説明

固体撮像装置

【目的】 半導体基板の表面照度を正確且つ速やかに検出できるようにすることにより、電荷蓄積時間の制御や外部信号増幅器のゲイン設定を的確に行なえるようにする
【構成】 半導体基板1の表面部には、該半導体基板1の表面照度をモニターする複数個の照度モニター用フォトダイオード3Bと、複数個の照度モニター用フォトダイオード3Bのそれぞれと配線4Bを介して接続された1個の不純物拡散層5Bと、該不純物拡散層5Bと出力ゲート6Bを介して接続されたフローティングディフュージョンアンプ7Bとがそれぞれ形成されている。照度モニター用フォトダイオード3Bが分散状態で形成されているため、フローティングディフュージョンアンプ7Bから出力される電圧信号は半導体基板1の表面照度を的確に反映するので、外部信号増幅器のゲイン設定やフォトダイオードでの信号電荷蓄積時間の制御を的確且つ速やかに行なうことができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、一定時間の入射光により生じた信号電荷を撮像用のフォトダイオードに蓄えると共に、該フォトダイオードに蓄えられた信号電化を順次読み出しする固体撮像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、固体撮像装置は広く普及し、さまざまな環境条件の下で使用されるようになってきている。これに伴って、幅広い照度条件下でも適切な撮像条件を簡単に設定できる技術が要望されるようになってきている。
【0003】そこで、半導体基板表面の照度を検出するため、従来の固体撮像装置においては、全画素を出力した後、該全画素の出力レベルに基づいて、外部信号増幅器のゲイン設定やフォトダイオードでの信号電荷蓄積時間の制御を行なっていた。
【0004】ところが、この方法では、全画素の出力レベルに基づいて半導体基板の表面照度をモニターしているために、読出しサイクルが終了するまでは半導体基板の表面照度の判定ができないという問題があった。
【0005】そこで、簡易且つ速やかに半導体基板表面の照度を検出するべく、半導体基板上に撮像用フォトダイオードとは別に照度モニター用のフォトダイオードを設け、該基板面照度モニター用フォトダイオードの出力を外部でモニターすることにより、半導体基板表面の照度を推定する固体撮像装置が提案されている。
【0006】図4はこの固体撮像装置の概略平面構造を示しており、半導体基板1上には、2次元的に配置された複数個の撮像用フォトダイオード2と、半導体基板1の表面照度をモニターする1個の照度モニター用フォトダイオード3Aと、該照度モニター用フォトダイオード3Aと接続された不純物拡散層5Aと、該不純物拡散層5Aと出力ゲート6Aを介して接続されたフローティングディフュージョンアンプ7Aとがそれぞれ形成されている。フローティングディフュージョンアンプ7Aの出力はモニター出力端子8Aから外部に取り出され、また、撮像用フォトダイオード2に蓄えられた信号電荷は電荷転送部9によって転送された後、撮像データ出力端子10から外部に取り出される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、この固体撮像装置においては、1個のフォトダイオードによって半導体基板の表面照度を検出しているため、局所的な照度しかモニターできず、半導体基板の全表面の照度を正確に判定できないという問題があった。
【0008】上記に鑑みて、本発明は、半導体基板の表面照度を正確且つ速やかに検出できるようにすることにより、電荷蓄積時間の制御や外部信号増幅器のゲイン設定を的確に行なえるようにすることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、請求項1又は2の発明は、半導体基板上に、該半導体基板表面の照度をモニターする照度モニター用フォトダイオードを複数個配設し、これら複数個の照度モニター用フォトダイオードの出力を1個又は複数個の出力回路から出力するものである。
【0010】具体的に請求項1の発明が講じた解決手段は、半導体基板上に撮像用のフォトダイオードが1次元的又は2次元的に配置されてなる固体撮像装置を対象とし、上記半導体基板上に分散して形成された該半導体基板の表面照度をモニターする複数個の照度モニター用フォトダイオードと、上記半導体基板上に形成され上記複数個の照度モニター用フォトダイオードのそれぞれと接続された1個の不純物拡散層と、上記半導体基板上に形成され上記不純物拡散層と出力ゲートを介して接続された1個のフローティングディフュージョンアンプとを備えている構成である。
【0011】また、具体的に請求項2の発明が講じた解決手段は、半導体基板上に撮像用のフォトダイオードが1次元的又は2次元的に配置されてなる固体撮像装置を対象とし、上記半導体基板上に分散して形成された該半導体基板の表面照度をモニターする複数個の照度モニター用フォトダイオードからなる複数の照度モニター用フォトダイオード群と、上記半導体基板上に上記複数の照度モニター用フォトダイオード群と対応して形成され、対応する照度モニター用フォトダイオード群を構成する複数個の照度モニター用フォトダイオードのそれぞれと接続された複数個の不純物拡散層と、上記半導体基板上に上記複数個の不純物拡散層に対応して形成され該複数個の不純物拡散層のそれぞれと出力ゲートを介して接続された複数個のフローティングディフュージョンアンプとを備えている構成である。
【0012】
【作用】請求項1又は2の構成により、半導体基板の表面に入射光が照射されると、撮像用のフォトダイオードに信号電荷が蓄積されると共に、半導体基板上に分散して形成された複数個の照度モニター用フォトダイオードにも信号電荷が蓄積される。照度モニター用フォトダイオードに蓄積された信号電荷は不純物拡散層に転送された後、出力ゲートを介してフローティングディフュージョンアンプから外部に電圧信号として出力される。
