説明

固体酸化物型燃料電池、及びその製造方法

【課題】高出力化が可能で、破損を生じることなく長期信頼性に富む固体酸化物型燃料電池及びその製造方法を提供する。
【解決手段】実施形態の固体酸化物型燃料電池は、酸素イオン導電性を有する固体電解質層11と、前記固体電解質層の一方の主面側に形成され、SrTiOを主成分とするチタン酸ペロブスカイト型酸化物からなる電子導電性を有する第1の酸化物材料121A、及びY,Sc,及びYbからなる群より選ばれる少なくとも一種で安定化されたZrOからなりイオン導電性を有する第2の酸化物材料121Bからなる多孔質焼結体121、並びにこの多孔質焼結体の表面の少なくとも一部に形成されてなる、金属粒子123を分散担持してなる酸化物膜122を含む燃料極12と、前記固体電解質層の他方の主面側に形成された空気極と、を具えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、固体酸化物型燃料電池、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
固体酸化物形燃料電池(SOFC)は、その高い作動温度(700〜1000℃)に起因してセル内部に働く抵抗を小さくでき、高い発電効率と少ないCO発生量を実現できる次世代のクリーンな発電システムとして期待されている。
【0003】
SOFCの燃料極は、一般に酸化物イオン導電性を有するセラミックス粒子と、触媒でありかつ電子導電性を有する金属粒子とのサーメットにより形成される。触媒である金属粒子には高温で高い触媒活性をもち、かつメタンなどの炭化水素系燃料に対して改質触媒としても有用なニッケル粒子が用いられる。酸化物イオン導電性粒子には、高温で高い酸化物イオン導電性を有するYで安定化させたZrO(YSZ)などを用いる。
【0004】
サーメット中のニッケル粒子は、反応で生じた電子を集電部へ運ぶ役割を担うため、比較的大きな粒子で互いに連結させて作製している。通常、40〜60体積%程度のニッケル粒子を用いてニッケル粒子同士の電子電導パスを形成しているが、ニッケルの熱膨張係数(約13.3×10−6/K)はYSZの熱膨張係数(約10.3×10−6/K)に比べて大きいため、熱膨張差による割れを生じやすく、また、酸化したときの体積膨張も破損の原因となる。
【0005】
一方、燃料極での電気化学反応は、燃料である水素ガス、触媒かつ電子導電体であるニッケル、及び酸化物イオン導電体の界面、すなわち三相界面にて起こる。したがって、この三相界面量を増やすことが燃料極性能を向上させる鍵となる。
【0006】
酸化物イオン導電性のみをもつYSZに換えて酸化物イオン及び電子電導の両方を有する混合導電性粒子を用いるとこの三相界面が増加し、燃料極としての性能はさらに向上する。一方、触媒であるニッケル粒子は粒子サイズを小さくし数を増やすほど、すなわち触媒比表面積を大きくするほど三相界面(反応場)を増やすことができ、高い触媒活性が期待される。しかしながら、ニッケル粒子サイズを小さくすると、高温還元性雰囲気という使用環境の下では粒子の凝集・焼結が容易に起こってしまうという問題がある。
【0007】
さらに、近年ではさらなる高出力化が要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−64640号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】J.Electrochem.Soc.,141,[2],342−346,1994.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、高出力化が可能で、破損を生じることなく長期信頼性に富む固体酸化物型燃料電池及びその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
実施形態の固体酸化物型燃料電池は、酸素イオン導電性を有する固体電解質層と、前記固体電解質層の一方の主面側に形成され、SrTiOを主成分とするチタン酸ペロブスカイト型酸化物からなる電子導電性を有する第1の酸化物材料、及びY,Sc,及びYbからなる群より選ばれる少なくとも一種で安定化されたZrOからなりイオン導電性を有する第2の酸化物材料からなる多孔質焼結体、並びにこの多孔質焼結体の表面の少なくとも一部に形成されてなる、金属粒子を分散担持してなる酸化物膜を含む燃料極と、前記固体電解質層の他方の主面側に形成された空気極と、を具えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態における固体酸化物型燃料電池の概略構成を示す断面図である。
【図2】図1に示す固体酸化物型燃料電池の燃料極を拡大して示す断面図である。
【図3】実施例で得た複合酸化物膜のXRDパターンである。
