回転伝達装置
【課題】部品の加工精度に係わりなく、駆動側部材を被駆動側部材を同軸上に精度良く位置決めできる回転伝達装置を実現する。
【解決手段】駆動側連結部2の穴部2aの開口縁2bと、被駆動側連結部5の球面形状部5aを接触させ、バネ16によって付勢することで、駆動軸1と被駆動軸4を同軸上に位置決めし、駆動側伝達部3と被駆動側伝達部6を係合させて駆動軸1の回転を伝達する。駆動側連結部2の穴部2aの内径は、球面形状部5aの曲率半径より小さいため、穴部2aや球面形状部5aの寸法精度に係わりなく、穴部2aの開口縁2bと球面形状部5aとの間に円形の接触部が形成される。
【解決手段】駆動側連結部2の穴部2aの開口縁2bと、被駆動側連結部5の球面形状部5aを接触させ、バネ16によって付勢することで、駆動軸1と被駆動軸4を同軸上に位置決めし、駆動側伝達部3と被駆動側伝達部6を係合させて駆動軸1の回転を伝達する。駆動側連結部2の穴部2aの内径は、球面形状部5aの曲率半径より小さいため、穴部2aや球面形状部5aの寸法精度に係わりなく、穴部2aの開口縁2bと球面形状部5aとの間に円形の接触部が形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動軸と被駆動軸を同軸上に連結して回転を伝達する回転伝達装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の回転伝達装置は、一方に、凸状の球面を含み、他方に、テーパー形状の穴部を含んだ連結部を備える。連結時には、この凸状の球面とテーパー形状の穴部が係合し、円形の係合部を形成することで、駆動軸の回転軸線と被駆動軸の回転軸線を同軸上に一致させると同時に、駆動軸と被駆動軸の軸方向の位置決めを行うものであった(特許文献1参照)。
【0003】
また、別の従来の回転伝達装置は、一方に、凸状のテーパー部を含み、他方に、円形の穴部を含んだ連結部を備える。連結時には、凸状のテーパー部と、前記穴部が係合し、係合部を形成することで、駆動軸の回転軸線と被駆動軸の回転軸線を同軸上に一致させると同時に、駆動軸と被駆動軸の軸方向の位置決めを行うものであった(特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2000−137360号公報
【特許文献2】特許第3262691号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の回転伝達装置では、駆動軸の回転軸線と被駆動軸の回転軸線との間に傾きが発生した際に、凹状のテーパー部の形状誤差(具体的には係合円の直径誤差とテーパーの角度誤差)により、球面中心と回転伝達点の回転中心がずれて、回転変動が大きくなる。
【0006】
また、部品公差によって、連結部の凸状の球面又は穴部の寸法精度がばらついた場合は、連結時に、凸状の球面とテーパー形の穴部との間に円形の係合部を形成できない。このため、駆動軸の回転軸線と被駆動軸の回転軸線との間に芯ずれが生じ、回転変動が大きくなるという問題があった。
【0007】
あるいは、部品公差によって、連結部の凸状のテーパー部と穴部の寸法精度がばらついた場合、連結時に、凸状のテーパー部と穴部との間に円形の係合部を形成できない。このため、駆動軸の回転軸線と被駆動軸の回転軸線との間に芯ずれが生じ、回転変動が大きくなるという問題があった。
【0008】
本発明は、駆動側部材と被駆動側部材を同軸上に連結する連結部において、部品の加工精度に係わりなく、良好な位置決め精度を達成できる回転伝達装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の回転伝達装置は、回転を伝達するための駆動側部材と被駆動側部材とを同軸上に連結する連結部と、前記同軸上における前記駆動側部材の回転を前記被駆動側部材に伝達するための回転伝達部と、を有する回転伝達装置において、前記連結部は、前記駆動側部材及び前記被駆動側部材のうちの一方に配置された球面形状部と、前記駆動側部材及び前記被駆動側部材のうちの他方に配置された、前記球面形状部の曲率半径より小さい開口径の穴部と、を有し、前記球面形状部を前記穴部の開口端に接触させることで、前記駆動側部材と前記被駆動側部材を前記同軸上に位置決めすることを特徴とする。
【0010】
また、回転を伝達するための駆動側部材と被駆動側部材とを同軸上に連結する連結部と、前記同軸上における前記駆動側部材の回転を前記被駆動側部材に伝達するための回転伝達部と、を有する回転伝達装置において、前記連結部は、前記駆動側部材と前記被駆動側部材を互に軸方向に付勢する付勢手段と、前記駆動側部材と前記被駆動側部材を少なくとも3点において接触させることで、前記駆動側部材と前記被駆動側部材を前記同軸上に位置決めする3点接触部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、連結部の中心と、回転伝達部の回転中心の位置決め精度に影響を及ぼすパラメータが、穴部の端部の開口径のみであるため、部品の加工精度を落としても、従来の回転伝達装置と同等の位置決め精度を達成できる。もしくは、従来の回転伝達装置と同等の加工精度でも、従来の回転伝達装置よりも良好な位置決め精度を達成することが可能となる。
【0012】
あるいは、連結部における駆動側部材と被駆動側部材の位置決めを、3点接触部によって行うことで、寸法精度にばらつきがあっても安定した位置決め精度を維持することができる。
【0013】
その結果、回転伝達装置の回転変動を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1ないし図16は第1の実施形態を説明するものである。
【0016】
第1の実施形態は,例えば、図1に示すように、駆動側部材と被駆動側部材の連結部において、駆動側部材及び被駆動側部材のうちの一方に配置された球面形状部5aと、他方に配置された、球面形状部5aの曲率半径より小さい開口径(内径)の穴部2aと、を有する。球面形状部5aを穴部2aの開口縁(開口端)2bに接触させることで、駆動側部材と被駆動側部材を同軸上に位置決めする。
【0017】
穴部2aの開口端を球面形状部5aに接触させる構成であるため、穴部2aや球面形状部5aの寸法精度のばらつき等に係わりなく、良好な位置決め精度を達成できる。
【0018】
図17ないし図27は第2の実施形態を説明するものである。
【0019】
第2の実施形態は、例えば図17に示すように、駆動側部材と被駆動側部材を互に軸方向に付勢する付勢手段であるバネ16と、駆動側部材と被駆動側部材を少なくとも3点において接触させる突起112bを有する。3点接触部によって駆動側部材と被駆動側部材を同軸上に位置決めするものであるため、部品の加工精度に係わりなく、良好な位置決め精度を達成できる。
【実施例1】
【0020】
図1は、実施例1による回転伝達装置を示す。この回転伝達装置は、駆動軸1と駆動側連結部2と駆動側伝達部3が互いに接合された駆動側部材と、被駆動軸4と被駆動側連結部5と被駆動側伝達部6が互いに接合された被駆動側部材で構成されている。駆動側連結部2は、円形の穴部2aを有し、被駆動側連結部5は、先端に凸状の球面形状部5aを有する。駆動側連結部2の円形(円筒形)の穴部2aの開口径(内径)は、被駆動側連結部5の球面形状部5aの曲率半径よりも小さいため、球面形状部5aは穴部2aの開口縁(開口端)2bに接触し、円形の接触部を形成する。
【0021】
図2(a)は、図1に示した回転伝達装置の回転伝達部を矢印Bより見た図を示す。被駆動側伝達部6は、爪と突起6aで構成された係合手段を有し、駆動側伝達部3は、爪のみで構成された係合手段を有する。なお、図2(b)に示すように、駆動側伝達部3と被駆動側伝達部6がともに突起を持たない爪のみの係合手段を有する構成でも良い。
【0022】
また、図1に示した回転伝達装置は、駆動側連結部が、先端に凸状の球面形状部を有し、被駆動側連結部が、円形の穴部を有する構成でも良い。
【0023】
駆動軸1は、軸受け12と軸受け13によって支持され、被駆動軸4は、軸受け14と軸受け15によって支持されている。なお、駆動軸1の回転軸線に垂直な方向に移動できるように、軸受け13と駆動軸1との間に嵌合ガタを設けている。また、軸受け部材14と被駆動軸4とに嵌合ガタを設けても良い。
【0024】
連結時において、駆動側部材と被駆動側部材は付勢手段であるバネ16によって互に軸方向に付勢され、駆動側連結部2の穴部2aと、被駆動側連結部5の球面形状部5aが接触し、駆動軸1と被駆動軸4を同軸上に連結する連結部が形成される。
【0025】
駆動軸1の回転により、駆動側伝達部3と被駆動側伝達部6が係合し、この駆動側伝達部3と被駆動側伝達部6の係合部が回転伝達点(回転伝達部)7となる。なお、回転伝達点7は、被駆動側連結部5の球面中心8を含み、駆動軸1の回転軸線9を法線とする面Aの面内にある。
【0026】
図1(b)に、駆動軸1の回転軸線9と被駆動軸4の回転軸線10との間に傾きがある場合を示す。この傾きの支点は、球面中心8となる。この場合でも、回転伝達点7は、球面中心8を含み、回転軸線9を法線とする面Aの面内にあり、回転伝達点7の回転中心と回転軸線9と回転軸線10との間の傾きの支点、つまり、球面中心8は一致している。
【0027】
ここで、図3を用いて、回転軸線9と回転軸線10との間に傾きがある場合の、傾きの支点fである球面中心8と、回転伝達点7の回転中心との位置精度と回転変動の関係について説明する。
【0028】
図3(a)において、回転軸線9と回転軸線10との間の傾き角度をφ、傾きのない場合の回転伝達点7を点P、点Pの回転中心O、傾きのある場合の回転伝達点7を点P1、点P1の回転中心O1とする。また、傾きの支点fと点Pの回転中心Oとの軸方向位置誤差をΔX、点Pと点P1の軸方向に垂直な方向の距離をΔY、回転伝達点7とその回転中心Oの距離をRpとする。
【0029】
図3(b)は、駆動軸1がθ回転したしたときの図3(a)を矢印B方向から見た図である。図3(b)より、駆動軸1がθ回転したしたときの駆動軸1と被駆動軸4の回転変動Δθは、次の式で表される。
【0030】
【数1】
【0031】
ここで、ΔYとΔXは、ΔY=ΔX*sinφの関係があるので、上式は次の式で表される。
【0032】
【数2】
【0033】
上式より求めた、駆動軸1が一回転した際の回転変動Δθを図4のグラフに示す。このグラフより、傾きの支点fと点Pの回転中心Oとの軸方向位置誤差ΔX=0mmの場合が、ΔX=0.2mmの場合に比べて、回転変動量が小さいことが分かる。言い換えると、回転伝達点7の回転中心と、回転軸線9と回転軸線10との傾きの支点fである球面中心8が一致している場合が、一致していない場合と比べて、回転変動量が抑制されることが分かる。
