説明

回転体付き車輪及びそれを備えた全方向移動車輌

【課題】屋外の段差などを有する場所では強力な走破性を発揮する、回転体付き車輪を提供する。
【解決手段】仮想の第1垂直面内の仮想の第1の円C1と外形が同形のホイールと、第1の円C1に沿って複数の回転体62を車軸21,31と直交する第1回転軸63まわりに回転可能にホイールの外周縁部に配設した回転体付き車輪60であって、第1垂直面から距離を置いて第1垂直面と対向する仮想の第2垂直面内で第1の円C1よりも半径の小さい仮想の第2の円C2に沿って配設した複数の段差用補助輪65を備え、第2の円C2の中心は第1の円C1の中心を通る仮想の水平線上に設定されていて、複数の段差用補助輪65は車軸21,31と直交する第2回転軸まわりに配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪外周に沿って複数個の回転体を備えた車輪に係り、特に走行面上の段差などの障害物を容易に乗り越えられるように複数個の補助輪を備えた車輪及それを備えた全方向移動車輌に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人が移動するための手段として車輪を備えた各種の走行装置が知られている。この種の走行装置は、少なくとも3輪又は4輪をボディのコーナー部やそれに近接した部位に配設している。
【0003】
この種の車輌として、一対の前輪と一対の駆動輪としての後輪とを備え、各車輪の車軸を車幅方向に配設したタイプ、即ち各車輪が非旋回式にボディに取り付けられた車輌が知られている。このような車輌では車輪自体が向きを変えないので、左側と右側の駆動輪に回転数の差を与えることで、進行方向を変えている。
【0004】
車輪が向きを変えない車輌の走行機能を高めるために、図8(A)に示す全方向車輪200が開発されている。全方向車輪200は、車輪の外周縁に沿って複数の回転体210を備えている。各回転体210は、例えば図8(B)に示すように円盤状の底部211から開口部212に向けて次第に拡開するように、カップ状に形成されている。各回転体210は、その先細の底部領域が他の回転体210の開口部212から内部に部分的に入り込むように配設され、各回転体210が連なることで、各回転体210によって円状の輪郭が画成される。この種の全方向車輪(以下、回転体付き車輪と言う場合がある)200が特許文献1〜5に開示されている。
【0005】
さらに、近年では、上記の全方向車輪200を備えた車輌として、全方向への移動をより一層円滑に行える全方向移動車輌が開発されている。例えば、図9に示す全方向移動車輌300は、ボディの四隅にそれぞれ配設された全方向車輪200と、各全方向車輪200を別々に駆動するように各全方向車輪200に設けられたモーター250と、を備え、各全方向車輪200の車軸220(図8(A)参照)がボディ260の中心Z側を向くように車幅方向から傾けて配置されている。
この全方向移動車輌300は、図9に示すように、モータードライバー310と、モータードライバー310を制御する制御コンピューター320と、この制御コンピューター320へ指示信号を送信するジョイスティック又はロボットコントローラ330と、を備えている。ジョイスティック330には、レバーやつまみが設けられており、操作者がレバーやつまみを回すと、その指示値が制御コンピューター320で読み取られ、さらに制御コンピューター320によって各モーター250の回転数をマトリックス演算で計算して、制御コンピューター320からモータードライバー310へ速度情報が送られる。そして、モータードライバー310は速度情報に基づいて各モーター250を駆動する。これにより、全方向移動車輌300は下記のように走行する。
【0006】
図10(A)に示すように、制御コンピューター320及び各モータードライバー310が各モーター250を制御して、各車輪200を正転させると、全方向移動車輌300は前進する。