【図4】実施例1で得た燃料極のSEM写真である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して実施形態について詳細に説明する。
【0014】
(固体酸化物型燃料電池)
図1は、本実施形態における固体酸化物型燃料電池の概略構成を示す断面図であり、図2は、図1に示す固体酸化物型燃料電池の燃料極を拡大して示す断面図である。
【0015】
図1に示す固体酸化物型燃料電池10は、酸素イオン導電性を呈する固体電解質層11と、この固体電解質層11の主面11A側に形成された燃料極12と、固体電解質層11の、主面11Aと相対する主面11B側に形成された空気極13とを有する。また、燃料国12及び空気極13それぞれの、固体電解質層11と反対側の主面12A及び13A側には、それぞれ集電層17及び18を介して集電体15及び16が形成されている。
【0016】
なお、本実施形態において、集電層17及び18、並びに集電体15及び16は必須の構成要素ではないが、このような集電層及び集電体を設けることによって、固体酸化物型燃料電池10内で生成した電力を外部に効率良く取り出すことができる。
【0017】
固体電解質層11は、例えば安定化ジルコニアから構成することができる。この場合、安定化剤としては、Y、Sc、Yb、Gd、Nd、CaO、MgOなどを挙げることができる。これらの安定化剤はジルコニア中に固溶させて使用する。また、安定化ジルコニアに代えて、LaSrGaMg酸化物、LaSrGaMgCo酸化物、LaSrGaMgCoFe酸化物、LaSrGaMgCoFe酸化物などのペロブスカイト型酸化物から構成することもできる。さらに、CeOにSm、Gd、Y、Laなどを固溶させたセリア系電解質固溶体を用いることもできる。但し、固体電解質層11は、これらの材料に限定されるものではなく、これら以外の材料から構成してもかまわない。
【0018】
なお、固体電解質層11の厚さは、目的に応じて任意に設定することができるが、例えば0.01mm〜0.5mmの範囲とすることができる。
【0019】
一例として、厚さ0.01mmの8mol%Y安定化ジルコニアを用いることができる。
【0020】
燃料極12は、図2に示すように、SrTiOを主成分とするチタン酸ペロブスカイト型酸化物からなる電子導電性を有する第1の酸化物材料(の第1のセラミック粒子)121A、及びY,Sc,及びYbからなる群より選ばれる少なくとも一種で安定化されたZrOからなりイオン導電性を有する第2の酸化物材料(の第2のセラミック粒子)121Bからなる多孔質焼結体121と、その表面の少なくとも一部に形成されてなる金属粒子123を分散担持してなる酸化物膜122とから構成されている。また、金属粒子123は、多孔質焼結体121と接触し、酸化物膜122から突出している。すなわち、図2に示す燃料極12では、多孔質焼結体121がその骨格をなし、その表面に被覆された酸化物膜122に分散担持された金属粒子123が触媒として機能する。
【0021】
なお、第1の酸化物材料121Aを構成する、SrTiOを主成分とするチタン酸ペロブスカイト型酸化物としては、Srの一部をYで置換したYSr1−xTiO(YST)(但し、Xは1より小さい正の数)などを挙げることができる。この材料は金属であるニッケルよりは電子電導性がやや小さいものの、酸化物としては、高温においても高い電子電導性を有する。固体酸化物型燃料電池においては電子電導性に比べイオン導電体の電導性が十分小さいため、電子は導電が律速にならない。したがって、上述したような若干の電子電導性の差はほとんど問題とならない。
【0022】
多孔質焼結体121は、上述したように電子導電性を有する第1の酸化物材料121A(の第1のセラミック粒子)及びイオン導電性を有する第2の酸化物材料(の第2のセラミック粒子)121Bから構成されている。したがって、多孔質焼結体121の表面が電子導電体及び酸化物イオン導電体の界面となるので、図1に示す固体酸化物型燃料電池10における水素ガス等の燃料ガス、電子導電体、及び酸化物イオン導電体の界面、すなわち三相界面の量が増大することとなる。したがって、燃料極12における電気化学反応が促進され、固体酸化物型燃料電池10の出力特性を向上させることができる。
【0023】
また、金属粒子123は、数nm〜200nm程度の大きさであって、上述のように酸化物膜122に分散担持されている。すなわち、数nm〜200nm程度の微細な金属粒子123が、酸化物膜122に担持されて固定されているので、後に、金属粒子123に対する凝集・シンタリングが起こりにくく、粒子サイズも不均一になるという問題を生じることがない。すなわち、数nm〜200nmという微細な金属粒子123が安定して存在し、触媒として機能するようになるので、触媒の実質的な表面積の増大に伴って、燃料極12での電気化学反応が促進され、結果として、固体酸化物型燃料電池10の出力特性を向上させることができる。
【0024】
