回転電機ステータ
【課題】回転電機ステータにおいて、多くの溶接部を設ける場合でも、溶接部同士の絶縁性を向上させつつ、生産性を向上させることである。
【解決手段】ステータ10は、ステータコイルである複数のセグメントコイル22を含む。各セグメントコイル22は、片側コイルエンド46において、複数のコイル要素である導体セグメント28を径方向に離れた3個所以上の複数の溶接部50で、相手側の導体セグメント28と連結することによりコイル状に形成する。複数の溶接部50は、最内周側溶接部50から最外周側溶接部50に向かうにしたがって、周方向に隣り合うスロット12同士の間隔dsの1/2未満の大きさdaずつ周方向に徐々にずれて配置する。
【解決手段】ステータ10は、ステータコイルである複数のセグメントコイル22を含む。各セグメントコイル22は、片側コイルエンド46において、複数のコイル要素である導体セグメント28を径方向に離れた3個所以上の複数の溶接部50で、相手側の導体セグメント28と連結することによりコイル状に形成する。複数の溶接部50は、最内周側溶接部50から最外周側溶接部50に向かうにしたがって、周方向に隣り合うスロット12同士の間隔dsの1/2未満の大きさdaずつ周方向に徐々にずれて配置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周方向複数個所に設けられたスロットを有するステータコアと、ステータコアに巻装された複数のステータコイルとを備える回転電機ステータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、回転電機のステータとして、スロットと呼ばれる径方向に伸びる溝を周方向に複数設けたステータコアを備え、互いに周方向に離れた2ずつのスロットに挿入するように、ステータコアにステータコイルを分布巻きで巻装する構造が知られている。
【0003】
また、この場合にステータコイルを、複数のコイル要素である導体セグメントが互いに接続されることによりそれぞれコイル状に形成されるセグメントコイルとすることも考えられる。例えば、各導体セグメントは、2の平行な脚部と、2の脚部同士を連結するターン部とによりU字形に形成される。
【0004】
さらに、複数の導体セグメントを連結することによりコイル状に形成し、単位コイルであるセグメントコイルとしたものを複数個設け、ステータコアの周方向に複数のセグメントコイルを連結することにより各相の環状部分を形成することも考えられる。
【0005】
例えば、特許文献1には、複数相のステータコイルが、U字形に形成された複数の導体セグメントを接合して形成される交流発電機が記載されている。この交流発電機では、導体セグメントにおいて、ステータ鉄心のスロットの片側に延出したつなぎ部を別の導体セグメントのつなぎ部同士を半田溶接またはTIG溶接することで形成されている。つなぎ部の先端部の溶接接合された内周側接続部と外周側接続部とが周方向に1/2スロットずれて配置された構成となっている。なお、本発明に関連する先行技術文献として、特許文献1の他に特許文献2がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−153380号公報
【特許文献2】特開2002−78269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の特許文献1に記載されたステータにおいて、径方向にずれた3個所以上の複数個所に溶接部が設けられると、複数の溶接部をステータの軸方向に見た場合にほぼ全周を複数の溶接部で囲まれる領域が形成される可能性がある。言い換えれば、各溶接部のほぼ全周が多くの別の溶接部で遮られる可能性がある。この場合、複数の溶接部で囲まれる領域にはアース電極を兼ねた溶接冶具等の、溶接部を形成するための冶具が入り込みにくくなり、生産性が悪化する可能性がある。これに対して、複数の溶接部をステータの周方向同位置に並べるように配置することも考えられるが、この場合には溶接部同士の間の絶縁性を向上させる面から改良の余地がある。
【0008】
本発明の目的は、回転電機ステータにおいて、多くの溶接部を設ける場合でも、溶接部同士の絶縁性を向上させつつ、生産性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る回転電機ステータは、周方向複数個所に設けられたスロットを有するステータコアと、前記ステータコアに巻装された複数のステータコイルとを備える回転電機ステータであって、前記各ステータコイルは、前記ステータコアの軸方向片側から突出する片側コイルエンドにおいて、複数のコイル要素が径方向に離れた3個所以上の複数の溶接部で相手側の前記コイル要素と連結されることによりコイル状に形成されており、前記複数の溶接部は、最内周側の前記溶接部から最外周側の前記溶接部に向かうにしたがって、周方向に隣り合う前記スロット同士の間隔の1/2未満ずつ周方向に徐々にずれて配置されていることを特徴とする回転電機ステータである。
【0010】
また、本発明に係る回転電機ステータにおいて、好ましくは、前記ステータコアに分布巻きで巻装され、前記複数のステータコイルが環状に連結されることにより、複数相のセグメント環状部が形成されており、前記各相のセグメント環状部は、複数の前記コイル要素であるU字形の導体セグメントが前記ステータコアの前記スロットに軸方向に挿入されてから曲げ形成された後、互いに径方向に離れた前記導体セグメントの先端部同士が前記溶接部で接続され、コイル状に形成される前記ステータコイルである複数のセグメントコイルを含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る回転電機ステータによれば、溶接部同士の絶縁性を向上させつつ、生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態の回転電機ステータを示す斜視図である。
【図2】図1のステータを外周側から見た図である。
【図3】各相ステータコイルを構成する1の導体セグメントを、ステータコアに配置する以前の状態で示す図である。
【図4】図1のステータにおいて、1相分であるU相分のセグメント環状部をステータコアから取り出したもので、各ステータコイルの複数の溶接部を周方向同位置に配置して示す図である。
【図5】図4のセグメント環状部のうち、前半部の巻き始めの1番目から8番目までの8個の単位コイルを示す図である。
【図6】図5の前半部の8個の単位コイルをステータコアに巻装する様子を説明する模式図である。
【図7】図6に引き続いて、後半部の8個の単位コイルをステータコアに巻装する様子を説明する模式図である。
【図8】図5の1つのステータコイルの片側コイルエンド部分を複数のスロットとの関係で示す斜視図である。
【図9】図1のステータの片側コイルエンドの周方向一部を、軸方向から見た概略図である。
【図10】比較例の第1例の回転電機ステータにおいて、図9に対応する図である。
【図11】図10の回転電機ステータにおいて、スロットに対応する部分で切断した断面図である。
