説明

回転切削工具

【課題】回転切削工具を提供する。
【解決手段】回転切削工具、特にドリルは、シャンク(12)と、シャンク(12)に連結できる交換可能な切削刃先(14)とを有する。シャンク(12)は、切り下げ部(24)を有するロッキング形状部(22)を有し、切り下げ部(24)の中に切削刃先(14)のロッキング突起(55)が突出する。切削刃先(14)をシャンク(12)内に横方向から固定するために、多数の側方支持面および支持対向面が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャンクと、シャンクに嵌め込み方式で結合できる交換可能な切削刃先とを含む回転切削工具、特にドリルに関する。
【背景技術】
【0002】
このような切削工具は、たとえば、特許文献1から知られている。切削刃先は、激しく摩耗するとすぐに、工具を使って非破壊的な方法でシャンクから取り外され、新しい切削刃先と交換される。切削刃先は、差込回転式継手と同様の嵌め込み式ロッキングによって固定され、この場合、シャンクに回転方向に対抗する切り下げ部が設けられ、回転ロッキング中、切削刃先のロッキング突起がその切り下げ部の中へと突出する。回転運動は、フォームフィット(form fit)を通じて切削刃先にも伝わる。横方向の切削力を吸収するために、切削刃先の裏側端の領域、より詳細には、ロッキング形状部の領域に支持面が設けられる。切削刃先は、軸方向にロッキング表面とドリル先端の間で円筒部分を有し、前記部分はギャップを介してシャンクからわずかな距離の位置にある。
【0003】
特許文献2は、別の実施形態を示しており、小さな、スタブ状のプリセンタリング用延長部が切削刃先の裏側端面から突出し、前記プリセンタリング用延長部は、切削刃先をシャンクに関して大まかにセンタリングする機能を果たす。このようなピンは通常、対応する開口部の中に、半径方向の間隙を空けて位置付けられて、ダブルフィット(double fits)が回避される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2006/046227A1号パンフレット
【特許文献2】欧州特許第0984841B1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、切削工具への切削刃先のはるかに良好なロッキングを実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による回転切削工具は、特にドリルとして設計され、シャンクと、シャンクに嵌め込み方式で結合できる交換可能な切削刃先とを有する。シャンクは、回転方向に対抗する切り下げ部を有するロッキング形状部を有し、切り下げ部の中へと切削刃先のロッキング用突起が突出して、切削刃先をシャンクに軸方向に固定する。さらに、シャンクは、ロッキング形状部から軸方向にずれて存在する第一の側方支持面とロッキング形状部の領域内に軸方向に存在する第二の側方支持面を有し、切削刃先の第一の対向面と第二の対向面はそれぞれ、締りばめの状態で支持面に当たる。
【0007】
本発明による切削工具において、横方向の切削力はロッキング突起の領域内の支持面によってだけでなく、これに加えて、そこから軸方向にずれた第一の支持面によっても吸収されて、第一と第二の支持面が相互作用するようになっている。2枚の支持面における締りばめの状態により、両方の支持面はまた、切削刃先の交換時および、不可避的に発生する製造誤差があるときにも、確実に支持効果を有する。組み立てられた状態で、横方向の力がまだ切削工具にかかっていなくても、支持される。
【0008】
好ましい実施形態によれば、第一と第二の支持面は略、同じ直径範囲内に存在する。特に、これらが相互から離れている距離は、最大でも2枚の支持面のうちの大きい方の直径の15%未満である。
【0009】
少なくとも一方の支持面、好ましくは両方の支持面が、円周方向に相互に離間された複数の支持部分によって形成される。支持面の各々または一方の支持部分同士の間では、切削刃先とシャンクが接触しない。これは、シャンクの軸方向の溝または、軸方向のスロットのいずれかによって実現できる。
【0010】
支持面は、好ましくは、相互に直径方向に反対側に配置される。これに加えて、好ましい実施形態において、2つの支持部分だけが設けられる。
【0011】
