説明

回転ロータ、掃除機用床吸込具、電気掃除機及び空気調和機

【課題】組み立て性、耐久性、塵埃の掻き取り性能の優れた回転ロータを提供する。
【解決手段】外周長手方向に支持溝23を少なくとも1条有するロータ21と、塵埃を掻き取る清掃体22とを備え、清掃体22を、略帯状で基材24aとそれに植設された繊維24bからなる起毛布24と、起毛布24の両側端に固着された基部25とで構成し、起毛布24を基材24aを内側にして略中央で折り曲げ、両基部25を支持溝23に装着して、清掃体22の径方向の端部22aをループ状に形成したもので、起毛布24の基材24aとロータ21との間に形成される空間部26により、起毛布24が容易に撓むので、清掃時に、起毛布24に強い圧縮力が加わっても、回転ロータ20が停止したりすることが無く、また、連続的に配された起毛布24の繊維24bが外方に突出しているので、均一に清掃すると共に、ほつれ難くしかも塵埃の掻き取り性能に優れている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転しながら塵埃を除去する回転ロータと、それを用いた掃除機用床吸込具、電気掃除機及び空気調和機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の回転ロータとして、空気調和機に搭載され、ロータとそのロータの外周長手方向に植毛されたブラシ状の清掃体からなり、空気調和機に内蔵されたエアフィルターの表面に付着した塵埃を、前記清掃体で矯正的に除去するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図12は、上記特許文献1に記載された従来の回転ロータを搭載した空気調和機の縦断面図、図13は、同回転ロータの斜視図である。
【0004】
図12において、空気調和機本体1内には、熱交換器2と、室内の空気を取り入れる吸込口3と、前記熱交換器2と前記吸込口3の間に設けられたベルト状のエアフィルター4と、このエアフィルター4を張設した駆動軸6および従動軸7と、前記駆動軸6を回転駆動するサーボモーター5と、前記エアフィルター4で捕集された塵埃を除去する回転ロータ8と、前記回転ロータ8を回転駆動する駆動手段(図示せず)と、前記吸込口3と連通すると共に前記回転ロータ8を内設し排出口9を有する排気管10と、前記排気管10内に設けられた塵埃排出用ファン11と、前記吸込口3から室内の空気を吸引し、熱交換器2を通して吹き出し口12から、熱交換された空気を室内に吹き出すファン13とを備えている。
【0005】
回転ロータ8は、図13に示すように、樹脂からなる回転自在のロータ8aと、前記ロータ8aの外周の長手方向に直線状に植設されたブラシ状の清掃体8bから構成されている。
【0006】
上記構成による従来の回転ロータと空気調和機の動作、作用は以下の通りである。
【0007】
空気調和機本体1を、例えば、冷房運転すると、ファン13により室内の空気が吸込口3から流入し、エアフィルター4を通って熱交換器2に至り、そこで冷却され、冷たい空気が吹き出し口12から室内に吹き出される。吸引される室内の空気に含まれる塵埃は、前記エアフィルター4で捕集され、フィルター4の表面に堆積する。エアフィルター4の表面に塵埃が堆積してくると、空気の通気圧損が増加し、熱交換効率が低下してくるので、定期的に或いは、必要に応じて、エアフィルター4上の塵埃の除去運転が必要となる。
【0008】
塵埃の除去運転は、サーボモーター5を運転して駆動軸6を回転させてベルト状のフィルター4を連続的に移動させ、その間に回転ロータ8を回転させると共に塵埃排出用ファン11を運転するもので、エアフィルター4上の塵埃が、回転ロータ8の清掃体8bで掻き取られ、掻き取られた塵埃は、塵埃排出用ファン11により吸引され、排出口9より室外に排出されるようになっている。
【0009】
しかしながら、上記特許文献1に開示された回転ロータ8は、樹脂などからなるロータ8aに清掃体8bを植毛して構成しているため、製造コストが高く、しかも清掃体8bが連続的に形成されていないので、清掃が均一にできないという課題があった。
【0010】