また、金属粒子123の分散密度は、例えば10個/μm〜10,000個/μmとする。これによって、金属粒子123の触媒効果をより効果的に発揮させることができる。
【0025】
なお、上述した大きさの金属粒子123を酸化物膜122から露出させることができるように、酸化物膜122の厚さは例えば数nm〜数十nmの範囲とすることが好ましい。
【0026】
結果として、本実施形態における固体酸化物型燃料電池10においては、電子−イオン混合導電性の材料からなる多孔質焼結体121及びその表面に形成された酸化物膜122に分散担持された金属粒子123による電気化学反応の促進効果に伴って、従来に比し、十分に高い出力特性を得ることができる。
【0027】
金属粒子123は、電気化学反応において触媒として機能するニッケル、コバルト、鉄、及び銅などから構成することが好ましい。また、酸化物膜122は、以下に説明する製造方法等に起因して、アルミニウム酸化物、マグネシウム酸化物から構成することが好ましい。
【0028】
また、図2から明らかなように、多孔質焼結体121は開気孔を有しているので、水素などの燃料ガスや生成ガスが、多孔質焼結体121、すなわち燃料極12内をスムーズに拡散することができる。したがって、燃料ガスを多孔質焼結体121の内部にまで供給することができ、三相界面を十分に増大させることができるとともに、多孔質焼結体121の内部に形成した金属粒子123とも接触させることができるようになる。結果として、燃料極12における電気化学反応をより促進させることができ、十分高い出力特性を得ることができる。
【0029】
なお、多孔質焼結体121は、上述のように第1の酸化物材料(の第1のセラミック粒子)121Aと第2の酸化物材料(の第2のセラミック粒子)121Bとが混合してなる。第1の酸化物材料121Aを構成するSrTiOを主成分とするチタン酸ペロブスカイト型酸化物は、約9.4×10−6/K程度の熱膨張係数を有し、第2の酸化物材料121Bを構成するY,Sc,及びYbからなる群より選ばれる少なくとも一種で安定化されたZrOは、約10.3×10−6/K程度の熱膨張係数を有する。
【0030】
したがって、両者の熱膨張係数の差は十分に小さいので、固体酸化物型燃料電池10の作動温度である700〜1000℃においても、熱膨張差による割れを生じにくくなる。また、酸化したときの体積膨張差も生じにくくなる。この結果、図1に示す固体酸化物型燃料電池10を長時間使用した場合においても、燃料極12の破損を防止し、その長期信頼性を十分に保持することができる。
【0031】
なお、第1の酸化物材料(の第1のセラミック粒子)121Aと第2の酸化物材料(の第2のセラミック粒子)121Bとの混合割合は、上記観点から、体積比において30:70〜60:40であることが好ましい。
【0032】
また、第1の酸化物材料(の第1のセラミック粒子)121Aと第2の酸化物材料(の第2のセラミック粒子)121Bとの混合割合は、上記観点から、粒径比が1:5〜5:1であることが好ましい。
【0033】
また、多孔質焼結体121の空孔率は、例えば30%〜70%であることが好ましい。空孔率が30%未満であると、上述した開気孔の生成割合が減少して、上述した作用効果を得ることが困難になる。一方、空孔率が70%を超えると、多孔質焼結体121の焼結密度が減少し、強度が低下してしまい、燃料極12に対する長期信頼性が低下することになる。すなわち、図1に示す固体酸化物型燃料電池10を長時間使用した場合において、燃料極12が破損してしまい、その長期信頼性を十分に保持することができない場合がある。
【0034】
また、多孔質焼結体121の結合部分は空隙などの欠陥がなく、強固に結合していることが好ましい。これによって、結合部分の欠陥による酸素イオンや電子の移動が妨げられることなく、上述した三相界面での電気化学反応に寄与することができるようになる。
【0035】
本実施形態においては、上述したように、酸化物膜122は多孔質焼結体121の表面の少なくとも一部に形成されていればよいが、燃料極12における酸化物膜122の割合が、0.1体積%〜20体積%の範囲であることが好ましい。
【0036】
酸化物膜122の、多孔質焼結体121上における形成割合が20体積%を超えると、多孔質焼結体121に対する酸化物膜122の被覆割合が増大し、特に多孔質焼結体121の開気孔の内部にまで酸化物膜122が十分大きな被覆割合で形成され、多孔質焼結体121の電気電導性、すなわち、酸素イオン及び電子の移動を妨げてしまう場合がある。この結果、燃料極12における実質的な電気化学反応を低下させてしまい、固体酸化物型燃料電池10の出力特性を劣化させてしまう場合がある。
【0037】
一方、酸化物膜122の、多孔質焼結体121上における形成割合が0.1体積%未満であると、形成される酸化物膜122の減少に伴って分散担持される金属粒子123の割合が減少し、その触媒作用を十分に発揮できず、結果として、固体酸化物型燃料電池10の出力特性を劣化させてしまう場合がある。
