説明

回転平膜モジュール

【課題】回転平膜ディスクのろ過膜が損傷することを防止できる回転平膜モジュールを提供することを目的とする。
【解決手段】回転平膜モジュール10は、平行に配置された回転軸22A〜22Cと、この回転軸22A〜22Cに取り付けられた複数の回転平膜ディスク12、12…とから成り、回転平膜ディスク12の支持板32は、その外縁部分32Aが、支持板32の側面に取り付けたろ過膜36の膜面よりも突出して形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は回転平膜モジュールに係り、特に上水処理設備で用いられる回転平膜モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多くの膜分離装置が濾過処理の固液分離装置として実用化されている。膜分離装置には、中空糸型、スパイラル型、平膜型、回転平膜型等、様々なモジュール形状がある。このうち回転平膜モジュールは、円形の支持板(ディスク)をろ過膜で被覆した回転平膜ディスクと、この回転平膜ディスクが所定の間隔で取り付けられた回転軸とから成り、回転平膜ディスクを回転させながら、回転平膜ディスクの内部に吸引力を発生させることによってろ過処理を行う(例えば特許文献1及び2参照)。この回転平膜モジュールによれば、回転平膜ディスクの回転によって、ろ過膜の表面に膜面流速が付与され、ろ過膜に汚れ層が付着するのを防止できる。
【0003】
このような回転平膜モジュールは、回転平膜ディスクの回転数が高くなると、原水(被ろ過液)が回転平膜ディスクと一緒に共回りし、十分な膜面流速が得られないという問題がある。そこで、複数の回転軸を平行に配置するとともに、各回転軸に取り付けた回転平膜ディスクが、回転軸方向に見て重なるように配置した回転平膜モジュールが提案されている。この回転平膜モジュールによれば、回転平膜ディスク同士の間に乱流が発生するので、原水の共回りを防止することができる。
【特許文献1】特開平10−146521号公報
【特許文献2】実公平3−41785号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の回転平膜モジュールは、回転平膜ディスクの支持板が変形して、隣接する回転平膜ディスク同士が接触した際に、ろ過膜が損傷し、原水がろ過されずに処理水に混入するおそれがあった。例えば特許文献1の回転平膜ディスクを用いた場合には、ろ過膜同士が接触して損傷したり、或いはろ過膜の外縁部分に塗布した接着剤が剥がれ、漏洩が生じるという問題を生じるおそれがあった。また、特許文献2の回転平膜ディスクを用いた場合には、ろ過膜の膜面に取り付けた攪拌用部材が接触し、ろ過膜が損傷して漏洩が発生するという問題があった。このため、従来装置では、回転平膜ディスク同士の接触を防止するために回転平膜ディスク同士の間隔を必要以上に広くしなければならず、乱流の効果が十分に得られなかったり、回転平膜モジュール全体が大型化するという問題があった。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みて成されたもので、回転平膜ディスクのろ過膜が損傷することを防止できる回転平膜モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は前記目的を達成するために、平行に配置された複数の回転軸と、該複数の回転軸にそれぞれ取り付けられるとともに、円形の支持板の両面をろ過膜で覆うことによって構成された複数の回転平膜ディスクと、を備え、異なる回転軸に装着された前記回転平膜ディスク同士が前記回転軸の方向にみて部分的に重なるように配置された回転平膜モジュールにおいて、前記支持板の外縁部分が、前記ろ過膜の膜面よりも突出して形成されることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、ろ過膜の膜面よりも支持板の外縁部分が突出しているので、回転平膜ディスク同士の間隔が狭まった際に支持板の外縁部分同士が接触し、ろ過膜同士の接触を防止できる。