【0034】
つまり、図1(b)で示したように回転軸線9と回転軸線10との間に傾きがある場合でも、回転変動量が抑制されることが分かる。
【0035】
比較のために、図29(a)に示す従来の回転伝達装置について説明する。従来の回転伝達装置は、駆動軸201と駆動側連結部202と駆動側伝達部203が互いに接合された駆動側と、被駆動軸204と被駆動側連結部205と被駆動側伝達部209が互いに接合された被駆動側で構成されている。駆動側連結部202は、テーパー形状の穴部202aを含み、被駆動側連結部205の先端は球面形状部205aとなっている。
【0036】
連結時に、駆動側連結部202と被駆動側連結部205が接触し、接触部が形成さる。これにより、駆動軸201の回転軸線と被駆動軸204の回転軸線は、同軸上に一致される。
【0037】
図5は、実施例1による回転伝達装置と、図29に示した従来の回転伝達装置の形状誤差による軸方向位置誤差を比較するものである。
【0038】
図5(a)は、本実施例による回転伝達装置の連結部を示す。この回転伝達装置の連結部の一方は、円形(円筒形)の穴部2aであり、他方は、凸状の球面形状部5aである。
【0039】
ここで、円筒形の穴部の半径をR、凸状の球面形状部の半径をRdとすると、円筒形の穴部の半径Rが、ΔRだけ小さくなったときの球面形状部の球面中心の軸方向位置誤差ΔXは、次の式で表される。
【0040】
【数3】
【0041】
図5(b)、(c)は、従来の回転伝達装置の連結部を示す。この回転伝達装置の連結部の一方は、テーパー形状の穴部202aであり、他方は、凸状の球面形状部505aである。
【0042】
ここで、図5(b)より、テーパー形状の穴部と凸状の球面形状部とが係合(接触)してできた係合円の半径をR、凸状の球面の半径をRd、テーパー角をψとする。係合円の半径Rが、ΔRだけ小さくなったときの凸状の球面形状部の球面中心の軸方向位置誤差ΔX1は、次の式で表される。
【0043】
【数4】
【0044】
また、図5(c)より、テーパー角ψが、Δψだけ小さくなったときの凸状の球面形状部の球面中心の軸方向位置誤差ΔX2は、次の式で表される。
【0045】
【数5】
【0046】
上記の2式より、穴部がテーパー形状である場合の軸方向位置誤差ΔXは次の式で表される。
【0047】
【数6】
【0048】
図6(a)に、R=5mm、Rd=6mm、Δψ=0degとしたときの、半径誤差ΔRを変化させた場合の軸方向位置誤差ΔXを示す。また、図6(b)に、R=5mm、Rd=6mm、ΔR=0.2mmとしたときの、テーパー角度誤差Δψを変化させた場合の軸方向位置誤差ΔXを算出した計算結果を示す。なお、このときのテーパー角度はψ=arccos(R/Rd)=33.56degとなる。
【0049】
図6(a)より、半径誤差ΔRを変化させた場合では、穴部が円筒形である場合と、テーパー形状である場合で、軸方向誤差ΔXにほとんど違いがないことが分かる。しかし、図6(b)に示すように、テーパー角度誤差Δφを変化させた場合では、穴部が円筒形である場合より、テーパー形状である場合の方が、軸方向位置誤差ΔXが大きくなることが分かる。
【0050】
以上より、穴部が円筒形である本実施例の回転伝達装置より、テーパー形状である従来の回転伝達装置の方が、同じ形状誤差による軸方向位置誤差ΔXが大きいことが分かる。
【実施例2】
【0051】
図7は、実施例2による回転伝達装置を示す。この回転伝達装置は、実施例1の軸受け13に嵌合ガタを設ける代わりに、弾性体で構成される駆動軸21と被駆動軸24を有し、軸受け33、34も弾性体で構成されている。この構成でも、実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0052】
駆動軸と被駆動軸のうちの少なくとも一方が弾性体であれば良い。また、少なくとも1つの軸受けが弾性体であれば良い。
【実施例3】
【0053】
図8は、実施例3による回転伝達装置を示す。この回転伝達装置は、駆動軸1に付勢手段であるハス歯歯車36を接合した構成となっている。連結時において、駆動側と被駆動側は、ハス歯歯車36によって付勢され、これにより、実施例1と同様の効果を得ることができる。なお、付勢手段は、ハス歯歯車以外に、磁力を用いた吸引力又は反発力を用いた構成でも良い。
【実施例4】
【0054】
図9は、実施例4による回転伝達装置を示す。この回転伝達装置は、駆動軸1と駆動側連結部42と駆動側伝達部3が互いに接合された駆動側と、被駆動軸4と被駆動側連結部5と被駆動側伝達部6が互いに接合された被駆動側で構成されている。駆動側連結部42は、テーパー形状の穴部42aを有する。
【0055】
駆動側連結部42のテーパー形状の穴部42aの被駆動側に近い開口端の開口縁42bの開口径は、被駆動側連結部5の球面形状部5aの曲率半径よりも小さい。また、駆動側連結部42のテーパー形状の穴部42aは、被駆動側連結部5の接触部における球面の接線方向と異なるテーパー角を有する。
【0056】
連結時には、駆動側連結部42の被駆動側に近い穴部42aの端部の開口縁42bのみが、被駆動側の球面形状部5aと接触し、接触部を形成する。この構成でも、実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0057】
なお、図9に示した回転伝達装置は、駆動側連結部が、先端に凸状の球面形状部を有し、被駆動側連結部が、テーパー形状の穴部を有する構成でも良い。
【実施例5】
【0058】
図10は、実施例5による回転伝達装置を示す。この回転伝達装置は、駆動軸1と駆動側連結部52と駆動側伝達部3が互いに接合された駆動側と、被駆動軸4と被駆動側連結部5と被駆動側伝達部6が互いに接合された被駆動側で構成されている。駆動側連結部52の穴部52aは、テーパー形状の開口縁(開口端)52bを有し、被駆動側連結部5は、先端に凸状の球面形状部5aを有する。
【0059】
駆動側連結部52のテーパー形状の開口縁52bの開口径は、被駆動側連結部5の球面形状部5aの曲率半径よりも小さい。また、駆動側連結部52のテーパー形状の開口縁52bは、被駆動側連結部5の先端の球面形状部5aと接触する接触部における球面の接線方向と異なるテーパー角である。
【0060】
連結時には、駆動側連結部52の穴部52aの開口縁52bのみが、被駆動軸5の球面形状部5aと接触し、接触部を形成する。この構成でも、実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0061】
なお、図10に示した回転伝達装置は、駆動側連結部が、先端に凸状の球面形状部を有し、被駆動側連結部が、円形の穴部を有する構成でも良い。
【実施例6】
【0062】
図11は、実施例6による回転伝達装置を示す。この回転伝達装置は、駆動軸1と駆動側連結部52と駆動側伝達部3が互いに接合された駆動側と、被駆動軸4と被駆動側連結部5と被駆動側伝達部6が互いに接合された被駆動側で構成されている。駆動側連結部52は、円形の穴部52aを有し、被駆動側連結部5は、先端に凸状の球面形状部5aを有する。
【0063】
駆動側連結部52の円形の穴部52aの、被駆動側連結部5の先端の球面形状部5aと接触する接触部は、R形状の開口縁52cとなっている。この構成でも、実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0064】
なお、図11に示した回転伝達装置は、駆動側連結部が、先端に凸状の球面形状部を有し、被駆動側連結部が、円形の穴部を有する構成でも良い。
【実施例7】
【0065】
図12は、実施例7による回転伝達装置を示す。この回転伝達装置は、駆動軸1と駆動側連結部2と駆動側伝達部3が互いに接合された駆動側と、被駆動軸4と被駆動側連結部65と被駆動側伝達部6が互いに接合された被駆動側で構成されている。駆動側連結部2は、円形の穴部2aを有し、被駆動側連結部65は、駆動側連結部2と接触する接触部近傍のみが球面の一部を含む球面形状部65aを有する。この構成でも、実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0066】
なお、図12に示した回転伝達装置は、駆動側連結部が、先端に凸状の球面形状部を有し、被駆動側連結部が、円形の穴部を有する構成でも良い。
【実施例8】
【0067】
図13は、実施例8による回転伝達装置を示す。この回転伝達装置は、駆動軸1と駆動側連結部72と駆動側伝達部3が互いに接合された駆動側と、被駆動軸4と被駆動側連結部75と被駆動側伝達部6が互いに接合された被駆動側で構成されている。駆動側連結部72は、円形の穴部72aを有し、被駆動側連結部75は、駆動側連結部2と接触する接触部近傍のみが球面の一部を含む球面形状部75aを有する。また、駆動側伝達部3及び被駆動側伝達部6は、前記球面の内側に配置されている。この構成でも、実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0068】
なお、図13に示した回転伝達装置は、駆動側連結部が、球面形状部を有し、被駆動側連結部が、円形の穴部を有する構成でも良い。
【実施例9】
【0069】
図14は、実施例9による回転伝達装置を示す。この回転伝達装置は、駆動軸1と駆動側連結部82と駆動側伝達部3が互いに接合された駆動側と、被駆動軸4と被駆動側連結部5と被駆動側伝達部6が互いに接合された被駆動側で構成されている。駆動側連結部82は、異なる半径を持つ2つの円形の穴部82a、82cを有し、被駆動側連結部5は、先端に凸状の球面形状部5aを有する。駆動側連結部82の小さい方の円形の穴部82aの開口径は、被駆動側連結部5の球面形状部5aの曲率半径よりも小さい。そして、大きい方の円形の穴部82cが、小さい方の円形の穴部82aより被駆動側に近い構成となっている。
【0070】
連結時に、駆動側連結部82の小さい方の円形の穴部82aの開口端と、被駆動側連結部5の球面形状部5aが接触するが、このとき駆動側連結部82の大きいほうの円形の穴部82cが、被駆動側の球面形状部5aの案内となることで、連結しやすくしている。この構成でも、実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0071】
なお、図14に示した回転伝達装置は、駆動側連結部が、球面形状部を有し、被駆動側連結部が、異なる半径を持つ2つの円形の穴部を有する構成でも良い。
【実施例10】
【0072】
