し、開閉弁4に凹部を形成することにより、これらを嵌合して固定するようにしても良い。
【0026】
図3は噴水の状態を示す概略側面図で、上記開閉弁4の回動による噴水の変化を示したものである。図1では連結孔52b,52cが少し傾斜した状態で示しているが、図3では詳細な説明の簡略化のため、連結孔52を上方に向け形成したものを示している。
同図Aは図2における状態、即ち連通孔12,12a,12b,12cと通水孔51,51a,51b,51cがそれぞれ合致した状態の噴水を示したもので、吐出口53からの噴出水は低く、左右各3つの吐出口53a〜53cから小さな噴出水が形成される。同図Bは開閉弁4が回動し、通水孔51a,51b,51cを閉じた状態の噴水を示すもので、吐出口53a,53b,53cからは噴出されず、中央の吐出口53のみからの噴出となる。この場合、流水7は定量であるため噴出水が高く噴出される。このように、開閉弁4の回動により、同図Aおよび同図Bを繰り返し、噴水の形状を変化させるものである。
【0027】
なお、吐出口53a,吐出口53b,吐出口53cの形状を図1に示すように、出口付近を押しつぶしたような断面扇形にしておくと、これらの吐出口53,53a,53b,53cがあたかもお互いが繋がっているように、噴出水は全体的に扇状に噴出される。しかも、吐出口53,53a,53b,53cがお互いに干渉し合い、孔雀が羽を広げたような形状で観賞することができる。図示しないが、該吐出口53,53a,53b,53cが一般的な筒状のノズル形状であれば、図3Aに示すような7本の線状の噴出水を観賞することができることは言うまでもない。
【実施例1】
【0028】
図4は、本発明による噴水装置の他の実施例を示す分解断面側面図である。同図中図1に示した符号と同じものは、同一物を示し詳細な説明を省略する。同図において、本実施例は、前記駆動機構2を圧縮機のようなタービン構造にしたものである。該駆動機構2は、動翼21と静翼22とで構成され、動翼21は遊星歯車より構成される減速機3の太陽ギヤ3aに同軸上で回動可能に結合されており、静翼22はケーシング6(6b)に固着されている。これら動翼21と静翼22は、ガスタービンや蒸気タービンのブレードのようにお互いに対向して傾斜させて交互に形成されており、流水7の流れを動翼21に向かうように変化させ、動翼21がより確実に回転するようにしたものである。即ち、静翼22は、流水7の流れが動翼21へ向かうように流れを変え、動翼21に流水7が効率良く当たるように傾斜されている。
本実施例の場合、図面の関係で動翼21を2段、静翼22を3段しか設けていないが、これらの段数は、本実施例に特定するものではなく、段数が多ければ多い程、回転エネルギーへの変換効率が高まることは言うまでもない。この回転数が遊星歯車よりなる減速機3により大きく減速され、遊星ギヤ3bに回動可能に固着された開閉弁4を回転させるものである。
その後の挙動については、前記した最良の形態で説明したものと同様に、回転数が減速機3により大きく減速され、開閉弁4がノズル5に当接してゆっくりと摺動しながら回動され、通水孔51を開閉することにより噴出水を給水したり遮断したりすることにより、噴水の形状を変化させるものである。その挙動の詳細な説明は、省略する。
【実施例2】
【0029】
図5は、本発明による噴水装置の他の実施例を示すもので、同図Aはその要部断面側面図、同図Bは要部のみを示す平面図である。同図中図1に示した符号と同じものは、同一物を示し詳細な説明を省略する。
上記最良の形態および実施例においては、駆動機構2を流水7の導水管8中に設置したものを示したが、本実施例は該流水7の導水管8を分岐して駆動機構2を駆動するための専用のバイパス流路16を設けたものである。該バイパス流路16は、導水管8の途中より分岐され、該導水管8を取り巻くように配置され、再び導水管8に流れ込むように設けられている。該バイパス流路16の途中には、水車よりなる駆動機構2が水平に設置されており、該駆動機構2の回転は複数の歯車の組み合わせからなる減速機3により減速され、開閉弁4を回動させるものである。
