説明

回転ジョイントなしで流体ジェットを分配するための装置

本発明は、1以上の液体ジェット6を分配するために、流体を管7の下流端に設置された1以上の流体分配ノズル5に供給する流体取入管7と、回転伝達軸2及び伝達機構4a,4bを用いて流体取入管7と協同するモータ1とを含む装置に関する。流体取入管7は、第1の軸線XXを有する上流部7a及び第2の軸線YYを有する下流部7bを含み、第1及び第2の軸線XX,YYはこれらの間に5〜50°の角度αを形成する。第2の軸を有する下流部7bは、流体分配ノズル及び伝達機構4a,4bを配した管7の下流部を有し、所定の動作を与えるように前記下流管部7bを動かすための手段を含む。本発明はまた、高圧流体を用いた材料の表面処理または剥離方法に関し、このような装置は、圧力が少なくとも1500bar好ましくは2000〜5000barの1以上の流体ジェットを形成する流体を1以上のノズルを用いて分配するために実施される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低温の流体、特に液体窒素、のジェットを高圧で作動する装置と方法に関し、特に金属、コンクリート、木材、重合体、セラミック、およびプラスチック、あるいはいかなる他のタイプの素材といったような、被覆または被覆されていない素材の表面処理、剥離または皮削ぎのための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在では、被覆または被覆されていない材料の表面処理、とりわけ、剥離や皮削ぎなどは、本質的に、サンドブラストによって、超高圧(UHP)水噴射によって、タワシ、ケレンハンマ(pick hammer)、斫り機(scabbler)を使って、またはほかの化学ルートを経た代替のもので実施される。
【0003】
しかしながら、水を使用できない場合、例えば、原子力環境、またはいかなる化学製品、例えば厳格な環境の制限のため、いわゆる「ドライ」の作業工程のみ使用できる。
【0004】
しかしながら、ある事例では、これらの「ドライ」工程は、実行することが難しいか、非常に困難であるか、または取り扱いにくく、追加汚染を発生しさえする。例えば、再処理されなければならないショットや砂の追加のため。
【0005】
これらの技術に代わる1つの方法は、刊行物の米国特許第7,310,955号明細書と米国特許第7,316,363号明細書によって提案されているように、超高圧低温ジェットの使用を頼る。この場合、使用は、1000〜4000bar(バール)の圧力で、例えば−100〜−200℃、通常約−140℃〜−160℃の低温の液体窒素の1つ以上のジェットで構成され、回転運動するノズル保持具によって噴射される。
【0006】
より具体的には、このノズル保持具は、低温流体を保持具に供給する低温流体搬送管路の端部に固定される。管路と保持具は、モータによって駆動される小歯車かベルトを含む駆動システムによって、管路の軸を中心とする回転運動を与えられる。
【0007】
回転システムの動的密封は、管路の周りに装着される回転する筒状の密封ジョイント、一般的にTivar(登録商標)によって、与えられる。通常、筒形のこの密閉ジョイントは、それを長手方向に通り抜ける青銅の部品を有し、頑丈なステンレスの部品で囲まれる。
【0008】
低温が含まれるので、この密封ジョイントの有効性は、時間経過につれて減衰するということが実際上分かっている。これは、かなり短期間に漏洩するようになり、その結果、プロセスの効率の損失になる。特に、例えばコンクリートの斫りまたは塗料の剥離の間において。
【0009】
具体的には、含まれた低温の効果の下において、素材は、それらのそれぞれの熱膨張係数に従って、テーブルIに示すように、互いに異なった形で変形する。
【表1】

【0010】
このように、これらの素材は、低温化において非常に異なる作用を示し、その結果、冷却と過熱を交互に繰り返すサイクルの間に、変形または損傷さえ密閉ジョイントに生じる。そして、密閉ジョイントが、超高圧下、つまり一般的に最大4000bar(バール)に晒される場合、それだけいっそう急激に起こる。
【0011】
具体的に、クリアランスが密閉ジョイントと金属の部品の間に次第に現れ、システムの通常の作業を妨げる漏出をもたらすことが、実際に分かる。この結果、素材と維持コストに応じて、密閉ジョイントを定期的に交換する必要がある。現在、原子力や化学分野、例えば、人的介入ができるだけまれに保たれるべきである、危険な環境において緊急に重要である。