【0038】
なお、酸化物膜122の形成割合は、金属粒子123を分散担持した酸化物膜122の形成前後における多孔質焼結体121の重量を測定し、その重量増加分に対して金属粒子123(分散密度を考慮)及び酸化物膜122の理論密度で除することによって得たものである。
【0039】
燃料極12の厚さは、例えば5μm〜50μmとすることができる。ただし、電解質層を薄くし電極を支持体とする場合にはこの限りではない。
【0040】
空気極13は、従前より電気化学セルの酸素極として用いられている任意の材料から構成することができるが、好ましくは、一般式Ln1−YBO3−δ(Ln=希土類元素;A=Sr、Ca、Ba;B=Cr、Mn、Fe、Co、Niのうち少なくとも1種)(0<Y<1、0<δ<3)で表される複合酸化物を用いることができる。このような複合酸化物は酸素を効率よく解離すると同時に電子電導性を有している。したがって、以下に説明する燃料極12における触媒を介した酸素イオンと、水素ガスなどとの電気化学反応を促進することができ、固体酸化物型燃料電池10の高出力化に寄与することとなる。
【0041】
なお、空気極13の厚さは、例えば5μm〜100μmとすることができる。ただし、上記燃料極12と同様、電解質層を薄くし電極を支持体とする場合にはこの限りではない。
【0042】
また、集電層17は、ニッケル、コバルト、鉄、銅、白金、金、銀などの金属材料と、これら金属材料と多孔質焼結体121を構成する電子−イオン混合導電性の材料との混合物から構成することができる。一方、集電層18は白金、金、銀などの金属材料と、これら金属材料と多孔質焼結体121を構成する電子−イオン混合導電性の材料との混合物から構成することができる。なお、集電層17及び18は、燃料極12及び空気極13の、集電体15及び16に対する電気的接触をより確実なものとしてそれらの間の抵抗を低減し、生成した電力を集電体より効率的に外部に取り出すためのものである。
【0043】
集電体15及び16は、通常の運転条件で酸化しないような材料から構成することが必要であり、例えば金、銀、白金などの貴金属の他、他の母材となる金属等を銀などでコーティングしたものを用いることができる。燃料極側の集電体15はニッケルの使用も許容する。また、導電性を有するセラミック材料を用いることもできる。さらには、酸化被膜が導電性を有するようなクロム系合金も用いることができる。
【0044】
(固体酸化物型燃料電池の製造方法)
次に、実施形態における第1の固体酸化物型燃料電池の製造方法について説明する。なお、本実施形態では、図1及び図2に示す固体酸化物型燃料電池10に関連させて当該製造方法について説明する。
【0045】
最初に、SrTiOを主成分とするチタン酸ペロブスカイト型酸化物からなる電子導電性を有する第1の酸化物材料を含む第1のセラミック粒子121A、及びY,Sc,及びYbからなる群より選ばれる少なくとも一種で安定化されたZrOからなりイオン導電性を有する第2の酸化物材料を含む第2のセラミック粒子121Bを混合して、混合セラミック粒子を調整する。
【0046】
次いで、上述のようにして得た混合セラミック粒子を、固体電解質層11の主面11A上に積層配置する。このような積層配置は、例えば混合セラミック粒子をペースト化し、得られたペーストをスクリーン印刷することによって行うことができる。なお、一回のスクリーン印刷で所定の厚さにセラミック粒子を積層配置できない場合は、上述したスクリーン印刷を複数回実施してもよい。なお、このようなスクリーン印刷に代えて、シート成形、塗布、ディッピングなどの方法で代用することができる。
【0047】
なお、上記ペースト中には、後の焼結を経て多孔質焼結体121を形成する場合に、その空孔率が例えば上述した好ましい範囲の空孔率となるように、スチレン粒子などの有機物系の粒子を所定量含有させることができる。
【0048】
次いで、上述のように塗布したペーストを焼結して、図2に示すような、燃料極12の骨格をなす多孔質焼結体121を形成する。焼結温度は、例えば1000℃〜1500℃の範囲とすることができる。また、焼結雰囲気は大気中とすることができる。
【0049】
次いで、多孔質焼結体121に対して金属硝酸塩溶液又は金属硫酸塩溶液を含浸させるとともに、金属硝酸塩又は金属硫酸塩の分解温度以上に加熱して、金属硝酸塩又は金属硫酸塩を分解し、さらに1100℃〜1400℃の高温で含浸成分を焼成して反応させ、複合酸化物の膜、いわゆる触媒前駆体膜を形成する。なお、これら金属硝酸塩及び金属硫酸塩の溶媒には水などを用いることができる。
【0050】
次いで、複合酸化物膜に対して還元処理を行い、複合酸化物膜中に含まれる金属を粒子状に析出させることで、酸化物膜122に対して析出した金属粒子123を分散担持させる。
【0051】
