説明

回転筒

【課題】熱で回転する回転筒式回り灯籠の回転画像体である回転筒を熱を発生しない照明器具にも装着することができる回転筒体を提供する。
【解決手段】発熱しない光源を用いた照明器具に装着するための画像が描画された回転画像体15を回転させるための回転筒100の頂部にゼンマイバネを巻くための巻き取りハンドル14と内部にゼンマイバネが収納された駆動部11と該駆動部11の下部に先端部が半円形凸部の軸を着設した駆動部脚部16と、頂部に半円形凹部の孔が穿設された光源部に着設する回転筒支持体18とよりなり、前記駆動部11の下部の半円形凸部の軸を前記回転筒支持体18の半円形凹部の孔に挿入して回転画像体15が吊架された駆動部11を回動自在とした照明器具に装着する回転筒100とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
灯籠、提灯等の照明器具に装着することができる回転筒に関する。より詳しくは、灯籠、提灯等の照明器具に装着することができる画像が描画された回転画像体を有する回転筒に関する。
【背景技術】
【0002】
回り灯籠の回転筒はロウソクや白熱球の熱によって画像が描画された回転画像体が回転して、回転画像体に描かれた画像が灯籠、提灯等の壁周面(火袋)に映し出されるものである。特許文献1の要約には、回り灯籠は内筒内に整流体を配置し、マントルで加熱されて上昇する上昇気流を、この整流体の整流羽根により天板の羽根形の傾斜方向とは反対方向に整流してから内筒の羽根形を通過させることにより、羽根形に作用する回転力を高めて大型のものでもスムーズに回転するように構成した回り灯籠が開示されている。
【0003】
特許文献2の請求項1では、外周に半透明のシートが張られた枠体の内部に発光体を設け、その発光体と枠体の間に、透光性を有する周壁に模様が形成され、上端面に風車が取り付けられた回転筒を回動自在に設け、発光体の発熱に伴って発生した上昇気流を風車に衝突させることにより回転筒を回転させつつ、回転筒の模様を枠体のシートに投影する回り灯籠の枠体の底部に、上端部が発光体の中心部上方に位置するブラケットを立設し、そのブラケットの上端部と風車の中心部のいずれか一方に垂直方向に延びる軸を設け、他方に凹所を形成し、前記軸を凹所に係合させることにより、回転筒を支持した回り灯籠が開示されている。
【0004】
特許文献3の請求項1には、影絵を作り出す被写体と影絵が映し出される火袋とからなる回り灯籠において、火袋を形作る枠体の上部に影絵を映し出す光源が固定されており、枠体の下部に影絵を作り出す被写体を回転させるモータが設けられた回り灯籠が開示されている。
【0005】
特許文献4の請求項1には、上端部に籠盛りが載置される籠盛り台であって、透明又は半透明の透光性シートが張られた証明窓を有する板紙製のパネルと該パネルを支持する支柱とが立体状に組み立て可能に連結された籠盛り台本体と、立体状に組み立てられた前記籠盛り台本体の内側から前記透光性シートを証明する照明器具と、を備えた籠盛り台が開示されている。
【0006】
特許文献5の請求項1には、基台上に配置された光源と、前記光源を囲んで配置された回転画像体と、前記画像体を囲んで配置された映写体とからなる回り灯籠において、前記回転画像体の回転中心と映写体の中心とが偏心している回り灯籠が開示されている。
【0007】
上記のように、回転灯籠は回転筒式の回転画像体を有する回転筒を提灯や提灯等の照明器具が発する熱によって回転画像体が回転して、回転画像体に描かれた画像が灯籠、提灯等の壁周面に映し出されるものである。しかし、近年になって、発熱をしないLED等を用いた照明器具が開発され、発熱体によって回転する回転灯籠等に装着するための回転画像体を有する回転筒が、LED等の発熱しない照明器具には使用できないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開平06−84609号公報
【特許文献2】特開平08−315610号公報
【特許文献3】実用新案登録第3026741号公報
【特許文献4】特開平10−52358号公報
【特許文献5】特開平11−195304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本願発明は、提灯、灯籠等の光源が発する熱で回転する回転筒式回り灯籠の回転画像体を有する回転筒に替えて、LED等の熱を発生しない照明器具にも装着することができる回転画像体を有する回転筒を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