よって、ろ過膜が損傷して破けることを防止することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は前記目的を達成するために、平行に配置された複数の回転軸と、該複数の回転軸にそれぞれ取り付けられるとともに、円形の支持板をろ過膜で覆うことによって構成された複数の回転平膜ディスクと、を備え、異なる回転軸に装着された回転平膜ディスク同士が前記回転軸の方向にみて部分的に重なるように配置された回転平膜モジュールにおいて、前記回転平膜ディスクの外周部に装着され、該回転平膜ディスクよりも厚みの大きい保護リングを備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、回転平膜ディスクよりも厚い保護リングを回転平膜ディスクの外周部に装着するようにしたので、回転平膜ディスクのろ過膜同士が接触することを保護リングによって防止することができる。よって、ろ過膜が損傷して破けることを防止することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は請求項2の発明において、前記保護リングは、前記回転平膜ディスクの外周部が嵌入される溝が長手方向に形成された長尺状部材によって構成されることを特徴とする。したがって、請求項3の発明によれば、長尺状部材の溝に回転平膜ディスクの外周部を嵌入しながら、長尺状部材を回転平膜ディスクの外周部に巻き付けることによって装着することができる。このような保護リングは、回転平膜ディスクに後付けすることができるので、既存の回転平膜ディスクにも取り付けることができる。
【0011】
請求項4に記載の発明は請求項3の発明において、前記長尺状部材の前記溝が形成された面には、長手方向に所定の間隔で切欠きが形成されることを特徴とする。したがって、請求項4の発明によれば、長尺状部材が溝の面側に曲げ易く構成されるので、長尺状部材を回転平膜ディスクの外周部に容易に装着することができる。
【0012】
請求項5に記載の発明は請求項2〜4のいずれか1の発明において、前記保護リングの外周面には、該保護リングの内周面に連通する貫通孔が形成されることを特徴とする。したがって、請求項5の発明によれば、保護リングの外側の被ろ過液を保護リングの内側に取り入れることができる。よって、保護リングの内側のろ過膜を透過する処理液の流量を増加させることができ、ろ過効率を向上させることができる。
【0013】
請求項6に記載の発明は請求項5の発明において、前記保護リングの外周面には、前記貫通孔に被ろ過液を掻き寄せる掻寄部が突設されることを特徴とする。したがって、請求項6の発明によれば、保護リングの内側に多量の被ろ過液を掻き入れることができ、ろ過効率をさらに向上させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る回転平膜装置によれば、回転平膜ディスクよりも厚い保護リングを回転平膜ディスクの外周部に装着するので、回転平膜ディスクのろ過膜同士が接触することを保護リングによって防止することができる。よって、ろ過膜が損傷して破けることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付図面に従って本発明に係る回転平膜モジュールの好ましい実施形態について説明する。図1は、本発明に係る回転平膜モジュール10の第1の実施形態を示す斜視図であり、図2はその内部構成の一部を示す斜視図である。また、図3は、回転平膜モジュール10の内部構成の一部を示す平面断面図であり、図4は回転平膜ディスクの構成を示す斜視図である。
【0016】
図1に示すように回転平膜モジュール10は処理槽14を有し、この処理槽14には流入管16から原水(被処理液)が流入される。処理槽14の内部には、多数の回転平膜ディスク12、12、…が設けられている。回転平膜ディスク12は、図2に示す如く、平行に配設された三本の回転軸22A、22B、22Cに所定の間隔で取り付けられる。回転軸22A〜22Cはそれぞれ、図1の処理槽14の外部に設けたカップリング18A、18B、18Cを介してモータ20A、20B、20Cに連結される。したがって、各モータ20A〜20Cを駆動することによって、回転軸22A〜22Cを回転させることができる。なお、各モータ20A〜20Cは、回転軸22A〜22Cを同方向に回転駆動するように構成される。また、各モータ20A〜20Cとカップリング18A〜18Cの間には減速機21A〜21Cが設けられており、回転軸22A〜22Cの回転速度を正確にコントロールできるようになっている。