この問題を解決するものとして、使用用途は、電気掃除機用であるが、図14に示すように、回転ロータ15を、円筒上のロータ15aと、前記ロータ15aの外周面に巻き付けられた起毛布15bで構成したものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0011】
また、図15に示すように、回転ロータ16を、外周長手方向に螺旋状の複数の支持溝17aを有するロータ17と、清掃体18で構成し、前記清掃体18を、長尺の繊維束を、蛇行状に折曲して形成された所定幅の帯板状体18aと、帯板状体18aの長手方向両縁部に固着された紐状の取付用部材18bからなり、清掃体18をその幅方向の中央付近で折り返して、両端のそれぞれの取付用部材18bを、ロータ17に設けた支持溝17aに挿入固定して、清掃体18の自由端19をループ状にしたものがある(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平6−74521号公報
【特許文献2】特開平8−56875号公報
【特許文献3】特開2002−00517号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記特許文献2に記載された回転ロータ15は、円筒上のロータ15aの外周面全体が起毛布15bで覆われているので、起毛布15bの先端部分が連続的に被掃除面に接触して、均一な清掃が可能であるが、起毛布15bが全幅に渡って、被掃除面に同時に接触するため起毛布15bと被掃除面との間の摺動抵抗が大きくなるため、この回転ロータ15をモータ等で回転させて、塵埃を効率よく除去しようとした場合、掃除中に回転ロータ15の回転が止まったり、モータに過負荷が加わりモータを焼損するなどの課題があった。なお、起毛布15bを構成する繊維を長めにしたり、細くするなどして、繊維の毛腰を弱くすれば、起毛布15bと被掃除面との間の摺動抵抗を小さくすることはできるが、それでは被掃除面上の塵埃の掻き出し性能が低下し、実用的ではない。
【0013】
また、上記特許文献3に記載された回転ロータは、その清掃体18の中央部が折り曲げられ、その自由端19がループ状になって自由に撓むことができるので、被掃除面の清掃時に、清掃体18に無理な力が加わっても、回転ロータが停止したり、それを回転駆動するモータに過負荷が加わることが無く、また、繊維が連続的に配されているので、被掃除面を均一に清掃することができる。しかしながら、清掃体18の帯板状体18aは、長尺の繊維束を蛇行状に折曲して形成されたものであるため、被掃除面の表面を磨く効果はあっても、本来の塵埃を掻き出す効果、すなわち、拭取り性能が劣り、また、自由端19のループ部の繊維束が被掃除面との摩擦により、ほつれて繊維がちぎれてループ状部が開放したり、清掃体18の取付用部材18bを、ロータ17に設けた支持溝17aに挿入する際に、繊維束が支持溝17aに引っ掛かり、ずれてしまったり、切れて、そこからほつれてしまうなど組み立て性が非常に悪いという課題があった。
【0014】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、組み立て性、耐久性にすぐれ且つ塵埃の掻き取り性能の優れた回転ロータ、掃除機用床吸込具、電気掃除機及び空気調和機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記従来の課題を解決するために、本発明の回転ロータは、機器に回転自在に取着されると共に外周長手方向に少なくとも1条の支持溝を有するロータと、被掃除面の塵埃を掻き取る清掃体とを備え、前記清掃体を、略帯状で基材とその基材に植設された繊維からなる起毛布と、前記起毛布の長手方向の両側端に固着された基部とで構成し、前記起毛布を前記基材を内側にして略中央で折り曲げ、前記両側端の基部を前記支持溝に装着して、前記清掃体の径方向の端部をループ状に形成したもので、起毛布の中央部が折り曲げられて形成された端部がループ状になっているので、起毛布の基材とロータとの間に空間部が形成され、その空間部により起毛布が容易に撓むことができるので、被掃除面の清掃時に、起毛布に強い圧縮力が加わっても、回転ロータが停止したり、それを回転駆動するモータに過負荷が加わることが無く、また、起毛布の繊維が連続的に配され、さらに起毛布の繊維が外方に突出しているので、被掃除面を均一に清掃すると共に、ほつれ難くしかも塵埃の掻き取り性能にも優れている。また、起毛布が帯状になっているので、ロータに設けた支持溝に基部を装着する際に、起毛布が支持溝に引っ掛かったり、千切れたり、ずれたりすることがないので、組み立てが容易である。
