説明

回転計

【課題】回転数の測定精度が向上した回転計を提供すること。
【解決手段】回転計(1)は、回転体(10)の回転を検出して該回転体の回転数に応じた信号を出力する検出部(3)と、検出部(3)の出力に応じて回転体(10)の回転数を所定の単位測定時間ごとに演算して出力する演算部(30)とを備え、演算部(30)は、回転体(10)の回転数の増加度合いが閾値(5%)未満の場合には第1の単位測定時間(10ms)ごとに回転数の演算を行い、回転体(10)の回転数が閾値(5%)以上の増加度合いで増加している間は、第1の単位測定時間(10ms)よりも短い第2の単位測定時間(2ms)ごとに回転数の演算を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転体の回転数を計測する回転計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、様々な装置に様々な回転体が使われている。例えば、自動車を例に挙げると、エンジンの動力を車輪に伝えるためにシャフトもその一つであり、エンジンの動きに応じて回転して、その回転駆動力を車輪に伝えている。さらにこのシャフトを例に挙げて説明すると、このシャフトの回転数はエンジンの動きの速さや途中に配置されたギアのギア比、車輪側の負荷等により様々に変動し、この様な様々な変動要因によってこのシャフトの回転数がどのように変化するかを調べる必要が生じることがある。例えば、この例のような回転体の回転数を計測する手段として回転計が知られている。
【0003】
回転計としては、回転体に接触して計測するタイプや回転体に非接触で計測するタイプ等様々なタイプが知られている。また、信号処理の面で見ると、回転体の回転数に応じた周期のパルスを抽出し、そのパルスの周期を計測して回転数を求める方式の回転計があり、汎用的な回転計として広く用いられている。
【0004】
ここで、抽出されたパルスの周期を計測することによって、特に高速に回転体が回転しているときに精度よく回転数を求めることができる周期検出回路が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【特許文献1】特公平7−72737号公報
【特許文献2】特許第2767247号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び特許文献2に開示された技術によれば、回転体の回転に同期して入力されるパルスの周期を計測しているので、特に高速に回転体が回転しているときに回転数が高い精度で求められる。しかし、上記特許文献1及び特許文献2に開示された技術は、回転体が略一定速度で回転している場合には、高精度の回転数測定が可能であるが、回転体が急加速している状態において、回転体の回転数を高い精度で検出することが困難であった。
【0006】
本発明は、回転数の測定精度が向上した回転計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
請求項1に記載の発明は、回転体(10)の回転を検出して当該回転体の回転数に応じた信号を出力する検出部(3)と、前記検出部の出力に応じて前記回転体の回転数を所定の単位測定時間ごとに演算して出力する演算部(30)とを備える回転計であって、前記演算部は、自己が演算した前記回転体の回転数に基づいて前記回転体の回転数の増加度合いを算出し、該回転数の増加度合いが所定の閾値(5%)未満である場合には第1の単位測定時間(10ms)ごとに前記回転数の演算を行い、前記回転体の回転数の増加度合いが前記所定の閾値以上である場合には前記第1の単位測定時間よりも短い第2の単位測定時間(2ms)ごとに前記回転数の演算を行うことを特徴とする回転計(1)である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の回転計において、前記第1の単位測定時間、前記第2の単位測定時間及び前記所定の閾値を任意の値に設定できることを特徴とする回転計(1)である。
なお、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【発明の効果】
【0009】
(1)回転計に備えられた演算部は、回転体の回転数の増加度合い(例えば、速度増加率、加速度等)が所定の閾値以上になると、これに追従して第1の単位測定時間ごとに回転数の演算を行うモードから、第2の単位測定時間ごとに回転数の演算を行うモードに切り替わる(回転数の増加度合いが閾値未満になると再び第1の単位測定時間ごとに演算を行う)。第2の単位測定時間は、第1の単位測定時間よりも短いので、より実回転数に近い測定結果を得ることができる。したがって、回転計の回転数測定精度が向上する。
