説明

回転マルチラッチリリース機構

【解決手段】容器および駆動部材を含む引き出しが開示される。容器はレセプタクルおよび蓋を含む。蓋は、レセプタクルへのアクセスを許可する開き位置とレセプタクルへのアクセスを制限する閉じ位置との間で移動する。容器はさらに、蓋と結合され、蓋が閉じ位置にあるとき蓋をレセプタクルに係止する留め具を含む。駆動部材は駆動部材の最長軸の周りでラジアル方向に動き、アクチュエータを含む。駆動部材が第1の向きに回転する場合、アクチュエータは留め具に対して第1の姿勢に置かれる。駆動部材が第1の向きとは逆の第2の向きに回転する場合、アクチュエータは留め具に対して第2の姿勢に置かれ、その結果アクチュエータは留め具を駆動し、蓋を開き位置へ移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に容器を制御可能な態様で保護するための装置および方法に関し、特にアクチュエータの回転運動によって容器の留め具を開放することに関する。
【背景技術】
【0002】
医療のコミュニティ、特に病院においては、集中領域またはステーションで薬剤を保管し、患者に薬剤を調剤して投与することが知られている。過去、これらのステーションは通常セキュリティ対策が施されておらず、権限のない者のアクセスを許していた。セキュリティ対策が施されておらず、かつ、制御されていないステーションに関していくつかのリスクが存在する。例えば、患者に対して間違ったタイプや量の薬が処方されたり(例えば、ステーションの間違った容器から薬が取得された場合)、薬が盗まれたり、薬が混ざったりすることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これらのリスクを指向しようとする安全型の薬剤頒布キャビネットは、多くの場合、薬剤容器をロックするための複雑な機構を含む。そのような複雑な機構により、薬剤を保管するためのキャビネット内スペースは小さくなり、かつ、キャビネットの製造コストは増大する。例えば、多くのキャビネットはキャビネット自身に取り付けられた複雑な機構およびモータを含む。それらの機構およびモータは引き出し内の区画へのアクセスを提供するために引き出しと連結されていなければならない。したがって、引き出しのためのキャビネット内スペースは小さくなり、同時に引き出しの利用に追加的な制限が課される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書で開示される、ある実施の形態に係る複数の引き出しは、それらの引き出しが収納されるキャビネットからは独立している。複数の引き出しのそれぞれは自身の駆動機構を含むからである。駆動機構は、引き出し内の容器へのアクセスを提供するラッチリリース機構を駆動するよう構成される。開示されるラッチ機構は、所与の容積内で効率的な多数のアイテムの保管および頒布を可能とする。
【0005】
本開示の所定の実施の形態によると、引き出しが提供される。引き出しは、少なくともひとつの容器および駆動部材を含む。少なくともひとつの容器はレセプタクルと蓋とを含み、蓋は、レセプタクルと結合され、かつ、レセプタクルへのアクセスを許可する開き位置とレセプタクルへのアクセスを制限する閉じ位置との間で移動するよう構成される。少なくともひとつの容器はさらに留め具を含み、留め具は蓋と結合され、かつ、蓋が閉じ位置にあるとき蓋をレセプタクルへ係止するよう構成される。駆動部材は、駆動部材の最長軸の周りでラジアル方向に動くよう構成され、駆動部材と結合されたアクチュエータを含む。駆動部材が第1の向きに回転するとき、アクチュエータは留め具に対して第1の姿勢に置かれる。駆動部材が第1の向きとは逆の第2の向きに回転するとき、アクチュエータは留め具に対して第2の姿勢に置かれ、その結果アクチュエータは留め具を駆動し、蓋を開き位置に移動させる。
【0006】
