回転丸刃の研磨装置及び研磨制御方法
【解決手段】回転する丸刃を研磨する研磨装置で、丸刃を研磨するための表面側砥石と裏面側砥石と、砥石を丸刃に対して接触可能に移動させる砥石移動機構と、砥石が丸刃に接触しない第一の位置を検出する位置決めセンサと、第一の位置から丸刃に接触する第二の位置に所定圧力で所定研磨時間、研磨するように移動させる制御部、丸刃の回転を利用する発電部、丸刃に取り付ける着脱部を有する回転丸刃の研磨装置及び研磨制御方法。
【効果】使用者の経験に頼ることなく、適切な圧力で砥石を丸刃に接触させ、適切な研磨時間により丸刃を研磨することができ、安定的に研磨をすることができる。また、砥石と丸刃の接触を制御部により行うことで、使用者が丸刃に直接、触ることなく、安全に丸刃を研磨することが可能になるとともに、発電部により外部の電力も不要になる。
【効果】使用者の経験に頼ることなく、適切な圧力で砥石を丸刃に接触させ、適切な研磨時間により丸刃を研磨することができ、安定的に研磨をすることができる。また、砥石と丸刃の接触を制御部により行うことで、使用者が丸刃に直接、触ることなく、安全に丸刃を研磨することが可能になるとともに、発電部により外部の電力も不要になる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として食肉を切断するための回転丸刃を用いた食肉スライサーの丸刃を研磨するための装置及び研磨方法を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、食肉スライサーの丸刃を研磨する研磨装置は、砥石が配置されている研磨装置をスライサーに取り付けて行うものがあった。この従来の研磨装置をスライサーにボルト等で取り付けたときに、砥石が丸刃に接触するものであり、丸刃を回転させると砥石により丸刃が研磨されるものであった。
その他の従来例として特許文献1に記載の研磨装置があった。
(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−94278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の食肉スライサーの研磨装置は、使用者がスライサーに研磨装置を取り付け、使用者がハンドル等の運転器具を回すことによって砥石が丸刃に接触するものであるため、砥石が丸刃に接触する圧力や研磨時間は使用者の長年の経験により行われていた。この研磨装置では使用者が変わるごとに研磨する圧力、時間が変更され、最適な研磨がなされなかった。
また、特許文献1に記載の研磨装置も、使用者がハンドルで砥石を回転刃物に接触させるものであり、使用者の長年の経験に委ねる点は同じである。
しかも、これらの従来の研磨装置は、使用者が任意に砥石を接触させるため、使用者が誤使用により怪我をすることもあった。
【0005】
そこで、スライサーに取り付けると、自動で砥石を丸刃に所定圧力で接触させ、所定研磨時間の経過後に砥石が丸刃を非接触とする研磨装置が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明における回転丸刃の研磨装置は、回転する丸刃を研磨するための研磨装置であって、丸刃を研磨するための砥石と、砥石を丸刃に対して接触可能に移動させる砥石移動機構と、研磨開始となる信号を受けて、前記砥石移動機構により、砥石が丸刃に接触しない第一の位置から、砥石を所定の圧力で丸刃に接触させる第二の位置へ移動させ、所定の研磨時間経過後、砥石を第二の位置から第一の位置に移動させる制御部と、を有することを特徴とする。
【0007】
また、砥石は、丸刃の表面を研磨する表面側砥石と、丸刃の裏面を研磨する裏面側砥石からなり、制御部は、表面側砥石と裏面側砥石が丸刃の表面と裏面のいずれの面にも接触しない第一の位置から、表面側砥石が丸刃の表面に接触する表面側第二の位置へ表面側砥石を移動させた後、裏面側砥石が丸刃の裏面に接触する裏面側第二の位置へ裏面側砥石を移動させ、しかる後、表面側砥石及び裏面側砥石を前記第一の位置へ移動させることが好ましい。
【0008】
また、砥石移動機構は、駆動モータと、この駆動モータに連結される送りネジと、駆動モータの正転、逆転により送りネジの長手方向に移動可能に係合する送りブロックと、送りブロックに固定される表面側砥石支持棒及び裏面側砥石支持棒とからなり、第一の位置は、送りブロックに形成された被検知部分を位置決めセンサで検知して送りブロックの位置を認識することで検出することが好ましい。
【0009】
また、回転する丸刃の表面の中心点付近に当接し、丸刃の回転に合わせて回転する発電ローラと、この発電ローラの回転により発電する発電モータと、発電ローラを回転丸刃の中心付近に当接させる発電アームを備え、発電モータにより発生した電力により駆動モータを駆動させ、制御部により制御させることが好ましい。
【0010】
また、回転する丸刃の研磨位置に着脱可能に取り付けることができる着脱部が設けられたことが好ましい。
【0011】
また、本発明における回転丸刃の研磨制御方法は、回転する丸刃を砥石により研磨するための制御方法であって、研磨開始となる信号により、砥石を砥石移動機構により移動する間にあって、位置決めセンサにより砥石が丸刃に接触しない第一の位置に砥石を移動させる第1ステップと、砥石を丸刃に所定の圧力で接触させる第二の位置に移動させる第2ステップと、所定の研磨時間経過後、砥石を第二の位置から第一の位置に移動させる第3ステップとを含むことを特徴とするものである。
【0012】
また、砥石は、丸刃の表面を研磨する表面側砥石と、丸刃の裏面を研磨する裏面側砥石からなり、位置決めセンサは、表面側砥石と裏面側砥石が丸刃の表面と裏面のいずれの面にも接触しない第一の位置を検出する裏面側位置決めセンサとからなり、表面側砥石と裏面側砥石とを第一の位置へ移動させる第1ステップと、前記第一の位置から表面側砥石が丸刃の表面に接触する表面側第二の位置へ表面側砥石を移動させる表面側第2ステップと、裏面側砥石が丸刃の裏面に接触する裏面側第二の位置へ裏面側砥石を移動させる裏面側第2ステップと、しかる後、表面側砥石と裏面側砥石とを第一の位置へ移動させる第3ステップと、を含むことが好ましい。
【0013】
また、表面側第2ステップと裏面側第2ステップは、選択した研磨時間から砥石が丸刃に接触する時間として設定した時間を減じることができる回数に、その残りの時間を1回として数えた回数を加えた回数連続して行うことが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によって、使用者の経験に頼ることなく、適切な圧力で砥石を丸刃に接触させ、適切な研磨時間により丸刃を研磨することができ、安定的に研磨をすることができる。
また、砥石と丸刃の接触を制御部により行うことで、使用者が丸刃に直接、触ることなく、安全に丸刃を研磨することが可能になる。
【0015】
請求項2に記載の発明によって、丸刃の表面と裏面とを砥石により研磨することができ、丸刃の両面を適切に研磨することが可能になる。
【0016】
請求項3に記載の発明によって、駆動モータの正転、逆転により表面側砥石と裏面側砥石を回転丸刃に接触させることができ、使用者の経験に頼ることなく、適切な圧力で適切な研磨時間により安定的に研磨することが可能になる。
【0017】
請求項4に記載の発明によって、発電ローラと発電モータによって電力を発生させ、この電力により砥石の移動、制御を行うことができ、外部から電力を供給しなくても研磨をすることが可能になる。
【0018】
請求項5に記載の発明によって、研磨装置を丸刃に着脱可能にすることができ、一つの研磨装置で複数の丸刃を研磨することが可能になる。
【0019】
請求項6に記載の発明によって、使用者の経験に頼ることなく、適切な圧力で砥石を丸刃に接触させ、適切な研磨時間により丸刃を研磨することができ、安定的に研磨をすることができる。
