回転機械支持装置
【課題】流路形成体を交換する場合に、振動特性の変化を防止し、短時間で交換できるようにする。
【解決手段】回転機械1の回転アンバランス検査を行うために回転機械1を支持する回転機械支持装置10。回転機械1は、タービン翼3を有する回転体4を備える。回転機械支持装置10は、タービン翼3を内部に収容するタービンハウジング6と、静止側部材8を支持する支持体15と、を備える。タービンハウジング6は、タービン翼3を回転駆動する流体を流す流路14aが形成された流路形成体14を有する。流路形成体14は、支持体15の内部に取り付けられる。支持体15の内部から流路形成体14を取り出すための取出穴15aが、静止側部材8と反対側にて、支持体15に形成されている。
【解決手段】回転機械1の回転アンバランス検査を行うために回転機械1を支持する回転機械支持装置10。回転機械1は、タービン翼3を有する回転体4を備える。回転機械支持装置10は、タービン翼3を内部に収容するタービンハウジング6と、静止側部材8を支持する支持体15と、を備える。タービンハウジング6は、タービン翼3を回転駆動する流体を流す流路14aが形成された流路形成体14を有する。流路形成体14は、支持体15の内部に取り付けられる。支持体15の内部から流路形成体14を取り出すための取出穴15aが、静止側部材8と反対側にて、支持体15に形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転機械の回転アンバランス検査を行うために回転機械を支持する回転機械支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回転機械は、流体により回転駆動される。このような回転機械には、過給機やターボ圧縮機やガスタービンなどがあるが、過給機を例として、回転アンバランス検査について説明する。
【0003】
ここで、過給機を簡単に説明する。過給機は、車両や船舶などに搭載されるエンジンの排ガスエネルギーを利用して、エンジンに圧縮空気を供給する装置である。過給機は、エンジンの排ガスにより回転駆動される回転体を有する。回転体は、エンジンの排ガスにより回転駆動されるタービン翼と、タービン翼と一体的に回転することで圧縮空気をエンジンに供給するコンプレッサ翼と、一端部にタービン翼が結合され他端部にコンプレッサ翼が結合される回転軸と、を有する。また、過給機は、タービン翼を内部に収容するタービンハウジングと、コンプレッサハウジングを内部に収容するコンプレッサハウジングと、回転軸を支持する軸受が内部に組み込まれる軸受ハウジングと、を備える。
【0004】
回転アンバランス検査は、例えば、過給機を製品として出荷する前に行われる。回転アンバランス検査を行うための回転アンバランス検査装置は、過給機を支持する回転機械支持装置と、過給機の振動特性を計測する計測装置と、を備える。図10は、下記の特許文献1に記載された回転アンバランス検査装置の構成を示す。
【0005】
図10において、回転機械支持装置は、タービン翼31を内部に収容する検査用のタービンハウジング32と、過給機1を支持する支持体34とからなる。また、図10において、計測装置は、支持体34に取り付けられ支持体34の振動(即ち、加速度)を計測する振動センサ45と、回転体の回転角を計測する角度センサ47と、計測した振動と回転角から回転体のアンバランスデータを算出する演算器49とからなる。
【0006】
一方、図11のような回転アンバランス検査装置が想定される。図11において、計測装置は、図10の計測装置と同じ構成を有する。また、図11において、過給機を支持する回転機械支持装置は、タービン翼31を内部に収容する検査用のタービンハウジング33と、過給機1を支持する支持体35と、を有する。図11では、タービンハウジング33は、支持体35の内部に取り付けられる流路形成体33aと、過給機の軸受ハウジング37が取り付けられる支持力伝達体33bと、を有する。支持体35は、支持力伝達体33bを介して軸受ハウジング37を支持する。図11において、符号39は、軸受ハウジング37を、支持力伝達体33bを介して支持体35に押し付けるクランプ装置を示し、符号41は、流路形成体33aを支持体35に結合するボルトを示し、符号43は、ボルト41を通すためのボルト孔を示す。
なお、図11において、支持力伝達体33bを省略してもよく、この場合、支持体35が直接、軸受ハウジング37を支持するように支持体35などの構成が変更される。例えば、クランプ装置39が、軸受ハウジング37を、直接、支持体35に押し付けるように支持体35の形状と寸法が適宜変更される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−39904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、図11において、過給機1の機種変更に応じて流路形成体33aを交換する必要があるので、過給機1の振動特性が変化する問題1と、流路形成体33aの交換に時間がかかる問題2とが生じる可能性がある。
流路形成体33aは、過給機1の機種毎に交換する必要がある。即ち、図11の装置によりアンバランスデータを取得する過給機1の機種を変更する場合、支持体35の内部に取り付ける流路形成体33aを、変更後の機種に合った流路形成体33aに交換する必要がある。その交換の作業手順は次の通りである(なお、次の括弧書きは、支持力伝達体33bを省略する場合である)。
まず、クランプ装置39を緩めて、軸受ハウジング37と支持力伝達体33b(支持体35)との結合を解き、タービンハウジング33以外の過給機1の部分を取り外す。その次に、支持力伝達体33b(軸受ハウジング37)を支持体35から取り外し、その後、流路形成体33aを支持体35の内部から図11の右側へ取り出す。次いで、別の流路形成体33aを、図11の右側から支持体35の内部へ取り付け、その次に、支持力伝達体33b(軸受ハウジング37)を支持体35に取り付け、その後、クランプ装置39により、軸受ハウジング37と支持力伝達体33b(支持体35)とを結合させる。このような作業により、上述の問題1、2が生じる。
即ち、問題1は、上述の作業により、支持力伝達体33b(軸受ハウジング37)と支持体35の結合力が変化したり、支持力伝達体33b(軸受ハウジング37)の位置がずれたりすることにより、支持体35の振動特性が変化してしまうことである。問題2は、上述の作業は、時間がかかることである。
【0009】
そこで、本発明の目的は、上述の問題1、2が生じる可能性を無くすことである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
回転機械の回転アンバランス検査を行うために該回転機械を支持する回転機械支持装置であって、
前記回転機械は、回転駆動されるタービン翼を有する回転体を備え、
前記回転機械支持装置は、前記タービン翼を内部に収容するタービンハウジングと、前記回転体を回転可能に支持する静止側部材を支持する支持体と、を備え、
前記タービンハウジングは、前記タービン翼を回転駆動する流体を流す流路が形成された流路形成体を有し、該流路形成体は、前記支持体の内部に取り付けられ、
前記支持体の内部から前記流路形成体を取り出すための取出穴が、前記静止側部材と反対側にて、前記支持体に形成されている、ことを特徴とする回転機械支持装置が提供される。
【0011】
上述した本発明の回転機械支持装置では、静止側部材と反対側にある取出穴から流路形成体を取り出せるので、静止側部材を前記支持体から外すことなく、流路形成体を支持体の外部へ取り出せる。
従って、流路形成体を交換する時に、静止側部材を支持体から取り外さなくて済むので、支持体に対する静止側部材の脱着による振動特性変化を防止できる。
また、流路形成体を交換する時に、支持体に対し静止側部材を脱着する作業が不要になるので、短時間で流路形成体を交換できる。
【0012】
本発明の好ましい実施形態によると、前記タービンハウジングは、支持力伝達体を有し、前記支持体は、前記支持力伝達体を介して前記静止側部材を支持する。
【0013】
