説明

固体デバイス及び触媒反応における電界による性能の向上

固定デバイス(ガスセンサ等を含む)及び触媒反応において電界により性能を向上させるための電極構造が提供される。一つの実施形態によれば、電界電極を装置(例えば、ガスセンサ及び燃料電池)に組み込んで、ガスセンサのための検出電極及び燃料電池の表面に対して設けられる電界を形成することができる。形成された電界は、表面の動力学的特性、システムの熱力学的特性、反応の速度、及び、吸着/脱離プロセスを変えることができる。ある実施形態では、リング状の電界電極を平坦なガスセンサの検出電極の周囲に設けることができる。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本発明は、2007年12月12日に出願された米国仮出願第61/013,287号の利益を主張し、この出願のあらゆる図面、表又は図を含む全てを援用して本文の記載の一部とする。
【背景技術】
【0002】
電気化学セル(電気化学電池)は、イオン伝導体を間に挟んで2つの電極材料を接続し、それにより、電気化学反応を、イオン伝導体、電極及びガスの間の界面にて生じさせるものである。電極材料は、典型的には金属又は半導体であり、イオン伝導体は、典型的には電解質である。電極は、電子/イオン混合材料も含み得る。現在、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)が、幾つかのガスセンサ及び燃料電池のための電解質材料として用いられている。
【0003】
電気化学セルは、開回路モードで動作することが可能である。或いは、電気化学セルは、電流又は電圧をセルに印加することで反応を促進させるために用いられ得る。電気化学セルは、多くの装置(例えばガスセンサ及び燃料電池)及び用途(例えば電気メッキ)に用いられる。また、電気化学セルは、反応物を有用な副生成物に変換させるための触媒反応に用いられる。
【0004】
ガスセンサは、単一又は複数のガス種の濃度又は存在を検知する装置である。ガスセンサは、必須ではないが電気化学セルを含み得る。電気化学セルを有さないガスセンサは非電気化学的装置とみなすことができる。ガスセンサは、ガスを検知するための様々な変換機構を有することができる。また、ガスセンサは、複数のガス種を検知することにより多機能であり得る。例えば、電位差測定、電流測定、又はインピーダンス測定による変換機構が用いられ得る。多くのガスセンサに関する問題として、他のガス種による相互干渉があること、選択性が低いことが挙げられる。
【0005】
燃料電池は、化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換し、自動車及び家庭などでの電力消費に用いるための装置である。固体酸化物燃料電池(SOFC)は、固体電解質が少なくとも2つの電極の間に挟まれて組み込まれた、燃料電池の1種である。一方の電極はカソードとして機能し、他方の電極はアノードとして機能する。また、出力を増大させるために燃料電池をスタック状に合体させることも可能である。電解質が酸素イオン導電体である場合、酸素がカソードにて反応し、イオンとして電解質を通ってアノードに輸送され、アノードにて燃料(例えばH又はCO)と電気化学的に反応し、それにより電気を生成する。
【0006】
電気化学セルを用いる幾つかの装置において、触媒作用の非ファラデー電気化学的変性作用(NEMCA)が、電圧又は電流を電気化学セルの電極に直接印加することにより触媒反応を促進するために、組み込まれる。
【0007】
触媒作用において、反応の速度は、反応中の中間ステップ及び他のプロセスの速度を変えるプロセスを含む。これらの変化が反応速度全体に影響を与える。
【0008】
反応のエネルギー論は、反応のステップを活性化するための多くの異なるエネルギー障壁に関する。例として、拡散障壁がエネルギー障壁の1つである。これらの障壁はエネルギーをシステムに加えることにより克服されることができる。障壁を克服するために熱エネルギーが用いられることが多い。
【0009】
反応経路は、反応が開始反応物から最終生成物へと進むときにたどる複数のステップである。反応がたどる経路は、一部では、システムの動力学的特性及びエネルギー特性を利用しなければならない。吸着及び脱離は、気相からのガス分子が捕えられるプロセス(物理吸着)、又は、表面に結合されるプロセス(化学吸着)である。これらのプロセスも、しばしば、反応の速度及びエネルギー論に影響を及ぼす。
【0010】
表面緩和は、吸着層全体の運動を含む。表面再構成は、表面の周期性の変化を含む。これらのプロセスはいずれも反応の進み方を変えることがある。表面の動力学的特性は、表面上での動的運動(例えば、ガス(相)分子が表面と衝突すること、又は表面上でのガス種の拡散)を含むプロセスに関連し得る。
【0011】
触媒は、電気化学デバイスの一部として存在してもよく、又は、触媒担体の上部に存在してもよい。触媒担体は、触媒のための所定の構造を提供するように、又は、触媒を異なる反応部位間に分散させるように機能する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
触媒反応における大きな問題の1つは、毒(反応阻害剤)の存在により変換能力が低下することである。また、毒の存在は、ガスセンサ、燃料電池、及び他の関連する装置にも悪影響を与える。毒は吸着部位を遮断することがあり、又は、相再構成を生じることがある。相再構成は、例えば毒が錯体を電解質からの酸素種と共に形成する(錯体はその後脱離し得る)ことにより生じ得るものである。これは、酸素の存在に依存する幾つかの機構が生じることを妨害し、それにより、装置又は触媒が適切に作用することを妨げるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の実施形態は、電界による化学反応及び/又は電気化学反応の促進に関する。様々な用途に関するガス吸着及び他の化学反応を変えるために電界を生成及び形成することができる。発生される電界は、電界を発生するように意図的にバイアスされた導電面である電界電極を用いて提供されることができる。本発明の幾つかの実施形態は、ガスセンサ、燃料電池、及び他の電気化学デバイスに用いられることができる。さらに、幾つかの実施形態は、電気化学的に促進される反応(NEMCA)、及び、少なくとも1つのガス種を含む他の任意の一般的な触媒反応(例えば、エチレン酸化)の性能を向上させるために用いられることができる。本発明の実施形態に従って配置される電界電極は、非電気化学デバイス、例えば、電解質を利用しないガスセンサにも用いられることができる。
【0014】
一実施形態において、電界電極をガスセンサに用いることができる。電界電極は、ガスセンサにおける感度、選択性、及び反応時間を改善するように構成され得る。
【0015】
一実施形態において、電界電極は、ガスセンサの検出電極に対して平行に電界を印加するように構成され得る。
【0016】
別の実施形態において、電界電極は、電界プロファイルを形成するためにガスセンサに用いられることができる。このような実施形態において、電界電極は、ガスセンサの検出電極に対して、デバイス又は触媒担体上の特定の位置に対する所望の電界プロファイルを与えるように構成され得る。電界は、特定の局所的反応ゾーン又はデバイスの全体に対して、垂直、平行であるように、又は任意の角度を成すように形成されることができる。さらに、デバイスの異なる領域における電界の相対強度は異なり得る。さらなる実施形態において、電界電極は、空気−参照電極を組み込んだガスセンサに用いられることができる。
【0017】
一実施形態において、電界電極は燃料電池に用いられることができる。電界電極は、表面上の吸着錯体を安定化/不安定化させて、毒を燃料電池の表面から除去し、又は、毒の蓄積を防止するために用いられることができる。
【0018】
本発明の一実施形態に従って構成される電界電極は、電気化学システムにおけるダイポール(双極子)層領域周囲に存在する局所領域を、外部に発生された電界を用いて変えるために用いられることができる。
【0019】
様々な装置及び用途における化学的/電気化学的な反応及び性能を高めるために、電界電極が用いられ得る。このような電界電極は、向上された性能を得るために効果的且つ能動的に形成され得る。電気化学デバイスのための実施形態において、金属/電解質又は半導体/電解質の界面に導入される(イオン又は電子)電流又は電荷は、ほとんど、又は全くない。さらに、このような電界電極は、電界の形成に寄与すること以外の少なくとも1つのさらなる目的を有する、装置の他の任意の構造又は部品を組み込み得る。
【0020】
電圧は、電池又は他の電源(電圧源)により印加されることができ、必要に応じて2以上の電源が用いられ得る。1以上の電圧信号が、マイクロコントローラ、マルチプレクサ、(抵抗)電圧分割器、及び/又は、他の手段(異なる電圧振幅又はバイアススキームを様々な電界電極に与えるための他の手段)により分配され得る。
【0021】
これらのデバイスの製造に用いられることができる多くの技術がある。複数のデバイスは、同時に製造されて、製造後に様々な手段により分離されてもよい。また、これら及び他の技術が、電界により強化された触媒担体上に触媒を堆積させるために用いられ得る。以下の技術、又は、当業者に公知の他の技術の任意の組合せが用いられ得る。
i) 複数層の作製
テープキャスティング、スクリーンプリンティング
ii) ボトムアップ法(付加的方法)
ダイレクトライト法(例えば、ポンプベース又はエアロゾルベースの堆積)、ディップコーティング、スピンコーティングト、レーザ焼結
iii) マルチステップ法(減法)
フォトリソグラフィ、並びに、超小型電子機器(マイクロエレクトロニクス)及び微小電子機械デバイス(MEMS)の作製に用いられるその他の技術、電子ビーム及びレーザベースの減法加工、レーザマイクロマシニングを用いたマイクロ加工
iv) ワイヤ取付け方法又はメタライゼーション(金属配線)
メタライゼーション(金属配線)又はワイヤ取付けのために用いられる金属は、過酷な環境、ワイヤボンディング(例えば、金又はプラチナワイヤ)、ろう付け、及び/又は、ワイヤ取付けの他の任意の方法に耐えられることが好ましい。複数の層に様々な金属配線が存在し、これらの配線は、層間に存在するビアホールにより互いに接続され得る。
v) デバイスのパッケージング
高温(又は他の任意の)電子素子及び/又はセンサの標準的な又は新規のパッケージ技術及び設計が、このデバイスに用いられ得る。
vi) 触媒の堆積
触媒材料が担体上に、任意の方法、例えばスピンコーティング、ディップコーティング、又は溶射を用いて堆積され得る。
【0022】
本発明の実施形態は、性能が向上されたガスセンサ、燃料電池及び他の電気化学デバイス又は非電気化学デバイス、化学的プロセスにおける触媒反応の促進、及び、触媒コンバータの改良に用いられることができる。本発明の実施形態は、より低いコスト、生産性の増大、効率及び/又は精度を、用途(自動車メーカ、センサ製造会社、電力会社、及び/又は化学品製造会社を含む)に応じて達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1A】本発明の一実施形態に従う平坦なガスセンサを示し、本発明の一実施形態に従う検出電極に対して平行に電界が印加される状態の平坦なガスセンサの断面図である。
【図1B】本発明の一実施形態に従う平坦なガスセンサを示し、図1Aに示した平坦なガスセンサの上面図である。
【図1C】本発明の一実施形態に従う平坦なガスセンサを示し、図1Aに示した平坦なガスセンサの底面図である。
