説明

回転式インデックスシステムの回転式屈曲部およびエア軸受サポート

位置安定性の高いインデックス可能なテーブルまたは「ダイヤル」において、ダイヤルは、1つまたは複数のエア軸受によりフレーム上方のスチール表面に相対的に支持される。屈曲部は、Z軸に沿ってモータ軸からダイヤルを分離するように軸方向に適合であるが、ねじれに非適合になるようにインデックスモータをダイヤルへ機械的に接続する。1つの実施形態において、エア軸受は、ダイヤルの下方にて角度的に均一にずらした位置にてフレームに取り付けられる。他の実施形態において、軸受は、部分的にダイヤル内に組み込まれる。真空先行負荷(吸引)は、エア軸受硬度を高めるために、および/又は、逆の処理、例えば屈曲部の一部をダイヤルの下面に取り付けること、を許容するために、いずれの実施形態にも使用され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばレーザードリルステーションなどの、処理ステーションの内外のワークピースのために固定具を正確にインデックス(index)する、より詳細には面外逸脱(out-of-plane excursions)に対してダイヤルを保護すると同時に、ダイヤルインデックスモータと関連する軸受の性能仕様を緩和する、一般的に「ダイヤル」と呼ばれる支持部に関連する、ダイヤルサポートシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばレーザードリルステーションなどの、処理ステーションの内外におけるワークピースのインデックスするために回転式ダイヤルを使うことは、知られている。ここで、ワークピースの位置に対する精密な制御が要求される。ダイヤルは、典型的には円形であると共に、中心垂直回転軸(central, vertical axis of rotation)を有し、Z軸と称される。モータは、コマンドによってワークピースを支持するテーブルをインデックスするために取り付けられる。フレームは、典型的には、テーブルより下方の寸法安定性のある表面を含む。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
従来の回転式インデクサー(indexer)において、ダイヤルの質量は、インデックサーモータの軸受によって支持される。大きく、高価で高精密なインデックサーモータの軸受は、面外逸脱に対するダイヤルの保護を要求される。つまり、ダイヤルは、スラスト方向(thrust direction)、すなわち、回転軸に沿って、遊びを最小化するよう取り付けられ、および、径方向遊びの結果として、傾き(tipping)または傾斜(tilting)を最小化するよう取り付けられる。例えば1メートルかそれ以上の直径の大きなダイヤルの場合、垂直な力がダイヤルの外端近傍に印加された場合、傾きや傾斜を阻止するために高額な措置が取られていた。この措置には、インデクサースラスト軸受のサイズを大きくすること、および、インデックス位置にいる場合にダイヤルに係合(outrigger)構造を付加することが含まれる。より大きなスラスト軸受および係合構造は、コストを増大させ、係合構造は処理時間を浪費すると共に、位置決めエラーの原因になり得る。
【0004】
その一方、本発明の実施形態は、より大きなインデクサースラスト軸受による費用および選択的に係合可能な張り出しによって発生する問題なしに、インデックス可能なダイヤルの高度な安定性および面外逸脱に対する保護を提供する。端的に、本発明は、モータとスラスト軸受を備え、インデクサーからダイヤルの質量を支持するタスクを取り除く。
【0005】
一般に、これは、第1にインデクサーとダイヤルを機械的に相互接続する屈曲要素の使用を介し、そして第2にダイヤルを支持するエア軸受システムにより、達成される。屈曲要素は、ねじれに非適合であると同時に、Z軸に沿ってテーブルをインデクサーから本質的に切り離す。エア軸受システムは、ダイヤル質量を支持すると共に、より小さく廉価なインデクサーが使用されることを許容する。
【0006】
後述の通り、エア軸受の配置は、いくつかの形態をとれると共に、真空の先行負荷を組み込むことができ、同様にダイヤル構造に部分的に統合し得る。本発明の完全な理解のために、下記本発明の具体的実施形態の説明において、符号が付される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
なお、以下の説明において参照する各図では、他の図と同等の構成要素は同一符号によって示されている:
【0008】
【図1】本発明の実施形態を組み込んだレーザードリルシステムの斜視図である;
【0009】
【図2】図1のドリルシステムのための第1のダイヤルサポートシステムの斜視図である;
【0010】
【図3】図2の第1のダイヤルサポートシステムの別角度からの斜視図である;
【0011】
【図4】図1のダイヤルのための代替的なサポートシステムの概略断面図である;
【0012】
【図5】第2の代替的なサポートシステムの概略断面図である;
【0013】
【図6】模範的エア軸受導入の部分的概略横面図である;
【0014】