【図12】比較例の第2例の回転電機ステータにおいて、図9に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下において、図1から図9を用いて本発明に係る実施の形態を説明する。本実施の形態の回転電機ステータ(以下、単に「ステータ」という。)は、例えば電動モータ、発電機等の回転電機を構成するために使用される。図1、図2に示すように、ステータ10は、環状の磁性材料製のステータコア14と、ステータコア14に分布巻きで巻装された複数相であるU相、V相、W相の3相のセグメント環状部16,18,20とを備える。ステータ10の使用時には、ステータ10の径方向内側に、回転軸に固定されたロータ(図示せず)を配置し、ステータ10とロータとを径方向に対向させることでラジアル型の回転電機を構成する。ステータコア14は、例えば、磁性粉末を加圧成形してなる圧粉磁心、または電磁鋼板等の金属板の積層体等により形成されている。ステータコア14は、内周面の周方向複数個所に放射状に形成されたスロット12を有する。図1、図2では、「u」「v」「w」の符号を付した部分が、それぞれU相、V相、W相を表している。
【0014】
各相のセグメント環状部16,18,20は、それぞれ環状に複数のステータコイルであるセグメントコイル22を連結してなり、互いに連結される1周目要素24(図5)及び2周目要素26(図7)を含む。また、各セグメントコイル22は、図3に示す、略U字形の導体セグメント28を複数個並べて複数の導体セグメント28が互いに接続される、すなわち接合されることによりコイル状に形成されている。各導体セグメント28は、幅方向(図3の左右方向)両端部に2ずつのスロット12(図1)にそれぞれ挿入される直線部30を有する2本の平行な脚部32と、脚部32の一端同士を連結するターン部34とを有する。また、導体セグメント28は、両端部を除く導体線36の周囲に、ポリアミドイミド等により構成されるエナメル樹脂等の絶縁部である絶縁被膜38が被覆されている。
【0015】
すなわち、本実施の形態のステータ10(図1)は、いわゆる「セグメントコイル巻き型」と呼ばれるもので、断面矩形の平角線等の角線である導体線36が絶縁被膜38により被覆されてなるコイル素線をコイル状に形成したセグメントコイル22(図1)が複数個設けられている。そして、ステータコア14の周方向に複数のセグメントコイル22を少なくとも一周分(本実施形態の場合は2周分)環状に連結することにより各相のセグメント環状部16,18,20(図1)が形成されている。
【0016】
図4は、図1のステータ10において、1相分であるU相分のセグメント環状部16をステータコア14(図1)から取り出したもので、各セグメントコイル22の複数の溶接部50を周方向同位置に配置して示す図である。なお、実際には、後で図8、図9を用いて詳しく説明するように、各セグメントコイル22の複数の溶接部50は、最内周側溶接部50から最外周側溶接部50に向かうにしたがって周方向片側に徐々にずれて配置されている(図5も同様である)が、説明の容易化のために溶接部50の図示を上記のようにしている。
【0017】
次に、U相、V相、W相のセグメント環状部16,18,20のうち、代表してU相のセグメント環状部16で説明する。U相セグメント環状部16は、それぞれ周方向の幅が予め定められた単位コイル間隔D1(図5)である8個の単位コイルであるセグメントコイル22を環状に連結するようにステータコア14に巻装したものを1周目要素24としてステータコア14を1周りさせ、続いて同様に8個のセグメントコイル22を環状に連結するようにステータコア14に巻装したものを2周目要素26(図7)としてステータコア14を1周りさせることにより、セグメント環状部16が形成されている。この場合、1周目要素24を配置するスロット12(図1)と、2周目要素26を配置するスロット12とは、周方向に1ずつずらしている。
【0018】
なお、V相、W相のセグメント環状部18,20(図1)の基本形状は、U相の場合と同様である。U相のセグメント環状部16は、コイル素線をコイル状に形成した単位コイルであるセグメントコイル22を16個組み合わせて構成している。図4で、C1、C2・・・C16と示しているのは、16個のセグメントコイル22を区別するためのコイル番号で、U相セグメント環状部16の巻き始めが1番目単位コイルであるセグメントコイルC1で、巻き終わりが16番目単位コイルであるセグメントコイルC16である。
【0019】
図4に示すように、セグメントコイルC1に隣接してセグメントコイルC2を配置し、以下C3、C4・・・C16と順次隣接して配置し、周方向に2周している。このため、コイル番号をiとして、i番目コイルと(i+8)番目コイルとは、1スロット分ずれているが一部径方向に重なり合うように配置されている。
【0020】
図5は、図4のセグメント環状部16のうち、1周目要素24を取り出して示す図である。セグメント環状部16の1周目要素24は、8個のセグメントコイル22が環状に連結されることにより形成されている。各セグメントコイル22は、複数の導体セグメント28から形成される。図5では、セグメントコイル22のうち、2周目要素26(図7参照)の9番目から16番目までのセグメントコイル22の図示を省略しているが、基本形状は図5の1周目要素24の形状と同様で、配置位置が1周目要素24に対し周方向にずれている。3相のセグメントコイル22は、ステータコア14(図1)に分布巻きで巻装されている。
【0021】
図6は、図4のセグメント環状部16のうち、1周目要素24をステータコア14に配置する様子を説明する模式図である。図7は、図4のセグメント環状部16のうち、2周目要素26をステータコア14に配置する様子を説明する模式図である。図7では、図6の1周目要素24の図を省略している。なお、図6、図7では、ステータコア14の平面図と、その外側の複数のセグメントコイル22とを示している。セグメントコイル22は、いくつかのスロット12をまたいで周方向に離れた2つのスロット12に挿入するように、ステータコア14の周方向複数個所に巻装している。この2つのスロット12は、予め定めた単位コイル間隔D1で離れている。以下、セグメントコイル22は、コイル番号を付して説明する場合がある。図6に示す、セグメントコイルC1は、セグメント環状部16(図4)の巻き始めで、回転電機の動力線側である入力端子側(IN側)に接続されている。
【0022】
セグメントコイルC1は、スロットS4とS10との間にコイル素線を複数回巻回してコイル状に形成している。この巻き始めは、入力端子側であるステータコア14の外周側であり、外周側から内周側に向かうようにスロット12にコイル状に巻装される。次いで、セグメントコイルC1の巻き終わりでセグメントコイルC2に接続される。すなわち、セグメントコイルC1の巻き終わりでスロットS10から単位コイル間隔D1離れたスロットS16に渡り、スロットS10とS16との間にコイル素線を複数回巻回してコイル状に形成することで、セグメントコイルC2を構成している。次いで順次これを繰り返してセグメントコイルC1からセグメントコイルC8までを形成することにより1周目要素24が構成される。
【0023】
1周目要素24の巻き終わりは、ステータコア14の最外周側で、図7に示す2周目要素26のセグメントコイルC9に接続される。このとき、セグメントコイルC9は、セグメントコイルC1から1スロット分ずれて、スロットS3とS9との間にわたって複数回巻回されることによりコイル状に形成されている。次いで、セグメントコイルC9の巻き終わりでセグメントコイルC10に接続される。すなわち、セグメントコイルC9の巻き終わりでスロットS9から単位コイル間隔D1離れたスロットS15に渡り、スロットS9とS15との間にコイル素線を複数回巻回してコイル状に形成することで、セグメントコイルC10を構成している。次いで順次これを繰り返してセグメントコイルC9からセグメントコイルC16までを形成することにより2周目要素26が構成される。
