説明

回転式重量計

【課題】 回転速度検出機器を使用せずに、計量信号に含まれる回転体の回転に伴う誤差の影響を除去する。
【解決手段】 回転台22に取り付けられたロードセル6が回転台2の回転と共に回転する。CPU22がデジタルフィルタを構成し、そのフィルタは、ステップ状の入力信号に対応して回転台22の回転速度の時間応答特性にほぼ等しい時間応答特性を持つ回転速度信号を生成する。CPU22は、ロードセル6計量信号が回転台2の回転によって受ける誤差成分を表す誤差信号を、フィルタからの回転速度号に基づいて算出する。CPUは、算出した誤差信号に基づいてロードセル6の計量信号を補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計量手段が回転しながら物品を計量する回転式重量計に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような回転式重量計は、例えば回転式重量充填装置に使用されることがある。この回転式重量充填装置の一例が特許文献1に開示されている。この特許文献1の技術では、回転台の上に計量器が設置され、回転台と共に回転する。この回転の最中に、計量器上に配置されている容器に被計量物が充填され、所定重量まで充填されると、充填が中止される。計量器にロバーバル機構が使用されている場合、その計量器の計量信号には、回転台の回転による遠心力の影響を受けて、誤差成分が含まれている。この誤差成分は、回転台の回転速度の関数であるので、回転台に回転速度検出器を設けて、回転台の速度を求め、この回転台の速度から誤差成分を算出し、この誤差成分によって計量信号を補正している。
【0003】
【特許文献1】実開昭63−55002号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、回転台の回転速度を検出するために、回転台の回転角度を検出する回転角度検出器を回転台に設け、回転台が一定角度回転するごとに回転角度検出器が発生するパルス信号の時間間隔を測定して、回転速度を算出していた。そのため、回転角度検出器を回転台に取り付けねばならず、その取り付け作業が面倒である上に、コストが高くなっていた。しかも、回転角度検出器には耐久性上問題があるし、かつ環境条件の変化によって誤動作する可能性がある。
【0005】
本発明は、回転速度を検出するための機器を使用することなく、回転体の速度を検出することができる回転式重量計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1態様による回転式重量計は、回転体を有している。この回転体は、それの回転中心の回りに駆動手段によって回転させられる。この回転体に計量手段が取り付けられて、回転体の回転に従って回転する。計量手段は、1つだけ回転体に設けることもできるが、複数設けることもできる。計量手段は、回転体の周縁部に配置されることがある。計量手段としては、例えばロバーバル機構を備えたものとすることができる。その場合、ロバーバル機構の長手縁が回転体の半径方向に沿うように配置することが望ましい。この回転式重量計には、回転速度算出手段も設けられている。この回転速度算出手段は、実際に回転体の回転を検出して速度を算出するのではなく、前記回転体に与えようとする回転速度に対応し、例えば比例し、経時的に変化する入力信号が与えられたとき、前記回転体に実際に現れ経時的に変化する回転速度にほぼ等しい回転速度値を算出する。前記入力信号としては、例えば前記駆動手段に供給される駆動指令信号またはこれに比例する信号を使用することができる。
【0007】
このように構成すると、回転速度算出手段が回転体の実際の回転に従って回転速度を算出するので、回転速度検出器を回転式重量計に設けずに、回転体の回転速度を知ることができる。従って、回転速度検出器の取り付け作業が不要で、しかもコストを低減することができる上に、耐久性上の問題は生じないし、かつ環境条件の変化による誤動作も生じない。
【0008】
回転速度算出手段としては、前記回転体及び計量手段が持つ慣性特性を模擬した伝達関数を有する手段、例えばフィルタ手段を使用することができる。この伝達関数は、例えば駆動手段に対して運転状態の変更を指示する運転指令、例えば第1の定常状態、具体的には非回転状態から、第2の定常状態、例えば予め定めた速度状態に運転状態を変更することを指示するように値が変化する入力信号またはこれに対応した、具体的には比例した信号を供給したときに、回転体が実際に示す速度変化に対応したものとすることができる。具体的には、上述した運転指令を駆動手段に与えたときに示す速度変化を測定し、前記伝達関数手段に上記運転指令またはこれに対応する信号を供給したときに、上記速度変化に対応する出力変化を生じるように伝達関数を設定する。なお、インパルス応答を回転体にさせることができれば、そのときに回転体が示す速度自体が伝達関数を表すが、インパルス応答を回転体にさせることは困難であるので、ステップ応答から伝達関数を模擬している。
