説明

噴霧用バインダー組成物

【課題】ガラスウールやロックウールと同時に噴霧され、ガラスウールやロックウールが接着力を有するようにする、噴霧用バインダー組成物を提供すること。
【解決手段】本発明による噴霧用バインダー組成物は、ポリビニルアルコール、防腐剤、消泡剤及び精製水からなる第1溶液を200乃至400重量部、及び硼酸、塩基性化合物、グリセリン及び精製水からなる第2溶液を100重量部、含んで構成される。また、本発明による噴霧用バインダー組成物は、2液型の二成分が噴霧されると同時に化学的結合が行われ得るので、少量でも優れた接着力が期待でき、物性が長期間保持される効果がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スチール(steel)及びコンクリートにコートされ、保温、断熱及び騒音遮断の効果を奏するガラスウールやロックウールと同時に噴霧され、ガラスウール(ガラス綿)やロックウール(岩綿)が接着力を有するようにする、内装材料に用いられる噴霧用バインダー組成物に関するものであって、さらに詳細には、ポリビニルアルコール、防腐剤、消泡剤及び精製水からなる第1溶液を200乃至400重量部、及び硼酸、塩基性化合物、グリセリン及び精製水からなる第2溶液を100重量部、含んで構成される。
【背景技術】
【0002】
本発明は、スチール及びコンクリートにコートされ、保温、断熱及び騒音遮断の効果を奏するガラスウールやロックウールと同時に噴霧され、ガラスウールやロックウールが接着力を有するようにする、内装材料に用いられる噴霧用バインダー組成物に関するものであって、さらに詳細には、ポリビニルアルコール、防腐剤、消泡剤及び精製水からなる第1溶液を200乃至400重量部、及び硼酸、塩基性化合物、グリセリン及び精製水からなる第2溶液を100重量部、含んで構成される。
【0003】
従来から用いられている内装材料用バインダーは、清い水や高分子物質からなる1液型のものであって、一定の圧力下で噴霧され、内装材とスチールとを接着する役割を奏した。
【0004】
しかしながら、従来に使われた1液型のバインダーの場合は、接着力が弱く、時間が経つにつれ変色が進められると同時に、物性が低下し、内装材とスチールとの接着面に亀裂が発生し、内装材とスチールが互いに離脱する問題があった。
【0005】
そのため、2液型の成分が噴霧されると同時に発生する化学的な結合を通じて少量であっても強力な接着力を示しており、変色の発生が少なく、長時間、物性が維持される噴霧用バインダー組成物が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、2液型から製造されたそれぞれの原料が、ガラスウールやロックウールと同時に噴霧されながら、強力な化学的結合が行われるので、少量を噴霧してもガラスウールやロックウールが優れた接着力を持つことができるようにする、噴霧用バインダー組成物を提供することにある。
【0007】
また、他の目的は、2液型の原料成分がそれぞれ噴霧された直後に強力な化学的な結合を行うので、長時間、物性の低下を示さない、噴霧用バインダー組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、ポリビニルアルコール、防腐剤、消泡剤及び精製水からなる第1溶液を200乃至400重量部、及び硼酸、塩基性化合物、グリセリン及び精製水からなる第2溶液を100重量部含んでなる、噴霧用バインダー組成物を提供することによって達成される。
【0009】
本発明の望ましい特徴によれば、前記第1溶液は、ポリビニルアルコール1乃至30重量部、 防腐剤0.01乃至5重量部、消泡剤0.05乃至5重量部及び精製水70乃至99重量部を含んでなる。
【0010】
本発明のさらに望ましい特性によれば、前記防腐剤は、5‐クロロ‐2‐メチル‐4‐イソチアゾリン‐3‐オン(5‐chloro‐2‐methyl‐4‐isothiazoline‐3‐one)及び2‐メチル‐4‐イソチアゾリン‐3‐オン(2‐methyl‐4‐isothiazoline‐3‐one)を含んでなる。
【0011】
