説明

固体撮像素子の取付構造

【課題】CCDの取付が簡単で、CCD基板が熱で変形した場合でもCCDの撮像面の位
置精度が変化しないようにする。
【解決手段】CCD取付板51の中央に設けた窓部51eの周縁部における裏面側に、当
接面51fを設ける。CCD14の前後の両端部を、裏面14bから付勢部材55の押圧
部55cによって当接面51fに押圧し、付勢部材55の取付部55aをCCD取付板5
1の表面51cに締結ビス56で固定する。CCD基板50は、CCD14のリード線1
4dにハンダ付けする。CCD基板50が熱によって変形した場合でも、CCD14は変
形しないので、結像レンズ13に対する、位置決め面としての撮像面14cの位置精度を
高く保てる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像素子の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機,プリンタ,ファクシミリ等の画像形成装置に使用される画像読取装置は、画像
を読み取るデバイスとして、CCD100等の固体撮像素子が使用される。
【0003】
図7は、CCD100の取付構造の一例を説明する上面図である。CCD100は、結
像レンズ101に向いた表面側が撮像面100aとなっていて、両端部のリード線100
bが、CCD基板(電装基板)102のスルーホールを貫通して、ハンダ付けされている
。CCD100は、これにより、CCD基板102の表面102a側に保持されている。
CCD基板102の背面(裏面)102b側には、種々の電装品や回路が配設されている
。CCD基板102は、CCD取付板103に固定されている。CCD取付板103には
、背面側に2個のブラケット103aが突設されていて、CCD基板102の両端部が、
これらブラケット103に、締結ビス104によって固定されている。CCD取付板10
3における、CCD100の撮像面100aに対応する部分には、窓部103bが設けら
れている。原稿の画像を読み取る際、光源から原稿を照射した光は、原稿によって反射さ
れ、その反射光は、複数のレンズによって反射され、さらに、結像レンズ101を通過し
て、CCD100の撮像面100aで結像し、光量に対応した、電気信号に変換されるよ
うになっている。
【0004】
上述のCCD基板102にあっては、使用に伴い、背面102b側に配設された電装品
等が高温となるため、図7に二点鎖線で示すように、両端部に対して中央側が背面側に凸
状に撓んでしまう。これにより、CCD100の撮像面100aが背面側にずれてしまう
。このため、結像レンズ101を通過した光は、撮像面100aの手前で結像してしまい
、いわゆるピントズレが発生する。
【0005】
特許文献1には、上述のようなピントズレを防止するための技術が提案されている。こ
のものは、CCDを背面側のスペーサに接着するとともに、スペーサの背面側に配置した
CCD基板にハンダ付けする。そして、スペーサを、CCD基板とともに、位置調整用の
ブラケットにねじによって固定している。これによると、CCD基板が熱によって湾曲し
た場合でも、CCDは湾曲しないので、撮像面の位置精度を確保することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−245098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の特許文献1によると、CCDの撮像面の位置精度を確保すること
はできるものの、CCDをスペーサによって保持するために、CCDをスペーサに接着す
る工程が必要となり、組み立て工数がかかるという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、昇温等によって電装基板が湾曲した場合でも、固体撮像素子の撮像
面の位置精度を高く保持することができ、かつ、組み立て作業が簡単な固体撮像素子の取
付構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、図3乃至図4に示すように、固体撮像素子14と、前記固体撮
像素子14の裏面14b側に対面するように前記固体撮像素子14とリード線14dで連
結された電装基板50と、前記固体撮像素子の表面14a側に位置する位置決め面として
の撮像面14cが後方から当接される当接面51fを裏面51d側に有する保持部材51
と、前記保持部材51に取り付けられて、前記固体撮像素子14を裏面14b側から付勢