【0009】
前記回転速度算出手段に供給される入力信号は、回転体に与えようとする速度の第1の定常状態、例えば非運転状態から第2の定常状態、例えば所定速度での運転状態までの変化を表すものとすることができる。第1の定常状態として、所定速度での運転状態を、第2の定常状態として非運転状態を使用することもできる。
【0010】
このように構成すると、例えば回転体に与えようとする速度が第1の定常状態、例えば運転停止の状態から、第2の定常状態、例えば所定速度での運転状態まで、ステップ状に変化する場合でも、実際の回転体の速度の変化を知ることができる。第1の定常状態が所定の速度であって、第2の定常状態が運転停止状態であって、ステップ状に変化する場合でも同様であるし、ステップ状の変化ではなく、例えばランプ状に漸増または漸減する場合でも同様である。
【0011】
前記回転速度算出手段に供給される入力信号は、回転体に与えようとする速度が、時間の経過と共に変化するものとすることもできる。このように構成すると、例えば回転体に与えようとする速度が上述したようにランプ状に変化する場合だけでなく、例えば正弦波状に増減を繰り返すものであっても、実際の回転体の速度の変化を知ることができる。
【0012】
なお、回転速度算出手段が算出した回転速度値を表示する表示手段を設ければ、回転体の回転速度を確認することができる。また、回転速度値を基に計量手段の計量信号が回転体の回転によって受ける誤差成分を表す誤差信号を算出する誤差信号算出手段と、前記誤差信号に基づいて計量信号を補正する補正手段とを、設けると、回転体の遠心力に基づく誤差や、計量手段が受ける風圧に基づく誤差を補正することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明による回転式重量計によれば、回転体にその回転速度を検出する回転検出器を設置しなくても、回転体の速度を知ることができる。従って、回転式重量計の部品点数を減少させることができる上に、その部品の取り付けも不要であり、回転式重量計の性能を低下させることなく、コストを低減することができ、しかも環境に影響されることなく安定的に動作させることができる。さらに、この回転速度算出手段は、回転体及び計量手段の総合慣性特性を模擬した伝達関数を持つので、回転体に与えようとする速度がどのように変化するものであっても、例えばステップ状に変化するものであっても、ランプ状に変化するものであっても、正弦波状に変化するものであっても、実際に回転体に現れる速度を算出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の1実施形態は、本発明による回転式重量計を回転式重量充填装置に実施したものである。この回転式重量充填装置は、図1に示すように、回転体、例えば回転台2を有している。この回転台2は、例えば円板状に形成され、その中心の回りに駆動手段、例えばモータ4(図2参照)によって回転させられる。
【0015】
この回転台2に計量手段、例えばロードセル6が取り付けられている。即ち、ロードセル6は、ロバーバル機構と荷重センサ、例えばストレインゲージを備えた公知のもので、回転台2の周縁部に所定角度ごとに、複数台設けられている。これらロードセル6では、そのロバーバル機構の長辺が回転体2の半径方向に沿うように配置され、ロバーバル機構の一端部が回転台2上に固定され、他端部が回転台2と非接触に、例えば回転台2の周縁部よりも外方に突出するように配置されている。これらロードセル6の他端部それぞれに計量台8が取り付けられている。各計量台8上には容器、例えば充填容器10が配置されている。これら充填容器10には、各ロードセル6に対応するように回転台2に設けられた充填器12から物品が充填され、その充填重量がロードセル6によって計測され、その測定重量値が予め定めた値になったとき、充填が中止される。
【0016】
そのため、図2に示すように、各ロードセル6の計量信号は、制御装置14に入力され、増幅器16で増幅された後、A/D変換器18でディジタル計量信号に変換され、I/O回路20を介して制御手段、例えばCPU22に供給される。CPU22は、記憶手段、例えばメモリ24に記憶されているプログラムや所定のデータを利用して、各ディジタル計量信号のうち予め定めた値になったものが生じたとき、それに対応する充填器12にI/O回路20を介して充填停止指令を与えて充填を停止させる。
【0017】