【図2A】本発明の一実施形態に従う平坦なガスセンサを示し、本発明の一実施形態に従う、電界を能動的に形成するための電界電極を有する平坦なガスセンサの断面図である。
【図2B】本発明の一実施形態に従う平坦なガスセンサを示し、図2Aに示した平坦なガスセンサの上面図である。
【図2C】本発明の一実施形態に従う平坦なガスセンサを示し、図2Aに示した平坦なガスセンサの底面図である。
【図3A】電界電極を用いた場合(帯電スキーム1、表2)と用いない場合との、様々な周囲温度に関するNO感度の変化を比較するプロットを示す。
【図3B】電界電極を用いた場合(帯電スキーム1、表2)と用いない場合との、様々な周囲温度に関するNO感度の変化を比較するプロットを示す。
【図3C】図2A〜図2Cに示した実施形態にバイアススキーム1(表2)を用いた場合(500℃にて負(−)の電界バイアスを印加)のNO感度の結果を示す。
【図3D】図2A〜図2Cに示した実施形態にバイアススキーム1(表2)を用いた場合(500℃にて負(−)の電界バイアスを印加)のNO感度の結果を示す。
【図3E】図2A〜図2Cに示した実施形態に、500℃にてバイアススキーム2(表2)を用いた場合のNO及びNOに対するセンサの反応を示す。
【図3F】図2A〜図2Cに示した実施形態にバイアススキーム3(表2)(デバイスのLaCuO側の導電層11及び導電層19のみを帯電させ、他方の導電層は非帯電状態に維持)を用いた場合のNOの結果を示す。
【図3G】図2A〜図2Cに示した実施形態にバイアススキーム3(表2)(デバイスのLaCuO側の導電層11及び導電層19のみを帯電させ、他方の導電層は非帯電状態に維持)を用いた場合のNOの結果を示す。
【図3H】図2A〜図2Cに示した実施形態にバイアススキーム4(表2)を用いた場合の結果を示す。
【図4A】図2A〜図2Cに示した実施形態に従う平坦なセンサを用いて能動的に形成された電界の電界プロットを示す。
【図4B】図2A〜図2Cに示した実施形態に従う平坦なセンサを用いて能動的に形成された電界の電界プロットを示す。
【図4C】図2A〜図2Cに示した実施形態に従う平坦なセンサを用いて能動的に形成された電界の電界プロットを示す。
【図4D】図2A〜図2Cに示した実施形態に従う平坦なセンサを用いて能動的に形成された電界の電界プロットを示す。
【図5A】本発明の一実施形態に従う平坦なガスセンサを示し、本発明の一実施形態に従う空気−参照電極を有する前記平坦なガスセンサの断面図である。
【図5B】本発明の一実施形態に従う平坦なガスセンサを示し、図5Aに示した平坦なガスセンサの上面図である。
【図5C】本発明の一実施形態に従う平坦なガスセンサを示し、図5Aに示した平坦なガスセンサの底面図である。
【図6A】図5A〜図5Cに示した実施形態を、650ppmNOのガス供給組成物に様々な温度で暴露させている間に様々な電界電圧を印加した場合の、半導体材料から生じるNO濃度の変化の質量分析法による比較を示す。
【図6B】図5A〜図5Cに示した実施形態を、650ppmNOのガス供給組成物に様々な温度で暴露させている間に様々な電界電圧を印加した場合の、半導体材料から生じるNO濃度の変化の質量分析法による比較を示す。
【図6C】図5A〜図5Cに示した実施形態に従う平坦なガスセンサの、650ppmの供給組成中(全て450℃)のNOに対する感度のプロット、及び、これに対応するNO濃度の変化を示すプロットであり、NOに暴露させたセンサに関する感度プロット及びNOレベルを示す。
【図6D】図5A〜図5Cに示した実施形態に従う平坦なガスセンサの、650ppmの供給組成中(全て450℃)のNOに対する感度のプロットと、これに対応するNO濃度の変化を示すプロットであり、NOに暴露させたセンサに関する感度プロット及びNOレベルを示す。
【図7A】昇温脱離法(TPD)テストに用いられる試料の概略図である。
【図7B】脱離プロファイルのプロットであり、本発明の一実施形態に従ってNOを300℃で初期吸着させた場合の測定されたNOの脱離プロファイルを示す。
【図7C】脱離プロファイルのプロットであり、本発明の一実施形態に従ってNOを300℃で初期吸着させた場合の測定されたNOの脱離プロファイルを示す。
【図7D】脱離プロファイルのプロットであり、本発明の一実施形態に従ってNOを300℃で初期吸着させた場合の測定されたNOの脱離プロファイルを示す。
【図7E】脱離プロファイルのプロットであり、本発明の一実施形態に従ってNOを300℃で初期吸着させた場合の測定されたNOの脱離プロファイルを示す。
【図8A】電界増強を利用したデバイス(ガスセンサを含む)のための他の可能な構造を示し、基板(電解質又は他の材料)の上面図であり、各検出電極が、検出電極の周囲にリング状に形成された(破線で示す)多数の電界電極により取り囲まれている。
【図8B】電界増強を利用したデバイス(ガスセンサを含む)のための他の可能な構造を示し、図8Aの断面図であり、1つの面上に検出電極及び電界電極が示され、ヒータ構造体(蛇紋状又は他のパターン)が第2の面上に示されている。
【図8C】電界増強を利用したデバイス(ガスセンサを含む)のための他の可能な構造を示し、図8Aの断面図であるが、この構造においては、電界電極及びヒータ構造体が基板内に埋め込まれ、新しい層(電解質又は他の材料)が基板と検出電極との間に存在する。
【図8D】図8Aの断面を示し、ヒータ構造体が基板内に埋め込まれ、第2の層が基板と検出電極との間にあり、電界電極は、破線で示される装置ではなくプレート状の形状である。さらに、検出電極の各々の上にキャビティを形成している構造物を示し、電界電極がこの構造物の内側に取り付けられている。
【図8E】図8Aの断面を示し、ヒータ構造体が基板内に埋め込まれ、第2の層が基板と検出電極との間にあり、電界電極は、破線で示される装置ではなくプレート状の形状である。類似のキャビティ形成構造物を示すが、電界電極がこの構造物の上面上に配置されている。
【図8F】電界増強を利用したデバイスのさらなる構造を示し、少なくとも2つの検出電極を各々が含む2つの矩形層が基板上に配置されている実施形態の上面図を示す。これらの矩形の層の各々を、幾つかの電界電極が取り囲んでいる(破線で示す)。
【図8G】電界増強を利用したデバイスのさらなる構造を示し、図8Fの断面であり、矩形の層、並びに、これらの層に対応する検出電極及び電界電極が示されている。加熱構造体が底面上に示されている。
【図8H】電界増強を利用したデバイスのさらなる構造を示し、別の可能な実施形態を示す。この実施形態において、検出電極を上部に有する矩形領域の一方が、基板と接触するガス検知材料に替えられている。この材料に電気接触部が2つの位置にて接触されている。この実施形態の残りの部分は図8Gと同一である。
【図9A】本発明の実施形態に従う電気化学デバイス(例えば燃料電池)を示し、本発明の一実施形態に従う電界電極を有する電気化学デバイス(例えば燃料電池)の断面図である。
【図9B】本発明の実施形態に従う電気化学デバイス(例えば燃料電池)を示し、図9Aの電気化学デバイス(例えば燃料電池)の上面図である。
【図9C】本発明の実施形態に従う電気化学デバイス(例えば燃料電池)を示し、図9Aの電気化学デバイス(例えば燃料電池)の底面図である。
【図10A】本発明の一実施形態に従う電気化学デバイス(例えば燃料電池)を示し、本発明の一実施形態に従う平坦な構造の電界電極を有する電気化学デバイス(例えば燃料電池)の断面図である。
【図10B】本発明の一実施形態に従う電気化学デバイス(例えば燃料電池)を示し、図10Aに示した電気化学デバイス(例えば燃料電池)の上面図である。
【図10C】本発明の一実施形態に従う電気化学デバイス(例えば燃料電池)を示し、図10Aに示した電気化学デバイス(例えば燃料電池)の底面図である。
【図11A】本発明の一実施形態に従う触媒床を示し、本発明の一実施形態に従う触媒反応プロセスに用いられる触媒床の断面図である。
【図11B】本発明の一実施形態に従う触媒床を示し、図11Aに示した触媒床の多角形円筒状の上面図である。
【図11C】本発明の一実施形態に従う触媒床を示し、触媒粒子の図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態は、化学反応及び関連するプロセスを、デバイス又は前記反応若しくはプロセスの位置の周囲に特定的に生成された電界、すなわち、形成された電界(形作られた電界)を用いることにより促進することに関する。形成された電界は、様々な用途、すなわち、ガスセンサ、燃料電池、及び他の電気化学デバイス(例えば水素分離膜)を含む用途にて性能を向上させるために用いられることができる。また、形成された電界は、電気化学的に促進される反応(例えば、触媒活性の非ファラデー電気化学的変性(NEMCA))の性能を向上させるためにも用いられることができる。電気化学的に促進される反応は、電気化学セルの直接バイアスにより触媒反応速度を高めることで知られている。さらに、形成された電界は、ガス種を含む任意の一般的な触媒反応を促進するためにも用いられることができる。例えば、ガス改質及び一般的な触媒変換を促進することができる。これは、他の非電気化学デバイス(例えば、抵抗タイプのガスセンサ)、又は、ガス吸着若しくは触媒反応に依存し又はこれらを何らかの目的のために利用するガス分離などの用途における性能の向上を含む。
【0025】
本発明の実施形態によれば、電界を用いることにより、様々な用途のためのガス吸着及び化学反応を変えることができる。電界は、(少なくとも)2つの面の間に電圧が印加されたときに発生され得る。また、複数の電圧が印加され得る。これらの面はいずれも、デバイスに対して局部的(ローカル)である必要がない。これらの面の一方はグラウンドであり得る。電界を発生させるために印加電圧により意図的にバイアスされる導体素子を、電界電極と称することができる。
【0026】
間接的に発生される外部電界は、デバイスに電流(電子流又はイオン流)を通さない方法で生成される。間接的に発生される電界において、電流は、キャパシタの場合と同様に絶縁体により、また、イオンを伝導しない材料により遮断される。
【0027】
しかし、直接的に発生される電界は、金属又は半導体に電圧が直接印加され、それによりこれらの材料に電流が流れる場合に生成される。これは、電気化学セルが直接バイアスされる場合も同じであるが、ただし電流が、デバイスを通過するのではなく、電解質と金属又は半導体電極との間の界面に電気化学反応を生じさせるための電子を提供することが異なる。
【0028】
電気化学セルの場合、間接的に発生される電界は、電解質又は電極に到達してセルを形成する電荷をもたらさない。しかし、直接的に発生される電界が、金属又は半導体と電解質との間の界面に電荷を提供する。
【0029】
本発明の幾つかの実施形態によれば、デバイスの他の部分又は触媒担体が、直接的又は間接的に電界の発生に関与し得る。直接的な関与の例は、電圧又は電流がセルに、NEMCAの場合と同様に直接印加される場合である。間接的な関与の例は、自然電界が材料中に存在する場合である。
【0030】
本発明の実施形態は、電界の能動的形成をもたらす。能動的形成の間、電界分布は均一にされても、又は不均一にされてもよく、また、デバイス又は触媒担体上の特定の位置(例えば局所的反応ゾーン)又はデバイス/担体の全体に対する任意の望ましい(輪郭)プロファイルに、効果的且つ能動的に形成され(形作られ)てもよい。電界は、局所的反応ゾーン又はデバイス/担体の全体に対して、垂直、平行であり、又は任意の角度を成し得る。また、電界は、デバイス内の任意の地点を貫通し得る。さらに、デバイス/担体における様々な地点での電界強度は異なり得る。
