説明

回転電機

【課題】 回転子の位置によって、固定子と回転子との間の磁気抵抗が変化することを抑制する。
【解決手段】 固定子120を構成する複数の磁性体板121a〜121oの厚み方向が、回転子110の回転方向に沿うようにすると共に、複数の磁性体板121a〜121sの、少なくとも永久磁石115a〜115jと対向する領域が、回転子110の回転方向において略等間隔で配置されるようにした。したがって、回転子110が回転し、磁極部115、116を構成する永久磁石115a〜115jと、固定子120のコア121を構成する磁性体板121a〜121oとの位置関係が変わっても、各磁性体板121a〜121oが永久磁石115a〜115jから受ける磁束は略同じになる。よって、磁極部115、116と、固定子120のコア121との間の磁気抵抗は、回転子110の位置に関わらず、(全体として)略一定になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機に関し、特に、複数の磁性体板を用いて固定子(ステータ)を構成するために用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、周方向に配置された複数の永久磁石(磁極)を備えた回転子(ロータ)と、回転子の回転軸に沿う方向に配置された(積み重ねられた)磁性体板からなるコアと、前記コアに対して巻き回された励磁コイルとを備えた固定子(ステータ)とを有する回転電機(電動機・発電機)がある。
このような回転電機では、固定子と回転子との磁気的吸引力が、回転子の回転角度に依存して脈動するコギングが生じることが知られている。
このようなコギングを低減する技術として特許文献1に記載の技術がある。特許文献1に記載の技術では、回転子と、固定子と、コイル体とを有している。回転子は、前述したように、周方向に配置された複数の永久磁石(磁極)を備えている。また、固定子は、その内周面が回転子の外周面と対向し、当該内周面において周方向にスロット(凹部)とティース(凸部)とが交互に形成されたコアを備えている。また、コイル体は、固定子の内周面と回転子の外周面との間で固定子の内周面と対向するように、回転子の回転軸方向に巻き回された線材(磁性体)により構成されている。特許文献1では、このコイル体によって、回転電機に生じるコギングを抑制することができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−234169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、コギングを抑制するために、特別な部品を用いなければならない。また、回転子の回転角度によって、固定子と回転子との間の磁気抵抗が変化してしまうので、コギングを十分に抑制することが困難であると共に固定子における実効磁束密度を十分に確保することが困難であった。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、回転子の位置によって、固定子と回転子との間の磁気抵抗が変化することを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の回転電機は、周方向において交互に異なる極となるように配置された複数の永久磁石を有する回転子と、前記回転子を前記周方向に回転させるために、前記回転子の中心部に取り付けられた回転軸と、前記回転軸に沿う方向、又は前記回転軸と垂直な方向で前記回転子と対向する位置に配置された固定子と、を有し、前記固定子は、複数の磁性体板又は磁性体板群を備えたコアと、前記磁性体板又は磁性体板群に対して巻き回されるコイルと、を有し、前記複数の磁性体板又は磁性体板群は、その厚み方向が、前記回転子の回転方向に沿うように配置され、前記複数の磁性体板又は磁性体板群の、少なくとも前記永久磁石と対向する領域は、前記回転子の回転方向において略等間隔で配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、固定子を構成する複数の磁性体板の厚み方向が、回転子の回転方向に沿うようにすると共に、複数の磁性体板の、少なくとも永久磁石と対向する領域が、回転子の回転方向において略等間隔で配置されるようにした。したがって、回転子における磁極となる永久磁石と、固定子のコアを構成する磁性体板との位置関係が変わっても、各磁性体板が永久磁石から受ける磁束は略同じになる。よって、回転子の位置によって、固定子と回転子との間の磁気抵抗が変化することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の第1の実施形態を示し、同期モータの概略構成の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態を示し、磁極部の概略構成の一例を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態を示し、コアの概略構成の一例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態を示し、励磁コイルの概略構成の一例を示した図である。
