説明

回路組み立てのためのコンポーネント選択

【課題】電気回路を組み立てるための方法を提供する。
【解決手段】電気回路を組み立てるための方法は、在庫に保持されている所与のタイプのコンポーネントの実測値を測定し、測定された実測値をコンピュータ化された在庫記録に保存することを含む。組み立て中に電気回路の実際の性能が定量される。定量された実際の性能及び回路の指定された応答に基づいて、所与のタイプの1つ又は2つ以上のコンポーネントのセットのために所要値を計算する。計算された所要値に応答して在庫記録を検索し、在庫から1つ又は2つ以上のコンポーネントのセットを選択し、回路に組み立てる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くは電気機器の製造、より具体的には電気回路組み立てに関する。
【背景技術】
【0002】
電気回路を含む多くのシステムでは、回路の応答が高精度でセットされる必要がある。所望の高精度での応答を得るための一般的な手法は、高確度電気コンポーネントを、使用することである。例えば、Biosense Webster Inc.(Diamond Bar,California)製のCARTO磁気トラッキングシステムは、コイル及びコンデンサを含む共振回路である。これらの回路の共振周波数は、高確度(例えば、0.5%)でセットされる必要がある。高確度を達成するための一般的な手法は、高確度コイル及びコンデンサを使用することであろう。しかしながら、このような正確なコンポーネントは、低い入手可能性及び高費用により特徴付けられ得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の実施形態に従って、電気回路を組み立てるための方法が提供され、この方法は、
在庫に保持されている所与のタイプのコンポーネントの実測値を測定し、測定された実測値をコンピュータ化された在庫記録に保存することと、
組み立て中に電気回路の実際の性能を定量することと、
回路の指定された応答及び定量された実際の性能に基づいて、回路に組み立てるために所与のタイプの1つ又は2つ以上のコンポーネントのセットのために所要値を計算することと、
計算された所要値に応答して在庫記録を検索することにより、在庫から1つ又は2つ以上のコンポーネントのセットを選択することと、
選択されたコンポーネントのセットを回路に組み立てることと、を含む。
【0004】
典型的には、本方法は、在庫記録から選択されたコンポーネントの実測値を除去することを更に含む。
【0005】
いくつかの実施形態では、コンポーネントはコンデンサを含み、実測値を測定することは、コンデンサの実測電気容量値を測定することを含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、実際の性能を定量することは、実測値を測定することを含む。
【0007】
いくつかの場合には、回路の素子はコイルであり、実測値を測定することは、コイルの実測インダクタンス値を定量することを含む。
【0008】
他の場合には、実測値を測定することは、回路の実測インダクタンスを測定することを含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上のコンポーネントのセットを選択することは、2つ又は3つ以上のコンポーネントが、回路に組み立てられると、一緒に所要値を与えるように、2つ又は3つ以上のコンポーネントを、選択することを含む。
【0010】
他の実施形態では、指定された応答は共振周波数を含み、所要値を計算することは、指定された共振周波数に基づいて所要値を検出することを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、在庫は1つ又は2つ以上の区画を含み、各区画は各タイプのコンポーネントを、保持するように指定され、各区画は複数の領域を含有し、各タイプの1つ又は2つ以上のコンポーネントは、これらの測定された実測値に従って各領域に保存される。
【0012】
いくつかの場合には、在庫記録は表を含み、各表は対応する区画と関連付けられ、各表は入力欄を含み、各入力欄は対応する区画内の対応する領域と関連付けられ、在庫記録に測定された実測値を保存することは、所与の区画内の所与の領域に保持されているコンポーネントの実測値を、対応する表の関連する入力欄に保存することを含む。
【0013】
本発明の実施形態に従って、電気回路を組み立てるためのシステムもまた提供され、このシステムは、
1つ又は2つ以上のタイプのコンポーネントの在庫を保持するように構成されている保存サブシステムと、