【0024】
また、セグメントコイルC16の巻き終わりは、ステータコア14の最外周側から取り出され、回転電機の中性点に接続される。図7では、セグメントコイルC16の巻き終わりがOUT(中性点)として示されている。このように、セグメント環状部16の1周目要素24と2周目要素26とが配置されるスロット12は、周方向にずれている。以上は、U相のセグメント環状部16について説明したが、V相、W相のセグメント環状部18,20についても同様に形成するとともに、図1に示すように、V相セグメント環状部18を配置するスロット12を周方向に2ずつずらし、W相セグメント環状部20を配置するスロット12を、周方向にさらに2ずつずらしている。
【0025】
このような各相のセグメント環状部16,18,20を形成する際に、上記の図3に1つを示した複数の略U字形のコイル要素である導体セグメント28を使用している。すなわち、複数の導体セグメント28をコイル状に連結することにより1つのセグメントコイル22を形成し、このセグメントコイル22を複数環状に接続、すなわち連結することにより各相のセグメント環状部16,18,20を形成している。この場合、各導体セグメント28は、両端部に単位コイル間隔D1と同じ間隔で設けられた2本の平行な脚部32を有し、各脚部32の一端をターン部34で連結している。
【0026】
図8は、図5の1つのセグメントコイル22の片側コイルエンド部分を複数のスロット12との関係で示す斜視図である。図8に示すように、セグメントコイル22を形成する場合、導体セグメント28を複数本、例えば5本を使用し、予め一定に定めた単位コイル間隔D1で配置される2つのスロット12に軸方向に挿入してからステータコア14の軸方向片側(図8の上側)から突出した部分を、略周方向に曲げ形成する。その後、ステータコア14の軸方向片側から突出した、互いに径方向に離れた導体セグメント28の先端部で絶縁被膜38から露出した部分であって、互いに周方向の対向する側に曲げ形成した導体セグメント28同士の先端部を重ね合わせて溶接部50で接続し、これを複数本の導体セグメント28で行うことによりコイル状に形成して、セグメントコイル22としている。
【0027】
より具体的には、複数本の略U字形の導体セグメント28は、ステータ10の径方向に沿って整列させるように、ステータコア14の軸方向他側(図8の下側)から軸方向片側(図8の上側)に向け挿入する。そして、各導体セグメント28の2つの脚部32の先端部で、ステータコア14の軸方向片側面(図8の上側面)から突出した部分を、互いに略周方向(「周方向」とは、特に断らない限り、ステータの周方向を言う。本明細書全体及び特許請求の範囲で同じとする。)に対向する側に曲げ形成する。
【0028】
また、1つの導体セグメント28の片側の脚部32の先端部で軸方向(図1の上下方向)に向くように曲げた部分と、この1つの導体セグメント28に径方向(「径方向」とは、特に断らない限り、ステータの径方向を言う。本明細書全体及び特許請求の範囲で同じとする。)に隣り合う他の導体セグメント28の他側の脚部32の先端部で軸方向に向くように曲げた部分とを、TIG溶接等の溶接により接続して溶接部50を形成する。そして、このような溶接部50の形成作業を各導体セグメント28で行うことにより、コイル状のセグメントコイル22を形成する。
【0029】
図1に示すように、ステータコア14に各相のセグメント環状部16,18,20を組み付けた状態で、各セグメントコイル22のうち、ステータコア14の軸方向両端面からそれぞれ外側に突出する部分により軸方向両側の2つのコイルエンドである、片側コイルエンド46と他側コイルエンド48とが形成されている。片側コイルエンド46は、各セグメントコイル22のうち、複数の導体セグメント28の先端部同士の接合部である溶接部50側部分により形成される。他側コイルエンド48は、各セグメントコイル22のターン部34(図3)側部分により形成される。
【0030】
図9は、図1のステータ10の片側コイルエンド46の周方向一部を、軸方向から見た概略図である。図9に示すように、各セグメントコイル22は、片側コイルエンド46において、複数の導体セグメント28が径方向に離れた3個所以上(図示の例では5個所)の複数の溶接部50で相手側の導体セグメント28と連結されることによりコイル状に形成されている。また、複数の溶接部50は、最内周側(図9の左端)の溶接部50から最外周側(図9の右端)の溶接部50に向かうにしたがって、周方向に隣り合うスロット12同士の間隔であるスロット間隔dsの1/2未満の大きさであるda(<ds/2)ずつ周方向片側(図9の矢印α側)に徐々にずれて配置されている。ここで、複数のスロット12は、ステータ10に放射状に形成されているため、「スロット間隔」とはステータ10の中心軸を中心とするスロット12間の間隔角度である中心角を意味し、スロット数がnである場合、(360/n)度をいう。したがって、周方向に隣り合うスロット12同士の間隔の1/2未満の大きさdaは、360/2n未満の角度分であることを意味する(本明細書全体及び特許請求の範囲で同じである。)。
【0031】
このように複数の溶接部50の配置位置を規制するために、例えば、図8に示すセグメントコイル22の片側コイルエンド46部分において、複数の導体セグメント28の各脚部32の先端部の略周方向に曲げ形成した部分の長さを、最内周側の導体セグメント28から最外周側の導体セグメント28に向かうにしたがって、徐々に小さくしたり、または徐々に大きくすることができる。
【0032】
なお、図8、図9に示す例の場合と異なり、複数の溶接部50は、最内周側の溶接部50から最外周側の溶接部50に向かうにしたがって、スロット間隔dsの1/2未満の大きさであるda(<ds/2)ずつ周方向他側(図9の矢印αと反対側)に徐々にずれて配置されるようにすることもできる。
【0033】
このようなステータ10によれば、各セグメントコイル22において、複数の溶接部50がステータ10の周方向にずれた位置に配置されるので径方向に隣り合う溶接部50同士の間隔を大きくでき、溶接部50同士の絶縁性を向上させることができる。しかも、複数の溶接部50が最内周側溶接部50から最外周側溶接部50に向かうにしたがって、スロット間隔dsの1/2未満の大きさdaずつ周方向に徐々にずれている。このため、周方向に離れた溶接部50を形成すべき部分同士の間に、溶接部50を形成するための冶具、例えばアース電極を兼ねた溶接冶具を挿入しやすくなり、多くの溶接部50を設ける場合でも、ステータ10の生産性の向上を図れる。
【0034】
例えば、溶接部50の形成作業時には、溶接部50を形成するための2つの導体セグメント28の先端部同士を重ね合わせることにより重ね合わせ部を形成し、ステータ10の軸方向片側から重ね合わせ部と空間を介して対向させ、重ね合わせ部との間でアーク放電を生じさせる放電電極である溶接ヘッド(図示せず)を配置する。これとともに、図9に二点鎖線で示すアース電極を兼ねた溶接冶具52を溶接部50となる部分の周方向片側または両側に1または複数の導体セグメント28に接触するように配置する。
【0035】