(2)第1の単位測定演算、第2の単位測定時間、及び、単位測定時間を切り替える際の基準となる所定の閾値をそれぞれ任意の値に設定することができるので便利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、回転数の測定精度が向上した回転計を提供するという課題を、回転体の速度増加率が所定の閾値以上である場合に、これに追従して単位測定時間を短くすることによって解決した。
【実施例】
【0011】
以下、本発明を適用した回転計の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、実施形態の回転計の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、回転計1は、表示部2、測定部3、及び、演算回路部4を備えている。
表示部2は、液晶表示画面上に測定値等の各種情報を表示するものである。
測定部3は、LED光を出射するLED21と、反射LED光を受光するセンサ22とを備えた検出部である。本実施例の回転計1の測定対象である回転体10には、例えば、その外周面の一部に反射シールSが貼付され、測定部3は、LED21が回転体10に対してLED光を出射し、センサ22が反射シールSで反射して戻ってきたLED光を受光するようになっている。
【0012】
演算回路部4は、測定部3の出力に基づいて回転体10の回転数を演算する部分である。
測定部3に備えられセンサ22は、回転体10で反射して戻ってきたLED光を受光信号に変換して出力し、この受光信号は、パルス抽出部23に入力される。ここで、回転体10は、特定の回転体である必要はないが、一例としては、例えば実験用ベンチに乗せられた自動車用シャフト等である。
【0013】
回転体10からの反射LED光は、回転体10の回転を一周期とした繰り返し波形となっている。そこで、パルス抽出部23では、受光信号が回転体10の一回転を一周期とした繰り返し波形であることを利用して、回転体10の回転周期に同期したパルス信号が抽出される。
【0014】
このパルス抽出部23で抽出されたパルス信号は、パルスカウンタ24とタイマ25に入力される。
パルスカウンタ24及びタイマ25の作用については後述するが、パルスカウンタ24でのカウント値(パルス計数値Nと称する)は一時的にカウンタ用メモリ26に格納され、タイマ25で計時された時間(入力パルス時間長ΔTと称する)は一時的にタイマ用メモリ27に格納される。
【0015】
また、この回転計1には、基準クロック発振器28が備えられている。この基準クロック発振器28では、例えば1.0μs間隔等、回転体10の回転数の計測に関し十分な時間分解能を持った計測を行なうだけの高速な基準クロックが生成される。この基準クロックは、割込信号生成部29とタイマ25に入力される。
【0016】
割込信号生成部29では、基準クロック発振器28からの基準クロックに基づいて割込信号を生成する。この割込信号は、パルスカウンタ24、タイマ25、カウンタ用メモリ26、タイマ用メモリ27、及びCPU30に入力される。
【0017】
パルスカウンタ24は、パルス抽出部23で得られた回転体10の回転周期に同期したパルス信号をカウントする。割込信号生成部29から割込信号を受けると、カウンタ用メモリ26には、その時点のカウント値が、それまで格納されていたカウント値に上書きされて格納されるとともに、パルスカウンタ24はリセットされ、次のパルスから再び計数を開始する。したがって、カウンタ用メモリ26には、直前の単位測定時間内に生成されたパルスのカウント値(パルス計数値N)が格納される。なお、単位測定時間とは、CPU30が回転数の演算処理を一回の行う際の基準となる時間を意味し、具体的には、後述する割込信号がCPU30に入力された後、次の割込信号が入力されるまでの時間を意味する。
【0018】
また、タイマ25は、基準クロック発振器28からの基準クロックをカウントするが、パルス抽出部23からパルス信号が入力されるごとにリセットされる。また、割込信号生成部29から割込信号が入力されると、その時点のカウント値がタイマ用メモリ27にそれまでのタイマ用メモリ27に格納されていたカウント値に上書きされて格納される。したがって、このタイマ用メモリ27には、パルス抽出部23で生成されたパルス信号のうちの、直前の単位測定時間内の最終のパルスの生成時刻からその単位測定時間の終了時刻までの時間(入力パルス時間長ΔT)が格納される。
【0019】