同図中符号18が伝動ギヤで、該伝動ギヤ18は、開閉弁4の外側縁に形成されたギヤに噛合されており、減速機3で減速された回転を開閉弁4に伝動し、該開閉弁4を回動するものである。
このように駆動機構2を収納する専用のバイパス流路を設けることにより、導水管8中には流水抵抗を増大させる羽根車などの余分な部品が全く存在しないので、噴出水にスムースな挙動が可能であり、噴出効率はより効果的であることは言うまでもない。
なお、同図では図面が複雑になるので、減速機3のカバーは図示していない。また、バイパス流路16は、導水管8より分岐して再び導水管8に戻るようにした実施例を示したが、外部に放出するようにしても良いことは言うまでもない。
【実施例3】
【0030】
図6は、本発明による噴水装置の他の実施例を示すもので、同図Aはその分解断面側面図、同図Bは同図A中Y−Y線における断面平面説明図で、同図Bは理解をしやすくするために開閉弁4と伝動ギヤ18との噛合状態を示している。同図中図1に示した符号と同じものは、同一物を示し詳細な説明を省略する。
上記実施例においては、流水7の導水管8中に駆動機構2を設置し、流水の運動エネルギーを回転エネルギーに変換するものを示したが、本実施例は、ケーシング6に原動機ボックス19を形成し、該原動機ボックス19内にパルスモーターやステッピングモーターなどの原動機17からなる駆動機構2を内臓し、該駆動機構2に一体的に結合した伝動ギヤ18により開閉弁4を回動するものである。伝動ギヤ18は開閉弁4の内側壁に形成した内歯ギヤに噛合している。また、該伝動ギヤ18と駆動機構2との結合は、一方に凹部を形成し、他方に凸部を形成することにより、これらを合致させることにより結合・伝動する。本実施例の場合、同図Aに示すように、伝動ギヤ18側を凸部にし、駆動機構2側を凹部にしたものを示している。このように形成することにより、駆動機構2を差し込むようにして設置することにより容易に合致することができる。
【0031】
なお、本実施例では、伝動ギヤ18は開閉弁4の内歯ギヤに噛合している実施例を示したが、該伝動ギヤと開閉弁4との噛合は、本実施例のように開閉弁の内側に形成した内歯ギヤであっても良いし、図5に示すように開閉弁4の外周縁に歯車(「外歯ギヤ」と称す)を形成することにより、該外歯ギヤと噛合せても良い。また、図示しないが、断面コの字状の開閉弁4の端面に歯車を形成し、モーターを水平方向より差し込み、該歯車に噛み合わせるようにしても良い。
また、駆動機構2と伝動ギヤ18との間に遊星歯車などの減速機を介装すれば、よりトルクが増し、伝動力がより一層確実に行うことができると共に、回転速度の制御がより簡便に行うことが可能となる。
また、同図Bに示すように、回転が自由なアイドルギヤ20を噛合させれば、開閉弁4の回動をよりスムースに行わせることができる。
そして、開閉弁4の連通孔12およびノズル5の吐出口53の同じノズル5を同じ方向・同じ角度に複数本設置し、これらの開閉弁4の回動を同調させれば、より複雑で、よりダイナミックな演出が可能となる。
【実施例4】
【0032】
図7は、本発明による噴水装置の開閉弁4およびノズル5との関係を示す他の実施例の断面平面説明図である。同図中図1および図2に示した符号と同じものは、同一物を示し詳細な説明を省略する。また、図面の作成要領については、図2と同じく開閉弁4とノズル5のみを示しており、開閉弁4は点線で示し、ノズル5は実線で示す。以下の実施例についても同じである。
本実施例によるノズル5の通水孔51は、最良の形態では左右に直線状に形成したものであるのに対し、渦巻状に形成したものである。本実施例では片側8個の合計16個の通水孔51,51a〜51hを形成している。また、開閉弁4には、通水孔51,51a〜51hの数に対向してそれぞれ連通孔12を十字状に設けている。この場合、通水孔51,51a〜51hは左右対称に設けているので、常に左右対称に噴出されるとともに、開閉弁4が一回転する間に吐出口53,53a〜53hより4回噴出されることになる。しかも、通水孔51,51a〜51hは渦巻状に形成しているので、通水孔51aと連通孔12aが合致してから多少の時間が経過して、通水孔51aと連通孔12aが不一致となり通水孔51aが閉じられると共に、通水孔51bと連通孔12bが合致し、更に、通水孔51bと連通孔12bが合致してから多少の時間が経過して、通水孔51bと連通孔12bが不一致となり通水孔51b閉じられると共に、通水孔51cと連通孔12cが合致する。このように順次時間差をもちながら、通水孔51aと連通孔12aの合致から通水孔51hと連通孔12hの合致まで、噴出水は徐々に外方に広がるように移動していくことになる。