して、前記撮像面14cを前記保持部材51の前記当接面51fに当接させる付勢部材5
5と、を備えた固体撮像素子の取付構造である。この発明において、前記保持部材51は
、光が通過する窓部51eを有し、前記窓部51eにおける裏面51d側の周縁部に前記
当接面51fが額縁状に形成されている。また、前記付勢部材55は、前記固体撮像素子
14の裏面14b側における、前記窓部51eの裏面51d側の前記当接面51fに対応
する部分を押圧する押圧部55cが凸状に突設されている。そして、前記固体撮像素子1
4は、前記撮像面14cが前記付勢部材55によって付勢されて額縁状の前記当接面51
fに額縁状に当接させられ、前記当接面51fと前記付勢部材55の前記押圧部55cと
で挟持されるようになっている。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る固体撮像素子の取付構造において、前記電装基
板50は、複数の電装品を有している。そして、前記複数の電装品のうち、高温になる前
記電装品は、前記電装基板50における、前記固体撮像素子14に対応する部分よりも外
側に配置されている、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、固体撮像素子と電装基板との間はリード線で連結されている
だけなので、例えば、電装基板が熱によって変形した場合であっても、固体撮像素子はそ
の影響をほとんど受けることがない。しかも、固体撮像素子は、その位置決めとしての撮
像面が、付勢部材によって直接、保持部材の当接面に当接されることで位置決めされてい
る。したがって、電装基板が変形しても、固体撮像素子は変形することなく、その撮像面
を高い精度で保持することができる。また、本発明によれば、固体撮像素子は、その撮像
面の一部を窓部の裏面側における周縁部に形成された当接面に当接させることで、撮像面
の位置決めがなされる。つまり、撮像面は、電装基板を介することなく、保持部材の位置
決め部に直接、当接されることで、直接、位置決めされることになる。また、本発明によ
れば、付勢部材は、保持部材の当接面との間に、固体撮像素子の周縁部を挟み込むことで
、固体撮像素子を付勢状態で保持することができる。つまり、付勢部材は、固体撮像素子
を付勢する際に、押圧部によって固体撮像素子を変形させにくい位置で付勢することにな
る。
【0012】
請求項2の発明によれば、固体撮像素子は、電装基板側で発生する熱の影響を一層受け
にくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】画像読取装置の縦断面を正面側(前側)から見た図である。
【図2】シート状の原稿のサイズがA列,B列である場合の、原稿載置用ガラスと、各サイズの原稿の載置位置と、光源を構成するLED素子との位置関係を説明する上面図である。
【図3】CCD近傍を上方から見た状態を模式的に示す拡大図である。
【図4】CCD近傍を左方から見た状態を模式的に示す拡大図である。
【図5】(a),(b),(c)はこの順に、CCD基板、付勢部材、CDDをそれぞれ単品として左方から見た図である。
【図6】CCD取付板を単品として左方から見た図である。
【図7】従来の構成において、CCD近傍を上方から見た状態を模式的に示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の最良の実施形態を図面に基づき詳述する。なお、各図面において、同じ
符号を付した部材等は、同じ構成のものであり、これらについての重複説明は適宜省略す
るものとする。また、各図面においては、説明に不要な部材等は適宜、図示を省略してい
る。
【0015】
<実施形態1>
図1〜図6を参照して、本発明に係る画像読取装置10について説明する。このうち、
図1は、画像読取装置10の縦断面を正面側(前側)から見た図である。図2は、シート
状の原稿GのサイズがA列,B列である場合の、原稿載置用ガラス18と、各サイズの原
稿Gの載置位置と、光源12を構成するライン状のLED素子L1〜L22との位置関係
を説明する上面図である。図3は、CCD14の近傍の上面図である。図4は、CCD1
4近傍の左側面図である。図5(a)はCCD基板50の左側面図、(b)は付勢部材5
5の左側面図、(c)はCCD14の左側面図である。図6は、CCD取付板51の左側
面図である。なお、図1〜図3において矢印で示す前後左右上下等の方向は、実際の画像
