回転式粉末化装置
【課題】被処理物を挿入する密閉容器を、降雨時に集めた雨水の重力を利用して回転させることにより、この被処理物を粉末化する装置を提供する。
【解決手段】被処理物を挿入するための密閉容器5aと、密閉容器5aの外表面部に複数の雨水溜め用凹部5d1等を備えた回転容器部材5と、この回転容器部材5を回転自在に支持する装置本体4と、装置本体4の上方部に配置される部材であって、降雨時の雨水を取り込む雨水取り込み部材1と、雨水取り込み部材1が取り込んだ雨水を下方に流下させる雨水流下用貫通穴2cを有する雨水取水塔2と、装置本体4の上面部と雨水取水塔2の下面部との間に配置された台座3を、備えている。そして、降雨時に雨水取り込み部材1が取り込んだ雨水を雨水溜め用凹部5d1等に落下させて溜めることにより、この雨水溜め用凹部5d1等に溜まった雨水の重力を利用して回転容器部材5を回転させるようにしている。
【解決手段】被処理物を挿入するための密閉容器5aと、密閉容器5aの外表面部に複数の雨水溜め用凹部5d1等を備えた回転容器部材5と、この回転容器部材5を回転自在に支持する装置本体4と、装置本体4の上方部に配置される部材であって、降雨時の雨水を取り込む雨水取り込み部材1と、雨水取り込み部材1が取り込んだ雨水を下方に流下させる雨水流下用貫通穴2cを有する雨水取水塔2と、装置本体4の上面部と雨水取水塔2の下面部との間に配置された台座3を、備えている。そして、降雨時に雨水取り込み部材1が取り込んだ雨水を雨水溜め用凹部5d1等に落下させて溜めることにより、この雨水溜め用凹部5d1等に溜まった雨水の重力を利用して回転容器部材5を回転させるようにしている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転可能な密閉容器内に挿入している粉末化し易い固形物からなる被処理物を、雨水、特に降雨時に取水した雨水の重力を利用してこの密閉容器を回転させることにより、長い時間をかけて粉砕して粉末化するための装置、もしくは、複数種の被処理物を長い時間をかけて混合・粉砕する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、粉末化し易い固形物、あるいは粉砕化し易い複数種の固形物からなる被処理物を容器内に挿入(装入)し、この容器を回転させるか、あるいは容器内に装着した撹拌羽根を回転させることにより、これら被処理物を粉砕して粉末状に、あるいは複数種の被処理物を粉砕して混合するための装置が提案されている。このような装置としては、例えば、固形物が枯れ葉等であり、この枯れ葉等から腐葉土をつくる腐葉土生成装置、あるいは、レストラン等や家庭で発生するごみのうちの生ごみ等を、回転させながら混合し、微生物の作用により分解して堆肥化するための装置等が提案され、その一部は実用化されている。
【0003】
この種の回転機構を備えた腐葉土生成や生ごみの分解・堆肥化装置に関する技術としては、例えば、下記の特許文献1(特開2004−209330号公報)、特許文献2(特開2004−315272号公報)に記載の発明が提案されている。
【0004】
特許文献1には、生ごみ処理機に関する発明が提案されている。この生ごみ処理機は、ケーシング内に、生ごみと、生ごみを発酵分解する微生物を含有した腐葉土等の基材が収容される撹拌槽を設け、さらに、この撹拌槽内には複数の撹拌棒を突設した回転軸を配置し、この回転軸を回転駆動モータで回転させて、腐葉土等の基材を撹拌棒で撹拌することにより、微生物による生ごみの分解能力を向上させるようにしたものである。
【0005】
特許文献2には、家庭ごみの堆肥化装置に関する発明が提案されている。この堆肥化装置は、発酵槽と台車から構成され、発酵槽は側面が多角形に構成された左右の側板と、この左右の側板間に投入口を残して張設されたアジテータ用小棒を内側に有する板と、投入口に装着された蓋板から構成され、さらに、台車は発酵槽を回転自在に支持するように構成されている。そして、この堆肥化装置においては、生ごみと適量の培養材を日々発酵槽内に投入した後に、この発酵槽を数回回転させて全体を混合する。この混合操作を行った際には、発酵槽内にアジテータ用小棒が突設されているために生ごみの撹拌が確実に行われ、約1年の期間をかけて生ごみの堆肥化を行うことが記載されている。
【0006】
一方、近年において、葬儀に対する各人の意識の変化により、家族葬や直葬等のように葬儀の縮小化、あるいは個人のみで実施する個人化のケースが増加してきている。また、墓地を取得するためには高額なお金を要すること、あるいは「子供達に負担をかけたくない」、「墓地が遠方で墓参りに行けない」、「なくなった方をいつも身近に感じたい」、等の理由により、自宅内に骨壷を安置したり、遺灰をペンダントに入れたりする手元供養や、樹木葬、あるいは散骨の実施など、埋葬形態も次第に多様化する傾向になってきている。
【0007】
また、従来の供養手段に従って、すぐに、故人の墓石を建ててしまうことも多くあり、その結果として、その後の家族の構成や事情の変化、さらには近年の少子化などの事情により、全国的に墓石が無縁墓になって、これら墓石、骨壺等が一種の産業廃棄物化している例も増加している。この場合、遺骨については原形のままでも粉末でも産業廃棄物として処理することができないので、行政機関等によりこの無縁墓を改葬することが行われている。
【0008】
また、各地に公営の公園墓地が設置されているが、近年の用地取得難から公園墓地は市街地から離れた遠方の地に設けられる場合も増加しているため、親族等の墓参りに出かける回数も減少する傾向になっている。
【0009】
このような葬儀や埋葬、あるいは墓参りに対する意識の変化や、墓石等の産業廃棄物化に対する課題を解決するために、自然分解性を備えた骨壷を墓石の納骨場所に納めることにより、遺骨とともに骨壷を自然分解させて土に還元する(自然に帰す)ことが提案されている。この自然分解性を有する骨壷としては、例えば、微生物の分解作用を利用した合成樹脂製の骨壷、粘土等を主体として成型した自然分解性を有する骨壷が提案されている。
【0010】
また、下記の特許文献3(特開2001−286518号公報)には、風力を利用して風車を回転させ、この風力による風車の回転力を利用してひき臼を作動させることにより、焼骨や既に埋葬されていた遺骨をひき臼により粉末化する遺骨粉末化埋葬装置が提案されている。また、特許文献3には、この遺骨粉末化埋葬装置は、墓地の墓石位置に設置してその表面を石版で覆うか、あるいは寺院内に設置することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2004−209330号公報
【特許文献2】特開2004−315272号公報
【特許文献3】特開2001−286518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1に記載の生ごみ処理機は、複数の撹拌棒を突設した回転軸を配置した撹拌槽内に生ごみと、生ごみを発酵分解する微生物を含有した腐葉土等の基材を収容して、この回転軸を回転駆動モータで回転させて、腐葉土等の基材を撹拌棒で撹拌することにより微生物による生ごみの分解能力を向上させるようにした生ごみ処理機である。しかし、この生ごみ処理機は、生ごみと腐葉土等の基材を撹拌・混合するための動力源として電気エネルギーを使用する回転駆動モータを備えているため、省エネルギー化を指向した処理機ではない。
【0013】
特許文献2に記載の家庭ごみの堆肥化装置は、発酵槽を人力により回転させる手段を備えており、省エネルギー化を指向した処理機ではあるが、自然現象で発生する風や降雨等の自然力を利用してこの発酵槽を回転させるようにした手段は備えていない。
【0014】
特許文献3に記載の遺骨粉末化埋葬装置は、自然エネルギーである風力を利用してひき臼を回転させて遺骨を粉末化する手段を備えているが、風力で風車を回転させて得た回転力を、ひき臼に伝達してひき臼を効率良く回転作動させるための具体的な構成については開示されていない。
【0015】
そこで、本発明の目的は、自然現象である降雨を利用して取り込んだ雨水を、その重力を利用して、比較的粉末化し易い固形物からなる被処理物を挿入している密閉可能な容器(回転容器部材)を回転させることにより、この回転容器部材内においてこの被処理物を粉砕して粉末化する装置、例えば、故人の遺骨(焼骨)、あるいは愛犬等のペットの焼骨を長い日数又は年月をかけて粉骨(粉末)化する装置としても利用できる、自然エネルギーを応用した小型の回転式粉末化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記した課題を解決するために、請求項1に記載の発明に係る回転式粉末化装置は、
装置本体と、
前記装置本体の上方に配置され、所定の高さを有する部材であって、上方部に降雨による雨水を収集するための降雨収集手段を有するとともに、前記降雨収集手段により収集した前記雨水を前記装置本体の上面部に向かって流下させる雨水流下用貫通穴とを備えた雨水流下塔と、
前記装置本体内に、水平方向に支持されるとともに回転自在に配置された部材であって、被処理物の挿入と取り出しを可能とした密閉可能な空間部を有する円筒形状又は多角形状をなす回転容器部材と、を備え、
前記回転容器部材は、さらに、外周面上に前記雨水流下用貫通穴を流下する前記雨水を溜める雨水溜まり部を備えており、
前記回転容器部材は、前記雨水流下塔の雨水流下用貫通穴から流下して前記雨水溜まり部に溜まった前記雨水の重力により、所定方向に回転可能とされていることを特徴としている。
【0017】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の回転式粉末化装置に係り、前記降雨収集手段は、前記雨水流下塔の上部に載置された降雨収集塔からなり、
前記降雨収集塔は、その上端面は上方に向かって開口した凹状開口部と、前記凹状開口部の底面部から立設する山形形状をなす山形状突出部と、前記凹状開口部の底面部と前記雨水流下塔の前記雨水流下用貫通穴とを連通する貫通穴を備えていることを特徴としている。
【0018】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の回転式粉末化装置に係り、前記雨水流下塔は、正面視で所定の厚さを有する多角形状をなし、
前記降雨収集手段は、前記多角形状をなす前記雨水流下塔の側面上に形成された雨水収集用凹部と、前記雨水収集用凹部を前記雨水流下塔の前記雨水流下用貫通穴と連通する貫通穴とから構成されていることを特徴としている。
【0019】
さらに、請求項4に記載の発明に係る回転式粉末化装置は、
装置本体と、
前記装置本体の上面部に載置された台座と、
前記台座の上面部に載置されて所定の高さを有する部材であって、上面部から下面部に向けて貫通した雨水流下用貫通穴を有する雨水流下塔と、
前記雨水流下塔の上面部に載置されて、降雨による雨水を収集するための降雨収集塔と、
前記装置本体内に、水平方向に支持されるとともに回転自在に配置された部材であって、円筒形状又は多角形状をなす回転容器部材と、を備え、
前記回転容器部材は、
その外周面上、前記雨水流下用貫通穴を介して流下する前記雨水を溜める雨水溜まり部材と、前記回転容器部材の内部に設けられた空間部であって、被処理物の挿入と取り出しを可能とした密閉可能な空間部と、を備え、
前記回転容器部材は、前記雨水溜まり部に溜まった前記雨水の重力を利用して所定方向に回転可能とされていることを特徴としている。
【0020】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の回転式粉末化装置に係り、前記雨水流下用貫通穴は、前記雨水流下塔の内部において垂直方向に形成された貫通穴であることを特徴としている。
【0021】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の回転式粉末化装置に係り、前記雨水流下用貫通穴は、前記雨水流下塔の内部において垂直方向に形成された貫通穴であるとともに、前記装置本体上に前記雨水流下塔が配置された状態において、前記雨水流下用貫通穴の前記垂直方向の中心線は前記回転容器部材の前記回転軸心から水平方向に所定の距離離れた位置に配置されていることを特徴としている。
【0022】
また、請求項7に記載の発明は、請求項4に記載の回転式粉末化装置に係り、前記降雨収集塔は、前記降雨収集塔の上端面から上方に向かって開口した凹状開口部と、前記凹状開口部の底面部から立設する山形形状をなす山形状突出部と、前記凹状開口部の底面部と前記雨水流下用貫通穴とを連通する貫通穴を備えていることを特徴としている。
【0023】
また、請求項8に記載の発明は、請求項6に記載の回転式粉末化装置に係り、前記雨水流下塔は、その上面部に前記降雨収集塔により収集された前記雨水を取り込むための集水用凹部を備え、
前記集水用凹部は、その底部に垂直方向に径d1を有する位置決め用貫通穴を備えるとともに、前記位置決め用貫通穴の下端部は、垂直方向に形成された径d2を有する前記雨水流下用貫通穴に連接され、
前記雨水流下用貫通穴の径d2は、前記位置決め用貫通穴の径d1より大きく形成されていることを特徴としている。
【0024】
また、請求項9に記載の発明は、請求項4に記載の回転式粉末化装置に係り、前記台座は、その上面部に前記雨水流下用貫通穴を介して流下した前記雨水を収集する雨水分配凹部を備えるとともに、前記雨水分配凹部の底部は、前記収集した前記雨水を前記回転容器部材の前記雨水溜まり部に落下させるための雨水供給用貫通穴を備えていることを特徴としている。
【0025】
また、請求項10に記載の発明は、請求項4に記載の回転式粉末化装置に係り、前記装置本体は、水平方向に支持されるとともに回転自在に配置された複数の前記回転容器部材を備え、
前記台座は、その上面部に前記雨水流下用貫通穴を介して流下した前記雨水を収集する雨水分配凹部を備えるとともに、前記雨水分配凹部の底部は、前記収集した前記雨水を前記複数の前記回転容器部材のそれぞれの前記雨水溜まり部に落下させるために、複数の雨水供給用貫通穴を備えていることを特徴としている。
【0026】
また、請求項11に記載の発明は、請求項9又は請求項10に記載の回転式粉末化装置に係り、前記雨水分配凹部は、その一部が前記台座の上面部であって前記雨水流下塔が載置されていない部分に延設されていることを特徴としている。
【0027】
また、請求項12に記載の発明は、請求項1又は請求項4に記載の回転式粉末化装置に係り、前記密閉可能な空間部の内周面は、所定の幅を有し、前記回転軸心方向に延びる少なくとも一つの凸状突起部を備えていることを特徴としている。
【0028】
また、請求項13に記載の発明は、請求項1又は請求項4に記載の回転式粉末化装置に係り、前記密閉可能な空間部の内周面は、前記回転軸心方向に延びる微小な凹凸部を備えていることを特徴としている。
【0029】
また、請求項14に記載の発明は、請求項1又は請求項4に記載の回転式粉末化装置に係り、前記密閉可能な空間部の内周面は、その内周方向に等間隔で、所定の幅を有し、かつ前記回転軸心方向に延びる複数の凸状突起部と、
前記凸状突起部の間の前記内周面に設けられた微小な凹凸部を備えていることを特徴としている。
【0030】
また、請求項15に記載の発明は、請求項1又は請求項4に記載の回転式粉末化装置に係り、前記回転容器部材は、石材から構成されていることを特徴としている。
【0031】
また、請求項16に記載の発明は、請求項1又は請求項4に記載の回転式粉末化装置に係り、前記回転容器部材は、硬質の合成樹脂材から構成されていることを特徴としている。
【0032】
また、請求項17に記載の発明は、請求項1又は請求項4に記載の回転式粉末化装置に係り、前記回転容器部材は、硬質の合成樹脂材から構成されているとともに、前記回転容器部材を構成する部材の一部又は全ての部材は、透明又は半透明な合成樹脂材から構成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0033】
本発明の回転式粉末化装置は、降雨時に、この回転式粉末化装置に降り注いだ雨水を集めてこの雨水の重力を利用して回転容器部材を回転させることができる。そして、予めこの回転容器部材が備えている密閉可能な空間部に粉末化し易い固形物からなる被処理物を密閉状態で挿入(装入)しておくことにより、降雨という自然現象を利用した省エネルギーでこの回転容器部材を多数回回転させて、この被処理物を粉末化することが可能な回転式粉末化装置を提供することができる。
【0034】
本発明の回転式粉末化装置を、例えば、年間の雨量の多い地域には、枯れ葉、枯れ草、生ごみ等から園芸用の腐葉土、あるいは農業用の堆肥等を生成する装置に適用すると、装置の稼働について省エネルギー効果を上げることができる。この場合には、本発明の回転式粉末化装置を大型化してその生成効率を向上させることもできる。
【0035】
本発明の回転式粉末化装置を、愛犬等のペットや故人の焼骨を粉骨(粉末)化するための装置(メモリアルオブジェクト)として使用した場合には、粉骨化の過程の中で、故人を偲びながら、一般の墓石に収骨(納骨)することも含め、あらゆる供養手段のなかから家族の適宜な時点での実情や思い、あるいは故人の遺志に合致した供養手段を選択して実施することが可能なものとなる。また、すでに無縁墓となった墓の改葬、整理においては、焼骨を比較的短時間で粉末化して遺骨容積を大幅に縮小できるので、無縁墓の再整理における土地面積等を縮小することができる。これにより、本発明は、埋葬環境の整理について効率化とコスト低減も可能になり、社会全体にとって実用価値の高い回転式粉末化装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第1の実施形態となるメモリアルオブジェクトの全体構成を示す斜視図であって、(a)は前側方向からみた図、(b)は後側方向からみた図である。
【図2】図1に示すメモリアルオブジェクトについて、図1(b)に示すA−A線における断面の構成を示す部分断面図である。
【図3】図1に示す降雨収集塔について、上面部の構成を示す平面図である。
【図4】図1に示す降雨収集塔について、他の実施形態を示す斜視図である。
【図5】図4に示す降雨収集塔について、上面部の構成を示す平面図である。
【図6】(a)は図1に示す雨水流下塔の斜視図、(b)はこの雨水流下塔の上面部に図1に示す降雨収集塔を載置したときの位置関係を説明するための正面図である。
【図7】図1に示す台座の構成を説明するための斜視図である。
【図8】図1に示す台座について、他の実施形態を示す斜視図である。
【図9】図1に示す装置本体の上面部に台座を載置したときに、装置本体と台座との位置関係を説明するための平面図である。
【図10】図1に示す花台の構成を説明するための斜視図である。
【図11】(a)は図1に示す装置本体の斜視図、(b)はこの装置本体の平面図、(c)はこの装置本体の側面図である。
【図12】図11に示す装置本体内に、図2に示す回転容器部材を配置したときの状態を説明するための図であって、装置本体の高さ方向と直交する方向の断面図である。
【図13】図2に示す回転容器部材の側面図である。
【図14】図13に示す回転容器部材の回転軸心Oと直交する方向の縦断面図である
【図15】本発明の第2の実施形態となるメモリアルオブジェクトの全体構成を示す斜視図であって、後側方向からみた図である。
【図16】(a)は図15に示す降雨収集塔の斜視図、(b)は図15に示す雨水流下塔の斜視図、(c)は(b)に示す雨水流下塔の側面図である。
【図17】(a)は図15に示す台座の斜視図、(b)は(a)に示す台座の平面図、(c)は(b)に示す台座のB−B線における断面図である。
【図18】(a)は図15に示す装置本体の斜視図、(b)は(a)に示す装置本体の平面図、(c)は(a)に示す装置本体の側面図である。
【図19】図15に示す装置本体内に、図2に示す回転容器部材を2個配置したときの状態を説明するための平面図である。
【図20】本発明の第3の実施形態となるメモリアルオブジェクトの全体構成を示す斜視図であって、後側方向からみた図である。
【図21】(a)は、図20に示す雨水流下塔の斜視図、(b)は(a)に示す雨水流下塔の側面図である。
【図22】(a)は図20に示す台座の斜視図、(b)は(a)に示す台座の平面図、(c)は(b)に示す台座のC−C線における断面図である。
【図23】(a)は図20に示す装置本体の斜視図、(b)は(a)に示す装置本体の平面図、(c)は(a)に示す装置本体の側面図である。
【図24】図20に示す装置本体内に、図2に示す回転容器部材を3個配置したときの状態を説明するための平面図である。
【図25】本発明の第4の実施形態となるメモリアルオブジェクトについて、その構成を説明するための回転軸心O方向の縦断面図である。
【図26】図25に示すメモリアルオブジェクトについて、装置本体を回転軸心O方向と直交する方向の縦断を示す図であって、雨水流下塔に形成した雨水流下用貫通穴と回転容器部材の雨水溜まり部との位置関係を説明するための図である。
【図27】本発明の第5の実施形態となるメモリアルオブジェクトについて、回転軸心Oと直交する方向の縦断面図である。
【図28】本発明の第6の実施形態となるメモリアルオブジェクトの全体構成を示す斜視図であって、前側方向からみた図である。
【図29】図28に示す第1の台座の構成を説明するための斜視図である。
【図30】図28に示す第2の台座の構成を説明するための平面図である。
【図31】図28に示す装置本体に、回転容器部材を4個配置したときの状態を説明するための平面図である。
【図32】本発明に使用することができる回転容器部材について、他の実施形態を示す斜視図である。
【図33】図32に示す回転容器部材を回転軸方向からみた側面図である。
【図34】図32に示す回転容器部材の構成を説明するための図であって、回転軸心O方向の断面図である。
【図35】図34に示す回転容器部材の回転軸に、軸受を挿入したときの状態を示す断面図である。
【図36】本発明に使用することができる回転容器部材について、さらに他の実施形態を示す斜視図である。
【図37】図36に示す回転容器部材について、回転軸心方向と直交する方向の断面を示す断面図である。
【図38】図36に示す回転容器部材について、回転軸心方向の断面を示す断面図である。
【図39】図36に示す回転容器部材について、円筒体の他の実施形態の構成を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の形態を説明する。以下の実施形態の説明においては、本発明の回転式粉末化装置を、「メモリアルオブジェクト」として実施する場合を例にして説明する。
【0038】
なお、上記した「メモリアルオブジェクト」とは、愛犬等のペットや故人の遺骨(以下、「焼骨」という)を挿入して密閉することが可能な空間部を有する回転容器部材を備え、この回転容器部材を、自然現象である降雨時に取水した雨水の重力を利用して回転させることにより、長い時間をかけてこの焼骨を回転容器部材内の密閉可能な空間部で粉末化(粉骨化)する装置を示す。また、このメモリアルオブジェクトは、例えば、焼骨が粉骨化するまでの過程として使用する装置であって、墓地、あるいは寺院等の敷地の上、あるいは親族や寺院等の建屋の屋上やベランダ、あるいは管理者が管理する敷地の上、等の降雨が降り注ぐ場所であって、地面上、あるいはアスファルト上、コンクリート上、タイル上等の場所(以下、「メモリアルオブジェクトの設置場所」という)に設置される装置である。
【0039】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態となるメモリアルオブジェクトについての構成を示す斜視図であって、図1(a)はメモリアルオブジェクト(M1)を前側方向からみた図、図1(b)は後側方向からみた図、図2は図1(b)に示すA−A線における部分断面図であって、各部材内に形成されている貫通穴、凹部などの形状を説明するための図である。
【0040】
図1〜図2に示すメモリアルオブジェクトM1は、降雨による雨水を収集して取り込むための降雨収集塔1を最上部に配置し、この降雨収集塔1の下側に、雨水流下塔2、台座3、装置本体4、装置本体4内に回転自在に配置され、内部に密閉可能な空間部Kを有する回転容器部材5、花立6、網部材7等を配置した構成からなっている。
【0041】
降雨収集塔1は、降雨時における雨水を収集するための手段(降雨収集手段)となるものである。回転容器部材5は、その外周面は円筒形状又は多角形状をなす筒状をなし、その両端面に回転軸8が設けられて、装置本体4内に水平方向に支持されるとともに、回転自在に配置されている。また、回転容器部材5内には密閉可能な空間部Kが形成されるようになっている。この密閉可能な空間部(K)の構成については後述する。
【0042】
図1、図2は、メモリアルオブジェクトM1を構成する上記各部材を組み立てたときの位置関係を示しており、上蓋となる降雨収集塔1は、雨水流下塔2の上面部に載置されている。雨水流下塔2の下面部は台座3の上面部に載置され、台座3の下面部は装置本体4の上面部に載置されている。また、メモリアルオブジェクトM1を組み立てた後においても、少なくとも、雨水流下塔2、台座3、装置本体4、花立6及び網部材7は、それぞれ容易に取り外し可能にすることが望ましい。なお、降雨収集塔1は、雨水流下塔2の上面部に載置した後に、モルタル等により双方を一体化してもよい。また、花立6は必要に応じて装置本体4上に設けるようにしてもよい。
【0043】
上記各部材のうち、降雨収集塔1、雨水流下塔2、台座3、装置本体4、回転容器部材5、花立6の材質は、硬質で風化し難い材質である石材、例えば、御影石等を用いて、機械加工等により所望の形状に加工して仕上げるようにする。網部材7は、碁盤の目状に微小な貫通穴を多数配列したステンレス鋼等の耐腐蝕性を有する部材から構成された網部材であって、降雨時に収集(取水)する雨水に含まれているゴミ(木の葉など)を除去するためのフィルター部材である。なお、図2に表示している「前」は、メモリアルオブジェクトM1の前側方向を、「後」は同じく後側方向を示している。また、他の図に表示している「前」、「後」も上記と同様のことを示している。
【0044】
続いて、上記したメモリアルオブジェクトM1を構成する各部材について、その構成の特徴について説明する。
【0045】
(降雨収集塔の構成)
降雨収集手段なる降雨収集塔1は、図3、図4に示すように平面視で長方形状をなし、その上面部には底面部から上方に向かって開口した凹状開口部を備えている。平面視で長方形状をなす凹状開口部の4つの側部(辺部)には、所定の高さを有する下り傾斜面1a、1bを形成している。また、凹状開口部の底面部からは山形形状をなす山形状突出部1hを垂直方向に立設させている。図3(図4)では、この山形状突出部1hは斜面1c、1c、1d、1dを有する四角錐とした例を示しているが、円錐形状、あるいは他の形状を有する突出部としてもよい。
【0046】
山形状突出部1hは、降雨時において、斜面1c、1c、1d、1dを利用してより多くの量の雨水を収集するために設けたものであり、その高さは、メモリアルオブジェクトM1の外観上の見栄え(デザイン性)の良さ等を考慮して適切な高さを有するように設定する。
【0047】
また、図3に示すように、凹状開口部の底面部の周辺部には平面視で長方形状をなすように平坦面部1eを設け、平坦面部1eの各辺には、ドリル加工により一つ又は複数の貫通穴1fを、底面部を貫通させるように形成している。
【0048】
なお、図3では、平面視で長方形状をなす底部の平坦面部1eに貫通穴1fを設けた例を示しているが、この貫通穴1fの代わりに、図4(図5)に示すように、平坦面部1eの各辺に所定の長さを有するスリット状の穴1g(図5に斜線で示している部分)を設けてもよい。
上記した貫通穴1f又はスリット状の穴1gは、降雨時において降雨収集塔1の凹状開口部及び山形状突出部1hの斜面に降り注いで底部の平坦面部1eに流れ込んだ雨水を、雨水流下塔2の上面部に導くために設けたものである。
【0049】
(雨水流下塔の構成)
雨水流下塔2は、所定の高さを有し、高さ方向と直交する方向の断面の形状は、例えば、長方形状、又は正方形状をなすようにする。また、図6(a)に示すように、雨水流下塔2の上面部(上端部)には平面視で長方形状、又は正方形状あるいは略正方形状をなす集水用凹部2aを形成している。集水用凹部2aの底部2bは、その中央部方向に向かって下り傾斜となる傾斜面を形成するとともに、底部2bの中央部には、雨水流下塔2の縦(高さ)方向に垂直に貫通する雨水流下用貫通穴2cを設けている。
【0050】
図6(b)は、雨水流下塔2の上面部に降雨収集塔1を載置したときの状態を示す正面図であって、雨水流下用貫通穴2cを点線で示している。図6(b)に示すように、雨水流下用貫通穴2cは集水用凹部2aの底部2bから雨水取水塔2の下面部までドリル加工により雨水流下塔2の内部を垂直方向に貫通して形成されている。なお、雨水流下用貫通穴2cの直径は、例えば、15〜30mm程度に設定する。
【0051】
また、図6(b)に示すように、雨水取水塔2の上面部に降雨収集塔1を載置したときには、降雨収集塔1に設けた貫通穴1f(又はスリット1g)の下端は、集水用凹部2aの上面の開口部内に位置されるようにする。これにより、降雨収集塔1で収集した雨水は、貫通穴1f(スリット1g)を介して雨水流下塔2の上面部に形成した集水用凹部2a内に流れ込み、さらに、集水用凹部2aから雨水流下塔2の雨水流下用貫通穴2cに流れ込む。雨水流下用貫通穴2cに流れ込んだ雨水は、雨水流下用貫通穴2cの内周面に沿って流下するとともに、その一部は雨水流下用貫通穴2cの空間部を落下して、雨水流下塔2の下面部(下端部)に達することになる。すなわち、貫通穴1f(スリット1g)と雨水流下用貫通穴2cとは、連通していることになる。
【0052】
なお、図6には示していないが、雨水流下用貫通穴2cの上端部(集水用凹部2aの底部2bの中央部に形成された開口部)には、雨水とともに流れてくるゴミを捕捉するために、例えばステンレス製の網部材(フィルター)を装着することが望ましい。
【0053】
(台座の構成)
図7は、台座3の斜視図を示している。台座3は、所定の厚み(高さ)を有し、平面視で、例えば長方形状、又は正方形状あるいは略正方形状をなしている部材である。
図7は台座3の一実施形態を示し、台座3の上面部の中央部近傍には所定の深さを有し、上方に開口する四角形状の凹部3aを設け、さらに、凹部3aの底部3bには、雨水供給用貫通穴3cを設けた例を示している。また、平面視で凹部3aの一辺側には凹部3aの空間部が延設された空間突出部3dを形成してもよい。この空間突出部3dは、台座3の上面に雨水流下塔2の下面部を載置したときに、雨水流下塔2の下面部の一端部側に、凹部3aと連通する隙間(空間部)を設けるために形成している。そして、この空間突出部3dの上面部には、図1(b)(又は図2)に示すように、網部材7が装着される。なお、空間突出部3dは、凹部3aの他の辺側にも形成してもよい。
【0054】
凹部3aの底部3bは、雨水供給用貫通穴3cに向かって下り傾斜となる傾斜面を形成するようにする。
そして、図2に示すように、台座3の上面部に雨水流下塔2の下面部を載置したときには、雨水流下塔2内に形成した雨水流下用貫通穴2cの下端部が台座3の上面部に形成した凹部3aの上面空間部内に位置されるようにする。
【0055】
なお、台座3は、図7に示す空間突出部3dを有する凹部3aの形成に代えて、図8に示すように、平面視で長方形または正方形をなす凹部3a1を設け、台座3の上面に雨水流下塔2の下面部を載置したときに、雨水流下塔2の下面部の一端部側と凹部3a1の端部側との間に所定の幅の隙間が生じるようにして、この隙間に網部材7を装着するようにしてもよい。さらに、台座3の上面に雨水流下塔2の下面部を載置したときに、雨水流下塔2の下面部の他の端部側と凹部3a1の端部側との間にも所定の幅の隙間が生じるようにして、これら複数の隙間に網部材7を装着するようにしてもよい。
【0056】
図9は、図8に示す台座3を装置本体4の上面部に載置して、台座3の凹部3a1の一端部側に網部材7を装着したときの状態を示す平面図であって、凹部3a1と、この凹部3a1に形成した雨水供給用貫通穴3cと、雨水流下塔2に設けた雨水流下用貫通穴2c(点線で示す)との位置関係の一例を示している。図9に示すように、台座3の上面部に雨水流下塔2の下面部を載置したときには、雨水流下塔2内に形成した雨水流下用貫通穴2cの下端部が台座3の上面部に形成した凹部3a1の上面の開口部内に位置されるようにする。
【0057】
台座3は上記した構成を備えているので、降雨収集塔1の上面部に降り注いだ雨水は降雨収集塔1により収集され、貫通穴1f(又はスリット1g)を介して雨水流下塔2に設けた雨水流下用貫通穴2c内に流れ込む。雨水流下用貫通穴2c内に流れ込んだ雨水は、雨水流下用貫通穴2c内を流下して、台座3に設けた凹部3a1(又は3a)に落下して集められる。そして、台座3の凹部3a1(又は3a)に集められた雨水は、その底部3bに設けた雨水供給用貫通穴3cを通って、台座3の下面に配置されている装置本体4内に流下(落下)することになる。このように、雨水流下用貫通穴2cと雨水供給用貫通穴3cとは、台座3に設けた凹部3a1(又は3a)を介して連通されることになる。
【0058】
なお、降雨時において、網部材7が配置されている雨水流下塔2の側面部に向かって降り注いだ雨水と、台座3の上面部であって網部材7が配置されている上面部側に降り注いだ雨水の一部は、網部材7を装着した空間部を介して凹部3a1(又は3a)内に流れ込むことになる。これにより、降雨時において、凹部3a1(又は3a)内に集められる雨水の量は、降雨収集塔1で収集した雨水と、網部材7を介して流れ込んだ雨水を加えた量になるので、凹部3a(3a1)内により多くの雨水を集めることが可能になる。
【0059】
図10は、花立6の斜視図を示している。花立6には、水を入れて生花を飾るための凹部6aと、図1(a)に示すように、この花立6を装置本体4の上面部と台座3の上面部とに跨って安定した状態で設置するために、段差部6bを設けている。
【0060】
(装置本体の構成)
続いて、装置本体4の構成を図11〜図14に基づいて説明する。装置本体4は、図11(a)に示すように、上面部を正方形状、又は略正方形状あるいは長方形状をなす上部開口部4aを有する箱型形状、すなわち、上部開口部4aの各側辺部から下方に向けて形成された側面部4b、4c、4d、4eと、これら側面部4b〜4eの下端部に設けた底部4f(図11(c)参照)を備えている。さらに、装置本体4は、これら側面部4b〜4eと底部4fに囲まれた空間部4gを備えている。
【0061】
また、装置本体4の対向する一対の側面部4b、4cであって、空間部4gに面する面部側には、側面部4b、4cの上端部の中央部から所定の幅Wと長さL1を有する溝部4h、4iを底部4f方向に向けて形成している(図11(b)、(c)参照)。これらの溝部4h、4iは、装置本体4において回転容器部材5を水平方向に支持する箇所になる。
さらに、側面部4b〜4eのいずれか一つ又は複数の下端部であって底部4fに略接する位置には、一つ又は複数個の貫通穴4jを設けている。この貫通穴4jは、後述する回転容器部材5(図14参照)を構成する雨水溜まり部材5b1、5b2、5b3、・・・の雨水溜め用凹部5d1、5d2、・・・から底部4fに流下(落下)した雨水を装置本体4の外部に、すなわち、前記したメモリアルオブジェクトの設置場所に排出するための穴である。なお、貫通穴4jは、底部4fに設けてもよい。
【0062】
装置本体4の下面部の4つの隅部には、図1(図11(a)、(c))に示すように、設置用突出部4kを設けている。この設置用突出部4kの下端部(下面部)は、メモリアルオブジェクトM1を前記したメモリアルオブジェクトの設置場所に設置したときに、この設置場所と接面する部位になる。
【0063】
図12は、装置本体4内に形成されている空間部4gに1個の回転容器部材5を水平方向に挿入して、この回転容器部材5の両側部に設けられている回転軸8、8を回転自在に支持したときの状態を示す断面図である。回転容器部材5の両側部に設けられている回転軸8、8は、溝部4h、4i内に嵌入した軸受9を介して水平方向に、かつ回転自在に支持されているので、回転軸8、8と一体に結合されている回転容器部材5も水平方向に支持され、かつ回転軸8、8を介して回転自在に装置本体4内に配置されている。これにより、回転容器部材5は、2つの回転軸8、8を結ぶ水平方向となる回転軸心Oを中心にして、装置本体4内に回転自在に支持されていることになる。
【0064】
なお、図11(c)に点線で示す軸受支持部材10は、回転軸8、8を回転自在に支持する軸受9の位置を溝部4h(4i)内において固定するために、溝部4h(4i)に挿入された部材である。軸受9の位置を溝部4h(4i)内で固定するための手段は、軸受支持部材10を用いる他に、適宜適切な手段を採用することができる。軸受9としては、例えば、ボールベアリング等を用いた防水性(耐水性)の高い小型の軸受を用いるようにする。
【0065】
(回転容器部材の構成)
続いて、回転容器部材5の構成の詳細を、図12〜図14を参照して説明する。回転容器部材5は、密閉可能な空間部(K)(図12、図14参照)を設けた円筒形状をなす密閉容器5aと、密閉容器5aの外周面部であって回転軸心O方向に、所定の間隔をおいて複数配設した雨水溜め部5b1、5b2、・・・と、密閉容器5aの回転軸心O方向の両端部に着脱自在に装着される2つの蓋部材11と、平面視でこれら蓋部材11、11の一方の側面部の中央部に設けた前記した回転軸8、等から構成されている。なお、本実施形態に係るメモリアルオブジェクトにおいて、密閉容器5a内に形成されている密閉可能な空間部Kは、被処理物(故人やペットの焼骨)を挿入して密閉するための空間部となる。
【0066】
図14に示す密閉容器5aの回転軸心Oと直交する方向の断面図においては、外周面の断面形状は円形とした例を示しているが、多角形状、例えば、6角形、8角形等の多角形の形状としてもよい。なお、密閉容器5aの外周面の形状を多角形とした場合には、多角形となる外周の平面部に、雨水溜め部5b1、5b2、・・・を設けるようにする。
【0067】
密閉容器5aを構成する蓋部材11と回転軸8は、耐腐蝕性を備えているステンレス鋼製で金型鋳造等により一体成形とするか、あるいは、蓋部材11と回転軸8を強度が高い合成樹脂(硬質合成樹脂)製、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂、FRP(繊維強化プラスチック)等のいずれかの材質から、合成樹脂の射出成型により一体成形により製造してもよい。