図15は、実施例10による回転伝達装置を示す。この回転伝達装置は、図15(a)に示すように、駆動軸1と駆動側連結部2と駆動側伝達部93が互いに接合された駆動側と、被駆動軸4と被駆動側連結部95と被駆動側伝達部96が互いに接合された被駆動側で構成されている。
【0073】
図15(b)に、(a)の断面Aを見た図を示す。駆動側伝達部93は、凹状の三角形状部を有し、被駆動側伝達部96は、凸状の三角形状部を有する。駆動軸1が回転すると、駆動側連結部93と被駆動側連結部96が接触して、3つの係合部による回転伝達部7が形成される。この構成でも、実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0074】
なお、図15に示した回転伝達装置は、駆動側伝達部が、凸状の三角形状部を有し、被駆動側伝達部が、凹状の三角形状となっている構成でも良い。また、駆動側伝達部と被駆動側伝達部の形状は、多角形の凹形状と凸形状でも良い。
【実施例11】
【0075】
図16は、実施例11による回転伝達装置について説明するものである。図16(a)に示すように、回転伝達装置の駆動側連結部102は、円形の穴部102aの一部に切り欠き102cを設けた構成となっている。この構成でも、実施例1と同様の効果を得ることができる。なお、切り欠き102cは、複数であっても良い。
【0076】
また、図16(b)に示すように、回転伝達装置の被駆動側連結部105の球面形状部105aの球面の一部に切り欠き105bを設けた構成でも良い。なお、切り欠き105bは、複数であっても良い。
【実施例12】
【0077】
図17は、実施例12による回転伝達装置を示す。この回転伝達装置は、図17(a)に示すように、駆動軸1と駆動側連結部112と駆動側伝達部3が互いに接合された駆動側部材と、被駆動軸4と被駆動側連結部5と被駆動側伝達部6が互いに接合された被駆動側部材で構成されている。駆動側連結部112は、3つの突起112bを備える穴部112aを有し、被駆動側連結部5は、先端に凸状の球面形状部5aを有する。
【0078】
図17(b)は、(a)に示した駆動側連結部112の断面Cから見た図である。駆動側連結部112の穴部112aは、角度等分配置された3つの突起112bを備える。
【0079】
なお、図17に示した回転伝達装置は、駆動側連結部が、先端に凸状の球面形状部を有し、被駆動側連結部が円形の穴部を有する構成でも良い。
【0080】
図17(a)に示すように、駆動軸1は、軸受け12と軸受け13によって支持され、被駆動軸4は、軸受け14と軸受け15によって支持されている。なお、被駆動軸4が回転軸線に垂直な方向に移動できるように、軸受け14と被駆動軸4との間に嵌合ガタを設けている。これは、軸受け13と駆動軸1とに嵌合ガタを設けても良い。
【0081】
連結時において、駆動側部材と被駆動側部材とは、付勢手段であるバネ16によって互に軸方向に付勢され、これにより、駆動側連結部112の穴部112aの3つの突起112bと、被駆動側連結部5の球面形状部5aが接触し、3点接触部が形成される。これにより、駆動軸1の回転軸線と被駆動軸4の回転軸線は、同軸上に一致される。
【0082】
この状態で、駆動軸1の回転により、駆動側伝達部3と被駆動側伝達部6が係合し、係合部が形成され、回転伝達点(回転伝達部)7となる。なお、被駆動側連結部5の球面中心8と回転伝達点7の回転中心は一致していることが望ましい。
【0083】
なお、図17(c)に示すように、駆動側連結部112の穴部112aと、被駆動側連結部5の球面形状部5aの双方にそれぞれ3つの突起112b、5bを設けて、互に接触させる構成でも良い。
【0084】
また、3つの突起が作る内接円の半径が被駆動側連結部の球面形状部の曲率半径よりも小さい条件であれば、3つの突起は同一平面上になくても良い。
【0085】
ここで、駆動軸1の回転軸線と被駆動軸4の回転軸線が同軸上に一致されている状態について述べる。図18は、駆動側連結部112と被駆動側連結部5の連結部を断面Cから見たものである。図18(a)に示すように、2つの突起112bが球面形状部5aを支持する状態では、被駆動側連結部5に働く自重や外力の合力Fと、駆動側連結部112から被駆動側連結部5に働く2つの力N1が釣り合う。図18(b)は、(a)の状態より回転し、1つの突起112bのみが球面形状部5aを支持する状態を示す。このように回転しても、1つの突起112bに働く力N2と合力Fが釣り合う。このようにして、駆動軸1の回転軸線と被駆動軸4の回転軸線が同軸上に一致する状態を維持する。
【0086】
次に、連結部の寸法精度がばらついた場合について述べる。図19(a)に示すようにに、駆動側連結部112の突起112bの寸法精度がばらついた場合には、(b)に示すように、駆動側連結部112と被駆動側連結部5の位置関係がずれることによって、互いに3点で接触するようになる。
【0087】
図20は、図19(b)のモデル図を示す。駆動側連結部112が0度、90度、180度、270度に反時計回りに回転したときの回転伝達点7は、それぞれ点P、点Pa、点Pb、点Pc、被駆動側連結部5の中心はそれぞれ点Q、点Qa、点Qb、点Qcとなる。駆動側連結部112が回転すると被駆動側連結部5の中心が駆動側連結部112の中心の周りを半径一定で回転する。これより、連結部の寸法精度がばらついた場合でも、駆動側連結部112の回転軸線と被駆動側連結部5の回転軸線が一致されることがわかる。また、図20より、△OPQ=△OPaQa=△OPbQb=△OPcQcであるから、駆動側連結部112と被駆動側連結部5が一定の回転をしているので、連結部の寸法精度がばらついた場合でも、回転変動を抑制できることがわかる。
【0088】
比較のために、図29に示す従来例による回転伝達装置について説明する。この回転伝達装置は、駆動軸201と駆動側連結部202と駆動側伝達部203が互いに接合された駆動側と、被駆動軸204と被駆動側連結部205と被駆動側伝達部206が互いに接合された被駆動側で構成されている。駆動側連結部202は、テーパー形状の穴部202aを含み、被駆動側連結部205の先端は球面形状部205aとなっている。
【0089】
連結時には、駆動側連結部202と被駆動側連結部205が接触し、接触部が形成さる。これにより、駆動軸201の回転軸線と被駆動軸204の回転軸線は、同軸上に一致される。
【0090】
この回転伝達装置の連結部の寸法精度がばらついた場合は、例えば図29(b)、(c)に示すように、駆動側連結部202のテーパー形状の穴部202aの寸法精度がばらついて、断面が楕円になる。図29(b)に示す位置では、被駆動側連結部205に働く自重や外力の合力Fと、駆動側連結部202から被駆動側連結部205に働く力Nが釣り合う。しかし、図29(b)より駆動側連結部202が90度回転した(c)に示す位置では、摩擦力を無視すれば、駆動側連結部202と被駆動側連結部205の接触点において、合力Fと釣り合う力が発生しない。この状態で駆動側連結部202と被駆動側連結部205との間に芯ずれが生じ、回転変動が大きくなる。
【0091】
図28に別の従来例による回転伝達装置を示す。この回転伝達装置は、駆動軸201と駆動側連結部212と駆動側伝達部203が互いに接合された駆動側と、被駆動軸204と被駆動側連結部215と被駆動側伝達部206が互いに接合された被駆動側で構成されている。駆動側連結部212は、円形の穴部212aを含み、被駆動側連結部215の先端は凸状のテーパー部215aとなっている。
【0092】
連結時に、駆動側連結部212と被駆動側連結部215が接触し、接触部が形成さる。これにより、駆動軸201の回転軸線と被駆動軸204の回転軸線は、同軸上に一致される。
【0093】
この回転伝達装置の連結部の寸法精度がばらついた場合について述べる。駆動側連結部212と被駆動側連結部215の接触部だけでみると、駆動側連結部215のテーパー部215aの寸法精度がばらついて、断面が楕円になった場合に、図29に示す従来例による回転伝達装置と同じになる。すなわち、図29(c)に示すような状態で駆動側連結部と被駆動側連結部との間に芯ずれが生じ、回転変動が大きくなる。
【0094】
このように、部品公差によって連結部の寸法精度がばらついた場合、従来の回転伝達装置では、駆動側連結部の回転軸線と被駆動側連結部の回転軸線との間に芯ずれが生じ、回転変動が大きくなる。これに対して、本実施例の回転伝達装置は、駆動側連結部の回転軸線と被駆動側連結部の回転軸線が同軸上に一致されるため、回転変動が抑制されることがわかる。
【実施例13】
【0095】
図21は実施例13による回転伝達装置を示す。この回転伝達装置は、駆動軸121と被駆動軸124を弾性体で構成し、軸受け133と軸受け134を弾性体で構成する。この構成でも、実施例12と同様の効果を得ることができる。
【0096】
すなわち、駆動側部材と被駆動側部材はその回転軸線に垂直な方向に移動できるため、小さな付勢力で駆動軸と被駆動軸を同軸上に連結することができる。駆動軸と被駆動軸のうちの一方、あるいは2つの軸受けのうちの一方のみ弾性体で構成しても良い。
【実施例14】
【0097】
図22は、実施例14による回転伝達装置を示す。この回転伝達装置は、駆動軸1と駆動側連結部112と駆動側伝達部3が互いに接合された駆動側と、被駆動軸4と被駆動側連結部145と被駆動側伝達部6が互いに接合された被駆動側で構成されている。駆動側連結部112は、3つの突起112bを含んだ穴部112aを有し、被駆動側連結部145は、先端が凸状のテーパー部145aとなっている。この構成でも、実施例12と同様の効果を得ることができる。
【0098】
なお、3つの突起が作る内接円の半径が被駆動側連結部の凸状のテーパー部の半径よりも小さい条件であれば、3つの突起は、同一平面上になくても良い。
【実施例15】
【0099】
図23は、実施例15による回転伝達装置を示す。この回転伝達装置は、図23(a)に示すように、駆動軸1と駆動側連結部152と駆動側伝達部3が互いに接合された駆動側と、被駆動軸4と被駆動側連結部5と被駆動側伝達部6が互いに接合された被駆動側で構成されている。駆動側連結部152は、テーパー形状の穴部152aを有し、被駆動側連結部5は、先端に凸状の球面形状部5aを有する。図23(b)に示すように、駆動側連結部152のテーパー形状の穴部152aは、内側に3本のリブ状の突起152bを備える。この構成でも、実施例12と同様の効果を得ることができる。
【実施例16】
【0100】
図24は、実施例16による回転伝達装置について説明するもので、本実施例においては、駆動側連結部162が含んでいる3つの突起162bの内接円の半径Rは、被駆動側連結部5の凸状の球面形状部5aの半径以下である。かつ、駆動側連結部162の中心162cと3つの突起162bの内接円の中心162dとの距離は、駆動側連結部162の中心162cと回転伝達点7との距離より小さい構成となっている。この構成でも、実施例12と同様の効果を得ることができる。