読取装置10、光源12、CCD14等の前後左右上下等の方向を示している。
【0016】
図1に示すように、画像読取装置10は、照明装置11と結像レンズ13とCCD(固
体撮像素子)14とを備えており、さらに、照明装置11は、光源12と駆動装置15と
を備えている。これら光源12、駆動装置15、結像レンズ13、CCD14は、いずれ
も直方体状の筐体(フレーム)16の内側の収納室Sに配設されている。筐体16は、そ
の上面に開口部17を有していて、この開口部17には、原稿Gの固定読み時に使用され
る透明な原稿載置用ガラス18が配設されている。これに対し、後述する原稿自動給送装
置60を使用して、原稿Gを流し読みする際には、この原稿載置用ガラス18の左側に配
置されている、前後方向に長い透明なシートスルー用ガラス18aが使用される。
【0017】
図2に示すように、原稿載置用ガラス18は、最大サイズの原稿G(本実施形態ではA
3サイズ)よりも大きい長方形状に形成されている。原稿載置用ガラス18の左端には前
後方向に向けて左指示板20が、また後端及び前端には、それぞれ左右方向に向けて後指
示板21、前指示板22が配設されている。このうち左指示板20と後指示板21とが交
差する位置が、原稿Gを固定読みする際の読取基準位置P01となる。固定読み時に原稿
載置用ガラス18に載置される原稿Gは、1つの角部を基準位置P01に合わせ、左端を
左指示板20に合わせ、後端を後指示板21に合わせて位置決めされる。これが、固定読
み時の読取位置である。図2中には、読取位置に配置された状態の各サイズの原稿Gの位
置及び向きを、「A6R,B6R,B5(R),A4(R),B4,A3」のように表示
している。なお、左指示板20及び後指示板21における、これらの表示に対応する位置
には、これらと同じ表記が付されている。原稿載置用ガラス18の左端側における下方に
は、光源12が配設されている。光源12は、後述するように、点光源であるのLED素
子L1〜L22を前後方向に並べて全体として前後方向に長く構成されている。
【0018】
図1に示すように、原稿載置用ガラス18の左端側の下方には、照明用光学移動枠ユニ
ット23が配設されている。照明用光学移動枠ユニット23は、前後方向に長い移動枠2
4を有している。この移動枠24には、光源12が取り付けられた光源用メイン基板(基
板)25と、導光レンズ19と、反射板26と、第1ミラー27とが搭載されている。こ
のうち光源用メイン基板25は、図2に示すように、前後方向に長く形成されていて、そ
の上面には、光源12が取り付けられている。本実施形態では、光源12は、点光源であ
るLED素子L1〜L22を複数(図2では22個)、前後方向にライン状に整列させて
構成している。ここで、ライン状とは、1本の直線上に整列された場合に限らず、例えば
千鳥状に整列して、実質的に直線状である場合も含めるものとする。これらLED素子L
1〜L22は、ライン方向(前後方向)に沿って原稿Gの画像面をムラ無く照射できる所
定のピッチP(本実施形態では15mm)で整列されている。図2において、最後端のL
ED素子L1の中心から、最前端のLED素子L22の中心までの距離が、315mm(
=15mm×21)に設定されていて、これらLED素子L1とLED素子L22との間
に、図2に示す例では、通紙幅が最大となる、A4サイズの原稿Gの長辺(=297mm
)、またはA3サイズの原稿Gの短辺(=297mm)が入るように設定されている。複
数のLED素子L1〜L22によって構成された光源12は、図1に示すように、原稿載
置用ガラス18の上面に設定されている読取ラインLnを右斜め下方から照射するように
なっている。これらLED素子L1〜L22は、図1に示す制御手段70によって、個別
に点灯(オン)及び消灯(オフ)のタイミングが制御される。また、光量についても、制
御手段70により、電流値又は電圧値が調整されることで、個別に制御されるようになっ
ている。導光レンズ19は、光源12と読取ラインLnとの間に位置するように、移動枠
24によって保持されており、光源12から発光された光を読取ラインLnに導くように
なっている。
【0019】
図1に示すように、反射板26は、読取ラインLnから下ろした垂線に対して、上述の
光源12と反対側に配置されている。上述のように、光源12は、原稿載置用ガラス18
上の原稿Gを右斜め下方から照射しているため、原稿Gの左端に影が形成されて、この影