また、砥石と丸刃の接触を制御部により行うことで、使用者が丸刃に直接、触ることなく、安全に丸刃を研磨することが可能になる
【0020】
請求項7に記載の発明によって、丸刃の表面と裏面とを砥石により研磨することができ、丸刃の両面を適切に研磨することが可能になる。
【0021】
請求項8に記載の発明によって、刃付けのように、長時間の研磨が必要な場合に、所定の圧力で砥石を丸刃に接触させても、一定の時間を経過すれば丸刃が削られて接触時の圧力がかからなくなってしまう。そこで、一定の時間を経過すれば、もう一度丸刃に所定の圧力で砥石を接触させることで、一定の圧力が継続してかかることになり、安定的な研磨が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の研磨装置を取り付ける食肉スライサーの一例を示す斜視図であって、(a)はその全体を、(b)は丸刃収納部を取り除いて回転丸刃を露出させた状態を示す。
【図2】本発明の研磨装置を取り付けることができる食肉スライサーの一例を示す正面図。
【図3】本発明の研磨装置であって、防御壁を取り除いた状態を示す全体斜視図。
【図4】本発明の研磨装置を示す右側面図。
【図5】本発明の研磨装置を回転丸刃に取り付ける状態を示すものであって、(a)は取り付ける前の回転丸刃を示す斜視図、(b)は取り付けた後の回転丸刃を示す斜視図、(c)は取り付けた後の状態を正面側から示した斜視図である。
【図6】本発明の研磨装置の送りブロックを斜め下側から示した斜視図。
【図7】本発明の砥石移動機構であって、上面を取り除いた状態を示す平面図。
【図8】本発明の研磨装置を回転丸刃に取り付けた状態を拡大して示す右側面図。
【図9】本発明の研磨制御方法の第1ステップのフローを示す。
【図10】本発明の研磨制御方法の第2ステップ及び第3ステップのうち通常研磨の場合のフローを示す。
【図11】本発明の研磨制御方法の第2ステップ及び第3ステップのうち刃付けの場合のフローを示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の研磨装置について、図面に沿って説明する。
図1、図2は、研磨装置9を取り付ける食肉スライサーであり、図3、図4は研磨装置9を示す全体図、図5は回転丸刃7に研磨装置9を取り付ける状態を示し、図6、図7、図8は研磨装置9の砥石が移動する状態を示す。また、図9、図10、図11は研磨制御方法のフローを示す。
【0024】
本発明の研磨装置9により研磨するための回転丸刃7を用いた食肉スライサー1を図1(a)に示す。研磨装置9により研磨する回転丸刃7は、食肉用のスライサー1に用いられるものが好ましいが、野菜等の他の食料品を切断するためのスライサーや木工などの工作物を製作するためのスライサーに用いられるものでもよい。
【0025】
本実施例における食肉スライサー1は、回転丸刃7を収納した丸刃収納部2と、丸刃収納部2に切断前の食肉を供給する肉箱コンベア3と、切断した食肉を搬送する搬送コンベア4と、載置台5とからなる。
【0026】
図1(b)は、図1(a)の食肉スライサー1から、丸刃収納部2の扉と、肉箱コンベア3と搬送コンベア5を取り除いたものである。丸刃収納部2の内部には取付盤6と2つの回転丸刃7、7が収納されている。この回転丸刃7、7は、丸刃設置台8に回動可能に取り付けられた取付盤6に取り付けられている。この取付盤6の回転とともに、回転丸刃7、7も回転し、食肉を切断する。
なお、回転丸刃7、7は、裏面7b、7bが図1(b)の手前側に現れる。
【0027】
本発明の研磨装置は、この取付盤6に取り付ける回転丸刃7、7を研磨するものに限定するものではなく、その他の回転丸刃を用いたスライサーに用いることが可能である。
例えば、図2に示すような、設置台94に配置した1つの回転丸刃92と、回転丸刃に対向する方向へ連続してスライドさせつつ、食肉を回転丸刃92へ搬送する肉箱93による食肉スライサー91にも使用することができる。
【0028】
次に、本発明の研磨装置9を図3、図4に示す。
研磨装置9は、砥石移動機構21、表面側砥石11、裏面側砥石12、発電部31、制御部41、着脱部51とからなる。
【0029】
表面側砥石11、裏面側砥石12は、ともに円筒状のもので、その周縁部分が研磨可能な砥石であり、回転自在に表面側砥石支持棒24、裏面側砥石支持棒25に軸止されている。裏面側砥石12は研磨移動機構9の上面17の下側で、上面17に対して垂直方向に配置されているのに対して、表面側砥石11は裏面側砥石12の後側(図4の右側)かつ奥側(図4の奥側)に配置され、表面側砥石11に対してやや傾斜して配置されている。この傾斜角度は15〜30度程度である。
【0030】
この傾斜角度は、図8に示すように、一般的に食肉スライサー1の回転丸刃7は、その表面7aのみを傾斜させて尖らせるものであるため、表面側砥石11のみを傾斜させたものである。
なお、丸刃7の表面7a及び裏面7bの両方を傾斜させる場合は、表面側砥石11と裏面側砥石12の両方を各々傾斜させる。
【0031】
また、図4に示すように、表面側砥石11、裏面側砥石12の周囲を覆うようにアクリル製の防御板29を取り付けてもよい。この防御板29により研磨をしたときに砥石や丸刃の小さな破片が飛散しないようにすることができる。
【0032】
図3、図4、図7に示すように、砥石移動機構21は、駆動モータ22と、送りネジ26と、送りブロック23と、表面側砥石支持棒24と、裏面側砥石支持棒25とからなる。
送りブロック23はその上方の突出部で送りネジ26と係合し、送りネジ26は駆動モータ22に連結されている。この駆動モータ22の正転、逆転により、送りネジ26が正転、逆転し、送りネジのネジ切り溝に従って係合する送りブロック23が送りネジ26の長手方向(図7の矢印線Bの方向)に移動する。
【0033】
図7に示すように、裏面側砥石支持棒25は送りブロック23に連結され、表面側砥石支持棒24も送りブロックに固定されているので、これらも送りブロック23の移動に伴って移動する。これにより、駆動モータ22の正転、逆転により表面側砥石11、裏面側砥石12が移動することが可能になる。
【0034】
図6に示すように、送りブロック23は台27の上に配置されているが、台27にレール28を取り付けて、このレール28によって移動を容易にしている。
そして、台27に位置決めセンサ42が取り付けて、送りブロック23の下側に位置するようにしている。一方、送りブロック23の下面に溝43が形成されており、この溝43を検知することにより第一の位置を検知することができる。この溝43は、位置決めセンサ42がその下側に位置すれば、表面側砥石11と裏面側砥石12が回転丸刃7の表面7a、裏面7bにそれぞれ接触しない位置である第一の位置となるように、形成されている。これにより、位置決めセンサ42により第一の位置を検出できる。
【0035】
図3、図4に示すように、発電部31は、発電ローラ32と発電モータ33と発電アーム34とからなる。
発電ローラ32は、樹脂製で先端がテーパー状となる円筒のものであり、回動可能に発電アーム34の下方端の垂直壁38bに取り付けられている。発電アーム34の下方端の垂直壁38bの内側(図4の右側)に発電ローラ32が取り付けられ、垂直壁38bの外側(図4の左側)に発電モータ33が取り付けられている。
【0036】
発電ローラ32は発電アーム34に回動可能に回転軸35により軸止されており、発電ローラ33の回転が回転軸35を通じて発電ローラ32に伝わり、発電ローラにより発電することができる。
発電ローラにより発電がなされると、その電力は送電線(図示しない)により、駆動モータ22及び制御部41に送られる。この電力により、駆動モータ22や制御部41が稼働するので、外部から電力を供給せずに研磨装置9を稼働させることができる。
【0037】
発電アーム34は、その上端付近が上面17に回動可能に取り付けられ、その上端は上面17との取付位置から垂直方向に延長された垂直壁38aとなっている。上面17には押圧部36が形成され、押圧部36の押圧棒37により、発電アーム34の垂直壁38aを外側(図4の左方向)へ押し出す力が作用する。