【0068】
また、蓋部材11を透明又は半透明の合成樹脂製としてもよい。蓋部材11を透明又は半透明の合成樹脂製とした場合には、メモリアルオブジェクトを前記したメモリアルオブジェクトの設置場所に設置した後に、装置本体4内に配置した回転容器部材5を取り出して、その密閉可能な空間部(K)内に挿入した被処理物(例えば、焼骨など)が粉末化されている状態を、蓋部材11を介して目視で確認することができるという効果が生じる。
【0069】
蓋部材11は、上記したように密閉容器5a内に設けた密閉可能な空間部(K)を密閉するための部材であって、平面視で円盤状をなす板部材である。蓋部材11は、密閉容器5aの回転軸心O方向の端面部に、着脱自在に固定される。この着脱自在に固定する手段としては、例えば、耐腐蝕性をもつステンレス鋼製のネジ又はビス等を採用することができる。これにより、焼骨などの被処理物を密閉容器5aの密閉可能な空間部(K)への挿入と密閉、そして密閉後、例えば、所定の日数が経過した後に、密閉容器5aから蓋部材11を取り外して粉骨化された粉末を取り出すことが可能になる。被処理物は、密閉容器5a内の密閉可能な空間部(K)内に密閉状態で長い年月の間収納されることも有り得るが、密閉可能な空間部(K)は蓋部材11により密閉されるので雨水や湿気などによる変質が防止される。
【0070】
密閉容器5a内に設けた密閉可能な空間部(K)は、回転軸心O方向に形成された略円筒形状の空間をなし、その内周面の全面には、図14に示すように、回転軸心Oと平行であり、回転軸心O方向に向いた複数の凹凸部5c、・・・を形成している。図14に示す例では、凹凸部5cの断面形状は、半円形をなす凹凸部5cを連接した状態に、すなわち、断面形状が鋭角状の先端部を有する凸状突起部5c1と半円状の凹部5c2とが交互に回転軸心O方向に所定の間隔をおいて形成された構成としている。また、この凹凸部5cは密閉可能な空間部(K)の内周面部に、密閉空間部Kの一端部から他端部まで回転軸心Oと平行となる方向に向けて形成している。
【0071】
この凹凸部5cの形状は、図14に示すように断面形状が半円形をなす凹凸部5cの他に、例えば、断面形状が三角形状の凹凸部を連接し、その角部を鋭角の凸状突起部5c1とする等、適切な凹凸部を密閉容器5aの内周面部に、回転軸心Oと平行な方向に1列、又は複数列、あるいは全面にわたって形成してもよい。
【0072】
なお、密閉容器5aを石材から製造するときに、この凹凸部5cを形成する方法は、例えば、次のようにして形成することができる。すなわち、所定の径を有する円柱状の石材について、その一端面部に設定された回転軸心Oから所定の半径の円に沿って、一端面部から他端面までドリル加工により、回転軸心O方向に沿うように所定の径の穴を順次連接させるように穿孔加工することにより形成することができる。
【0073】
密閉容器5aの外周面には、図14に示すように、複数の雨水溜まり部5b1、5b2、・・・を、所定の間隔を設けて回転軸心Oと平行な方向に向かって形成している。また、これら雨水溜まり部5b1、5b2、・・・には、それぞれ所定量の雨水を溜めることができる凹部(以下、「雨水溜め用凹部」という)5d1、5d2、・・・を形成している。
【0074】
図14は、8個の雨水溜め部5b1、5b2、・・・を密閉容器5aの外周面に等間隔で回転軸心O方向に形成して配置した例を示している。そして、図14に示す例では、雨水溜まり部5b1の雨水溜め用凹部5d1の開口部の直上に、台座3の凹部3aの底部3bに形成した雨水供給用貫通穴3cが位置している状態を示している。この状態において、降雨時の雨水が雨水供給用貫通穴3cから落下して雨水溜まり部5b1の雨水溜め用凹部5d1に所定量ほど溜まると、その雨水の重量により回転容器部材5はS1方向に所定の角度ほど回転し、次の雨水溜まり部5b8の雨水溜め用凹部5d8に雨水供給用貫通穴3cから落下する雨水が溜まることになる。このようにして、降雨時に収集した雨水の重量を利用して回転容器部材5をS1方向に、緩やかではあるが回転させることが可能になる。
【0075】
なお、密閉容器5aと雨水溜め用凹部5d1、5d2、・・・を有する雨水溜まり部5b1、5b2、・・・とが一体化された石材からなる回転容器部材5を製造するときには、この雨水溜まり部5b1、5b2、・・・の形成加工は、例えば、ドリル用切削工具等を用いて加工することができる。
回転容器部材5の大きさは、密閉容器5a内に挿入する被処理物を焼骨とした場合、回転軸心O方向の長さを200〜250mm程度、回転軸心O方向と直交する方向の高さを150〜200mm程度、密閉空間部Kの内径は100〜150mm程度と小型化した回転容器部材5にすることが望ましい。
【0076】
降雨時において、回転容器部材5の雨水溜め用凹部5d1、5d2、・・・には、順次、台座3に設けた雨水供給用貫通穴3cから落下した雨水の所定量が溜められる。例えば、上記したように、図14に示す雨水溜まり部5b1の雨水溜め用凹部5d1に所定量の雨水が溜まると、この雨水の重量は回転容器部材5を、回転軸心Oを中心としてS1方向に回転させる回転モーメントとして作用する。この回転モーメントにより、回転容器部材5はS1方向に回転(回動)することになる。回転容器部材5がS1方向に回転すると、雨水供給用貫通穴3cから落下する雨水は、次の雨水溜まり部5b8の雨水溜め用凹部5d8、あるいはその次の雨水溜まり部5b7の雨水溜め用凹部5d7、等に溜められることになる。これにより、降雨中は、回転容器部材5は緩やかではあるがS1方向に、順次、間欠的に回転(回動)することが可能になる。
【0077】
なお、本発明においては、雨水溜まり部5b1、・・・等の雨水溜め用凹部5d1、・・・等に、所定量の雨水を順次溜めてこの雨水の重力を利用した回転モーメントにより回転容器部材5を、例えば、S1方向に回転し易くするために、次の手段を採用することが望ましい。
【0078】
すなわち、図14に示すように、台座3の雨水供給用貫通穴3cから落下する雨水が、回転軸心Oを通りこの回転軸心Oと直交する垂直線Tからの水平距離L2が最も遠くなる位置にある雨水溜め用凹部内に向けて、極力直接的に落下するようにしている。このような手段を採用すると、図14に示すように、垂直線Tからの水平距離L2が最も遠くなる位置にある雨水溜まり部5b1の雨水溜め用凹部5d1内に向けて、台座3の雨水供給用貫通穴3cから雨水を直接的に落下させるようにすると、この雨水の落下重力が雨水溜め用凹部5d1に溜まった重力に付加されることになるので、回転容器部材5に作用する回転モーメントをより大きくすることが可能になる。
【0079】
上記した手段を実現するためには、図14に示すように、垂直線Tからの水平距離L2が最も遠くなる位置にある雨水溜まり部の雨水溜め用凹部の開口部の直上に、すなわち、垂直線Tからの水平距離がL2より小さいL3となる位置に、台座3の雨水供給用貫通穴3cを設けるようにするとよい。
なお、本発明においては、回転容器部材5の形状、大きさ、重量等を考慮して、最適な雨水溜まり部の形状と配置数、及び雨水溜め用凹部の体積を決定するようにする。例えば、上記した垂直線Tからの水平距離L3の値は、回転容器部材5の径(雨水溜まり部5b1等を考慮した径)を考慮して適切な値を設定するようにする。
【0080】
このようにして、本発明の一実施形態であるメモリアルオブジェクトM1は、降雨時において、台座3に設けた雨水供給用貫通穴3cから落下して雨水溜め用凹部5d1、・・・に溜まった雨水の重量によって、回転容器部材5がS1方向へ回転すると、雨水供給用貫通穴3cから落下する雨水は、順次、雨水溜め用凹部5d1、5d2、・・・のいずれかに溜められることになるので、回転容器部材5はS1方向へ、緩やかではあるが連続的に、あるいは間欠的に回転することになる。
【0081】
(メモリアルオブジェクトM1の設置手順)
上記構成からなるメモリアルオブジェクトM1を、前記したメモリアルオブジェクトの設置場所のいずれかに設置する手順の一例を説明すると、下記(1)〜(5)に記載のようになる。
【0082】
(1)予め、回転容器部材5の密閉容器5a内の密閉可能な空間部(K)内に、前記したように比較的粉末化し易い固形物(被処理物)である、例えば、遺族の火葬後の焼骨を挿入して蓋部材11により密閉容器5aを密閉する。
(2)次に、装置本体4を前記したメモリアルオブジェクトの設置場所上に設置する。このとき、装置本体4の下面部(図1(a)に設けた4つの設置用突出部4kを前記したメモリアルオブジェクトの設置場所上に接地させるとともに、装置本体4の下面部(又は上面部)の向きは水平方向になるようにする。
【0083】
(3)続いて、装置本体4内に回転容器部材5を水平になるように配置する。このとき、図11(c)に示すように、回転容器部材5の左右の端部に設けている回転軸8、8が軸受9を介して軸受支持部材10により支持・固定されるようにする。これにより、回転容器部材5は、装置本体4内に水平方向が回転の中心(回転軸心O)となるように配置され、この回転軸心Oを中心として回転自在に配置されることになる。このようにして、焼骨を挿入した回転容器部材5は、前記したメモリアルオブジェクトの設置場所から上方に、所定の距離ほど空間を隔てて離れた位置に配置され、また装置本体4の上面部からは下方に所定の距離ほど空間を隔てた位置に配置されるので、故人の焼骨は、あたかも空中に配置されたような状態になる。これは、後述する本発明の他の実施形態に係るメモリアルオブジェクトM2〜M6においても同様である。
【0084】
(4)装置本体4の上面部に台座3を載置する。このとき、前記したように、台座3に設けた雨水供給用貫通穴3cの下端部が回転容器部材5の直上であって、かつ平面視で回転軸心Oから所定の距離(図14に示すL3)離れた位置になるように、台座3を装置本体4の上面部に載置する。
【0085】
(5)次に、台座3の上面部に、雨水流下塔2を載置する。このとき、台座3の上面部に雨水流下塔2を安定した載置状態を維持するために、雨水流下塔2の下端(下面)部の面積を大きくする等、雨水流下塔2の下端部の形状を適切な形状にする等の対策を施すようにする。続いて、雨水流下塔2の上面部に降雨収集塔1を載置する。また、花立6を装置本体4の上に載置する。これにより、メモリアルオブジェクトM1の組み立と設置が完了する。この設置完了後の状態を示す図が図1(図2)である。
【0086】
なお、上記した設置する手順においては、メモリアルオブジェクトの設置後に、降雨収集塔1、雨水流下塔2、台座3及び装置本体4は、容易に取り外しができるように設置することが望ましい。また、装置本体4内に回転自在に配置した回転容器部材5も、装置本体4から軸受支持部材10とともに容易に取り外しができるようにする。
【0087】
(メモリアルオブジェクトM1の作用と効果)
以上に説明した本発明の実施形態に係るメモリアルオブジェクトM1は、前記したメモリアルオブジェクトの設置場所に設置しておくことにより、次のような作用効果を発揮することができる。
【0088】
自然現象である降雨が発生すると、降雨収集塔1の上に降り注いだ雨水、及び台座3上に配置した網部材7を介して取り込んだ雨水を利用して回転容器部材5を、前記したようにS1方向に回転させることができる。回転容器部材5が回転すると、密閉可能な空間部(K)内に挿入された被処理物(焼骨)も互いに接触しながら、かつ、密閉容器5aの内面部に設けた凸状突起部5c1に接触しながら回転、又は回動あるいは揺動する。このようにして、所定の雨量以上の降雨が発生する都度、密閉容器5aの密閉可能な空間部(K)に密閉された焼骨は長い日数をかけて徐々に粉砕されていくことになる。
【0089】
降雨時において、メモリアルオブジェクトM1の回転容器部材5はS1方向へ回転していく。そして、回転容器部材5がS1方向へ回転して、雨水溜め用凹部5d1、・・・のいずれかが図14に示す雨水溜め用凹部5d2〜5d4の位置に達すると、雨水溜め用凹部5d1等に溜まった雨水は装置本体4の底部4fに落下する。底部4fに落下した雨水は、装置本体4に設けた貫通穴4jを介してメモリアルオブジェクトM1を設置している前記したメモリアルオブジェクトの設置場所上に排出される。
なお、装置本体4に設ける貫通穴4jの数と穴の径の大きさは、例えば、メモリアルオブジェクトM1の設置地域における過去の単位時間当たりの最大降雨量等を考慮して設定する。
【0090】
回転容器部材5を石材製とし、この石材製の回転容器部材5を備えたメモリアルオブジェクトM1が寒冷地に設置された場合には、雨水溜まり部5b1、5b2、・・・のいずれかの雨水溜め用凹部5d1、・・・内に残留した雨水は凍結する可能性がある。この雨水が凍結すると、その膨張により雨水溜まり部5b1、5b2、・・・にヒビ割れが発生する恐れがある。このヒビ割れを防止するために、図14に示すように、雨水溜まり部5b1、5b2、・・・の側壁には、ヒビ割れ防止用の穴(貫通穴)5eを設けておくことが望ましい。
【0091】
上記した本発明の実施形態に係るメモリアルオブジェクトM1の使用形態の一例としては、故人の焼骨を、例えば、公園墓地、あるいは合葬式の合同墓などに埋葬するまで、故人の焼骨を粉骨化するまでの過程となるメモリアルオブジェクトとして用いることが可能になる。
【0092】
このように、本発明をメモリアルオブジェクトM1として用いた場合には、生成された遺灰について、この遺灰を収納する空間部を備えたダイヤモンド装身具や人工宝石、あるいはその一部をペンダントに入れたアクセサリー、小さく美観性の高い納骨器(骨壺)として自宅供養する、等の手元供養としての利用、あるいは故人の遺志に基づいて散骨が認められる場所での散骨を行うための粉骨を得ることが可能になる。このような効果は、後述するメモリアルオブジェクトM2〜M6についても同様である。
【0093】
なお、本発明の実施形態となるメモリアルオブジェクトM1は、その全体の高さは500〜1000mm程度、このうち、雨水流下塔2の高さは300〜400mm程度、装置本体4の縦横の寸法を250〜300mm程度と小型化することが可能になるので、設置の作業も容易になり、さらに設置する場所の面積も小さくすることができるという効果も生じる。
【0094】
[第2の実施形態]
続いて、本発明の第2の実施形態に係るメモリアルオブジェクトM2について、図15〜図19を参照して説明する。第2の実施形態となるメモリアルオブジェクトM2は、装置本体内に回転容器部材5を2個配置した構成としたことに特徴がある。
【0095】
図15は、メモリアルオブジェクトM2を後方からみた斜視図である。メモリアルオブジェクトM2は、図15及び図16に示すように、雨水を取り込むための降雨収集塔21、雨水流下塔22、台座23、装置本体24、装置本体24内に回転自在に配置され、密閉可能な空間部(K)を有する2つの回転容器部材(5−1)、(5−2)(図19参照)、台座23の上面部に装着された網部材27、等を備えている。この回転容器部材(5−1)、(5−2)は、前記したメモリアルオブジェクトM1が備えている回転容器部材5と同じ構成を備えている。メモリアルオブジェクトM2は、2つの回転容器部材5−1と5−2を備えた構成としているので、前記したメモリアルオブジェクトM1と比較してその横幅寸法を大きくした構成にしている。
【0096】
メモリアルオブジェクトM2をメモリアルオブジェクトの設置場所に設置するときには、図15に示すように、2つの回転容器部材(5−1)、(5−2)を配置した装置本体24の上面部に台座23を載置し、続いて、台座23の上面部に雨水流下塔22を載置し、次に雨水流下塔22の上面部に上蓋となる降雨収集塔21を載置する。なお、図15には、メモリアルオブジェクトM1が備えている花立6を示していないが、必要に応じてこの花立6を設けてもよい。
【0097】
上記各部材のうち、降雨収集塔21、雨水流下塔22、台座23、装置本体24、回転容器部材5−1と5−2、花立の材質は、上記したメモリアルオブジェクトM1と同様に、硬質で風化し難い石材である御影石等を用いて、機械加工等により所望の形状に加工して仕上げることができる。網部材27は、碁盤の目状に微小な貫通穴を多数配列したステンレス鋼等の耐腐蝕性を有する部材から構成された網部材であって、降雨時に取水する雨水に含まれているゴミ(木の葉など)を除去するための部材である。
【0098】
(降雨収集塔)
続いて、上記した各部材について、その構造の概要について説明する。
降雨収集塔21は、図16(a)に示すように、第1の実施形態の降雨収集塔1よりも平面視で横幅が大きい長方形状をなしている。降雨収集塔1の上面部には、底面部から上方に向かって開口した凹状開口部を備えている。平面視で長方形状をなす凹状開口部の4つの側部(辺部)には、所定の高さを有する下り傾斜面21a、21a、21b、21bを形成している。また、凹状開口部の底面部からは山形形状をなす山形状突出部21hを垂直方向に立設させている。図15(図16)では、この山形状突出部21hは斜面21c、21c、21d、21dを有する四角錐とした例を示しているが、円錐形状、あるいは他の形状を有する突出部としてもよい。
【0099】
また、図16に示すように、凹状開口部の底面部の周辺部には平面視で長方形状をなすように平坦面部21eを設け、平坦面部21eの各辺にはドリル加工により一つ又は複数の貫通穴21fを、底面部を貫通させるように形成している。なお、貫通穴21fはスリット状の穴としてもよい。
【0100】
上記した構成を備えている降雨収集塔21の上面部に降雨が降り注いだときに、雨水を収集する作用は、前記した降雨収集塔1の作用と同様である。降雨収集塔21の上面部で収集した雨水は、貫通穴21fを介して雨水流下塔22の上面部に流れ込むことになる。
【0101】
(雨水流下塔)
雨水流下塔22は、図16(b)、(c)に示すように所定の高さを有し、水平方向の断面形状は長方形状をなし、側面部には意匠性を高めるために複数の溝部22dを水平方向に形成している。
雨水流下塔22の上面部(上端部)には、平面視で長方形状をなす集水用凹部22aを形成している。集水用凹部22aの底部22bは、その中央部に向かって下り傾斜となる傾斜面を形成するとともに、底部22bの中央部には、雨水流下塔22の高さ方向(垂直方向)に貫通する雨水流下用貫通穴22cを設けている。図16(c)には、雨水流下塔22の上面部に形成した集水用凹部22aと、雨水流下用貫通穴22cの断面形状を点線で示している。
【0102】
雨水流下塔22の上面部に降雨収集塔21を載置したときには、降雨収集塔21に設けた貫通穴21fの下端は、集水用凹部22aの上面空間内に位置するようにする。これにより、上蓋21の上面部に降り注いだ雨水は、貫通穴21fを介して雨水流下塔22の集水用凹部22a内に流れ込み、さらに、雨水流下塔22内に形成された雨水流下用貫通穴22cに流れ込んで、雨水流下用貫通穴22c内を下方に向かって流下する。このように、貫通穴21fは集水用凹部22aを介して雨水流下用貫通穴22cと連通していることになる。
【0103】
(台座)
台座23は、所定の厚み(高さ)を有し、図17(a)に示すように、平面視で長方形状をなしている。また、台座23の上面部の中央部近傍には所定の深さを有する雨水分配凹部23aを設けている。さらに、雨水分配凹部23aの底部23bには、図17(b)に示すように、2つの雨水供給用貫通穴23c1、23c2を設けている。なお、図17(b)は、雨水分配凹部23aの上面の一端部側に網部材27を装着したときの状態を示し、また、点線で示す22cは、台座23の上面部に雨水流下塔22を載置したときに雨水流下塔22に形成した雨水流下用貫通穴22cの下端部の位置を示している。
【0104】
台座23は、上記した構成を備えているので、降雨収集塔21で収集された雨水は、雨水流下塔22に設けた雨水流下用貫通穴22c内を流下して、台座23に設けた雨水分配凹部23a内に落下して集められる。そして、雨水分配凹部23aに集められた雨水は、雨水分配凹部23aの底部23bに設けた2つの雨水供給用貫通穴23c1、23c2を通って装置本体24内に落下することになる。このように、雨水流下用貫通穴22cと雨水供給用貫通穴23c1、23c2とは、台座23に設けた雨水分配凹部23aを介して連通されることになる。
【0105】
なお、降雨時において、網部材27が配置されている側であって雨水流下塔22の側面部に向かって降り注いだ雨水と、台座23の上面部であって網部材27が配置されている上面部側に降り注いだ雨水の一部は、網部材27を介して雨水分配凹部23a内に流れ込む。これにより、降雨時において、雨水分配凹部23a内に集められる雨水の量は、降雨収集塔21で収集した雨水量に、網部材27を介して雨水分配凹部23aに流れ込んだ雨水量を加えた量になる。
図15(図17(b))等においては、台座23の上面部に網部材27を装着して台座23上から雨水を取込む手段は1ケ所のみ設けた例を示しているが、雨水分配凹部23aの他の側面にも雨水を取込む手段を設けて、より多くの雨水が収集できるようにしてもよい。
【0106】
(装置本体)
続いて、装置本体24の構成を図18〜図19に基づいて説明する。装置本体24は、図18(a)に示すように、上面部が長方形状の上部開口部24aを有する箱型形状をなしている。さらに、この上部開口部24aの各側辺部から下方に向けて形成された側面部24b、24c、24d、24eと、これら側面部24b〜24eの下端部に設けた底部24f(図18(b)参照)を備え、これら側面部24b〜24eと底部24fに囲まれた部分には空間部24gが形成されている。
【0107】
また、装置本体24の対向する一対の横長の側面部24bと24cが空間部24gに面する面側には、側面部24b、24cの上端部から所定の幅Wと長さL1を有する2対の溝部24h1と24i1、及び24h2と24i2を底部24f方向に向けて設けている(図18(b)、(c)参照)。さらに、側面部24b〜24eのいずれか一つ又は複数についてその下端部であって底部24fに略接する位置に、一つ又は複数個の貫通穴24jを設けている。この貫通穴24jは、底部24fに落下した雨水を外部に排出するための穴である。なお、図15、図18に示す24kは、メモリアルオブジェクトM2を前記したメモリアルオブジェクトの設置場所に設置するための設置用突出部である。
【0108】
装置本体24に形成された空間部24gは、前記した密閉可能な空間部(K)を有する回転容器部材5の2個(以下、回転容器部材(5−1)、(5−2)と記載する)を挿入するための空間部になる。また、対向して配置されている溝部24h1と24i1、及び24h2と24i2は、これらの回転容器部材(5−1)、(5−2)に設けた回転軸8を、軸受9を介して水平方向に固定するために設けた溝部である。そして、溝部24h1と24i1、及び24h2と24i2に挿入された軸受9は、軸受支持部材10により支持・固定される。これにより、2つの回転容器部材(5−1)と(5−2)は、装置本体24内に水平方向に支持され、かつ、回転軸心Oを中心として回転自在になる。なお、軸受9は、前記したように、ボールベアリング等を用いた防水性の高い軸受を用いるようにする。
【0109】
装置本体24内に回転自在に支持される2つの回転容器部材(5−1)と(5−2)のそれぞれの構成例は、前記した第1の実施形態において図12〜図14に基づいて説明した回転容器部材5の構成と同一の構成にすることができるので、その構成の説明は省略する。
【0110】
装置本体24内に2つの回転容器部材(5−1)と(5−2)を配置したときの平面図を示す図19において、点線の丸印で示す23c1、23c2は、台座23の凹部23aの底部23bに設けた2つの雨水供給用貫通穴23c1、23c2(図17(b)参照)の位置を示している。
このうち、雨水供給用貫通穴23c1は、雨水流下塔22の雨水流下用貫通穴22cの下端部から落下して台座23の雨水分配凹部23a内に流れ込んだ雨水を、2つの回転容器部材(5−1)と(5−2)のうちの一方の回転容器部材の雨水溜まり部5b1、・・・のいずれかに向けて落下させる穴になる。また、雨水供給用貫通穴23c2は、雨水分配凹部23a内に流れ込んだ雨水を、2つの回転容器部材(5−1)と(5−2)のうちの他方の回転容器部材の雨水溜まり部5b1、・・・のいずれかに向けて落下させる穴になる。
【0111】
そして、雨水分配凹部23aに形成した雨水供給用貫通穴23c1、23c2から流下した雨水の所定量が回転容器部材(5−1)と(5−2)のいずれかの雨水溜め用凹部5d1等に溜まると、この溜まった雨水の重量による回転モーメントが作用して回転容器部材(5−1)、(5−2)は所定方向に回転することになる。この回転容器部材(5−1)、(5−2)が雨水の重量による回転とこの回転による作用は、前記第1の実施形態に係るメモリアルオブジェクトM1で説明した通りであるが、この第2の実施形態に係るメモリアルオブジェクトM2においては、降雨時に収集した雨水を利用して2つの回転容器部材(5−1)と(5−2)を回転させることが可能になるという特徴を備えている。
【0112】
このように、図17に示す雨水分配凹部23aを備えた台座23は、降雨収集塔21等で収集した雨水を、2個の回転容器部材(5−1)、(5−2)のそれぞれが備えている雨水溜め用凹部5d1等に分配して供給するための手段になる。
【0113】
なお、台座23の雨水分配凹部23aの底部23に形成する2つの雨水供給用貫通穴23c1と23c2(図17(b)参照)の位置は、図19に示すように、平面視で2つの回転軸心Oの間であって、それぞれの回転軸心Oから所定の距離をおいた回転容器部材5のいずれかの雨水溜め用凹部の直上に配置するようにすることが望ましい。図19に示す例では、2つの回転容器部材(5−1)と(5−2)は、雨水の重量を利用してそれぞれ異なった方向に回転することになる。
【0114】
この第2の実施形態に係るメモリアルオブジェクトM2は、例えば、その全体の高さは600〜1000mm程度、装置本体24の縦横の寸法は300〜500mm程度と、メモリアルオブジェクトM1と比較して横幅が若干大きくなるが、小型化されたメモリアルオブジェクトとすることができる。なお、メモリアルオブジェクトM2を前記したメモリアルオブジェクトの設置場所上に設置する手順は、前記したメモリアルオブジェクトM1を設置する手順と同じである。
【0115】
上記した本発明の第2の実施形態に係るメモリアルオブジェクトM2は、2つの回転容器部材(5−1)と(5−2)を備えているので、それぞれの回転容器部材の密閉容器5a内に、例えば、異なる故人の方(ご両親)の焼骨、あるいは故人の焼骨とこの故人が可愛がっていたペット等の焼骨を挿入して密閉することにより、この焼骨を粉末(粉骨)化することができる。これにより、メモリアルオブジェクトM2は、前記したメモリアルオブジェクトM1と同様に、焼骨が雨水を利用して粉骨化されるまでの過程の装置として、そして、粉骨化後の任意の時期に一般の墓石や合葬式の合同墓、あるいは自宅に保管する収骨器(骨壺)に収骨しようとする場合において、その容積を1/3〜1/4にすることができるので、将来の埋葬環境を考慮したメモリアルオブジェクトとすることができる。
【0116】
また、このメモリアルオブジェクトM2は、メモリアルオブジェクトM1と同様に、既に無縁墓となった墓碑内の遺骨を、長い期間をかけて弔いながら粉骨化する装置としても利用することができる。これにより無縁の遺骨を粉骨化してその容積を大幅に減少させることができるので、合葬式の無縁合同墓の設置面積を小さくすることができるという効果も生じる。
【0117】
[第3の実施形態]
続いて、本発明の第3の実施形態に係るメモリアルオブジェクトM3について、図20〜図24を参照して説明する。このメモリアルオブジェクトM3は、装置本体内に回転容器部材を3個配置したことに特徴がある。
【0118】
図20は、メモリアルオブジェクトM3を後方からみたときの斜視図である。メモリアルオブジェクトM3は、雨水落下塔32と、台座33と、装置本体34と、装置本体34内に回転自在に配置され、密閉可能な空間部(K)を有する3つの回転容器部材(5−1)、(5−2)、(5−3)(図24参照)を備えている。そして、メモリアルオブジェクトM3においては、装置本体34の上面部に台座33が載置され、台座33の上面部に雨水落下塔32が載置されている。
【0119】
雨水落下塔32は、正面視においては所定の厚さを有する平板状の多角形状をなしている。雨水落下塔32を正面視で多角形状にした理由は、メモリアルオブジェクトM3の外観上の意匠性を高めるためである。図20(図21)に示す例では、正面視で、雨水落下塔32の形状は略5角形状(星形形状)をなすようにしている。
なお、雨水落下塔32を正面からみた形状は、図20に示す概略星形の形状の他に、6角形状、8角形状等の多角形状、あるいは意匠性を持たせた適切な形状を採用することが望ましい。
【0120】
この雨水落下塔32は、前記した第1及び第2の実施形態で説明した降雨収集塔1と雨水落下塔2、又は降雨収集塔21と雨水落下塔22とを一体化した機能、すなわち、降雨による雨水を収集する機能と、この収集した雨水を集めて台座33の方向に向けて流下させる機能を備えていることに特徴がある。
【0121】
雨水落下塔32の構成を、図21(a)、(b)に基づいて詳細に説明すると次のようになる。雨水落下塔32の正面視の形状は略5角形状をなし、その上方部の中央部から山形状に上方に向かって突出する山形状突出部32aを設け、さらに、この山形状突出部32aの基部には、左右方向に、かつ略水平方向に所定の長さほど突出する水平突出部32bと32cと、この雨水落下塔32を装置本体34の上面部に安定した状態で載置するための基台部32d、等を設けている。
【0122】
さらに、図21(b)に示すように、水平突出部32bと32cの上面部には所定の長さと幅及び溝深さを有する凹部となる雨水収集用凹部32e、32fをそれぞれ形成している。そして、これらの雨水収集用凹部32e、32fの底部は、雨水落下塔32の内部の中央部に向けて傾斜する斜面とし、雨水収集用凹部32e、32fは貫通穴32iを介して、雨水収集用凹部の雨水流下用貫通穴32hに連通させている。雨水流下用貫通穴32hは、雨水収集用凹部の下面部まで垂直方向に形成された穴である。
【0123】
なお、それぞれの水平突出部32bと32cの上面部には、その縁部から雨水収集用凹部32e、32f方向に向かって下り傾斜となる傾斜面32gを形成することが望ましい。雨水収集用凹部32e、32fは降雨時等において、水平突出部32bと32cの上面部に降り注いだ雨水、及び山形状突出部32aの傾斜側面部に降り注いだ雨水を収集して取り込むための凹部、すなわち、降雨による雨水を収集する機能を実現する手段になる。また、雨水収集用凹部32e、32fと雨水流下用貫通穴32hは、雨水落下塔32で収集した雨水を集めて台座33の方向に向けて流下させる機能を実現する手段になる。
【0124】
雨水収集用凹部32e、32fの上部には、ステンレス鋼製等の網部材37aを装着して雨水収集用凹部32e、32f内にゴミが侵入することを防止している。また、山形状突出部32aの傾斜側面部に装着している網部材37bもテンレス鋼製等からなっている。この網部材37bは、意匠性を高めるための装飾用の部材であって、耐腐蝕性を有するネジ部材を用いて山形状突出部32aの側面部に固定している。
なお、この山形状突出部32aの傾斜側面部にも上記した雨水収集用凹部32e、32fと同様の凹部を傾斜するように形成して網部材37bを装着し、降雨時においてこれら凹部に取り込んだ雨水をそれぞれ雨水収集用凹部32e、32fに流下させるようにしてもよい。
【0125】
雨水落下塔32は上記した構成を備えているので、降雨時に雨水収集用凹部32e、32fに流れ込んだ雨水は、雨水収集用凹部32e、32fから貫通穴32iを通って雨水流下用貫通穴32hの上方に流れていき、さらに雨水流下用貫通穴32h内を下方に向けて流下することになる。なお、石材からなる雨水落下塔32を石材製とした場合には、雨水取水塔32に、雨水流下用貫通穴32h、雨水収集用凹部32e、32f、及び貫通穴32iの形成は、ドリル加工等に形成する。
【0126】
(台座)
次に、台座33の構成を図22に基づいて説明する。台座33は、図22(a)、(b)に示すように、所定の厚さ(高さ)を有し、平面視で長方形状をなし、その上面部の中央部近傍には所定の深さを有する雨水分配凹部33aを設け、さらに、雨水分配凹部33aの底部33bには3つの雨水供給用貫通穴33c1、33c2、33c3を設けている。なお、図22(b)において、点線で示す32hは、台座33の上面部に雨水落下塔32を載置したときに、雨水落下塔32に形成した雨水流下用貫通穴32hの基部32dの下端面における開口部の位置を示している。すなわち、台座33の上面部に雨水落下塔32を載置したときには、雨水落下塔32に形成されている雨水流下用貫通穴32hの下端部における開口部は、雨水分配凹部33aの上方開口部内に位置させることを示している。
【0127】
なお、雨水分配凹部33aの底部33bに3つの雨水供給用貫通穴33c1、33c2、33c3を設ける位置は、後述するように、装置本体34内に配置された3個の回転容器部材(5−1)、(5−2)、(5−3)のそれぞれの雨水溜め用凹部5d1等の直上の位置であって、それぞれの回転容器部材の回転軸心Oから所定の距離ほど離れた位置になるようにする。
【0128】
また、台座33の上面部に雨水落下塔32を載置した際には、雨水分配凹部33aの長手方向の一方の端部、あるいは複数の端部には所定の隙間が生じるようにして、この隙間に、図20に示すように網部材37cを装着する。これにより、雨水落下塔32の後側の側面などと、台座33の上面部であってこの網部材37cを装着した上面部に降雨した雨水の一部も、網部材37cを介して台座33に形成した雨水分配凹部33a内に取り込むことができるので、より多くの雨水を雨水分配凹部33a内に取り込むことが可能になる。
【0129】
台座33は上記した構成を備えているので、降雨時において、雨水落下塔32に形成された雨水流下用貫通穴32hを流下した雨水と、台座33の網部材37cを通過した雨水は、台座33の雨水分配凹部33a内に取り込まれる。そして、雨水分配凹部33a内に取り込まれた雨水は、3つの雨水供給用貫通穴33c1、33c2、33c3を介して装置本体34に向けて落下する。
【0130】
雨水供給用貫通穴33c1、33c2、33c3から落下した雨水は、雨水供給用貫通穴33c1、33c2、33c3の位置に対応して装置本体34内に回転自在に配置されているそれぞれの回転容器部材(5−1)、(5−2)、(5−3)の雨水溜め用凹部5d1等に供給されることになる。
【0131】
(装置本体)
続いて、装置本体34の構成について説明する。装置本体34は、回転容器部材を3つ配置するために、前記した回転容器部材を2つ配置したメモリアルオブジェクトM2の装置本体24と比較して、その横幅を少し大きくした構成としている。従って、装置本体34の基本的な構成は、回転容器部材を3つ配置可能とした構成以外は、前記した装置本体24と同様であるので、図23〜図24に基づいてその構成の概要のみを説明する。
【0132】
図23(a)に示すように、装置本体34は、上面部が長方形状をなす上部開口部34aを有する箱型形状をなし、この上部開口部34aの各側辺部から下方に向けて形成された側面部34b、34c、34d、34eと、これら側面部34b〜34eの下端部に設けた底部34f(図23(c)参照)を備えている。そして、これら側面部34b〜34eと底部34fとに囲まれた空間部34gを備えている。
【0133】
また、装置本体34の対向する横長の一対の側面部34bと34cが空間部34gに面する面部には、側面部34b、34cの上端部から所定の幅Wと長さL1を有する3対の溝部34h1と34i1、34h2と34i2、及び34h3と34i3を底部34f方向に向けて設けている(図23(b)、(c)参照)。さらに、側面部34b〜34eのいずれか一つ又は複数の下端部であって底部34fに略接する位置に、一つ又は複数個の貫通穴34jを設けている。この貫通穴34jは、底部34fに落下した雨水を外部に排出するための穴である。
【0134】
装置本体34に形成された空間部34gは、前記した密閉可能な空間部(K)を有する3個の回転容器部材(5−1)、(5−2)、(5−3)を挿入して配置するための空間部になる。なお、溝部34h1と34i1、34h2と34i2、及び34h3と34i3は、これら3個の回転容器部材に設けられている回転軸8を回転自在に支持するための軸受9を挿入して、この軸受9の位置を固定する手段となる軸受支持部材10を装着するための溝部である(図23(c)参照)。
【0135】
これにより、装置本体34内に配置した3個の回転容器部材(5−1)、(5−2)、(5−3)は、図24に示すように、装置本体34内において水平方向に支持され、かつ、回転軸心Oを中心として回転自在に配置されることになる。
なお、図20、図23に示す34kは、本体装置部34の下面部の短辺側の側面に設けた設置用突出部である。
【0136】
装置本体34内に回転自在に支持される3つの回転容器部材(5−1)、(5−2)、(5−3)のそれぞれの構成は、前記した第1の実施形態において図13〜図14に基づいて説明した回転容器部材5の構成と同一の構成にすることができるので、その構成の説明は省略する。
図24は、装置本体34内に3個の回転容器部材(5−1)、(5−2)、(5−3)を配置したときの配置例を示すとともに、装置本体34の上面部に台座33を載置したときに、装置本体34内に3個の回転容器部材(5−1)、(5−2)、(5−3)の配置位置に対応させて、台座33に形成した雨水分配凹部33aの底部33bに設けた3つの雨水供給用貫通穴33c1、33c2、33c3の位置を点線の丸印で示している。
【0137】
図24に示す雨水供給用貫通穴33c1は、台座33の雨水分配凹部33a内に流れ込んだ雨水を、3個の回転容器部材のうちの回転容器部材(5−1)の直上であって平面視でこの回転容器部材の回転軸心Oから所定の距離ほど離れた位置に配置され、この雨水供給用貫通穴33c1から落下した雨水は、回転容器部材(5−1)の雨水溜め用凹部5d1、5d2、・・・のいずれかに溜まることになる。
【0138】
同様に、雨水供給用貫通穴33c2は、台座33の雨水分配凹部33a内に流れ込んだ雨水を、3個の回転容器部材のうちの回転容器部材(5−2)の直上であってこの回転容器部材の回転軸心Oから所定の距離ほど離れた位置に配置され、この雨水供給用貫通穴33c2から落下した雨水は、回転容器部材(5−2)の雨水溜め用凹部5d1、5d2、・・・のいずれかに溜まることになる。