が前後方向の直線状の画像として読み込まれがちである。反射板26は、光源12からの
光を反射して読取ラインLnに導いて、この影を除去する。なお、本実施形態では、反射
板26は、光源12からの光を反射して原稿Gの画像面を間接照射し、これにより、直接
照射による物面照度ムラや像面照度ムラを低減する部材としても使用されている。
【0020】
照明用光学移動枠ユニット23における、読取ラインLnの直下に位置する部分には、
第1ミラー27が配設されている。第1ミラー27は、左斜め上の45度を向けた状態で
取り付けられている。以上のように、照明用光学移動枠ユニット23は、移動枠24に光
源12、光源用メイン基板25、導光レンズ19、反射板26、第1ミラー27を搭載し
た状態で、左右方向に敷設した光学レール(ガイド部材)29に沿って左右方向に移動で
きる。つまり、前後方向にライン状(線状)の光源12に対して、これに直交する左右方
向に移動することができるようになっている。この照明用光学移動枠ユニット23は、右
方に移動しながら読取ラインLnに向けて光源12から光を照射し、原稿Gの画像面から
の反射光を次に説明する第2ミラー28に導くものである。
【0021】
図1に示すように、原稿載置用ガラス18の左端側の下方には、上述の照明用光学移動
枠ユニット23の左方に、反射用光学移動枠ユニット30が配設されている。反射用光学
移動枠ユニット30は、前後方向に長い移動枠31を有している。この移動枠31には、
右斜め下45度を向けた状態で第2ミラー28が、また右斜め上45度を向けた姿勢で第
3ミラー32が搭載されている。さらに、この移動枠31は、その前端と後端とにおいて
、可動プーリ33を回動自在に支持している。以上のように、反射用光学移動枠ユニット
30は、第2ミラー28、第3ミラー32、可動プーリ33を搭載した状態で、左右方向
に敷設された光学レール29に沿って左右方向に移動できるようになっている。この反射
用光学移動枠ユニット30は、右方に移動しながら、上述の照明用光学移動枠ユニット2
3の第1ミラー27からの光を第2ミラー28、第3ミラー32で反射して後述の結像レ
ンズ13に導くものである。
【0022】
図1に示すように、筐体16の左端近傍には前端と後端とに固定左プーリ34,34が
、また筐体16の右端近傍には前端と後端とに固定右プーリ35,35がそれぞれ回動自
在に配設されている。また、固定右プーリ35,35の下方には、正逆回転可能なモータ
36が配設されている。さらに、モータ36の左方には、駆動軸37と一体の駆動プーリ
38が配設されていて、モータ36の出力軸40と駆動プーリ38との間には、駆動ベル
ト41が張設されている。駆動軸37の前端と後端とには、ワイヤドラム42,42が固
定されており、これらワイヤドラム42,42には、それぞれ光学ワイヤ43,43が巻
き掛けられている。
【0023】
これら光学ワイヤ43,43の一方の端部44,44は、筐体16の左側壁45の内面
に固定されている。光学ワイヤ43,43は、ここから右方に延びて、反射用光学移動枠
ユニット30の可動プーリ33,33の右半部に掛け渡されて左方に折り返し、固定左プ
ーリ34,34の左半部に掛け渡された後、右方に折り返して固定右プーリ35,35に
向かって延びる。さらに、ワイヤドラム42,42に1周分巻き付けられた後、固定右プ
ーリ35,35の右半部に掛け渡されて左方に延び、途中で照明用光学移動枠ユニット2
3に固定された後、さらに左方に延びて、可動プーリ33,33の左半部に掛け渡されて
右方に折り返し、レンズ取付台46上に突設されたフック47に係止されている。
【0024】
このような光学ワイヤ43,43の引き回しに基づき、モータ36が図1中の反時計回
りに回転すると、駆動ベルト41、駆動プーリ38、駆動軸37を介して、ワイヤドラム
42,42が同じく反時計回りに回転する。これに伴い、光学ワイヤ43,43に引かれ
て、照明用光学移動枠ユニット23及び反射用光学移動枠ユニット30が右方に移動する
。この際、反射用光学移動枠ユニット30は、その可動プーリ33,33がいわゆる動滑
車として作用するため、移動距離が照明用光学移動枠ユニット23の移動距離の半分とな
る。これにより、照明用光学移動枠ユニット23及び反射用光学移動枠ユニット30の移
動にかかわらず、読取ラインLnからCCD14に至る光路長が一定に保持されて、次に
説明する結像レンズ13を通過した光がCCD14上で像を結ぶようになっている。なお