【0038】
発電アーム34は、上面17との取付位置から斜め外側(図4の左側)へ傾斜して延長し、約90度に折曲し、さらに下方端で垂直方向になるように折曲し、下方端の垂直壁38bが形成される。発電アーム34の折曲はこのような形状に限定されず、複数の折曲部分があるものや、湾曲した形状でもよい。
【0039】
この発電アームの形状により、押圧部36の押圧棒37が発電アーム34の上端の垂直面38aを外側(図4の左側)に押し出す圧力を加えられ、上面17と回動可能に取り付けられた発電アーム34は、その下端部の垂直面38bが内側(図4の右側)に押し込まれる力が作用する。この垂直面38bに発電ローラ32を取り付けると、発電ローラ32が回転丸刃7に押し付けられ、その状態を維持することが可能になる。
【0040】
図5(c)に示すように、発電アーム34の長さは、着脱部51により研磨装置9が取り付けられたときに、発電ローラ32が回転丸刃7の裏面7bの中心点7cに取り付けることができる長さが必要となる。
【0041】
図3、図4に示すように、研磨装置9の中央部分には箱体の制御回路等が入った制御部41が配置されている。制御部41は研磨装置9の裏面18に取り付けられている。
【0042】
図3、図4に示すように、着脱部51は、研磨装置9の右側(図4の右側)に位置する。着脱部は、裏面18と側面19、19との間を一部削除して形成したフック52、52と、裏面に取り付けられた着脱棒53とからなる。
【0043】
着脱棒53は、裏面18の上側と下側の位置から、裏面18と垂直方向に突出した係止片54、54の間を貫通するように、取り付けられている。着脱棒53は、下方端55がネジ切りされており、上端には把持部56が取り付けられている。使用者が把持部56を手に取り、回すと、下方端55のネジが回転する。
【0044】
次に、研磨装置9の着脱について説明する。
図5(a)は、図1(b)で示す回転丸刃7及び取付盤6の裏側を示したものである。
回転丸刃7は、その表面7aの中心部分で、丸刃設置台8から延設された支持アーム61の先端に回動自在に取り付けられている。回転丸刃7は、外部からの電力の供給を受け、食肉スライサー1の内部に組み込まれたモータの作動により、その中心点を中心として回転する(図示しない)。
【0045】
支持アーム61の上面66と下面67には、突起状の留め金62、62が取り付けられている。また、支持アーム61の表面65には、その表面から垂直方向に立設する係止片63が形成され、係止片63の中央には円形状の係止孔64が形成されている。
【0046】
図5(b)に示すように、支持アーム61の長手方向に沿うように、研磨装置9を取り付ける。支持アーム61の上面66と下面67に、研磨装置9の側面19、19が覆うように取り付ける。このとき、支持アーム61の留め金62、62は、研磨装置9のフック52、52と係合する位置にあり、これにより位置決めをすることができる。
【0047】
また、留め金62、62とフック52、52との係合する位置で、研磨装置9の係止片54と支持アーム61の係止片64とが係合するように、配置されている。この状態で、着脱棒53の把持部56をもって回転させると、着脱棒53の下方端55にあるネジが回転し、支持アーム61の係止孔63に挿入される。これにより、支持アーム61に研磨装置9を取り付けることができる。
【0048】
支持アーム61から研磨装置9を取り外す場合、把持部56をもって逆に回転させると、着脱棒53の下方端55のネジが逆回転し、支持アーム61の係止孔63から外れる。これにより、研磨装置9を支持アーム61から取り外すことができ、着脱可能となる。
【0049】
図5(c)は、支持アーム61に研磨装置9を取り付けた状態を、回転丸刃7の裏面7b側から示したものである。また、図8に示すように、研磨装置9を取り付けたときに、回転丸刃7の刃物の先端が表側砥石11と裏側砥石12との間に位置する。この位置が研磨位置となる。
【0050】
図5(c)に示すように、発電部31の発電ローラ32は、回転丸刃7の裏面7bの中心点7cに接合する。押圧部36の押圧により、発電ローラ32が回転丸刃7の方向(図5(c)の矢印線Aの方向)へ押し付けられ、回転丸刃7の中心点7cと接合した状態が維持される。この状態で、回転丸刃7の回転により、発電ローラ32も回転し、発電モータ33により発電される。
【0051】
次に、研磨装置9による研磨方法について説明する。
図9は、研磨装置による制御方法の第1ステップを示す。
研磨位置に研磨装置9を取り付けた状態で、使用者が食肉スライサー1の運転開始のスイッチ(図示しない)を押すと、回転丸刃7が回転し、発電部31により研磨装置9に電力が供給され、自動的に研磨装置9の開始スイッチが入る。なお、このとき食肉スライサー1は、回転丸刃7のみが回転し、取付盤6は回転しないようにする。
運転前のタイマが作動し、数秒のタイマ時間が経過後に、研磨装置9が稼働する。このタイマ時間経過後に作動するとしたのは、使用者が手を離す時間をとって安全性を担保するためであり、コンデンサに発電された電力を蓄えるためである。
【0052】
次に、表面側砥石11と裏面側砥石12を第一の位置に移動させる。
第一の位置とは、表面側砥石11及び裏面側砥石12がどちらも回転丸刃7の表面7a、裏面7bに接触していない位置であり、好ましくは両者とも回転丸刃7から同程度の距離が離れた位置をいう。
【0053】
まず、研磨装置9を取り付けた状態で、位置決めセンサ42により溝43を検知できる位置にあれば、位置決めセンサがOFFとなり、砥石移動機構21を作動させることなく、第一の位置にある。
しかし、位置決めセンサ42で溝43を検知する位置になければ、駆動モータ22を逆転させる。駆動モータ22を逆転させると、裏面側砥石12が回転丸刃7の方向へ移動し、表面側砥石11が回転丸刃7から離れる方向へ移動する。このときに、位置決めセンサにより検知する位置となれば良いが、検知しなければリミット時間が経過するか、駆動モータ22が過電流を検知するまで駆動モータ22を逆転させる。最初の駆動モータ22の逆転では、過電流検知よりもリミット時間を優先させる。
【0054】
ここで、リミット時間とは予め設定した移動時間である。
また、駆動モータ22が過電流を検知する場合とは、砥石が回転丸刃7に所定の圧力で接触したときに、発生する過電流を検知することである。所定の圧力とは、3kg程度の圧力で回転丸刃7に接触する場合をいう。
この所定の圧力は砥石の粗さ等により変更してもよいが、ダイヤモンドによる砥石を使用したときに、5kg以下の圧力であって、好ましくは3kgの圧力とすることが好ましい。
なお、回転丸刃7の一方の面のみ刃付けをする場合、裏面側砥石12は表面側砥石11ほど研磨する必要がないので、2kg以下の圧力であって、好ましくは1.5kg程度の圧力とすることが好ましい。
【0055】
その後、所定時間を経過させた後、駆動モータ22を正転させ、表面側砥石11が回転丸刃7に近づく方向へ、裏面側砥石12が回転丸刃7から離れる方向へ移動させ、位置決めセンサ42が溝43を検知すれば、表面側砥石11及び裏面側砥石12が第一の位置にあることとなる。この場合も過電流を検知するかリミット時間を経過すれば、駆動モータ22の正転を止める。
そして、再度、駆動モータ22を逆転させ、位置決めセンサ42が検知するかリミット時間を経過すれば、駆動モータ22の逆転を止める。
この位置が第一の位置となる。
【0056】
次に、表面側及び裏面側の第2ステップ、第3ステップについて説明する。
まず、通常研磨か、刃付けを使用者に選択させる。
通常研磨とは使用していた刃物を研磨することであり、刃付けとは未だ刃付けがなされていない丸刃に刃付けを行うものであって一般的に表側を多く研磨する必要がある。
【0057】