【0012】
刊行物の米国特許第4,369,850号明細書は、水配管の下流端に装着され加圧された水を噴出するためのノズルに適合した装置を記載している。ノズルは、ベルトとプーリの伝達機構を介してモータで回転駆動される回転円筒状のハウジングに収納されている。その装置において、水配管は、柔軟であり、円形の軌道で水をジェット噴射できるように曲げられており、地面(地球などともいう)に穴を開けることができる。
【0013】
しかしながら装置は、ノズルからの変化し得る距離で、ジェットによって衝突された表面領域を許容しないので、完全に満足できない。このことは、表面(特にコンクリート)を剥離または斫りをする場合、当該明細書においてかなり不都合であるということが分かる。
【0014】
同様の装置は、他のところ、独国特許発明第10236266号明細書において説明される。
【0015】
それに照らして、提示された問題は、低温液体、特に液体窒素を噴出する装置を提案している。この装置は信頼できる、すなわち前述の損失を治療するように、密封ジョイントの消耗及び漏えいが無いことに関連した問題をするのみならず、特にコンクリートを剥離または斫るために使用される場合、変化し得るノズルからの一定の距離で窒素のジェットまたは複数のジェットに扱われた領域を許容もする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第7,310,955号明細書
【特許文献2】米国特許第7,316,363号明細書
【特許文献3】米国特許第4,369,850号明細書
【特許文献4】独国特許発明第10236266号明細書
【発明の概要】
【0017】
本発明の解決方法は、低温流体、特に液体窒素の1以上のジェットを噴出するための装置であって、管路の下流端に配置された1以上の流体分配ノズルから供給する流体搬送管路、及び、回転伝達シャフト及び伝達機構を介して流体搬送管路と共同するモータ、を含み、この装置において、
− 流体搬送管路は、上流部の第1の軸線XXおよび下流部の第2の軸線YYを含み、前記第1の軸線XX及び前記第2の軸線YYの間に作られる角度αが5〜50°の間であり、
− 下流部の第2の軸線YYは、1以上の前記流体分配ノズルとともに前記管路の下流端を有し、
− 前記伝達機構は、決められた動作を伝達するために管路の前記下流部で作動する動作誘導手段を含み、
以下を特徴とする:
− 前記伝達機構は、中心に配置される回転軸を中心に回転運動可能な支持歯車と、前記支持歯車に自由に通され偏心配置される流体搬送管路と、支持歯車と共同する歯車駆動手段と、を含み、
− 前記流体搬送管路は、支持歯車の管路上流に配置されたアンカー手段と共同し、このアンカー手段は、前記アンカー手段と前記管路の前記下流端との間で測定される流体搬送管路の長さを選択または調整することができる設定システムのすべてか部分を形成する。
【0018】
状況に応じて、本発明の装置は、以下の特徴の1つ以上を含むかもしれない。
【0019】
− 前記アンカー手段は、前記管路に取り付けるか取り外しできるように設計されており、アンカー手段が管路に取り付けられている場合に前記管路を保持し、そして/または、アンカー手段が管路から取り外されている場合に前記管路を自由にしその結果管路の長さを設定するのを許容する。前記長さは、アンカー手段と管路の下流端の間で測定される。
【0020】
− 第1及び第2の軸XX,YYの間は、角度αが10〜40°、望ましくは、20〜30°である。
【0021】
− 動作誘導手段は、回転運動及び振動動作から選択される決められた動作を伝達するために管路の前記下流部に作用する。
【0022】
− 伝達シャフトは歯車駆動手段と共同し、歯車駆動手段を介して伝達シャフトの回転運動を支持歯車へ伝達するように歯車駆動手段は支持歯車と共同し、前記管路の下流端に配置された1以上の流体分配ノズルの円運動を得る。
【0023】
− 伝達機構は、伝達シャフトが挿入される伝達筐体内に配置される。
【0024】
− 支持歯車は、1つ以上の滑り軸受または転がり軸受を含む歯車保持手段、特にボールベアリングによって保持される。
【0025】
− 管路は、支持歯車の胴部を貫通して形成される経路に配置され、この経路は、支持歯車によって形成される円板内、ただし中心を除く、に形成される。
【0026】
