説明

図形情報の印刷を制御する方法および装置

図形情報と符号化パターンとを組み合わせた印刷を制御する方法であって、図形情報と符号化パターンとが別々のインクで印刷され、符号化パターンが、CMYK色空間のK成分に対応する黒インクを用いて印刷され、図形情報が、CMY成分に対応する色インクを用いて印刷される方法において、図形情報のRGB色空間での表現を受け取ることと、図形情報の表現を変換することを含み、表現が、図形情報を構成する一組の要素を含み、各要素が、当該要素の色を共同で表現するR成分値、G成分値、およびB成分値を含むものであり、変換が、R成分値、G成分値、およびB成分値を、図形情報の印刷時にプリンタによって黒インクが色インクに混入されることになる領域外のある範囲の値にマッピングするものである方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して図形情報と符号化パターンとを組み合わせた印刷に関し、特に図形情報を印刷する際にプリンタによって用いられる色を制御(コントロール)する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
符号化パターンを用いて、1枚の紙や書込み板(ライティング・ボード)などのような受動的な基部(ベース)に、何らかの情報を埋め込むことが知られている。そして、好適にプログラムされたスキャナ、ファクシミリ、カメラ、または電子ペンのようなパターン読取装置は、基部に局所的に埋め込まれた情報を、読み取り、再現し、利用することができる。例えば、基部上の図形情報を、基部の機能性を拡張する埋め込み情報で補うことができる。そのような埋め込み情報は、図形情報の全部または一部を再現するためのファイルデータ、命令、補足的なテキストまたは画像、ハイパーリンク、絶対位置などを含み得る。また、符号化パターンは、基部上で書込みに用いられる際に、電子ペンの一連の位置を記録するための位置符号も提供し得る。従って、電子ペンでなされた書込みをデジタル的に取り込むことも可能であり、それにより、書込みをモニタに表示したり、コンピュータネットワークを介して書込みを送信したりというように、書込みをさらに処理することができる。
【0003】
一般に、符号化パターンは、基部上において規則的に間隔をあけて配置された何らかの形式の機械可読コード記号に基づいて構成される。そのような符号化パターンの例が、米国特許第5,221,833号明細書、米国特許第5,477,012号明細書、国際公開第00/73983号、国際公開第01/26032号、国際公開第01/71643号、および米国特許第6,330,976号明細書で述べられている。
【0004】
多くの場合、符号化パターンを有する基部は、グラフィック産業で大規模かつ高精度に生成することができる。しかし、符号化パターンを有する基部を小規模に作成するのが望ましい場合もある。これは、例えばインクジェット方式またはレーザ方式のコンピュータ用プリンタが接続されたパーソナルコンピュータを用いて行うことができる。
【0005】
上記のように、図形情報および符号化パターンの両方が基部に印刷され得る。その際、パターン読取装置が符号化パターンを正しく復号できるように、図形情報が符号化パターンの邪魔をしないことが重要である。図形情報が符号化パターンの邪魔をしないようにする方法の1つは、赤外光を吸収するインクを符号化パターンの印刷に用いることである。その場合、パターン読取装置は、符号化パターンを照明する赤外光源を備え、パターン読取装置によって取り込まれた基部の画像中の符号化パターンを強調することが可能である。
【0006】
書類を印刷する時は、印刷機によって大規模に行うかコンピュータ用プリンタによって小規模に行うかによらず、典型的には4つの異なるインクが用いられる。色は、CMYK色空間を用いて定義され得る。CMYK色空間は、その4つの成分にちなんで名付けられており、Cはシアン、Mはマゼンタ、Yはイエロー、そしてKは黒で、キー色の意味もある。各成分の値が、当該色を得るために用いられる各インクの量を指定する。CMY成分に対応する色インクが用いられ、各インクを適切な量だけ組み合わせて基部上で対応する波長を吸収することによって、基部上で異なる色が作成される。従って、CMY成分に対応するすべての色インクを大量かつ等量だけ加えれば、理論的には基部上に黒が形成されるはずである。しかし、インクの不完全性のために、CMY成分に対応するすべての色インクを大量に組み合わせると、くすんだ茶色が生成される。そのため、4番目の、CMYK色空間でK成分で表される黒インクが、基部上で黒を形成するために用いられる。
【0007】
黒インクは、炭素系であり、赤外光を吸収する。国際公開第01/48591号では、通常の黒色の炭素系印刷インクを符号化パターンの印刷に用いることで、符号化パターンを赤外照明下ではっきりと見られるようになることが提案されている。色インクは赤外光を吸収しないので、符号化パターンを赤外照明下で見れば、色インクが符号化パターンの邪魔をすることはない。従って、色インクは、符号化パターンに重ねられる図形情報の印刷に用いられ得る。
【0008】
黒インクを図形情報の印刷に用いると符号化パターンが邪魔されるおそれがある。そのため、黒インクを図形情報の印刷に用いないことが重要である。これは、図形情報の色のCMYK表現で、K成分を強制的にゼロにすることによって達成され得る。そうすれば、図形情報の印刷は、色インクのみを用いて行われ得る。従って、図形情報の印刷において、色インクがより多く使用される必要がある。
【0009】