図10に示すように、通常研磨を選択すると、まず、駆動モータ22を正転させ、表面側砥石11を第一の位置から回転丸刃7の方向へ移動させる。そして、表面側砥石11が回転丸刃7の表面7aに接触し、3kg程度の圧力となると駆動モータ22が過電流を検知し、駆動モータ22の正転が止まる。このときも、リミット時間が経過すれば良いものとする。この表面側砥石11が回転丸刃7の表面7aに接触する位置が表面側砥石11の表面側第二の位置である。
【0058】
予め正転用研ぎ時間が設定されており、この正転用研ぎ時間が経過すれば駆動モータ22を逆転させ、表面側砥石11を回転丸刃7から離れる方向へ移動させ、裏面側砥石12を回転丸刃7に近づけるように移動させる。
この場合も、駆動モータ22の正転と同じく、駆動モータ22が過電流を検知するかリミット時間を経過するまで駆動モータ22を逆転させ、裏面側砥石12を回転丸刃7の裏面7bに1.5kg程度の圧力で接触させる。この裏面側砥石12が回転丸刃7の裏面7bに接触する位置が裏面側砥石12の裏面側第二の位置である。
【0059】
そして、予め逆転用研ぎ時間が設定されており、この逆転用研ぎ時間が経過すれば駆動モータ22を正転させ、位置決めセンサ42が溝43を検知する第一の位置に移動させ、駆動モータ22の駆動を止め、動作終了のLEDを点灯させて、作業を終了する。
【0060】
予め設定される正転用研ぎ時間は、使用者が研磨する頻度に合わせて設定することが望ましい。毎日、研磨する場合や2日おきに研磨する場合など、通常の研磨の場合は10秒程度が望ましい。そこで、所定時間は一般には10秒程度となる。
しかし、1週間に1度程度の研磨の場合であれば、研磨時間を20ないし30秒とすべきであって、適宜研磨時間を設定する必要がある。
【0061】
逆転用研ぎ時間は概ね2秒程度が好ましい。これは、回転用丸刃7が図8に示すような一方のみから尖らせた刃物の形状であるため、逆転用は表面7aの研磨により発生したバリ等を取り除く程度で十分だからである。
なお、刃物の両方から尖らせる場合は、逆転用研ぎ時間も正転用と同じ程度の研ぎ時間とすることが好ましい。
【0062】
図11に示すように、刃付けを選択した場合、通常研磨とは第1ステップは同じであるが、研磨回数が異なる。
刃付けの場合、表面側砥石11の研磨時間を増加させる必要があり、使用者が0ないし30分の間で研ぎ時間を選択するが、概ね20〜25分程度が好ましい。ここで選択した時間が、正転用の選択した研ぎ時間となる。
【0063】
一方、表面側砥石11が回転丸刃7の表面7aに接触してから、約10分を経過すると、回転丸刃7の表面7aが削られて、当初の圧力で接触する状態ではなくなる。そのため、10分経過すれば、もう一度、表面側砥石11を回転丸刃7aの表面に接触させることが必要となる。そこで、砥石が丸刃に接触する時間として設定した時間を10分とする。この設定時間は7〜12分程度でも良いが、好ましくは10分間とすべきである。
【0064】
そこで、刃付けの場合、選択した研ぎ時間を例えば25分とすると、駆動モータ20が正転し、第一の位置から表面側砥石11を回転丸刃7の表面7aに接触させる表面側第二の位置へ駆動モータが過電流を検知するまで移動させる。
そして、選択した研ぎ時間(本実施例では25分)から設定時間(10分)を減じることができる数の2回と、残りの時間(本実施例では5分)を1回として、合計3回の研磨をする。
【0065】
そこで、表面側砥石11で表面7aを設定時間の10分間研磨した後、駆動モータ22を逆転させて、裏面7bを研磨する。選択した研ぎ時間の残時間(本実施例では15分)が設定時間の10分よりも多ければ、もう一度表面側砥石11で表面7aを設定時間の10分間研磨し、駆動モータ22を逆転させて、裏面7bを研磨する。
そして、選択した研ぎ時間の残時間(本実施例では5分)が設定時間の10分よりも少なくなると、その残時間のみ、表面側砥石11で表面7aを研磨し、駆動モータ22を逆転させて、裏面7bを研磨する。
通常研磨とは、その他の砥石の移動などは同じである。
【0066】
これにより、設定時間の10分ごとに表面7aに所定圧力で接触させることが可能になり、効率的な刃付けが可能になる。なお、回転丸刃7の表面7a、裏面7bに接触する圧力についても通常研磨と同様である。
【符号の説明】
【0067】
1…食肉スライサー、7…回転丸刃、7a…表面、7b…裏面、9…研磨装置、11…表面側砥石、12…裏面側砥石、21…砥石移動機構、22…駆動モータ、31…発電部、41…制御部、42…位置決めセンサ、51…着脱部
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として食肉を切断するための回転丸刃を用いた食肉スライサーの丸刃を研磨するための装置及び研磨方法を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、食肉スライサーの丸刃を研磨する研磨装置は、砥石が配置されている研磨装置をスライサーに取り付けて行うものがあった。この従来の研磨装置をスライサーにボルト等で取り付けたときに、砥石が丸刃に接触するものであり、丸刃を回転させると砥石により丸刃が研磨されるものであった。
その他の従来例として特許文献1に記載の研磨装置があった。
(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−94278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の食肉スライサーの研磨装置は、使用者がスライサーに研磨装置を取り付け、使用者がハンドル等の運転器具を回すことによって砥石が丸刃に接触するものであるため、砥石が丸刃に接触する圧力や研磨時間は使用者の長年の経験により行われていた。この研磨装置では使用者が変わるごとに研磨する圧力、時間が変更され、最適な研磨がなされなかった。
また、特許文献1に記載の研磨装置も、使用者がハンドルで砥石を回転刃物に接触させるものであり、使用者の長年の経験に委ねる点は同じである。
しかも、これらの従来の研磨装置は、使用者が任意に砥石を接触させるため、使用者が誤使用により怪我をすることもあった。
【0005】
そこで、スライサーに取り付けると、自動で砥石を丸刃に所定圧力で接触させ、所定研磨時間の経過後に砥石が丸刃を非接触とする研磨装置が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明における回転丸刃の研磨装置は、回転する丸刃を研磨するための研磨装置であって、丸刃を研磨するための砥石と、砥石を丸刃に対して接触可能に移動させる砥石移動機構と、研磨開始となる信号を受けて、前記砥石移動機構により、砥石が丸刃に接触しない第一の位置から、砥石を所定の圧力で丸刃に接触させる第二の位置へ移動させ、所定の研磨時間経過後、砥石を第二の位置から第一の位置に移動させる制御部と、を有することを特徴とする。
【0007】
また、砥石は、丸刃の表面を研磨する表面側砥石と、丸刃の裏面を研磨する裏面側砥石からなり、制御部は、表面側砥石と裏面側砥石が丸刃の表面と裏面のいずれの面にも接触しない第一の位置から、表面側砥石が丸刃の表面に接触する表面側第二の位置へ表面側砥石を移動させた後、裏面側砥石が丸刃の裏面に接触する裏面側第二の位置へ裏面側砥石を移動させ、しかる後、表面側砥石及び裏面側砥石を前記第一の位置へ移動させることが好ましい。
【0008】
また、砥石移動機構は、駆動モータと、この駆動モータに連結される送りネジと、駆動モータの正転、逆転により送りネジの長手方向に移動可能に係合する送りブロックと、送りブロックに固定される表面側砥石支持棒及び裏面側砥石支持棒とからなり、第一の位置は、送りブロックに形成された被検知部分を位置決めセンサで検知して送りブロックの位置を認識することで検出することが好ましい。
【0009】
