説明

固体電解コンデンサおよび固体電解コンデンサの製造方法

【課題】 漏洩電流の発生を抑えつつ、ESRの低下を図ることができる固体電解コンデンサ、および、固体電解コンデンサの製造方法を提供する。
【解決手段】 固体電解コンデンサ101は、多孔質焼結体24と、x方向に長く延びるように形成されており、x方向における一方の端部を露出させるように多孔質焼結体24に接続された陽極ワイヤ2と、多孔質焼結体24および陽極ワイヤ3を覆う樹脂パッケージ1と、樹脂パッケージ1から露出する端子部31、および、端子部31と接続されたリード側連結部32を有するリード3と、を備えている。陽極ワイヤ2は、基部21と、基部21よりもx方向における一方側に配置された連結部22と、を有している。連結部22の断面積は基部21の断面積よりも小さく、連結部22とリード側連結部32とが溶接されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、陽極ワイヤをリードに溶接して製造される固体電解コンデンサおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図16は、従来の固体電解コンデンサの一例を示している(たとえば特許文献1参照)。図16に示す固体電解コンデンサ90は、面実装型のものであり、樹脂パッケージ91、固体電解コンデンサチップ92、陽極用リード93、および陰極用リード94を備えている。樹脂パッケージ91は、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂からなり、固体電解コンデンサチップ92の全体を覆っている。樹脂パッケージ91は、陽極用リード93の陽極端子部931を露出させるように陽極用リード93を覆っている。樹脂パッケージ91は、陰極用リード94の陰極端子部941を露出させるように陰極用リード94を覆っている。このような固体電解コンデンサ90の製造は、樹脂パッケージ型の半導体等の電子部品の製造とほぼ同様にして行われる。すなわち、製造用リードフレームの間に固体電解コンデンサチップ92を固定した後、固体電解コンデンサチップ92を樹脂で包み込むモールド成型を行う。さらに、その後に、リードフレームの不要部分を除去するとともにリードフレームを所定の形状に加工する。
【0003】
固体電解コンデンサチップ92は、たとえば、乾式タンタルコンデンサチップである。固体電解コンデンサチップ92は、陽極ワイヤ921、陰極金属膜922、および、多孔質焼結体923を備えている。陽極ワイヤ921は、タンタルからなり、図16に示すように細長に延びており、一定の直径を有している。陽極ワイヤ921の基端921a(図16中右端)は多孔質焼結体923内に埋設されている。陽極ワイヤ921の先端921b(図中左端)は図に示すように陽極用リード93に接続されている。陰極金属膜922は、多孔質焼結体923の図中左端部のみを露出させるように、多孔質焼結体923を覆っている。陰極金属膜922は、銀ペースト95を介して陰極用リード94と接続されている。多孔質焼結体923は、タンタル粉末を所定の形状に加圧成形したものを真空環境下において焼結し、その焼結体に酸化被膜を形成したものである。なお、多孔質焼結体923の空洞部は、二酸化マンガン等の半導体によって埋められている。
【0004】
陽極ワイヤ921の先端921bと陽極用リード93との接続は、たとえば、レーザを用いた溶接によって行われる。具体的には、陽極ワイヤ921の先端921bと陽極用リード93とを接触させ、両者の接触部分に向けてレーザを照射する。レーザによって加熱された陽極ワイヤ921と陽極用リード93との接触部分は融解し、冷却された後には一体となって溶接される。
【0005】
固体電解コンデンサ90は、たとえば電子機器に組み込まれて用いられる。電子機器の消費電力を低下させるために、固体電解コンデンサ90の等価直列抵抗(以下、ESR)を下げることが求められている。固体電解コンデンサ90のESRを低下させる一つの方法として、陽極ワイヤ921の直径を大きくすることにより陽極ワイヤ921と多孔質焼結体923との接触面積を増加させることが考えられる。
【0006】