本開示のある実施の形態によると、キャビネットが提供される。キャビネットは複数の引き出しを含む。各引き出しは、少なくともひとつの容器および駆動部材を含む。各容器はレセプタクルと蓋とを含み、蓋は、レセプタクルと結合され、かつ、レセプタクルへのアクセスを許可する開き位置とレセプタクルへのアクセスを制限する閉じ位置との間で移動するよう構成される。各容器は留め具を含み、留め具は蓋と結合され、かつ、蓋が閉じ位置にあるとき蓋をレセプタクルへ係止するよう構成される。駆動部材は、駆動部材の最長軸の周りでラジアル方向に動くよう構成される。駆動部材は駆動部材と結合されたアクチュエータを含む。駆動部材が第1の向きに回転するとき、アクチュエータは留め具に対して第1の姿勢に置かれる。駆動部材が第1の向きとは逆の第2の向きに回転するとき、アクチュエータは留め具に対して第2の姿勢に置かれ、その結果アクチュエータは留め具を駆動し、蓋を開き位置に移動させる。
【0007】
本開示のある実施の形態によると、引き出しの容器にアクセスするための方法が提供される。この方法は、引き出しと結合された駆動部材を自身の最長軸の周りで第1の向きに回転させ、それによってアクチュエータを容器の留め具に対して第1の姿勢に置くことを含む。この方法は、駆動部材を第1の向きとは逆の第2の向きに回転させ、それによってアクチュエータを留め具に対して第2の姿勢に置くことを含む。この方法はさらに、駆動部材を第2の向きに継続的に回転させることによって留め具をアクチュエータで駆動し、それによって留め具を引き出しから離し、容器へのアクセスを提供することを含む。
【0008】
本開示の所定の実施の形態によると、引き出しが提供される。引き出しは、少なくとも3つの容器および駆動部材を含む。各容器はレセプタクル、蓋および留め具を含む。蓋は、レセプタクルと結合され、かつ、レセプタクルへのアクセスを許可する開き位置とレセプタクルへのアクセスを制限する閉じ位置との間で移動するよう構成される。留め具は蓋と結合され、かつ、蓋が閉じ位置にあるとき蓋をレセプタクルへ係止するよう構成される。駆動部材は、駆動部材の最長軸の周りでラジアル方向に動くよう構成され、かつ、最長軸に沿って第1アキシャル位置と第2アキシャル位置との間を横行するよう構成される。駆動部材は、駆動部材に第1ラジアルピッチで結合された第1アクチュエータと、駆動部材に第1ラジアルピッチとは異なるラジアルピッチで結合された第2アクチュエータと、駆動部材に結合された第3アクチュエータと、を含む。駆動部材が第1アキシャル位置にあり、かつ、第1の向きに回転する場合、第1アクチュエータは第1容器の留め具に対して第1の姿勢に置かれる。駆動部材が第1アキシャル位置にあり、かつ第1の向きとは逆の第2の向きに回転する場合、第1アクチュエータは第1容器の留め具に対して第2の姿勢に置かれ、その結果アクチュエータは留め具を駆動し、蓋を開き位置に移動させる。異なるラジアルピッチに基づいて、第2アクチュエータは、第1の姿勢および第2の姿勢とは異なる駆動部材の姿勢で、第2容器の留め具を駆動するよう構成される。第1アクチュエータおよび第2アクチュエータは、駆動部材が第1アキシャル位置にあるときのみ、駆動部材の回転に際して第1容器の留め具および第2容器の留め具を駆動するよう構成される。第3アクチュエータは、駆動部材が第2アキシャル位置にあるときのみ、駆動部材の回転に際して第3容器の留め具を駆動するよう構成される。
【0009】
本発明の追加的な特徴および利点は以下に説明されるであろうし、また部分的にはその説明から明らかであろうし、また本発明の実施により学習されるであろう。本発明の目的および他の利点は、本明細書で記載された説明、特許請求の範囲および添付の図面で指摘される構成によって実現および達成されるであろう。
【0010】
上述の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方は例示的で説明的なものであり、クレームされたものの実施の形態の議論のさらなる説明を提供するよう意図されていることは理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
添付の図面はさらなる理解を提供するために含められており、また本明細書に統合され本明細書の一部をなす。添付の図面は、開示の実施の形態を説明し、開示の実施の形態の原理を説明するのに役に立つ説明を有する。
【0012】
【図1】ある実施の形態に係る引き出しを示す図である。
【図2】ある実施の形態に係る、図1の引き出しを含むキャビネットを示す図である。
【図3】図1の引き出しの一部の、図1の矢印III−IIIの方向から見た側面図である。