なお、この制御装置14は、回転台2上に設置されている。この制御装置14への運転操作指示は、回転台2の外部に配置された操作用制御装置26からロータリコネクタ28、I/O回路20を介してCPU22に与えられる。なお、制御装置14に対する電源もロータリコネクタ28を介して制御装置14の電源回路30に与えられ、この電源回路30から各部に供給される。また、モータ4は、例えばインバータによって構成された回転制御装置32によって駆動制御される。
【0018】
上述したように、回転台2が回転している状態では、その遠心力の影響によってロードセル6の計量信号には誤差が含まれている。また、充填容器10の側面が回転台の回転方向に対して傾斜していると、回転速度の自乗に比例した風圧によって、充填容器10の側面の傾斜角度に応じて充填容器10に上向きまたは下向きの力が掛かり、計量信号に風圧に基づく誤差が含まれる。これら誤差は、いずれも回転台2の回転速度を引数とする関数によって表される。そこで、CPU22は、回転台2の回転速度を求め、この回転速度から上述した2つの誤差成分を所定の公式によって算出し、この誤差成分によって計量信号を補正することによって、遠心力及び風圧の影響を除去した正確な計量信号を得る。
【0019】
この実施の形態では、この回転台2の回転速度を、回転台2及びロードセル6の総合慣性特性をシミュレーション可能な伝達関数手段、例えばフィルタ手段、具体的にはデジタルフィルタによって、求めている。そのために、フィルタの伝達関数を決定する。
【0020】
今、回転式重量充填装置の正常な運転の場合、回転速度は、充填される物品の品種、a1、a2・・・・anに対応して、V1、V2・・・・Vnと定められているとする。制御装置14のメモリ24には、各充填物品の品種に対応させて所定の回転速度が操作用制御装置26での操作によって記憶されており、操作用制御装置26での操作に応じて、特定の品種に応じた回転速度が決定される。或いは、品種ごとに所定単位時間、例えば1分当たりの充填処理個数が操作用制御装置26を介してCPU22に設定されると、これと、メモリ24に予め設定されているロードセル6の数(充填器12の数と等しい)とから、所定回転速度が演算される。
【0021】
とにかく、或る品種に応じた所定回転速度Vαが決定されると、操作用制御装置26から回転制御器32に、所定回転速度Vαで回転台2が回転するように、回転速度指令値が与えられる。この状態で、操作用制御装置26から運転指令が与えられると、回転制御器26が回転台2を所定回転速度Vαで回転させる。また、運転を停止する場合には、操作用制御装置26から運転停止指令が回転制御器32に供給され、回転台2の運転が停止される。
【0022】
回転台2には大きな慣性力があるので、運転開始指令が与えられても、停止している状態から急激には所定回転速度Vαにはならず、回転台2の質量や半径に応じた慣性力で回転速度が0から立ち上がり、所定回転速度Vαとなる。また、所定の回転速度Vαで回転している状態において、操作制御装置26から運転停止指令が回転制御器26に与えられても、急激には停止せず、上記の慣性力に応じて徐々に回転速度が0に向かって立ち下がる。
【0023】
この回転速度特性は、主に回転台2の慣性特性で決まる。回転台2及びロードセル6の総合慣性特性の伝達関数を確定できるなら、この伝達関数を持つフィルタをCPU22によって構成し、所定の回転速度Vαを1とおいて、回転台2の運転開始指示と同じタイミングで0から1に値が変化するステップ入力信号をこのフィルタに供給したとき、このフィルタの時間応答出力が、回転台2の運転開始指示時からの時間経過に応じて変化する回転台2の回転速度に比例した値を表す。同様に回転台2の運転停止指示と同じタイミングで1から0に値が変化するステップ入力信号をフィルタに供給すると、フィルタの時間応答出力が、回転台2の運転停止指示時からの時間経過に応じて変化する回転台2の回転速度を表す。
【0024】
回転台2の伝達関数は、その構造から回転特性を表す回転特性式を理論計算することによって求めることもできるが、次のようにテストモードにおいて実験的に求めて、フィルタに設定することができる。
【0025】
まず、テストモードを開始する前に、回転体2の外部に着脱可能な回転速度記録装置を取り付ける。今、制御装置14には品種A1乃至Anのうちの品種α用として回転速度Vαが設定されているとする。回転速度記録装置は、物品を検出したときに信号を発生する物品センサと、演算記録装置とからなる。回転台2の外部に物品センサを固定し、物品センサの前を通過する回転台2上の充填器12または計量台8を検出できるようにする。この物品センサが充填器12(または計量台8)を検出するごとに、回転速度記録装置は、充填器12を検出してから次の充填器12を検出するまでの時間を測定する。また、隣接する充填器12間の距離は予め判明しているので、回転速度記録装置は、先の検出時間と距離とに基づいて回転速度値を算出する。同時に、回転速度記録装置は、運転開始指示が与えられてからの経過時間も測定している。回転速度記録装置は、一定数の測定値を記憶した後に、記憶指令が与えられると、時間経過と共に変化する回転速度の様子をグラフに表すことができる。この回転速度記録装置は、測定終了後には、取り外される。