【0031】
電界電極は、局所的反応ゾーン又はデバイス/担体の全体の周囲に、任意の個数及び/又は配列で配置され得る。単一の又は複数の電界電極がいつ何時でも用いられ得る。異なる層材料が、異なる電界電極に、周囲材料と適合するように用いられ得る。電界電極は、単一の又は複数の絶縁層、導電層、及びキャップ層として設けられ得る。所与の電界電極に関して、各層タイプの個数が、他の電界電極における層の個数と同数である必要はない。電界電極は、デバイスの面内に埋め込まれ、又は面上に配置され得る。電界電極は、デバイス/担体内の特別に設計されたキャビティ内に存在し、且つ、セグメント間の間隙に組み込まれ得る。
【0032】
電界電極のための絶縁層は、電荷(すなわち、電子電荷又はイオン電荷)の流れが所定の領域(デバイス、触媒又は触媒担体(すなわち、触媒保持基板)の、このような流れを不都合とする領域)を流れることに対するバリアとして機能する。この層は、化学的及び/又は電気化学的反応に、必須ではないが関与し得る。
【0033】
電界電極の導電層は、電荷が電荷源(例えば電源)から(遮断)絶縁層に到達するための経路として機能する。導電層は、化学的及び/又は電気化学的反応に、必須ではないが関与し得る。導電層は、導電材料、例えば金(Au)から形成され得る。
【0034】
電界電極のキャップ又はカバー層は、ガスが電界電極の導電層上に吸着されることを防ぐように機能する。また、キャップ層は、さらに、導電層及び絶縁層を基板に(機械的に)固定するように機能する。キャップ層は、化学的及び/又は電気化学的反応に、必須ではないが関与し得る。キャップ層は絶縁材料から形成され得るが、それは必須ではない。
【0035】
電界電極の形態は、厚さ及び他の寸法が様々に異なることを含み得る任意の幾何学的形状(例えば、正方形又は円)であり得る。電界電極の様々な層の幾何学的形状及び層タイプは、必須ではないが互いに異なり得る。
【0036】
任意の所与の電界電極に印加される電荷は、正でも負でもよい。或いは、電界電極は接地されても、又はフローティングに維持されてもよい。電界の方向(向き)は、正電荷又は負電荷の位置を変えることにより、又は、どの電界電極が接地されるか又はフローティングに維持されるかを変えることにより変更され得る。
【0037】
任意の大きさ一定の直流(DC)の電圧又はサイン(正弦波)の電圧が電界電極に印加され得る。電界電極における一定電圧は、他の電界電極の全て(又は幾つか)の電圧と異なっても、又は同一でもよい。任意の所与の電界電極に関し、印加される電圧は、一定のバイアススキームとパルス状のバイアススキームとが切り替えられ得る。任意の所与の電界電極に関し、印加される電圧は、一定の(直流電圧)バイアススキームと(交流電圧)バイアススキームとが切り替えられ得る。
【0038】
パルス状(直流電圧)電界は、一定の又は可変の振幅及び期間に応じた様々な時点で発生され得る。このスキームにおいて、電界電極の全て又は幾つかに(直流)電圧を印加し、また、これらの電極から電圧を除去することにより電界がパルス化される。パルスの期間及び/又は振幅は、異なる電界電極において同一であり得るが、これは必須ではない。任意の所与の電界電極に関し、印加される電圧は、パルス状のバイアススキームと一定のバイアススキームとが切り替えられ得る。任意の所与の電界電極に関し、印加される電圧は、パルス状の(直流電圧)バイアススキームと(交流電圧)バイアススキームとが切り替えられ得る。
【0039】
幾つかの実施形態において、時変(例えば正弦波)電圧が電界電極に印加され得る。任意の所与の電界電極に関し、印加される電圧は、(直流電圧)バイアススキームと(交流電圧)バイアススキームが切り替えられ得る。
【0040】
任意の電界電極の電流及び電圧は、デバイス又は触媒の作用中に電流及び電圧が作用し続けるように、様々な手段によりいつでも測定され得る。
【0041】
本発明に従う電界電極を用いて電界を操作することにより、ガスを含む触媒作用及び固体デバイスの性能を向上させるための幾つかの機構(メカニズム)を利用することができる。電界増強が、分子内吸着結合又は表面吸着結合の分子曲げモードの周波数に変化をもたらし得る。これらの静電的機構は、結合角度及び又は結合長さに変化をもたらすことができる。さらに、分極及びそれによる安定化、アライメント、或いは、表面原子若しくはバルク原子の配向における変化、又は、吸着物質(極性種であり得る)における変化も生じ得る。
【0042】
化学反応機構が、軌道及び供与/逆供与の量の修正を含むことができる。錯体形成の安定性(帯電種及び非帯電種のための)に影響を与える可能性のある、表面及び/又は吸着体の電子密度の変化、及びパウリ斥力の変化が生じ得る。これらの化学反応機構は、分子内吸着物質結合又は表面吸着結合の強度を変化させ得る。
【0043】
幾つかの例において、電界は、静電的機構及び化学反応機構の両方をもたらし得る。これらの両方の機構による影響が同等であっても、或いは、一方が他よりも優位であってもよい。さらに、静電的機構及び化学反応機構の両方が、吸着層内の吸着体間の側方相互作用も変え得る。
【0044】
他の例において、電界は、デバイス又はプロセスに含まれる材料のフェルミ準位を変化させることがあり、それにより、前記材料の幾つか又は全ての吸着特性及び/又は触媒特性を変化させ得る。
【0045】
電界増強後の結果としてシステムに生じる変化は、幾つかの異なる効果をもたらし得る。効果の1つは反応経路の変更である。例えば、電界増強の結果として、新しい反応経路が有効になり得る。これは、触媒反応速度、副生成物の濃度、又は、新しい副生成産物を共に増大させることを可能にし得る。反応速度は、新しい反応経路を開くように、又は、反応を生じさせるために要求される温度を低下(又は上昇)させるためにシフトされ得る。
【0046】
別の効果は、吸着/脱離又は解離/再結合プロセスを変えることである。例えば、反応阻害剤(すなわち、毒)の吸着の蓄積が防止され、又は、望ましい方法で脱離され得る。反応促進剤(例えば、反応を促進する共吸着体)が、電界により、互いに、又は、特定の反応部位に引き付けられ得る。また、所望の反応が速度を増し、又は、不都合な反応が低速になり得る。電界は、これらのプロセスが生じる温度に影響を与えることができ、また、これらのプロセスを安定化又は不安定化させ得る。
【0047】
表面緩和又は表面再構成が、より低い(又はより高い)温度にシフトされ得る。旧式の表面緩和/表面再構成プロセスは用いられず、新規の表面緩和又は表面再構成プロセスが用いられ得る。一実施形態において、電界電極は、相の再構成を防止するために用いられ得る。これは、例えば、被毒により失われた酸素種を用いて表面を新しくすることにより行われ、その結果、新しい表面相が形成される。
【0048】
電界増強は、幾つかの種の拡散の速度を高め、又は低下させて反応の変化をもたらし得る。電界が長期間の効果を有する場合、気相からのガス分子の衝突も変化され得る。これが反応の進み方も変え得る。
【0049】
電界は、システムの熱力学的特性(反応がどのように進むかに関してしばしば重要な役割を果たす)に変化をもたらし得る。反応が様々な種又は錯体の熱力学的特性に依存するデバイス又は用途において、電界電極は、新しい反応及び/又は錯体を得るために、又は、このような反応が生じる温度を変更するために平衡をシフトさせることができる。
【0050】
さらに、上記のプロセスが変えられるように気相に作用することも可能であろう。
【0051】
従って、電界電極により発生される電界は、所望の電界プロファイルをデバイス/担体に、又はデバイス/担体における特定の位置に生成するように効果的に形成される(形作られる)ことができる。また、形成された電界は、必要に応じて経時的に能動的に変えられ得る。
【0052】
電界電極により発生される電界は、吸着、脱離、又は特定の反応を意図的に(又は意図的でなく)押し進めるために用いられ得る。
【0053】
電界電極により発生される電界は、阻害物質(インヒビタ)による被毒の作用を無効にするために用いられ得る。
【0054】
電界電極により発生される電界は、反応促進物質(プロモータ)を引き付けるために用いられ得る。
【0055】
電界電極により発生される電界は、電気化学デバイス(例えばガスセンサ及び燃料電池)、非電気化学デバイス(例えば、電解質を用いないガスセンサ)、及び、一般的な触媒反応(例えばエチレン酸化)、又は、電気化学的に促進される(すなわち、NEMCA)反応の性能を向上させるために用いられ得る。
【0056】
電界電極は、ガスセンサの感度、選択性、及び反応時間などの特性を改善するために用いられ得る。電界電極は、性能を向上させる他の特徴物(例えば埋め込まれたヒータなど)を有するガスセンサアレイに組み込まれ得る。ガスセンサアレイは多数の電極を有することが可能であり、多数のガスを検知するために用いられ得る。このようなガスセンサアレイにおける検出電極は、同一のガス環境中におかれることが可能であり、また、空気−参照電極又は他のタイプの参照電極を、必須ではないが含み得る。
【0057】
電気化学システムにおいて、局所的領域が、双極子層として知られている領域周囲に存在する。この領域は、電気化学反応がこのようなシステムにて生じる方法のために重要である。電界電極により発生される外部電界を用いることにより、これらの自然電界が変えられ得る。電界を直接制御することにより、所望の変化をシステムにもたらすことができる。NEMCAにおいては、直接バイアスにより生じる電界の制御に限界があろう。なぜなら、直接バイアスの増大により、電解質又は電極のジュール加熱及び/又は分解が生じることがあるからである。しかし、電界電極により生成される電界の限界は桁違いに高くなるであろう。
【0058】
電界電極は、ガスセンサにおいて、デバイスの感度、選択性、及び反応時間を変えるために用いられることができる。また、電界電極は、デバイスから出るガス組成物及びデバイス表面に存在する種に対する効果により示される触媒反応を変えるために用いられることができる。
【0059】
本発明の幾つかの実施形態は、電位差計測定、インピーダンス測定(抵抗性及び/又は容量性)、又は電流測定によるガスセンサを含むことができる。
【0060】
図1A〜1Cは、ガスセンサの検出電極に対して平行な電界電極を用いて電界を印加するための実施形態を示す。図1Aを参照する。図1Aは、本発明の一実施形態に従うガスセンサ用の平行電界の実施形態の断面図であり、検出電極1及び2が基板3に取り付けられることができる。基板3は、電解質又は他の材料であり得る。基板3が電解質から形成される特定の実施形態において、基板はイットリア安定化ジルコニア(YSZ)から形成されることができる。一実施形態において、検出電極1と検出電極2とは同一の材料から形成されることができる。しかし、他の実施形態においては、検出電極1と検出電極2とは異なる材料から形成されることができる。例えば、特定の実施形態において、第1の検出電極1はLaCuOから形成されることができ、第2の検出電極2はプラチナ(Pt)から形成されることができる。第1の電極1及び第2の電極2が基板3と接触しているとき、基板3が電解質である場合、電気化学セルが形成される。
【0061】