しかしながら、図形情報は、必ずしもCMYK色空間で表現されるとは限らない。画像はしばしば、赤、緑、青の成分を用いてRGB色空間で表現される。RGB色空間は、典型的には、コンピュータモニタで、色を形成するために放射されるべき光の波長を決定するために用いられる。これは、吸収されるべき光の波長が代わりに決定されるCMYK色空間とは対照的である。従って、RGB色空間で表現された画像を印刷する場合、画像を印刷する前に画像をCMYK色空間に変換(色空間変換)する必要がある。
【0010】
RGB色空間からCMYK色空間への変換(色空間変換)では、用いられることになるCMYK成分に対応する異なるインクの量の正確な配分が、正確に予測されないことがある。それは、印刷を行うのに用いられるプリンタの種類に依存するかもしれない。例えば、たいていのプリンタは、たとえ黒を印刷しない場合であっても、インクを節約するために、K成分に対応する黒インクをいくらか、色に混ぜようとする。K成分は、同量のCMY成分に対応する。そのため、K成分は、出力色を歪ませることなしに、印刷される各色について、多くてC成分、M成分、およびY成分の最小値に対応する量と、置き換わる場合がある。
【0011】
上述したように、図形情報を印刷して符号化パターンと組み合わせる際は、K成分を使用しないことが望ましい場合がある。従って、K成分が使用されないようにするために対策を講じる必要がある。K成分を制御する可能性は、印刷工程のどの段階で制御を適用し得るかに依存するかもしれない。例えば、オフセット印刷では、インクの使用方法を正確に制御する可能性が高く、K成分に対応するインクを使用不可にしながら、図形情報を印刷し得る。一方、コンピュータ用プリンタは、インクを節約するために、可能な場合はいつでもK成分に対応する黒インクを混入するための内部制御命令を、有する場合がある。このような状況では、図形情報を印刷する際に黒インクの使用を完全に回避するのは困難かもしれない。たとえ印刷される画像が、K成分がゼロに設定されてプリンタに渡されたとしても、印刷時にプリンタ自体がK成分に対応する黒インクを導入するかもしれない。
【0012】
従って、ある状況においては、K成分に対応する黒インクが使用されるのを回避するために、符号化パターンと組み合わせて印刷される図形情報を操作する必要がある。こうすれば、図形情報が符号化パターンの邪魔をすることがないため、符号化パターンを黒インクで印刷して、符号化パターンが赤外照明下ではっきり見えるようにすることができる。
【0013】
国際公開第2005/025201号では、印刷された図形情報が符号化パターンを邪魔するのを回避するプリンタが示されている。このプリンタには、肉眼では見えるが赤外波長における吸収が非常に低い黒インクが備えられている。さらに、プリンタには、符号化パターンを印刷するための別の黒インクも備えられており、この黒インクは赤外照明を吸収する。従って、プリンタは、符号化パターンの印刷と図形情報の印刷とにそれぞれ排他的に使用される2つの黒インクを用いる。これは、図形情報が符号化パターンの邪魔をしない、ということを意味する。なぜならば、図形情報は、もっぱら赤外波長における吸収が非常に低いインクのみで印刷されるからである。しかしながら、この手法では、プリンタが2つの黒インクを用いる必要がある。従って、符号化パターンを印刷するように適合させられた特殊なプリンタが必要である。
【0014】
米国特許出願公開第2008/0141878号明細書では、CMYK表現を操作する方法が提供されている。この方法によれば、黒色が用いられるような変換(色空間変換)がプリンタ内で行われなくするように、C値、M値、およびY値が変更される。
【0015】
しかしながら、GDI(グラフィックス・デバイス・インターフェース)プリンタのように、いくつかのプリンタインターフェースは、画像のRGB表現に基づいている。これは、プリンタに対する印刷命令が画像のRGB表現を用いて与えられる必要がある、ということを意味する。従って、CMYK表現の操作をプリンタで行う必要が生じてしまう。このため、符号化パターンの印刷を扱えるようにプリンタ製造業者がプリンタを構成する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】国際公開第2005/025201号
【特許文献2】米国特許出願公開第2008/0141878号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、図形情報を符号化パターンと共に全体として印刷され得るようにすることであり、符号化パターンは、K成分に対応する黒インクを用いて印刷され、図形情報は、CMY成分に対応する色インクのみを用いて印刷される。本発明の具体的な目的は、K成分に対応する黒インクが図形情報の印刷に使用されるのを防ぐために、図形情報の操作を提供することである。別の目的は、RGB色空間で表現された図形情報の操作を提供することである。
【0018】
黒インクが決して使用されないようにする方法の1つは、図形情報の各画像要素のRGB成分のうちの1つを上限に設定することであろう。好ましくは、上限に最も近いRGB成分が各画像要素で用いられる。これにより図形情報に生じる歪みが最小になるからである。CMY成分は、典型的には1−(対応するRGB成分)として与えられるので、上記は、CMY成分のうちの1つが常にゼロになる、ということを意味する。従って、K成分は印刷時に決して使用され得ないことになる。なぜならば、K成分は、最大でもCMY成分の最小値と等しいからである。そうでなければ色が影響を受ける。しかしながら、この手法を用いると、図形情報の各画像要素において、1色が完全に除去されてしまう。これにより、図形情報の画像の質感が損なわれ、画像がひどく歪んでしまいかねない。
【0019】