この構成により、支持力伝達体と反対側にある取出穴から流路形成体を取り出せるので、支持力伝達体を前記支持体から外すことなく、流路形成体を支持体の外部へ取り出せる。
従って、流路形成体を交換する時に、支持力伝達体を支持体から取り外さなくて済むので、支持体に対する支持力伝達体の脱着による振動特性変化を防止できる。
また、流路形成体を交換する時に、支持体に対し支持力伝達体を脱着する作業が不要になるので、短時間で流路形成体を交換できる。
【0014】
本発明の好ましい実施形態によると、前記取出穴を塞ぐ取出穴閉塞体を備え、該取出穴閉塞体は前記支持体に着脱可能である。
【0015】
このように、前記取出穴を塞ぐ取出穴閉塞体を、前記支持体に対し着脱可能としたので、取出穴閉塞体を外した上で、該取出穴を通して、支持体の前記内部から流路形成体を取り出すことができる。
【0016】
前記取出穴閉塞体に、前記タービン翼からの流体が通過する排出穴を形成してもよい。
【0017】
本発明の好ましい実施形態によると、前記静止側部材の被押付部を前記支持力伝達体との間に挟む押付部材を備え、該押付部材は、前記支持力伝達体に向けて前記被押付部に押付力を作用させる。
【0018】
このように、静止側部材の被押付部を支持力伝達体との間に挟む押付部材が、被押付部に押付力を作用させることで、支持力伝達体を介して支持体が静止側部材を支持する。これにより、剛性・固有振動数が低い流路形成体を介さずに回転機械を支持することが可能になる。その結果、流路形成体が振動特性に与える影響を低減できる。
即ち、タービンハウジングを、タービン翼を駆動させる流体を流す流路を形成する部分(タービン翼を駆動させる機能を持つ部分)である流路形成体と、前記流路が形成されず静止側部材(例えば軸受ハウジング)を支持する機能を持つ部分である支持力伝達体とに分けた(例えば、分割した)ので、剛性・固有振動数が低い流路形成体を介さずに回転機械を支持することが可能になる。
よって、回転機械の回転アンバランス検査において、タービンハウジングの流路が回転機械の振動特性に与える影響を低減できる。
【0019】
好ましくは、前記押付力が、前記支持力伝達体を介して前記支持体に作用する。
【0020】
このように、前記押付部材は、前記押付力を、前記支持力伝達体を介して前記支持体に作用させるので、前記押付力により静止側部材を支持体に強固に固定できる。即ち、流路により剛性・固有振動数が低下した流路形成体を介さずに静止側部材を支持体に強固に固定できる。よって、回転機械の回転アンバランス検査において、タービンハウジングの固有振動数が回転機械の振動特性に与える影響を無くしまたは大幅に低減できる。
【0021】
好ましくは、前記支持力伝達体と前記支持体とを一体構造にする。
【0022】
このように、前記支持力伝達体と前記支持体とを一体構造(例えば、一体成型)にしたので、押付力の伝達経路が安定する。即ち、押付力が、被押付部と支持力伝達体を通って、押付部材から支持体へ安定して伝達する。これにより、回転アンバランス検査の精度が向上する。
【0023】
本発明の好ましい実施形態によると、前記支持力伝達体は、
前記軸方向に対する半径方向の位置が前記被押付部と同じとなり前記押付力を受ける内側部と、
該内側部から前記半径方向の外方に、前記半径方向に関して前記流路形成体の外側まで延び、該外側にて前記支持体に結合される延長部と、を有する。
【0024】
このように、前記支持力伝達体は、半径方向の位置が前記被押付部と同じとなり前記押付力を受ける内側部と、該内側部から前記半径方向の外方に、前記半径方向に関して前記流路形成体の外側まで延び、該外側にて前記支持体に結合される延長部と、を有するので、前記流路形成体を前記支持体に取り付ける場合に、前記流路形成体を回避する経路で、回転機械の荷重を支持体に伝達できる。
【発明の効果】
【0025】
上述した本発明によると、静止側部材または支持力伝達体を支持体から外すことなく、流路形成体を静止側部材または支持力伝達体と反対側から取り出すことができ、その結果、支持体に対する静止側部材または支持力伝達体の脱着による振動特性変化を防止できるとともに、短時間で流路形成体を交換できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明が適用可能な過給機の構成図である。
【図2】本発明の実施形態による回転機械支持装置の構成図である。
【図3】図2のA−A線矢視図である。
【図4】本発明の実施形態による回転機械支持装置の詳細斜視図である。
【図5】図2において、取付穴閉塞体を取り外した状態を示す。
【図6】図5のA−A線矢視図である。
【図7】本発明の実施形態による回転機械支持装置の支持力伝達体を示す図である。
【図8】支持力伝達体と支持体とを一体構造にした回転機械支持装置を示す。
【図9】別の押付部材を用いた場合における回転機械支持装置の構成図である。
【図10】特許文献1の回転アンバランス検査装置を示す。
【図11】本発明の課題を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0028】
図1(A)は、本発明の回転機械支持装置が適用可能な過給機1の構成図である。
過給機1の回転体4は、図1(A)に示すように、エンジンの排ガスにより回転駆動されるタービン翼3と、タービン翼3と一体的に回転することで圧縮空気をエンジンに供給するコンプレッサ翼5と、一端部にタービン翼3が結合され他端部にコンプレッサ翼5が結合される回転軸7と、を有する。また、過給機1は、上述の回転体4を回転可能に支持する静止側部材8を有する。図1(A)の例では、静止側部材8は、回転体4(回転軸7)を支持する軸受8a,8bが内部に組み込まれる軸受ハウジングである。また、過給機1は、タービン翼3を内部に収容するタービンハウジング9と、コンプレッサ翼5を内部に収容するコンプレッサハウジング(本願の図面では取り外されている)と、を備える。タービンハウジング9には、タービン翼3を回転駆動する流体(エンジンからの排ガス)を流す流路(スクロール)9aが形成されている。
符号2は、軸受ハウジング8とタービンハウジング9とを結合するカップリング部材を示す。図1(B)は、回転軸7の軸方向から見たカップリング部材2を示す。図1(B)において、カップリング部材2は、互いに分割されている1対の半円弧状部材2aと、1対の半円弧状部材2aを結合するボルト2bおよびナット2cとからなる。なお、カップリング部材2を用いずに、軸受ハウジング8とタービンハウジング9とをボルトなどにより結合してもよい。
【0029】
図2は、本発明の実施形態による回転機械支持装置10の構成図である。図2は、過給機1が回転機械支持装置10に取り付けられた状態を示す。図3は、図2のA−A線矢視図である(図2は、図3のB−B線矢視図でもある)。図4は、回転機械支持装置10の詳細斜視図である。
【0030】
回転機械支持装置10は、回転機械(この例では過給機1)の回転アンバランス検査を行うために回転機械1を支持する。図2の例では、回転機械支持装置10が支持する回転機械は、図1(A)に示す過給機1である。回転機械支持装置10は、検査用のタービンハウジング6、支持体15、および押付部材11を備える。
【0031】
検査用のタービンハウジング6は、タービン翼3を内部に収容するが、タービンハウジング9の代わりに設けられる。即ち、完成品の過給機1からタービンハウジング9(と図示しない前記コンプレッサハウジング)を取り外し、このタービンハウジング9の代わりとなるタービンハウジング6を設ける。タービンハウジング6と完成品用タービンハウジング9とは、形状および寸法の少なくともいずれかが異なる。タービンハウジング6は、流路形成体14と支持力伝達体13とからなっている。流路形成体14には、回転アンバランス検査のためにタービン翼3を回転駆動する流体を流す流路14aが形成されている。支持力伝達体13には、流路は形成されていない。支持力伝達体13は、図2において、回転体4の軸方向から見た場合、少なくとも部分的に流路形成体14と重なり、軸方向に関し、流路形成体14と静止側部材8との間に設けられる。図2の例では、流路形成体14と支持力伝達体13とは、互いに分割されている別個の部材同士であるが、好ましくは、支持力伝達体13と支持体15とを一体構造にする。例えば、支持力伝達体13と支持体15とを一体成型する。なお、流路14aは、タービン翼3よりも上流側にあるスクロール21と、タービン翼3よりも下流にある排気口23とを有する。
