説明

回路構成体及び電気接続箱

【課題】簡素な構成で端子とボンディングワイヤとを電気的に接続し、かつ、端子を固定することが可能な回路構成体及び電気接続箱を提供する。
【解決手段】回路構成体20は、第1基板31と、第1基板31を貫通する基板側貫通孔32と、コネクタ端子36と、コネクタ端子36を貫通し、基板側貫通孔32と連通する端子側貫通孔38と、基板側貫通孔32及び端子側貫通孔38を通ってコネクタ端子36を第1基板31に固定するとともにコネクタ端子36及び第1基板31の導電路に電気的に接続される固定部材44と、MOSFET47と、一端側がMOSFET47に接続されるとともに、他端側が固定部材44に接続されるボンディングワイヤ48とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路構成体及び電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スイッチング素子と端子との間の導電路としてワイヤボンディングを使用した回路構成体が知られている。
下記特許文献1には、端子が装着された制御基板の導電路とMOSFETとをボンディングワイヤで接続してなるインテリジェントパワースイッチ装置が記載されている。この装置では、端子とMOSFETとがボンディングワイヤ及び制御基板を介して接続されている。
【0003】
ところで、端子とボンディングワイヤとを電気的に接続するに際して、ボンディングワイヤを端子に直接接続することができれば、回路構成を簡素化できるため好ましい。ここで、端子には一般にスズメッキ等のメッキが施されているが、ボンディングワイヤとスズメッキ等のメッキとの間は十分な接合強度を得難いため、端子とボンディングワイヤとを直接接続すると、端子とボンディングワイヤとの接続強度が弱くなるという問題がある。
したがって、特許文献1の構成では、ボンディングワイヤを端子に直接接続せずに、制御基板を介してボンディングワイヤと端子とを電気的に接続する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−353404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1のインテリジェントパワースイッチ装置の各端子は、放熱基板に樹脂モールド部を設けることにより、端子を樹脂モールド部の内部に固定するようになっている。そのため、上記したボンディングワイヤを端子に電気的に接続するための構成(制御基板)とは別に、端子を制御基板に固定するための構成(放熱基板及び樹脂モールド部)を備えた構成となっており、装置の構成が大きくなりやすいという問題がある。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、簡素な構成で、端子とボンディングワイヤとを電気的に接続し、かつ、端子を固定することが可能な回路構成体及び電気接続箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る回路構成体は、回路基板と、前記回路基板を貫通する基板側貫通孔と、端子と、前記端子を貫通し、前記基板側貫通孔と連通する端子側貫通孔と、前記基板側貫通孔及び前記端子側貫通孔を通って前記端子を前記回路基板に固定するとともに前記端子に電気的に接続される固定部材と、スイッチング素子と、一端側が前記スイッチング素子に接続されるとともに、他端側が前記固定部材に接続されるボンディングワイヤと、を備えるところに特徴を有する。
【0008】
本構成によれば、固定部材にボンディングワイヤが接続されるため、例えばスズメッキ等のメッキが施されてなる端子に直接ボンディングワイヤを接続する場合と比較して、接合強度を高めることが可能になる。
また、端子を固定するための固定部材を用いてボンディングワイヤを端子に電気的に接続するため、端子を固定するための構成と、ボンディングワイヤの接合強度を高めるための構成とを、固定部材で共通化して行う(一部材で行う)ことが可能になる。よって、回路構成体について、簡素な構成で、端子とボンディングワイヤとを電気的に接続し、かつ、端子を固定することが可能となる。
【0009】
上記構成に加えて以下の構成を有すればより好ましい。
・前記固定部材における前記ボンディングワイヤが接続される部分には、ニッケルメッキ又は金メッキが施されている。
このようにすれば、固定部材とボンディングワイヤとの接合強度を高めることができる。
【0010】
・前記固定部材は、前記基板側貫通孔及び前記端子側貫通孔に挿通される軸部と、前記軸部よりも径が大きい頭部とからなり、前記頭部側の端面が前記ボンディングワイヤが接続されるボンディングパッドとなる。
