説明

回路遮断器の接触子開閉機構

【課題】単純な構成で汎用性を有するようにユニット化を図り、ユニット単位で在庫を確保する。
【解決手段】接触子開閉機構20は、可動接触子51、アーム21、機構盤22、引き外しバネ23等を備えている。アーム21は、操作ハンドル11と連結され、回転により可動接触子51を閉位置と開位置との間で移動させるように保持する。機構盤22は、アーム21を回転自在に支持するアーム回転軸26を有する。引き外しバネ23は、可動接触子51が開位置に退避する方向の回転力をアーム21に付与する。また、機構盤22は、可動接触子51が開位置にある時に可動接触子51が開位置に退避する方向のアーム21の回転を規制するようにアーム21に当接する当接部材22Aを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ショート(短絡)や電気の使いすぎ(過負荷)等によって電路に過電流が流れた時に電路の電流を遮断する回路遮断器の一部を構成する接触子開閉機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ショート(短絡)や電気の使いすぎ(過負荷)等によって電路に過電流が流れた時に電路を遮断するために、配線用遮断器等の回路遮断器(例えば、特許文献1参照。)が用いられている。
【0003】
回路遮断器は、図6に示すように、操作ハンドル101、機構ハンドル102、接触子開閉機構103、トリップ機構104等から構成され、可動接触子105と固定接触子106との間に過電流が流れようとする際に可動接触子105を固定接触子106から退避させて電流を遮断する。操作ハンドル101は、ON位置とOFF位置との間を揺動自在に支持され、機構ハンドル102を介して連結された接触子開閉機構103のアーム108を揺動させることによって可動接触子105を固定接触子106に対して離接させる。
【0004】
接触子開閉機構103は、可動接触子105、可動接触子バネ107及びアーム108等を備えている。可動接触子105は、固定接触子106に当接する閉位置と固定接触子106から離間する開位置との間を移動自在に支持されている。また、可動接触子105は、可動接触子バネ107によって固定接触子106に当接する方向の回転力が付与されている。アーム108は、操作ハンドル101の揺動に伴って揺動し、可動接触子105を閉位置と開位置との間で移動させる。
【0005】
トリップ機構104は、電磁コイル111、ヨーク112及びアーマチュア113等を備え、可動接触子105と固定接触子106との間に過電流が流れようとする際に、電磁コイル111に発生した磁力を利用して閉位置にある可動接触子105を開位置に強制的に退避させる。
【0006】
ヨーク112は、電磁コイル111、アーマチュア113等を支持する。また、ヨーク112は、接触子開閉機構103の全体を一体的に保持し、また操作ハンドル101等も接触子開閉機構103を介して一体的に保持している。つまり、ヨーク112で、操作ハンドル101、機構ハンドル102、接触子開閉機構103及びトリップ機構104を一体的に保持している。
【0007】
回路遮断器は、電磁コイルの発生する磁力の強さや、操作ハンドルの種類等に用いられるバネの弾性力の強さ等が用途に応じて異なるため、製造時に用途に合わせた適切な各パーツを一つずつ組み付けて製造していた。
【特許文献1】特開平3−246849号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述のように一から各パーツを組み付けて回路遮断器を製造する構成では、顧客に依頼されてから納入するまでに時間がかかってしまう。用途に関わらず汎用的に使用される箇所だけをユニット化することも考えられるが、上述のようにヨークを用いて各機構の全てを一体的に保持する構成では、用途に合ったパーツを組み付けなければならないので、汎用性を有するパーツだけでユニット化することができない。そのため、ユニット単位で在庫を保持することができず、納入までに時間がかかってしまう。
【0009】