以上のような操作を経ることによって、図2に示すような、多孔質焼結体121の表面の少なくとも一部に、金属粒子123を分散担持させた酸化物膜122を形成し、目的とする燃料極12を形成することができる。
【0052】
なお、本実施形態において、金属硝酸塩は、中間生成物となる複合酸化物(触媒前駆体)の形成後、還元処理を経ることにより、酸化物膜122に分散担持されてなる金属粒子123となる、好ましくはニッケル、コバルト、鉄、及び銅からなる群より選ばれる少なくとも一種の金属を含む第1の金属硝酸塩と、同じく後の還元処理を経ることにより、酸化物膜122自体を構成する、好ましくはアルミニウム及びマグネシウムの少なくとも一方を含む第2の金属硝酸塩とを含むことが好ましい。すなわち、上記金属硝酸塩は、第1の金属硝酸塩と第2の金属硝酸塩とからなる複合金属硝酸塩であることが好ましい。
【0053】
この場合、上記複合金属硝酸塩が熱分解されてなる複合酸化物膜となるが、この複合酸化物膜は、上記第1の金属硝酸塩に由来する還元されやすい金属、すなわちニッケル、コバルト、鉄、及び/又は銅を含む第1の酸化物と、上記第2の金属硝酸塩に由来する還元されにくい金属、すなわちアルミニウム及び/又はマグネシウムを含む第2の酸化物とを含むようになる。したがって、このような複合酸化物を得、これに対して還元処理を施すことによって、第1の酸化物は容易に還元されて金属粒子123を構成する粒子が析出する一方、第2の酸化物は還元されずに酸化物膜122として残留するようになる。
【0054】
したがって、上記態様によれば、還元処理によって金属粒子123が分散担持されてなる酸化物膜122を簡易に形成することができる。
【0055】
なお、上記同様に、金属硫酸塩も、後の還元処理を経ることにより、酸化物膜122に分散担持されてなる金属粒子123となる、好ましくはニッケル、コバルト、鉄、及び銅からなる群より選ばれる少なくとも一種の金属を含む第1の金属硫酸塩と、同じく後の還元処理を経ることにより、酸化物膜122自体を構成する、好ましくはアルミニウム及びマグネシウムの少なくとも一方を含む第2の金属硫酸塩とを含むことが好ましい。この場合も、上述したような作用効果に基づいて、還元処理によって金属粒子123が分散担持されてなる酸化物膜122を簡易に形成することができる。
【0056】
次いで、固体電解質11の主面11B上に定法、例えば空気極を構成するセラミック粒子を含んだペーストを作製し、このペーストをスクリーン印刷することによって空気極13を形成することができる。
【0057】
次いで、必要に応じて集電層17及び18を定法により形成し、集電体15及び16を定法により形成する。
【0058】
なお、上記還元処理は、固体酸化物型燃料電池10の製造の段階で予め行うこともできるが、固体酸化物型燃料電池10を実際に駆動させる際に、燃料ガスとして用いる水素ガスによって後処理的に行うことができる。
【0059】
次に、実施形態における第2の固体酸化物型燃料電池の製造方法について説明する。
最初に、SrTiOを主成分とするチタン酸ペロブスカイト型酸化物からなる電子導電性を有する第1の酸化物材料を含む第1のセラミック粒子121A、及びY,Sc,及びYbからなる群より選ばれる少なくとも一種で安定化されたZrOからなりイオン導電性を有する第2の酸化物材料を含む第2のセラミック粒子121Bの少なくとも一方に金属酸化物を被覆するとともに、第1のセラミック粒子121A及び第2のセラミック粒子121Bの他方と混合して、混合セラミック粒子を調整する。
【0060】
なお、セラミック粒子に対する金属酸化物の被覆は、第1のセラミック粒子121A及び/又は第2のセラミック粒子121Bを準備した後、このセラミック粒子を、金属硝酸塩又は金属硫酸塩などに浸漬あるいは吸引ろ過することによって、セラミック粒子の表面に金属硝酸塩又は金属硫酸塩を被覆し、得られた被覆層をその分解温度以上にまで加熱することによって、金属硝酸塩又は金属硫酸塩から上記金属酸化物を得る。
【0061】
次いで、積層配置した混合セラミック粒子を加熱して焼結し、燃料極12の多孔質焼結体121を形成する。焼結温度は、例えば1000℃〜1500℃の範囲で行う。また、焼結雰囲気は大気中とすることができる。
【0062】
次いで、上記金属酸化物に対して還元処理を行い、金属酸化物中に含まれる金属を粒子状に析出させ、析出した金属粒子123を分散担持してなり、燃料極12の酸化物膜122を形成する。
【0063】
なお、本実施形態においても、金属酸化物が被覆されてなるセラミック粒子121A及び/又は121Bを形成する際において、金属硝酸塩は、後の還元処理を経ることにより、酸化物膜122に分散担持されてなる金属粒子123となる、好ましくはニッケル、コバルト、鉄、及び銅からなる群より選ばれる少なくとも一種の金属を含む第1の金属硝酸塩と、同じく後の還元処理を経ることにより、酸化物膜122自体を構成する、好ましくはアルミニウム及びマグネシウムの少なくとも一方を含む第2の金属硝酸塩とを含むことが好ましい。すなわち、上記金属硝酸塩は、第1の金属硝酸塩と第2の金属硝酸塩とからなる複合金属硝酸塩であることが好ましい。