しかしながら、陽極ワイヤ921の直径を増加させた場合、以下のような問題点が発生することが想定されている。直径の大きな陽極ワイヤ921をレーザで溶接するには、より高い熱量が必要となる。このため、直径を大きくした分だけ溶接時に陽極ワイヤ921に加えられる熱は大きくなり、陽極ワイヤ921を通じて多孔質焼結体923に伝わる熱量も大きなものとなる。多孔質焼結体923に伝わる熱量が大きくなると、多孔質焼結体923に形成されている酸化被膜が破損してしまうことが起こりえる。酸化被膜が破損すると、固体電解コンデンサ90を使用した際に、陽極ワイヤ921と陰極金属膜922との間で漏洩電流が生じてしまうことあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−50231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、漏洩電流の発生を抑えつつ、ESRの低下を図ることができる固体電解コンデンサ、および、固体電解コンデンサの製造方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の側面によって提供される固体電解コンデンサは、多孔質焼結体と、第1の方向に長く延びるように形成されており、上記第1の方向における一方の端部を露出させるように上記多孔質焼結体に接続された陽極ワイヤと、上記多孔質焼結体および上記陽極ワイヤを覆う樹脂パッケージと、上記樹脂パッケージから露出する端子部、および、上記端子部と接続されたリード側連結部を有するリードと、を備えており、上記陽極ワイヤは、基部と、上記基部よりも上記第1の方向における一方側に配置された連結部と、を有しており、上記連結部の断面積は上記基部の断面積よりも小さく、上記連結部と上記リード側連結部とが溶接されていることを特徴とする。
【0010】
好ましい実施形態においては、上記基部は、円形断面を有し、上記第1の方向に長く延びるように形成されており、上記連結部の上記第1の方向と直交する第2の方向における一方側に上記リード側連結部が配置されており、上記第2の方向における上記連結部の長さは、上記基部の断面の直径よりも短くなっている。
【0011】
好ましい実施形態においては、上記連結部は、上記第2の方向における長さが、上記基部の断面の直径よりも短い板状に形成されている。
【0012】
好ましい実施形態においては、上記連結部は、上記第1の方向および上記第2の方向と直交する第3の方向における一方の端縁に、上記第3の方向における一方側ほど上記第2の方向における長さが減少していく傾斜部を有している。
【0013】
好ましい実施形態においては、上記連結部の上記傾斜部の上記第3の方向における一方側の端縁が、上記リード側連結部に溶接されている。
【0014】
別の好ましい実施形態においては、上記連結部は、対角線の長さが上記基部の断面の直径よりも短い菱形の断面を有する。
【0015】
さらに別の好ましい実施形態においては、上記連結部は、直径が上記基部の断面の直径よりも短い円形の断面を有する。
【0016】
より好ましい実施形態においては、上記リード側連結部は、上記第2の方向に凹み、かつ、上記第1の方向に沿って延びる溝部を有しており、上記連結部は上記溝部に溶接されている。
【0017】
より好ましくは、上記第2の方向において、上記連結部と、上記溝部の上記第2の方向における一方の端とに挟まれる空洞部が形成されている。
【0018】
具体的には、上記溝部は、上記第1の方向視V字状に形成されており、V字を成す1対の斜面のそれぞれが、上記連結部と溶接されている。
【0019】
実施形態の一例では、上記連結部は、上記第1の方向視において、上記基部の断面の中心と重なるように配置されている。
【0020】
実施形態の別の例では、上記連結部は、上記第1の方向視において、上記第2の方向における上記基部の一方の端部と重なるように配置されている。
【0021】
好ましい実施形態においては、上記連結部が、上記第2の方向における一方側に粗面を有している。
【0022】
より好ましい実施形態においては、上記連結部の上記第1の方向における他方の端部が上記多孔質焼結体から露出している。
【0023】
より好ましくは、上記基部の上記第1の方向における一方の端部が上記多孔質焼結体から露出している。
【0024】
好ましい実施形態においては、上記基部は、上記多孔質焼結体から露出する露出部を有しており、上記露出部および上記多孔質焼結体の上記第1の方向における一方の端面に接する疎水部材をさらに備えている。
【0025】
より好ましくは、上記基部は、上記露出部に連結されており、かつ、上記多孔質焼結体に埋設された埋設部をさらに有している。
