説明

固体撮像装置およびその製造方法

【課題】高密度配線が可能で、高剛性と精度向上と高信頼性を持つ薄型の固体撮像装置を提供する。
【解決手段】本発明の固体撮像装置は、開口部を持ち、少なくとも1層の内層金属コアを含む絶縁性の積層基板と、前記積層基板の1方の面に前記開口部を塞ぐように設置された透光性部材と、前記積層基板の他方の面に前記開口部を塞ぐように設置された固体撮像素子と、を具備し、前記積層基板の周縁部で前記内層金属コアが露呈する領域を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像装置およびその製造方法に係り、特に、監視カメラ、医療用カメラ、車載用カメラ、情報通信端末用カメラなどの固体撮像素子を用いて形成される小型の固体撮像装置およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話、車載部品等で小型カメラの需要が急速に進展している。この種の小型カメラは固体撮像素子によりレンズなどの光学系を介して入力される画像を電気信号として出力する固体撮像装置が使用されている。そしてこの撮像装置の小型化、高性能化に伴い、各方面での使用が増え、映像入力装置としての市場を広げている。従来の半導体撮像素子を用いた撮像装置は、レンズ、半導体撮像素子、その駆動回路および信号処理回路などを搭載したLSI等の部品を夫々筐体あるいは構造体に形成してこれらを組み合わせている。このような組み合わせによる実装構造は、平板状のプリント基板上に各素子を搭載する構造をとることが多い。しかし、高機能化(小型化、解像度向上)の市場要求に伴い撮像素子の微細化が進み、わずかな位置ずれが、画質の問題となり、実装精度の向上が望まれている。
【0003】
例えば、特許文献1では、フレキシブル配線板を用いて高精度の配線を形成しているが、固体撮像素子を搭載する際に位置ずれが生じ易いという問題を回避すべく、フレキシブル配線板と補強板の積層基板を用い、この積層基板を貫通する貫通穴を位置決め穴として用いる方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−263550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の固体撮像装置では、貫通穴の形成は機械加工によってなされるため、十分な精度を得ることができないという問題があった。また片面は補強板であるため、部品の配置ができず、機能に限界があった。
近年、監視カメラ、医療用カメラ、車載用カメラ、情報通信端末用カメラなどの分野では、カメラの高機能化要求が高まってきているため、処理回路の高集積化が必須となり、配線基板のさらなる微細化・高密度化が求められている。
本発明は、前記実情に鑑みてなされたもので、更なる微細化・高密度化に対応可能な固体撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明の固体撮像装置は、開口部を持ち、少なくとも1層の内層金属コアを含む絶縁性の積層基板と、前記積層基板の1方の面に前記開口部を塞ぐように設置された透光性部材と、前記積層基板の他方の面に前記開口部を塞ぐように設置された固体撮像素子と、を具備し、前記積層基板の周縁部で前記内層金属コアが露呈する領域を含むことを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、上記固体撮像装置であって、開口部を有し、少なくとも1層の内層金属コアを含む絶縁性の積層基板と、前記積層基板の1方の面に前記開口部を塞ぐように設置された透光性部材と、前記積層基板の他方の面に前記開口部を塞ぐように設置された固体撮像素子と、を具備し、前記積層基板の周縁部に前記内層金属コアが露呈する複数の領域を含む。
【0008】
また、本発明は、上記固体撮像装置であって、前記複数の領域は、前記積層基板に設けられた基準穴を含み、前記基準穴の周縁で、前記内層金属コアが露出しており、前記積層基板の両面に、固体撮像素子と、透光性部材が配置されたものを含む。
【0009】
また、本発明は、上記固体撮像装置であって、前記透光性部材は光学レンズを含み、前記複数の領域を基準として、前記光学レンズと前記固体撮像素子とが、前記積層基板に対して、表裏から位置あわせ可能に構成されたものを含む。
【0010】
また、本発明は、上記固体撮像装置であって、前記透光性部材は、光学フィルタを含む。
【0011】
また、本発明は、上記固体撮像装置であって、前記内層金属コアが、前記積層基板のスルーホールを避けて面全体に形成された金属板であるものを含む。
