説明

回路モジュールおよびそれを備えた電子機器ならびに回路モジュールの製造方法

【課題】小型化を図ることが可能な回路モジュールを提供する。
【解決手段】この回路モジュールは、電子部品3が実装される基板1と、シールドケース2と、基板1とシールドケース2とを接合する半田5とを備えている。そして、基板1の側端面1bの一部と重畳する脚部2fがシールドケース2の所定の側部2bから延ばされているとともに、基板1の側端面1bの一部とシールドケース2の脚部2fとが半田5で接合されており、基板1の側端面1bの一部とシールドケース2の脚部2fとの重畳部分を露出させるための開口部2gがシールドケース2の所定の側部2bに形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路モジュールおよびそれを備えた電子機器ならびに回路モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ICなどの電子部品を基板に実装し、その基板に実装した電子部品をシールドケースで覆った回路モジュールが知られている(たとえば、特許文献1参照)。以下に、図9を参照して、従来の回路モジュールの構成の一例を簡単に説明する。
【0003】
従来の回路モジュールでは、図9に示すように、平面視における外形形状が略四角形状とされた基板101の実装面101aに、ICなどの電子部品(図示せず)が実装されている。そして、その電子部品を覆うシールドケース102が基板101に取り付けられている。
【0004】
ところで、基板101に対するシールドケース102の取り付けは、基板101の実装面101aにシールドケース102の一部を接合することによってなされている。具体的に言うと、基板101の実装面101aには、その四隅に接合スペース101bが確保されているとともに、シールドケース102には、接合片となる4つの脚部102aが形成されている。そして、基板101の四隅の接合スペース101bのそれぞれに、シールドケース102の4つの脚部102aが接合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−168901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の回路モジュールでは、上記したように、基板101の実装面101aに、電子部品が実際に実装される実装スペースに加えて、接合スペース101bをも確保しておく必要がある。したがって、基板101の外形サイズが大きくなり、結果として、回路モジュールを小型化するのが困難になってしまう。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、小型化を図ることが可能な回路モジュールおよびそれを備えた電子機器ならびに回路モジュールの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の第1の局面による回路モジュールは、実装面および実装面に繋がる側端面を有し、実装面に電子部品が実装される基板と、天面部および天面部の外周に立設された複数の側部を有するシールドケースと、基板とシールドケースとを接合する接合部材とを備えている。そして、基板の側端面の一部と重畳する脚部がシールドケースの複数の側部のうちの所定の側部から延ばされているとともに、基板の側端面の一部とシールドケースの脚部とが接合部材で接合されており、基板の側端面の一部とシールドケースの脚部との重畳部分を露出させるための開口部がシールドケースの所定の側部に形成されている。
【0009】
第1の局面では、上記のように、基板の側端面の一部と重畳する脚部をシールドケースの複数の側部のうちの所定の側部から延ばすとともに、基板の側端面の一部とシールドケースの脚部とを接合部材で接合することによって、基板とシールドケースとを接合するための接合スペースを基板の実装面に確保することなく、基板とシールドケースとの接合を行える。これにより、基板の外形サイズを小さくすることができ、結果として、回路モジュールの小型化を図ることが可能となる。
【0010】
さらに、第1の局面では、上記のように、基板の側端面の一部とシールドケースの脚部との重畳部分(接合部材による接合部分)を露出させるための開口部をシールドケースの所定の側部に形成することによって、たとえば、接合時に加熱が必要な接合部材を用いる場合、シールドケースの開口部をレーザ光の通光孔として機能させれば、接合部材にのみ部分的にレーザ光を照射して熱を加えることができる。すなわち、リフロー炉などによって接合部材を加熱する場合とは異なり、基板の全体が加熱されることはない。このため、電子部品に熱ダメージが加わり難くなり、信頼性が向上する。また、基板の側端面の一部とシールドケースの脚部との重畳部分(接合部材による接合部分)がシールドケースの開口部から露出していれば、基板の側端面の一部とシールドケースの脚部との間の接合状態を確認することも容易にできる。