【図4】図1の矢印IVの方向から見た、図1の引き出しの前面斜視図である。
【図5】図5A−5Dは、図1の矢印III−IIIの方向から見た側面図により、図1の引き出しの容器の蓋を開ける際の駆動ロッドの種々の段階を示す図である。
【図6A】図1の矢印VIA−VIAの方向から見た側面図により、図1の引き出しの駆動ロッドが第1アキシャル位置にある状態を示す図である。
【図6B】図1の矢印VIB−VIBの方向から見た側面図により、図1の引き出しの駆動ロッドが第2アキシャル位置にある状態を示す図である。
【図7】図1の矢印VIIの方向から見たときの図1の引き出しのモータの底面図である。
【図8】図8A−8Cは、図1の矢印VIIIの方向から見た図1の引き出しの前面斜視図により、蓋リリースレバーと引き出しの留め具インタフェースとを結合させることを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の詳細な説明では、本開示の十分な理解を提供するために、多くの特定の詳細が説明される。しかしながら、本開示の実施の形態はこれらの特定の詳細のうちのいくつかを備えることなく実施可能であることは、当業者には明らかであろう。他の例では、開示を分かりにくくしないために、よく知られた構成や技術は詳述されない。
【0014】
本明細書で開示される引き出しアセンブリの所定の実施の形態は引き出しを提供する。この引き出しでは、引き出しの容器を開けるよう構成された機械的アセンブリは引き出しと結合され、引き出しを含むキャビネットから独立している。その結果、引き出しの容器は、引き出しが収納されるキャビネット内のモータの使用を必要とすることなくアクセス可能に構成される。加えて、キャビネットの各引き出しは他の引き出しとは機械的に独立している。その結果、ひとつの引き出しの機械的アセンブリが壊れても、他の引き出しは機能し続ける。機械的アセンブリは、引き出し内の個々の容器へのアクセスを提供する上で特に有利である。そのような個々の容器へのアクセスの提供により、ユーザは、一度に、ひとつのアイテムタイプを含むひとつの容器にしかアクセスできないよう制限される(例えば、「シングルラインアイテム頒布(single line item dispensing)」)。この特徴は、病院や他の患者ケア環境において特に有用である。そのような環境では、医療従事者が正しくない薬剤にアクセスすることを防止することにより、患者の安全性を高めることができる。病院環境において提供される利点と同様の利点は、アイテムが高い価値を有することまたはアイテムが潜在的に不適切な用法を有することに起因してそのようなアイテムへの制御されたアクセスが提供されるような他のアプリケーションにおいても見出されうる。
【0015】
図1は、ある実施の形態に係る引き出し100を示す図である。引き出し100は、モータ120、駆動ロッド(または「駆動部材」)110、駆動ロッド110のためのハウジング102、および複数の容器132を含む。駆動ロッド110は少なくともひとつの駆動ピン112(または「アクチュエータ」)を含む。各容器132はレセプタクル(例えば、容器132の4つの壁および床)を含み、蓋108、リリースレバー104、および駆動レバー106を有する(リリースレバー104および駆動レバー106は合わせて「留め具」または「ラッチ機構」を形成する)。ある実施の形態では、引き出し100は(例えば引き出し100がキャビネットに収納されている場合、)プロセッサ116と接続される。プロセッサ116については後述する。蓋108の引き出し100とのカップリングは、蓋108を開き位置に向けてバイアスするバネ(不図示)を含む。しかしながら、蓋108は、蓋108の蓋リリースレバー104と引き出し100とのカップリングにより閉じ位置に維持される。
【0016】
駆動ロッド110の垂直方向の動きは、駆動ロッド110をハウジング102内に置くことによって少なくとも部分的に制限される。駆動ロッド110のラジアル方向の動きにより、駆動ロッド110の駆動ピン112は蓋駆動レバー106と接触するようになる。後に詳述されるように、駆動ピン112の回転およびそれとの接触により蓋駆動レバー106が駆動されると、蓋リリースレバー104が容器132の蓋108を解放することがトリガされる。このとき、蓋108は開き位置に開きバイアスされている。これにより、容器132へのアクセスが提供される。