図10(B)に示すように、右側の前輪200と左側の後輪200を正転させ、その他の車輪200、即ち左側の前輪と右側の後輪を回転させない場合には、全方向移動車輌300は左前方に進む。右側の前輪200と左側の後輪200を反転させると、全方向移動車輌300は右後方へ斜めに移動する。この場合、左側の前輪200と右側の後輪200では車輪自体は回転しないが、走行面と接触している回転体210が車軸と直交する回転軸周りに、図示例では、右側の前輪200と左側の後輪200における車輪回転方向と同じ方向に回転する。このように、全方向移動車輌300では、右側の前輪200と左側の後輪200の回転による走行を妨げないように、左側の前輪200と右側の後輪200の回転体210が回転する。
図10(B)とは逆に、右側の前輪200と左側の後輪200の回転を停止し、その他の車輪200、即ち左側の前輪200と右側の後輪200を正転又は反転させると、全方向移動車輌300は右前方又は左後方へ向けて斜めに移動する。
【0007】
図10(C)に示すように、制御コンピューター320及び各モータードライバー310が、左側の車輪200を正転させ、右側の車輪200を反転させ、その際に、各車輪200の回転速度が同じであれば、全方向移動車輌300はその場で回転する。各車輪200の回転方向を図10(C)とは逆にすると、全方向移動車輌300はその場で反時計回りに回転する。
【0008】
このように、全方向移動車輌300によれば、回転を含む全方向移動が可能になる。この全方向移動車輌300を電動車椅子として構成した場合、この電動車椅子は狭い場所であっても切り返し操作なしに横方向への移動が行えて飛躍的に利便性が向上する。また、電動車椅子に限らず、フォークリフトや無人搬送車(Automated Guided Vehicle; AGV)などの重量級の車輌やロボットに全方向移動車輌300を適用した場合には、全方向へ移動可能であるため、微妙な位置あわせも素早く行うことができる。
この種の全方向移動車輌が特許文献6に開示されている。
【0009】
【特許文献1】特開2002−58707号公報
【特許文献2】特開2002−137602号公報
【特許文献3】特開2003−154802号公報
【特許文献4】特開2003−154803号公報
【特許文献5】特開2005−343277号公報
【特許文献6】特開2005−47312号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、図8に示すような回転体付き車輪を備えた全方向移動車輌300は、進行方向に段差がある場合、その段差を乗り越える力が弱く、段差などの傷害物が多い屋外での走行は不向きである。即ち、全方向移動車輌300は、車輪自体が車軸方向に移動するとき、走行面に接地している回転体210が回転するように構成され車輪自体が横方向へ移動(以下、横方向移動と呼称する)することができ、車輪自体が回転せずにその車輪の車軸の延長方向の走行面に、図11(A)に示すように段差400が有るときに横方向移動すると、当該段差400が低い場合には当該回転体210が段差400に乗り上げることができるが、図11(B)に示すように、段差400Aの高さHが回転体210の直径Dの3分の1よりも高くなる(H>D/3)と、当該段差400Aに乗り上げることができない。
【0011】
本発明は、以上の点に鑑みて創作されたもので、屋外の段差などを有する場所では強力な走破性を発揮する、回転体付き車輪及びそれを備えた全方向移動車輌を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の第1の構成では、仮想の第1垂直面内の仮想の第1の円と外形が同形のホイールと、第1の円に沿って複数の回転体を車軸と直交する第1回転軸まわりに回転可能にホイールの外周縁部に配設した回転体付き車輪であって、第1垂直面から距離を置いて当該第1垂直面と対向する仮想の第2垂直面内で第1の円よりも半径の小さい第2の円に沿って配設した複数の段差用補助輪を備え、第2の円の中心は、第1の円の中心を通る仮想の水平線上に設定されていて、複数の段差用補助輪は車軸と直交する第2回転軸まわりに配設されている。
【0013】