【0013】この場合、照度モニター用フォトダイオードは半導体基板上に分散して形成されているので、フローティングディフュージョンアンプから出力される電圧信号は半導体基板の表面照度を的確に反映している。このため、所定時間毎にフローティングディフュージョンアンプから出力される電圧信号に基づき半導体基板の表面照度を判定し、この判定に従って外部信号増幅器のゲイン設定やフォトダイオードでの信号電荷蓄積時間の制御を行なうことができる。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0015】図1は本発明の第1実施例に係る固体撮像装置の概略構成を、図2(a)は上記固体撮像装置の要部の断面構造を、図2(b)は図2(a)と対応する部分のポテンシャル分布をそれぞれ示している。
【0016】図1に示すように、半導体基板1の表面部には2次元的に配置された複数個の撮像用フォトダイオード2が形成され、該撮像用フォトダイオード2に蓄積された信号電荷は電荷転送部9によって転送された後、撮像データ出力端子10から外部に取り出される。
【0017】また、図1及び図2(a)に示すように、半導体基板1の表面部には、該半導体基板1の表面照度をモニターする複数個の照度モニター用フォトダイオード3Bが撮像用フォトダイオード2に隣接して分散状態で形成されていると共に、半導体基板1の表面部には、上記複数個の照度モニター用フォトダイオード3Bのそれぞれと配線4Bを介して接続された1個の不純物拡散層5Bと、該不純物拡散層5Bと出力ゲート6Bを介して接続された1個のフローティングディフュージョンアンプ7Bとがそれぞれ形成されており、フローティングディフュージョンアンプ7Bからの電圧信号はモニター出力端子8Bから外部に取り出される。尚、図2(a)において、11は絶縁膜、12はソースフォロワーアンプ内部配線である。
【0018】図3は本発明の第2実施例に係る固体撮像装置の概略構成を示している。
【0019】図3に示すように、半導体基板1の表面部には、第1実施例と同様に、2次元的に配置された複数個の撮像用フォトダイオード2が形成され、該撮像用フォトダイオード2に蓄積された信号電荷は電荷転送部9によって転送された後、撮像データ出力端子10から外部に取り出される。
【0020】また、同図に示すように、半導体基板1の表面部には、該半導体基板1の表面照度をモニターする複数個の照度モニター用フォトダイオード3Cが撮像用フォトダイオード2に隣接して分散状態で形成されている。また、半導体基板1の表面部には、複数個の照度モニター用フォトダイオード3Cにより構成される照度モニター用フォトダイオード群に対応して複数個の不純物拡散層5Cが形成されていると共に、該複数個の不純物拡散層5Cに対応して複数個のフローティングディフュージョンアンプ7Cとがそれぞれ形成されている。対応する照度モニター用フォトダイオード群と不純物拡散層5Cとは配線4Cによって接続され、対応する不純物拡散層5Cとフローティングディフュージョンアンプ7Cとは出力ゲート6Cを介して接続されており、フローティングディフュージョンアンプ7Cからの電圧信号はモニター出力端子8Cから外部に取り出される。
【0021】
【発明の効果】請求項1又は2の発明によると、照度モニター用フォトダイオードを半導体基板上に分散して形成したため、フローティングディフュージョンアンプから出力される電圧信号は半導体基板の表面照度を的確に反映するので、所定時間毎にフローティングディフュージョンアンプから出力される電圧信号に基づき半導体基板の表面照度を判定し、この判定に従って外部信号増幅器のゲイン設定やフォトダイオードでの信号電荷蓄積時間の制御を行なうと、これらゲイン設定や信号電荷蓄積時間の制御を的確且つ速やかに行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る固体撮像装置の概略構成図である。
【図2】(a)は上記第1実施例に係る固体撮像装置の要部の断面であり、(b)は(a)と対応する部分のポテンシャル分布を示す図である。
【図3】本発明の第2実施例に係る固体撮像装置の概略構成図である。
【図4】従来の固体撮像装置の概略構成図である。
【符号の説明】
1 半導体基板
2 撮像用フォトダイオード
3A,3B,3C 照度モニター用フォトダイオード
4B,4C 配線
5A,5B,5C 不純物拡散層
6A,5B,5C 出力ゲート
7A,7B,7C フローティングディフュージョンアンプ
8A,8B,8C モニター端子
9 電荷転送部
10 撮像データ出力端子
11 絶縁膜
12 ソースフォロワーアンプ内部配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】 半導体基板上に撮像用のフォトダイオードが1次元的又は2次元的に配置されてなる固体撮像装置であって、上記半導体基板上に分散して形成された該半導体基板の表面照度をモニターする複数個の照度モニター用フォトダイオードと、上記半導体基板上に形成され上記複数個の照度モニター用フォトダイオードのそれぞれと接続された1個の不純物拡散層と、上記半導体基板上に形成され上記不純物拡散層と出力ゲートを介して接続された1個のフローティングディフュージョンアンプとを備えていることを特徴とする固体撮像装置。
【請求項2】 半導体基板上に撮像用のフォトダイオードが1次元的又は2次元的に配置されてなる固体撮像装置であって、上記半導体基板上に分散して形成された該半導体基板の表面照度をモニターする複数個の照度モニター用フォトダイオードからなる複数の照度モニター用フォトダイオード群と、上記半導体基板上に上記複数の照度モニター用フォトダイオード群と対応して形成され、対応する照度モニター用フォトダイオード群を構成する複数個の照度モニター用フォトダイオードのそれぞれと接続された複数個の不純物拡散層と、上記半導体基板上に上記複数個の不純物拡散層に対応して形成され該複数個の不純物拡散層のそれぞれと出力ゲートを介して接続された複数個のフローティングディフュージョンアンプとを備えていることを特徴とする固体撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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