この発明の目的は、単純な構成で汎用性を有するようにユニット化を図ることができ、ユニット単位で在庫を確保することができる回路遮断器の接触子開閉機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の回路遮断器の接触子開閉機構は、可動接触子と、アームと、機構盤と、引き外し弾性部材と、当接部材とを備え、可動接触子と固定接触子との間に過電流が流れようとする際に、過電流により駆動するトリップ機構と連携して閉位置にある可動接触子を開位置に退避させる。
【0011】
可動接触子は、位置固定された固定接触子に当接した閉位置と固定接触子から離間した開位置との間を移動自在にされている。アームは、OFF位置とON位置との間を移動自在な操作部材の移動時の回転力により回転し、回転に応じて可動接触子を閉位置と開位置との間で移動させるように保持する。機構盤は、アームを回転自在に支持するアーム回転軸を有する。引き外し弾性部材は、一端が前記アームに接続され、他端が機構盤に接続されている。また、引き外し弾性部材は、可動接触子が閉位置から開位置に退避する方向の回転力をアームに付与する。当接部材は、可動接触子が開位置にあるときに、可動接触子が閉位置から開位置に退避する方向のアームの回転を規制し、機構盤又はアームに設けられてアーム又は機構盤に当接する。
【0012】
この構成においては、機構盤によってアームが回転自在に支持されている。また、アームは、可動接触子が閉位置から開位置に退避する方向の回転力が付与されているが、可動接触子が開位置にある時に当接部材によって上記方向の回転が規制される。この当接部材は、機構盤又はアームに保持されてアーム又は機構盤に当接するので、当接時に機構盤のアーム回転軸とでアームを保持する。アームは可動接触子等を保持しているので、機構盤によってアームを介して接触子開閉機構の全体が一体的に保持される。
【0013】
また、当接部材は、機構盤又はアームの一部を曲げ加工して形成できる。
【0014】
これによって、当接部材を容易に形成することができる。
【0015】
また、回路遮断器の接触子開閉機構は、連結部材と、引き外し機構とを備えることができる。連結部材は、操作部材とアームとを連結する。引き外し機構は、アームに保持されて連結部材をアームに係止し、閉位置にある可動接触子を開位置に退避させるべく、トリップ機構の駆動に伴って連結部材のアームとの係止を解除する。
【0016】
これによって、連結部材とアームとの係止を解除する引き外し機構もアームに保持されているので、引き外し機構についても一体的に保持することができる。
【0017】
さらに、可動接触子は、閉位置ある時に第一端部が固定接触子に当接し、
アームは、アーム回転軸と平行な接触子回転軸であって、可動接触子の第一端部と第二端部との間の位置で可動接触子を回転自在に支持する接触子回転軸と、可動接触子が閉位置にある状態で一端部が固定接触子に当接する当接方向の回転力を可動接触子に付与する接触子バネと、を有し、
所定位置で可動接触子の当接方向の回転を規制する接触子当接部材であって、アーム又は可動接触子に設けられ、可動接触子又はアームに当接する接触子当接部材と、を備えている。
【0018】
これによって、可動接触子がアームで回転自在に支持される。また、可動接触子が開位置にある時に、接触子当接部材によって可動接触子の回転が規制される。接触子当接部材は、アーム又は可動接触子に保持されて可動接触子又はアームに当接するので、当接時に接触子回転軸とで可動接触子を保持できる。したがって、単純な構成でアームに可動接触子を一体的に保持させることができる。
【発明の効果】
【0019】
この発明の回路遮断器の接触子開閉機構によれば、当接部材と機構盤のアーム回転軸とでアームを保持できるので、単純な構成で機構盤を含めた接触子開閉機構の全体を一体的に保持できる。また、接触子開閉機構は、用途に関わらず汎用的に回路遮断器に用いることができるので、単純な構成で汎用性を有するようにユニット化を図ることができ、ユニット単位で在庫を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1(A),(B)は、この発明の実施形態に係る接触子開閉機構を備えた回路遮断器の簡単な構成を示す上面図及びケースの一方を取り外した状態の側面図である。図3は、操作ハンドルをOFF位置からON位置に揺動させた際の接触子開閉機構の動作状態を示す説明図である。図3(A)は操作ハンドルがOFF位置にあるときの接触子開閉機構の状態を示し、図3(B)は操作ハンドルがON位置にあるときの接触子開閉機構の状態を示す。