【0016】
また、本発明の掃除機用床吸込具は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の回転ロータを回転自在に設けたもので、掃除性能、耐久性に優れた掃除機用床吸込具を提供することができる。
【0017】
また、本発明の電気掃除機は、電動送風機と、請求項6に記載の掃除機用床吸込具とを備え、前記電動送風機と前記掃除機用床吸込具とを連通させたもので、掃除性能、耐久性に優れた電気掃除機を提供することができる。
【0018】
また、本発明の空気調和機は、空気を熱交換する熱交換器と、前記熱交換器の上流側に配され流入する空気中に含まれる塵埃を捕獲するエアフィルターと、請求項1〜5のいずれか1項に記載の回転ロータとを備え、前記回転ロータで前記エアフィルターで捕獲された塵埃を除去するようにしたもので、エアフィルターの掃除性能に優れ、また、回転ロータの回転時に、エアフィルターに無理な力が加わることのない、耐久性に優れた空気調和機を提供することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の回転ロータ、掃除機用床吸込具、電気掃除機及び空気調和機は、組み立て性、耐久性にすぐれ且つ塵埃の掻き取り性能に優れたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
第1の発明は、機器に回転自在に取着されると共に外周長手方向に少なくとも1条の支持溝を有するロータと、被掃除面の塵埃を掻き取る清掃体とを備え、前記清掃体を、略帯状で基材とその基材に植設された繊維からなる起毛布と、前記起毛布の長手方向の両側端に固着された基部とで構成し、前記起毛布を前記基材を内側にして略中央で折り曲げ、前記両側端の基部を前記支持溝に装着して、前記清掃体の径方向の端部をループ状に形成したもので、起毛布の中央部が折り曲げられて形成された端部がループ状になっているので、起毛布の基材とロータとの間に空間部が形成され、その空間部により起毛布が容易に撓むことができ、被掃除面の清掃時に、起毛布に強い圧縮力が加わっても、回転ロータが停止したり、それを回転駆動するモータに過負荷が加わることが無く、また、起毛布の繊維が連続的に配され、さらに起毛布の繊維が外方に突出しているので、被掃除面を均一に清掃すると共に、ほつれ難くしかも塵埃の掻き取り性能にも優れている。また、起毛布が帯状になっているので、ロータに設けた支持溝に基部を装着する際に、起毛布が支持溝に引っ掛かったり、千切れたり、ずれたりすることがないので、組み立てが容易である。
【0021】
第2の発明は、特に、第1の発明のロータに少なくとも2条の支持溝を設け、前記支持溝の一つに、隣り合う二つの清掃体の基部を装着するようにしたもので、隣り合う二つの清掃体間に隙間が発生しないので、清掃体による清掃効果が大きく、また一つの支持溝で、隣り合う二つの清掃体の基部を装着するので、支持溝の数を減ずることができ、余分な支持溝を設けることによるロータの強度の低下を防ぐと共に、組み立て工数も削減できる。
【0022】
第3の発明は、特に、第1又は第2の発明の起毛布の基材の長手方向に、ロータ側に突出する受けリブを一体又は一体的に延設したもので、清掃時に、起毛布に強い圧縮力が働いても、受けリブの先端がロータに当接し、撓んでその圧縮力を吸収すると共に、起毛布が凹んだままになるなどの永久変形を防止することができる。
【0023】
第4の発明は、特に、第3の発明のロータの外周長手方向に保持溝を形成し、受けリブの先端を、前記保持溝で保持するようにしたもので、清掃時に、起毛布に強い圧縮力が働いた時、受けリブが大きく撓んで、その受けリブが元に位置に戻らなくなるのを防止し、長期間に渡って、起毛布の撓み性能を維持することができる。
【0024】
第5の発明は、特に、第1又は第2の発明のロータの外周長手方向に保持溝を形成し、前記保持溝に、先端が起毛布の基材に当接する受けリブを装着したもので、清掃時に、起毛布に強い圧縮力が働いても、受けリブの先端が起毛布の基材に当接し、撓んでその圧縮力を吸収すると共に、起毛布が凹んだままになるなどの永久変形を防止することができる。