【0017】
蓋リリースレバー104はバネまたは他のバイアス部材(図5Dでは504)と結合される。このバネまたは他のバイアス部材は、蓋リリースレバー104をバイアスし、その位置を駆動ロッド110の最長軸に実質的に直交する位置とする。同様に、蓋駆動レバー106はバネまたは他のバイアス部材(図5Dでは502)と結合される。このバネまたは他のバイアス部材は、蓋駆動レバー106をバイアスし、その位置を駆動ロッド110の最長軸と実質的に直交する位置とする。ある実施の形態では、バイアス部材502のねじり力は駆動ロッド110に関連するねじり力よりも大きい。その結果、バイアス部材502のねじり力よりも大きな力が蓋駆動レバー106に加えられない場合、蓋駆動レバー106は、駆動ロッド110の最長軸と実質的に直交する姿勢を維持する(例えば、図3に最も良く示されるように、駆動レバー106は実質的に垂直に維持される)。
【0018】
引き出し100の構成は単なる例示であり、本開示の範囲を逸脱することなく他の物理的な構成をとることも可能である。引き出し100はキャビネット200内で使用されるよう構成される。例えば、キャビネット200は任意の数の配置で複数の引き出し100を収納できる。例えばキャビネット200は図2に示されるように、本明細書で開示される6つの引き出し100および4つの種々のサイズの他の引き出しを含む。本開示の範囲を逸脱することなく他の引き出し構成をとることも可能である。
【0019】
図3は、図1の引き出し100の、図1の矢印III−IIIの方向から見た側面図である。駆動ロッド110は駆動ロッド110の最長軸109の周りでラジアル方向に動くよう構成され、駆動ロッド110に結合された少なくともひとつの駆動ピン112を備える。ある実施の形態では、図4に最も良く示されるように、駆動ロッド110は複数の駆動ピン112を含む。図4は、図1の矢印IVの方向から見た図1の引き出し100の正面図である。図示の通り、各駆動ピン112は、駆動ロッド110に異なるラジアルピッチで結合されている。複数の駆動ピン112のそれぞれは、関連する容器132の留め具104および106を、駆動ロッド110の異なるラジアル向きにおいて駆動するよう構成される。したがって、図示の実施の形態では、あるアクチュエータピン112がある容器(例えば、容器132)の留め具104および106を駆動するとき、別のアクチュエータピン112は別の容器(例えば、容器134)の留め具104および106を駆動しないであろう。他の実施の形態では、2以上のアクチュエータピン112は同じラジアルピッチで駆動ロッド110に結合されうる。この場合、2以上の所望の通りに関連する容器132を開くことができる。
【0020】
図5A−5Dは、図1の矢印III−IIIの方向から見た側面図により、図1の引き出し100の容器132の蓋108を開ける際の駆動ロッド110の種々の段階を示す図である。図5Aにおいて、駆動ロッド110は時計回り502に回転する。これにより、駆動ロッド110の駆動ピン112は蓋駆動レバー106と接触し、それを通過する。そして駆動ピン112は容器132に向けて移動する。その結果、蓋駆動レバー106はその軸の周りで反時計回りに動く。駆動ピン112が蓋駆動レバー106を半時計回りに動かしても、蓋リリースレバー104は実質的に動かない。図5Bに示されるように、駆動ロッド110の継続的な時計回りの動きにより駆動ピン112が蓋駆動レバー106の下を通過すると、蓋駆動レバー106は、関連するバネ(不図示)によって提供されるねじりにより、実質的に垂直な位置に戻る。
【0021】