在庫に保持されている所与のタイプのコンポーネントの実測値を測定し、組み立て中に電気回路の実際の性能を定量するように構成されている測定サブシステムと、
測定された実測値を含む在庫記録を保存するように連結されているメモリーと、
回路の指定された応答及び定量された実際の性能に基づいて、回路に組み立てるために所与のタイプの1つ又は2つ以上のコンポーネントのセットについて所要値を計算するように、並びに、計算された所要値に対応して在庫記録を検索することにより回路への組み立てのために在庫から所与のタイプの1つ又は2つ以上のコンポーネントのセットを選択するように、構成されているプロセッサと、を含む。
【0014】
本発明は、以下のより詳細な実施形態と、その図面の記述により、より完全に理解され得る:
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態による、電気回路に組み立てられるコンポーネントを、選択するためのシステムを概略的に示すブロックダイアグラム。
【図2】本発明の実施形態による、電気回路に組み立てられるコンポーネントを、選択するためのシステムを制御するためのコンピュータプログラムを概略的に示すブロックダイアグラム。
【図3】本発明の実施形態による、検索ガイドブックを概略的に示すブロックダイアグラム。
【発明を実施するための形態】
【0016】
システムの説明
図1は、本発明の実施形態による、電気回路25に組み立てられるコンポーネントを、選択するためのシステム20を概略的に示すブロックダイアグラムである。回路25は以下プロダクト回路(product-circuit)を示し、選択されたコンポーネントは以下プロダクトコンポーネント(product-component)を示す。プロダクト回路の電気応答は高精度で指定され、これは回路の実測応答のその公称応答からの偏差がほんのわずかしか認可されないことを意味する。システム20は、より低い精度を有するプロダクトコンポーネントを、使用しながらも、所望の高精度のプロダクト回路を達成するのを促進する。
【0017】
例として、システム20は、回路の共振周波数が高確度でセットされる必要がある上記CARTOに磁界を生じさせるために使用される共振回路に組み立てられるコンデンサを選択するのに適合し得る。この適用は、本実施形態の特性を例示するために本明細書に記載されるが、この例の原理はまた他のタイプの回路を製造するのにも有用であり得る。
【0018】
CARTOシステムは、異なる周波数で磁界を作り出す複数の磁界発生装置を含む「位置パッド(location pad)」を使用する。各発生装置では、回路25は共振回路であり、コイル26と、平行に接続された複数のコンデンサ28のセットとを含む。コイルの公称インダクタンス及びコンデンサの公称累積静電容量は、回路の公称共振周波数を生じるように指定されている。例えば、2,130Hzの公称共振周波数は、19mHの公称インダクタンスを有するコイルと、293.8505nFの累積公称静電容量を有するコンデンサを使用することにより得ることができる。
【0019】
電気コンポーネントの実測値は、典型的には、これらの公称値から外れており、それゆえにプロダクト回路の実際の応答は、その所望される公称の応答から外れ得る。実際の応答の、公称の応答からの許容可能な偏差の量は、回路の性質及び機能に依存する。結果的に、回路は通常、それらの公称の応答によるだけでなく、それらの実際の応答の所要精度によっても指定される。例えば、CARTOシステムの好適な操作は、高精度の共振周波数を必要とし、それゆえに共振回路は、それらの実測共振周波数の低許容誤差(例えば、公称周波数の0.5%の許容誤差)により指定される。
【0020】
回路の精確な応答を達成するための一般的な手法は、精確なコンポーネントから回路を製造することであろう(例えば、認可された周波数許容誤差よりも低い許容誤差を有するコイル及びコンデンサからCARTOシステムの共振回路を構築する)。しかしながら、このような精確なコンポーネントは、高価であり、入手するのが困難であり得る。システム20及び本明細書に記載されている方法は、精度の劣るプロダクトコンポーネントを、使用する精確なプロダクト回路の組み立てを可能にし、そのため、製造費用を削減し、出荷時間の改善を可能にする。
【0021】
図1に戻ると、システム20は、保存サブシステム30と、測定サブシステム40と、プロセッサ50と、メモリー60とを含む。プロセッサ50及びメモリー60は、例えば、パーソナルコンピュータ、コンピュータワークステーション、又は他の好適な計算デバイスに実装され得る。プロセッサは、典型的には、ソフトウェアでプログラムされて、下記の機能を実行する。このソフトウェアは、例えば、ネットワークを通じて電子形態でシステム20にダウンロードされ得る。代替的又は追加的に、ソフトウェアは、光学、磁気又は電子メモリーメディアなどの有形のコンピュータ読み取り可能な保存メディアに保存され得る。更に、代替的又は追加的に、プロセッサ50の少なくともいくつかの機能は、専用又はプログラム可能なハードウェア論理により実行され得る。