【0025】
第6の発明は、掃除機用床吸込具に請求項1〜5のいずれか1項に記載の回転ロータを回転自在に設けたもので、掃除性能、耐久性に優れた掃除機用床吸込具を提供することができる。
【0026】
第7の発明は、電気掃除機に、電動送風機と、請求項6に記載の掃除機用床吸込具とを備え、前記電動送風機と前記掃除機用床吸込具とを連通させたもので、掃除性能、耐久性に優れた電気掃除機を提供することができる。
【0027】
第8の発明は、空気調和機に、空気を熱交換する熱交換器と、前記熱交換器の上流側に配され流入する空気中に含まれる塵埃を捕獲するエアフィルターと、請求項1〜5のいずれか1項に記載の回転ロータとを備え、前記回転ロータで前記エアフィルターで捕獲された塵埃を除去するようにしたもので、エアフィルターの掃除性能に優れ、また、回転ロータの回転時に、エアフィルターに無理な力が加わることのない、耐久性に優れた空気調和機を提供することができる。
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施例によって本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0028】
図1(a)は、本発明の第1の実施例における回転ロータの斜視図、(b)は、同回転ロータのロータの斜視図、(c)は、同回転ロータの清掃体の斜視図である。
【0029】
図1において、本実施例における回転ロータ20は、アルミニュームやその合金などの金属材料で棒状に形成され、電気掃除機用床用吸込具や空気調和機などの機器(図示せず)に回転自在に取着されるロータ21と、ロータ21に着脱自在に装着されると共に被掃除面(図示せず)上の塵埃を掻き取る清掃体22から構成されている。ロータ21の外周長手方向には、直線状に一対の支持溝23が形成され、その支持溝23の断面形状は、図1に示すようにロータ21の全長に渡って、略いちょう型で、ロータ21の外周に形成される開口21aが内部より狭くなるように形成されている。
【0030】
清掃体22は、略帯状で基材24aとその基材24aに植設されたポリエステルやナイロンなどの極細の繊維24bからなる起毛布24と、前記起毛布24の長手方向の両側端に固着されると共に支持溝23に着脱自在に装着される基部25とで構成されている。
【0031】
本実施例では、図に示すように、2個の支持溝23に、2個の清掃体22の基部25を装着している。具体的な回転ロータ20の組み立ては、2個の起毛布24のそれぞれを基材24aを内側にして略中央で折り曲げ、2個の清掃体22のそれぞれの一方の基部25を一緒にして、一方の支持溝23に装着し、2個の清掃体22のそれぞれの他方の基部25も同様に一緒にして、他方の支持溝23に装着するようにして行われる。これにより、清掃体22の径方向での端部22aの断面形状がループ状になり、起毛布24の基材24aとロータ21の表面との間に空間部26が形成される。
【0032】
以上のように、本実施例によれば、起毛布24の中央部が折り曲げられて形成された端部22aがループ状になって、起毛布24の基材24aとロータ21との間に空間部26が形成され、その空間部26により起毛布24が容易に撓むことができるので、被掃除面の清掃時に、清掃体22の起毛布24に強い圧縮力が加わっても、回転ロータ20が停止したり、それを回転駆動するモータ(図示せず)に過負荷が加わることが無く、また、起毛布24の繊維24bが連続的に配され、さらに起毛布24の繊維24bが外方に突出しているので、被掃除面を均一に清掃すると共に、ほつれ難くしかも塵埃の掻き取り性能が向上するものである。また、清掃体22の起毛布24が帯状になっているので、ロータ21に装着する際に、清掃体22が支持溝23に引っ掛かったり、千切れたり、ずれたりすることがないので、組み立てが容易である。
【0033】
また、支持溝23の一つに、隣り合う二つの清掃体22の基部25を装着するようにしたので、隣り合う二つの清掃体22間に隙間が発生せず、清掃体22による清掃効果が大きく、また一つの支持溝23で、隣り合う二つの清掃体22の基部25を装着するので、支持溝23の数を減ずることができ、余分な支持溝23を設けることによるロータ21の強度の低下を防ぐと共に、組み立て工数も削減できるものである。