− 保持要素は、支持歯車を保持するために設けられる。保持要素は、歯車の回転軸から距離Rのところの歯車に配置される。その距離は、回転軸とオリフィスの間の距離rより大きい。
【0027】
− 保持要素は、滑り軸受、ラジアル転軸受、または円錐面軸受(spigots)であり、及び/または、歯車駆動手段は、歯車又はベルトである。
【0028】
− アンカー手段は、締付装置、望ましくはクランプ、パッキン押え、分割ナット、弾性のテーパ、ラックピニオンシステム、またはいかなる他の適当な締付装置を含む。
【0029】
− 管路は、ステンレス鋼管、望ましくは、可撓管である。
【0030】
− 管の端は、容易に交換できるように、特に摩耗した場合に、取り外せる。
【0031】
この発明は、少なくとも1つの高圧流体のジェットによって表面処理、つまり剥離または斫り処理を材料とりわけコンクリートに対して行うために、温度が−140℃以下、圧力が少なくとも1500bar、好ましくは2000〜5000barの1以上の流体のジェットの形で流体を、1以上のノズルによって、分配するための発明に係る装置の使用方法にも関する。
【0032】
さらに、本発明は、圧力が少なくとも1500bar、温度が−140℃未満の液体窒素のジェットを用いてコンクリートを剥離または斫るための方法に関している。特に本発明に係る装置は、管路の下流端に配置された1以上の液体窒素分配ノズルに供給する液体窒素搬送管路と、回転伝達シャフト及び伝達機構を介して液体窒素搬送管路と共同するモータとを含む。この装置において、液体窒素搬送管路は、上流部の第1の軸線XX及び下流部の第2の軸線YYを含み、第1の軸線XXと第2の軸線YYの間は5〜50°の間の角度αを作り、下流部の第2の軸線YYは、1以上の前記液体窒素分配ノズルとともに管路の下流端を有する。そして、伝達機構は、決められた動作を与えるために管路の前記下流部で作動する動作誘導手段を備え、該伝達機構は、その中心に配置された回転軸について回転運動し得るとともに液体窒素搬送管路が偏心して配置され自由に通り貫けている支持歯車と、支持歯車と共同する歯車駆動手段とを含む。
【0033】
状況に応じて、本発明の方法は、以下の特徴の1つ以上を含むかもしれない。
【0034】
− 流体搬送管路は、支持歯車の管路上流に配置したアンカー手段と協力する。前記アンカー手段は、設定システムのすべてまたは部分を形成し、アンカー手段と前記管路の下流端の間で測定された流体搬送管路の長さは、前記設定システムに作用することによって、選択または調整される。
【0035】
− 設定システムのアンカー手段は、それぞれ前記管路を保持するためにまたは前記管路を自由にするために前記管路に取り付けるかまたは取り外すためにそれぞれ使用され、その結果、管路の長さを設定することを許容する。
【0036】
− 流体のジェットは、圧力が1000〜5000bar、好ましくは少なくとも2000barである。
【0037】
− 流体は、温度が−140℃未満、望ましくは、−150〜−200℃である。
【0038】
本発明の方法は、手で、つまり作業員、または自動的にまたは自動化された方法、すなわち機械またはロボットによって、実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
本発明は、添付された図面に関連して説明された以下の説明を通して、より良く理解される。
【図1】図1は、本発明に係る高圧流体ジェット分配装置の概略を示す(側面)図である。
【図2】図2は、図1に係る装置の支持部及び駆動歯車の概略を示す(正面)図である。
【図3】図3は、図1に係る装置の支持歯車と高圧管の概略を示す(側面)図である。
【図4】図4は、歯車保持手段の細部を詳細に示す図である。
【図5】図5は、ピグテイル(pigtail)システムを備える一実施形態を示す。
【図6】図6は、従来技術のツールのためにジェットの軌道を備えるノズル補治具を示す。
【図7】図7は、本発明に係るツールのためのジェットの軌道を有するノズル補治具を示す。
【図8】図8は、本発明に係る手動ツールを示す。
【図9】図9は、ロボットに組み込まれた本発明に係る自動ツールを示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は、流体のジェット、望ましくは本発明に係る低温かつ高圧の流体のジェット、を分配するための装置の原理を示す。この装置は、ステンレス鋼管のような流体搬送管路7を含み、前記管路7の下流端に配置された1以上の流体分配ノズルを供給する。一般に、ノズルは、ノズル支持具5によって保持される。