本発明の第2の構成では、仮想の第1垂直面内の仮想の第1の円と外形が同形のホイールと、第1の円に沿って複数の回転体を車軸と直交する第1回転軸まわりに回転可能にホイールの外周縁部に配設した回転体付き車輪であって、第1垂直面から距離を置いて当該第1垂直面と対向する仮想の第2垂直面内で第1の円よりも半径の小さい仮想の第2の円に沿って配設した複数の第1段差用補助輪と、第1垂直面から第2の垂直面を経てさらに距離を置いた位置で当該第1垂直面と対向する仮想の第3垂直面内で第2の円よりも半径の小さい仮想の第3の円に沿って配設した複数の第2段差用補助輪と、を備え、第2の円の中心及び第3の円の中心は、第1の円の中心を通る仮想の水平線上に設定されていて、複数の第1段差用補助輪及び第2段差用補助輪は車軸と直交する第2回転軸及び第3回転軸まわりに配設されている。
【0014】
本発明の第3の構成では、仮想の第1垂直面内の仮想の第1の円と外形が同形のホイールと、第1の円に沿って複数の回転体を車軸と直交する第1回転軸まわりに回転可能にホイールの外周縁部に配設した回転体付き車輪であって、第1垂直面から互いに距離を置いて車軸の延長方向側に想定される複数の仮想の第2垂直面内で第1の円よりも半径の小さい仮想の第2の円に沿って配設した複数の段差用補助輪を備え、各第2垂直面内の第2の円は、第1垂直面から離れるに従って半径が小さくなるように設定されており、第2の円の中心は、第1の円の中心を通る仮想の水平線上に設定されていて、複数の段差用補助輪は車軸と直交する第2回転軸まわりに配設されている。
【0015】
本発明のさらに別の構成は、ボディと、ボディに支持された一対の前輪と、ボディに支持された一対の後輪と、車輪毎に設けられた駆動手段と、各駆動手段を制御する制御手段と、を備えた全方向移動車輌であって、車輪が、前述の回転体付き車輪で構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、4つの車輪の一部を横方向移動させる際、走行面上に回転体が直接乗り上げることができない段差が存在しても、当該段差を乗り上げるための段差用補助輪を備えるため、容易に段差を乗り越えて走行することができる。よって、本発明の回転体付き車輪を備えた車輌は、段差を有する不安定な走行面でも高い走破性を発揮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。なお、図中のFrは全方向移動車輌の前方を、LHは全方向移動車輌の幅方向であって左方を示す。
図1は本発明の実施形態に係る全方向移動車輌10の概略平面図である。
この全方向移動車輌10は、左右一対の前輪(以下、単に車輪と言う場合がある)20L,20Rと、左右一対の後輪(以下、単に車輪と言う場合がある)30L,30Rと、前輪20L,20R及び後輪30L,30Rを支持するボディ40と、を備えている。
一対の前輪20L,20Rは、その間隔が車輌前方にいくにつれて狭くなるように平面視でハの字状に配置されている。即ち各前輪20L,20Rの車軸21,21はボディ中心Z側を向くように、車幅方向の仮想第1水平線L1から車輌後方へ傾けて配設されている。
一対の後輪30L,30Rは、その間隔が車輌前方にいくにつれて広くなるように平面視で逆ハの字状に配置されている。即ち、各後輪30L,30Rの車軸31,31は、ボディ中心Z側を向くように、車幅方向の仮想第2水平線L2から車輌前方へ傾けて配設されている。
特に、本実施形態では、これらの各車輪20L,20R,30L,30Rがボディ40に対して非旋回式、即ち各車軸21,31がその軸芯の向きを変えないように配設されている。
【0018】
各車輪の車軸21,31にはモーター50が連結されており、これらのモーター50はボディ40に搭載されたモータードライバー51によって制御される。なお、車輌10には、コントローラー52が装備されており、このコントローラー52からの信号を制御コンピューター53が制御信号に変換し、モータードライバー51へ送出するように構成されている。
【0019】
さらに、本実施形態に係る各車輪20L,20R,30L,30Rは回転体付き車輪60で構成されている。ここで、図2は本実施形態に係る回転体付き車輪60の斜視図であり、図3は回転体付き車輪60の正面図であり、図4は回転体付き車輪60の平面図であり、図5は図3のA−A線に沿った回転体付き車輪60の断面図である。