検出電極1と検出電極2とは、単一のガス環境に設けられることができる。固体電解質3の、第1の検出電極1及び第2の検出電極2とは反対の側に、平行な電界を印加するために電界電極を設けることができる。第1の電界電極6及び第2の電界電極8が、第1の検出電極1に対応して設けられることができる。第3の電界電極7及び第4の電界電極9が、第2の検出電極2に対応して設けられることができる。特定の実施態様において、第1の絶縁体4が、第1の電界電極6及び第2の電界電極8並びに固体電解質3の下に設けられることができ、第2の絶縁体5が、第3の電界電極7及び第4の電界電極9と固体電解質3との間に設けられることができる。第1の絶縁体4及び第2の絶縁体5は、例えば、Alから形成されることができる。電界電極の電極は導電材料から形成されることができる。例えば、これらの電極は金(Au)から形成されることができる。キャップ層が、絶縁のために、及び接着性を高めるために電界電極の各々の上に設けられることができる。キャップ層は、例えばAlから形成されることができる。絶縁層4及び絶縁層5は、電界電極6及び電界電極7の導電層を基板3と接触させないようにすることができる。基板3が電解質であるように選択される場合、絶縁層4及び絶縁層5、並びに導電層6及び導電層7は電気化学セルの一部とみなされない。
【0062】
図1Bは、図1Aに示した平行電界の実施形態の上面を示し、検出電極1及び検出電極2が基板3上に配置されている。金属リード又は他のメタライズ部(図示せず)が検出電極に様々な方法で取り付けられることができる。センサ用途では、これらのリードは、電極における起電界(EMF)の情報を測定装置に伝送するために用いられることができる。
【0063】
図1Cは、図1Aに示した平行電界の実施形態の底面を示し、絶縁層4及び導電層6,8が2つの電界電極を形成している。金属リード(図示せず)が電界電極に様々な方法で取り付けられることができる。
【0064】
様々な帯電スキームが、ガスセンサの感度、選択性、反応時間などの変化を得るために用いられ得る。これは、導電層6〜導電層9のいずれかに印加された電圧を介して正電荷(+)又は負電荷(−)を蓄積することにより行われる。
【0065】
以下の表1に示されているように、多数の異なる帯電スキームがあり、これらの各々が、異なる電界分布をデバイスにもたらし、そしてそれによりセンサの動作を様々に変化させる。
【0066】
【表1】

【0067】
本文中に論じるように、電界電極はデバイスにおいて電界プロファイルを形成する(形作る)ために用いられ得る。この技術をガスセンサ装置にてテストし、電界プロファイルが形成される(形作られる)間にどのように変化し得るかを示すためにモデル化した。
【0068】
図2A〜図2Cは,形成された電界を平坦なガスセンサの検出電極に印加するための実施形態を示す。
【0069】
図2Aを参照する。図2Aは、ガスセンサ用の形成された電界の実施形態の断面を示す。検出電極13及び検出電極17が基板24に取り付けられることができる。基板24は電解質又は他の材料であってよい。基板3が電解質から形成される特定の実施形態において、基板はイットリア安定化ジルコニア(YSZ)から形成されることができる。図1A〜図1Cに示されている実施形態に関して記載したように、検出電極は同一の材料又は異なる材料から形成されることができる。例えば、第1の検出電極13はLaCuOから形成されることができ、第2の検出電極17はPtから形成されることができる。基板24が電解質であるならば、第1の検出電極13、第2の検出電極17及び基板24が電気化学セルを形成する。検出電極13及び検出電極17は、単一のガス環境に設けられることができる。
【0070】
電界電極は、固体電解質24上の、能動的に形成される電界を印加するための位置に設けられることができる。第1の電界電極11が第1の検出電極13の周囲にリング状に設けられることができ、第2の電界電極15が第2の検出電極17の周囲にリング状に設けられることができる。第3の電界電極19が、固体電解質24の、第1の検出電極13に対して反対の側に、且つ、第1の電界電極11に対応してリング状に設けられることができる。第4の電界電極22が、固体電解質24の、第2の検出電極17に対して反対の側に、且つ、第2の電界電極15に対応してリング状に設けられることができる。特定の実施態様において、第1の絶縁体10が、第1の電界電極11と固体電解質24との間にリング状に設けられることができ、第2の絶縁体14が、第2の電界電極15と固体電解質24との間にリング状に設けられることができ、第3の絶縁体18が、第3の電界電極19と固体電解質24との間にリング状に設けられることができ、第4の絶縁体21が、第4の電界電極22と固体電解質24との間にリング状に設けられることができる。第1の絶縁体10、第2の絶縁体14、第3の絶縁体18及び第4の絶縁体21は、例えば、Alから形成されることができる。電界電極の電極は導電材料から形成されることができる。例えば、電極は、金(Au)から形成されることができる。
【0071】
キャップ層が、絶縁のために電界電極の各々の上に設けられることができる。特定の実施態様において、第1のキャップ層12が第1の電界電極11上に設けられることができ、第2のキャップ層16が第2の電界電極15上に設けられることができ、第3のキャップ層20が第3の電界電極19上に設けられることができ、第4のキャップ層23が第4の電界電極22上に設けられることができる。キャップ層は、例えば、Alから形成されることができる。キャップ層は必要に応じて省略され得る。金属リード又は他のメタライズ部(図示せず)が、個々の導電層とキャップ層との間に挟まれ得る。電界電極の導電層は基板24と接触しないが、キャップ層は、必要に応じて基板24と接触することができる。基板24が電解質である場合、層10〜層12、層14〜層16、層18〜層20、及び、層21〜層23は電気化学セルの一部ではない。
【0072】
図2Bは、形成された電界の実施形態の上面を示し、検出電極13及び検出電極17が基板24に取り付けられている。金属リード又は他のメタライズ部(図示せず)が検出電極に様々な方法で取り付けられることができる。センサ用途では、これらのリードは、電極におけるEMFに関する情報を測定装置に伝送するために用いられることができる。多数の検出電極及び電界電極をこのようなデバイスに組み込んでデバイスをガスセンサアレイにすることも可能である。
【0073】
図2Cは、絶縁層10,14,18,21、及び、導電層11,15,19,22を有して4つの電界電極を形成している、形成された電界の実施形態の底面を示す。金属リード(図示せず)が電界電極(導電層と接触している)に様々な方法で取り付けられる。これらの電界電極は、リング形状とは異なる幾何学的形状も有し得る。実際、電界電極を中央に配置した状態で検出電極(又は他の活性材料)が形成され得る。様々な帯電スキームが、ガスセンサの感度、選択性、反応時間などの変化を得るために用いられ得る。これは、導電層11,15,19及び22のいずれかに印加される電圧により正電荷(+)又は負電荷(−)を蓄積することにより行われる。
【0074】
以下の表2に示されているように、多数の異なる帯電スキームがあり、これらの各々が、異なる電界分布をデバイスにもたらし、そしてそれによりセンサの動作を様々に変化させる。帯電スキーム1〜3を、形成された電界の実施形態を用いてテストした。帯電スキーム6において、導電層11(及び19)と導電層15(及び22)とが異なる電荷値を有する(すなわち、各々に印加される電圧の大きさが異なる)ことに留意されたい。他のスキームも可能であるが、まだテストしていない。これらは形成された電界デバイスの利点を示すために含まれる。
【0075】
【表2】

【0076】
図3A〜図3Hは、図2A〜図2Cに示された形成された電界の実施形態による結果を示す。検出電極13及び検出電極17は、それぞれ、LaCuO及びPtである。
【0077】
図3Aは、図2A〜図2Cに示した形成された電界の実施形態による(電位差)NOセンサの結果を示す。検出電極はPt及びLaCuOであり、これらの検出電極を同一のガス環境に暴露させた(すなわち、空気−参照が無い)。このプロットは、電界が無い状態を、帯電スキーム1を用いた+1ボルト(V)のバイアスを有する状態と、450℃、500℃、550℃及び600℃にて比較している。この図に示されている実験において、上部の電界電極(Pt検出電極及びLaCuO検出電極を取り囲んでいる)に正バイアスを印加した。基板の反対側の対応する電界電極の両方には負バイアスを印加した。すなわち、上部の電界電極(高電位)と底部の電界電極(低電位)との間に電圧を印加した。
【0078】
図3Bは、図2A〜図2Cに示した形成された電界の実施形態によるNOセンサの結果を示す。検出電極はPt及びLaCuOである。このプロットは、電界が無い状態を、帯電スキーム1を用いた+1ボルト(V)のバイアスを有する状態と比較している。この図に示されている実験において、上部電界電極(Pt検出電極及びLaCuO検出電極を取り囲んでいる)に正のバイアスを印加した。基板の反対側の対応する電界電極の両方には負のバイアスを印加した。
【0079】
図3Cは、図2A〜図2Cに示した形成された電界の実施形態の、定常状態のセンサ反応を示す。この場合、帯電スキーム1(表2)を用いて、異なる強度の負(−)のバイアスを上部電界電極(Pt検出電極及びLaCuO検出電極を取り囲んでいる)に印加した。基板の反対側の対応する電界電極の両方には正のバイアスを印加した。
【0080】
図3Eは、図2A〜図2Cに示された実施形態に印加された帯電スキーム2(表2)に関するNO及びNOセンサの反応を示す。正バイアスが示されている場合、LaCuO検出電極を取り囲む電界電極(導電層11)、及び、基板の反対側の、Pt検出電極と位置合わせされた電界電極(導電層22)に高電位を印加した。同時に、Pt検出電極を取り囲む電界電極(導電層15)及び、基板の反対側の、LaCuO電極と位置合わせされた電界電極(導電層19)に低電位を印加した。負(−)バイアスが示されている場合、電界電極に印加した高電位と低電位とが逆であった。
【0081】
図3F及び図3Gは、図2A〜図2Cに示された実施形態に印加されたバイアススキーム3に関するNO及びNO感度の結果を示す。この場合、LaCuO検出電極を取り囲む電界電極(導電層11)に負バイアスを印加し、基板の反対側の対応する電界電極(導電層19)に正バイアスを印加した。Pt検出電極に位置合わせされた他の2つの電界電極(導電層15及び導電層22)は、バイアスを印加しない状態(フローティング)に維持した。
【0082】
図3Hは、図2A〜図2Cに示された実施形態に印加されたバイアススキーム4に関するNO及びNO感度の結果を示す。この場合、Pt検出電極を取り囲む電界電極(導電層15)に正(又は負(−))バイアスを印加し、基板の反対側の対応する電界電極(導電層22)に負(又は正)バイアスを印加した。LaCuO検出電極と位置合わせされた他の2つの電界電極(導電層15及び導電層22)は、バイアスを印加しない状態(フローティング)に維持した。
【0083】
表2に示された様々な帯電スキームの電界電極を、図2A〜図2Cに示した実施形態に用いることにより、ガスセンサのための異なる検出動作が得られる(図3A〜図3H)。図3Aに示されているように、帯電スキーム1(表2)に関し、1ボルトの電界バイアスを印加したとき、NOに対するセンサ反応が変化した。さらに、周囲温度を変化させると変化の大きさが異なった。しかし、図3Bと比較すると、電界電極がデバイスのNO反応を大幅に増大させたことが明らかである。センサ反応を生じさせるメカニズムを選択的に増大又は低減させることは、多数の電気化学デバイス、非電気化学デバイス、及びその他の関連するプロセスにおいて非常に有用であり得る。図3C及び図3Dに示すように、帯電スキーム1(表2)によりNO感度及びNO感度が非常に大きくなった(NO感度が20倍まで増大、NO感度が10倍まで増大)。さらに、NOに対する感度は負から開始し、ゼロ感度に向い、次いで正の反応を達成する。同時に、NO反応は正方向にのみ増大する。従って、NOを超えるNOの選択性が得られることが、可能である。