図5Bに示されるような、駆動ロッド110の駆動ピン112が容器132により近い位置から、駆動ロッド110は反対の半時計回り504に回転する。これにより、駆動ロッド110の駆動ピン112は蓋駆動レバー106の反対側と接触し、容器132から離れた位置になる。これにより、図5Cに示されるように、蓋駆動レバー106はその軸の周りで時計回りに動く。駆動ピン112が蓋駆動レバー106を時計回りに動かすことにより、蓋リリースレバー104もまた蓋駆動レバー106と一緒にその軸の周りで時計回りに動く(これは例えば、蓋駆動レバー106の容器132に近い側から突出するタブが蓋リリースレバー104と接触することによる)。蓋リリースレバー104が時計回り504に動くことにより、蓋リリースレバー104が容器132の蓋108を解放することがトリガされる(これは例えば、図8A−8Cを参照して後述されるように、蓋リリースレバーを引き出しの留め具インタフェース802から離すことによる)。ここで、蓋108は開き位置へ開きバイアスされる。これにより、図5Dに示されるように、容器132へのアクセスが提供される。
【0022】
図6Aは、図1の矢印VIA−VIAの方向から見た側面図により、図1の引き出し100の駆動ロッド110が第1アキシャル位置にある状態を示す図である。図6Bは、図1の矢印VIB−VIBの方向から見た側面図により、図1の引き出し100の駆動ロッド110が第2アキシャル位置にある状態を示す図である。駆動ロッド110は、(図7に示されるような)ソレノイド702によって、最長軸109に沿って第1アキシャル位置と第2アキシャル位置との間を横行するよう構成される。図6Aに示されるように、駆動ロッド110が第1アキシャル位置にあるとき、関連する駆動ピン112aから112hの第1組は、上述の通り駆動ロッド110の適切なラジアル位置で対応する蓋駆動レバー106と接触するように、最長軸109に沿って配置される。駆動ロッド110が第1アキシャル位置にあるとき、第2組(例えば、アクチュエータピン112i−112n)のアクチュエータピンは対応する蓋駆動レバー106と接触しないよう構成される。同様に、図6Bに示されるように、駆動ロッド110が第2アキシャル位置にあるとき、関連する駆動ピンの第1組(例えば、駆動ピン112a−112h)は、駆動ロッド110のどのようなラジアル位置においても、対応する蓋駆動レバー106と接触しないよう構成される。駆動ロッド110が第2アキシャル位置にあるとき、第2組のアクチュエータピン112iから112nは、駆動ロッド110の適切なラジアル位置で対応する蓋駆動レバー106と接触するよう構成される。この特徴により、アクチュエータピン112のある組に関連する容器の組への選択的なアクセスが、アクチュエータピン112の別の組に関連する容器へのアクセスに影響を与えることなしに、可能となる。各組のアクチュエータピン112の数は、各組のアクチュエータピンのラジアル配置や駆動ピン112によって駆動されるよう構成された容器132の数に少なくとも部分的に基づいて、変わりうる。アクチュエータピン112の組の数および対応する駆動ロッド110のアキシャル位置の数は、駆動ロッド110の長さや引き出しの容器132のサイズや蓋リリースレバー104および蓋駆動レバー106の位置に少なくとも部分的に基づいて、変わりうる。
【0023】
図7は、図1の矢印VIIの方向から見たときの図1の引き出し100のモータ120の底面図である。モータ120はモータ歯車122と結合され、モータ歯車122は駆動ロッド110のロッド歯車114と結合される。上述のように、モータ120によるモータ歯車122の回転運動はロッド歯車114のラジアル方向の運動に変換され、そのロッド歯車114の運動により駆動ロッド110は回転する。
【0024】
引き出し100は、上述のように駆動ロッド110をアキシャル位置の間で動かすよう構成されたソレノイド702を含む。ある実施の形態では、駆動ロッド110をアキシャル位置の間で動かすよう構成された別のタイプのアクチュエータを設けてもよい。上述のように、駆動ロッド110を適切に回転させることにより、駆動ロッド110の駆動ピン112は複数の容器132のうちのひとつの蓋108の蓋駆動レバー106を駆動することができ、それにより、複数の容器132のうちのひとつへのアクセスが提供される。
【0025】
モータ120は図1を参照して言及されたプロセッサ116によって制御されうる。特に、モータ120はコンピュータシステム116と電気的に結合される。コンピュータシステム116は、モータ120の駆動を制御するインストラクションを処理するよう構成されたプロセッサと、モータ120と通信しモータ120を制御するための適切な回路と、を含む。薬剤キャビネット200の内容物の追跡に加えて、コンピュータシステム116は、バーコードスキャナや指紋リーダや他の形態のID入力デバイスなどを使用してユーザを認証することにより、薬剤キャビネットへのアクセスを制御するよう構成される。モータ120はユーザの適切な認証に応答して駆動されてもよい。