本発明により、K成分に対応する黒インクが図形情報の印刷に使用されないようにしつつ、図形情報の操作をずっと少なくし得る、ということが見出された。これは、請求項1に記載の方法と、請求項6に記載のコンピュータプログラム製品と、請求項7に記載の装置とによって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の第1の態様によれば、第1の態様は、以下の方法に関する。すなわち、図形情報と符号化パターンとを組み合わせた印刷を制御する方法であって、図形情報と符号化パターンとが別々のインクで印刷され、符号化パターンが、CMYK色空間のK成分に対応する黒インクを用いて印刷され、図形情報が、CMYK色空間のCMY成分に対応する色インクを用いて印刷される方法において、図形情報のRGB色空間での表現を受け取り、図形情報の表現を変換することを含み、表現が、図形情報を構成する一組の要素を含み、各要素が、当該要素の色を共同で表現するR成分値、G成分値、およびB成分値を含むものであり、変換が、各要素のR成分値、G成分値、およびB成分値を、図形情報の印刷時にプリンタによって黒インクが色インクに混入されることになる領域外のある範囲の値にマッピングするものである方法である。
【0021】
本発明の第2の態様によれば、第2の態様は、コンピュータユニットの処理部の内部メモリに直接読み込むことのできるコンピュータプログラム製品であって、処理部で実行された時に本発明の第1の態様による方法を行うソフトウェア命令を備えるコンピュータプログラム製品に関する。
【0022】
本発明の第3の態様によれば、第3の態様は、以下の装置に関する。すなわち、図形情報と符号化パターンとを組み合わせた印刷を制御する装置であって、図形情報と符号化パターンとが別々のインクで印刷され、符号化パターンが、CMYK色空間のK成分に対応する黒インクを用いて印刷され、図形情報が、CMYK色空間のCMY成分に対応する色インクを用いて印刷される装置において、装置が、図形情報のRGB色空間での表現を受け取るように構成され、表現が、図形情報を構成する一組の要素を含み、各要素が、当該要素の色を共同で表現するR成分値、G成分値、およびB成分値を含むものであり、装置が、図形情報の表現を変換するように構成された変換ユニットを備え、変換が、各要素のR成分値、G成分値、およびB成分値を、図形情報の印刷時にプリンタによって黒インクが色インクに混入されることになる領域外のある範囲の値にマッピングするものである装置である。
【0023】
本発明により、図形情報の印刷時にK成分に対応する黒インクが使用されるのを防止するために図形情報が操作され、その際、図形情報の外観は満足いく状態のままであり得る。本発明によれば、成分値をある範囲の値にマッピングするために、図形情報の表現が変換される。これにより、図形情報に用いられる色が、より明るい色に置き換えられる。一方、図形情報における画像の質感および内容は、本質的には維持され得る。
【0024】
さらに、この操作はRGB色空間で行われ得る。従って、K成分が印刷に用いられないようにするために操作を行う前に、最初に図形情報をCMYK色空間に変換(色空間変換)する必要がない。これは、RGB色空間でのこのような操作が、GDIプリンタのような、画像のRGB表現に基づくプリンタインターフェースに関して特によく適している、ということを意味する。
【0025】
ある実施の形態によれば、本発明は、K成分が使用されるのを防ぐためにCMY成分のうちの1つを完全に強制的にゼロにする必要はない、という見識を利用する。代わりに、プリンタはCMY成分のうちの最小値が混入閾値を超えるまでは黒インクの色インクへの混入を開始しない、ということが認められる。従って、RGB成分値は、対応するCMY成分値の少なくとも1つが決して混入閾値を超えないように、ある範囲の値にマッピングされる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、電子ペンと、符号化パターンおよび図形情報を備える基部とを模式的に示す図である。
【図2】図2は、符号化パターンおよび図形情報を設計して基部に印刷するシステムを模式的に示す図である。
【図3】図3は、図形情報を印刷する方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照してさらに詳しく説明する。
【0028】
符号化パターンは、1枚の紙や書込み板(ライティング・ボード)などのような受動的な基部(ベース)に何らかの情報を埋め込んでよい。符号化パターンは、符号化パターンによって符号化された情報を取り込むために、適切な読取装置によって読み取られてよい。そして、その情報は、好適な方法で処理されてよい。
【0029】
符号化パターンは、基部の表面上の位置を符号化する位置符号化パターンであってよい。従って、読取装置は、表面上の位置を記録し得る。読取装置は、電子ペンとして実装されてよい。電子ペンは、書込み用具を含む。それにより、電子ペンは、読取装置が表面上で書込みに使用される際に、書込み用の先端の一続きの位置を記録してよい。こうして、電子ペンでなされた書込みのデジタルコピーが取り込まれてよい。また、符号化された位置は、電子ペンでの位置の記録がある動作を起動し得るように、特定の機能および/または命令と関連付けられてもよい。そのような位置符号化パターンの例は、米国特許第5,477,012号明細書、国際公開第00/73983号、国際公開第01/26032号、国際公開第01/71643号、および米国特許第6,330,976号明細書で述べられている。
【0030】
あるいは、符号化パターンは、ビット情報を符号化してもよい。その場合、読取装置は、所定の方法で符号化パターン上を引かれて移動することによって、情報を読み取ってよい。このようにして、情報を処理するためまたは外部ユニットへ情報を送信するために、読取装置によって情報が取り込まれてよい。このような符号化パターンの例は、米国特許第5,221,833号明細書に述べられている。