【0012】
また、本発明は、上記固体撮像装置であって、前記積層基板の配線パターンの接地部が前記金属板に電気的に接続されたものを含む。
【0013】
また、本発明は、上記固体撮像装置であって、前記積層基板は、樹脂基材と配線パターンとの積層体で構成されたものを含む。
【0014】
また、本発明は、上記固体撮像装置であって、前記積層基板は、セラミック基材と配線パターンとの積層体で構成されたものを含む。
【0015】
また、本発明の固体撮像装置の製造方法は、開口部を有し、少なくとも1層の内層金属コアを含み、貫通した開口部をもつ絶縁性の積層基板を形成する工程と、一部に内層金属コアを突出させるように前記積層基板の外形を裁断する工程と、前記積層基板の開口部を塞ぐように固体撮像素子を搭載する工程と、前記積層基板の開口部を塞ぐように透光性部材を搭載する工程とを具備したことを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上記固体撮像装置の製造方法であって、前記積層基板を形成する工程は、周縁で前記内層金属コアが突出するように、基準穴を形成する工程を含む。
【0017】
また、本発明は、上記固体撮像装置の製造方法であって、前記積層基板を形成する工程は、金属板を形状加工し内層金属コアを形成する工程と、配線層を備えた樹脂基体を形成する工程と、前記内層金属コアを前記樹脂基体に貼着する工程とを含む。
【0018】
また、本発明は、上記固体撮像装置の製造方法であって、前記積層基板を形成する工程は、金属板を形状加工し内層金属コアを形成する工程と、セラミック積層グリーンシートを形成する工程と、前記内層金属コアを前記セラミック積層グリーンシートに貼着する工程とを含む。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、内部金属コアが周縁部に露呈しているため、この内部金属コアを基準として位置合わせが容易である。特に、この内部金属コアを、積層基板と、光学レンズを一体化したレンズ筐体との位置決めに用いることで、固体撮像素子と光学レンズとの、より高精度の位置決めが可能となる。また、固体撮像装置の薄型化が可能で、高密度配線が可能でかつ位置精度の向上を図ることができ、信頼性の高い固体撮像装置を得ることができる。また、この内部金属コアが積層基板から露呈していることで、放熱が容易となり、固体撮像素子チップの温度上昇を防ぐことができる。
また、本発明の固体撮像装置の製造方法を用いることにより、固体撮像装置の薄型化に際しても、容易に制御性よく、高精度で信頼性の高い固体撮像装置を製造することができる。その結果、携帯端末装置の薄型化も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施の形態1の固体撮像装置の分解斜視図
【図2】本実施の形態1の固体撮像装置のレンズ筐体を外した状態を示す断面図
【図3】本実施の形態1の固体撮像装置に用いられる積層基板の断面図
【図4】同積層基板を示す上面図
【図5】本実施の形態1の固体撮像装置の積層基板の製造工程を示す図
【図6】本実施の形態1の固体撮像装置の製造方法を示す工程断面図
【図7】本実施の形態2の固体撮像装置の製造方法を示す工程断面図
【図8】本実施の形態3の固体撮像装置の製造方法を示す工程断面図
【図9】本実施の形態の固体撮像装置の積層基板の変形例を示す上面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1の固体撮像装置の分解斜視図である。図2は、本実施の形態1の固体撮像装置のレンズ筐体を外した状態を示す斜視図、図3は、本実施の形態1の固体撮像装置に用いられる積層基板の要部断面図、図4は、同積層基板を示す上面図、図5は、同積層基板の製造工程を示す図である。
図1に示すように、この固体撮像装置は、開口部7を有し、内層金属コア2の両面に積層一体化された積層基板1と、この積層基板1の内層金属コア2側に開口部7を塞ぐように設置された透光性部材(光学フィルタ)14および光学レンズ15と、この積層基板1側に設置された固体撮像素子10とを具備している。そして積層基板1の周縁部である四隅で内層金属コア2が露呈する4つの領域(露出部4)を含む。そして、光学レンズ15と一体化したレンズ筐体16には、レンズ位置決めピンを構成する基準突起部17が形成されている。基準突起部17は、基準穴としての切込み部3に嵌合する基準となる突起であり、この基準突起部17が、内層金属コア2が露呈する露出部4を基準として、レンズ筐体16の実装がなされる。この基準突起部17は、3個設けられている。3個存在することで、より効率よい位置決めが可能となるが、4個でもよいし、2個でもよい。