本発明のさらに望ましい特性によれば、前記第2溶液は、硼酸1乃至30重量部、塩基性化合物0.1乃至10重量部、グリセリン0.5乃至10重量部及び精製水70乃至99重量部を含んでなる。
【0012】
本発明のさらに望ましい特性によれば、前記消泡剤は、非イオン界面活性剤のポリエチレングリコールに精製水を混合してなるものとする。
【0013】
本発明のさらに望ましい特性によれば、前記塩基性化合物は、水酸化カリウム0.1乃至10重量部、又は水酸化ナトリウム0.1乃至10重量部を含んでなるものとする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る噴霧用バインダー組成物は、2液型から製造されたそれぞれの原料がガラスウールやロックウールと同時に噴霧されながら強力な化学的結合が行われ、少量を噴霧してもガラスウールやロックウールが優れた接着力を有するようにする極めて優れた効果を有する。
【0015】
また、2液型の原料成分がそれぞれ噴霧された直後に各原料間の強力な化学的結合が行われるので、長時間、物性の低下が発生しないという優れた効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の望ましい実施形態と各成分の物性について詳細に説明するが、これは、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が発明を容易に実施し得る程度に詳しく説明するためのものであって、これに本発明の技術的思想及び範疇が限定されるものではない。
【0017】
本発明による噴霧用バインダー組成物は、ポリビニルアルコール、防腐剤、消泡剤及び精製水からなる第1溶液を200乃至400重量部、及び硼酸、塩基性化合物、グリセリン及び精製水からなる第2溶液を100重量部、含んで構成される。
【0018】
前述した第1溶液は、ポリビニルアルコール1乃至30重量部、防腐剤0.01乃至5重量部、消泡剤0.05乃至5重量部及び精製水70乃至99重量部を含んでなる。
【0019】
前述した防腐剤は、5‐クロロ‐2‐メチル‐4‐イソチアゾリン‐3‐オン及び2‐メチル‐4‐イソチアゾリン‐3‐オンを含んでなる。
【0020】
前述したポリビニルアルコールは、高分子鎖間には、前述した第2溶液に混合されている硼酸が、塩基性混合物との反応を介して生成された硼酸イオンが交差結合し、長期的に安定した物性を有する。
【0021】
この際、前述した消泡剤は、非イオン界面活性剤のポリエチレングリコールに精製水を混合してなり、第1溶液を混合すると、精製水の添加過程で発生した気泡を除去する役割を果たす。
【0022】
前述した第2溶液は、硼酸1乃至30重量部、塩基性化合物0.1乃至10重量部、グリセリン0.5乃至10重量部及び精製水70乃至99重量部を含んでなる。
【0023】
前述した硼酸を前述した精製水に溶解させると、硼酸溶液は、9pH程度の塩基性溶液になるが、こうした硼酸溶液は、ポリビニルアルコールとの完全な反応が行われにくいので、水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムのような塩基性化合物を添加することにより、硼酸溶液のpHを調節でき、ポリビニルアルコールと完全な反応をすることが可能な硼酸イオンの形態に誘導する。
【0024】
前述したグリセリンは、0.5乃至10重量部を添加し、噴霧用バインダー組成物に粘着力を増加させることによって、噴霧された箇所からバインダー組成物が垂れ下がることがないようにする。
【0025】
前述した成分からなる噴霧用バインダー組成物は、ガラスウールやロックウールと同時に噴霧され、ガラスウールやロックウールがスチール及びコンクリートと接着できるようにガラスウールやロックウールに接着性を付与する。
【実施例】
【0026】
以下では、本発明による噴霧用バインダー組成物の製造方法及び該物性について実施例を挙げて説明する。
【0027】
第1溶液、ポリビニルアルコール5重量部、5‐クロロ‐2‐メチル‐4‐イソチアゾリン‐3‐オン及び2‐メチル‐4‐イソチアゾリン‐3‐オンを含んでなる防腐剤0.05重量部、非イオン界面活性剤のポリエチレングリコールに精製水を混合してなる消泡剤0.1重量部、精製水94.85重量部を混合し、製造した。
