説明

回転工具ホルダ

【課題】冷気のエネルギー損失を抑え、被加工物における加工部位の制約を受けることなく、効果的に回転切削加工を行うことができる回転工具ホルダを提供すること。
【解決手段】回転工具ホルダ1は、ホルダ本体2において回転主軸の回転中心軸線Oと同一軸線上に設けたチューブ収納穴31に、ボルテックス効果を利用して圧縮空気Aから冷気C2を発生させるボルテックスチューブ4を収納してなる。ホルダ本体2には、シャンク部23の中心位置からチューブ収納穴31の外周側位置を通って渦発生部41まで圧縮空気Aを導く圧縮空気通路32と、チューブ収納穴31の基端側の外周側へ旋回暖気流H1による暖気H2を排気する排気口33とが形成してある。回転工具ホルダ1は、旋回冷気流C1による冷気C2を、回転工具7に設けた冷気穴71又は回転工具7の外縁から噴出させるよう構成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転駆動力を発生させる回転主軸に保持し、回転工具を保持して用いる回転工具ホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
ドリル、エンドミル等の回転工具を保持して工作機械の回転主軸に着脱可能にした回転工具ホルダは、切削部位の冷却を行うために切削油を用いることが一般的である。この切削油は、例えば、特許文献1の切削加工方法および装置においては、シャンク部から切刃部に向けてクーラント供給溝を形成した切削工具を工具ホルダに装着し、切削工具を回転させながらワークを切削加工することが開示されている。これにより、切削工具先端の切刃部のすくい面へクーラントが直接噴出されるようにしている。
【0003】
また、切削油(クーラント)を用いる代わりに、冷風を工具先端に吹き付けることによって、加工部位を冷却しながら加工する方法もある。しかしながら、この加工方法は、冷風を加工部位に供給するまでのエネルギー損失が大きく、また、被加工物における加工部位が制約されるといった欠点がある。
これに対し、特許文献2の切削工具においては、ボルテックスチューブを用いた冷風発生器を工具本体に一体に組み付け、冷風によって加工部位を冷却することが開示されている。これによれば、エネルギー損失を抑制し、加工部位の制約を少なくすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−134648号公報
【特許文献2】特表2009−528923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2の切削工具は、旋盤に取り付けて旋削加工を行うものであり、切削時に切削工具が回転することがなく、切削工具が固定されたままとなる。そのため、特許文献2においては、回転切削加工を行う際に用いる回転工具ホルダについて、ボルテックスチューブを採用した具体的構成は何ら開示されていない。
【0006】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、冷気のエネルギー損失を抑え、被加工物における加工部位の制約を受けることなく、効果的に回転切削加工を行うことができる回転工具ホルダを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、ホルダ本体の基端に設けたシャンク部を回転駆動力を発生させる回転主軸に保持し、上記ホルダ本体の先端に設けた工具保持部に回転工具を保持して用いる回転工具ホルダにおいて、
該回転工具ホルダは、上記ホルダ本体において上記回転主軸の回転中心軸線と同一軸線上に設けたチューブ収納穴に、ボルテックス効果を利用して圧縮空気から冷気を発生させるボルテックスチューブを収納してなり、
該ボルテックスチューブは、先端側に渦発生部を有し、該渦発生部に流入する圧縮空気によって先端側から基端側へ通過する自由渦による旋回暖気流を発生させると共に、該旋回暖気流の中心側に基端側から先端側へ通過する強制渦による旋回冷気流を発生させるよう構成してあり、
上記ホルダ本体には、上記シャンク部の中心位置から上記チューブ収納穴の外周側位置を通って上記渦発生部まで圧縮空気を導く圧縮空気通路と、上記チューブ収納穴の基端側の外周側へ上記旋回暖気流による暖気を排気する排気口とが形成してあり、
上記旋回冷気流による冷気を、上記回転工具に設けた冷気穴又は上記回転工具の外縁から噴出させるよう構成したことを特徴とする回転工具ホルダにある(請求項1)。
【0008】