【0032】
支持体15は回転機械(この例では過給機1)を支持するための土台である。支持体15の内部には、流路形成体14が取り付けられる。また、支持体15には、前記軸方向に関し、静止側部材8の側に支持力伝達体13が結合され、静止側部材8と反対側に取出穴15aが形成される。この取出穴15aは、前記軸方向から見た場合、例えば円形であってよい。該取出穴15aを通して、流路形成体14を、支持体15の内部から外部へ前記軸方向に取り出せる。また、取出穴15aを塞ぐ取出穴閉塞体18が設けられる。この取出穴閉塞体18は支持体15に対し着脱可能である。図5は、取出穴閉塞体18を支持体15から取り外した状態を示す。図6は、図5のA−A線矢視図である。図5、図6の例では、取出穴閉塞体18には、タービン翼3からの流体が通過する排出穴18aが形成されている。
なお、ボルト17などの結合手段により、取出穴閉塞体18が流路形成体14に結合される。また、ボルト25などの結合手段により、取出穴閉塞体18が支持体15に結合される。なお、図2において、符号19は、ボルト17が挿入されるボルト孔を示し、符号27は、ボルト25が挿入されるボルト孔を示す。
また、過給機1の回転アンバランス検査時に、支持体15の外部から流路14aへ流体(圧縮ガス)を通す通路(図示せず)が支持体15に形成されてよい。この圧縮ガスは、図2において、スクロール21からタービン翼3を通過することで、タービン翼3を回転駆動し、その後、排気口23を通って過給機1の外部へ出て行く。図2の例では、タービン翼3を通過した前記圧縮ガスは、排気口23から排出穴18aへ流入することで、支持体15の外部へ出て行く。代わりに、タービン翼3を通過した前記圧縮ガスは、排気口23から、支持体15の側面(図2の紙面と垂直な方向を向く面)に形成された排出穴(図示せず)を通過することで、支持体15の外部へ出て行ってもよいし、支持体15の上面または下面(図2の上方または下方を向く面)に形成された排出穴(図示せず)を通過することで、支持体15の外部へ出て行ってもよい。
【0033】
押付部材11は、静止側部材8の被押付部1aを支持力伝達体13との間に挟み、支持力伝達体13に向けて被押付部1aに押付力を作用させる。前記押付力は、押付部材11から、被押付部1aと支持力伝達体13を介して支持体15に作用する。
押付部材11は、流路14aよりもコンプレッサ翼5側の位置にて過給機1の被押付部1aに押付力を作用させる。図2〜図4の例では、被押付部1aは軸受ハウジング8の一部であり、軸受ハウジング8の外周面から回転軸7の半径方向に突出した突出部である。この突出部1aは、図3のように回転軸7の軸方向から見た場合、環状となっている。
また、押付部材11を被押付部1aに押し付ける押圧力発生装置を設ける。図2〜図4の例では、油圧を用いた押圧力発生装置12を設けている。即ち、図2〜図4の例では、押付部材11は、油圧クランプのクランプロッドである。この場合、押付部材11は、油圧により旋回しながら回転軸7の軸方向に移動させられる公知のスイング式クランプロッドであってもよい。この油圧が供給される油圧室は油圧クランプ本体(押圧力発生装置)12の内部に形成され、油圧クランプ本体12は支持体15に固定される。図2の例では、このようなクランプロッド11と油圧クランプ本体12からなる油圧クランプを、回転軸7の周方向に間隔をおいて4つ設けている。
【0034】
支持力伝達体13は、流路14aよりもコンプレッサ翼5側の位置にて被押付部1aを押付部材11との間に挟むとともに、支持力伝達体13には、前記押付力により被押付部1aが押し付けられる。図4において、符号16は、支持力伝達体13を支持体15に固定するためのボルトが挿入されるボルト孔を示す(他の図では、ボルト孔16は省略している)。このように、各図の例では、支持力伝達体13は、支持体15から独立した部材であるが、好ましくは、上述のように、支持力伝達体13と支持体15とを一体構造にする。なお、支持力伝達体13は、剛性の高い材料(例えば、鉄鋼材)で形成される。
支持力伝達体13は、図2に示すように、内側部13aと延長部13bを有する。内側部13aは、前記軸方向に対する半径方向(即ち、回転軸7の半径方向)の位置が被押付部1aと同じとなり前記押付力を受ける。延長部13bは、該内側部13aから前記半径方向の外方に、前記半径方向に関して流路形成体14の外側まで延び、該外側にて支持体15にボルト16により結合され支持体15に前記押付力を作用させる。これにより、前記押圧力を流路形成体14に作用させずに、または、ほとんど作用させずに、前記押圧力を支持体15に作用させることができる。なお、支持力伝達体13は、図3の破線で囲まれた範囲Rにおいて、前記押付力を支持体15に伝達、作用させている。
図7は、図3において支持力伝達体13以外の部材を省略した図であり、支持力伝達体13を示している。図7に示すように、支持力伝達体13には、軸受ハウジング8が挿入される開口13cが形成されている。即ち、支持力伝達体13は、その開口13cに軸受ハウジング8を挿入することで、軸受ハウジング8に取り付けられる。なお、開口13cは、回転軸7の軸方向から見て円形となっている。一方、軸受ハウジング8の外周面も、開口13cの形状と整合するように前記軸方向から見て円形になっている。この構成で、軸受ハウジング8の外周面を支持力伝達体13の開口13cに挿入かつ嵌合させる。
【0035】
上述の回転機械支持装置10において、流路形成体14を交換する作業を説明する。まず、図2の状態から、ボルト17、25を外して、取出穴閉塞体18を図5のように支持体15から取り外し、次に、流路形成体14を、取出穴15aを通して、支持体15の内部から外部へ前記軸方向(図5の左側)に取り出す。その後、逆の手順で、交換用の流路形成体14を取り付ける。具体的には、まず、取出穴15aを通して、交換用の流路形成体14を支持体15の内部に取り付け、次に、取出穴閉塞体18を支持体15に取り付けて、取出穴閉塞体18と流路形成体14とをボルト17により結合するとともに、取出穴閉塞体18と支持体15とをボルト25により結合する。これにより、流路形成体14と取出穴閉塞体18が支持体15に結合される。
【0036】
上述の回転機械支持装置10に過給機1(回転体4と静止側部材8)を着脱する作業についても説明する。この作業は、流路形成体14を交換する作業と独立して行える。静止側部材8の取付作業は次の通りである。まず、完成品の過給機1からタービンハウジング9とコンプレッサハウジングを取り外した状態にする。次いで、開口13cに回転体4(この例ではタービン翼3)を通すとともに静止側部材8(この例では軸受ハウジング8)の一部を支持力伝達体13の開口13cに挿入した状態にする。この状態で、押付部材11により、静止側部材8の被押付部1aを支持力伝達体13を介して支持体15に押し付ける。これにより、過給機1を支持体15に取り付け固定する。なお、静止側部材8の形状と寸法は、回転機械(この例では過給機1)の異なる機種間で同じであってよい。
【0037】
上述の回転機械支持装置10を用いたアンバランス計測について説明する。アンバランス計測のために、図2のように、振動センサ45、角度センサ47、および演算器49が設けられる。振動センサ45は、支持体15に取り付けられて、支持体15の振動(即ち、加速度)を計測する。角度センサ47(例えば、磁気センサ)は、回転体4のコンプレッサ側端部に対向するように配置され、回転体4の回転角を計測する。演算器49は、計測した振動と回転角から回転体4のアンバランスデータを算出する。なお、このような振動センサ45による振動計測と、角度センサ47による回転角計測とは、回転体4を回転させた状態で行うが、回転体4の回転は、上述したように、支持体15の外部から流路形成体14の流路14aに流体を供給することで行う。これにより、当該流体によりタービン翼3が回転駆動されて回転体4が回転する。
【0038】
上述した本発明による回転機械支持装置10では、以下の効果(1)〜(5)が得られる。
