回転ブラシ式ロータリ除雪車
【課題】往復作業を可能とした回転ブラシ式ロータリ除雪車を提供する。
【解決手段】回転ブラシ式ロータリ除雪装置2を備えた回転ブラシ式ロータリ除雪車1において、鉄道軌道用車両3に旋回枠24を回転可能に設け、この旋回枠24の前後に前向き回転ブラシ式ロータリ除雪装置2,2をそれぞれ設ける。これにより前後の回転ブラシ式ロータリ除雪装置2,2を進行方向に向けた状態で、軌道用車両3を走行して往路の除雪を行い、所定区間の除雪が終了した後、回転駆動手段28により旋回台22を回転して前後の回転ブラシ式ロータリ除雪装置2,2を逆向きにした状態で、軌道用車両3を走行して復路の除雪を行うことができ、軌道用車両3の往復走行時に除雪を行うことができる。
【解決手段】回転ブラシ式ロータリ除雪装置2を備えた回転ブラシ式ロータリ除雪車1において、鉄道軌道用車両3に旋回枠24を回転可能に設け、この旋回枠24の前後に前向き回転ブラシ式ロータリ除雪装置2,2をそれぞれ設ける。これにより前後の回転ブラシ式ロータリ除雪装置2,2を進行方向に向けた状態で、軌道用車両3を走行して往路の除雪を行い、所定区間の除雪が終了した後、回転駆動手段28により旋回台22を回転して前後の回転ブラシ式ロータリ除雪装置2,2を逆向きにした状態で、軌道用車両3を走行して復路の除雪を行うことができ、軌道用車両3の往復走行時に除雪を行うことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枕木やバラストなどで表面に凹凸が生じている鉄道軌道等の除雪を行うに適した回転ブラシ式ロータリ除雪車に関わり、特に除雪装置を反転可能にした回転ブラシ式ロータリ除雪車に関する。
【背景技術】
【0002】
回転ブラシ式ロータリ除雪車は、胴体の外周面に多数の線条部材を植設して成り、走行車両に取り付けられたフレームに、胴体の軸方向を水平状態で走行車両の走行方向にほぼ直交させて周方向に回転自在に支承された回転ブラシと、該回転ブラシをその前側が下から上に動くように回転させるブラシ用回転駆動装置と、投雪筒を有するケーシング内に収められたブロア羽根の中心軸の軸方向を走行車両のほぼ走行方向に向け、上記回転ブラシの後部においてフレームに支持されたブロアと、該ブロアのブロア羽根を回転させるブロア用回転駆動装置と、回転ブラシで掻き上げられた雪をブロアに導くブラシカバーとを具備した構成(例えば、特許文献1)とされているので、軌道や道路の付帯構造物を損傷せずに雪を残すことなく排除することができる。
【0003】
このため、残された雪によって引き起こされる各種床下機器の損傷、列車の遅延を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−88316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した回転ブラシ式ロータリ除雪車の除雪装置は構成部品が大きく、作業車両に対して1基しか搭載することができないため、一方向にしか除雪作業を行うことができない。そして、軌道上で安定して作業をするため車両本体が長大となり、両方向において除雪をするために、長大な車両本体そのものを反転することは転車台などの設備が必要になり、実質的に困難であり、一方向でしか除雪を行うことができなかった。
【0006】
そこで、本発明は上述した問題点に鑑み、従来片道作業しかできなかった回転ブラシ式ロータリ除雪車において、往復作業を可能とした回転ブラシ式ロータリ除雪車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、回転ブラシ式ロータリ除雪装置を備えた回転ブラシ式ロータリ除雪車において、鉄道軌道用車両に旋回枠を回転可能に設け、前記旋回枠を昇降駆動する昇降装置を設け、前記旋回枠の前後に前後方向一側向きの前記回転ブラシ式ロータリ除雪装置をそれぞれ設けたことを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、前記旋回枠を昇降駆動する昇降装置を備えることを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に係る発明は、鉄道軌道用車両に旋回台を回転可能に設け、この旋回台に回転中心軸を設け、この回転中心軸に前記旋回枠を回転及び昇降可能に設け、前記昇降装置は前記旋回台に対して前記旋回枠を昇降し、前記旋回台の回転を前記旋回枠に伝達する回転伝達部材を設け、前記旋回台を回転駆動する回転駆動手段を備えることを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に係る発明は、旋回枠の前後に車両の左右一方及び他方で前後方向一側向きの前記回転ブラシ式ロータリ除雪装置をそれぞれ設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1の構成によれば、前後の回転ブラシ式ロータリ除雪装置を進行方向に向けた状態で、車両を走行して往路の除雪を行い、所定区間の除雪が終了した後、回転駆動手段により旋回台を回転して前後の回転ブラシ式ロータリ除雪装置を逆向きにした状態で、車両を走行して復路の除雪を行うことができ、車両の往復走行時に除雪を行うことができる。
【0012】
また、本発明の請求項2の構成によれば、昇降装置により、使用位置の回転ブラシ式ロータリ除雪装置を車両の台枠などを避けて旋回可能な位置まで上昇させた後、この位置で旋回枠を回転して向きを変え、再び使用位置まで降下させることができる。
【0013】
また、本発明の請求項3の構成によれば、旋回台に設けた回転中心軸に沿って旋回枠が昇降し、回転駆動手段により旋回台を回転し、この回転を回転伝達部材により旋回枠に伝達することにより、2基の回転ブラシ式ロータリ除雪装置を備えた重量物である旋回枠を、円滑に回転駆動することができる。
【0014】
また、本発明の請求項4の構成によれば、左右一方及び他方の除雪装置により車両の幅方向全体の除雪を行うことができるため、回転ブラシの幅寸法を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施例の実施例1を示す平面図である。
