回転式充填装置とその充填方法
【課題】1台で、複数の製品液を充填できるとともに、1つのノズルで生産しながら、他のノズルと同ノズルに連結した給液管路の洗浄ができるため、液替えのための洗浄時間を生産とは別に必要とせず、効率の良い生産ができるとともに、1台の機械で多様な生産に適用できる回転式充填装置と充填方法を提供する。
【解決手段】複数の充填液供給源毎にそれぞれ対応させた独立の第1給液管路12と第2給液管路13によって充填液供給源と回転式充填装置1の本体2の第1ノズル7と第2ノズル8との間を連結し、各充填液供給源から供給される製品液を、種類毎に対応した各給液配管を経て容器3に充填する第1給液管路12と第2給液管路13とを有する。さらに、容器3の充填に使用するノズルを切り替えるノズル切り替え手段の駆動により、給液管路を切り替えることで同一の容器3に複数種類の製品液を充填可能にした。
【解決手段】複数の充填液供給源毎にそれぞれ対応させた独立の第1給液管路12と第2給液管路13によって充填液供給源と回転式充填装置1の本体2の第1ノズル7と第2ノズル8との間を連結し、各充填液供給源から供給される製品液を、種類毎に対応した各給液配管を経て容器3に充填する第1給液管路12と第2給液管路13とを有する。さらに、容器3の充填に使用するノズルを切り替えるノズル切り替え手段の駆動により、給液管路を切り替えることで同一の容器3に複数種類の製品液を充填可能にした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填液供給源から供給される液体を回転する環状の容器搬送路の上方の各ノズルに送り、各ノズルから容器搬送路上の容器に液体を充填する回転式充填装置とその充填方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、液体充填装置として回転式充填装置が知られている。ここでは、回転式の液体充填装置の本体の周囲に環状の容器搬送路が設けられている。容器搬送路上には、製品液が充填される充填対象となる複数の容器を載置する容器台が適宜の間隔を存して並設されている。さらに、容器搬送路の上方には、容器搬送路上の容器台毎にそれぞれ対応して液体を充填するノズルが並設されている。これらのノズルは、回転式充填装置の本体に支持され、容器搬送路上の容器台の搬送速度とそれぞれ同期して同時に移動する構成になっている。
【0003】
一方、充填したい液体は充填液供給源としての充填液タンクに貯留されている。この充填液タンクに一端が連結された流体管路の他端は回転式充填装置の本体に並設されたノズルと同数の管路に分岐されている。この分岐管路は回転式充填装置の本体の各ノズルに連結されている。そして、タンクに貯留された液体をこの充填液タンクに接続された流体管路を介して、回転式充填装置の本体の各ノズルから容器搬送路上の容器台の上の各容器に充填するものである。
【0004】
また、例えば特許文献1には、液体充填経路に2つの充填液供給源(第1の充填液供給源と第2の充填液供給源)を設け、容器搬送路上の容器台毎にそれぞれ2つのノズル(第1のノズルと第2のノズル)をそれぞれ独立して設けている構成が示されている。ここでは、第1の充填液供給源から供給される第1の液体がこの充填液供給源に一端が接続された第1の流体管路を介してこの流体管路の他端に配設された複数の第1のノズルに供給されて充填可能な第1の経路が設けられている。さらに、第1の充填液と異なる第2の充填液が第2の充填液供給源に一端が接続された第2の流体管路を介してこの流体管路の他端に配設された複数の第2のノズルから充填可能な第2の経路が設けられている。これらの第1の経路と第2の経路とは、それぞれ独立して設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−175997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の装置では、1つの液体充填装置に複数の液体充填経路を設けたことで、例えば、第1の経路に設けられた第1のノズルが詰まった場合に、バックアップとして第2の経路に設けられた第2のノズルを用いてこの液体を充填することを続けることができる。しかしながら、特許文献1の装置では、2つの充填液供給源と容器搬送路上の各容器台の2つのノズルとの間の流体管路を洗浄する場合には、回転式充填装置を動かさずに行う必要があるため、回転式充填装置による生産(容器搬送路上の容器に液体を充填する作業)と同時に流体管路の洗浄を行なうことができない。
【0007】
本発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的は、1台で、複数の製品液を充填できるとともに、液体充填経路で生産しながら使用していない液体充填経路の洗浄ができるため、液替えのための洗浄時間を必要とせず、効率の良い生産ができるとともに、1台の機械で多様な生産に適用できる回転式充填装置とその充填方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面の態様は、複数の容器を搬送する環状の容器搬送軌道を備えた容器搬送路と、この容器搬送路上の各容器毎に対応して各容器の上方にそれぞれ配設され、前記容器搬送路上の容器の移動に同期して移動可能な複数のノズルと、前記容器搬送路上の容器に製品液を供給する複数の充填液供給源と、前記充填液供給源毎にそれぞれ対応させた独立の給液配管によって前記充填液供給源と前記各ノズルとの間を連結し、前記各充填液供給源から供給される製品液を前記製品液の種類毎に対応した別々の前記各給液配管を経て前記容器に充填する給液管路と、前記各容器毎に設けられ、前記容器の充填に使用する前記ノズルを切り替えるノズル切り替え手段と、前記充填液供給源毎の前記各給液配管に対応した別々の前記廃液配管を備え、前記ノズルからの廃液を前記充填液供給源毎に別々の経路に対応した前記廃液配管から混合されることなく廃液させる廃液管路と、いずれかの前記ノズルから前記容器に前記製品液を充填していずれかの前記給液管路にて生産している作業中に、前記製品液を充填していない他の前記ノズルからの廃液を前記廃液管路から廃液させて洗浄可能な洗浄手段と、を具備し、前記ノズル切り替え手段の駆動により、前記容器に充填する給液管路を切り替えることで同一の前記容器に複数種類の前記製品液を充填可能にしたことを特徴とする回転式充填装置である。
【0009】
好ましくは、前記給液配管は、可撓性を有する配管によって形成され、前記ノズル切り替え手段は、複数の前記ノズルを保持するノズルヘッドと、前記ノズルヘッドを一つのノズルが前記容器への充填位置に配置されている状態と、他のノズルが前記容器への充填位置に配置されている状態とに切り替えるアクチュエータと、を含み、前記アクチュエータの駆動により、前記ノズルヘッドを介して前記容器への充填位置の前記ノズルを切り替えることで同一の前記容器に複数種類の前記製品液を充填可能にした。
【0010】
本発明の他の局面の態様は、前記に記載の回転式充填装置を用いて前記各ノズルヘッドの複数の前記ノズルから前記容器に同種の前記製品液を充填することを特徴とした回転式充填装置の充填方法である。
【0011】
本発明の他の局面の態様は、前記に記載の回転式充填装置を用いて前記各ノズルヘッドの複数の前記ノズルから前記容器に別種の前記製品液を充填することを特徴とした回転式充填装置の充填方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数の液体充填経路下で、1台で、複数の製品液を充填できるとともに、液体充填経路を用いて生産しながら、使用していない液体充填経路の洗浄ができるため、液替えのための洗浄時間を生産とは別に必要とせず、効率の良い生産ができるとともに、1台の機械で多様な生産に適用できる回転式充填装置とその充填方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施の形態の回転式充填装置の全体の概略構成を示す側面図。
【図2】回転式充填装置の給液管路の分配装置と回転式充填装置の複数のノズルとの間の充填液配管の配置状態を示す平面図。
【図3】回転式充填装置の廃液管路の廃液収集装置と回転式充填装置の複数のノズルとの間の洗浄廃液回収配管の配置状態を示す平面図。
【図4】回転式充填装置の分配装置の第1の多重配管部を示す要部の縦断面図。
【図5】回転式充填装置の廃液配管の第2の多重配管部を示す要部の縦断面図。
【図6】回転式充填装置のノズルによる充填中に洗浄用キャップを待機位置に移動した状態を示す側面図。
【図7】回転式充填装置のノズルに洗浄用キャップを装着した状態を示す側面図。
【図8】回転式充填装置の生産用のノズル切り替え手段を示す平面図。
【図9】本発明の第2の実施の形態の回転式充填装置の容器搬送路上の容器に2つのノズルから製品液を同時充填する充填方法を示す要部の縦断面図。
【図10】本発明の第3の実施の形態の回転式充填装置の充填方法による第1のノズルから第1の製品液を充填する状態を示す要部の縦断面図。