【実施例17】
【0101】
図25は、実施例17による回転伝達装置の一部分を示す。この回転伝達装置の駆動側連結部172は、図25(a)に示すように、連結部を構成する穴部172aの中心からの距離が異なる2種類の突起172b、172cを有する。連結部にかかる外力が大きい場合、前記距離の小さい突起172cが変形する可能性がある。そのような場合には、連結部の中心からの距離の異なる突起172b、172cを備えることが有効である。変形時には図25(b)に示すように6点で接触し、3点で接触した場合と比較して変形しにくくなり、より確実な駆動側連結部172と被駆動側連結部5の位置決めが可能となる。
【実施例18】
【0102】
図26は、実施例18による回転伝達装置を示す。この回転伝達装置は、図26(a)に示すように、駆動軸1と駆動側連結部182と駆動側伝達部3が互いに接合された駆動側と、被駆動軸4と被駆動側連結部185と被駆動側伝達部6が互いに接合された被駆動側で構成されている。駆動側連結部182は、凹状の球面形状部182aを有し、被駆動側連結部185は、3つの突起185bを含んだ凸部185aを有する。図26(b)に示すように、駆動側連結部182の凹状の球面形状部182aは、被駆動側連結部185の角度等分配置された3つの突起185bに接触する。
【0103】
図26に示した回転伝達装置は、駆動側連結部が、3つの突起を含んだ凸部であって、被駆動側連結部が、凹状の球面形状部を含んだ構成でも良い。、駆動側連結部の球面中心と回転伝達点の回転中心は一致していることが望ましい。この構成でも、実施例12と同様の効果を得ることができる。
【実施例19】
【0104】
図27は、実施例19による回転伝達装置を示す。この回転伝達装置は、駆動軸1と駆動側連結部192と駆動側伝達部3が互いに接合された駆動側と、被駆動軸4と被駆動側連結部195と被駆動側伝達部6が互いに接合された被駆動側で構成されている。駆動側連結部192は、凹状のテーパー部192aを有し、被駆動側連結部195は、3つの突起195aを備える凸部195aを有する。
【0105】
なお、この回転伝達装置は、駆動側連結部が、3つの突起を含んだ凸部であって、被駆動側連結部が、凹状のテーパー部を含んだ穴部となっている構成でも良い。この構成でも、実施例12と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】実施例1による回転伝達装置を示すもので、(a)は軸方向の断面図、(b)は駆動軸と被駆動軸の回転軸線に傾きがある場合を示す図である。
【図2】図1の回転伝達装置の回転伝達部を説明する図である。
【図3】回転伝達点の回転中心と傾き支点の軸方向位置誤差を説明する図である。
【図4】回転変動を示すグラフである。
【図5】穴部が円形の場合の、形状誤差による軸方向位置誤差と、穴部がテーパー形状の場合の、係合円の直径誤差による軸方向位置誤差と、穴部がテーパー形状の場合の、テーパーの角度誤差による軸方向位置誤差を説明する図である。
【図6】形状誤差が直径誤差のみの場合の、円形とテーパー形状での軸方向位置誤差を比較するグラフと、形状誤差が円形直径誤差とテーパー角度誤差である場合の、円形とテーパー形状での傾き支点の軸方向位置誤差を比較するグラフを示す図である。
【図7】実施例2による回転伝達装置を示す軸方向の断面図である。
【図8】実施例3による回転伝達装置を示す軸方向の断面図である。
【図9】実施例4による回転伝達装置を示す軸方向の断面図である。
【図10】実施例5による回転伝達装置を示す軸方向の断面図である。
【図11】実施例6による回転伝達装置を示す軸方向の断面図である。
【図12】実施例7による回転伝達装置を示す軸方向の断面図である。
【図13】実施例8による回転伝達装置を示す軸方向の断面図である。
【図14】実施例9による回転伝達装置を示す軸方向の断面図である。
【図15】実施例10による回転伝達装置を示すもので、(a)は軸方向の断面図、(b)は(a)のA断面を示す図である。
【図16】実施例11による回転伝達装置を示す説明する図である。
【図17】実施例12による回転伝達装置を示すもので、(a)は軸方向の断面図、(b)は(a)のC断面を示す図、(c)は実施例12の変形例によるC断面を示す図である。
【図18】図17の回転伝達装置の連結部の機能を説明する図である。
【図19】図17の回転伝達装置の寸法精度がばらついた場合を説明する図である。
【図20】図19のモデル断面図である。
【図21】実施例13による回転伝達装置を示す軸方向の断面図である。
【図22】実施例14による回転伝達装置を示す軸方向の断面図である。
【図23】実施例15による回転伝達装置を示すもので、(a)は軸方向の断面図、(b)は駆動側連結部の端面を示す図である。
【図24】実施例16による回転伝達装置を説明する図である。
【図25】実施例17による回転伝達装置を説明する図である。
【図26】実施例18による回転伝達装置を示すもので、(a)は軸方向の断面図、(b)は(a)のC断面を示す図である。
【図27】実施例19による回転伝達装置を示す軸方向の断面図である。
【図28】従来例による回転伝達装置を示す軸方向の断面図である。
【図29】別の従来例による回転伝達装置を示すもので、(a)は軸方向の断面図、(b)、(c)は形状誤差がある場合を説明する図である。
【符号の説明】
【0107】
1、21、121 駆動軸
2、42、52、72、82、112、152、162、172、182、192 駆動側連結部
2a、42a、52a、72a、82a、112a、152a、162a、172a 穴部
3、93 駆動側伝達部
4、24、124 被駆動軸
5、65、75、95、145、185、195 被駆動側連結部
5a、65a、75a、95a、145a、182a 球面形状部
6、96 被駆動側伝達部
7 回転伝達点
8 球面中心
9 駆動軸の回転軸線
10 被駆動軸の回転軸線
12,13,14,15、33、34、133、134 軸受け
16 バネ
112b、152b、162b、172b、172c、185b、195b 突起
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動軸と被駆動軸を同軸上に連結して回転を伝達する回転伝達装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の回転伝達装置は、一方に、凸状の球面を含み、他方に、テーパー形状の穴部を含んだ連結部を備える。連結時には、この凸状の球面とテーパー形状の穴部が係合し、円形の係合部を形成することで、駆動軸の回転軸線と被駆動軸の回転軸線を同軸上に一致させると同時に、駆動軸と被駆動軸の軸方向の位置決めを行うものであった(特許文献1参照)。
【0003】
また、別の従来の回転伝達装置は、一方に、凸状のテーパー部を含み、他方に、円形の穴部を含んだ連結部を備える。連結時には、凸状のテーパー部と、前記穴部が係合し、係合部を形成することで、駆動軸の回転軸線と被駆動軸の回転軸線を同軸上に一致させると同時に、駆動軸と被駆動軸の軸方向の位置決めを行うものであった(特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2000−137360号公報
【特許文献2】特許第3262691号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の回転伝達装置では、駆動軸の回転軸線と被駆動軸の回転軸線との間に傾きが発生した際に、凹状のテーパー部の形状誤差(具体的には係合円の直径誤差とテーパーの角度誤差)により、球面中心と回転伝達点の回転中心がずれて、回転変動が大きくなる。
【0006】
また、部品公差によって、連結部の凸状の球面又は穴部の寸法精度がばらついた場合は、連結時に、凸状の球面とテーパー形の穴部との間に円形の係合部を形成できない。このため、駆動軸の回転軸線と被駆動軸の回転軸線との間に芯ずれが生じ、回転変動が大きくなるという問題があった。
【0007】
あるいは、部品公差によって、連結部の凸状のテーパー部と穴部の寸法精度がばらついた場合、連結時に、凸状のテーパー部と穴部との間に円形の係合部を形成できない。このため、駆動軸の回転軸線と被駆動軸の回転軸線との間に芯ずれが生じ、回転変動が大きくなるという問題があった。
【0008】
本発明は、駆動側部材と被駆動側部材を同軸上に連結する連結部において、部品の加工精度に係わりなく、良好な位置決め精度を達成できる回転伝達装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の回転伝達装置は、回転を伝達するための駆動側部材と被駆動側部材とを同軸上に連結する連結部と、前記同軸上における前記駆動側部材の回転を前記被駆動側部材に伝達するための回転伝達部と、を有する回転伝達装置において、前記連結部は、前記駆動側部材及び前記被駆動側部材のうちの一方に配置された球面形状部と、前記駆動側部材及び前記被駆動側部材のうちの他方に配置された、前記球面形状部の曲率半径より小さい開口径の穴部と、を有し、前記球面形状部を前記穴部の開口端に接触させることで、前記駆動側部材と前記被駆動側部材を前記同軸上に位置決めすることを特徴とする。
【0010】
また、回転を伝達するための駆動側部材と被駆動側部材とを同軸上に連結する連結部と、前記同軸上における前記駆動側部材の回転を前記被駆動側部材に伝達するための回転伝達部と、を有する回転伝達装置において、前記連結部は、前記駆動側部材と前記被駆動側部材を互に軸方向に付勢する付勢手段と、前記駆動側部材と前記被駆動側部材を少なくとも3点において接触させることで、前記駆動側部材と前記被駆動側部材を前記同軸上に位置決めする3点接触部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、連結部の中心と、回転伝達部の回転中心の位置決め精度に影響を及ぼすパラメータが、穴部の端部の開口径のみであるため、部品の加工精度を落としても、従来の回転伝達装置と同等の位置決め精度を達成できる。もしくは、従来の回転伝達装置と同等の加工精度でも、従来の回転伝達装置よりも良好な位置決め精度を達成することが可能となる。
【0012】
あるいは、連結部における駆動側部材と被駆動側部材の位置決めを、3点接触部によって行うことで、寸法精度にばらつきがあっても安定した位置決め精度を維持することができる。
【0013】