従来、光源である電球やロウソクの発する熱によって回転筒式回り灯籠の画像が描画された回転画像体を有する回転筒が回転し、描画された画像を灯籠や、提灯の壁周面(火袋)に映し出していた。最近、LEDのような熱を発生しない光源を用いた灯籠、提灯等の照明器具が出現し、画像が描画された回転画像体を有する熱で回転する回転筒が使用できないという問題が生じてきた。そこで、LED等の熱を発生しない光源からなる灯籠、提灯等の照明器具にも装着することができる回転筒を提供するために鋭意検討を重ねた。その結果、熱を発生しない光源からなる照明器具に装着しても回転する、画像が描画された回転画像体を有する回転筒を提供することに成功した。
【0011】
本発明の特徴は、発熱しない光源を用いた照明器具に装着するための画像が描画された回転画像体を回転させることができる回転筒であって、該回転筒は画像が描画された回転画像体が吊架された駆動部と該駆動部の下部に先端部が半円形凸部を有する駆動部脚部と頂部に前記駆動部の前記半円形凸部に係合する半円形凹部の孔が穿設された光源部に着設する回転筒支持体とよりなり、前記駆動部の駆動部脚部の半円形凸部を前記回転筒支持体の半円形凹部の孔に挿入して回転画像体を回動自在としたことを特徴とする照明器具に装着するための回転筒である。
【0012】
本発明の別の特徴は、発熱しない光源がLED(light emitting diode 、発光ダイオード)であることを特徴とする回転筒である。発熱しない光源としてLEDを使用することによって、発火の恐れもなく、軽量の灯籠、提灯となり、このような照明器具に本願発明の回転筒を装着することができる。
【0013】
本発明の別の特徴は、駆動部の頂部にバネを巻くための巻き取りハンドルと内部にゼンマイバネが収納されて、ゼンマイバネにより回転することを特徴とする照明器具に装着するための回転筒である。駆動部にゼンマイバネを使用して、画像が描画された回転画像体が静かに回転する回転筒とした。
【0014】
本発明の別の特徴は、駆動部に小型のモーターが収納されていることを特徴とする照明器具に装着するための回転筒である。駆動部に小型モーターとボタン電池を電源として装着し、画像が描画された回転画像体が静かに回転する回転筒とした。
【0015】
本願発明の別の特徴は、回転筒の駆動部に太陽電池を着設し、コイルを励磁して磁石との吸引・反発で画像が描画された回転画像体を回転させることを特徴とする照明器具に装着するための回転筒である。
【0016】
本発明の別の特徴は、画像が描画された回転画像体は合成樹脂製であることを特徴とする回転筒である。画像が描画された回転画像体を合成樹脂製とすることによって、軽くて丈夫な回転筒とすることができる。
【0017】
本発明の別の特徴は、画像が描画された回転画像体は和紙製であることを特徴とする回転筒である。画像が描画された回転画像体を和紙で製造とすることによって、情緒豊かな回転筒とすることができる。
【発明の効果】
【0018】
発熱しない光源にLEDを使用することによって、軽量の灯籠、提灯に本願発明の回転筒を装着することができる。駆動部にゼンマイバネ、又は小型モーター等を使用して、画像が描画された回転画像体が静かに回転する回転筒とした。画像が描画された回転画像体を合成樹脂製、又は和紙製とすることによって、軽くて丈夫な回転筒とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】回転筒の全体を示す斜視図である。
【図2】回転筒のゼンマイバネを巻き取るための巻き取りハンドルの形状の側面図である。
【図3】回転筒の駆動部を支持する回転筒支持体の斜視図である。
【図4】回転筒の光源部の斜視図である。
【図5】駆動部にゼンマイバネを着設した回転筒の斜視図である。
【図6】駆動部にボタン電池と小型モーターを着設した回転筒の斜視図である。
【図7】駆動部に太陽電池と永久磁石を着設した回転筒の斜視図である。
【図8】提灯に本願発明の回転筒を装着した斜視図である。
【図9】灯籠に本願発明の回転筒を装着した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に図面を用いて本発明の実施の態様についていくつかの好ましい形態を例示するが、特許請求の範囲に記載された発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0021】