【図2】同上、除雪装置が使用位置の側面図である。
【図3】同上、除雪装置を昇降した状態の側面図である。
【図4】同上、旋回枠の旋回状態を説明する平面図である。
【図5】同上、旋回枠が旋回後、降下前の側面図である。
【図6】同上、図2と除雪装置が向きを変えた状態の側面である。
【図7】同上、除雪装置の正面図である。
【図8】同上、除雪装置の側面図である。
【図9】同上、回転ブラシの側面図である。
【図10】本実施例の実施例2を示す回転中心軸回りの側面図である。
【図11】同上、要部の側面図である。
【図12】同上、要部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の回転ブラシ式ロータリ除雪車の実施例1について説明する。
【実施例1】
【0017】
図1〜図9に示すように、回転ブラシ式ロータリ除雪車1は、回転ブラシ式ロータリ除雪装置(以下、除雪装置という)2を軌道用車両3に搭載してなる。
【0018】
図7〜図9に示すように、前記除雪装置2は、フレーム5の前部には、回転ブラシ6が設けられている。回転ブラシ6は、中心に回転軸6a(図9)を持つドラム(胴体)6bの外周に針金等の線条部材6cを適当な金具6dで植設して成る。この回転ブラシ6は、フレーム5に取り付けられた側板7,7の軸受8,8に、回転軸6aを支承されて設けられており、油圧モータ(回転駆動装置)9によって減速機10を介して図8で反時計回りに回転させられる。回転ブラシ6の回転軸6a及びドラム6bの軸方向は、水平状態で車両3の走行方向に直交させられている。
【0019】
前記回転ブラシ6の後部上方には、ブロア11が配設され、フレーム5に支持されている。ブロア11は、円筒状のケーシング11aの中心に中心軸11bを設け、この中心軸11bにブロア羽根11cを取り付けるとともに、ケーシング11aにおけるブロア羽根11cの回転上昇側(図7で左側)に投雪筒11dを鉛直に設けて成る。ブロア羽根11cは、油圧モータ(回転駆動装置)12(図8)により減速機13と中心軸11bを介し図7において時計回りに回転させられる。
【0020】
ブロア羽根11cの中心軸11bの軸方向は、車両3の走行方向に水平に向けられ、回転ブラシ6の回転軸6aの軸方向に平面視において直交させられている。ブロア11の上にはシュート14が投雪筒11dに連ねて設けられ、該シュート14の上端にシュートキャップ15が取り付けられている。シュート14は左右に回動して投雪方向を左右に変え、またシュートキャップ15は上下に回動して投雪方向を上下に変える。ブロア11とシュート14等の基本構造は周知である。
【0021】
回転ブラシ6の側板7,7の前端部からブロア11のケーシング11aにかけてブラシカバー16が設けられている。ブラシカバー16の前端部16a(図8)は、回転ブラシ6の外周面に沿うように湾曲しており、また後部の上記投雪筒11d位置の部分16bは、ブロア11の中心軸11bよりも低い位置に開口し、投雪筒11dから横に外れた他の部分16cは中心軸11bよりも高い位置に開口している。ブラシカバー16は、回転ブラシ6によって掻き上げられた雪をブロア11に導く。
【0022】
そして、除雪に際しては、旋回枠24を使用高さ位置とし、回転ブラシ6による除雪深さを定める。そして、各油圧モータ9,12で回転ブラシ6を図8で反時計回りに回転させるとともにブロア11のブロア羽根11cを図7において時計回りに回転させながら、走行車両3を図2で左から右に前進させる。
【0023】
回転ブラシ6は油圧モータ9によりアップカットで回転させられて雪を掻き上げる。除雪面に凹凸がある場合、回転ブラシ6の線条部材6cはその凹凸にしたがって撓むため、雪は残ることなく掻き上げられることになる。また、線条部材6cが信号通信機器等に触れることがあっても、機器等が破損することはない。
【0024】
回転ブラシ6の回転で掻き上げられた雪は、ブラシカバー16でブロア11に導かれ、ブロア羽根11cで加速されて投雪筒11dとシュート14を通り外部に投出される。この場合、投雪筒11d位置のカバー部分16bで導かれた雪は、ブロア羽根11cが回転下降から上昇に移って水平になる前のブロア部分に入るため、回転上昇中のブロア羽根11cにより十分に加速され、投雪筒11dに投出される。
【0025】
また、投雪筒11dから横に外れた他のカバー部分16cで導かれた雪は、ブロア羽根11cが投雪筒11dの直下部分Aを上昇してから、下降に移り投雪筒11d位置のカバー部分16bに上昇するまでの間のブロア部分に入るため、この場合においてもブロア羽根11cにより十分に加速されて投雪筒11dに投出される。
【0026】
このように、ブラシカバー16は、投雪筒11dの直下部分Aには開口しておらず、その部分Aに雪を導くことがないので、回転ブラシ6で掻き上げられた雪が、ブロア羽根11cで加速された投雪筒11dの直下部分Aの雪に衝突してこれを失速させ、ブロア11の投雪能力を低下させることはない。
【0027】
本発明では、図1〜図6に示すように、上記のような回転ブラシ式ロータリ除雪装置2を軌道用車両3に2台装備している。図1及び図2に示すように、軌道用車両3の車体4は左右に複数の車輪4Aを有し、その車体4の左右に長さ方向の構造材たる台枠21,21が設けられ、これら台枠21,21は荷重を支持する。それら台枠21,21の略中央に旋回台22を回転可能に設け、この旋回台22は高さ位置が固定されている。前記旋回台22の回転中心に回転中心軸23を縦設し、この回転中心軸23に旋回枠24を回転及び昇降可能に設け、前記旋回枠24の中央には前記回転中心軸23を挿通する挿通孔25が穿設されている。尚、旋回台22は時計回り方向と反時計回り方向の両方向に回転可能である。また、前記挿通孔25は前記回転中心軸23を挿通するスラスト軸受25Aにより構成されており、回転中心軸23の回転力は旋回枠24に伝達されない。さらに、前記回転中心軸23の上端と前記左右の台枠21,21とは門型の補強枠21Aにより支持され、補強枠21Aに設けた軸受21Bに回転中心軸23が回転可能に設けられている。