その結果、回転伝達装置の回転変動を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1ないし図16は第1の実施形態を説明するものである。
【0016】
第1の実施形態は,例えば、図1に示すように、駆動側部材と被駆動側部材の連結部において、駆動側部材及び被駆動側部材のうちの一方に配置された球面形状部5aと、他方に配置された、球面形状部5aの曲率半径より小さい開口径(内径)の穴部2aと、を有する。球面形状部5aを穴部2aの開口縁(開口端)2bに接触させることで、駆動側部材と被駆動側部材を同軸上に位置決めする。
【0017】
穴部2aの開口端を球面形状部5aに接触させる構成であるため、穴部2aや球面形状部5aの寸法精度のばらつき等に係わりなく、良好な位置決め精度を達成できる。
【0018】
図17ないし図27は第2の実施形態を説明するものである。
【0019】
第2の実施形態は、例えば図17に示すように、駆動側部材と被駆動側部材を互に軸方向に付勢する付勢手段であるバネ16と、駆動側部材と被駆動側部材を少なくとも3点において接触させる突起112bを有する。3点接触部によって駆動側部材と被駆動側部材を同軸上に位置決めするものであるため、部品の加工精度に係わりなく、良好な位置決め精度を達成できる。
【実施例1】
【0020】
図1は、実施例1による回転伝達装置を示す。この回転伝達装置は、駆動軸1と駆動側連結部2と駆動側伝達部3が互いに接合された駆動側部材と、被駆動軸4と被駆動側連結部5と被駆動側伝達部6が互いに接合された被駆動側部材で構成されている。駆動側連結部2は、円形の穴部2aを有し、被駆動側連結部5は、先端に凸状の球面形状部5aを有する。駆動側連結部2の円形(円筒形)の穴部2aの開口径(内径)は、被駆動側連結部5の球面形状部5aの曲率半径よりも小さいため、球面形状部5aは穴部2aの開口縁(開口端)2bに接触し、円形の接触部を形成する。
【0021】
図2(a)は、図1に示した回転伝達装置の回転伝達部を矢印Bより見た図を示す。被駆動側伝達部6は、爪と突起6aで構成された係合手段を有し、駆動側伝達部3は、爪のみで構成された係合手段を有する。なお、図2(b)に示すように、駆動側伝達部3と被駆動側伝達部6がともに突起を持たない爪のみの係合手段を有する構成でも良い。
【0022】
また、図1に示した回転伝達装置は、駆動側連結部が、先端に凸状の球面形状部を有し、被駆動側連結部が、円形の穴部を有する構成でも良い。
【0023】
駆動軸1は、軸受け12と軸受け13によって支持され、被駆動軸4は、軸受け14と軸受け15によって支持されている。なお、駆動軸1の回転軸線に垂直な方向に移動できるように、軸受け13と駆動軸1との間に嵌合ガタを設けている。また、軸受け部材14と被駆動軸4とに嵌合ガタを設けても良い。
【0024】
連結時において、駆動側部材と被駆動側部材は付勢手段であるバネ16によって互に軸方向に付勢され、駆動側連結部2の穴部2aと、被駆動側連結部5の球面形状部5aが接触し、駆動軸1と被駆動軸4を同軸上に連結する連結部が形成される。
【0025】
駆動軸1の回転により、駆動側伝達部3と被駆動側伝達部6が係合し、この駆動側伝達部3と被駆動側伝達部6の係合部が回転伝達点(回転伝達部)7となる。なお、回転伝達点7は、被駆動側連結部5の球面中心8を含み、駆動軸1の回転軸線9を法線とする面Aの面内にある。
【0026】
図1(b)に、駆動軸1の回転軸線9と被駆動軸4の回転軸線10との間に傾きがある場合を示す。この傾きの支点は、球面中心8となる。この場合でも、回転伝達点7は、球面中心8を含み、回転軸線9を法線とする面Aの面内にあり、回転伝達点7の回転中心と回転軸線9と回転軸線10との間の傾きの支点、つまり、球面中心8は一致している。
【0027】
ここで、図3を用いて、回転軸線9と回転軸線10との間に傾きがある場合の、傾きの支点fである球面中心8と、回転伝達点7の回転中心との位置精度と回転変動の関係について説明する。
【0028】
図3(a)において、回転軸線9と回転軸線10との間の傾き角度をφ、傾きのない場合の回転伝達点7を点P、点Pの回転中心O、傾きのある場合の回転伝達点7を点P1、点P1の回転中心O1とする。また、傾きの支点fと点Pの回転中心Oとの軸方向位置誤差をΔX、点Pと点P1の軸方向に垂直な方向の距離をΔY、回転伝達点7とその回転中心Oの距離をRpとする。
【0029】
図3(b)は、駆動軸1がθ回転したしたときの図3(a)を矢印B方向から見た図である。図3(b)より、駆動軸1がθ回転したしたときの駆動軸1と被駆動軸4の回転変動Δθは、次の式で表される。
【0030】
【数1】
【0031】
ここで、ΔYとΔXは、ΔY=ΔX*sinφの関係があるので、上式は次の式で表される。
【0032】
【数2】
【0033】
上式より求めた、駆動軸1が一回転した際の回転変動Δθを図4のグラフに示す。このグラフより、傾きの支点fと点Pの回転中心Oとの軸方向位置誤差ΔX=0mmの場合が、ΔX=0.2mmの場合に比べて、回転変動量が小さいことが分かる。言い換えると、回転伝達点7の回転中心と、回転軸線9と回転軸線10との傾きの支点fである球面中心8が一致している場合が、一致していない場合と比べて、回転変動量が抑制されることが分かる。
【0034】
つまり、図1(b)で示したように回転軸線9と回転軸線10との間に傾きがある場合でも、回転変動量が抑制されることが分かる。
【0035】
比較のために、図29(a)に示す従来の回転伝達装置について説明する。従来の回転伝達装置は、駆動軸201と駆動側連結部202と駆動側伝達部203が互いに接合された駆動側と、被駆動軸204と被駆動側連結部205と被駆動側伝達部209が互いに接合された被駆動側で構成されている。駆動側連結部202は、テーパー形状の穴部202aを含み、被駆動側連結部205の先端は球面形状部205aとなっている。
【0036】
連結時に、駆動側連結部202と被駆動側連結部205が接触し、接触部が形成さる。これにより、駆動軸201の回転軸線と被駆動軸204の回転軸線は、同軸上に一致される。
【0037】
図5は、実施例1による回転伝達装置と、図29に示した従来の回転伝達装置の形状誤差による軸方向位置誤差を比較するものである。
【0038】
図5(a)は、本実施例による回転伝達装置の連結部を示す。この回転伝達装置の連結部の一方は、円形(円筒形)の穴部2aであり、他方は、凸状の球面形状部5aである。
【0039】
ここで、円筒形の穴部の半径をR、凸状の球面形状部の半径をRdとすると、円筒形の穴部の半径Rが、ΔRだけ小さくなったときの球面形状部の球面中心の軸方向位置誤差ΔXは、次の式で表される。
【0040】
【数3】
【0041】
図5(b)、(c)は、従来の回転伝達装置の連結部を示す。この回転伝達装置の連結部の一方は、テーパー形状の穴部202aであり、他方は、凸状の球面形状部505aである。
【0042】
ここで、図5(b)より、テーパー形状の穴部と凸状の球面形状部とが係合(接触)してできた係合円の半径をR、凸状の球面の半径をRd、テーパー角をψとする。係合円の半径Rが、ΔRだけ小さくなったときの凸状の球面形状部の球面中心の軸方向位置誤差ΔX1は、次の式で表される。
【0043】
【数4】
【0044】
また、図5(c)より、テーパー角ψが、Δψだけ小さくなったときの凸状の球面形状部の球面中心の軸方向位置誤差ΔX2は、次の式で表される。
【0045】
【数5】
【0046】
上記の2式より、穴部がテーパー形状である場合の軸方向位置誤差ΔXは次の式で表される。
【0047】
【数6】
【0048】
図6(a)に、R=5mm、Rd=6mm、Δψ=0degとしたときの、半径誤差ΔRを変化させた場合の軸方向位置誤差ΔXを示す。また、図6(b)に、R=5mm、Rd=6mm、ΔR=0.2mmとしたときの、テーパー角度誤差Δψを変化させた場合の軸方向位置誤差ΔXを算出した計算結果を示す。なお、このときのテーパー角度はψ=arccos(R/Rd)=33.56degとなる。
【0049】
図6(a)より、半径誤差ΔRを変化させた場合では、穴部が円筒形である場合と、テーパー形状である場合で、軸方向誤差ΔXにほとんど違いがないことが分かる。しかし、図6(b)に示すように、テーパー角度誤差Δφを変化させた場合では、穴部が円筒形である場合より、テーパー形状である場合の方が、軸方向位置誤差ΔXが大きくなることが分かる。
【0050】
以上より、穴部が円筒形である本実施例の回転伝達装置より、テーパー形状である従来の回転伝達装置の方が、同じ形状誤差による軸方向位置誤差ΔXが大きいことが分かる。
【実施例2】
【0051】
図7は、実施例2による回転伝達装置を示す。この回転伝達装置は、実施例1の軸受け13に嵌合ガタを設ける代わりに、弾性体で構成される駆動軸21と被駆動軸24を有し、軸受け33、34も弾性体で構成されている。この構成でも、実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0052】
駆動軸と被駆動軸のうちの少なくとも一方が弾性体であれば良い。また、少なくとも1つの軸受けが弾性体であれば良い。
【実施例3】
【0053】
図8は、実施例3による回転伝達装置を示す。この回転伝達装置は、駆動軸1に付勢手段であるハス歯歯車36を接合した構成となっている。連結時において、駆動側と被駆動側は、ハス歯歯車36によって付勢され、これにより、実施例1と同様の効果を得ることができる。なお、付勢手段は、ハス歯歯車以外に、磁力を用いた吸引力又は反発力を用いた構成でも良い。
【実施例4】
【0054】
図9は、実施例4による回転伝達装置を示す。この回転伝達装置は、駆動軸1と駆動側連結部42と駆動側伝達部3が互いに接合された駆動側と、被駆動軸4と被駆動側連結部5と被駆動側伝達部6が互いに接合された被駆動側で構成されている。駆動側連結部42は、テーパー形状の穴部42aを有する。
【0055】
駆動側連結部42のテーパー形状の穴部42aの被駆動側に近い開口端の開口縁42bの開口径は、被駆動側連結部5の球面形状部5aの曲率半径よりも小さい。また、駆動側連結部42のテーパー形状の穴部42aは、被駆動側連結部5の接触部における球面の接線方向と異なるテーパー角を有する。
【0056】
連結時には、駆動側連結部42の被駆動側に近い穴部42aの端部の開口縁42bのみが、被駆動側の球面形状部5aと接触し、接触部を形成する。この構成でも、実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0057】
なお、図9に示した回転伝達装置は、駆動側連結部が、先端に凸状の球面形状部を有し、被駆動側連結部が、テーパー形状の穴部を有する構成でも良い。