【0011】
上記第1の局面による回路モジュールにおいて、接合部材が半田であることがより好ましい。このように構成すれば、容易に、基板の側端面の一部とシールドケースの脚部とを接合することができる。
【0012】
上記第1の局面による回路モジュールにおいて、シールドケースの所定の側部から天面部に跨るように開口部が形成されていることが好ましい。このように構成すれば、基板の側端面の一部とシールドケースの脚部との重畳部分(接合部材による接合部分)がより大きく露出されるので、基板の側端面の一部とシールドケースの脚部との接合作業が容易となる。
【0013】
特に、接合部材にレーザ光を照射することによって基板の側端面の一部とシールドケースの脚部とを接合する場合には、レーザ光の接合部材への照射を効率的に行うことができる。すなわち、シールドケースの所定の側部から天面部に跨るように開口部が形成されていれば、シールドケースの天面部側から見て接合部材が露出された状態となるので、接合部材にレーザ光を当て易くなる。その一方、シールドケースの所定の側部にだけ開口部が形成されているとすると、シールドケースの天面部側から見て接合部材が露出されていない状態となるので、接合部材にレーザ光を当て難くなる。
【0014】
上記第1の局面による回路モジュールにおいて、基板に端面スルーホールが形成されており、シールドケースの脚部に接合される基板の側端面の一部が端面スルーホールの内側面とされていることが好ましい。このように構成すれば、基板の側端面の一部(端面スルーホールの内側面)とシールドケースの脚部との間の接合面積が増大するので、基板とシールドケースとの接合をより強固にすることができる。さらに、端面スルーホールを位置決め部として利用すれば、基板とシールドケースとの間の位置ずれを抑制することもできる。
【0015】
基板に端面スルーホールが形成されている構成において、その端面スルーホールの形状が半長円形状とされていることがより好ましい。このように端面スルーホールの形状が半長円形状であれば、端面スルーホールの形状が一般的な半円形状である場合に比べて、基板の内側への切り込み量が小さくなる。したがって、基板に端面スルーホールを形成したとしても、基板の実装面の面積が小さくなるのを抑制することができる。
【0016】
上記第1の局面による回路モジュールにおいて、シールドケースの複数の側部が互いに対向する一対の第1側部を含み、シールドケースの少なくとも一対の第1側部のそれぞれが、脚部が延ばされ、かつ、開口部が形成された所定の側部とされていることがより好ましい。このように構成すれば、基板に対するシールドケースの接合をバランスよく行うことができる。
【0017】
シールドケースの複数の側部が互いに対向する一対の第1側部を含む構成において、シールドケースの複数の側部が互いに対向する一対の第2側部をさらに含み、シールドケースの少なくとも一対の第2側部のそれぞれの先端が基板の実装面に当接していることが好ましい。このように構成すれば、シールドケースの天面部が傾かないように規制されるので、基板の実装面に対してシールドケースの天面部を水平に保持することができる。
【0018】
上記第1の局面による回路モジュールにおいて、基板の板厚方向で見て、シールドケースの開口部の内側面のうちの脚部側の面の位置と基板の実装面の位置とが同じとなっていることが好ましい。
【0019】
本発明の第2の局面による電子機器は、上記第1の局面による回路モジュールを備えている。このように構成すれば、電子機器を小型化することができる。
【0020】
本発明の第3の局面による回路モジュールの製造方法は、実装面および実装面に繋がる側端面を有する基板を作製し、基板の実装面に電子部品を実装する工程と、天面部および天面部の外周に立設された複数の側部を有するシールドケースを作製する工程と、基板とシールドケースとを接合部材で接合する工程とを備えている。そして、シールドケースを作製する際に、基板の側端面の一部と重畳する脚部をシールドケースの複数の側部のうちの所定の側部から延ばすとともに、基板の側端面の一部とシールドケースの脚部との重畳部分が露出されるような開口部をシールドケースの所定の側部に形成し、基板の側端面の一部とシールドケースの脚部との重畳部分がシールドケースの開口部から露出された状態で、基板の側端面の一部とシールドケースの脚部とを接合部材で接合する。