また、溶接冶具52を接地し、溶接ヘッドに所定の高電圧を印加する。この結果、溶接ヘッドの先端と重ね合わせ部との間にアーク放電が生じ、重ね合わせ部が溶融し、2つの導体セグメント28の端部同士が電気的にかつ機械的に接合され、溶接部50が形成される。本実施形態によれば、図9に示すように溶接冶具52を周方向に隣り合う重ね合わせ部同士の間に容易に配置でき、ステータ10の生産性の向上を図れる。さらに、溶接作業の容易化を図れるため、溶接部50の品質向上を図れる。
【0036】
これに対して、上記の特許文献1に記載された構成の場合、導体セグメントの先端部の溶接接合された内周側接続部と外周側接続部とが周方向に1/2スロットずれて配置されている。このような特許文献1の構成でステータの径方向にずれた3個所以上の複数個所に溶接部が設けられると、ステータの溶接部を軸方向に見た場合にほぼ全周を複数の溶接部で囲まれる領域が形成される可能性がある。このため、電極を兼ねた溶接冶具等の冶具を周方向に隣り合う溶接部同士の間に挿入するためには、溶接冶具をかなり細くする必要があり、溶接部の品質が悪化する可能性がある。また、特許文献1には、別の構成として、コイルエンドで径方向に離れた複数の接続部の軸線方向高さを変えることも記載されているが、この方法ではTIG溶接等の溶接の際に高電圧を印加する溶接ヘッドで軸線方向高さの小さい重ね合わせ部分に溶接部を形成する際に、アーク放電に伴う輻射熱が別の軸線方向高さの大きい重ね合わせ部分に伝わりやすくなり、溶接部や絶縁部の品質が悪化する可能性がある。本実施形態によれば、片側コイルエンドで各溶接部のステータコアからの軸線方向高さを同じとする等、大きく変化させずに済むので、このような不都合をいずれもなくすことができる。
【0037】
さらに、特許文献2には、導体セグメントの接合部とターン部とをそれぞれ設ける側を、径方向複数個所に配置された導体セグメントで径方向に交互に逆にすることが記載されている。このため、両側のコイルエンドのそれぞれで、ターン部と溶接部とが径方向に交互に配置されている。このような構成では、ターン部に対して溶接部から熱害を防止するため、溶接部とターン部との距離を確保する必要があり、その分だけコイルエンドのステータコアからの軸線方向高さが大きくなる可能性がある。本実施形態によれば、このような不都合をなくして、コイルエンドのステータコアからの軸線方向高さを小さくしつつ、絶縁性を十分に確保できる。
【0038】
なお、上記の実施形態の説明では溶接作業でアース電極を兼ねた溶接冶具52を用いる場合を説明したが、溶接冶具が溶接部50を形成する重ね合わせ部の単なる位置決め用である場合でも、周方向に隣り合う重ね合わせ部の間に溶接冶具を挿入しやすくなる。このため、生産性の向上を図れるとともに、溶接部の品質向上を図れる。
【0039】
図10は、比較例の第1例の回転電機ステータにおいて、図9に対応する図である。図10に示す比較例の第1例では、上記の図1〜9の実施形態において、ステータコイルである各セグメントコイル22において、径方向に離れた複数の溶接部50の配置位置を、周方向に関して同位置としている。すなわち、ステータ10の片側コイルエンド46において、複数の溶接部50が径方向である放射状に並んでいる。その他の構成は図1〜9に示した実施形態と同様である。
【0040】
このような比較例の第1例では、各セグメントコイル22において、径方向に隣り合う溶接部50が近接するため、溶接部50同士の絶縁性を向上させる面から改良の余地がある。図11は、図10の回転電機ステータにおいて、スロット12に対応する部分で切断した断面図である。図11に示すように、比較例の第1例では、片側コイルエンド46において、複数の溶接部50が径方向に並んだ状態となるので、隣り合う溶接部50同士の間隔が小さくなりやすい。このため、図11の例では、隣り合う溶接部50同士の間に絶縁紙54が配置されている。また、この絶縁紙54の配置スペースを確保するため、または絶縁紙54がない場合でも隣り合う溶接部50同士の絶縁間隔を確保するため、図11に示すように、導体セグメント28の片側コイルエンド46部分が径方向両端に近づくほど外側に膨らむように曲げ形成する必要がある。このため、片側コイルエンド46の径方向(図11の左右方向)寸法が大きくなっている。また、導体セグメント28を外側に曲げ形成する分、導体セグメント28の材料の使用量が多くなったり、加工費が増加する可能性がある。
【0041】
これに対して、上記の図1〜9に示す本実施形態によれば、このような不都合をいずれもなくすことができる。すなわち、本実施形態によれば、図11の比較例に対して、片側コイルエンド46で溶接部50同士の絶縁間隔や絶縁紙の配置スペースを確保するために外側に大きく曲げ形成する必要がなく、導体セグメント28の材料の使用量を低減できるとともに、加工費の低減を図れる。
【0042】
また、図12は、比較例の第2例の回転電機ステータにおいて、図9に対応する図である。図12に示す比較例の第2例では、上記の図1〜9の実施形態において、ステータコイルである各セグメントコイル22において、径方向に離れた複数の溶接部50の配置位置を、周方向にずらしているが、最内周側溶接部50から最外周側溶接部50に向かうにしたがって周方向片側に徐々にずらす構成を採用していない。比較例の第2例では、径方向に離れた複数の溶接部50同士で径方向片側に向かうにしたがって、周方向片側と他側とに交互にずらす千鳥配置状としている。
【0043】
このような比較例の第2例では、周方向に隣り合う溶接部50同士の間に溶接冶具を挿入することが難しい。このため、ステータ10の生産性向上及び溶接部50の品質向上の面から改良の余地がある。これに対して、本実施形態によれば、このような不都合をなくして、ステータ10の生産性向上及び溶接部50の品質向上を図れる。
【0044】
なお、本実施形態では、導体セグメント28がU字形に形成されたものに限定するものではなく、互いに複数個を接続することでコイル状に形成されるものであれば種々の形状の導体セグメントを使用できる。また、上記では、ステータがセグメントコイル巻き型の場合を説明したが、本発明はこのような構成に限定するものではなく、ステータコイルを形成する複数のコイル要素が片側コイルエンドで溶接され、複数の溶接部が径方向に離れた3個所以上の複数個所に配置されるものであれば、種々の形式のステータに適用可能である。
【符号の説明】
【0045】
10 ステータ、12 スロット、14 ステータコア、16,18,20 セグメント環状部、22 セグメントコイル、24 1周目要素、26 2周目要素、28 導体セグメント、30 直線部、32 脚部、34 ターン部、36 導体線、38 絶縁被膜、46 片側コイルエンド、48 他側コイルエンド、50 溶接部、52 溶接冶具、54 絶縁紙。
【技術分野】
【0001】
本発明は、周方向複数個所に設けられたスロットを有するステータコアと、ステータコアに巻装された複数のステータコイルとを備える回転電機ステータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、回転電機のステータとして、スロットと呼ばれる径方向に伸びる溝を周方向に複数設けたステータコアを備え、互いに周方向に離れた2ずつのスロットに挿入するように、ステータコアにステータコイルを分布巻きで巻装する構造が知られている。
【0003】
また、この場合にステータコイルを、複数のコイル要素である導体セグメントが互いに接続されることによりそれぞれコイル状に形成されるセグメントコイルとすることも考えられる。例えば、各導体セグメントは、2の平行な脚部と、2の脚部同士を連結するターン部とによりU字形に形成される。
【0004】