締りばめの状態は、特に、軸方向に突出する指状部を有するシャンクによって比較的簡単に実現され、指状部の半径方向に内側に、少なくとも第二の支持面、好ましくは両方の支持面が設けられる。このような、円周方向に相互に離間されている軸方向の指状部を設けた結果として、特定の半径方向の柔軟性が実現されて、切削刃先が固定されたときに、指状部が弾性的に半径方向に外側に容易に曲がるようになっている。
【0012】
弾性が特別の程度まで実現されるのは、1つの実施形態によれば、指状部の軸方向の長さが、半径方向の指状部の厚さより大きい/これと等しい、好ましくは少なくとも2倍大きいという事実による。
【0013】
上記に加え、ロッキング形状部もまた、指状部に形成されるべきである。
【0014】
少なくとも第一の支持面と第一の対向面は、その代わりに、またはそれに加えて第二の支持面と対向面もまた、軸方向に見た場合に、相互に異なる形状とすることができる。このような形状は、回転ロッキング中、すなわち切削刃先がシャンクに固定されている最中に、対向面から第一の支持面にかかる半径方向の力が増大するように設計される。しかしながら、この点に関して、異なる形状とは、同じ形で単に寸法が違うことを意味するのではない。これに対して、異なる形状とは、回転ロッキング中に、切削刃先側の対向面が支持面にますます近づき、最終的に支持面に突き当たり、支持面をますます外側に圧迫して、確実に締りばめの状態となることを意味する。
【0015】
このような異なる形状のペアの例としては、少なくとも第一の支持面が円筒断片の形状を有し、これに対応する対向面は、軸方向に見たときに、円筒断片に関して半径方向に外側に膨らんだ形状を有するという事実がある。このような、外側に膨らむ形状は、たとえば楕円断片によって実現することができ、楕円断片とは、ロックされていない位置において支持部分の反対にある対向部分が、回転軸からの距離が円筒断片より短い位置にあり、外側に膨らむ部分が回転軸から最も遠い距離にあり、この距離は円筒断片の同じ距離より大きいというものである。もちろん、両方の面、すなわち支持面とその対向面が円筒とは異なる形状であってもよく、または対向面が円筒断片で、一方、支持面が楕円設計である。
【0016】
ドリル先端の交換が同じシャンクで何度も行われる場合、構成要素の摩耗がわずかであることと、シャンクが新品の状態と大きく摩耗した状態のシャンクのいずれについても、最初に交換が容易に行われ、信頼性の高いロッキング状態も常に確実に得られるが重要である。これらの異なる要求を満たすことができるようにするために、第一の支持面は、回転ロッキング方向への挿入斜面を有する。この挿入斜面によって、ドリル先端を新しいシャンクにロッキングする際に、つぶれ、または引っ掛かりが回避される。
【0017】
ロッキング突起は、半径方向に見たときに、好ましくは、円周方向に楔形に延びる。すなわち、楔はロッキング形状部に向かう方向に延在する。それに加えて、またはその代わりに、ロッキング突起は、シャンクの、円周方向に延びる軸方向停止面に当たる。この点に関して、ロッキング形状部はできるだけ、確実にシャンクと切削刃先の間の軸方向の拘束が正確に、可能であれば軸方向停止面だけで行われ、ダブルフィットが発生しないようになっているべきである。
【0018】
軸方向停止面は、停止面の前で回転ロッキング方向に存在する係合斜面と融合させ、この領域でもまた確実にドリル先端が新しいシャンクに容易にロッキングされるようにすることができる。
【0019】
好ましい実施形態では、軸方向停止面を指状部の段差部の一部とし、前記段差部は円周方向に自由に突出する。
【0020】
第二の支持面は第一の支持面より、ドリル先端に近い位置に存在するべきであり、これは、切削刃先に、裏側に突出する支持ピンを設けることによって可能となり、この支持ピンに第一の支持面が設けられる。
【0021】
直径が支持ピンのそれより小さい、すなわち支持ピンより細いセンタリングピンもまた、裏側の支持ピンから突出することができ、このセンタリングピンはシャンクの嵌合開口部の中に係合し、それによって、挿入時に切削刃先をプリセンタリングする。しかしながら、センタリングピンはシャンクの対応する開口部に関して隙間ばめの状態となり、ダブルフィットが防止される。
【0022】
第一の支持面の軸方向の長さおよび/または面積は、第二の支持面のそれより大きい。
【0023】
それに加え、第一と第二の支持面は、できるだけ大きな範囲で、軸方向に直接相互に結合し、最大でも、相互に小さな段差部によってのみ分離されるべきである。この段差部は、斜角部によって形成できる。