【実施例5】
【0058】
図10は、実施例5による回転伝達装置を示す。この回転伝達装置は、駆動軸1と駆動側連結部52と駆動側伝達部3が互いに接合された駆動側と、被駆動軸4と被駆動側連結部5と被駆動側伝達部6が互いに接合された被駆動側で構成されている。駆動側連結部52の穴部52aは、テーパー形状の開口縁(開口端)52bを有し、被駆動側連結部5は、先端に凸状の球面形状部5aを有する。
【0059】
駆動側連結部52のテーパー形状の開口縁52bの開口径は、被駆動側連結部5の球面形状部5aの曲率半径よりも小さい。また、駆動側連結部52のテーパー形状の開口縁52bは、被駆動側連結部5の先端の球面形状部5aと接触する接触部における球面の接線方向と異なるテーパー角である。
【0060】
連結時には、駆動側連結部52の穴部52aの開口縁52bのみが、被駆動軸5の球面形状部5aと接触し、接触部を形成する。この構成でも、実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0061】
なお、図10に示した回転伝達装置は、駆動側連結部が、先端に凸状の球面形状部を有し、被駆動側連結部が、円形の穴部を有する構成でも良い。
【実施例6】
【0062】
図11は、実施例6による回転伝達装置を示す。この回転伝達装置は、駆動軸1と駆動側連結部52と駆動側伝達部3が互いに接合された駆動側と、被駆動軸4と被駆動側連結部5と被駆動側伝達部6が互いに接合された被駆動側で構成されている。駆動側連結部52は、円形の穴部52aを有し、被駆動側連結部5は、先端に凸状の球面形状部5aを有する。
【0063】
駆動側連結部52の円形の穴部52aの、被駆動側連結部5の先端の球面形状部5aと接触する接触部は、R形状の開口縁52cとなっている。この構成でも、実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0064】
なお、図11に示した回転伝達装置は、駆動側連結部が、先端に凸状の球面形状部を有し、被駆動側連結部が、円形の穴部を有する構成でも良い。
【実施例7】
【0065】
図12は、実施例7による回転伝達装置を示す。この回転伝達装置は、駆動軸1と駆動側連結部2と駆動側伝達部3が互いに接合された駆動側と、被駆動軸4と被駆動側連結部65と被駆動側伝達部6が互いに接合された被駆動側で構成されている。駆動側連結部2は、円形の穴部2aを有し、被駆動側連結部65は、駆動側連結部2と接触する接触部近傍のみが球面の一部を含む球面形状部65aを有する。この構成でも、実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0066】
なお、図12に示した回転伝達装置は、駆動側連結部が、先端に凸状の球面形状部を有し、被駆動側連結部が、円形の穴部を有する構成でも良い。
【実施例8】
【0067】
図13は、実施例8による回転伝達装置を示す。この回転伝達装置は、駆動軸1と駆動側連結部72と駆動側伝達部3が互いに接合された駆動側と、被駆動軸4と被駆動側連結部75と被駆動側伝達部6が互いに接合された被駆動側で構成されている。駆動側連結部72は、円形の穴部72aを有し、被駆動側連結部75は、駆動側連結部2と接触する接触部近傍のみが球面の一部を含む球面形状部75aを有する。また、駆動側伝達部3及び被駆動側伝達部6は、前記球面の内側に配置されている。この構成でも、実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0068】
なお、図13に示した回転伝達装置は、駆動側連結部が、球面形状部を有し、被駆動側連結部が、円形の穴部を有する構成でも良い。
【実施例9】
【0069】
図14は、実施例9による回転伝達装置を示す。この回転伝達装置は、駆動軸1と駆動側連結部82と駆動側伝達部3が互いに接合された駆動側と、被駆動軸4と被駆動側連結部5と被駆動側伝達部6が互いに接合された被駆動側で構成されている。駆動側連結部82は、異なる半径を持つ2つの円形の穴部82a、82cを有し、被駆動側連結部5は、先端に凸状の球面形状部5aを有する。駆動側連結部82の小さい方の円形の穴部82aの開口径は、被駆動側連結部5の球面形状部5aの曲率半径よりも小さい。そして、大きい方の円形の穴部82cが、小さい方の円形の穴部82aより被駆動側に近い構成となっている。
【0070】
連結時に、駆動側連結部82の小さい方の円形の穴部82aの開口端と、被駆動側連結部5の球面形状部5aが接触するが、このとき駆動側連結部82の大きいほうの円形の穴部82cが、被駆動側の球面形状部5aの案内となることで、連結しやすくしている。この構成でも、実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0071】
なお、図14に示した回転伝達装置は、駆動側連結部が、球面形状部を有し、被駆動側連結部が、異なる半径を持つ2つの円形の穴部を有する構成でも良い。
【実施例10】
【0072】
図15は、実施例10による回転伝達装置を示す。この回転伝達装置は、図15(a)に示すように、駆動軸1と駆動側連結部2と駆動側伝達部93が互いに接合された駆動側と、被駆動軸4と被駆動側連結部95と被駆動側伝達部96が互いに接合された被駆動側で構成されている。
【0073】
図15(b)に、(a)の断面Aを見た図を示す。駆動側伝達部93は、凹状の三角形状部を有し、被駆動側伝達部96は、凸状の三角形状部を有する。駆動軸1が回転すると、駆動側連結部93と被駆動側連結部96が接触して、3つの係合部による回転伝達部7が形成される。この構成でも、実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0074】
なお、図15に示した回転伝達装置は、駆動側伝達部が、凸状の三角形状部を有し、被駆動側伝達部が、凹状の三角形状となっている構成でも良い。また、駆動側伝達部と被駆動側伝達部の形状は、多角形の凹形状と凸形状でも良い。
【実施例11】
【0075】
図16は、実施例11による回転伝達装置について説明するものである。図16(a)に示すように、回転伝達装置の駆動側連結部102は、円形の穴部102aの一部に切り欠き102cを設けた構成となっている。この構成でも、実施例1と同様の効果を得ることができる。なお、切り欠き102cは、複数であっても良い。
【0076】
また、図16(b)に示すように、回転伝達装置の被駆動側連結部105の球面形状部105aの球面の一部に切り欠き105bを設けた構成でも良い。なお、切り欠き105bは、複数であっても良い。
【実施例12】
【0077】
図17は、実施例12による回転伝達装置を示す。この回転伝達装置は、図17(a)に示すように、駆動軸1と駆動側連結部112と駆動側伝達部3が互いに接合された駆動側部材と、被駆動軸4と被駆動側連結部5と被駆動側伝達部6が互いに接合された被駆動側部材で構成されている。駆動側連結部112は、3つの突起112bを備える穴部112aを有し、被駆動側連結部5は、先端に凸状の球面形状部5aを有する。
【0078】
図17(b)は、(a)に示した駆動側連結部112の断面Cから見た図である。駆動側連結部112の穴部112aは、角度等分配置された3つの突起112bを備える。
【0079】
なお、図17に示した回転伝達装置は、駆動側連結部が、先端に凸状の球面形状部を有し、被駆動側連結部が円形の穴部を有する構成でも良い。
【0080】
図17(a)に示すように、駆動軸1は、軸受け12と軸受け13によって支持され、被駆動軸4は、軸受け14と軸受け15によって支持されている。なお、被駆動軸4が回転軸線に垂直な方向に移動できるように、軸受け14と被駆動軸4との間に嵌合ガタを設けている。これは、軸受け13と駆動軸1とに嵌合ガタを設けても良い。
【0081】
連結時において、駆動側部材と被駆動側部材とは、付勢手段であるバネ16によって互に軸方向に付勢され、これにより、駆動側連結部112の穴部112aの3つの突起112bと、被駆動側連結部5の球面形状部5aが接触し、3点接触部が形成される。これにより、駆動軸1の回転軸線と被駆動軸4の回転軸線は、同軸上に一致される。
【0082】
この状態で、駆動軸1の回転により、駆動側伝達部3と被駆動側伝達部6が係合し、係合部が形成され、回転伝達点(回転伝達部)7となる。なお、被駆動側連結部5の球面中心8と回転伝達点7の回転中心は一致していることが望ましい。
【0083】
なお、図17(c)に示すように、駆動側連結部112の穴部112aと、被駆動側連結部5の球面形状部5aの双方にそれぞれ3つの突起112b、5bを設けて、互に接触させる構成でも良い。
【0084】
また、3つの突起が作る内接円の半径が被駆動側連結部の球面形状部の曲率半径よりも小さい条件であれば、3つの突起は同一平面上になくても良い。
【0085】
ここで、駆動軸1の回転軸線と被駆動軸4の回転軸線が同軸上に一致されている状態について述べる。図18は、駆動側連結部112と被駆動側連結部5の連結部を断面Cから見たものである。図18(a)に示すように、2つの突起112bが球面形状部5aを支持する状態では、被駆動側連結部5に働く自重や外力の合力Fと、駆動側連結部112から被駆動側連結部5に働く2つの力N1が釣り合う。図18(b)は、(a)の状態より回転し、1つの突起112bのみが球面形状部5aを支持する状態を示す。このように回転しても、1つの突起112bに働く力N2と合力Fが釣り合う。このようにして、駆動軸1の回転軸線と被駆動軸4の回転軸線が同軸上に一致する状態を維持する。
【0086】
次に、連結部の寸法精度がばらついた場合について述べる。図19(a)に示すようにに、駆動側連結部112の突起112bの寸法精度がばらついた場合には、(b)に示すように、駆動側連結部112と被駆動側連結部5の位置関係がずれることによって、互いに3点で接触するようになる。
【0087】
図20は、図19(b)のモデル図を示す。駆動側連結部112が0度、90度、180度、270度に反時計回りに回転したときの回転伝達点7は、それぞれ点P、点Pa、点Pb、点Pc、被駆動側連結部5の中心はそれぞれ点Q、点Qa、点Qb、点Qcとなる。駆動側連結部112が回転すると被駆動側連結部5の中心が駆動側連結部112の中心の周りを半径一定で回転する。これより、連結部の寸法精度がばらついた場合でも、駆動側連結部112の回転軸線と被駆動側連結部5の回転軸線が一致されることがわかる。また、図20より、△OPQ=△OPaQa=△OPbQb=△OPcQcであるから、駆動側連結部112と被駆動側連結部5が一定の回転をしているので、連結部の寸法精度がばらついた場合でも、回転変動を抑制できることがわかる。