【0026】
具体的なテスト方法としては、或る充填器12が物品センサの位置にあるようにして、運転指令を与える。回転速度記録装置は、これに応じて時間経過の記録を開始し、所定台数、例えば4台おきの充填器12をセンサが検出するごとに、そのときの時間を測定する。その時間が、例えば4秒、6秒、7.5秒、8.7秒、9.8秒、10.88秒、11.96秒であったとする。約11秒で完全に設定速度Vαに到達したと判断でき、回転速度記録装置には、例えば図3に実線で示すような回転速度曲線が描かれたとする。
【0027】
この回転速度曲線を基に、0から1に変化するステップ状入力信号を入力したとき、出力の時間応答特性が図1の実線で表される特性に近くなるようにフィルタの特性を設定できれば、このフィルタは、回転台2とロードセル6との総合慣性特性にほぼ等しい伝達関数を持つことになる。従って、このフィルタを用いて、運転開始時から設定速度Vαに到達するまでの回転速度をシミュレートすることができる。即ち、回転速度算出手段としてフィルタを使用することができる。
【0028】
最も単純に伝達関数を模擬する例では、図3に一点鎖線で示すように、回転台2の回転速度変化の時間応答を11秒で飽和する直線応答に近似すればよい。
【0029】
この直線応答に近似させたデジタルフィルタの特性を図4に示す。このデジタルフィルタは、ステップ状入力信号を所定時間、例えば0.5秒ごとに入力して、11秒までの合計22個のデータを移動平均する平均値フィルタである。なお、ステップ状入力信号を1から0に変化するものとすれば、回転停止指令の供給時からの回転速度の時間経過に伴う変化をシミュレートすることができる。従って、運転開始指令の発生時から0.5秒ごとに運転開始指令が出力されているか、運転停止指令が出力されているかをチェックし、運転開始指令が出力されていると1を、運転停止指令が出力されていると0を、データとしてこのフィルタに入力する。
【0030】
このようにして得られたデジタルフィルタの出力信号に所定設定速度Vαを乗算することによって、現在の回転台2の回転速度を近似的に知ることができる。
【0031】
なお、立ち上がり特性を図3の点線で示すように変形することによって、近似精度を高めることができる。この場合には、上述した移動平均フィルタの前段に1秒の遅れ演算要素を加えればよい。即ち、2段のシフトレジスタを移動平均フィルタの前段に設け、常に入力信号を2回分(1秒)遅らせて、移動平均フィルタに入力すればよい。
【0032】
また、出力応答を実際の応答に近づけるために出力応答を曲線にする場合には、例えば11個のデータを移動平均する移動平均フィルタを出力を、11個のデータを移動平均する別の移動平均フィルタに入力し、二重移動平均フィルタとすればよい。
【0033】
上記のように二重移動平均フィルタを用いれば、出力応答を曲線にすることができる。しかし、より実際の回転台2の応答に近づけたい場合、実際の回転台2の応答では、図3の実線から明らかなように立ち上がりと飽和付近の変化とは緩やかであるが、途中では変化が早い。そこで、フィルタの出力をより実際の特性に近似する手法として、図5に符号Aで示されている伝達関数を持つフィルタを使用する。
【0034】
この伝達関数W(s)は、
Ws(S)=ωn・P3/(S+P3)(S+2ζωn・S+ωn
で表される。図5に示すβはP3/ζωnで表され、βが1であるときに符号Aで示す特性となる。
【0035】
図5の符号Aの応答特性を図3に実線で示す回転台2の時間応答特性に対応させるため、まずωnを定める。図5における符号Aの時間応答曲線は、ωn・t=7のときに、ほぼ応答は飽和しているので、
t=7/ωn=11秒
とおいて、ωnを7/11と定める。
【0036】
次に、P3を定める。図5に記載してあるように、β=P3/ζωn、ζ=0.5であり、βは1であるので、P3は、
P3=ζ・ωn=0.5・(7/11)=7/22
となる。
【0037】
従って、Ws(S)は、
Ws(s)={P3/(S+P3)}{ωn/(S+2ζωn・S+ωn)}
={1/(T1・S+1)}{1/(T2・S+T3・S+1)}
となる。
【0038】
但し、T1=1/P3=22/7、
T2=(1/ωn)=(11/7)=121/49
T3=2ζ/ωn=11/7
である。
【0039】