【0022】
保存サブシステム30は、区別された位置に個別のプロダクトコンポーネント各々を保持し、測定サブシステム40は、個別のプロダクトコンポーネントの実測値を測定する(典型的には、サブシステム30におけるプロダクトコンポーネントの保存についての準備工程として)。プロセッサ50の制御下で、個別のプロダクトコンポーネント各々の実測値及びその保存サブシステム30内の位置は、在庫記録70に保存され、メモリー60に維持される。例えば、システム20がCARTOシステムの共振回路の組み立てに適合する場合、プロダクトコンポーネントはコンデンサを含み、測定サブシステムは、典型的には、保存サブシステムに保持されている個々のコンデンサの静電容量を測定するGenRad RLC Meter 1657/980(IET Labs,Inc.製(Westbury,New York))などの測定デバイス80を含む。
【0023】
図2は、本発明の実施形態による、システム20を制御するためのコンピュータプログラム100を概略的に示すブロックダイアグラムである。プロセッサ50により実行されるコンピュータプログラム100は、典型的には、在庫保全モジュール110と、所要値計算モジュール115と、コンポーネント選択モジュール120と、ユーザーインターフェース125とを含む。在庫記録70(図1)の保全に責任を有する在庫保全モジュール110は、典型的には、個々のプロダクトコンポーネントが保存サブシステム30に追加されるときに起動されるコンポーネント追加モジュール130と、個々のプロダクトコンポーネントが組み立てのために選択され、その結果、保存サブシステムから除去されるときに起動されるコンポーネント除去モジュール140と、を含む。在庫保全モジュール110は、例えば、SQLサーバープログラムにより、又は他の適切なソフトウェアツールにより、実装され得る。
【0024】
測定サブシステム40(図1に示される)はまた、組み立て中にプロダクト回路の実際の特性を定量する。例えば、システム20がCARTOシステムの共振回路の組み立てに使用される場合、測定サブシステム40は、典型的には、共振回路に組み立てられた又は組み立てられるコイルの実測インダクタンス値を測定する上記GenRad RLC Meterなどのインダクタンス測定デバイス160を含む。いくつかの場合、デバイス80及び160は異なるデバイスを含んでもよく、他の場合、これらは同一のデバイスを含んでもよい。
【0025】
図2に戻ると、所要値計算モジュール115は、プロダクト回路に組み立てられる1つ又は2つ以上のプロダクトコンポーネント(コンデンサなど)のセットについての所要値を計算する。所要値は、定量された実際の特性(インダクタンスなど)に基づいて計算され、その結果、製造された回路の得られた実際の応答は、その指定された公称の応答に対して所要許容誤差内で収まる。計算された所要値に従って、コンポーネント選択モジュール120は、在庫記録を検索し、その実測値が総じて計算された所要値に合致する1つ又は2つ以上の個々のコンポーネントのセットを選択する。選択、ユーザーの承認の保留、及び保存サブシステムからの選択されたコンポーネントの除去(妥当な場合)の後、コンポーネント除去モジュール140は、在庫記録から選択されたコンポーネントの対応する表示を除去し、それにより、保存サブシステムの最新内容で在庫記録を更新された状態に維持する。
【0026】
例えば、システム20がCARTOシステムの共振回路の組み立てに適合する場合、所要値計算モジュール115は所要静電容量値を計算し、コンポーネント選択モジュール120は、一致する実測計算静電容量を有するコンデンサのセットを選択する。結果として、システム20及び本明細書に記載の方法は、確度の劣るコイルの偏差を埋め合わせるために確度の劣るコンデンサの偏差を利用することにより、確度の劣るコイル及びコンデンサを使用して、精確な共振回路の組み立てを可能にする。
【0027】
在庫管理
図1に戻ると、保存サブシステム30は、区別された位置に個別のプロダクトコンポーネント各々を保持し、それにより、これらの実測測定値に基づいて個々のプロダクトコンポーネントの選択を可能にする。これは、コンポーネントがそれらの公称値によってのみ差異化されている一般の保存システムとは対照的である。
【0028】