さらに、複数の導体セグメントを連結することによりコイル状に形成し、単位コイルであるセグメントコイルとしたものを複数個設け、ステータコアの周方向に複数のセグメントコイルを連結することにより各相の環状部分を形成することも考えられる。
【0005】
例えば、特許文献1には、複数相のステータコイルが、U字形に形成された複数の導体セグメントを接合して形成される交流発電機が記載されている。この交流発電機では、導体セグメントにおいて、ステータ鉄心のスロットの片側に延出したつなぎ部を別の導体セグメントのつなぎ部同士を半田溶接またはTIG溶接することで形成されている。つなぎ部の先端部の溶接接合された内周側接続部と外周側接続部とが周方向に1/2スロットずれて配置された構成となっている。なお、本発明に関連する先行技術文献として、特許文献1の他に特許文献2がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−153380号公報
【特許文献2】特開2002−78269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の特許文献1に記載されたステータにおいて、径方向にずれた3個所以上の複数個所に溶接部が設けられると、複数の溶接部をステータの軸方向に見た場合にほぼ全周を複数の溶接部で囲まれる領域が形成される可能性がある。言い換えれば、各溶接部のほぼ全周が多くの別の溶接部で遮られる可能性がある。この場合、複数の溶接部で囲まれる領域にはアース電極を兼ねた溶接冶具等の、溶接部を形成するための冶具が入り込みにくくなり、生産性が悪化する可能性がある。これに対して、複数の溶接部をステータの周方向同位置に並べるように配置することも考えられるが、この場合には溶接部同士の間の絶縁性を向上させる面から改良の余地がある。
【0008】
本発明の目的は、回転電機ステータにおいて、多くの溶接部を設ける場合でも、溶接部同士の絶縁性を向上させつつ、生産性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る回転電機ステータは、周方向複数個所に設けられたスロットを有するステータコアと、前記ステータコアに巻装された複数のステータコイルとを備える回転電機ステータであって、前記各ステータコイルは、前記ステータコアの軸方向片側から突出する片側コイルエンドにおいて、複数のコイル要素が径方向に離れた3個所以上の複数の溶接部で相手側の前記コイル要素と連結されることによりコイル状に形成されており、前記複数の溶接部は、最内周側の前記溶接部から最外周側の前記溶接部に向かうにしたがって、周方向に隣り合う前記スロット同士の間隔の1/2未満ずつ周方向に徐々にずれて配置されていることを特徴とする回転電機ステータである。
【0010】
また、本発明に係る回転電機ステータにおいて、好ましくは、前記ステータコアに分布巻きで巻装され、前記複数のステータコイルが環状に連結されることにより、複数相のセグメント環状部が形成されており、前記各相のセグメント環状部は、複数の前記コイル要素であるU字形の導体セグメントが前記ステータコアの前記スロットに軸方向に挿入されてから曲げ形成された後、互いに径方向に離れた前記導体セグメントの先端部同士が前記溶接部で接続され、コイル状に形成される前記ステータコイルである複数のセグメントコイルを含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る回転電機ステータによれば、溶接部同士の絶縁性を向上させつつ、生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態の回転電機ステータを示す斜視図である。
【図2】図1のステータを外周側から見た図である。
【図3】各相ステータコイルを構成する1の導体セグメントを、ステータコアに配置する以前の状態で示す図である。
【図4】図1のステータにおいて、1相分であるU相分のセグメント環状部をステータコアから取り出したもので、各ステータコイルの複数の溶接部を周方向同位置に配置して示す図である。
【図5】図4のセグメント環状部のうち、前半部の巻き始めの1番目から8番目までの8個の単位コイルを示す図である。
【図6】図5の前半部の8個の単位コイルをステータコアに巻装する様子を説明する模式図である。
【図7】図6に引き続いて、後半部の8個の単位コイルをステータコアに巻装する様子を説明する模式図である。
【図8】図5の1つのステータコイルの片側コイルエンド部分を複数のスロットとの関係で示す斜視図である。
【図9】図1のステータの片側コイルエンドの周方向一部を、軸方向から見た概略図である。
【図10】比較例の第1例の回転電機ステータにおいて、図9に対応する図である。
【図11】図10の回転電機ステータにおいて、スロットに対応する部分で切断した断面図である。
【図12】比較例の第2例の回転電機ステータにおいて、図9に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下において、図1から図9を用いて本発明に係る実施の形態を説明する。本実施の形態の回転電機ステータ(以下、単に「ステータ」という。)は、例えば電動モータ、発電機等の回転電機を構成するために使用される。図1、図2に示すように、ステータ10は、環状の磁性材料製のステータコア14と、ステータコア14に分布巻きで巻装された複数相であるU相、V相、W相の3相のセグメント環状部16,18,20とを備える。ステータ10の使用時には、ステータ10の径方向内側に、回転軸に固定されたロータ(図示せず)を配置し、ステータ10とロータとを径方向に対向させることでラジアル型の回転電機を構成する。ステータコア14は、例えば、磁性粉末を加圧成形してなる圧粉磁心、または電磁鋼板等の金属板の積層体等により形成されている。ステータコア14は、内周面の周方向複数個所に放射状に形成されたスロット12を有する。図1、図2では、「u」「v」「w」の符号を付した部分が、それぞれU相、V相、W相を表している。
【0014】
各相のセグメント環状部16,18,20は、それぞれ環状に複数のステータコイルであるセグメントコイル22を連結してなり、互いに連結される1周目要素24(図5)及び2周目要素26(図7)を含む。また、各セグメントコイル22は、図3に示す、略U字形の導体セグメント28を複数個並べて複数の導体セグメント28が互いに接続される、すなわち接合されることによりコイル状に形成されている。各導体セグメント28は、幅方向(図3の左右方向)両端部に2ずつのスロット12(図1)にそれぞれ挿入される直線部30を有する2本の平行な脚部32と、脚部32の一端同士を連結するターン部34とを有する。また、導体セグメント28は、両端部を除く導体線36の周囲に、ポリアミドイミド等により構成されるエナメル樹脂等の絶縁部である絶縁被膜38が被覆されている。
【0015】
すなわち、本実施の形態のステータ10(図1)は、いわゆる「セグメントコイル巻き型」と呼ばれるもので、断面矩形の平角線等の角線である導体線36が絶縁被膜38により被覆されてなるコイル素線をコイル状に形成したセグメントコイル22(図1)が複数個設けられている。そして、ステータコア14の周方向に複数のセグメントコイル22を少なくとも一周分(本実施形態の場合は2周分)環状に連結することにより各相のセグメント環状部16,18,20(図1)が形成されている。
【0016】