【0034】
なお、上記実施例では、2個の支持溝23で2個の清掃体22を保持するようにしたが、図2(a)に示すように、一対の支持溝23で、1個の清掃体22のみ支持するようにしても良い。さらには、図2(b)に示すように、ロータ21に支持溝23を1条のみ設け、その支持溝23に、1枚の起毛布24の両側端に固着された2個の基部25を一緒に、前記1条の支持溝23に装着するようにしてもよい。いずれの場合も、ロータ21の表面と起毛布24の基材24aとの間に所定の空間部26が確保できるように、起毛布24の幅寸法を決定するようにする。以上のように、図2に示されるような構成によれば、起毛布24が1枚で済むので、回転ロータ20を安価に形成することができる。
【0035】
さらには、図3に示すように、ロータ21の外周に均等に設けた3個の支持溝23で、3個の清掃体22を支持するようにしても良い。支持溝23と清掃体22の数を増やすと組み立て工数が増えるが、それらの数が増えることにより、隣り合う2つの清掃体22の端部22a間の距離が小さくなるので、回転ロータ20の回転時に被掃除面に加わる衝撃が小さくなり、低騒音化を図ることができる。
【実施例2】
【0036】
図4は、本発明の第2の実施例における回転ロータの斜視図である。なお、上記第1の実施例と同一部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0037】
本実施例は、図4に示すように、起毛布24の基材24aの長手方向に、ロータ21側に突出する受けリブ27を一体又は一体的に延設したもので、これにより、回転ロータ20を回転させて被掃除面を清掃している時に、起毛布24に強い圧縮力が働いても、受けリブ27がロータ21に当接し、撓んでその圧縮力を吸収すると共に、起毛布24が凹んだままになるなどの永久変形を確実に防止することができる。
【実施例3】
【0038】
図5(a)は、本発明の第3の実施例における回転ロータの斜視図、(b)は、受けリブの動作を示す同回転ロータの斜視図である。なお、上記実施例と同一部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0039】
本発明は、図5に示すように、起毛布24の基材24aの長手方向に、ロータ21側に突出する受けリブ28を一体又は一体的に延設すると共に、ロータ21の長手方向で、且つ隣り合う支持溝23間に受けリブ28の先端28aを保持する保持溝29を形成したものである。
【0040】
上記構成により、回転ロータ20による被掃除面の清掃時に、起毛布24に強い圧縮力が働くと、それに伴い、図5(b)に示すように、受けリブ28が大きく撓んで、その圧縮力を吸収すると共に、受けリブ28の先端が保持溝29で保持されているので、その受けリブ28が元に位置に戻らなくなるのを防止し、長期間に渡って、起毛布24の撓み性能を維持することができる。
【実施例4】
【0041】
図6(a)は、本発明の第4の実施例における回転ロータの斜視図、(b)は、同回転ロータのロータの斜視図、(c)同回転ロータの受けリブの斜視図である。なお、上記第3の実施例と同一部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0042】
上記第3の実施例では、起毛布24に加わる圧縮力を吸収する受けリブ28を起毛布24の基材24aに一体又は一体的に形成したが、本実施例では、図6(a)〜(c)に示すように、起毛布24に加わる圧縮力を吸収する受けリブ49を、シリコンゴムなどの弾力性に富んだ材料で別部品として形成し、一側の端部にロータ21の長手方向に形成された保持溝29に装着される基部49aを備え、その基部49aが前記保持溝29に装着されると、受けリブ49の他側の端部が起毛布24の基材24aに当接するようになっている。
【0043】
本実施例の回転ロータ20は、上記のように構成されているので、上記第3の実施例と同様に、被掃除面の清掃時に、起毛布24に強い圧縮力が働くと、それに伴い、受けリブ49が大きく撓んで、その圧縮力を吸収すると共に、受けリブ49の基部49aが保持溝29で保持されているので、その受けリブ49が元に位置に戻らなくなるのを防止し、長期間に渡って、起毛布24の撓み性能を維持することができる。また、受けリブ49は、起毛布24とは別部品なので、起毛布24の製造が簡単になると共に、受けリブ49の弾力性が劣化したときは、受けリブ49のみの交換で済むので、メンテナンスが容易である。