【0041】
一実施形態によれば、分配されるべき流体は、低温かつ高圧の流体であって、特に圧力が1000〜4000barで温度が−140〜−200℃の液体窒素である。流体は、圧縮機、タンク、熱交換器、供給ライン、1以上のガスボンベなどのような流体源(図示せず)取られ、流体管路7の上流端に供給される。
【0042】
図3に示すように、流体分配装置の流体搬送管路7は、後述される回転伝達シャフト2及び伝達機構4a,4bを介してモータ1に共同する。
【0043】
その一部として流体搬送管路7は、上流部7aの第1の軸心XX及び下流部7bの第2の軸心YYを含み、これらの間に作られる角度αが5〜50°、通常10〜40°、望ましくは20〜30°のオーダである。
【0044】
下流部7bは、1以上の流体分配ノズルが配置された、例えばノズル保持具に、管路7の下流端を有する。
【0045】
そのうえ、伝達機構4a,4bは、それが成し得るいかなる種類のものであっても、特に回転運動または振動動作といった、決められた動きを与えるために管路の下流部7bに作用する動作誘導手段を含みます。回転運動において理解されるべきことは、例えば円または楕円を描く動作である。部品4bのデザインの選択は、選択された動作のタイプを決定するだろう。
【0046】
モータ1は、回転伝達シャフト2及びその伝達シャフト2がその回転運動を伝達する伝達機構4a,4bを介して、流体搬送管路7と共同する。モータは、空気モータ、電動モータ、ガソリンエンジン、またはいかなる他のタイプのモータである。
【0047】
図2に示されるように、本発明によれば、伝達機構4a,4bは、支持歯車4bの中心に位置する回転の軸について回転運動し得る支持歯車4b、および、前記支持歯車4bを通して偏心して配置される低温流体搬送管路7を含みます。言い換えれば、管路7の軸と支持歯車4bの軸は、不一致である。
【0048】
したがって、管路7は、支持歯車4bの胴部を貫通して形成された経路またはオリフィス10に配置され、経路は支持歯車4bが形成するディスク中に位置するが、前記ディスクの中心に位置しない。
【0049】
好みのために、管路7のための経路は、歯車の中心から、すなわち前記支持歯車4bの軸から、少なくとも1mm離れて位置される。
【0050】
そのうえ、駆動歯車またはベルトといったような歯車駆動手段4aは、支持歯車4bの回転運動を駆動するために支持歯車4bと共同する。より具体的に、歯車駆動手段4aを介して、伝達シャフト2の回転運動を支持歯車4bに伝えて、その結果、前記管路7の下流端に配置された1以上の流体分配ノズルの動作、好ましくは円運動を得るために、モータ1によって駆動された伝達シャフト2は、歯車駆動手段4aと共同し、そして、歯車駆動手段4aは自身が前記支持歯車4bと共同する。すなわち、高圧流体のジェット6を分配するために使用されるノズル保持具5に配置される。
【0051】
図1に示すように、伝達筐体3は、保護ケースを形成し、伝達シャフトが差し込まれ、伝達機構4a,4bを収容する。この伝達筐体3の中で、歯車4bは、一組の滑り軸受またはいかなる種類の転がり軸受、例えば、針状転軸受か玉軸受、望ましくは玉軸受によって、適所に保持される。
【0052】
支持歯車4bは、1以上のすべり軸受または転がり軸受、特に図4に図式的に示す玉軸受を含む歯車保持手段9によって保持される。
【0053】
滑り軸受、ラジアル転軸受、又は円錐面軸受(spigots)などの要素9は、支持歯車4bの良好な回転を維持するために備えられると言える。事実、支持歯車4bは、要素9を受け入れるために溝が彫られている。支持歯車4bは、それ自身の軸の上に保持されていない。歯車4bは、図3に示すように、回転軸心からオリフィス10までの距離rよりも大きい、歯車4bの回転軸心からの距離Rの位置の歯車4bに配置された装置9によって保持されている。
【0054】
また、流体搬送管路7は、パッキン押さえ(gland)、クランプ、分割ナット、弾性テーパ、ラックピニオンシステム、あるいはジェット噴出装置の支持台に対応する位置に管路7を保持することを許容するいかなる他の適切な機械的装置といったようなアンカー手段8と共同する。このアンカー手段8は、支持歯車4bの上流の管路7に配置されている。すなわち、支持歯車4bは、アンカー手段8と1以上のノズルが配された管路7の端部との間に位置している。言い換えれば、管路7は、一方においてアンカー手段8によってその範囲で静止またはほぼ静止するように維持され、他方において1以上のノズルを装着された下流端7bを含む。ノズルは、可動であり、モータ1が伝達シャフト2と、そのシャフト2に連結された駆動歯車4aと、例えば円軌道など決められた軌道に沿って管7を動かす支持歯車4bとを駆動する場合、与えられた動作、望ましくは円運動を描く。