【0021】
回路遮断器1は、可動接触子51と固定接触子52との間に過電流が流れようとする際に可動接触子51を固定接触子52から退避させて過電流を遮断する。回路遮断器1は、ハンドル部10、接触子開閉機構20、トリップ機構30、ケース40等から構成されている。
【0022】
ハンドル部10は、操作ハンドル11、機構ハンドル12、ハンドルバネ13等から構成され、操作ハンドル11の操作に応じて可動接触子51を固定接触子52に対して離接させる。操作ハンドル11は、図1(B),図3(B)に示す状態のON位置と図3(A)に示すOFF位置との間を揺動自在に支持され、機構ハンドル12を介して連結された接触子開閉機構20を構成するアーム21を揺動させる。これにより、可動接触子51が固定接触子52に対して離接する。機構ハンドル12は、操作ハンドル11の揺動時の回転力により回転する。なお、操作ハンドル10は、本発明の操作部材に相当する。また、操作部材は、本実施形態のハンドルタイプの操作ハンドル10に限定されるものではなく、スライドタイプやロッカータイプ等であってもよい。
【0023】
また、機構ハンドル12は、連結部材15によってアーム21に連結され、連結部材15を介して操作ハンドル11の揺動時の回転力をアーム21に伝達する。ハンドルバネ13は、機構ハンドル12を操作ハンドル11がON位置からOFF位置に揺動する方向に付勢する。
【0024】
接触子開閉機構20は、操作ハンドル11の揺動時の回転力により可動接触子51を固定接触子52に対して離接させる。また、可動接触子51と固定接触子52との間に過電流が流れようとする際に、過電流により駆動するトリップ機構30と連携して操作ハンドル11とアーム21との連結を解除して可動接触子51を固定接触子52から退避させる。
【0025】
接触子開閉機構20は、図2(A),(B),(C)に示すように、可動接触子51、アーム21、機構盤22、引き外しバネ23及び引き外し機構24等から構成されている。 なお、図2(A)は、この発明の実施形態に係る接触子開閉機構20の構成を示す説明図である。図2(B)は、図2(C)で示す矢印Y方向から見た図である。図2(C)は、可動接触子51が開位置にある状態の接触子開閉機構20の状態を示す説明図である。
【0026】
可動接触子51は、図1(B)、図3(B)に示すように、アーム21が有する接触子回転軸21Aによって第一端部51Aが固定接触子52に当接する閉位置と、図2(C)、図3(A)に示すように第一端部51Aが固定接触子52から離間する開位置との間を移動自在に支持されている。また、可動接触子51は、図2(A)に示すように接触子バネ53によって反時計回りに回転するように付勢されている。接触子バネ53は、接触子回転軸21Aに遊嵌している。
【0027】
また、可動接触子51の第二端部51Bは、接触子バネ53による可動接触子51の回転を所定位置で規制するようにアーム21に当接する。第二端部51Bは、当接した状態で接触子バネ53に付与された回転力を利用し、接触子回転軸21Aとで可動接触子51を保持する。これにより、アーム21は、可動接触子51を一体的に保持できる。この可動接触子51の第二端部51Bが本発明の接触子当接部材に相当する。
【0028】
アーム21は、L字形状を呈し、図2(A)〜(C)に示すように機構盤22に形成されたアーム回転軸26によって屈曲部で回転自在に支持されている。また、アーム21には、係止溝21Bが形成されている。係止溝21Bには、図1(B)に示すように連結部材15の第一端部15Aに設けられた摺動軸16が貫通する。摺動軸16は、係止溝21Bから外れないように、引き外し杆27の第一端部に形成されたカギ爪27Aと係止溝21Bの壁面とで係止(挟持)される。連結部材15は、係止された状態で、機構ハンドル12を介して操作ハンドル11とアーム21とを連結する。また、アーム21は、回転して可動接触子51を閉位置と開位置との間で移動させる。