保存サブシステム30は、典型的には、区画170(例えば、引き出し)を含み、各区画は指定のタイプ(すなわち、指定公称値)のコンポーネントを、保持するように指定されている。各区画は典型的には、多数の領域(例えば、セル)を含み、各セルは、個々のコンポーネント又は同一の測定値を有する多数のコンポーネントを、保持するように構成されている。例えば、各区画(例えば、引き出し)は、セル175の行列を含んでもよく、行列の各行は文字(例えば、A、B、C...)により標識され、各列は数字(例えば、1、2、3...)により標識される。追加的に又は代替的に、保存サブシステムの他の好適な構成が実装されてもよい。
【0029】
保存サブシステム30の内容は、メモリー60内のプロセッサ50により維持される在庫記録70に反映される。保存サブシステム内の所与の個々のコンポーネントは、所与の個々のコンポーネントのタイプ、位置及び実測値を示す対応する個々のコンポーネント入力欄により在庫記録に表される。例えば、サブシステム30内の引き出し170の内容は、入力欄185を含む対応する表180により表される。表180内の各入力欄185は、対応する区画170内の符合するセル175に相当し、セル内に存在する個々のコンポーネントの実測値(及び場合によりセル内のコンポーネント数も)を含有する。
【0030】
実測コンポーネント値の測定及びそれらのデータの在庫記録への保存は、保存サブシステム30にコンポーネントを、追加する間に行われ得る。あるいは、既に保存サブシステム30に位置しているコンポーネントの実測値は、後で測定され、記録され得る。
【0031】
典型的な場合では、測定サブシステム40は手動で操作される。このような場合、コンポーネントデータは、典型的には、ユーザーインターフェース125を介してコンピュータプログラム100に転送される(図2に示されている)。しかしながら、他の場合、測定は自動で行われてもよく、そのような場合、コンポーネントデータは、いくつかの好適な機械間インターフェースを介して自動で転送されてもよい(図示せず)。
【0032】
コンポーネント選択
プロダクト回路25を組み立てる典型的なプロセスは、以下に記載される。このプロセスは、先行する実施形態にあるように、図1及び2を参照しながら、システム20が共振回路の組み立てに使用される例について記載される。
【0033】
(a)測定サブシステム40(例えば、測定デバイス160)は、組み立てられているプロダクト回路25の実際の特性を定量する。定量される実際の特性は、回路内での組み立てのために既に選択されている回路の素子の実測値であり得る(例えば、共振回路内での組み立てのために取り上げられたコイルの実測インダクタンス)。いくつかの場合、回路素子の実測値は、前もって定量及び記録され、素子が組み立てに取り上げられるときにメモリーから再表示してもよい。追加的に又は代替的に、回路の定量された実際の特性は、部分的に組み立てられたプロダクト回路の実測値であり得る(例えば、コイルが回路内に既に組み立てられた共振回路の実測インダクタンス値)。
【0034】
(b)回路の指定された応答に従って、及び、定量された実際の特性に従って、所要値計算モジュール115は、1つ又は2つ以上のプロダクトコンポーネントのセットについて所要値を計算する(例えば、回路の得られた共振周波数がその指定された共振周波数と一致するように、取り上げられたコイルの実測インダクタンスに従って計算された所要計算静電容量値)。
【0035】
(c)計算された所要値に基づき、コンポーネント選択モジュール120が在庫記録をスキャンし、その実測値が総じて、計算された所要値に一致する1つ又は2つ以上のプロダクトコンポーネントのセットを選択する(例えば、所要静電容量値の指定された許容誤差内である実測累積静電容量を有する2、3又は4つのコンデンサのセット)。
【0036】
いくつかの場合、検索の方針は迅速な応答に適合し、検索は、「十分に良好な」セット(例えば、所要値から指定許容誤差内の実測値を有するセット)に最初に遭遇したときに終了する。他の場合には、検索の方針は最適の結果に適合してもよく、コンポーネント選択モジュール120は、最良のセット(例えば、所要値から最小距離にある実測値を有するセット)を検索する。検索方針は、事前定義されていてもよく、又はオペレータにより設定されてもよい。
【0037】
いくつかの場合には、コンポーネントの選択されたセットは、オペレータによる更なる承認を必要としてもよい。選択されたセットが承認されない場合、コンポーネント選択モジュール120は、コンポーネントの代替的なセットを探すために再起動され得る。他の場合には、コンポーネント選択モジュール120は、複数の代替的セットをオペレータに提供してもよく、これによりオペレータはそれらの間から選択することができる。
【0038】