図1に示すように、本願発明の発熱しない光源を用いた照明器具に装着するための画像が描画された回転画像体を有する回転筒100は、上部にゼンマイバネを巻き取るための巻き取りハンドル14を着設した駆動部11と該駆動部の下部に先端部が半円形凸部を有する駆動部脚部16が着設され、さらに、画像が描画された回転画像体15が吊架されている。台座21上に光源22を保護すると共に、回転筒を支持する回転筒支持体18の支持体脚部20を載置して、該回転筒支持体18の上部に穿設された半円形凹部19の孔に前記駆動部脚部16を係合させる。本願発明の回転筒100は、光源22が発熱しないLED(light emitting diode 、発光ダイオード)等を用いるために、回転筒の回転を制御するためにゼンマイバネ13を用いて回転させることができる回転筒を例示している。
【0022】
図2は、ゼンマイバネ13を巻き取るための巻き取りハンドル14の各種の形状を示している。図2(a)は蝶形状の巻き取りハンドル14を示し、図2(b)はボタン形状の巻き取りハンドル14を示し、図2(c)は平板形状の巻き取りハンドル14を例示している。駆動部脚部16の先端は半円形凸部17として回転筒支持体18の半円形凹部19の孔に係合するようになっている。本願発明においては、回転筒100の駆動部11の直径を75mmとし、駆動部11の下(12a)の部分に約8mmの段差を設けて、直径が75mm、高さが150mmの回転画像体15を取着した。本願発明の回転筒100の駆動部11、回転画像体15の大きさは、前記に限定されるものではなく、装着する行灯、提灯、灯籠、ぼんぼり等の照明器具の大きさにより決定される。
【0023】
図3は回転筒100を台座21上に支持するための回転筒支持体18を例示する。回転筒支持体18は図3(a)に示すように3本足でも、図3(b)に示すように4本足でも良く、回転筒を支持する回転筒支持体の形状は横揺れなどを起こさない安定な形状であれば前記形状に限定されるものではない。本願発明では回転筒支持体18の台座21に当接する部分(20a)の直径を70mmとした。
【0024】
図4は、光源部22の形状を例示している。図4(a)に示すように頂部にLED等による光源23を着設し、その下に電源23を含む電源部22の胴部がある。図4に示す光源23はロウソク形状をしているが、電源23の形状は着設する提灯、灯籠等によって異なる。電源23として通常市販されている電源部22、電源23を使用することができ、図4に例示する形状に限定されるものではない。図4(b)は電源部22の下部にスイッチ25を着設している。このスイッチ25は図4(c)に例示するようにボタン形状のスイッチでも良く、スイッチ25の形状は特に限定されるものではない。
【0025】
図5はゼンマイバネ13で回転する回転画像体15を示している。巻き取りドラム12中に収納されたゼンマイバネ13は巻き取りハンドル14で巻いて、ゼンマイバネ13が巻き取られ、徐々に開放されるに従って駆動部12が回転し、それに伴って回転画像体15が回転する。回転画像体15の回転回数はゼンマイバネ13に併設された歯車13a、13bの組み合わせによって決定される。通常はゼンマイバネ13を1度巻くと1〜2日間回転する。本願発明において、回転画像体15の直径は75mmとし、高さを150mmとした。
【0026】
画像が描画された回転画像体15は合成樹脂で作製することができる。一般に、透明で強度が優れており、耐衝撃性が強く、比較的高温に耐えるポリカーボネイトや、耐薬品性、耐摩耗性などに優れたポリアセタールでもよく、その合成樹脂の材質は特に限定されるものではない。
【0027】
さらに、画像が描画された回転画像体15は和紙で作製することもできる。和紙のほとんどは中性で紙が劣化しにくく、和紙の隙間は光をよく通す特性を有している。和紙を通る光は繊維によって屈折され、とても柔らかい光になり、和紙独特の暖かみがある。この和紙の特性を回転画像体15に利用することによって、このような和紙の利点を回転画像体15に十分に生かすことができる。
【0028】
図6は、本願発明の回転部100の駆動部11にボタン電池26と小型のモーター27を収納して、駆動部11の上部にスイッチ25を着設した回転筒100を例示している。ボタン電池26と小型のモーター27を使用することによって、軽量で静かな回転筒を提供することができる。