、本実施形態では、上述のように光源12を移動させるための構成全体が駆動装置(移動
装置15)に相当する。
【0025】
図1に示すように、結像レンズ13は、レンズ取付台46に固定されたレンズ取付板4
8上に固定されている。光源12から照射された光は、原稿Gの画像面で反射されて、同
図に示す光路Kをたどる。すなわち、画像面からの反射光は、第1ミラー27、第2ミラ
ー28、第3ミラー32で反射されて結像レンズ13を通過して、次に説明するCCD1
4上で結像される。レンズ取付板48の後端側には屈曲形状のCCD調整板49が固定さ
れていて、このCCD調整板49の水平部49aには、前端側と後端側とに、後述する光
軸調整ピン53,53が螺合される雌ねじ(不図示)が螺刻されている。
【0026】
CCD14は、直立姿勢のCCD基板(電装基板)50の表面(図1では左面)に取り
付けられており、CCD取付板(保持部材)51によって保持された状態で、CCD基板
50とともに、箱状のCCDカバー52によって覆われている。CCD取付板51の上端
は、左方に屈曲された水平部51aとなっていて、この水平部51aには、前端側と後端
側とに、光軸調整ピン53,53が貫通する透孔(不図示)が穿設されている。光軸調整
ピン53,53は、CCD取付板51側の水平部51a上の透孔を上方から貫通するとと
もに、CCD調整板49側の水平部49aの雌ねじに螺合されている。さらに、これら水
平部49a,51aの間には、光軸調整ピン53,53によって貫通された圧縮ばね54
,54が介装されている。CCD取付板51は、この圧縮ばね54,54によって、CC
D調整板49に対して上方に付勢されており、上述の光軸調整ピン53,53の大径の頭
部に下方から当接されている。光軸調整ピン53,53は、CCD調整板49の水平部4
9aに対するねじ込み量を調整することで、CCD14の前後方向の傾斜を調整すること
ができるようになっている。なお、本発明においては、CCD14の取付構造を工夫する
ことで、CCD基板50が熱変形した場合でも、その影響がCCD14の取付精度に可及
的、影響を及ぼさないようにしている。この点については後に詳述する。
【0027】
図1に示すように、本実施形態では、画像読取装置10は、原稿載置用ガラス18の上
方に、開閉自在な自動原稿給送装置60を備えていて、この自動原稿給送装置60で原稿
Gを搬送することで、原稿Gの流し読みを行っている。自動原稿給送装置60全体は、後
端側が、筐体16における原稿載置用ガラス18の後方に位置する部分によって揺動自在
に支持されており、前端側がほぼ上下方向に開閉自在になっている。自動原稿給送装置6
0は、原稿Gの搬送方向に沿っての上流側から順に配設された給紙トレイ61、搬送ロー
ラ62、排紙ガイド63、排紙トレイ64等を備えている。このうち排紙ガイド63は、
上述の左指示板20の左端側の上面に、右上がりの傾斜面として形成されている。
【0028】
図1に示すように、給紙トレイ61には、載置された原稿Gの後端及び前端(原稿Gの
搬送方向に向かってみた場合の右端及び左端)の位置を規制するサイド規制板65,66
が前後方向に移動自在に配設されている。これらサイド規制板65,66の間には、例え
ば、ラック&ピニオン等の連動機構(不図示)が介装されていて、給紙トレイ61の通紙
幅方向(前後方向)の中心に向けて一方のサイド規制板65(又は66)を移動させると
、他方のサイド規制板66(又は65)も同様に中心に向かって移動し、また、この逆に
、一方のサイド規制板65(又は66)を中心から遠ざかる方向に移動させると、他方の
サイド規制板66(又は65)も同様に中心から遠ざかる方向に移動する。つまり、給紙
トレイ61上に原稿Gを載置した後、サイド規制板65,66をそれぞれ原稿Gの後端及
び前端に押し当てることにより、通紙幅の異なる種々の原稿Gを給紙トレイ61の通紙幅
方向の中央に配置することができる。すなわち、自動原稿給送装置60を使用して原稿G
を流し読みする場合には、原稿Gは中央基準で読み取られるようになっている。
【0029】
給紙トレイ61には、載置された原稿Gの通紙幅を検知するためのサイズ検知センサ(
不図示)が配置されている。上述のように、給紙トレイ61に載置された原稿Gは、サイ
ド規制板65,66がそれぞれ後端,前端に当接されることで、給紙トレイ61の前後方
向の中央に位置決めされる。サイズ検知センサは、このときのサイド規制板65,66の
位置を検知することで、原稿Gの通紙幅を検知することができる。
【0030】