【0026】
図8A−8Cは、図1の矢印VIIIの方向から見た図1の引き出し100の前面斜視図により、蓋リリースレバー104と引き出し100の留め具インタフェース802とを結合させることを示す図である。この場合、容器132の蓋108は閉じた状態のままとされる。特に、図8Aに示されるように蓋108の蓋リリースレバー104が引き出し100の留め具インタフェース802と接触すると、留め具インタフェース802の傾斜面により、図8Bに示されるように蓋リリースレバー104は外向き804に動く。駆動レバー106は実質的に同じ位置に留まる。図8Cに示されるように、蓋リリースレバー104が留め具インタフェース802の傾斜面を通過すると、蓋リリースレバー104は留め具インタフェース802と結合し、容器132の蓋108は閉じた状態とされる。
【0027】
本開示の実施の形態は、引き出しのアクセス制限された容器へのアクセスを提供する低コストなラッチリリース機構を提供する。リリース機構は、引き出しを収容するキャビネット内の限られたスペースをより効率的に使用することができ、これにより、キャビネットから頒布されるアイテムを保持するためのスペースをより多くとることができる。
【0028】
本発明の所定の態様および実施の形態が説明されたが、これらは例示のみを目的として示されたものであって本発明の範囲を制限することを意図するものではない。むしろ、本明細書で説明された新規な方法およびシステムは、その精神から逸脱することなく、種々の他の形態で実現されうる。添付の特許請求の範囲およびその均等物は、本発明の範囲および精神に入るであろうそのような形態または変形例をもカバーするよう意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともひとつの容器を備える引き出しであって、
前記少なくともひとつの容器はレセプタクルと蓋と留め具と駆動部材とを含み、
前記蓋は、前記レセプタクルと結合され、かつ、前記レセプタクルへのアクセスを許可する開き位置と前記レセプタクルへのアクセスを制限する閉じ位置との間で移動するよう構成され、
前記留め具は、前記蓋と結合され、かつ、前記蓋が前記閉じ位置にあるとき前記蓋を前記レセプタクルへ係止するよう構成され、
前記駆動部材は、前記駆動部材の最長軸の周りでラジアル方向に動くよう構成され、前記駆動部材は前記駆動部材と結合されたアクチュエータを含み、
前記駆動部材が第1の向きに回転するとき、前記アクチュエータは前記留め具に対して第1の姿勢に置かれ、
前記駆動部材が前記第1の向きとは逆の第2の向きに回転するとき、前記アクチュエータは前記留め具に対して第2の姿勢に置かれ、その結果前記アクチュエータは前記留め具を駆動し、前記蓋を前記開き位置に移動させる、引き出し。
【請求項2】
別の容器をさらに備え、
前記別の容器は、レセプタクルと蓋と留め具とを含み、
前記蓋は、前記レセプタクルと結合され、かつ、前記レセプタクルへのアクセスを許可する開き位置と前記レセプタクルへのアクセスを制限する閉じ位置との間で移動するよう構成され、
前記留め具は、前記蓋と結合され、かつ、前記蓋が前記閉じ位置にあるとき前記蓋を前記レセプタクルへ係止するよう構成され、
前記駆動部材は第2アクチュエータをさらに備え、
前記駆動部材は前記最長軸に沿って第1アキシャル位置と第2アキシャル位置との間を横行するよう構成され、
前記第1アクチュエータは、前記駆動部材が前記第1アキシャル位置にあるときのみ、前記駆動部材の回転に際して前記少なくともひとつの容器の前記留め具を駆動するよう構成され、
前記第2アクチュエータは、前記駆動部材が前記第2アキシャル位置にあるときのみ、前記駆動部材の回転に際して前記別の容器の前記留め具を駆動するよう構成される、請求項1に記載の引き出し。
【請求項3】
別の容器をさらに備え、
前記別の容器は、レセプタクルと蓋と留め具とを含み、