【0039】
(1)回転機械1の静止側部材8と反対側(即ち、支持力伝達体13と反対側)にある取出穴15aから流路形成体14を取り出せるので、支持力伝達体13を支持体15から外すことなく、流路形成体14を支持体15の外部へ取り出せる。従って、流路形成体14を交換する時に、支持力伝達体13を支持体15から取り外さなくて済むので、支持体15に対する支持力伝達体13の脱着による振動特性変化を防止できる。また、流路形成体14を交換する時に、支持体15に対し支持力伝達体13を脱着する作業が不要になるので、短時間で流路形成体14を交換できる。
【0040】
(2)静止側部材8の被押付部1aを支持力伝達体13との間に挟む押付部材11が、被押付部1aに押付力を作用させることで、支持力伝達体13を介して支持体15が回転機械1を支持する。これにより、剛性・固有振動数が低い流路形成体14を介さずに回転機械1を支持することが可能になる。その結果、流路形成体14が振動特性に与える影響を低減できる。
即ち、タービンハウジング6を、タービン翼3を駆動させる流体を流す流路14aを形成する部分(タービン翼3を駆動させる機能を持つ部分)である流路形成体14と、流路が形成されず回転機械1(静止側部材8)を支持する機能を持つ部分である支持力伝達体13とに分けた(例えば、分割した)ので、剛性・固有振動数が低い流路形成体14を介さずに回転機械1を支持することが可能になる。
よって、回転機械1の回転アンバランス検査において、タービンハウジング6の流路14aが回転機械1の振動特性に与える影響を低減できる。
【0041】
(3)さらに、押付部材11は、前記押付力を、支持力伝達体13を介して支持体15に作用させるので、前記押付力により回転機械1(静止側部材8)を支持体15に強固に固定できる。即ち、流路14aにより剛性・固有振動数が低下した流路形成体14を介さずに静止側部材8を支持体15に強固に固定できる。よって、回転機械1の回転アンバランス検査において、タービンハウジング6の固有振動数が回転機械1の振動特性に与える影響を無くしまたは大幅に低減できる。
【0042】
(4)支持力伝達体13は、前記半径方向の位置が被押付部1aと同じとなり前記押付力を受ける内側部13aと、該内側部13aから前記半径方向の外方に、前記半径方向に関して流路形成体14の外側まで延び、該外側にて支持体15に結合される延長部13bと、を有するので、流路形成体14を支持体15に取り付ける場合に、流路形成体14を回避する経路で、過給機1の荷重を支持体15に伝達できる。また、延長部13bは、流路形成体14の外側にて支持体15に前記押付力を作用させるので、流路形成体14を回避する経路で前記押付力を被押付部1aから支持体15に伝達できる。
【0043】
(5)さらに、支持力伝達体13と支持体15とを一体構造(例えば、一体成型)にすれば、押付力の伝達経路が安定する。即ち、押付力が、被押付部1aと支持力伝達体13を通って、押付部材11から支持体15へ安定して伝達する。これにより、回転アンバランス検査の精度が向上する。図8は、支持力伝達体13と支持体15とを一体構造にした場合を示す。
【0044】
本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、以下で述べる各変更内容を、単独であるいは組み合わせて採用してもよい。
【0045】
上述の実施形態では、押付部材11は、油圧クランプのクランプロッドであったが、押付部材11は、被押付部1aに押付力を作用させ、この押付力を支持力伝達体13を介して支持体15に作用させる他の適切な押圧部材であってもよい。この場合、押付部材11を被押付部1aに押し付ける押圧力発生装置を設け、これにより、押圧部材11は、被押付部1aに押付力を作用させ、この押付力を支持力伝達体13を介して支持体15に作用させてよい。
なお、本発明では、押付部材11として、被押付部1aに押付力を作用させるが、この押付力を支持力伝達体13を介して支持体15に作用させないものであってもよい。例えば、押付部材11は、図9のように被押付部1aを支持力伝達体13に押圧して結合させるボルトであってもよい。図9において、ボルト11の頭11aが被押付部1aを支持力伝達体13に押圧して結合させている。ボルト11の先端部(ネジ部)は、支持力伝達体13に設けられているネジ孔に螺合されている。また、ボルト11を回転軸7の周方向に複数設けてよい。図9において、ボルト11以外の構成は、図2〜図7または図8の構成と同様であってよい。図9の場合でも、上述のようにタービンハウジング6(流路形成体14)の振動特性が過給機1の振動特性に与える影響を低減できる。
【0046】
また、本発明の回転機械支持装置は、過給機以外にターボ圧縮機やガスタービンなどの他の回転機械にも適用可能である。即ち、タービン翼に流体を供給することで回転駆動される回転機械であれば、本発明の回転機械支持装置を適用することができる。
【0047】
上述の実施形態では、検査用のタービンハウジング6と完成品用タービンハウジング9とは、形状および寸法の少なくともいずれかが異なっていたが、本発明によると、タービンハウジング6と完成品用タービンハウジング9とは、形状および寸法が同じであってもよい。即ち、完成品用タービンハウジング9が、上述のタービンハウジング6として支持体15の内部に取り付けられてもよい。
【0048】
上述の実施形態では、支持体15は、支持力伝達体13を介して静止側部材8を支持したが、支持力伝達体13を省略してもよい。この場合、支持体15は、静止側部材8を、直接、支持する。例えば、押付部材11が、静止側部材8を、直接、支持体15に押し付けられるように支持体15の形状と寸法が適宜変更されてよい。
【0049】
回転機械支持装置10に使用される静止側部材8は、完成品の回転機械(過給機1)の静止側部材であってもよいし、完成品の回転機械の静止側部材と異なっていてもよい。このように、静止側部材8が、完成品の回転機械の静止側部材と異なる場合には、回転機械支持装置10に使用される静止側部材8は、回転機械支持装置10に適合する形状と寸法を有してよい。
【符号の説明】
【0050】
1 過給機、1a 被押付部(突出部)、3 タービン翼、
4 回転体、5 コンプレッサ翼、
6 検査用のタービンハウジング、7 回転軸、
8 静止側部材(軸受ハウジング)、8a,8b 軸受、
9 タービンハウジング,9a 流路、10 回転機械支持装置、
11 押付部材、12 油圧クランプ本体(押圧力発生装置)、
13 支持力伝達体、13a 内側部、13b 延長部、13c 開口、
14 流路形成体、14a 流路、15 支持体、15a 取出穴、
16 ボルト孔、17 ボルト、18 取出穴閉塞体、18a 排出穴
19 ボルト孔、21 スクロール、23 排気口、
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転機械の回転アンバランス検査を行うために回転機械を支持する回転機械支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回転機械は、流体により回転駆動される。このような回転機械には、過給機やターボ圧縮機やガスタービンなどがあるが、過給機を例として、回転アンバランス検査について説明する。
【0003】
ここで、過給機を簡単に説明する。過給機は、車両や船舶などに搭載されるエンジンの排ガスエネルギーを利用して、エンジンに圧縮空気を供給する装置である。過給機は、エンジンの排ガスにより回転駆動される回転体を有する。回転体は、エンジンの排ガスにより回転駆動されるタービン翼と、タービン翼と一体的に回転することで圧縮空気をエンジンに供給するコンプレッサ翼と、一端部にタービン翼が結合され他端部にコンプレッサ翼が結合される回転軸と、を有する。また、過給機は、タービン翼を内部に収容するタービンハウジングと、コンプレッサハウジングを内部に収容するコンプレッサハウジングと、回転軸を支持する軸受が内部に組み込まれる軸受ハウジングと、を備える。
【0004】
回転アンバランス検査は、例えば、過給機を製品として出荷する前に行われる。回転アンバランス検査を行うための回転アンバランス検査装置は、過給機を支持する回転機械支持装置と、過給機の振動特性を計測する計測装置と、を備える。図10は、下記の特許文献1に記載された回転アンバランス検査装置の構成を示す。