CPU30(演算部)は、回転体10の回転数の演算プログラム等が格納されたROM30aとカウンタ用メモリ26やタイマ用メモリ27から読み込んだ値を一時的に記憶しておく一時記憶部30bを有している。CPU30は、割込信号生成部29からの割込信号を受けると、カウンタ用メモリ26及びタイマ用メモリ27にそれぞれ新たな値(パルス計数値N、入力パルス時間長ΔT)が格納された直後のタイミングでそれらのメモリに格納された値を取り込み、これらの値に基づいて回転数を算出して表示部2に送る。表示部2には、その算出された回転数が表示される。CPU30は、割込信号が入力される間隔ごと回転数を算出し、これに応じて、表示部2の回転数表示も割込信号が入力される間隔に応じて更新される。
【0020】
ここで、パルスカウンタ24やタイマ25等の各要素に割込信号が入力される間隔は、回転体10の速度増加率が、例えば、5%未満のときは、10ms(0.01秒)間隔となっており、CPU30が回転体10の回転数を演算する単位測定時間は、10msごととなる。一方、CPU30は、回転体10が5%以上の速度増加率で加速している間は、割込信号生成部29を制御して、上述した割込信号が入力される間隔を短くする。この回転体10が加速している間の割込時間間隔の可変制御については、後に詳しく説明する。
【0021】
また、本明細書において、速度増加率とは単位測定時間あたりの回転数増加量(増加度合い)を意味するものとする。一例を挙げて具体的に説明すると、例えば、単位測定時間が10msに設定され、速度増加率が5%の場合、ある時点の回転数が1000min−1であるとすると、10ms後(次の測定結果が確定するとき)に回転数は5%増加して1050min−1になる。また、20ms後の回転数は、1050min−1からさらに5%増加して1102.5min−1となる。また、同じ例で単位測定時間が2msであれば、回転数は2ms後に1050min−1となり、4ms後に1102.5min−1となる。
【0022】
次に、回転計1を用いて回転体10の回転数を測定する場合にCPUが行う回転数の演算処理について説明する。
図2は、図1に示すCPUが回転数を演算する際のタイミングチャートである。
【0023】
CPU30が時刻tにおける割込信号の入力を受けて回転数演算処理を開始する場合、CPU30は、カウンタ用メモリ26及びタイマ用メモリ27から、それぞれパルス計数値Na及び入力パルス時間長ΔTaを取得して一時記憶部30bに記憶する。またこれと同様にCPU30が時刻tにおける割込信号の入力を受けたときは、CPUは、パルス計数値Nb及び入力パルス時間長ΔTbを取得して一時記憶部30bに記憶する。さらにCPU30は、時刻t3のときは、パルス計数値Nc及び入力パルス時間長ΔTcを取得して、以下、同様の処理を繰り返す。
【0024】
時刻tにおいて割込信号を受けて回転数の演算処理を実行する際、CPU30は、以下に示す式(1)によって回転数F(t3)を求める。
F(t3)=(Nb+Nc)/{ΔTa+(Tb+ΔTb)+Tc}
=(Nb+Nc)/(ΔTa+2×10ms−ΔTc)・・・(式1)
CPUは、この(式1)によって求められた回転数F(t)を表示部2に出力し、回転数F(t3)が表示部2に表示される。
【0025】
ここで、図2において単位測定時間は、例えば、10msに設定されているが、単位測定時間を何秒に設定するかは、任意の事項であり、一般には、単位測定時間を長くすれば、より多くのパルスに基づいて演算処理を行うことができるので測定精度が向上する。
これに対し、回転体10の回転数が時間とともに変化する場合であって、特に、回転体10が急加速するような場合には、単位測定時間が長すぎると回転数の正確な測定が困難になる可能性がある。以下、その理由について説明する。
【0026】
図3は、異なる単位測定時間と回転数(回転速度)との関係を示すグラフである。
図3において、横軸は時間の経過を示し縦軸は、回転数を示している。また、図4において、グラフAは、回転数の実際の変化の値を示している。これに対し、グラフBは、単位測定時間が、例えば、1秒に設定された場合の測定値、グラフCは、単位測定時間が、例えば、0.2秒に設定された場合の測定値をそれぞれ示している。
【0027】
図3において回転体の実回転数は、計測開始時において1000min−1であり、例えば、3秒後には、4000min−1まで回転数が時間経過に略比例して増加している。
これに対し、図3に示すように、例えば、単位測定時間を1秒に設定した場合(グラフB)、最初の1秒間は、測定開始時(0秒時)の回転数が更新されないため、表示部2に表示される回転数は1000min−1のままである。また、次の1秒間は、1秒経過時に演算された回転数(1500/min−1)が表示される。回転体10は、表示部2の表示が更新されない間も継続して回転数が増加しているので、グラフBの場合、表示の更新を行った後に時間が経過する程、表示部2に表示される回転数と実際の回転数との差が大きくなる。