【0028】
図1〜図3に示すように、前記旋回枠24の前後の腕部24A,24Aに前記除雪装置2,2を設け、これら除雪装置2,2は前記回転ブラシ6,6が進行方向前側に位置するように配置され、前側の除雪装置2が前記進行方向に対して右側、後側の除雪装置2が前記進行方向に対して左側に位置する。このように前後の除雪装置2,2の回転ブラシ6,6は車体4の幅方向中央から右側、左側の除雪範囲を分担する。尚、図1などに示すように、進行方向前側の除雪装置2の回転ブラシ6は進行方向後側の除雪装置2の回転ブラシ6より回転中心軸23から離れている。
【0029】
また、前記旋回枠24には、前記挿通孔25を挟んだ両側に回転伝達部たる回転伝達孔26,26が前記挿通孔25と平行に穿設され、それら回転伝達孔26,26に回転伝達部材たる回転伝達軸27,27がそれぞれ回転及び長さ方向スライド可能に挿通されており、前記回転伝達軸27,27の下部は前記旋回台22に固着されている。尚、前記回転ブラシ6の車両左右方向幅は、車両3の幅より狭く、前後の回転ブラシ6,6が車両左右方向の中央で重なり合う。
【0030】
前記旋回台22には、前記旋回枠24を昇降する昇降装置28が設けられ、この昇降装置28としては流体圧シリンダなどが用いられ、流体圧シリンダとして油圧シリンダが例示される。また、前記軌道用車両3には、前記旋回枠24を回転駆動する回転駆動手段29が設けられ、この例では、回転駆動手段29は前記旋回台22を回転駆動して前記旋回枠24を回転駆動する。尚、車両3の走行中は、除雪装置2,2は固定され、旋回枠24が旋回することはない。
【0031】
したがって、前記昇降装置28により旋回台22に対して旋回枠24を昇降することができ、また、前記回転駆動手段29を駆動して旋回台22を回転すると、複数の回転伝達軸27,27により旋回台22の回転力が旋回枠24に伝達され、旋回台22と共に旋回枠24が回転する。この場合、回転中心軸23から離れた位置にある回転伝達軸27により旋回台22の回転を旋回枠24に伝達するから、2機の除雪装置2,2を備えた重量物である旋回枠24をスムーズに回転することができる。尚、回転中心軸23と回転伝達軸27は断面が円形である。
【0032】
次に、前記構成につき、その作用を説明する。図1〜図2に示したように、同図で右側が往路の進行方向の場合、回転ブラシ6を除雪装置2の前側に向けて除雪装置2,2を前向きとし、軌道用車両3を走行して左右両側の除雪装置2,2により軌道上の除雪を行う。所定区間の除雪が終了したら、軌道用車両3を停止し、昇降装置28を駆動して旋回枠24を上昇し、図3に示すように、旋回しても除雪装置2,2が車体4に干渉しない位置まで上昇して停止する。この後、図4に示すように、回転駆動手段29により旋回枠24をほぼ180度回転して除雪装置2,2の向きを変える。回転後、昇降装置28を駆動して除雪装置2,2を使用位置まで降下し、この位置で回転ブラシ6は台枠21の下方となる(図6)。
【0033】
このようにして除雪装置2,2の向きを変え、軌道用車両3を逆向きに走行して復路の除雪を行うことができる。
【0034】
このように本実施例では、請求項1に対応して、回転ブラシ式ロータリ除雪装置2を備えた回転ブラシ式ロータリ除雪車1において、鉄道軌道用車両3に旋回枠24を回転可能に設け、この旋回枠24の前後に回転ブラシ式ロータリ除雪装置2,2をそれぞれ設けたから、前後の回転ブラシ式ロータリ除雪装置2,2を進行方向に向けた状態で、車両3を走行して往路の除雪を行い、所定区間の除雪が終了した後、回転駆動手段により旋回台22を回転して前後の回転ブラシ式ロータリ除雪装置2,2を逆向きにした状態で、車両3を走行して復路の除雪を行うことができ、車両3の往復走行時に除雪を行うことができる。
【0035】
また、このように本実施例では、請求項2に対応して、旋回枠24を昇降駆動する昇降装置28を備えるから、昇降装置28により、使用位置の回転ブラシ式ロータリ除雪装置2を車両3の台枠21などを避けて旋回可能な位置まで上昇させた後、この位置で旋回枠24を回転して向きを変え、再び使用位置まで降下させることができる。
【0036】
また、このように本実施例では、請求項3に対応して、鉄道軌道用車両3に旋回台22を回転可能に設け、この旋回台22に回転中心軸23を設け、この回転中心軸23に旋回枠24を回転及び昇降可能に設け、昇降装置28は旋回台22に対して旋回枠24を昇降し、旋回台22の回転を旋回枠24に伝達する回転伝達部材たる回転伝達軸27を設け、旋回台22を回転駆動する回転駆動手段29を備えるから、旋回台22に設けた回転中心軸23に沿って旋回枠24が昇降し、回転駆動手段29により旋回台22を回転し、この回転を回転伝達軸27により旋回枠24に伝達することにより、2基の回転ブラシ式ロータリ除雪装置2,2を備えた重量物である旋回枠24を、円滑に回転駆動することができる。
【0037】
また、このように本実施例では、請求項4に対応して、旋回枠24の前後に車両の左右一方及び他方で前後方向一側向きの回転ブラシ式ロータリ除雪装置2,2をそれぞれ設けたから、左右一方及び他方の除雪装置2,2により車両3の幅方向全体の除雪を行うことができるため、回転ブラシ6の幅寸法を抑えることができる。
【0038】
また、実施例上の効果として、回転ブラシ式ロータリ除雪装置2は、胴体の軸方向を水平状態で車両3の走行方向にほぼ直交させて周方向に回転自在に支承された回転ブラシ6と、該回転ブラシ6をその前側が下から上に動くように回転させるブラシ用回転駆動装置たるモータ9と、投雪筒11dを有するケーシング11a内に収められたブロア羽根11cの中心軸11bの軸方向を鉄道軌道用車両3のほぼ走行方向に向け、回転ブラシ6の後部においてフレーム5に支持されたブロア11と、該ブロア11のブロア羽根11cを回転させるブロア用回転駆動装置たる油圧モータ12と、回転ブラシ6で掻き上げられた雪をブロア11に導くブラシカバー16とを備えるから、軌道の付帯構造物を損傷せずに雪を残すことなく排除することができる。このため、残された雪によって引き起こされる各種床下機器の損傷、列車の遅延等を防止することができる。