【0024】
本発明の上記以外の特徴と利点は、以下の説明と、参照すべき図面からわかる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】シャンクと交換可能な切削刃先で構成される、本発明による回転切削工具の側面図である。
【図2】図1のシャンクの刃先側端部の斜視図である。
【図3】図1による回転切削工具の切削刃先の斜視図である。
【図4】図1による回転切削工具の軸方向の断面図である。
【図5】本発明による回転切削工具の刃先の、切削刃先がまだロックされていない状態の側面図である。
【図6】本発明による切削工具の、切削刃先が挿入され、ロックされていない状態の半径方向の断面図である。
【図7】本発明による切削工具の、切削刃先が挿入され、ロックされた位置にある状態の半径方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、シャンク12と切削刃先14を有する、ドリルの形態の回転切削工具10を示しており、シャンクと切削刃先は別の部品として製作される。切削刃先は、ある種の差込回転式継手によって、着脱可能および交換可能な方法でシャンク12に固定することができる。同様に、回転切削工具はまた、皿穴加工、掘削加工または穴拡張加工用工具としても設計することができる。
【0027】
切削工具10は、シャンク12と切削刃先14全体にわたって延在する縦溝16を有し、縦溝はまた、ドリル先端17も有する。
【0028】
シャンク12の刃先側端部を図2に見ることができ、シャンク12は軸方向スロット18によって2つの軸方向に突出する指状部20に分離される。軸方向スロット18は、この場合、縦溝16と融合するように配置されている。
【0029】
指状部20は、円周方向の「ロッキング形状部」22を有する。これらのロッキング形状部22は、切削工具10の回転方向に対抗する切り下げ部24を有する。後で説明するように、切削刃先14の対応するロッキング突起がこれらの切り下げ部24と係合状態となって、切削刃先14をシャンク12にロックする。
【0030】
切り下げ部24は、好ましくは、円周方向に相互に向かって延びる平坦面26、28によって形成されて、半径方向に見た場合に、各切り下げ部24が楔形に延びるようになっている。
【0031】
それに加え、指状部20は、広い意味で、その軸方向にわたる範囲の略中心において、軸方向停止面30を有し、停止面はそれに続くドリル先端17と対向する。これらの停止面30は、特に、切削工具10の中心軸A(図1参照)に対して直角の向きである。
【0032】
停止面30は、好ましくは、切り下げ部24の外側に存在し、軸方向および半径方向に延びる溝32を介して切り下げ部24から分離される。
【0033】
各停止面30は、その切り下げ部24とは反対の端において、「係合斜面」34と融合し、係合斜面は言わば、停止面30から指状部20の側壁36への移行部を形成する。係合斜面34は、たとえば、斜角の、または好ましくは丸みをつけた縁端として設計することができる。後に説明するように、シャンク12への挿入およびロッキング中の切削刃先14への損傷を防止または軽減することが意図されている。
【0034】
側壁36は、図2に関して、軸方向にシャンクの端部に向かって斜め下方向に、また切り下げ部24に向かって延びる。したがって、側壁36は停止面30とともに、軸方向の中心に向かって半径方向に見た場合に(図5参照)、円周方向に自由に突出する段差部38を形成する。
【0035】
停止面30は、各指状部20を、下側の第一部分と上側(刃先側)の第二部分に分割する。
【0036】
直径方向に反対側の指状部20の間の領域で、シャンク12は切削刃先14のための円筒形の位置決め開口部40を有する。この開口部の下側の第一区部は第一の支持面42によって形成され、第一の支持面は指状部20の半径方向の内側に形成されており、またスロット18によって2つの円周方向に分離された第一の支持部分に細分される。1つの支持部分は、言わば、一方の指状部20に設けられ、もう一方の直径方向に反対側の支持部分は、もう一方の指状部20に設けられる。両方の第一の支持部分は合わせて、第一の支持面42を形成する。ロッキング方向において、斜めに、および半径方向に外側に延びる挿入斜面44が各「第一の支持部分」の開始地点に設けられ、前記挿入斜面44は、言わば、第一の支持部分と側壁36の間の移行部を形成する。
【0037】