【0084】
図3Eに示されているように、帯電スキーム2を用いることにより、形成された電界がガスセンサの性能をさらに高めることが示される。この場合、正の電界バイアスは、バイアスの増大によりNO反応を増大し、NO感度をわずかに増大させたが、バイアスが増大してもさらなる変化はなかった。一方、負電界バイアスにより、NO感度は維持されたがほぼゼロに低減した。実際、電界電極に−0.5Vのバイアスを加えた場合、NO感度は非常に低かったがNO感度は実質的に増大した。
【0085】
図3F〜図3Gに示されているように、帯電スキーム3(表2)を用いた場合、電界バイアスを変化させるとNO感度及びNO感度の両方に類似の変化が生じた。これは、帯電スキーム3が、全NOXセンサ信号の増強を達成するために用いられ得ることを示す。
【0086】
図3Hは、さらに、形成された様々な電界の、デバイスの性能を様々な方法で向上させる能力を示す。この場合、この結果は、このバイアススキームがNO選択性をもたらし得ることを示す。なぜなら、NO感度は比較的不変の状態を維持するが、NO感度はゼロになる傾向を有するからである。さらに、形成された電界のバイアススキームの各々に関して異なる結果が得られたことは、他の電気化学デバイス、非電気化学デバイス及び他の関連するプロセスを改良するために類似の電界増強が用いられ得ることを示す。
【0087】
図4Aは、図2A〜図2Cに示した形成された電界の実施形態に帯電スキーム3を用いた場合の相対電界強度を示す電界等高線(等電位線)マップ25である。この場合、電界電極26は正電荷を有し、電界電極28は、正電荷と等しい大きさの負電荷を有する。電界電極27及び29は、フローティングに維持されている。図4Aにおける等電位線25の各々は、デバイス表面から遠ざかり、そして、デバイスを取り囲むガス環境全体を通る異なる電界強度を示す。図示されてはいないが、等電位線が基板30及びデバイスの他の部分も通過して延在している(すなわち、電界がデバイスを貫通している)ことに留意されたい。
【0088】
図4Bは、図4Aに示した帯電スキームと同一の帯電スキームに関する電界ベクトルマップ31である。図中の矢印の各々は、空間における電界の方向を示す。電界は正電荷領域から負電荷領域に移動する。図4Bを観察し、また図2Bを参照すると、この帯電スキームに関して(理想的な場合)、電界電極26及び28を形成しているリングの中央付近にて電界が均一であることが明確である。しかし、電界電極27及び29に関しては、リングの中央付近にて電界は不均一である。図4A及び図4Bにおける電界の等電位線マップ及び電界ベクトルマップは、幾つかのパラメータ(例えば、電界電極における電圧、及び/又は、用いられる帯電スキーム)の値に依存して変化するであろう。図示されていないが、電界ベクトルが基板30及びデバイスの他の部分も通過して延在している(すなわち、電界がデバイスを貫通している)ことに留意されたい。また、上記の理想的な場合においては電界電極の縁付近のフリンジング効果を考慮しなかった点に留意されたい。
【0089】
図4Cは、図2A〜図2Cに示した形成された電界の実施形態の帯電スキーム1に関する電界ベクトルマップ32を示す。この場合、電界電極33及び34は正電荷を有し、電界電極35及び36は負電荷を有する。図4Cを観察し、且つ図2Cを参照すると、この帯電スキームに関して(理想的な場合)、電界電極33,34,35及び36を形成しているリングの中央付近にて電界が均一であることが明確である。さらに、リングの中央を通る電界ベクトルの方向は、左側のリングの対(33及び35)における方向が、右側のリングの対(34及び36)における方向と同一である。また、この方向は、2対のリングの間におけるベクトルの方向(すなわち、デバイスの真中を通る、表面に対して垂直な方向)とも同一である。また、このスキームにおいて電界分布がデバイス及び周囲のガス環境に対して対称であることに留意されたい(理想的な場合で、近隣の物体からの干渉がないものと想定する)。この電界ベクトルマップは、電界電極における電圧の値に依存して(また、帯電スキームが変化するのであれば)変化する。図示されていないが、電界ベクトルが基板37及びデバイスの他の部分も通過して延在している(すなわち、電界がデバイスを貫通している)ことに留意されたい。
【0090】
図4Dは、図2A〜図2Cに示した形成された電界の実施形態の帯電スキーム2に関する電界ベクトルマップ38を示す。この場合、電界電極39及び42は正電荷を有し、電界電極40及び41は負電荷を有する。図4Dを観察し、且つ図2Cを参照すると、この帯電スキームに関して(理想的な場合)、電界電極39,40,41及び42を形成しているリングの中央付近にて電界が均一であることが明確である。さらに、リングの中央を通る電界ベクトルの方向は、左側のリングの対(39及び41)における方向が、右側のリングの対(40及び42)における方向と同一ではなく、これらの2つの方向は互いに反対である(且つ、表面に対して垂直である)。また、このスキームにおいて、電界分布がデバイス及び周囲のガス環境に対して対称であることに留意されたい(理想的な場合で、近隣の物体からの干渉がないものと想定する)。この後者(図4D)の場合、図4Cに示した状況に非常に似ているが、2対のリング間(すなわち、装置の真中)の電界は、表面に対してもはや垂直でなく、むしろ、この状況において電界は表面に対して平行である。この電界ベクトルマップは、電界電極における電圧の値に依存して(また、帯電スキームが変化する場合には)変化する。図示されていないが、電界ベクトルが基板43及びデバイスの他の部分も通過して延在している(すなわち、電界がデバイスを貫通している)ことに留意されたい。また、帯電スキーム2によるベクトルマップ(図4D)と帯電スキーム1によるベクトルマップ(図4C)との違いの他にも、これらの2つの場合に関する等電位線マップにより示される電界強度も変化した(図示せず)ことにも留意されたい。
【0091】
図4A〜図4Dは簡単な2次元モデルであり、これらは、主に、様々な帯電スキーム(及び実施形態)を用いてデバイス又は一般的な触媒プロセスにて電界増強を(能動的に)微調整することを可能する構想を示すためのものである。電界分布などは実際のデバイス又はプロセスとは異なり得る。なぜなら、検出電極及び他の部品も電界に影響を与え、電界を、図示された単純な場合とは異なるものにするからである。デバイス、触媒、ガス、吸着物質などとの静電的及び化学的相互作用は、これらの電界の等電位線マップ及びベクトルマップに依存する。従って、これらの相互作用は、所与の用途のために、デバイス又は一般的な触媒プロセスに従って(能動的に)微調整されることができる。
【0092】
図5Aは、空気−参照電極51を用いたセンサの実施形態を表す。この実施形態は、測定されたガス組成物の変化により示されるように、電界電極の使用中に触媒反応が変化していることを示すために用いられた。絶縁層45及び48、導電層46及び49、並びに、キャップ層47及び50が、4つの電界電極を形成している。検出電極44及び空気−参照電極51が基板(電解質又は他の材料)52に取り付けられている。
【0093】
図5Bは、電界電極を有する空気−参照試料の実施形態の上面を示し、キャップ層47が示されている。金属リード又は他のメタライズ部(図示せず)が検出電極又は空気−参照電極に様々な方法で取り付けられることができる。センサ用途では、これらのリードは、電極における(EMF)に関する情報を測定デバイスに伝送するために用いられることができる。多数の検出電極及び電界電極をこのようなデバイスに組み込んで、デバイスをガスセンサアレイにすることも可能である。
【0094】
図5Cは、電界電極を有する空気−参照試料の実施形態の底面を示す。空気−参照電極51が基板52に取り付けられ、この面上の電界電極により囲まれる。この底面から見るとキャップ層50が見える。
【0095】
このセンサデバイスは、電解質の一方の面に、第1の矩形のリング状の電界電極を含む。このリングの中央にPt空気−参照電極を堆積させた。電解質の反対側にLaCuOを取り付けた。この電極の上部は、第2のプレート状の電界電極であった。LaCuO電極及び第2の電界電極を活性ガス流に暴露させ、一方、Pt空気−参照電極及び第1の電界電極は一定の酸素分圧(すなわち空気)下に維持した。
【0096】
このセンサを、正方向(LaCuO側が高電位)及び負方向(Pt側が高電位)における0V(ボルト)、2V、5V及び8Vの電界電極バイアス下で、3%酸素中の複数のNO濃度に関して評価した。これらのテストを、450℃、500℃及び550℃の温度で実行し、各状態に関して2回繰り返した。電界の影響下にあるセンサを、バイアスがかけられていないデバイスと、各温度において比較した。センサ信号は、550℃及び500℃においては非常に低く、その結果、印加された電界(図示せず)による感度の変化は、500℃でのNOに対する−8ボルトの設定点以外、ほとんど又は全くなかった。しかし、図6A及び図6Bに見られるように、全ての温度において、電界バイアスの変化は、質量分析法により検出されるように、LaCuO検出電極から出るガス組成物の変化を生じさせた。これらのプロットは、それぞれのガスのステップの650ppmのNO又はNO供給組成物からの測定されたNO組成物を用いて作成された。これらのプロットは電界バイアス電圧に関連している。なぜなら、モデル化された電界強度が事実を正確に示すことを保証することは、手製の試料の場合には困難であるからである。図4の両方のプロットから明らかであるように、NOガスのステップ及びNOガスのステップの両方に関してNOレベルに大きな変化があった。さらに、NOガスのステップの場合、温度が上昇すると、測定されたNO曲線にショルダ/ピークが(約−5Vの電界バイアスにて)生じる。
【0097】
450℃では、電界がデバイス上に生成されたときに、NO感度及びNO感度の両方に大きな変化があった。図6C及び図6Dに、ガスのステップに対する感度(mV/decade ppm NO)、及び、650ppmのNO又はNO供給組成中に測定された濃度が示されている。NOガスのステップの場合、領域Iから領域IIにおいて、(+)電界バイアスの低減に並行して、感度は大きく変化せずにNO及びNO濃度が増大した。領域IIにおいて、(+)電界バイアスから(−)電界バイアスへの移行により、測定されるNOが急激に減少し、NOは、より緩やかに減少した。種の濃度変化におけるこの違いが、領域IIから領域IIIへの移行において感度を低下させたと考えられる。現段階の(−)電界バイアスをさらに低減すると、NOは本質的に変化せずにNOレベルが連続的に減少した。これに伴いデバイスのNO感度が著しく増大した。最後に、領域IIIから領域IVへの移行において、さらなる(−)電界バイアスに反応してNO濃度及びNO濃度が減少すると、感度が比較的大幅に低下した。
【0098】
ここで、450℃でのNOガスのステップに関する図5における4つの変曲領域を考察すると、より複雑な変化が検出機構に生じたことがわかる。領域Iから領域IIに移行するときにNO濃度が急激に増大し、それと共にNO濃度は、より緩やかに減少した。これにより、NO感度が、急激に、より正の、より小さい値になった。領域IIの中間にて、NO濃度とNO濃度との交差が生じ、それと共にNO感度が降下した。NO感度は、領域IIのより終盤(−)にてわずかに増大した後、領域IIIが開始するときに急激に低下した。この移行の間に、NOの量が急激に減少し、NOの量がより緩やかに増大したため、NO濃度とNO濃度との第2の交差も生じた。領域IIIが領域IVに近づいたとき、NOが減少し続ける間にNO濃度測定値が変曲し始めて減少した。その結果、領域IVにてNO感度がわずかに増大した。