図4は、図1のステータ10において、1相分であるU相分のセグメント環状部16をステータコア14(図1)から取り出したもので、各セグメントコイル22の複数の溶接部50を周方向同位置に配置して示す図である。なお、実際には、後で図8、図9を用いて詳しく説明するように、各セグメントコイル22の複数の溶接部50は、最内周側溶接部50から最外周側溶接部50に向かうにしたがって周方向片側に徐々にずれて配置されている(図5も同様である)が、説明の容易化のために溶接部50の図示を上記のようにしている。
【0017】
次に、U相、V相、W相のセグメント環状部16,18,20のうち、代表してU相のセグメント環状部16で説明する。U相セグメント環状部16は、それぞれ周方向の幅が予め定められた単位コイル間隔D1(図5)である8個の単位コイルであるセグメントコイル22を環状に連結するようにステータコア14に巻装したものを1周目要素24としてステータコア14を1周りさせ、続いて同様に8個のセグメントコイル22を環状に連結するようにステータコア14に巻装したものを2周目要素26(図7)としてステータコア14を1周りさせることにより、セグメント環状部16が形成されている。この場合、1周目要素24を配置するスロット12(図1)と、2周目要素26を配置するスロット12とは、周方向に1ずつずらしている。
【0018】
なお、V相、W相のセグメント環状部18,20(図1)の基本形状は、U相の場合と同様である。U相のセグメント環状部16は、コイル素線をコイル状に形成した単位コイルであるセグメントコイル22を16個組み合わせて構成している。図4で、C1、C2・・・C16と示しているのは、16個のセグメントコイル22を区別するためのコイル番号で、U相セグメント環状部16の巻き始めが1番目単位コイルであるセグメントコイルC1で、巻き終わりが16番目単位コイルであるセグメントコイルC16である。
【0019】
図4に示すように、セグメントコイルC1に隣接してセグメントコイルC2を配置し、以下C3、C4・・・C16と順次隣接して配置し、周方向に2周している。このため、コイル番号をiとして、i番目コイルと(i+8)番目コイルとは、1スロット分ずれているが一部径方向に重なり合うように配置されている。
【0020】
図5は、図4のセグメント環状部16のうち、1周目要素24を取り出して示す図である。セグメント環状部16の1周目要素24は、8個のセグメントコイル22が環状に連結されることにより形成されている。各セグメントコイル22は、複数の導体セグメント28から形成される。図5では、セグメントコイル22のうち、2周目要素26(図7参照)の9番目から16番目までのセグメントコイル22の図示を省略しているが、基本形状は図5の1周目要素24の形状と同様で、配置位置が1周目要素24に対し周方向にずれている。3相のセグメントコイル22は、ステータコア14(図1)に分布巻きで巻装されている。
【0021】
図6は、図4のセグメント環状部16のうち、1周目要素24をステータコア14に配置する様子を説明する模式図である。図7は、図4のセグメント環状部16のうち、2周目要素26をステータコア14に配置する様子を説明する模式図である。図7では、図6の1周目要素24の図を省略している。なお、図6、図7では、ステータコア14の平面図と、その外側の複数のセグメントコイル22とを示している。セグメントコイル22は、いくつかのスロット12をまたいで周方向に離れた2つのスロット12に挿入するように、ステータコア14の周方向複数個所に巻装している。この2つのスロット12は、予め定めた単位コイル間隔D1で離れている。以下、セグメントコイル22は、コイル番号を付して説明する場合がある。図6に示す、セグメントコイルC1は、セグメント環状部16(図4)の巻き始めで、回転電機の動力線側である入力端子側(IN側)に接続されている。
【0022】
セグメントコイルC1は、スロットS4とS10との間にコイル素線を複数回巻回してコイル状に形成している。この巻き始めは、入力端子側であるステータコア14の外周側であり、外周側から内周側に向かうようにスロット12にコイル状に巻装される。次いで、セグメントコイルC1の巻き終わりでセグメントコイルC2に接続される。すなわち、セグメントコイルC1の巻き終わりでスロットS10から単位コイル間隔D1離れたスロットS16に渡り、スロットS10とS16との間にコイル素線を複数回巻回してコイル状に形成することで、セグメントコイルC2を構成している。次いで順次これを繰り返してセグメントコイルC1からセグメントコイルC8までを形成することにより1周目要素24が構成される。
【0023】
1周目要素24の巻き終わりは、ステータコア14の最外周側で、図7に示す2周目要素26のセグメントコイルC9に接続される。このとき、セグメントコイルC9は、セグメントコイルC1から1スロット分ずれて、スロットS3とS9との間にわたって複数回巻回されることによりコイル状に形成されている。次いで、セグメントコイルC9の巻き終わりでセグメントコイルC10に接続される。すなわち、セグメントコイルC9の巻き終わりでスロットS9から単位コイル間隔D1離れたスロットS15に渡り、スロットS9とS15との間にコイル素線を複数回巻回してコイル状に形成することで、セグメントコイルC10を構成している。次いで順次これを繰り返してセグメントコイルC9からセグメントコイルC16までを形成することにより2周目要素26が構成される。
【0024】
また、セグメントコイルC16の巻き終わりは、ステータコア14の最外周側から取り出され、回転電機の中性点に接続される。図7では、セグメントコイルC16の巻き終わりがOUT(中性点)として示されている。このように、セグメント環状部16の1周目要素24と2周目要素26とが配置されるスロット12は、周方向にずれている。以上は、U相のセグメント環状部16について説明したが、V相、W相のセグメント環状部18,20についても同様に形成するとともに、図1に示すように、V相セグメント環状部18を配置するスロット12を周方向に2ずつずらし、W相セグメント環状部20を配置するスロット12を、周方向にさらに2ずつずらしている。
【0025】
このような各相のセグメント環状部16,18,20を形成する際に、上記の図3に1つを示した複数の略U字形のコイル要素である導体セグメント28を使用している。すなわち、複数の導体セグメント28をコイル状に連結することにより1つのセグメントコイル22を形成し、このセグメントコイル22を複数環状に接続、すなわち連結することにより各相のセグメント環状部16,18,20を形成している。この場合、各導体セグメント28は、両端部に単位コイル間隔D1と同じ間隔で設けられた2本の平行な脚部32を有し、各脚部32の一端をターン部34で連結している。
【0026】
図8は、図5の1つのセグメントコイル22の片側コイルエンド部分を複数のスロット12との関係で示す斜視図である。図8に示すように、セグメントコイル22を形成する場合、導体セグメント28を複数本、例えば5本を使用し、予め一定に定めた単位コイル間隔D1で配置される2つのスロット12に軸方向に挿入してからステータコア14の軸方向片側(図8の上側)から突出した部分を、略周方向に曲げ形成する。その後、ステータコア14の軸方向片側から突出した、互いに径方向に離れた導体セグメント28の先端部で絶縁被膜38から露出した部分であって、互いに周方向の対向する側に曲げ形成した導体セグメント28同士の先端部を重ね合わせて溶接部50で接続し、これを複数本の導体セグメント28で行うことによりコイル状に形成して、セグメントコイル22としている。