【0039】
さらに、実施例上の効果として、回転中心軸23の上端と左右の台枠21,21とを門型の補強枠21Aにより支持したから、回転中心軸23を上下で支持し、旋回枠24の回転と昇降をスムーズに行うことができる。また、旋回台22にほぼ全ての装置が配置されているから、車両3への取り付けを簡便に行うことができる。
【実施例2】
【0040】
図10〜図12は、本発明の実施例2を示し、上記実施例1と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。この例では、前記旋回枠24の中心に、回転昇降体31を設けている。この回転昇降体31は、板状の上部32と下部33とを複数の縦杆34により連結して、前後に前記腕部24A,22Aを設け、これら腕部24A,22Aの先端に前記除雪装置2,2が設けられている。前記上部32と下部33の回転中心には前記スラスト軸受25A,25Aがそれぞれ設けられ、そのスラスト軸受25Aにより前記挿通孔25を構成している。
【0041】
前記車体4には固定受け座35が固設され、この固定受け座35に前記旋回台22が回転可能に設けられ、この旋回台22が回転駆動手段たるモータ29Aにより回転し、このモータ29Aの回転力がチェーンなどの回転伝達手段により旋回台22に伝達される。
【0042】
また、前記旋回台22と前記上部32との間に、昇降装置たる流体圧シリンダ36,36が複数設けられ、この例では2つの流体圧シリンダ36,36が前記回転中心軸23を挟んだ両側で除雪装置2の使用状態における車両3の左右に配置されており、それら流体圧シリンダ36,36は前記下部33の貫通孔33Aに遊挿されている。前記流体圧シリンダ36は、本体36Aと、この本体36Aに伸縮自在に設けた伸縮杆36Bとを備え、本体36Aの下端を枢軸37により旋回台22に連結し、その枢軸37を中心に流体圧シリンダ36は、前記回転中心軸23の中心を通る直径方向に回動可能に連結されている。また、伸縮杆36Bの上端は自在継手38により前記上部32に360度揺動可能に連結されている。尚、図11では、前記回転伝達軸27を図示省略している。
【0043】
前記下部33には、前記回転伝達軸27を挿通する回転伝達部たるスラスト軸受39を設け、前記上部には、前記回転伝達軸27が遊挿されている。また、図12に示すように、前記回転伝達軸27は前記流体圧シリンダ36と近接した位置に配置され、前記回転中心軸23を中心として回転伝達軸27と前記流体圧シリンダ36とは45度の範囲内に配置することが好ましい。
【0044】
また、前記回転中心軸23の上端を支持する支持構造41を備え、この支持構造41は、前記回転中心軸23の前後で除雪装置2,2に干渉しない位置に支柱42を設け、この支柱42は左右の台枠21,21にそれぞれ立設され、前後左右で隣り合う4本の支柱42,42,42,42の上部が連結横杆43,43,43,43により連結され、それら4本の支柱42,42,42,42の上部と前記回転中心軸23の上部とが平面斜め方向の連結横杆44,44,44,44により連結され、前記回転中心軸23の上部の軸受45を回転可能に設け、この回転リングに前記連結横杆44,44,44,44の先端が連結されている。
【0045】
このように本実施例では、回転駆動手段たるモータ29Aと、昇降装置たる流体圧シリンダ36とを備えるから、上記各実施例に対応して、同様な作用・効果を奏する。
【0046】
また、実施例上の効果として、昇降装置たる流体圧シリンダ36は、その一端である上端を旋回枠24に揺動可能に連結すると共に、その他端である下端を旋回台22に回動可能に連結されているから、回転中心軸23を挿通した回転昇降体31をスムーズに昇降駆動することができる。また、回転中心軸23の下部を旋回台22に固着し、回転中心軸23の上部を支持構造41により回転可能に支持したから、重量物である旋回枠24をスムーズに回転及び昇降することができる。
【0047】
尚、本発明は、本実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、実施例では、車両前後方向に対して回転ブラシの回転軸を直交した状態で使用する例を説明したが、回転ブラシの回転軸を車両前後方向に対して斜めにして使用してもよい。また、回転中心軸に旋回枠を固着し、回転中心軸を伸縮自在に設けて旋回枠を昇降し、回転中心軸と同体的に旋回枠を回転するようにしてもよい。さらに、実施例では、旋回台に回転中心軸の下端を固着したが、回転中心軸を車体に固定し、回転中心軸を中心に旋回台を回転可能に設けるようにしてもよい。また、昇降装置は流体圧シリンダに限らず、ジャッキ式や吊上げ式など各種タイプの装置を用いることができる。
【符号の説明】
【0048】
1 回転ブラシ式ロータリ除雪車
2 除雪装置
3 軌道用車両
5 フレーム
6 回転ブラシ
22 旋回台
23 回転中心軸
24 旋回枠
26 回転伝達孔(回転伝達部)
27 回転伝達軸(回転伝達部材)
28 昇降装置
29 回転駆動手段
29A モータ(回転駆動手段)
36 流体圧シリンダ(昇降装置)
【技術分野】
【0001】
本発明は、枕木やバラストなどで表面に凹凸が生じている鉄道軌道等の除雪を行うに適した回転ブラシ式ロータリ除雪車に関わり、特に除雪装置を反転可能にした回転ブラシ式ロータリ除雪車に関する。
【背景技術】
【0002】
回転ブラシ式ロータリ除雪車は、胴体の外周面に多数の線条部材を植設して成り、走行車両に取り付けられたフレームに、胴体の軸方向を水平状態で走行車両の走行方向にほぼ直交させて周方向に回転自在に支承された回転ブラシと、該回転ブラシをその前側が下から上に動くように回転させるブラシ用回転駆動装置と、投雪筒を有するケーシング内に収められたブロア羽根の中心軸の軸方向を走行車両のほぼ走行方向に向け、上記回転ブラシの後部においてフレームに支持されたブロアと、該ブロアのブロア羽根を回転させるブロア用回転駆動装置と、回転ブラシで掻き上げられた雪をブロアに導くブラシカバーとを具備した構成(例えば、特許文献1)とされているので、軌道や道路の付帯構造物を損傷せずに雪を残すことなく排除することができる。