また、回転する丸刃の表面の中心点付近に当接し、丸刃の回転に合わせて回転する発電ローラと、この発電ローラの回転により発電する発電モータと、発電ローラを回転丸刃の中心付近に当接させる発電アームを備え、発電モータにより発生した電力により駆動モータを駆動させ、制御部により制御させることが好ましい。
【0010】
また、回転する丸刃の研磨位置に着脱可能に取り付けることができる着脱部が設けられたことが好ましい。
【0011】
また、本発明における回転丸刃の研磨制御方法は、回転する丸刃を砥石により研磨するための制御方法であって、研磨開始となる信号により、砥石を砥石移動機構により移動する間にあって、位置決めセンサにより砥石が丸刃に接触しない第一の位置に砥石を移動させる第1ステップと、砥石を丸刃に所定の圧力で接触させる第二の位置に移動させる第2ステップと、所定の研磨時間経過後、砥石を第二の位置から第一の位置に移動させる第3ステップとを含むことを特徴とするものである。
【0012】
また、砥石は、丸刃の表面を研磨する表面側砥石と、丸刃の裏面を研磨する裏面側砥石からなり、位置決めセンサは、表面側砥石と裏面側砥石が丸刃の表面と裏面のいずれの面にも接触しない第一の位置を検出する裏面側位置決めセンサとからなり、表面側砥石と裏面側砥石とを第一の位置へ移動させる第1ステップと、前記第一の位置から表面側砥石が丸刃の表面に接触する表面側第二の位置へ表面側砥石を移動させる表面側第2ステップと、裏面側砥石が丸刃の裏面に接触する裏面側第二の位置へ裏面側砥石を移動させる裏面側第2ステップと、しかる後、表面側砥石と裏面側砥石とを第一の位置へ移動させる第3ステップと、を含むことが好ましい。
【0013】
また、表面側第2ステップと裏面側第2ステップは、選択した研磨時間から砥石が丸刃に接触する時間として設定した時間を減じることができる回数に、その残りの時間を1回として数えた回数を加えた回数連続して行うことが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によって、使用者の経験に頼ることなく、適切な圧力で砥石を丸刃に接触させ、適切な研磨時間により丸刃を研磨することができ、安定的に研磨をすることができる。
また、砥石と丸刃の接触を制御部により行うことで、使用者が丸刃に直接、触ることなく、安全に丸刃を研磨することが可能になる。
【0015】
請求項2に記載の発明によって、丸刃の表面と裏面とを砥石により研磨することができ、丸刃の両面を適切に研磨することが可能になる。
【0016】
請求項3に記載の発明によって、駆動モータの正転、逆転により表面側砥石と裏面側砥石を回転丸刃に接触させることができ、使用者の経験に頼ることなく、適切な圧力で適切な研磨時間により安定的に研磨することが可能になる。
【0017】
請求項4に記載の発明によって、発電ローラと発電モータによって電力を発生させ、この電力により砥石の移動、制御を行うことができ、外部から電力を供給しなくても研磨をすることが可能になる。
【0018】
請求項5に記載の発明によって、研磨装置を丸刃に着脱可能にすることができ、一つの研磨装置で複数の丸刃を研磨することが可能になる。
【0019】
請求項6に記載の発明によって、使用者の経験に頼ることなく、適切な圧力で砥石を丸刃に接触させ、適切な研磨時間により丸刃を研磨することができ、安定的に研磨をすることができる。
また、砥石と丸刃の接触を制御部により行うことで、使用者が丸刃に直接、触ることなく、安全に丸刃を研磨することが可能になる
【0020】
請求項7に記載の発明によって、丸刃の表面と裏面とを砥石により研磨することができ、丸刃の両面を適切に研磨することが可能になる。
【0021】
請求項8に記載の発明によって、刃付けのように、長時間の研磨が必要な場合に、所定の圧力で砥石を丸刃に接触させても、一定の時間を経過すれば丸刃が削られて接触時の圧力がかからなくなってしまう。そこで、一定の時間を経過すれば、もう一度丸刃に所定の圧力で砥石を接触させることで、一定の圧力が継続してかかることになり、安定的な研磨が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の研磨装置を取り付ける食肉スライサーの一例を示す斜視図であって、(a)はその全体を、(b)は丸刃収納部を取り除いて回転丸刃を露出させた状態を示す。
【図2】本発明の研磨装置を取り付けることができる食肉スライサーの一例を示す正面図。
【図3】本発明の研磨装置であって、防御壁を取り除いた状態を示す全体斜視図。
【図4】本発明の研磨装置を示す右側面図。
【図5】本発明の研磨装置を回転丸刃に取り付ける状態を示すものであって、(a)は取り付ける前の回転丸刃を示す斜視図、(b)は取り付けた後の回転丸刃を示す斜視図、(c)は取り付けた後の状態を正面側から示した斜視図である。
【図6】本発明の研磨装置の送りブロックを斜め下側から示した斜視図。
【図7】本発明の砥石移動機構であって、上面を取り除いた状態を示す平面図。
【図8】本発明の研磨装置を回転丸刃に取り付けた状態を拡大して示す右側面図。
【図9】本発明の研磨制御方法の第1ステップのフローを示す。
【図10】本発明の研磨制御方法の第2ステップ及び第3ステップのうち通常研磨の場合のフローを示す。
【図11】本発明の研磨制御方法の第2ステップ及び第3ステップのうち刃付けの場合のフローを示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の研磨装置について、図面に沿って説明する。
図1、図2は、研磨装置9を取り付ける食肉スライサーであり、図3、図4は研磨装置9を示す全体図、図5は回転丸刃7に研磨装置9を取り付ける状態を示し、図6、図7、図8は研磨装置9の砥石が移動する状態を示す。また、図9、図10、図11は研磨制御方法のフローを示す。
【0024】
本発明の研磨装置9により研磨するための回転丸刃7を用いた食肉スライサー1を図1(a)に示す。研磨装置9により研磨する回転丸刃7は、食肉用のスライサー1に用いられるものが好ましいが、野菜等の他の食料品を切断するためのスライサーや木工などの工作物を製作するためのスライサーに用いられるものでもよい。
【0025】
本実施例における食肉スライサー1は、回転丸刃7を収納した丸刃収納部2と、丸刃収納部2に切断前の食肉を供給する肉箱コンベア3と、切断した食肉を搬送する搬送コンベア4と、載置台5とからなる。
【0026】
図1(b)は、図1(a)の食肉スライサー1から、丸刃収納部2の扉と、肉箱コンベア3と搬送コンベア5を取り除いたものである。丸刃収納部2の内部には取付盤6と2つの回転丸刃7、7が収納されている。この回転丸刃7、7は、丸刃設置台8に回動可能に取り付けられた取付盤6に取り付けられている。この取付盤6の回転とともに、回転丸刃7、7も回転し、食肉を切断する。
なお、回転丸刃7、7は、裏面7b、7bが図1(b)の手前側に現れる。
【0027】
本発明の研磨装置は、この取付盤6に取り付ける回転丸刃7、7を研磨するものに限定するものではなく、その他の回転丸刃を用いたスライサーに用いることが可能である。
例えば、図2に示すような、設置台94に配置した1つの回転丸刃92と、回転丸刃に対向する方向へ連続してスライドさせつつ、食肉を回転丸刃92へ搬送する肉箱93による食肉スライサー91にも使用することができる。
【0028】
次に、本発明の研磨装置9を図3、図4に示す。
研磨装置9は、砥石移動機構21、表面側砥石11、裏面側砥石12、発電部31、制御部41、着脱部51とからなる。
【0029】
表面側砥石11、裏面側砥石12は、ともに円筒状のもので、その周縁部分が研磨可能な砥石であり、回転自在に表面側砥石支持棒24、裏面側砥石支持棒25に軸止されている。裏面側砥石12は研磨移動機構9の上面17の下側で、上面17に対して垂直方向に配置されているのに対して、表面側砥石11は裏面側砥石12の後側(図4の右側)かつ奥側(図4の奥側)に配置され、表面側砥石11に対してやや傾斜して配置されている。この傾斜角度は15〜30度程度である。