【0029】
機構盤22は、ケース40に固定され、アーム回転軸26を介してアーム21を回転自在に支持する。引き外しバネ23は、本発明の引き外し弾性部材に相当し、一端がアーム21に接続され、他端が機構盤22に接続されている。引き外しバネ23は、可動接触子51を閉位置から開位置に退避させる方向の回転力をアーム21に付与する。
【0030】
機構盤22には、図2(A)に示すように当接部材22Aが形成されている。当接部材22Aは、図2(C)に示すように可動接触子51が開位置にある時にアーム21に当接し、可動接触子51が閉位置から開位置に退避する方向のアーム21の回転を規制する。当接部材22Aは、この状態の時に、引き外しバネ23により付与された回転力を利用してアーム回転軸26とでアーム21を保持する。これにより、機構盤22は、アーム21を一体的に保持することができる。したがって、図2(C)に示すような状態で、機構盤22によって接触子開閉機構20全体が一体的に保持され、接触子開閉機構20のみでユニット化することができる。
【0031】
また、当接部材22Aは、機構盤22の盤面を曲げ加工することで形成されている。したがって、容易に形成することができる。
【0032】
引き外し機構24は、引き外し杆27及び引き外し杆バネ28等から構成され、連結部材15のアーム21への係止、解除を行う。引き外し杆27は、図2(A)に示すように、アーム21の内部に位置し、アーム回転軸26に回転自在に支持されている。また、引き外し杆27は、第一端部にカギ爪27Aが形成されており、第二端部に凹部27Bが形成されている。引き外し杆バネ28は、一端部がアーム21に係止され、他端部が凹部27Bに接続されている。
【0033】
引き外し杆バネ28は、図2(C)に示す状態で反時計回りに回転させる回転力を引き外し杆27に付与する。カギ爪27Aは、この回転力を用いて係止溝21Bの壁面とで摺動軸16を挟持する。これによって、連結部材15とアーム21とが連結される。
【0034】
操作ハンドル11がOFF位置にある時は、図3(A)に示すように可動接触子51が開位置にある。作業者が操作ハンドル11をOFF位置からON位置に揺動させた場合、操作ハンドル11の回転力が機構ハンドル12及び連結部材15を介してアーム21に伝達される。これによって、アーム21は、図3(B)に示すように、引き外しバネ23に付与された回転力に抗して反時計回りに回転する。この回転に伴って、可動接触子51が固定接触子52に当接する閉位置に移動する。
【0035】
回路遮断器1は、端子61,62を備えている。可動接触子51が固定接触子52に当接したON状態にある時、電流は、端子61から固定接触子52、可動接触子51、電磁コイル31を経て端子62に流れる。
【0036】
なお、アーム21は可動接触子51が閉位置に到達しても引き外しバネ23によって時計回りに回転しようとするが、連結部材15がストッパとなって回転を規制する。連結部材15は、可動接触子51が閉位置に到達した状態では、機構ハンドル12に軸支された第二端部15Bが機構ハンドル12を時計回りに回転させる位置にまで移動している。機構ハンドル12は、可動接触子51が閉位置にある状態では時計回りに回らないように、周面に形成された突出部がケース40に当接する。そのため、アーム21は回転しない。
【0037】
一方、作業者が操作ハンドル11を図3(B)に示すON位置から図3(A)に示すOFF位置に揺動させた場合、操作ハンドル11の回転によって機構ハンドル12が反時計回りに回転し、連結部材15の第二端部15Bが機構ハンドル12を反時計回りに回転させる位置にまで移動する。これによって、引き外しバネ23によりアーム21が時計回りに回転する。この時のアーム21の回転力によって機構ハンドル12が反時計回りに回転し、操作ハンドル11もOFF位置に移動する。また、アーム21の時計回りの回転に伴って可動接触子51も図3(A)に示すように開位置に移動する。
【0038】