前記蓋は、前記レセプタクルと結合され、前記レセプタクルへのアクセスを許可する開き位置と前記レセプタクルへのアクセスを制限する閉じ位置との間で移動し、
前記留め具は、前記蓋と結合され、かつ、前記蓋が前記閉じ位置にあるとき前記蓋を前記レセプタクルへ係止するよう構成され、
前記駆動部材はさらに、前記駆動部材に異なるラジアルピッチで結合された第2アクチュエータをさらに備え、
異なるラジアルピッチに基づいて、前記第2アクチュエータは、前記第1の姿勢および前記第2の姿勢とは異なる前記駆動部材の姿勢で、前記別の容器の前記留め具を駆動するよう構成される、請求項1に記載の引き出し。
【請求項4】
前記駆動部材に異なるラジアルピッチで結合された複数のアクチュエータをさらに備え、
前記複数のアクチュエータのそれぞれは、前記駆動部材の異なる姿勢において関連する容器の留め具を駆動するよう構成される、請求項3に記載の引き出し。
【請求項5】
前記留め具は、前記駆動部材に関連するねじり強さよりも大きな第1ねじり強さを有するバイアス部材を含む、請求項1に記載の引き出し。
【請求項6】
前記バイアス部材は、前記留め具を前記駆動部材の最長軸に実質的に直交するよう配置するよう構成される、請求項5に記載の引き出し。
【請求項7】
前記駆動部材の第1端は歯車を含み、
前記歯車は前記駆動部材を最長軸の周りでラジアル方向に動かすよう構成される、請求項1に記載の引き出し。
【請求項8】
前記少なくともひとつの引き出しはモータを備え、
前記モータは前記歯車と結合され、かつ、前記歯車を駆動するよう構成され、それにより前記駆動部材を最長軸の周りでラジアル方向に動かす、請求項7に記載の引き出し。
【請求項9】
複数の引き出しを備えるキャビネットであって、各引き出しは少なくともひとつの容器を含み、
前記少なくともひとつの容器はレセプタクルと蓋と留め具と駆動部材とを含み、
前記蓋は、前記レセプタクルと結合され、かつ、前記レセプタクルへのアクセスを許可する開き位置と前記レセプタクルへのアクセスを制限する閉じ位置との間で移動するよう構成され、
前記留め具は、前記蓋と結合され、かつ、前記蓋が前記閉じ位置にあるとき前記蓋を前記レセプタクルへ係止するよう構成され、
前記駆動部材は、前記駆動部材の最長軸の周りでラジアル方向に動くよう構成され、前記駆動部材は前記駆動部材と結合されたアクチュエータを含み、
前記駆動部材が第1の向きに回転するとき、前記アクチュエータは前記留め具に対して第1の姿勢に置かれ、
前記駆動部材が前記第1の向きとは逆の第2の向きに回転するとき、前記アクチュエータは前記留め具に対して第2の姿勢に置かれ、その結果前記アクチュエータは前記留め具を駆動し、前記蓋を前記開き位置に移動させる、キャビネット。
【請求項10】
引き出しの容器にアクセスする方法であって、
前記引き出しと結合された駆動部材を自身の最長軸の周りで第1の向きに回転させ、それによってアクチュエータを前記容器の留め具に対して第1の姿勢に置くことと、
前記駆動部材を前記第1の向きとは逆の第2の向きに回転させ、それによって前記アクチュエータを前記留め具に対して第2の姿勢に置くことと、
前記駆動部材を前記第2の向きに継続的に回転させることによって前記留め具を前記アクチュエータで駆動し、それによって前記留め具を前記引き出しから離し、前記容器へのアクセスを提供することと、を含む方法。
【請求項11】
前記留め具を前記アクチュエータで駆動することは、前記引き出しの別の容器へのアクセスを制限したままで前記容器へのアクセスを提供する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記引き出しと結合された前記駆動部材を前記最長軸の周りで前記第1の向きに回転させ、それによって第2アクチュエータを別の容器の留め具に対して前記第1の姿勢に置くことと、
前記駆動部材を前記第2の向きに回転させ、それによって前記第2アクチュエータを前記別の容器の前記留め具に対して前記第2の姿勢に置くことと、
前記駆動部材を前記第2の向きに継続的に回転させることによって前記別の容器の前記留め具を前記第2アクチュエータで駆動し、それによって前記第2留め具を前記引き出しから離し、前記別の容器へのアクセスを提供することと、をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記駆動部材を前記最長軸に沿って第1アキシャル位置から第2アキシャル位置へ動かすことと、