【図5】本発明の第1の実施形態を示し、本実施形態の同期モータにおける磁束の分布の一例を概念的に示す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態を示し、従来の同期モータにおける磁束の分布の一例を概念的に示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態を示し、同期モータの概略構成の一例を示す断面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態を示し、回転子の概略構成の一例を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施形態を示し、コアの概略構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、回転電機の一例である同期モータの概略構成の一例を示す断面図である。具体的に図1は、同期モータの回転軸に沿う方向から切った断面図である。尚、以下の各図では、説明に必要な構成のみを簡略化して示す。
図1において、同期モータ100は、所謂アキシャルギャップ型の同期モータであり、回転子110と、固定子120と、回転軸130とを有し、ハウジング(フレーム)140に収められている。
【0009】
回転子110は、固定子120を間に挟むように、回転軸130に沿う方向の両側(図1では上下)に配置された2つの回転子111、112を有する。2つの回転子111、112は、それぞれ、円板113、114と、磁極部115、116とを有する。円板113、114は、鉄等の強磁性体により形成されるものであり、その中心部が回転軸130に取り付けられている(固定されている)。磁極部115、116は、それぞれ円板113、114の固定子120と対向する領域に取り付けられている(固定されている)。
【0010】
図2は、磁極部115の概略構成の一例を示す図である。具体的に図2は、固定子120が配置されている側から磁極部115を見た図である。
図2において、磁極部115は、複数の永久磁石115a〜115jを磁極として有し、全体として中空円筒形状を有している。図2に示すように、永久磁石115a、115c、115e、115g、115iの固定子120側はN極であり、永久磁石115b、115d、115f、115h、115jの固定子120側はS極である。このように磁極部115は、周方向でN極とS極とが交互に配置されている。また、回転軸130を介して径方向で相互に対向する2つの永久磁石(例えば永久磁石115a、115f)は相互に反対の極となるようにしている。
【0011】
磁極部116も図2に示した磁極部115と同じ構成を有する。ただし、固定子120を介して回転軸130に沿う方向(図1では上下方向)で相互に対向する永久磁石の固定子120側の極が相互に反対になるように、磁極部115、116を円板113、114に取り付けようとする。例えば、図2に示した永久磁石115aと固定子120を介して回転軸130に沿う方向で相互に対向する永久磁石の固定子120側の極はS極となるようにしている。
【0012】
固定子120は、コア121と、励磁コイル122とを有している。尚、固定子120は、図示しない保持部材によってハウジング140に固定されている。
図3は、コア121の概略構成の一例を示す図である。具体的に図3は、図1のA−A´方向から見たコア121及び回転軸130の断面図である。
図3において、コア121は、複数の磁性体板121a〜121oを有している。磁性体板は、例えば電磁鋼板である。ただし、磁性体板は、電磁鋼板に限定されるものではない。
【0013】
図3に示すように、複数の磁性体板121a〜121oは、その厚み方向が、回転子111、112の回転方向に沿うように、回転軸130と略一定の間隔を有して配置されている。また、図3に示すように、複数の磁性体板121a〜121oの、少なくとも磁極部115、116と対向している領域は、相互に隣接する磁性体板(例えば、磁性体板121aについては磁性体板121b、121o)の間隔が、回転子111、112の回転方向において略同じになるようにしている。
また、本実施形態では、図2、図3に示すように、磁極部115、116の径方向における外径D1と、コア121の径方向における外径D1とが略同じになるようにすると共に、磁極部115、116の径方向における内径D2と、コア121の径方向における内径D2とが略同じになるようにしている。そして、図2、図3に示すように、コア121と磁極部115、116とが、回転軸130に沿う方向で相互に対向するようにしている。
【0014】
本実施形態では、励磁コイル122を、集中巻及び分布巻の何れにすることもできる。