【0027】
より具体的には、複数本の略U字形の導体セグメント28は、ステータ10の径方向に沿って整列させるように、ステータコア14の軸方向他側(図8の下側)から軸方向片側(図8の上側)に向け挿入する。そして、各導体セグメント28の2つの脚部32の先端部で、ステータコア14の軸方向片側面(図8の上側面)から突出した部分を、互いに略周方向(「周方向」とは、特に断らない限り、ステータの周方向を言う。本明細書全体及び特許請求の範囲で同じとする。)に対向する側に曲げ形成する。
【0028】
また、1つの導体セグメント28の片側の脚部32の先端部で軸方向(図1の上下方向)に向くように曲げた部分と、この1つの導体セグメント28に径方向(「径方向」とは、特に断らない限り、ステータの径方向を言う。本明細書全体及び特許請求の範囲で同じとする。)に隣り合う他の導体セグメント28の他側の脚部32の先端部で軸方向に向くように曲げた部分とを、TIG溶接等の溶接により接続して溶接部50を形成する。そして、このような溶接部50の形成作業を各導体セグメント28で行うことにより、コイル状のセグメントコイル22を形成する。
【0029】
図1に示すように、ステータコア14に各相のセグメント環状部16,18,20を組み付けた状態で、各セグメントコイル22のうち、ステータコア14の軸方向両端面からそれぞれ外側に突出する部分により軸方向両側の2つのコイルエンドである、片側コイルエンド46と他側コイルエンド48とが形成されている。片側コイルエンド46は、各セグメントコイル22のうち、複数の導体セグメント28の先端部同士の接合部である溶接部50側部分により形成される。他側コイルエンド48は、各セグメントコイル22のターン部34(図3)側部分により形成される。
【0030】
図9は、図1のステータ10の片側コイルエンド46の周方向一部を、軸方向から見た概略図である。図9に示すように、各セグメントコイル22は、片側コイルエンド46において、複数の導体セグメント28が径方向に離れた3個所以上(図示の例では5個所)の複数の溶接部50で相手側の導体セグメント28と連結されることによりコイル状に形成されている。また、複数の溶接部50は、最内周側(図9の左端)の溶接部50から最外周側(図9の右端)の溶接部50に向かうにしたがって、周方向に隣り合うスロット12同士の間隔であるスロット間隔dsの1/2未満の大きさであるda(<ds/2)ずつ周方向片側(図9の矢印α側)に徐々にずれて配置されている。ここで、複数のスロット12は、ステータ10に放射状に形成されているため、「スロット間隔」とはステータ10の中心軸を中心とするスロット12間の間隔角度である中心角を意味し、スロット数がnである場合、(360/n)度をいう。したがって、周方向に隣り合うスロット12同士の間隔の1/2未満の大きさdaは、360/2n未満の角度分であることを意味する(本明細書全体及び特許請求の範囲で同じである。)。
【0031】
このように複数の溶接部50の配置位置を規制するために、例えば、図8に示すセグメントコイル22の片側コイルエンド46部分において、複数の導体セグメント28の各脚部32の先端部の略周方向に曲げ形成した部分の長さを、最内周側の導体セグメント28から最外周側の導体セグメント28に向かうにしたがって、徐々に小さくしたり、または徐々に大きくすることができる。
【0032】
なお、図8、図9に示す例の場合と異なり、複数の溶接部50は、最内周側の溶接部50から最外周側の溶接部50に向かうにしたがって、スロット間隔dsの1/2未満の大きさであるda(<ds/2)ずつ周方向他側(図9の矢印αと反対側)に徐々にずれて配置されるようにすることもできる。
【0033】
このようなステータ10によれば、各セグメントコイル22において、複数の溶接部50がステータ10の周方向にずれた位置に配置されるので径方向に隣り合う溶接部50同士の間隔を大きくでき、溶接部50同士の絶縁性を向上させることができる。しかも、複数の溶接部50が最内周側溶接部50から最外周側溶接部50に向かうにしたがって、スロット間隔dsの1/2未満の大きさdaずつ周方向に徐々にずれている。このため、周方向に離れた溶接部50を形成すべき部分同士の間に、溶接部50を形成するための冶具、例えばアース電極を兼ねた溶接冶具を挿入しやすくなり、多くの溶接部50を設ける場合でも、ステータ10の生産性の向上を図れる。
【0034】
例えば、溶接部50の形成作業時には、溶接部50を形成するための2つの導体セグメント28の先端部同士を重ね合わせることにより重ね合わせ部を形成し、ステータ10の軸方向片側から重ね合わせ部と空間を介して対向させ、重ね合わせ部との間でアーク放電を生じさせる放電電極である溶接ヘッド(図示せず)を配置する。これとともに、図9に二点鎖線で示すアース電極を兼ねた溶接冶具52を溶接部50となる部分の周方向片側または両側に1または複数の導体セグメント28に接触するように配置する。
【0035】
また、溶接冶具52を接地し、溶接ヘッドに所定の高電圧を印加する。この結果、溶接ヘッドの先端と重ね合わせ部との間にアーク放電が生じ、重ね合わせ部が溶融し、2つの導体セグメント28の端部同士が電気的にかつ機械的に接合され、溶接部50が形成される。本実施形態によれば、図9に示すように溶接冶具52を周方向に隣り合う重ね合わせ部同士の間に容易に配置でき、ステータ10の生産性の向上を図れる。さらに、溶接作業の容易化を図れるため、溶接部50の品質向上を図れる。
【0036】
これに対して、上記の特許文献1に記載された構成の場合、導体セグメントの先端部の溶接接合された内周側接続部と外周側接続部とが周方向に1/2スロットずれて配置されている。このような特許文献1の構成でステータの径方向にずれた3個所以上の複数個所に溶接部が設けられると、ステータの溶接部を軸方向に見た場合にほぼ全周を複数の溶接部で囲まれる領域が形成される可能性がある。このため、電極を兼ねた溶接冶具等の冶具を周方向に隣り合う溶接部同士の間に挿入するためには、溶接冶具をかなり細くする必要があり、溶接部の品質が悪化する可能性がある。また、特許文献1には、別の構成として、コイルエンドで径方向に離れた複数の接続部の軸線方向高さを変えることも記載されているが、この方法ではTIG溶接等の溶接の際に高電圧を印加する溶接ヘッドで軸線方向高さの小さい重ね合わせ部分に溶接部を形成する際に、アーク放電に伴う輻射熱が別の軸線方向高さの大きい重ね合わせ部分に伝わりやすくなり、溶接部や絶縁部の品質が悪化する可能性がある。本実施形態によれば、片側コイルエンドで各溶接部のステータコアからの軸線方向高さを同じとする等、大きく変化させずに済むので、このような不都合をいずれもなくすことができる。
【0037】
さらに、特許文献2には、導体セグメントの接合部とターン部とをそれぞれ設ける側を、径方向複数個所に配置された導体セグメントで径方向に交互に逆にすることが記載されている。このため、両側のコイルエンドのそれぞれで、ターン部と溶接部とが径方向に交互に配置されている。このような構成では、ターン部に対して溶接部から熱害を防止するため、溶接部とターン部との距離を確保する必要があり、その分だけコイルエンドのステータコアからの軸線方向高さが大きくなる可能性がある。本実施形態によれば、このような不都合をなくして、コイルエンドのステータコアからの軸線方向高さを小さくしつつ、絶縁性を十分に確保できる。
【0038】