上述構成の画像読取装置10は、原稿Gの画像を読み取る際に、原稿Gを固定して光源
12を移動させる固定読みと、光源12を固定して原稿Gを移動させる流し読みとの双方
を行うことができる。また、いずれの場合も、原稿Gの照射に必要なLED素子Lのみが
点灯され、照射に寄与しないLED素子Lは消灯されるようになっている。
【0031】
前者の固定読みに際しては、自動原稿給送装置60を開放して、原稿Gを原稿載置用ガ
ラス18上にセットする。このとき、原稿Gを後端基準で読取位置にセットする。自動原
稿給送装置60を原稿Gの上から閉鎖すると、一旦、光源12のすべてのLED素子L1
〜L22が点灯され、原稿Gからの反射光がCCD14に入射される。このときの通紙幅
方向に沿っての入射光量の違いに基づいて、原稿Gのサイズ(通紙幅)が検知される。制
御手段70は、この検知結果に基づいて、画像読取りの際に点灯させるLED素子Lを決
定する。例えば、図2に示すように、後端基準で原稿載置用ガラス18にセットされた原
稿Gが、A4縦(A4R)の場合には、LED素子L1〜L16の合計16個のLED素
子Lが点灯されることになる。
【0032】
つづいて、作業者が筐体16に取り付けられている操作パネル(不図示)を操作して読
取開始ボタン(不図示)を押す。これにより、照明用光学移動枠ユニット23が原稿Gの
左端よりも左側の読取開始位置に配置され、ここから右方に移動する。これに伴い、照明
用光学移動枠ユニット23に搭載されている光源12が原稿Gの画像面を読取ラインLn
に沿って照射(主走査)しながら、右方に移動して副走査し、原稿Gの画像面をその全領
域にわたって、光照射する。画像面からの反射光は、さらに第1ミラー27,第2ミラー
28,第3ミラー32で反射され、結像レンズ13を通って結像し、CCD14に導かれ
る。これにより、原稿Gの画像面が全領域にわたって読み取られる。
【0033】
一方、後者の流し読みに際しては、自動原稿給送装置60を閉鎖した状態で、給紙トレ
イ61上に原稿Gをその画像面を上に向けた状態で載置し、原稿Gの後端及び前端にサイ
ド規制板65,66を当接させることで、原稿Gを給紙トレイ61の中央にセットする。
これにより、原稿Gの通紙幅が検知される。操作パネルの読取開始ボタンを押すと、照明
用光学移動枠ユニット23が左指示板20の左側のシートスルー用ガラス18aの画像読
取部Rの下方の読取位置に移動する。給紙トレイ61上の原稿Gは、搬送ローラ62等に
よって画像読取部Rに搬送される。このとき、光源12から照射された照射光は、画像読
取部Rを通過する原稿Gの画像面によって反射され、上述の固定読みの場合と同様、第1
ミラー27,第2ミラー28,第3ミラー32で反射され、結像レンズ13を通って結像
し、CCD14に導かれる。これにより、原稿Gの画像面が全領域にわたって読み取られ
る。流し読みに際し、例えば、原稿GがA4Rの場合には、LED素子L1〜L22のう
ち、中央側のLED素子L4〜L19が点灯され、両外側のLED素子L1〜L3及びL
ED素子L20〜L22は消灯される。
【0034】
次に、図3〜図6を参照して、CCD14の取付構造について説明する。図3は、CC
D14近傍を上方から見た状態を模式的に示す拡大図である。図4は、CCD14近傍を
左方から見た状態を模式的に示す拡大図である。図5,図6は、CCD14近傍の構成を
各部材毎に分解して示す左側面図である。なお、以下の説明では、CCD取付板51の垂
直部51b、CCD14、CCD基板50について、結像レンズ13に近い側の面を表面
側といい、遠い側の面を裏面側というものとする。また、図3中の方向を示す矢印の前後
方向は、図1における手前−奥方向、及び図2に示す前後方向に対応しており、図3に示
す左右方向は、図1,図2における左右方向と対応している。
【0035】
図3〜図5に示すように、固体撮像素子としてのCCD14は、上下方向に短く、前後
方向に長い長方形状に形成されている。言い換えると、表面14a側から見た形状として
は、左右方向に長い長方形状となっている。CCD14の表面14a側には、結像レンズ
13に対向するようにして、前後方向に長いR(レッド),G(グリーン),B(ブルー
),K(ブラック)の各色のラインセンサ(不図示)が上下4段に配置されている。CC
D14は、この各色のラインセンサが配置されている表面14aが、画像読取時の基準と
なる位置決め面としての撮像面14cとなっていて、上述の結像レンズ13を通過した光
