説明

回路構成体

【課題】 放熱性の向上が可能な回路構成体を提供する。
【解決手段】 分岐路部12と電源分配部13との端縁同士を突き合わせて全体が略L字状に組合わされてなる回路体11を、ケーシング15で包囲してなる電気接続箱10において、電源分配部13には、その表面に第2バスバー35が配索されている。さらに、この第2バスバーには電源分配部13の表面に対して垂直となる衝立部35Cを備え、この衝立部35Cをスイッチングデバイス34のドレイン端子側であって本実施形態のスイッチングデバイス34の最も発熱する大発熱領域に対向するようにして配置されている。これにより、スイッチングデバイス34で発生した熱を効率よく吸収して、電源分配部13の放熱性の向上が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給を行う回路構成体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の回路構成体として例えば特許文献1に示すものがある。このものは、例えば、自動車に搭載されるものであって、車載バッテリー等の電源と各電子装置との間に介されて各電子装置への電源供給の制御を行なう電力分配器として用いられるものである。
【0003】
この種の回路構成体は、平面状に配索された複数本のバスバーと、絶縁層を介してこれらバスバーへ積層した制御用回路基板と、この制御用回路基板に実装される半導体スイッチングデバイスとから構成されており、当該半導体スイッチングデバイスを動作させることによって各バスバーに通電させて各電子装置への電力供給の制御を行なうようになっている。
【特許文献1】特開2003−164039公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、自動車に要求される快適性・安全性等は高まる一方であり、これらを高水準で満たすために自動車に搭載される電子装置の数は増加する傾向にある。そうすると、制御用回路基板上に実装されるスイッチングデバイスの数が増加し、これに伴ってスイッチングデバイスから発生する熱量も大きくなってしまう。さらに、回路構成体はできるだけ小型化することが望まれるのでスイッチングデバイスの配置密度が相対的に高くなり、回路構成体全体の発熱密度もそれに伴ない大きくなってきてしまうという問題があった。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、放熱性の向上が可能な回路構成体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、制御用回路基板と、この制御用回路基板上に実装されるスイッチングデバイスと、絶縁層を介して前記制御用回路基板にそれぞれ積層される複数本の第1バスバーとから構成されており、前記スイッチングデバイスを動作させることにより前記複数本の第1バスバーにそれぞれ通電させるようにした回路構成体であって、前記制御用回路基板上には前記スイッチングデバイスに対向する第2バスバーが配設されているところに特徴を有する。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記第2バスバーが厚みよりも幅広な表面を有する平板帯状の金属片からなると共にその幅広な表面を前記スイッチングデバイスに対向させるように配設されているところに特徴を有する。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のものにおいて、前記第2バスバーが前記制御用回路基板に対して垂直となるように配設されているところに特徴を有する。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のものにおいて、前記第2バスバーが、黒色又は濃色となるように表面処理がされているところに特徴を有する。
【0009】
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のものにおいて、前記第2バスバーが前記スイッチングデバイスの大発熱領域に対向配置されているところに特徴を有する。
ここで、大発熱領域とはスイッチングデバイスが電流のオン/オフ制御を行う場合に、デバイス中で最も高熱になる箇所をいう。
【0010】
請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のものにおいて、前記スイッチングデバイスが半導体スイッチングデバイスであって、電力を供給する電力供給路側に前記第2バスバーを対向配置させているところに特徴を有する。
ここで、半導体スイッチングデバイスの電力供給路側とは、例えば、トランジスタにおけるエミッタとコレクタの各端子側、FETにおけるドレインとソースの各端子側をいう。
【0011】
請求項7の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のものにおいて、前記スイッチングデバイスが機械式スイッチングデバイスであって、電力を供給する電力供給路に接続されて接点の入り切りを行う継電部の配設領域に前記第2バスバーを対向配置させているところに特徴を有する。