【0099】
図6A〜図6Dに示されているように、図5A〜図5Cに示した実施形態から得られた結果は、電界電極を用いることにより、電気化学デバイス、非電気化学デバイス、又はその他の関連する(触媒反応)プロセスにおいて用いられ得る材料の触媒特性を変化させることができることを示している。さらに、これらの結果は、様々なガス種に対する感度を大幅に変化させることによりガスセンサの性能を向上させることができる。
【0100】
図7Aに示されている試料を、図7B〜図7Eに示されている電界アシスト脱離測定に用いた。これらの測定は、間接的に印加された電界が、LaCuOの表面上のNOの作用に、電界強度が比較的小さくても影響し得ることを示す。図7Aに示されているように電界電極を有する試料に昇温脱離法(TPD)実験を行った。この試料は、絶縁層54及び55(Al)と導電層56及び57(Au)とが両端に取り付けられた多孔質LaCuOバー片53を含んでいた。図示されていないが、LaCuOの高表面積粉体試料に関しても効果が確認された。何組かの実験中、試料に、導電層56及び57にて様々な印加電圧でバイアスした。
【0101】
TPDは、初期量のガスを比較的低温(例えば300℃)で吸着し、次いで室温に冷却する実験技術である。次いで、実験対象のガスを遮断し、不活性ガス、例えばヘリウムを反応器に流入させる。次いで、温度を、脱離種の発生を質量分析計で監視しながら高い線速度(例えば30°C/分)で上昇させる。
【0102】
電界電圧設定点が上昇すると、NOの脱離ピーク(図7B)がより高温に移動したが、類似の初期ピーク形状は、強度は異なったが維持された。ピークの温度の上方シフトに加え、高温でのNOの長期間の脱離が、より明確なピークとして示された。このシフトと共に、実質的なNO脱着ピークがNO脱離と同一温度で生じた(図7C)。ピーク強度及び面積の変化は、吸着/脱離エネルギー及び化学吸着機構が電界により変化しやすいことを示す。試料から脱離されたガスの量を表3に記載する。
【0103】
【表3】

【0104】
同一の実験を、NO吸着に関して行った(図7D及び7E)。これらの結果において、脱離エネルギーにおけるシフトは顕著ではなかったが、様々なピークの強度における明確な変化が、化学吸着機構に変化が生じ得ることを示している。脱離の総量を表4に示す。
【0105】
【表4】

【0106】
本発明に従うセンサの実施形態は、電位差測定、インピーダンス測定、及び/又は、電流測定を利用することができる。本発明のセンサは、電極の全てを同一ガス環境に配置することができ、且つ、空気−参照電極又は他のいずれかのタイプの参照電極を用いることができる。
【0107】
或いは、様々な実施形態において、電界電極に印加される電圧は、ポテンショスタット、又は、電界電極における電荷を所望の値と等しい値に維持する他の装置により供給され得る。こうして、ガス環境(又は何らかの現象)が電荷を変化させた場合、ポテンショスタット又は他の装置が、電荷が所望の値に戻ることを保証するように反対の作用をすることができる。電荷は、測定された経時的電流変化から算出され得る。なぜなら、少なくとも理想的な場合、電界電極への電圧印加の結果、デバイスを流れる電子電流がないからである。回路にて測定されるこの電流は、絶縁層(理想的な場合の完全な絶縁体に限る)における蓄積電荷の変化の結果として生じる。
【0108】
図8A〜図8Hは、電界増強が用いられ得る他の様々な構造の幾つかを示す。図8Aは、基板58(電解質又は他の材料)の上面図であり、検出電極59,60及び61の各々が、検出電極の周囲にリング状物(破線で示す)を形成している幾つかの電界電極62,63及び64により取り囲まれている。図8A〜図8Hにおいて、電界電極は一体物として示されており、電界電極は、図2A〜図2Cの実施形態に示したように少なくとも絶縁層及び導電層から成り、またキャップ層も含み得る。図8Bは図8Aの断面図であり、検出電極59,60,61及び電界電極62,63,64が1つの面上に表示され、ヒータ構造体65,66,67(蛇紋状又は他のパターン)が第2の面上に表示されている。図8Cは図8Aの断面図であるが、図8Cにおいては、電界電極62,63,64及びヒータ構造体65,66,67が基板58内に埋め込まれている。さらに、新しい層68(電解質又は他の材料)が基板58と検出電極59,60,61との間に存在する。
【0109】
図8D及び図8Eは、図8Aの断面図であり、ヒーター構造物65,66,67が基板内に埋め込まれ、第2の層68が基板58と検出電極59,60,61との間にある。これらの図において、電界電極70,71,72は、図8Aに見られるような破線で示される装置ではなく、プレート状の形状を有する。さらに、図8Dは、検出電極59,60,61の各々の上にキャビティを形成する構造物69を示し、電界電極70,71,72が、この構造物の内側に取り付けられている。図8Eは、類似のキャビティ形成構造物69を示すが、電界電極70,71,72がこの構造物の上面にある。
【0110】
図8F〜図8Hは、電界増強を利用するデバイスの幾つかのさらなる構造を示す。図8Fは、少なくとも2つの検出電極76,77,78,79を各々が含む2つの矩形の層80及び81(電解質又は他の材料)を基板73(電解質又は他の材料)上に有する実施形態の上面図である。層80及び81は、検出電極76,77,78,79を基板73から分離させるように機能する。構造物74及び75がこれらの矩形の層の各々の周囲を取り囲み、且つ、幾つかの電界電極を破線で示している。図8Gは図8Fの断面図であり、矩形の層80及び81と、これらの層に対応する検出電極76,77,78,79とを示す。電界電極74,75、及び、底面上の加熱構造体82,83も示されている。図8Hは、別の可能な実施形態を示し、この実施形態においては、検出電極(図8Fの76及び77)を有する矩形層の一方(図8Fにおける80)が、基板73と接触するガス検知材料84(例えば、ガス暴露時に電気抵抗が変化)に替えられている。この材料に、電気接触部85及び86が2つの位置にて接触されている。この実施形態の残りの部分は図8Gと同一である。
【0111】
燃料電池(例えばSOFC)において、酸素がカソード上で解離し、燃料がアノードにて解離し反応する。本文中に論じたように、電界の存在が表面上の吸着錯体を安定化/不安定させることができる。これにより、燃料電池の性能を向上させる(例えば、出力密度を増大させる)動力学的特性又は反応機構が変化し得る。さらに、先に論じたように、燃料電池の表面(特には燃料側)への毒の蓄積の除去又は防止が、電界電極を用いる本発明の実施形態に従って達成されることができる。SOFCに電界電極を用いることにより動作温度を低くすることができ、また、より安価な材料を燃料電池に用いることが可能になる。さらに、これらの電極は、負荷条件が変化するときにデバイスの性能が向上又は維持されるようにデバイスを修正するために用いられ得る。
【0112】
図9Aは、電界が増強された電気化学セル(例えば燃料電池)の実施形態を示す。この実施形態において、基板94(電解質であり得る)が、取り付けられたアノード(88又は95)及びカソード(95又は88)を有する。別の実施形態においては、他の材料が支持体又は他の支持材料(例えば、アノード支持体)として機能し、その支持体上に、電解質、及び、他の対応する層が設けられる。デバイスがアノードを支持する形態の様々な装置を用いることができ、電解質は、支持体に取り付けられた非常に薄い層である。そして、カソードを電解質の上に堆積させてセルを完成することができる。電界電極は、絶縁層88及び91、導電層89及び92及びキャップ層90及び93から構成されている。金属リード、又は他の相互接続部(図示せず)が、多くの様々な方法で電極に取り付けられ得る。また、この装置を、複数のセルから成るスタックに形成することも可能である。
【0113】
図9Bは、電気化学セル(例えば燃料電池)の実施形態の1つの面である。この図においてキャップ層91及び93が見られる。電極87は、アノードあっても、又はカソードであってもよく、基板95に取り付けられている。図9Cは、燃料電池の実施形態の別の面である。この図において、電極95のみが見える。電極は基板94に取り付けられており、アノードあっても、又はカソードであってもよい。
【0114】
図10A〜図10Cは、電界が増強された異なる電気化学デバイス(例えば燃料電池)の実施形態を平面図で示す。多数のセルから成り得るスタック構造が示されている。図10Aにおいて、導電層97,102,109、及び、絶縁層96,98,101,103,108,110から成る幾つかの電界電極が存在する。この構造において、絶縁層とキャップ層との区別は重要ではない。これらの層は、様々な電極100,104,105,107(アノード及びカソード)が取り付けられた基板99及び111上に堆積されている。必須ではないが、電界電極が、様々な電気化学セル間でガスを分離させるためのシールとして機能するさらなる利点を有する場合もある。図10Bは、基板99、電極100(アノード又はカソード)及び電界電極の絶縁層98を有する、図10Aに示した実施形態の上面を示す。図10Cは、基板111、電極106(アノード又はカソード)、及び、電界電極の絶縁層110を有する、図10Aに示した実施形態の底面を示す。
【0115】
NEMCAは、触媒反応速度を著しく増大することができる。NEMCAの場合、セル電極に印加された電位又は(電子)流により生成される電界は、電位の増大(及び、従って、電界強度の増大)がデバイスの永久的な損傷を生じることがあるという事実により限定される。しかし、電界電極を用いることにより、NEMCA電界を増強することができる。さらに、電界電極は、デバイスのどの位置にも配置されることが可能であるため、吸着及び反応に関してNEMCAよりも制御を高めることができる。
【0116】
本文中に論じたように、触媒反応は電界を用いることにより変えられ得る。電界電極は触媒担体に組み込まれることができ、それにより、反応経路を所望のように変えることが可能である。改良される点は、変換収率の増大、及び/又は、反応のための温度条件がより低いことを含む。これにより、コストをより低下させ、また、触媒反応に関する収益性を増大させることができる。
【0117】
図11Aは、触媒反応プロセスに用いられる触媒床の断面図である。金属コア112がハニカム114の中央を通って埋め込まれている。外部電極113がハニカム114の周囲に取り付けられている。ハニカム114は触媒粒子115を保持するためのものであり、関連した別の形状であってもよい。この実施形態は、多角形円筒状物であり、電圧が金属コア112と外部電極113との間に加えられ、それにより、電界を、ハニカム114構造体の全体に分散された触媒粒子の周囲に生成する。反応ガスがハニカム114構造体を通って流れ、そこで反応ガスは触媒粒子と反応することができる。ハニカム114構造体を電解質材料からつくることができることに留意されたい。この場合、金属コア112とハニカム114との間に絶縁層が配置される。絶縁層は、外部電極113とハニカム114構造体との間にも配置される。また、電解質ハニカム79構造体を有するこのような実施形態は、電界増強モードで動作されることができる。