本実施例の場合、開閉弁4の回動に伴い、上記実施例と同様に、流水7は吐出口53から常時噴出されると共に、通水孔51,51a〜51hおよび連結孔52,52a〜52h(不図示)を通って、それぞれに対応する吐出口53a〜53hから、開閉弁4が90度回動する毎に断続的に噴出される。また、吐出口53からの噴出水が、高くなったり低くなったりすることは最良の形態や上記実施例と同様である。
【実施例5】
【0033】
図8は、本発明による噴水装置の開閉弁4およびノズル5との関係を示す他の実施例の断面平面説明図で、図7の開閉弁4がノズル5の通水孔51に対向する連通孔12を個々に設けたのに対し、本実施例では長方形の大きな連通孔12を十字状に設けたものを示すものである。同図中図1および図2に示した符号と同じものは、同一物を示し詳細な説明を省略する。
本実施例は、図7に示す実施例の8個の連通孔12を一つにまとめたもので、基本的には図7の上記実施例と変わりない挙動の噴水が観賞できる。即ち、通水孔51aと連通孔12aが合致してから多少の時間が経過して、通水孔51aと連通孔12aが不一致となって閉じられると共に通水孔51bと連通孔12bが合致し、更に、通水孔51bと連通孔12bが合致してから多少の時間が経過して、通水孔51bと連通孔12bが不一致となって閉じられると共に通水孔51cと連通孔12cが合致する。このように順次時間差をもちながら、通水孔51aと連通孔12aの合致から通水孔51hと連通孔12hの合致まで、噴出水は徐々に外方に広がるように移動していくことになる。また、吐出口53,53a〜53hからの噴出水は、上記実施例と同様であり詳細な説明は省略する。
【実施例6】
【0034】
図9は、本発明による噴水装置の開閉弁4およびノズル5との関係を示す他の実施例の断面平面説明図である。同図中図1および図2に示した符号と同じものは、同一物を示し詳細な説明を省略する。
本実施例による連通孔12,12a〜12hは、図7および図8の開閉弁4が2対の連通孔12を設けたのに対して、1対にすると共に、個々のノズル5の通水孔51に対向するそれぞれの連通孔12を弧状に長く設けたものである。従って、基本的には図7および図8の上記実施例と同じような挙動の噴水が観賞できるが、個々の吐出口53,53a〜53h(不図示)からの噴出水は、図7および図8の実施例の場合、開閉弁4が一回転する間に4回噴出するのに対し、本実施例の場合は2回の噴出となる。そして、このように連通孔12を長く設けることにより、当然吐出口53より噴出する時間が延びるとともに、吐出口53は渦巻状に形成しているので、開閉弁4の回動に伴い、噴出水は複数の吐出口53より噴出しながら徐々にユッタリと外方に広がるように移動していくことになる。
【実施例7】
【0035】
図10は、本発明による噴水装置の開閉弁4およびノズル5との関係を示す他の実施例の断面平面説明図である。同図中図1および図2に示した符号と同じものは、同一物を示し詳細な説明を省略する。
本実施例は、ノズル5に同一円周上で中心部に各2つの通水孔51a,51bおよび外周部に各4つの通水孔51c,51dをそれぞれ設け、これらノズル5の通水孔51a,51bに対向してそれぞれ各2つの扇形の連通孔12a,12bを、通水孔51c,51dに対向してそれぞれ各4つの扇形の連通孔12c,12dを、それぞれ角度を少しづつずらせておおむね螺旋状に設けたものである。
従って、本実施例の場合、同図では全ての通水孔51a〜51dは合致しており、合計12ヶ所の吐出口53から噴出される。そして、同図中矢印で示すように開閉弁4が90度回動すると、ノズル5の中心部に設けた通水孔51a,51bは不一致となり、通水孔51c,51dのみが合致するので、該通水孔51c,51dの各4ヶ所合計8ヶ所の吐出口53から流水7が噴出されることになる。更に、開閉弁4が90度回動すると、同図の状態になるので、合計12ヶ所の吐出口53から噴出される。このようにして、通水孔51a,51bは180度毎に合致し、通水孔51c,51dは90度毎に合致するものであり、非常に複雑な噴出水の形状を観賞することができる。