【0003】
このため、残された雪によって引き起こされる各種床下機器の損傷、列車の遅延を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−88316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した回転ブラシ式ロータリ除雪車の除雪装置は構成部品が大きく、作業車両に対して1基しか搭載することができないため、一方向にしか除雪作業を行うことができない。そして、軌道上で安定して作業をするため車両本体が長大となり、両方向において除雪をするために、長大な車両本体そのものを反転することは転車台などの設備が必要になり、実質的に困難であり、一方向でしか除雪を行うことができなかった。
【0006】
そこで、本発明は上述した問題点に鑑み、従来片道作業しかできなかった回転ブラシ式ロータリ除雪車において、往復作業を可能とした回転ブラシ式ロータリ除雪車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、回転ブラシ式ロータリ除雪装置を備えた回転ブラシ式ロータリ除雪車において、鉄道軌道用車両に旋回枠を回転可能に設け、前記旋回枠を昇降駆動する昇降装置を設け、前記旋回枠の前後に前後方向一側向きの前記回転ブラシ式ロータリ除雪装置をそれぞれ設けたことを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、前記旋回枠を昇降駆動する昇降装置を備えることを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に係る発明は、鉄道軌道用車両に旋回台を回転可能に設け、この旋回台に回転中心軸を設け、この回転中心軸に前記旋回枠を回転及び昇降可能に設け、前記昇降装置は前記旋回台に対して前記旋回枠を昇降し、前記旋回台の回転を前記旋回枠に伝達する回転伝達部材を設け、前記旋回台を回転駆動する回転駆動手段を備えることを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に係る発明は、旋回枠の前後に車両の左右一方及び他方で前後方向一側向きの前記回転ブラシ式ロータリ除雪装置をそれぞれ設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1の構成によれば、前後の回転ブラシ式ロータリ除雪装置を進行方向に向けた状態で、車両を走行して往路の除雪を行い、所定区間の除雪が終了した後、回転駆動手段により旋回台を回転して前後の回転ブラシ式ロータリ除雪装置を逆向きにした状態で、車両を走行して復路の除雪を行うことができ、車両の往復走行時に除雪を行うことができる。
【0012】
また、本発明の請求項2の構成によれば、昇降装置により、使用位置の回転ブラシ式ロータリ除雪装置を車両の台枠などを避けて旋回可能な位置まで上昇させた後、この位置で旋回枠を回転して向きを変え、再び使用位置まで降下させることができる。
【0013】
また、本発明の請求項3の構成によれば、旋回台に設けた回転中心軸に沿って旋回枠が昇降し、回転駆動手段により旋回台を回転し、この回転を回転伝達部材により旋回枠に伝達することにより、2基の回転ブラシ式ロータリ除雪装置を備えた重量物である旋回枠を、円滑に回転駆動することができる。
【0014】
また、本発明の請求項4の構成によれば、左右一方及び他方の除雪装置により車両の幅方向全体の除雪を行うことができるため、回転ブラシの幅寸法を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施例の実施例1を示す平面図である。
【図2】同上、除雪装置が使用位置の側面図である。
【図3】同上、除雪装置を昇降した状態の側面図である。
【図4】同上、旋回枠の旋回状態を説明する平面図である。
【図5】同上、旋回枠が旋回後、降下前の側面図である。
【図6】同上、図2と除雪装置が向きを変えた状態の側面である。
【図7】同上、除雪装置の正面図である。
【図8】同上、除雪装置の側面図である。
【図9】同上、回転ブラシの側面図である。
【図10】本実施例の実施例2を示す回転中心軸回りの側面図である。
【図11】同上、要部の側面図である。
【図12】同上、要部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の回転ブラシ式ロータリ除雪車の実施例1について説明する。
【実施例1】
【0017】
図1〜図9に示すように、回転ブラシ式ロータリ除雪車1は、回転ブラシ式ロータリ除雪装置(以下、除雪装置という)2を軌道用車両3に搭載してなる。
【0018】
図7〜図9に示すように、前記除雪装置2は、フレーム5の前部には、回転ブラシ6が設けられている。回転ブラシ6は、中心に回転軸6a(図9)を持つドラム(胴体)6bの外周に針金等の線条部材6cを適当な金具6dで植設して成る。この回転ブラシ6は、フレーム5に取り付けられた側板7,7の軸受8,8に、回転軸6aを支承されて設けられており、油圧モータ(回転駆動装置)9によって減速機10を介して図8で反時計回りに回転させられる。回転ブラシ6の回転軸6a及びドラム6bの軸方向は、水平状態で車両3の走行方向に直交させられている。
【0019】
前記回転ブラシ6の後部上方には、ブロア11が配設され、フレーム5に支持されている。ブロア11は、円筒状のケーシング11aの中心に中心軸11bを設け、この中心軸11bにブロア羽根11cを取り付けるとともに、ケーシング11aにおけるブロア羽根11cの回転上昇側(図7で左側)に投雪筒11dを鉛直に設けて成る。ブロア羽根11cは、油圧モータ(回転駆動装置)12(図8)により減速機13と中心軸11bを介し図7において時計回りに回転させられる。
【0020】