第2の発明は、ホルダ本体の基端に設けたシャンク部を回転駆動力を発生させる回転主軸に保持し、上記ホルダ本体の先端に設けた工具保持部に回転工具を保持して用いる回転工具ホルダにおいて、
該回転工具ホルダは、上記ホルダ本体において上記回転主軸の回転中心軸線と同一軸線上に設けたチューブ収納穴に、ボルテックス効果を利用して圧縮空気から冷気を発生させるボルテックスチューブを収納してなり、
該ボルテックスチューブは、先端側に渦発生部を有し、該渦発生部に流入する圧縮空気によって先端側から基端側へ通過する自由渦による旋回暖気流を発生させると共に、該旋回暖気流の中心側に基端側から先端側へ通過する強制渦による旋回冷気流を発生させるよう構成してあり、
上記ホルダ本体の外周には、該ホルダ本体を回転可能に支持する回転支持部材が設けてあり、
該回転支持部材には、上記渦発生部まで圧縮空気を導く圧縮空気通路を形成した通路部材が設けてあり、
上記旋回冷気流による冷気を、上記回転工具に設けた冷気穴又は上記回転工具の外縁から噴出させるよう構成したことを特徴とする回転工具ホルダにある(請求項4)。
【発明の効果】
【0009】
第1の発明は、回転切削加工に用いる回転工具ホルダに対して、ボルテックスチューブを採用した具体的構造を提供するものである。
具体的には、回転工具ホルダは、回転主軸によって回転する際の遠心力の発生を考慮して、ホルダ本体において回転主軸の回転中心軸線と同一軸線上に設けたチューブ収納穴に、ボルテックスチューブを収納してなる。これにより、回転工具ホルダが回転する際の遠心力の発生を抑制することができる。
【0010】
また、ホルダ本体には、圧縮空気通路を、シャンク部の中心位置からチューブ収納穴の外周側位置を通って渦発生部まで形成している。これにより、省スペースで圧縮空気通路を形成することができ、ホルダ本体の内部を利用して圧縮空気を渦発生部まで導くことができる。
また、ボルテックスチューブから排気される暖気は、チューブ収納穴の基端側の外周側へ形成した排気口から外部へ排気することができる。これにより、回転工具ホルダの回転に伴って排気口が回転しながら外部へ暖気を排気することになり、対流熱伝達が作用して、回転工具ホルダの排気口の周辺が局所的に過熱されることを抑制することができる。
【0011】
そして、回転工具ホルダの工具保持部に保持した回転工具によって被加工物に回転切削加工を行う際には、圧縮空気通路からボルテックスチューブにおける渦発生部に圧縮空気が導かれる。ボルテックスチューブによって発生された旋回冷気流による冷気が、回転工具に設けた冷気穴又は回転工具の外縁から噴出され、回転切削部位に吹き付けられる。
これにより、回転切削加工を行う際に、回転工具の直近において冷気を発生させ、冷気のエネルギー損失を抑えることができる。また、回転工具ホルダの内部から回転工具へ冷気を供給することができることにより、回転工具の周辺に障害物が存在しない。これにより、被加工物における加工部位の制約を受けることなく、効果的に回転切削加工を行うことができる。
【0012】
第2の発明も、回転切削加工に用いる回転工具ホルダに対して、ボルテックスチューブを採用した具体的構造を提供するものである。
具体的には、第1の発明と同様に、回転工具ホルダの構成によって、回転する際の遠心力の発生を抑制することができ、排気口の周辺が局所的に過熱されることを抑制することができる。また、ボルテックスチューブにおける渦発生部へは、ホルダ本体を回転可能に支持する回転支持部材に設けた通路部材の圧縮空気通路から圧縮空気を導くことができる。また、本発明においても、冷気のエネルギー損失を抑えることができ、被加工物における加工部位の制約を受けることなく、効果的に回転切削加工を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例1における、回転工具ホルダを示す断面説明図。
【図2】実施例1における、回転主軸に保持した回転工具ホルダを示す断面説明図。
【図3】実施例1における、ドリルを保持した工具保持部の周辺を示す断面説明図。
【図4】実施例1における、エンドミルを保持した工具保持部の周辺を示す断面説明図。
【図5】実施例2における、回転支持部材及び通路部材を外周に配設した回転工具ホルダを示す断面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
上述した第1、第2の発明の回転工具ホルダにおける好ましい実施の形態につき説明する。