なお、本実施例の通水孔51a,51b,51c,51dは、おおむね対照に螺旋状に設けたものであるが、図2のように、一直線上に設けると、全く異なる噴水を演出することができることは言うまでもなく、種々の組み合わせが容易に考えられるものである。
【実施例8】
【0036】
図11および図12は、本発明による噴水装置の開閉弁4およびノズル5との関係を示す他の実施例で、図11はその断面平面説明図、図12は本実施例による噴水装置の側面説明図である。同図中図1および図2に示した符号と同じものは、同一物を示し詳細な説明を省略する。
上記最良の形態および実施例1〜7ではノズル5の吐出口53の形状が筒状のものを示したが、本実施例は吐出口53(53a〜53c)をリング状に形成したものである。各ノズル5の底面には、図11に示すようにそれぞれ通水孔51a〜51cが吐出口53に対しそれぞれ4個設けられており、連結孔52により連結されている。同図に示すように、開閉弁4の連通孔12は、図8の実施例と同様に長穴に形成されており、通水孔51は常に2つの連通孔12に繋がるようにしている。このように形成することにより、リング状のノズル5に充分な流水が供給され、綺麗なリング状の噴水が得られるようにしたものである。
また、通水孔51と吐出口53を連結する連結孔52の中ほどには、図12に示すように貯留部15をそれぞれ通水孔51と吐出口53に対応してドーナツ状に形成しており、該貯留部15により吐出口53よりの噴出水を均一に噴出できるよう調整するものである。
【0037】
本実施例の場合、図11に示すように開閉弁4が回動することにより、連通孔12が最外周の吐出口53cの通水孔51cに合致していたのが、徐々に内周の通水孔51b、更に通水孔51aへと移り、図12に示すように、二点鎖線の低いリング状の噴水から、一点鎖線および実線で示す噴水へと変化するものである。なお、同図では図面が複雑になるので、噴水は断面側面図で示している。
なお、本実施例では、1つの吐出口53に対し連通孔12を複数個設けているが、勿論1個でも良いことは言うまでもない。
【実施例9】
【0038】
図13は、本発明による噴水装置の開閉弁4およびノズル5との関係を示す他の実施例の断面平面説明図で、同図Aはノズル5のみを示す斜視図、同図Bはその平面図、同図Cは開閉弁4のみを示す斜視図である。同図中図1および図2に示した符号と同じものは、同一物を示し詳細な説明を省略する。
前記実施例では開閉弁4が平板状のものを示したが、本実施例は半球で王冠状の立体的な開閉弁4を示すものである。
同図示のとおり、ノズル5は前記最良の形態と同様に半球状であるが、通水孔51と連結孔52および吐出口53を近接させたもので、同図Aのノズル5を同図Cの開閉弁4に被せるようにして組み立てられるものである。本実施例の開閉弁4は、中空で傘の骨のように放射状に形成され椀状にしたもので、底部は図示しないが、前記遊星歯車の遊星ギヤ3bあるいはパルスモーターやステッピングモーターなどの原動機により回動可能に連結されている。
そして、本実施例の場合、吐出口53は同図Bに示すように、螺旋状に4列形成されており、開閉弁4が同図C中矢印で示すように回動すると、吐出口53は常時開かれているが、吐出口53a,53b,53c,・・・,53gの順に閉じられることになる。また、開閉弁4は放射状に形成されているため、吐出口53a〜53gのいずれかが開閉され、予期しない複雑な噴水が形成されることになる。しかも、吐出口53は螺旋状に4列形成されているので、開閉弁4の回動に伴い、噴出水は4ヶ所の吐出口53より噴出しながら徐々に外方に広がるように移動していくことになり、より複雑な景観を観賞できることになる。
なお、本実施例では、開閉弁4とノズル5の曲率半径を略同じにして図示しているので、通水孔51と吐出口53が近接し、連結孔52がないように見えるが、開閉弁4の曲率半径を大きくすれば、連結孔52を形成することができ、安定した噴出水を噴出することができる。