【0031】
読取装置は、符号化パターンの画像を記録することのできる画像センサを備えてよい。読取装置は、符号化パターンを復号する処理部をさらに備えてよい。あるいは、記録された画像は、読取装置から外部ユニットに転送されて、そこで画像が処理されてもよい。読取装置は、符号化パターンによって符号化された情報を読み取るためにユーザが読取装置を符号化パターンの方に向けられるように、携帯型かつ手持ち式であると好適である。しかしながら、読取装置は据え置き型であってもよく、符号化パターンを備えた基部が読取装置に対して提示されてよい。読取装置は、例えば、好適にプログラムされたスキャナ、ファクシミリ、カメラ、または電子ペンとして実装されてよい。
【0032】
図1は、符号化パターン12を備えた基部10と、符号化パターン12を読み取るための電子ペン20の形の読取装置との実施の形態を示す図である。符号化パターン12は、基部の表面全体をカバーしてよい。しかし、図1においては、符号化パターン12を示すために基部10の拡大部Aのみを示してある。
【0033】
基部10は、図形情報14も備える。図形情報14は、符号化パターン12の様々な部分がどのように解釈され得るかについて、電子ペン20のユーザに指示を提供してよい。例えば、図1に示されるように、基部10は、ユーザによって埋められる書式(フォーム)を構成してよい。
【0034】
符号化パターン12によって符号化された位置(記録された位置)の処理は、例えば、顧客の名前、住所、または注文された製品のような、書式の様々な領域からの入力を扱うように構成されてよい。このようにして、符号化パターン12の位置がどのように処理されるべきか、についての規則が設定される。そして、図形情報14は、ユーザが、電子ペン20を用いてこれらの欄16に関連する情報を入力すべく案内(ガイド)されるように、処理規則に定義された領域に対応する欄16を示してよい。
【0035】
また、図形情報14は、特定の機能と関連付けられた符号化パターン12の領域を示してもよい。例えば、電子ペン20は、符号化パターン12によって符号化された特定の位置を読み取ったら、記録された情報を外部ユニット(図示しない)に送信すべくトリガーをかけられてよい。起動される動作の他の例は、電子ペン20がディスプレイまたは音声スピーカを通じてユーザにフィードバックを提供する、というものがあり得る。図形情報14は、特定の機能が関連付けられた領域と、その機能が何であるかとの両方を示してよい。従って、図形情報14は、符号化パターン12を処理する規則についてユーザに案内(ガイダンス)を提供する。
【0036】
図形情報14は、基部10のユーザが見て美しいものであってもよい。例えば、図形情報14は、書式の背景画像を含んでよい。さらに、図形情報14は、符号化パターン12を処理するための規則には関連しないかもしれない追加情報を提供してよい。例えば、図形情報14は、符号化パターン12の読み取りに何らかの問題が生じた場合に追跡可能性を提供するために、符号化パターン12がいつ、どこで印刷されたかについての情報を提供してよい。
【0037】
図形情報14は、符号化パターン12を備えた基部10からユーザが正しく情報を読み取ったり入力したりするのを助けるが、図形情報は、読取装置による符号化パターン12の読み取りを邪魔してはならない。従って、符号化パターン12と図形情報14とは、読取装置が符号化パターン12を図形情報14とは別に撮像し得るような方法で、基部10上に構成されるべきである。
【0038】
図形情報14により符号化パターン12が邪魔されるのを回避するためには、インクの特性が利用されてよい。工業的または商業的な印刷でも、コンピュータ用プリンタを用いたカラー印刷でも、4つの異なるインクが一般に使用される。すなわち、黒インクと、3つの異なる色インク(シアン、マゼンタ、およびイエロー)である。黒インクが赤外光を吸収するのに対して、色インクは、実質的な程度には赤外光を吸収しない。図形情報14が符号化パターン12を邪魔しないようにするために、この特徴が用いられてよい。
【0039】
符号化パターン12は黒インクを用いて印刷され、図形情報14は色インクのみを用いて印刷される。そして、読取装置は、赤外光源で符号化パターン12を照明してよい。さらに、読取装置は、赤外光だけが読取装置の画像センサに到達するように、赤外波長フィルタを備えてよい。これは、読取装置によって記録された基部10の画像において、符号化パターン12が、明るい背景上の暗いパターンとしてはっきり見える、ということを意味する。
【0040】
符号化パターン12および図形情報14の印刷は、別々の段階で行われてよい。例えば、符号化パターン12の印刷は印刷機で集中的に行われてよく、符号化パターン12を備えた紙が、異なるユーザに配布されてよい。そして、これらのユーザは、図形情報14を設計し、例えばインクジェット型またはレーザ型のコンピュータ用プリンタを用いて、その場で紙に印刷してよい。もちろん、代わりに図形情報14が最初に印刷されてもよく、その後の段階で符号化パターン12が追加されてよい。さらなる代替手法として、図形情報14および符号化パターン12が同時に印刷されてもよい。
【0041】
図形情報14を基部10に印刷するために印刷時に使用される個別のインクの量をCMYK色空間を用いて表現してよい。図形情報14の画像要素のCMYK表現は、画像要素を形成するのに使用されるそれぞれのインクの量に対応する4つの異なる成分値を含む。従って、図形情報14の画像要素のすべてを表現するために、各成分値が一組存在する。CMYK色空間のK成分は、使用される黒インク(キー色の意味もある)の量を表現し、一方CMY成分はそれぞれ、使用されるシアン、マゼンタ、およびイエローのインクの量を表現する。