雨水供給用貫通穴33c3も上記と同様であって、雨水供給用貫通穴33c3から落下した雨水は、回転容器部材(5−3)の雨水溜め用凹部5d1、5d2、・・・のいずれかに溜まることになる。
【0139】
このように、図20(図22)に示す台座33は、雨水落下塔32で取り込んだ雨水と、網部材37cを介して取り込んだ雨水を、3個の回転容器部材(5−1)、(5−2)、(5−3)が備えている雨水溜め用凹部に分配して供給するための手段になる。
そして、貫通穴33c1、33c2、33c3から落下した雨水の所定量がそれぞれの回転容器部材(5−1)、(5−2)、(5−3)の雨水溜め用凹部5d1、5d2、・・・のいずれかに溜まると、この溜まった雨水の重量による回転モーメントが作用して、回転容器部材は(5−1)、(5−2、(5−3)は所定の方向に回転することになる。
【0140】
このように、メモリアルオブジェクトM3では、降雨時に取り込んだ雨水を利用して3つの回転容器部材(5−1)、(5−2)、(5−3)を回転させることが可能になる。なお、この回転容器部材(5−1)、(5−2)、(5−3)を、雨水を利用して回転させてそれぞれの密閉可能な空間部(K)に挿入された被処理物(焼骨)を粉骨化する作用は、前記第1の実施形態に係るメモリアルオブジェクトM1で説明した通りである。
【0141】
上記したメモリアルオブジェクトM3は、その全体の高さは1000mm程度、装置本体34の大きさは縦方向の長さを300mm、横方向の長さを700mm程度と比較的に小型化することが可能になる。従って、前記したメモリアルオブジェクトM1、M2と同様に、例えば、このメモリアルオブジェクトM3をメモリアルオブジェクトの設置場所への設置から長い日数が経過して焼骨が粉骨化された後の任意の時期に、家族の事情に基づいて適切な供養手法を選択することができる。
このように、メモリアルオブジェクトM3は、例えば、合葬式の合同墓などに埋葬するまでの故人の遺骨を長い日数をかけて故人を偲びながら粉骨化するまでの過程として使用する装置として利用することができる。なお、メモリアルオブジェクトM3をメモリアルオブジェクトの設置場所上に設置する手順は、雨水流下塔32の上面部に雨水取り込み部材(上蓋)を載置する必要がない以外は、前記したメモリアルオブジェクトM1を設置する手順と同様である。
【0142】
上記したメモリアルオブジェクトM3は、3個の回転容器部材(5−1)、(5−2)、(5−3)を備えたメモリアルオブジェクトとした例であるが、さらに、4個以上の回転容器部材5を装置本体内に配置したメモリアルオブジェクトを製作することもできる。この場合には、例えば、装置本体内に2列にわたって回転容器部材を挿入する空間部を設けて4個以上の回転容器部材を備える構成にし、雨水落下塔で収集した雨水を台座に設けた雨水分配凹部内に集め、この雨水をそれぞれの回転容器部材に向けて落下させるようにする。
なお、4個の回転容器部材を備えたメモリアルオブジェクトの構成例については、後述する第6の実施形態において説明する。
【0143】
[第4の実施形態]
続いて、本発明の第4の実施形態に係るメモリアルオブジェクトM4を、図25〜図26に基づいて説明する。図25は、メモリアルオブジェクトM4の回転軸心O方向に対する部分縦断面図、図26は図25において回転軸心O方向と直交する方向の部分縦断図である。
メモリアルオブジェクトM4は、図2に示す回転容器部材5を1つ備えたメモリアルオブジェクトM1について、降雨時において降雨収集塔1により収集した雨水を、雨水流下塔2の上方部から回転容器部材5の雨水溜まり部5b1、5b2、・・・のいずれかに向けて「直接的に落下させる」構成にしたことに特徴がある。
【0144】
なお、この「直接的に落下させる」とは、降雨収集塔1により収集した雨水を、雨水流下塔2の内部に垂直方向に形成した雨水流下用貫通穴の上方部から回転容器部材5の雨水溜まり部5b1、5b2、・・・のいずれかに直接的に落下させることを示す。すなわち、降雨収集塔1で収集した雨水を、降雨収集塔1の雨水流下用貫通穴や、台座に形成した雨水供給用貫通穴の内周面上に沿って、かつ内周面と接触しながら流下させるのではなく、雨水の全て、あるいはほとんど全てを、雨水流下用貫通穴の上方部から垂直方向にこれら雨水流下用貫通穴や雨水供給用貫通穴の垂直方向の中心線近傍に沿って落下させることを意味する。
【0145】
図25〜図26に示すメモリアルオブジェクトM4において、雨水を「直接的に落下」させるために次の手段1、手段2を採用している。
【0146】
(手段1)
雨水流下塔2の上面部に形成した集水用凹部2d(図25に点線で図示)の底部から垂直方向(縦方向)に所定の長さ(L5)を有する位置決め用貫通穴2eを形成する。さらに、この位置決め用貫通穴2eの下端部と連接させた雨水流下用貫通穴2fを、雨水流下塔2の下面部まで垂直方向に長さ(L6)を有するように形成する。そして、雨水流下用貫通穴2fの径(d2)を位置決め用貫通穴2eの径(d1)より大きくするとともに、位置決め用貫通穴2eと雨水流下用貫通穴2fの垂直方向の中心線Vは、一致又はほぼ一致させる。
【0147】
(手段2)
台座3には、図25に示すように、上面部から下面部に貫通する貫通穴3fを形成する。なお、貫通穴3fの形状は、例えば、平面視で矩形状とし、その水平方向の穴の大きさ(縦横の寸法)は、台座3の上面部に雨水流下塔2の下面部を載置したときに、雨水流下塔2の雨水流下用貫通穴2f内を直接的に落下した雨水は、同じく台座3に形成した貫通穴3fの内周面に極力接触しないで直接的に落下するような大きさにする。また、図25に示すように貫通穴3fの上面部の形状は、網部材37を通過した雨水も貫通穴3f内に流れ込むように、網部材37を装着する空間部を設けるようにする。
【0148】
なお、上記した位置決め用貫通穴2eの長さL5、雨水流下用貫通穴2fの長さL6、位置決め用貫通穴2eの径d1、雨水流下用貫通穴2fのd2の値は、例えば、L5は20mm程度、L6は雨水流下塔2の高さの仕様に基づくが、例えば300〜400mm程度にする。また、雨水流下用貫通穴2fの径d2は、位置決め用貫通穴2eの径d1の少なくとも1.5倍以上、好ましくは2〜4倍程度にする。例えば、位置決め用貫通穴2eの径d1は10〜20mm程度、雨水流下用貫通穴2fの径d2は20〜80mm程度に設定する。これにより、雨水は雨水流下塔2に形成した雨水流下用貫通穴2fを直接的に落下することが可能になる。
【0149】
なお、上記した位置決め用貫通穴2eについて、その垂直方向の下端部、すなわち、雨水流下用貫通穴2fの上端部と連通する部分の径を、径d1より若干径を細くして、位置決め用貫通穴2eを通過した雨水が雨水流下用貫通穴2fの中心線Vに沿ってより垂直に直接的に落下させるようにしてもよい。
【0150】
続いて、メモリアルオブジェクトM4により収集した雨水が、回転容器部材5を回転させる作用について説明する。
降雨時において、降雨収集塔1により収集した雨水は、雨水流下塔2の上面部に設けた集水用凹部2dに流れ込む。そして、集水用凹部2dに流れ込んだ雨水は長さ(L5)が20mm程度、径(d1)が10〜20mm程度の位置決め用貫通穴2e内に流入して垂直方向に向かって流下するようにその流れ方向が規制される。そして、位置決め用貫通穴2eの下端部から流出した雨水の全て又は大部分は、雨水流下用貫通穴2fの空間部内を垂直に落下する流れとなる。
【0151】
このとき、雨水流下用貫通穴2fの径d2は、位置決め用貫通穴2eの径d1の2〜4倍程に設定しているので、雨水流下用貫通穴2fの空間部を垂直に落下する雨水の大部分は、雨水流下用貫通穴2fの内周面と接触することなく、雨水流下用貫通穴2fの垂直方向の中心線Vに沿った流れとなって雨水流下用貫通穴2f内と、台座3に設けた貫通穴3f内を直接的に、かつ垂直に落下する。そして、台座3の貫通穴3f内を落下した雨水は、回転容器部材5の外周面部、すなわち、平面視で回転軸心Oから所定の距離ほど離れた位置となる雨水溜め部5b1、5b2、5b3、・・・のいずれか、又はこれらの雨水溜め用凹部5d1等の開口部上に直接に落下することになる。
【0152】
このようにして、雨水が雨水流下用貫通穴2fの上方部から回転容器部材5の外周面部であって回転軸心Oから所定の距離離れた位置に、直接的に、かつ集中して落下すると、回転容器部材5の外周面部には直接的に落下する雨水の重力(雨水の落下重力)が作用するとともに、落下した雨水は雨水溜め用凹部5d1、5d2、・・・のいずれかに溜まることになる。この雨水の落下重力は、回転容器部材5をS1又はS2方向に回転させる回転モーメントを付加させる力(付勢力)として作用することになる。
【0153】
上記構成を備えたメモリアルオブジェクトM4は、回転容器部材5をS1又はS2方向に回転させようとする回転モーメントは、前記したメモリアルオブジェクトM1〜M3よりも大きくすることができる。これにり、メモリアルオブジェクトM4では、降雨時において、雨水を利用して回転容器部材5をメモリアルオブジェクトM1〜M3よりも容易に回転させることが可能になり、かつ、その単位時間当たりの回転数を上げることも可能になる。特に、単位時間当たりの降雨量が多い降雨時には、回転容器部材5の単位時間当たりの回転数を上げることが可能になる。
【0154】
このように、メモリアルオブジェクトM4では、時間当りの降雨量が多い降雨時において、回転容器部材5の単位時間当たりの回転数を多くすることが可能になるので、回転容器部材5の密閉容器5a内に密閉状態で挿入されている被処理物(焼骨)は、焼骨どうしの接触と、凸状突起部5c1との接触の回数が増加するので、焼骨の粉末化がより促進されることになる。
【0155】
[第5の実施形態]
続いて、本発明の第5の実施形態に係るメモリアルオブジェクトM5を、図27に基づいて説明する。メモリアルオブジェクトM5は、前記した回転容器部材5を2個備えたメモリアルオブジェクトM2(図15参照)について、上記したメモリアルオブジェクトM4と同様に、降雨収集塔21で取り込んだ雨水を、2個の回転容器部材(図27に示す(5−1)と(5−2))の外周面部上に直接的に落下させて、降雨時の雨水を利用してこれら2個の回転容器部材を回転し易くしたものである。
【0156】
このメモリアルオブジェクトM5は、雨水流下塔22の上面部に形成した集水用凹部22eの底部22fには、所定の径を有する2つの位置決め用貫通穴22g、22hを所定の間隔をおいて雨水流下塔22の垂直方向に所定の長さほど形成している。この所定の長さは、前記したメモリアルオブジェクトM4における位置決め用貫通穴2e(図25参照)の長さL5と同程度でよい。また、位置決め用貫通穴22g、22hの径もメモリアルオブジェクトM4の位置決め用貫通穴2e(図25参照)の径d1と同程度でよい。
【0157】
位置決め用貫通穴22gの下端部には、この位置決め用貫通穴22gと連通する雨水流下用貫通穴22iを雨水流下塔22の垂直方向に、雨水流下塔22の下面部まで形成している。同様に、位置決め用貫通穴22hの下端部には、この位置決め用貫通穴22hと連通する雨水流下用貫通穴22jを雨水取水塔22の垂直方向に、雨水流下塔22の下面部まで形成している。
そして、位置決め用貫通穴22gと雨水流下用貫通穴22iの垂直方向の中心線Vは略同一になるように形成し、さらに、雨水流下用貫通穴22iの径は、位置決め用貫通穴22gの径の2〜4倍程度にする。例えば、位置決め用貫通穴22gの径は10〜20mm程度、雨水流下用貫通穴22iの径は20〜80mm程度に設定する。
【0158】
同様に、位置決め用貫通穴22hと雨水流下用貫通穴22jの垂直方向の中心線Vは略同一になるように形成し、さらに、雨水流下用貫通穴22jの径は、位置決め用貫通穴22hの径の2〜4倍程度の大きさにする。例えば、位置決め用貫通穴22hの径は10〜20mm程度、雨水流下用貫通穴22jの径は20〜80mm程度に設定する。また、雨水流下用貫通穴22iと22jの垂直方向の高さL6は、雨水取水塔22の高さの仕様に基づくが、例えば250〜300mm程度に設定する。
【0159】
台座23には、図27に示すように、上面部から下面部に貫通する2つの貫通穴23d、23eを所定の間隔をおいて形成している。なお、これら2つの貫通穴23dと23eの平面視における形状は円形又は4角形の形状とする。そして、台座23の上面部に雨水流下塔22の下面部を載置したときに、雨水流下塔22の雨水流下用貫通穴22i、又は雨水流下用貫通穴22jを直接的に落下した雨水は、同じく台座23に形成した貫通穴23d、又は23e内を直接的に落下して回転容器部材5の外周面部上に落下させる。このためには、台座23に形成するこれら貫通穴23d、23eの大きさは、少なくとも雨水取水塔22に形成した雨水流下用貫通穴22i、22jの径の大きさとほぼ同等が、これ以上にすることが望ましい。
【0160】
なお、図27に示す例では、台座23には2つの貫通穴23dと23eを設けた例を示しているが、これら貫通穴23dと23eとを一つにした貫通穴として、台座23の上面部に雨水取水塔22の下面部を載置したときに、雨水流下塔22の下面部に位置する雨水流下用貫通穴22iと雨水流下用貫通穴22jが、この一つにした貫通穴内の上面内に位置するようにしてもよい。
また、図27には示していないが、台座23の上面部に、図25に示すようにそれぞれの貫通穴23d、23eに連通する凹部を設けて網部材を装着して、この凹部からも雨水を貫通穴23d、23eに取り込むようにしてもよい。
【0161】
このメモリアルオブジェクトM5では、降雨時において取り込んだ雨水を利用して、上記したメモリアルオブジェクトM4と同様な作用と効果を発揮させることができる。すなわち、図27に示すように、雨水流下塔22の雨水流下用貫通穴22i、及び雨水流下用貫通穴22jから台座23の貫通穴23d、又は貫通穴23e内を直接的に、かつ垂直に落下した雨水は、平面視でそれぞれ2つの回転容器部材(5−1)と(5−2)の回転軸心Oから所定の距離離れた位置にある雨水溜め部(5b1等)のいずれかの部位上等に集中して直接的に落下し、雨水溜め用凹部5d1等に溜まる。このとき、メモリアルオブジェクトM4と同様に、直接的に落下する雨水は回転容器部材(5−1)又は(5−2)に雨水の落下重力を与え、さらに、この落下した雨水は、それぞれ回転容器部材(5−1)、(5−2)の雨水溜め用凹部5d1、5d2、・・・のいずれかに溜まるので、回転容器部材(5−1)又は(5−2)は回転し易くなる。
【0162】
このように、モリアルオブジェクトM5においては、降雨時等に取り込んだ雨水を利用して、2つの回転容器部材(5−1)と(5−2)をより回転し易くさせることが可能になる。特に、単位時間当たりの雨量が多いときには、2つの回転容器部材を同時に、かつ速く回転させることも可能になるので、上記したメモリアルオブジェクトM4と同様に、回転容器部材(5−1)と(5−2)に挿入した焼骨の粉末化を促進することができるという効果を発揮する。
【0163】
[第6の実施形態]
続いて、本発明の第6の実施形態に係るメモリアルオブジェクトM6について、図28〜図31を参照して説明する。メモリアルオブジェクトM6は、装置本体内に回転容器部材を4個配置した構成にしたことに特徴がある。
【0164】
図28は、メモリアルオブジェクトM6を前側方向からみた斜視図を示している。メモリアルオブジェクトM6は、上蓋となって雨水を取り込むための降雨収集塔61、雨水流下塔62、第1の台座63、第2の台座64、装置本体65、装置本体65内に回転自在に配置され、前記したように密閉可能な空間部(K)等を有する4個の回転容器部材(5−1)、(5−2)、(5−3)、(5−4)(図31参照)、花立66aと66b、線香立て67、第1の台座63に装着される網部材68(図29参照)、等を備えている。なお、網部材68は、第1の台座63の上面部の後方側等に配置される部材であって、前記した網部材7、網部材27、37a、37c、等と同じ機能を備えた部材、すなわち、雨水に含まれている異物を捕捉するためのフィルター部材である。なお、4個の回転容器部材(5−1)〜(5−4)の構成は、前記した回転容器部材5の構成と同一の構成にすることができる。
【0165】
メモリアルオブジェクトM6は、回転容器部材を4個配置した装置本体65の上面部に、第2の台座64を載置し、第2の台座64の上面部に第1の台座63を載置し、さらに第1の台座63の上面部に雨水流下塔62を載置し、さらに、雨水流下塔62の上面部に降雨収集塔61を載置した構成にしている。
なお、平面視で正方形状又は略正方形状をなす第1の台座63と、第1の台座63の下に配置する第2の台座64の縦横の寸法は、第1の台座63よりも第2の台座64の寸法値を若干大きくして、メモリアルオブジェクトM6を前記したメモリアルオブジェクトの設置場所のいずれかに設置したときに視覚的に安定感が得られるようにしている。
【0166】
降雨による雨水を収集する機能を備えた降雨収集塔61は、前記した降雨収集塔1又は降雨収集塔21と同じ構成とすることができるが、4個の回転容器部材に収集した雨水を供給するために、その上面部の縦横の寸法は前記したメモリアルオブジェクトの降雨収集塔1又は21より大きくして雨水を収集するための表面積を広くする。また、第1の台座63と第2の台座64等の上面部にも、雨水を収集するための凹部を1個以上設けてより多くの雨水を収集するための対策を施すことが望ましい。
【0167】
雨水流下塔62は、前記した雨水流下塔2に形成した雨水流下用貫通穴2c(図2参照)、又は雨水流下塔22に形成した雨水流下落下用貫通穴22c(図16(c)参照)と同様に、その上面部から下面部まで貫通して垂直方向に形成された雨水流下用貫通穴62c(図28には図示していない)を備えている。
【0168】
第1の台座63は図29に示すように、所定の厚み(高さ)を有し、その上面部には所定の深さを有する凹部63aを設け、さらに、凹部63aの底部63bには、第1の台座63の下面部まで貫通する第1の雨水供給用貫通穴63cを設けている。なお、底部3bは、第1の雨水供給用貫通穴63cに向かって下り傾斜となる傾斜面を形成するようにする。また、第1の台座63の上面部に雨水流下塔62を載置したときには、雨水流下塔62内に形成した雨水流下用貫通穴62c(図29に点線で図示)の下端部が第1の台座63の上面に形成した凹部3aの開口している上面内に位置されるようにする。これにより、降雨収集塔61で収集された雨水は、雨水流下塔62の雨水流下用貫通穴62c内を流下して第1の台座63の凹部3a内に落下る。凹部3a内に落下した雨水は、第1の雨水供給用貫通穴63cを通って第2の台座64に流下することになる。
【0169】
第2の台座64は、図30に示すように平面視で正方形状又は略正方形状をなし、所定の厚み(高さ)を有している。さらに、第2の台座64の上面部には、所定の深さを有し、平面視で正方形状又は略正方形状をなす雨水分配凹部64aを設け、この雨水分配凹部64aの底部64bの隅部には、第2の台座64の下面部まで貫通する4つの第2の雨水供給用貫通穴64c1、64c2、64c3、64c4を設けている。これら4つの第2の雨水供給用貫通穴64c1〜64c4は、雨水分配凹部64aに落下した雨水を、装置本体65内に配置されている4個の回転容器部材(5−1)〜(5−4)のそれぞれの外周面上であって、平面視で回転軸心O(図31参照)から所定の距離ほど離れた位置に、分配させて垂直に落下させるための貫通穴である。
【0170】
また、図30に示すように、雨水分配凹部64aの底部64bは、その略中央部に沿った線を底部64bの高さが頂点となる直線状の稜線部64dを設けた2つの傾斜平面から構成し、この稜線部64dの中央部上に第1の雨水供給用貫通穴63cの下端部が配置されるようにするとともに、これら傾斜平面の隅部(角部)に、第2の雨水供給用貫通穴64c1と64c2、及び64c3と64c4を設けている。
なお、4つの第2の雨水供給用貫通穴64c1、64c2、64c3、64c4を、底部64bに配置する位置は、底部64bの角部に限定する必要はない。
【0171】
第1の台座63と第2の台座64は上記した構成を備えており、第2の台座64の上面部に第1の台座63を載置したときには、第1の台座63に形成されている第1の雨水供給用貫通穴63cの下端部が、第2の台座64の稜線部64dの直上に位置させる。これにより、第1の台座63の第1の雨水供給用貫通穴63cから落下した雨水の大部分はこの稜線部64d上、又は稜線部64dの近辺に落下させることが可能になる。
【0172】
これにより、第1の台座63の第1の雨水供給用貫通穴63cから雨水分配凹部64a内に落下した雨水は、稜線部64dによりほぼ均等に分散・配分された4つの第2の雨水供給用貫通穴64c1、64c2、64c3、64c4方向に流れていき、第2の雨水供給用貫通穴64c1、64c2、64c3、64c4から対応する4つの回転容器部材5のそれぞれの外周面上に向けて落下することになる。
【0173】
続いて、装置本体65の構成を、図31を参照して説明する。装置本体65の上面部65aは平面視で正方形状、又は略正方形状をなし、この上面部に向けて開口する2つの空間部65g1と65g2を設けている。さらに、これら2つの空間部65g1、65g2を形成するために、上面部の各側辺部から下方に向けて形成された側面部65b、65c、65d、65eと、対向する側面部65bと65cの間の中間位置に設けた中央側面部65fと、これら側面部65b〜65eと、中央側面部65fの下端部に形成した底部(符号は図示せず)と、この底部又は側面部65b〜65eの下端に設けた複数の貫通穴65jを備えている。
【0174】
装置本体65が備えている2つの空間部65g1、65g2は、図31に示すように、それぞれ2個の回転容器部材(5−1)及び(5−2)と(5−3)及び(5−4)を、回転軸心Oを中心として水平方向に、かつ回転可能に装着するための空間になる。なお、図31には、装置本体65の上面部65aに第2の台座64を載置したときに、台座64に形成した4つの第2の雨水供給用貫通穴64c1、64c2、64c3、64c4の下端部の位置を点線の丸印で示している。
【0175】
図30(図31)に示す第2の雨水供給用貫通穴64c1〜64c4の下端部の位置は、それぞれ対応する4個の回転容器部材(5−1)〜(5−4)の回転軸心Oから水平方向に所定の距離を置いた位置に配置されるようにしているので、第2の雨水供給用貫通穴64c1、64c2、64c3、64c4から供給される雨水は、それぞれ、対応する回転容器部材(5−1)〜(5−4)の雨水溜め用凹部5d1、5d2、5d3、・・・のいずれかに順次溜められる。これにより、雨水溜め用凹部に溜まった雨水の重量により、4個の回転容器部材(5−1)〜(5−4)は、それぞれ所定の方向に回転することになる。
【0176】
メモリアルオブジェクトM6においては、第2の台座64上に載置された第1の台座63を備え、さらに、第1の台座63の凹部63aの底部63bに形成した第1の雨水供給用貫通穴63cと、第2の台座64の凹部64aの底部64bに形成した4つの第2の雨水供給用貫通穴64c1、64c2、64c3、64c4を備えているので、降雨収集塔61で収集された雨水を、4個の回転容器部材(5−1)〜(5−4)の雨水溜め用凹部5d1、5d2、5d3、・・・のいずれかに均等に配分して落下させることが可能になる。
【0177】
上記した4個の回転容器部材(5−1)〜(5−4)の構成、及びこれら回転容器部材を装置本体65内に回転自在に支持する軸受、軸受支持部材の構成は、前記した実施形態で説明した軸受9、軸受支持部材10と同一の構成にすることができるので、その説明は省略する。なお、図28に示す65kは、本体装置部65の下面部の角部に設けた設置用突出部である。
【0178】
上記したメモリアルオブジェクトM6を構成する降雨収集塔61、雨水流下塔62、第1の台座63、第2の台座64、装置本体65、回転容器部材(5−1)〜(5−4)、花立66aと66b、線香立て67は、前記したメモリアルオブジェクトM1〜M5と同様に、例えば、御影石等の石材を用いて機械加工等により製造することができる。
なお、上記したメモリアルオブジェクトM6においては、4個の回転容器部材を装置本体65内に縦横方向に2個ずつ水平に配置した例について説明したが、4個の回転容器部材を装置本体内に水平方向に一列に配置した構成としてもよい。
また、大型化した構成になるが、本発明は、装置本体内に5個以上の回転容器部材を縦横に水平方向に配置したメモリアルオブジェクトとすることも可能である。
【0179】
[第7の実施形態]
続いて、上記した各メモリアルオブジェクトにおいて、装置本体内に回転自在に配置する回転容器部材の他の実施形態について説明する。この第7の実施形態となる回転容器部材は、その材質を硬質で耐腐蝕性と耐摩耗性を備えた硬質の合成樹脂製としたことに特徴がある。
【0180】
上記したメモリアルオブジェクトM1〜M6に用いる回転容器部材については、その材質は、メモリアルオブジェクトの部材として尊厳がり、かつ耐腐蝕性が高い御影石等の石材製とした例について説明したが、御影石の比重は2.5〜3程度であるため回転容器部材の重量は重くなり、その製造についても工数を必要となる。そこで、本発明者は、合成樹脂製からなる回転容器部材を試作して、その実用性について実験を行った結果、合成樹脂製の回転容器部材も実用化可能であるという結果が得られた。以下、合成樹脂製からなる回転容器部材の構成例と、実験例について説明する。
【0181】
第7の実施形態となる回転容器部材は、硬質で耐腐蝕性及び耐摩耗性を備えた硬質の合成樹脂製、例えば、比重は1.2〜1.5程度であるアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂等からなる材質で製作したものである。回転容器部材の材質を合成樹脂製にすると、前記した石材製の回転容器部材と比較してその重量を1/2以下に低減させることができるので、雨水の重量を利用して回転容器部材を装置本体内で容易に回転させることが可能になり、また、製造も容易になるという効果が生じる。
【0182】
また、合成樹脂製の回転容器部材は、その構成部材の一部又は全てを透明又は半透明にすることも可能になるので、メモリアルオブジェクトを前記した設置場所に設置した後に、回転容器部材に挿入している被処理物の様子(状況)を、回転容器部材の外側からこの透明又は半透明にした部材を介して確認することが可能になるという効果も生じる。
【0183】
以下、この第7の実施形態となる回転容器部材の構成例を、図32〜図35に基づいて説明する。図32は、この合成樹脂製の回転容器部材70について、その構成の概要を示す斜視図、図33は回転容器部材70を回転軸心O方向からみたときの側面図、図34は図32に示す回転容器部材70の回転軸心O方向に沿った断面の構成を示す図、図35は図34において回転容器部材70の回転軸74a、75aを軸受9で支持しているときの状態を示す図である。
【0184】
図32〜図35に示すように、合成樹脂製の回転容器部材70は、例えば、円筒状部71a(図34参照)を有する第1の円筒体71と、この第1の円筒体71の解放端部を密閉するための蓋部材71bと、第1の円筒体71の円筒状部71aの外周面に沿うように嵌装して配置された第2の円筒体72と、第2の円筒体72の円筒状部72aの解放端部の外周面に密着固定されるドーナツ状の円板状部材72bと、第2の円筒体72の外周面に設けられ、断面形状がL字状をなす複数の羽根部材73a、73b、73c、・・・とを備えている。なお、複数の羽根部材73a、・・・は、第2の円筒体72の中心軸方向、すなわち、回転軸心O方向に、第2の円筒体72の一端部から他端部まで等間隔に設けられている。
【0185】
また、図34に示すように、第1の円筒体71は、その一方の端部は円筒状部71aと一体にされた板状の蓋部材75を備えている。蓋部材75は側面視で円形をなしている。同様に、第2の円筒体72は、その一方の端部は円筒状部72aと一体にされた板状の蓋部材74を備えている。蓋部材74は側面視で円形をなし、その径は蓋部材75と同一にしている。さらに、図34に示すように、板状の蓋部材74と75の中心部には、それぞれ外側方向であって回転軸心O方向に所定の長さほど突出する回転軸74a、75aを一体に固定して設けている。
【0186】
図34に示す回転容器部材70においては、第1の円筒体71と、この円筒体71の解放端部を密閉する蓋部材71bは、前記したメモリアルオブジェクトM1〜M6で説明した密閉容器5a(図12参照)に相当する部材になる。すなわち、第1の円筒体71の解放端部に、蓋部材71bをビス(ボルト)79等の固定手段を用いて固定することにより、第1の円筒体71の円筒状部71a内に密閉可能な空間部(K)が形成されることになる。また、第2の円筒体72において、その円筒状部72aの一端部の外周面へのドーナツ状の円板状部材72bを固定する手段は、接着剤による固定を利用することはできる。
【0187】
また、第2の円筒体72の外周面に複数の羽根部材73a、73b、73c、・・・を設ける方法は、第2の円筒体72の外周面に羽根部材73a、73b、73c、・・・を接着剤により固定するとともに、これら羽根部材73aの両端部を、それぞれドーナツ状の円板状部材72bと、蓋部材74に接着剤により固定してビス(ボルト)等により強固に密着固定する手段を採用することができる。あるいは、合成樹脂の射出成型等により、羽根部材73a、73b、73c、・・・を一体成型した第2の円筒体72を製造する手段を採用することができる。
【0188】
上記した構成を備えた回転容器部材70において、羽根部材73a、73b、73c、・・・と、円筒状部72aの外周面と、蓋部材74と、円板状部72bとにより囲まれた各空間部は、図14に示す雨水溜め用凹部5d1、5d2、・・と同様の機能を有する空間、すなわち、前記したメモリアルオブジェクトM1〜M6で収集した雨水を溜めるための雨水溜め用凹部76a1、76a2、76a3、・・・、76a8になる(図33参照)。
【0189】
図32〜33に示す回転容器部材70の構成例においては、8つの羽根部材73a、73b、73c、・・・73hを、第2の円筒体72の円筒状部72aの外周面上に回転軸心O方向に向けて等間隔(45°間隔)で配置することにより8つの雨水溜め用凹部76a1、76a2、76a3、・・・76a8を設けた例を示している。なお、断面形状がL字状をなす羽根部材73a、73b、73c、・・・の曲がり角度α(図32又は図33参照)は、90°〜150°の適切な角度に設定して、雨水溜め用凹部76a1、・・・内により多くの雨水を溜めて雨水の重量による回転モーメントを大きくするようにする。
【0190】
また、複数の合成樹脂製の羽根部材73a、73b・・・の断面形状は、上記したL字状にするのではなく、回転軸心O(半径方向)方向に所定の長さほど直線的、あるいは半径方向と若干傾斜(回転容器部材70の回転方向と逆方向に傾斜)させて延びる板状部73a2、73b2、・・・のみから構成してもよい。
なお、雨水溜め用凹部76a1、76a2、76a3、・・・に順次より多くの雨水を効率良く溜めて回転容器部材70に回転モーメントを付与するためには、羽根部材73a等は、L字状の形状、あるいは半径方向と若干傾斜、すなわち、回転容器部材70の回転方向と逆方向に所定の角度傾斜させた板状部のみから構成することが望ましい。
【0191】
図35に示すように、組み立てが完了した回転容器部材70は、蓋部材74と一体化した回転軸74aと、蓋部材75と一体化した回転軸75aがそれぞれ軸受9により支持され、回転軸心Oを中心に、軸受9、9を介して回転可能な構成になっている。さらに、軸受9の外周面部は、軸受支持部材77に形成された穴部内に挿入して、軸受9の外周面部はこの穴部内において回転しないように固定されている。この固定手段としては、例えば、接着剤による固定を採用することができる。なお、軸受9としては、従来から使用されている鋼球やセラミックス球を用いた小型で防水型のボールベアリング軸受を使用することができる。また、回転軸74aと75aの外方端部には、ビス79等によりワッシャー78を介在させて軸受9の抜け止めを行っている。
【0192】
上記した軸受支持部材77は、例えば、図11(c)、図12に示す軸受支持部材10に相当する部材になる。そして、図35に示す回転容器部材70が備えている軸受支持部材77を、図11に示す装置本体4に形成した溝部4h、4iに装着することにより、回転容器部材70は、装置本体4内において軸受支持部材77により、水平方向に支持されるとともに、回転可能に支持されることになる。
【0193】
上記した回転容器部材70を構成する第1の円筒体71、蓋部材71b、第2の円筒体72、円板状部材72b、羽根部材73a、73b、73c、・・・、蓋部材74及び75、回転軸74a、75a、軸受支持部材77は、前記した硬質の合成樹脂からなる材質、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂等のいずれかの材質とする。また、これら合成樹脂製の部材の全て、あるいはその特定の部材、例えば、第1の円筒体71、又は蓋部材71bと第2の円筒体72を透明又は半透明の合成樹脂製として、第1の円筒体71の密閉可能な空間部(K)に挿入した被処理物の様子が蓋部材75、又は蓋部材71bと蓋部材74を介して、回転容器部材70の外部から目視(透視可能)できるようにすることが望ましい。
【0194】
図33は、密閉可能な空間部(K)に挿入した被処理物Pの様子が、透明な蓋部材74と蓋部材71bを介して透視できる状態を示している。
このように、回転容器部材70の外部から密閉可能な空間部(K)内を透視可能にすると、メモリアルオブジェクトを前記したメモリアルオブジェクトの設置場所のいずれかに設置した後に、密閉空間(K)内に挿入した被処理物の様子、例えば、被処理物となる焼骨が粉末化されている状況を回転容器部材70の外部から確認することが可能になる。なお、この場合には、装置本体4上に載置されている降雨収集塔1、雨水流下塔2、台座3を取り外して、装置本体4内に配置された回転容器部材70を取り出して確認する。あるいは、装置本体4の側面部4c等に、回転容器部材70の密閉可能な空間部(K)内を目視することができる合成樹脂製で開閉可能な小さい透明窓を設けてもよい。
【0195】
第7の実施形態となる回転容器部材70の組立は、例えば、次の手順に基づいて行うことができる。なお、第1の円筒体71は、例えば、射出成型等により、回転軸75aを一体化した成形体を製造しておく。同様に、第2の円筒体72も、予め射出成型等により、羽根部材73a、73b、73c、・・・と、回転軸74aを一体化した成形体を製造しておくことが望ましい。
【0196】
(組立手順1)
第2の円筒体72の円筒状部72aの一端部に、ドーナツ状の円板状部材72bの内周部を挿入して、円板状部材72bを、円筒状部72aと、羽根部材73a、73b、・・・の端部に接着により強固に固着する。これにより、羽根部材73a、73b、・・・と、蓋部材74と、円板状部材72bと、円筒状部72aの外周面とに囲まれた空間部、すなわち、前記した雨水溜め用凹部76a1、76a2、76a3、・・・、76a8が形成されることになる。
【0197】
(組立手順2)
第1の円筒体71の一方の端部に、蓋部材71bをビス79により固定する。これにより、第1の円筒体71の内部に、被処理物(焼骨)を挿入するための密閉可能な空間部(K)が形成されることになる。
【0198】
(組立手順3)
第2の円筒体72の円筒状部72a内に、第1の円筒体71の円筒状部71aを挿入する。続いて、円板状部材72bと第1の円筒体71の蓋部材75とを、ビス79等を用いて一体に接続して固定する。これにより、第1の円筒体71と第2の円筒体72とは強固に結合されて一体化されることになる。
【0199】
(組立手順4)
図35に示すように、回転軸74a、75aのそれぞれに軸受9を挿入し、回転軸74a、75aの端部に、ワッシャー78を介在させてビス79をネジ込んで軸受9の抜け止めを行う。そして、必要に応じて、軸受9の外周面を軸受支持部材77で固定する。
【0200】
上記した組立手順(1)〜(4)により、両端部に回転軸74aと75aを備えるとともに、第2の円筒体72の外周面に、多数の羽根部材73a、73b、・・・を備え、さらに、被処理物を挿入するための密閉可能な空間部(K)を有する回転容器部材70を組み立てることができる。そして、回転容器部材70を備えたメモリアルオブジェクトを、前記したメモリアルオブジェクトの設置場所に設置する前に、回転容器部材70の密閉可能な空間部(K)に被処理物となる焼骨等を挿入して蓋部材71bで密閉する。
このようにして、回転容器部材70は、メモリアルオブジェクトの設置場所において、装置本体4(又は24等)の上部開口部4a(又は24a等)からこの装置本体内に水平方向に、かつ回転可能に支持されることになる。
【0201】
前記したメモリアルオブジェクトM1〜M6の構成部材となる回転容器部材として、この第7の実施形態となる合成樹脂製の回転容器部材70を用いると、石材製の回転容器部材5と比較してその重量を極めて軽くすることができるという効果が生じる。
このため、降雨時等において、各メモリアルオブジェクトで取り込んだ雨水が、メモリアルオブジェクト内を流下(落下)して断面形状が羽根部材73a、73b・・・により形成される雨水溜め用凹部76a1、76a2、76a3、・・・に溜まると、その雨水の重力により、軽量な回転容器部材70は所定方向に、図33に示す例ではS1方向に、極めて容易に回転させることが可能になる。また、回転容器部材70は合成樹脂製の部材から構成しているので、石材製と比較してその材料費を含む製造コストを低減させることも可能になる。これにより、長い期間の使用により回転容器部材70に不具合が生じた場合には、安価な新規品と容易に交換することができるという効果も生じる。
【0202】
なお、前記した回転容器部材70を構成する合成樹脂製の第1の円筒体71、蓋部材71b、第2の円筒体72、円板状部材72b、羽根部材73a、73b、73c、・・・、蓋部材74及び75、回転軸74a、75aの各部材を射出成型等により製造するためには、例えば、第1の円筒体71と蓋部材75と回転軸75aとを一体に成形し、さらに、羽根部材73a、73b、73c、・・・を備えた第2の円筒体72と蓋部材74と回転軸74aとを一体に成形する等、各部材の強度が維持でき、組み立てが容易になり、かつ射出成型の効率化ができるように、その部材の形状を適切に設計するようにする。
以下に説明する第8の実施形態は、上記した第7の実施形態を示す合成樹脂製の回転容器部材70について、さらに改善した実施例ついて説明するものである。
【0203】
[第8の実施形態]