【0021】
第3の局面では、上記のような製造方法を用いて回路モジュールを製造することによって、基板とシールドケースとを接合するための接合スペースを基板の実装面に確保することなく、基板とシールドケースとの接合を行える。これにより、基板の外形サイズを小さくすることができ、結果として、回路モジュールの小型化を図ることが可能となる。
【0022】
さらに、第3の局面による回路モジュールの製造方法であれば、たとえば、接合時に加熱が必要な接合部材を用いる場合、シールドケースの開口部をレーザ光の通光孔として機能させることにより、接合部材にのみ部分的にレーザ光を照射して熱を加えることができる。これにより、電子部品に熱ダメージが加わり難くなり、信頼性が向上する。また、基板の側端面の一部とシールドケースの脚部との重畳部分(接合部材による接合部分)がシールドケースの開口部から露出されているので、基板の側端面の一部とシールドケースの脚部との間の接合状態を確認することも容易にできる。
【0023】
上記第3の局面による回路モジュールの製造方法において、接合部材が半田であり、シールドケースの開口部から半田に熱を加えることにより、基板の側端面の一部とシールドケースの脚部とを半田で接合することが好ましい。このように構成すれば、容易に、基板の側端面の一部とシールドケースの脚部とを接合することができる。
【0024】
この場合、半田に加える熱がレーザ光を照射することで発生する熱であることがより好ましい。
【発明の効果】
【0025】
以上のように、本発明によれば、容易に、回路モジュールを小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本実施形態による回路モジュールの側面図である。
【図2】本実施形態による回路モジュールの分解斜視図である。
【図3】本実施形態による回路モジュールの接合部分の断面図である。
【図4】図3に示した接合部分を拡大した図である。
【図5】本実施形態による回路モジュールの断面図である。
【図6】本実施形態による回路モジュールの製造方法を説明するための図(接合部分にレーザ光が照射されている状態の図)である。
【図7】本実施形態の変形例による回路モジュールのシールドケースの斜視図である。
【図8】本実施形態の変形例による回路モジュールの接合部分の図である。
【図9】従来の回路モジュールの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、図1〜図5を参照して、本実施形態による回路モジュール11の構成について説明する。
【0028】
本実施形態による回路モジュール11は、図1に示すように、たとえば、携帯電話に代表されるモバイル機器(電子機器)のマザーボード12に搭載されるものであって、基板1と、その基板1に装着されるシールドケース2とを少なくとも備えている。なお、基板1はガラスエポキシ基板などの有機基板からなっているとともに、シールドケース2は洋白板(銅と亜鉛とニッケルとを含む合金板)からなっている。
【0029】
基板1は、図2に示すように、金属配線パターン(図示せず)が設けられた実装面1aを有し、平面視における外形形状、すなわち、実装面1a側から見た場合の外形形状が略四角形状とされている。そして、基板1の実装面1aには複数の電子部品3が実装されており、金属配線パターンを介して電子部品3に電力(電気信号)が供給されるようになっている。
【0030】
基板1の実装面1aに実装される電子部品3としては、たとえば、IC、メモリ、トランジスタおよび抵抗などであり、個数や種類は用途に応じて変更される。また、電子部品3の実装方法としては、電子部品3の端子を金属配線パターンに半田付けする場合もあるし、電子部品3の端子をスルーホールに挿入して半田付けする場合もある。
【0031】
また、基板1の平面視における外形形状は略四角形状となっていることから、基板1は実装面1aに繋がる4つの側端面を有していることになる。以下、基板1の4つの側端面のうち、互いに逆方向に向く所定の一対の側端面に符号1bを付し、別の一対の側端面に符合1cを付して説明する。また、以下の説明では、基板1の実装面1aに対して平行な方向のうち、側端面1bに沿った方向をX方向とし、側端面1cに沿った方向をY方向とする。また、基板1の板厚方向(実装面1aの法線方向)をZ方向とする。
【0032】
この基板1の側端面1bには、平面視における形状が半円形状とされた一般的な端面スルーホール(内側面が金属メッキされた凹み)4が形成されている。一方で、基板1の側端面1cには、そのような端面スルーホール4は形成されていない。なお、端面スルーホール4は外部接続端子などとして利用されるものであって、個数や形成箇所は特に限定されるものではない。