【0017】
回転軸22A〜22Cは中空状に形成されており、その内部は各回転平膜ディスク12、12…の内部に連通される。さらに回転軸22A〜22Cの内部は、処理水管24に連通されており、ポンプ26を駆動することによって内部に吸引力を発生し、回転軸22A〜22C内の流体を処理水管24から排出するようになっている。なお、図1の符号27は、処理水管24を流れる処理水の流量を計測する流量計である。また、符号28は処理槽14から濃縮水を排水する排水管であり、符号30は回転平膜モジュール10の制御系が収納された制御盤である。
【0018】
図3及び図4に示すように、回転平膜ディスク12は、ディスクと呼ばれる円形の支持板32と、この支持板32の両面に設けられた通水性のスペーサ34と、さらにその両外面に設けられた円形のろ過膜36によって構成される。スペーサ34は、不織布やパンチングメタル等を組み合わせて形成されており、通水性を有している。ろ過膜36は限外ろ過膜(UF膜)が使用され、その材質としては例えば、ポリスチレン系、ポリプロピレン系、ポリエチレン系、ポリオレフィン系等の高分子樹脂膜が使用される。なお、ろ過膜36の種類は、限外濾過(UF)膜に限定されるものではなく、精密濾過(MF)膜、ナノ濾過(NF)膜、逆浸透(RO)等を用いてもよい。
【0019】
支持板32は、硬質の塩化ビニル樹脂から成り、円板状に形成され、その外縁部分32Aは全周にわたって幅広に形成されている。スペーサ34及びろ過膜36は、この外縁部分32Aよりも内側の部分に取り付けられる。外縁部分32Aの幅w1は、スペーサ34及びろ過膜36を設けた部分の厚みt1よりも大きく形成されており、外縁部分32Aはろ過膜36、36の膜面よりも突出して形成されている。
【0020】
なお、スペーサ34、及びろ過膜36は接着によって支持板32に固定される。接着剤は、スペーサ34やろ過膜36の外縁に全周にわたって塗布されており、この接着剤によって、スペーサ34やろ過膜36の外縁部から液体が漏れることが防止される。
【0021】
回転平膜ディスク12は、図4の液封リング38を介して回転軸22A〜22Cの所定の位置に取り付けられている。回転軸22A〜22Cには、図3に示す如く、回転平膜ディスク12のスペーサ34の取付位置に孔23A〜23Cが形成されており、スペーサ34内を通過した液体が孔23A〜23Cを介して回転軸22A〜22C内に流入するように構成されている。なお、液封リング38は、外部への漏れを防止している。
【0022】
上記の如く構成された回転平膜ディスク12は、図2或いは図3に示すように、回転軸22Aに取り付けられた回転平膜ディスク12、12…と、回転軸22Bに取り付けられた回転平膜ディスク12、12…が軸方向において交互に配置されるとともに、軸方向にみて両方の回転平膜ディスク12、12同士が部分的に重なるように配置される。同様に、回転軸12Bに取り付けられた回転平膜ディスク12、12…と、回転軸12Cに取り付けられた回転平膜ディスク12、12…が軸方向において交互に配置されるとともに、軸方向にみて両方の回転平膜ディスク12、12同士が部分的に重なるように配置される。
【0023】
次に上記の如く構成された回転平膜モジュール10の作用について説明する。
【0024】
まず、図1のモータ20A〜20Cを駆動して各回転平膜ディスク12を回転させながら、ポンプ26を駆動して各回転平膜ディスク12の内部に吸引力を発生させる。これにより、原水が回転平膜ディスク12のろ過膜36を介して回転平膜ディスク12の内部に吸引され、その際に原水がろ過される。ろ過された後の処理水は、回転平膜ディスク12のスペーサ34内を通って回転軸22A〜22Cの内部に吸引され、処理水管24を介して後段の設備に送水される。このようなろ過処理において、ろ過膜36の膜面には、回転平膜ディスク12の回転によって膜面流速が付与される。よって、ろ過膜36が閉塞しにくくなり、長時間にわたってろ過処理を連続して行うことができる。
【0025】