【0022】
本実施の形態では、積層基板1と外形形状および大きさがほぼ同じ内層金属コア2とを積層して貼り合わせることで一体化している。この場合の積層基板1にはガラスエポキシ樹脂を絶縁性の樹脂基体1aとして用い、内層金属コア2には300μmの厚さの銅板を用いた。そして、内層金属コア2には基準穴としての切込み部3が形成されており、その周辺に内層金属コアの露出部4を形成している。そして、開口部7が開けられている。またこの積層基板1は図3に断面図を示すように、樹脂基体1a上に金属配線パターン1bが形成されており、固体撮像素子10が電気的に接続するように設置されている。積層基板1上には図1に示すように、金属配線パターン1bと接続するようにチップ部品11やコネクタ(図示せず)が設置されている。また、金属配線パターン1bの接地部は銅の内層金属コア2と電気接続がなされている。さらに、このとき用いた固体撮像素子10は裏面に遮光膜として黒色のエポキシ樹脂膜(図示せず)を塗布したものを使用した。なおこの遮光膜としては、固体撮像素子10の裏面に成膜されたタングステン薄膜などの金属膜であってもよい。
【0023】
図1は、本実施の形態1の固体撮像装置の分解斜視図であり、図1の固体撮像装置を斜め上面から見たものである。
積層基板1と外形形状が同じ大きさの内層金属コア2とを積層一体化しており、内層金属コア2にも開口部7が開けられている。透光性部材(透光性フィルタ)14には、赤外線カットフィルタ機能を持つガラスを使用した。そして、光学レンズ15と一体化したレンズ筐体16には、レンズ位置決めピンを構成する基準突起部17が形成されている。図に示している基準突起部17は基準穴としての切込み部3に嵌合する基準となる突起である。
【0024】
また、積層基板1の配線部は高密度配線を構成している。
【0025】
図4は本実施の形態1の固体撮像装置の積層基板の上面図である。
積層基板1と外形形状が同じ大きさの内層金属コア2とを積層一体化しており、基準穴としての切込み部3を有している。
【0026】
なお、積層基板1上に固体撮像素子10を実装するとともに、チップ部品11、コネクタ(図示せず)などを搭載し、さらに固体撮像素子10、チップ部品11を覆うようにモールド樹脂を形成してもよい。このように積層基板1を用いることで高密度配線を精度よく実現することができる。
【0027】
次に、本実施の形態の固体撮像装置の製造工程について説明する。
図5は、本実施の形態1の固体撮像装置の製造に用いられる積層基板の製造工程を示す工程断面図である。
図5(a)において、積層基板1を構成する内層金属コア2をパンチングにより切込み部3及び開口部7及び認識穴13を形成するとともに、ダイシングラインD.L.を形成する。
こののち、樹脂基体1aにビアを通し、両面に金属配線パターン1bの配線を形成する。樹脂基体1aには60μmの厚さのプリプレグを使用した。この場合、多数個取りの金属配線パターン1bを一度に形成した。なお、樹脂基体1aとしては、ポリイミドフィルムなどのフレキシブル基材を用いてもよい。
【0028】
そして図5(b)に示すように、内層金属コア2の両面に上記樹脂基体1aを貼り付けた。内層金属コアには、300μmの厚さの銅板を用いた。積層基板1と内層金属コア2の貼り付けには、導電性接着剤(図示せず)を用いて接着する。従って、積層基板1の配線の接地部と銅板を用いた内層金属コア2とが電気的に接続している。図示していないが、内層金属コア2側で接地したくない金属配線パターン1bの表面には絶縁膜を形成している。切込み部3の周りは内層金属コアの露出部4が確保されている。
【0029】
このようにして、積層基板1と内層金属コア2を積層一体化した後に外形をプレス裁断により個片に切り落とす。
このようにして、図5(c)に示すように、切込み部3の周りに内層金属コアの露出部4を有する、本発明の固体撮像装置用の実装基板としての積層基板が得られる。
【0030】
このようにして形成された積層基板を用い、図6(a)に示すように、透光性部材14を接着する。続いて、図6(b)に示すように、透光性部材14に対向して開口部を塞ぐように積層基板1の金属配線パターン1bに固体撮像素子10を設置した。固体撮像素子10の電極(図示せず)上にバンプ10bを形成し、その先端に導電性接着剤10cを転写形成した。このときのバンプ10bは金線で形成し、導電性接着剤10cは銀ペーストとした。図示しない認識用パターンを基準として固体撮像素子10を金属配線パターン1b上に設置した後に、導電性接着剤10cを加熱硬化した。