このようにすれば、固定部材の構成を簡素なものとすることができる。
【0011】
・前記固定部材は、前記基板側貫通孔及び前記端子側貫通孔に圧入されている。
このようにすれば、固定部材を強固に固定することが可能になる。
【0012】
・前記端子は、コネクタハウジングに設けられるコネクタ端子である。
コネクタ挿脱時の力を受けるコネクタ端子について固定部材により強固に固定することが可能になる。また、固定部材とスイッチング素子とがボンディングワイヤで接続されているため、挿脱時にコネクタ端子が受けた力がボンディングワイヤで吸収されることになり、コネクタ挿脱時の力がスイッチング素子に及んでスイッチング素子に不具合が生じることを防止することができる。
【0013】
・前記端子とは異なる電源側端子を備え、前記電源側端子に前記スイッチング素子が装着されるとともに、前記電源側端子は、ボンディングワイヤが接続されない固定部材により前記回路基板に固定されている。
このようにすれば、端子を固定部材で固定する作業を一括して行うことが容易になる。
【0014】
・前記スイッチング素子は半導体ベアチップにより構成されている。
・回路構成体と、前記回路構成体を収容するケースと、を備える電気接続箱とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、簡素な構成で端子とボンディングワイヤとを電気的に接続し、かつ、端子を固定することが可能な回路構成体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態の電気接続箱を示す斜視図
【図2】回路構成体のヒューズボックスを分解して示した斜視図
【図3】電源端子にMOSFETが取付けられる状態を示す斜視図
【図4】第1基板に電子部品が実装された状態を示す斜視図
【図5】第1基板に端子群及び固定部材が取り付けられる状態を示す斜視図
【図6】第1回路体に樹脂隔壁が取り付けられる状態を示す斜視図
【図7】第1回路体にワイヤボンディングが施された状態を示す斜視図
【図8】第1回路体を示す縦断面図
【図9】第1回路体を示す斜視図
【図10】第1回路体が第2回路体に取り付けられる状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施形態>
本発明の実施形態を図1ないし図10を参照して説明する。
本実施形態の電気接続箱10は、電気自動車やハイブリッド自動車等の車両に搭載されるものであり、バッテリ等の電源から車載電装品等の負荷に供給される電力を分配するものである。以下では、上下方向については、図2を基準とし、図2の右斜め下方を前方、左斜め上方を後方として説明する。
【0018】
電気接続箱10は、図1に示すように、回路構成体20と、回路構成体20を収容するケース11とを備えて構成されている。
回路構成体20は、図2に示すように、いわゆる2階建て構成となっており、上方側の第1回路体30と、第1回路体30の下方に設けられ第1回路体30よりも大きい第2回路体21とを備えており、発熱量の比較的小さい回路(制御系回路)及び電子部品39が第1回路体30に配され、発熱量の比較的大きい回路(電力系回路)及び電子部品25が第2回路体21に配されている。
【0019】
第2回路体21は、第2基板22と、第2基板22に実装される複数の電子部品25と、第2基板22の周縁部に装着されるコネクタ部26A〜26C,ヒューズボックス29とを備えている。
第2基板22は、長方形状であって、表面及び裏面に導電路が形成されており、多数の端子挿通孔23が貫通形成されている。
【0020】
第2基板22の縁部には、第2基板22をケース11に取付けて固定するための取付孔24が貫通している。
電子部品25は、メカニカルリレーが用いられている。メカニカルリレーは、比較的大電流が流れる電力系の導電路に流れる電流のオンオフを切り替える。
【0021】
コネクタ部26A〜26Cは、第2基板22の端部に設けられており、共に、角筒状のコネクタハウジング27と、コネクタハウジング27の奥壁と貫通するコネクタ端子28とを有する。
前後に配置されたコネクタ部26A,26Cは、コネクタハウジング27が外方に開口しており、右方に配置されたコネクタ部26Bについては、コネクタハウジング27が上方に開口している。
【0022】
コネクタ端子28は、コネクタ部26A,26Cについて、コネクタハウジング27の背面側において直角に屈曲されており、その先端部(下端部)が端子挿通孔23に挿通されて第2基板22の導電路に接続される。
ヒューズボックス29は、第2基板22の左端側に設けられており、ハウジング29Aに多数の音叉型のヒューズ端子29Bが設けられている。ヒューズ端子29Bには、給電端子29Cが接続されており、外部からの電源は、給電端子29Cから第2基板22の導電路を介して後述する第1回路体30の電源側端子40に与えられる。