【0033】
シールドケース2は、洋白板を折り曲げ加工することで得られ、平面視における外形形状が略四角形状とされた天面部2aと、その天面部2aの外周に立設された4つの側部とを有している。そして、シールドケース2が基板1に装着されると、基板1の実装面1aがシールドケース2の天面部2aと対向される。すなわち、電子部品3の上方側(実装側とは反対側)がシールドケース2の天面部2aによって覆われる。これにより、電子部品3の上方側からの電磁波の侵入、および、電子部品3の上方側への電磁波の漏洩が抑制される。
【0034】
さらに、シールドケース2が基板1に装着された状態においては、シールドケース2の4つの側部によって電子部品3の側方側が覆われる。したがって、電子部品3の側方側からの電磁波の侵入、および、電子部品3の側方側への電磁波の漏洩が抑制される。以下、シールドケース2の4つの側部のうち、互いに対向する所定の一対の側部に符号2bを付し、別の一対の側部に符号2cを付して説明する。
【0035】
このシールドケース2の側部2bおよび2cは、それぞれの先端2dおよび2eのZ方向における位置が互いに同じとされている。ただし、シールドケース2の側部2bの先端2dからはZ方向の一方側に向かって脚部2fがさらに延ばされ、側部2cの先端2eからは脚部2fは延ばされてはいないという点が異なっている。なお、シールドケース2の側部2bおよび2cは、それぞれ、本発明の「第1側部」および「第2側部」の一例である。
【0036】
そして、本実施形態では、基板1の側端面1bの一部にシールドケース2の脚部2fが接合されることによって、シールドケース2の基板1への装着がなされている。
【0037】
具体的には、図2および図3に示すように、シールドケース2の脚部2fが基板1の側端面1bの一部(2つの端面スルーホール4の間の所定部分)と重畳されている。また、基板1の側端面1bの一部上、すなわち、基板1の側端面1bの一部とシールドケース2の脚部2fとの間に、接合部材としての半田5が設けられている。そして、その半田5を介して、基板1の側端面1bの一部とシールドケース2の脚部2fとが接合されている。
【0038】
ここで、シールドケース2の脚部2fのX方向の幅については特に限定されるものではないが、本実施形態では、シールドケース2の脚部2fのX方向の幅が2つの端面スルーホール4のX方向の間隔よりも小さくされている。理由としては、基板1の側端面1bの一部とシールドケース2の脚部2fとを接合したときに、シールドケース2の脚部2fが端面スルーホール4に電気的に接続されてしまうのを抑制するためである。
【0039】
また、本実施形態では、シールドケース2の側部2bの所定部分(脚部2fの近傍部分)に、天面部2aにまで跨って開口する開口部2gが形成されている。そして、シールドケース2の開口部2gによって、基板1の側端面1bの一部とシールドケース2の脚部2fとの重畳部分(半田5による接合部分)が露出されている。また、Z方向で見て、シールドケース2の開口部2gの内側面のうちの脚部2f側の面2hの位置と、基板1の実装面1aの位置とは同じにされている。なお、シールドケース2の開口部2gの形状は特に限定されるものではなく、図示された形状以外の形状であってもよい。
【0040】
このような開口部2gをシールドケース2に形成することによって、シールドケース2が基板1に装着された状態において、基板1の側端面1bの一部とシールドケース2の脚部2fとの重畳部分(半田5による接合部分)をシールドケース2の天面部2a側から視認することができるようになっている。もちろん、シールドケース2が基板1に装着された状態において、基板1の側端面1bの一部とシールドケース2の脚部2fとの重畳部分(半田5による接合部分)をシールドケース2の側部2b側から視認することもできる。
【0041】
さらに、本実施形態では、図2および図4に示すように、基板1の側端面1bの一部(2つの端面スルーホール4の間の所定部分)に、端面スルーホール4とは別の端面スルーホール(内側面が金属メッキされた凹み)6が形成されている。この端面スルーホール6の平面視における形状としては、端面スルーホール4のような半円形状ではなく、半円をX方向に延ばした半長円形状となっている。そして、本実施形態では、シールドケース2の脚部2fに接合される基板1の側端面1bの一部が端面スルーホール6の内側面とされている。
【0042】