ところで、本実施の形態では、回転軸22Aに取り付けられた回転平膜ディスク12と、回転軸22Bに取り付けられた回転平膜ディスク12が軸方向にみて重なるように配置され、さらに回転軸22A、22Bが同一方向に回転するので、重なり部分では、回転平膜ディスク12、12同士が反対方向に移動し、両者の間に乱流が発生する。同様に回転軸22Bに取り付けられた回転平膜ディスク12と、回転軸22Cに取り付けられた回転平膜ディスク12が軸方向にみて重なるように配置され、さらに回転軸22B、22Cが同一方向に回転するので、重なり部分では回転平膜ディスク12、12同士が反対方向に移動し、両者の間に乱流が発生する。したがって、原水がろ過膜36と共回りすることを防止できるので、ろ過膜36の膜面に十分な膜面流速を付与することができ、ろ過膜36の閉塞を抑制することができる。
【0026】
このような乱流による閉塞防止効果を十分に得るためには、回転平膜ディスク12、12同士を近接して配置することが好ましい。しかし、回転平膜ディスク12、12同士を近接して配置すると、回転平膜ディスク12の支持板32が変形した際に、回転平膜ディスク12、12同士が接触するおそれがある。このため、従来装置では、回転平膜ディスク12、12同士の間隔を大きくする必要があり、乱流による十分な閉塞防止効果が得られなかった。
【0027】
そこで、本実施の形態では、回転平膜ディスク12の支持板32の外縁部分32Aを幅広に形成し、ろ過膜36よりも外側に突出させるようにしたので、支持板32が変形しても、支持板32、32の外縁部分32A、32A同士が接触するので、ろ過膜36は接触せず保護される。よって、ろ過膜36が損傷して破れることを防止することができる。
【0028】
このように本実施の形態は、支持板32、32の外縁部分32A、32Aをろ過膜36の膜面よりも突出させることによってろ過膜36の損傷を防止したので、回転平膜ディスク12、12同士の間隔を狭めることができる。よって、乱流による閉塞防止効果を十分に得ることができるとともに、装置を小型化することができる。また、支持板32の外縁部分32Aを全周にわたって突出させてフランジ状に形成したことによって、支持板32の強度を上昇させることができ、支持板32の変形を抑制することができる。
【0029】
次に本発明に係る回転平膜モジュールの第2の実施形態について説明する。図5は、第2の実施形態の回転平膜モジュールの内部構成の一部を示す平面断面図であり、図6は回転平膜ディスクを示す斜視図である。なお、第2の実施形態は、第1の実施形態と比較して、回転平膜ディスク12の構成が異なっており、それ以外は第1の実施形態と同様に構成される。
【0030】
図5及び図6に示すように、第2の実施形態の回転平膜ディスク50は、支持板52がフラットな円板状(すなわち、外縁部分が突出してない円板状)に形成され、その支持板52の外縁に保護リングXが装着されている。
【0031】
保護リングXは、図7に示す長尺状部材54を回転平膜ディスク50の外縁部分に装着してリング状に形成することによって構成される。図7の長尺状部材54は、柔軟性の良い材質、例えばポリエチレン樹脂から成り、その幅w2は回転平膜ディスク50の厚みt2よりも大きく形成されている。また、長尺状部材54には、長手方向に沿って二本の凸条部56、56が突出形成されており、この二本の凸条部56、56の間に凹状の溝58が形成されている。溝58の幅w3は回転平膜ディスク50の厚みt1と略同じ寸法で形成されており、溝58の間に回転平膜ディスク50の外縁部分を嵌入できるようになっている。また、長尺状部材54は、長手方向の長さLが回転平膜ディスク50の外周長さに一致するようにして形成されている。したがって、図8に示すように、長尺状部材54の溝58に回転平膜ディスク50の外縁部分を嵌入しながら、長尺状部材54を回転平膜ディスク50の外周に沿って巻いていくと、回転平膜ディスク50の外縁部分を長尺状部材54が一周した際に長尺状部材54の端面60、60同士が当接する。これにより、回転平膜ディスク50の外縁部分に保護リングXが装着される。なお、長尺状部材54は、溝58の内部に接着剤を塗布して回転平膜ディスク50に接着するとともに、長尺状部材54の端面60、60同士を接着して固定するとよい。これにより、回転平膜ディスク50の外縁部分からの液体の漏洩を接着剤によって防止できる。また、長尺状部材54の装着は、嵌合や係合等の機械的な結合であってもよい。例えば、長尺状部材54の一方の端部に係合溝を形成し、この係合溝に係合する係合部を長尺状部材54の他方の端部に設けてもよい。その場合、係合部を係合溝に係合させた状態でロックできる機構を設けておくとよい。