【0023】
第1回路体30は、図7に示すように、第1基板31(本発明の構成である「回路基板」の一例)と、第1基板31に実装される制御IC39A等の電子部品39と、後方側に延出された端子群35と、端子群35を第1基板31に固定する複数の固定部材44と、一列状に並んで装着された複数のMOSFET47(本発明の構成である「スイッチング素子」の一例)と、MOSFET47に接続されるボンディングワイヤ48,49とを備えている。
【0024】
第1基板31は、図4に示すように、長方形状であって、表面及び裏面に導電路(図示しない)がプリント配線されている。
この第1基板31は、第1基板31の後端側に設けられた複数の基板側貫通孔32と、基板側貫通孔32よりも手前側に左右に並んで設けられたボンディングパッド33と、第1基板31の前端側の端縁に沿って左右に並んで設けられた複数の中継挿通孔34とを備えており、これら基板側貫通孔32,中継挿通孔34,ボンディングパッド33は第1基板31の対応する導電路に接続されている。
【0025】
基板側貫通孔32は、後述する固定部材44が挿入される孔であり、第1基板31を円形状に貫通している。この基板側貫通孔32のうち、コネクタ端子28の固定に用いられる基板側貫通孔32Aが第1基板31の後端縁に沿って複数並んで設けられるとともに、電源側端子40の固定に用いられる基板側貫通孔32Bが基板側貫通孔32Aよりも手前に左右一対設けられている。
【0026】
ボンディングパッド33は、長方形状であって、左右に隣接する位置に並んで多数設けられており、各ボンディングパッド33が第1基板31の対応する導電路に連なっている。ボンディングパッド33の表面には、ニッケルメッキ又は金メッキが施されている。
中継挿通孔34は、第1基板31を円形状に貫通しており、中継端子43の一端側が挿通される。
【0027】
端子群35は、図6に示すように、複数並んで設けられたコネクタ端子36と、コネクタ端子36よりも幅寸法が太く形成された1本のL字形の電源側端子40とからなる。
コネクタ端子36は、金属板材を打ち抜いて形成された棒状であって、前後方向の中間部には、幅方向の両側に突出する凸部36Aが設けられており、コネクタハウジング27の奥壁を背面側から貫通させた際に凸部36Aが奥壁に係止されて位置決めされる。コネクタ端子36の基端部は、図5に示すように、幅寸法が大きくされた固着部37とされている。固着部37には、固定部材44が挿通される円形状の端子側貫通孔38が形成されている。端子側貫通孔38の大きさ(円形の径)は、基板側貫通孔32と同じである。なお、複数のコネクタ端子36のうちの両端のコネクタ端子36の固着部37は、外方側に延出されており、複数(3個)の円形状の端子側貫通孔38が形成されている。
【0028】
電源側端子40は、図3に示すように、金属板材をL字形に打ち抜いて形成されており、表面にニッケルメッキが施されている。この電源側端子40の左右方向に延びる部分は、MOSFET47が並んで取付けられる被取付部41とされている。被取付部41の左右には、それぞれ円形状の端子側貫通孔42が形成されている。端子側貫通孔42の大きさ(円形の径)は、基板側貫通孔32と同じである。電源側端子40の後方に延出された部分は、図示はしないが、第1回路体30の組み付け後に下方に屈曲されるようになっており、この下方に屈曲された先端部は、第2基板22の端子挿通孔23に挿通されて第2基板22の導電路と接続される。
【0029】
固定部材44は、銅又は銅合金製であって、図8に示すように、第1基板31及び端子群35の端子側貫通孔38,42に挿通される円柱状の軸部45と、軸部45よりも径が大きい円柱状の頭部46とからなり、全面にニッケルメッキ又は金めっきが施されている。
軸部45の太さ(径)は、基板側貫通孔32及び端子側貫通孔38,42にほぼ隙間なく挿通される太さである。軸部45の軸方向における長さは、固定部材44の取付前においては、第1基板31と端子群35の双方の貫通孔32,38,42に挿通した際に先端45Aが基板側貫通孔32から突き出る長さであり、固定部材44の取付け後においては、基板側貫通孔32から突き出た先端45Aが基板側貫通孔32内に押し入れられて圧入された状態となる(第1基板31の下面と面一の先端45Bとなる)。
【0030】
頭部46は、端子側貫通孔38,42の孔縁に係止可能な鍔状をなしている。頭部46の端面(上端面)は、ボンディングパッド46Aとされており、コネクタ端子36の固定に用いられる固定部材44Aについては、ボンディングパッド46Aにボンディングワイヤ48が接続される。一方、電源側端子40の固定に用いられる固定部材44Bについては、ボンディングパッド46Aにボンディングワイヤ48は接続されない。なお、固定部材44Aと固定部材44Bとは同一構成である。