【0031】
図6(b)において、固体撮像素子10の周りには、接続部の補強のために封止樹脂9を注入し、その後に加熱硬化を行った。続いて、チップ部品11およびコネクタ(図示せず)は別途、金属配線パターン1bに半田接続した。
そして必要に応じて、モールドを行い、モールド樹脂により各部品を覆って補強を行う。
このようにして、図6(c)に示すように固体撮像素子10と透光性部材14とを積層した構造体を形成する。そしてこの構造体にレンズ筐体16を装着して固体撮像装置が製造される。
また、光学レンズ15を搭載したレンズ筐体16には、基準突起部17が形成されており、基準穴としての切込み部3に差し込むことにより嵌合した。また、配線ケーブル(図示せず)をコネクタ(図示せず)に接続した。
このような製造方法をとることにより、簡易に、薄型で、高剛性で、高精度と高放熱性と高信頼性の固体撮像装置を製造することができる。
【0032】
また、本発明の固体撮像装置においては固体撮像素子チップの裏面からモールド樹脂で覆うことで、固体撮像素子やチップ部品の実装強度を補強することができる。
【0033】
このような構成を持つことにより、積層基板1の薄さのメリットを活かしながら同じ外形を持つ内層金属コア2を一部で突出させることにより、合わせ精度と放熱性を確保することができる。内層金属コアの露出部4を形成することにより積層基板1のズレや端面における突起物等の基準認識の邪魔になるようなものを避けることができ、銅端面の高精度性での形状を確保することができる。この内層金属コアの露出部4を基準として、レンズ筐体16のレンズ位置決めピンである基準突起部17を精度よく位置合わせすることができる。その結果、積層基板1上の固体撮像素子10と、レンズ筐体16と一体化された光学レンズ15との位置あわせの高精度化が可能となる。
【0034】
積層基板1の表面にチップ部品11を搭載することにより、電気配線設計の自由度が高まる。つまり固体撮像素子近傍にチップ部品11をおくことができ、電気特性の最適化を図ることができる。また、コネクタ(図示せず)を積層基板1上に搭載することにより固体撮像素子10からの信号を外部に取り出すことができて、携帯機器との接続を自由に行うことができる。
【0035】
また、金属配線パターン1bを銅の内層金属コア2に電気接続しているので、ノイズ抑制や静電遮蔽を行うことができるので電気特性の安定性を得ることができる。さらに、固体撮像素子10の裏面にタングステンなどの金属薄膜からなる遮光性膜が塗布されているので、固体撮像素子10の裏面からの光入射による撮像信号のノイズを無くすことができる。特に金属配線パターン1bの接地部を銅の内層金属コア2と電気接続することで、特にノイズ抑制や静電遮蔽を確実にすることができる。
【0036】
また、固体撮像素子10、チップ部品11などの部品脱落を防ぎ、強固に接着しておくことができる。また固体撮像素子10の裏面にもモールド樹脂を形成することにより、固体撮像素子10の裏面からの透過光によるノイズを抑制することができる。固体撮像素子10の裏面からの透過光をより抑制するために固体撮像素子10の裏面に前述したように遮光膜が形成されていても良い。
【0037】
以上のように、本実施の形態1の固体撮像装置によれば、積層基板と内層金属コアが同じ外形寸法で積層構造をしており、固体撮像素子および透光性部材あるいは光学レンズを搭載する際の基準穴もしくは切込みが形成され、その周囲で積層基板側に内層金属コアの表面が露出しており、この内層金属コアを目印として、透光性部材をも設置することができる。従って、固体撮像装置の薄型化が容易で、作業性良く組み立てることができ、高剛性および光軸合わせの高精度性を得ることができる。
【0038】
また内層金属コア側には光性部材及び光学レンズが装着されている。固体撮像素子は、積層基板上に形成された図示しない認識用パターンを基準として、積層基板に対する位置あわせを行うことができる。なおこの穴は貫通穴でなくても切り込みであってもよい。
【0039】
また、上記実施の形態において、透光性部材として光学フィルタを用いるようにすれば、固体撮像素子への入射光の赤外線領域をカットして良好な撮像特性を得ることができる。
【0040】
また、本発明の固体撮像装置に用いる透光性部材を設置する内層金属コアの開口部周りの厚みが周囲よりも薄くなっていても良い。その結果、透光性部材の位置ずれを無くし、設置用の接着剤の拡がりも抑制することができる。