【0042】
CMYK表現のK成分に対応する黒インクは図形情報14の印刷には使用されないことになっているので、K成分はゼロに設定されてよい。しかし、それにもかかわらず、プリンタが、インクを節約するために色インクを黒インクに置き換える自動アルゴリズムを用いて、印刷時に黒インクを加える可能性がある。そのため、図形表現を印刷する時にコンピュータ用プリンタが黒インクを色インクに混入しないようにする必要がある。それと同時に、図形情報14の色内容は、できるだけ影響を受けないように維持されるべきである。
【0043】
黒インクは、色においては中間であり、等量の各色インクに対応する。従って、下色除去(アンダーカラー除去)と呼ばれる処理で、等量のCMY成分値を置き換えるべくK成分値が増やされる場合がある。しかしながら、下色除去は、CMY成分値のうちの最小値が混入閾値を超えない限り行われない。この混入閾値は、典型的には、最大成分値の75%程度の大きさであってよい。
【0044】
図形情報14が黒インクを使用して印刷されるのを回避することは、CMY成分値のうちの少なくとも1つが混入閾値を決して超えないようにすることによって達成され得る、ということが分かった。これは、CMY成分値のうちの少なくとも1つが混入閾値を決して超えない領域に表現の色内容をマッピングするために、図形情報14の表現の変換を行うことによって、達成され得る。混入閾値を超える値を当該表現が含むか否かにかかわらず、図形情報14のあらゆる表現が変換され得るように、システムが設定されてよい。あるいは、黒インクを使用して印刷されることになるか否かについて、最初に図形情報14の表現が調べられる。そうである場合は、図形情報14の表現が変換され、そうでない場合は、図形情報14の表現が変更されないことになる。
【0045】
次に、図2を参照して、図形情報を設計して印刷するシステム30について説明する。システム30は、設計ツール32を備える。設計ツール32は、汎用コンピュータで動作する設計ソフトウェアとして実装されてよい。設計ツール32は、図形情報14のレイアウトを設計するために用いられてよい。システム30は、変換ユニット34をさらに備える。変換ユニット34は、図形情報14の表現を設計ツール32から受け取って、CMY成分値のうちの少なくとも1つが混入閾値を決して超えない領域に表現の色内容をマッピングするために図形情報14の表現を変換するように構成されている。これについては以下でさらに説明する。また、システム30は、印刷エンジン36も備える。印刷エンジン36は、変換された図形情報14の表現を受け取って、図形情報14のハードコピーを生成するように構成される。
【0046】
ある実施の形態によれば、変換ユニット34は、変換を行うように構成された処理ユニット34aを備えてよい。また、変換ユニット34は、図形情報の表現が変換の前および後に格納され得る作業メモリ34bも備えてよい。作業メモリ34bは、処理ユニット34aに内蔵されてもよいし、処理ユニット34aに接続されてもよい。変換ユニット34は、変換を行うための命令を備えた変換ソフトウェアを備えてよく、変換ソフトウェアは、処理ユニット34aで実行される。変換ソフトウェアは、符号化パターン12を備えることになる基部10を設計するための設計ツール32の設計ソフトウェアの一部であってよい。そして、設計ソフトウェアは、設計ソフトウェアから出力される図形情報14が印刷に適したものとなるように図形情報14を完成させたら変換ソフトウェアを起動するように構成されてよい。代替手法として、変換ソフトウェアを、符号化パターン12を図形情報と共に印刷するための特定の印刷ソフトウェアの一部としてもよい。そのような印刷ソフトウェアは、プリンタに接続されたコンピュータで動作して印刷に適したファイルを準備するように構成されてよい。さらなる代替手法として、変換ソフトウェアが、プリンタで動作するように構成されて、符号化パターン12と組み合わせられるべき図形情報14をプリンタが受け取ったら、変換を行うようにしてもよい。
【0047】
別の実施の形態によれば、変換ユニット34は、用途に適合させられた顧客専用の集積回路(例えばASIC、特定用途向け集積回路)、または何らかの形態のプログラム可能集積回路(例えばPROM、FPGA)を備えてよい。集積回路は、図形情報の表現を受け取る入力を有してよく、変換で必要とされる動作を行うように特に適合させられてよい。作業メモリが設けられて、集積回路がアクセス可能であってよい。しかしながら、集積回路は、図形情報の表現を入力として受け取り、変換された図形情報の表現を出力として提供するように構成されてよい。また、集積回路は、図形情報を設計するための、または印刷可能ファイルを準備するためのコンピュータに配置されてよい。あるいは、集積回路は、プリンタに配置されてもよいし、直接プリンタに接続されてもよい。
【0048】
図形情報14の表現は、CMYK色空間で与えられてよい。従って、変換により、最初に表現全体にわたってK成分値をゼロに設定する必要がある。さらに、CMY成分値が変換される必要がある。
【0049】
CMYK色空間で表現を操作するある実施の形態によれば、CMY成分値のうちの1つのみが、混入閾値を決して超えないように変換される。その際、成分値は、混入閾値より下のある範囲の値にマッピングされる。これは、例えば、以下の式をC成分値に適用することによって達成される。
C’=C*th (1)
ただし、C’は変換されたC成分値、Cは変換前のC成分値、thは混入閾値である。変換前のC成分値が0と1との間で変化し得るのに対して、変換されたC成分値であるC’は0とthとの間で変化し得る。
