説明

団子製造機

【課題】団子製造機において、成形通路の出口から成形状態で吐出される団子同士がくっつくことを防止して、団子の分離作業を省略できるようにする。
【解決手段】玉単位に分割された団子生地に丸みをつける丸目成形部9が、円柱状に形成されてその中心軸O1を中心に回転可能とされた丸目ロール17と、丸目ロール17の下側に配されて丸目ロール17の外周面17aの周方向の一部に対向する内周面を有する丸目ロール受け19とを備え、これら丸目ロール17と丸目ロール受け19との間に、丸目ロール17の回転に基づいて玉単位の団子生地を前記外周面17aの周方向に転がしながら丸みをつけるように通過させる成形通路を形成してなり、さらに、成形通路が中心軸O1に沿って複数配列されている団子製造機において、相互に隣り合う成形通路の出口25bを前記周方向にずらして配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、米や小麦粉等からなる団子生地を球状の団子に成形する団子製造機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、米や小麦粉等からなる団子を自動で製造する団子製造機には、例えば特許文献1のように、外周面に溝を形成した円柱状の丸目ロール(仕上げロール)と、丸目ロールの下側に配されて溝に対応する受け溝が形成された丸目ロール受けとが設けられている。ロール受けは丸目ロールの下側の周面を覆うように配されており、これら溝及び受け溝によって団子を通過させる成形通路が形成される。
この団子製造機において製造する際には、丸目ロールを回転させた状態で成形通路の一端側の入口から所定の大きさの団子生地を投入すると、団子生地は丸目ロールの回転によって成形通路の入口側から出口側に送られると共に、成形通路内で転がりながら団子の形状に成形される。そして、この団子は、成形通路の出口から吐出されて、ベルトコンベヤ等の所定の搬送路上に落下して搬送される。
なお、この種の団子製造機においては、団子の製造効率を向上させるために、成形通路が丸目ロールの軸方向に複数隣接して配列されている。そして、これら複数の成形通路の入口には団子生地が同時に投入され、複数の成形通路の出口からは団子生地に丸目をつけた団子が同時に吐出される。
【特許文献1】特開2004−248557号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、成形通路の出口から吐出された直後の団子は、互いにくっつきやすい性質を有している。しかしながら、上記従来の団子製造機においては、団子が複数の成形通路の出口から同時に吐出されるため、この吐出の際に団子同士がくっついてしまう、という問題がある。なお、成形通路の出口から吐出された団子が搬送路上でくっついている場合には、これら団子を手作業によって分離する必要があり面倒である。
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、成形された団子を互いに分離した状態で成形通路の出口から吐出させて、分離作業が不要となる団子製造機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の団子製造機は、団子生地を生地ホッパーから押し出す生地押出部と、該生地押出部から押し出された団子生地を挟み込んで玉単位に分割する生地切断部と、玉単位に分割された団子生地に丸みをつける丸目成形部とを備え、前記丸目成形部が、円柱状に形成されてその中心軸を中心に回転可能とされた丸目ロールと、当該丸目ロールの下側に配されて前記丸目ロールの外周面の周方向の一部に対向する内周面を有する丸目ロール受けとを備え、これら丸目ロールと丸目ロール受けとの間に、前記丸目ロールの回転に基づいて前記玉単位の団子生地を前記外周面の周方向に転がしながら丸みをつけるように通過させる成形通路を形成してなり、さらに、前記成形通路が前記中心軸に沿って複数配列されている団子製造機であって、相互に隣り合う前記成形通路の出口が、前記周方向にずれて位置することを特徴とする。
なお、この団子製造機においては、丸目ロール受けのうち、丸目ロールの回転方向後方側が、玉単位に分割された団子生地(玉単位生地)を投入する成形通路の入口をなし、丸目ロールの回転方向前方側が丸みのついた団子を吐出する出口をなしている。
【0005】
この発明に係る団子製造機においては、丸目ロールを回転させた状態で玉単位生地を成形通路の入口に投入すると、玉単位生地が回転する丸目ロールと、静止している丸目ロール受けとの間で転がることで団子に成形され、これと同時に成形通路の入口から出口に向けて送られる。そして、成形された団子が成形通路の出口から吐出される。