【0055】
係留部8は、装置、および塞がれるまたは塞がれないために最終的に経路10に通されることによらず、管路7が滑ることを許容する機械的な構成要素である。
【0056】
したがって、方法が実施されるときのために、係留部8から歯車4bまでの距離が固定されることを承知したうえで、係留部は、長さLo、およびノズルによって描かれる円軌道などの直径などを固定することを可能にする。異なった状態で、図3に示されるように、高圧流体のジェットを分配するための1以上のノズルによって描かれる円軌道の半径Roを変えるために、長さLoを変更することは、特に有利である。
【0057】
係留部の機械的な構成要素は、利用者が長さLoを設定または調整したい場合、例えば、適切な工具を使用して、利用者が容易に弛めることができる。
【0058】
管路7が作動機械またはロボットに設置される場合、装置を通してチューブ7を滑らせることが難しいまたは非現実的であることが証明される。したがって、係留部8の上流に位置する超高圧静的継手7cによって連結される2つの部分に管路7が分けられることは、有益である。このことは、移動または変更させなければならない管7の全体ではなく、希望の長さに調整されるのを許容する適当な長さLoの管に、7cからノズル保持具5までの間の管の一部を容易に変更することを許容する。
【0059】
さらに、管路のこの部分が変形に晒されるので、整備目的のために簡単にこれを交換可能であることは、好ましい。
【0060】
十分な管路7の弾性変形(柔軟性)を得るために、前記管路7の特性、またはアンカー手段8からノズル保持具5を有した端部までの間に配置された管路7の少なくとも部分7bは、慎重に、特に管7が作られている素材の本質、およびそのサイズ、すなわち、前記管の内径および外径を選択される。
【0061】
例えば、高圧化において搬送されている液体窒素のような低温流体である場合、以下のテーブルIIに与えられている内径および外径のステンレス鋼管を管路7として使用することが好ましい。
【表2】

【0062】
テーブルIIに示されるように、直径14.8mmの管は、硬すぎて効果のために使用できない。したがって、通常、約6.4mmの外径で高圧(最大約4000bar)に耐えることができる316グレードステンレス鋼(SUS316相当)の管で造られたものが使用される。
【0063】
さらに柔軟な管を作るために、図5に示すように巻線またはピグテイル(pigtail)の形を前記管に与えるか、またはベローズシステムを使用することができる。
【0064】
同様に、オリフィス10で歯車4bと管7との間の動作の自由度を確実にするために、玉軸受または同様のシステムが、10における可撓管7の周りに有利に配置される。
【0065】
外側半径6.4mmであるステンレス鋼管を含む発明に係る装置は、−155℃の温度かつ3500barの圧力で液体窒素が供給され、約1100rpmの超高回転速度で2000000サイクル以上疲労破壊せずに、試験された。それゆえ、疲労力学の当該技術に熟達した者(当業者)によれば、多数のサイクル、特に2000000サイクルを超えて実施されても、管は疲労破壊されないだろう(ことが分かる)。したがって、得られた結果は、完全に満足され、また、装置は完全に動作する。
【0066】
本発明に係る装置は、以前に使用されたシステムによって追跡されたジェットの軌道をまさに再現しないと言える。米国特許第7,316,363号明細書に記載されたシステムに使用された2個のノズルを備えたノズル保持具は、図6に示すように、異なった半径の同心円軌道を2個のノズルに与える。これに対して、図7に概略的に示すように、同じ2個のノズルを備える同じノズル保持具は、同じ半径Roの円軌道をノズルに与えるが、これらはオフセットされている。
【0067】
液体窒素ジェットによって描かれた円(図7)は、Loが増加することとαが増加することによって増大する直径を有する。したがって、例えばコンクリートの表面処理か斫りのために、描かれた表面積が大きくなればなるほど、したがって、出力も大きくなる。
【0068】