続いて、本発明の第8の実施形態を、図36〜図38に基づいて説明する。第8の実施形態は、前記した第7の実施形態となる合成樹脂製の回転容器部材70について、密閉可能な空間部(K)に改善を施した回転容器部材70aとしたものである。第8の実施形態となる回転容器部材70aを構成する各部材は、前記したアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂等のいずれかの材質から形成される。
【0204】
図36に示すように、回転容器部材70aの外観上の形状は、図32に示す回転容器部材70とほぼ同一である。
回転容器部材70aは、基本的には4種の部材である、横長の円筒体80と、円筒体80の外周面に回転軸心O方向に等間隔で設けた複数の羽根部材73a、73b、73c、・・・と、円筒体80の両端部を密閉するための円板状の蓋部材81と82とから構成されている。平面視で円形をなす円板状の蓋部材81と82の外側端面部の中心部には、図38に示すように、それぞれ所定の長さほど突出する回転軸81aと82aを設けている。なお、円板状の蓋部材81と82はその径は同一にしている。円筒体80の内部は、その両端部をそれぞれ円板状の蓋部材81、82で密閉することにより、密閉可能な空間部(K)が形成される。
【0205】
図37に示すように、円筒体80の内周面には、所定の突出高さと厚さを有する複数の板状の凸状突起部83を、円筒体80の一方の端部から他方の端部まで回転軸心Oと平行となる方向に設けている。凸状突起部83が回転軸心O方向に円筒体80の内周面から突出する突出長さは10mm〜30mm、その設置数は少なくとも一つ、望ましくは3〜4個(列)程度を等間隔で設置する。凸状突起部83の厚さは5mm程度にすれば十分である。図37に示す例では、円筒体80の内周面に3個の凸状突起部83を120°間隔で設けた例を示している。
【0206】
円筒体80の内周面部に上記の凸状突起部83を設ける理由は、次の通りである。
回転容器部材70aと一体に構成されている円筒体80が、前記したように雨水の重量を利用してS1方向に回転しているときに、円筒体80の密閉可能な空間部(K)に挿入した被処理物(焼骨)Pは、この凸状突起部83により係止されて凸状突起部83とともに密閉可能な空間部(K)内を徐々に上昇していく。そして、この被処理物Pが凸状突起部83に係止された状態で空間部(K)内を所定の高さに達すると、凸状突起部83による係止作用が無くなるので、被処理物Pを筒体80の内周面部上に重力により落下させるために設けたものである。
【0207】
このように、回転容器部材70aの回転に伴って、被処理物Pは円筒体80の密閉可能な空間部(K)内において上昇と落下を繰り返すことになるので、円筒体80の内周面部への落下、あるいは他の被処理物P上への落下による衝撃により粉末化が促進されることになる。また、凸状突起部83の先端部を鋭角状にすると、落下した被処理物Pが鋭角状の先端部に落下することがあり得るので、被処理物Pの粉末化がより促進されることになる。
【0208】
上記した第8の実施形態となる回転容器部材70aを用いたメモリアルオブジェクトにおいては、図37に示す雨水溜め用凹部76a1、76a2、76a3、・・・76a8のいずれかに雨水が溜まってその雨水の重量により回転容器部材70aがS1方向に回転しているときには、被処理物Pは凸状突起部83により密閉可能な空間部K内において上昇と落下を繰り返すことになるので、前記した第7の実施形態となる回転容器部材70よりも、被処理物Pが粉末化するまでの時間(経過日数)を短くすることができるという効果が生じる。また、回転容器部材70aは、第7の実施形態となる回転容器部材70が備えている第1と第2の円筒体71と72を一つの円筒体80で構成しているので、部品数が少なくなり、製造コストを低減できるという効果も生じる。
【0209】
なお、円筒体80の外周面に等間隔で羽根部材73a、73b、73c、・・・を、さらに、内周面に複数の凸状突起部83を設ける方法は、合成樹脂の射出成型により円筒体80と羽根部材73a、73b、73c、・・・と、複数の凸状突起部83とを一体化した部材として成形することが可能である。また、円筒体80の外周面に羽根部材73a、73b、73c、・・・を取り付ける手段と、円筒体80の内周面に複数の凸状突起部83を取り付ける手段は、接着剤により接着固定する手段を採用してもよい。また、円筒体80の両端部に、それぞれ蓋部材81、82を固定する手段、及び蓋部材81、82に羽根部材73a、73b、73c、・・・の端部を密着固定する手段は、ビス止めによる固定手段を採用する。これにより、円筒体80の内部に密閉可能な空間部(K)が形成されることになる。なお、図38には、円筒体80の両端部に、蓋部材81、82、及びを羽根部材73a、73b、73c、・・・の端部を固定するためのビス等は示していない。
さらに、円筒体80、蓋部材81、82のいずれか一方又は双方を透明あるいは半透明な合成樹脂製とすることにより、密閉可能な空間部K内に挿入した被処理物Pの状態を回転容器部材70aの外部から確認することが可能になる。
【0210】
[第9の実施形態]
続いて、本発明の第9の実施形態を、図39に基づいて説明する。第9の実施形態は
図37に示す回転容器部材70aが備えている円筒体80の内周面の構成について、さらに改良を加えて、回転容器部材70bとしたものである。
【0211】
第9の実施形態となる回転容器部材70bは、図39に示すように、円筒体80の内周面に、さらに、凸状突起部83の突出長さより短い多数の微小な凹凸部を有する円弧状板体84を設けたことに特徴がある。円弧状板体84は、複数の凸状突起部83の間であって円筒体80の回転軸心O方向に向けて取付けている。なお、円筒体80の内周面への円弧状板体84の固定手段は、例えば、円筒体80の外周面からビス等を用いて固定する方法、あるいは接着により固定する方法等を採用することができる。
【0212】
円弧状板体84の表面に形成する微小な凹凸部84aの形状は、例えば、高さ0.5mm〜2mm程度、その基部の太さは1mm〜3mm程度とし、その突出先端部を先細り状の鋭角形状にすることが望ましい。また、この微小な凹凸部84aは、例えば、円弧状板体84の表面に回転軸心O方向に形成するか、あるいは碁盤の目状に形成した構成にする。
また、円弧状板体84の材質は、前記した合成樹脂であるアクリル樹脂製、ポリカーボネート樹脂製、ポリエチレン樹脂製、あるいは軽量なセラミックス製等のずれかを採用することができる。
なお、円弧状板体84を合成樹脂製とした場合には、円筒体80の外周面に複数の羽根部材73a・・・等を備え、さらに円筒体80の内周面に複数の凸状突起部83と、この凸状突起部83の間に微小な凹凸部84aとを一体に備えた成形体を、射出成型により成形することも可能となる。
【0213】
このように、円筒体80の内周面部に微小な凹凸部84aを配置した回転容器部材70bにおいては、前記した回転容器部材70aと同様に、円筒体80がS1方向に回転しているときには、被処理物Pは凸状突起部83により密閉空間部K内において上昇と落下を繰り返すことになるが、被処理物Pが円筒体80の内周面部の下方に落下したときに、被処理物Pは微小な凹凸部84aにも衝突するので、被処理物Pの粉末化がさらに促進されるという効果が生じる。
【0214】
なお、上記した回転容器部材70bにおいて、少なくとも蓋部材81、82は、透明又は半透明な合成樹脂製として、回転容器部材70bの密閉可能な空間部(K)に挿入された被処理物Pの状況が、前記したように、回転容器部材70bの外部から目視により確認できるようにすることが望ましい。
【0215】
また、回転容器部材70bにおいて、円筒体80の外周面に設ける複数の羽根部材73a、73b、73c、・・・の形状は、図37に示すようにL字型形状にするか、回転軸心O方向に延びる直線状形状のみとしてもよい。
【0216】
[実験例]
続いて、本発明の回転式粉末化装置を構成する回転容器部材を試作し、この回転容器部材の回転軸を枠体に回転可能に支持した回転実験装置を作製して、水の重力を利用してこの回転容器部材を回転させる実験を行った。以下、この実験例について説明する。
【0217】
この回転容器部材の回転実験においては、前記した第8の実施形態の構成を備えたアクリル製の回転容器部材70aを試作した。試作した回転容器部材70aは、その円筒体80の外周面に8つの雨水溜め用凹部76a1、76a2、76a3、・・・76a8を備えている構成とした。そして、回転容器部材70aの上方の所定の位置から、雨水溜め用凹部76a1、76a2、76a3、・・・76a8のいずれかに向けて所定量の水道水を継続的に落下させ、雨水溜め用凹部76a1等に溜まった水の重量により回転容器部材70aを回転させるための回転実験装置を製作した。そして、下記の3種の実験(実験例1〜実験例3)を行った。
【0218】
この実験例において、回転容器部材70aの回転と回転数を把握するために次の手段を採用した。すなわち、回転容器部材70aを水平に、かつ回転可能に支持する回転軸(図36に示す回転軸81aに相当)に、スリット式のロータリーエンコーダを取り付け、このロータリーエンコーダの検出信号を、マイクロコンピュターを備えた計測装置に入力して、計測装置により回転容器部材70aの回転数とその1回転ごとの経過時間値を収集して、1回転に要した回転時間が解析できるようにした。
【0219】
上記した回転実験装置の構成は、下記の通りである。
(1)試作した回転容器部材70aの両端部に設けられている回転軸81a、82aのそれぞれにボールベアリングからなる軸受9を挿入し、この軸受9を軸受支持部材77(図35参照)により固定した。そして、2つの軸受支持部材77を、上方を開口とした透明なアクリル製の枠体内の対向する側壁部で水平になるように支持固定した。これにより、試作した回転容器部材70aは、合成樹脂製の枠体内において、水平に、かつ回転可能に支持される構成にした。
【0220】
(2)上記(1)により、アクリル製の枠体に支持された回転容器部材70aの上方であって、所定の高さ(蓋部材81の外周面からの高さ)の位置に水道水を下方に向けて供給するための蛇口(開閉弁)を設置した。そして、この開閉弁には水道水を供給する水道管を接続して、開閉弁から単位時間当たり所定量の水道水を回転容器部材70aの雨水溜め用凹部76a1等に落下させることができるようにした。
【0221】
(3)試作した回転容器部材70aが備えている円筒体80内の密閉可能な空間部(K)には、被処理物Pとして、約20mm程度の厚さにカット(スライス)し、表面をトースターで適度に焦げ目を付与したフランスパンのスライス小片5個を挿入した。フランスパンの表面に焦げ目を付けた理由は、表面を適度な硬さにして、密閉可能な空間部(K)に挿入したフランスパンが回転容器部材70aの回転に伴って粉砕化(粉末化)される状況を確認するためである。また、円筒体80の内周面であって各凸状突起部83の間には、粗さ♯60のサンドペーパーをネジ止めにより固定した。このサンドペーパーは、図39に示す多数の微小な凹凸部84aを有する円弧状板体84の代用として設けたものである。
【0222】
(実験例1)
実験例1を行うために、回転容器部材70aの雨水溜め用凹部76a1等の上に落下させる水の量は、6.4リットル/時間(107cc/分)とした。なお、水道水を雨水溜め用凹部76a1等に落下させる位置は、回転容器部材70aの回転軸心Oから水平方向に20mm離れた外側位置(図37に示す羽根部材73a側)を目標とした。実験例1を行うために製作した回転実験装置の仕様、及び実験条件は下記の通りである。
【0223】
・円筒体80の内径、長さ、厚さ :内径95mm、長さ190mm、厚さ5mm
・円筒体80の内周面 :回転軸心O方向に120°の間隔で凸状突起部8
3を3つ配置、凸状突起部83の突出長さは19mm
・羽根部材73a、等の形状 :L形状(角度αは90°)
・羽根部材73a、等の高さ :30mm(板状部73a1等の長さ:23mm)
・羽根部材73a、等の設置数 :8個(45°間隔で配置)
・蛇口の設置高さ :回転容器部材70aの外周面から約300mm
・回転容器部材の総重量 :1588g
・被処理物Pの挿入時の重量 :70g
【0224】
なお、実験例1において、回転容器部材70aの雨水溜め用凹部76a1等に落下させる水の量を、6.4リットル/時間とした理由は次の通りである。
【0225】
試作した回転容器部材70aを備えた回転実験装置において、前記した降雨時に雨水を収集する降雨収集塔1の上面部の縦横サイズの仕様を200mm×140mmと仮定した。そして、この回転実験装置を設置した場所の年間降雨量が2300mmと想定した。すると、このメモリアルオブジェクトの上蓋となる降雨収集塔1の上に降り注ぐ雨量は約64リットル/年となる。また、前記したように、メモリアルオブジェクトM1等においては、台座3の上面部からも雨水を取り込む手段を設けているので、このメモリアルオブジェクトM1等が年間に取り込める雨水の量は、約77リットル/年になるものと算出した。これを月当りの量に換算すると、約6.4リットル/月になる。
【0226】
実験例1においては、1ケ月の経過時間を1時間に短縮して、この1時間に、月当りの降水量に相当する水量6.4リットル、すなわち、1分当り約107ccの水を蛇口から落下させて回転容器部材70aの雨水溜め用凹部76a1等に落下・供給させるようにした。実験例1では、このような実験を1時間継続して実施した。実験例1による実験結果を表1に示す。
【0227】
【表1】
【0228】
表1に示す実験例1の実施結果から、次のことが確認できた。
(1)1分当り約107ccの水を回転容器部材70aの雨水溜め用凹部76a1等に落下させると、回転容器部材70aを回転させることができること、すなわち、1時間に48回、回転容器部材70aを回転させることが可能であることが確認できた。
(2)計測装置で収集した実験データを解析した結果、回転容器部材70aが1回転に要する時間は、50秒〜100秒であった。
【0229】
(3)回転容器部材70aの密閉可能な空間部(K)に挿入した被処理物Pの初期重量70gは、実験が終了した1時間後には、表1に示すように1.5g減少した。これは、被処理物P(フランスパン)が回転容器部材70aの回転に伴って密閉可能な空間部(K)内で上昇と落下、相互の接触を繰返すことにより、被処理物Pの表面の一部が欠けて粉砕したためである。単純な計算であるが、70gの被処理物Pは、70/1.5=46.6ケ月、すなわち、最短では約4年間で、自然現象であるメモリアルオブジェクトM1等に降り注ぐ雨水を利用して粉末化することが可能であることが推測できた。
【0230】
(実験例2)
続いて、実験例2を行うために回転実験装置を試作した。各部材の仕様等は、次の通りである。
・円筒体80の内径、長さ、厚さ :内径120mm、長さ180mm、厚さ5mm
・円筒体80の内周面 :回転軸心O方向に120°の間隔で凸状突起部8 3を3つ配置、凸状突起部83の突出長さは13mm
・羽根部材73a、等の形状 :L形状(角度αは140°)
・羽根部材73a等の突出高さ :23mm
・羽根部材73a、等の設置数 :8個(45°間隔で配置)
・蛇口の設置高さ :回転容器部材70aの外周面から約300mm
・回転容器部材の総重量 :1496g
【0231】
実験例2を行った回転実験装置の構成が実験例1と主に相違する点は、円筒体80の内径を120mmと大きくしたこと、羽根部材73a等のL形状の角度αを120°にしたこと、及び、水道水を雨水溜め用凹部76a1等に落下させる位置は、回転容器部材70aの回転軸心から30mm離れたが外側位置(図37に示す羽根部材73a側)を目標としたことにある。なお、実験例2において蛇口から落下させる水道水の量は、実験例1と同じ1分当り約107ccとした。実験例2による実験結果を表2に示す。
【0232】
【表2】
【0233】
表2に示す実験例2の実験結果から次のことが明らかになった。
(1)1時間当りの回転容器部材70aの回転数が、実験例1より多くなり、71回になった。この理由は、水道水を雨水溜め用凹部76a1等に落下させる位置を、実験例1より遠い位置となる、回転容器部材70aの回転軸心から30mm離れた位置としたことにより、回転容器部材70aを回転させる回転モーメントが大きくなったためであると推測される。
【0234】
(2)1時間当りの回転容器部材70aの回転数が増加したことにより、被処理物Pの1時間後の重量の減少量は、実験例1の結果より多くなり、4.5g減少させることができた。
【0235】
(実験例3)
上記した実験例2で用いた回転容器部材70aについて、その円筒体80の外周面に、直線状に延びるアクリル樹脂製の板材のみを備えた羽根部材73a、・・・の8個を45°間隔で形成した、回転容器部材70aを製作した。なお、この直線状に延びる板材のみから構成された羽根部材73a、・・・が、円筒体80の半径方向と傾斜する角度は、回転容器部材70aの回転方向に対して逆方向に50°傾斜させた。そして、この回転容器部材70aのその他の仕様は上記した実験例2と同一として、実験例2と同一の条件で水道水を落下させて回転容器部材70aを回転させる実験を行った。
【0236】
この実験例3の実験結果では、回転容器部材70aを1時間に66回ほど回転させることができ、被処理物Pの重量を3.2g減少させることができた。
【0237】
上記した実験例1〜実験例3の実験結果から、合成樹脂製の回転容器部材70aの雨水溜め用凹部76a1、76a2、・・・等に水を落下させて、これら雨水溜め用凹部76a1、76a2、・・・等に順次、水を溜めて、この溜まった水の重力を利用して回転容器部材70aを回転させることが可能であり、かつ、回転容器部材70a内の密閉可能な空間部(K)に挿入した被処理物の一部を粉末化させることができることが確認できた。このことは、降雨時に前記したメモリアルオブジェクトで収集した雨水を利用して回転容器部材70aを回転させることが可能であり、密閉可能な空間部(K)に挿入した粉末化し易い固形物を、長い時間をかけて粉末化することが可能であることを示している。
【0238】
本発明の回転式粉末化装置においては、装置自体で収集した雨水の重量を利用して回転容器部材5、5−1、70、70a、70bを回転し易くするためには、これら回転容器部材の重量を極力少なくすること、及び雨水溜め用凹部5d1、・・・、あるいは76a1、・・・の空間部を大きくして極力多くの雨水を溜めることが重要である。このためには、前記した回転容器部材70、70a、70bのように、その構成部材の全てを合成樹脂製とすると軽量化されるので特に有効である。また、前記した回転容器部材5、5−1、・・・については、その構成部材の一部を石材製(例えば、密閉容器5a)とし、他の部材は合成樹脂製、あるいは比重が小さく、耐蝕性が高い軽量合金やセラミックス、例えば、マグネシウム合金製としてもよい。また、密閉容器5aもマグネシウム合金製としてもよい。
【0239】
なお、上記した回転容器部材70、70a、70bについては、その各部材は透明又は半透明な合成樹脂製とした例について説明したが、回転容器部材70、70aを構成する部材の一部、例えば円筒体80、羽根部材73a・・・等を耐蝕性の高く比重が小さい金属、例えば、マグネシウム合金、あるいはセラミックス等で製造してもよい。この場合には、密閉可能な空間部(K)を密閉するための蓋部材81と82を、前記したように透明又は半透明の合成樹脂製として、密閉可能な空間部(K)内に挿入した被処理物の様子を外部から目視で確認することができるようにすることが望ましい。
【0240】
さらに、合成樹脂製とした回転容器部材70、70a、70bについては、耐摩耗性を向上させるために回転容器部材70、70a、70bを構成する各部材に透明あるいは半透明な耐摩耗性コーティング被膜を形成、または耐摩耗性フィルムを貼り付けてもよい。特に、回転容器部材70、70a、70bの第1の円筒体71の蓋部材71b、第2の円筒体72の蓋部材74、円筒体80、蓋部材81、82、各羽根部材に耐摩耗性コーティング被膜を形成、または耐摩耗性フィルムを貼り付け、さらにその上面に水蒸気の結露を防止するための被膜を形成しておくと、回転容器部材70、70a、70bの外部から、これら蓋部材を介して密閉可能な空間部Kに挿入した被処理物の状況をより確実に確認することが可能になる。
【0241】
また、前記した本発明の実施形態に係るメモリアルオブジェクトM1(図1参照)、M4(図25参照)、M5(図27参照)においては、必ずしも台座3、23を設ける必要はなく、装置本体4の上面部に雨水流下塔2を載置した構成、あるいは装置本体24の上面部に雨水流下塔22を載置して、雨水流下塔2(22)を流下(又は落下)する雨水を、直接に回転容器部材5(又は5−1、5−2、70、70a、70b)上に落下させる構成としてもよい。さらに、雨水流下塔2と台座3を一体化、あるいは雨水流下塔22と台座23とを一体化した構成にしてもよい。
【0242】
以上に説明した本発明の回転式粉末化装置は、降雨時に降雨収集塔1等で収集して取り込んだ雨水を利用して回転容器部材5(70、70a、70b)を回転させる例について説明したが、例えば、メモリアルオブジェクトM1等とした場合には、遺族がメモリアルオブジェクトM1の降雨収集塔1の上面部に水を注いだときにも、この注いだ水により回転容器部材5、70、70a、0bは回転する。これにより、回転容器部材5等の回転数が増加するので、被処理物の粉末化が促進される効果も生じる。
【0243】
また、上記したメモリアルオブジェクトの実施形態においては、さらに、次の手段(1)又は手段(2)のいずれか一つの手段、あるいは双方の手段を採用することにより、回転容器部材5等内で被処理物(焼骨)を粉末化する期間をより短縮することも可能になる。
【0244】
(手段1)
回転容器部材5等の密閉可能な空間部(K)内に被処理物とともに、被処理物の粉砕を促進するための粉砕促進部材の1個又は複数個を挿入する。この粉砕促進部材としては、例えば、耐蝕性の高いステンレス鋼製、あるいはセラミックス製からなる径が10mm以下の球状体(ボール)を使用する。密閉空間部K内にこの球状体を予め挿入しておくことにより、降雨時の雨水を利用して回転容器部材5等が回転すると、球状体も回転又は揺動しながら被処理物と接触する(衝突する)。これにより、被処理物は密閉可能な空間部(K)の内周面に設けた凸状突起部5c1等と、この球状体との接触により、その粉砕が促進されるのでより短い期間で粒子状の粉末を得ることが可能になる。また、球状体との接触により、より均一な粒末を得ることも可能になる。
【0245】
(手段2)
回転容器部材5等の密閉可能な空間部(K)内に被処理物とともに、被処理物の分解を促進するための分解促進剤を挿入する。この分解促進剤としては、密閉容器5a等の内周面に影響を与えない酸類を含有する物質、例えばクエン酸を含有する固形物または粒状(粉末状)の分解促進剤とすることができる。このクエン酸を含有する分解促進剤を密閉可能な空間部(K)内に挿入しておくと、回転容器部材5等が回転したときに、被処理物とこの分解促進剤とが接触して、分解促進剤に含まれている酸の分解作用により被処理物の分解が促進されるので、より短い期間で被処理物を粉末化することが可能であると推測できる。
【0246】
本発明の回転式粉末化装置は、上記したメモリアルオブジェクトとしての用途の他に、例えば、回転容器部材5等の密閉容器5a内に、被処理物として使用済の古くなった園芸用土、枯れ葉、腐葉土、粒子状の肥料、石灰等の被処理物を挿入し、降雨時の雨水を利用してこの回転容器部材5等を長い期間をかけて回転させることにより、使用済の園芸用土を再生する装置、同じく密閉容器5a内に家庭や飲食店等で生じる生ごみと生ごみ分解用微生物を挿入して生ごみを堆肥化させる装置、同じく密閉容器5a内に落ち葉(枯れ葉や枯れ枝の小片)等と腐葉土生成用の微生物等を挿入して、腐葉土を生成する装置、等に適用することができる。
【0247】
なお、本発明の回転式粉末化装置を、上記した園芸用土の再生装置、生ごみ堆肥化装置、腐葉土生成装置として実用化する場合には、密閉容器5aの密閉を、容易な操作により任意に解除できる手段や、発生したガスを外部に放出させるための手段を設けるようにする。また、回転式粉末化装置の全体のサイズを大きくして、降雨時に多量の雨水を収集可能にするとともに、被処理物の処理量も大きくできるようにする。この場合には、回転式粉末化装置で収集した雨水の他に、他の場所で収集した多量の雨水も利用できるようにするとともに、上記した降雨収集塔1、雨水落下塔2、台座3、装置本体4、回転容器部材5等の形状や大きさを、その用途に合わせて適切な仕様にするとよい。
【0248】
以上に説明した本発明に係る回転式粉末化装置は、降雨時に収集した雨水を利用して被処理物を密閉可能な空間部(K)内で、比較的長い期間をかけて粉末化する装置であるが、省エネルギー型の装置であるため、その利用価値は極めて高い。特に、本発明の回転式粉末化装置を、上記実施形態で説明した故人を身近な場所で一時的に偲ぶためのメモリアルオブジェクトM1〜M6として実施すると、特に、次の効果を奏することが可能になる。
【0249】
(1)従来は焼骨の粉末化はモータの駆動等の電気エネルギーの利用、あるいは人力によるハンマー操作等により実施されていた。本発明の回転式粉末化装置は家族等の身近な場所に設置することが可能であり、しかも、焼骨の粉末化の過程が故人を偲びながら「降雨時の雨水」の利用という自然界の自然現象の過程を経て「自然界の土」に近い粒子状の粉末を、自然エネルギーを利用して得ることができる。
【0250】
(2)家族や親族が故人の焼骨を長い年月をかけて粉骨化されるまでの過程のなかで、例えば、子供がいないから合葬式の合同墓に入れる等、そのときの家族の望む供養手段を選択できるという大きな利点も生じる。
【0251】
(3)焼骨を粉骨化する過程の装置ではあるが、故人を身近で、かつ気軽に偲ぶために降雨が降り注ぐ適宜な場所、例えば、親族や寺院等の建屋の屋上やベランダ、あるいは寺院や管理者がいる敷地上に設置することができる。
【0252】
(4)本発明の回転式粉末化装置をメモリアルオブジェクトとして用いると、すでに無縁墓となった遺骨を無縁改葬する場合においても利用することができる。この場合には、前記した焼骨を短期間で粉骨化する手段(1)又は手段(2)のいずれか一つの手段、あるいは双方の手段を採用して無縁墓となった遺骨を短期間で粉骨化することも可能になるので、産業廃棄物として処理できない無縁遺骨の縮小整理により、無縁合葬墓の面積を大幅に小さくすることができるので、社会全体にとって実用価値の高い回転式粉末化装置になる。
【0253】
(5)メモリアルオブジェクトを構成する装置本体、台座、雨水流下塔、降雨収集塔を、耐蝕性が高い石材で製造することにより、例えば、家族や親族が長い年月の間、繰り返して共同で使用することも可能になる。
【0254】
(6)モリアルオブジェクトを、メモリアルオブジェクトの設置場所に設置したときには、これらのメモリアルオブジェクトが備えている装置本体4、24、34、65の下面部の隅部に形成されている設置用突出部4k(24k、34k、65k)が、設置場所である地面、アスファルト、コンクリート、タイル等の上に接面している。そして、これらのメモリアルオブジェクトを管理する親族等の事情により、この設置場所の変更が生じた場合には、設置場所の変更の操作が容易になる。すなわち、装置本体4(24、34、65)等の下面部の下に吊り上げ用のベルトを通した持ち上げ、あるいは装置が小型の場合には人力での持ち上げにより、設置場所を変更するための移動操作が容易になる。
【0255】
(7)焼骨等を骨粉化する装置としてその役割を終了した場合においては、例えば、これらメモリアルオブジェクトM1〜M6等の雨水流下塔2(22、32、62)の上面部に形成している凹部等を塞ぐ処理、あるいは、降雨収集塔1(21、61)の雨水を収集する手段の一つとなる貫通穴等を塞ぐ処理、あるいは雨水の取り込み機能を備えていない降雨収集塔との取り替え、装置本体4(24、34、65)の底部の切り抜き、粉骨(遺灰)が入っている回転容器部材5等を着地又は埋葬し、また花立の配置等を実施したこれらのメモリアルオブジェクを、一般の埋葬墓石としての供養物として墓地に設置して再使用することも可能になる。また、回転容器部材5等を取り替えることにより、その他の用途の回転式粉末化装置の回転容器部材として使用することも可能になる。
【0256】
本発明に係る回転式粉末化装置は、上記したように、自然現象である降雨時に収集した雨水の重力を利用して、自然エネルギーを利用して回転容器部材5等を回転させているが、太陽光発電パネルで発生させた電気エネルギーを利用して回転容器部材5等を回転させる手段も併せて備えた構成としてもよい。
【0257】
太陽光発電パネルを用いた場合には、回転容器部材5等の回転軸を回転させる電気モータと、太陽光発電パネルで得た電気エネルギーを蓄電する蓄電装置と、この電気モータの回転を制御する制御装置を備えるようにする。そして、例えば、降雨現象がない晴天の昼間には、蓄電装置に蓄電した電気エネルギーを利用して電気モータを作動させることにより、回転容器部材5等を間欠的に所定の時間間隔ほど回転させるようにすることにより、被処理物の粉末化をより短い日数で行うことが可能になる。特に、本発明を前記した生ごみ堆肥化装置、腐葉土などの生成装置として使用する場合には、太陽光発電パネルで発電した電気エネルギーの利用は、回転容器部材5等の回転数を増加させることができるので有効になる。
【符号の説明】
【0258】
1:降雨収集塔、
2:雨水流下塔、
2a:集水用凹部、2b:底部、2c:雨水流下用貫通穴、
2d:集水用凹部、2e:位置決め用貫通穴、2f:雨水流下用貫通穴、
3:台座、
3a、3a1:凹部、3b:底部、3c:雨水供給用貫通穴、3d:空間突出部、
3f:貫通穴、
4:装置本体
4a:上部開口部、4b、4c、4d、4e:側面部、4f:底部、4g:空間部、
5、5−1、5−2、5−3、5−4:回転容器部材、
5a:密閉容器、
5b1、5b2、5b3、・・・:雨水溜まり部、
5c:凹凸部、5c1:凸状突起部、5c2:凹部、
5d1、5d2、5d3、・・・:雨水溜め用凹部、
8:回転軸、9:軸受、10:軸受支持部材、
21:降雨収集塔、
21a、21b、21c、21d:下り傾斜面、21e:平坦面部、21f:貫通穴、
22:雨水流下塔、
22a:集水用凹部、22b:底部、22c:雨水流下用貫通穴、22d:溝部、
22e:集水用凹部、22f:底部、22g、22h:位置決め用貫通穴、
22i、22j:雨水流下用貫通穴、
23:台座、
23a:雨水分配凹部、23b:底部、23c1、23c2:雨水供給用貫通穴、
23d、23e:貫通穴、
24:装置本体、
24a:上部開口部、24b、24c、24d、24e:側面部、24f:底部、
24g:空間部、
27:網部材、
32:雨水流下塔、32e、32f:雨水収集用凹部、
33:台座、
33a:雨水分配凹部、33b:底部、33c1、33c2、33c3:雨水供給用貫通穴、
34:装置本体、
34a:上部開口部、34b、34c、34d、34e:側面部、34f:底部、
34g:空間部、
61:降雨収集塔、62:雨水流下塔、62c:雨水流下用貫通穴、
63:第1の台座、
64:第2の台座、64a:雨水分配凹部、
65:装置本体、
65a:上面部、
65b、65c、65d、65e:側面部、
65f:中央側面部、
65g1、65g2:空間部、
70、70a、70b:回転容器部材、
71:第1の円筒体、71a:円筒状部、71b:蓋部材、
72:第2の円筒体、72a:円筒状部、72b:円板状部材、
73a、73b、73c、・・・:羽根部材、
74:蓋部材、74a:回転軸、
75:蓋部材、75a:回転軸 、
76a1、76a2、76a3、・・・、76a8:雨水溜め用凹部、
77:軸受支持部材、78:ワッッシャー、79:ビス(ボルト)、
80:円筒体、81:蓋部材、81a:回転軸、82:蓋部材、82a:回転軸、
83:凸状突起部、
84:円弧状板体、84a:微小な凹凸部、
K:密閉可能な空間部、
M1、M2、M3、M4、M5、M6:メモリアルオブジェクト、
O:回転軸心、P:被処理物、
S1、S2、S3:回転方向、
V:雨水流下用貫通穴の中心線。
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転可能な密閉容器内に挿入している粉末化し易い固形物からなる被処理物を、雨水、特に降雨時に取水した雨水の重力を利用してこの密閉容器を回転させることにより、長い時間をかけて粉砕して粉末化するための装置、もしくは、複数種の被処理物を長い時間をかけて混合・粉砕する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、粉末化し易い固形物、あるいは粉砕化し易い複数種の固形物からなる被処理物を容器内に挿入(装入)し、この容器を回転させるか、あるいは容器内に装着した撹拌羽根を回転させることにより、これら被処理物を粉砕して粉末状に、あるいは複数種の被処理物を粉砕して混合するための装置が提案されている。このような装置としては、例えば、固形物が枯れ葉等であり、この枯れ葉等から腐葉土をつくる腐葉土生成装置、あるいは、レストラン等や家庭で発生するごみのうちの生ごみ等を、回転させながら混合し、微生物の作用により分解して堆肥化するための装置等が提案され、その一部は実用化されている。
【0003】
この種の回転機構を備えた腐葉土生成や生ごみの分解・堆肥化装置に関する技術としては、例えば、下記の特許文献1(特開2004−209330号公報)、特許文献2(特開2004−315272号公報)に記載の発明が提案されている。
【0004】
特許文献1には、生ごみ処理機に関する発明が提案されている。この生ごみ処理機は、ケーシング内に、生ごみと、生ごみを発酵分解する微生物を含有した腐葉土等の基材が収容される撹拌槽を設け、さらに、この撹拌槽内には複数の撹拌棒を突設した回転軸を配置し、この回転軸を回転駆動モータで回転させて、腐葉土等の基材を撹拌棒で撹拌することにより、微生物による生ごみの分解能力を向上させるようにしたものである。
【0005】
特許文献2には、家庭ごみの堆肥化装置に関する発明が提案されている。この堆肥化装置は、発酵槽と台車から構成され、発酵槽は側面が多角形に構成された左右の側板と、この左右の側板間に投入口を残して張設されたアジテータ用小棒を内側に有する板と、投入口に装着された蓋板から構成され、さらに、台車は発酵槽を回転自在に支持するように構成されている。そして、この堆肥化装置においては、生ごみと適量の培養材を日々発酵槽内に投入した後に、この発酵槽を数回回転させて全体を混合する。この混合操作を行った際には、発酵槽内にアジテータ用小棒が突設されているために生ごみの撹拌が確実に行われ、約1年の期間をかけて生ごみの堆肥化を行うことが記載されている。
【0006】
一方、近年において、葬儀に対する各人の意識の変化により、家族葬や直葬等のように葬儀の縮小化、あるいは個人のみで実施する個人化のケースが増加してきている。また、墓地を取得するためには高額なお金を要すること、あるいは「子供達に負担をかけたくない」、「墓地が遠方で墓参りに行けない」、「なくなった方をいつも身近に感じたい」、等の理由により、自宅内に骨壷を安置したり、遺灰をペンダントに入れたりする手元供養や、樹木葬、あるいは散骨の実施など、埋葬形態も次第に多様化する傾向になってきている。
【0007】
また、従来の供養手段に従って、すぐに、故人の墓石を建ててしまうことも多くあり、その結果として、その後の家族の構成や事情の変化、さらには近年の少子化などの事情により、全国的に墓石が無縁墓になって、これら墓石、骨壺等が一種の産業廃棄物化している例も増加している。この場合、遺骨については原形のままでも粉末でも産業廃棄物として処理することができないので、行政機関等によりこの無縁墓を改葬することが行われている。
【0008】
また、各地に公営の公園墓地が設置されているが、近年の用地取得難から公園墓地は市街地から離れた遠方の地に設けられる場合も増加しているため、親族等の墓参りに出かける回数も減少する傾向になっている。
【0009】
このような葬儀や埋葬、あるいは墓参りに対する意識の変化や、墓石等の産業廃棄物化に対する課題を解決するために、自然分解性を備えた骨壷を墓石の納骨場所に納めることにより、遺骨とともに骨壷を自然分解させて土に還元する(自然に帰す)ことが提案されている。この自然分解性を有する骨壷としては、例えば、微生物の分解作用を利用した合成樹脂製の骨壷、粘土等を主体として成型した自然分解性を有する骨壷が提案されている。
【0010】
また、下記の特許文献3(特開2001−286518号公報)には、風力を利用して風車を回転させ、この風力による風車の回転力を利用してひき臼を作動させることにより、焼骨や既に埋葬されていた遺骨をひき臼により粉末化する遺骨粉末化埋葬装置が提案されている。また、特許文献3には、この遺骨粉末化埋葬装置は、墓地の墓石位置に設置してその表面を石版で覆うか、あるいは寺院内に設置することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2004−209330号公報
【特許文献2】特開2004−315272号公報
【特許文献3】特開2001−286518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1に記載の生ごみ処理機は、複数の撹拌棒を突設した回転軸を配置した撹拌槽内に生ごみと、生ごみを発酵分解する微生物を含有した腐葉土等の基材を収容して、この回転軸を回転駆動モータで回転させて、腐葉土等の基材を撹拌棒で撹拌することにより微生物による生ごみの分解能力を向上させるようにした生ごみ処理機である。しかし、この生ごみ処理機は、生ごみと腐葉土等の基材を撹拌・混合するための動力源として電気エネルギーを使用する回転駆動モータを備えているため、省エネルギー化を指向した処理機ではない。
【0013】
特許文献2に記載の家庭ごみの堆肥化装置は、発酵槽を人力により回転させる手段を備えており、省エネルギー化を指向した処理機ではあるが、自然現象で発生する風や降雨等の自然力を利用してこの発酵槽を回転させるようにした手段は備えていない。
【0014】
特許文献3に記載の遺骨粉末化埋葬装置は、自然エネルギーである風力を利用してひき臼を回転させて遺骨を粉末化する手段を備えているが、風力で風車を回転させて得た回転力を、ひき臼に伝達してひき臼を効率良く回転作動させるための具体的な構成については開示されていない。
【0015】