また、本実施例において、開閉弁4をノズル5内壁に沿って螺旋状に形成すれば、より変化のある噴水が形成される。
【0039】
図14はノズル5の吐出口53の形状についての詳細断面図である。同図に示すように、ノズル5の吐出口53は通水孔51より徐々に直径を小さくし、該吐出口53部分で直線状に形成している。吐出口53の直線部の長さL1は、該吐出口53の直径とほぼ同じ位が望ましい。また、通水孔51の入口から直線部までの長さL2については、徐々に直径を小さくし円錐状に形成することが望ましい。いわゆる、流水が進むにつれて直径が小さくなっていくコンバージェント・ノズルが望ましい。
このノズル5の断面形状については、上記した最良の形態を含めた全ての実施例に適用できることは言うまでもない。
【0040】
上記に説明した実施例は極一部であり、ノズル5の吐出口53の位置・形状と開閉弁4の連通孔12の位置・形状との組み合わせは、無限に考えられる。前記実施例でも説明したように、一種のノズル5の吐出口53の形状に対し複数の開閉弁4が考えられ、これら導水管を流れる流水を遮断・給水するための開閉弁4と該流水を噴出するためのノズル5を交換することにより、噴出水の形状・噴出時間・動きなどを変えることができ、より美しい噴水の演出が可能であると共に、異なる噴水の挙動が得られることになる。また、逆に一種の開閉弁4の形状に対し複数のノズル5の吐出口53が考えられ、同様にして噴出水の形状・噴出時間・動きなどを変えることができる。これら開閉弁4とノズル5は、螺合により取着されているので、取付交換は容易である。それに、上記開閉弁の回動方向を逆転させれば、全く異なる噴出水の動きを生じさせることができる。
また、実施例8で示したリング状のノズル5は、円形に特定するものではなく、三角形,四角形,五角形などの多角形状であっても良く、このような多角形の形状にすることにより、従来の常識を破る噴水を提供することができるものである。また、吐出口53の形状をハート形,星形,魚形など、冠婚葬祭などの種々のイベントに即した形状にすれば、より適した演出効果を上げることができる。
同様にして、前記実施例ではノズル5が半球状のもので説明したが、該ノズル5を実施例2や実施例3のような円柱あるいは三角柱,四角柱などの多角柱で形成しても良く、またこのような多角柱のノズル5の吐出口53に傾斜をつけることにより、大きく拡がる噴水を提供することができるものである。
【0041】
この組み合わせは本発明による思想と同じくするものであれば、いずれでも良く、前記した実施例に特定するものではない。このように吐出口53の位置・形状が異なるノズル5と連通孔12の位置・形状が異なる開閉弁4の組み合わせを交換することにより、種々の噴水形状を現出することができることは、説明するまでもないことである。
そして、ノズル自体を噴水装置のケーシングに螺合により固着し、これらの内部に減速機などを収納しているので、確実に液密にすることができ、間隙部や摺動部からの漏水を防止することができると共に、ノズルの着脱が容易であり、水垢除去などの分解清掃を簡便に行うことができる。
なお、上記貯留部15は実施例8についてのみ説明したが、前記した他の実施例にも適用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明による噴水装置の最良の形態を示す分解断面側面図である。
【図2】本発明による噴水装置の図1中X−X線における断面平面説明図である。
【図3】本発明の噴水装置による噴水の状態を示す概略側面図で、同図Aは連通孔と通水孔が合致した状態の噴水を示し、同図Bは開閉弁が回動し、通水孔が閉じた状態の噴水を示すものである。
【図4】本発明による噴水装置の第一実施例を示す分解断面側面図である。
【図5】本発明による噴水装置の第二実施例を示すもので、同図Aはその要部断面側面図、同図Bは要部のみを示す平面図である。
【図6】本発明による噴水装置の第三実施例を示すもので、同図Aは分解断面側面図、同図Bは同図A中Y−Y線における要部のみを示す断面平面説明図である。
【図7】本発明による噴水装置の開閉弁およびノズルのみを示す第四実施例を示す断面平面説明図である。