また、本実施形態では、図2および図5に示すように、シールドケース2の側部2cの先端2eからは脚部2fが延ばされていないが、そのシールドケース2の側部2cの先端2eは基板1の実装面1aの側部1c側に当接されている。これにより、基板1の実装面1aとシールドケース2の天面部2aとの間の距離(シールドケース2の天面部2aと電子部品3との間の距離)が所望の距離となるように保持されている。
【0043】
本実施形態では、上記のように、基板1の側端面1bの一部(端面スルーホール6の内側面)と重畳する脚部2fをシールドケース2の側部2bの先端2dから延ばし、基板1の側端面1bの一部(端面スルーホール6の内側面)とシールドケース2の脚部2fとを半田5で接合することによって、基板1とシールドケース2とを接合するための接合スペースを基板1の実装面1aに確保することなく、基板1とシールドケース2との接合を行える。これにより、基板1の外形サイズを小さくすることができ、結果として、回路モジュール11の小型化を図ることが可能となる。
【0044】
さらに、本実施形態では、上記のように、基板1の側端面1bの一部(端面スルーホール6の内側面)とシールドケース2の脚部2fとの重畳部分(半田5による接合部分)を露出させるための開口部2gをシールドケース2の側部2bに形成することによって、シールドケース2の開口部2gをレーザ光の通光孔として機能させれば、半田5にのみ部分的にレーザ光を照射して熱を加えることができる。すなわち、リフロー炉などによって半田5を加熱する場合とは異なり、基板1の全体が加熱されることはない。このため、電子部品3に熱ダメージが加わり難くなり、信頼性が向上する。また、基板1の側端面1bの一部(端面スルーホール6の内側面)とシールドケース2の脚部2fとの重畳部分(半田5による接合部分)がシールドケース2の開口部2gから露出していれば、基板1の側端面1bの一部(端面スルーホール6の内側面)とシールドケース2の脚部2fとの間の接合状態を確認することも容易にできる。
【0045】
また、本実施形態では、上記のように、シールドケース2の側部2bから天面部2aに跨るように開口部2gを形成することによって、基板1の側端面1bの一部(端面スルーホール6の内側面)とシールドケース2の脚部2fとの重畳部分(半田5による接合部分)がより大きく露出されるので、基板1の側端面1bの一部(端面スルーホール6の内側面)とシールドケース2の脚部2fとの接合作業が容易となる。
【0046】
特に、半田5にレーザ光を照射することによって基板1の側端面1bの一部(端面スルーホール6の内側面)とシールドケース2の脚部2fとを接合する場合には、レーザ光の半田5への照射を効率的に行うことができる。すなわち、シールドケース2の側部2bから天面部2aに跨るように開口部2gが形成されていれば、シールドケース2の天面部2a側から見て半田5が露出された状態となるので、半田5にレーザ光を当て易くなる。その一方、シールドケース2の側部2bにだけ開口部2gが形成されているとすると、シールドケース2の天面部2a側から見て半田5が露出されていない状態となるので、半田5にレーザ光を当て難くなる。
【0047】
また、本実施形態では、上記のように、シールドケース2の互いに対向する一対の側部2bのそれぞれから脚部2fを延ばし、それらを基板1の一対の側端面1bの一部(端面スルーホール6の内側面)にそれぞれ接合することによって、基板1に対するシールドケース2の接合をバランスよく行うことができる。
【0048】
また、本実施形態では、上記のように、シールドケース2の互いに対向する一対の側部2cのそれぞれの先端2eを基板1の実装面1aに当接させることによって、シールドケース2の天面部2aが傾かないように規制されるので、基板1の実装面1aに対してシールドケース2の天面部2aを水平に保持することができる。これにより、シールドケース2の天面部2aが傾くことに起因して回路モジュール11のZ方向の厚み(高さ)が部分的に大きくなる、という不都合が発生するのを抑制することができる。
【0049】
また、本実施形態では、上記のように、シールドケース2の脚部2fに接合される基板1の側端面1bの一部を端面スルーホール6の内側面とすることによって、基板1の側端面1bの一部(端面スルーホール6の内側面)とシールドケース2の脚部2fとの間の接合面積が増大するので、基板1とシールドケース2との接合をより強固にすることができる。さらに、端面スルーホール6を位置決め部として利用すれば、基板1とシールドケース2との間の位置ずれを抑制することもできる。
【0050】
この場合、端面スルーホール6の形状を半長円形状とすることで、端面スルーホール6の形状が一般的な半円形状である場合に比べて、基板1の内側への切り込み量が小さくなる。したがって、基板1に端面スルーホール6を形成したとしても、基板1の実装面1aの面積が小さくなるのを抑制することができる。