第1の発明において、上記ホルダ本体は、内側嵌合部及び上記シャンク部を形成してなる基端側本体部と、上記内側嵌合部の外周に嵌合する外側嵌合部及び上記工具保持部を形成してなる先端側本体部とを組み付けてなり、かつ上記基端側本体部と上記先端側本体部との間に形成した上記チューブ収納穴に上記ボルテックスチューブを収納してなり、上記圧縮空気通路は、上記外側嵌合部を通って形成してあることが好ましい(請求項2)。
この場合には、チューブ収納穴を容易に形成することができ、回転加工ホルダをコンパクトに形成することができる。
【0015】
また、上記圧縮空気通路は、上記シャンク部の中心位置に上記回転中心軸線の方向に平行に設けた基端側通路部と、上記チューブ収納穴の外周側位置に上記回転中心軸線の方向に平行に設けた外周側通路部とを、上記シャンク部の外周から斜め先端側へ設けた傾斜通路部によって連通させ、該傾斜通路部における上記シャンク部の外周から埋め栓を設けてなることが好ましい(請求項3)。
この場合には、ホルダ本体の内部に、圧縮空気通路をコンパクトに形成することができる。
【実施例】
【0016】
以下に、本発明の回転工具ホルダにかかる実施例につき、図面を参照して説明する。
(実施例1)
本例の回転工具ホルダ1は、図1に示すごとく、ホルダ本体2の基端に設けたシャンク部23を回転駆動力を発生させる回転主軸6に保持し、ホルダ本体2の先端に設けた工具保持部24に回転工具7を保持して用いるものである。
回転工具ホルダ1は、ホルダ本体2において回転主軸6の回転中心軸線Oと同一軸線上に設けたチューブ収納穴31に、ボルテックス効果を利用して圧縮空気Aから冷気C2を発生させるボルテックスチューブ4を収納してなる。ボルテックスチューブ4は、先端側に渦発生部41を有し、渦発生部41に流入する圧縮空気Aによって先端側から基端側へ通過する自由渦による旋回暖気流H1を発生させると共に、旋回暖気流H1の中心側に基端側から先端側へ通過する強制渦による旋回冷気流C1を発生させるよう構成してある。
図1において、基端側を矢印L1で示し、先端側を矢印L2で示す。
【0017】
ホルダ本体2には、シャンク部23の中心位置からチューブ収納穴31の外周側位置を通って渦発生部41まで圧縮空気Aを導く圧縮空気通路32と、チューブ収納穴31の基端側の外周側へ旋回暖気流H1による暖気H2を排気する排気口33とが形成してある。そして、図3に示すごとく、回転工具ホルダ1は、旋回冷気流C1による冷気C2を、回転工具7に設けた冷気穴71又は回転工具7の外縁から噴出させるよう構成してある。
【0018】
以下に、本例の回転工具ホルダ1につき、図1〜図4を参照して詳説する。
図2に示すごとく、本例の回転工具ホルダ1は、工作機械60の回転主軸6におけるチャック部に保持され、工具保持部24に保持するドリル7A、エンドミル7B、リーマ等の回転工具7によって被加工物に回転切削加工を行うために用いる。
シャンク部23は、基端(上方先端)に向かうに連れて縮径するテーパ状に形成してあり、シャンク部23の基端には、スタッド部231が取り付けられている。また、シャンク部23の下端側に隣接する部位には、回転主軸6に保持する回転工具ホルダ1の回止めを行う回止め溝(図示略)が周方向の対向位置に一対に形成されている。
【0019】
図1に示すごとく、ホルダ本体2は、内側嵌合部211及びシャンク部23を形成してなる基端側本体部21と、内側嵌合部211の外周に嵌合する外側嵌合部221及び工具保持部24を形成してなる先端側本体部22とを組み付けてなる。チューブ収納穴31は、基端側本体部21内に形成した穴部分311と、基端側本体部21と先端側本体部22との間の空間312とによって連続して形成してある。
ボルテックスチューブ4は、基端側本体部21と先端側本体部22との間の空間312に渦発生部41を配置し、残りのチューブ部42を基端側本体部21の穴部分311に配置して収納されている。チューブ部42における基端側部分には、暖気H2の排気量を調整するバルブ43が配設されている。
【0020】
圧縮空気通路32は、シャンク部23の中心位置に回転中心軸線Oの方向に平行に設けた基端側通路部321と、チューブ収納穴31の外周側位置に回転中心軸線Oの方向に平行に設けた外周側通路部322とを、シャンク部23の外周から斜め先端側へ設けた傾斜通路部323によって連通させ、傾斜通路部323におけるシャンク部23の外周に位置する端部に埋め栓324を設けてなる。
外周側通路部322は、基端側通路部321内と外側嵌合部221内とに連続して形成してある。先端側本体部22の外側嵌合部221の周方向部位において、外周側通路部322を形成した部位と異なる部位には、基端側本体部21と先端側本体部22との回止め及び抜け防止を行う止め具27が設けてある。傾斜通路部323は、シャンク部23の一対の回止め溝の周方向の対向部位に直交する方向に傾斜して形成してある。