図4は、励磁コイル122の概略構成の一例を示した図である。具体的に図4(a)は、集中巻とした場合の励磁コイル122の概略の一例を示した図であり、図4(b)は、分布巻とした場合の励磁コイル122の概略の一例を示した図である。より具体的に図4(a)は、図3のA−A´方向から見たときの、磁性体板121a、121l〜121oに巻き回されている部分の断面を示す図であり、図4(b)は、図1のA−A´方向から見たときの、磁性体板121a〜121c、121m〜121oに巻き回されている部分の断面を示す図である。
【0015】
図4(a)に示すように、励磁コイル122を集中巻で構成する場合、複数の磁性体板121a〜121oのうち、一相分の励磁コイル122が巻き回される複数の磁性体板(図4(a)に示す例では、磁性体板121a、121l〜121o)の、回転軸130に沿う方向(図4の両矢印で示す方向)における中央部分401が、当該複数の磁性体板の真ん中にある磁性体板(図4(a)に示す例では、磁性体板121n)とわずかな隙間を残し近接するように、各磁性体板121a〜121oが加工される。このような加工により、中央部分401には窪み(スロット)ができ、この窪みの部分に一相分の励磁コイル122が巻き回される。
一方、図4(b)に示すように、励磁コイル122を分布巻で構成する場合、一相分の励磁コイル122は、回転軸130に沿う方向から見ると渦巻状になるように、磁性体板1枚1枚に巻き回される。この場合、各磁性体板の間の個々の空間がスロットとなる。
【0016】
尚、図4は、励磁コイル122を集中巻、分布巻にした場合の概略の一例を示すものであり、励磁コイル122を集中巻、分布巻にする場合の構成は、図4に示したものに限定されるものではない。また、励磁コイル122を集中巻にした場合、励磁コイル122を流れる励磁電流の波形は矩形波になる。一方、励磁コイル122を分布巻にした場合、励磁コイル122を流れる励磁電流の波形は正弦波になる。したがって、励磁コイル122を集中巻にした方が、インバータによる励磁電流の生成が容易になる。
【0017】
次に、以上のようにして構成される本実施形態の同期モータ100と、従来のように、回転子の回転軸に沿う方向に磁性体板を並べて構成された固定子鉄心を有する同期モータとの相違について説明する。
図5は、本実施形態の同期モータにおける磁束の分布の一例を概念的に示す図である。また、図6は、従来の同期モータにおける磁束の分布の一例を概念的に示す図である。図5及び図6は、同期モータを回転軸に沿う方向で切って展開した様子を示している。図5及び図6の両矢印は、同期モータの周方向を表している。
【0018】
図5において、磁極部501、502は、円板504、505の、固定子のコア503と対向する領域に取り付けられている。磁極部501、502、固定子のコア503、円板504、505は、それぞれ図1に示した磁極部115、116、コア121、円板113、114に対応するものである。また、図6においても、磁極部601、602は、円板604、605の、固定子のコア603と対向する領域に取り付けられている。尚、図5及び図6は、固定子のコアを構成する磁性体板の向き以外は同じものである。
【0019】
前述したように本実施形態の同期モータ100では、コア503を構成する各磁性体板の厚み方向が、回転子の回転方向(周方向(図5の両矢印の方向))に沿うようにしている(図5を参照)。このようにすることによって、回転子が回転し、磁極部501、502を構成する永久磁石と、固定子のコア503を構成する磁性体板との位置関係が変わっても、コア503全体としてみれば、各磁性板における磁束の分布は、略同じになる(図5(a)、図5(b)を参照)。すなわち、本実施形態では、固定子のコア503を構成する各磁性体板の板厚面が、複数の永久磁石と対向することは殆どないので、各磁性体板が永久磁石から受ける磁束は略同じになる。したがって、磁極部501、502と、固定子のコア503との間の磁気抵抗は、回転子の回転位置(永久磁石と磁性体板との位置関係)に関わらず、(全体として)略一定になる。
【0020】
これに対し、図6に示す従来の同期モータ100では、コア503を構成する各磁性体板の厚み方向が、回転子の回転方向(周方向(図6の両矢印の方向))と垂直な方向(回転軸の方向)に沿うようにしている。したがって、回転子が回転し、磁極部601、602を構成する永久磁石と、固定子のコア603を構成する磁性体板との位置関係が変わると、磁性体板における磁束の分布は、永久磁石と磁性体板との位置関係によって異なる(図6(a)、図6(b)を参照)。すなわち、従来では、固定子のコア603を構成する各磁性体板の板厚面が、図6(a)に示すように、1つの永久磁石と対向する場合や、図6(b)に示すように、(相互に異なる極である)2つの永久磁石と対向する場合があり、しかも、磁性体板と永久磁石との位置関係によって、各磁性体板と対向する2つの永久磁石の割合が変わる。よって、各磁性体板が永久磁石から受ける磁束は、磁性体板と永久磁石との位置関係によって異なることになる。したがって、磁極部601、602と、固定子のコア603との間の磁気抵抗は、回転子の位置(永久磁石と磁性体板との位置関係)によって変動する。
【0021】