そこで、本発明の目的は、自然現象である降雨を利用して取り込んだ雨水を、その重力を利用して、比較的粉末化し易い固形物からなる被処理物を挿入している密閉可能な容器(回転容器部材)を回転させることにより、この回転容器部材内においてこの被処理物を粉砕して粉末化する装置、例えば、故人の遺骨(焼骨)、あるいは愛犬等のペットの焼骨を長い日数又は年月をかけて粉骨(粉末)化する装置としても利用できる、自然エネルギーを応用した小型の回転式粉末化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記した課題を解決するために、請求項1に記載の発明に係る回転式粉末化装置は、
装置本体と、
前記装置本体の上方に配置され、所定の高さを有する部材であって、上方部に降雨による雨水を収集するための降雨収集手段を有するとともに、前記降雨収集手段により収集した前記雨水を前記装置本体の上面部に向かって流下させる雨水流下用貫通穴とを備えた雨水流下塔と、
前記装置本体内に、水平方向に支持されるとともに回転自在に配置された部材であって、被処理物の挿入と取り出しを可能とした密閉可能な空間部を有する円筒形状又は多角形状をなす回転容器部材と、を備え、
前記回転容器部材は、さらに、外周面上に前記雨水流下用貫通穴を流下する前記雨水を溜める雨水溜まり部を備えており、
前記回転容器部材は、前記雨水流下塔の雨水流下用貫通穴から流下して前記雨水溜まり部に溜まった前記雨水の重力により、所定方向に回転可能とされていることを特徴としている。
【0017】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の回転式粉末化装置に係り、前記降雨収集手段は、前記雨水流下塔の上部に載置された降雨収集塔からなり、
前記降雨収集塔は、その上端面は上方に向かって開口した凹状開口部と、前記凹状開口部の底面部から立設する山形形状をなす山形状突出部と、前記凹状開口部の底面部と前記雨水流下塔の前記雨水流下用貫通穴とを連通する貫通穴を備えていることを特徴としている。
【0018】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の回転式粉末化装置に係り、前記雨水流下塔は、正面視で所定の厚さを有する多角形状をなし、
前記降雨収集手段は、前記多角形状をなす前記雨水流下塔の側面上に形成された雨水収集用凹部と、前記雨水収集用凹部を前記雨水流下塔の前記雨水流下用貫通穴と連通する貫通穴とから構成されていることを特徴としている。
【0019】
さらに、請求項4に記載の発明に係る回転式粉末化装置は、
装置本体と、
前記装置本体の上面部に載置された台座と、
前記台座の上面部に載置されて所定の高さを有する部材であって、上面部から下面部に向けて貫通した雨水流下用貫通穴を有する雨水流下塔と、
前記雨水流下塔の上面部に載置されて、降雨による雨水を収集するための降雨収集塔と、
前記装置本体内に、水平方向に支持されるとともに回転自在に配置された部材であって、円筒形状又は多角形状をなす回転容器部材と、を備え、
前記回転容器部材は、
その外周面上、前記雨水流下用貫通穴を介して流下する前記雨水を溜める雨水溜まり部材と、前記回転容器部材の内部に設けられた空間部であって、被処理物の挿入と取り出しを可能とした密閉可能な空間部と、を備え、
前記回転容器部材は、前記雨水溜まり部に溜まった前記雨水の重力を利用して所定方向に回転可能とされていることを特徴としている。
【0020】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の回転式粉末化装置に係り、前記雨水流下用貫通穴は、前記雨水流下塔の内部において垂直方向に形成された貫通穴であることを特徴としている。
【0021】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の回転式粉末化装置に係り、前記雨水流下用貫通穴は、前記雨水流下塔の内部において垂直方向に形成された貫通穴であるとともに、前記装置本体上に前記雨水流下塔が配置された状態において、前記雨水流下用貫通穴の前記垂直方向の中心線は前記回転容器部材の前記回転軸心から水平方向に所定の距離離れた位置に配置されていることを特徴としている。
【0022】
また、請求項7に記載の発明は、請求項4に記載の回転式粉末化装置に係り、前記降雨収集塔は、前記降雨収集塔の上端面から上方に向かって開口した凹状開口部と、前記凹状開口部の底面部から立設する山形形状をなす山形状突出部と、前記凹状開口部の底面部と前記雨水流下用貫通穴とを連通する貫通穴を備えていることを特徴としている。
【0023】
また、請求項8に記載の発明は、請求項6に記載の回転式粉末化装置に係り、前記雨水流下塔は、その上面部に前記降雨収集塔により収集された前記雨水を取り込むための集水用凹部を備え、
前記集水用凹部は、その底部に垂直方向に径d1を有する位置決め用貫通穴を備えるとともに、前記位置決め用貫通穴の下端部は、垂直方向に形成された径d2を有する前記雨水流下用貫通穴に連接され、
前記雨水流下用貫通穴の径d2は、前記位置決め用貫通穴の径d1より大きく形成されていることを特徴としている。
【0024】
また、請求項9に記載の発明は、請求項4に記載の回転式粉末化装置に係り、前記台座は、その上面部に前記雨水流下用貫通穴を介して流下した前記雨水を収集する雨水分配凹部を備えるとともに、前記雨水分配凹部の底部は、前記収集した前記雨水を前記回転容器部材の前記雨水溜まり部に落下させるための雨水供給用貫通穴を備えていることを特徴としている。
【0025】
また、請求項10に記載の発明は、請求項4に記載の回転式粉末化装置に係り、前記装置本体は、水平方向に支持されるとともに回転自在に配置された複数の前記回転容器部材を備え、
前記台座は、その上面部に前記雨水流下用貫通穴を介して流下した前記雨水を収集する雨水分配凹部を備えるとともに、前記雨水分配凹部の底部は、前記収集した前記雨水を前記複数の前記回転容器部材のそれぞれの前記雨水溜まり部に落下させるために、複数の雨水供給用貫通穴を備えていることを特徴としている。
【0026】
また、請求項11に記載の発明は、請求項9又は請求項10に記載の回転式粉末化装置に係り、前記雨水分配凹部は、その一部が前記台座の上面部であって前記雨水流下塔が載置されていない部分に延設されていることを特徴としている。
【0027】
また、請求項12に記載の発明は、請求項1又は請求項4に記載の回転式粉末化装置に係り、前記密閉可能な空間部の内周面は、所定の幅を有し、前記回転軸心方向に延びる少なくとも一つの凸状突起部を備えていることを特徴としている。
【0028】
また、請求項13に記載の発明は、請求項1又は請求項4に記載の回転式粉末化装置に係り、前記密閉可能な空間部の内周面は、前記回転軸心方向に延びる微小な凹凸部を備えていることを特徴としている。
【0029】
また、請求項14に記載の発明は、請求項1又は請求項4に記載の回転式粉末化装置に係り、前記密閉可能な空間部の内周面は、その内周方向に等間隔で、所定の幅を有し、かつ前記回転軸心方向に延びる複数の凸状突起部と、
前記凸状突起部の間の前記内周面に設けられた微小な凹凸部を備えていることを特徴としている。
【0030】
また、請求項15に記載の発明は、請求項1又は請求項4に記載の回転式粉末化装置に係り、前記回転容器部材は、石材から構成されていることを特徴としている。
【0031】
また、請求項16に記載の発明は、請求項1又は請求項4に記載の回転式粉末化装置に係り、前記回転容器部材は、硬質の合成樹脂材から構成されていることを特徴としている。
【0032】
また、請求項17に記載の発明は、請求項1又は請求項4に記載の回転式粉末化装置に係り、前記回転容器部材は、硬質の合成樹脂材から構成されているとともに、前記回転容器部材を構成する部材の一部又は全ての部材は、透明又は半透明な合成樹脂材から構成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0033】
本発明の回転式粉末化装置は、降雨時に、この回転式粉末化装置に降り注いだ雨水を集めてこの雨水の重力を利用して回転容器部材を回転させることができる。そして、予めこの回転容器部材が備えている密閉可能な空間部に粉末化し易い固形物からなる被処理物を密閉状態で挿入(装入)しておくことにより、降雨という自然現象を利用した省エネルギーでこの回転容器部材を多数回回転させて、この被処理物を粉末化することが可能な回転式粉末化装置を提供することができる。
【0034】
本発明の回転式粉末化装置を、例えば、年間の雨量の多い地域には、枯れ葉、枯れ草、生ごみ等から園芸用の腐葉土、あるいは農業用の堆肥等を生成する装置に適用すると、装置の稼働について省エネルギー効果を上げることができる。この場合には、本発明の回転式粉末化装置を大型化してその生成効率を向上させることもできる。
【0035】
本発明の回転式粉末化装置を、愛犬等のペットや故人の焼骨を粉骨(粉末)化するための装置(メモリアルオブジェクト)として使用した場合には、粉骨化の過程の中で、故人を偲びながら、一般の墓石に収骨(納骨)することも含め、あらゆる供養手段のなかから家族の適宜な時点での実情や思い、あるいは故人の遺志に合致した供養手段を選択して実施することが可能なものとなる。また、すでに無縁墓となった墓の改葬、整理においては、焼骨を比較的短時間で粉末化して遺骨容積を大幅に縮小できるので、無縁墓の再整理における土地面積等を縮小することができる。これにより、本発明は、埋葬環境の整理について効率化とコスト低減も可能になり、社会全体にとって実用価値の高い回転式粉末化装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第1の実施形態となるメモリアルオブジェクトの全体構成を示す斜視図であって、(a)は前側方向からみた図、(b)は後側方向からみた図である。
【図2】図1に示すメモリアルオブジェクトについて、図1(b)に示すA−A線における断面の構成を示す部分断面図である。
【図3】図1に示す降雨収集塔について、上面部の構成を示す平面図である。
【図4】図1に示す降雨収集塔について、他の実施形態を示す斜視図である。
【図5】図4に示す降雨収集塔について、上面部の構成を示す平面図である。
【図6】(a)は図1に示す雨水流下塔の斜視図、(b)はこの雨水流下塔の上面部に図1に示す降雨収集塔を載置したときの位置関係を説明するための正面図である。
【図7】図1に示す台座の構成を説明するための斜視図である。
【図8】図1に示す台座について、他の実施形態を示す斜視図である。
【図9】図1に示す装置本体の上面部に台座を載置したときに、装置本体と台座との位置関係を説明するための平面図である。
【図10】図1に示す花台の構成を説明するための斜視図である。
【図11】(a)は図1に示す装置本体の斜視図、(b)はこの装置本体の平面図、(c)はこの装置本体の側面図である。
【図12】図11に示す装置本体内に、図2に示す回転容器部材を配置したときの状態を説明するための図であって、装置本体の高さ方向と直交する方向の断面図である。
【図13】図2に示す回転容器部材の側面図である。
【図14】図13に示す回転容器部材の回転軸心Oと直交する方向の縦断面図である
【図15】本発明の第2の実施形態となるメモリアルオブジェクトの全体構成を示す斜視図であって、後側方向からみた図である。
【図16】(a)は図15に示す降雨収集塔の斜視図、(b)は図15に示す雨水流下塔の斜視図、(c)は(b)に示す雨水流下塔の側面図である。
【図17】(a)は図15に示す台座の斜視図、(b)は(a)に示す台座の平面図、(c)は(b)に示す台座のB−B線における断面図である。
【図18】(a)は図15に示す装置本体の斜視図、(b)は(a)に示す装置本体の平面図、(c)は(a)に示す装置本体の側面図である。
【図19】図15に示す装置本体内に、図2に示す回転容器部材を2個配置したときの状態を説明するための平面図である。
【図20】本発明の第3の実施形態となるメモリアルオブジェクトの全体構成を示す斜視図であって、後側方向からみた図である。
【図21】(a)は、図20に示す雨水流下塔の斜視図、(b)は(a)に示す雨水流下塔の側面図である。
【図22】(a)は図20に示す台座の斜視図、(b)は(a)に示す台座の平面図、(c)は(b)に示す台座のC−C線における断面図である。
【図23】(a)は図20に示す装置本体の斜視図、(b)は(a)に示す装置本体の平面図、(c)は(a)に示す装置本体の側面図である。
【図24】図20に示す装置本体内に、図2に示す回転容器部材を3個配置したときの状態を説明するための平面図である。
【図25】本発明の第4の実施形態となるメモリアルオブジェクトについて、その構成を説明するための回転軸心O方向の縦断面図である。
【図26】図25に示すメモリアルオブジェクトについて、装置本体を回転軸心O方向と直交する方向の縦断を示す図であって、雨水流下塔に形成した雨水流下用貫通穴と回転容器部材の雨水溜まり部との位置関係を説明するための図である。
【図27】本発明の第5の実施形態となるメモリアルオブジェクトについて、回転軸心Oと直交する方向の縦断面図である。
【図28】本発明の第6の実施形態となるメモリアルオブジェクトの全体構成を示す斜視図であって、前側方向からみた図である。
【図29】図28に示す第1の台座の構成を説明するための斜視図である。
【図30】図28に示す第2の台座の構成を説明するための平面図である。
【図31】図28に示す装置本体に、回転容器部材を4個配置したときの状態を説明するための平面図である。
【図32】本発明に使用することができる回転容器部材について、他の実施形態を示す斜視図である。
【図33】図32に示す回転容器部材を回転軸方向からみた側面図である。
【図34】図32に示す回転容器部材の構成を説明するための図であって、回転軸心O方向の断面図である。
【図35】図34に示す回転容器部材の回転軸に、軸受を挿入したときの状態を示す断面図である。
【図36】本発明に使用することができる回転容器部材について、さらに他の実施形態を示す斜視図である。
【図37】図36に示す回転容器部材について、回転軸心方向と直交する方向の断面を示す断面図である。
【図38】図36に示す回転容器部材について、回転軸心方向の断面を示す断面図である。
【図39】図36に示す回転容器部材について、円筒体の他の実施形態の構成を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の形態を説明する。以下の実施形態の説明においては、本発明の回転式粉末化装置を、「メモリアルオブジェクト」として実施する場合を例にして説明する。
【0038】
なお、上記した「メモリアルオブジェクト」とは、愛犬等のペットや故人の遺骨(以下、「焼骨」という)を挿入して密閉することが可能な空間部を有する回転容器部材を備え、この回転容器部材を、自然現象である降雨時に取水した雨水の重力を利用して回転させることにより、長い時間をかけてこの焼骨を回転容器部材内の密閉可能な空間部で粉末化(粉骨化)する装置を示す。また、このメモリアルオブジェクトは、例えば、焼骨が粉骨化するまでの過程として使用する装置であって、墓地、あるいは寺院等の敷地の上、あるいは親族や寺院等の建屋の屋上やベランダ、あるいは管理者が管理する敷地の上、等の降雨が降り注ぐ場所であって、地面上、あるいはアスファルト上、コンクリート上、タイル上等の場所(以下、「メモリアルオブジェクトの設置場所」という)に設置される装置である。
【0039】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態となるメモリアルオブジェクトについての構成を示す斜視図であって、図1(a)はメモリアルオブジェクト(M1)を前側方向からみた図、図1(b)は後側方向からみた図、図2は図1(b)に示すA−A線における部分断面図であって、各部材内に形成されている貫通穴、凹部などの形状を説明するための図である。
【0040】
図1〜図2に示すメモリアルオブジェクトM1は、降雨による雨水を収集して取り込むための降雨収集塔1を最上部に配置し、この降雨収集塔1の下側に、雨水流下塔2、台座3、装置本体4、装置本体4内に回転自在に配置され、内部に密閉可能な空間部Kを有する回転容器部材5、花立6、網部材7等を配置した構成からなっている。
【0041】
降雨収集塔1は、降雨時における雨水を収集するための手段(降雨収集手段)となるものである。回転容器部材5は、その外周面は円筒形状又は多角形状をなす筒状をなし、その両端面に回転軸8が設けられて、装置本体4内に水平方向に支持されるとともに、回転自在に配置されている。また、回転容器部材5内には密閉可能な空間部Kが形成されるようになっている。この密閉可能な空間部(K)の構成については後述する。
【0042】
図1、図2は、メモリアルオブジェクトM1を構成する上記各部材を組み立てたときの位置関係を示しており、上蓋となる降雨収集塔1は、雨水流下塔2の上面部に載置されている。雨水流下塔2の下面部は台座3の上面部に載置され、台座3の下面部は装置本体4の上面部に載置されている。また、メモリアルオブジェクトM1を組み立てた後においても、少なくとも、雨水流下塔2、台座3、装置本体4、花立6及び網部材7は、それぞれ容易に取り外し可能にすることが望ましい。なお、降雨収集塔1は、雨水流下塔2の上面部に載置した後に、モルタル等により双方を一体化してもよい。また、花立6は必要に応じて装置本体4上に設けるようにしてもよい。
【0043】
上記各部材のうち、降雨収集塔1、雨水流下塔2、台座3、装置本体4、回転容器部材5、花立6の材質は、硬質で風化し難い材質である石材、例えば、御影石等を用いて、機械加工等により所望の形状に加工して仕上げるようにする。網部材7は、碁盤の目状に微小な貫通穴を多数配列したステンレス鋼等の耐腐蝕性を有する部材から構成された網部材であって、降雨時に収集(取水)する雨水に含まれているゴミ(木の葉など)を除去するためのフィルター部材である。なお、図2に表示している「前」は、メモリアルオブジェクトM1の前側方向を、「後」は同じく後側方向を示している。また、他の図に表示している「前」、「後」も上記と同様のことを示している。
【0044】
続いて、上記したメモリアルオブジェクトM1を構成する各部材について、その構成の特徴について説明する。
【0045】
(降雨収集塔の構成)
降雨収集手段なる降雨収集塔1は、図3、図4に示すように平面視で長方形状をなし、その上面部には底面部から上方に向かって開口した凹状開口部を備えている。平面視で長方形状をなす凹状開口部の4つの側部(辺部)には、所定の高さを有する下り傾斜面1a、1bを形成している。また、凹状開口部の底面部からは山形形状をなす山形状突出部1hを垂直方向に立設させている。図3(図4)では、この山形状突出部1hは斜面1c、1c、1d、1dを有する四角錐とした例を示しているが、円錐形状、あるいは他の形状を有する突出部としてもよい。
【0046】
山形状突出部1hは、降雨時において、斜面1c、1c、1d、1dを利用してより多くの量の雨水を収集するために設けたものであり、その高さは、メモリアルオブジェクトM1の外観上の見栄え(デザイン性)の良さ等を考慮して適切な高さを有するように設定する。
【0047】
また、図3に示すように、凹状開口部の底面部の周辺部には平面視で長方形状をなすように平坦面部1eを設け、平坦面部1eの各辺には、ドリル加工により一つ又は複数の貫通穴1fを、底面部を貫通させるように形成している。
【0048】
なお、図3では、平面視で長方形状をなす底部の平坦面部1eに貫通穴1fを設けた例を示しているが、この貫通穴1fの代わりに、図4(図5)に示すように、平坦面部1eの各辺に所定の長さを有するスリット状の穴1g(図5に斜線で示している部分)を設けてもよい。
上記した貫通穴1f又はスリット状の穴1gは、降雨時において降雨収集塔1の凹状開口部及び山形状突出部1hの斜面に降り注いで底部の平坦面部1eに流れ込んだ雨水を、雨水流下塔2の上面部に導くために設けたものである。
【0049】
(雨水流下塔の構成)
雨水流下塔2は、所定の高さを有し、高さ方向と直交する方向の断面の形状は、例えば、長方形状、又は正方形状をなすようにする。また、図6(a)に示すように、雨水流下塔2の上面部(上端部)には平面視で長方形状、又は正方形状あるいは略正方形状をなす集水用凹部2aを形成している。集水用凹部2aの底部2bは、その中央部方向に向かって下り傾斜となる傾斜面を形成するとともに、底部2bの中央部には、雨水流下塔2の縦(高さ)方向に垂直に貫通する雨水流下用貫通穴2cを設けている。
【0050】
図6(b)は、雨水流下塔2の上面部に降雨収集塔1を載置したときの状態を示す正面図であって、雨水流下用貫通穴2cを点線で示している。図6(b)に示すように、雨水流下用貫通穴2cは集水用凹部2aの底部2bから雨水取水塔2の下面部までドリル加工により雨水流下塔2の内部を垂直方向に貫通して形成されている。なお、雨水流下用貫通穴2cの直径は、例えば、15〜30mm程度に設定する。
【0051】
また、図6(b)に示すように、雨水取水塔2の上面部に降雨収集塔1を載置したときには、降雨収集塔1に設けた貫通穴1f(又はスリット1g)の下端は、集水用凹部2aの上面の開口部内に位置されるようにする。これにより、降雨収集塔1で収集した雨水は、貫通穴1f(スリット1g)を介して雨水流下塔2の上面部に形成した集水用凹部2a内に流れ込み、さらに、集水用凹部2aから雨水流下塔2の雨水流下用貫通穴2cに流れ込む。雨水流下用貫通穴2cに流れ込んだ雨水は、雨水流下用貫通穴2cの内周面に沿って流下するとともに、その一部は雨水流下用貫通穴2cの空間部を落下して、雨水流下塔2の下面部(下端部)に達することになる。すなわち、貫通穴1f(スリット1g)と雨水流下用貫通穴2cとは、連通していることになる。
【0052】
なお、図6には示していないが、雨水流下用貫通穴2cの上端部(集水用凹部2aの底部2bの中央部に形成された開口部)には、雨水とともに流れてくるゴミを捕捉するために、例えばステンレス製の網部材(フィルター)を装着することが望ましい。
【0053】
(台座の構成)
図7は、台座3の斜視図を示している。台座3は、所定の厚み(高さ)を有し、平面視で、例えば長方形状、又は正方形状あるいは略正方形状をなしている部材である。
図7は台座3の一実施形態を示し、台座3の上面部の中央部近傍には所定の深さを有し、上方に開口する四角形状の凹部3aを設け、さらに、凹部3aの底部3bには、雨水供給用貫通穴3cを設けた例を示している。また、平面視で凹部3aの一辺側には凹部3aの空間部が延設された空間突出部3dを形成してもよい。この空間突出部3dは、台座3の上面に雨水流下塔2の下面部を載置したときに、雨水流下塔2の下面部の一端部側に、凹部3aと連通する隙間(空間部)を設けるために形成している。そして、この空間突出部3dの上面部には、図1(b)(又は図2)に示すように、網部材7が装着される。なお、空間突出部3dは、凹部3aの他の辺側にも形成してもよい。
【0054】
凹部3aの底部3bは、雨水供給用貫通穴3cに向かって下り傾斜となる傾斜面を形成するようにする。
そして、図2に示すように、台座3の上面部に雨水流下塔2の下面部を載置したときには、雨水流下塔2内に形成した雨水流下用貫通穴2cの下端部が台座3の上面部に形成した凹部3aの上面空間部内に位置されるようにする。
【0055】
なお、台座3は、図7に示す空間突出部3dを有する凹部3aの形成に代えて、図8に示すように、平面視で長方形または正方形をなす凹部3a1を設け、台座3の上面に雨水流下塔2の下面部を載置したときに、雨水流下塔2の下面部の一端部側と凹部3a1の端部側との間に所定の幅の隙間が生じるようにして、この隙間に網部材7を装着するようにしてもよい。さらに、台座3の上面に雨水流下塔2の下面部を載置したときに、雨水流下塔2の下面部の他の端部側と凹部3a1の端部側との間にも所定の幅の隙間が生じるようにして、これら複数の隙間に網部材7を装着するようにしてもよい。
【0056】
図9は、図8に示す台座3を装置本体4の上面部に載置して、台座3の凹部3a1の一端部側に網部材7を装着したときの状態を示す平面図であって、凹部3a1と、この凹部3a1に形成した雨水供給用貫通穴3cと、雨水流下塔2に設けた雨水流下用貫通穴2c(点線で示す)との位置関係の一例を示している。図9に示すように、台座3の上面部に雨水流下塔2の下面部を載置したときには、雨水流下塔2内に形成した雨水流下用貫通穴2cの下端部が台座3の上面部に形成した凹部3a1の上面の開口部内に位置されるようにする。
【0057】
台座3は上記した構成を備えているので、降雨収集塔1の上面部に降り注いだ雨水は降雨収集塔1により収集され、貫通穴1f(又はスリット1g)を介して雨水流下塔2に設けた雨水流下用貫通穴2c内に流れ込む。雨水流下用貫通穴2c内に流れ込んだ雨水は、雨水流下用貫通穴2c内を流下して、台座3に設けた凹部3a1(又は3a)に落下して集められる。そして、台座3の凹部3a1(又は3a)に集められた雨水は、その底部3bに設けた雨水供給用貫通穴3cを通って、台座3の下面に配置されている装置本体4内に流下(落下)することになる。このように、雨水流下用貫通穴2cと雨水供給用貫通穴3cとは、台座3に設けた凹部3a1(又は3a)を介して連通されることになる。
【0058】
なお、降雨時において、網部材7が配置されている雨水流下塔2の側面部に向かって降り注いだ雨水と、台座3の上面部であって網部材7が配置されている上面部側に降り注いだ雨水の一部は、網部材7を装着した空間部を介して凹部3a1(又は3a)内に流れ込むことになる。これにより、降雨時において、凹部3a1(又は3a)内に集められる雨水の量は、降雨収集塔1で収集した雨水と、網部材7を介して流れ込んだ雨水を加えた量になるので、凹部3a(3a1)内により多くの雨水を集めることが可能になる。
【0059】
図10は、花立6の斜視図を示している。花立6には、水を入れて生花を飾るための凹部6aと、図1(a)に示すように、この花立6を装置本体4の上面部と台座3の上面部とに跨って安定した状態で設置するために、段差部6bを設けている。
【0060】
(装置本体の構成)
続いて、装置本体4の構成を図11〜図14に基づいて説明する。装置本体4は、図11(a)に示すように、上面部を正方形状、又は略正方形状あるいは長方形状をなす上部開口部4aを有する箱型形状、すなわち、上部開口部4aの各側辺部から下方に向けて形成された側面部4b、4c、4d、4eと、これら側面部4b〜4eの下端部に設けた底部4f(図11(c)参照)を備えている。さらに、装置本体4は、これら側面部4b〜4eと底部4fに囲まれた空間部4gを備えている。
【0061】
また、装置本体4の対向する一対の側面部4b、4cであって、空間部4gに面する面部側には、側面部4b、4cの上端部の中央部から所定の幅Wと長さL1を有する溝部4h、4iを底部4f方向に向けて形成している(図11(b)、(c)参照)。これらの溝部4h、4iは、装置本体4において回転容器部材5を水平方向に支持する箇所になる。
さらに、側面部4b〜4eのいずれか一つ又は複数の下端部であって底部4fに略接する位置には、一つ又は複数個の貫通穴4jを設けている。この貫通穴4jは、後述する回転容器部材5(図14参照)を構成する雨水溜まり部材5b1、5b2、5b3、・・・の雨水溜め用凹部5d1、5d2、・・・から底部4fに流下(落下)した雨水を装置本体4の外部に、すなわち、前記したメモリアルオブジェクトの設置場所に排出するための穴である。なお、貫通穴4jは、底部4fに設けてもよい。
【0062】
装置本体4の下面部の4つの隅部には、図1(図11(a)、(c))に示すように、設置用突出部4kを設けている。この設置用突出部4kの下端部(下面部)は、メモリアルオブジェクトM1を前記したメモリアルオブジェクトの設置場所に設置したときに、この設置場所と接面する部位になる。
【0063】
図12は、装置本体4内に形成されている空間部4gに1個の回転容器部材5を水平方向に挿入して、この回転容器部材5の両側部に設けられている回転軸8、8を回転自在に支持したときの状態を示す断面図である。回転容器部材5の両側部に設けられている回転軸8、8は、溝部4h、4i内に嵌入した軸受9を介して水平方向に、かつ回転自在に支持されているので、回転軸8、8と一体に結合されている回転容器部材5も水平方向に支持され、かつ回転軸8、8を介して回転自在に装置本体4内に配置されている。これにより、回転容器部材5は、2つの回転軸8、8を結ぶ水平方向となる回転軸心Oを中心にして、装置本体4内に回転自在に支持されていることになる。
【0064】
なお、図11(c)に点線で示す軸受支持部材10は、回転軸8、8を回転自在に支持する軸受9の位置を溝部4h(4i)内において固定するために、溝部4h(4i)に挿入された部材である。軸受9の位置を溝部4h(4i)内で固定するための手段は、軸受支持部材10を用いる他に、適宜適切な手段を採用することができる。軸受9としては、例えば、ボールベアリング等を用いた防水性(耐水性)の高い小型の軸受を用いるようにする。
【0065】
(回転容器部材の構成)
続いて、回転容器部材5の構成の詳細を、図12〜図14を参照して説明する。回転容器部材5は、密閉可能な空間部(K)(図12、図14参照)を設けた円筒形状をなす密閉容器5aと、密閉容器5aの外周面部であって回転軸心O方向に、所定の間隔をおいて複数配設した雨水溜め部5b1、5b2、・・・と、密閉容器5aの回転軸心O方向の両端部に着脱自在に装着される2つの蓋部材11と、平面視でこれら蓋部材11、11の一方の側面部の中央部に設けた前記した回転軸8、等から構成されている。なお、本実施形態に係るメモリアルオブジェクトにおいて、密閉容器5a内に形成されている密閉可能な空間部Kは、被処理物(故人やペットの焼骨)を挿入して密閉するための空間部となる。
【0066】
図14に示す密閉容器5aの回転軸心Oと直交する方向の断面図においては、外周面の断面形状は円形とした例を示しているが、多角形状、例えば、6角形、8角形等の多角形の形状としてもよい。なお、密閉容器5aの外周面の形状を多角形とした場合には、多角形となる外周の平面部に、雨水溜め部5b1、5b2、・・・を設けるようにする。
【0067】
密閉容器5aを構成する蓋部材11と回転軸8は、耐腐蝕性を備えているステンレス鋼製で金型鋳造等により一体成形とするか、あるいは、蓋部材11と回転軸8を強度が高い合成樹脂(硬質合成樹脂)製、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂、FRP(繊維強化プラスチック)等のいずれかの材質から、合成樹脂の射出成型により一体成形により製造してもよい。
【0068】
また、蓋部材11を透明又は半透明の合成樹脂製としてもよい。蓋部材11を透明又は半透明の合成樹脂製とした場合には、メモリアルオブジェクトを前記したメモリアルオブジェクトの設置場所に設置した後に、装置本体4内に配置した回転容器部材5を取り出して、その密閉可能な空間部(K)内に挿入した被処理物(例えば、焼骨など)が粉末化されている状態を、蓋部材11を介して目視で確認することができるという効果が生じる。
【0069】
蓋部材11は、上記したように密閉容器5a内に設けた密閉可能な空間部(K)を密閉するための部材であって、平面視で円盤状をなす板部材である。蓋部材11は、密閉容器5aの回転軸心O方向の端面部に、着脱自在に固定される。この着脱自在に固定する手段としては、例えば、耐腐蝕性をもつステンレス鋼製のネジ又はビス等を採用することができる。これにより、焼骨などの被処理物を密閉容器5aの密閉可能な空間部(K)への挿入と密閉、そして密閉後、例えば、所定の日数が経過した後に、密閉容器5aから蓋部材11を取り外して粉骨化された粉末を取り出すことが可能になる。被処理物は、密閉容器5a内の密閉可能な空間部(K)内に密閉状態で長い年月の間収納されることも有り得るが、密閉可能な空間部(K)は蓋部材11により密閉されるので雨水や湿気などによる変質が防止される。
【0070】
密閉容器5a内に設けた密閉可能な空間部(K)は、回転軸心O方向に形成された略円筒形状の空間をなし、その内周面の全面には、図14に示すように、回転軸心Oと平行であり、回転軸心O方向に向いた複数の凹凸部5c、・・・を形成している。図14に示す例では、凹凸部5cの断面形状は、半円形をなす凹凸部5cを連接した状態に、すなわち、断面形状が鋭角状の先端部を有する凸状突起部5c1と半円状の凹部5c2とが交互に回転軸心O方向に所定の間隔をおいて形成された構成としている。また、この凹凸部5cは密閉可能な空間部(K)の内周面部に、密閉空間部Kの一端部から他端部まで回転軸心Oと平行となる方向に向けて形成している。
【0071】
この凹凸部5cの形状は、図14に示すように断面形状が半円形をなす凹凸部5cの他に、例えば、断面形状が三角形状の凹凸部を連接し、その角部を鋭角の凸状突起部5c1とする等、適切な凹凸部を密閉容器5aの内周面部に、回転軸心Oと平行な方向に1列、又は複数列、あるいは全面にわたって形成してもよい。
【0072】
なお、密閉容器5aを石材から製造するときに、この凹凸部5cを形成する方法は、例えば、次のようにして形成することができる。すなわち、所定の径を有する円柱状の石材について、その一端面部に設定された回転軸心Oから所定の半径の円に沿って、一端面部から他端面までドリル加工により、回転軸心O方向に沿うように所定の径の穴を順次連接させるように穿孔加工することにより形成することができる。
【0073】
密閉容器5aの外周面には、図14に示すように、複数の雨水溜まり部5b1、5b2、・・・を、所定の間隔を設けて回転軸心Oと平行な方向に向かって形成している。また、これら雨水溜まり部5b1、5b2、・・・には、それぞれ所定量の雨水を溜めることができる凹部(以下、「雨水溜め用凹部」という)5d1、5d2、・・・を形成している。
【0074】
図14は、8個の雨水溜め部5b1、5b2、・・・を密閉容器5aの外周面に等間隔で回転軸心O方向に形成して配置した例を示している。そして、図14に示す例では、雨水溜まり部5b1の雨水溜め用凹部5d1の開口部の直上に、台座3の凹部3aの底部3bに形成した雨水供給用貫通穴3cが位置している状態を示している。この状態において、降雨時の雨水が雨水供給用貫通穴3cから落下して雨水溜まり部5b1の雨水溜め用凹部5d1に所定量ほど溜まると、その雨水の重量により回転容器部材5はS1方向に所定の角度ほど回転し、次の雨水溜まり部5b8の雨水溜め用凹部5d8に雨水供給用貫通穴3cから落下する雨水が溜まることになる。このようにして、降雨時に収集した雨水の重量を利用して回転容器部材5をS1方向に、緩やかではあるが回転させることが可能になる。
【0075】
なお、密閉容器5aと雨水溜め用凹部5d1、5d2、・・・を有する雨水溜まり部5b1、5b2、・・・とが一体化された石材からなる回転容器部材5を製造するときには、この雨水溜まり部5b1、5b2、・・・の形成加工は、例えば、ドリル用切削工具等を用いて加工することができる。
回転容器部材5の大きさは、密閉容器5a内に挿入する被処理物を焼骨とした場合、回転軸心O方向の長さを200〜250mm程度、回転軸心O方向と直交する方向の高さを150〜200mm程度、密閉空間部Kの内径は100〜150mm程度と小型化した回転容器部材5にすることが望ましい。
【0076】
降雨時において、回転容器部材5の雨水溜め用凹部5d1、5d2、・・・には、順次、台座3に設けた雨水供給用貫通穴3cから落下した雨水の所定量が溜められる。例えば、上記したように、図14に示す雨水溜まり部5b1の雨水溜め用凹部5d1に所定量の雨水が溜まると、この雨水の重量は回転容器部材5を、回転軸心Oを中心としてS1方向に回転させる回転モーメントとして作用する。この回転モーメントにより、回転容器部材5はS1方向に回転(回動)することになる。回転容器部材5がS1方向に回転すると、雨水供給用貫通穴3cから落下する雨水は、次の雨水溜まり部5b8の雨水溜め用凹部5d8、あるいはその次の雨水溜まり部5b7の雨水溜め用凹部5d7、等に溜められることになる。これにより、降雨中は、回転容器部材5は緩やかではあるがS1方向に、順次、間欠的に回転(回動)することが可能になる。
【0077】
なお、本発明においては、雨水溜まり部5b1、・・・等の雨水溜め用凹部5d1、・・・等に、所定量の雨水を順次溜めてこの雨水の重力を利用した回転モーメントにより回転容器部材5を、例えば、S1方向に回転し易くするために、次の手段を採用することが望ましい。
【0078】
すなわち、図14に示すように、台座3の雨水供給用貫通穴3cから落下する雨水が、回転軸心Oを通りこの回転軸心Oと直交する垂直線Tからの水平距離L2が最も遠くなる位置にある雨水溜め用凹部内に向けて、極力直接的に落下するようにしている。このような手段を採用すると、図14に示すように、垂直線Tからの水平距離L2が最も遠くなる位置にある雨水溜まり部5b1の雨水溜め用凹部5d1内に向けて、台座3の雨水供給用貫通穴3cから雨水を直接的に落下させるようにすると、この雨水の落下重力が雨水溜め用凹部5d1に溜まった重力に付加されることになるので、回転容器部材5に作用する回転モーメントをより大きくすることが可能になる。
【0079】
上記した手段を実現するためには、図14に示すように、垂直線Tからの水平距離L2が最も遠くなる位置にある雨水溜まり部の雨水溜め用凹部の開口部の直上に、すなわち、垂直線Tからの水平距離がL2より小さいL3となる位置に、台座3の雨水供給用貫通穴3cを設けるようにするとよい。
なお、本発明においては、回転容器部材5の形状、大きさ、重量等を考慮して、最適な雨水溜まり部の形状と配置数、及び雨水溜め用凹部の体積を決定するようにする。例えば、上記した垂直線Tからの水平距離L3の値は、回転容器部材5の径(雨水溜まり部5b1等を考慮した径)を考慮して適切な値を設定するようにする。
【0080】
このようにして、本発明の一実施形態であるメモリアルオブジェクトM1は、降雨時において、台座3に設けた雨水供給用貫通穴3cから落下して雨水溜め用凹部5d1、・・・に溜まった雨水の重量によって、回転容器部材5がS1方向へ回転すると、雨水供給用貫通穴3cから落下する雨水は、順次、雨水溜め用凹部5d1、5d2、・・・のいずれかに溜められることになるので、回転容器部材5はS1方向へ、緩やかではあるが連続的に、あるいは間欠的に回転することになる。
【0081】
(メモリアルオブジェクトM1の設置手順)
上記構成からなるメモリアルオブジェクトM1を、前記したメモリアルオブジェクトの設置場所のいずれかに設置する手順の一例を説明すると、下記(1)〜(5)に記載のようになる。
【0082】
(1)予め、回転容器部材5の密閉容器5a内の密閉可能な空間部(K)内に、前記したように比較的粉末化し易い固形物(被処理物)である、例えば、遺族の火葬後の焼骨を挿入して蓋部材11により密閉容器5aを密閉する。