軸方向に、停止面30と同じ高さで、第一の支持面42は、若干傾斜した段差部46と融合して「第二の支持面」48へと続き、第二の支持面も同様に指状部20の、半径方向に内側に形成されるが、軸方向にロッキング形状部22と同じ高さにある。ここでも、スロット18により、第二の支持面48は2つの区分面に細分され、これらを以下、第二の支持部分と呼ぶ。これらの第二の支持部分もまた、直径方向に相互に反対に存在する。スロット18は軸方向に、好ましくは平坦な基底面50で終了し、基底面はセンタリング開口部52を有する。
【0038】
図2に関して、特記すべき点として、支持面42、48は略同じ直径範囲内に存在し、すなわち、これらの支持面は半径方向に相互から最大でもわずかにのみ異なる。図の例において、第二の支持面48は半径方向に、第一の支持面42より若干外側に存在する。それとは別に、第二の支持面48は第一の支持面42より小さく、軸方向に短い。
【0039】
図3は、シャンクより硬い材料で作製された切削刃先を示す。切削刃先14に適した材料は特に、カーバイド、陶性合金、セラミックおよびHSSで、いずれの場合も被覆されたものと被覆されないものがあるが、PCDまたはCBNによる刃先形成もまた可能である。切削刃先14は、金属粉末射出成形(MIM工程)によって作製でき、または、研削による従来の方法で仕上げ機械加工することができる。
【0040】
切削刃先14は、図3に示されている。これは、縦溝16を形成する軸方向に斜めに延びる陥凹部と、切れ刃を有する2つの半径方向に突出する葉状部54を有する。回転ロッキング方向Vに(回転ロッキング方向は、その後の工具の回転方向の反対である)、葉状部54はロッキング突起55を有し、ロッキング突起は、半径方向に見た場合、円周方向に楔形に延びる。各突起55は、ロッキング形状部22に向かった向きにあり、その表面56、58は、好ましくは、その傾斜がそれぞれ表面28、26に合わせて調整される。回転ロッキング方向Vに、葉状部54の前で、刃先14は、好ましくは、円筒支持対向面60を有し、対向面は2つの第一の支持対向部分、すなわち、いずれの場合もそれぞれの葉状部54の前の部分である。ロックされた状態において、この支持対向面20はシャンク12の第二の支持面48に当たり、したがって、第二の支持対向面60と呼ばれる。
【0041】
「支持ピン」62は、葉状部54の、ドリル先端17とは軸方向に反対に面する側に一体的に形成される。ロックされた状態で、この支持ピンは第一の支持面42の領域内に存在し、したがって第一の支持対向面64を有し、第一の支持対向面は縦溝16によって2つの第二の支持対向部分に細分される。
【0042】
支持ピン62は、軸方向に見た場合、楕円形の断面を有し、この断面は2つの縦溝16によってのみ中断され、その一方で、支持面42は円筒を形成し、より正確には、スロット18によって円筒断片を形成する。楕円形の形状に関して、これも特記すべき点として、楕円の長軸は第一の支持対向部分の中心と略一致する。楕円の短軸は、それにより、縦溝16の領域内にある(図6参照)。
【0043】
支持ピン62の、ドリル先端17の反対に面する側にはセンタリングピン66があり、センタリングピンは支持ピン62より顕著に小さい直径を有する。センタリングピン66が侵入するセンタリング開口部52は、プリセンタリングのために、センタリングピン66に関して大きなサイズとされる。
【0044】
図4は、切削刃先14が挿入されているシャンク12を示しており、図からわかることとして、一方で、センタリングピン66は対応するセンタリング開口部52の中に間隙のある状態で存在し、もう一方で、刃先14はシャンク12の中に、第一の支持面42を介して、および第二の支持面48を介して横方向に、これらの面がそれぞれ第一と第二の支持対向面64と60に締りばめの状態で当たることによって、間隙のない状態で保持される。
【0045】
当接による接触部は、この場合、好ましくは指状部20の自由端まで延びる。
【0046】
また、葉状部54の半径方向に最も外側の部分が指状部20に関して横方向に突出することもわかる。軸方向の取付手段は図4からはわからないが、この軸方向の取付手段は、停止面30で受けられる面68によって実現され、この面68は、図3において、葉状部54の下側に存在する。しかしながら、基底面50は、支持ピン62の底端面から短い距離の位置にある(図4参照)。
【0047】