ブロア羽根11cの中心軸11bの軸方向は、車両3の走行方向に水平に向けられ、回転ブラシ6の回転軸6aの軸方向に平面視において直交させられている。ブロア11の上にはシュート14が投雪筒11dに連ねて設けられ、該シュート14の上端にシュートキャップ15が取り付けられている。シュート14は左右に回動して投雪方向を左右に変え、またシュートキャップ15は上下に回動して投雪方向を上下に変える。ブロア11とシュート14等の基本構造は周知である。
【0021】
回転ブラシ6の側板7,7の前端部からブロア11のケーシング11aにかけてブラシカバー16が設けられている。ブラシカバー16の前端部16a(図8)は、回転ブラシ6の外周面に沿うように湾曲しており、また後部の上記投雪筒11d位置の部分16bは、ブロア11の中心軸11bよりも低い位置に開口し、投雪筒11dから横に外れた他の部分16cは中心軸11bよりも高い位置に開口している。ブラシカバー16は、回転ブラシ6によって掻き上げられた雪をブロア11に導く。
【0022】
そして、除雪に際しては、旋回枠24を使用高さ位置とし、回転ブラシ6による除雪深さを定める。そして、各油圧モータ9,12で回転ブラシ6を図8で反時計回りに回転させるとともにブロア11のブロア羽根11cを図7において時計回りに回転させながら、走行車両3を図2で左から右に前進させる。
【0023】
回転ブラシ6は油圧モータ9によりアップカットで回転させられて雪を掻き上げる。除雪面に凹凸がある場合、回転ブラシ6の線条部材6cはその凹凸にしたがって撓むため、雪は残ることなく掻き上げられることになる。また、線条部材6cが信号通信機器等に触れることがあっても、機器等が破損することはない。
【0024】
回転ブラシ6の回転で掻き上げられた雪は、ブラシカバー16でブロア11に導かれ、ブロア羽根11cで加速されて投雪筒11dとシュート14を通り外部に投出される。この場合、投雪筒11d位置のカバー部分16bで導かれた雪は、ブロア羽根11cが回転下降から上昇に移って水平になる前のブロア部分に入るため、回転上昇中のブロア羽根11cにより十分に加速され、投雪筒11dに投出される。
【0025】
また、投雪筒11dから横に外れた他のカバー部分16cで導かれた雪は、ブロア羽根11cが投雪筒11dの直下部分Aを上昇してから、下降に移り投雪筒11d位置のカバー部分16bに上昇するまでの間のブロア部分に入るため、この場合においてもブロア羽根11cにより十分に加速されて投雪筒11dに投出される。
【0026】
このように、ブラシカバー16は、投雪筒11dの直下部分Aには開口しておらず、その部分Aに雪を導くことがないので、回転ブラシ6で掻き上げられた雪が、ブロア羽根11cで加速された投雪筒11dの直下部分Aの雪に衝突してこれを失速させ、ブロア11の投雪能力を低下させることはない。
【0027】
本発明では、図1〜図6に示すように、上記のような回転ブラシ式ロータリ除雪装置2を軌道用車両3に2台装備している。図1及び図2に示すように、軌道用車両3の車体4は左右に複数の車輪4Aを有し、その車体4の左右に長さ方向の構造材たる台枠21,21が設けられ、これら台枠21,21は荷重を支持する。それら台枠21,21の略中央に旋回台22を回転可能に設け、この旋回台22は高さ位置が固定されている。前記旋回台22の回転中心に回転中心軸23を縦設し、この回転中心軸23に旋回枠24を回転及び昇降可能に設け、前記旋回枠24の中央には前記回転中心軸23を挿通する挿通孔25が穿設されている。尚、旋回台22は時計回り方向と反時計回り方向の両方向に回転可能である。また、前記挿通孔25は前記回転中心軸23を挿通するスラスト軸受25Aにより構成されており、回転中心軸23の回転力は旋回枠24に伝達されない。さらに、前記回転中心軸23の上端と前記左右の台枠21,21とは門型の補強枠21Aにより支持され、補強枠21Aに設けた軸受21Bに回転中心軸23が回転可能に設けられている。
【0028】
図1〜図3に示すように、前記旋回枠24の前後の腕部24A,24Aに前記除雪装置2,2を設け、これら除雪装置2,2は前記回転ブラシ6,6が進行方向前側に位置するように配置され、前側の除雪装置2が前記進行方向に対して右側、後側の除雪装置2が前記進行方向に対して左側に位置する。このように前後の除雪装置2,2の回転ブラシ6,6は車体4の幅方向中央から右側、左側の除雪範囲を分担する。尚、図1などに示すように、進行方向前側の除雪装置2の回転ブラシ6は進行方向後側の除雪装置2の回転ブラシ6より回転中心軸23から離れている。
【0029】
また、前記旋回枠24には、前記挿通孔25を挟んだ両側に回転伝達部たる回転伝達孔26,26が前記挿通孔25と平行に穿設され、それら回転伝達孔26,26に回転伝達部材たる回転伝達軸27,27がそれぞれ回転及び長さ方向スライド可能に挿通されており、前記回転伝達軸27,27の下部は前記旋回台22に固着されている。尚、前記回転ブラシ6の車両左右方向幅は、車両3の幅より狭く、前後の回転ブラシ6,6が車両左右方向の中央で重なり合う。
【0030】
前記旋回台22には、前記旋回枠24を昇降する昇降装置28が設けられ、この昇降装置28としては流体圧シリンダなどが用いられ、流体圧シリンダとして油圧シリンダが例示される。また、前記軌道用車両3には、前記旋回枠24を回転駆動する回転駆動手段29が設けられ、この例では、回転駆動手段29は前記旋回台22を回転駆動して前記旋回枠24を回転駆動する。尚、車両3の走行中は、除雪装置2,2は固定され、旋回枠24が旋回することはない。
【0031】
したがって、前記昇降装置28により旋回台22に対して旋回枠24を昇降することができ、また、前記回転駆動手段29を駆動して旋回台22を回転すると、複数の回転伝達軸27,27により旋回台22の回転力が旋回枠24に伝達され、旋回台22と共に旋回枠24が回転する。この場合、回転中心軸23から離れた位置にある回転伝達軸27により旋回台22の回転を旋回枠24に伝達するから、2機の除雪装置2,2を備えた重量物である旋回枠24をスムーズに回転することができる。尚、回転中心軸23と回転伝達軸27は断面が円形である。
【0032】