前記引き出しと結合された前記駆動部材を前記最長軸の周りで前記第1の向きに回転させ、それによって第2アクチュエータを別の容器の留め具に対して前記第1の姿勢に置き、かつ、前記アクチュエータを前記容器の前記留め具に対して別の姿勢に置くことと、を含み、
前記別の姿勢は前記容器の前記留め具の駆動を避けるよう構成され、
本方法はさらに、
前記駆動部材を前記第2の向きに回転させ、それによって前記第2アクチュエータを前記別の容器の前記留め具に対して前記第2の姿勢に置くことと、
前記駆動部材を前記第2の向きに継続的に回転させることによって前記別の容器の前記留め具を前記第2アクチュエータで駆動し、それによって前記第2留め具を前記引き出しから離し、前記別の容器へのアクセスを提供することと、をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記第1アクチュエータは、前記駆動部材が前記第1アキシャル位置にあるときのみ、前記少なくともひとつの容器の前記留め具を駆動するよう構成され、前記第2アクチュエータは、前記駆動部材が前記第2アキシャル位置にあるときのみ、前記別の容器の前記留め具を駆動するよう構成される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも3つの容器を備える引き出しであって、
各容器はレセプタクルと蓋と留め具と駆動部材とを含み、
前記蓋は、前記レセプタクルと結合され、かつ、前記レセプタクルへのアクセスを許可する開き位置と前記レセプタクルへのアクセスを制限する閉じ位置との間で移動するよう構成され、
前記留め具は、前記蓋と結合され、かつ、前記蓋が前記閉じ位置にあるとき前記蓋を前記レセプタクルへ係止するよう構成され、
前記駆動部材は、前記駆動部材の最長軸の周りでラジアル方向に動くよう構成され、かつ、前記最長軸に沿って第1アキシャル位置と第2アキシャル位置との間を横行するよう構成され、
前記駆動部材は、
前記駆動部材に第1ラジアルピッチで結合された第1アクチュエータと、
前記駆動部材に前記第1ラジアルピッチとは異なるラジアルピッチで結合された第2アクチュエータと、
前記駆動部材に結合された第3アクチュエータと、を含み、
前記駆動部材が前記第1アキシャル位置にあり、かつ、第1の向きに回転する場合、前記第1アクチュエータは前記第1容器の前記留め具に対して第1の姿勢に置かれ、
前記駆動部材が前記第1アキシャル位置にあり、かつ前記第1の向きとは逆の第2の向きに回転する場合、前記第1アクチュエータは前記第1容器の前記留め具に対して第2の姿勢に置かれ、その結果前記アクチュエータは前記留め具を駆動し、前記蓋を前記開き位置に移動させ、
異なるラジアルピッチに基づいて、前記第2アクチュエータは、前記第1の姿勢および前記第2の姿勢とは異なる前記駆動部材の姿勢で、前記第2容器の前記留め具を駆動するよう構成され、
前記第1アクチュエータおよび前記第2アクチュエータは、前記駆動部材が前記第1アキシャル位置にあるときのみ、前記駆動部材の回転に際して前記第1容器の前記留め具および前記第2容器の前記留め具を駆動するよう構成され、
前記第3アクチュエータは、前記駆動部材が前記第2アキシャル位置にあるときのみ、前記駆動部材の回転に際して前記第3容器の前記留め具を駆動するよう構成される、引き出し。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【公表番号】特表2012−533699(P2012−533699A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521686(P2012−521686)
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/042178
【国際公開番号】WO2011/011264
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(505403186)ケアフュージョン 303、インコーポレイテッド (69)
【Fターム(参考)】