【0044】
なお、上記受けリブ49に代え、図6(d)に示すように、多数の繊維や毛などからなるブラシ材50aと、ブラシ材50aの下端が固定されると共に、ロータ21の保持溝29に装着される基部50bからなるブラシ体50を利用しても良い。このブラシ体50は、保持溝29に基部50bを装着すると、ブラシ材50aの先端で、起毛布24の基材24aを受けるようになっている。
【0045】
本構成によれば、起毛布24が外部より圧縮力を受けると、起毛布24の基材24aが、複数の繊維や、毛などからなるブラシ材50aの先端で受けられ、衝撃がよりソフトにしかも確実に吸収されるもので、空気調和機などに搭載されたエアフィルター(図示せず)など、表面が比較的でこぼこしており、且つ強度的にあまり強くない被掃除面の清掃に好適である。
【実施例5】
【0046】
図7は、本発明の第5の実施例における掃除機用床吸込具の斜視図、図8は、同掃除機用床吸込具に取着される回転ロータの斜視図、図9は、同掃除機用床吸込具を接続した電気掃除機の全体構成を示す図である。
【0047】
図7、図8において、掃除機用床吸込具30(以下「床吸込具30」という)の外郭31は、上ケース32と、下面に吸い込み口33を有する下ケース34からなり、外周に、掃除の際に家具などへの傷付を防止するためのバンパー35が設けられ、前部に、上記実施例で述べた回転ロータ20を回転自在に収納すると共に吸い込み口33と連通する回転ロータ室37が配されている。又、床吸込具30の後部には、後述する延長管を介して、電気掃除機に連通接続される接続管38が傾動自在に取着されている。
【0048】
40は、下ケース34の底面の前部、後部にそれぞれ一対ずつ設けられた走行用ローラーで、床吸込具30を木床などの被掃除面に置いたとき、その被掃除面と下ケース34の底面との間に所定の隙間を確保して、電気掃除機による吸引力で、床吸込具30の底部が被掃除面に密着して操作性が悪くなることの無いようにするものである。
【0049】
41は、床吸込具30の略中央でかつ回転ロータ20の後方に位置し、回転ロータ室37と接続管38とを連通する吸引口である。
【0050】
回転ロータ20のロータ21の一方の端部にはホルダー45が、他方の端部には、プーリー付ホルダー46がそれぞれ固着されている。43は、電動機42の回転シャフト(図示せず)と、プーリー付ホルダー46間に張架されるベルトで、電動機42の回転動力を回転ロータ20に伝えるものである。
【0051】
47は、床吸込具30の内壁48に取り付けられ、ホルダー45及びプーリー付ホルダー46を回転自在に支持するための軸受である。
【0052】
次に、図9を用いて、同床吸込具30を接続した電気掃除機について説明する。
【0053】
図9において、電気掃除機50は、前部に塵埃を捕集する集塵室51と、後部に電動送風機52を内蔵した電動送風機室53をそれぞれ備えた掃除機本体54と、前記集塵室51に連通するように一端が掃除機本体54に接続されるホース55と、ホース55の他端に設けられたハンドルパイプ56に一端が着脱自在に接続される延長管57とを備え、前記延長管57の他端に床吸込具30が接続される。ハンドルパイプ56には、掃除機本体54の運転を操作する本体スイッチ56aと、床吸込具30に内蔵された電動機42の運転を操作する吸込具スイッチ56bが設けられている。
【0054】
上記構成による床吸込具30及び電気掃除機の動作、作用は以下の通りである。
【0055】
掃除機本体54内に収納された電源コード(図示せず)を引き出し、そのプラグ(図示せず)を室内のコンセントに差し込んで、ハンドルパイプ56に設けた本体スイッチ56a、吸込具スイッチ56bを操作すると、電動送風機52及び床吸込具30の電動機42の運転が開始し、それに伴い、床吸込具30の底部に設けた吸い込み口33から、回転ロータ20の清掃体22で掻き出された被掃除面上の塵埃が外気と共に吸引され、延長管57、ハンドルパイプ56、ホース55を経て集塵室51に至り、そこで吸引風に含まれた塵埃が捕集され、きれいになった空気が掃除機本体54の後部に設けた排気口(図示せず)から排気される。