【0088】
比較のために、図29に示す従来例による回転伝達装置について説明する。この回転伝達装置は、駆動軸201と駆動側連結部202と駆動側伝達部203が互いに接合された駆動側と、被駆動軸204と被駆動側連結部205と被駆動側伝達部206が互いに接合された被駆動側で構成されている。駆動側連結部202は、テーパー形状の穴部202aを含み、被駆動側連結部205の先端は球面形状部205aとなっている。
【0089】
連結時には、駆動側連結部202と被駆動側連結部205が接触し、接触部が形成さる。これにより、駆動軸201の回転軸線と被駆動軸204の回転軸線は、同軸上に一致される。
【0090】
この回転伝達装置の連結部の寸法精度がばらついた場合は、例えば図29(b)、(c)に示すように、駆動側連結部202のテーパー形状の穴部202aの寸法精度がばらついて、断面が楕円になる。図29(b)に示す位置では、被駆動側連結部205に働く自重や外力の合力Fと、駆動側連結部202から被駆動側連結部205に働く力Nが釣り合う。しかし、図29(b)より駆動側連結部202が90度回転した(c)に示す位置では、摩擦力を無視すれば、駆動側連結部202と被駆動側連結部205の接触点において、合力Fと釣り合う力が発生しない。この状態で駆動側連結部202と被駆動側連結部205との間に芯ずれが生じ、回転変動が大きくなる。
【0091】
図28に別の従来例による回転伝達装置を示す。この回転伝達装置は、駆動軸201と駆動側連結部212と駆動側伝達部203が互いに接合された駆動側と、被駆動軸204と被駆動側連結部215と被駆動側伝達部206が互いに接合された被駆動側で構成されている。駆動側連結部212は、円形の穴部212aを含み、被駆動側連結部215の先端は凸状のテーパー部215aとなっている。
【0092】
連結時に、駆動側連結部212と被駆動側連結部215が接触し、接触部が形成さる。これにより、駆動軸201の回転軸線と被駆動軸204の回転軸線は、同軸上に一致される。
【0093】
この回転伝達装置の連結部の寸法精度がばらついた場合について述べる。駆動側連結部212と被駆動側連結部215の接触部だけでみると、駆動側連結部215のテーパー部215aの寸法精度がばらついて、断面が楕円になった場合に、図29に示す従来例による回転伝達装置と同じになる。すなわち、図29(c)に示すような状態で駆動側連結部と被駆動側連結部との間に芯ずれが生じ、回転変動が大きくなる。
【0094】
このように、部品公差によって連結部の寸法精度がばらついた場合、従来の回転伝達装置では、駆動側連結部の回転軸線と被駆動側連結部の回転軸線との間に芯ずれが生じ、回転変動が大きくなる。これに対して、本実施例の回転伝達装置は、駆動側連結部の回転軸線と被駆動側連結部の回転軸線が同軸上に一致されるため、回転変動が抑制されることがわかる。
【実施例13】
【0095】
図21は実施例13による回転伝達装置を示す。この回転伝達装置は、駆動軸121と被駆動軸124を弾性体で構成し、軸受け133と軸受け134を弾性体で構成する。この構成でも、実施例12と同様の効果を得ることができる。
【0096】
すなわち、駆動側部材と被駆動側部材はその回転軸線に垂直な方向に移動できるため、小さな付勢力で駆動軸と被駆動軸を同軸上に連結することができる。駆動軸と被駆動軸のうちの一方、あるいは2つの軸受けのうちの一方のみ弾性体で構成しても良い。
【実施例14】
【0097】
図22は、実施例14による回転伝達装置を示す。この回転伝達装置は、駆動軸1と駆動側連結部112と駆動側伝達部3が互いに接合された駆動側と、被駆動軸4と被駆動側連結部145と被駆動側伝達部6が互いに接合された被駆動側で構成されている。駆動側連結部112は、3つの突起112bを含んだ穴部112aを有し、被駆動側連結部145は、先端が凸状のテーパー部145aとなっている。この構成でも、実施例12と同様の効果を得ることができる。
【0098】
なお、3つの突起が作る内接円の半径が被駆動側連結部の凸状のテーパー部の半径よりも小さい条件であれば、3つの突起は、同一平面上になくても良い。
【実施例15】
【0099】
図23は、実施例15による回転伝達装置を示す。この回転伝達装置は、図23(a)に示すように、駆動軸1と駆動側連結部152と駆動側伝達部3が互いに接合された駆動側と、被駆動軸4と被駆動側連結部5と被駆動側伝達部6が互いに接合された被駆動側で構成されている。駆動側連結部152は、テーパー形状の穴部152aを有し、被駆動側連結部5は、先端に凸状の球面形状部5aを有する。図23(b)に示すように、駆動側連結部152のテーパー形状の穴部152aは、内側に3本のリブ状の突起152bを備える。この構成でも、実施例12と同様の効果を得ることができる。
【実施例16】
【0100】
図24は、実施例16による回転伝達装置について説明するもので、本実施例においては、駆動側連結部162が含んでいる3つの突起162bの内接円の半径Rは、被駆動側連結部5の凸状の球面形状部5aの半径以下である。かつ、駆動側連結部162の中心162cと3つの突起162bの内接円の中心162dとの距離は、駆動側連結部162の中心162cと回転伝達点7との距離より小さい構成となっている。この構成でも、実施例12と同様の効果を得ることができる。
【実施例17】
【0101】
図25は、実施例17による回転伝達装置の一部分を示す。この回転伝達装置の駆動側連結部172は、図25(a)に示すように、連結部を構成する穴部172aの中心からの距離が異なる2種類の突起172b、172cを有する。連結部にかかる外力が大きい場合、前記距離の小さい突起172cが変形する可能性がある。そのような場合には、連結部の中心からの距離の異なる突起172b、172cを備えることが有効である。変形時には図25(b)に示すように6点で接触し、3点で接触した場合と比較して変形しにくくなり、より確実な駆動側連結部172と被駆動側連結部5の位置決めが可能となる。
【実施例18】
【0102】
図26は、実施例18による回転伝達装置を示す。この回転伝達装置は、図26(a)に示すように、駆動軸1と駆動側連結部182と駆動側伝達部3が互いに接合された駆動側と、被駆動軸4と被駆動側連結部185と被駆動側伝達部6が互いに接合された被駆動側で構成されている。駆動側連結部182は、凹状の球面形状部182aを有し、被駆動側連結部185は、3つの突起185bを含んだ凸部185aを有する。図26(b)に示すように、駆動側連結部182の凹状の球面形状部182aは、被駆動側連結部185の角度等分配置された3つの突起185bに接触する。
【0103】
図26に示した回転伝達装置は、駆動側連結部が、3つの突起を含んだ凸部であって、被駆動側連結部が、凹状の球面形状部を含んだ構成でも良い。、駆動側連結部の球面中心と回転伝達点の回転中心は一致していることが望ましい。この構成でも、実施例12と同様の効果を得ることができる。
【実施例19】
【0104】
図27は、実施例19による回転伝達装置を示す。この回転伝達装置は、駆動軸1と駆動側連結部192と駆動側伝達部3が互いに接合された駆動側と、被駆動軸4と被駆動側連結部195と被駆動側伝達部6が互いに接合された被駆動側で構成されている。駆動側連結部192は、凹状のテーパー部192aを有し、被駆動側連結部195は、3つの突起195aを備える凸部195aを有する。
【0105】
なお、この回転伝達装置は、駆動側連結部が、3つの突起を含んだ凸部であって、被駆動側連結部が、凹状のテーパー部を含んだ穴部となっている構成でも良い。この構成でも、実施例12と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】実施例1による回転伝達装置を示すもので、(a)は軸方向の断面図、(b)は駆動軸と被駆動軸の回転軸線に傾きがある場合を示す図である。
【図2】図1の回転伝達装置の回転伝達部を説明する図である。
【図3】回転伝達点の回転中心と傾き支点の軸方向位置誤差を説明する図である。
【図4】回転変動を示すグラフである。
【図5】穴部が円形の場合の、形状誤差による軸方向位置誤差と、穴部がテーパー形状の場合の、係合円の直径誤差による軸方向位置誤差と、穴部がテーパー形状の場合の、テーパーの角度誤差による軸方向位置誤差を説明する図である。
【図6】形状誤差が直径誤差のみの場合の、円形とテーパー形状での軸方向位置誤差を比較するグラフと、形状誤差が円形直径誤差とテーパー角度誤差である場合の、円形とテーパー形状での傾き支点の軸方向位置誤差を比較するグラフを示す図である。
【図7】実施例2による回転伝達装置を示す軸方向の断面図である。
【図8】実施例3による回転伝達装置を示す軸方向の断面図である。
【図9】実施例4による回転伝達装置を示す軸方向の断面図である。
【図10】実施例5による回転伝達装置を示す軸方向の断面図である。
【図11】実施例6による回転伝達装置を示す軸方向の断面図である。
【図12】実施例7による回転伝達装置を示す軸方向の断面図である。
【図13】実施例8による回転伝達装置を示す軸方向の断面図である。
【図14】実施例9による回転伝達装置を示す軸方向の断面図である。
【図15】実施例10による回転伝達装置を示すもので、(a)は軸方向の断面図、(b)は(a)のA断面を示す図である。
【図16】実施例11による回転伝達装置を示す説明する図である。
【図17】実施例12による回転伝達装置を示すもので、(a)は軸方向の断面図、(b)は(a)のC断面を示す図、(c)は実施例12の変形例によるC断面を示す図である。
【図18】図17の回転伝達装置の連結部の機能を説明する図である。
【図19】図17の回転伝達装置の寸法精度がばらついた場合を説明する図である。
【図20】図19のモデル断面図である。
【図21】実施例13による回転伝達装置を示す軸方向の断面図である。
【図22】実施例14による回転伝達装置を示す軸方向の断面図である。
【図23】実施例15による回転伝達装置を示すもので、(a)は軸方向の断面図、(b)は駆動側連結部の端面を示す図である。
【図24】実施例16による回転伝達装置を説明する図である。
【図25】実施例17による回転伝達装置を説明する図である。
【図26】実施例18による回転伝達装置を示すもので、(a)は軸方向の断面図、(b)は(a)のC断面を示す図である。
【図27】実施例19による回転伝達装置を示す軸方向の断面図である。
【図28】従来例による回転伝達装置を示す軸方向の断面図である。
【図29】別の従来例による回転伝達装置を示すもので、(a)は軸方向の断面図、(b)、(c)は形状誤差がある場合を説明する図である。