【図11】第3の実施の形態の回転式充填装置の充填方法による第2のノズルから第2の製品液を充填する状態を示す要部の縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1の実施の形態]
(構成)
図1乃至図8は、本発明の第1の実施の形態を示す。図1は、回転式充填装置1の全体の概略構成を示す側面図である。本実施の形態の回転式充填装置1の本体2には、充填液が充填される充填対象となる複数の容器3を搬送する環状の容器搬送軌道4aを備えた容器搬送路4が設けられている。この容器搬送路4には、図示しない外部の容器搬送装置から搬送される容器3を1個毎に移載される容器台5が環状の容器搬送軌道4aに沿って複数並設されている(図2参照)。容器台5は、容器搬送軌道4aの中心線を中心に環状の容器搬送軌道4aに沿って回転駆動されるようになっている。
【0015】
また、回転式充填装置1の本体2は、固定台2Aと、この固定台2Aに対して容器搬送路4の容器3の搬送速度に同期し、任意の速度で回転可能な回転テーブル2Bとが配設されている。回転テーブル2Bの軸心部には、円筒状の支軸部2Cが配設されている。支軸部2Cは、回転テーブル2Bと一体に回転駆動されるようになっている。
【0016】
容器搬送路4の容器台5の上方には、容器搬送路4上の容器3毎に対応してそれぞれ複数(本実施の形態では2つ)のノズル(第1ノズル7と第2ノズル8)が配設されている。これらの第1ノズル7と第2ノズル8は、支軸部2Cに固定されたノズル支持部材2Dに支持されている。これにより、容器搬送路4上の容器3毎に並設されている第1ノズル7と第2ノズル8は、ノズル支持部材2Dに支持された状態で容器搬送路4上の容器3の搬送速度に同期して同時に同方向に移動するようになっている。
【0017】
第1ノズル7の上部には第1充填バルブ9が連結されている。同様に、第2ノズル8の上部には第2充填バルブ10が連結されている。さらに、ノズル支持部材2Dには、各容器台5の上方にそれぞれ対応する容器3の充填に使用するノズルを第1ノズル7と第2ノズル8とに切り替えるノズル切り替え手段61が設けられている。
【0018】
図8は、ノズル切り替え手段61を示す。このノズル切り替え手段61は、ノズル支持部材2Dに内端部が回動支軸62を中心に回動可能に軸支されたノズルヘッド63と、このノズルヘッド63を駆動するアクチュエータであるエアーシリンダ64とを有する。エアーシリンダ64のプランジャ65の先端はノズルヘッド63の中途部に回動ピン66を中心に回動可能に軸支されている。ノズルヘッド63の外端部には上記第1ノズル7と第2ノズル8とが並設された状態で保持されている。
【0019】
そして、エアーシリンダ64の駆動により図8中に矢印で示すようにノズルヘッド63が回動支軸62を中心に回動駆動される。このとき、第1ノズル7と第2ノズル8とのいずれか一方が選択的に使用される状態と、両方が一緒に使用される状態とに切り替え可能となっている。例えば、図8の状態で、第1ノズル7が容器3の充填に使用する使用位置で保持されている場合には、エアーシリンダ64の駆動により、ノズルヘッド63が回動支軸62を中心に時計回り方向に回動する動作により、第2ノズル8が容器3の充填に使用する使用位置に移動されるようになっている。なお、図8の状態では、第1ノズル7と第2ノズル8とが一緒に使用される状態に切り替えることもできる。
【0020】
回転式充填装置1の本体2の上部には容器搬送路4上の容器3に製品液を供給する液体供給装置11が設けられている。この液体供給装置11には、図示しない複数(本実施の形態では2つ)の充填液供給源(第1充填液供給源と第2充填液供給源)毎にそれぞれ対応させた2つの独立の給液管路(第1給液管路12と第2給液管路13)が設けられている。ここで、第1充填液供給源からは第1充填液が供給され、第2充填液供給源からは第2充填液が供給される。なお、第2充填液は、第1充填液と同一または異なる種類の液体を使用することができる。
【0021】
第1給液管路12と第2給液管路13には、充填液供給源毎にそれぞれ対応させた2経路の分配装置(第1分配装置14aと第2分配装置14b)が充填液供給源と第1ノズル7および第2ノズル8との間に配設されている。図4に示すように第1分配装置14aと第2分配装置14bには、第1の二重配管(多重配管部)15が設けられている。この第1の二重配管15は、回転式充填装置1の本体2の上部側に同軸上に配置された2つの管路(第1上管路16と第2上管路17)を有する。第1上管路16は、回転式充填装置1の本体2の中心線上に縦に配置された直管状の縦管路(独立流路)16aとこの縦管路16aの下部に連結された液受け用の部屋である円形の液受け部16bとを有する。
【0022】
第2上管路17は、縦管路16aの周囲を囲む状態で配設された環状の縦管路(独立流路)17aとこの縦管路17aの下部に連結された液受け用の部屋である円形の液受け部17bとを有する。第2上管路17の液受け部17bは、第1上管路16の液受け部16bの上側に配置されている。
【0023】
第1の二重配管15には、支軸部2Cに固定され、支軸部2Cと一体的に回転する回転部15aと、回転部15aに対して非回転状態で保持される2つの固定部(第1固定部15bと第2固定部15c)が設けられている。第1固定部15bは、第1の二重配管15の第2上管路17の上端側に配置されている。第2固定部15cは、第1上管路16の上端側に配置されている。
【0024】
第1の二重配管15の第1固定部15bには、ほぼ水平方向の直管状の管路18が連結されている。この直管状管路18には、第1充填液供給源と連結された図示しない液体供給管路を連結する第1充填液供給口(配管連結部)19が設けられている。さらに、第1の二重配管15の第2固定部15cには、ほぼL字状に屈曲された屈曲管路20が連結されている。この屈曲管路20には、第2充填液供給源と連結された図示しない液体供給管路を連結する第2充填液供給口(配管連結部)21が設けられている。
【0025】
また、第2上管路17の液受け部17bの外周部には、容器搬送路4上の容器台5と同数の第1バルブ配管(分配管路)22の内端部を連結する第1充填液供給口(配管連結部)23が設けられている。同様に、第1上管路16の液受け部16bの外周部には、容器搬送路4上の容器台5と同数の第2バルブ配管(分配管路)24の内端部を連結する第2充填液供給口(配管連結部)25が設けられている。
【0026】
また、第1バルブ配管22の外端部は、回転式充填装置1の本体2の第1充填バルブ9に連結されている。同様に、第2バルブ配管24の外端部は、回転式充填装置1の本体2の第2充填バルブ10に連結されている。上記第1バルブ配管22および第2バルブ配管24は、可撓性を有する配管によって形成されている。
【0027】
これにより、第1充填液供給源から供給される製品液は、第1充填液供給口19から直管状管路18および第1の二重配管15の第2上管路17を経由して第1バルブ配管22に供給され、回転式充填装置1の本体2の第1充填バルブ9から第1ノズル7を通して容器3に供給されるようになっている。同様に、第2充填液供給源から供給される製品液は、第2充填液供給口21から屈曲管路20および第1の二重配管15の第1上管路16を経由して第2バルブ配管24に供給され、回転式充填装置1の本体2の第2充填バルブ10から第2ノズル8を通して容器3に供給されるようになっている。
【0028】
また、回転式充填装置1の本体2の下部には、液体供給装置11の各液体管路を洗浄する洗浄装置(洗浄手段)26が設けられている。この洗浄装置26は、充填液供給源毎の各給液配管に対応した別々の廃液管路(第1廃液管路28と第2廃液管路27)を備えている。
【0029】
第1廃液管路28と第2廃液管路27には、充填液供給源毎にそれぞれ対応させた2経路の廃液収集装置(第1廃液収集装置29aと第2廃液収集装置29b)が設けられている。図5に示すように第1廃液収集装置29aと第2廃液収集装置29bには、第2の二重配管(多重配管部)30が設けられている。この第2の二重配管30は、回転式充填装置1の本体2の下部側に同軸上に配置された2つの管路(第1下管路31と第2下管路32)を有する。第1下管路31は、回転式充填装置1の本体2の中心線上に縦に配置された直管状の縦管路(独立流路)31aとこの縦管路31aの上部に連結された液受け用の部屋である円形の液受け部31bとを有する。
【0030】
第2下管路32は、縦管路31aの周囲を囲む状態で配設された環状の縦管路(独立流路)32aとこの縦管路32aの上部に連結された液受け用の部屋である円形の液受け部32bとを有する。第2下管路32の液受け部32bは、第1下管路31の液受け部31bの下側に配置されている。
【0031】