本発明の装置は、図8に示すように手動利用することもできるし、または図9に示すように自動またはロボット利用することもできる。
【0069】
より具体的に、図8は、ハンドル11、トリガー12、及び圧搾空気入口ホース13とともに装着された空気式モータ1を含む手動工具の例を図式的に示す。これに対して、図9は、ロボット14に搭載され、電動モータ1を備えた自動工具の一例を示す。自動工具は、1以上の作動軸を有する携帯装置とともに使用することもできる。
【0070】
本発明の装置は、例えば金属、コンクリート、石、プラスチック、木製、セラミックなどのような材料の表面処理、剥離または斫りなど、流体、特に低温流体の回転するジェットを含むいかなる熱処理の作業や工程に適用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の流体(6)のジェットを噴出するための装置であって、この経路の下流端に配置された1以上の流体分配ノズル(5)に供給する流体搬送管路(7)と、回転伝達シャフト(2)及び伝達機構(4a,4b)を介して流体搬送経路(7)と共同するモータ(1)を含み、この装置において:
− 前記流体搬送管路(7)は、上流部(7a)の第1の軸心(XX)及び下流部(7b)の第2の軸心(YY)を含み、第1及び第2の軸線(XX,YY)の間が5から50°の角度(α)を形成し、
− 下流部(7b)の第2の軸線(YY)は、1以上の前記流体分配ノズルとともに管路(7)の下流端を有し、
そして、伝達機構(4a、4b)は、決められた動作をそれに伝えるために管路の前記下流部(7b)で作動する動作誘導手段を含み、
以下を特徴とする:
− 前記伝達機構(4a,4b)は、その中心に位置する回転軸を中心に回転運動可能な支持歯車(4b)と、前記支持歯車(4b)に自由に通され偏心配置される流体搬送管路(7)と、支持歯車(4a)と共同する歯車駆動手段(4a)とを含み、
− 前記流体搬送管路は、支持歯車の管路上流に配置されたアンカー手段(8)と共同し、前記アンカー手段(8)は、アンカー手段(8)と前記管路(7)の下流端との間で測定される流体搬送管路の長さを選択または調整することができる設定システムのすべてまたは部分を形成する。
【請求項2】
請求項1に請求された装置において、
アンカー手段(8)は、このアンカー手段が前記管路(7)に取り付けられている場合に前記管路(7)を保持し、前記アンカー手段が前記管路(7)から取り外されている場合に前記管路(7)を自由にするように、前記管路(7)に取り付けまたは取り外し可能に設計され、したがって、前記アンカー手段(8)から前記管路(7)の下流端までの管路(7)の長さを設定することを許容することを特徴とする。
【請求項3】
請求項1または請求項2に請求された装置において、
第1及び第2の軸線(XX,YY)の間は、10〜40°の間、好ましくは、20〜30°の角度(α)になることを特徴とする。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に請求された装置において、
前記伝達シャフト(2)は歯車駆動手段(4a)と共同し、前記歯車駆動手段(4a)は前記歯車伝達手段(4a)を介して前記伝達シャフト(2)の回転運動が前記支持歯車(4b)に伝わるように前記支持歯車(4b)と共同し、したがって、前記管路(7)の下流端に設置された1以上の前記流体分配ノズルの円運動を得ることを特徴とする。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に請求された装置において、
前記伝達機構(4a,4b)は、前記伝達シャフト(2)が差し込まれる伝達箱(3)の中に配置されることを特徴とする。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に請求された装置において、
前記支持歯車(4b)は、1以上の滑り軸受または転がり軸受、特に玉軸受を含む歯車保持手段によって保持されていることを特徴とする。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に請求された装置において、
前記管路(7)は、前記支持歯車(4b)の本体を貫通して形成された経路(10)中に配置されており、この経路(10)は、前記支持歯車(4b)によって形成されるディスク内の中心以外に位置していることを特徴とする。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に請求された装置において、