一対の前輪20L,20R及び一対の後輪30L,30Rのそれぞれは、仮想の第1垂直面S1(図4)内の仮想の第1の円C1(図3参照)と外形が同形のホイール61と、上記第1の円C1に沿って複数の回転体62を車軸21,31と直交する第1回転軸63(図3参照)まわりに回転可能にホイール61の外周縁部に配設している。図3では一部の第1回転軸63を表している。ホイール61の外周に装着される回転体62は、例えば図8(B)に示すように、円盤状の底部211から開口部212に向けて次第に拡開するようにカップ状に形成されている。
【0020】
ここで、図5に示すように、ホイール61は、円形の垂直壁部61Aと、この垂直壁部61Aの外周縁から車軸21,31と平行に車輪裏側方向へ延出した外周縁部61Bとから皿状に形成されており、前述の複数の回転体62は、第1ブラケット64を介して上記の外周縁部61Bに取り付けられている。具体的には、第1ブラケット64の先端に前述の第1回転軸63が回転可能に支持されており、この第1回転軸63に回転体62が取り付けられている。各回転体62は、その先細の底部領域が他の回転体62の開口部から内部に部分的に入り込むように配設され、各回転体62が連なることで、各回転体62によって円状の輪郭が画成される。このようにホイール61の外周全体に複数の回転体62を備えることで、車輪自体が車軸方向側、即ち、図5の矢印X側に移動しようとするとき、地面に接地している回転体(図5中の矢印αの回転体)24はその第1回転軸63の周りに回転することにより、地面等を転動して、車輪自体が方向転換することなく、車輪は横方向への移動を円滑に行える。
【0021】
さらに本実施形態では、各車輪が段差用の複数の補助輪を備えている。
即ち各車輪は、図4に示すように第1垂直面S1から距離を置いて第1垂直面S1と対向する仮想の第2垂直面S2内で仮想の第1の円C1よりも半径の小さい仮想の第2の円C2(図3参照)に沿って配設した複数の段差用補助輪65を備えている。この第2の円C2の中心は、第1の円C1の中心を通る仮想の水平線L3(図4参照:仮想第3水平線)上に設定されている。さらに段差用補助輪65は、例えばホイール61の外周縁部61Bに取り付けられる回転体62の寸法と同等或いは小さく設定されており、第2ブラケット66を介してホイール61の垂直壁部61Aに取り付けられることで、車輪が平坦な走行面に立っている状態では段差用補助輪65はホイール61によって走行面から浮き上がった位置に保持される。図5に示すように、車輪が平坦な走行面Fに立った状態で、段差用補助輪65は、好ましくは、回転体62の直径Dの3分の1の距離、走行面Fから浮き上がった位置に保持される。
これらの複数の段差用補助輪65は、車輪の車軸21,31と直交する第2回転軸67まわりに配設されている。具体的には、第2ブラケット66の先端に第2回転軸67が回転可能に支えられており、この第2回転軸67に段差用補助輪65が取り付けられている。この第2回転軸67は、図3に示すように、仮想の第2の円C2の接線方向と平行になるように、或いはその接線と接するように配設されている。図3では一部の第2回転軸67を表している。
【0022】
このように構成された全方向移動車輌10は、図9に示す全方向移動車輌300と同様の走行を行える。具体的には、本実施形態の全方向移動車輌は、図10(A)に示すような直進、図10(B)に示すような斜め移動、図10(C)に示すような回転を行える。
【0023】
さらに本実施形態では、全方向移動車輌10が横方向移動、即ち一部の車輪を回転させずに当該車輪の車軸21(31)の延長方向に移動させるとき、図6に示すように移動先の走行面上に段差70があり、その段差70の高さH1が回転体62の直径Dの3分の1よりも高くても(即ち、H>D/3)、回転体62よりも回転軸延長方向の外側に段差用補助輪65が設けられているため、当該段差70には回転体62よりも段差用補助輪65が先に到達し、さらにこの段差用補助輪65は、走行面Fから上方へ距離を置いた位置に保持されて浮き上がっているため当該段差70に乗り上げることができる。このように段差70に段差用補助輪65が先に乗り上げることで、図示省略するが当該車輪自体が走行面Fから浮き上がり、さらに横方向移動が進行することで図に一点鎖線で示すように段差70に回転体62も乗り上げることができる。