第2の二重配管30には、支軸部2Cに固定され、支軸部2Cと一体的に回転する回転部30aと、回転部30aに対して非回転状態で保持される2つの固定部(第1固定部30bと第2固定部30c)が設けられている。第1固定部30bは、第2の二重配管30の第2下管路32の下端側に配置されている。第2固定部30cは、第2下管路32の下端側に配置されている。
【0032】
第1下管路31の液受け部31bの外周部には、容器搬送路4上の容器台5と同数の第1廃液回収配管(廃液管路)33の内端部を連結する第1廃液回収口(配管連結部)34が設けられている。同様に、第2下管路32の液受け部32bの外周部には、容器搬送路4上の容器台5と同数の第2廃液回収配管(廃液管路)35の内端部を連結する第2廃液回収口(配管連結部)36が設けられている。上記第1廃液回収配管33と第2廃液回収配管35は、可撓性を有する配管によって形成されている。
【0033】
また、第1廃液回収配管33の外端部は、回転式充填装置1の本体2の第1ノズル7と第1廃液回収配管33との間を接離可能に接続する第1ノズル洗浄用カップ(接続部)37に連結されている。同様に、第2廃液回収配管35の外端部は、第2ノズル8と第2廃液回収配管35との間を接離可能に接続する第2ノズル洗浄用カップ(接続部)38に連結されている。さらに、回転式充填装置1の本体2には、第1ノズル洗浄用カップ37および第2ノズル洗浄用カップ38を移動する切り替え手段である2つのカップ移動装置(第1カップ移動装置39と第2カップ移動装置40)が容器搬送路4上の容器台5と対応させてそれぞれ設けられている。これらの第1カップ移動装置39と第2カップ移動装置40は、回転テーブル2B上に固定されている。
【0034】
第1カップ移動装置39は、第1ノズル洗浄用カップ37を第1ノズル7に着脱可能に装着される洗浄位置(図7参照)と、第1ノズル7から離れた待機位置(図6参照)との間で移動可能に支持する。同様に、第2カップ移動装置40は、第2ノズル洗浄用カップ38を第2ノズル8に着脱可能に装着される洗浄位置(図7参照)と、第2ノズル8から離れた待機位置(図6参照)との間で移動可能に支持する。そして、第1ノズル7からの洗浄液を第1廃液回収配管33から廃液させて洗浄する洗浄時には、第1カップ移動装置39の動作により、ノズル7と廃液回収配管33との間を接続する装着位置に第1ノズル洗浄用カップ37を移動するようになっている。洗浄液は、充填液と同じものか充填液を溶解もしくは分解させるものを用いることができ、例えば、充填液が水溶性のものであれば、水、アルコール等を用いることができ、充填液が油であれば、次の充填に用いる充填液もしくは有機溶剤、アルカリ性溶液などを用いることができる。また、充填液が固形脂であれば、液状油を用いてもよい。同様に、第2ノズル8からの洗浄液を第2廃液回収配管35から廃液させて洗浄する洗浄時には、第2カップ移動装置40の動作により、ノズル8と廃液回収配管35との間を接続する装着位置に第2ノズル洗浄用カップ38を移動するようになっている。
【0035】
また、第2の二重配管30の第1固定部30bの下部には、第1廃液配管41の一端が連結されている。この第1廃液配管41の他端は、廃液出口42に連結されている。同様に、第2の二重配管30の第2固定部30cの下部には、第2廃液配管43の一端が連結されている。この第2廃液配管43の他端は、廃液出口44に連結されている。
【0036】
上記洗浄装置26は、第1ノズル7及び第1給液管路12の洗浄時には、第1カップ移動装置39によって第1ノズル洗浄用カップ37が洗浄位置に移動され、第1ノズル洗浄用カップ37が第1ノズル7に着脱可能に装着される。これにより、上流側から第1ノズル7に供給される液体は第1ノズル洗浄用カップ37から第1廃液回収配管33を経て液受け部31bに流入したのち、第2の二重配管30の縦管路31a内を通り、第1廃液配管41に流出され、廃液出口42から図示しない外部の廃液収容部に収容される。この時、第1廃液管路28も同時に洗浄される。
【0037】
また、第2ノズル8及び第2給液管路13の洗浄時には、第2カップ移動装置40によって第2ノズル洗浄用カップ38が洗浄位置に移動され、第2ノズル洗浄用カップ38が第2ノズル8に着脱可能に装着される。これにより、上流側から第2ノズル8に供給される液体は第2ノズル洗浄用カップ38から第2廃液回収配管35を経て液受け部32bに流入したのち、第2の二重配管30の縦管路32a内を通り、第2廃液配管43に流出され、廃液出口44から図示しない外部の廃液収容部に収容される。この時、第2廃液管路27も同時に洗浄される。
【0038】
(作用)
次に、上記構成の作用について説明する。本実施の形態の回転式充填装置1の動作時には、回転式充填装置1の本体2の固定台2Aに対して回転テーブル2Bを回転させることによって、この回転テーブル2Bに設けられた支軸部2C、ノズル支持部材2D、各ノズル7及び8、液体供給装置11の回転部15aとともに、洗浄装置26の回転部30a、ノズル切り替え手段61などが回転テーブル2Bの回転と一緒に回転される。また、これらに装着された部材も同様に回転テーブル2Bの回転と一緒に回転される。
【0039】
一方、容器台5は容器搬送路4に沿って回転される。そして、回転式充填装置1の動作中、容器搬送路4に沿って回転される容器台5の上の容器3への液体の充填作業は、次の通り行われる。まず、第1充填液供給源から第1充填液を供給する場合には、第1給液管路12が使用される。このとき、ノズル切り替え手段61の駆動により、ノズルヘッド63が回動支軸62を中心に回動駆動され、図8に示すように回転式充填装置1の本体2の第1ノズル7が容器台5の上の容器3に液体を充填する位置にセットされる。
【0040】
この状態で、第1充填液供給源と連結された図示しない液体供給管路から第1充填液供給口19に第1充填液が供給される。続いて、第1の二重配管15の第1固定部15bの直管状管路18から第1の二重配管15の第2上管路17を通り、第2上管路17の液受け部17bに第1充填液が流入される。その後、第1充填液は、複数の第1バルブ配管22を経て回転式充填装置1の本体2の第1充填バルブ9に供給される。そして、容器搬送路4に沿って搬送される容器台5の上の容器3の流れに同期させた状態で、容器搬送路4を流れる容器台5が所定の充填液供給位置に達した時点で第1充填バルブ9から第1ノズル7を通して容器3に第1充填液が充填される。
【0041】
また、第1充填液で生産中の回転式充填装置1を第2充填液に切り替える液替えを行なう場合には次の切り替え動作が行なわれる。まず、第1充填液供給源が、第2充填液供給源に切り替えられる。同時に、回転式充填装置1の本体2の第2給液管路13が使用される状態に切り替えられるとともに、ノズル切り替え手段61によりノズルヘッド63が回動支軸62を中心に回動駆動され、第1ノズル7と第2ノズル8とが切り替えられる。
【0042】
この状態で、第2充填液供給源と連結された図示しない液体供給管路から第2充填液供給口21に第2充填液が供給される。続いて、第1の二重配管15の第2固定部15cの屈曲管路20から第1の二重配管15の第1上管路16を通り、第1上管路16の液受け部16bに第2充填液が流入される。その後、第2充填液は、複数の第2バルブ配管24を経て回転式充填装置1の本体2の第2充填バルブ10に供給される。これにより、第2充填バルブ10から第2ノズル8を通して容器3に第2充填液が供給される。
【0043】
さらに、容器3に充填される液体を第1充填液から第2充填液に切り替える液替え時には、同時に、洗浄装置26によって第1給液管路12の洗浄作業が次の通り行なわれる。この第1給液管路12の洗浄作業時には、第1カップ移動装置39によって第1ノズル洗浄用カップ37が第1ノズル7に装着される洗浄位置に移動される。この状態で、第1充填液供給口19に洗浄消毒液または次の液替え用の充填液のいずれかの液が供給される。
【0044】
続いて、第1給液管路12に上述した第1充填液を供給する場合と同一の経路に沿って洗浄液が第1充填液供給口19から第1充填バルブ9に供給された後、第1充填バルブ9から第1ノズル7を経て第1ノズル洗浄用カップ37に供給される。第1ノズル洗浄用カップ37に供給された洗浄液は、続いて第1廃液回収配管33を通して第1下管路31の液受け部31bに流入されたのち、第2の二重配管30の縦管路31aから第1固定部30bの第1廃液配管41を通して廃液出口42に排出される。これにより、第2給液管路13が使用されて容器3に第2充填液が供給されている状態で生産しながら第1給液管路12の洗浄作業を同時に行なうことができる。
【0045】
なお、洗浄装置26によって第2給液管路13の洗浄作業を行なう場合には、第2カップ移動装置40によって第2ノズル洗浄用カップ38が第2ノズル8に装着される洗浄位置に移動される。この状態で、第2充填液供給口21に洗浄液(次の液替え用の充填液など)を供給することが可能となる。
【0046】