【0030】
この傾斜角度は、図8に示すように、一般的に食肉スライサー1の回転丸刃7は、その表面7aのみを傾斜させて尖らせるものであるため、表面側砥石11のみを傾斜させたものである。
なお、丸刃7の表面7a及び裏面7bの両方を傾斜させる場合は、表面側砥石11と裏面側砥石12の両方を各々傾斜させる。
【0031】
また、図4に示すように、表面側砥石11、裏面側砥石12の周囲を覆うようにアクリル製の防御板29を取り付けてもよい。この防御板29により研磨をしたときに砥石や丸刃の小さな破片が飛散しないようにすることができる。
【0032】
図3、図4、図7に示すように、砥石移動機構21は、駆動モータ22と、送りネジ26と、送りブロック23と、表面側砥石支持棒24と、裏面側砥石支持棒25とからなる。
送りブロック23はその上方の突出部で送りネジ26と係合し、送りネジ26は駆動モータ22に連結されている。この駆動モータ22の正転、逆転により、送りネジ26が正転、逆転し、送りネジのネジ切り溝に従って係合する送りブロック23が送りネジ26の長手方向(図7の矢印線Bの方向)に移動する。
【0033】
図7に示すように、裏面側砥石支持棒25は送りブロック23に連結され、表面側砥石支持棒24も送りブロックに固定されているので、これらも送りブロック23の移動に伴って移動する。これにより、駆動モータ22の正転、逆転により表面側砥石11、裏面側砥石12が移動することが可能になる。
【0034】
図6に示すように、送りブロック23は台27の上に配置されているが、台27にレール28を取り付けて、このレール28によって移動を容易にしている。
そして、台27に位置決めセンサ42が取り付けて、送りブロック23の下側に位置するようにしている。一方、送りブロック23の下面に溝43が形成されており、この溝43を検知することにより第一の位置を検知することができる。この溝43は、位置決めセンサ42がその下側に位置すれば、表面側砥石11と裏面側砥石12が回転丸刃7の表面7a、裏面7bにそれぞれ接触しない位置である第一の位置となるように、形成されている。これにより、位置決めセンサ42により第一の位置を検出できる。
【0035】
図3、図4に示すように、発電部31は、発電ローラ32と発電モータ33と発電アーム34とからなる。
発電ローラ32は、樹脂製で先端がテーパー状となる円筒のものであり、回動可能に発電アーム34の下方端の垂直壁38bに取り付けられている。発電アーム34の下方端の垂直壁38bの内側(図4の右側)に発電ローラ32が取り付けられ、垂直壁38bの外側(図4の左側)に発電モータ33が取り付けられている。
【0036】
発電ローラ32は発電アーム34に回動可能に回転軸35により軸止されており、発電ローラ33の回転が回転軸35を通じて発電ローラ32に伝わり、発電ローラにより発電することができる。
発電ローラにより発電がなされると、その電力は送電線(図示しない)により、駆動モータ22及び制御部41に送られる。この電力により、駆動モータ22や制御部41が稼働するので、外部から電力を供給せずに研磨装置9を稼働させることができる。
【0037】
発電アーム34は、その上端付近が上面17に回動可能に取り付けられ、その上端は上面17との取付位置から垂直方向に延長された垂直壁38aとなっている。上面17には押圧部36が形成され、押圧部36の押圧棒37により、発電アーム34の垂直壁38aを外側(図4の左方向)へ押し出す力が作用する。
【0038】
発電アーム34は、上面17との取付位置から斜め外側(図4の左側)へ傾斜して延長し、約90度に折曲し、さらに下方端で垂直方向になるように折曲し、下方端の垂直壁38bが形成される。発電アーム34の折曲はこのような形状に限定されず、複数の折曲部分があるものや、湾曲した形状でもよい。
【0039】
この発電アームの形状により、押圧部36の押圧棒37が発電アーム34の上端の垂直面38aを外側(図4の左側)に押し出す圧力を加えられ、上面17と回動可能に取り付けられた発電アーム34は、その下端部の垂直面38bが内側(図4の右側)に押し込まれる力が作用する。この垂直面38bに発電ローラ32を取り付けると、発電ローラ32が回転丸刃7に押し付けられ、その状態を維持することが可能になる。
【0040】
図5(c)に示すように、発電アーム34の長さは、着脱部51により研磨装置9が取り付けられたときに、発電ローラ32が回転丸刃7の裏面7bの中心点7cに取り付けることができる長さが必要となる。
【0041】
図3、図4に示すように、研磨装置9の中央部分には箱体の制御回路等が入った制御部41が配置されている。制御部41は研磨装置9の裏面18に取り付けられている。
【0042】
図3、図4に示すように、着脱部51は、研磨装置9の右側(図4の右側)に位置する。着脱部は、裏面18と側面19、19との間を一部削除して形成したフック52、52と、裏面に取り付けられた着脱棒53とからなる。
【0043】
着脱棒53は、裏面18の上側と下側の位置から、裏面18と垂直方向に突出した係止片54、54の間を貫通するように、取り付けられている。着脱棒53は、下方端55がネジ切りされており、上端には把持部56が取り付けられている。使用者が把持部56を手に取り、回すと、下方端55のネジが回転する。
【0044】
次に、研磨装置9の着脱について説明する。
図5(a)は、図1(b)で示す回転丸刃7及び取付盤6の裏側を示したものである。
回転丸刃7は、その表面7aの中心部分で、丸刃設置台8から延設された支持アーム61の先端に回動自在に取り付けられている。回転丸刃7は、外部からの電力の供給を受け、食肉スライサー1の内部に組み込まれたモータの作動により、その中心点を中心として回転する(図示しない)。
【0045】
支持アーム61の上面66と下面67には、突起状の留め金62、62が取り付けられている。また、支持アーム61の表面65には、その表面から垂直方向に立設する係止片63が形成され、係止片63の中央には円形状の係止孔64が形成されている。
【0046】
図5(b)に示すように、支持アーム61の長手方向に沿うように、研磨装置9を取り付ける。支持アーム61の上面66と下面67に、研磨装置9の側面19、19が覆うように取り付ける。このとき、支持アーム61の留め金62、62は、研磨装置9のフック52、52と係合する位置にあり、これにより位置決めをすることができる。
【0047】
また、留め金62、62とフック52、52との係合する位置で、研磨装置9の係止片54と支持アーム61の係止片64とが係合するように、配置されている。この状態で、着脱棒53の把持部56をもって回転させると、着脱棒53の下方端55にあるネジが回転し、支持アーム61の係止孔63に挿入される。これにより、支持アーム61に研磨装置9を取り付けることができる。
【0048】
支持アーム61から研磨装置9を取り外す場合、把持部56をもって逆に回転させると、着脱棒53の下方端55のネジが逆回転し、支持アーム61の係止孔63から外れる。これにより、研磨装置9を支持アーム61から取り外すことができ、着脱可能となる。
【0049】
図5(c)は、支持アーム61に研磨装置9を取り付けた状態を、回転丸刃7の裏面7b側から示したものである。また、図8に示すように、研磨装置9を取り付けたときに、回転丸刃7の刃物の先端が表側砥石11と裏側砥石12との間に位置する。この位置が研磨位置となる。
【0050】
図5(c)に示すように、発電部31の発電ローラ32は、回転丸刃7の裏面7bの中心点7cに接合する。押圧部36の押圧により、発電ローラ32が回転丸刃7の方向(図5(c)の矢印線Aの方向)へ押し付けられ、回転丸刃7の中心点7cと接合した状態が維持される。この状態で、回転丸刃7の回転により、発電ローラ32も回転し、発電モータ33により発電される。
【0051】
次に、研磨装置9による研磨方法について説明する。
図9は、研磨装置による制御方法の第1ステップを示す。