ここで、複数の成形通路の入口には複数の玉単位生地が同時に投入されるが、相互に隣り合う成形通路の出口は丸目ロールの周方向にずれて配置されているため、隣り合う成形通路の出口からは団子が同時に吐出されない。したがって、隣り合う成形通路の出口から吐出される団子同士がくっつくことを防止することができる。
【0006】
また、前記団子製造機においては、前記成形通路が、前記丸目ロールの外周面にその周方向にわたって形成される溝と、前記溝に対向するように前記丸目ロール受けの内周面にその周方向にわたって形成される受け溝とによって構成され、各成形通路の出口をなす丸目ロール受けの端面が、当該丸目ロール受けの内周面からその径方向外側に向かうにしたがい、水平面に対して鉛直方向下方側に傾斜していることが好ましい。
【0007】
この場合、各成形通路の出口においては、受け溝の内面のうち団子の底部を支える底面部分の端部が鉛直方向で最も低く位置し、受け溝の内面のうち団子の側部を支える側面部分の端部が底面部分よりも高く位置することになる。
このため、各成形通路の出口に到達した団子は、底面部分の端部を越えると、丸目ロールの外周面から径方向外側に離間していく。ここで、受け溝の側面部分の端部は底面部分の端部よりも鉛直方向に高く延びているため、この離間の際にも団子の側部は受け溝の側面部分に接触している。したがって、団子が各成形通路の出口から吐出される際に、相互に隣り合う成形通路から吐出する団子がくっついてしまうことを確実に防止できる。
【0008】
さらに、前記団子製造機においては、前記中心軸に沿う前記丸目ロールの外周面の幅方向中央部分に位置する一の成形通路の出口が、前記丸目ロールの回転方向の最も後方側に位置し、幅方向の中央部分から両端側に向かうにしたがって、成形通路の出口が前記丸目ロールの回転方向前方側にずれて位置していてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、隣り合う成形通路の出口から吐出される団子同士がくっつくことを防止できるため、吐出された団子の分離作業が不要となり、結果として、団子を容易に製造することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図1〜3を参照して本発明の一実施形態に係る団子製造機について説明する。図1に示すように、団子製造機1は、団子Dの材料である米や小麦粉等の団子生地を収容する生地ホッパー3と、生地ホッパー3からその下方に団子生地を押し出す生地押出部5と、生地押出部5から押し出された団子生地を玉単位に分割する生地切断部7と、玉単位に分割された団子生地(以下、玉単位生地と呼ぶ)に丸みをつけて団子Dに成形する丸目成形部9と、を備えている。これら生地ホッパー3、生地押出部5、生地切断部7及び丸目成形部9は同一の筐体11に固定されている。
【0011】
生地押出部5は、生地ホッパー3に収容された団子生地を板状に形を整えながら下方に送り出す一対の生地ロール13,13を備えており、これら生地ロール13,13は互いに反対方向に回転可能とされている。また、団子製造機1には、これら一対の生地ロール13,13の隙間を調整する不図示の調整機構が設けられており、一対の生地ロール13,13の隙間を調整することで団子生地の板厚を調整することが可能とされている。そして、この団子生地の板厚を調整することで製造される団子Dの大きさを調整することができる。
【0012】
生地切断部7は、一対の切断用ロール15,15によって構成されており、これら切断用ロール15,15はこれらの外周部を互いにつき合わせた状態で相互に反対方向に回転可能とされている。切断用ロール15,15には、板状とされた団子生地をその厚さ方向に挟み込んで、切断用ロール15,15の回転軸方向に団子Dを玉単位に切断・分離する溝(不図示)が形成されている。
【0013】
丸目成形部9は、図2,3に示すように、円柱状に形成されてその中心軸O1を中心に一方向(B方向)に回転可能とされた丸目ロール17と、この丸目ロール17の下側に配された丸目ロール受け19とを備えている。
丸目ロール17の外周面17aには、その周方向にわたって延びる凹面状の溝21が形成されており、この溝21は丸目ロール17の中心軸O1に沿って複数(図示例では5つ)配列されている。なお、この丸目ロール17や、前述した生地ロール13,13及び切断用ロール15,15は、ギヤ等の不図示の伝達機構を介して不図示のモータに連結されており、このモータの駆動力によって回転されるようになっている。そして、モータの動作は、制御部20によって制御される。これら伝達機構、モータ及び制御部20は筐体11内部に配されている。
【0014】