【0051】
ところで、本実施形態による回路モジュール11は、以下のようにして製造される。
【0052】
すなわち、まず、図1および図2に示したような基板1およびシールドケース2を作製し、基板1の実装面1aに電子部品3を実装する。
【0053】
続いて、図3〜図5に示したように、基板1の端面スルーホール6の内側面にクリーム状の半田5を塗布する。そして、基板1にシールドケース2を装着することによって、シールドケース2の天面部2aを基板1の実装面1aと対向させる。また、シールドケース2の側部2bについては、側部2bの先端2dから延びる脚部2fを端面スルーホール6の内側面と重畳させ、シールドケース2の側部2cについては、側部2cの先端2eを基板1の実装面1aに当接させる。なお、本実施形態では、基板1にシールドケース2が装着された状態において、シールドケース2の脚部2fと端面スルーホール6の内側面との重畳部分(クリーム状の半田5が塗布されている部分)がシールドケース2の開口部2gから露出される。
【0054】
次に、クリーム状の半田5に熱を加えることによって、クリーム状の半田5を硬化させる。これにより、シールドケース2の脚部2fと端面スルーホール6の内側面とが半田5で接合される。
【0055】
この際、本実施形態では、図6に示すように、シールドケース2の開口部2gをレーザ光Lの通光孔として機能させ、半田5にのみ部分的にレーザ光Lを照射して熱を加える。なお、シールドケース2の開口部2gは、シールドケース2の脚部2fと端面スルーホール6の内側面とを半田5で接合した後に、その接合状態を確認するための確認穴としても利用される。
【0056】
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0057】
たとえば、上記実施形態では、基板に形成された端面スルーホールの内側面にシールドケースの脚部を接合したが、本発明はこれに限らず、基板の側端面の平坦な部分にシールドケースの脚部を接合してもよい。ただし、このようにする場合には、半田接合を可能とするため、基板の側端面の平坦な部分にメタライズ処理を施す必要がある。すなわち、メタライズ処理を施すための製造工程が追加される。一方、基板に形成された端面スルーホールの内側面にシールドケースの脚部を接合する場合には、端面スルーホールの内側面は金属メッキ処理が予め施された面であるので、製造工程が増加することはない。
【0058】
また、上記実施形態では、シールドケースの4つの側部のうちの互いに対向する一組の一対の側部に脚部および開口部を設けたが、本発明はこれに限らず、互いに対向しない2つの側部に脚部および開口部を設けてもよい。また、シールドケースの4つの側部のうちの二組の一対の側部、すなわち、全ての側部に脚部および開口部を形成してもよい。さらに、シールドケースの4つの側部のうちの1つの側部にのみ脚部および開口部を設けてもよいし、3つの側部に脚部および開口部を設けてもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、半田を接合部材として用いたが、本発明はこれに限らず、半田以外のものを接合部材として用いてもよい。たとえば、熱硬化性の樹脂部材を接合部材として用いてもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、シールドケースの4つの側部のうちの脚部および開口部が設けられていない側部の先端を基板の実装面に当接させたが、本発明はこれに限らず、脚部および開口部が設けられた側部の先端を基板の実装面に当接させてもよい。たとえば、上記実施形態の構成において、図7に示すように、シールドケース2の側部2bと脚部2fとの連結部分を折り曲げ、それによって、シールドケース2の側部2bの先端2dと基板1の実装面1a(図2参照)との当接が可能となるようにしてもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、半長円形状の端面スルーホールの内側面にシールドケースの脚部を接合したが、本発明はこれに限らず、図8に示すように、半円形状の端面スルーホール6の内側面にシールドケース2の脚部2fを接合してもよい。ただし、このようにする場合には、端面スルーホール6の内側面とシールドケース2の脚部2fとの間の接合面積は増大する一方、基板1の内側への切り込み量が大きくなるので、基板1の実装面1aの面積が小さくなる。
【符号の説明】
【0062】
1 基板
1a 実装面
1b、1c 側端面
2 シールドケース
2a 天面部