【図7】反転したダイヤルの実施形態の部分的概略横面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1によれば、スチールプレート14を支持するフレーム12を備えるレーザードリルシステム10が示されており、その頂面は水平である。プレート14の上方で支持されるインデックス可能なダイヤル16は、後述の通り説明されるエア軸受28のシステムにより支持される。ダイヤル16は、ワークピースを固定具17で受容するようにデザインされており、例えばリアルタイムコンピュータ20の制御のもとにあるレーザーシステム18により実行されるレーザードリルなどのステップを処理するために、ワークピースは精密に位置され得る。ダイヤル16が位置に着くやいなや、アライメントを検証するコマンドおよびワークピースをレーザー加工するコマンドが与えられる。プログラムステーション19が提供される。システム10のバランスは、動力、気温制御、エア処理およびレーザーシステム18のためにその他ニーズ(other needs)を提供するサブシステムのためのハウジング22を備える。このようなシステムコンポーネント(system components)の詳細は、本願出願人の同時係属である、2009年02月27日に出願され、エレクトロサイエンティフィックインダストリーズ社(Electro Scientific Industries, Inc.)が譲受人の米国特許出願番号12/394,966号にて見つかるかもしれない。
【0016】
図2、図3、図6を参照し、ダイヤル16の第1のサポートシステムが説明される。ダイヤル16は、円形のものとして示されると共に、フレーム12に固定されたインデックスモータ24により垂直Z軸の周囲にて回転するよう取り付けられている。図2および図3は、4つの円周方向にかつ径方向に等間隔離れたエア軸受28により、ペンシルベニア州フィラデルフィア市のニューウェイエアベアリングズ社(New Way Air Bearings of Philadelphia, PA)から入手可能なタイプ、支持されているダイヤル16を示す。この会社の製品パンフレットによれば、それら軸受は、ベアリング内の多孔質カーボンディフューザ(porous carbon diffuser)を介して正圧下において空気の流れを供給することで達成される流体膜を生成する。ニューウェイエアベアリングズ社は、正空気圧および真空先行負荷(vacuum preloading)を提供する吸引口の両方を用いる、正エアフロー/真空モードのコンビネーションにおいて使用するには感受性が高い。その特徴は、軸受28に剛性を加えつつ本発明において利点をもたらすために使用され得る。図6は、軸受28がスタンドオフ30と細かいピッチネジを有する球形ジョイント31とを使ってプレート14にどのように取り付けられているかを示す。スタンドオフ30は、プレート14に取り付けられ、また、ジョイント31は、軸受28に取り付けられる。
【0017】
図2および図3は、直径1メートルまでか直径1メートル以上であろう、ダイヤル16がどのように、低カーボンスチールの板状構造からなる屈曲部材26を介してモータ24の出力軸Sに機械的に相互接続するかを示す。屈曲部材26は、モータ24の出力部材、例えば出力軸S、に2本のネジで直接取り付けられる実質的に円形の中心部42と、ダイヤル16の底にネジで取り付けられる4つの屈曲アーム44と、を有し、図2に関係を示す(図4も参照)。屈曲部材26の構造は、例えば捩れに硬く(stiff in torsion)、すなわち、高度に非適合的な方法でモータ24からダイヤル16へトルクを伝達する。しかしながら、屈曲アーム44は、モータ出力軸SのZ軸に沿った逸脱がダイヤル16に伝達されることから阻止するように、Z軸に沿って実質的適合性を許容する。端的に言えば、屈曲部材26は、Z軸に沿ってモータ24からダイヤル16を選択的に分離する。
【0018】
エア軸受28は、図2および図3に示す回転構造の中心から約12から15インチ半径方向外側に位置し、したがって、エア供給源から正圧が供給された場合にダイヤル16への実質的サポートを提供する。また上述したように、エア軸受28は、真空供給源へ接続され、これにより真空先行負荷を提供することによってデュアルモードで動作し得る。これは、エア軸受28の硬度を増すと共に、モードの速やかな切り替えを可能にする。このモードにおいて、真空先行負荷は、例えばレーザードリル処理などの間に位置安定性のために、軸受28の上面上に効果的に吸引するダイヤル16の底面を支配すると共に効果的に吸引する。4つの軸受が示されているが、当然のことながら、より多くのまたはより少ない数の軸受を使用でき、より精密な軸受(discreet bearing)の場合では3つが最少となる。
【0019】
図4を参照し、本発明の第1の別の実施形態が示される。図4にて、モータ24’は、モータ24’の出力部材であるスペーサー27を介して屈曲部材26に機械的に接続される。屈曲部材26の屈曲アーム44は、ダイヤル16’の下側に順に締結される。ダイヤル16’は、プレート14の頂面隣に近接して配置されるよう示されている。プレート14は、図1に示すように、フレーム12により支持される。真空および圧縮空気スリップリングマニホールド構造46は、ダイヤル16’の下側からの開口部として存在する軸受インレット36に圧縮空気を供給して、エア軸受28のリフティング側面(lifting aspects)を提供する。円形凹部または凹面40は、ダイヤル16’の下側の中に圧延される(milled)と共に、スリップリングマニホールド構造46を介して真空供給源に真空ライン38により接続され、上述の真空先行負荷を提供する。軸受インレット36への正気圧は、遮断が可能で、これにより先述の通り、ダイヤル16’の下方をプレート14の頂面に引き付ける真空を生成する。
【0020】
軸受インレット36と、凹面40を有する真空ライン38と、により提供されるエア軸受28が、ダイヤル16’の安定性を維持する一方、屈曲部材26は、インデックス作業中または作業間において、Z軸逸脱がモータ24’からダイヤル16’を通過することを阻止する。屈曲部材26もまた、上述の通りプレート表面に対してダイヤル16’が降下することを許容する。
【0021】