【0005】
図10において、回転機械支持装置は、タービン翼31を内部に収容する検査用のタービンハウジング32と、過給機1を支持する支持体34とからなる。また、図10において、計測装置は、支持体34に取り付けられ支持体34の振動(即ち、加速度)を計測する振動センサ45と、回転体の回転角を計測する角度センサ47と、計測した振動と回転角から回転体のアンバランスデータを算出する演算器49とからなる。
【0006】
一方、図11のような回転アンバランス検査装置が想定される。図11において、計測装置は、図10の計測装置と同じ構成を有する。また、図11において、過給機を支持する回転機械支持装置は、タービン翼31を内部に収容する検査用のタービンハウジング33と、過給機1を支持する支持体35と、を有する。図11では、タービンハウジング33は、支持体35の内部に取り付けられる流路形成体33aと、過給機の軸受ハウジング37が取り付けられる支持力伝達体33bと、を有する。支持体35は、支持力伝達体33bを介して軸受ハウジング37を支持する。図11において、符号39は、軸受ハウジング37を、支持力伝達体33bを介して支持体35に押し付けるクランプ装置を示し、符号41は、流路形成体33aを支持体35に結合するボルトを示し、符号43は、ボルト41を通すためのボルト孔を示す。
なお、図11において、支持力伝達体33bを省略してもよく、この場合、支持体35が直接、軸受ハウジング37を支持するように支持体35などの構成が変更される。例えば、クランプ装置39が、軸受ハウジング37を、直接、支持体35に押し付けるように支持体35の形状と寸法が適宜変更される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−39904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、図11において、過給機1の機種変更に応じて流路形成体33aを交換する必要があるので、過給機1の振動特性が変化する問題1と、流路形成体33aの交換に時間がかかる問題2とが生じる可能性がある。
流路形成体33aは、過給機1の機種毎に交換する必要がある。即ち、図11の装置によりアンバランスデータを取得する過給機1の機種を変更する場合、支持体35の内部に取り付ける流路形成体33aを、変更後の機種に合った流路形成体33aに交換する必要がある。その交換の作業手順は次の通りである(なお、次の括弧書きは、支持力伝達体33bを省略する場合である)。
まず、クランプ装置39を緩めて、軸受ハウジング37と支持力伝達体33b(支持体35)との結合を解き、タービンハウジング33以外の過給機1の部分を取り外す。その次に、支持力伝達体33b(軸受ハウジング37)を支持体35から取り外し、その後、流路形成体33aを支持体35の内部から図11の右側へ取り出す。次いで、別の流路形成体33aを、図11の右側から支持体35の内部へ取り付け、その次に、支持力伝達体33b(軸受ハウジング37)を支持体35に取り付け、その後、クランプ装置39により、軸受ハウジング37と支持力伝達体33b(支持体35)とを結合させる。このような作業により、上述の問題1、2が生じる。
即ち、問題1は、上述の作業により、支持力伝達体33b(軸受ハウジング37)と支持体35の結合力が変化したり、支持力伝達体33b(軸受ハウジング37)の位置がずれたりすることにより、支持体35の振動特性が変化してしまうことである。問題2は、上述の作業は、時間がかかることである。
【0009】
そこで、本発明の目的は、上述の問題1、2が生じる可能性を無くすことである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
回転機械の回転アンバランス検査を行うために該回転機械を支持する回転機械支持装置であって、
前記回転機械は、回転駆動されるタービン翼を有する回転体を備え、
前記回転機械支持装置は、前記タービン翼を内部に収容するタービンハウジングと、前記回転体を回転可能に支持する静止側部材を支持する支持体と、を備え、
前記タービンハウジングは、前記タービン翼を回転駆動する流体を流す流路が形成された流路形成体を有し、該流路形成体は、前記支持体の内部に取り付けられ、
前記支持体の内部から前記流路形成体を取り出すための取出穴が、前記静止側部材と反対側にて、前記支持体に形成されている、ことを特徴とする回転機械支持装置が提供される。
【0011】
上述した本発明の回転機械支持装置では、静止側部材と反対側にある取出穴から流路形成体を取り出せるので、静止側部材を前記支持体から外すことなく、流路形成体を支持体の外部へ取り出せる。
従って、流路形成体を交換する時に、静止側部材を支持体から取り外さなくて済むので、支持体に対する静止側部材の脱着による振動特性変化を防止できる。
また、流路形成体を交換する時に、支持体に対し静止側部材を脱着する作業が不要になるので、短時間で流路形成体を交換できる。
【0012】
本発明の好ましい実施形態によると、前記タービンハウジングは、支持力伝達体を有し、前記支持体は、前記支持力伝達体を介して前記静止側部材を支持する。
【0013】
この構成により、支持力伝達体と反対側にある取出穴から流路形成体を取り出せるので、支持力伝達体を前記支持体から外すことなく、流路形成体を支持体の外部へ取り出せる。
従って、流路形成体を交換する時に、支持力伝達体を支持体から取り外さなくて済むので、支持体に対する支持力伝達体の脱着による振動特性変化を防止できる。
また、流路形成体を交換する時に、支持体に対し支持力伝達体を脱着する作業が不要になるので、短時間で流路形成体を交換できる。
【0014】
本発明の好ましい実施形態によると、前記取出穴を塞ぐ取出穴閉塞体を備え、該取出穴閉塞体は前記支持体に着脱可能である。
【0015】
このように、前記取出穴を塞ぐ取出穴閉塞体を、前記支持体に対し着脱可能としたので、取出穴閉塞体を外した上で、該取出穴を通して、支持体の前記内部から流路形成体を取り出すことができる。
【0016】
前記取出穴閉塞体に、前記タービン翼からの流体が通過する排出穴を形成してもよい。
【0017】
本発明の好ましい実施形態によると、前記静止側部材の被押付部を前記支持力伝達体との間に挟む押付部材を備え、該押付部材は、前記支持力伝達体に向けて前記被押付部に押付力を作用させる。
【0018】
このように、静止側部材の被押付部を支持力伝達体との間に挟む押付部材が、被押付部に押付力を作用させることで、支持力伝達体を介して支持体が静止側部材を支持する。これにより、剛性・固有振動数が低い流路形成体を介さずに回転機械を支持することが可能になる。その結果、流路形成体が振動特性に与える影響を低減できる。
即ち、タービンハウジングを、タービン翼を駆動させる流体を流す流路を形成する部分(タービン翼を駆動させる機能を持つ部分)である流路形成体と、前記流路が形成されず静止側部材(例えば軸受ハウジング)を支持する機能を持つ部分である支持力伝達体とに分けた(例えば、分割した)ので、剛性・固有振動数が低い流路形成体を介さずに回転機械を支持することが可能になる。
よって、回転機械の回転アンバランス検査において、タービンハウジングの流路が回転機械の振動特性に与える影響を低減できる。
【0019】
好ましくは、前記押付力が、前記支持力伝達体を介して前記支持体に作用する。
【0020】
このように、前記押付部材は、前記押付力を、前記支持力伝達体を介して前記支持体に作用させるので、前記押付力により静止側部材を支持体に強固に固定できる。即ち、流路により剛性・固有振動数が低下した流路形成体を介さずに静止側部材を支持体に強固に固定できる。よって、回転機械の回転アンバランス検査において、タービンハウジングの固有振動数が回転機械の振動特性に与える影響を無くしまたは大幅に低減できる。
【0021】
好ましくは、前記支持力伝達体と前記支持体とを一体構造にする。
【0022】