丸目ロール受け19は、丸目ロール17の外周面17aの周方向の一部に対向する内周面19aを有しており、この内周面19aには、丸目ロール17の各溝21にそれぞれ対向するように、内周面19aの周方向にわたって延びる受け溝23が複数(図示例では5つ)形成されている。
これら溝21及び受け溝23によって、断面略円形状に形成されて玉単位生地を通過させる団子Dの成形通路25が構成されており、複数の成形通路25は中心軸O1に沿って配列されている。
【0015】
そして、丸目ロール受け19のうち、丸目ロール17の回転方向(B方向)後方側は玉単位生地を投入する成形通路25の入口25aを構成しており、また、丸目ロール17の回転方向後方側は玉単位生地から成形され団子Dを吐出する成形通路25の出口25bを構成している。ここで、複数の成形通路25の入口25aは中心軸O1に沿って一列に配列されているが、相互に隣り合う成形通路25の出口25bは丸目ロール17の周方向にずれて位置している。
なお、本実施形態においては、中心軸O1に沿う丸目ロール17の外周面17aの幅方向中央部分に位置する成形通路25の出口25bが、丸目ロール17の回転方向の最も後方側に位置し、幅方向の中央部分から両端側に向かうにしたがい、複数の成形通路25の出口25bが丸目ロール17の回転方向前方側にずれて位置している。具体的には、図2に示すように、複数の成形通路25の出口25bをなす丸目ロール受け19の端面19bが段差形状に形成されている。
【0016】
さらに、図3に示すように、各成形通路25の出口25bをなす丸目ロール受け19の端面19bは、丸目ロール受け19の内周面19aからその径方向外側に向かうにしたがい、水平面(XY平面)に対して鉛直方向(Z方向)下方側に傾斜している。
このように構成することで、各成形通路25の出口25bにおいては、受け溝23の内面23aのうち団子Dの底部を支える底面部分の端部が鉛直方向で最も低く位置し、受け溝23の内面23aのうち団子Dの側部を支える側面部分の端部が底面部分よりも高く位置することになる。
【0017】
また、図1に示すように、団子製造機1は、成形通路25の出口25bから吐出・落下した団子Dを搬送するベルトコンベヤ(搬送路)31を備えている。
ベルトコンベヤ31は、複数のプーリ31aにベルト状に形成された無端ベルト31bを巻回して構成されている。このベルトコンベヤ31では、不図示のモータによって複数のプーリ31aの少なくとも1つを回転駆動させることで、無端ベルト31b上に載せた団子Dを成形通路25の出口25bから離間する方向に搬送することができる。ベルトコンベヤ31を駆動するモータは、筐体11内部に配された制御部20によって制御されてもよいが、別個の制御部によって制御されるとしてもよい。
さらに、団子製造機1には、成形通路25の出口25bから無端ベルト31b上まで落下する団子Dが無端ベルト31bの幅方向端部から外れて落ちてしまうことを防止する遮蔽板33と、成形通路25の出口25bと無端ベルト31bとの隙間から落ちてしまうことを防止する傾斜案内板35とを備えている。
【0018】
以上のように構成された団子製造機1においては、丸目ロール17をB方向に回転させた状態で玉単位生地を成形通路25の入口25aに投入すると、玉単位生地が回転する丸目ロール17の外周面17aと静止している丸目ロール受け19の内周面19aとの間で転がることで丸みがつけられ、団子Dに成形される。また、玉単位生地は団子Dに成形されながら転がって成形通路25の出口25bに向けて送られる。そして、成形された団子Dが成形通路25の出口25bから無端ベルト31b上に吐出される。
ここで、複数の成形通路25の入口25aは中心軸O1に沿って一列に配列されているため、複数の玉単位生地が複数の成形通路25の入口25aに同時に投入される。これに対し、相互に隣り合う成形通路25の出口25bは丸目ロール17の周方向にずれて配置されているため、隣り合う成形通路25の出口25bからは団子Dが同時に吐出されない。
【0019】
この実施形態においては、丸目ロール17の幅方向両端に位置する成形通路25の出口25bから団子Dが吐出された後に、両端よりも内側に位置する成形通路25の出口25bから団子Dが吐出され、最後に、幅方向中央部分に位置する成形通路25の出口25bから団子Dが吐出される。また、各成形通路25の出口25bに到達した団子Dは、受け溝23の底面部分の端部を越えることで、丸目ロール17の外周面17aから径方向外側に離間していく。ここで、受け溝23の側面部分の端部は底面部分の端部よりも鉛直方向に高く位置しているため、この離間の際にも団子Dの側部は受け溝23の側面部分に接触している。
以上のように、成形通路25の出口25bから吐出された団子Dは、無端ベルト31b上に落下して成形通路25の出口25bから離間する方向に搬送される。