【0032】
図7に示すように長尺状部材54の凸条部56、56には、V状の切欠き62、62…が長手方向に一定の間隔で形成されている。したがって、長尺状部材54を凸条部56側(すなわち溝58側)に柔軟に湾曲させることができる。これにより、長尺状部材54を回転平膜ディスク50の外縁部分に容易に巻回して装着することができる。
【0033】
また、長尺状部材54には、その外周面と内周面とを貫通する貫通孔64、64…が形成されている。貫通孔64は、長手方向において一定の間隔で形成されるとともに、長尺状部材54の内周面には溝58以外の部分に連通されている。したがって、長尺状部材54を回転平膜ディスク50に装着した際に、回転平膜ディスク50の外周面側と内周面側が貫通孔64を介して連通される。なお、貫通孔64は、必要に応じて形成すればよく、貫通孔64のない実施態様も可能である。
【0034】
上記の如く構成された第2の実施形態によれば、回転平膜ディスク50の外縁部分に、その回転平膜ディスク50よりも厚み方向に広い保護リングXが取り付けられている。したがって、回転平膜ディスク50の支持板52が変形しても、保護リングX同士が接触するので、ろ過膜36は保護リングXによって保護される。よって、ろ過膜36が損傷して破れることを防止することができる。
【0035】
このように本実施の形態は、回転平膜ディスク50に保護リングXを装着し、ろ過膜36の損傷を防止したので、回転平膜ディスク50、50同士の間隔を狭めることができる。よって、乱流による閉塞防止効果を十分に得ることができるとともに、装置を小型化することができる。また、回転平膜ディスク50の支持板52は、リングの付いた型で打ち出せば大量生産できて原価低減ができるので、生産コストを削減することができる。すなわち、従来装置では、支持板52の変形を防止するために、大量生産が困難であるFRP(繊維強化プラスチック)等を使用しなければならなかったが、本実施の形態では変形した場合にもろ過膜36の損傷を防止できるので、硬質の塩化ビニル樹脂等を使用することができ、大量生産によってコストを削減することができる。
【0036】
また、本実施の形態では、保護リングXとして、滑りのよいポリエチレン樹脂を用いたので、保護リングX同士が接触して摺動した場合にも回転平膜ディスク50の回転に大きな妨げとなることがない。なお、支持板52の材質は、ポリエチレン樹脂や耐水性ゴム等も用いてもよい。
【0037】
さらに、本実施の形態では、保護リングXに貫通孔64が形成されているので、回転平膜ディスク50の外側から内側に原水が導入されやすくなる。よって、回転平膜ディスク50のろ過膜36を透過する液量が増加し、ろ過効率を向上させることができる。
【0038】
なお、上述した実施形態において、保護リングXに衝撃検出センサを取り付け、保護リングX同士の接触を検出するようにしてもよい。
【0039】
図9は別形状の保護リングXを示している。同図に示す保護リングXは、外周面側と内周面側とを貫通する貫通孔70が矩形状に形成されるとともに、この貫通孔70の位置に掻寄部72が外側に突出形成されている。この貫通孔70と掻寄部72は、保護リングXを「コ」字状に切出し加工することによって同時に形成される。また、掻寄部72は、回転平膜ディスク50の回転方向に対して上流側が外側に開くようにして形成される。なお、掻寄部70は、回転方向の先端を鋭角に形成することが好ましく、これによって回転時の抵抗を減少させることができる。
【0040】
このような保護リングXを装着した回転平膜ディスク50を回転させると、掻寄部72によって原水が貫通孔70に掻き寄せられ、保護リングXの内周面側に誘導される。したがって、回転平膜ディスク50のろ過膜36を透過する液量を増加させることができ、ろ過効率を大幅に向上させることができる。
【0041】
なお、保護リングXの形状は、上述した実施形態に限定されるものではなく、回転平膜ディスク50の外縁部分に沿って装着されてリング状を形成するものであればよい。例えば、図10(A)に示すように、断面が略円形に形成されるとともに、長手方向に溝82が形成された長尺状部材80を用いて保護リングXを形成してもよい。また、図10(B)に示すように、断面が略三角形に形成され、長手方向に溝86が形成された長尺状部材84を用いて保護リングXを形成するようにしてもよい。これらの長尺状部材80、84を用いて保護リングXを形成すると、保護リングX同士が接触した際に、接触面積が小さくなり、接触抵抗が小さくすることができる。