このように、前記支持力伝達体と前記支持体とを一体構造(例えば、一体成型)にしたので、押付力の伝達経路が安定する。即ち、押付力が、被押付部と支持力伝達体を通って、押付部材から支持体へ安定して伝達する。これにより、回転アンバランス検査の精度が向上する。
【0023】
本発明の好ましい実施形態によると、前記支持力伝達体は、
前記軸方向に対する半径方向の位置が前記被押付部と同じとなり前記押付力を受ける内側部と、
該内側部から前記半径方向の外方に、前記半径方向に関して前記流路形成体の外側まで延び、該外側にて前記支持体に結合される延長部と、を有する。
【0024】
このように、前記支持力伝達体は、半径方向の位置が前記被押付部と同じとなり前記押付力を受ける内側部と、該内側部から前記半径方向の外方に、前記半径方向に関して前記流路形成体の外側まで延び、該外側にて前記支持体に結合される延長部と、を有するので、前記流路形成体を前記支持体に取り付ける場合に、前記流路形成体を回避する経路で、回転機械の荷重を支持体に伝達できる。
【発明の効果】
【0025】
上述した本発明によると、静止側部材または支持力伝達体を支持体から外すことなく、流路形成体を静止側部材または支持力伝達体と反対側から取り出すことができ、その結果、支持体に対する静止側部材または支持力伝達体の脱着による振動特性変化を防止できるとともに、短時間で流路形成体を交換できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明が適用可能な過給機の構成図である。
【図2】本発明の実施形態による回転機械支持装置の構成図である。
【図3】図2のA−A線矢視図である。
【図4】本発明の実施形態による回転機械支持装置の詳細斜視図である。
【図5】図2において、取付穴閉塞体を取り外した状態を示す。
【図6】図5のA−A線矢視図である。
【図7】本発明の実施形態による回転機械支持装置の支持力伝達体を示す図である。
【図8】支持力伝達体と支持体とを一体構造にした回転機械支持装置を示す。
【図9】別の押付部材を用いた場合における回転機械支持装置の構成図である。
【図10】特許文献1の回転アンバランス検査装置を示す。
【図11】本発明の課題を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0028】
図1(A)は、本発明の回転機械支持装置が適用可能な過給機1の構成図である。
過給機1の回転体4は、図1(A)に示すように、エンジンの排ガスにより回転駆動されるタービン翼3と、タービン翼3と一体的に回転することで圧縮空気をエンジンに供給するコンプレッサ翼5と、一端部にタービン翼3が結合され他端部にコンプレッサ翼5が結合される回転軸7と、を有する。また、過給機1は、上述の回転体4を回転可能に支持する静止側部材8を有する。図1(A)の例では、静止側部材8は、回転体4(回転軸7)を支持する軸受8a,8bが内部に組み込まれる軸受ハウジングである。また、過給機1は、タービン翼3を内部に収容するタービンハウジング9と、コンプレッサ翼5を内部に収容するコンプレッサハウジング(本願の図面では取り外されている)と、を備える。タービンハウジング9には、タービン翼3を回転駆動する流体(エンジンからの排ガス)を流す流路(スクロール)9aが形成されている。
符号2は、軸受ハウジング8とタービンハウジング9とを結合するカップリング部材を示す。図1(B)は、回転軸7の軸方向から見たカップリング部材2を示す。図1(B)において、カップリング部材2は、互いに分割されている1対の半円弧状部材2aと、1対の半円弧状部材2aを結合するボルト2bおよびナット2cとからなる。なお、カップリング部材2を用いずに、軸受ハウジング8とタービンハウジング9とをボルトなどにより結合してもよい。
【0029】
図2は、本発明の実施形態による回転機械支持装置10の構成図である。図2は、過給機1が回転機械支持装置10に取り付けられた状態を示す。図3は、図2のA−A線矢視図である(図2は、図3のB−B線矢視図でもある)。図4は、回転機械支持装置10の詳細斜視図である。
【0030】
回転機械支持装置10は、回転機械(この例では過給機1)の回転アンバランス検査を行うために回転機械1を支持する。図2の例では、回転機械支持装置10が支持する回転機械は、図1(A)に示す過給機1である。回転機械支持装置10は、検査用のタービンハウジング6、支持体15、および押付部材11を備える。
【0031】
検査用のタービンハウジング6は、タービン翼3を内部に収容するが、タービンハウジング9の代わりに設けられる。即ち、完成品の過給機1からタービンハウジング9(と図示しない前記コンプレッサハウジング)を取り外し、このタービンハウジング9の代わりとなるタービンハウジング6を設ける。タービンハウジング6と完成品用タービンハウジング9とは、形状および寸法の少なくともいずれかが異なる。タービンハウジング6は、流路形成体14と支持力伝達体13とからなっている。流路形成体14には、回転アンバランス検査のためにタービン翼3を回転駆動する流体を流す流路14aが形成されている。支持力伝達体13には、流路は形成されていない。支持力伝達体13は、図2において、回転体4の軸方向から見た場合、少なくとも部分的に流路形成体14と重なり、軸方向に関し、流路形成体14と静止側部材8との間に設けられる。図2の例では、流路形成体14と支持力伝達体13とは、互いに分割されている別個の部材同士であるが、好ましくは、支持力伝達体13と支持体15とを一体構造にする。例えば、支持力伝達体13と支持体15とを一体成型する。なお、流路14aは、タービン翼3よりも上流側にあるスクロール21と、タービン翼3よりも下流にある排気口23とを有する。
【0032】
支持体15は回転機械(この例では過給機1)を支持するための土台である。支持体15の内部には、流路形成体14が取り付けられる。また、支持体15には、前記軸方向に関し、静止側部材8の側に支持力伝達体13が結合され、静止側部材8と反対側に取出穴15aが形成される。この取出穴15aは、前記軸方向から見た場合、例えば円形であってよい。該取出穴15aを通して、流路形成体14を、支持体15の内部から外部へ前記軸方向に取り出せる。また、取出穴15aを塞ぐ取出穴閉塞体18が設けられる。この取出穴閉塞体18は支持体15に対し着脱可能である。図5は、取出穴閉塞体18を支持体15から取り外した状態を示す。図6は、図5のA−A線矢視図である。図5、図6の例では、取出穴閉塞体18には、タービン翼3からの流体が通過する排出穴18aが形成されている。
なお、ボルト17などの結合手段により、取出穴閉塞体18が流路形成体14に結合される。また、ボルト25などの結合手段により、取出穴閉塞体18が支持体15に結合される。なお、図2において、符号19は、ボルト17が挿入されるボルト孔を示し、符号27は、ボルト25が挿入されるボルト孔を示す。
また、過給機1の回転アンバランス検査時に、支持体15の外部から流路14aへ流体(圧縮ガス)を通す通路(図示せず)が支持体15に形成されてよい。この圧縮ガスは、図2において、スクロール21からタービン翼3を通過することで、タービン翼3を回転駆動し、その後、排気口23を通って過給機1の外部へ出て行く。図2の例では、タービン翼3を通過した前記圧縮ガスは、排気口23から排出穴18aへ流入することで、支持体15の外部へ出て行く。代わりに、タービン翼3を通過した前記圧縮ガスは、排気口23から、支持体15の側面(図2の紙面と垂直な方向を向く面)に形成された排出穴(図示せず)を通過することで、支持体15の外部へ出て行ってもよいし、支持体15の上面または下面(図2の上方または下方を向く面)に形成された排出穴(図示せず)を通過することで、支持体15の外部へ出て行ってもよい。
【0033】
押付部材11は、静止側部材8の被押付部1aを支持力伝達体13との間に挟み、支持力伝達体13に向けて被押付部1aに押付力を作用させる。前記押付力は、押付部材11から、被押付部1aと支持力伝達体13を介して支持体15に作用する。
押付部材11は、流路14aよりもコンプレッサ翼5側の位置にて過給機1の被押付部1aに押付力を作用させる。図2〜図4の例では、被押付部1aは軸受ハウジング8の一部であり、軸受ハウジング8の外周面から回転軸7の半径方向に突出した突出部である。この突出部1aは、図3のように回転軸7の軸方向から見た場合、環状となっている。