以上のように本実施形態では、固定子120を構成する複数の磁性体板121a〜121oの厚み方向が、回転子110の回転方向に沿うようにすると共に、複数の磁性体板121a〜121oの、少なくとも永久磁石115a〜115jと対向する領域が、回転子110の回転方向において略等間隔で配置されるようにした。したがって、回転子110が回転し、永久磁石115a〜115jと、磁性体板121a〜121oとの位置関係が変わっても、各磁性体板121a〜121oが永久磁石115a〜115jから受ける磁束は略同じになる。よって、磁極部115、116と、固定子120のコア121との間の磁気抵抗は、回転子110の回転位置に関わらず、(全体として)略一定になる。よって、特別な部品を用いなくても、コギングを十分に抑制することができる。また、永久磁石115a〜115jからの磁束の殆どを磁性体板121a〜121oに通すことができるので、固定子120における実効磁束密度を増加させることができ、同期モータ(回転電機)の小型化、高出力化を実現することができる。また、励磁コイル122を集中巻にすれば、インバータによる励磁電流の生成が容易になるので、回転子110の回転制御を容易にすることができる。
【0022】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。前述した第1の実施形態では、所謂アキシャルギャップ型の同期モータを例に挙げて説明した。これに対し、本実施形態では、所謂ラジアルギャップ型の同期モータを例に挙げて説明する。このように本実施形態と第1の実施形態とは、適用対象となる同期モータが異なるだけであるので、本実施形態の説明において、第1の実施形態と同一の部分については、図1〜図6に付した符号と同一の符号を付す等して詳細な説明を省略する。
【0023】
図7は、回転電機の一例である同期モータの概略構成の一例を示す断面図である。具体的に図7は、同期モータの回転軸に沿う方向から切った断面図である。
図7において、同期モータ700は、前述したように所謂ラジアルギャップ型の同期モータであり、回転子710と、固定子720と、回転軸130とを有し、ハウジング(フレーム)140に収められている。
【0024】
回転子710は、その中心が回転軸130に取り付けられている(固定されている)。図8は、回転子710の概略構成の一例を示す図である。具体的に図8(a)は、回転子710の外観図であり、図8(b)は、図8(a)のA−A´方向から見た断面図である。
図8において、回転子710は、回転軸130と同軸で配置された円筒形の鉄心712と、円筒形の鉄心712の表面の相対的に上側に配置された磁極部710aと、相対的に下側に配置された磁極部710bとを有する。
【0025】
磁極部710aは、複数の永久磁石711a〜711jを磁極として有する。これらの永久磁石711a〜711jのうち、永久磁石711a、711c、711e、711g、711iの固定子720側はS極であり、永久磁石711b、711d、711f、711h、711jの固定子720側はN極である。このように磁極部710aは、周方向でN極とS極とが交互に配置されている。
磁極部710bも、磁極部710aと同数の永久磁石を磁極として有し、その構成は磁極部710aと同じである。磁極部710bも、磁極部710aと同様に、周方向でN極とS極とが交互に配置されている。ただし、回転軸130に沿う方向で相互に対向する2つの永久磁石(例えば永久磁石711g、711k)は相互に反対の極となるようにしている。尚、図8では、磁極部710bが備える磁極として、6個の永久磁石711k〜711pしか示していないが、磁極部710bは、合計で10個の永久磁石を有する。
【0026】
固定子720は、コア721と、励磁コイル722とを有している。尚、固定子720は、図示しない保持部材によってハウジング140に固定されている。
図9は、コア721の概略構成の一例を示す図である。具体的に図9(a)は、図7のA−A´方向から見たコア721及び回転軸130の断面図であり、図9(b)、図9(c)は、それぞれ図9(a)のA−A´、B−B´方向から見た磁性体板721m、721eの断面図である。
【0027】
図9において、コア721は、複数の磁性体板721a〜721oを有している。磁性体板は、例えば電磁鋼板である。ただし、磁性体板は、電磁鋼板に限定されるものではない。
図9に示すように、複数の磁性体板721a〜721oは、その厚み方向が、回転子710の回転方向に沿うように、回転軸130と略一定の間隔を有して配置されている。また、図9(a)に示すように、複数の磁性体板721a〜721oの、少なくとも磁極部710a、710bと対向している領域は、相互に隣接する磁性体板(例えば、磁性体板721aについては磁性体板721b、721o)の間隔が、回転子710の回転方向において略同じになるようにしている。
【0028】