【0012】
請求項8の発明は、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載のものにおいて、前記スイッチングデバイスと第2バスバーとの間に絶縁性を備えた伝熱部材が配設されたところに特徴を有する。
【0013】
請求項9の発明は、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載のものにおいて、前記伝熱部材がゲル状のポッティング剤であるところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0014】
<請求項1の発明>
制御用回路基板上に実装されたスイッチングデバイスに対向する第2バスバーが、スイッチングデバイスで発生する熱を吸収することができるので、放熱性の向上が可能となる。
【0015】
<請求項2の発明>
第2バスバーが平板帯状に形成した幅広な表面をスイッチングデバイスに対向させるので、スイッチングデバイスで発生する熱を吸収し易くなり、より放熱性が向上する。
【0016】
<請求項3の発明>
制御用回路基板にはスイッチングデバイスが配設される関係でその実装面側にはある程度の空間を必要とするが、第2バスバーを制御用回路基板に対して垂直に配設することにより、より多数の第2バスバーを配設することができるので、制御用回路基板の実装面側の空間を有効に利用して、回路構成体の高密度化が可能となる。
【0017】
<請求項4の発明>
表面処理黒色又は濃色となるように表面処理がされているので、輻射熱の吸収性がよくなり、放熱性が一層向上する。
【0018】
<請求項5の発明>
第2バスバーが、スイッチングデバイスの大発熱領域に対向配置されるので、スイッチングデバイスで発生した熱をより効果的に吸収することが可能となる。
【0019】
<請求項6の発明>
第2バスバーが、半導体スイッチングデバイスの発熱量の大きい電力供給路側に対向配置されるので、半導体スイッチングデバイスで発生した熱をより効果的に吸収することが可能となる。
【0020】
<請求項7の発明>
第2バスバーが、機械式スイッチングデバイスの発熱量の大きい継電部側に対向配置されるので、機械式スイッチングデバイスで発生した熱をより効果的に吸収することが可能となる。
【0021】
<請求項8の発明>
伝熱部材を介することで、スイッチングデバイスの発熱を第2バスバーへ伝え易くなり、放熱性が向上する。
【0022】
<請求項9の発明>
ゲル状のポッティング剤が、スイッチングデバイスと第2バスバーとのそれぞれに密着して確実に熱を伝えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
<実施形態1>
本発明の実施形態1について図1ないし図7を参照して説明する。本実施形態の電気接続箱10は、例えば、車載バッテリー等の電源と各電子装置等の負荷との間に介されて各電子装置への電源供給の制御を行なう電力分配器として用いられるものである。
電気接続箱10は、図1に示すように、いずれも略平板状に形成された分岐路部12と電源分配部13との端縁同士を突き合わせて全体が略L字状に組合わされてなる回路体11を、ケーシング15で包囲してなるものであり、電気接続箱10の上面には外装品取付部14が形成されている。
【0024】
ケーシング15は、メインケース16にサイドケース17及び上側ケース18を組付ける構成となっている(図1参照)。
メインケース16には、図1に示すように、上方に開口する上側収容部16Hと一側方(図1の左奥方)に開口する側方収容部16Vとが形成されている。上側収容部16Hは、分岐路部12を収容してから上側ケース18が組み付けられることで、その開口部を塞ぐようになっている。また、上側収容部16Hは(図示はしないが)、その底面外側に外部機器との接続を行うコネクタハウジングが形成されている。
一方、側方収容部16Vは電源分配部13を組付けたサイドケース17が組み付けられることでその開口部を塞ぐようになっている。また、側方収容部16Vの開口部と対向する側の壁面には電源分配部13に形成された制御用コネクタ37を外部に露出させるための挿通孔16Aが穿設されている。
また、上側ケース18の上面には、外装品挿入孔18Aが穿設されており、この外装品挿入孔18A内には分岐路部12或いは電源分配部13から延出された二又端子が挿入されることで外装品取付部14が構成される。この外装品取付部14の外装品挿入孔18Aに外装品(本実施形態ではヒューズH又はヒュージブルリンクF)が組み付けられると、外装品の端子が二又端子に挟持されることで導通接続が図られるようになっている。
【0025】
分岐路部12は、図3に示すように、金属平板を打ち抜いて所定回路形状に形成された複数本のバスバー21からなるバスバー回路22を絶縁板25を介して上下に積層してなるものである。
バスバー21の端部は、他の回路や電子部品等に接続する接続部23が形成されているが、バスバー回路22の回路構成に応じて垂直に曲げ起こした垂直接続部23Vと水平に延出させた水平接続部23Hとが選択的に形成されている。