【0029】
図7は、本願発明の回転筒100の駆動部11に小型の太陽電池28を着設して、太陽電池28で発電、発振回路を経由してコイル(28a)を励磁し、回転画像体15の外周面の支柱32に取り付けた永久磁石29の+、−との吸引・反発で回転画像体15が回転する構成とすることができる。
【0030】
図8は、本願発明の回転筒100を着設した提灯30を例示している。提灯30の上飾り31と足部34の間に支柱32を有する提灯に、本願発明の回転筒100を装着して火袋33で覆っている。LEDを光源とする軟らかい光とそれによって映し出される画像は、一時の安らぎを与えてくれる。
【0031】
図9は、本願発明の回転筒100を着設した灯籠35を例示している。灯籠35の中に本願発明の回転筒100を装着して火袋33で覆っている。このようにして、回転画像体15から火袋33に映し出される画像を楽しむことができる。本願発明の回転筒100を装着する照明器具は、行灯、提灯、灯籠、ぼんぼり等いずれでも良く、上記に例示した提灯30、灯籠35に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0032】
100:回転筒
11:駆動部
12:巻き取りドラム
13:ゼンマイバネ
14:巻き取りハンドル
15:回転画像体
16:駆動部脚部
17:半円形凸部
18:回転筒支持体
19:半円形凹部
20:支持体脚部
21:台座
22:光源部
23:光源
24:電源
25:スイッチ
26:ボタン電池
27:モーター
28:太陽電池
29:磁石
30:提灯
31:上飾り
32:支柱
33:火袋
34:足部
35:灯籠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱しない光源を用いた照明器具に装着するための画像が描画された回転画像体を回転させることができる回転筒であって、該回転筒は画像が描画された回転画像体が吊架された駆動部と該駆動部の下部に先端部が半円形凸部を有する駆動部脚部と頂部に前記駆動部の前記半円形凸部に係合する半円形凹部の孔が穿設された光源部に着設する回転筒支持体とよりなり、前記駆動部の前記駆動部脚部の半円形凸部を前記回転筒支持体の半円形凹部の孔に挿入して回転画像体を回動自在としたことを特徴とする照明器具に装着するための回転筒。
【請求項2】
回転筒を装着するための照明器具の発熱しない光源がLED(light emitting diode 、発光ダイオード)であることを特徴とする請求項1に記載の回転筒。
【請求項3】
回転筒の駆動部の頂部にバネを巻くためのクランクと内部にゼンマイバネが収納されて、ゼンマイバネにより画像が描画された回転画像体が回転することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の照明器具に装着するための回転筒。
【請求項4】
回転筒の駆動部に小型のモーターが収納され、小型モーターで画像が描画された回転画像体が回転することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の照明器具に装着するための回転筒。
【請求項5】
回転筒の駆動部に太陽電池を着設し、コイルを励磁して磁石との吸引・反発で画像が描画された回転画像体を回転させることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の照明器具に装着するための回転筒。
【請求項6】
画像が描画された回転画像体は合成樹脂製であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の照明器具に装着するための回転筒。
【請求項7】
画像が描画された回転画像体は和紙製であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の照明器具に装着するための回転筒。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−94264(P2012−94264A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−238264(P2010−238264)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(502101858)有限会社安藤商店 (4)
【Fターム(参考)】