研磨位置に研磨装置9を取り付けた状態で、使用者が食肉スライサー1の運転開始のスイッチ(図示しない)を押すと、回転丸刃7が回転し、発電部31により研磨装置9に電力が供給され、自動的に研磨装置9の開始スイッチが入る。なお、このとき食肉スライサー1は、回転丸刃7のみが回転し、取付盤6は回転しないようにする。
運転前のタイマが作動し、数秒のタイマ時間が経過後に、研磨装置9が稼働する。このタイマ時間経過後に作動するとしたのは、使用者が手を離す時間をとって安全性を担保するためであり、コンデンサに発電された電力を蓄えるためである。
【0052】
次に、表面側砥石11と裏面側砥石12を第一の位置に移動させる。
第一の位置とは、表面側砥石11及び裏面側砥石12がどちらも回転丸刃7の表面7a、裏面7bに接触していない位置であり、好ましくは両者とも回転丸刃7から同程度の距離が離れた位置をいう。
【0053】
まず、研磨装置9を取り付けた状態で、位置決めセンサ42により溝43を検知できる位置にあれば、位置決めセンサがOFFとなり、砥石移動機構21を作動させることなく、第一の位置にある。
しかし、位置決めセンサ42で溝43を検知する位置になければ、駆動モータ22を逆転させる。駆動モータ22を逆転させると、裏面側砥石12が回転丸刃7の方向へ移動し、表面側砥石11が回転丸刃7から離れる方向へ移動する。このときに、位置決めセンサにより検知する位置となれば良いが、検知しなければリミット時間が経過するか、駆動モータ22が過電流を検知するまで駆動モータ22を逆転させる。最初の駆動モータ22の逆転では、過電流検知よりもリミット時間を優先させる。
【0054】
ここで、リミット時間とは予め設定した移動時間である。
また、駆動モータ22が過電流を検知する場合とは、砥石が回転丸刃7に所定の圧力で接触したときに、発生する過電流を検知することである。所定の圧力とは、3kg程度の圧力で回転丸刃7に接触する場合をいう。
この所定の圧力は砥石の粗さ等により変更してもよいが、ダイヤモンドによる砥石を使用したときに、5kg以下の圧力であって、好ましくは3kgの圧力とすることが好ましい。
なお、回転丸刃7の一方の面のみ刃付けをする場合、裏面側砥石12は表面側砥石11ほど研磨する必要がないので、2kg以下の圧力であって、好ましくは1.5kg程度の圧力とすることが好ましい。
【0055】
その後、所定時間を経過させた後、駆動モータ22を正転させ、表面側砥石11が回転丸刃7に近づく方向へ、裏面側砥石12が回転丸刃7から離れる方向へ移動させ、位置決めセンサ42が溝43を検知すれば、表面側砥石11及び裏面側砥石12が第一の位置にあることとなる。この場合も過電流を検知するかリミット時間を経過すれば、駆動モータ22の正転を止める。
そして、再度、駆動モータ22を逆転させ、位置決めセンサ42が検知するかリミット時間を経過すれば、駆動モータ22の逆転を止める。
この位置が第一の位置となる。
【0056】
次に、表面側及び裏面側の第2ステップ、第3ステップについて説明する。
まず、通常研磨か、刃付けを使用者に選択させる。
通常研磨とは使用していた刃物を研磨することであり、刃付けとは未だ刃付けがなされていない丸刃に刃付けを行うものであって一般的に表側を多く研磨する必要がある。
【0057】
図10に示すように、通常研磨を選択すると、まず、駆動モータ22を正転させ、表面側砥石11を第一の位置から回転丸刃7の方向へ移動させる。そして、表面側砥石11が回転丸刃7の表面7aに接触し、3kg程度の圧力となると駆動モータ22が過電流を検知し、駆動モータ22の正転が止まる。このときも、リミット時間が経過すれば良いものとする。この表面側砥石11が回転丸刃7の表面7aに接触する位置が表面側砥石11の表面側第二の位置である。
【0058】
予め正転用研ぎ時間が設定されており、この正転用研ぎ時間が経過すれば駆動モータ22を逆転させ、表面側砥石11を回転丸刃7から離れる方向へ移動させ、裏面側砥石12を回転丸刃7に近づけるように移動させる。
この場合も、駆動モータ22の正転と同じく、駆動モータ22が過電流を検知するかリミット時間を経過するまで駆動モータ22を逆転させ、裏面側砥石12を回転丸刃7の裏面7bに1.5kg程度の圧力で接触させる。この裏面側砥石12が回転丸刃7の裏面7bに接触する位置が裏面側砥石12の裏面側第二の位置である。
【0059】
そして、予め逆転用研ぎ時間が設定されており、この逆転用研ぎ時間が経過すれば駆動モータ22を正転させ、位置決めセンサ42が溝43を検知する第一の位置に移動させ、駆動モータ22の駆動を止め、動作終了のLEDを点灯させて、作業を終了する。
【0060】
予め設定される正転用研ぎ時間は、使用者が研磨する頻度に合わせて設定することが望ましい。毎日、研磨する場合や2日おきに研磨する場合など、通常の研磨の場合は10秒程度が望ましい。そこで、所定時間は一般には10秒程度となる。
しかし、1週間に1度程度の研磨の場合であれば、研磨時間を20ないし30秒とすべきであって、適宜研磨時間を設定する必要がある。
【0061】
逆転用研ぎ時間は概ね2秒程度が好ましい。これは、回転用丸刃7が図8に示すような一方のみから尖らせた刃物の形状であるため、逆転用は表面7aの研磨により発生したバリ等を取り除く程度で十分だからである。
なお、刃物の両方から尖らせる場合は、逆転用研ぎ時間も正転用と同じ程度の研ぎ時間とすることが好ましい。
【0062】
図11に示すように、刃付けを選択した場合、通常研磨とは第1ステップは同じであるが、研磨回数が異なる。
刃付けの場合、表面側砥石11の研磨時間を増加させる必要があり、使用者が0ないし30分の間で研ぎ時間を選択するが、概ね20〜25分程度が好ましい。ここで選択した時間が、正転用の選択した研ぎ時間となる。
【0063】
一方、表面側砥石11が回転丸刃7の表面7aに接触してから、約10分を経過すると、回転丸刃7の表面7aが削られて、当初の圧力で接触する状態ではなくなる。そのため、10分経過すれば、もう一度、表面側砥石11を回転丸刃7aの表面に接触させることが必要となる。そこで、砥石が丸刃に接触する時間として設定した時間を10分とする。この設定時間は7〜12分程度でも良いが、好ましくは10分間とすべきである。
【0064】
そこで、刃付けの場合、選択した研ぎ時間を例えば25分とすると、駆動モータ20が正転し、第一の位置から表面側砥石11を回転丸刃7の表面7aに接触させる表面側第二の位置へ駆動モータが過電流を検知するまで移動させる。
そして、選択した研ぎ時間(本実施例では25分)から設定時間(10分)を減じることができる数の2回と、残りの時間(本実施例では5分)を1回として、合計3回の研磨をする。
【0065】
そこで、表面側砥石11で表面7aを設定時間の10分間研磨した後、駆動モータ22を逆転させて、裏面7bを研磨する。選択した研ぎ時間の残時間(本実施例では15分)が設定時間の10分よりも多ければ、もう一度表面側砥石11で表面7aを設定時間の10分間研磨し、駆動モータ22を逆転させて、裏面7bを研磨する。
そして、選択した研ぎ時間の残時間(本実施例では5分)が設定時間の10分よりも少なくなると、その残時間のみ、表面側砥石11で表面7aを研磨し、駆動モータ22を逆転させて、裏面7bを研磨する。
通常研磨とは、その他の砥石の移動などは同じである。
【0066】
これにより、設定時間の10分ごとに表面7aに所定圧力で接触させることが可能になり、効率的な刃付けが可能になる。なお、回転丸刃7の表面7a、裏面7bに接触する圧力についても通常研磨と同様である。
【符号の説明】
【0067】
1…食肉スライサー、7…回転丸刃、7a…表面、7b…裏面、9…研磨装置、11…表面側砥石、12…裏面側砥石、21…砥石移動機構、22…駆動モータ、31…発電部、41…制御部、42…位置決めセンサ、51…着脱部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転する丸刃を研磨するための研磨装置であって、