2b 側部(第1側部)
2c 側部(第2側部)
2d、2e 先端
2f 脚部
2g 開口部
2h 面
3 電子部品
5 半田(接合部材)
6 端面スルーホール
11 回路モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装面および前記実装面に繋がる側端面を有し、前記実装面に電子部品が実装される基板と、
天面部および前記天面部の外周に立設された複数の側部を有するシールドケースと、
前記基板と前記シールドケースとを接合する接合部材とを備え、
前記基板の側端面の一部と重畳する脚部が前記シールドケースの複数の側部のうちの所定の側部から延ばされているとともに、前記基板の側端面の一部と前記シールドケースの脚部とが前記接合部材で接合されており、
前記基板の側端面の一部と前記シールドケースの脚部との重畳部分を露出させるための開口部が前記シールドケースの所定の側部に形成されていることを特徴とする回路モジュール。
【請求項2】
前記接合部材が半田であることを特徴とする請求項1に記載の回路モジュール。
【請求項3】
前記シールドケースの所定の側部から天面部に跨るように前記開口部が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の回路モジュール。
【請求項4】
前記基板に端面スルーホールが形成されており、
前記シールドケースの脚部に接合される前記基板の側端面の一部が前記端面スルーホールの内側面とされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の回路モジュール。
【請求項5】
前記端面スルーホールの形状が半長円形状とされていることを特徴とする請求項4に記載の回路モジュール。
【請求項6】
前記シールドケースの複数の側部が互いに対向する一対の第1側部を含み、
前記シールドケースの少なくとも一対の第1側部のそれぞれが、前記脚部が延ばされ、かつ、前記開口部が形成された所定の側部とされていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の回路モジュール。
【請求項7】
前記シールドケースの複数の側部が互いに対向する一対の第2側部をさらに含み、
前記シールドケースの少なくとも一対の第2側部のそれぞれの先端が前記基板の実装面に当接していることを特徴とする請求項6に記載の回路モジュール。
【請求項8】
前記基板の板厚方向で見て、前記シールドケースの開口部の内側面のうちの前記脚部側の面の位置と前記基板の実装面の位置とが同じとなっていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の回路モジュール。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の回路モジュールを備えていることを特徴とする電子機器。
【請求項10】
実装面および前記実装面に繋がる側端面を有する基板を作製し、前記基板の実装面に電子部品を実装する工程と、
天面部および前記天面部の外周に立設された複数の側部を有するシールドケースを作製する工程と、
前記基板と前記シールドケースとを接合部材で接合する工程とを備え、
前記シールドケースを作製する際に、前記基板の側端面の一部と重畳する脚部を前記シールドケースの複数の側部のうちの所定の側部から延ばすとともに、前記基板の側端面の一部と前記シールドケースの脚部との重畳部分が露出されるような開口部を前記シールドケースの所定の側部に形成し、
前記基板の側端面の一部と前記シールドケースの脚部との重畳部分が前記シールドケースの開口部から露出された状態で、前記基板の側端面の一部と前記シールドケースの脚部とを前記接合部材で接合することを特徴とする回路モジュールの製造方法。
【請求項11】
前記接合部材が半田であり、
前記シールドケースの開口部から前記半田に熱を加えることにより、前記基板の側端面の一部と前記シールドケースの脚部とを前記半田で接合することを特徴とする請求項10に記載の回路モジュールの製造方法。
【請求項12】
前記半田に加える熱がレーザ光を照射することで発生する熱であることを特徴とする請求項11に記載の回路モジュールの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−176154(P2011−176154A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−39591(P2010−39591)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)