【0028】
これに対し、図3に示すグラフCの場合(単位測定時間=0.2秒)、回転数の演算を0.2秒ごとに行うので、回転数の変化に対する応答性が向上し、実速度と測定速度との誤差がグラフBの場合に比べて小さくなる。これによって、表示部2に表示される回転数を実際の回転数により近く表示させることができ、回転計1の回転数測定精度が向上する。
【0029】
図4は、単位測定時間の長さとシミュレーションによって求めた測定誤差との関係を示すグラフであり、横軸に単位測定時間、縦軸に測定誤差をそれぞれ示している。
図4において、グラフDは、速度増加率が0.1%の場合を、グラフEは、速度増加率が1.0%の場合を、グラフFは、速度増加率が7.0%の場合をそれぞれ示している。
【0030】
図4に示すように、グラフD(速度増加率=0.1%)では、単位測定時間が長いほど測定誤差を小さくすることができる。また、グラフE(速度増加率=1.0%)では、グラフDで最も測定誤差を小さくできる単位測定時間を100%とすると、これに対して単位測定時間を80%程度にすると最も測定誤差を小さくすることができることがわかる。
さらに、グラフFに示すように、速度増加率が7.0%になると、速度増加率が0.1%であるグラフDに比べ、単位測定時間を10〜20%程度にすることによって測定誤差を最も少なくできることがわかる。
【0031】
そこで、本実施例のCPU30は、自己が算出した回転体10の回転数の変化に基づいて、リアルタイムで回転体10の速度増加率を算出し、この速度増加率が、例えば、5.0%未満である場合には、次回の回転数演算処理も引き続き10msの単位測定時間で行い、速度増加率が5.0%以上となった場合には、割込信号生成部29を制御して、次回の回転数演算処理における単位測定時間を2msに変更する。
【0032】
以下、本実施例の回転計1に備えられたCPU30が行う回転数演算時の制御をフローチャートを用いてステップごとに説明する。
図5は、図1に示すCPUが行う回転数演算時の制御を示すフローチャートである。
(ステップS01〜S03:速度増加率演算)
CPU30は、カウンタ用メモリ26及びタイマ用メモリ27の出力に基づいて演算された回転体10の回転数と、一時記憶部30bに記憶した前回演算時(1ステップ前)の回転体10の回転数とを比較し、速度増加率を演算してステップS04に進む。
【0033】
(ステップS04:速度増加率判定)
CPU30は、回転体10の速度増加率が、例えば、5%未満であればステップS05に進み、速度増加率が、例えば、5%以上であればステップS06に進む。
(ステップS05、S06:単位測定時間設定)
CPU30は、回転体10の速度増加率が、例えば、5%未満であれば単位測定時間を、例えば、10ms(長測定時間モード)に設定してステップS07に進む。また、CPU30は、回転体10の速度増加率が5%以上であれば、割込信号生成部29を制御して単位測定時間を、例えば、2ms(短測定時間モード)に設定してステップS07に進む。
(ステップS07:回転数演算)
CPU30は、ステップS05又はステップS06で設定した単位測定時間に基づいて、回転体10の回転数を演算(演算式は式(1)参照)する。CPU30は、この演算結果を表示部2に表示させた後、ステップS01に戻って、同様の処理を繰り返す。
【0034】
なお、上述した長測定時間モード(10ms)と短測定時間モード(2ms)とを切り替える際の基準となる回転増加率(5%)、及び、回転増加率に応じてどの程度単位測定時間を変化させるかは、適宜変更することができる。
例えば、上述した例では、短測定時間モードでは、長測定時間モードの20%の測定時間で回転数の演算を行ったが、これに限定されることなく、20%未満でも、20%よりも大きくてもよい。また、上述した例では、回転増加率が5%(閾値)以上である場合に短測定時間モードに移行する制御を行ったが、これに限定されることなくその他の値(例えば、3%等)となった場合に短測定時間モードに移行するようにしてもよい。
【0035】
また、上述の例では、短測定時間モード及び短測定時間モードのふたつのモードで演算処理を行ったが、これに限られず、速度増加率に応じて、より細かく単位測定時間を設定してもよい。一例をあげると、例えば、速度増加率が1%未満であれば、速度増加率がゼロ(等速回転)である時と同じ単位測定時間(長測定時間モード)で演算を行い、速度増加率が1%以上、2%未満なら測定時間を長測定時間モードの80%程度に、速度増加率が2%以上、3%未満なら測定時間を長測定時間モードの60%程度にする等、速度増加率の増加に応じて、段階的に単位測定時間を短くするような制御を行ってもよい。この場合、実回転数に対する誤差をさらに小さくすることができるが、回転体の速度増加率が頻繁に変化する場合には、CPU30に対する負荷が大きくなる。