典型的には、選択されたセットを評価するためにコンピュータ及び/又は人間のオペレータにより採用される主要な基準は、実測値の、所要値からの隔たりである。しかしながら、追加的な基準も採用され得る。いくつかの場合には、最も安価な組み合わせの選択が、プロダクト回路の費用を劇的に低減し得る。他の場合には、より少ないコンポーネント数又はより小さな集合サイズを有する組み合わせを選考することが、プロダクト回路の複雑さ及びサイズを低減し得る。在庫レベルもまた、コンピュータ及び/又はオペレータにより考慮され得、それにより、特定のコンポーネントタイプ又はコンポーネント値の在庫不足又は超過に遭遇する可能性を低減する。この場合、コンポーネント選択モジュール120は、在庫保全モジュール110により提供される情報に基づいて特定のコンポーネントの組み合わせを優先してもよい。追加的に又は代替的に、特定のコンポーネントタイプの市場入手可能性などの他の好適な基準も考慮され得る。これらの基準は、検索優先としてコンポーネント選択モジュール120に導入されてもよく、区画が検索される順番に影響を与える。例えば、区画に、「可能な場合、第一選択肢」、「通常使用」又は「最後の選択肢」といった優先レベルを割り当て得る。
【0039】
ガイドされた選択
コンポーネント選択モジュール120が、複数の構成要素のセットを出力するように構成されている実施形態では、検索プロセスは、多数の可能なセットのために、時間がかかる恐れがある。このような場合、コンポーネント選択モジュール120は、調査されるセットの数を低減するために、予め計算された選択ガイドブックを使用してもよい。
【0040】
図3は、本発明の実施形態による、選択ガイドブック200を概略的に示すブロックダイアグラムである。選択ガイドブック200は、典型的には、代表的所要値210のセットを含み、これは一定範囲の可能な所要値の量子化された表示を包含する。各表示所要値210は区画組み合わせ220のリスト215に関連付けられ、各区画組み合わせ220は区画指標230のセットを含む。
【0041】
予め計算された検索ガイドブック200は、以下のように使用される。所要値計算モジュール115により計算された集合的所要値vに基づいて、コンポーネント選択モジュール120は、代表的所要値wを発見し、これはvに近く、wに関連する区画組み合わせに従って選択されたプロダクトコンポーネントのセットにその検索を制限する。より具体的には、{A;m=1,2,...,M}を代表的所要値wに関連付けられた区画組み合わせのリストにし、各区画組み合わせAを区画指標{Bm,n;n=1,2,...,M}からなるようにさせるこれらの表記法に従い、コンポーネント選択モジュール120は、各セットが、wに関連付けられたいくつかの組み合わせAの各コンポーネントBm,nから選択される個々のプロダクトコンポーネントからなるプロダクトコンポーネントのセットに検索を制限する。
【0042】
上記のように使用されるために、検索ガイドブック200は、コンポーネントセットが代表的所要値wに関連付けられた区画組み合わせAに従って選択される場合、選択されたコンポーネントセットの集合的実測値がwに近い条件を満足するように構成される。
【0043】
例えば、コンポーネント選択モジュール120がCARTOシステムの共振回路のためのコンデンサのセットを選択するように構成される場合、検索ガイドブック200は、典型的には以下のように構成される。
【0044】
(a)可能な所要静電容量値の範囲は、指定された共振周波数に従って、並びに、特定のタイプのコイルの実測値の範囲と、共振周波数の指定された許容誤差とに従って、評価される。
【0045】
(b)可能な所要静電容量値の範囲は、共振周波数の指定許容誤差に依存して1nFの典型的量子化工程を用いて、量子化され、それにより、代表的所要値210のリストを作る。
【0046】
(c)認可された区画組み合わせのセットが定量される。認可された区画組み合わせの数は、区画の数と共振回路内のコンデンサの認可された数とに依存し、更に、合計コンポーネントサイズなどの追加的な制限に依存し得る。例えば、区画の数が9である場合、3つ又は4つの区画の任意の組み合わせが許容可能であり、認可された組み合わせの数は330である。
【数1】

【0047】
認可された組み合わせに更なる限定がある場合には、認可された組み合わせのセットは、それに従って減少する。
【0048】
(d)認可された組み合わせからの区画組み合わせは、代表的所要値に関連付けられる。いくつかの場合、関連は、指定コンポーネントタイプの公称値に基づく(すなわち、公称値の和は、代表的所要値から指定の距離内にある必要がある)。他の場合には、関連は、特定のタイプのコンポーネントの実測値の予想された範囲にも基づき得る(例えば、指定距離閾値は、指定タイプのコンポーネントの予想された範囲に依存し得る)。