は、この撮像面14cで結像されるようになっている。つまり、CCD14は、結像レン
ズ13に対して、この撮像面14cでピントが合うように左右方向の位置が調整されてい
る。CCD14の裏面14b側における前端側及び後端側には、それぞれリード線14d
が右方に向かって突設されている。
【0036】
CCD14の裏面14b側(右側)には、CCD基板50が配設されている。CCD基
板50は、CCD14よりも大きい長方形状に形成されていて、その表面50aがCCD
14の裏面14bに対面するように、所定の間隙を介して平行に配置されている。CCD
基板50には、CCD14のリード線14dに対応する部分にスルーホール50cが穿設
されていて、リード線14dは、スルーホール50cを表面50a側から裏面50bが貫
通するとともに、ハンダ付けされることで固定されている。本実施形態においては、CC
D基板50は、これを保持するための部材は特に設けてなく、CCD14によってリード
線14dを介して保持されるようになっている。CCD基板50の裏面50bには、回路
や、抵抗,レジスタ等の電装品(不図示)が多数配設されていて、リード線14dによっ
て、CCD14に接続されている。これら電装品は、CCD14の使用に伴って昇温する
。そこで、本実施形態では、電装品のうち、特に高温に昇温するものは、CCD基板50
のうちの、CCD14に対応する部分(CCD14と同形の長方形の領域)よりも外側に
位置するように配置した。これにより、CCD14に対する熱の影響が少なくなるように
している。なお、CCD基板50に対して、これの昇温を防止するような冷却手段(不図
示)を設けることも有効である。ここで、冷却手段としては、CCD基板50に直接、エ
アを吹き付けるファンや、CCD近傍にエアの流れを構成するようなファンを配置するも
のが考えられる。
【0037】
保持部材としてのCCD取付板51は、CCD14の表面14a側に配置されている。
CCD取付板51は、上述のCCD基板50とほぼ同じ大きさの垂直部51bと、この垂
直部51bの上端から左方に屈曲された水平部51aとを有しており、水平部51aの前
後の両端部には、上述の光軸調整ピン53が上方から貫通されている。垂直部51bのほ
ぼ中央には、垂直部51bを表面51c側から裏面51d側に貫通する窓部51eが形成
されている。窓部51eは、上下方向及び前後方向の寸法が、いずれもCCD14よりも
少し小さい長方形状に形成されている。窓部51eにおける裏面51d側の周縁部には、
額縁状に当接面51fが設けられている。この当接面51fに対して、CCD14の表面
14a側の位置決め面としての撮像面14cが、裏面側から額縁状に当接されることで、
結像レンズ13に対して、撮像面14cの位置決めが行われる。つまり、この状態で、結
像レンズ13を通過した光は、撮像面14cで結像するようになっている。
【0038】
CCD14は、CCD取付板51に取り付けられる付勢部材55によって保持される。
付勢部材55は、前後方向の両端部にそれぞれ配置された取付部55aと、取付部55a
からCCD基板50に向けてほぼ90度屈曲され、さらに、中央側に屈曲されて、CCD
14とCCD基板50との間に位置する付勢部55bを有していて、付勢部55bには、
前端側と後端側とにそれぞれ、CCD14の裏面14bに向けて凸状に突設された、上面
視「V」字形の押圧部55cが形成されている。図5(b),(c)に示すように、付勢
部材55の上下方向の寸法H1は、CCD14の上下方向の寸法H2よりも小さく設定さ
れていて、CCD14のリード線14dは、付勢部材55の上方及び下方を通過して、C
CD基板50に至るように構成されている。前後の取付部55aは、それぞれ締結ビス5
6によってCCD取付板51の垂直部51bの表面51cに固定されている。これにより
、押圧部55cが、CCD14の周縁部における前端側及び後端側を、裏面14b側から
CCD取付板51に押圧している。さらに、CCD14の裏面14bに対する、押圧部5
5cの押圧位置は、CCD取付板51の裏面51d側の当接面51fに対応している。つ
まり、CCD14の周縁部は、当接面51fと押圧部55cとによって挟み込まれるよう
になっている。これにより、押圧部55cが、CCD14における、当接面51fよりも
内側に位置する部分を押圧したときに発生する変形を未然に防止することができる。
【0039】
CCD14は、CCD取付板51に対して、以下のようにして取り付ける。CCD14