次に、前記構成につき、その作用を説明する。図1〜図2に示したように、同図で右側が往路の進行方向の場合、回転ブラシ6を除雪装置2の前側に向けて除雪装置2,2を前向きとし、軌道用車両3を走行して左右両側の除雪装置2,2により軌道上の除雪を行う。所定区間の除雪が終了したら、軌道用車両3を停止し、昇降装置28を駆動して旋回枠24を上昇し、図3に示すように、旋回しても除雪装置2,2が車体4に干渉しない位置まで上昇して停止する。この後、図4に示すように、回転駆動手段29により旋回枠24をほぼ180度回転して除雪装置2,2の向きを変える。回転後、昇降装置28を駆動して除雪装置2,2を使用位置まで降下し、この位置で回転ブラシ6は台枠21の下方となる(図6)。
【0033】
このようにして除雪装置2,2の向きを変え、軌道用車両3を逆向きに走行して復路の除雪を行うことができる。
【0034】
このように本実施例では、請求項1に対応して、回転ブラシ式ロータリ除雪装置2を備えた回転ブラシ式ロータリ除雪車1において、鉄道軌道用車両3に旋回枠24を回転可能に設け、この旋回枠24の前後に回転ブラシ式ロータリ除雪装置2,2をそれぞれ設けたから、前後の回転ブラシ式ロータリ除雪装置2,2を進行方向に向けた状態で、車両3を走行して往路の除雪を行い、所定区間の除雪が終了した後、回転駆動手段により旋回台22を回転して前後の回転ブラシ式ロータリ除雪装置2,2を逆向きにした状態で、車両3を走行して復路の除雪を行うことができ、車両3の往復走行時に除雪を行うことができる。
【0035】
また、このように本実施例では、請求項2に対応して、旋回枠24を昇降駆動する昇降装置28を備えるから、昇降装置28により、使用位置の回転ブラシ式ロータリ除雪装置2を車両3の台枠21などを避けて旋回可能な位置まで上昇させた後、この位置で旋回枠24を回転して向きを変え、再び使用位置まで降下させることができる。
【0036】
また、このように本実施例では、請求項3に対応して、鉄道軌道用車両3に旋回台22を回転可能に設け、この旋回台22に回転中心軸23を設け、この回転中心軸23に旋回枠24を回転及び昇降可能に設け、昇降装置28は旋回台22に対して旋回枠24を昇降し、旋回台22の回転を旋回枠24に伝達する回転伝達部材たる回転伝達軸27を設け、旋回台22を回転駆動する回転駆動手段29を備えるから、旋回台22に設けた回転中心軸23に沿って旋回枠24が昇降し、回転駆動手段29により旋回台22を回転し、この回転を回転伝達軸27により旋回枠24に伝達することにより、2基の回転ブラシ式ロータリ除雪装置2,2を備えた重量物である旋回枠24を、円滑に回転駆動することができる。
【0037】
また、このように本実施例では、請求項4に対応して、旋回枠24の前後に車両の左右一方及び他方で前後方向一側向きの回転ブラシ式ロータリ除雪装置2,2をそれぞれ設けたから、左右一方及び他方の除雪装置2,2により車両3の幅方向全体の除雪を行うことができるため、回転ブラシ6の幅寸法を抑えることができる。
【0038】
また、実施例上の効果として、回転ブラシ式ロータリ除雪装置2は、胴体の軸方向を水平状態で車両3の走行方向にほぼ直交させて周方向に回転自在に支承された回転ブラシ6と、該回転ブラシ6をその前側が下から上に動くように回転させるブラシ用回転駆動装置たるモータ9と、投雪筒11dを有するケーシング11a内に収められたブロア羽根11cの中心軸11bの軸方向を鉄道軌道用車両3のほぼ走行方向に向け、回転ブラシ6の後部においてフレーム5に支持されたブロア11と、該ブロア11のブロア羽根11cを回転させるブロア用回転駆動装置たる油圧モータ12と、回転ブラシ6で掻き上げられた雪をブロア11に導くブラシカバー16とを備えるから、軌道の付帯構造物を損傷せずに雪を残すことなく排除することができる。このため、残された雪によって引き起こされる各種床下機器の損傷、列車の遅延等を防止することができる。
【0039】
さらに、実施例上の効果として、回転中心軸23の上端と左右の台枠21,21とを門型の補強枠21Aにより支持したから、回転中心軸23を上下で支持し、旋回枠24の回転と昇降をスムーズに行うことができる。また、旋回台22にほぼ全ての装置が配置されているから、車両3への取り付けを簡便に行うことができる。
【実施例2】
【0040】
図10〜図12は、本発明の実施例2を示し、上記実施例1と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。この例では、前記旋回枠24の中心に、回転昇降体31を設けている。この回転昇降体31は、板状の上部32と下部33とを複数の縦杆34により連結して、前後に前記腕部24A,22Aを設け、これら腕部24A,22Aの先端に前記除雪装置2,2が設けられている。前記上部32と下部33の回転中心には前記スラスト軸受25A,25Aがそれぞれ設けられ、そのスラスト軸受25Aにより前記挿通孔25を構成している。
【0041】
前記車体4には固定受け座35が固設され、この固定受け座35に前記旋回台22が回転可能に設けられ、この旋回台22が回転駆動手段たるモータ29Aにより回転し、このモータ29Aの回転力がチェーンなどの回転伝達手段により旋回台22に伝達される。
【0042】
また、前記旋回台22と前記上部32との間に、昇降装置たる流体圧シリンダ36,36が複数設けられ、この例では2つの流体圧シリンダ36,36が前記回転中心軸23を挟んだ両側で除雪装置2の使用状態における車両3の左右に配置されており、それら流体圧シリンダ36,36は前記下部33の貫通孔33Aに遊挿されている。前記流体圧シリンダ36は、本体36Aと、この本体36Aに伸縮自在に設けた伸縮杆36Bとを備え、本体36Aの下端を枢軸37により旋回台22に連結し、その枢軸37を中心に流体圧シリンダ36は、前記回転中心軸23の中心を通る直径方向に回動可能に連結されている。また、伸縮杆36Bの上端は自在継手38により前記上部32に360度揺動可能に連結されている。尚、図11では、前記回転伝達軸27を図示省略している。
【0043】