【0056】
以上のように、本実施例によれば、掃除性能、耐久性、取り扱い性、組み立て性に優れた回転ロータ20を使用しているので、掃除性能、耐久性に優れた掃除機用床吸込具及び電気掃除機を安価に提供することができる。
【実施例6】
【0057】
図10は、本発明の第6の実施例における空気調和機の縦断面図、図11は、同空気調和機の内部構成の概略を示す斜視図である。なお、上記実施例と同一部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0058】
図10、11において、空気調和機本体60は、熱交換器61と、室内の空気を取り入れる吸込口62と、前記熱交換器61と前記吸込口62の間に配され、前記吸込口62から流入する空気中に含まれる塵埃を捕獲するエアフィルター63と、前記エアフィルター63の上流側に配されると共に、前記エアフィルター63で捕獲された塵埃を除去する回転ロータ20と、回転ロータ20を回転駆動する回転駆動手段(図示せず)と、前記回転ロータ20を前記エアフィルター63の上流側の表面に沿って上下方向に移動させる上下移動手段(図示せず)と、前記吸込口62から室内の空気を吸引し、エアフィルター63、熱交換器61を通して、吹き出し口66から、熱交換された空気を室内に吹き出すファン67とを備えている。上記回転ロータ20は、上記実施の形態1乃至3で述べたものと同一である。
【0059】
本実施例では、エアフィルター63は、左右に分割されて2個配されると共に、清掃を容易にするため空気調和機本体60に対し着脱自在である。また、回転ロータ20は、それぞれのエアフィルター63に対向して設けられている。
【0060】
本実施例では、回転ロータ20の有効清掃幅L1(清掃体22の全幅寸法)を、一般的な空気調和機用のエアフィルター63の幅寸法に合わせて、少なくとも300mmとしている。
【0061】
以上のように構成された空気調和機の動作、作用は、以下の通りである。
【0062】
空気調和機本体60を例えば、冷房運転すると、送風ファン67の運転により室内の空気が吸込口62から流入し、エアフィルター63を通って熱交換器61に至り、そこで冷却され、冷たい空気が吹き出し口66から室内に吹き出される。吸込口62から吸引される室内の空気に含まれる塵埃は、エアフィルター63で捕獲され、そのエアフィルター63の表面に次第に堆積していく。エアフィルター63の表面に塵埃が堆積してくると、空気の通気圧損が増加し、熱交換器61での熱交換効率が低下してくるので、定期的に或いは、必要に応じて、エアフィルター63に堆積した塵埃の除去運転が必要となる。
【0063】
そこで、本実施例では、塵埃の除去運転を開始すると、図10に示すように、エアフィルター63の下端に位置していた回転ロータ20が、回転駆動手段(図示せず)により矢印方向(時計方向)に回転しながら、上下移動手段(図示せず)で、エアフィルター63の表面に沿って上方に移動する。この間に、回転ロータ20の清掃体22のループ状の端部22aで、エアフィルター63の上流側表面に付着堆積した塵埃が掻き落とされる。掻き落とされた塵埃は、図示しない塵埃吸引手段で吸引されると共に、屋外に排出されるようになっている。
【0064】
なお、上下移動手段により、回転ロータ20が、エアフィルター63の上端まで達すると、自動的に下降し、次回の塵埃の除去運転用に、エアフィルター63の下端で停止するようになっている。また、回転ロータ20の回転方向は、矢印方向と反対方向(反時計方向)であっても良く、その回転方向は、清掃性能等を考慮しながら適宜決定すればよい。
【0065】
以上のように、本実施例によれば、エアフィルター63の清掃用に、掃除性能、耐久性、取り扱い性、組み立て性に優れた回転ロータ20を使用しているので、掃除性能、耐久性に優れた空気調和機を安価に提供することができる。
【0066】
なお、上記実施例では、2個のエアフィルター63のそれぞれに回転ロータ20を設けたが、一本の長尺の回転ロータ20で、2個のエアフィルター63の清掃を同時に行うようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0067】