を、その周縁部がCCD取付板51の当接面51fに当接させた状態で保持する。この状
態で、付勢部材55によってCCD14を保持する。すなわち、付勢部材55の押圧部5
5cによって、CCD14の周縁部を裏面14b側から押圧し、付勢部材55の取付部5
5aを締結ビス56によってCCD取付板51に固定する。その後、CCD基板50を取
り付ける。すなわち、CCD基板50のスルーホールにCCD14のリード線14dを通
過させ、このリード線14dをハンダ付けする。これにより、CCD14によってCCD
基板50を保持することができる。
【0040】
以上のように、本発明によると、従来技術とは異なり、CCD14を接着する接着工程
が不要であり、その取付工程を簡略化することができる。さらに、CCD14は、その撮
像面14aがCCD取付板51に対して直接的に位置決めされているので、撮像面14a
を結像レンズ13に対して高い精度で位置決めすることができる。さらに、CCD14は
、CCD取付板51及び付勢部材55とによって直接保持されており、CCD基板50と
は、リード線14dを介して連結されているだけであるので、例えば、CCD基板50が
熱によって図3中の二点鎖線で示すように湾曲した場合でも、CCD14が湾曲するよう
なことはない。このため、結像レンズ13に対して、撮像面14cを常時、高い位置精度
で保持することが可能となる。なお、CCD14は、CCD保持板51と付勢部材55と
によって挟持されているだけであるので、CCD14は、必要に応じて、上下方向及び前
後方向の位置を、適宜に微調整することが容易である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
上述では、本発明を画像読取装置に使用する場合を例にして説明したが、本発明は、画
像読取装置以外の他の装置に対しても広く適用することができる。
【符号の説明】
【0042】
1……画像形成装置、2……シート給送部、3……画像形成部、4……定着部、5……
シート排出部、10……画像読取装置、12……光源、13……結像レンズ、14……C
CD(固体撮像素子)、14a……CCDの表面(固体撮像素子の表面)、14b……C
CDの裏面(固体撮像素子の裏面)、14c……撮像面(位置決め面)、14d……リー
ド線、50……CCD基板(電装基板)、51……CCD取付板(保持部材)、51d…
…CCD取付板の裏面(保持部材の裏面)、51e……窓部、51f……当接面、55…
…付勢部材、55c……押圧部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体撮像素子と、
前記固体撮像素子の裏面側に対面するように前記固体撮像素子とリード線で連結された
電装基板と、
前記固体撮像素子の表面側に位置する位置決め面としての撮像面が後方から当接される
当接面を裏面側に有する保持部材と、
前記保持部材に取り付けられて、前記固体撮像素子を裏面側から付勢して、前記撮像面
を前記保持部材の前記当接面に当接させる付勢部材と、を備え、
前記保持部材は、光が通過する窓部を有し、前記窓部における裏面側の周縁部に前記当
接面が額縁状に形成され、
前記付勢部材は、前記固体撮像素子の裏面側における、前記窓部の裏面側の前記当接面
に対応する部分を押圧する押圧部が凸状に突設され、
前記固体撮像素子は、前記撮像面が前記付勢部材によって付勢されて額縁状の前記当接
面に額縁状に当接させられ、前記当接面と前記付勢部材の前記押圧部とで挟持される、
ことを特徴とする固体撮像素子の取付構造。
【請求項2】
前記電装基板は、複数の電装品を有し、
前記複数の電装品のうち、高温になる前記電装品は、前記電装基板における、前記固体
撮像素子に対応する部分よりも外側に配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の固体撮像素子の取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−151912(P2012−151912A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−114159(P2012−114159)
【出願日】平成24年5月18日(2012.5.18)
【分割の表示】特願2007−224381(P2007−224381)の分割
【原出願日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】