(2)次に、装置本体4を前記したメモリアルオブジェクトの設置場所上に設置する。このとき、装置本体4の下面部(図1(a)に設けた4つの設置用突出部4kを前記したメモリアルオブジェクトの設置場所上に接地させるとともに、装置本体4の下面部(又は上面部)の向きは水平方向になるようにする。
【0083】
(3)続いて、装置本体4内に回転容器部材5を水平になるように配置する。このとき、図11(c)に示すように、回転容器部材5の左右の端部に設けている回転軸8、8が軸受9を介して軸受支持部材10により支持・固定されるようにする。これにより、回転容器部材5は、装置本体4内に水平方向が回転の中心(回転軸心O)となるように配置され、この回転軸心Oを中心として回転自在に配置されることになる。このようにして、焼骨を挿入した回転容器部材5は、前記したメモリアルオブジェクトの設置場所から上方に、所定の距離ほど空間を隔てて離れた位置に配置され、また装置本体4の上面部からは下方に所定の距離ほど空間を隔てた位置に配置されるので、故人の焼骨は、あたかも空中に配置されたような状態になる。これは、後述する本発明の他の実施形態に係るメモリアルオブジェクトM2〜M6においても同様である。
【0084】
(4)装置本体4の上面部に台座3を載置する。このとき、前記したように、台座3に設けた雨水供給用貫通穴3cの下端部が回転容器部材5の直上であって、かつ平面視で回転軸心Oから所定の距離(図14に示すL3)離れた位置になるように、台座3を装置本体4の上面部に載置する。
【0085】
(5)次に、台座3の上面部に、雨水流下塔2を載置する。このとき、台座3の上面部に雨水流下塔2を安定した載置状態を維持するために、雨水流下塔2の下端(下面)部の面積を大きくする等、雨水流下塔2の下端部の形状を適切な形状にする等の対策を施すようにする。続いて、雨水流下塔2の上面部に降雨収集塔1を載置する。また、花立6を装置本体4の上に載置する。これにより、メモリアルオブジェクトM1の組み立と設置が完了する。この設置完了後の状態を示す図が図1(図2)である。
【0086】
なお、上記した設置する手順においては、メモリアルオブジェクトの設置後に、降雨収集塔1、雨水流下塔2、台座3及び装置本体4は、容易に取り外しができるように設置することが望ましい。また、装置本体4内に回転自在に配置した回転容器部材5も、装置本体4から軸受支持部材10とともに容易に取り外しができるようにする。
【0087】
(メモリアルオブジェクトM1の作用と効果)
以上に説明した本発明の実施形態に係るメモリアルオブジェクトM1は、前記したメモリアルオブジェクトの設置場所に設置しておくことにより、次のような作用効果を発揮することができる。
【0088】
自然現象である降雨が発生すると、降雨収集塔1の上に降り注いだ雨水、及び台座3上に配置した網部材7を介して取り込んだ雨水を利用して回転容器部材5を、前記したようにS1方向に回転させることができる。回転容器部材5が回転すると、密閉可能な空間部(K)内に挿入された被処理物(焼骨)も互いに接触しながら、かつ、密閉容器5aの内面部に設けた凸状突起部5c1に接触しながら回転、又は回動あるいは揺動する。このようにして、所定の雨量以上の降雨が発生する都度、密閉容器5aの密閉可能な空間部(K)に密閉された焼骨は長い日数をかけて徐々に粉砕されていくことになる。
【0089】
降雨時において、メモリアルオブジェクトM1の回転容器部材5はS1方向へ回転していく。そして、回転容器部材5がS1方向へ回転して、雨水溜め用凹部5d1、・・・のいずれかが図14に示す雨水溜め用凹部5d2〜5d4の位置に達すると、雨水溜め用凹部5d1等に溜まった雨水は装置本体4の底部4fに落下する。底部4fに落下した雨水は、装置本体4に設けた貫通穴4jを介してメモリアルオブジェクトM1を設置している前記したメモリアルオブジェクトの設置場所上に排出される。
なお、装置本体4に設ける貫通穴4jの数と穴の径の大きさは、例えば、メモリアルオブジェクトM1の設置地域における過去の単位時間当たりの最大降雨量等を考慮して設定する。
【0090】
回転容器部材5を石材製とし、この石材製の回転容器部材5を備えたメモリアルオブジェクトM1が寒冷地に設置された場合には、雨水溜まり部5b1、5b2、・・・のいずれかの雨水溜め用凹部5d1、・・・内に残留した雨水は凍結する可能性がある。この雨水が凍結すると、その膨張により雨水溜まり部5b1、5b2、・・・にヒビ割れが発生する恐れがある。このヒビ割れを防止するために、図14に示すように、雨水溜まり部5b1、5b2、・・・の側壁には、ヒビ割れ防止用の穴(貫通穴)5eを設けておくことが望ましい。
【0091】
上記した本発明の実施形態に係るメモリアルオブジェクトM1の使用形態の一例としては、故人の焼骨を、例えば、公園墓地、あるいは合葬式の合同墓などに埋葬するまで、故人の焼骨を粉骨化するまでの過程となるメモリアルオブジェクトとして用いることが可能になる。
【0092】
このように、本発明をメモリアルオブジェクトM1として用いた場合には、生成された遺灰について、この遺灰を収納する空間部を備えたダイヤモンド装身具や人工宝石、あるいはその一部をペンダントに入れたアクセサリー、小さく美観性の高い納骨器(骨壺)として自宅供養する、等の手元供養としての利用、あるいは故人の遺志に基づいて散骨が認められる場所での散骨を行うための粉骨を得ることが可能になる。このような効果は、後述するメモリアルオブジェクトM2〜M6についても同様である。
【0093】
なお、本発明の実施形態となるメモリアルオブジェクトM1は、その全体の高さは500〜1000mm程度、このうち、雨水流下塔2の高さは300〜400mm程度、装置本体4の縦横の寸法を250〜300mm程度と小型化することが可能になるので、設置の作業も容易になり、さらに設置する場所の面積も小さくすることができるという効果も生じる。
【0094】
[第2の実施形態]
続いて、本発明の第2の実施形態に係るメモリアルオブジェクトM2について、図15〜図19を参照して説明する。第2の実施形態となるメモリアルオブジェクトM2は、装置本体内に回転容器部材5を2個配置した構成としたことに特徴がある。
【0095】
図15は、メモリアルオブジェクトM2を後方からみた斜視図である。メモリアルオブジェクトM2は、図15及び図16に示すように、雨水を取り込むための降雨収集塔21、雨水流下塔22、台座23、装置本体24、装置本体24内に回転自在に配置され、密閉可能な空間部(K)を有する2つの回転容器部材(5−1)、(5−2)(図19参照)、台座23の上面部に装着された網部材27、等を備えている。この回転容器部材(5−1)、(5−2)は、前記したメモリアルオブジェクトM1が備えている回転容器部材5と同じ構成を備えている。メモリアルオブジェクトM2は、2つの回転容器部材5−1と5−2を備えた構成としているので、前記したメモリアルオブジェクトM1と比較してその横幅寸法を大きくした構成にしている。
【0096】
メモリアルオブジェクトM2をメモリアルオブジェクトの設置場所に設置するときには、図15に示すように、2つの回転容器部材(5−1)、(5−2)を配置した装置本体24の上面部に台座23を載置し、続いて、台座23の上面部に雨水流下塔22を載置し、次に雨水流下塔22の上面部に上蓋となる降雨収集塔21を載置する。なお、図15には、メモリアルオブジェクトM1が備えている花立6を示していないが、必要に応じてこの花立6を設けてもよい。
【0097】
上記各部材のうち、降雨収集塔21、雨水流下塔22、台座23、装置本体24、回転容器部材5−1と5−2、花立の材質は、上記したメモリアルオブジェクトM1と同様に、硬質で風化し難い石材である御影石等を用いて、機械加工等により所望の形状に加工して仕上げることができる。網部材27は、碁盤の目状に微小な貫通穴を多数配列したステンレス鋼等の耐腐蝕性を有する部材から構成された網部材であって、降雨時に取水する雨水に含まれているゴミ(木の葉など)を除去するための部材である。
【0098】
(降雨収集塔)
続いて、上記した各部材について、その構造の概要について説明する。
降雨収集塔21は、図16(a)に示すように、第1の実施形態の降雨収集塔1よりも平面視で横幅が大きい長方形状をなしている。降雨収集塔1の上面部には、底面部から上方に向かって開口した凹状開口部を備えている。平面視で長方形状をなす凹状開口部の4つの側部(辺部)には、所定の高さを有する下り傾斜面21a、21a、21b、21bを形成している。また、凹状開口部の底面部からは山形形状をなす山形状突出部21hを垂直方向に立設させている。図15(図16)では、この山形状突出部21hは斜面21c、21c、21d、21dを有する四角錐とした例を示しているが、円錐形状、あるいは他の形状を有する突出部としてもよい。
【0099】
また、図16に示すように、凹状開口部の底面部の周辺部には平面視で長方形状をなすように平坦面部21eを設け、平坦面部21eの各辺にはドリル加工により一つ又は複数の貫通穴21fを、底面部を貫通させるように形成している。なお、貫通穴21fはスリット状の穴としてもよい。
【0100】
上記した構成を備えている降雨収集塔21の上面部に降雨が降り注いだときに、雨水を収集する作用は、前記した降雨収集塔1の作用と同様である。降雨収集塔21の上面部で収集した雨水は、貫通穴21fを介して雨水流下塔22の上面部に流れ込むことになる。
【0101】
(雨水流下塔)
雨水流下塔22は、図16(b)、(c)に示すように所定の高さを有し、水平方向の断面形状は長方形状をなし、側面部には意匠性を高めるために複数の溝部22dを水平方向に形成している。
雨水流下塔22の上面部(上端部)には、平面視で長方形状をなす集水用凹部22aを形成している。集水用凹部22aの底部22bは、その中央部に向かって下り傾斜となる傾斜面を形成するとともに、底部22bの中央部には、雨水流下塔22の高さ方向(垂直方向)に貫通する雨水流下用貫通穴22cを設けている。図16(c)には、雨水流下塔22の上面部に形成した集水用凹部22aと、雨水流下用貫通穴22cの断面形状を点線で示している。
【0102】
雨水流下塔22の上面部に降雨収集塔21を載置したときには、降雨収集塔21に設けた貫通穴21fの下端は、集水用凹部22aの上面空間内に位置するようにする。これにより、上蓋21の上面部に降り注いだ雨水は、貫通穴21fを介して雨水流下塔22の集水用凹部22a内に流れ込み、さらに、雨水流下塔22内に形成された雨水流下用貫通穴22cに流れ込んで、雨水流下用貫通穴22c内を下方に向かって流下する。このように、貫通穴21fは集水用凹部22aを介して雨水流下用貫通穴22cと連通していることになる。
【0103】
(台座)
台座23は、所定の厚み(高さ)を有し、図17(a)に示すように、平面視で長方形状をなしている。また、台座23の上面部の中央部近傍には所定の深さを有する雨水分配凹部23aを設けている。さらに、雨水分配凹部23aの底部23bには、図17(b)に示すように、2つの雨水供給用貫通穴23c1、23c2を設けている。なお、図17(b)は、雨水分配凹部23aの上面の一端部側に網部材27を装着したときの状態を示し、また、点線で示す22cは、台座23の上面部に雨水流下塔22を載置したときに雨水流下塔22に形成した雨水流下用貫通穴22cの下端部の位置を示している。
【0104】
台座23は、上記した構成を備えているので、降雨収集塔21で収集された雨水は、雨水流下塔22に設けた雨水流下用貫通穴22c内を流下して、台座23に設けた雨水分配凹部23a内に落下して集められる。そして、雨水分配凹部23aに集められた雨水は、雨水分配凹部23aの底部23bに設けた2つの雨水供給用貫通穴23c1、23c2を通って装置本体24内に落下することになる。このように、雨水流下用貫通穴22cと雨水供給用貫通穴23c1、23c2とは、台座23に設けた雨水分配凹部23aを介して連通されることになる。
【0105】
なお、降雨時において、網部材27が配置されている側であって雨水流下塔22の側面部に向かって降り注いだ雨水と、台座23の上面部であって網部材27が配置されている上面部側に降り注いだ雨水の一部は、網部材27を介して雨水分配凹部23a内に流れ込む。これにより、降雨時において、雨水分配凹部23a内に集められる雨水の量は、降雨収集塔21で収集した雨水量に、網部材27を介して雨水分配凹部23aに流れ込んだ雨水量を加えた量になる。
図15(図17(b))等においては、台座23の上面部に網部材27を装着して台座23上から雨水を取込む手段は1ケ所のみ設けた例を示しているが、雨水分配凹部23aの他の側面にも雨水を取込む手段を設けて、より多くの雨水が収集できるようにしてもよい。
【0106】
(装置本体)
続いて、装置本体24の構成を図18〜図19に基づいて説明する。装置本体24は、図18(a)に示すように、上面部が長方形状の上部開口部24aを有する箱型形状をなしている。さらに、この上部開口部24aの各側辺部から下方に向けて形成された側面部24b、24c、24d、24eと、これら側面部24b〜24eの下端部に設けた底部24f(図18(b)参照)を備え、これら側面部24b〜24eと底部24fに囲まれた部分には空間部24gが形成されている。
【0107】
また、装置本体24の対向する一対の横長の側面部24bと24cが空間部24gに面する面側には、側面部24b、24cの上端部から所定の幅Wと長さL1を有する2対の溝部24h1と24i1、及び24h2と24i2を底部24f方向に向けて設けている(図18(b)、(c)参照)。さらに、側面部24b〜24eのいずれか一つ又は複数についてその下端部であって底部24fに略接する位置に、一つ又は複数個の貫通穴24jを設けている。この貫通穴24jは、底部24fに落下した雨水を外部に排出するための穴である。なお、図15、図18に示す24kは、メモリアルオブジェクトM2を前記したメモリアルオブジェクトの設置場所に設置するための設置用突出部である。
【0108】
装置本体24に形成された空間部24gは、前記した密閉可能な空間部(K)を有する回転容器部材5の2個(以下、回転容器部材(5−1)、(5−2)と記載する)を挿入するための空間部になる。また、対向して配置されている溝部24h1と24i1、及び24h2と24i2は、これらの回転容器部材(5−1)、(5−2)に設けた回転軸8を、軸受9を介して水平方向に固定するために設けた溝部である。そして、溝部24h1と24i1、及び24h2と24i2に挿入された軸受9は、軸受支持部材10により支持・固定される。これにより、2つの回転容器部材(5−1)と(5−2)は、装置本体24内に水平方向に支持され、かつ、回転軸心Oを中心として回転自在になる。なお、軸受9は、前記したように、ボールベアリング等を用いた防水性の高い軸受を用いるようにする。
【0109】
装置本体24内に回転自在に支持される2つの回転容器部材(5−1)と(5−2)のそれぞれの構成例は、前記した第1の実施形態において図12〜図14に基づいて説明した回転容器部材5の構成と同一の構成にすることができるので、その構成の説明は省略する。
【0110】
装置本体24内に2つの回転容器部材(5−1)と(5−2)を配置したときの平面図を示す図19において、点線の丸印で示す23c1、23c2は、台座23の凹部23aの底部23bに設けた2つの雨水供給用貫通穴23c1、23c2(図17(b)参照)の位置を示している。
このうち、雨水供給用貫通穴23c1は、雨水流下塔22の雨水流下用貫通穴22cの下端部から落下して台座23の雨水分配凹部23a内に流れ込んだ雨水を、2つの回転容器部材(5−1)と(5−2)のうちの一方の回転容器部材の雨水溜まり部5b1、・・・のいずれかに向けて落下させる穴になる。また、雨水供給用貫通穴23c2は、雨水分配凹部23a内に流れ込んだ雨水を、2つの回転容器部材(5−1)と(5−2)のうちの他方の回転容器部材の雨水溜まり部5b1、・・・のいずれかに向けて落下させる穴になる。
【0111】
そして、雨水分配凹部23aに形成した雨水供給用貫通穴23c1、23c2から流下した雨水の所定量が回転容器部材(5−1)と(5−2)のいずれかの雨水溜め用凹部5d1等に溜まると、この溜まった雨水の重量による回転モーメントが作用して回転容器部材(5−1)、(5−2)は所定方向に回転することになる。この回転容器部材(5−1)、(5−2)が雨水の重量による回転とこの回転による作用は、前記第1の実施形態に係るメモリアルオブジェクトM1で説明した通りであるが、この第2の実施形態に係るメモリアルオブジェクトM2においては、降雨時に収集した雨水を利用して2つの回転容器部材(5−1)と(5−2)を回転させることが可能になるという特徴を備えている。
【0112】
このように、図17に示す雨水分配凹部23aを備えた台座23は、降雨収集塔21等で収集した雨水を、2個の回転容器部材(5−1)、(5−2)のそれぞれが備えている雨水溜め用凹部5d1等に分配して供給するための手段になる。
【0113】
なお、台座23の雨水分配凹部23aの底部23に形成する2つの雨水供給用貫通穴23c1と23c2(図17(b)参照)の位置は、図19に示すように、平面視で2つの回転軸心Oの間であって、それぞれの回転軸心Oから所定の距離をおいた回転容器部材5のいずれかの雨水溜め用凹部の直上に配置するようにすることが望ましい。図19に示す例では、2つの回転容器部材(5−1)と(5−2)は、雨水の重量を利用してそれぞれ異なった方向に回転することになる。
【0114】
この第2の実施形態に係るメモリアルオブジェクトM2は、例えば、その全体の高さは600〜1000mm程度、装置本体24の縦横の寸法は300〜500mm程度と、メモリアルオブジェクトM1と比較して横幅が若干大きくなるが、小型化されたメモリアルオブジェクトとすることができる。なお、メモリアルオブジェクトM2を前記したメモリアルオブジェクトの設置場所上に設置する手順は、前記したメモリアルオブジェクトM1を設置する手順と同じである。
【0115】
上記した本発明の第2の実施形態に係るメモリアルオブジェクトM2は、2つの回転容器部材(5−1)と(5−2)を備えているので、それぞれの回転容器部材の密閉容器5a内に、例えば、異なる故人の方(ご両親)の焼骨、あるいは故人の焼骨とこの故人が可愛がっていたペット等の焼骨を挿入して密閉することにより、この焼骨を粉末(粉骨)化することができる。これにより、メモリアルオブジェクトM2は、前記したメモリアルオブジェクトM1と同様に、焼骨が雨水を利用して粉骨化されるまでの過程の装置として、そして、粉骨化後の任意の時期に一般の墓石や合葬式の合同墓、あるいは自宅に保管する収骨器(骨壺)に収骨しようとする場合において、その容積を1/3〜1/4にすることができるので、将来の埋葬環境を考慮したメモリアルオブジェクトとすることができる。
【0116】
また、このメモリアルオブジェクトM2は、メモリアルオブジェクトM1と同様に、既に無縁墓となった墓碑内の遺骨を、長い期間をかけて弔いながら粉骨化する装置としても利用することができる。これにより無縁の遺骨を粉骨化してその容積を大幅に減少させることができるので、合葬式の無縁合同墓の設置面積を小さくすることができるという効果も生じる。
【0117】
[第3の実施形態]
続いて、本発明の第3の実施形態に係るメモリアルオブジェクトM3について、図20〜図24を参照して説明する。このメモリアルオブジェクトM3は、装置本体内に回転容器部材を3個配置したことに特徴がある。
【0118】
図20は、メモリアルオブジェクトM3を後方からみたときの斜視図である。メモリアルオブジェクトM3は、雨水落下塔32と、台座33と、装置本体34と、装置本体34内に回転自在に配置され、密閉可能な空間部(K)を有する3つの回転容器部材(5−1)、(5−2)、(5−3)(図24参照)を備えている。そして、メモリアルオブジェクトM3においては、装置本体34の上面部に台座33が載置され、台座33の上面部に雨水落下塔32が載置されている。
【0119】
雨水落下塔32は、正面視においては所定の厚さを有する平板状の多角形状をなしている。雨水落下塔32を正面視で多角形状にした理由は、メモリアルオブジェクトM3の外観上の意匠性を高めるためである。図20(図21)に示す例では、正面視で、雨水落下塔32の形状は略5角形状(星形形状)をなすようにしている。
なお、雨水落下塔32を正面からみた形状は、図20に示す概略星形の形状の他に、6角形状、8角形状等の多角形状、あるいは意匠性を持たせた適切な形状を採用することが望ましい。
【0120】
この雨水落下塔32は、前記した第1及び第2の実施形態で説明した降雨収集塔1と雨水落下塔2、又は降雨収集塔21と雨水落下塔22とを一体化した機能、すなわち、降雨による雨水を収集する機能と、この収集した雨水を集めて台座33の方向に向けて流下させる機能を備えていることに特徴がある。
【0121】
雨水落下塔32の構成を、図21(a)、(b)に基づいて詳細に説明すると次のようになる。雨水落下塔32の正面視の形状は略5角形状をなし、その上方部の中央部から山形状に上方に向かって突出する山形状突出部32aを設け、さらに、この山形状突出部32aの基部には、左右方向に、かつ略水平方向に所定の長さほど突出する水平突出部32bと32cと、この雨水落下塔32を装置本体34の上面部に安定した状態で載置するための基台部32d、等を設けている。
【0122】
さらに、図21(b)に示すように、水平突出部32bと32cの上面部には所定の長さと幅及び溝深さを有する凹部となる雨水収集用凹部32e、32fをそれぞれ形成している。そして、これらの雨水収集用凹部32e、32fの底部は、雨水落下塔32の内部の中央部に向けて傾斜する斜面とし、雨水収集用凹部32e、32fは貫通穴32iを介して、雨水収集用凹部の雨水流下用貫通穴32hに連通させている。雨水流下用貫通穴32hは、雨水収集用凹部の下面部まで垂直方向に形成された穴である。
【0123】
なお、それぞれの水平突出部32bと32cの上面部には、その縁部から雨水収集用凹部32e、32f方向に向かって下り傾斜となる傾斜面32gを形成することが望ましい。雨水収集用凹部32e、32fは降雨時等において、水平突出部32bと32cの上面部に降り注いだ雨水、及び山形状突出部32aの傾斜側面部に降り注いだ雨水を収集して取り込むための凹部、すなわち、降雨による雨水を収集する機能を実現する手段になる。また、雨水収集用凹部32e、32fと雨水流下用貫通穴32hは、雨水落下塔32で収集した雨水を集めて台座33の方向に向けて流下させる機能を実現する手段になる。
【0124】
雨水収集用凹部32e、32fの上部には、ステンレス鋼製等の網部材37aを装着して雨水収集用凹部32e、32f内にゴミが侵入することを防止している。また、山形状突出部32aの傾斜側面部に装着している網部材37bもテンレス鋼製等からなっている。この網部材37bは、意匠性を高めるための装飾用の部材であって、耐腐蝕性を有するネジ部材を用いて山形状突出部32aの側面部に固定している。
なお、この山形状突出部32aの傾斜側面部にも上記した雨水収集用凹部32e、32fと同様の凹部を傾斜するように形成して網部材37bを装着し、降雨時においてこれら凹部に取り込んだ雨水をそれぞれ雨水収集用凹部32e、32fに流下させるようにしてもよい。
【0125】
雨水落下塔32は上記した構成を備えているので、降雨時に雨水収集用凹部32e、32fに流れ込んだ雨水は、雨水収集用凹部32e、32fから貫通穴32iを通って雨水流下用貫通穴32hの上方に流れていき、さらに雨水流下用貫通穴32h内を下方に向けて流下することになる。なお、石材からなる雨水落下塔32を石材製とした場合には、雨水取水塔32に、雨水流下用貫通穴32h、雨水収集用凹部32e、32f、及び貫通穴32iの形成は、ドリル加工等に形成する。
【0126】
(台座)
次に、台座33の構成を図22に基づいて説明する。台座33は、図22(a)、(b)に示すように、所定の厚さ(高さ)を有し、平面視で長方形状をなし、その上面部の中央部近傍には所定の深さを有する雨水分配凹部33aを設け、さらに、雨水分配凹部33aの底部33bには3つの雨水供給用貫通穴33c1、33c2、33c3を設けている。なお、図22(b)において、点線で示す32hは、台座33の上面部に雨水落下塔32を載置したときに、雨水落下塔32に形成した雨水流下用貫通穴32hの基部32dの下端面における開口部の位置を示している。すなわち、台座33の上面部に雨水落下塔32を載置したときには、雨水落下塔32に形成されている雨水流下用貫通穴32hの下端部における開口部は、雨水分配凹部33aの上方開口部内に位置させることを示している。
【0127】
なお、雨水分配凹部33aの底部33bに3つの雨水供給用貫通穴33c1、33c2、33c3を設ける位置は、後述するように、装置本体34内に配置された3個の回転容器部材(5−1)、(5−2)、(5−3)のそれぞれの雨水溜め用凹部5d1等の直上の位置であって、それぞれの回転容器部材の回転軸心Oから所定の距離ほど離れた位置になるようにする。
【0128】
また、台座33の上面部に雨水落下塔32を載置した際には、雨水分配凹部33aの長手方向の一方の端部、あるいは複数の端部には所定の隙間が生じるようにして、この隙間に、図20に示すように網部材37cを装着する。これにより、雨水落下塔32の後側の側面などと、台座33の上面部であってこの網部材37cを装着した上面部に降雨した雨水の一部も、網部材37cを介して台座33に形成した雨水分配凹部33a内に取り込むことができるので、より多くの雨水を雨水分配凹部33a内に取り込むことが可能になる。
【0129】
台座33は上記した構成を備えているので、降雨時において、雨水落下塔32に形成された雨水流下用貫通穴32hを流下した雨水と、台座33の網部材37cを通過した雨水は、台座33の雨水分配凹部33a内に取り込まれる。そして、雨水分配凹部33a内に取り込まれた雨水は、3つの雨水供給用貫通穴33c1、33c2、33c3を介して装置本体34に向けて落下する。
【0130】
雨水供給用貫通穴33c1、33c2、33c3から落下した雨水は、雨水供給用貫通穴33c1、33c2、33c3の位置に対応して装置本体34内に回転自在に配置されているそれぞれの回転容器部材(5−1)、(5−2)、(5−3)の雨水溜め用凹部5d1等に供給されることになる。
【0131】
(装置本体)
続いて、装置本体34の構成について説明する。装置本体34は、回転容器部材を3つ配置するために、前記した回転容器部材を2つ配置したメモリアルオブジェクトM2の装置本体24と比較して、その横幅を少し大きくした構成としている。従って、装置本体34の基本的な構成は、回転容器部材を3つ配置可能とした構成以外は、前記した装置本体24と同様であるので、図23〜図24に基づいてその構成の概要のみを説明する。
【0132】
図23(a)に示すように、装置本体34は、上面部が長方形状をなす上部開口部34aを有する箱型形状をなし、この上部開口部34aの各側辺部から下方に向けて形成された側面部34b、34c、34d、34eと、これら側面部34b〜34eの下端部に設けた底部34f(図23(c)参照)を備えている。そして、これら側面部34b〜34eと底部34fとに囲まれた空間部34gを備えている。
【0133】
また、装置本体34の対向する横長の一対の側面部34bと34cが空間部34gに面する面部には、側面部34b、34cの上端部から所定の幅Wと長さL1を有する3対の溝部34h1と34i1、34h2と34i2、及び34h3と34i3を底部34f方向に向けて設けている(図23(b)、(c)参照)。さらに、側面部34b〜34eのいずれか一つ又は複数の下端部であって底部34fに略接する位置に、一つ又は複数個の貫通穴34jを設けている。この貫通穴34jは、底部34fに落下した雨水を外部に排出するための穴である。
【0134】
装置本体34に形成された空間部34gは、前記した密閉可能な空間部(K)を有する3個の回転容器部材(5−1)、(5−2)、(5−3)を挿入して配置するための空間部になる。なお、溝部34h1と34i1、34h2と34i2、及び34h3と34i3は、これら3個の回転容器部材に設けられている回転軸8を回転自在に支持するための軸受9を挿入して、この軸受9の位置を固定する手段となる軸受支持部材10を装着するための溝部である(図23(c)参照)。
【0135】
これにより、装置本体34内に配置した3個の回転容器部材(5−1)、(5−2)、(5−3)は、図24に示すように、装置本体34内において水平方向に支持され、かつ、回転軸心Oを中心として回転自在に配置されることになる。
なお、図20、図23に示す34kは、本体装置部34の下面部の短辺側の側面に設けた設置用突出部である。
【0136】
装置本体34内に回転自在に支持される3つの回転容器部材(5−1)、(5−2)、(5−3)のそれぞれの構成は、前記した第1の実施形態において図13〜図14に基づいて説明した回転容器部材5の構成と同一の構成にすることができるので、その構成の説明は省略する。
図24は、装置本体34内に3個の回転容器部材(5−1)、(5−2)、(5−3)を配置したときの配置例を示すとともに、装置本体34の上面部に台座33を載置したときに、装置本体34内に3個の回転容器部材(5−1)、(5−2)、(5−3)の配置位置に対応させて、台座33に形成した雨水分配凹部33aの底部33bに設けた3つの雨水供給用貫通穴33c1、33c2、33c3の位置を点線の丸印で示している。
【0137】
図24に示す雨水供給用貫通穴33c1は、台座33の雨水分配凹部33a内に流れ込んだ雨水を、3個の回転容器部材のうちの回転容器部材(5−1)の直上であって平面視でこの回転容器部材の回転軸心Oから所定の距離ほど離れた位置に配置され、この雨水供給用貫通穴33c1から落下した雨水は、回転容器部材(5−1)の雨水溜め用凹部5d1、5d2、・・・のいずれかに溜まることになる。
【0138】
同様に、雨水供給用貫通穴33c2は、台座33の雨水分配凹部33a内に流れ込んだ雨水を、3個の回転容器部材のうちの回転容器部材(5−2)の直上であってこの回転容器部材の回転軸心Oから所定の距離ほど離れた位置に配置され、この雨水供給用貫通穴33c2から落下した雨水は、回転容器部材(5−2)の雨水溜め用凹部5d1、5d2、・・・のいずれかに溜まることになる。
雨水供給用貫通穴33c3も上記と同様であって、雨水供給用貫通穴33c3から落下した雨水は、回転容器部材(5−3)の雨水溜め用凹部5d1、5d2、・・・のいずれかに溜まることになる。
【0139】
このように、図20(図22)に示す台座33は、雨水落下塔32で取り込んだ雨水と、網部材37cを介して取り込んだ雨水を、3個の回転容器部材(5−1)、(5−2)、(5−3)が備えている雨水溜め用凹部に分配して供給するための手段になる。
そして、貫通穴33c1、33c2、33c3から落下した雨水の所定量がそれぞれの回転容器部材(5−1)、(5−2)、(5−3)の雨水溜め用凹部5d1、5d2、・・・のいずれかに溜まると、この溜まった雨水の重量による回転モーメントが作用して、回転容器部材は(5−1)、(5−2、(5−3)は所定の方向に回転することになる。
【0140】
このように、メモリアルオブジェクトM3では、降雨時に取り込んだ雨水を利用して3つの回転容器部材(5−1)、(5−2)、(5−3)を回転させることが可能になる。なお、この回転容器部材(5−1)、(5−2)、(5−3)を、雨水を利用して回転させてそれぞれの密閉可能な空間部(K)に挿入された被処理物(焼骨)を粉骨化する作用は、前記第1の実施形態に係るメモリアルオブジェクトM1で説明した通りである。
【0141】
上記したメモリアルオブジェクトM3は、その全体の高さは1000mm程度、装置本体34の大きさは縦方向の長さを300mm、横方向の長さを700mm程度と比較的に小型化することが可能になる。従って、前記したメモリアルオブジェクトM1、M2と同様に、例えば、このメモリアルオブジェクトM3をメモリアルオブジェクトの設置場所への設置から長い日数が経過して焼骨が粉骨化された後の任意の時期に、家族の事情に基づいて適切な供養手法を選択することができる。
このように、メモリアルオブジェクトM3は、例えば、合葬式の合同墓などに埋葬するまでの故人の遺骨を長い日数をかけて故人を偲びながら粉骨化するまでの過程として使用する装置として利用することができる。なお、メモリアルオブジェクトM3をメモリアルオブジェクトの設置場所上に設置する手順は、雨水流下塔32の上面部に雨水取り込み部材(上蓋)を載置する必要がない以外は、前記したメモリアルオブジェクトM1を設置する手順と同様である。
【0142】
上記したメモリアルオブジェクトM3は、3個の回転容器部材(5−1)、(5−2)、(5−3)を備えたメモリアルオブジェクトとした例であるが、さらに、4個以上の回転容器部材5を装置本体内に配置したメモリアルオブジェクトを製作することもできる。この場合には、例えば、装置本体内に2列にわたって回転容器部材を挿入する空間部を設けて4個以上の回転容器部材を備える構成にし、雨水落下塔で収集した雨水を台座に設けた雨水分配凹部内に集め、この雨水をそれぞれの回転容器部材に向けて落下させるようにする。
なお、4個の回転容器部材を備えたメモリアルオブジェクトの構成例については、後述する第6の実施形態において説明する。
【0143】
[第4の実施形態]
続いて、本発明の第4の実施形態に係るメモリアルオブジェクトM4を、図25〜図26に基づいて説明する。図25は、メモリアルオブジェクトM4の回転軸心O方向に対する部分縦断面図、図26は図25において回転軸心O方向と直交する方向の部分縦断図である。
メモリアルオブジェクトM4は、図2に示す回転容器部材5を1つ備えたメモリアルオブジェクトM1について、降雨時において降雨収集塔1により収集した雨水を、雨水流下塔2の上方部から回転容器部材5の雨水溜まり部5b1、5b2、・・・のいずれかに向けて「直接的に落下させる」構成にしたことに特徴がある。
【0144】
なお、この「直接的に落下させる」とは、降雨収集塔1により収集した雨水を、雨水流下塔2の内部に垂直方向に形成した雨水流下用貫通穴の上方部から回転容器部材5の雨水溜まり部5b1、5b2、・・・のいずれかに直接的に落下させることを示す。すなわち、降雨収集塔1で収集した雨水を、降雨収集塔1の雨水流下用貫通穴や、台座に形成した雨水供給用貫通穴の内周面上に沿って、かつ内周面と接触しながら流下させるのではなく、雨水の全て、あるいはほとんど全てを、雨水流下用貫通穴の上方部から垂直方向にこれら雨水流下用貫通穴や雨水供給用貫通穴の垂直方向の中心線近傍に沿って落下させることを意味する。
【0145】
図25〜図26に示すメモリアルオブジェクトM4において、雨水を「直接的に落下」させるために次の手段1、手段2を採用している。
【0146】
(手段1)
雨水流下塔2の上面部に形成した集水用凹部2d(図25に点線で図示)の底部から垂直方向(縦方向)に所定の長さ(L5)を有する位置決め用貫通穴2eを形成する。さらに、この位置決め用貫通穴2eの下端部と連接させた雨水流下用貫通穴2fを、雨水流下塔2の下面部まで垂直方向に長さ(L6)を有するように形成する。そして、雨水流下用貫通穴2fの径(d2)を位置決め用貫通穴2eの径(d1)より大きくするとともに、位置決め用貫通穴2eと雨水流下用貫通穴2fの垂直方向の中心線Vは、一致又はほぼ一致させる。
【0147】
(手段2)
台座3には、図25に示すように、上面部から下面部に貫通する貫通穴3fを形成する。なお、貫通穴3fの形状は、例えば、平面視で矩形状とし、その水平方向の穴の大きさ(縦横の寸法)は、台座3の上面部に雨水流下塔2の下面部を載置したときに、雨水流下塔2の雨水流下用貫通穴2f内を直接的に落下した雨水は、同じく台座3に形成した貫通穴3fの内周面に極力接触しないで直接的に落下するような大きさにする。また、図25に示すように貫通穴3fの上面部の形状は、網部材37を通過した雨水も貫通穴3f内に流れ込むように、網部材37を装着する空間部を設けるようにする。
【0148】
なお、上記した位置決め用貫通穴2eの長さL5、雨水流下用貫通穴2fの長さL6、位置決め用貫通穴2eの径d1、雨水流下用貫通穴2fのd2の値は、例えば、L5は20mm程度、L6は雨水流下塔2の高さの仕様に基づくが、例えば300〜400mm程度にする。また、雨水流下用貫通穴2fの径d2は、位置決め用貫通穴2eの径d1の少なくとも1.5倍以上、好ましくは2〜4倍程度にする。例えば、位置決め用貫通穴2eの径d1は10〜20mm程度、雨水流下用貫通穴2fの径d2は20〜80mm程度に設定する。これにより、雨水は雨水流下塔2に形成した雨水流下用貫通穴2fを直接的に落下することが可能になる。
【0149】
なお、上記した位置決め用貫通穴2eについて、その垂直方向の下端部、すなわち、雨水流下用貫通穴2fの上端部と連通する部分の径を、径d1より若干径を細くして、位置決め用貫通穴2eを通過した雨水が雨水流下用貫通穴2fの中心線Vに沿ってより垂直に直接的に落下させるようにしてもよい。
【0150】
続いて、メモリアルオブジェクトM4により収集した雨水が、回転容器部材5を回転させる作用について説明する。
降雨時において、降雨収集塔1により収集した雨水は、雨水流下塔2の上面部に設けた集水用凹部2dに流れ込む。そして、集水用凹部2dに流れ込んだ雨水は長さ(L5)が20mm程度、径(d1)が10〜20mm程度の位置決め用貫通穴2e内に流入して垂直方向に向かって流下するようにその流れ方向が規制される。そして、位置決め用貫通穴2eの下端部から流出した雨水の全て又は大部分は、雨水流下用貫通穴2fの空間部内を垂直に落下する流れとなる。
【0151】
このとき、雨水流下用貫通穴2fの径d2は、位置決め用貫通穴2eの径d1の2〜4倍程に設定しているので、雨水流下用貫通穴2fの空間部を垂直に落下する雨水の大部分は、雨水流下用貫通穴2fの内周面と接触することなく、雨水流下用貫通穴2fの垂直方向の中心線Vに沿った流れとなって雨水流下用貫通穴2f内と、台座3に設けた貫通穴3f内を直接的に、かつ垂直に落下する。そして、台座3の貫通穴3f内を落下した雨水は、回転容器部材5の外周面部、すなわち、平面視で回転軸心Oから所定の距離ほど離れた位置となる雨水溜め部5b1、5b2、5b3、・・・のいずれか、又はこれらの雨水溜め用凹部5d1等の開口部上に直接に落下することになる。
【0152】