【0020】
上述したように、この団子製造機1によれば、相互に隣り合う成形通路25の出口25bから団子Dが同時に吐出されないため、これら団子D同士がくっつくことを防止することができる。したがって、無端ベルト31b上に吐出された団子Dの分離作業が不要となり、結果として、団子Dを容易に製造することが可能となる。
特に、各成形通路25の出口25bにおいて、団子Dが丸目ロール17の外周面17aから径方向外側に離間する際には、団子Dの側部が受け溝23の側面部分に接触しているため、団子Dが各成形通路25の出口25bから吐出される際に、相互に隣り合う成形通路25から吐出する団子Dがくっついてしまうことを確実に防止できる。
【0021】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、複数の成形通路25の出口25bは、上記実施形態のような配列に限らず、少なくとも相互に隣り合う成形通路25の出口25bは丸目ロール17の周方向にずれて位置していればよい。したがって、例えば丸目ロール17の幅方向の一端に位置する成形通路25の出口25bが、丸目ロール17の回転方向の最も後方側に位置し、幅方向の一端から他端に向かうにしたがい、複数の成形通路25の出口25bが丸目ロール17の回転方向前方側にずれて位置していてもよい。
この場合には、丸目ロール17の幅方向の一端に位置する一の成形通路25の出口25bから団子Dが吐出された後に、一の成形通路25から幅方向の他端側に隣り合う成形通路25の出口25bから団子Dが吐出される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の一実施形態に係る団子製造機を示す概略側面図である。
【図2】図1の団子製造機において、丸目成形部を成形通路の出口側から見た概略正面図である。
【図3】図2のA−A矢視断面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 団子製造機
3 生地ホッパー
5 生地押出部
7 生地切断部
9 丸目成形部
17 丸目ロール
17a 外周面
19 丸目ロール受け
19a 内周面
19b 端面
21 溝
23 受け溝
25 成形通路
25b 出口
D 団子
O1 中心軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
団子生地を生地ホッパーから押し出す生地押出部と、該生地押出部から押し出された団子生地を挟み込んで玉単位に分割する生地切断部と、玉単位に分割された団子生地に丸みをつける丸目成形部とを備え、
前記丸目成形部が、円柱状に形成されてその中心軸を中心に回転可能とされた丸目ロールと、当該丸目ロールの下側に配されて前記丸目ロールの外周面の周方向の一部に対向する内周面を有する丸目ロール受けとを備え、これら丸目ロールと丸目ロール受けとの間に、前記丸目ロールの回転に基づいて前記玉単位の団子生地を前記外周面の周方向に転がしながら丸みをつけるように通過させる成形通路を形成してなり、
さらに、前記成形通路が前記中心軸に沿って複数配列されている団子製造機であって、
相互に隣り合う前記成形通路の出口が、前記周方向にずれて位置することを特徴とする団子製造機。
【請求項2】
前記成形通路が、前記丸目ロールの外周面にその周方向にわたって形成される溝と、前記溝に対向するように前記丸目ロール受けの内周面にその周方向にわたって形成される受け溝とによって構成され、
各成形通路の出口をなす丸目ロール受けの端面が、当該丸目ロール受けの内周面からその径方向外側に向かうにしたがい、水平面に対して鉛直方向下方側に傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の団子製造機。
【請求項3】
前記中心軸に沿う前記丸目ロールの外周面の幅方向中央部分に位置する一の成形通路の出口が、前記丸目ロールの回転方向の最も後方側に位置し、
幅方向の中央部分から両端側に向かうにしたがって、成形通路の出口が前記丸目ロールの回転方向前方側にずれて位置していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の団子製造機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−136198(P2009−136198A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−315119(P2007−315119)
【出願日】平成19年12月5日(2007.12.5)
【出願人】(591047394)株式会社飯田製作所 (5)
【Fターム(参考)】