【0118】
図11Bは、多角形円筒状物の上面図であり、金属コア77及び外部電極78が示されている。ハニカム79構造も示されている。図11Cは、図11A及び図11Bにみられるハニカム構造の全体に分散され得る触媒粒子80の塊を示す。
【0119】
示された全ての実施形態、及び、電界電極を用いる任意の他の実施形態において、電気化学セルが含まれる場合、本文中の他の部分に論じたように、NEMCA効果(直接バイアス)と電界の増強(電界電極によりもたらされる)とを組み合わせることにより触媒作用を促進させることができる。また、複数の電界電極がこのような構造又は関連する実施形態に用いられ得る。
【0120】
本文にて参照され又は引用された全ての特許、特許出願、仮出願、及び公開公報の、図及び表を含む全てを、それらが本明細書の明確な教示と矛盾しない限りにおいて援用し、本文の記載の一部とする。
【0121】
本文中に記載された例及び実施形態が、例示を目的としたものに過ぎず、これらの実施形態を考慮した上で、様々な修正又は変更が当業者に提示され、また本出願の精神及び範囲内に含まれるべきであることが理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解質を含む基板と、
前記基板上に配置され、且つ、前記電解質と電気的に接触している少なくとも2つの検出電極と、
前記少なくとも2つの検出電極の少なくとも1つの電極の付近に電界を生成するための手段と、
前記少なくとも2つの検出電極のうちの1つ以上の電極に関して特性を測定するための手段と、
を備え、
前記少なくとも2つの検出電極の付近に前記電界を生成することが、前記測定される特性を変えることを特徴とする電気化学電池。
【請求項2】
前記特性が電気的特性である請求項1に記載の電気化学電池。
【請求項3】
前記特性が温度である請求項1に記載の電気化学電池。
【請求項4】
前記電気的特性が、前記少なくとも2つの検出電極の2つの電極間の電圧である請求項2に記載の電気化学電池。
【請求項5】
前記電気的特性が、前記少なくとも2つの検出電極の2つの電極間を流れる電流である請求項2に記載の電気化学電池。
【請求項6】
前記電気的特性が、前記少なくとも2つの検出電極の2つの電極間のインピーダンスである請求項2に記載の電気化学電池。
【請求項7】
前記電気的特性が、前記少なくとも2つの検出電極の2つの電極間の抵抗である請求項2に記載の電気化学電池。
【請求項8】
前記電気的特性が、前記少なくとも2つの検出電極の2つの電極間のキャパシタンスである請求項2に記載の電気化学電池。
【請求項9】
さらに、前記少なくとも2つの検出電極のうちの少なくとも1つの電極の温度を変更するための手段を備え、前記温度の変更が前記測定される電気的特性を変える請求項2に記載の電気化学電池。
【請求項10】
さらに、前記少なくとも2つの検出電極のうちの少なくとも1つの電極の前記温度を監視するための手段を備える請求項9に記載の電気化学電池。
【請求項11】
前記電気化学電池がガスセンサである請求項1に記載の電気化学電池。
【請求項12】
前記電界を生成するための手段が、前記基板上に配置されている請求項1に記載の電気化学電池。
【請求項13】
前記電界を生成するための手段が、前記基板上に配置された少なくとも1つの電界電極を含む請求項12に記載の電気化学電池。
【請求項14】
前記少なくとも1つの検出電極と前記少なくとも1つの電界電極とが前記基板の対向する側に配置されている請求項13に記載の電気化学電池。
【請求項15】
前記少なくとも1つの検出電極と前記少なくとも1つの電界電極とが前記基板の同じ側に配置されている請求項13に記載の電気化学電池。
【請求項16】
前記少なくとも1つの電界電極の各々が導電層及び絶縁層を含み、前記絶縁層が前記基板と前記導電層との間に配置されている請求項13に記載の電気化学電池。
【請求項17】
前記少なくとも2つの検出電極のうちの1つ以上の電極に関して前記電気的特性を測定するための手段が、前記少なくとも2つの検出電極の前記1以上の電極の電気的特性の時間依存性を測定する請求項2に記載の電気化学電池。
【請求項18】
前記ガスセンサが、ガス混合物の成分の濃度を測定する請求項11に記載の電気化学電池。
【請求項19】
前記ガスセンサが、ガスの存在を検知する請求項11に記載の電気化学電池。
【請求項20】
前記少なくとも2つの検出電極の第1の電極が前記電解質の第1の面上に配置され、
前記少なくとも2つの検出電極の第2の電極が前記電解質の前記第1の面上に配置され、
前記少なくとも2つの検出電極のうちの1つ以上の電極に関して特性を測定するための手段が、前記第1の検出電極と前記第2の検出電極との間の電圧を測定するための手段を備える請求項18に記載の電気化学電池。
【請求項21】
前記少なくとも2つの検出電極のうちの少なくとも1つの電極の付近に電界を生成するための手段が、前記電界を前記第1の検出電極の付近に生成する請求項20に記載の電気化学電池。
【請求項22】
前記電界を生成するための手段が、前記電界を前記第2の検出電極の付近に生成する請求項21に記載の電気化学電池。
【請求項23】
前記電界を生成するための手段が、少なくとも1つの電界電極を含む請求項21に記載の電気化学電池。
【請求項24】
前記少なくとも1つの電界電極が、前記第1の検出電極を取り囲む第1のリング形状の電極を含む請求項23に記載の電気化学電池。
【請求項25】
さらに、前記基板上に配置された参照電極を備える請求項1に記載の電気化学電池。
【請求項26】
前記成分がNO(一酸化窒素)である請求項18に記載の電気化学電池。
【請求項27】
前記成分がNO(二酸化窒素)である請求項18に記載の電気化学電池。
【請求項28】
前記成分が、アンモニア、SO(二酸化硫黄)、SO(三酸化硫黄)、炭化水素、H(水素)、HO(水)、CO(一酸化炭素),及びCO(二酸化炭素)から成る群から選択される請求項18に記載の電気化学電池。
【請求項29】
さらに、前記測定された電気的特性から前記成分の濃度を決定するための手段を備える請求項18に記載の電気化学電池。
【請求項30】
前記電界を生成するための手段が、前記基板と電気的に接触していない請求項1に記載の電気化学電池。
【請求項31】
基板と、
前記基板上に配置された少なくとも1つの検出電極と、
前記少なくとも1つの検出電極の付近に電界を生成するための手段と、
前記少なくとも1つの検出電極に関する特性を測定するための手段と、
を備えることを特徴とする装置。
【請求項32】
前記特性が電気的特性である請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記電気的特性が、前記少なくとも1つの検出電極の前記1つの電極のインピーダンスである請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記電気的特性が、少なくとも1つの検出電極のうちの前記1つの電極の抵抗である請求項32に記載の装置。
【請求項35】
前記電気的特性が、少なくとも1つの検出電極のうちの前記1つの電極のキャパシタンスである請求項32に記載の装置。
【請求項36】
電気的特性を測定するための手段が、前記少なくとも1つの検出電極の前記1つの電極の電気的特性の時間依存性を測定する請求項32に記載の装置。
【請求項37】
前記基板が電解質を含み、前記少なくとも1つの検出電極の前記1つの電極が前記電解質と電気的に接触している請求項32に記載の装置。
【請求項38】
前記電気的特性が、前記少なくとも1つの検出電極の2つの電極間のインピーダンスである請求項32に記載の装置。
【請求項39】
前記特性が温度である請求項31に記載の装置。
【請求項40】
さらに、前記少なくとも1つの検出電極の少なくとも1つの電極の温度を変更するための手段を備え、前記温度を変更することが、前記測定される電気的特性を変える請求項32に記載の装置。
【請求項41】
さらに、前記少なくとも1つの検出電極の前記少なくとも1つの電極の前記温度を監視するための手段を備える請求項40に記載の装置。
【請求項42】
電解質を含む基板と、
前記電解質と電気的に接触している少なくとも2つの電極と、
前記少なくとも2つの電極のうちの1つ以上の電極の表面を1つ以上のガスに暴露させるための手段と、
電界を前記表面の付近に生成するための手段と、
を備え、
前記電界が、前記1つ以上のガスと前記少なくとも2つの電極のうちの前記1つ以上の電極との触媒反応を変えることを特徴とする触媒反応装置。
【請求項43】
前記電界が、前記1つ以上のガスと、前記少なくとも2つの電極のうちの前記1つ以上の電極との前記触媒反応を促進させる請求項42に記載の触媒反応装置。
【請求項44】
さらに、前記電解質を前記1つ以上のガスに暴露するための手段を備え、前記電界が前記1つ以上のガスと前記電解質との触媒反応を変える請求項42に記載の触媒反応装置。
【請求項45】
さらに、前記電解質を前記1つ以上のガスに暴露するための手段を備え、前記電界が前記1つ以上のガスと前記電解質との触媒反応を変える請求項43に記載の触媒反応装置。
【請求項46】
さらに、前記少なくとも2つの電極の2つの電極にわたってバイアスを印加するための手段を備える請求項43に記載の触媒反応装置。
【請求項47】
前記バイアスを印加するための手段が、電圧源である請求項46に記載の触媒反応装置。
【請求項48】
前記バイアスを印加するための手段が、電流源である請求項46に記載の触媒反応装置。
【請求項49】
前記基板が、前記1つ以上のガスが流通することを可能にする多孔質構造体を含み、前記少なくとも2つの電極が前記多孔質構造体内に複数の粒子を含む請求項42に記載の触媒反応装置。
【請求項50】
電解質を含む基板と、
前記基板上に配置され、前記電解質と電気的に接触している少なくとも2つの電極と、
前記少なくとも2つの電極のうちの1つ以上の電極の付近に電界を生成するための手段と、
を備え、
前記少なくとも2つの電極のうちの前記1つ以上の電極が1つ以上のガスに暴露されるときに出力EMFが前記少なくとも2つの電極の間に生成され、前記少なくとも2つの電極のうちの前記1つ以上の電極の付近の前記電界が前記出力EMFを変更することを特徴とする装置。
【請求項51】
さらに、前記少なくとも2つの電極の前記2つの電極に接続された負荷を備え、電力が前記負荷に供給される請求項50に記載の装置。
【請求項52】
前記少なくとも2つの電極の前記2つの電極が前記基板の対向する側にあり、第1のガスが前記2つの電極の第1の電極と接触し、前記第1のガスが反応して、前記第1のガスの成分のイオン及び/又は前記第1のガスのイオンが前記電解質を通過して前記2つの電極の第2の電極に到達し、それぞれ、前記第1のガスの前記成分及び/又は前記第1のガスになる請求項50に記載の装置。
【請求項53】
さらに、バイアスを前記少なくとも2つの電極の前記2つの電極にわたって印加するための手段を備える請求項52に記載の装置。
【請求項54】
前記バイアスを印加するための手段が、電圧源である請求項53に記載の装置。
【請求項55】
前記バイアスを印加するための手段が、電流源である請求項53に記載の装置。
【請求項56】
電解質を含む基板を設けることと、
前記基板上に配置され、前記電解質と電気的に接触する少なくとも2つの検出電極を設けることと、
前記少なくとも2つの検出電極のうちの少なくとも1つの電極の付近に電界を生成することと、
前記少なくとも2つの検出電極のうちの1つ以上の電極に関して特性を測定することと、
を含み、