【0050】
混入閾値は、図形情報14が印刷されるプリンタに依存してよい。変換がプリンタで行われる場合、この混入閾値は、既知で、使用される可能性がある。しかし、図形情報を設計するコンピュータで変換が行われる場合、どの種類のプリンタが図形情報14の印刷に用いられるのかさえ分からないかもしれない。その場合は、デフォルト値が用いられてよく、デフォルト値は、どんな種類のプリンタが用いられても変換された成分値が混入閾値を超えないように、余裕をもって選ばれ得る。例えば、そのようなデフォルト値は、0.5に設定されてよい。
【0051】
混入閾値が既知であっても、変換では、変換された成分値C’だけを、例えばC’=C*0.75*thの形の式を用いて、0とthより小さな数との間の範囲にマッピングしてよい。これは、変換された成分値C’の値の範囲と混入閾値との間に余裕がある、ということを意味している。これによって、図形情報14の印刷に黒インクが使用される可能性が減少する。
【0052】
しかしながら、ただ1つの成分値が変換されると、図形情報14のうちの1色のみが影響を受ける。これにより、図形情報14全体が黄色がかった色相を帯びるという点で、図形情報14の外観が影響を受ける場合がある。
【0053】
CMYK色空間で表現を操作する別の実施の形態によれば、すべてのCMY成分値が変換される。CMY成分値がすべて上記の式(1)に従って変換されてよい。それにより、図形情報14の相対的な色は維持され得る。ただし、図形情報14の外観はより明るくなる。
【0054】
CMYK色空間で表現を操作するさらなる実施の形態によれば、以下の式に従ってY成分値が変換される。
Y’=Y*th/2 (2)
ただし、Y’は変換されたY成分値、Yは変換前のY成分値、thは混入閾値である。変換前のY成分値が0と1との間で変化し得るのに対して、変換されたY成分値であるY’は0とth/2との間で変化し得る。これは、図形情報14は、印刷された時に青みがかった色相を有することになる、ということを意味する。これにより、基部10のグレースケール情報の再現が容易になり、プリンタが黒インクを灰色がかった画像要素に混入しようとすることが回避される。同様の変換は、さらにまたは代わりにM成分値に適用されてもよい。これにより、印刷された図形情報14の色相は青みがかるが、その程度は変換されたY成分値の場合より小さくなる。
【0055】
図形情報14の表現は、代わりにRGB色空間で与えられてもよい。例えば、GDIプリンタ言語では、色を表現するのにRGB色空間が用いられる。変換ソフトウェアが、表現がCMYK色空間に変換された後に表現に従って動作するGDIプリンタに置かれ得ない場合、変換ソフトウェアは、RGB表現がCMYK表現に変換(色空間変換)される時にK成分値がゼロに設定されるようにするために、RGB色空間での図形情報14の表現で動作する必要がある。
【0056】
この点に関して、変換(色空間変換)では、CMY成分値を得るために主に以下の式を適用することが認識されている。
C=1−R
M=1−G
Y=1−B
ただし、C、M、およびYはCMY成分値、R、G、およびBはRGB成分値である。RGB成分値およびCMY成分値の両方が0と1との間で変化し得る。画像要素中のCMY成分値の最小値が混入閾値を超える場合に、K成分が用いられる。
【0057】
ある実施の形態によれば、RGB成分値のうちの1つのみが、それに対応するCMY成分の値が混入閾値を決して超えないように、変換される。その際、変換される当該RGB成分値は、対応するCMY成分値が混入閾値未満になるような範囲の値にマッピングされる。これは、例えば、以下の式をR成分値に適用することによって達成されてよい。
R’=(1−thinverted)*R+thinverted (3)
ただし、R’は変換されたR成分値、Rは変換前のR成分値、(1−thinverted)は混入閾値である。変換前のR成分値が0と1との間で変化し得るのに対して、変換されたR成分値であるR’はthinvertedと1との間で変化し得る。これにより、図形情報14の表現の、RGB色空間からCMYK色空間への変換(色空間変換)後のC成分値は、0と(1−thinverted)との間で変化することになる。
【0058】
別の実施の形態によれば、すべてのRGB成分値が変換される。RGB成分値がすべて上記の式(3)に従って変換されてよく、それにより図形情報14の相対的な色は維持され得る。ただし、図形情報14の外観はより明るくなる。
【0059】
さらなる実施の形態によれば、RGB成分値は以下の式に従って変換される。
R’=(1−thinverted)*R+thinverted (4)
G’=(1−thinverted)*G+thinverted (5)
B’=(1−thinverted/2)*B+thinverted/2 (6)
ただし、R’、G’、B’は変換されたRGB成分値、R、G、Bは変換前のRGB成分値、(1−thinverted)は混入閾値である。この変換では、RGB表現の青色成分値Bが、他の成分値よりも影響を受ける程度が大きい。RGB表現では、灰色は大きなB成分値によって表現される。従って、B成分値を他の成分値よりも大きく減らすことによって、灰色がより明るくなる。これにより、プリンタが灰色の印刷に黒インクを導入するグレー成分置換と呼ばれる処理を、防ぎ得る。また、青色成分値の他の変換も考えられる。例えば、R成分値およびG成分値と同様の方法でB成分値が変換されてよい。別の実施の形態では、B成分値は、割当量thinverted/xを用いて変換されてよい。ただし、xは1から3の間で変化し得る。
【0060】