【0049】
CARTOシステムの例では、代表的所要値210は、典型的には、各コイル共振周波数について最大70通りのコンポーネント組み合わせ220のリスト215に関連付けられる。それゆえに、ガイドブック200は、コンポーネント選択モジュールの応答時間の大きな削減をもたらす。
【0050】
上述された実施形態は例示のために引用され、また本発明は、以上に特に示され記述されたものに限定されるものではないことが、したがって理解されるであろう。むしろ本発明の範囲には、上記に述べた様々な特徴の組み合わせ及びそれらの一部の組み合わせ、並びに上記の説明文を読むことで当業者には想到されるであろう、従来技術には開示されていない上記の特徴の変形例及び改変例が含まれるものである。
【0051】
〔実施の態様〕
(1) 電気回路を組み立てるための方法であって、
在庫に保持されている所与のタイプのコンポーネントの実測値を測定し、前記測定された実測値をコンピュータ化された在庫記録に保存することと、
組み立て中に電気回路の実際の性能を定量することと、
前記回路の指定された応答及び前記定量された実際の性能に基づいて、前記回路に組み立てるために前記所与のタイプの1つ又は2つ以上の前記コンポーネントのセットのために所要値を計算することと、
前記計算された所要値に応答して前記在庫記録を検索することにより、前記在庫から1つ又は2つ以上の前記コンポーネントのセットを選択することと、
前記選択されたコンポーネントのセットを前記回路に組み立てることと、を含む、方法。
(2) 前記在庫記録から前記選択されたコンポーネントの前記実測値を除去することを含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記コンポーネントがコンデンサを含み、前記実測値を測定することが、前記コンデンサの実測電気容量値を測定することを含む、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記実際の性能を定量することが、実測値を測定することを含む、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記回路の素子がコイルを含み、前記実測値を測定することが、前記コイルの実測インダクタンス値を定量することを含む、実施態様4に記載の方法。
(6) 前記実測値を測定することが、前記回路の実測インダクタンスを測定することを含む、実施態様4に記載の方法。
(7) 前記1つ又は2つ以上のコンポーネントの前記セットを選択することが、2つ又は3つ以上の前記コンポーネントが、前記回路に組み立てられると、一緒に前記所要値を与えるように、前記2つ又は3つ以上のコンポーネントを選択することを含む、実施態様1に記載の方法。
(8) 前記指定された応答が共振周波数を含み、前記所要値を計算することが、前記指定された共振周波数に基づいて前記所要値を検出することを含む、実施態様1に記載の方法。
(9) 前記在庫が1つ又は2つ以上の区画を含み、各区画は各タイプのコンポーネントを保持するように指定され、各区画が複数の領域を含有し、前記方法は、前記各タイプの1つ又は2つ以上の前記コンポーネントを、前記測定された実測値に従って各領域に保存することを含む、実施態様1に記載の方法。
(10) 前記在庫記録が表を含み、各表は対応する区画と関連付けられ、各表は入力欄を含み、各入力欄は前記対応する区画内の対応する領域と関連付けられ、前記在庫記録に前記測定された実測値を保存することは、所与の区画内の所与の領域に保持されているコンポーネントの実測値を、前記対応する表の前記関連する入力欄に保存することを含む、実施態様9に記載の方法。
【0052】
(11) 電気回路を組み立てるためのシステムであって、
1つ又は2つ以上のタイプのコンポーネントの在庫を保持するように構成されている保存サブシステムと、
前記在庫に保持されている所与のタイプの前記コンポーネントの実測値を測定し、組み立て中に電気回路の実際の性能を定量するように構成されている測定サブシステムと、
前記測定された実測値を含む在庫記録を保存するように連結されているメモリーと、
前記回路の指定された応答及び前記定量された実際の性能に基づいて、前記回路に組み立てるために前記所与のタイプの1つ又は2つ以上の前記コンポーネントのセットについて所要値を計算するように、並びに、前記計算された所要値に対応して前記在庫記録を検索することにより前記回路への組み立てのために前記在庫から前記所与のタイプの1つ又は2つ以上の前記コンポーネントのセットを選択するように、構成されているプロセッサと、を含む、システム。