このようにして、雨水が雨水流下用貫通穴2fの上方部から回転容器部材5の外周面部であって回転軸心Oから所定の距離離れた位置に、直接的に、かつ集中して落下すると、回転容器部材5の外周面部には直接的に落下する雨水の重力(雨水の落下重力)が作用するとともに、落下した雨水は雨水溜め用凹部5d1、5d2、・・・のいずれかに溜まることになる。この雨水の落下重力は、回転容器部材5をS1又はS2方向に回転させる回転モーメントを付加させる力(付勢力)として作用することになる。
【0153】
上記構成を備えたメモリアルオブジェクトM4は、回転容器部材5をS1又はS2方向に回転させようとする回転モーメントは、前記したメモリアルオブジェクトM1〜M3よりも大きくすることができる。これにり、メモリアルオブジェクトM4では、降雨時において、雨水を利用して回転容器部材5をメモリアルオブジェクトM1〜M3よりも容易に回転させることが可能になり、かつ、その単位時間当たりの回転数を上げることも可能になる。特に、単位時間当たりの降雨量が多い降雨時には、回転容器部材5の単位時間当たりの回転数を上げることが可能になる。
【0154】
このように、メモリアルオブジェクトM4では、時間当りの降雨量が多い降雨時において、回転容器部材5の単位時間当たりの回転数を多くすることが可能になるので、回転容器部材5の密閉容器5a内に密閉状態で挿入されている被処理物(焼骨)は、焼骨どうしの接触と、凸状突起部5c1との接触の回数が増加するので、焼骨の粉末化がより促進されることになる。
【0155】
[第5の実施形態]
続いて、本発明の第5の実施形態に係るメモリアルオブジェクトM5を、図27に基づいて説明する。メモリアルオブジェクトM5は、前記した回転容器部材5を2個備えたメモリアルオブジェクトM2(図15参照)について、上記したメモリアルオブジェクトM4と同様に、降雨収集塔21で取り込んだ雨水を、2個の回転容器部材(図27に示す(5−1)と(5−2))の外周面部上に直接的に落下させて、降雨時の雨水を利用してこれら2個の回転容器部材を回転し易くしたものである。
【0156】
このメモリアルオブジェクトM5は、雨水流下塔22の上面部に形成した集水用凹部22eの底部22fには、所定の径を有する2つの位置決め用貫通穴22g、22hを所定の間隔をおいて雨水流下塔22の垂直方向に所定の長さほど形成している。この所定の長さは、前記したメモリアルオブジェクトM4における位置決め用貫通穴2e(図25参照)の長さL5と同程度でよい。また、位置決め用貫通穴22g、22hの径もメモリアルオブジェクトM4の位置決め用貫通穴2e(図25参照)の径d1と同程度でよい。
【0157】
位置決め用貫通穴22gの下端部には、この位置決め用貫通穴22gと連通する雨水流下用貫通穴22iを雨水流下塔22の垂直方向に、雨水流下塔22の下面部まで形成している。同様に、位置決め用貫通穴22hの下端部には、この位置決め用貫通穴22hと連通する雨水流下用貫通穴22jを雨水取水塔22の垂直方向に、雨水流下塔22の下面部まで形成している。
そして、位置決め用貫通穴22gと雨水流下用貫通穴22iの垂直方向の中心線Vは略同一になるように形成し、さらに、雨水流下用貫通穴22iの径は、位置決め用貫通穴22gの径の2〜4倍程度にする。例えば、位置決め用貫通穴22gの径は10〜20mm程度、雨水流下用貫通穴22iの径は20〜80mm程度に設定する。
【0158】
同様に、位置決め用貫通穴22hと雨水流下用貫通穴22jの垂直方向の中心線Vは略同一になるように形成し、さらに、雨水流下用貫通穴22jの径は、位置決め用貫通穴22hの径の2〜4倍程度の大きさにする。例えば、位置決め用貫通穴22hの径は10〜20mm程度、雨水流下用貫通穴22jの径は20〜80mm程度に設定する。また、雨水流下用貫通穴22iと22jの垂直方向の高さL6は、雨水取水塔22の高さの仕様に基づくが、例えば250〜300mm程度に設定する。
【0159】
台座23には、図27に示すように、上面部から下面部に貫通する2つの貫通穴23d、23eを所定の間隔をおいて形成している。なお、これら2つの貫通穴23dと23eの平面視における形状は円形又は4角形の形状とする。そして、台座23の上面部に雨水流下塔22の下面部を載置したときに、雨水流下塔22の雨水流下用貫通穴22i、又は雨水流下用貫通穴22jを直接的に落下した雨水は、同じく台座23に形成した貫通穴23d、又は23e内を直接的に落下して回転容器部材5の外周面部上に落下させる。このためには、台座23に形成するこれら貫通穴23d、23eの大きさは、少なくとも雨水取水塔22に形成した雨水流下用貫通穴22i、22jの径の大きさとほぼ同等が、これ以上にすることが望ましい。
【0160】
なお、図27に示す例では、台座23には2つの貫通穴23dと23eを設けた例を示しているが、これら貫通穴23dと23eとを一つにした貫通穴として、台座23の上面部に雨水取水塔22の下面部を載置したときに、雨水流下塔22の下面部に位置する雨水流下用貫通穴22iと雨水流下用貫通穴22jが、この一つにした貫通穴内の上面内に位置するようにしてもよい。
また、図27には示していないが、台座23の上面部に、図25に示すようにそれぞれの貫通穴23d、23eに連通する凹部を設けて網部材を装着して、この凹部からも雨水を貫通穴23d、23eに取り込むようにしてもよい。
【0161】
このメモリアルオブジェクトM5では、降雨時において取り込んだ雨水を利用して、上記したメモリアルオブジェクトM4と同様な作用と効果を発揮させることができる。すなわち、図27に示すように、雨水流下塔22の雨水流下用貫通穴22i、及び雨水流下用貫通穴22jから台座23の貫通穴23d、又は貫通穴23e内を直接的に、かつ垂直に落下した雨水は、平面視でそれぞれ2つの回転容器部材(5−1)と(5−2)の回転軸心Oから所定の距離離れた位置にある雨水溜め部(5b1等)のいずれかの部位上等に集中して直接的に落下し、雨水溜め用凹部5d1等に溜まる。このとき、メモリアルオブジェクトM4と同様に、直接的に落下する雨水は回転容器部材(5−1)又は(5−2)に雨水の落下重力を与え、さらに、この落下した雨水は、それぞれ回転容器部材(5−1)、(5−2)の雨水溜め用凹部5d1、5d2、・・・のいずれかに溜まるので、回転容器部材(5−1)又は(5−2)は回転し易くなる。
【0162】
このように、モリアルオブジェクトM5においては、降雨時等に取り込んだ雨水を利用して、2つの回転容器部材(5−1)と(5−2)をより回転し易くさせることが可能になる。特に、単位時間当たりの雨量が多いときには、2つの回転容器部材を同時に、かつ速く回転させることも可能になるので、上記したメモリアルオブジェクトM4と同様に、回転容器部材(5−1)と(5−2)に挿入した焼骨の粉末化を促進することができるという効果を発揮する。
【0163】
[第6の実施形態]
続いて、本発明の第6の実施形態に係るメモリアルオブジェクトM6について、図28〜図31を参照して説明する。メモリアルオブジェクトM6は、装置本体内に回転容器部材を4個配置した構成にしたことに特徴がある。
【0164】
図28は、メモリアルオブジェクトM6を前側方向からみた斜視図を示している。メモリアルオブジェクトM6は、上蓋となって雨水を取り込むための降雨収集塔61、雨水流下塔62、第1の台座63、第2の台座64、装置本体65、装置本体65内に回転自在に配置され、前記したように密閉可能な空間部(K)等を有する4個の回転容器部材(5−1)、(5−2)、(5−3)、(5−4)(図31参照)、花立66aと66b、線香立て67、第1の台座63に装着される網部材68(図29参照)、等を備えている。なお、網部材68は、第1の台座63の上面部の後方側等に配置される部材であって、前記した網部材7、網部材27、37a、37c、等と同じ機能を備えた部材、すなわち、雨水に含まれている異物を捕捉するためのフィルター部材である。なお、4個の回転容器部材(5−1)〜(5−4)の構成は、前記した回転容器部材5の構成と同一の構成にすることができる。
【0165】
メモリアルオブジェクトM6は、回転容器部材を4個配置した装置本体65の上面部に、第2の台座64を載置し、第2の台座64の上面部に第1の台座63を載置し、さらに第1の台座63の上面部に雨水流下塔62を載置し、さらに、雨水流下塔62の上面部に降雨収集塔61を載置した構成にしている。
なお、平面視で正方形状又は略正方形状をなす第1の台座63と、第1の台座63の下に配置する第2の台座64の縦横の寸法は、第1の台座63よりも第2の台座64の寸法値を若干大きくして、メモリアルオブジェクトM6を前記したメモリアルオブジェクトの設置場所のいずれかに設置したときに視覚的に安定感が得られるようにしている。
【0166】
降雨による雨水を収集する機能を備えた降雨収集塔61は、前記した降雨収集塔1又は降雨収集塔21と同じ構成とすることができるが、4個の回転容器部材に収集した雨水を供給するために、その上面部の縦横の寸法は前記したメモリアルオブジェクトの降雨収集塔1又は21より大きくして雨水を収集するための表面積を広くする。また、第1の台座63と第2の台座64等の上面部にも、雨水を収集するための凹部を1個以上設けてより多くの雨水を収集するための対策を施すことが望ましい。
【0167】
雨水流下塔62は、前記した雨水流下塔2に形成した雨水流下用貫通穴2c(図2参照)、又は雨水流下塔22に形成した雨水流下落下用貫通穴22c(図16(c)参照)と同様に、その上面部から下面部まで貫通して垂直方向に形成された雨水流下用貫通穴62c(図28には図示していない)を備えている。
【0168】
第1の台座63は図29に示すように、所定の厚み(高さ)を有し、その上面部には所定の深さを有する凹部63aを設け、さらに、凹部63aの底部63bには、第1の台座63の下面部まで貫通する第1の雨水供給用貫通穴63cを設けている。なお、底部3bは、第1の雨水供給用貫通穴63cに向かって下り傾斜となる傾斜面を形成するようにする。また、第1の台座63の上面部に雨水流下塔62を載置したときには、雨水流下塔62内に形成した雨水流下用貫通穴62c(図29に点線で図示)の下端部が第1の台座63の上面に形成した凹部3aの開口している上面内に位置されるようにする。これにより、降雨収集塔61で収集された雨水は、雨水流下塔62の雨水流下用貫通穴62c内を流下して第1の台座63の凹部3a内に落下る。凹部3a内に落下した雨水は、第1の雨水供給用貫通穴63cを通って第2の台座64に流下することになる。
【0169】
第2の台座64は、図30に示すように平面視で正方形状又は略正方形状をなし、所定の厚み(高さ)を有している。さらに、第2の台座64の上面部には、所定の深さを有し、平面視で正方形状又は略正方形状をなす雨水分配凹部64aを設け、この雨水分配凹部64aの底部64bの隅部には、第2の台座64の下面部まで貫通する4つの第2の雨水供給用貫通穴64c1、64c2、64c3、64c4を設けている。これら4つの第2の雨水供給用貫通穴64c1〜64c4は、雨水分配凹部64aに落下した雨水を、装置本体65内に配置されている4個の回転容器部材(5−1)〜(5−4)のそれぞれの外周面上であって、平面視で回転軸心O(図31参照)から所定の距離ほど離れた位置に、分配させて垂直に落下させるための貫通穴である。
【0170】
また、図30に示すように、雨水分配凹部64aの底部64bは、その略中央部に沿った線を底部64bの高さが頂点となる直線状の稜線部64dを設けた2つの傾斜平面から構成し、この稜線部64dの中央部上に第1の雨水供給用貫通穴63cの下端部が配置されるようにするとともに、これら傾斜平面の隅部(角部)に、第2の雨水供給用貫通穴64c1と64c2、及び64c3と64c4を設けている。
なお、4つの第2の雨水供給用貫通穴64c1、64c2、64c3、64c4を、底部64bに配置する位置は、底部64bの角部に限定する必要はない。
【0171】
第1の台座63と第2の台座64は上記した構成を備えており、第2の台座64の上面部に第1の台座63を載置したときには、第1の台座63に形成されている第1の雨水供給用貫通穴63cの下端部が、第2の台座64の稜線部64dの直上に位置させる。これにより、第1の台座63の第1の雨水供給用貫通穴63cから落下した雨水の大部分はこの稜線部64d上、又は稜線部64dの近辺に落下させることが可能になる。
【0172】
これにより、第1の台座63の第1の雨水供給用貫通穴63cから雨水分配凹部64a内に落下した雨水は、稜線部64dによりほぼ均等に分散・配分された4つの第2の雨水供給用貫通穴64c1、64c2、64c3、64c4方向に流れていき、第2の雨水供給用貫通穴64c1、64c2、64c3、64c4から対応する4つの回転容器部材5のそれぞれの外周面上に向けて落下することになる。
【0173】
続いて、装置本体65の構成を、図31を参照して説明する。装置本体65の上面部65aは平面視で正方形状、又は略正方形状をなし、この上面部に向けて開口する2つの空間部65g1と65g2を設けている。さらに、これら2つの空間部65g1、65g2を形成するために、上面部の各側辺部から下方に向けて形成された側面部65b、65c、65d、65eと、対向する側面部65bと65cの間の中間位置に設けた中央側面部65fと、これら側面部65b〜65eと、中央側面部65fの下端部に形成した底部(符号は図示せず)と、この底部又は側面部65b〜65eの下端に設けた複数の貫通穴65jを備えている。
【0174】
装置本体65が備えている2つの空間部65g1、65g2は、図31に示すように、それぞれ2個の回転容器部材(5−1)及び(5−2)と(5−3)及び(5−4)を、回転軸心Oを中心として水平方向に、かつ回転可能に装着するための空間になる。なお、図31には、装置本体65の上面部65aに第2の台座64を載置したときに、台座64に形成した4つの第2の雨水供給用貫通穴64c1、64c2、64c3、64c4の下端部の位置を点線の丸印で示している。
【0175】
図30(図31)に示す第2の雨水供給用貫通穴64c1〜64c4の下端部の位置は、それぞれ対応する4個の回転容器部材(5−1)〜(5−4)の回転軸心Oから水平方向に所定の距離を置いた位置に配置されるようにしているので、第2の雨水供給用貫通穴64c1、64c2、64c3、64c4から供給される雨水は、それぞれ、対応する回転容器部材(5−1)〜(5−4)の雨水溜め用凹部5d1、5d2、5d3、・・・のいずれかに順次溜められる。これにより、雨水溜め用凹部に溜まった雨水の重量により、4個の回転容器部材(5−1)〜(5−4)は、それぞれ所定の方向に回転することになる。
【0176】
メモリアルオブジェクトM6においては、第2の台座64上に載置された第1の台座63を備え、さらに、第1の台座63の凹部63aの底部63bに形成した第1の雨水供給用貫通穴63cと、第2の台座64の凹部64aの底部64bに形成した4つの第2の雨水供給用貫通穴64c1、64c2、64c3、64c4を備えているので、降雨収集塔61で収集された雨水を、4個の回転容器部材(5−1)〜(5−4)の雨水溜め用凹部5d1、5d2、5d3、・・・のいずれかに均等に配分して落下させることが可能になる。
【0177】
上記した4個の回転容器部材(5−1)〜(5−4)の構成、及びこれら回転容器部材を装置本体65内に回転自在に支持する軸受、軸受支持部材の構成は、前記した実施形態で説明した軸受9、軸受支持部材10と同一の構成にすることができるので、その説明は省略する。なお、図28に示す65kは、本体装置部65の下面部の角部に設けた設置用突出部である。
【0178】
上記したメモリアルオブジェクトM6を構成する降雨収集塔61、雨水流下塔62、第1の台座63、第2の台座64、装置本体65、回転容器部材(5−1)〜(5−4)、花立66aと66b、線香立て67は、前記したメモリアルオブジェクトM1〜M5と同様に、例えば、御影石等の石材を用いて機械加工等により製造することができる。
なお、上記したメモリアルオブジェクトM6においては、4個の回転容器部材を装置本体65内に縦横方向に2個ずつ水平に配置した例について説明したが、4個の回転容器部材を装置本体内に水平方向に一列に配置した構成としてもよい。
また、大型化した構成になるが、本発明は、装置本体内に5個以上の回転容器部材を縦横に水平方向に配置したメモリアルオブジェクトとすることも可能である。
【0179】
[第7の実施形態]
続いて、上記した各メモリアルオブジェクトにおいて、装置本体内に回転自在に配置する回転容器部材の他の実施形態について説明する。この第7の実施形態となる回転容器部材は、その材質を硬質で耐腐蝕性と耐摩耗性を備えた硬質の合成樹脂製としたことに特徴がある。
【0180】
上記したメモリアルオブジェクトM1〜M6に用いる回転容器部材については、その材質は、メモリアルオブジェクトの部材として尊厳がり、かつ耐腐蝕性が高い御影石等の石材製とした例について説明したが、御影石の比重は2.5〜3程度であるため回転容器部材の重量は重くなり、その製造についても工数を必要となる。そこで、本発明者は、合成樹脂製からなる回転容器部材を試作して、その実用性について実験を行った結果、合成樹脂製の回転容器部材も実用化可能であるという結果が得られた。以下、合成樹脂製からなる回転容器部材の構成例と、実験例について説明する。
【0181】
第7の実施形態となる回転容器部材は、硬質で耐腐蝕性及び耐摩耗性を備えた硬質の合成樹脂製、例えば、比重は1.2〜1.5程度であるアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂等からなる材質で製作したものである。回転容器部材の材質を合成樹脂製にすると、前記した石材製の回転容器部材と比較してその重量を1/2以下に低減させることができるので、雨水の重量を利用して回転容器部材を装置本体内で容易に回転させることが可能になり、また、製造も容易になるという効果が生じる。
【0182】
また、合成樹脂製の回転容器部材は、その構成部材の一部又は全てを透明又は半透明にすることも可能になるので、メモリアルオブジェクトを前記した設置場所に設置した後に、回転容器部材に挿入している被処理物の様子(状況)を、回転容器部材の外側からこの透明又は半透明にした部材を介して確認することが可能になるという効果も生じる。
【0183】
以下、この第7の実施形態となる回転容器部材の構成例を、図32〜図35に基づいて説明する。図32は、この合成樹脂製の回転容器部材70について、その構成の概要を示す斜視図、図33は回転容器部材70を回転軸心O方向からみたときの側面図、図34は図32に示す回転容器部材70の回転軸心O方向に沿った断面の構成を示す図、図35は図34において回転容器部材70の回転軸74a、75aを軸受9で支持しているときの状態を示す図である。
【0184】
図32〜図35に示すように、合成樹脂製の回転容器部材70は、例えば、円筒状部71a(図34参照)を有する第1の円筒体71と、この第1の円筒体71の解放端部を密閉するための蓋部材71bと、第1の円筒体71の円筒状部71aの外周面に沿うように嵌装して配置された第2の円筒体72と、第2の円筒体72の円筒状部72aの解放端部の外周面に密着固定されるドーナツ状の円板状部材72bと、第2の円筒体72の外周面に設けられ、断面形状がL字状をなす複数の羽根部材73a、73b、73c、・・・とを備えている。なお、複数の羽根部材73a、・・・は、第2の円筒体72の中心軸方向、すなわち、回転軸心O方向に、第2の円筒体72の一端部から他端部まで等間隔に設けられている。
【0185】
また、図34に示すように、第1の円筒体71は、その一方の端部は円筒状部71aと一体にされた板状の蓋部材75を備えている。蓋部材75は側面視で円形をなしている。同様に、第2の円筒体72は、その一方の端部は円筒状部72aと一体にされた板状の蓋部材74を備えている。蓋部材74は側面視で円形をなし、その径は蓋部材75と同一にしている。さらに、図34に示すように、板状の蓋部材74と75の中心部には、それぞれ外側方向であって回転軸心O方向に所定の長さほど突出する回転軸74a、75aを一体に固定して設けている。
【0186】
図34に示す回転容器部材70においては、第1の円筒体71と、この円筒体71の解放端部を密閉する蓋部材71bは、前記したメモリアルオブジェクトM1〜M6で説明した密閉容器5a(図12参照)に相当する部材になる。すなわち、第1の円筒体71の解放端部に、蓋部材71bをビス(ボルト)79等の固定手段を用いて固定することにより、第1の円筒体71の円筒状部71a内に密閉可能な空間部(K)が形成されることになる。また、第2の円筒体72において、その円筒状部72aの一端部の外周面へのドーナツ状の円板状部材72bを固定する手段は、接着剤による固定を利用することはできる。
【0187】
また、第2の円筒体72の外周面に複数の羽根部材73a、73b、73c、・・・を設ける方法は、第2の円筒体72の外周面に羽根部材73a、73b、73c、・・・を接着剤により固定するとともに、これら羽根部材73aの両端部を、それぞれドーナツ状の円板状部材72bと、蓋部材74に接着剤により固定してビス(ボルト)等により強固に密着固定する手段を採用することができる。あるいは、合成樹脂の射出成型等により、羽根部材73a、73b、73c、・・・を一体成型した第2の円筒体72を製造する手段を採用することができる。
【0188】
上記した構成を備えた回転容器部材70において、羽根部材73a、73b、73c、・・・と、円筒状部72aの外周面と、蓋部材74と、円板状部72bとにより囲まれた各空間部は、図14に示す雨水溜め用凹部5d1、5d2、・・と同様の機能を有する空間、すなわち、前記したメモリアルオブジェクトM1〜M6で収集した雨水を溜めるための雨水溜め用凹部76a1、76a2、76a3、・・・、76a8になる(図33参照)。
【0189】
図32〜33に示す回転容器部材70の構成例においては、8つの羽根部材73a、73b、73c、・・・73hを、第2の円筒体72の円筒状部72aの外周面上に回転軸心O方向に向けて等間隔(45°間隔)で配置することにより8つの雨水溜め用凹部76a1、76a2、76a3、・・・76a8を設けた例を示している。なお、断面形状がL字状をなす羽根部材73a、73b、73c、・・・の曲がり角度α(図32又は図33参照)は、90°〜150°の適切な角度に設定して、雨水溜め用凹部76a1、・・・内により多くの雨水を溜めて雨水の重量による回転モーメントを大きくするようにする。
【0190】
また、複数の合成樹脂製の羽根部材73a、73b・・・の断面形状は、上記したL字状にするのではなく、回転軸心O(半径方向)方向に所定の長さほど直線的、あるいは半径方向と若干傾斜(回転容器部材70の回転方向と逆方向に傾斜)させて延びる板状部73a2、73b2、・・・のみから構成してもよい。
なお、雨水溜め用凹部76a1、76a2、76a3、・・・に順次より多くの雨水を効率良く溜めて回転容器部材70に回転モーメントを付与するためには、羽根部材73a等は、L字状の形状、あるいは半径方向と若干傾斜、すなわち、回転容器部材70の回転方向と逆方向に所定の角度傾斜させた板状部のみから構成することが望ましい。
【0191】
図35に示すように、組み立てが完了した回転容器部材70は、蓋部材74と一体化した回転軸74aと、蓋部材75と一体化した回転軸75aがそれぞれ軸受9により支持され、回転軸心Oを中心に、軸受9、9を介して回転可能な構成になっている。さらに、軸受9の外周面部は、軸受支持部材77に形成された穴部内に挿入して、軸受9の外周面部はこの穴部内において回転しないように固定されている。この固定手段としては、例えば、接着剤による固定を採用することができる。なお、軸受9としては、従来から使用されている鋼球やセラミックス球を用いた小型で防水型のボールベアリング軸受を使用することができる。また、回転軸74aと75aの外方端部には、ビス79等によりワッシャー78を介在させて軸受9の抜け止めを行っている。
【0192】
上記した軸受支持部材77は、例えば、図11(c)、図12に示す軸受支持部材10に相当する部材になる。そして、図35に示す回転容器部材70が備えている軸受支持部材77を、図11に示す装置本体4に形成した溝部4h、4iに装着することにより、回転容器部材70は、装置本体4内において軸受支持部材77により、水平方向に支持されるとともに、回転可能に支持されることになる。
【0193】
上記した回転容器部材70を構成する第1の円筒体71、蓋部材71b、第2の円筒体72、円板状部材72b、羽根部材73a、73b、73c、・・・、蓋部材74及び75、回転軸74a、75a、軸受支持部材77は、前記した硬質の合成樹脂からなる材質、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂等のいずれかの材質とする。また、これら合成樹脂製の部材の全て、あるいはその特定の部材、例えば、第1の円筒体71、又は蓋部材71bと第2の円筒体72を透明又は半透明の合成樹脂製として、第1の円筒体71の密閉可能な空間部(K)に挿入した被処理物の様子が蓋部材75、又は蓋部材71bと蓋部材74を介して、回転容器部材70の外部から目視(透視可能)できるようにすることが望ましい。
【0194】
図33は、密閉可能な空間部(K)に挿入した被処理物Pの様子が、透明な蓋部材74と蓋部材71bを介して透視できる状態を示している。
このように、回転容器部材70の外部から密閉可能な空間部(K)内を透視可能にすると、メモリアルオブジェクトを前記したメモリアルオブジェクトの設置場所のいずれかに設置した後に、密閉空間(K)内に挿入した被処理物の様子、例えば、被処理物となる焼骨が粉末化されている状況を回転容器部材70の外部から確認することが可能になる。なお、この場合には、装置本体4上に載置されている降雨収集塔1、雨水流下塔2、台座3を取り外して、装置本体4内に配置された回転容器部材70を取り出して確認する。あるいは、装置本体4の側面部4c等に、回転容器部材70の密閉可能な空間部(K)内を目視することができる合成樹脂製で開閉可能な小さい透明窓を設けてもよい。
【0195】
第7の実施形態となる回転容器部材70の組立は、例えば、次の手順に基づいて行うことができる。なお、第1の円筒体71は、例えば、射出成型等により、回転軸75aを一体化した成形体を製造しておく。同様に、第2の円筒体72も、予め射出成型等により、羽根部材73a、73b、73c、・・・と、回転軸74aを一体化した成形体を製造しておくことが望ましい。
【0196】
(組立手順1)
第2の円筒体72の円筒状部72aの一端部に、ドーナツ状の円板状部材72bの内周部を挿入して、円板状部材72bを、円筒状部72aと、羽根部材73a、73b、・・・の端部に接着により強固に固着する。これにより、羽根部材73a、73b、・・・と、蓋部材74と、円板状部材72bと、円筒状部72aの外周面とに囲まれた空間部、すなわち、前記した雨水溜め用凹部76a1、76a2、76a3、・・・、76a8が形成されることになる。
【0197】
(組立手順2)
第1の円筒体71の一方の端部に、蓋部材71bをビス79により固定する。これにより、第1の円筒体71の内部に、被処理物(焼骨)を挿入するための密閉可能な空間部(K)が形成されることになる。
【0198】
(組立手順3)
第2の円筒体72の円筒状部72a内に、第1の円筒体71の円筒状部71aを挿入する。続いて、円板状部材72bと第1の円筒体71の蓋部材75とを、ビス79等を用いて一体に接続して固定する。これにより、第1の円筒体71と第2の円筒体72とは強固に結合されて一体化されることになる。
【0199】
(組立手順4)
図35に示すように、回転軸74a、75aのそれぞれに軸受9を挿入し、回転軸74a、75aの端部に、ワッシャー78を介在させてビス79をネジ込んで軸受9の抜け止めを行う。そして、必要に応じて、軸受9の外周面を軸受支持部材77で固定する。
【0200】
上記した組立手順(1)〜(4)により、両端部に回転軸74aと75aを備えるとともに、第2の円筒体72の外周面に、多数の羽根部材73a、73b、・・・を備え、さらに、被処理物を挿入するための密閉可能な空間部(K)を有する回転容器部材70を組み立てることができる。そして、回転容器部材70を備えたメモリアルオブジェクトを、前記したメモリアルオブジェクトの設置場所に設置する前に、回転容器部材70の密閉可能な空間部(K)に被処理物となる焼骨等を挿入して蓋部材71bで密閉する。
このようにして、回転容器部材70は、メモリアルオブジェクトの設置場所において、装置本体4(又は24等)の上部開口部4a(又は24a等)からこの装置本体内に水平方向に、かつ回転可能に支持されることになる。
【0201】
前記したメモリアルオブジェクトM1〜M6の構成部材となる回転容器部材として、この第7の実施形態となる合成樹脂製の回転容器部材70を用いると、石材製の回転容器部材5と比較してその重量を極めて軽くすることができるという効果が生じる。
このため、降雨時等において、各メモリアルオブジェクトで取り込んだ雨水が、メモリアルオブジェクト内を流下(落下)して断面形状が羽根部材73a、73b・・・により形成される雨水溜め用凹部76a1、76a2、76a3、・・・に溜まると、その雨水の重力により、軽量な回転容器部材70は所定方向に、図33に示す例ではS1方向に、極めて容易に回転させることが可能になる。また、回転容器部材70は合成樹脂製の部材から構成しているので、石材製と比較してその材料費を含む製造コストを低減させることも可能になる。これにより、長い期間の使用により回転容器部材70に不具合が生じた場合には、安価な新規品と容易に交換することができるという効果も生じる。
【0202】
なお、前記した回転容器部材70を構成する合成樹脂製の第1の円筒体71、蓋部材71b、第2の円筒体72、円板状部材72b、羽根部材73a、73b、73c、・・・、蓋部材74及び75、回転軸74a、75aの各部材を射出成型等により製造するためには、例えば、第1の円筒体71と蓋部材75と回転軸75aとを一体に成形し、さらに、羽根部材73a、73b、73c、・・・を備えた第2の円筒体72と蓋部材74と回転軸74aとを一体に成形する等、各部材の強度が維持でき、組み立てが容易になり、かつ射出成型の効率化ができるように、その部材の形状を適切に設計するようにする。
以下に説明する第8の実施形態は、上記した第7の実施形態を示す合成樹脂製の回転容器部材70について、さらに改善した実施例ついて説明するものである。
【0203】
[第8の実施形態]
続いて、本発明の第8の実施形態を、図36〜図38に基づいて説明する。第8の実施形態は、前記した第7の実施形態となる合成樹脂製の回転容器部材70について、密閉可能な空間部(K)に改善を施した回転容器部材70aとしたものである。第8の実施形態となる回転容器部材70aを構成する各部材は、前記したアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂等のいずれかの材質から形成される。
【0204】
図36に示すように、回転容器部材70aの外観上の形状は、図32に示す回転容器部材70とほぼ同一である。
回転容器部材70aは、基本的には4種の部材である、横長の円筒体80と、円筒体80の外周面に回転軸心O方向に等間隔で設けた複数の羽根部材73a、73b、73c、・・・と、円筒体80の両端部を密閉するための円板状の蓋部材81と82とから構成されている。平面視で円形をなす円板状の蓋部材81と82の外側端面部の中心部には、図38に示すように、それぞれ所定の長さほど突出する回転軸81aと82aを設けている。なお、円板状の蓋部材81と82はその径は同一にしている。円筒体80の内部は、その両端部をそれぞれ円板状の蓋部材81、82で密閉することにより、密閉可能な空間部(K)が形成される。
【0205】
図37に示すように、円筒体80の内周面には、所定の突出高さと厚さを有する複数の板状の凸状突起部83を、円筒体80の一方の端部から他方の端部まで回転軸心Oと平行となる方向に設けている。凸状突起部83が回転軸心O方向に円筒体80の内周面から突出する突出長さは10mm〜30mm、その設置数は少なくとも一つ、望ましくは3〜4個(列)程度を等間隔で設置する。凸状突起部83の厚さは5mm程度にすれば十分である。図37に示す例では、円筒体80の内周面に3個の凸状突起部83を120°間隔で設けた例を示している。
【0206】
円筒体80の内周面部に上記の凸状突起部83を設ける理由は、次の通りである。
回転容器部材70aと一体に構成されている円筒体80が、前記したように雨水の重量を利用してS1方向に回転しているときに、円筒体80の密閉可能な空間部(K)に挿入した被処理物(焼骨)Pは、この凸状突起部83により係止されて凸状突起部83とともに密閉可能な空間部(K)内を徐々に上昇していく。そして、この被処理物Pが凸状突起部83に係止された状態で空間部(K)内を所定の高さに達すると、凸状突起部83による係止作用が無くなるので、被処理物Pを筒体80の内周面部上に重力により落下させるために設けたものである。
【0207】
このように、回転容器部材70aの回転に伴って、被処理物Pは円筒体80の密閉可能な空間部(K)内において上昇と落下を繰り返すことになるので、円筒体80の内周面部への落下、あるいは他の被処理物P上への落下による衝撃により粉末化が促進されることになる。また、凸状突起部83の先端部を鋭角状にすると、落下した被処理物Pが鋭角状の先端部に落下することがあり得るので、被処理物Pの粉末化がより促進されることになる。
【0208】
上記した第8の実施形態となる回転容器部材70aを用いたメモリアルオブジェクトにおいては、図37に示す雨水溜め用凹部76a1、76a2、76a3、・・・76a8のいずれかに雨水が溜まってその雨水の重量により回転容器部材70aがS1方向に回転しているときには、被処理物Pは凸状突起部83により密閉可能な空間部K内において上昇と落下を繰り返すことになるので、前記した第7の実施形態となる回転容器部材70よりも、被処理物Pが粉末化するまでの時間(経過日数)を短くすることができるという効果が生じる。また、回転容器部材70aは、第7の実施形態となる回転容器部材70が備えている第1と第2の円筒体71と72を一つの円筒体80で構成しているので、部品数が少なくなり、製造コストを低減できるという効果も生じる。
【0209】
なお、円筒体80の外周面に等間隔で羽根部材73a、73b、73c、・・・を、さらに、内周面に複数の凸状突起部83を設ける方法は、合成樹脂の射出成型により円筒体80と羽根部材73a、73b、73c、・・・と、複数の凸状突起部83とを一体化した部材として成形することが可能である。また、円筒体80の外周面に羽根部材73a、73b、73c、・・・を取り付ける手段と、円筒体80の内周面に複数の凸状突起部83を取り付ける手段は、接着剤により接着固定する手段を採用してもよい。また、円筒体80の両端部に、それぞれ蓋部材81、82を固定する手段、及び蓋部材81、82に羽根部材73a、73b、73c、・・・の端部を密着固定する手段は、ビス止めによる固定手段を採用する。これにより、円筒体80の内部に密閉可能な空間部(K)が形成されることになる。なお、図38には、円筒体80の両端部に、蓋部材81、82、及びを羽根部材73a、73b、73c、・・・の端部を固定するためのビス等は示していない。
さらに、円筒体80、蓋部材81、82のいずれか一方又は双方を透明あるいは半透明な合成樹脂製とすることにより、密閉可能な空間部K内に挿入した被処理物Pの状態を回転容器部材70aの外部から確認することが可能になる。
【0210】
[第9の実施形態]
続いて、本発明の第9の実施形態を、図39に基づいて説明する。第9の実施形態は
図37に示す回転容器部材70aが備えている円筒体80の内周面の構成について、さらに改良を加えて、回転容器部材70bとしたものである。
【0211】
第9の実施形態となる回転容器部材70bは、図39に示すように、円筒体80の内周面に、さらに、凸状突起部83の突出長さより短い多数の微小な凹凸部を有する円弧状板体84を設けたことに特徴がある。円弧状板体84は、複数の凸状突起部83の間であって円筒体80の回転軸心O方向に向けて取付けている。なお、円筒体80の内周面への円弧状板体84の固定手段は、例えば、円筒体80の外周面からビス等を用いて固定する方法、あるいは接着により固定する方法等を採用することができる。
【0212】
円弧状板体84の表面に形成する微小な凹凸部84aの形状は、例えば、高さ0.5mm〜2mm程度、その基部の太さは1mm〜3mm程度とし、その突出先端部を先細り状の鋭角形状にすることが望ましい。また、この微小な凹凸部84aは、例えば、円弧状板体84の表面に回転軸心O方向に形成するか、あるいは碁盤の目状に形成した構成にする。
また、円弧状板体84の材質は、前記した合成樹脂であるアクリル樹脂製、ポリカーボネート樹脂製、ポリエチレン樹脂製、あるいは軽量なセラミックス製等のずれかを採用することができる。
なお、円弧状板体84を合成樹脂製とした場合には、円筒体80の外周面に複数の羽根部材73a・・・等を備え、さらに円筒体80の内周面に複数の凸状突起部83と、この凸状突起部83の間に微小な凹凸部84aとを一体に備えた成形体を、射出成型により成形することも可能となる。
【0213】
このように、円筒体80の内周面部に微小な凹凸部84aを配置した回転容器部材70bにおいては、前記した回転容器部材70aと同様に、円筒体80がS1方向に回転しているときには、被処理物Pは凸状突起部83により密閉空間部K内において上昇と落下を繰り返すことになるが、被処理物Pが円筒体80の内周面部の下方に落下したときに、被処理物Pは微小な凹凸部84aにも衝突するので、被処理物Pの粉末化がさらに促進されるという効果が生じる。
【0214】
なお、上記した回転容器部材70bにおいて、少なくとも蓋部材81、82は、透明又は半透明な合成樹脂製として、回転容器部材70bの密閉可能な空間部(K)に挿入された被処理物Pの状況が、前記したように、回転容器部材70bの外部から目視により確認できるようにすることが望ましい。
【0215】
また、回転容器部材70bにおいて、円筒体80の外周面に設ける複数の羽根部材73a、73b、73c、・・・の形状は、図37に示すようにL字型形状にするか、回転軸心O方向に延びる直線状形状のみとしてもよい。
【0216】
[実験例]
続いて、本発明の回転式粉末化装置を構成する回転容器部材を試作し、この回転容器部材の回転軸を枠体に回転可能に支持した回転実験装置を作製して、水の重力を利用してこの回転容器部材を回転させる実験を行った。以下、この実験例について説明する。
【0217】