トリップ機構30は、電磁コイル31、アーマチュア32、アーマチュアバネ33及びヨーク34等を備え、可動接触子51と固定接触子52との間に過電流が流れようとする際に、過電流を検知して操作ハンドル11と接触子開閉機構20との連結を解除して閉位置にある可動接触子51を開位置に退避させる。
【0039】
電磁コイル31は、導線31Aをボビン31Bに巻回して形成され、ボビン31Bの中空軸の軸孔を貫通するダッシュポット構造のポット35を介してヨーク34に固定支持されている。電磁コイル31は、過電流が流れた際に発生する磁力によってアーマチュア32の第一端部32Aを引き寄せる。
【0040】
アーマチュア32は、L字形状を呈し、屈曲部付近の第一端部32A側がヨーク34の上端部によって回転自在に支持されている。また、アーマチュア32は、屈曲部に係止解除部材32Cを備えている。係止解除部材32Cは、アーム21に向かう方向に屈曲部から突出し、アーマチュア32が電磁コイル31に引き寄せられた際に引き外し杆27に当接する。これによって、連結部材15とアーム21との連結が解除される。
【0041】
アーマチュアバネ33は、一端部がアーマチュア32の屈曲部に接続され、他端部がヨーク34に接続されている。アーマチュアバネ33は、図1(B)に示した状態で時計回りに回転させる回転力をアーマチュア32に付与する。これによって、アーマチュア32は、第二端部32Bがヨーク34の壁面に当接し、図1(B)に示す状態で回転が規制される。ヨーク34は、電磁コイル31、アーマチュア32、アーマチュアバネ33を一体的に保持し、ケース40に支持されている。
【0042】
図4は、過電流発生時の回路遮断器1の動作を示す説明図である。図4(A)は過電流発生時の回路遮断器1の状態を示し、図4(B)は過電流が発生した後に回路遮断器1がトリップした状態を示す。
【0043】
電磁コイル31に過電流が流れると、電磁コイル31がアーマチュア32を吸引する。これによって、図4(A)に示すようにアーマチュア32が回転して係止解除部材32Cが引き外し杆27に当接する。そのため、引き外し杆27が上方に押し上げられ、連結部材15の摺動軸16の係止が解除される。アーム21は、ストッパとなっていた連結部材15との連結が解除されたので、引き外しバネ23によって図4(B)に示すように時計回りに回転する。
【0044】
この時、摺動軸16は、係止溝21Bから外れる。また、操作ハンドル11は、ハンドルバネ13によって機構ハンドル12を介してON位置からOFF位置に揺動するが、機構ハンドル12の周面に設けられたストッパ12Aがアーム21の端部に形成された延出部21Cに当接し、一定位置で機構ハンドル12の回転を規制する。そのため、操作ハンドル11は、OFF位置にまで戻らず、図4(B)に示すようにOFF位置とON位置との中間位置となるトリップ位置で回転が停止する。
【0045】
なお、図4(B)に示すトリップ状態を解除(リセット)するには、図3(A)に示すように一度操作ハンドル11をOFF位置に戻して連結部材15とアーム21とを再度連結させればよい。
【0046】
以上のように、アーム21に可動接触子51、引き外し機構24を一体的に保持させ、機構盤22にアーム21を一体的に保持させることで、単純な構成で接触子開閉機構20全体を一体的に保持するできる。また、接触子開閉機構20は、用途に関わらず汎用的に回路遮断器1に用いることができるので、単純な構成で汎用性を有するようにユニット化を図ることができ、ユニット単位で在庫を確保することができる。
【0047】
なお、本実施形態では、当接部材22Aを機構盤22に設けたが、特にこれに限定されるものではなく、アーム21に設けてもよい。また、図5(A)〜(C)に示すように、アーム21及び機構盤22のそれぞれに当接部材71及び72を設けた構成であってもよい。さらに、本実施形態では、本発明の接触子当接部材を可動接触子51の第二端部51Bとして可動接触子51に設けたが、上述の当接部材22Aと同様にアーム21に設けてもよく、アーム21及び可動接触子51の両方に設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】この発明の実施形態に係る接触子開閉機構を備えた回路遮断器の簡単な構成を示す上面図及びケースの一方を取り外した状態の側面図である。