丸刃を研磨するための砥石と、
砥石を丸刃に対して接触可能に移動させる砥石移動機構と、
研磨開始となる信号を受けて、前記砥石移動機構により、砥石が丸刃に接触しない第一の位置から、砥石を所定の圧力で丸刃に接触させる第二の位置へ移動させ、所定の研磨時間経過後、砥石を第二の位置から第一の位置に移動させる制御部と、
を有することを特徴とする回転丸刃の研磨装置。
【請求項2】
砥石は、丸刃の表面を研磨する表面側砥石と、丸刃の裏面を研磨する裏面側砥石からなり、
制御部は、表面側砥石と裏面側砥石が丸刃の表面と裏面のいずれの面にも接触しない第一の位置から、表面側砥石が丸刃の表面に接触する表面側第二の位置へ表面側砥石を移動させた後、裏面側砥石が丸刃の裏面に接触する裏面側第二の位置へ裏面側砥石を移動させ、しかる後、表面側砥石及び裏面側砥石を前記第一の位置へ移動させることを特徴とする請求項1に記載の回転丸刃の研磨装置。
【請求項3】
砥石移動機構は、駆動モータと、
この駆動モータに連結される送りネジと、
駆動モータの正転、逆転により送りネジの長手方向に移動可能に係合する送りブロックと、
送りブロックに固定される表面側砥石支持棒及び裏面側砥石支持棒とからなり、
第一の位置は、送りブロックに形成された被検知部分を位置決めセンサで検知して送りブロックの位置を認識することで検出することを特徴とする請求項2に記載の回転丸刃の研磨装置。
【請求項4】
回転する丸刃の表面の中心点付近に当接し、丸刃の回転に合わせて回転する発電ローラと、
この発電ローラの回転により発電する発電モータと、
発電ローラを回転丸刃の中心付近に当接させる発電アームを備え、
発電モータにより発生した電力により駆動モータを駆動させ、制御部により制御させることを特徴とする請求項3に記載の回転丸刃の研磨装置。
【請求項5】
回転する丸刃の研磨位置に着脱可能に取り付けることができる着脱部が設けられたことを特徴とする請求項1、2、3または4のいずれかに記載の回転丸刃の研磨装置。
【請求項6】
回転する丸刃を砥石により研磨するための制御方法であって、
研磨開始となる信号により、砥石を砥石移動機構により移動する間にあって、位置決めセンサにより砥石が丸刃に接触しない第一の位置に砥石を移動させる第1ステップと、
砥石を丸刃に所定の圧力で接触させる第二の位置に移動させる第2ステップと、
所定の研磨時間経過後、砥石を第二の位置から第一の位置に移動させる第3ステップとを含むことを特徴とする回転丸刃の研磨制御方法。
【請求項7】
砥石は、丸刃の表面を研磨する表面側砥石と、丸刃の裏面を研磨する裏面側砥石からなり、
位置決めセンサは、表面側砥石と裏面側砥石が丸刃の表面と裏面のいずれの面にも接触しない第一の位置を検出する裏面側位置決めセンサとからなり、
表面側砥石と裏面側砥石とを第一の位置へ移動させる第1ステップと、
前記第一の位置から表面側砥石が丸刃の表面に接触する表面側第二の位置へ表面側砥石を移動させる表面側第2ステップと、
裏面側砥石が丸刃の裏面に接触する裏面側第二の位置へ裏面側砥石を移動させる裏面側第2ステップと、
しかる後、表面側砥石と裏面側砥石とを第一の位置へ移動させる第3ステップと、
を含むことを特徴とする請求項6に記載の回転丸刃の研磨制御方法。
【請求項8】
表面側第2ステップと裏面側第2ステップは、選択した研磨時間から砥石が丸刃に接触する時間として設定した時間を減じることができる回数に、その残りの時間を1回として数えた回数を加えた回数連続して行うことを特徴とする請求項7に記載の回転丸刃の研磨制御方法。
【請求項1】
回転する丸刃を研磨するための研磨装置であって、
丸刃を研磨するための砥石と、
砥石を丸刃に対して接触可能に移動させる砥石移動機構と、
研磨開始となる信号を受けて、前記砥石移動機構により、砥石が丸刃に接触しない第一の位置から、砥石を所定の圧力で丸刃に接触させる第二の位置へ移動させ、所定の研磨時間経過後、砥石を第二の位置から第一の位置に移動させる制御部と、
を有することを特徴とする回転丸刃の研磨装置。
【請求項2】
砥石は、丸刃の表面を研磨する表面側砥石と、丸刃の裏面を研磨する裏面側砥石からなり、
制御部は、表面側砥石と裏面側砥石が丸刃の表面と裏面のいずれの面にも接触しない第一の位置から、表面側砥石が丸刃の表面に接触する表面側第二の位置へ表面側砥石を移動させた後、裏面側砥石が丸刃の裏面に接触する裏面側第二の位置へ裏面側砥石を移動させ、しかる後、表面側砥石及び裏面側砥石を前記第一の位置へ移動させることを特徴とする請求項1に記載の回転丸刃の研磨装置。
【請求項3】
砥石移動機構は、駆動モータと、
この駆動モータに連結される送りネジと、
駆動モータの正転、逆転により送りネジの長手方向に移動可能に係合する送りブロックと、
送りブロックに固定される表面側砥石支持棒及び裏面側砥石支持棒とからなり、
第一の位置は、送りブロックに形成された被検知部分を位置決めセンサで検知して送りブロックの位置を認識することで検出することを特徴とする請求項2に記載の回転丸刃の研磨装置。
【請求項4】
回転する丸刃の表面の中心点付近に当接し、丸刃の回転に合わせて回転する発電ローラと、
この発電ローラの回転により発電する発電モータと、
発電ローラを回転丸刃の中心付近に当接させる発電アームを備え、
発電モータにより発生した電力により駆動モータを駆動させ、制御部により制御させることを特徴とする請求項3に記載の回転丸刃の研磨装置。
【請求項5】
回転する丸刃の研磨位置に着脱可能に取り付けることができる着脱部が設けられたことを特徴とする請求項1、2、3または4のいずれかに記載の回転丸刃の研磨装置。
【請求項6】
回転する丸刃を砥石により研磨するための制御方法であって、
研磨開始となる信号により、砥石を砥石移動機構により移動する間にあって、位置決めセンサにより砥石が丸刃に接触しない第一の位置に砥石を移動させる第1ステップと、
砥石を丸刃に所定の圧力で接触させる第二の位置に移動させる第2ステップと、
所定の研磨時間経過後、砥石を第二の位置から第一の位置に移動させる第3ステップとを含むことを特徴とする回転丸刃の研磨制御方法。
【請求項7】
砥石は、丸刃の表面を研磨する表面側砥石と、丸刃の裏面を研磨する裏面側砥石からなり、
位置決めセンサは、表面側砥石と裏面側砥石が丸刃の表面と裏面のいずれの面にも接触しない第一の位置を検出する裏面側位置決めセンサとからなり、
表面側砥石と裏面側砥石とを第一の位置へ移動させる第1ステップと、
前記第一の位置から表面側砥石が丸刃の表面に接触する表面側第二の位置へ表面側砥石を移動させる表面側第2ステップと、
裏面側砥石が丸刃の裏面に接触する裏面側第二の位置へ裏面側砥石を移動させる裏面側第2ステップと、
しかる後、表面側砥石と裏面側砥石とを第一の位置へ移動させる第3ステップと、
を含むことを特徴とする請求項6に記載の回転丸刃の研磨制御方法。
【請求項8】
表面側第2ステップと裏面側第2ステップは、選択した研磨時間から砥石が丸刃に接触する時間として設定した時間を減じることができる回数に、その残りの時間を1回として数えた回数を加えた回数連続して行うことを特徴とする請求項7に記載の回転丸刃の研磨制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−66979(P2013−66979A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207959(P2011−207959)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(591076028)株式会社なんつね (27)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(591076028)株式会社なんつね (27)
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