続いて、第2給液管路13に上述した第2充填液を供給する場合と同一の経路に沿って洗浄液が第2充填液供給口21から回転式充填装置1の本体2の第2充填バルブ10に供給された後、第2充填バルブ10から第2ノズル8を経て第2ノズル洗浄用カップ38に供給される。第2ノズル洗浄用カップ38に供給された洗浄液は、続いて第2廃液回収配管35を通して第2下管路32の液受け部32bに流入されたのち、第2の二重配管30の縦管路32aから第2固定部30cの第2廃液配管43を通して廃液出口44に廃液される。これにより、第2給液管路13の洗浄作業を行なうことができる。
【0047】
(効果)
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態の回転式充填装置1では、2つの独立の給液管路(第1給液管路12と第2給液管路13)を設けたので、回転式充填装置1での生産に使用するノズルを第1ノズル7と第2ノズル8とで選択的に切り替え使用することができる。そのため、第1ノズル7と第2ノズル8との切り替えにより、別々に供給された液を選択して生産に使用することができるので、液替えを行う時間なしで充填できる。その結果、1つのノズルで生産しながら他のノズルの洗浄ができるため、液替えのために充填を止めて洗浄を行う必要がなく、効率の良い生産ができる。
【0048】
また、本実施の形態では、ノズル支持部材2Dにノズル切り替え手段61を設け、容器3の充填に使用するノズルを第1ノズル7と第2ノズル8とに切り替え可能にしている。そのため、ノズル切り替え手段61のエアーシリンダ64の駆動により図8中に矢印で示すようにノズルヘッド63が回動支軸62を中心に回動駆動され、第1ノズル7と第2ノズル8とのいずれか一方が選択的に使用される状態と、両方が一緒に使用される状態とに切り替え可能としている。これにより、1台の機械で多様な生産に適用できる。
【0049】
[第2の実施の形態]
(構成)
図9は、本発明の第2の実施の形態を示す。本実施の形態は、第1の実施の形態(図1乃至図8参照)の回転式充填装置1による充填液の充填方法を次の通り変更した変形例である。すなわち、第1の実施の形態では、1つのノズルヘッド63に2つのノズル(第1ノズル7と第2ノズル8)を配設するとともに、2つの独立の給液管路(第1給液管路12と第2給液管路13)を設け、第1ノズル7と第2ノズル8のいずれか一方から容器搬送路4上の容器3に充填液を充填する充填液の充填方法を示した。これに対し、本実施の形態では、容器搬送路4上の容器3に1つのノズルヘッド63の2つのノズル(第1ノズル7と第2ノズル8)から同時に充填液を充填する充填液の充填方法に変更したものである。
【0050】
(作用・効果)
本実施の形態では、図9に示すように1つのノズルヘッド63の第1ノズル7と第2ノズル8から同時に同一種類の充填液を容器3に充填することができる。そのため、充填液を充填する容器3として例えばペール缶のような広口容器を使用する場合に容器3内に充填液を規定重量まで充填する充填時間を短縮することができ、充填液の充填能力を高めることができる。
【0051】
さらに、容器3内に充填液を充填する際に第1ノズル7と第2ノズル8とを同時に使用するようにしたので、充填液の充填動作の最終段階で2つのノズルのうちの片方の動作を停止し、1つのノズルで充填液量の調整を行なうことができる。この場合は、容器3内に充填液を充填する際の充填液量の調整を2つのノズルで行なう場合に比べて高精度に行なうことができる。これにより、1台の機械で多様な生産に適用できる。
【0052】
[第3の実施の形態]
(構成)
図10および図11は、本発明の第3の実施の形態を示す。本実施の形態は第1の実施の形態(図1乃至図8参照)の回転式充填装置1による充填液の充填方法を次の通り変更した変形例である。すなわち、本実施の形態は、回転式充填装置1の本体2の駆動時に、容器3が容器搬送路4に沿って搬送される1回の搬送動作中に、ノズル切り替え手段61の駆動によって第1ノズル7と第2ノズル8とを切り替えるようにした充填液の充填方法である。本実施の形態では、容器搬送路4上の容器3の容器口51の位置に1つのノズルヘッド63の第1ノズル7と第2ノズル8を個別に切り替えて2種類の充填液を別々に充填する。
【0053】
ここでは、充填作業の始めに1つのノズルヘッド63の第1ノズル7と第2ノズル8のいずれか一方、例えば図10に示すように第1ノズル7が容器3の容器口51の位置にセットされる。この状態で、第1ノズル7から容器搬送路4上の容器3に第1充填液52を規定量まで充填する作業が行われる。
【0054】
その後、エアーシリンダ64の駆動によりノズルヘッド63が回動支軸62を中心に図8中で時計回り方向に回動駆動され、容器3の容器口51の位置にセットされるノズルを第1ノズル7から第2ノズル8に切り替えるノズル切り替え作業が行われる。続いて、図11に示すように第2ノズル8から容器搬送路4上の容器3に第2充填液53を最終規定量まで充填する作業が行われる。
【0055】
(作用・効果)
本実施の形態では、回転式充填装置1の本体2の駆動時に、容器3が容器搬送路4に沿って搬送される1回の搬送動作中に、ノズル切り替え手段61の駆動によって容器3の容器口51の位置にセットされるノズルを第1ノズル7と第2ノズル8とに切り替えるノズル切り替え作業を行なうようにしたので、容器口51の径が小さな1つの容器3に複数液を充填装置一台で充填することができる。これにより、水と油のように、予め混合することができない複数の液を1台の機械でそれぞれ正確な量を充填できるので、多様な生産に適用できる。
【0056】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、回転式充填装置1の本体2に2つのノズル(第1ノズル7と第2ノズル8)が配設され、2つの充填液供給源(第1充填液供給源と第2充填液供給源)毎にそれぞれ対応させた2つの独立の給液管路(第1給液管路12と第2給液管路13)を経由して第1ノズル7と第2ノズル8にそれぞれ充填液を供給する構成を示したが、回転式充填装置1の本体2に3以上の複数のノズルを配設し、それぞれ異なる独立の給液管路から各ノズルにそれぞれ充填液を供給する構成にしてもよい。さらに、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施できることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、充填液供給源から供給される液体を回転する環状の容器搬送路の上方に複数のノズルが配設され、いずれかのノズルから容器搬送路上の容器に液体を充填する回転式充填装置とその充填方法を使用する技術分野や、これを製造する技術分野に有効である。
【符号の説明】
【0058】
2…回転式充填装置の本体、3…容器、4a…環状の容器搬送軌道、4…容器搬送路、7…第1ノズル、8…第2ノズル、12…第1給液管路、13…第2給液管路、26…洗浄装置(洗浄手段)、27…第2廃液管路、28…第1廃液管路、61…ノズル切り替え手段。
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填液供給源から供給される液体を回転する環状の容器搬送路の上方の各ノズルに送り、各ノズルから容器搬送路上の容器に液体を充填する回転式充填装置とその充填方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、液体充填装置として回転式充填装置が知られている。ここでは、回転式の液体充填装置の本体の周囲に環状の容器搬送路が設けられている。容器搬送路上には、製品液が充填される充填対象となる複数の容器を載置する容器台が適宜の間隔を存して並設されている。さらに、容器搬送路の上方には、容器搬送路上の容器台毎にそれぞれ対応して液体を充填するノズルが並設されている。これらのノズルは、回転式充填装置の本体に支持され、容器搬送路上の容器台の搬送速度とそれぞれ同期して同時に移動する構成になっている。
【0003】
一方、充填したい液体は充填液供給源としての充填液タンクに貯留されている。この充填液タンクに一端が連結された流体管路の他端は回転式充填装置の本体に並設されたノズルと同数の管路に分岐されている。この分岐管路は回転式充填装置の本体の各ノズルに連結されている。そして、タンクに貯留された液体をこの充填液タンクに接続された流体管路を介して、回転式充填装置の本体の各ノズルから容器搬送路上の容器台の上の各容器に充填するものである。
【0004】