前記少なくとも2つの検出電極の付近に前記電界を生成することが、前記測定される特性を変えることを特徴とする方法。
【請求項57】
前記特性が電気的特性である請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記特性が温度である請求項56に記載の方法。
【請求項59】
前記電気的特性が、前記少なくとも2つの検出電極の2つの電極間の電圧である請求項57に記載の方法。
【請求項60】
前記電気的特性が、前記少なくとも2つの検出電極の2つの電極間を流れる電流である請求項57に記載の方法。
【請求項61】
前記電気的特性が、前記少なくとも2つの検出電極の2つの電極間のインピーダンスである請求項57に記載の方法。
【請求項62】
前記電気的特性が、前記少なくとも2つの検出電極の2つの電極間の抵抗である請求項57に記載の方法。
【請求項63】
前記電気的特性が、前記少なくとも2つの検出電極の2つの電極間のキャパシタンスである請求項57に記載の方法。
【請求項64】
さらに、前記少なくとも2つの検出電極のうちの少なくとも1つの電極の温度を変更することを含み、前記温度を変更することが、前記測定される電気的特性を変える請求項56に記載の方法。
【請求項65】
さらに、前記少なくとも2つの検出電極のうちの少なくとも1つの電極の温度を監視することを含む請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記方法がガスを検出するための方法である請求項56に記載の方法。
【請求項67】
前記電界を生成することが、前記基板上に配置された手段であって前記電界を生成するための手段により達成される請求項56に記載の方法。
【請求項68】
前記電界を生成するための手段が、前記基板上に配置された少なくとも1つの電界電極を含む請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記少なくとも1つの検出電極と前記少なくとも1つの電界電極とが、前記基板の対向する側に配置される請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記少なくとも1つの検出電極と前記少なくとも1つの電界電極とが、前記基板の同じ側に配置される請求項67に記載の方法。
【請求項71】
前記少なくとも1つの電界電極の各々が導電層及び絶縁層を含み、前記絶縁層が前記基板と前記導電層との間に配置される請求項68に記載の方法。
【請求項72】
前記少なくとも2つの検出電極のうちの1つ以上の電極に関して前記電気的特性を測定するための手段が、前記少なくとも2つの検出電極のうちの前記1つ以上の電極の電気的特性の時間依存性を測定する請求項57に記載の方法。
【請求項73】
前記ガスセンサがガス混合物の成分の濃度を測定する請求項66に記載の方法。
【請求項74】
前記ガスセンサがガスの存在を検知する請求項66に記載の方法。
【請求項75】
前記少なくとも2つの検出電極の第1の電極が前記電解質の第1の面上に配置され、
前記少なくとも2つの検出電極の第2の電極が前記電解質の前記第1の面上に配置され、
前記少なくとも2つの検出電極のうちの1つ以上の電極に関して特性を測定するための手段が、前記第1の検出電極と前記第2の検出電極との間の電圧を測定するための手段を含む請求項73に記載の方法。
【請求項76】
前記少なくとも2つの検出電極のうちの少なくとも1つの電極の付近に電界を生成するための手段が、前記電界を前記第1の検出電極の付近に生成する請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記電界を生成するための手段が、前記電界を前記第2の検出電極の付近に生成する請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記電界を生成するための手段が、少なくとも1つの電界電極を含む請求項76に記載の方法。
【請求項79】
前記少なくとも1つの電界電極が、前記第1の検出電極を取り囲む第1のリング形状の電極を含む請求項78に記載の方法。
【請求項80】
さらに、前記基板上に配置された参照電極を含む請求項56に記載の方法。
【請求項81】
前記成分がNOである請求項73に記載の方法。
【請求項82】
前記成分がNOである請求項73に記載の方法。
【請求項83】
前記成分が、アンモニア、SO、SO、炭化水素、H、HO、CO及びCOから成る群から選択される請求項73に記載の方法。
【請求項84】
さらに、前記測定された電気的特性から前記成分の濃度を決定するための手段を含む請求項73に記載の方法。
【請求項85】
前記電界を生成するための前記手段が前記基板と電気的に接触していない請求項56に記載の方法。
【請求項86】
基板を設けることと、
前記基板上に配置される少なくとも1つの検出電極を設けることと、
前記少なくとも1つの検出電極の1つの電極の付近に電界を生成することと、
前記少なくとも1つの検出電極のうちの前記1つの電極に関して特性を測定することと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項87】
前記特性が電気的特性である請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記電気的特性が、前記少なくとも1つの検出電極のうちの前記1つの電極のインピーダンスである請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記電気的特性が、少なくとも1つの検出電極のうちの前記1つの電極の抵抗である請求項87に記載の方法。
【請求項90】
前記電気的特性が、少なくとも1つの検出電極のうちの前記1つの電極のキャパシタンスである請求項87に記載の方法。
【請求項91】
電気的特性を測定するステップが、前記少なくとも1つの検出電極のうちの前記1つの電極の前記電気的特性の時間依存性を測定することを含む請求項87に記載の方法。
【請求項92】
前記基板が電解質を含み、前記少なくとも1つの検出電極のうちの前記1つの電極が前記電解質と電気的に接触している請求項87に記載の方法。
【請求項93】
前記電気的特性が前記少なくとも1つの検出電極の2つの電極間のインピーダンスである請求項87に記載の方法。
【請求項94】
前記特性が温度である請求項86に記載の方法。
【請求項95】
さらに、前記少なくとも1つの検出電極のうちの少なくとも1つの電極の温度を変更することを含み、前記温度を変更することが、前記測定される電気的特性を変更する請求項94に記載の方法。
【請求項96】
さらに、前記少なくとも1つの検出電極のうちの前記少なくとも1つの電極の温度を監視することを含む請求項95に記載の方法。
【請求項97】
電解質を含む基板を設けることと、
前記電解質と電気的に接触する少なくとも2つの電極を設けることと、
前記少なくとも2つの電極のうちの1つ以上の電極の表面を1つ以上のガスに暴露させることと、
前記表面の付近に電界を生成することと、
を含み、
前記電界が、前記1つ以上のガスと前記少なくとも2つの電極の前記1つ以上の電極との触媒反応を変えることを特徴とする方法。
【請求項98】
前記電界が、前記1つ以上のガスと、前記少なくとも2つの電極のうちの前記1つ以上の電極との前記触媒反応を促進させる請求項97に記載の方法。
【請求項99】
さらに、前記電解質を前記1つ以上のガスに暴露させることを含み、前記電界が、前記1つ以上のガスと前記電解質との触媒反応を変える請求項98に記載の方法。
【請求項100】
さらに、前記電解質を前記1つ以上のガスに暴露させることを含み、前記電界が前記1つ以上のガスと前記電解質との触媒反応を変える請求項97に記載の方法。
【請求項101】
さらに、前記少なくとも2つの電極のうちの2つの電極にわたってバイアスを印加することを含む請求項98に記載の方法。
【請求項102】
前記バイアスを印加することが、前記少なくとも2つの電極のうちの2つの電極にわたって電圧を印加することを含む請求項101に記載の方法。
【請求項103】
前記バイアスを印加することが、前記少なくとも2つの電極のうちの2つの電極にわたって電流を印加することを含む請求項101に記載の方法。
【請求項104】
前記基板が、前記1つ以上のガスが流通することを可能にする多孔質構造体を含み、前記少なくとも2つの電極が前記多孔質構造体内に複数の粒子を含む請求項97に記載の方法。
【請求項105】
電解質を含む基板を設けることと、
前記基板上に配置され、前記電解質と電気的に接触する2つの電極を設けることと、
前記少なくとも2つの電極のうちの1つ以上の電極の付近に電界を生成することと、
を含み、
前記少なくとも2つの電極のうちの前記1つ以上の電極が、前記少なくとも2つの電極のうちの前記1つ以上の電極に反応する1つ以上のガスに暴露されるときに、出力EMFが前記少なくとも2つの電極のうちの2つの電極の間に生成され、前記少なくとも2つの電極のうちの前記1つ以上の電極の付近の前記電界が前記出力EMFを変更することを特徴とする方法。
【請求項106】
さらに、前記少なくとも2つの電極のうちの前記2つの電極に負荷を接続することを含み、電力が前記負荷に供給される請求項105に記載の方法。
【請求項107】
前記少なくとも2つの電極のうちの前記2つの電極が前記基板の対向する側にあり、第1のガスが前記2つの電極の第1の電極と接触し、前記第1のガスが反応して、前記第1のガスの成分のイオン及び/又は前記第1のガスのイオンが前記電解質を通過して前記2つの電極の第2の電極に到達し、それぞれ、前記第1のガスの前記成分及び/又は前記第1のガスになる請求項105に記載の方法。
【請求項108】
さらに、バイアスを前記少なくとも2つの電極のうちの前記2つの電極にわたって印加することを含む請求項107に記載の方法。
【請求項109】
前記バイアスを印加することが、電圧源により達成される請求項108に記載の方法。
【請求項110】
前記バイアスを印加することが、電流源により達成される請求項108に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【図3H】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図8F】
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【図8G】
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【図8H】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【公表番号】特表2011−506976(P2011−506976A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538211(P2010−538211)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【国際出願番号】PCT/US2008/086693
【国際公開番号】WO2009/076644
【国際公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(504433168)ユニバーシティ オブ フロリダ リサーチ ファウンデーション,インク. (10)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF FLORIDA RESEATCH FOUNDATION,INC.
【Fターム(参考)】