【0031】
MOSFET47は、電極パッドを有する裸の半導体チップ(ベアチップ)であるN形パワーMOSFETが用いられている。MOSFET47の表面(上面)側には、出力側の電力パッド(ソース)と制御パッド(ゲート)が設けられ、裏面(下面)側には、入力側の電力パッド(ドレイン)が設けられている。
【0032】
入力側の電力パッドは、電源側端子40に半田付けにより接続されている。
出力側の電力パッドは、ボンディングワイヤ48の一端側に接続されており、ボンディングワイヤ48の他端側は、固定部材44のボンディングパッド46Aに接続されている。
【0033】
MOSFET47の制御パッドは、ボンディングワイヤ49の一端側に接続されており、ボンディングワイヤ49の他端側は、第1基板31に設けられたボンディングパッド33に接続されている。
ボンディングワイヤ48,49は、例えばアルミニウム製が用いられてており、このボンディングワイヤ48,49を用いたワイヤボンディングは、例えば超音波接続により行うことができる。なお、ボンディングワイヤ48が本発明の構成である「ボンディングワイヤ」の一例とされる。
【0034】
第1基板31には、図6に示すように、ボンディングワイヤ48,49が取付けられた領域を包囲するように樹脂隔壁50が取付けられている。
樹脂隔壁50は、注入される封止材51を所定の領域内に留めるためのものであり、例えばPPT(ポリプロピレンテレフタレート)等の合成樹脂製であって、長方形状の枠形をなしている。
【0035】
樹脂隔壁50の下面(底面)には、電源側端子40やコネクタ端子36等によって第1基板31の上面に形成された凸部の形状に応じた凹部50Aが形成されており、樹脂隔壁50を第1基板31の上面に対してほぼ隙間なく嵌め込むことができるようになっている。
この樹脂隔壁50の内部に充填される封止材51は、例えばポリアクリレートやエポキシ樹脂を用いることができる。この封止材51によりMOSFET47やボンディングワイヤ48,49を外部の影響から保護することができる。
【0036】
第1基板31の各中継挿通孔34には、図9に示すように、第2基板22と接続するための中継端子43が設けられている。
中継端子43は、棒状であって、上端側が中継挿通孔34に挿通されて半田付けされることにより第1基板31の導電路に接続されるとともに下端側が端子挿通孔23に挿通されて半田付けされることにより第2基板22の導電路に接続される。
【0037】
ケース11は、図1に示すように、回路構成体20が載置されるロアケース12と、回路構成体20を上方から覆うアッパケース13とからなる。ロアケース12には、第2基板22の取付孔24にネジ止めして固定する被取付部(図示しない)が設けられている。
【0038】
アッパケース13は、ヒューズボックス29の形状に応じた段差部13Aが設けられるとともに、コネクタ部26Bの先端部が突き出る開口部13Bが設けられている。
【0039】
次に、回路構成体20における第1回路体30の製造方法について説明する。
(1)ベアチップ取付工程
表面にニッケルメッキを施した電源側端子40の被取付部41に、MOSFET47のベアチップをリフロー半田付けにより取り付ける(図3)。
(2)電子部品取付工程
第1基板31に制御IC39A等の電子部品25をリフロー半田付けにより取り付ける(図4)。
【0040】
(3)端子取付工程
コネクタ端子36及び電源側端子40の各端子側貫通孔38,42を、第1基板31の対応する基板側貫通孔32に合わせ、ニッケルメッキを施した固定部材44を頭部46が端子36,40側となるように複数の固定部材44を貫通孔32,38,42に挿通する。そして、第1基板31側の基板側貫通孔32から突き出た複数の固定部材44の軸部45の先端部をプレス機により一括して押し潰すことで、固定部材44を基板側貫通孔32及び端子側貫通孔38,42に圧入する(図5)。第1基板31の導電路は基板側貫通孔32の内面に連なっているため、固定部材44の圧入により固定部材44と第1基板31の導電路は電気的に接続されるとともに、端子群35と第1基板31との間は固定部材44により強固に固定される。
【0041】
(4)樹脂隔壁取付工程
第1基板31の所定の位置に樹脂隔壁50を接着固定する(図6)。
(5)ワイヤボンディング工程
MOSFET47の出力側の電力パッドと、固定部材44の頭部46のボンディングパッド46Aとをボンディングワイヤ48でボンディングする。