また、例えば特許文献1には、液体充填経路に2つの充填液供給源(第1の充填液供給源と第2の充填液供給源)を設け、容器搬送路上の容器台毎にそれぞれ2つのノズル(第1のノズルと第2のノズル)をそれぞれ独立して設けている構成が示されている。ここでは、第1の充填液供給源から供給される第1の液体がこの充填液供給源に一端が接続された第1の流体管路を介してこの流体管路の他端に配設された複数の第1のノズルに供給されて充填可能な第1の経路が設けられている。さらに、第1の充填液と異なる第2の充填液が第2の充填液供給源に一端が接続された第2の流体管路を介してこの流体管路の他端に配設された複数の第2のノズルから充填可能な第2の経路が設けられている。これらの第1の経路と第2の経路とは、それぞれ独立して設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−175997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の装置では、1つの液体充填装置に複数の液体充填経路を設けたことで、例えば、第1の経路に設けられた第1のノズルが詰まった場合に、バックアップとして第2の経路に設けられた第2のノズルを用いてこの液体を充填することを続けることができる。しかしながら、特許文献1の装置では、2つの充填液供給源と容器搬送路上の各容器台の2つのノズルとの間の流体管路を洗浄する場合には、回転式充填装置を動かさずに行う必要があるため、回転式充填装置による生産(容器搬送路上の容器に液体を充填する作業)と同時に流体管路の洗浄を行なうことができない。
【0007】
本発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的は、1台で、複数の製品液を充填できるとともに、液体充填経路で生産しながら使用していない液体充填経路の洗浄ができるため、液替えのための洗浄時間を必要とせず、効率の良い生産ができるとともに、1台の機械で多様な生産に適用できる回転式充填装置とその充填方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面の態様は、複数の容器を搬送する環状の容器搬送軌道を備えた容器搬送路と、この容器搬送路上の各容器毎に対応して各容器の上方にそれぞれ配設され、前記容器搬送路上の容器の移動に同期して移動可能な複数のノズルと、前記容器搬送路上の容器に製品液を供給する複数の充填液供給源と、前記充填液供給源毎にそれぞれ対応させた独立の給液配管によって前記充填液供給源と前記各ノズルとの間を連結し、前記各充填液供給源から供給される製品液を前記製品液の種類毎に対応した別々の前記各給液配管を経て前記容器に充填する給液管路と、前記各容器毎に設けられ、前記容器の充填に使用する前記ノズルを切り替えるノズル切り替え手段と、前記充填液供給源毎の前記各給液配管に対応した別々の前記廃液配管を備え、前記ノズルからの廃液を前記充填液供給源毎に別々の経路に対応した前記廃液配管から混合されることなく廃液させる廃液管路と、いずれかの前記ノズルから前記容器に前記製品液を充填していずれかの前記給液管路にて生産している作業中に、前記製品液を充填していない他の前記ノズルからの廃液を前記廃液管路から廃液させて洗浄可能な洗浄手段と、を具備し、前記ノズル切り替え手段の駆動により、前記容器に充填する給液管路を切り替えることで同一の前記容器に複数種類の前記製品液を充填可能にしたことを特徴とする回転式充填装置である。
【0009】
好ましくは、前記給液配管は、可撓性を有する配管によって形成され、前記ノズル切り替え手段は、複数の前記ノズルを保持するノズルヘッドと、前記ノズルヘッドを一つのノズルが前記容器への充填位置に配置されている状態と、他のノズルが前記容器への充填位置に配置されている状態とに切り替えるアクチュエータと、を含み、前記アクチュエータの駆動により、前記ノズルヘッドを介して前記容器への充填位置の前記ノズルを切り替えることで同一の前記容器に複数種類の前記製品液を充填可能にした。
【0010】
本発明の他の局面の態様は、前記に記載の回転式充填装置を用いて前記各ノズルヘッドの複数の前記ノズルから前記容器に同種の前記製品液を充填することを特徴とした回転式充填装置の充填方法である。
【0011】
本発明の他の局面の態様は、前記に記載の回転式充填装置を用いて前記各ノズルヘッドの複数の前記ノズルから前記容器に別種の前記製品液を充填することを特徴とした回転式充填装置の充填方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数の液体充填経路下で、1台で、複数の製品液を充填できるとともに、液体充填経路を用いて生産しながら、使用していない液体充填経路の洗浄ができるため、液替えのための洗浄時間を生産とは別に必要とせず、効率の良い生産ができるとともに、1台の機械で多様な生産に適用できる回転式充填装置とその充填方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施の形態の回転式充填装置の全体の概略構成を示す側面図。
【図2】回転式充填装置の給液管路の分配装置と回転式充填装置の複数のノズルとの間の充填液配管の配置状態を示す平面図。
【図3】回転式充填装置の廃液管路の廃液収集装置と回転式充填装置の複数のノズルとの間の洗浄廃液回収配管の配置状態を示す平面図。
【図4】回転式充填装置の分配装置の第1の多重配管部を示す要部の縦断面図。
【図5】回転式充填装置の廃液配管の第2の多重配管部を示す要部の縦断面図。
【図6】回転式充填装置のノズルによる充填中に洗浄用キャップを待機位置に移動した状態を示す側面図。
【図7】回転式充填装置のノズルに洗浄用キャップを装着した状態を示す側面図。
【図8】回転式充填装置の生産用のノズル切り替え手段を示す平面図。
【図9】本発明の第2の実施の形態の回転式充填装置の容器搬送路上の容器に2つのノズルから製品液を同時充填する充填方法を示す要部の縦断面図。
【図10】本発明の第3の実施の形態の回転式充填装置の充填方法による第1のノズルから第1の製品液を充填する状態を示す要部の縦断面図。
【図11】第3の実施の形態の回転式充填装置の充填方法による第2のノズルから第2の製品液を充填する状態を示す要部の縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1の実施の形態]
(構成)
図1乃至図8は、本発明の第1の実施の形態を示す。図1は、回転式充填装置1の全体の概略構成を示す側面図である。本実施の形態の回転式充填装置1の本体2には、充填液が充填される充填対象となる複数の容器3を搬送する環状の容器搬送軌道4aを備えた容器搬送路4が設けられている。この容器搬送路4には、図示しない外部の容器搬送装置から搬送される容器3を1個毎に移載される容器台5が環状の容器搬送軌道4aに沿って複数並設されている(図2参照)。容器台5は、容器搬送軌道4aの中心線を中心に環状の容器搬送軌道4aに沿って回転駆動されるようになっている。
【0015】
また、回転式充填装置1の本体2は、固定台2Aと、この固定台2Aに対して容器搬送路4の容器3の搬送速度に同期し、任意の速度で回転可能な回転テーブル2Bとが配設されている。回転テーブル2Bの軸心部には、円筒状の支軸部2Cが配設されている。支軸部2Cは、回転テーブル2Bと一体に回転駆動されるようになっている。
【0016】
容器搬送路4の容器台5の上方には、容器搬送路4上の容器3毎に対応してそれぞれ複数(本実施の形態では2つ)のノズル(第1ノズル7と第2ノズル8)が配設されている。これらの第1ノズル7と第2ノズル8は、支軸部2Cに固定されたノズル支持部材2Dに支持されている。これにより、容器搬送路4上の容器3毎に並設されている第1ノズル7と第2ノズル8は、ノズル支持部材2Dに支持された状態で容器搬送路4上の容器3の搬送速度に同期して同時に同方向に移動するようになっている。
【0017】
第1ノズル7の上部には第1充填バルブ9が連結されている。同様に、第2ノズル8の上部には第2充填バルブ10が連結されている。さらに、ノズル支持部材2Dには、各容器台5の上方にそれぞれ対応する容器3の充填に使用するノズルを第1ノズル7と第2ノズル8とに切り替えるノズル切り替え手段61が設けられている。
【0018】
図8は、ノズル切り替え手段61を示す。このノズル切り替え手段61は、ノズル支持部材2Dに内端部が回動支軸62を中心に回動可能に軸支されたノズルヘッド63と、このノズルヘッド63を駆動するアクチュエータであるエアーシリンダ64とを有する。エアーシリンダ64のプランジャ65の先端はノズルヘッド63の中途部に回動ピン66を中心に回動可能に軸支されている。ノズルヘッド63の外端部には上記第1ノズル7と第2ノズル8とが並設された状態で保持されている。
【0019】
そして、エアーシリンダ64の駆動により図8中に矢印で示すようにノズルヘッド63が回動支軸62を中心に回動駆動される。このとき、第1ノズル7と第2ノズル8とのいずれか一方が選択的に使用される状態と、両方が一緒に使用される状態とに切り替え可能となっている。例えば、図8の状態で、第1ノズル7が容器3の充填に使用する使用位置で保持されている場合には、エアーシリンダ64の駆動により、ノズルヘッド63が回動支軸62を中心に時計回り方向に回動する動作により、第2ノズル8が容器3の充填に使用する使用位置に移動されるようになっている。なお、図8の状態では、第1ノズル7と第2ノズル8とが一緒に使用される状態に切り替えることもできる。
【0020】