保持要素(9)は、前記支持歯車(4b)を保持するために設けられ、前記保持要素(9)は、回転軸から前記オリフィス(10)までの距離rよりも大きい距離である前記歯車(4b)の回転軸線から距離Rの位置となる前記歯車(4b)上に配置されていることを特徴とする。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に請求された装置において、
前記保持要素(9)は、滑り軸受、ラジアル転軸受または円錐面軸受であり、および/または、歯車駆動手段(4a)は、歯車かベルトであることを特徴とする。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1項に請求された装置において、
前記アンカー手段(8)は、締付装置、望ましくはクランプ、パッキン押え、分割ナット、弾性のテーパ、ラックピニオンシステムを含むことを特徴とする。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1項に請求された装置において、
管路(7)は、ステンレス鋼管、望ましくは可撓管であることを特徴とする。
【請求項12】
少なくとも1つの加圧流体のジェットの手段によって材料の表面処理、剥離または斫りを行うために、温度が−140℃以下で圧力が1500バールの1以上の流体ジェットの形の流体を1以上のノズルによって分配するための、請求項1から請求項11のいずれか1項に請求された装置の使用方法。
【請求項13】
管路(7)の下流端に配置された1以上の液体窒素分配ノズル(5)に供給する液体窒素搬送管路(7)と、回転伝達シャフト(2)及び伝達機構(4a,4b)を介して前記液体窒素搬送管路(7)に共同するモータ(1)とを備えて、圧力が1500バールかつ温度が−140℃未満の液体窒素の1以上のジェット(6)を分配するための装置を実施し、窒素のジェットを利用してコンクリートを剥離するまたは斫るのための方法であって、
前記装置において、前記液体窒素搬送管路(7)は上流部(7a)の第1の軸線(XX)及び下流部(7b)の第2の軸線(YY)を含み、前記第1及び第2の軸線(XX,YY)の間は5〜50°の角度(α)を作り、前記下流部(7b)の第2の軸線(YY)は1以上の前記液体窒素分配ノズルを配した管路(7)の下流端を有し、そして、前記伝達機構(4a,4b)は、決められた動作を与えるために管路の前記下流部(7b)で作動する動作誘導手段をそなえ、該伝達機構(4a,4b)は、その中心に位置した回転軸を中心に回転運動し得るとともに前記液体窒素搬送管路(7)が偏心して配置され自由に通りぬけている支持歯車(4b)と、前記支持歯車(4b)と共同する歯車駆動手段(4a)とを含み、
前記液体搬送管路は、前記支持歯車(4b)の前記管路上流に配置されたアンカー手段(8)と共同し、該アンカー手段(8)は設定システムのすべてまたは部分を形成し、前記アンカー手段(8)から前記管路(7)の前記下流端までの間で測定された前記液体搬送管路の長さは、前記設定システムにしたがって作動することによって選択または調整される
ことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13に請求された方法において、
前記設定システムの前記アンカー手段(8)は、それぞれ前記管路(7)を保持するためにまたは前記管路を自由にするために、前記管路(7)に取り付けるまたは取り外すためにそれぞれ使用され、その結果、管路(7)の前記長さが設定されることを許容することを特徴とする。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−533422(P2012−533422A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521071(P2012−521071)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際出願番号】PCT/FR2010/051291
【国際公開番号】WO2011/010030
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(591036572)レール・リキード−ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード (438)
【Fターム(参考)】