また、押付部材11を被押付部1aに押し付ける押圧力発生装置を設ける。図2〜図4の例では、油圧を用いた押圧力発生装置12を設けている。即ち、図2〜図4の例では、押付部材11は、油圧クランプのクランプロッドである。この場合、押付部材11は、油圧により旋回しながら回転軸7の軸方向に移動させられる公知のスイング式クランプロッドであってもよい。この油圧が供給される油圧室は油圧クランプ本体(押圧力発生装置)12の内部に形成され、油圧クランプ本体12は支持体15に固定される。図2の例では、このようなクランプロッド11と油圧クランプ本体12からなる油圧クランプを、回転軸7の周方向に間隔をおいて4つ設けている。
【0034】
支持力伝達体13は、流路14aよりもコンプレッサ翼5側の位置にて被押付部1aを押付部材11との間に挟むとともに、支持力伝達体13には、前記押付力により被押付部1aが押し付けられる。図4において、符号16は、支持力伝達体13を支持体15に固定するためのボルトが挿入されるボルト孔を示す(他の図では、ボルト孔16は省略している)。このように、各図の例では、支持力伝達体13は、支持体15から独立した部材であるが、好ましくは、上述のように、支持力伝達体13と支持体15とを一体構造にする。なお、支持力伝達体13は、剛性の高い材料(例えば、鉄鋼材)で形成される。
支持力伝達体13は、図2に示すように、内側部13aと延長部13bを有する。内側部13aは、前記軸方向に対する半径方向(即ち、回転軸7の半径方向)の位置が被押付部1aと同じとなり前記押付力を受ける。延長部13bは、該内側部13aから前記半径方向の外方に、前記半径方向に関して流路形成体14の外側まで延び、該外側にて支持体15にボルト16により結合され支持体15に前記押付力を作用させる。これにより、前記押圧力を流路形成体14に作用させずに、または、ほとんど作用させずに、前記押圧力を支持体15に作用させることができる。なお、支持力伝達体13は、図3の破線で囲まれた範囲Rにおいて、前記押付力を支持体15に伝達、作用させている。
図7は、図3において支持力伝達体13以外の部材を省略した図であり、支持力伝達体13を示している。図7に示すように、支持力伝達体13には、軸受ハウジング8が挿入される開口13cが形成されている。即ち、支持力伝達体13は、その開口13cに軸受ハウジング8を挿入することで、軸受ハウジング8に取り付けられる。なお、開口13cは、回転軸7の軸方向から見て円形となっている。一方、軸受ハウジング8の外周面も、開口13cの形状と整合するように前記軸方向から見て円形になっている。この構成で、軸受ハウジング8の外周面を支持力伝達体13の開口13cに挿入かつ嵌合させる。
【0035】
上述の回転機械支持装置10において、流路形成体14を交換する作業を説明する。まず、図2の状態から、ボルト17、25を外して、取出穴閉塞体18を図5のように支持体15から取り外し、次に、流路形成体14を、取出穴15aを通して、支持体15の内部から外部へ前記軸方向(図5の左側)に取り出す。その後、逆の手順で、交換用の流路形成体14を取り付ける。具体的には、まず、取出穴15aを通して、交換用の流路形成体14を支持体15の内部に取り付け、次に、取出穴閉塞体18を支持体15に取り付けて、取出穴閉塞体18と流路形成体14とをボルト17により結合するとともに、取出穴閉塞体18と支持体15とをボルト25により結合する。これにより、流路形成体14と取出穴閉塞体18が支持体15に結合される。
【0036】
上述の回転機械支持装置10に過給機1(回転体4と静止側部材8)を着脱する作業についても説明する。この作業は、流路形成体14を交換する作業と独立して行える。静止側部材8の取付作業は次の通りである。まず、完成品の過給機1からタービンハウジング9とコンプレッサハウジングを取り外した状態にする。次いで、開口13cに回転体4(この例ではタービン翼3)を通すとともに静止側部材8(この例では軸受ハウジング8)の一部を支持力伝達体13の開口13cに挿入した状態にする。この状態で、押付部材11により、静止側部材8の被押付部1aを支持力伝達体13を介して支持体15に押し付ける。これにより、過給機1を支持体15に取り付け固定する。なお、静止側部材8の形状と寸法は、回転機械(この例では過給機1)の異なる機種間で同じであってよい。
【0037】
上述の回転機械支持装置10を用いたアンバランス計測について説明する。アンバランス計測のために、図2のように、振動センサ45、角度センサ47、および演算器49が設けられる。振動センサ45は、支持体15に取り付けられて、支持体15の振動(即ち、加速度)を計測する。角度センサ47(例えば、磁気センサ)は、回転体4のコンプレッサ側端部に対向するように配置され、回転体4の回転角を計測する。演算器49は、計測した振動と回転角から回転体4のアンバランスデータを算出する。なお、このような振動センサ45による振動計測と、角度センサ47による回転角計測とは、回転体4を回転させた状態で行うが、回転体4の回転は、上述したように、支持体15の外部から流路形成体14の流路14aに流体を供給することで行う。これにより、当該流体によりタービン翼3が回転駆動されて回転体4が回転する。
【0038】
上述した本発明による回転機械支持装置10では、以下の効果(1)〜(5)が得られる。
【0039】
(1)回転機械1の静止側部材8と反対側(即ち、支持力伝達体13と反対側)にある取出穴15aから流路形成体14を取り出せるので、支持力伝達体13を支持体15から外すことなく、流路形成体14を支持体15の外部へ取り出せる。従って、流路形成体14を交換する時に、支持力伝達体13を支持体15から取り外さなくて済むので、支持体15に対する支持力伝達体13の脱着による振動特性変化を防止できる。また、流路形成体14を交換する時に、支持体15に対し支持力伝達体13を脱着する作業が不要になるので、短時間で流路形成体14を交換できる。
【0040】
(2)静止側部材8の被押付部1aを支持力伝達体13との間に挟む押付部材11が、被押付部1aに押付力を作用させることで、支持力伝達体13を介して支持体15が回転機械1を支持する。これにより、剛性・固有振動数が低い流路形成体14を介さずに回転機械1を支持することが可能になる。その結果、流路形成体14が振動特性に与える影響を低減できる。
即ち、タービンハウジング6を、タービン翼3を駆動させる流体を流す流路14aを形成する部分(タービン翼3を駆動させる機能を持つ部分)である流路形成体14と、流路が形成されず回転機械1(静止側部材8)を支持する機能を持つ部分である支持力伝達体13とに分けた(例えば、分割した)ので、剛性・固有振動数が低い流路形成体14を介さずに回転機械1を支持することが可能になる。
よって、回転機械1の回転アンバランス検査において、タービンハウジング6の流路14aが回転機械1の振動特性に与える影響を低減できる。
【0041】
(3)さらに、押付部材11は、前記押付力を、支持力伝達体13を介して支持体15に作用させるので、前記押付力により回転機械1(静止側部材8)を支持体15に強固に固定できる。即ち、流路14aにより剛性・固有振動数が低下した流路形成体14を介さずに静止側部材8を支持体15に強固に固定できる。よって、回転機械1の回転アンバランス検査において、タービンハウジング6の固有振動数が回転機械1の振動特性に与える影響を無くしまたは大幅に低減できる。
【0042】
(4)支持力伝達体13は、前記半径方向の位置が被押付部1aと同じとなり前記押付力を受ける内側部13aと、該内側部13aから前記半径方向の外方に、前記半径方向に関して流路形成体14の外側まで延び、該外側にて支持体15に結合される延長部13bと、を有するので、流路形成体14を支持体15に取り付ける場合に、流路形成体14を回避する経路で、過給機1の荷重を支持体15に伝達できる。また、延長部13bは、流路形成体14の外側にて支持体15に前記押付力を作用させるので、流路形成体14を回避する経路で前記押付力を被押付部1aから支持体15に伝達できる。
【0043】