【0064】
この場合、セラミック粒子を被覆する金属酸化物は、ニッケル、コバルト、鉄、及び銅からなる群より選ばれる少なくとも一種の金属を含む第1の金属酸化物と、アルミニウム及びマグネシウムの少なくとも一方を含む第2の金属酸化物とを含み、金属粒子123は、第1の金属酸化物の金属を含み、酸化物膜122は、第2の金属酸化物中の金属の酸化物を含むような複合酸化物となる。
【0065】
第1の金属酸化物は、還元されやすい金属、すなわちニッケル、コバルト、鉄、及び/又は銅を含み、第2の金属酸化物は、還元されにくい金属、すなわちアルミニウム及び/又はマグネシウムを含む。したがって、このような複合酸化物を得、これに対して還元処理を施すことによって、第1の金属酸化物は容易に還元されて金属粒子123を構成する粒子が析出する一方、第2の金属酸化物は還元されずに酸化物膜122として残留するようになる。
【0066】
したがって、上記態様によれば、還元処理によって金属粒子123が分散担持されてなる酸化物膜122を簡易に形成することができる。
【0067】
なお、上記同様に、金属硫酸塩も、後の還元処理を経ることにより、酸化物膜122に分散担持されてなる金属粒子123となる、好ましくはニッケル、コバルト、鉄、及び銅からなる群より選ばれる少なくとも一種の金属を含む第1の金属硫酸塩と、同じく後の還元処理を経ることにより、酸化物膜122自体を構成する、好ましくはアルミニウム及びマグネシウムの少なくとも一方を含む第2の金属硫酸塩とを含むことが好ましい。この場合も、上述したような作用効果に基づいて、還元処理によって金属粒子123が分散担持されてなる酸化物膜122を簡易に形成することができる。
【0068】
次いで、固体電解質11の主面11B上に定法、例えば空気極を構成するセラミック粒子を含んだペーストを作製し、このペーストをスクリーン印刷することによって空気極13を形成することができる。
【0069】
次いで、必要に応じて集電層17及び18を定法により形成し、集電体15及び16を定法により形成する。
【0070】
なお、上記還元処理は、固体酸化物型燃料電池10の製造の段階で予め行うこともできるが、固体酸化物型燃料電池10を実際に駆動させる際に、燃料ガスとして用いる水素ガスによって後処理的に行うことができる。
【実施例】
【0071】
本実施の形態について実施例によってさらに詳細に説明する。
本実施例では一例として特定の粒径の粉末を用いているが、これらに限定されるものではない。
【0072】
(実施例1)
最初に、平均粒径0.3μmのYSZ(8mol%Y安定化ZrO)粒子と平均粒径0.3μmのYSTを重量比で50:50に混合し、この混合粉末2gに5体積%のスチレン粒子(平均粒径1μm)、水0.7ccを加えてナイロンボールとともに混練機にて混練してスラリーペーストを作製した。このペーストを、Y安定化ジルコニア(YSZ)を固体電解質とする円板(φ18mm、厚さ0.5mm)上の中心部にφ6mmでスクリーン印刷した。これを大気中、1200℃で0.5時間焼成して、スチレン粒子を焼失させるとともに上記セラミック粒子を焼結させ、燃料極を構成する多孔質焼結体を得た。
【0073】
次いで、硝酸ニッケル(Ni(NO・6HO)と硝酸アルミニウム(Al(NO・9HO)とをモル比1:2になるように秤量し、水とイソプロピルアルコールとを体積比1:1で混合した溶媒を加えて0.5モル/lの複合硝酸塩の水溶液を調整した。この複合硝酸塩の水溶液を上述のようにして得た多孔質焼結体に含浸させた後、1200℃に2時間焼成して多孔質焼結体の表面に、燃料極を構成するNiAlの組成をもつ複合酸化物の膜を形成した。
【0074】
次いで、多孔質焼結体及びNiAlの組成をもつ複合酸化物の膜を有する燃料極の表面に、平均粒径1μmのNiO粉末と0.3μmのYSZ粉末とを体積比75:25で混合した混合粉末3gに対し0.6ccの水を添加して、プラスチック製のボールとともに混練機にて混練して得た集電層用ペーストをスクリーン印刷し、大気中、960℃で30分間焼成を行い、集電層を形成した。
【0075】
次いで、対極にφ6mmで白金ペーストをスクリーン印刷し、同じく大気中、960℃で30分間焼成して空気極とし、固体酸化物型燃料電池のセルを得た。
【0076】
(実施例2)
上記YST粉末と平均粒径0.3μmのYSZ粒子とを重量比50:50で混合し、得られた混合粉末2gに、硝酸ニッケル(Ni(NO・6HO)と硝酸アルミニウム(Al(NO・9HO)とをモル比1:2になるように秤量し、水を加えて0.8モル/lに調整した複合硝酸塩の水溶液を加え混練機にて混練し、スラリーペーストを作製した。このスラリーペーストをφ18mm、厚さ0.5mmのYSZ固体電解質板上にφ6mmの大きさにスクリーン印刷し、大気中、1200℃で2時間焼結を行った。