絶縁板25は上下のバスバー回路22の絶縁を行うと共に、所定箇所に貫通孔26が形成されており、この貫通孔26を介して垂直接続部23Vが分岐路部12の表面或いは裏面に突出するようになっている。尚、図3には、4枚の絶縁板25が上下に並べて記載されているが、一番上側に記載された絶縁板25以外は貫通孔26が省略して記載されている。
また、本実施形態では、分岐路部12の上面側に突出する垂直接続部23Vの先端は二又状に形成されて、ヒューズH又はヒュージブルリンクFの端子を挟持可能となっている。また分岐路部12の下面側に突出する垂直接続部23Vの先端部はタブ状になっていて、メインケース16の上側収容部16Hに形成されたコネクタハウジング(図示なし)内部に延出することでオス端子を構成するようになっている。
水平接続部23Hは分岐路部12と電源分配部13との突き合せ部分の一所(図3の左奥方)に並列するように配設されており、この水平接続部23Hが電源分配部13との接続を行うようになっている。
【0026】
電源分配部13は、図4,5に示すように、金属平板を打ち抜いて複数本の第1バスバー31からなる所定回路形状に形成されたバスバー回路32と、所定の印刷回路が形成された回路基板33とを接着したものの回路基板33上面側に、リレー又は半導体スイッチ等のスイッチングデバイス34及びこれらの制御用の電子部品等(図示なし)を実装してなるものである。また、電源分配部13の角部には主に回路基板33と外部機器との接続を行う制御用コネクタ37が配設されている(図6参照)。この制御用コネクタ37は略角筒形状のハウジング内にタブ状のオス端子を配するもので、オス端子は回路基板33に形成されたスルーホール33Hにはんだ付けされることで回路基板33との導通接続が行われるものである。
また、電源分配部13のバスバー回路32側には金属平板状の放熱板19が接着剤(例えばエポキシ系接着剤)によって接着されている。この放熱板19はサイドケース17の外方(図3の左手前方)の壁面(全面)を構成し、放熱板19自身が外部に露出する構成となっている。電源分配部13はこのように構成されることで、電源分配部13のスイッチングデバイス34からの発熱をバスバー回路32を介して放熱板19に伝熱し、放熱板19から外部へ放熱するようになっている。
【0027】
さらに、電源分配部13には、図5に示すように、その表面に第2バスバー35が配索されている。
第2バスバー35は、金属平板からなる厚みよりも幅広な表面を有する帯状の導電路で、電源分配部13においてスイッチングデバイス34が実装されている側の面(実装面)に配設されている。第2バスバー35は、電源分配部13において各スイッチングデバイス34等回路基板33側における所定の接続箇所から、図5の右奥方に向かって適宜周回させて形成されている。また、第2バスバー35は接着剤(例えばシリコーン系接着剤)又は接着シート(例えば絶縁シートの両面に接着剤を塗布して接着性をもたせたもの)により回路基板33上に固定されているが、この接着剤又は接着シートが第2バスバー35と回路基板33との間の絶縁層となり、回路基板33との短絡を防止する構成となっている。
第2バスバー35の回路基板33側に接続される先端部分は、図4、5に示すように、実装面上を周回する箇所よりも回路基板33側に向けて段差が生じるように屈曲されて段差接続部35Dが形成されている。この段差接続部35Dは回路基板33に貫通形成された収容孔33Aを介してバスバー回路32に(はんだ付け等によって)接続可能となっている。
【0028】
一方、第2バスバーの段差接続部35Dと反対側の(図5の右奥方に配された)端部は電源分配部13の回路面に対し、垂直上方に曲げ起こされた垂直外部端子35Vが形成されて。そして、この垂直外部端子35Vはサイドケース17に一体形成されたハウジング36内に突出して相手側との接続用のオス端子となっている。
ハウジング36は全体略角筒形状をなすと共に、各垂直外部端子35Vに対応してキャビティ36Cが設けられている。
さらに、このハウジング36には第1バスバーの端部を電源分配部13の回路面に対して垂直上方に曲げ起こした接続端子31Vが垂直外部端子35Vと並設されており、同一のハウジング36内に第1バスバーの接続端子31Vと第2バスバーの垂直外部端子35Vとの双方が設けられている。
また、ハウジング36は内部に中継端子40を収容し、電源分配部13の垂直外部端子35V又は接続端子31Vと、分岐路部12の水平接続部23Hとを導通接続するようになっている。
【0029】
さて、第2バスバー35には、回路基板33上を周回する箇所の一部について、その幅広な表面を電源分配部13の表面に対して垂直となるように衝立部35Cが形成されている。そして、この衝立部35Cは、スイッチングデバイス34に対向するように配置されており、これにより、スイッチングデバイス34で発生する熱を衝立部35Cで吸収するようになっている。特に、本実施形態では、衝立部35Cが、スイッチングデバイス34のドレイン端子側であって本実施形態のスイッチングデバイス34の最も発熱する大発熱領域に対向するようにして配置されている。
さらに、本実施形態では、詳細には図示していないが、スイッチングデバイス34の輻射熱の吸収性が向上するように、衝立部35Cは表面が黒色アルマイト処理が施してある。