この回転容器部材の回転実験においては、前記した第8の実施形態の構成を備えたアクリル製の回転容器部材70aを試作した。試作した回転容器部材70aは、その円筒体80の外周面に8つの雨水溜め用凹部76a1、76a2、76a3、・・・76a8を備えている構成とした。そして、回転容器部材70aの上方の所定の位置から、雨水溜め用凹部76a1、76a2、76a3、・・・76a8のいずれかに向けて所定量の水道水を継続的に落下させ、雨水溜め用凹部76a1等に溜まった水の重量により回転容器部材70aを回転させるための回転実験装置を製作した。そして、下記の3種の実験(実験例1〜実験例3)を行った。
【0218】
この実験例において、回転容器部材70aの回転と回転数を把握するために次の手段を採用した。すなわち、回転容器部材70aを水平に、かつ回転可能に支持する回転軸(図36に示す回転軸81aに相当)に、スリット式のロータリーエンコーダを取り付け、このロータリーエンコーダの検出信号を、マイクロコンピュターを備えた計測装置に入力して、計測装置により回転容器部材70aの回転数とその1回転ごとの経過時間値を収集して、1回転に要した回転時間が解析できるようにした。
【0219】
上記した回転実験装置の構成は、下記の通りである。
(1)試作した回転容器部材70aの両端部に設けられている回転軸81a、82aのそれぞれにボールベアリングからなる軸受9を挿入し、この軸受9を軸受支持部材77(図35参照)により固定した。そして、2つの軸受支持部材77を、上方を開口とした透明なアクリル製の枠体内の対向する側壁部で水平になるように支持固定した。これにより、試作した回転容器部材70aは、合成樹脂製の枠体内において、水平に、かつ回転可能に支持される構成にした。
【0220】
(2)上記(1)により、アクリル製の枠体に支持された回転容器部材70aの上方であって、所定の高さ(蓋部材81の外周面からの高さ)の位置に水道水を下方に向けて供給するための蛇口(開閉弁)を設置した。そして、この開閉弁には水道水を供給する水道管を接続して、開閉弁から単位時間当たり所定量の水道水を回転容器部材70aの雨水溜め用凹部76a1等に落下させることができるようにした。
【0221】
(3)試作した回転容器部材70aが備えている円筒体80内の密閉可能な空間部(K)には、被処理物Pとして、約20mm程度の厚さにカット(スライス)し、表面をトースターで適度に焦げ目を付与したフランスパンのスライス小片5個を挿入した。フランスパンの表面に焦げ目を付けた理由は、表面を適度な硬さにして、密閉可能な空間部(K)に挿入したフランスパンが回転容器部材70aの回転に伴って粉砕化(粉末化)される状況を確認するためである。また、円筒体80の内周面であって各凸状突起部83の間には、粗さ♯60のサンドペーパーをネジ止めにより固定した。このサンドペーパーは、図39に示す多数の微小な凹凸部84aを有する円弧状板体84の代用として設けたものである。
【0222】
(実験例1)
実験例1を行うために、回転容器部材70aの雨水溜め用凹部76a1等の上に落下させる水の量は、6.4リットル/時間(107cc/分)とした。なお、水道水を雨水溜め用凹部76a1等に落下させる位置は、回転容器部材70aの回転軸心Oから水平方向に20mm離れた外側位置(図37に示す羽根部材73a側)を目標とした。実験例1を行うために製作した回転実験装置の仕様、及び実験条件は下記の通りである。
【0223】
・円筒体80の内径、長さ、厚さ :内径95mm、長さ190mm、厚さ5mm
・円筒体80の内周面 :回転軸心O方向に120°の間隔で凸状突起部8
3を3つ配置、凸状突起部83の突出長さは19mm
・羽根部材73a、等の形状 :L形状(角度αは90°)
・羽根部材73a、等の高さ :30mm(板状部73a1等の長さ:23mm)
・羽根部材73a、等の設置数 :8個(45°間隔で配置)
・蛇口の設置高さ :回転容器部材70aの外周面から約300mm
・回転容器部材の総重量 :1588g
・被処理物Pの挿入時の重量 :70g
【0224】
なお、実験例1において、回転容器部材70aの雨水溜め用凹部76a1等に落下させる水の量を、6.4リットル/時間とした理由は次の通りである。
【0225】
試作した回転容器部材70aを備えた回転実験装置において、前記した降雨時に雨水を収集する降雨収集塔1の上面部の縦横サイズの仕様を200mm×140mmと仮定した。そして、この回転実験装置を設置した場所の年間降雨量が2300mmと想定した。すると、このメモリアルオブジェクトの上蓋となる降雨収集塔1の上に降り注ぐ雨量は約64リットル/年となる。また、前記したように、メモリアルオブジェクトM1等においては、台座3の上面部からも雨水を取り込む手段を設けているので、このメモリアルオブジェクトM1等が年間に取り込める雨水の量は、約77リットル/年になるものと算出した。これを月当りの量に換算すると、約6.4リットル/月になる。
【0226】
実験例1においては、1ケ月の経過時間を1時間に短縮して、この1時間に、月当りの降水量に相当する水量6.4リットル、すなわち、1分当り約107ccの水を蛇口から落下させて回転容器部材70aの雨水溜め用凹部76a1等に落下・供給させるようにした。実験例1では、このような実験を1時間継続して実施した。実験例1による実験結果を表1に示す。
【0227】
【表1】
【0228】
表1に示す実験例1の実施結果から、次のことが確認できた。
(1)1分当り約107ccの水を回転容器部材70aの雨水溜め用凹部76a1等に落下させると、回転容器部材70aを回転させることができること、すなわち、1時間に48回、回転容器部材70aを回転させることが可能であることが確認できた。
(2)計測装置で収集した実験データを解析した結果、回転容器部材70aが1回転に要する時間は、50秒〜100秒であった。
【0229】
(3)回転容器部材70aの密閉可能な空間部(K)に挿入した被処理物Pの初期重量70gは、実験が終了した1時間後には、表1に示すように1.5g減少した。これは、被処理物P(フランスパン)が回転容器部材70aの回転に伴って密閉可能な空間部(K)内で上昇と落下、相互の接触を繰返すことにより、被処理物Pの表面の一部が欠けて粉砕したためである。単純な計算であるが、70gの被処理物Pは、70/1.5=46.6ケ月、すなわち、最短では約4年間で、自然現象であるメモリアルオブジェクトM1等に降り注ぐ雨水を利用して粉末化することが可能であることが推測できた。
【0230】
(実験例2)
続いて、実験例2を行うために回転実験装置を試作した。各部材の仕様等は、次の通りである。
・円筒体80の内径、長さ、厚さ :内径120mm、長さ180mm、厚さ5mm
・円筒体80の内周面 :回転軸心O方向に120°の間隔で凸状突起部8 3を3つ配置、凸状突起部83の突出長さは13mm
・羽根部材73a、等の形状 :L形状(角度αは140°)
・羽根部材73a等の突出高さ :23mm
・羽根部材73a、等の設置数 :8個(45°間隔で配置)
・蛇口の設置高さ :回転容器部材70aの外周面から約300mm
・回転容器部材の総重量 :1496g
【0231】
実験例2を行った回転実験装置の構成が実験例1と主に相違する点は、円筒体80の内径を120mmと大きくしたこと、羽根部材73a等のL形状の角度αを120°にしたこと、及び、水道水を雨水溜め用凹部76a1等に落下させる位置は、回転容器部材70aの回転軸心から30mm離れたが外側位置(図37に示す羽根部材73a側)を目標としたことにある。なお、実験例2において蛇口から落下させる水道水の量は、実験例1と同じ1分当り約107ccとした。実験例2による実験結果を表2に示す。
【0232】
【表2】
【0233】
表2に示す実験例2の実験結果から次のことが明らかになった。
(1)1時間当りの回転容器部材70aの回転数が、実験例1より多くなり、71回になった。この理由は、水道水を雨水溜め用凹部76a1等に落下させる位置を、実験例1より遠い位置となる、回転容器部材70aの回転軸心から30mm離れた位置としたことにより、回転容器部材70aを回転させる回転モーメントが大きくなったためであると推測される。
【0234】
(2)1時間当りの回転容器部材70aの回転数が増加したことにより、被処理物Pの1時間後の重量の減少量は、実験例1の結果より多くなり、4.5g減少させることができた。
【0235】
(実験例3)
上記した実験例2で用いた回転容器部材70aについて、その円筒体80の外周面に、直線状に延びるアクリル樹脂製の板材のみを備えた羽根部材73a、・・・の8個を45°間隔で形成した、回転容器部材70aを製作した。なお、この直線状に延びる板材のみから構成された羽根部材73a、・・・が、円筒体80の半径方向と傾斜する角度は、回転容器部材70aの回転方向に対して逆方向に50°傾斜させた。そして、この回転容器部材70aのその他の仕様は上記した実験例2と同一として、実験例2と同一の条件で水道水を落下させて回転容器部材70aを回転させる実験を行った。
【0236】
この実験例3の実験結果では、回転容器部材70aを1時間に66回ほど回転させることができ、被処理物Pの重量を3.2g減少させることができた。
【0237】
上記した実験例1〜実験例3の実験結果から、合成樹脂製の回転容器部材70aの雨水溜め用凹部76a1、76a2、・・・等に水を落下させて、これら雨水溜め用凹部76a1、76a2、・・・等に順次、水を溜めて、この溜まった水の重力を利用して回転容器部材70aを回転させることが可能であり、かつ、回転容器部材70a内の密閉可能な空間部(K)に挿入した被処理物の一部を粉末化させることができることが確認できた。このことは、降雨時に前記したメモリアルオブジェクトで収集した雨水を利用して回転容器部材70aを回転させることが可能であり、密閉可能な空間部(K)に挿入した粉末化し易い固形物を、長い時間をかけて粉末化することが可能であることを示している。
【0238】
本発明の回転式粉末化装置においては、装置自体で収集した雨水の重量を利用して回転容器部材5、5−1、70、70a、70bを回転し易くするためには、これら回転容器部材の重量を極力少なくすること、及び雨水溜め用凹部5d1、・・・、あるいは76a1、・・・の空間部を大きくして極力多くの雨水を溜めることが重要である。このためには、前記した回転容器部材70、70a、70bのように、その構成部材の全てを合成樹脂製とすると軽量化されるので特に有効である。また、前記した回転容器部材5、5−1、・・・については、その構成部材の一部を石材製(例えば、密閉容器5a)とし、他の部材は合成樹脂製、あるいは比重が小さく、耐蝕性が高い軽量合金やセラミックス、例えば、マグネシウム合金製としてもよい。また、密閉容器5aもマグネシウム合金製としてもよい。
【0239】
なお、上記した回転容器部材70、70a、70bについては、その各部材は透明又は半透明な合成樹脂製とした例について説明したが、回転容器部材70、70aを構成する部材の一部、例えば円筒体80、羽根部材73a・・・等を耐蝕性の高く比重が小さい金属、例えば、マグネシウム合金、あるいはセラミックス等で製造してもよい。この場合には、密閉可能な空間部(K)を密閉するための蓋部材81と82を、前記したように透明又は半透明の合成樹脂製として、密閉可能な空間部(K)内に挿入した被処理物の様子を外部から目視で確認することができるようにすることが望ましい。
【0240】
さらに、合成樹脂製とした回転容器部材70、70a、70bについては、耐摩耗性を向上させるために回転容器部材70、70a、70bを構成する各部材に透明あるいは半透明な耐摩耗性コーティング被膜を形成、または耐摩耗性フィルムを貼り付けてもよい。特に、回転容器部材70、70a、70bの第1の円筒体71の蓋部材71b、第2の円筒体72の蓋部材74、円筒体80、蓋部材81、82、各羽根部材に耐摩耗性コーティング被膜を形成、または耐摩耗性フィルムを貼り付け、さらにその上面に水蒸気の結露を防止するための被膜を形成しておくと、回転容器部材70、70a、70bの外部から、これら蓋部材を介して密閉可能な空間部Kに挿入した被処理物の状況をより確実に確認することが可能になる。
【0241】
また、前記した本発明の実施形態に係るメモリアルオブジェクトM1(図1参照)、M4(図25参照)、M5(図27参照)においては、必ずしも台座3、23を設ける必要はなく、装置本体4の上面部に雨水流下塔2を載置した構成、あるいは装置本体24の上面部に雨水流下塔22を載置して、雨水流下塔2(22)を流下(又は落下)する雨水を、直接に回転容器部材5(又は5−1、5−2、70、70a、70b)上に落下させる構成としてもよい。さらに、雨水流下塔2と台座3を一体化、あるいは雨水流下塔22と台座23とを一体化した構成にしてもよい。
【0242】
以上に説明した本発明の回転式粉末化装置は、降雨時に降雨収集塔1等で収集して取り込んだ雨水を利用して回転容器部材5(70、70a、70b)を回転させる例について説明したが、例えば、メモリアルオブジェクトM1等とした場合には、遺族がメモリアルオブジェクトM1の降雨収集塔1の上面部に水を注いだときにも、この注いだ水により回転容器部材5、70、70a、0bは回転する。これにより、回転容器部材5等の回転数が増加するので、被処理物の粉末化が促進される効果も生じる。
【0243】
また、上記したメモリアルオブジェクトの実施形態においては、さらに、次の手段(1)又は手段(2)のいずれか一つの手段、あるいは双方の手段を採用することにより、回転容器部材5等内で被処理物(焼骨)を粉末化する期間をより短縮することも可能になる。
【0244】
(手段1)
回転容器部材5等の密閉可能な空間部(K)内に被処理物とともに、被処理物の粉砕を促進するための粉砕促進部材の1個又は複数個を挿入する。この粉砕促進部材としては、例えば、耐蝕性の高いステンレス鋼製、あるいはセラミックス製からなる径が10mm以下の球状体(ボール)を使用する。密閉空間部K内にこの球状体を予め挿入しておくことにより、降雨時の雨水を利用して回転容器部材5等が回転すると、球状体も回転又は揺動しながら被処理物と接触する(衝突する)。これにより、被処理物は密閉可能な空間部(K)の内周面に設けた凸状突起部5c1等と、この球状体との接触により、その粉砕が促進されるのでより短い期間で粒子状の粉末を得ることが可能になる。また、球状体との接触により、より均一な粒末を得ることも可能になる。
【0245】
(手段2)
回転容器部材5等の密閉可能な空間部(K)内に被処理物とともに、被処理物の分解を促進するための分解促進剤を挿入する。この分解促進剤としては、密閉容器5a等の内周面に影響を与えない酸類を含有する物質、例えばクエン酸を含有する固形物または粒状(粉末状)の分解促進剤とすることができる。このクエン酸を含有する分解促進剤を密閉可能な空間部(K)内に挿入しておくと、回転容器部材5等が回転したときに、被処理物とこの分解促進剤とが接触して、分解促進剤に含まれている酸の分解作用により被処理物の分解が促進されるので、より短い期間で被処理物を粉末化することが可能であると推測できる。
【0246】
本発明の回転式粉末化装置は、上記したメモリアルオブジェクトとしての用途の他に、例えば、回転容器部材5等の密閉容器5a内に、被処理物として使用済の古くなった園芸用土、枯れ葉、腐葉土、粒子状の肥料、石灰等の被処理物を挿入し、降雨時の雨水を利用してこの回転容器部材5等を長い期間をかけて回転させることにより、使用済の園芸用土を再生する装置、同じく密閉容器5a内に家庭や飲食店等で生じる生ごみと生ごみ分解用微生物を挿入して生ごみを堆肥化させる装置、同じく密閉容器5a内に落ち葉(枯れ葉や枯れ枝の小片)等と腐葉土生成用の微生物等を挿入して、腐葉土を生成する装置、等に適用することができる。
【0247】
なお、本発明の回転式粉末化装置を、上記した園芸用土の再生装置、生ごみ堆肥化装置、腐葉土生成装置として実用化する場合には、密閉容器5aの密閉を、容易な操作により任意に解除できる手段や、発生したガスを外部に放出させるための手段を設けるようにする。また、回転式粉末化装置の全体のサイズを大きくして、降雨時に多量の雨水を収集可能にするとともに、被処理物の処理量も大きくできるようにする。この場合には、回転式粉末化装置で収集した雨水の他に、他の場所で収集した多量の雨水も利用できるようにするとともに、上記した降雨収集塔1、雨水落下塔2、台座3、装置本体4、回転容器部材5等の形状や大きさを、その用途に合わせて適切な仕様にするとよい。
【0248】
以上に説明した本発明に係る回転式粉末化装置は、降雨時に収集した雨水を利用して被処理物を密閉可能な空間部(K)内で、比較的長い期間をかけて粉末化する装置であるが、省エネルギー型の装置であるため、その利用価値は極めて高い。特に、本発明の回転式粉末化装置を、上記実施形態で説明した故人を身近な場所で一時的に偲ぶためのメモリアルオブジェクトM1〜M6として実施すると、特に、次の効果を奏することが可能になる。
【0249】
(1)従来は焼骨の粉末化はモータの駆動等の電気エネルギーの利用、あるいは人力によるハンマー操作等により実施されていた。本発明の回転式粉末化装置は家族等の身近な場所に設置することが可能であり、しかも、焼骨の粉末化の過程が故人を偲びながら「降雨時の雨水」の利用という自然界の自然現象の過程を経て「自然界の土」に近い粒子状の粉末を、自然エネルギーを利用して得ることができる。
【0250】
(2)家族や親族が故人の焼骨を長い年月をかけて粉骨化されるまでの過程のなかで、例えば、子供がいないから合葬式の合同墓に入れる等、そのときの家族の望む供養手段を選択できるという大きな利点も生じる。
【0251】
(3)焼骨を粉骨化する過程の装置ではあるが、故人を身近で、かつ気軽に偲ぶために降雨が降り注ぐ適宜な場所、例えば、親族や寺院等の建屋の屋上やベランダ、あるいは寺院や管理者がいる敷地上に設置することができる。
【0252】
(4)本発明の回転式粉末化装置をメモリアルオブジェクトとして用いると、すでに無縁墓となった遺骨を無縁改葬する場合においても利用することができる。この場合には、前記した焼骨を短期間で粉骨化する手段(1)又は手段(2)のいずれか一つの手段、あるいは双方の手段を採用して無縁墓となった遺骨を短期間で粉骨化することも可能になるので、産業廃棄物として処理できない無縁遺骨の縮小整理により、無縁合葬墓の面積を大幅に小さくすることができるので、社会全体にとって実用価値の高い回転式粉末化装置になる。
【0253】
(5)メモリアルオブジェクトを構成する装置本体、台座、雨水流下塔、降雨収集塔を、耐蝕性が高い石材で製造することにより、例えば、家族や親族が長い年月の間、繰り返して共同で使用することも可能になる。
【0254】
(6)モリアルオブジェクトを、メモリアルオブジェクトの設置場所に設置したときには、これらのメモリアルオブジェクトが備えている装置本体4、24、34、65の下面部の隅部に形成されている設置用突出部4k(24k、34k、65k)が、設置場所である地面、アスファルト、コンクリート、タイル等の上に接面している。そして、これらのメモリアルオブジェクトを管理する親族等の事情により、この設置場所の変更が生じた場合には、設置場所の変更の操作が容易になる。すなわち、装置本体4(24、34、65)等の下面部の下に吊り上げ用のベルトを通した持ち上げ、あるいは装置が小型の場合には人力での持ち上げにより、設置場所を変更するための移動操作が容易になる。
【0255】
(7)焼骨等を骨粉化する装置としてその役割を終了した場合においては、例えば、これらメモリアルオブジェクトM1〜M6等の雨水流下塔2(22、32、62)の上面部に形成している凹部等を塞ぐ処理、あるいは、降雨収集塔1(21、61)の雨水を収集する手段の一つとなる貫通穴等を塞ぐ処理、あるいは雨水の取り込み機能を備えていない降雨収集塔との取り替え、装置本体4(24、34、65)の底部の切り抜き、粉骨(遺灰)が入っている回転容器部材5等を着地又は埋葬し、また花立の配置等を実施したこれらのメモリアルオブジェクを、一般の埋葬墓石としての供養物として墓地に設置して再使用することも可能になる。また、回転容器部材5等を取り替えることにより、その他の用途の回転式粉末化装置の回転容器部材として使用することも可能になる。
【0256】
本発明に係る回転式粉末化装置は、上記したように、自然現象である降雨時に収集した雨水の重力を利用して、自然エネルギーを利用して回転容器部材5等を回転させているが、太陽光発電パネルで発生させた電気エネルギーを利用して回転容器部材5等を回転させる手段も併せて備えた構成としてもよい。
【0257】
太陽光発電パネルを用いた場合には、回転容器部材5等の回転軸を回転させる電気モータと、太陽光発電パネルで得た電気エネルギーを蓄電する蓄電装置と、この電気モータの回転を制御する制御装置を備えるようにする。そして、例えば、降雨現象がない晴天の昼間には、蓄電装置に蓄電した電気エネルギーを利用して電気モータを作動させることにより、回転容器部材5等を間欠的に所定の時間間隔ほど回転させるようにすることにより、被処理物の粉末化をより短い日数で行うことが可能になる。特に、本発明を前記した生ごみ堆肥化装置、腐葉土などの生成装置として使用する場合には、太陽光発電パネルで発電した電気エネルギーの利用は、回転容器部材5等の回転数を増加させることができるので有効になる。
【符号の説明】
【0258】
1:降雨収集塔、
2:雨水流下塔、
2a:集水用凹部、2b:底部、2c:雨水流下用貫通穴、
2d:集水用凹部、2e:位置決め用貫通穴、2f:雨水流下用貫通穴、
3:台座、
3a、3a1:凹部、3b:底部、3c:雨水供給用貫通穴、3d:空間突出部、
3f:貫通穴、
4:装置本体
4a:上部開口部、4b、4c、4d、4e:側面部、4f:底部、4g:空間部、
5、5−1、5−2、5−3、5−4:回転容器部材、
5a:密閉容器、
5b1、5b2、5b3、・・・:雨水溜まり部、
5c:凹凸部、5c1:凸状突起部、5c2:凹部、
5d1、5d2、5d3、・・・:雨水溜め用凹部、
8:回転軸、9:軸受、10:軸受支持部材、
21:降雨収集塔、
21a、21b、21c、21d:下り傾斜面、21e:平坦面部、21f:貫通穴、
22:雨水流下塔、
22a:集水用凹部、22b:底部、22c:雨水流下用貫通穴、22d:溝部、
22e:集水用凹部、22f:底部、22g、22h:位置決め用貫通穴、
22i、22j:雨水流下用貫通穴、
23:台座、
23a:雨水分配凹部、23b:底部、23c1、23c2:雨水供給用貫通穴、
23d、23e:貫通穴、
24:装置本体、
24a:上部開口部、24b、24c、24d、24e:側面部、24f:底部、
24g:空間部、
27:網部材、
32:雨水流下塔、32e、32f:雨水収集用凹部、
33:台座、
33a:雨水分配凹部、33b:底部、33c1、33c2、33c3:雨水供給用貫通穴、
34:装置本体、
34a:上部開口部、34b、34c、34d、34e:側面部、34f:底部、
34g:空間部、
61:降雨収集塔、62:雨水流下塔、62c:雨水流下用貫通穴、
63:第1の台座、
64:第2の台座、64a:雨水分配凹部、
65:装置本体、
65a:上面部、
65b、65c、65d、65e:側面部、
65f:中央側面部、
65g1、65g2:空間部、
70、70a、70b:回転容器部材、
71:第1の円筒体、71a:円筒状部、71b:蓋部材、
72:第2の円筒体、72a:円筒状部、72b:円板状部材、
73a、73b、73c、・・・:羽根部材、
74:蓋部材、74a:回転軸、
75:蓋部材、75a:回転軸 、
76a1、76a2、76a3、・・・、76a8:雨水溜め用凹部、
77:軸受支持部材、78:ワッッシャー、79:ビス(ボルト)、
80:円筒体、81:蓋部材、81a:回転軸、82:蓋部材、82a:回転軸、
83:凸状突起部、
84:円弧状板体、84a:微小な凹凸部、
K:密閉可能な空間部、
M1、M2、M3、M4、M5、M6:メモリアルオブジェクト、
O:回転軸心、P:被処理物、
S1、S2、S3:回転方向、
V:雨水流下用貫通穴の中心線。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
前記装置本体の上方に配置され、所定の高さを有する部材であって、上方部に降雨による雨水を収集するための降雨収集手段を有するとともに、前記降雨収集手段により収集した前記雨水を前記装置本体の上面部に向かって流下させる雨水流下用貫通穴とを備えた雨水流下塔と、
前記装置本体内に、水平方向に支持されるとともに回転自在に配置された部材であって、被処理物の挿入と取り出しを可能とした密閉可能な空間部を有する円筒形状又は多角形状をなす回転容器部材と、を備え、
前記回転容器部材は、さらに、外周面上に前記雨水流下用貫通穴を流下する前記雨水を溜める雨水溜まり部を備えており、
前記回転容器部材は、前記雨水流下塔の雨水流下用貫通穴から流下して前記雨水溜まり部に溜まった前記雨水の重力により、所定方向に回転可能とされていることを特徴とする回転式粉末化装置。
【請求項2】
前記降雨収集手段は、前記雨水流下塔の上部に載置された降雨収集塔からなり、
前記降雨収集塔は、その上端面は上方に向かって開口した凹状開口部と、前記凹状開口部の底面部から立設する山形形状をなす山形状突出部と、前記凹状開口部の底面部と前記雨水流下塔の前記雨水流下用貫通穴とを連通する貫通穴を備えていることを特徴とする請求項1に記載の回転式粉末化装置。
【請求項3】
前記雨水流下塔は、正面視で所定の厚さを有する多角形状をなし、
前記降雨収集手段は、前記多角形状をなす前記雨水流下塔の側面上に形成された雨水収集用凹部と、前記雨水収集用凹部を前記雨水流下塔の前記雨水流下用貫通穴と連通する貫通穴とから構成されていることを特徴とする請求項1に記載の回転式粉末化装置。
【請求項4】
装置本体と、
前記装置本体の上面部に載置された台座と、
前記台座の上面部に載置されて所定の高さを有する部材であって、上面部から下面部に向けて貫通した雨水流下用貫通穴を有する雨水流下塔と、
前記雨水流下塔の上面部に載置されて、降雨による雨水を収集するための降雨収集塔と、
前記装置本体内に、水平方向に支持されるとともに回転自在に配置された部材であって、円筒形状又は多角形状をなす回転容器部材と、を備え、
前記回転容器部材は、
その外周面上、前記雨水流下用貫通穴を介して流下する前記雨水を溜める雨水溜まり部材と、
前記回転容器部材の内部に設けられた空間部であって、被処理物の挿入と取り出しを可能とした密閉可能な空間部と、を備え、
前記回転容器部材は、前記雨水溜まり部に溜まった前記雨水の重力を利用して所定方向に回転可能とされていることを特徴とする回転式粉末化装置。
【請求項5】
前記雨水流下用貫通穴は、前記雨水流下塔の内部において垂直方向に形成された貫通穴であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の回転式粉末化装置。
【請求項6】
前記雨水流下用貫通穴は、前記雨水流下塔の内部において垂直方向に形成された貫通穴であるとともに、前記装置本体上に前記雨水流下塔が配置された状態において、前記雨水流下用貫通穴の前記垂直方向の中心線は前記回転容器部材の前記回転軸心から水平方向に所定の距離離れた位置に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の回転式粉末化装置。
【請求項7】
前記降雨収集塔は、前記降雨収集塔の上端面から上方に向かって開口した凹状開口部と、前記凹状開口部の底面部から立設する山形形状をなす山形状突出部と、前記凹状開口部の底面部と前記雨水流下用貫通穴とを連通する貫通穴を備えていることを特徴とする請求項4に記載の回転式粉末化装置。
【請求項8】
前記雨水流下塔は、その上面部に前記降雨収集塔により収集された前記雨水を取り込むための集水用凹部を備え、
前記集水用凹部は、その底部に垂直方向に径d1を有する位置決め用貫通穴を備えるとともに、前記位置決め用貫通穴の下端部は、垂直方向に形成された径d2を有する前記雨水流下用貫通穴に連接され、
前記雨水流下用貫通穴の径d2は、前記位置決め用貫通穴の径d1より大きく形成されていることを特徴とする請求項6に記載の回転式粉末化装置。
【請求項9】
前記台座は、その上面部に前記雨水流下用貫通穴を介して流下した前記雨水を収集する雨水分配凹部を備えるとともに、前記雨水分配凹部の底部は、前記収集した前記雨水を前記回転容器部材の前記雨水溜まり部に落下させるための雨水供給用貫通穴を備えていることを特徴とする請求項4に記載の回転式粉末化装置。
【請求項10】
前記装置本体は、水平方向に支持されるとともに回転自在に配置された複数の前記回転容器部材を備え、
前記台座は、その上面部に前記雨水流下用貫通穴を介して流下した前記雨水を収集する雨水分配凹部を備えるとともに、前記雨水分配凹部の底部は、前記収集した前記雨水を前記複数の前記回転容器部材のそれぞれの前記雨水溜まり部に落下させるために、複数の雨水供給用貫通穴を備えていることを特徴とする請求項4に記載の回転式粉末化装置。
【請求項11】
前記雨水分配凹部は、その一部が前記台座の上面部であって前記雨水流下塔が載置されていない部分に延設されていることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の回転式粉末化装置。
【請求項12】
前記密閉可能な空間部の内周面は、所定の幅を有し、前記回転軸心方向に延びる少なくとも一つの凸状突起部を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項4に記載の回転式粉末化装置。
【請求項13】
前記密閉可能な空間部の内周面は、前記回転軸心方向に延びる微小な凹凸部を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項4に記載の回転式粉末化装置。
【請求項14】
前記密閉可能な空間部の内周面は、その内周方向に等間隔で、所定の幅を有し、かつ前記回転軸心方向に延びる複数の凸状突起部と、
前記凸状突起部の間の前記内周面に設けられた微小な凹凸部を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項4に記載の回転式粉末化装置。
【請求項15】
前記回転容器部材は、石材から構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項4に記載の回転式粉末化装置。
【請求項16】
前記回転容器部材は、硬質の合成樹脂材から構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項4に記載の回転式粉末化装置。
【請求項17】
前記回転容器部材は、硬質の合成樹脂材から構成されているとともに、前記回転容器部材を構成する部材の一部又は全ての部材は、透明又は半透明な合成樹脂材から構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項4に記載の回転式粉末化装置。
【請求項1】
装置本体と、
前記装置本体の上方に配置され、所定の高さを有する部材であって、上方部に降雨による雨水を収集するための降雨収集手段を有するとともに、前記降雨収集手段により収集した前記雨水を前記装置本体の上面部に向かって流下させる雨水流下用貫通穴とを備えた雨水流下塔と、
前記装置本体内に、水平方向に支持されるとともに回転自在に配置された部材であって、被処理物の挿入と取り出しを可能とした密閉可能な空間部を有する円筒形状又は多角形状をなす回転容器部材と、を備え、
前記回転容器部材は、さらに、外周面上に前記雨水流下用貫通穴を流下する前記雨水を溜める雨水溜まり部を備えており、
前記回転容器部材は、前記雨水流下塔の雨水流下用貫通穴から流下して前記雨水溜まり部に溜まった前記雨水の重力により、所定方向に回転可能とされていることを特徴とする回転式粉末化装置。
【請求項2】
前記降雨収集手段は、前記雨水流下塔の上部に載置された降雨収集塔からなり、
前記降雨収集塔は、その上端面は上方に向かって開口した凹状開口部と、前記凹状開口部の底面部から立設する山形形状をなす山形状突出部と、前記凹状開口部の底面部と前記雨水流下塔の前記雨水流下用貫通穴とを連通する貫通穴を備えていることを特徴とする請求項1に記載の回転式粉末化装置。
【請求項3】
前記雨水流下塔は、正面視で所定の厚さを有する多角形状をなし、
前記降雨収集手段は、前記多角形状をなす前記雨水流下塔の側面上に形成された雨水収集用凹部と、前記雨水収集用凹部を前記雨水流下塔の前記雨水流下用貫通穴と連通する貫通穴とから構成されていることを特徴とする請求項1に記載の回転式粉末化装置。
【請求項4】
装置本体と、
前記装置本体の上面部に載置された台座と、
前記台座の上面部に載置されて所定の高さを有する部材であって、上面部から下面部に向けて貫通した雨水流下用貫通穴を有する雨水流下塔と、
前記雨水流下塔の上面部に載置されて、降雨による雨水を収集するための降雨収集塔と、
前記装置本体内に、水平方向に支持されるとともに回転自在に配置された部材であって、円筒形状又は多角形状をなす回転容器部材と、を備え、
前記回転容器部材は、
その外周面上、前記雨水流下用貫通穴を介して流下する前記雨水を溜める雨水溜まり部材と、
前記回転容器部材の内部に設けられた空間部であって、被処理物の挿入と取り出しを可能とした密閉可能な空間部と、を備え、
前記回転容器部材は、前記雨水溜まり部に溜まった前記雨水の重力を利用して所定方向に回転可能とされていることを特徴とする回転式粉末化装置。
【請求項5】
前記雨水流下用貫通穴は、前記雨水流下塔の内部において垂直方向に形成された貫通穴であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の回転式粉末化装置。
【請求項6】
前記雨水流下用貫通穴は、前記雨水流下塔の内部において垂直方向に形成された貫通穴であるとともに、前記装置本体上に前記雨水流下塔が配置された状態において、前記雨水流下用貫通穴の前記垂直方向の中心線は前記回転容器部材の前記回転軸心から水平方向に所定の距離離れた位置に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の回転式粉末化装置。
【請求項7】
前記降雨収集塔は、前記降雨収集塔の上端面から上方に向かって開口した凹状開口部と、前記凹状開口部の底面部から立設する山形形状をなす山形状突出部と、前記凹状開口部の底面部と前記雨水流下用貫通穴とを連通する貫通穴を備えていることを特徴とする請求項4に記載の回転式粉末化装置。
【請求項8】
前記雨水流下塔は、その上面部に前記降雨収集塔により収集された前記雨水を取り込むための集水用凹部を備え、
前記集水用凹部は、その底部に垂直方向に径d1を有する位置決め用貫通穴を備えるとともに、前記位置決め用貫通穴の下端部は、垂直方向に形成された径d2を有する前記雨水流下用貫通穴に連接され、
前記雨水流下用貫通穴の径d2は、前記位置決め用貫通穴の径d1より大きく形成されていることを特徴とする請求項6に記載の回転式粉末化装置。
【請求項9】
前記台座は、その上面部に前記雨水流下用貫通穴を介して流下した前記雨水を収集する雨水分配凹部を備えるとともに、前記雨水分配凹部の底部は、前記収集した前記雨水を前記回転容器部材の前記雨水溜まり部に落下させるための雨水供給用貫通穴を備えていることを特徴とする請求項4に記載の回転式粉末化装置。
【請求項10】
前記装置本体は、水平方向に支持されるとともに回転自在に配置された複数の前記回転容器部材を備え、
前記台座は、その上面部に前記雨水流下用貫通穴を介して流下した前記雨水を収集する雨水分配凹部を備えるとともに、前記雨水分配凹部の底部は、前記収集した前記雨水を前記複数の前記回転容器部材のそれぞれの前記雨水溜まり部に落下させるために、複数の雨水供給用貫通穴を備えていることを特徴とする請求項4に記載の回転式粉末化装置。
【請求項11】
前記雨水分配凹部は、その一部が前記台座の上面部であって前記雨水流下塔が載置されていない部分に延設されていることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の回転式粉末化装置。
【請求項12】
前記密閉可能な空間部の内周面は、所定の幅を有し、前記回転軸心方向に延びる少なくとも一つの凸状突起部を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項4に記載の回転式粉末化装置。
【請求項13】
前記密閉可能な空間部の内周面は、前記回転軸心方向に延びる微小な凹凸部を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項4に記載の回転式粉末化装置。
【請求項14】
前記密閉可能な空間部の内周面は、その内周方向に等間隔で、所定の幅を有し、かつ前記回転軸心方向に延びる複数の凸状突起部と、
前記凸状突起部の間の前記内周面に設けられた微小な凹凸部を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項4に記載の回転式粉末化装置。
【請求項15】
前記回転容器部材は、石材から構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項4に記載の回転式粉末化装置。
【請求項16】
前記回転容器部材は、硬質の合成樹脂材から構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項4に記載の回転式粉末化装置。
【請求項17】
前記回転容器部材は、硬質の合成樹脂材から構成されているとともに、前記回転容器部材を構成する部材の一部又は全ての部材は、透明又は半透明な合成樹脂材から構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項4に記載の回転式粉末化装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【公開番号】特開2012−24755(P2012−24755A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−135984(P2011−135984)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(306000980)長谷川株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(306000980)長谷川株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
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