【0024】
このように本実施形態に係る全方向移動車輌10によれば、4つ備えた車輪の一部を横方向移動させる際、走行面上に回転体62が直接乗り上げることができない段差70(図6)が存在しても、当該段差70を乗り上げるための段差用補助輪65を備えるため、容易に段差70を乗り越えて走行することができる。
よって、本実施形態の全方向移動車輌10は、段差70を有する不安定な走行面Fでも高い走破性を発揮できる。
【0025】
〔第2実施形態〕
図7は、第2実施形態の全方向移動車輌の車輪60Aを示す斜視図である。この実施形態の全方向移動車輌では、第1実施形態の車輪60に代えて、車輪60Aを備えたことを特徴としている。この車輪60Aは、上記の第1実施形態の段差用補助輪(第1段差用補助輪)65では乗り上げることができない段差も乗り上げることができるように、さらに段差用補助輪65から車軸の延長方向外側に別の段差用補助輪(第2段差用補助輪)65Aを複数備えている。即ち、前述の第1実施形態の車輪60の構成に加えて、第1垂直面S1から第2垂直面S2を経てさらに距離を置いた位置で当該第1垂直面と対向する仮想の第3垂直面(図示省略)内で仮想の第2の円C2よりも半径の小さい仮想の第3の円(図示省略)に沿って配設した複数の別の段差用補助輪(第2段差用補助輪)65Aを備えている。
この場合、第3の円の中心も、第2の円C2の中心と同様に、第1の円C1の中心を通る仮想の水平線L3上に設定されている。また、第2段差用補助輪65Aも、第1段差用補助輪65と同様に、車軸と直交する第3回転軸(図示省略)まわりに配設されている。この第3の回転軸は、図示省略するが、仮想の第3の円に接するように、或いはその接線方向と平行になるように配設されている。
【0026】
このような回転体付き車輪60Aを備えた全方向移動車輌によれば、前述の第1実施形態の全方向移動車輌10の第1段差用補助輪65で乗り上げることができない段差をも乗り上げることができる。
【0027】
以上詳述したが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において様々な形態で実施をすることができる。
上記説明では、左右の一対の前輪が平面視でハの字型、左右一対の後輪が平面視で逆ハの字型に配設されている場合を例示したが、本発明は各車輪の車軸方向が車幅方向と平行な位置に設定された全方向移動車輌に適用され得る。また、各車輪は、非旋回式に限らず、旋回式にボディに配設されてもよいことは勿論である。
上記第1実施形態の車輪では段差用補助輪を1段、上記第2実施形態に車輪では段差用補助輪を2段設けた場合を例示したが、一つの車輪に設ける段差用補助輪の数は上記の段数に限定されるものではなく3段以上の複数であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1実施形態に係る全方向移動車輌の平面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る回転体付き車輪の斜視図である。
【図3】図2回転体付き車輪の正面図である。
【図4】図2回転体付き車輪の平面図である。
【図5】図3のA−A線に沿った回転体付き車輪の断面図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る回転体付き車輪の作用を説明するための図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る回転体付き車輪を示す斜視図である。
【図8】従来の回転体付き車輪を示す斜視図である。
【図9】従来の回転付き車輪を備えた全方向移動車輌の構成を示す概略ブロック図である。
【図10】(A)〜(C)は図9の全方向移動車輌の走行モードを説明するための図である。
【図11】(A)及び(B)は従来の回転体付き車輪の動作を説明するための図である。
【符号の説明】
【0029】
10 全方向移動車輌
20L,20R 前輪
21 車軸
24 回転体
30L,30R 後輪
40 ボディ
50 モーター
51 モータードライバー
52 コントローラー
53 制御コンピューター