以上のように、本発明にかかる回転ロータは、掃除性能、耐久性、取り扱い性、組み立て性に優れたもので、電気掃除機や空気調和機に限らず、空気清浄機、換気装置などエアフィルターを有する各種機器にも広く利用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】(a)、本発明の第1の実施例における回転ロータの斜視図、(b)、同回転ロータのロータの斜視図、(c)、同回転ロータの清掃体の斜視図
【図2】(a)他の例を示す回転ロータの斜視図、(b)他の例を示す回転ロータの斜視図
【図3】他の例を示す回転ロータの斜視図
【図4】本発明の第2の実施例における回転ロータの斜視図
【図5】(a)本発明の第3の実施例における回転ロータの斜視図、(b)受けリブの動作を示す同回転ロータの斜視図
【図6】(a)本発明の第4の実施例における回転ロータの斜視図、(b)同回転ロータのロータの斜視図、(c)同回転ロータの受けリブの斜視図、(d)同回転ロータの受けリブの他の例を示す斜視図
【図7】本発明の第5の実施例における掃除機用床吸込具の斜視図
【図8】同掃除機用床吸込具に取着される回転ロータの斜視図
【図9】同掃除機用床吸込具を接続した電気掃除機の全体構成を示す図
【図10】本発明の第6の実施例における空気調和機の縦断面図
【図11】同空気調和機の内部構成の概略を示す斜視図
【図12】従来の回転ロータを搭載した空気調和機の断面図
【図13】同回転ロータの斜視図
【図14】(a)従来の他の例を示す回転ロータの側面図、(b)同回転ロータの断面図
【図15】(a)従来のさらに他の例を示す回転ロータの清掃体の斜視図(b)同回転ロータの断面図
【符号の説明】
【0069】
20 回転ロータ
21 ロータ
22 清掃体
22a 端部
23 支持溝
24 起毛布
24a 基材
24b 繊維
25 基部
26 空間部
27、28、49 受けリブ
29 保持溝
30 掃除機用床吸込具(床吸込具)
50 電気掃除機
60 空気調和機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器に回転自在に取着されると共に外周長手方向に少なくとも1条の支持溝を有するロータと、被掃除面の塵埃を掻き取る清掃体とを備え、前記清掃体を、略帯状で基材とその基材に植設された繊維からなる起毛布と、前記起毛布の長手方向の両側端に固着された基部とで構成し、前記起毛布を前記基材を内側にして略中央で折り曲げ、前記両側端の基部を前記支持溝に装着して、前記清掃体の径方向の端部をループ状に形成した回転ロータ。
【請求項2】
ロータに少なくとも2条の支持溝を設け、前記支持溝の一つに、隣り合う二つの清掃体の基部を装着するようにした請求項1に記載の回転ロータ。
【請求項3】
起毛布の基材の長手方向に、ロータ側に突出する受けリブを一体又は一体的に延設した請求項1又は2に記載の回転ロータ。
【請求項4】
ロータの外周長手方向に保持溝を形成し、受けリブの先端を、前記保持溝で保持するようにした請求項3に記載の回転ロータ。
【請求項5】
ロータの外周長手方向に保持溝を形成し、前記保持溝に、先端が起毛布の基材に当接する受けリブを装着した請求項1又は2に記載の回転ロータ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の回転ロータを回転自在に設けた掃除機用床吸込具。
【請求項7】
電動送風機と、請求項6に記載の掃除機用床吸込具とを備え、前記電動送風機と前記掃除機用床吸込具とを連通させた電気掃除機。
【請求項8】
空気を熱交換する熱交換器と、前記熱交換器の上流側に配され流入する空気中に含まれる塵埃を捕獲するエアフィルターと、請求項1〜5のいずれか1項に記載の回転ロータとを備え、前記回転ロータで前記エアフィルターで捕獲された塵埃を除去するようにした空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−330652(P2007−330652A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−168454(P2006−168454)
【出願日】平成18年6月19日(2006.6.19)
【出願人】(391044797)株式会社コーワ (283)
【Fターム(参考)】