(5)さらに、支持力伝達体13と支持体15とを一体構造(例えば、一体成型)にすれば、押付力の伝達経路が安定する。即ち、押付力が、被押付部1aと支持力伝達体13を通って、押付部材11から支持体15へ安定して伝達する。これにより、回転アンバランス検査の精度が向上する。図8は、支持力伝達体13と支持体15とを一体構造にした場合を示す。
【0044】
本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、以下で述べる各変更内容を、単独であるいは組み合わせて採用してもよい。
【0045】
上述の実施形態では、押付部材11は、油圧クランプのクランプロッドであったが、押付部材11は、被押付部1aに押付力を作用させ、この押付力を支持力伝達体13を介して支持体15に作用させる他の適切な押圧部材であってもよい。この場合、押付部材11を被押付部1aに押し付ける押圧力発生装置を設け、これにより、押圧部材11は、被押付部1aに押付力を作用させ、この押付力を支持力伝達体13を介して支持体15に作用させてよい。
なお、本発明では、押付部材11として、被押付部1aに押付力を作用させるが、この押付力を支持力伝達体13を介して支持体15に作用させないものであってもよい。例えば、押付部材11は、図9のように被押付部1aを支持力伝達体13に押圧して結合させるボルトであってもよい。図9において、ボルト11の頭11aが被押付部1aを支持力伝達体13に押圧して結合させている。ボルト11の先端部(ネジ部)は、支持力伝達体13に設けられているネジ孔に螺合されている。また、ボルト11を回転軸7の周方向に複数設けてよい。図9において、ボルト11以外の構成は、図2〜図7または図8の構成と同様であってよい。図9の場合でも、上述のようにタービンハウジング6(流路形成体14)の振動特性が過給機1の振動特性に与える影響を低減できる。
【0046】
また、本発明の回転機械支持装置は、過給機以外にターボ圧縮機やガスタービンなどの他の回転機械にも適用可能である。即ち、タービン翼に流体を供給することで回転駆動される回転機械であれば、本発明の回転機械支持装置を適用することができる。
【0047】
上述の実施形態では、検査用のタービンハウジング6と完成品用タービンハウジング9とは、形状および寸法の少なくともいずれかが異なっていたが、本発明によると、タービンハウジング6と完成品用タービンハウジング9とは、形状および寸法が同じであってもよい。即ち、完成品用タービンハウジング9が、上述のタービンハウジング6として支持体15の内部に取り付けられてもよい。
【0048】
上述の実施形態では、支持体15は、支持力伝達体13を介して静止側部材8を支持したが、支持力伝達体13を省略してもよい。この場合、支持体15は、静止側部材8を、直接、支持する。例えば、押付部材11が、静止側部材8を、直接、支持体15に押し付けられるように支持体15の形状と寸法が適宜変更されてよい。
【0049】
回転機械支持装置10に使用される静止側部材8は、完成品の回転機械(過給機1)の静止側部材であってもよいし、完成品の回転機械の静止側部材と異なっていてもよい。このように、静止側部材8が、完成品の回転機械の静止側部材と異なる場合には、回転機械支持装置10に使用される静止側部材8は、回転機械支持装置10に適合する形状と寸法を有してよい。
【符号の説明】
【0050】
1 過給機、1a 被押付部(突出部)、3 タービン翼、
4 回転体、5 コンプレッサ翼、
6 検査用のタービンハウジング、7 回転軸、
8 静止側部材(軸受ハウジング)、8a,8b 軸受、
9 タービンハウジング,9a 流路、10 回転機械支持装置、
11 押付部材、12 油圧クランプ本体(押圧力発生装置)、
13 支持力伝達体、13a 内側部、13b 延長部、13c 開口、
14 流路形成体、14a 流路、15 支持体、15a 取出穴、
16 ボルト孔、17 ボルト、18 取出穴閉塞体、18a 排出穴
19 ボルト孔、21 スクロール、23 排気口、
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転機械の回転アンバランス検査を行うために該回転機械を支持する回転機械支持装置であって、
前記回転機械は、回転駆動されるタービン翼を有する回転体を備え、
前記回転機械支持装置は、前記タービン翼を内部に収容するタービンハウジングと、前記回転体を回転可能に支持する静止側部材を支持する支持体と、を備え、
前記タービンハウジングは、前記タービン翼を回転駆動する流体を流す流路が形成された流路形成体を有し、該流路形成体は、前記支持体の内部に取り付けられ、
前記支持体の内部から前記流路形成体を取り出すための取出穴が、前記静止側部材と反対側にて、前記支持体に形成されている、ことを特徴とする回転機械支持装置。
【請求項2】
前記タービンハウジングは、支持力伝達体を有し、前記支持体は、前記支持力伝達体を介して前記静止側部材を支持する、ことを特徴とする請求項1に記載の回転機械支持装置。
【請求項3】
前記取出穴を塞ぐ取出穴閉塞体を備え、該取出穴閉塞体は前記支持体に着脱可能である、ことを特徴とする請求項1または2に記載の回転機械支持装置。
【請求項4】
前記取出穴閉塞体には、前記タービン翼からの流体が通過する排出穴が形成されている、ことを特徴とする請求項3に記載の回転機械支持装置。
【請求項5】
前記静止側部材の被押付部を前記支持力伝達体との間に挟む押付部材を備え、該押付部材は、前記支持力伝達体に向けて前記被押付部に押付力を作用させる、ことを特徴とする請求項2に記載の回転機械支持装置。
【請求項6】
前記押付力が、前記支持力伝達体を介して前記支持体に作用する、ことを特徴とする請求項2または5に記載の回転機械支持装置。
【請求項7】
前記支持力伝達体と前記支持体とを一体構造にした、ことを特徴とする請求項2、5または6に記載の回転機械支持装置。
【請求項1】
回転機械の回転アンバランス検査を行うために該回転機械を支持する回転機械支持装置であって、
前記回転機械は、回転駆動されるタービン翼を有する回転体を備え、
前記回転機械支持装置は、前記タービン翼を内部に収容するタービンハウジングと、前記回転体を回転可能に支持する静止側部材を支持する支持体と、を備え、
前記タービンハウジングは、前記タービン翼を回転駆動する流体を流す流路が形成された流路形成体を有し、該流路形成体は、前記支持体の内部に取り付けられ、
前記支持体の内部から前記流路形成体を取り出すための取出穴が、前記静止側部材と反対側にて、前記支持体に形成されている、ことを特徴とする回転機械支持装置。
【請求項2】
前記タービンハウジングは、支持力伝達体を有し、前記支持体は、前記支持力伝達体を介して前記静止側部材を支持する、ことを特徴とする請求項1に記載の回転機械支持装置。
【請求項3】
前記取出穴を塞ぐ取出穴閉塞体を備え、該取出穴閉塞体は前記支持体に着脱可能である、ことを特徴とする請求項1または2に記載の回転機械支持装置。
【請求項4】
前記取出穴閉塞体には、前記タービン翼からの流体が通過する排出穴が形成されている、ことを特徴とする請求項3に記載の回転機械支持装置。
【請求項5】
前記静止側部材の被押付部を前記支持力伝達体との間に挟む押付部材を備え、該押付部材は、前記支持力伝達体に向けて前記被押付部に押付力を作用させる、ことを特徴とする請求項2に記載の回転機械支持装置。
【請求項6】
前記押付力が、前記支持力伝達体を介して前記支持体に作用する、ことを特徴とする請求項2または5に記載の回転機械支持装置。
【請求項7】
前記支持力伝達体と前記支持体とを一体構造にした、ことを特徴とする請求項2、5または6に記載の回転機械支持装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−7584(P2011−7584A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−150470(P2009−150470)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】
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