説明

回路遮断器

【課題】換気装置を異常電流から保護するための回路遮断器で換気装置を制御して別途センサや制御装置を設置する必要をなくし、而も回路遮断器が換気装置の作動時間を自動で設定して煩雑な設定をしなくても良く、また、部屋の外観を損なわないようにする。
【解決手段】負荷回路に換気装置4を接続して成る回路遮断器1において、主電路6を貫通させた変流器8により換気装置4の消費電流を検出し、検出した消費電流から換気装置4を作動させる時間を設定し、設定した作動時間に基づいてリレー回路14を駆動して換気装置4を作動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建材や家具から発散されるホルムアルデヒドなどの化学物質を換気するための換気装置の作動を制御する機能を備えた回路遮断器に関する。
【背景技術】
【0002】
快適で健康的な住宅で暮らすために、シックハウス対策のための規制が導入された改正建築基準法が平成15年7月1日に施行された。この改正建築基準法ではシックハウスの原因となるホルムアルデヒドなどの化学物質の室内濃度を下げるために建築物に機械換気設備の設置が義務付けられ、1時間あたりに部屋の空気の半分以上が入れ替わるように指導されている。部屋の空気を換気するシステムとしては、例えば、特許文献1に示されるように換気装置の作動時間を監視して換気量を調整するものものや、特許文献2に示されるように部屋のガス濃度をセンサにより検出し、ガス濃度に応じて換気量を調整するものや、特許文献3に示されるように換気装置の作動時間をタイマーで制御するものがあった。
【0003】
【特許文献1】特開2004−278937号公報(p.2)
【特許文献2】特開平11−211165号公報(p.2)
【特許文献3】特開平11−211166号公報(p.2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の換気システムは、換気装置の他にセンサや制御装置が必要であり、設備が大掛かりになるという欠点があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、負荷回路に換気装置を接続して成る回路遮断器において、主電路を貫通させた変流器により換気装置の消費電流を検出し、検出した消費電流から換気装置を作動させる時間を設定し、設定した作動時間に基づいてリレーを駆動し換気装置を作動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、換気装置を異常電流から保護するための回路遮断器で換気装置を制御するので別途センサや制御装置を設置する必要がなく、特別な工事を行う必要もない。而も回路遮断器が換気装置の消費電流を検出して作動時間を設定するので煩雑な設定をしなくても良い。また、回路遮断器は分電盤内に収納されるので部屋の外観を損なうことがないという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
負荷回路に換気装置を接続して成る回路遮断器において、主電路を貫通させた変流器により換気装置の消費電流を検出し、検出した消費電流から換気装置を作動させる時間を設定し、設定した作動時間に基づいてリレー回路を駆動し換気装置を作動させる。
【実施例1】
【0008】
本発明に係る回路遮断器の実施例1を図1の添付図面に基づいて説明する。
【0009】
回路遮断器1は、商用電源2に接続される電源側端子3と建物の換気を行う換気装置4が接続される負荷側端子5を有し、電源側端子3と負荷側端子5間の主電路6に開閉接点7が介在され、異常時に開閉接点7が開路して主電路6を遮断するようになっている。換気装置4はホルムアルデヒドの発散量から計算して必要な有効換気量が確保できる能力を備えたものが取り付けられている。
【0010】
開閉接点7と負荷側端子5間の主電路6には変流器8が主電路6を貫通させて設けられている。変流器8の出力は電流・電圧変換回路9に接続され、変流器8によって主電路6に流れる電流を検出し、電流・電圧変換回路9によって変流器8の検出電流を電圧信号に変換している。
【0011】
電流・電圧変換回路9の出力はA/D変換回路10に接続され、電流・電圧変換回路9から入力された電圧信号をアナログ信号からデジタル信号に変換している。そして、アナログ信号から変換されたデジタル信号はMPU11に入力される。
【0012】
MPU11は、入力されたデジタル信号を例えば10msなどの一定間隔で複数回サンプリングして積算し、この積算値をサンプリング回数で除算して平均化して換気装置4の消費電流を計算する。
【0013】
メモリ12には予め一般的な換気装置の換気能力と消費電流の関係から消費電流に応じて必要な換気時間のデータが記憶されており、MPU11はメモリ12に設定されたデータに基づいて消費電流値から換気装置4の作動時間を設定し、この設定した作動時間に基づいて駆動回路13を制御してリレー回路14を駆動させるようになっている。
【0014】
これにより、リレー回路14は開閉接点7と負荷側端子5間の主電路6に設けられたリレー接点15を開閉し、換気装置4をオン・オフする。
【0015】
このため、換気装置4の設置後に換気装置4の電源をオンするだけで回路遮断器1が換気装置4の消費電流を自動で検出して換気装置4の作動時間を設定し、設定に基づいて換気装置4を作動させるので煩雑な設定をしなくても良い。
【0016】
尚、開閉接点7とリレー接点15の間の主電路6に接続された電源回路16は各回路に直流電源を供給するためのものである。
【0017】
また、開閉接点7とリレー接点15の間の主電路6に設けられたバイメタル17は主電路6の過電流を検出すると開閉接点7をオフする保護装置であり、回路遮断器1はこのバイメタル17の他にも主電路6に漏洩電流が流れたときに開閉接点7をオフする漏電保護装置や主電路6に短絡電流が流れたときに開閉接点7をオフする瞬時引き外し装置などの保護装置を搭載しても何ら問題なく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜に変更して実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る回路遮断器のブロック図である。
【符号の説明】
【0019】
1 回路遮断器
4 換気装置
6 主電路
8 変流器
9 電流・電圧変換回路
10 A/D変換回路
11 MPU
12 メモリ
13 駆動回路
14 リレー回路
15 リレー接点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷回路に換気装置を接続して成る回路遮断器において、主電路を貫通させた変流器により前記換気装置の消費電流を検出し、検出した消費電流から前記換気装置を作動させる時間を設定し、設定した作動時間に基づいてリレーを駆動し前記換気装置を作動させることを特徴とする回路遮断器。

【図1】
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【公開番号】特開2006−200871(P2006−200871A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−16109(P2005−16109)
【出願日】平成17年1月24日(2005.1.24)
【出願人】(000124591)河村電器産業株式会社 (857)
【Fターム(参考)】