【0021】
図3に示すごとく、工具保持部24は、先端側本体部22の開口部に、先端側から基端側に向けて縮径するテーパ状の外周を有するコレット25を配置してなる。そして、先端側本体部22の先端外周部に螺合するナット26を締め付けることによってコレット25を中心側へ移動させ、回転工具7を保持するよう構成してある。
【0022】
図1〜図3は、工具保持部24に回転工具7としてのドリル7Aを保持した状態を示す図である。ドリル7Aには、その外周に2条の切屑排出溝73が形成してあり、かつその内部に2条の切屑排出溝73の螺旋形状に沿った螺旋状の冷気穴71が貫通形成してある。そして、ボルテックスチューブ4によって発生した冷気C2は、ドリル7Aにおける冷気穴71を通って、ドリル7Aの先端における切刃72の周辺から噴出される。なお、図1〜図3においては、便宜上、冷気穴71を直線形状で示す。
また、先端に切刃72が形成される回転工具7であれば、回転工具7の中心軸線方向に平行に1本又は複数本の冷気穴71を貫通形成することもできる。
【0023】
図4は、工具保持部24に回転工具7としてのエンドミル7Bを保持した状態を示す図である。エンドミル7Bには、その外周に複数の切刃72が形成してある。また、コレット25の内周における周方向の複数箇所には、ボルテックスチューブ4によって発生した冷気C2をエンドミル7Bの外縁(外周)へ向けて通過させるスリット251が形成してある。
そして、ボルテックスチューブ4によって発生した冷気C2は、エンドミル7Bにおける外周に軸線方向に沿って噴出される。
【0024】
本例の回転工具ホルダ1は、回転主軸6によって回転する際の遠心力の発生を考慮して、ホルダ本体2において回転主軸6の回転中心軸線Oと同一軸線上に設けたチューブ収納穴31に(本例では、回転中心軸線Oとチューブ収納穴31の穴中心線とが一致している。)、ボルテックスチューブ4を収納してなる。これにより、回転工具ホルダ1が回転する際の遠心力の発生を抑制することができる。
【0025】
また、ホルダ本体2には、圧縮空気通路32を、シャンク部23の中心位置からチューブ収納穴31の外周側位置を通って渦発生部41まで形成している。これにより、省スペースで圧縮空気通路32を形成することができ、ホルダ本体2の内部を利用して圧縮空気Aを渦発生部41まで導くことができる。
また、ボルテックスチューブ4から排気される暖気H2は、チューブ収納穴31の基端側の外周側へ形成した排気口33から外部へ排気することができる。これにより、回転工具ホルダ1の回転に伴って排気口33が回転しながら外部へ暖気H2を排気することになり、対流熱伝達が作用して、回転工具ホルダ1の排気口33の周辺が局所的に過熱されることを抑制することができる。
【0026】
そして、回転工具ホルダ1の工具保持部24に保持した回転工具7によって被加工物に回転切削加工を行う際には、圧縮空気通路32からボルテックスチューブ4における渦発生部41に圧縮空気Aが導かれる。ボルテックスチューブ4によって発生された旋回冷気流C1による冷気C2が、回転工具7に設けた冷気穴71又は回転工具7の外縁(外周)から噴出され、回転切削部位に吹き付けられる。
これにより、回転切削加工を行う際に、回転工具7の直近において冷気C2を発生させ、冷気C2のエネルギー損失を抑えることができる。また、回転工具ホルダ1の内部から回転工具7へ冷気C2を供給することができることにより、回転工具7の周辺に障害物が存在しない。これにより、被加工物における加工部位の制約を受けることなく、効果的に回転切削加工を行うことができる。
【0027】
(実施例2)
本例は、図5に示すごとく、圧縮空気通路32をホルダ本体2の内部ではなく、ホルダ本体2の外部に設けた回転工具ホルダ1を示す例である。
本例のホルダ本体2の外周には、ホルダ本体2を回転可能に支持する回転支持部材5が設けてある。回転支持部材5には、渦発生部41まで圧縮空気Aを導く圧縮空気通路32を形成した通路部材54が設けてある。
本例のホルダ本体2における先端側本体部22の先端側部分には、ボルテックスチューブ4の渦発生部41に連通される圧縮空気通路32の一部が形成してあり、この圧縮空気通路32の一部には、先端側本体部22の先端側部分の全周に設けた環状溝34が連通されている。
【0028】
ホルダ本体2は、ベアリング53を介して回転支持部材5におけるリング状の支持本体部51に回転支持してあり、支持本体部51の内周とホルダ本体2の外周との間には、リング状のシールケース部52が嵌め込んである。シールケース部52は、ホルダ本体2の外周との間及び支持本体部51の内周との間にシール材521を配置してなる。