図5は、依然としてロックされていないが、すでに挿入された位置にあるシャンク12内の切削刃先14を示す。図からわかる点として、係合斜面34により、切削刃先14は、たとえ未使用のシャンク12の場合でも、ロッキング方向Vに回転しやすくなる。それとは別に、ロッキングはまた、第一の支持面42の領域内の挿入斜面44によっても改善される。
【0048】
切削刃先14が回転ロッキング方向Vに回転されると、ロッキング突起55がそれに割り当てられた切り下げ部24と係合して、2つの部分が軸方向に一緒にロックされるようになっている。その結果、切削刃先14はシャンク12に固定され、シャンク12からの穴あけまたはミーリングに必要なトルクが切削刃先14に伝達されることが可能となる。2つの面58と26は相互に関して軸方向に位置付けられ、ロッキング中、切削刃先14に軸方向の締め付け力がかかり、それによって切削刃先14が停止面30に押し付けられるようになっている。
【0049】
さらに、ロッキング中、ロッキング突起55の前に存在する第二の支持対向面60は、関連する指状部20の背後に移動して、第二の支持面48に押し付けられる。
【0050】
支持面42はまた、ロックされた状態で、図6と図7の援用によって示されるように、第一の支持対向面64に締りばめの状態で当たる。前述のように、支持ピン62は楕円形の形状を有し、楕円の長軸がスロット18に向かうような向きで挿入される。この、ロックされていない状態は、図6に示される。この場合、支持ピン62と指状部20の間には、最大でも若干の接触はあるが、締りばめの状態はまったくない。
【0051】
しかしながら、ロッキング方向への回転中(図7参照)、楕円の長軸は指状部20同士の間で移動する。楕円の長軸の長さは第一の支持面42の直径より大きいため、支持ピン62は指状部20を半径方向に若干外側に圧迫し、それによって、ここでも、第一の支持面42と第一の支持対向面64の間で締まりばめの状態が形成される。したがって、ロッキング中、指状部20にかかる半径方向の力が増大する(図6と図7参照)。
【0052】
円周方向に相互に離間される指状部20により、特定の半径方向の柔軟性が実現され、そのために、前述のように、切削刃先14が固定されている場合、指状部20は弾性によって半径方向に外側に容易に曲がる。
【0053】
十分な弾性を実現するために、指状部20の軸方向の長さは、半径方向の指状部の厚さより大きく/それと等しく、好ましくは、少なくとも2倍大きい。したがって、指状部20は軸方向に長い形状を有する。
【0054】
センタリングピン66は、新しい切削刃先14の挿入中にプリセンタリングする役割だけを果たす。切削動作中、センタリングピン66を介してはいかなる力も伝達されない。
【符号の説明】
【0055】
10 回転切削工具
12 シャンク
14 切削刃先
16 縦溝
17 ドリル先端
18 軸方向スロット
20 指状部
22 ロッキング形状部
24 切り下げ部
26、28 (切り下げ部の)表面
30 停止面
32 溝
34 係合斜面
36 側壁
38 段差部
40 開口部
42 第一の支持面
44 挿入斜面
46 傾斜段差部
48 第二の支持面
50 基底面
52 センタリング開口部
54 葉状部
55 ロッキング突起
56、58 (突起の)表面
60 第二の支持対向面
62 支持ピン
64 第一の支持対向面
66 センタリングピン
68 (葉状部の)表面
A 中心軸
V 回転ロッキング方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャンク(12)と、前記シャンク(12)に嵌め込み方式で連結できる交換可能な切削刃先(14)とを含む回転切削工具、特にドリルであって、前記シャンク(12)は回転方向に対抗する切り下げ部(24)を有するロッキング形状部(22)を有し、前記切り下げ部(24)の中に前記切削刃先(14)のロッキング突起(55)が突出して、前記切削刃先(14)を前記シャンク(12)に軸方向に固定し、前記シャンク(12)は前記ロッキング形状部(22)から軸方向にずれて存在する第一の側方支持面(42)と、前記ロッキング形状部(22)の領域内に軸方向に存在する第二の側方支持面(48)を有し、前記支持面(42、48)に対して、前記切削刃先(14)の第一の対向面(64)と第二の対向面(60)がそれぞれ、締りばめの状態で当たる回転切削工具。
【請求項2】
前記支持面(42、48)の少なくとも一方が、円周方向に相互に離間された複数の支持部分により形成され、および/または前記対向面(60、64)の少なくとも一方が、円周方向に相互に離間された複数の対向部分により形成されることを特徴とする、請求項1に記載の回転切削工具。