なお、上記の実施形態の説明では溶接作業でアース電極を兼ねた溶接冶具52を用いる場合を説明したが、溶接冶具が溶接部50を形成する重ね合わせ部の単なる位置決め用である場合でも、周方向に隣り合う重ね合わせ部の間に溶接冶具を挿入しやすくなる。このため、生産性の向上を図れるとともに、溶接部の品質向上を図れる。
【0039】
図10は、比較例の第1例の回転電機ステータにおいて、図9に対応する図である。図10に示す比較例の第1例では、上記の図1〜9の実施形態において、ステータコイルである各セグメントコイル22において、径方向に離れた複数の溶接部50の配置位置を、周方向に関して同位置としている。すなわち、ステータ10の片側コイルエンド46において、複数の溶接部50が径方向である放射状に並んでいる。その他の構成は図1〜9に示した実施形態と同様である。
【0040】
このような比較例の第1例では、各セグメントコイル22において、径方向に隣り合う溶接部50が近接するため、溶接部50同士の絶縁性を向上させる面から改良の余地がある。図11は、図10の回転電機ステータにおいて、スロット12に対応する部分で切断した断面図である。図11に示すように、比較例の第1例では、片側コイルエンド46において、複数の溶接部50が径方向に並んだ状態となるので、隣り合う溶接部50同士の間隔が小さくなりやすい。このため、図11の例では、隣り合う溶接部50同士の間に絶縁紙54が配置されている。また、この絶縁紙54の配置スペースを確保するため、または絶縁紙54がない場合でも隣り合う溶接部50同士の絶縁間隔を確保するため、図11に示すように、導体セグメント28の片側コイルエンド46部分が径方向両端に近づくほど外側に膨らむように曲げ形成する必要がある。このため、片側コイルエンド46の径方向(図11の左右方向)寸法が大きくなっている。また、導体セグメント28を外側に曲げ形成する分、導体セグメント28の材料の使用量が多くなったり、加工費が増加する可能性がある。
【0041】
これに対して、上記の図1〜9に示す本実施形態によれば、このような不都合をいずれもなくすことができる。すなわち、本実施形態によれば、図11の比較例に対して、片側コイルエンド46で溶接部50同士の絶縁間隔や絶縁紙の配置スペースを確保するために外側に大きく曲げ形成する必要がなく、導体セグメント28の材料の使用量を低減できるとともに、加工費の低減を図れる。
【0042】
また、図12は、比較例の第2例の回転電機ステータにおいて、図9に対応する図である。図12に示す比較例の第2例では、上記の図1〜9の実施形態において、ステータコイルである各セグメントコイル22において、径方向に離れた複数の溶接部50の配置位置を、周方向にずらしているが、最内周側溶接部50から最外周側溶接部50に向かうにしたがって周方向片側に徐々にずらす構成を採用していない。比較例の第2例では、径方向に離れた複数の溶接部50同士で径方向片側に向かうにしたがって、周方向片側と他側とに交互にずらす千鳥配置状としている。
【0043】
このような比較例の第2例では、周方向に隣り合う溶接部50同士の間に溶接冶具を挿入することが難しい。このため、ステータ10の生産性向上及び溶接部50の品質向上の面から改良の余地がある。これに対して、本実施形態によれば、このような不都合をなくして、ステータ10の生産性向上及び溶接部50の品質向上を図れる。
【0044】
なお、本実施形態では、導体セグメント28がU字形に形成されたものに限定するものではなく、互いに複数個を接続することでコイル状に形成されるものであれば種々の形状の導体セグメントを使用できる。また、上記では、ステータがセグメントコイル巻き型の場合を説明したが、本発明はこのような構成に限定するものではなく、ステータコイルを形成する複数のコイル要素が片側コイルエンドで溶接され、複数の溶接部が径方向に離れた3個所以上の複数個所に配置されるものであれば、種々の形式のステータに適用可能である。
【符号の説明】
【0045】
10 ステータ、12 スロット、14 ステータコア、16,18,20 セグメント環状部、22 セグメントコイル、24 1周目要素、26 2周目要素、28 導体セグメント、30 直線部、32 脚部、34 ターン部、36 導体線、38 絶縁被膜、46 片側コイルエンド、48 他側コイルエンド、50 溶接部、52 溶接冶具、54 絶縁紙。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周方向複数個所に設けられたスロットを有するステータコアと、
前記ステータコアに巻装された複数のステータコイルとを備える回転電機ステータであって、
前記各ステータコイルは、前記ステータコアの軸方向片側から突出する片側コイルエンドにおいて、複数のコイル要素が径方向に離れた3個所以上の複数の溶接部で相手側の前記コイル要素と連結されることによりコイル状に形成されており、
前記複数の溶接部は、最内周側の前記溶接部から最外周側の前記溶接部に向かうにしたがって、周方向に隣り合う前記スロット同士の間隔の1/2未満ずつ周方向に徐々にずれて配置されていることを特徴とする回転電機ステータ。
【請求項2】
請求項1に記載の回転電機ステータにおいて、
前記ステータコアに分布巻きで巻装され、前記複数のステータコイルが環状に連結されることにより、複数相のセグメント環状部が形成されており、
前記各相のセグメント環状部は、
複数の前記コイル要素であるU字形の導体セグメントが前記ステータコアの前記スロットに軸方向に挿入されてから曲げ形成された後、互いに径方向に離れた前記導体セグメントの先端部同士が前記溶接部で接続され、コイル状に形成される前記ステータコイルである複数のセグメントコイルを含むことを特徴とする回転電機ステータ。
【請求項1】
周方向複数個所に設けられたスロットを有するステータコアと、
前記ステータコアに巻装された複数のステータコイルとを備える回転電機ステータであって、
前記各ステータコイルは、前記ステータコアの軸方向片側から突出する片側コイルエンドにおいて、複数のコイル要素が径方向に離れた3個所以上の複数の溶接部で相手側の前記コイル要素と連結されることによりコイル状に形成されており、
前記複数の溶接部は、最内周側の前記溶接部から最外周側の前記溶接部に向かうにしたがって、周方向に隣り合う前記スロット同士の間隔の1/2未満ずつ周方向に徐々にずれて配置されていることを特徴とする回転電機ステータ。
【請求項2】
請求項1に記載の回転電機ステータにおいて、
前記ステータコアに分布巻きで巻装され、前記複数のステータコイルが環状に連結されることにより、複数相のセグメント環状部が形成されており、
前記各相のセグメント環状部は、
複数の前記コイル要素であるU字形の導体セグメントが前記ステータコアの前記スロットに軸方向に挿入されてから曲げ形成された後、互いに径方向に離れた前記導体セグメントの先端部同士が前記溶接部で接続され、コイル状に形成される前記ステータコイルである複数のセグメントコイルを含むことを特徴とする回転電機ステータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−55732(P2013−55732A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190463(P2011−190463)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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