【0041】
なお、固体撮像素子と光学レンズとの位置あわせの必要性についてはいうまでもないが、透光性部材と固体撮像素子との位置あわせも必要である。
この理由について説明する。
光学レンズから出た光は固体撮像素子に向かって集光するように設計されており、正確には射出瞳位置から光が出てくるようになっている。このため、透光性部材14で構成される光学フィルタの大きさとしては板状部材の開口に対して接着部分を加えた寸法が必要となる。また、フィルタはワークサイズ(分割前の板材)が蒸着装置の中で均一な成膜をするために制限があり、ワークサイズは70mm角程である。そしてワークサイズから製品にする際にダイヤモンドブレードなどでダイシングし分割するため、つまりワークサイズからの取り数でコストが決まることになる。そこで接着面積を含めてサイズを最小にすることでコストを圧縮することができる。以上の観点から、薄型化とコスト低減を実現するために小さなフィルタを用いるのが望ましく、したがって上述したように光線の有効範囲を確実にカバーするために透光性部材の位置精度も必要となる。
【0042】
また、上述したように固体撮像装置に用いる固体撮像素子チップの裏面には遮光性膜が形成されていても良く、その結果、薄い固体撮像素子の場合に裏面からの光の透過によるノイズの発生を避けることができる。
この遮光性膜は、固体撮像素子の裏面に形成された金属膜であってもよい。この構成により、薄型でより確実に裏面からの光を遮光することができる。
また、この遮光性膜は、前記固体撮像素子の裏面に形成された遮光性の樹脂膜であってもよい。この構成により、形成が容易でかつ確実に裏面からの光を遮光することができる。
【0043】
なお、前記実施の形態では、積層基板の配線部と内層金属コア2とは、貼り合わせに先立ち切り込みおよび開口部7を形成したが、積層基板の配線部と内層金属コア2とは、貼り合わせてから開口部7を形成してもよい。このとき、レーザなどで切断することにより、積層基板の端縁を丸く形成することができ、屑の発生を防ぎ、撮像領域のコンタミネーションを防ぐことができる。
また、前記実施の形態では、積層基板1の周縁部である四隅で内層金属コア2が露呈する4つの領域(露出部4)を形成したが、図9に変形例を示すように2つ以上であればよい。
【0044】
(実施の形態2)
次に本発明の実施の形態2について説明する。
図7に示すように、シールド部材30を備えたことを特徴とする。
この固体撮像装置は、図7に断面図を示すように、実装用基板100上に一端を接続するとともに他端を固体撮像素子10表面に接続するシールド部材30を設けることにより、放熱性がさらに向上するとともに、グランド接続が容易となる。ここで固体撮像素子10は半田ボール18を介して実装用基板100上の配線パターンに接続される。そしてビス19によって固定される。
【0045】
(実施の形態3)
次に本発明の実施の形態3について説明する。
本発明の実施の形態3ではセミックグリーンシートを用いて積層基板を形成する方法について説明する。
本実施の形態では、図8(a)乃至(c)に示すように、積層基板1を形成する工程を、金属板を形状加工して切り欠き及び開口部を備えた内層金属コアを形成し、この内層金属コアに、セラミックグリーンシートを積層し焼成することで、寸法精度の高い切り欠きを備えた積層基板を形成することが可能となる。
すなわち、図8(a)に示すように、プレス工程を経て内層金属コア2を形成する。
そしてこの切り欠きに合わせて、スクリーン印刷により順次、セラミックグリーンシート、導体層を交互に繰り返し積層し、積層体を得る。
こののち焼成し、図8(b)に示すように、セラミック積層グリーンシートの間に内層金属コアを挟んだ積層体を形成する。
そして最後に、図8(c)に示すように、ダイシングラインD.L.に沿って個々の領域に分断する。
【0046】
このようにして、寸法精度の高い切り欠きを形成することができ、実装精度を高めることが可能となる。樹脂基板を用いた場合には切断時にバリが生じ易いという問題があるが、セラミックグリーンシートを用いて形成することで、容易に高精度の積層基板を形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上説明してきたように、本発明の固体撮像装置およびその製造方法は、固体撮像装置の薄型化が可能で、精度向上と信頼性の向上を図ることができることから、携帯電話などの小型携帯端末への適用が有用である。
【符号の説明】
【0048】