【0036】
以上説明した本実施例の回転計1によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)回転体10の回転数が増加(加速)している間は、単位測定時間を短く設定して回転数の演算を行う周期を短くするので、実回転数と表示部2に表示される回転数との誤差を小さくでき、測定精度を向上することができる。
(2)回転体10が所定の速度増加率で加速している間のみ、単位測定時間を短くする一方で、回転体10の速度増加率が小さい場合には単位測定時間を十分に長く設定するので、回転体10の回転速度が安定している場合には、回転数の測定精度が向上する。
(3)回転体10が急加速している間の測定精度が向上するので、例えば、測定結果をペンレコーダ等に外部出力(アナログ出力)して回転数の変化を書き出す場合等(速度変化を目視する場合)に特に有効である。
(4)回転計1の測定精度が向上するので、コンパレータ機能を使用して基準となる回転数と測定値との比較をする場合、コンパレータにおいてより正確に基準値と測定値との比較をできる。したがって、コンパレータの応答性が向上する。
(5)ピークホールド機能を使用して最大回転数等を記録する場合、より実回転値に近い値を出力できるので効果的である。
(6)割込時間を変化させるだけなので、CPU30のシステムクロックを上げる等の対策を行うことなく急加速時の測定精度を向上させることができる。
【0037】
[変形形態]
本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内に含まれる。
(1)本発明を適用した回転計の構成は、上述した実施例に記載したものに限られず、適宜変更が可能である。例えば、実施例の回転計は、回転体に対して非接触で回転数を計測するものであったが、回転計はこれに限らず、接触式の回転計であってもよい。また、回転検出方式も光検出方式に限らず、例えば、磁気検出方式であってもよい。
(2)実施例の回転計は、回転体の速度増加率に応じて単位測定時間を切り替えたが、これに限らず、例えば、回転体の加速度に応じて単位測定時間を切り替えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】実施形態の回転計の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示すCPUが回転数を演算する際のタイミングチャートである。
【図3】異なる単位測定時間と回転数との関係を示すグラフである。
【図4】単位測定時間の長さと測定誤差との関係を示すグラフである。
【図5】図1に示すCPUが行う回転数演算時の制御を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0039】
1 回転計
2 表示部
3 測定部
4 演算回路部
10 回転体
30 CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体の回転を検出して当該回転体の回転数に応じた信号を出力する検出部と、
前記検出部の出力に応じて前記回転体の回転数を所定の単位測定時間ごとに演算して出力する演算部と
を備える回転計であって、
前記演算部は、自己が演算した前記回転体の回転数に基づいて前記回転体の回転数の増加度合いを算出し、該回転数の増加度合いが所定の閾値未満である場合には第1の単位測定時間ごとに前記回転数の演算を行い、前記回転体の回転数の増加度合いが前記所定の閾値以上である場合には前記第1の単位測定時間よりも短い第2の単位測定時間ごとに前記回転数の演算を行うこと
を特徴とする回転計。
【請求項2】
請求項1に記載の回転計において、
前記第1の単位測定時間、前記第2の単位測定時間及び前記所定の閾値を任意の値に設定できること
を特徴とする回転計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−98076(P2009−98076A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−271771(P2007−271771)
【出願日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(000145806)株式会社小野測器 (230)