(12) 前記コンピュータが、前記在庫記録から前記選択されたコンポーネントの前記実測値を除去するように更に構成されている、実施態様11に記載のシステム。
(13) 前記在庫に保持される前記コンポーネントがコンデンサを含み、前記測定サブシステムが、前記コンデンサの実測電気容量値を測定するように構成されている、実施態様11に記載のシステム。
(14) 前記測定サブシステムが、前記回路の素子の実測値を測定するように構成されている、実施態様11に記載のシステム。
(15) 前記回路の前記素子がコイルを含み、前記測定サブシステムが、前記コイルの実測インダクタンスを測定するように構成されている、実施態様14に記載のシステム。
(16) 前記測定サブシステムが、前記回路の実測インダクタンスを測定するように構成されている、実施態様14に記載のシステム。
(17) 2つ又は3つ以上の前記コンポーネントが、前記回路に組み立てられると、一緒に前記所要値を与えるように、前記プロセッサが、前記2つ又は3つ以上のコンポーネントを選択するように構成されている、実施態様11に記載のシステム。
(18) 前記指定された応答が共振周波数を含み、前記プロセッサが、前記指定された共振周波数に基づいて前記所要値を計算するように構成されている、実施態様11に記載のシステム。
(19) 前記保存サブシステムが区画を含み、各区画は各タイプのコンポーネントを保持するように指定され、各区画が複数の領域を含み、各区画領域は、前記各タイプの1つ又は2つ以上の前記コンポーネントを、前記測定された実測値に従って保持するように適合される、実施態様11に記載のシステム。
(20) 前記在庫記録が表を含み、各表は対応する区画に符合し、各表は入力欄を含み、各入力欄は前記対応する区画内の対応する領域内に保持されている個別のコンポーネントの実測値を含む、実施態様11に記載のシステム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気回路を組み立てるための方法であって、
在庫に保持されている所与のタイプのコンポーネントの実測値を測定し、前記測定された実測値をコンピュータ化された在庫記録に保存することと、
組み立て中に電気回路の実際の性能を定量することと、
前記回路の指定された応答及び前記定量された実際の性能に基づいて、前記回路に組み立てるために前記所与のタイプの1つ又は2つ以上の前記コンポーネントのセットのために所要値を計算することと、
前記計算された所要値に応答して前記在庫記録を検索することにより、前記在庫から1つ又は2つ以上の前記コンポーネントのセットを選択することと、
前記選択されたコンポーネントのセットを前記回路に組み立てることと、を含む、方法。
【請求項2】
前記在庫記録から前記選択されたコンポーネントの前記実測値を除去することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コンポーネントがコンデンサを含み、前記実測値を測定することが、前記コンデンサの実測電気容量値を測定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記実際の性能を定量することが、実測値を測定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記回路の素子がコイルを含み、前記実測値を測定することが、前記コイルの実測インダクタンス値を定量することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記実測値を測定することが、前記回路の実測インダクタンスを測定することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記1つ又は2つ以上のコンポーネントの前記セットを選択することが、2つ又は3つ以上の前記コンポーネントが、前記回路に組み立てられると、一緒に前記所要値を与えるように、前記2つ又は3つ以上のコンポーネントを選択することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記指定された応答が共振周波数を含み、前記所要値を計算することが、前記指定された共振周波数に基づいて前記所要値を検出することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記在庫が1つ又は2つ以上の区画を含み、各区画は各タイプのコンポーネントを保持するように指定され、各区画が複数の領域を含有し、前記方法は、前記各タイプの1つ又は2つ以上の前記コンポーネントを、前記測定された実測値に従って各領域に保存することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記在庫記録が表を含み、各表は対応する区画と関連付けられ、各表は入力欄を含み、各入力欄は前記対応する区画内の対応する領域と関連付けられ、前記在庫記録に前記測定された実測値を保存することは、所与の区画内の所与の領域に保持されているコンポーネントの実測値を、前記対応する表の前記関連する入力欄に保存することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