【0028】
第2溶液、硼酸3重量部、水酸化カリウム0.5重量部、グリセリン1重量部及び精製水95.5重量部を混合し、製造した。
【0029】
(実施例1)
複数の噴霧ノズルが備えられたスプレー装置に、第1溶液200重量部と第2溶液100重量部をそれぞれの噴霧ノズルにそれぞれ連結し、また他のノズルに満たされているガラスウールを、第1溶液及び第2溶液と同時にスチール面に噴霧し、28日間乾燥した。
【0030】
(実施例2)
複数の噴霧ノズルが備えられたスプレー装置に、第1溶液300重量部と第2溶液100重量部をそれぞれの噴霧ノズルにそれぞれ連結し、また他のノズルに満たされているガラスウールを第1溶液及び第2溶液と同時にスチール面に噴霧し、28日間乾燥した。
【0031】
(実施例3)
複数の噴霧ノズルが備えられたスプレー装置に第1溶液400重量部と第2溶液100重量部をそれぞれの噴霧ノズルにそれぞれ連結し、また他のノズルに満たされているガラスウールを第1溶液及び第2溶液と同時に噴霧し、28日間乾燥した。
【0032】
(比較例)
ビニルアセテートからなるバインダー100重量部に精製水800重量部を混合してスチール面にガラス繊維粉末と同時に噴霧し、28日間乾燥した。
【0033】
実施例1乃至3及び比較例を通じて、2液型のバインダーが噴霧されたガラスウールとスチールとの接着強度を測定し、下記表1に示した。
【0034】
測定方法は、2液型のバインダーが噴霧され、スチール表面に接着しているガラスウールの表面に、ウレタン接着剤を用いて、鉤付きキャップを接着し、完全に硬化する時まで固定させる。
【0035】
ウレタン接着剤が硬化すると、キャップに備えられている鉤にばね秤を掛け、表面に対して垂直方向へばね秤を引っ張り、ガラスウールがスチール面から離脱する時までの最大荷重を測定した。
【0036】
但し、接着強度の計算は、次の数式1で計算し、スチール面に接着しているガラスウールの表面から任意の3ヶ所を選定して測定し、平均値を示した。
【0037】
[数1]
接着強度=最大荷重(kg)/ガラスウール面と接着されるギャップの断面積(m
【0038】
【表1】

【0039】
前記の表1に示しているように、本発明により製造された噴霧用バインダー組成物を、ガラスウールに噴霧することによって、スチール面とガラスウールとが互いに強力に接着し合えるということがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリビニルアルコール1乃至30重量部、防腐剤0.01乃至5重量部、消泡剤0.05乃至5重量部及び精製水70乃至99重量部からなる第1溶液を200乃至400重量部、及び、硼酸、塩基性化合物、グリセリン及び精製水からなる第2溶液を100重量部含んで構成される、噴霧用バインダー組成物。
【請求項2】
前記防腐剤は、5‐クロロ‐2‐メチル‐4‐イソチアゾリン‐3‐オン及び2‐メチル‐4‐イソチアゾリン‐3‐オンを含んでなる、請求項1に記載の噴霧用バインダー組成物。
【請求項3】
前記第2溶液は、硼酸1乃至30重量部、塩基性化合物0.1乃至10重量部、グリセリン0.5乃至10重量部及び精製水70乃至99重量部を含んでなる、請求項1に記載の噴霧用バインダー組成物。
【請求項4】
前記消泡剤は、非イオン界面活性剤のポリエチレングリコールに精製水を混合してなる、請求項1に記載の噴霧用バインダー組成物。
【請求項5】
前記塩基性化合物は、水酸化カリウム0.1乃至10重量部または水酸化ナトリウム0.1乃至10重量部を含んでなる、請求項3に記載の噴霧用バインダー組成物。

【公開番号】特開2011−26542(P2011−26542A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−50551(P2010−50551)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(509223302)大協テック株式会社 (1)
【出願人】(509223313)大協スプレー株式会社 (1)
【出願人】(509223324)
【Fターム(参考)】