本例においても、回転工具ホルダ1のその他の構成は上記実施例1と同様であり、上記実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0029】
1 回転工具ホルダ
2 ホルダ本体
21 基端側本体部
22 先端側本体部
23 シャンク部
24 工具保持部
31 チューブ収納穴
32 圧縮空気通路
33 排気口
4 ボルテックスチューブ
41 渦発生部
5 回転支持部材
54 通路部材
6 回転主軸
7 回転工具
71 冷気穴
A 圧縮空気
H1 旋回暖気流
H2 暖気
C1 旋回冷気流
C2 冷気

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホルダ本体の基端に設けたシャンク部を回転駆動力を発生させる回転主軸に保持し、上記ホルダ本体の先端に設けた工具保持部に回転工具を保持して用いる回転工具ホルダにおいて、
該回転工具ホルダは、上記ホルダ本体において上記回転主軸の回転中心軸線と同一軸線上に設けたチューブ収納穴に、ボルテックス効果を利用して圧縮空気から冷気を発生させるボルテックスチューブを収納してなり、
該ボルテックスチューブは、先端側に渦発生部を有し、該渦発生部に流入する圧縮空気によって先端側から基端側へ通過する自由渦による旋回暖気流を発生させると共に、該旋回暖気流の中心側に基端側から先端側へ通過する強制渦による旋回冷気流を発生させるよう構成してあり、
上記ホルダ本体には、上記シャンク部の中心位置から上記チューブ収納穴の外周側位置を通って上記渦発生部まで圧縮空気を導く圧縮空気通路と、上記チューブ収納穴の基端側の外周側へ上記旋回暖気流による暖気を排気する排気口とが形成してあり、
上記旋回冷気流による冷気を、上記回転工具に設けた冷気穴又は上記回転工具の外縁から噴出させるよう構成したことを特徴とする回転工具ホルダ。
【請求項2】
請求項1において、上記ホルダ本体は、内側嵌合部及び上記シャンク部を形成してなる基端側本体部と、上記内側嵌合部の外周に嵌合する外側嵌合部及び上記工具保持部を形成してなる先端側本体部とを組み付けてなり、
上記チューブ収納穴は、上記基端側本体部内及び該基端側本体部と上記先端側本体部との間の空間に連続して形成してあり、
上記圧縮空気通路は、上記外側嵌合部内を通って形成してあることを特徴とする回転工具ホルダ。
【請求項3】
請求項1又は2において、上記圧縮空気通路は、上記シャンク部の中心位置に上記回転中心軸線の方向に平行に設けた基端側通路部と、上記チューブ収納穴の外周側位置に上記回転中心軸線の方向に平行に設けた外周側通路部とを、上記シャンク部の外周から斜め先端側へ設けた傾斜通路部によって連通させ、該傾斜通路部における上記シャンク部の外周に位置する端部に埋め栓を設けてなることを特徴とする回転工具ホルダ。
【請求項4】
ホルダ本体の基端に設けたシャンク部を回転駆動力を発生させる回転主軸に保持し、上記ホルダ本体の先端に設けた工具保持部に回転工具を保持して用いる回転工具ホルダにおいて、
該回転工具ホルダは、上記ホルダ本体において上記回転主軸の回転中心軸線と同一軸線上に設けたチューブ収納穴に、ボルテックス効果を利用して圧縮空気から冷気を発生させるボルテックスチューブを収納してなり、
該ボルテックスチューブは、先端側に渦発生部を有し、該渦発生部に流入する圧縮空気によって先端側から基端側へ通過する自由渦による旋回暖気流を発生させると共に、該旋回暖気流の中心側に基端側から先端側へ通過する強制渦による旋回冷気流を発生させるよう構成してあり、
上記ホルダ本体の外周には、該ホルダ本体を回転可能に支持する回転支持部材が設けてあり、
該回転支持部材には、上記渦発生部まで圧縮空気を導く圧縮空気通路を形成した通路部材が設けてあり、
上記旋回冷気流による冷気を、上記回転工具に設けた冷気穴又は上記回転工具の外縁から噴出させるよう構成したことを特徴とする回転工具ホルダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−73090(P2011−73090A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−225762(P2009−225762)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【出願人】(591033755)エヌティーツール株式会社 (22)
【Fターム(参考)】