このように伝達関数Ws(s)の係数T1、T2、T3の値を決定した後、1次の巡回型フィルタ1/(T1・S+1)と、2次の巡回型フィルタ1/(T2・S+T3・S+1)とが直列に接続された形で出力が得られるように、CPU22にプログラミングして、このフィルタを構成する。
【0040】
このフィルタの入力をf(m・t)、出力をg(m・t)とし(但し、m=0、1、2、3・・・・)、上述したように所定時間、例えば0.5秒ごとにf(m・t)として1または0を運転開始指令が出力されているか運転停止指令が出力されているかに応じて入力することによって、回転台2の実際の特性により近い回転速度を出力することができる。実際には、このフィルタの出力g(m・t)に設定速度Vαを乗算した値が、運転開始指令が出力された後、m・t時間後の回転台2の回転速度を表している。
【0041】
このようにして移動平均フィルタまたは2つの巡回型フィルタを用いて算出された回転速度vを、所定の公式に入力して遠心力誤差E1(v)と風力誤差E2(v)とをCPU22が求める。これが誤差成分算出手段である。各ロードセル6からの計量信号に基づくデジタル計量信号Wから、例えばこれらE1(v)及びE2(v)を減算することによって、これら誤差の影響を除去した計量信号が得られる。この減算が補正手段に該当する。
【0042】
なお、上記の説明では、或る設定速度Vαの場合についてのみ説明したが、各設定速度それぞれに対応させた特性を持つフィルタを設け、各設定速度が操作用制御装置26によって設定されるごとに、CPU22において対応するフィルタを用いて回転速度を計算することもできる。
【0043】
上記の実施の形態では、ステップ状に回転台2の速度を変化させる場合について述べたが、これに限ったものではなく、例えば運転停止の状態から所定速度までランプ状に速度を増加させる場合や、所定の速度から運転停止状態にランプ状に速度を低下させる場合や、正弦波状に速度を増減させるような場合にも、ランプ状または正弦波状に変化する入力信号をフィルタに供給すれば、実際の回転台の速度変化をシミュレーションした回転速度値を得ることができる。無論、或る定常速度で回転している状態から別の定常速度にステップ状、またはランプ状に速度を変化させる場合でも、その速度変化をシミュレーションすることができる。また上記の実施形態では、回転体の回転に伴う計量信号の誤差成分を補正する場合に、本発明を実施したが、これに限ったものではなく、例えば回転体の回転速度を表示する場合に使用することもできる。また、上記の実施の形態では、回転式重量充填装置に本発明を実施したが、これに限ったものではなく、回転しながら物品を計量する回転式重量計を備える機器、例えば回転式重量選別機等にも本発明を実施することができる。上記の実施の形態では、複数のロードセル6を使用したが、少なくとも1台のロードセルだけを回転体によって回転させる構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の1実施形態の回転式重量充填装置の概略構成図である。
【図2】図1の回転式重量充填装置のブロック図である。
【図3】図1の回転式重量充填装置における回転台の回転速度の時間変化を示す図である。
【図4】図1の回転式充填重量装置が備えるフィルタの1例の時間応答図である。
【図5】図1の回転式充填重量装置が備えるフィルタの他の例の時間応答図である。
【符号の説明】
【0045】
2 回転台(回転体)
6 ロードセル(計量手段)
22 CPU(回転速度算出手段)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動手段によって回転中心の回りに回転する回転体と、
この回転体にに取り付けられ、前記回転体の回転に従って回転する計量手段と、
前記回転体に与えようとする回転速度に対応し、かつ経時的に変化する入力信号が与えられたとき、前記回転体に現れかつ経時的に変化する回転速度にほぼ等しい回転速度値を算出する回転速度算出手段とを、
具備する回転式重量計。
【請求項2】
請求項1記載の回転式重量計において、前記回転速度算出手段は、前記回転体及び前記計量手段が持つ慣性特性を模擬した伝達関数を有する手段である回転式重量計。
【請求項3】
請求項2記載の回転式重量計において、前記入力信号は、前記回転体に与えようとする速度の第1定常状態から第2定常状態までの変化を表す回転式重量計。
【請求項4】
請求項2記載の回転式重量計において、前記入力信号は、前記回転体に与えようとする時間経過と共に変化する速度の変化を表す回転式重量計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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