【請求項3】
直径方向に反対側の支持部分および/または直径方向に反対側の対向部分が設けられていることを特徴とする、請求項2に記載の回転切削工具。
【請求項4】
前記シャンク(12)は軸方向に突出する指状部(20)を有し、その半径方向に内側に、少なくとも第二の支持面(48)が設けられていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の回転切削工具。
【請求項5】
前記指状部(20)は、前記半径方向の指状部の厚さより大きい/これと等しい、好ましくは少なくともその2倍の大きさの軸方向の長さを有することを特徴とする、請求項4に記載の回転切削工具。
【請求項6】
前記ロッキング形状部(22)が前記指状部(20)に形成されていることを特徴とする、請求項4または請求項5に記載の回転切削工具。
【請求項7】
少なくとも前記第一の支持面(42)と前記第一の対向面(64)が、軸方向に見た場合に、相互に異なり、および回転ロッキング中に前記対向面(64)が前記第一の支持面(42)に半径方向の圧力をかけるように設計された形状を有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の回転切削工具。
【請求項8】
少なくとも前記第一の支持面(42)は円筒断片の形状を有し、前記第一の対向面(64)は、半径方向に見た場合に、円筒断片に関して半径方向に外側に膨らむ、好ましくは楕円断片の形の形状を有することを特徴とする、請求項7に記載の回転切削工具。
【請求項9】
前記第一の支持面(42)は前記回転ロッキング方向に挿入斜面(44)を有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の回転切削工具。
【請求項10】
前記ロッキング突起(55)は、半径方向に見た場合に、前記円周方向に、前記ロッキング形状部分(22)に向かって楔形に延び、および/または前記シャンク(12)の、前記円周方向に延びる軸方向の停止面(30)に軸方向に当たることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の回転切削工具。
【請求項11】
前記停止面(30)は、前記回転ロッキング方向(V)に、前記停止面(30)の前に存在する係合斜面(34)に融合することを特徴とする、請求項10に記載の回転切削工具。
【請求項12】
前記軸方向の停止面(30)は、前記指状部(20)の段差部(46)の一部であり、前記段差部(46)は、前記円周方向に自由に突出することを特徴とする、請求項10または請求項11に記載され、かつ、請求項4に従属する項のいずれかに記載の回転切削工具。
【請求項13】
前記第二の支持面(48)は前記第一の支持面(42)より、前記掘削先端(17)により近い位置に存在することと、前記切削刃先(14)は軸方向の支持ピン(62)を有し、その上に前記第一の支持対向面(64)が設けられていることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の回転切削工具。
【請求項14】
前記支持ピン(62)の裏側から、前記支持ピンより小さな直径のセンタリングピン(66)が突出していることを特徴とする、請求項13に記載の回転切削工具。
【請求項15】
前記第一の支持面(42)の軸方向の長さおよび/または面積が、前記第二の支持面(48)のそれより大きいことを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の回転切削工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−11541(P2012−11541A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−141605(P2011−141605)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(399031078)ケンナメタル インコーポレイテッド (182)
【氏名又は名称原語表記】Kennametal Inc.
【住所又は居所原語表記】1600 Technology Way Latrobe PA 15650−0231, USA
【Fターム(参考)】