説明

噴霧器

【課題】噴霧器のノズル体において、先端部のノズル方向が固定もしくは、 ノズル部を直接操作してノズル方向を変更する手段しかなく、手元操作で容易にノズル方向を変更することができないため、使用者サイドでの利便性が悪かった。
【解決手段】円筒パイプで構成されたノズル体において、前記ノズル体の一端に設け、噴霧口となるノズル部を回転することが可能な先端部と、前記ノズル体の他端の握り部に円筒パイプに対する変位を作り出す操作部と、前記操作部の変位量を先端部に伝達する伝達手段とを有し、前記操作部の変位量に応じて先端部が回転することにより、手元操作で容易にノズル方向の変更が可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズル方向を変更するノズル体を具備する噴霧器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ノズル部を回転可能なノズル体を具備する噴霧器は、ノズル方向を変更する際に、ノズル部をもしくは、ノズル部近傍の回転部を直接、手で操作しなければならない。従来のノズル体の全体図を図6に示す。ノズル部604は流路管602に接続されており、ノズル部604を流路管602に対し回転でき、ノズル部604を手動で回転操作することにノズル方向を変更していた。
【0003】
また、前記流路管602が、屈曲可能な軟質材のホースまたは、蛇腹体で構成され、ノズル部604もしくは流路管602そのものを手動で操作して、流路管602を屈曲させることによりノズル方向を変更することができるものもある(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】実公平03−26943号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら前記の噴霧器に具備されているノズル体は、高所にも噴霧できるように、長いパイプで構成されている。そのため、ノズル方向の変更する度に、ノズル部を手で操作できる範囲に持って来なければならず、容易にノズル方向を変更することができないだけでなく、噴霧しながらノズル方向を変更することができなかった。また、噴霧が停止状態でもノズル部は、薬液の噴霧により薬剤が付着しているため、手を汚してしまうなど使用者の利便性が悪い課題を有していた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するために、本発明の噴霧器に具備されている円筒パイプで構成されているノズル体は、前記ノズル体の一端に設け、噴霧口となるノズル部を回転することが可能な先端部と、前記ノズル体の他端の握り部に円筒パイプに対する変位を作り出す操作部と、前記操作部の変位量を先端部に伝達する伝達手段とから構成するというものである。本構成によって、操作部の変位量に応じて先端部が回転するので、手元操作によりノズル方向を容易に変更することが可能となる。
【発明の効果】
【0006】
以上のように本発明は、ノズル方向を変更する際、ノズル部もしくはノズル先端近傍を直接、手で操作することもなく手元操作によりノズル方向を容易に変更することができ、噴霧作業しながらでも噴霧の狙いを付けるという優れた効果が得られる。また、薬液によって濡れているノズル部を直接、手で触れる必要がなくなるので、手を薬液により手を汚すこともなくなる。以上のようにユーザーにとって利便性の高い噴霧器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明において、伝達手段としては、ワイヤーや硬質のロッド棒での構成がまず挙げられる。
【0008】
また、先端部を、前記ノズル部と、前記ノズル部に接続された屈曲可能なホースと、前記ホースを通す前記円筒パイプと、前記円筒パイプの軸に対してほぼ平行に配置され、一端をノズル部、他端を円筒パイプに回転自在に接合された回転アームとで構成するか、
前記ノズル部と、前記ノズル部に接続された屈曲可能なホースと、前記ホースを通し、前記ノズル部に回転自在に接合される円筒パイプとで構成することもできる。
【0009】
更に前記円筒パイプと前記ホースとで構成され、前記ホースが前記パイプ内を前後することで変位量を伝達することを特徴とする伝達手段で構成すれば、伝達手段と薬液のホースが共用されることができる。それにより、簡単な構造になるので、部品数も少なくできる効果が得られる。
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0011】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるノズル体の全体の動作図である。図2は、図1の先端部を拡大した正面図を及び平面図である。ノズル体は円筒パイプ102と、円筒パイプ102の一端に先端部101と、他端に握り部103が構成されている。ノズル体の先端部101は、噴霧口104aを有するノズル部104があり、ノズル部104は方向変換できるように、回転中心軸104bを軸に回転できる構造になっている。円筒パイプ102は、高所・遠方への噴霧ができるように長く構成され、噴霧器本体から運ばれた薬液をノズル部104まで運ぶ流路になっているか、もしくは円筒パイプ102内に薬液流路であるホースが通っている。握り部には、円筒パイプ102に対する変位を作り出す操作部105が構成されている。また、先端部101と操作部105に接合されている伝達手段106が構成されている。
【0012】