【0030】
尚、本実施形態では、詳細には図示しないが、電源分配部13において段差接続部35Dをスイッチングデバイス34の端子に直接接続させる場合には、この段差接続部35Dに対応する個所において、回路基板33とバスバー回路32との双方に亘って貫通する収容孔33Aを穿設し、この収容孔33Aに段差接続部35Dを収容させる。それと共に、段差接続部35Dの上面が、第1バスバーの上面と略同一高さとなるように形成する。これにより、スイッチングデバイス34の端子のうち、一方を回路基板33の導電路の接続部分へはんだ付けし、他方を第2バスバー35の段差接続部35Dへはんだ付けするようにすることができる。ここで、段差接続部35Dに対してはんだ付けするスイッチングデバイス34の端子の先端部分は、回路基板33の導電路に対してはんだ付けする先端部分よりも下側(バスバー回路32側)へ延びており、接続部分に段差が生じていても確実にはんだ付けが可能となっている。
また、本実施形態では回路基板33側の収容孔33Aに隣接してスイッチングデバイス34の載置孔33Bが形成されている。この載置孔33Bはスイッチングデバイス34の本体底面部に形成された電極(ゲート電極)を直接バスバー回路32に接続させるためものであり、回路基板33においては収容孔33Aと連通するように形成されているものもある(図4,5参照)。
【0031】
このように本実施形態によれば、電源分配部13上に第2バスバー35を配索する構成としたので、バスバー回路32で不足する導電路を補うことができ、電力供給路の設計における自由度が増して高密度化することができる。
これに加えて、本実施形態では回路基板33上に実装されたスイッチングデバイス34に対向する第2バスバー35が、スイッチングデバイス34で発生する熱を吸収することができるので、放熱性の向上が可能となる。
さらに、第2バスバー35は、吸収した熱を、第2バスバー35自身に拡散したり、ハウジング36を介して外部へ伝えたり、さらには第1バスバーを介して放熱板19に伝える等して放出することができる。即ち、第2バスバー35が外部への熱伝導路としての役割を担うことで、放熱性の一層の向上が可能となる。
【0032】
また、第2バスバー35が平板帯状に形成した幅広な表面を、スイッチングデバイス34のうち発熱量の大きいドレイン端子側に対向させるので、スイッチングデバイス34で発生する熱を効率よく吸収することができるので、より放熱性が向上する。
さらに、衝立部35Cの表面が黒色アルマイト処理がされているので、輻射熱の吸収性がよくなり、放熱性が一層向上する。
また、第2バスバー35の衝立部35Cは、その表裏面を空気に接触させることが可能となるので、第2バスバー35そのものに高い放熱性が具備している。
【0033】
さらに、電源分配部13上にはスイッチングデバイス34を配設するためのある程度の高さを有する空間が存在しているが、本実施形態のように衝立部35Cを有する第2バスバー35を用いることによりその空間を効率よく利用して第2バスバー35を配策することができ、電源分配部13及び電気接続箱10の高密度化が可能となる。
【0034】
<実施形態2>
次に、本発明を具体化した実施形態2を図8及び9を参照して説明する。
本実施形態2は、上記実施形態1と比べて、電源分配部13にポッティング剤を封入した点が相違する。その他の構成については上記実施形態1と同じであるため、同じ構成については、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
本実施形態の電気接続箱10は、図8に示すように、電源分配部13にポッティング剤(シリコンゲル等)Pを封入した構成であり、このポッティング剤Pを介してスイッチングデバイス34の発熱を第2バスバー35に伝熱させるようになっている。
ところで、本実施形態ではスイッチングデバイス34に第2バスバー35の衝立部35Cを対向させているが、スイッチングデバイス34と衝立部35Cとの間の距離は近付ければ近付けるほど伝熱の効率がよくなる一方、近付けすぎると短絡の恐れがある。このため、スイッチングデバイス34と第2バスバー間の距離はポッティング剤Pの絶縁耐圧に応じて設定している。
このように、本実施形態によれば、スイッチングデバイス34の発熱をポッティング剤Pを介して衝立部35C(第2バスバー35)に伝えることができるので、放熱性の一層の向上が可能となる。
【0035】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記実施形態において、1つの衝立部35Cを複数のスイッチングデバイス34に対向させてそれら複数のスイッチングデバイス34の発熱を吸収するような構成のものでもよい。
(2)上記実施形態では、電源分配部13の回路面に対して垂直にした衝立部をスイッチングデバイスに対向させて吸熱を行ったが、これに限らず、回路面に対して平行に配置したバスバーでも、回路面に対して斜めに配置したバスバーであってもよい。
(3)上記実施形態では、第2バスバー35の衝立部35Cが黒色アルマイト処理が施してあったが、接続部分を除く第2バスバー全体に黒色アルマイト処理が施してあるものであっもよい、この場合、衝立部35に限らず、第2バスバー全体が輻射熱を吸収し易くなるので、電源分配部13全体の放熱性の向上が可能となる。