【図8】本発明による噴水装置の開閉弁およびノズルのみを示す第五実施例を示す断面平面説明図である。
【図9】本発明による噴水装置の開閉弁およびノズルのみを示す第六実施例を示す断面平面説明図である。
【図10】本発明による噴水装置の開閉弁およびノズルのみを示す第七実施例を示す断面平面説明図である。
【図11】本発明による噴水装置の開閉弁およびノズルのみを示す第八実施例を示す断面平面説明図である。
【図12】本発明による噴水装置の図11の側面説明図である。
【図13】本発明による噴水装置の開閉弁およびノズルの第九実施例を示す側面説明図で、同図Aはノズルのみを示す斜視図、同図Bはその平面図、同図Cは開閉弁を示す斜視図である。
【図14】本発明によるノズルの吐出口の形状を示す詳細断面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 噴水装置
2 駆動機構
3 減速機
4 開閉弁
5 ノズル
51 通水孔
52 連結孔
53 吐出口
6 ケーシング
7 流水
8 導水管
11 締付具
12 連通孔
15 貯留部
16 バイパス流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルよりの噴出水に変化をもたせるようにした噴水装置であって、表面には吐出口が設けられ、底面には通水孔が設けられ、これら吐出口と通水孔とは連結孔で連通し、該吐出口より流水を噴出するようにしたノズルと、流水の導水管内に回動可能に設置され、上記通水孔に対向する複数の連通孔を設け、導水管中を流れる流水を遮断・給水する開閉弁および該開閉弁を回動するための駆動機構とから構成され、該開閉弁と上記ノズルの底面とを当接して摺動可能に設け、該開閉弁を回動させることにより、上記ノズル底面に形成した通水孔と開閉弁に開設した連通孔とが互いに合致したときに、流水がノズルの吐出口より噴出するようにしたことを特徴とする噴水装置。
【請求項2】
上記駆動機構が導水管内に回動自在に介装された羽根車で、該羽根車により流水の運動エネルギーを回転エネルギーに変換するようにした原動機であり、該原動機により開閉弁を回動するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の噴水装置。
【請求項3】
上記駆動機構がパルスモーターやステッピングモーターなどの原動機であり、該原動機により開閉弁を回動するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の噴水装置。
【請求項4】
上記通水孔と吐出口を連結する連結孔の中ほどに、貯留部を形成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の噴水装置。
【請求項5】
導水管を流れる流水を噴出するための上記ノズルをケーシングに螺合することにより、該ノズルと流水を遮断・給水するための開閉弁とを着脱可能とし、これら開閉弁およびノズルを交換できるようにしたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の噴水装置。
【請求項6】
上記羽根車を、導水管を分岐して形成したバイパス流路内に設置したことを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の噴水装置。

【図3】
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【図6】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−23015(P2010−23015A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−263306(P2008−263306)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【特許番号】特許第4341853号(P4341853)
【特許公報発行日】平成21年10月14日(2009.10.14)
【出願人】(307043843)
【Fターム(参考)】