電気回路を組み立てるためのシステムであって、
1つ又は2つ以上のタイプのコンポーネントの在庫を保持するように構成されている保存サブシステムと、
前記在庫に保持されている所与のタイプの前記コンポーネントの実測値を測定し、組み立て中に電気回路の実際の性能を定量するように構成されている測定サブシステムと、
前記測定された実測値を含む在庫記録を保存するように連結されているメモリーと、
前記回路の指定された応答及び前記定量された実際の性能に基づいて、前記回路に組み立てるために前記所与のタイプの1つ又は2つ以上の前記コンポーネントのセットについて所要値を計算するように、並びに、前記計算された所要値に対応して前記在庫記録を検索することにより前記回路への組み立てのために前記在庫から前記所与のタイプの1つ又は2つ以上の前記コンポーネントのセットを選択するように、構成されているプロセッサと、を含む、システム。
【請求項12】
前記コンピュータが、前記在庫記録から前記選択されたコンポーネントの前記実測値を除去するように更に構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記在庫に保持される前記コンポーネントがコンデンサを含み、前記測定サブシステムが、前記コンデンサの実測電気容量値を測定するように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記測定サブシステムが、前記回路の素子の実測値を測定するように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記回路の前記素子がコイルを含み、前記測定サブシステムが、前記コイルの実測インダクタンスを測定するように構成されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記測定サブシステムが、前記回路の実測インダクタンスを測定するように構成されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
2つ又は3つ以上の前記コンポーネントが、前記回路に組み立てられると、一緒に前記所要値を与えるように、前記プロセッサが、前記2つ又は3つ以上のコンポーネントを選択するように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
前記指定された応答が共振周波数を含み、前記プロセッサが、前記指定された共振周波数に基づいて前記所要値を計算するように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項19】
前記保存サブシステムが区画を含み、各区画は各タイプのコンポーネントを保持するように指定され、各区画が複数の領域を含み、各区画領域は、前記各タイプの1つ又は2つ以上の前記コンポーネントを、前記測定された実測値に従って保持するように適合される、請求項11に記載のシステム。
【請求項20】
前記在庫記録が表を含み、各表は対応する区画に符合し、各表は入力欄を含み、各入力欄は前記対応する区画内の対応する領域内に保持されている個別のコンポーネントの実測値を含む、請求項11に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−155252(P2011−155252A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−285645(P2010−285645)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(510322649)バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド (18)
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
【住所又は居所原語表記】4 Hatnufah Street, P.O. Box 275, Yokneam 20692 Israel
【Fターム(参考)】