図5は、例えば図4の実施形態のようなダイヤル16”を通り抜けるよりも、正気圧導管および負気圧(すなわち、真空)導管36’および38’が、それぞれ、プレート14’を通り抜ける、または、プレート14’の下方を通る、本発明の更なる実施形態を示す。この実施形態は、したがって、ダイヤル16”へのエア供給のための、例えばスリップリングマニホールド構造46のような、回転結合の必要性を排除する。図5において、プレート14’の外部からの圧縮空気は、外部真空供給源に導管38’が接続されるプレート14’内の圧延凹面41内に真空を引き込む間、ダイヤル16”の下方のプレート14’の開口部へ導管36’を経由して流れる。制御が、互いに独立して流れる正負圧力を調整するために、与えられる。
【0022】
本発明は、ダイヤルが軸受上に位置するいくつかの実施形態に基づいて説明されてきたが、ダイヤル16を重力に逆らって保持するように真空システムを位置付け、その大きさにすることは発明の範囲内であり、これにより、要望に応じて逆転した様式で部品が処理されることを許容する。このような実施形態は、図7に示され、ダイヤル16’ ’ ’がプレート14”の下方にある。気圧導管36”および38”は、図5に示すそれと同様であるが、しかし、導管38”を経由する吸引が重力に逆らってダイヤル16’ ’ ’を保持する。インデックスモータ24は、セパレータ27と出力軸Sにより表され、ダイヤル16’ ’ ’の下方にある。しかしながら、インデックスモータ24は、ダイヤル16’ ’ ’の上方にあっても良い。
【0023】
本発明は、いくつかの実施形態に関連して説明されてきたが、開示された実施形態に限定されることなく、それどころか、添付の請求の範囲内を含むさまざまな改良品および同等のアレンジを含めることを意図しており、その範囲は、法が許す中で全ての変更や均等構造を含有するよう最も広い解釈に応じるものである、と解することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理ステーションから出し入れ可能なワークピースを移動するインデックス可能なダイヤルシステムであって、
回転軸を有するダイヤルと、
前記回転軸の周囲に前記ダイヤルを選択的にインデックスするモータと、
前記ダイヤルの表面に取り付けられた少なくとも1つのエア軸受と、
前記モータを前記ダイヤルに機械的に接続する屈曲部と、を備え、
前記屈曲部は、前記回転軸周囲において、本質的にねじれに非適合であるが、前記回転軸に沿って適合であることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記少なくとも1つのエア軸受は、
前記回転軸の周囲に等間隔に位置する複数のエア軸受を備えることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記モータを支持すると共に前記ダイヤルに対向するフレームを更に備え、
ここで、前記複数のエア軸受のそれぞれは前記フレームに搭載されたプレートに取り付けられることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記プレートは、
前記ダイヤルに対向するその表面に複数の凹面を備え、
前記システムは、
前記複数の凹面のそれぞれと結合すると共に、前記プレートの外部から前記プレートを介して延長する少なくとも1つの負気圧導管と、
前記プレートを介して前記表面に延長すると共に、前記プレートから外部へ延長する少なくとも1つの経路を有する複数の正気圧導管と、を更に含むことを特徴とする請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記ダイヤルは、その表面に複数の凹面と、前記表面から反対面まで延長する複数の軸受インレットと、を備え、
前記システムは、前記複数の凹面と、凹面のそれぞれと結合する少なくとも1つの真空ラインを更に含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記屈曲部の中心部における開口部を介して、前記ダイヤルの前記反対面に延長するスリップリングマニホールド構造を更に備えることを特徴とする請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記屈曲部は、
前記モータの出力部材に取り付けられる実質的に円形の中心部を含む板状構造と、
前記中心部の周囲に配置される複数の屈曲アームと、を備え、
前記複数の屈曲アームのそれぞれは、前記ダイヤルに取り付けられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシステム。
【請求項8】
前記ダイヤルに対向する表面と、
前記屈曲部の周辺に中心開口部と、を有するプレートを更に備え、
前記エア軸受のそれぞれは、前記ダイヤルと前記プレートの前記表面との間に結合されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシステム。
【請求項9】
前記モータは、前記中心開口部を介して延長することを特徴とする請求項8に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−528734(P2012−528734A)
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513961(P2012−513961)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【国際出願番号】PCT/US2010/034360
【国際公開番号】WO2010/141188
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(593141632)エレクトロ サイエンティフィック インダストリーズ インコーポレーテッド (161)
【Fターム(参考)】