1 積層基板
1a 樹脂基体
1b 金属配線パターン
2 内層金属コア
3 切込み部(基準穴)
4 内層金属コアの露出部
7 開口部
9 封止樹脂
10 固体撮像素子(チップ)
10b バンプ
10c 導電性接着剤
11 チップ部品
13 認識穴
14 透光性部材
15 光学レンズ
16 レンズ筐体
17 基準突起部
18 半田ボール
19 ビス
30 シールド部材
100 実装用基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有し、少なくとも1層の内層金属コアを含む絶縁性の積層基板と、
前記積層基板の1方の面に前記開口部を塞ぐように設置された透光性部材と、
前記積層基板の他方の面に前記開口部を塞ぐように設置された固体撮像素子と、を具備し、
前記積層基板の周縁部に前記内層金属コアが露呈する複数の領域を含む固体撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の固体撮像装置であって、
前記複数の領域は、前記積層基板に設けられた基準穴を含み、
前記基準穴の周縁で、前記内層金属コアが露出しており、前記積層基板の両面に、前記固体撮像素子と、前記透光性部材が配置された固体撮像装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の固体撮像装置であって、
前記透光性部材は光学レンズを含み、
前記複数の領域を基準として、前記光学レンズと前記固体撮像素子とが、前記積層基板に対して、表裏から位置あわせ可能に構成された固体撮像装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の固体撮像装置であって、
前記透光性部材は、光学フィルタを含む固体撮像装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の固体撮像装置であって、
前記内層金属コアが、前記積層基板のスルーホールを避けて面全体に形成された金属板である固体撮像装置。
【請求項6】
請求項5に記載の固体撮像装置であって、
前記積層基板の配線パターンの接地部が前記金属板に電気的に接続された固体撮像装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の固体撮像装置であって、
前記積層基板は、樹脂基材と配線パターンとの積層体で構成された固体撮像装置。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の固体撮像装置であって、
前記積層基板は、セラミック基材と配線パターンとの積層体で構成された固体撮像装置。
【請求項9】
開口部を有し、少なくとも1層の内層金属コアを含み、貫通した開口部をもつ絶縁性の積層基板を形成する工程と、
一部に内層金属コアを突出させるように前記積層基板の外形を裁断する工程と、
前記積層基板の開口部を塞ぐように固体撮像素子を搭載する工程と、
前記積層基板の開口部を塞ぐように透光性部材を搭載する工程とを具備した固体撮像素子の製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の固体撮像装置の製造方法であって、
前記積層基板を形成する工程は、周縁で前記内層金属コアが突出するように、基準穴を形成する工程を含む固体撮像素子の製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載の固体撮像装置の製造方法であって、
前記積層基板を形成する工程は、
金属板を形状加工し内層金属コアを形成する工程と、
配線層を備えた樹脂基体を形成する工程と、
前記内層金属コアを前記樹脂基体に貼着する工程とを含む固体撮像素子の製造方法。
【請求項12】
請求項10に記載の固体撮像装置の製造方法であって、
前記積層基板を形成する工程は、
金属板を形状加工し内層金属コアを形成する工程と、
セラミック積層グリーンシートを形成する工程と、
前記内層金属コアを前記セラミック積層グリーンシートに貼着する工程とを含む固体撮像素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−16894(P2013−16894A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146252(P2011−146252)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】