ここで示した式1〜6以外にも、数多くの式が用いられてよいことは留意されるべきである。ただし、式は、図形情報14を印刷するためにプリンタが黒インクを混入することになる領域外の範囲に、CMY成分値のうちの少なくとも1つをマッピングする、という特徴を有するべきである。ここで示した式1〜6は、線形であり、すなわち許容値の範囲が範囲全体にわたって等しく圧縮されており、それによって図形情報14における色どうしの相対的な違いが本質的に維持される。しかしながら、非線形の式の使用も考えられてよい。そのような非線形の式は、輝度のようなユーザにとって重要となり得る画像特性を本質的に保持するために用いられてよい。
【0061】
次に、図3を参照して、図形情報14を符号化パターン12と組み合わせて基部10に印刷する方法について説明する。第1のステップ50において、印刷される図形情報14のレイアウトが設計される。これは、レイアウトを作成する特殊目的の設計ソフトウェアを実行するコンピュータを用いる設計者によって行われてよい。
【0062】
第2のステップ52において、図形情報14は、印刷される符号化パターン12の表現と関連付けられる。また、符号化パターン12における復号された情報の管理規則が設定されて、読取装置(符号化パターン12を読み取って復号するように構成された電子ペン20のような読取装置)か外部ユニット(符号化パターン12の画像または復号された情報を電子ペン20から受け取り得る外部ユニット)のいずれかへ送信されてもよい。符号化パターン12の実際の図形的な外観が、このステップで設定される必要はない。代わりに、符号化パターン12によって符号化される情報が、符号化パターン12の表現で与えられてよい。第2のステップ52は、符号化パターン12と機能との関連付けを担当するプログラマによってトリガーをかけられてよい。また、第2のステップ52は、復号された情報の管理規則を作成する特殊目的のソフトウェアを実行するコンピュータを用いて行われてよい。あるいは、第1のステップ50と第2のステップ52とは、同じソフトウェアを用いて、逆の順序で行われてもよいし、同時に行われてもよい。
【0063】
第3のステップ54において、図形情報14および符号化パターン12は、基部10に印刷されるべく準備される。図形情報14の表現および関連付けられた符号化パターン12の表現は、印刷可能ファイルを準備する印刷ソフトウェアプログラムへ送られてよい。この印刷ソフトウェアプログラムは、第2のステップ52で用いられる特殊目的のソフトウェアの一部であってよく、またユーザが印刷命令を選ぶことによって起動させられてよい。あるいは、印刷ソフトウェアプログラムは、1つ以上のプリンタに接続されたコンピュータで動作する独立型のソフトウェアであってもよい。さらなる代替手法として、印刷ソフトウェアプログラムは、プリンタの処理ユニットで動作してよい。また、プリンタの処理ユニットが図形情報14の表現および関連付けられた符号化パターン12の表現を受け取った後に、印刷可能ファイルを準備してよい。
【0064】
図形情報14は、ベクトルグラフィックス要素として表現されてよく、印刷可能にするために一組の画像要素値へと変換される必要のある場合がある。また、図形情報14は、例えばCMYK色空間またはRGB色空間で定義されてもよい。印刷ソフトウェアプログラムは、各要素の成分値をプリンタによる黒インクの使用を防ぐある範囲の値にマッピングするために、上記の式のいずれか1つに従って図形情報14の表現を変換する。印刷ソフトウェアプログラムは、プリンタとの通信に用いられる言語に応じて、図形情報14のCMYK表現またはRGB表現を提供してよい。例えば、GDIプリンタ言語が用いられる場合は、図形情報14のRGB表現が用いられる。従って、印刷ソフトウェアプログラムは、図形情報14の表現を適切な色空間に変換(色空間変換)するように構成されてもよい。また、印刷ソフトウェアプログラムは、印刷される符号化パターン12の図形的な外観を計算するように構成されてもよい。
【0065】
印刷ソフトウェアプログラムがプリンタに置かれる場合、プリンタの混入閾値は、印刷ソフトウェアプログラムにとって既知であってよく、上記の式で用いられてよい。あるいは、印刷ソフトウェアプログラムのユーザインターフェースにおいて、使用されるプリンタがユーザによって選択されてもよい。その場合、印刷ソフトウェアプログラムは、混入閾値を決定するためにプリンタと通信してよい。これは、プリンタが印刷ソフトウェアプログラムからの要求に応答して混入閾値を提供することにより、決定されてよい。あるいは、印刷ソフトウェアプログラムが、プリンタの型式および種類を決定してから、それを印刷ソフトウェアプログラムのあらかじめ格納された表で調べることによって、混入閾値を決定してよい。さらなる代替手法として、印刷ソフトウェアプログラムが印刷可能ファイルを準備し、それが後の段階で任意のプリンタへ送られてもよい。印刷ソフトウェアプログラムには、図形情報14の印刷にどんな種類のプリンタが用いられることになるかが分からない。その場合、印刷ソフトウェアプログラムは、上記の式において混入閾値のデフォルト値を用いてよい。
【0066】
混入閾値のデフォルト値は、0.1ないし0.5の範囲から選択されてよい。しかし、ある種のプリンタでは、混入閾値が0.5より小さい場合がある。従って、デフォルト値を0.1ないし0.3の範囲で選択するのがより好適な場合がある。典型的には、0.25というデフォルト値が用いられてよい。
【0067】
第4のステップ56において、図形情報14および符号化パターン12のハードコピーを基部10に出力するために、印刷可能ファイルがプリンタの印刷エンジンへ送られる。
【0068】