また、MOSFET47の制御パッドと、第1基板31のボンディングパッド33とをボンディングワイヤ49でボンディングする(図7,図8)。
【0042】
(6)封止工程
樹脂隔壁50内部に封止材51を注入し、電気炉内で加熱硬化させる。
(7)中継端子43取付け工程
中継端子43の一端側を中継挿通孔34に挿通し、フロー半田付けする(図9)。
【0043】
(8)端子曲げ工程
電源側端子40を直角に屈曲させる。
以上により、第1回路体30を組み付けることができる。そして、第1基板31の中継端子43の他端側及び電源側端子40の下端部を端子挿通孔23に通してフロー半田付けして第1回路体30を第2回路体21に組み付けた回路構成体20を製造することができる(図2,図10)。そして、ロアケース12に回路構成体20を載置し、第2基板22の取付孔24にネジ止めし、回路構成体20をロアケース12に固定し、アッパケース13を被せることで電気接続箱10を製造することができる(図1)。
【0044】
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)回路構成体20は、第1基板31(回路基板)と、第1基板31を貫通する基板側貫通孔32と、コネクタ端子36(端子)と、コネクタ端子36を貫通し、基板側貫通孔32と連通する端子側貫通孔38と、基板側貫通孔32及び端子側貫通孔38を通ってコネクタ端子36を第1基板31に固定するとともにコネクタ端子36及び第1基板31の導電路に電気的に接続される固定部材44と、MOSFET47(スイッチング素子)と、一端側がMOSFET47に接続されるとともに、他端側が固定部材44に接続されるボンディングワイヤ48と、を備えている。
【0045】
本実施形態によれば、固定部材44にボンディングワイヤ48が接続されるため、一般にスズメッキ等のメッキが施されてなるコネクタ端子36に直接ボンディングワイヤ48を接続する場合と比較して、接合強度を高めることが可能になる。
また、コネクタ端子36を固定するための固定部材44を用いてボンディングワイヤ48をコネクタ端子36に電気的に接続するため、コネクタ端子36及び電源側端子40(端子)を固定するための構成と、ボンディングワイヤ48の接合強度を高めるための構成とを、固定部材44で共通化して行う(一部材で行う)ことが可能になる。よって、回路構成体20の構成を簡素化することができる。
【0046】
(2)固定部材44におけるボンディングワイヤ48,49が接続される部分には、ニッケルメッキ又は金メッキが施されている。
このようにすれば、固定部材44とボンディングワイヤ48,49との接合強度を高めることができる。
【0047】
(3)固定部材44は、基板側貫通孔32及び端子側貫通孔38,42に挿通される軸部45と、軸部45よりも径が大きい頭部46とからなり、頭部46側の端面がボンディングワイヤ48,49が接続されるボンディングパッド33となる。
このようにすれば、固定部材44の構成を簡素なものとすることができる。
【0048】
(4)固定部材44は、基板側貫通孔32及び端子側貫通孔38,42に圧入されている。
このようにすれば、固定部材44を強固に固定することが可能になる。
【0049】
(5)端子は、コネクタハウジングに設けられるコネクタ端子36である。
コネクタ挿脱時の力を受けるコネクタ端子36について固定部材44A(44)により強固に固定することが可能になる。また、固定部材44とMOSFET47とがボンディングワイヤ48で接続されているため、挿脱時にコネクタ端子が受けた力がボンディングワイヤ48で吸収されることになり、コネクタ挿脱時の力がMOSFET47に及んでMOSFET47に不具合が生じることを防止することができる。
【0050】
(6)コネクタ端子36とは異なる電源側端子40を備え、電源側端子40にMOSFET47が装着されるとともに、電源側端子40は、固定部材44Bにより第1基板31に固定されている。
このようにすれば、固定部材44A及び固定部材44Bで固定する工程を一括して行うことが容易になる。
【0051】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、回路構成体20を第2回路体21と第1回路体30とから構成したが、これに限られない。例えば、第2回路体21を有さず、第1回路体30のみから回路構成体を構成するようにしてもよい。また、回路構成体を1階部分(第2回路体21の部分)のみから構成し、1階部分に本発明を適用するようにしてもよい。
【0052】
(2)上記実施形態では、スイッチング素子として、N型MOSFET47を用いたが、これに限られない。例えば、P型MOSFETや、トランジスタ等の他のスイッチング素子を用いてもよい。