【0042】
また、上述した第2の実施形態は、長尺状部材54を巻回して保護リングXを形成したが、保護リングXの形成方法はこれに限定するものではなく、例えば、金型を用いて塩化ビニル等の樹脂をリング状に成形加工し、これを支持板52の縁に装着するようにしてもよい。或いは、半リング状に成形したもの同士を支持板52の縁で組み合わせるようにしてもよい。これにより、既製の回転平膜ディスクに保護リングXを取り付けることができ、コストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る回転平膜モジュールを示す斜視図
【図2】回転平膜モジュールの内部構成の一部を示す斜視図
【図3】回転平膜モジュールの内部構成の一部を示す平面断面図
【図4】回転平膜ディスクの構成を示す斜視図
【図5】第2の実施形態の回転平膜モジュールの内部構成の一部を示す平面断面図
【図6】第2の実施形態の回転平膜ディスクの構成を示す斜視図
【図7】保護リングを構成する長尺状部材を示す斜視図
【図8】長尺状部材の取付状況を示す斜視図
【図9】別形状の保護リングの一部を示す斜視図
【図10】別形状の長尺状部材を示す斜視図
【符号の説明】
【0044】
10…回転平膜モジュール、12…回転平膜ディスク、22A〜22C…回転軸、32…支持板、34…スペーサ、36…ろ過膜、50…回転平膜ディスク、52…支持板、54…長尺状部材、56…凸条部、58…溝、62…切欠き、64…貫通孔、70…貫通孔、72…掻寄部、X…保護リング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平行に配置された複数の回転軸と、該複数の回転軸にそれぞれ取り付けられるとともに、円形の支持板の両面をろ過膜で覆うことによって構成された複数の回転平膜ディスクと、を備え、異なる回転軸に装着された前記回転平膜ディスク同士が前記回転軸の方向にみて部分的に重なるように配置された回転平膜モジュールにおいて、
前記支持板の外縁部分が、前記ろ過膜の膜面よりも突出して形成されることを特徴とする回転平膜モジュール。
【請求項2】
平行に配置された複数の回転軸と、該複数の回転軸にそれぞれ取り付けられるとともに、円形の支持板をろ過膜で覆うことによって構成された複数の回転平膜ディスクと、を備え、異なる回転軸に装着された前記回転平膜ディスク同士が前記回転軸の方向にみて部分的に重なるように配置された回転平膜モジュールにおいて、
前記回転平膜ディスクの外周部に装着され、前記回転平膜ディスクよりも厚みの大きい保護リングを備えたことを特徴とする回転平膜モジュール。
【請求項3】
前記保護リングは、前記回転平膜ディスクの外周部が嵌入される溝が長手方向に形成された長尺状部材によって構成されることを特徴とする請求項2に記載の回転平膜モジュール。
【請求項4】
前記長尺状部材の前記溝が形成された面には、長手方向に所定の間隔で切欠きが形成されることを特徴とする請求項3に記載の回転平膜モジュール。
【請求項5】
前記保護リングの外周面には、該保護リングの内周面に連通する貫通孔が形成されることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1に記載の回転平膜モジュール。
【請求項6】
前記保護リングの外周面には、前記貫通孔に被ろ過液を掻き寄せる掻寄部が突設されることを特徴とする請求項5に記載の回転平膜モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−192335(P2006−192335A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−4391(P2005−4391)
【出願日】平成17年1月11日(2005.1.11)
【出願人】(595145050)日立プラント建設サービス株式会社 (4)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】