前記下部33には、前記回転伝達軸27を挿通する回転伝達部たるスラスト軸受39を設け、前記上部には、前記回転伝達軸27が遊挿されている。また、図12に示すように、前記回転伝達軸27は前記流体圧シリンダ36と近接した位置に配置され、前記回転中心軸23を中心として回転伝達軸27と前記流体圧シリンダ36とは45度の範囲内に配置することが好ましい。
【0044】
また、前記回転中心軸23の上端を支持する支持構造41を備え、この支持構造41は、前記回転中心軸23の前後で除雪装置2,2に干渉しない位置に支柱42を設け、この支柱42は左右の台枠21,21にそれぞれ立設され、前後左右で隣り合う4本の支柱42,42,42,42の上部が連結横杆43,43,43,43により連結され、それら4本の支柱42,42,42,42の上部と前記回転中心軸23の上部とが平面斜め方向の連結横杆44,44,44,44により連結され、前記回転中心軸23の上部の軸受45を回転可能に設け、この回転リングに前記連結横杆44,44,44,44の先端が連結されている。
【0045】
このように本実施例では、回転駆動手段たるモータ29Aと、昇降装置たる流体圧シリンダ36とを備えるから、上記各実施例に対応して、同様な作用・効果を奏する。
【0046】
また、実施例上の効果として、昇降装置たる流体圧シリンダ36は、その一端である上端を旋回枠24に揺動可能に連結すると共に、その他端である下端を旋回台22に回動可能に連結されているから、回転中心軸23を挿通した回転昇降体31をスムーズに昇降駆動することができる。また、回転中心軸23の下部を旋回台22に固着し、回転中心軸23の上部を支持構造41により回転可能に支持したから、重量物である旋回枠24をスムーズに回転及び昇降することができる。
【0047】
尚、本発明は、本実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、実施例では、車両前後方向に対して回転ブラシの回転軸を直交した状態で使用する例を説明したが、回転ブラシの回転軸を車両前後方向に対して斜めにして使用してもよい。また、回転中心軸に旋回枠を固着し、回転中心軸を伸縮自在に設けて旋回枠を昇降し、回転中心軸と同体的に旋回枠を回転するようにしてもよい。さらに、実施例では、旋回台に回転中心軸の下端を固着したが、回転中心軸を車体に固定し、回転中心軸を中心に旋回台を回転可能に設けるようにしてもよい。また、昇降装置は流体圧シリンダに限らず、ジャッキ式や吊上げ式など各種タイプの装置を用いることができる。
【符号の説明】
【0048】
1 回転ブラシ式ロータリ除雪車
2 除雪装置
3 軌道用車両
5 フレーム
6 回転ブラシ
22 旋回台
23 回転中心軸
24 旋回枠
26 回転伝達孔(回転伝達部)
27 回転伝達軸(回転伝達部材)
28 昇降装置
29 回転駆動手段
29A モータ(回転駆動手段)
36 流体圧シリンダ(昇降装置)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転ブラシ式ロータリ除雪装置を備えた回転ブラシ式ロータリ除雪車において、鉄道軌道用車両に旋回枠を回転可能に設け、前記旋回枠を昇降駆動する昇降装置を設け、前記旋回枠の前後に前後方向一側向きの前記回転ブラシ式ロータリ除雪装置をそれぞれ設けたことを特徴とする回転ブラシ式ロータリ除雪車。
【請求項2】
前記旋回枠を昇降駆動する昇降装置を備えることを特徴とする請求項1記載の回転ブラシ式ロータリ除雪車。
【請求項3】
鉄道軌道用車両に旋回台を回転可能に設け、この旋回台に回転中心軸を設け、この回転中心軸に前記旋回枠を回転及び昇降可能に設け、前記昇降装置は前記旋回台に対して前記旋回枠を昇降し、前記旋回台の回転を前記旋回枠に伝達する回転伝達部材を設け、前記旋回台を回転駆動する回転駆動手段を備えることを特徴とする請求項2記載の回転ブラシ式ロータリ除雪車。
【請求項4】
前記旋回枠の前後に車両の左右一方及び他方で前後方向一側向きの前記回転ブラシ式ロータリ除雪装置をそれぞれ設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の回転ブラシ式ロータリ除雪車。
【請求項1】
回転ブラシ式ロータリ除雪装置を備えた回転ブラシ式ロータリ除雪車において、鉄道軌道用車両に旋回枠を回転可能に設け、前記旋回枠を昇降駆動する昇降装置を設け、前記旋回枠の前後に前後方向一側向きの前記回転ブラシ式ロータリ除雪装置をそれぞれ設けたことを特徴とする回転ブラシ式ロータリ除雪車。
【請求項2】
前記旋回枠を昇降駆動する昇降装置を備えることを特徴とする請求項1記載の回転ブラシ式ロータリ除雪車。
【請求項3】
鉄道軌道用車両に旋回台を回転可能に設け、この旋回台に回転中心軸を設け、この回転中心軸に前記旋回枠を回転及び昇降可能に設け、前記昇降装置は前記旋回台に対して前記旋回枠を昇降し、前記旋回台の回転を前記旋回枠に伝達する回転伝達部材を設け、前記旋回台を回転駆動する回転駆動手段を備えることを特徴とする請求項2記載の回転ブラシ式ロータリ除雪車。
【請求項4】
前記旋回枠の前後に車両の左右一方及び他方で前後方向一側向きの前記回転ブラシ式ロータリ除雪装置をそれぞれ設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の回転ブラシ式ロータリ除雪車。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−41701(P2012−41701A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−182584(P2010−182584)
【出願日】平成22年8月17日(2010.8.17)
【出願人】(503132257)新潟トランシス株式会社 (16)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月17日(2010.8.17)
【出願人】(503132257)新潟トランシス株式会社 (16)
【Fターム(参考)】
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