(3)MOSFET47の電源側端子40への接着は、リフロー半田付けにより行ったが、これに限られず、例えば、ダイボンド用樹脂ペースト(Agエポキシ及びAgポリイミド)や金メッキを用いたダイボンダによりMOSFET47を電源側端子40に接着するようにしてもよい。
【0053】
(4)上記実施形態では、固定部材44の全体(全面)に、(ボンディングワイヤ48,49との接続強度が良好な)ニッケルメッキや金メッキが施される構成としたが、これに限られず、少なくともボンディングワイヤ48,49との接続部分にニッケルメッキや金メッキが施されていればよい。例えば、固定部材44の頭部46の端面のボンディングパッド46Aにのみニッケルメッキや金メッキが施されていてもよい。ただし、上記実施形態のように固定部材44の全体にメッキを施す方が固定部材44の成形が容易であり製造コストを低減させることが可能になる。
(5)上記実施形態では、コネクタ端子36を固定部材44で固定する構成としたが、これに限らず、コネクタ以外に設けられる端子を、固定部材44で固定する構成としてもよい。
(6)上記実施形態では、固定部材44は、銅又は銅合金としたが、これに限られず、他の金属であってもよい。また、金属以外の非導電性の部材の表面を導電性の部材で覆うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0054】
10…電気接続箱
11…ケース
20…回路構成体
21…第2回路体
22…第2基板
23…端子挿通孔
26A〜26C…コネクタ部
27…コネクタハウジング
28…コネクタ端子
30…第1回路体
31…第1基板(回路基板)
32(32A,32B)…基板側貫通孔
33…ボンディングパッド
34…中継挿通孔
35…端子群
36…コネクタ端子
38,42…端子側貫通孔
40…電源側端子
41…被取付部
43…中継端子
44(44A,44B)…固定部材
45…軸部
45A,45B…軸部の先端
46…頭部
46A…ボンディングパッド
47…MOSFET(スイッチング素子)
48,49…ボンディングワイヤ
50…樹脂隔壁
51…封止材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板と、
前記回路基板を貫通する基板側貫通孔と、
端子と、
前記端子を貫通し、前記基板側貫通孔と連通する端子側貫通孔と、
前記基板側貫通孔及び前記端子側貫通孔を通って前記端子を前記回路基板に固定するとともに前記端子に電気的に接続される固定部材と、
スイッチング素子と、
一端側が前記スイッチング素子に接続されるとともに、他端側が前記固定部材に接続されるボンディングワイヤと、を備える回路構成体。
【請求項2】
前記固定部材における前記ボンディングワイヤが接続される部分には、ニッケルメッキ又は金メッキが施されていることを特徴とする請求項1に記載の回路構成体。
【請求項3】
前記固定部材は、前記基板側貫通孔及び前記端子側貫通孔に挿通される軸部と、前記軸部よりも径が大きい頭部とからなり、前記頭部側の端面が前記ボンディングワイヤが接続されるボンディングパッドとなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の回路構成体。
【請求項4】
前記固定部材は、前記基板側貫通孔及び前記端子側貫通孔に圧入されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の回路構成体。
【請求項5】
前記端子は、コネクタハウジングに設けられるコネクタ端子であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の回路構成体。
【請求項6】
前記端子とは異なる電源側端子を備え、
前記電源側端子に前記スイッチング素子が装着されるとともに、前記電源側端子は、ボンディングワイヤが接続されない固定部材により前記回路基板に固定されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の回路構成体。
【請求項7】
前記スイッチング素子は半導体ベアチップにより構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の回路構成体。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の回路構成体と、前記回路構成体を収容するケースと、を備える電気接続箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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