回転式充填装置1の本体2の上部には容器搬送路4上の容器3に製品液を供給する液体供給装置11が設けられている。この液体供給装置11には、図示しない複数(本実施の形態では2つ)の充填液供給源(第1充填液供給源と第2充填液供給源)毎にそれぞれ対応させた2つの独立の給液管路(第1給液管路12と第2給液管路13)が設けられている。ここで、第1充填液供給源からは第1充填液が供給され、第2充填液供給源からは第2充填液が供給される。なお、第2充填液は、第1充填液と同一または異なる種類の液体を使用することができる。
【0021】
第1給液管路12と第2給液管路13には、充填液供給源毎にそれぞれ対応させた2経路の分配装置(第1分配装置14aと第2分配装置14b)が充填液供給源と第1ノズル7および第2ノズル8との間に配設されている。図4に示すように第1分配装置14aと第2分配装置14bには、第1の二重配管(多重配管部)15が設けられている。この第1の二重配管15は、回転式充填装置1の本体2の上部側に同軸上に配置された2つの管路(第1上管路16と第2上管路17)を有する。第1上管路16は、回転式充填装置1の本体2の中心線上に縦に配置された直管状の縦管路(独立流路)16aとこの縦管路16aの下部に連結された液受け用の部屋である円形の液受け部16bとを有する。
【0022】
第2上管路17は、縦管路16aの周囲を囲む状態で配設された環状の縦管路(独立流路)17aとこの縦管路17aの下部に連結された液受け用の部屋である円形の液受け部17bとを有する。第2上管路17の液受け部17bは、第1上管路16の液受け部16bの上側に配置されている。
【0023】
第1の二重配管15には、支軸部2Cに固定され、支軸部2Cと一体的に回転する回転部15aと、回転部15aに対して非回転状態で保持される2つの固定部(第1固定部15bと第2固定部15c)が設けられている。第1固定部15bは、第1の二重配管15の第2上管路17の上端側に配置されている。第2固定部15cは、第1上管路16の上端側に配置されている。
【0024】
第1の二重配管15の第1固定部15bには、ほぼ水平方向の直管状の管路18が連結されている。この直管状管路18には、第1充填液供給源と連結された図示しない液体供給管路を連結する第1充填液供給口(配管連結部)19が設けられている。さらに、第1の二重配管15の第2固定部15cには、ほぼL字状に屈曲された屈曲管路20が連結されている。この屈曲管路20には、第2充填液供給源と連結された図示しない液体供給管路を連結する第2充填液供給口(配管連結部)21が設けられている。
【0025】
また、第2上管路17の液受け部17bの外周部には、容器搬送路4上の容器台5と同数の第1バルブ配管(分配管路)22の内端部を連結する第1充填液供給口(配管連結部)23が設けられている。同様に、第1上管路16の液受け部16bの外周部には、容器搬送路4上の容器台5と同数の第2バルブ配管(分配管路)24の内端部を連結する第2充填液供給口(配管連結部)25が設けられている。
【0026】
また、第1バルブ配管22の外端部は、回転式充填装置1の本体2の第1充填バルブ9に連結されている。同様に、第2バルブ配管24の外端部は、回転式充填装置1の本体2の第2充填バルブ10に連結されている。上記第1バルブ配管22および第2バルブ配管24は、可撓性を有する配管によって形成されている。
【0027】
これにより、第1充填液供給源から供給される製品液は、第1充填液供給口19から直管状管路18および第1の二重配管15の第2上管路17を経由して第1バルブ配管22に供給され、回転式充填装置1の本体2の第1充填バルブ9から第1ノズル7を通して容器3に供給されるようになっている。同様に、第2充填液供給源から供給される製品液は、第2充填液供給口21から屈曲管路20および第1の二重配管15の第1上管路16を経由して第2バルブ配管24に供給され、回転式充填装置1の本体2の第2充填バルブ10から第2ノズル8を通して容器3に供給されるようになっている。
【0028】
また、回転式充填装置1の本体2の下部には、液体供給装置11の各液体管路を洗浄する洗浄装置(洗浄手段)26が設けられている。この洗浄装置26は、充填液供給源毎の各給液配管に対応した別々の廃液管路(第1廃液管路28と第2廃液管路27)を備えている。
【0029】
第1廃液管路28と第2廃液管路27には、充填液供給源毎にそれぞれ対応させた2経路の廃液収集装置(第1廃液収集装置29aと第2廃液収集装置29b)が設けられている。図5に示すように第1廃液収集装置29aと第2廃液収集装置29bには、第2の二重配管(多重配管部)30が設けられている。この第2の二重配管30は、回転式充填装置1の本体2の下部側に同軸上に配置された2つの管路(第1下管路31と第2下管路32)を有する。第1下管路31は、回転式充填装置1の本体2の中心線上に縦に配置された直管状の縦管路(独立流路)31aとこの縦管路31aの上部に連結された液受け用の部屋である円形の液受け部31bとを有する。
【0030】
第2下管路32は、縦管路31aの周囲を囲む状態で配設された環状の縦管路(独立流路)32aとこの縦管路32aの上部に連結された液受け用の部屋である円形の液受け部32bとを有する。第2下管路32の液受け部32bは、第1下管路31の液受け部31bの下側に配置されている。
【0031】
第2の二重配管30には、支軸部2Cに固定され、支軸部2Cと一体的に回転する回転部30aと、回転部30aに対して非回転状態で保持される2つの固定部(第1固定部30bと第2固定部30c)が設けられている。第1固定部30bは、第2の二重配管30の第2下管路32の下端側に配置されている。第2固定部30cは、第2下管路32の下端側に配置されている。
【0032】
第1下管路31の液受け部31bの外周部には、容器搬送路4上の容器台5と同数の第1廃液回収配管(廃液管路)33の内端部を連結する第1廃液回収口(配管連結部)34が設けられている。同様に、第2下管路32の液受け部32bの外周部には、容器搬送路4上の容器台5と同数の第2廃液回収配管(廃液管路)35の内端部を連結する第2廃液回収口(配管連結部)36が設けられている。上記第1廃液回収配管33と第2廃液回収配管35は、可撓性を有する配管によって形成されている。
【0033】
また、第1廃液回収配管33の外端部は、回転式充填装置1の本体2の第1ノズル7と第1廃液回収配管33との間を接離可能に接続する第1ノズル洗浄用カップ(接続部)37に連結されている。同様に、第2廃液回収配管35の外端部は、第2ノズル8と第2廃液回収配管35との間を接離可能に接続する第2ノズル洗浄用カップ(接続部)38に連結されている。さらに、回転式充填装置1の本体2には、第1ノズル洗浄用カップ37および第2ノズル洗浄用カップ38を移動する切り替え手段である2つのカップ移動装置(第1カップ移動装置39と第2カップ移動装置40)が容器搬送路4上の容器台5と対応させてそれぞれ設けられている。これらの第1カップ移動装置39と第2カップ移動装置40は、回転テーブル2B上に固定されている。
【0034】
第1カップ移動装置39は、第1ノズル洗浄用カップ37を第1ノズル7に着脱可能に装着される洗浄位置(図7参照)と、第1ノズル7から離れた待機位置(図6参照)との間で移動可能に支持する。同様に、第2カップ移動装置40は、第2ノズル洗浄用カップ38を第2ノズル8に着脱可能に装着される洗浄位置(図7参照)と、第2ノズル8から離れた待機位置(図6参照)との間で移動可能に支持する。そして、第1ノズル7からの洗浄液を第1廃液回収配管33から廃液させて洗浄する洗浄時には、第1カップ移動装置39の動作により、ノズル7と廃液回収配管33との間を接続する装着位置に第1ノズル洗浄用カップ37を移動するようになっている。洗浄液は、充填液と同じものか充填液を溶解もしくは分解させるものを用いることができ、例えば、充填液が水溶性のものであれば、水、アルコール等を用いることができ、充填液が油であれば、次の充填に用いる充填液もしくは有機溶剤、アルカリ性溶液などを用いることができる。また、充填液が固形脂であれば、液状油を用いてもよい。同様に、第2ノズル8からの洗浄液を第2廃液回収配管35から廃液させて洗浄する洗浄時には、第2カップ移動装置40の動作により、ノズル8と廃液回収配管35との間を接続する装着位置に第2ノズル洗浄用カップ38を移動するようになっている。
【0035】
また、第2の二重配管30の第1固定部30bの下部には、第1廃液配管41の一端が連結されている。この第1廃液配管41の他端は、廃液出口42に連結されている。同様に、第2の二重配管30の第2固定部30cの下部には、第2廃液配管43の一端が連結されている。この第2廃液配管43の他端は、廃液出口44に連結されている。
【0036】