【0077】
次いで、多孔質焼結体及びNiAlの組成をもつ複合酸化物の膜を有する燃料極の表面に、平均粒径1μmのNiO粉末と0.3μmのYSZ粉末とを体積比75:25で混合した混合粉末3gに対し0.6ccの水を添加して、プラスチック製のボールとともに混練機にて混練して得た集電層用ペーストをスクリーン印刷し、大気中、960℃で30分間焼成を行い、集電層を形成した。
【0078】
次いで、対極にφ6mmで白金ペーストをスクリーン印刷し、同じく大気中、960℃で30分間焼成して空気極とし、固体酸化物型燃料電池のセルを得た。
【0079】
(比較例1)
上記YSZ粉末と平均粒径0.3μmのYST粒子とを重量比50:50で混合し、得られた混合粉末2gに水0.7ccを加え混練機にて混練し、スラリーペーストを作製した。このスラリーペーストをφ18mm、厚さ0.5mmのYSZ固体電解質板上にφ6mmの大きさにスクリーン印刷し、大気中、1200℃で2時間焼結を行った。
【0080】
次いで、多孔質焼結体燃料極の表面に、平均粒径1μmのNiO粉末と0.3μmのYSZ粉末とを体積比75:25で混合した混合粉末3gに対し0.6ccの水を添加して、プラスチック製のボールとともに混練機にて混練して得た集電層用ペーストをスクリーン印刷し、同じく大気中、960℃で30分間焼成を行い、集電層を形成した。
【0081】
次いで、対極にφ6mmで白金ペーストをスクリーン印刷し、同じく大気中、960℃で30分間焼成して空気極とし、固体酸化物型燃料電池のセルを得た。
【0082】
(比較例2)
平均粒径0.3μmのYSZ粒子と平均粒径1.0μmのNiO粒子を体積比75:25で混合し、その混合粉末2gに対し、水を0.6cc加えてナイロンボールとともに混練機にて混練し、スラリーペーストを作製した。このスラリーペーストを実施例1から3と同様にYSZ電解質板上にスクリーン印刷し、大気中、1300℃で2時間焼結して燃料極を形成した後、同様にして空気極を形成し、固体酸化物型燃料電池のセルを得た。
【0083】
実施例1〜2において、複合酸化物の膜を形成したのち、膜部分のEDX組成分析を行った結果、ニッケルとアルミニウムにより構成される酸化物であることがわかった。この実験とは別に複合硝酸塩を1300℃で焼結して得られた粉末をX線回折分析するとNiAlが検出された(図3参照)。ニッケルとアルミニウムは基材であるYST及びYSZ中にほとんど固溶しないため、形成された複合酸化物の膜はスピネル型酸化物であるNiAlであると考えられる。
【0084】
図4は、実施例1で作製した燃料極の構造組織の写真であるが、0.3μmの酸化物粒子が焼結して多孔質な燃料極基体を形成し、その多孔質表面に数10nmサイズのニッケル微粒子が孤立・分散して存在しているのがわかる。また、EDX分析の結果、ニッケル粒子を支えている層が極薄いアルミニウム酸化物の層であることも明らかになった。
【0085】
なお、実施例1〜2、比較例1〜2のセル発電試験における最大出力密度を表1にまとめて示す。運転条件は、30℃で加湿したHを50mL/minで、酸素極に100mL/minのドライ空気を導入し、900℃で実施した。
【0086】
表1から明らかなように、実施例における固体酸化物型燃料電池のセルは、比較例で得た固体酸化物型燃料電池のセルに比較して高い出力性能を有することが分かる。実施例2では、出力特性が若干低下しているが、これは、セラミック粒子の周りを被覆した酸化物が焼結過程においても粒子間に介在し、一部の電子・イオン電導パスの障害になったため、若干量存在するオーム抵抗に起因するものと考えられる。
【0087】
【表1】

【0088】
以上説明した実施形態によれば、高出力化が可能で、破損を生じることなく長期信頼性に富む固体酸化物型燃料電池及びその製造方法を提供することができる。
【0089】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として掲示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0090】
10 固体酸化物型燃料電池
11 固体電解質層
12 燃料極
121 多孔質焼結体
121A 第1の酸化物材料(第1のセラミック粒子)
121B 第2の酸化物材料(第2のセラミック粒子)
122 酸化物膜
123 金属粒子
13 空気極
15,16 集電体
17,18 集電層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素イオン導電性を有する固体電解質層と、