符号化パターン12は、代わりに別のステップで基部10に印刷されてもよい。その場合、符号化パターン12を有する基部10が集中的に印刷されて、各ユーザに配布されてよい。そして、すでに符号化パターン12が備えられた基部10に図形情報14が印刷されるように、使用されるプリンタのトレイに基部10が投入されてよい。同様に、すでに図形情報14が備えられた基部10に符号化パターン12が印刷されてもよい。
【0069】
以上、いくつかの実施の形態を参照して本発明をあらかた説明した。しかしながら、当業者が容易に認めるように、上に開示したものとは別の実施の形態が、添付の特許請求の範囲によってのみ定められ制限される本発明の範囲と精神の内において、等しく可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
図形情報と符号化パターンとを組み合わせた印刷を制御する方法であって、
前記図形情報と前記符号化パターンとが別々のインクで印刷され、前記符号化パターンが、CMYK色空間のK成分に対応する黒インクを用いて印刷され、前記図形情報が、CMYK色空間のCMY成分に対応する色インクを用いて印刷される方法において、
前記方法は、
前記図形情報のRGB色空間での表現を受け取ることと、
前記図形情報の前記表現を変換することと、
を含み、
前記表現が、前記図形情報を構成する一組の要素を含み、各要素が、当該要素の色を共同で表現するR成分値、G成分値、およびB成分値を含むものであり、
前記変換が、前記各要素のR成分値、G成分値、およびB成分値を、前記図形情報の印刷時にプリンタによって前記黒インクが前記色インクに混入されることになる領域外のある範囲の値にマッピングするものである方法。
【請求項2】
前記プリンタが、前記CMY成分のうちの最小量が混入閾値を超えた場合に黒インクを前記色インクに混入するように構成され、
前記変換が、前記各要素のR成分値、G成分値、およびB成分値のうちの少なくとも1つを、対応するCMY成分値が前記混入閾値を超えないように、ある範囲の値にマッピングするものである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記R成分値、G成分値、およびB成分値のうちの1つが、対応するCMY成分が前記混入閾値を超えないように変換される請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記変換が、前記RGB色空間の前記R成分値およびG成分値を、前記CMYK色空間の、対応するC成分値およびM成分値が前記混入閾値を決して超えないように、ある範囲の値にマッピングするものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記変換が、以下の式
R’=(1−th)*R+th
G’=(1−th)*G+th
B’=(1−th/2)*B+th/2
を用いるものであり、
ただし、R、G、およびBが、前記図形情報の前記受け取られた表現の前記成分値であり、thが、前記プリンタの前記混入閾値であり、R’、G’、およびB’が、前記変換された成分値である請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
コンピュータユニットの処理部の内部メモリに直接読み込むことのできるコンピュータプログラム製品であって、前記処理部で実行された時に請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法を行うソフトウェア命令を備えるコンピュータプログラム製品。
【請求項7】
図形情報と符号化パターンとを組み合わせた印刷を制御する装置であって、
前記図形情報と前記符号化パターンとが別々のインクで印刷され、前記符号化パターンが、CMYK色空間のK成分に対応する黒インクを用いて印刷され、前記図形情報が、CMYK色空間のCMY成分に対応する色インクを用いて印刷される装置において、
前記装置が、前記図形情報のRGB色空間での表現を受け取るように構成され、前記表現が、前記図形情報を構成する一組の要素を含み、各要素が、当該要素の色を共同で表現するR成分値、G成分値、およびB成分値を含むものであり、
前記装置が、前記図形情報の前記表現を変換するように構成された変換ユニットを備え、前記変換が、前記各要素のR成分値、G成分値、およびB成分値を、前記図形情報の印刷時にプリンタによって前記黒インクが前記色インクに混入されることになる領域外のある範囲の値にマッピングするものである装置。
【請求項8】
前記装置が、特定用途向け集積回路(ASIC)として実装される請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記変換ユニットが処理ユニットを備え、前記処理ユニットが、前記処理ユニットに前記変換を行わせる命令を与えるソフトウェアプログラムを実行するように構成される請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記装置が前記プリンタに内蔵される請求項7〜9のいずれか1項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−526120(P2011−526120A)
【公表日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−516223(P2011−516223)
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【国際出願番号】PCT/SE2009/050800
【国際公開番号】WO2009/157866
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【出願人】(506145326)アノト アクティエボラーク (49)
【Fターム(参考)】