【符号の説明】
【0107】
1、21、121 駆動軸
2、42、52、72、82、112、152、162、172、182、192 駆動側連結部
2a、42a、52a、72a、82a、112a、152a、162a、172a 穴部
3、93 駆動側伝達部
4、24、124 被駆動軸
5、65、75、95、145、185、195 被駆動側連結部
5a、65a、75a、95a、145a、182a 球面形状部
6、96 被駆動側伝達部
7 回転伝達点
8 球面中心
9 駆動軸の回転軸線
10 被駆動軸の回転軸線
12,13,14,15、33、34、133、134 軸受け
16 バネ
112b、152b、162b、172b、172c、185b、195b 突起
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転を伝達するための駆動側部材と被駆動側部材とを同軸上に連結する連結部と、
前記同軸上における前記駆動側部材の回転を前記被駆動側部材に伝達するための回転伝達部と、を有する回転伝達装置において、
前記連結部は、
前記駆動側部材及び前記被駆動側部材のうちの一方に配置された球面形状部と、
前記駆動側部材及び前記被駆動側部材のうちの他方に配置された、前記球面形状部の曲率半径より小さい開口径の穴部と、を有し、
前記球面形状部を前記穴部の開口端に接触させることで、前記駆動側部材と前記被駆動側部材を前記同軸上に位置決めすることを特徴とする回転伝達装置。
【請求項2】
前記駆動側部材と前記被駆動側部材を互に軸方向に付勢する付勢手段を有することを特徴とする請求項1に記載の回転伝達装置。
【請求項3】
前記回転伝達部は、前記球面形状部の球面中心を含み、前記駆動側部材の回転軸線を法線とする面内に配置された係合手段を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の回転伝達装置。
【請求項4】
前記回転伝達部は、前記球面形状部の球面中心を含み、前記被駆動側部材の回転軸線を法線とする面内に配置された係合手段を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の回転伝達装置。
【請求項5】
前記球面形状部と前記穴部の接触部が円形であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の回転伝達装置。
【請求項6】
前記穴部には、少なくとも1つの切り欠きが形成されていることを特徴とする請求項5に記載の回転伝達装置。
【請求項7】
前記穴部が、テーパー形状を有することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の回転伝達装置。
【請求項8】
前記回転伝達部が、3つの係合部を有することを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の回転伝達装置。
【請求項9】
回転を伝達するための駆動側部材と被駆動側部材とを同軸上に連結する連結部と、
前記同軸上における前記駆動側部材の回転を前記被駆動側部材に伝達するための回転伝達部と、を有する回転伝達装置において、
前記連結部は、
前記駆動側部材と前記被駆動側部材を互に軸方向に付勢する付勢手段と、
前記駆動側部材と前記被駆動側部材を少なくとも3点において接触させることで、前記駆動側部材と前記被駆動側部材を前記同軸上に位置決めする3点接触部と、を有することを特徴とする回転伝達装置。
【請求項10】
前記駆動側部材及び前記被駆動側部材のうちの一方が凸状の球面形状部を有し、他方が少なくとも3つの突起を備えた穴部を有することを特徴とする請求項9に記載の回転伝達装置。
【請求項11】
前記駆動側部材及び前記被駆動側部材のうちの一方が凸状のテーパー部を有し、他方が少なくとも3つの突起を備えた穴部を有することを特徴とする請求項9に記載の回転伝達装置。
【請求項12】
前記駆動側部材及び前記被駆動側部材のうちの一方が凹状の球面形状部を備えた穴部を有し、他方が少なくとも3つの突起を備えた凸部を有することを特徴とする請求項9に記載の回転伝達装置。
【請求項13】
前記駆動側部材及び前記被駆動側部材のうちの一方が凹状のテーパー部を備えた穴部を有し、他方が少なくとも3つの突起を備えた凸部を有することを特徴とする請求項9に記載の回転伝達装置。
【請求項14】
前記駆動側部材及び前記被駆動側部材のうちの少なくとも一方が、その回転軸線に垂直な方向に移動できることを特徴とする請求項1ないし13のいずれかに記載の回転伝達装置。
【請求項15】
前記駆動側部材及び前記被駆動側部材のうちの少なくとも一方と、それを支持する軸受けとの間に嵌合ガタを設けたことを特徴とする請求項14に記載の回転伝達装置。
【請求項16】
前記駆動側部材及び前記被駆動側部材のうちの少なくとも一方が弾性体を有することを特徴とする請求項14に記載の回転伝達装置。
【請求項17】
前記付勢手段は、バネであることを特徴とする請求項2ないし16のいずれかに記載の回転伝達装置。
【請求項18】
前記連結部の中心と前記回転伝達点の回転中心が一致することを特徴とする請求項1ないし17のいずれかに記載の回転伝達装置。
【請求項19】
前記連結部の前記3つの突起が角度等分配置されたことを特徴とする請求項10ないし18のいずれかに記載の回転伝達装置。
【請求項1】
回転を伝達するための駆動側部材と被駆動側部材とを同軸上に連結する連結部と、
前記同軸上における前記駆動側部材の回転を前記被駆動側部材に伝達するための回転伝達部と、を有する回転伝達装置において、
前記連結部は、
前記駆動側部材及び前記被駆動側部材のうちの一方に配置された球面形状部と、
前記駆動側部材及び前記被駆動側部材のうちの他方に配置された、前記球面形状部の曲率半径より小さい開口径の穴部と、を有し、
前記球面形状部を前記穴部の開口端に接触させることで、前記駆動側部材と前記被駆動側部材を前記同軸上に位置決めすることを特徴とする回転伝達装置。
【請求項2】
前記駆動側部材と前記被駆動側部材を互に軸方向に付勢する付勢手段を有することを特徴とする請求項1に記載の回転伝達装置。
【請求項3】
前記回転伝達部は、前記球面形状部の球面中心を含み、前記駆動側部材の回転軸線を法線とする面内に配置された係合手段を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の回転伝達装置。
【請求項4】
前記回転伝達部は、前記球面形状部の球面中心を含み、前記被駆動側部材の回転軸線を法線とする面内に配置された係合手段を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の回転伝達装置。
【請求項5】
前記球面形状部と前記穴部の接触部が円形であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の回転伝達装置。
【請求項6】
前記穴部には、少なくとも1つの切り欠きが形成されていることを特徴とする請求項5に記載の回転伝達装置。
【請求項7】
前記穴部が、テーパー形状を有することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の回転伝達装置。
【請求項8】
前記回転伝達部が、3つの係合部を有することを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の回転伝達装置。
【請求項9】
回転を伝達するための駆動側部材と被駆動側部材とを同軸上に連結する連結部と、
前記同軸上における前記駆動側部材の回転を前記被駆動側部材に伝達するための回転伝達部と、を有する回転伝達装置において、
前記連結部は、
前記駆動側部材と前記被駆動側部材を互に軸方向に付勢する付勢手段と、
前記駆動側部材と前記被駆動側部材を少なくとも3点において接触させることで、前記駆動側部材と前記被駆動側部材を前記同軸上に位置決めする3点接触部と、を有することを特徴とする回転伝達装置。
【請求項10】
前記駆動側部材及び前記被駆動側部材のうちの一方が凸状の球面形状部を有し、他方が少なくとも3つの突起を備えた穴部を有することを特徴とする請求項9に記載の回転伝達装置。
【請求項11】
前記駆動側部材及び前記被駆動側部材のうちの一方が凸状のテーパー部を有し、他方が少なくとも3つの突起を備えた穴部を有することを特徴とする請求項9に記載の回転伝達装置。
【請求項12】
前記駆動側部材及び前記被駆動側部材のうちの一方が凹状の球面形状部を備えた穴部を有し、他方が少なくとも3つの突起を備えた凸部を有することを特徴とする請求項9に記載の回転伝達装置。
【請求項13】
前記駆動側部材及び前記被駆動側部材のうちの一方が凹状のテーパー部を備えた穴部を有し、他方が少なくとも3つの突起を備えた凸部を有することを特徴とする請求項9に記載の回転伝達装置。
【請求項14】
前記駆動側部材及び前記被駆動側部材のうちの少なくとも一方が、その回転軸線に垂直な方向に移動できることを特徴とする請求項1ないし13のいずれかに記載の回転伝達装置。
【請求項15】
前記駆動側部材及び前記被駆動側部材のうちの少なくとも一方と、それを支持する軸受けとの間に嵌合ガタを設けたことを特徴とする請求項14に記載の回転伝達装置。
【請求項16】
前記駆動側部材及び前記被駆動側部材のうちの少なくとも一方が弾性体を有することを特徴とする請求項14に記載の回転伝達装置。
【請求項17】
前記付勢手段は、バネであることを特徴とする請求項2ないし16のいずれかに記載の回転伝達装置。
【請求項18】
前記連結部の中心と前記回転伝達点の回転中心が一致することを特徴とする請求項1ないし17のいずれかに記載の回転伝達装置。
【請求項19】
前記連結部の前記3つの突起が角度等分配置されたことを特徴とする請求項10ないし18のいずれかに記載の回転伝達装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【公開番号】特開2009−138913(P2009−138913A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−319068(P2007−319068)
【出願日】平成19年12月11日(2007.12.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月11日(2007.12.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
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