上記洗浄装置26は、第1ノズル7及び第1給液管路12の洗浄時には、第1カップ移動装置39によって第1ノズル洗浄用カップ37が洗浄位置に移動され、第1ノズル洗浄用カップ37が第1ノズル7に着脱可能に装着される。これにより、上流側から第1ノズル7に供給される液体は第1ノズル洗浄用カップ37から第1廃液回収配管33を経て液受け部31bに流入したのち、第2の二重配管30の縦管路31a内を通り、第1廃液配管41に流出され、廃液出口42から図示しない外部の廃液収容部に収容される。この時、第1廃液管路28も同時に洗浄される。
【0037】
また、第2ノズル8及び第2給液管路13の洗浄時には、第2カップ移動装置40によって第2ノズル洗浄用カップ38が洗浄位置に移動され、第2ノズル洗浄用カップ38が第2ノズル8に着脱可能に装着される。これにより、上流側から第2ノズル8に供給される液体は第2ノズル洗浄用カップ38から第2廃液回収配管35を経て液受け部32bに流入したのち、第2の二重配管30の縦管路32a内を通り、第2廃液配管43に流出され、廃液出口44から図示しない外部の廃液収容部に収容される。この時、第2廃液管路27も同時に洗浄される。
【0038】
(作用)
次に、上記構成の作用について説明する。本実施の形態の回転式充填装置1の動作時には、回転式充填装置1の本体2の固定台2Aに対して回転テーブル2Bを回転させることによって、この回転テーブル2Bに設けられた支軸部2C、ノズル支持部材2D、各ノズル7及び8、液体供給装置11の回転部15aとともに、洗浄装置26の回転部30a、ノズル切り替え手段61などが回転テーブル2Bの回転と一緒に回転される。また、これらに装着された部材も同様に回転テーブル2Bの回転と一緒に回転される。
【0039】
一方、容器台5は容器搬送路4に沿って回転される。そして、回転式充填装置1の動作中、容器搬送路4に沿って回転される容器台5の上の容器3への液体の充填作業は、次の通り行われる。まず、第1充填液供給源から第1充填液を供給する場合には、第1給液管路12が使用される。このとき、ノズル切り替え手段61の駆動により、ノズルヘッド63が回動支軸62を中心に回動駆動され、図8に示すように回転式充填装置1の本体2の第1ノズル7が容器台5の上の容器3に液体を充填する位置にセットされる。
【0040】
この状態で、第1充填液供給源と連結された図示しない液体供給管路から第1充填液供給口19に第1充填液が供給される。続いて、第1の二重配管15の第1固定部15bの直管状管路18から第1の二重配管15の第2上管路17を通り、第2上管路17の液受け部17bに第1充填液が流入される。その後、第1充填液は、複数の第1バルブ配管22を経て回転式充填装置1の本体2の第1充填バルブ9に供給される。そして、容器搬送路4に沿って搬送される容器台5の上の容器3の流れに同期させた状態で、容器搬送路4を流れる容器台5が所定の充填液供給位置に達した時点で第1充填バルブ9から第1ノズル7を通して容器3に第1充填液が充填される。
【0041】
また、第1充填液で生産中の回転式充填装置1を第2充填液に切り替える液替えを行なう場合には次の切り替え動作が行なわれる。まず、第1充填液供給源が、第2充填液供給源に切り替えられる。同時に、回転式充填装置1の本体2の第2給液管路13が使用される状態に切り替えられるとともに、ノズル切り替え手段61によりノズルヘッド63が回動支軸62を中心に回動駆動され、第1ノズル7と第2ノズル8とが切り替えられる。
【0042】
この状態で、第2充填液供給源と連結された図示しない液体供給管路から第2充填液供給口21に第2充填液が供給される。続いて、第1の二重配管15の第2固定部15cの屈曲管路20から第1の二重配管15の第1上管路16を通り、第1上管路16の液受け部16bに第2充填液が流入される。その後、第2充填液は、複数の第2バルブ配管24を経て回転式充填装置1の本体2の第2充填バルブ10に供給される。これにより、第2充填バルブ10から第2ノズル8を通して容器3に第2充填液が供給される。
【0043】
さらに、容器3に充填される液体を第1充填液から第2充填液に切り替える液替え時には、同時に、洗浄装置26によって第1給液管路12の洗浄作業が次の通り行なわれる。この第1給液管路12の洗浄作業時には、第1カップ移動装置39によって第1ノズル洗浄用カップ37が第1ノズル7に装着される洗浄位置に移動される。この状態で、第1充填液供給口19に洗浄消毒液または次の液替え用の充填液のいずれかの液が供給される。
【0044】
続いて、第1給液管路12に上述した第1充填液を供給する場合と同一の経路に沿って洗浄液が第1充填液供給口19から第1充填バルブ9に供給された後、第1充填バルブ9から第1ノズル7を経て第1ノズル洗浄用カップ37に供給される。第1ノズル洗浄用カップ37に供給された洗浄液は、続いて第1廃液回収配管33を通して第1下管路31の液受け部31bに流入されたのち、第2の二重配管30の縦管路31aから第1固定部30bの第1廃液配管41を通して廃液出口42に排出される。これにより、第2給液管路13が使用されて容器3に第2充填液が供給されている状態で生産しながら第1給液管路12の洗浄作業を同時に行なうことができる。
【0045】
なお、洗浄装置26によって第2給液管路13の洗浄作業を行なう場合には、第2カップ移動装置40によって第2ノズル洗浄用カップ38が第2ノズル8に装着される洗浄位置に移動される。この状態で、第2充填液供給口21に洗浄液(次の液替え用の充填液など)を供給することが可能となる。
【0046】
続いて、第2給液管路13に上述した第2充填液を供給する場合と同一の経路に沿って洗浄液が第2充填液供給口21から回転式充填装置1の本体2の第2充填バルブ10に供給された後、第2充填バルブ10から第2ノズル8を経て第2ノズル洗浄用カップ38に供給される。第2ノズル洗浄用カップ38に供給された洗浄液は、続いて第2廃液回収配管35を通して第2下管路32の液受け部32bに流入されたのち、第2の二重配管30の縦管路32aから第2固定部30cの第2廃液配管43を通して廃液出口44に廃液される。これにより、第2給液管路13の洗浄作業を行なうことができる。
【0047】
(効果)
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態の回転式充填装置1では、2つの独立の給液管路(第1給液管路12と第2給液管路13)を設けたので、回転式充填装置1での生産に使用するノズルを第1ノズル7と第2ノズル8とで選択的に切り替え使用することができる。そのため、第1ノズル7と第2ノズル8との切り替えにより、別々に供給された液を選択して生産に使用することができるので、液替えを行う時間なしで充填できる。その結果、1つのノズルで生産しながら他のノズルの洗浄ができるため、液替えのために充填を止めて洗浄を行う必要がなく、効率の良い生産ができる。
【0048】
また、本実施の形態では、ノズル支持部材2Dにノズル切り替え手段61を設け、容器3の充填に使用するノズルを第1ノズル7と第2ノズル8とに切り替え可能にしている。そのため、ノズル切り替え手段61のエアーシリンダ64の駆動により図8中に矢印で示すようにノズルヘッド63が回動支軸62を中心に回動駆動され、第1ノズル7と第2ノズル8とのいずれか一方が選択的に使用される状態と、両方が一緒に使用される状態とに切り替え可能としている。これにより、1台の機械で多様な生産に適用できる。
【0049】
[第2の実施の形態]
(構成)
図9は、本発明の第2の実施の形態を示す。本実施の形態は、第1の実施の形態(図1乃至図8参照)の回転式充填装置1による充填液の充填方法を次の通り変更した変形例である。すなわち、第1の実施の形態では、1つのノズルヘッド63に2つのノズル(第1ノズル7と第2ノズル8)を配設するとともに、2つの独立の給液管路(第1給液管路12と第2給液管路13)を設け、第1ノズル7と第2ノズル8のいずれか一方から容器搬送路4上の容器3に充填液を充填する充填液の充填方法を示した。これに対し、本実施の形態では、容器搬送路4上の容器3に1つのノズルヘッド63の2つのノズル(第1ノズル7と第2ノズル8)から同時に充填液を充填する充填液の充填方法に変更したものである。
【0050】
(作用・効果)
本実施の形態では、図9に示すように1つのノズルヘッド63の第1ノズル7と第2ノズル8から同時に同一種類の充填液を容器3に充填することができる。そのため、充填液を充填する容器3として例えばペール缶のような広口容器を使用する場合に容器3内に充填液を規定重量まで充填する充填時間を短縮することができ、充填液の充填能力を高めることができる。
【0051】
さらに、容器3内に充填液を充填する際に第1ノズル7と第2ノズル8とを同時に使用するようにしたので、充填液の充填動作の最終段階で2つのノズルのうちの片方の動作を停止し、1つのノズルで充填液量の調整を行なうことができる。この場合は、容器3内に充填液を充填する際の充填液量の調整を2つのノズルで行なう場合に比べて高精度に行なうことができる。これにより、1台の機械で多様な生産に適用できる。
【0052】
[第3の実施の形態]
(構成)