【図2】同接触子開閉機構の簡単な構成を示す説明図である。
【図3】同接触子開閉機構について操作ハンドルをOFF位置からON位置に揺動させた際の動作状態を示す説明図である。
【図4】同接触子開閉機構を備えた回路遮断器の過電流発生時の動作を示す説明図である。
【図5】別の実施形態に係る接触子開閉機構の簡単な構成を示す説明図である。
【図6】従来の回路遮断器の構成を示す上面図及び側面図である。
【符号の説明】
【0049】
1−回路遮断器
11−操作ハンドル
15−連結部材
20−接触子開閉機構
21−アーム
22−機構盤
22A−当接部材
23−引き外しバネ
24−引き外し機構
26−アーム回転軸
30−トリップ機構
51−可動接触子
51A−第一端部
51B−第二端部
52−固定接触子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置固定された固定接触子に当接した閉位置と前記固定接触子から離間した開位置との間を移動自在な可動接触子と、OFF位置とON位置との間を移動自在な操作部材の移動時の回転力により回転し、回転に応じて前記可動接触子を前記閉位置と前記開位置との間で移動させるように保持するアームと、を有し、前記可動接触子と前記固定接触子との間に過電流が流れようとする際に、過電流により駆動するトリップ機構と連携して前記閉位置にある前記可動接触子を前記開位置に退避させる回路遮断器の接触子開閉機構において、
前記アームを回転自在に支持するアーム回転軸を有する機構盤と、
一端が前記アームに接続され、他端が前記機構盤に接続された引き外し弾性部材であって、前記可動接触子が前記閉位置から前記開位置に退避する方向の回転力を前記アームに付与する引き外し弾性部材と、
前記可動接触子が前記開位置にある時に、前記可動接触子が前記閉位置から前記開位置に退避する方向の前記アームの回転を規制する当接部材であって、前記機構盤又は前記アームに設けられて前記アーム又は前記機構盤に当接する当接部材と、を備えたことを特徴とする回路遮断器の接触子開閉機構。
【請求項2】
前記当接部材は、前記機構盤又は前記アームの一部を曲げ加工して形成されたことを特徴とする請求項1に記載の回路遮断器の接触子開閉機構。
【請求項3】
前記操作部材と前記アームとを連結する連結部材と、
前記アームに保持され、前記連結部材を前記アームに係止する引き外し機構であって、前記閉位置にある前記可動接触子を前記開位置に退避させるべく、前記トリップ機構の駆動に伴って前記連結部材の前記アームとの係止を解除する引き外し機構と、を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の回路遮断器の接触子開閉機構。
【請求項4】
前記可動接触子は、前記閉位置ある時に第一端部が前記固定接触子に当接し、
前記アームは、前記アーム回転軸と平行な接触子回転軸であって、前記可動接触子の前記第一端部と第二端部との間の位置で前記可動接触子を回転自在に支持する接触子回転軸と、前記可動接触子が前記閉位置にある状態で前記一端部が前記固定接触子に当接する当 接方向の回転力を前記可動接触子に付与する接触子バネと、を有し、
所定位置で前記可動接触子の前記当接方向の回転を規制する接触子当接部材であって、前記アーム又は前記可動接触子に設けられ、前記可動接触子又は前記アームに当接する接触子当接部材と、を備えたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の回路遮断器の接触子開閉機構。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−159370(P2008−159370A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−345961(P2006−345961)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【出願人】(000000309)IDEC株式会社 (188)
【Fターム(参考)】