また、本実施形態では、図9(b)、図9(c)に示すように、磁性体板721a〜721oの板面形状は、凹形状であり、磁性体板721a〜721oの、回転子710と対向する側の面において、回転軸130に沿う方向(図7では上下方向)における中央部分901、902が窪んでいる。これら磁性体板721a〜721oの両端部で張り出している領域の、回転軸130に沿う方向における長さD4は、永久磁石711a〜711jの、回転軸130に沿う方向における長さD4と略同じである。そして、磁性体板721a〜721oの、両端部で張り出している領域と、永久磁石711a〜711jとが、回転軸130と垂直な方向で相互に対向するようにしている。磁性体板721a〜721oの、両端部で張り出している領域と、磁極部710a、710bとの間で磁束の受け渡しが行われる。図8、図9では、スペースの都合上、上側に配置される永久磁石と、下側に配置される永久磁石との間の距離と、磁性体板721a〜721oの両端部で張り出している領域の間の距離とが異なっているが、実際にはこれらの距離は同じである。
【0029】
尚、コア721の内周側と回転子710の外周側とを相互に対向させるようにするために、コア721の径方向における内径D5は、回転子710の径方向における外径D3よりも大きくなるようにすることは勿論である。
また、本実施形態でも、第1の実施形態と同様に、励磁コイル722を、集中巻及び分布巻の何れにすることもできる。励磁コイル722を集中巻にする場合には、例えば、第1の実施形態と同様に、一相分の励磁コイル722が巻き回される複数の磁性体板の、回転軸130に沿う方向における中央部分が、当該複数の磁性体板の真ん中にある磁性体板と重なるように、各磁性体板721a〜721oを加工すればよい。
【0030】
以上のように所謂ラジアルギャップ型の同期モータとしても、前述した第1の実施形態で説明したのと同様の効果を得ることができる。
尚、前述した各実施形態では、回転電機の一例として同期モータを挙げたが、その他の回転電機(例えば、同期発電機)であっても同様に前述した各実施形態を適用することができる。また、前述した各実施形態では、15の磁性体板を周方向に略等間隔で配置する場合を例に挙げて説明したが、複数の磁性体板を周方向に略等間隔で配置していれば、磁性体板の数は、15に限定されない。また、磁性体板の数は、コイルの配置スペース等の制約を満たす範囲で可及的に多いのが(例えば、5以上であるのが)好ましい。さらに、前述した各実施形態では、磁性体板を1つずつ略等間隔で配置する場合を例に挙げて説明したが、複数枚積層した磁性体板群を略等間隔で配置するようにしてもよい。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0031】
100、700 同期モータ
110、710 回転子
111 上側の回転子
112 下側の回転子
113、114 円板
115、116、711 磁極部
115a〜115j、711a〜711p 永久磁石
120、720 固定子
121、721 コア
121a〜121o、721a〜721o 磁性体板
122、722 励磁コイル
130 モータ
140 ハウジング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周方向において交互に異なる極となるように配置された複数の永久磁石を有する回転子と、
前記回転子を前記周方向に回転させるために、前記回転子の中心部に取り付けられた回転軸と、
前記回転軸に沿う方向、又は前記回転軸と垂直な方向で前記回転子と対向する位置に配置された固定子と、を有し、
前記固定子は、複数の磁性体板又は磁性体板群を備えたコアと、前記磁性体板又は磁性体板群に対して巻き回されるコイルと、を有し、
前記複数の磁性体板又は磁性体板群は、その厚み方向が、前記回転子の回転方向に沿うように配置され、
前記複数の磁性体板又は磁性体板群の、少なくとも前記永久磁石と対向する領域は、前記回転子の回転方向において略等間隔で配置されていることを特徴とする回転電機。
【請求項2】
前記複数の磁性体板又は磁性体板群の数は、5以上であることを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記回転子は、前記周方向において交互に異なる極となるように配置された複数の永久磁石を備える磁極部を2つ有し、
前記磁性体板の、前記永久磁石と対向する領域は、前記回転子の回転位置に関わらず、前記2つの磁極部が備える永久磁石の1つと相互に対向することを特徴とする請求項1又は2に記載の回転電機。
【請求項4】
前記コイルは、集中巻で構成され、
前記コイルに流れる励磁電流は、矩形波であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の回転電機。
【請求項5】
前記コイルは、分布巻で構成され、
前記コイルに流れる励磁電流は、正弦波であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の回転電機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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