以上のように構成されたノズル体について、図1および図2を用いてその動作を説明する。まず、操作部105をノズル体の先端方向(矢印方向)にスライドさせると、操作部105に接合されている伝達手段106も先端方向(矢印方向)に動作する。伝達手段106は、ノズル部104にも接合されているので、ノズル部104の回転中心軸104bを軸に回転トルクが加わり、ノズル部104の方向が変わる。次に操作部105を手元方向(矢印と逆の方向)に、スライドさせると、ノズル部104が元に戻る。
【0013】
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2におけるノズル体の全体の動作図及び断面図である。図4は、図3の先端部のノズル方向変更後の断面拡大図である。実施の形態1と同様、円筒パイプ302で構成されているノズル体は、一端に先端部301、他端に握り部303が構成されている。ノズル体の先端部301は、噴霧口304aを有するノズル部304と、ノズル部304に接続された薬液の流路管と伝達手段を兼ねた屈曲可能なホース306と、前記ホース306を通す円筒パイプ302と、円筒パイプ302の軸に対してほぼ平行に配置され、一端をノズル部304、他端を円筒パイプ302に回転自在に接合された回転アーム307で構成されている。握り部には、円筒パイプ302に対する変位を作り出す操作部305が構成されている。また、円筒パイプ302内のホース306は先端部301と操作部305に接合されている伝達手段としても構成されている。
【0014】
以上のように構成されたノズル体について、図3及び図4を用いてその動作を説明する。まず、操作部305をノズル体の先端方向(矢印方向)にスライドさせると、操作部305に接合されているホース306も先端方向(矢印方向)に動作する。ホース306は、円筒パイプ302とノズル部304に回転自在に接合された回転アーム307により、回転アーム307側に屈曲される。ホース306の屈折により、ノズル部304の方向が変わる。次に操作部305を手元方向(矢印と逆の方向)に、スライドさせると、ノズル部304が元に戻る。
【0015】
ここでは、伝達手段としてホース306で構成した場合を説明したが、実施の形態1で
説明したように別部品として伝達手段を設けても構わない。
【0016】
(実施の形態3)
図5は、本発明の実施の形態3におけるノズル体の先端部のノズル方向変更後の断面拡大図である。実施の形態3は、先端部501がノズル部504を回転自在に接合された円筒パイプ502と屈曲可能なホース506とで構成されており、実施の形態2の回転アーム307を削除された構成である以外は、実施の形態2と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明の手元操作によりノズル方向を変更するノズル体を具備する噴霧器は、農薬・園芸用薬剤噴霧だけにとどまらず、塗料、消毒剤などの散布機などにも利用価値があると考える。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態1におけるノズル体の全体の動作図
【図2】(A)図1の先端部を拡大した平面図、(B)同先端部を拡大した正面図
【図3】(A)本発明の実施の形態2におけるノズル体の全体の動作図、(B)同ノズル体の全体の断面図
【図4】図3の先端部のノズル方向変更後の断面拡大図
【図5】本発明の実施の形態3におけるノズル体の先端部のノズル方向変更後の断面拡大図
【図6】従来のノズル体の全体図
【符号の説明】
【0019】
101、301、501、601 先端部
102、302、502、602 円筒パイプ
103、303、603 握り部
104、304、504、604 ノズル部
104a、304a 噴霧口
104b 回転中心軸
105、305、 操作部
106、 伝達手段
306、506 ホース
307 回転アーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒パイプで構成されたノズル体の一端に設け、噴霧口となるノズル部を回転することが可能な先端部と、
前記ノズル体の他端の握り部に円筒パイプに対する変位を作り出す操作部と、
前記操作部の変位量を先端部に伝達する伝達手段とを有し、
前記操作部の変位量に応じて先端部が回転することによりノズル部の方向が変えられることを特徴とするノズル体を具備する噴霧器。
【請求項2】
ノズル部と、
前記ノズル部に接続された屈曲可能なホースと、
前記ホースを通す円筒パイプと、
前記円筒パイプの軸に対してほぼ平行に配置され、一端をノズル部、他端を円筒パイプに回転自在に接合された回転アームとで構成された先端部を特徴とする請求項1記載のノズル体を具備する噴霧器。
【請求項3】
ノズル部と、
前記ノズル部に接続された屈曲可能なホースと、
前記ホースを通し、前記ノズル部を回転自在に接合する円筒パイプとで構成された先端部を特徴とする請求項1記載のノズル体を具備する噴霧器。
【請求項4】
前記円筒パイプと、
前記ホースとで構成され、
前記ホースが前記パイプ内を前後することで変位量を伝達することを特徴とする伝達手段を有する請求項2または請求項3記載ノズル体を具備する噴霧器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−104969(P2008−104969A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−290941(P2006−290941)
【出願日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】