60,60A 回転体付き車輪
61 ホイール
61A 垂直壁部
61B 外周縁部
62 回転体
63 第1回転軸
64 第1ブラケット
65 第1段差用補助輪
65 段差用補助輪
65A 第2段差用補助輪
65A 段差用補助輪
66 第2ブラケット
67 第2回転軸
70 回転手段
C1 第1の円
C2 第2の円
D 直径
F 走行面
L1 仮想第1水平線
L2 仮想第2水平線
L3 仮想第3水平線
S1 第1垂直面
S2 第2垂直面
X 矢印
Z 中心(ボディ中心)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想の第1垂直面内の仮想の第1の円と外形が同形のホイールと、上記第1の円に沿って複数の回転体を車軸と直交する第1回転軸まわりに回転可能に上記ホイールの外周縁部に配設した回転体付き車輪であって、
上記第1垂直面から距離を置いて当該第1垂直面と対向する仮想の第2垂直面内で上記第1の円よりも半径の小さい仮想の第2の円に沿って配設した複数の段差用補助輪を備え、
上記第2の円の中心は、上記第1の円の中心を通る仮想の水平線上に設定されており、
上記複数の段差用補助輪は上記車軸と直交する第2回転軸まわりに配設されている、回転体付き車輪。
【請求項2】
前記ホイールは、円形の垂直壁部と、この垂直壁部の外周縁から前記車軸と平行に車輪裏側方向へ延出した前記外周縁部と、を備え、
前記複数の回転体は、第1のブラケットを介して前記外周縁部に取り付けられており、
前記複数の段差用補助輪は、第2のブラケットを介して上記垂直壁部に取り付けられている、請求項1に記載の回転体付き車輪。
【請求項3】
仮想の第1垂直面内の仮想の第1の円と外形が同形のホイールと、上記第1の円に沿って複数の回転体を車軸と直交する第1回転軸まわりに回転可能に上記ホイールの外周縁部に配設した回転体付き車輪であって、
上記第1垂直面から距離を置いて当該第1垂直面と対向する仮想の第2垂直面内で上記第1の円よりも半径の小さい仮想の第2の円に沿って配設した複数の第1段差用補助輪と、上記第1垂直面から上記第2垂直面を経てさらに距離を置いた位置で当該第1垂直面と対向する仮想の第3垂直面内で上記第2の円よりも半径の小さい仮想の第3の円に沿って配設した複数の第2段差用補助輪と、を備え、
上記第2の円の中心及び上記第3の円の中心は、上記第1の円の中心を通る仮想の水平線上に設定されていて、
上記複数の第1段差用補助輪及び上記第2段差用補助輪は上記車軸と直交する第2回転軸及び第3回転軸まわりに配設されている、回転体付き車輪。
【請求項4】
仮想の第1垂直面内の仮想の第1の円と外形が同形のホイールと、上記第1の円に沿って複数の回転体を車軸と直交する第1回転軸まわりに回転可能に上記ホイールの外周縁部に配設した回転体付き車輪であって、
上記第1垂直面から互いに距離を置いて車軸の延長方向側に想定される複数の仮想の第2垂直面内で上記第1の円よりも半径の小さい仮想の第2の円に沿って配設した複数の段差用補助輪を備え、
各第2垂直面内の第2の円は、上記第1垂直面から離れるに従って半径が小さくなるように設定されており、
上記第2の円の中心は、上記第1の円の中心を通る仮想の水平線上に設定されており、
上記複数の段差用補助輪は上記車軸と直交する第2回転軸まわりに配設されている、回転体付き車輪。
【請求項5】
ボディと、上記ボディに支持された一対の前輪と、上記ボディに支持された一対の後輪と、車輪毎に設けられた駆動手段と、各駆動手段を制御する制御手段と、を備えた全方向移動車輌であって、
上記車輪が、請求項1〜4の何れかの回転体付き車輪で構成されていることを特徴とする、全方向移動車輌。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2010−143409(P2010−143409A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−322904(P2008−322904)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(000157083)関東自動車工業株式会社 (1,164)