図10および図11は、本発明の第3の実施の形態を示す。本実施の形態は第1の実施の形態(図1乃至図8参照)の回転式充填装置1による充填液の充填方法を次の通り変更した変形例である。すなわち、本実施の形態は、回転式充填装置1の本体2の駆動時に、容器3が容器搬送路4に沿って搬送される1回の搬送動作中に、ノズル切り替え手段61の駆動によって第1ノズル7と第2ノズル8とを切り替えるようにした充填液の充填方法である。本実施の形態では、容器搬送路4上の容器3の容器口51の位置に1つのノズルヘッド63の第1ノズル7と第2ノズル8を個別に切り替えて2種類の充填液を別々に充填する。
【0053】
ここでは、充填作業の始めに1つのノズルヘッド63の第1ノズル7と第2ノズル8のいずれか一方、例えば図10に示すように第1ノズル7が容器3の容器口51の位置にセットされる。この状態で、第1ノズル7から容器搬送路4上の容器3に第1充填液52を規定量まで充填する作業が行われる。
【0054】
その後、エアーシリンダ64の駆動によりノズルヘッド63が回動支軸62を中心に図8中で時計回り方向に回動駆動され、容器3の容器口51の位置にセットされるノズルを第1ノズル7から第2ノズル8に切り替えるノズル切り替え作業が行われる。続いて、図11に示すように第2ノズル8から容器搬送路4上の容器3に第2充填液53を最終規定量まで充填する作業が行われる。
【0055】
(作用・効果)
本実施の形態では、回転式充填装置1の本体2の駆動時に、容器3が容器搬送路4に沿って搬送される1回の搬送動作中に、ノズル切り替え手段61の駆動によって容器3の容器口51の位置にセットされるノズルを第1ノズル7と第2ノズル8とに切り替えるノズル切り替え作業を行なうようにしたので、容器口51の径が小さな1つの容器3に複数液を充填装置一台で充填することができる。これにより、水と油のように、予め混合することができない複数の液を1台の機械でそれぞれ正確な量を充填できるので、多様な生産に適用できる。
【0056】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、回転式充填装置1の本体2に2つのノズル(第1ノズル7と第2ノズル8)が配設され、2つの充填液供給源(第1充填液供給源と第2充填液供給源)毎にそれぞれ対応させた2つの独立の給液管路(第1給液管路12と第2給液管路13)を経由して第1ノズル7と第2ノズル8にそれぞれ充填液を供給する構成を示したが、回転式充填装置1の本体2に3以上の複数のノズルを配設し、それぞれ異なる独立の給液管路から各ノズルにそれぞれ充填液を供給する構成にしてもよい。さらに、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施できることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、充填液供給源から供給される液体を回転する環状の容器搬送路の上方に複数のノズルが配設され、いずれかのノズルから容器搬送路上の容器に液体を充填する回転式充填装置とその充填方法を使用する技術分野や、これを製造する技術分野に有効である。
【符号の説明】
【0058】
2…回転式充填装置の本体、3…容器、4a…環状の容器搬送軌道、4…容器搬送路、7…第1ノズル、8…第2ノズル、12…第1給液管路、13…第2給液管路、26…洗浄装置(洗浄手段)、27…第2廃液管路、28…第1廃液管路、61…ノズル切り替え手段。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の容器を搬送する環状の容器搬送軌道を備えた容器搬送路と、
この容器搬送路上の各容器毎に対応して各容器の上方にそれぞれ配設され、前記容器搬送路上の容器の移動に同期して移動可能な複数のノズルと、
前記容器搬送路上の容器に製品液を供給する複数の充填液供給源と、
前記充填液供給源毎にそれぞれ対応させた独立の給液配管によって前記充填液供給源と前記各ノズルとの間を連結し、前記各充填液供給源から供給される製品液を前記製品液の種類毎に対応した別々の前記各給液配管を経て前記容器に充填する給液管路と、
前記各容器毎に設けられ、前記容器の充填に使用する前記ノズルを切り替えるノズル切り替え手段と、
前記充填液供給源毎の前記各給液配管に対応した別々の前記廃液配管を備え、前記ノズルからの廃液を前記充填液供給源毎に別々の経路に対応した前記廃液配管から混合されることなく廃液させる廃液管路と、
いずれかの前記ノズルから前記容器に前記製品液を充填していずれかの前記給液管路にて生産している作業中に、前記製品液を充填していない他の前記ノズルからの廃液を前記廃液管路から廃液させて洗浄可能な洗浄手段と、
を具備し、
前記ノズル切り替え手段の駆動により、前記容器に充填する給液管路を切り替えることで同一の前記容器に複数種類の前記製品液を充填可能にした
ことを特徴とする回転式充填装置。
【請求項2】
前記給液配管は、可撓性を有する配管によって形成され、
前記ノズル切り替え手段は、複数の前記ノズルを保持するノズルヘッドと、前記ノズルヘッドを一つのノズルが前記容器への充填位置に配置されている状態と、他のノズルが前記容器への充填位置に配置されている状態とに切り替えるアクチュエータと、を含み、
前記アクチュエータの駆動により、前記ノズルヘッドを介して前記容器への充填位置の前記ノズルを切り替えることで同一の前記容器に複数種類の前記製品液を充填可能にしたことを特徴とした請求項1に記載の回転式充填装置。
【請求項3】
請求項1に記載の回転式充填装置を用いて、
前記各ノズルヘッドの複数の前記ノズルから前記容器に同種の前記製品液を充填することを特徴とした回転式充填装置の充填方法。
【請求項4】
請求項1に記載の回転式充填装置を用いて、
前記各ノズルヘッドの複数の前記ノズルから前記容器に別種の前記製品液を充填することを特徴とした回転式充填装置の充填方法。
【請求項1】
複数の容器を搬送する環状の容器搬送軌道を備えた容器搬送路と、
この容器搬送路上の各容器毎に対応して各容器の上方にそれぞれ配設され、前記容器搬送路上の容器の移動に同期して移動可能な複数のノズルと、
前記容器搬送路上の容器に製品液を供給する複数の充填液供給源と、
前記充填液供給源毎にそれぞれ対応させた独立の給液配管によって前記充填液供給源と前記各ノズルとの間を連結し、前記各充填液供給源から供給される製品液を前記製品液の種類毎に対応した別々の前記各給液配管を経て前記容器に充填する給液管路と、
前記各容器毎に設けられ、前記容器の充填に使用する前記ノズルを切り替えるノズル切り替え手段と、
前記充填液供給源毎の前記各給液配管に対応した別々の前記廃液配管を備え、前記ノズルからの廃液を前記充填液供給源毎に別々の経路に対応した前記廃液配管から混合されることなく廃液させる廃液管路と、
いずれかの前記ノズルから前記容器に前記製品液を充填していずれかの前記給液管路にて生産している作業中に、前記製品液を充填していない他の前記ノズルからの廃液を前記廃液管路から廃液させて洗浄可能な洗浄手段と、
を具備し、
前記ノズル切り替え手段の駆動により、前記容器に充填する給液管路を切り替えることで同一の前記容器に複数種類の前記製品液を充填可能にした
ことを特徴とする回転式充填装置。
【請求項2】
前記給液配管は、可撓性を有する配管によって形成され、
前記ノズル切り替え手段は、複数の前記ノズルを保持するノズルヘッドと、前記ノズルヘッドを一つのノズルが前記容器への充填位置に配置されている状態と、他のノズルが前記容器への充填位置に配置されている状態とに切り替えるアクチュエータと、を含み、
前記アクチュエータの駆動により、前記ノズルヘッドを介して前記容器への充填位置の前記ノズルを切り替えることで同一の前記容器に複数種類の前記製品液を充填可能にしたことを特徴とした請求項1に記載の回転式充填装置。
【請求項3】
請求項1に記載の回転式充填装置を用いて、
前記各ノズルヘッドの複数の前記ノズルから前記容器に同種の前記製品液を充填することを特徴とした回転式充填装置の充填方法。
【請求項4】
請求項1に記載の回転式充填装置を用いて、
前記各ノズルヘッドの複数の前記ノズルから前記容器に別種の前記製品液を充填することを特徴とした回転式充填装置の充填方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−171644(P2012−171644A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−34500(P2011−34500)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(390029090)靜甲株式会社 (30)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(390029090)靜甲株式会社 (30)
【Fターム(参考)】
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