(4)また、上記実施形態では第2バスバー35に黒色アルマイト処理を施したが、これに限らず、輻射熱の吸収性を向上させる処理であればよく、例えば、第2バスバー35に黒色又は濃色に塗装を行うものであってもよい。
(5)上記実施形態では、スイッチングデバイス34は半導体スイッチングデバイスであったが、機械式スイッチングデバイスであっても良い。この場合、第2バスバーが、機械式スイッチングデバイスの電力を供給する電力供給路に接続されて接点の入り切りを行う継電部の配設領域に対向させる構成としても良い。この場合第2バスバーが、機械式スイッチングデバイスの発熱量の大きい継電部側に対向配置されるので、機械式スイッチングデバイスで発生した熱をより効果的に吸収することが可能となる。
(6)上記実施形態2では、ポッティング剤Pは電源分配部13全体に封入するものであったが、これに限らず、図10に示すように、ポッティング剤Pがスイッチングデバイス34と第2バスバー35間に部分的に配設されるものであってもよい。
(7)また、上記実施形態2において、ポッティング剤にフィラー等を添加することにより、ポッティング剤の熱伝導性を向上させ、放熱性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】実施形態1に係る電気接続箱の分解斜視図
【図2】電気接続箱の斜視図
【図3】分岐路部の構成部品を分解した状態の電気接続箱の分解斜視図
【図4】電源分配部の分解斜視図
【図5】電源分配部の斜視図
【図6】電源分配部にサイドカバーを組付けた状態の斜視図
【図7】スイッチングデバイスと第2バスバーの衝立部との拡大斜視図
【図8】実施形態2に係る電源分配部の斜視図
【図9】電源分配部の部分拡大断面図
【図10】他の実施形態に係る電源分配部の部分断面図
【符号の説明】
【0037】
13…電源分配部(回路構成体)
31…第1バスバー
33…回路基板(制御用回路基板)
34…スイッチングデバイス
35…第2バスバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御用回路基板と、この制御用回路基板上に実装されるスイッチングデバイスと、絶縁層を介して前記制御用回路基板にそれぞれ積層される複数本の第1バスバーとから構成されており、前記スイッチングデバイスを動作させることにより前記複数本の第1バスバーにそれぞれ通電させるようにした回路構成体であって、
前記制御用回路基板上には前記スイッチングデバイスに対向する第2バスバーが配設されていることを特徴とする回路構成体。
【請求項2】
前記第2バスバーが厚みよりも幅広な表面を有する平板帯状の金属片からなると共にその幅広な表面を前記スイッチングデバイスに対向させるように配設されていることを特徴とする請求項1に記載の回路構成体。
【請求項3】
前記第2バスバーが前記制御用回路基板に対して垂直となるように配設されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の回路構成体。
【請求項4】
前記第2バスバーが、黒色又は濃色となるように表面処理がされていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の回路構成体。
【請求項5】
前記第2バスバーが前記スイッチングデバイスの大発熱領域に対向配置されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の回路構成体。
【請求項6】
前記スイッチングデバイスが半導体スイッチングデバイスであって、電力を供給する電力供給路側に前記第2バスバーを対向配置させていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の回路構成体。
【請求項7】
前記スイッチングデバイスが機械式スイッチングデバイスであって、電力を供給する電力供給路に接続されて接点の入り切りを行う継電部の配設領域に前記第2バスバーを対向配置させていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の回路構成体。
【請求項8】
前記スイッチングデバイスと前記第2バスバーとの間に絶縁性を備えた伝熱部材が配設されたことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の回路構成体。
【請求項9】
前記伝熱部材がゲル状のポッティング剤であることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の回路構成体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2006−187123(P2006−187123A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−378326(P2004−378326)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】