前記固体電解質層の一方の主面側に形成され、SrTiOを主成分とするチタン酸ペロブスカイト型酸化物からなる電子導電性を有する第1の酸化物材料、及びY,Sc,及びYbからなる群より選ばれる少なくとも一種で安定化されたZrOからなりイオン導電性を有する第2の酸化物材料からなる多孔質焼結体、並びにこの多孔質焼結体の表面の少なくとも一部に形成されてなる、金属粒子を分散担持してなる酸化物膜を含む燃料極と、
前記固体電解質層の他方の主面側に形成された空気極と、
を具えることを特徴とする、固体酸化物型燃料電池。
【請求項2】
前記金属粒子は、ニッケル、コバルト、鉄、及び銅からなる群より選ばれる少なくとも一種の金属を含むことを特徴とする、請求項1記載の固体酸化物型燃料電池。
【請求項3】
前記酸化物膜は、アルミニウム酸化物及びマグネシウム酸化物の少なくとも一方を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の固体酸化物型燃料電池。
【請求項4】
SrTiOを主成分とするチタン酸ペロブスカイト型酸化物からなる電子導電性を有する第1の酸化物材料を含む第1のセラミック粒子、及びY,Sc,及びYbからなる群より選ばれる少なくとも一種で安定化されたZrOからなりイオン導電性を有する第2の酸化物材料を含む第2のセラミック粒子を混合して、混合セラミック粒子を調整する工程と、
酸素イオン導電性を有する固体電解質層の一方の主面上に、前記混合セラミック粒子を積層配置した後、前記混合セラミック粒子を加熱して、前記第1の酸化物材料及び前記第2の酸化物材料からなり、燃料極を構成する多孔質焼結体を形成する工程と、
前記多孔質焼結体に対して金属硝酸塩溶液又は金属硫酸塩溶液を含浸させるとともに、前記金属硝酸塩又は前記金属硫酸塩の分解温度以上に加熱して、前記金属硝酸塩又は前記金属硫酸塩を分解して得た酸化物からなる酸化物膜を形成する工程と、
前記酸化物膜に対して還元処理を行い、前記酸化物膜中に含まれる金属を粒子状に析出させ、析出した金属粒子を分散担持してなり、前記燃料極を構成する酸化物膜を形成する工程と、
前記固体電解質層の他方の主面上に、空気極を形成する工程と、
を具えることを特徴とする、固体酸化物型燃料電池の製造方法。
【請求項5】
前記金属硝酸塩は、ニッケル、コバルト、鉄、及び銅からなる群より選ばれる少なくとも一種の金属を含む第1の金属硝酸塩と、アルミニウム及びマグネシウムの少なくとも一方を含む第2の金属硝酸塩とを含み、前記金属粒子は、前記第1の金属硝酸塩中の金属を含み、前記酸化物膜は、前記第2の金属硝酸塩中の金属の酸化物を含むことを特徴とする、請求項4記載の固体酸化物型燃料電池の製造方法。
【請求項6】
前記金属硫酸塩は、ニッケル、コバルト、鉄、及び銅からなる群より選ばれる少なくとも一種の金属を含む第1の金属硫酸塩と、アルミニウム及びマグネシウムの少なくとも一方を含む第2の金属硫酸塩とを含み、前記金属粒子は、前記第1の金属硫酸塩中の金属を含み、前記酸化物膜は、前記第2の金属硫酸塩中の金属の酸化物を含むことを特徴とする、請求項4記載の固体酸化物型燃料電池の製造方法。
【請求項7】
SrTiOを主成分とするチタン酸ペロブスカイト型酸化物からなる電子導電性を有する第1の酸化物材料を含む第1のセラミック粒子、及びY,Sc,及びYbからなる群より選ばれる少なくとも一種で安定化されたZrOからなりイオン導電性を有する第2の酸化物材料を含む第2のセラミック粒子の少なくとも一方に金属酸化物を被覆するとともに、前記第1のセラミック粒子及び前記第2のセラミック粒子の他方と混合して、混合セラミック粒子を調整する工程と、
酸素イオン導電性を有する固体電解質層の一方の主面上に、前記混合セラミック粒子を積層配置した後、前記混合セラミック粒子を加熱して、前記第1の酸化物材料及び前記第2の酸化物材料からなり、燃料極を構成する多孔質焼結体を形成する工程と、
前記金属酸化物に対して還元処理を行い、前記金属酸化物中に含まれる金属を粒子状に析出させ、析出した金属粒子を分散担持してなり、前記燃料極を構成する酸化物膜を形成する工程と、
前記固体電解質層の他方の主面側に空気極を形成する工程と、
を具えることを特徴とする、固体酸化物型燃料電池の製造方法。
【請求項8】
前記金属酸化物は、ニッケル、コバルト、鉄、及び銅からなる群より選ばれる少なくとも一種の金属を含む第1の金属酸化物と、アルミニウム及びマグネシウムの少なくとも一方を含む第2の金属酸化物とを含み、前記金属粒子は、前記第1の金属酸化物の金属を含み、前記酸化物膜は、前記第2の金属酸化物中の金属の酸化物を含むことを特徴とする、請求項7記載の固体酸化物型燃料電池の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−33418(P2012−33418A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−173138(P2010−173138)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】