【0026】
本発明の第2の側面によって提供される固体電解コンデンサの製造方法は、第1の方向に長く延び、第1の方向における一方の端部が露出するように多孔質焼結体に接続される製造用ワイヤを加工するワイヤ加工工程と、上記製造用ワイヤと製造用リードのリード側連結部とを溶接する溶接工程と、上記多孔質焼結体を覆う樹脂パッケージを形成する工程と、を備えており、上記ワイヤ加工工程においては、上記製造用ワイヤの上記多孔質焼結体から露出する部分の少なくとも一部の断面積を減少させる加工が施され、この加工により上記製造用ワイヤの断面積が減少した部分が連結部となり、この加工が施されず、かつ、上記第1の方向における他方の端部を含む部分が基部となることを特徴とする。
【0027】
好ましい製造方法においては、上記製造用ワイヤは、円形断面を有し、上記ワイヤ加工工程では、上記第1の方向と直交する第2の方向における長さが上記製造用ワイヤの断面の直径よりも短くなるように加工を施すことにより上記連結部を形成し、上記溶接工程において、上記連結部の上記第2の方向における一方側が上記リード側連結部に溶接される。
【0028】
このような構成によれば、上記固体電解コンデンサを製造する際に、上記基部をリード側連結部に溶接する場合よりも少ない熱量で上記連結部をリード側連結部に溶接することができる。このため、上記基部を、たとえば比較的太い製造用ワイヤで形成しても、上記連結部を溶接するために必要な熱量を抑え、上記多孔質焼結体が破損するのを防ぐことが可能である。従って、本発明に基づく固体電解コンデンサは、製造する際に上記多孔質焼結体が破損するのを抑えることができるため、漏洩電流の発生を抑えることができる。さらに、上記基部を太くすることが可能であるため、本発明に基づく固体電解コンデンサは、ESRの低下を図るのに好適である。
【0029】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1実施形態に基づく固体電解コンデンサを示す断面図である。
【図2】図1のII−II線に沿う要部断面図である。
【図3】図1に示す固体電解コンデンサチップを示す斜視図である。
【図4】図1に示す固体電解コンデンサの製造方法の一工程を示す図である。
【図5】図4に続く工程を示す図である。
【図6】図5に続く工程を示す図である。
【図7】図6に続く工程を示す図である。
【図8】本発明の第2実施形態に基づく固体電解コンデンサの要部断面図である。
【図9】図8に示す固体電解コンデンサの要部断面図である。
【図10】本発明の第3実施形態に基づく固体電解コンデンサの断面図である。
【図11】図10のXI−XI線に沿う要部断面図である。
【図12】本発明の第4実施形態に基づく固体電解コンデンサの要部断面図である。
【図13】本発明の第5実施形態に基づく固体電解コンデンサの要部断面図である。
【図14】本発明の第6実施形態に基づく固体電解コンデンサの要部断面図である。
【図15】本発明の第7実施形態に基づく固体電解コンデンサの要部断面図である。
【図16】従来の固体電解コンデンサの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0032】
図1および図2には、本発明の第1実施形態に基づく固体電解コンデンサの一例を示している。図2および図3には、図1に示す固体電解コンデンサに組み込まれている固体電解コンデンサチップの一例を示している。固体電解コンデンサ101は、樹脂パッケージ1、固体電解コンデンサチップ201、陽極用リード3、陰極用リード4、および、接合部材5を備えている。図2に示すのは、図1に示すII−II線に沿う断面の要部である。図2では、樹脂パッケージ1および陽極用リード3の一部を省略している。固体電解コンデンサ101は、全体として略直方体状に形成されており、図1に示すx方向は固体電解コンデンサ101の長手方向であり、本発明の請求項における第1の方向に相当する。y方向はx方向と直交する方向であり、本発明の請求項における第2の方向に相当する。図2に示すz方向はx方向およびy方向と直交する方向であり、本発明の請求項における第3の方向に相当する。
【0033】
樹脂パッケージ1は、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂からなり、固体電解コンデンサチップ201の全体を覆っている。さらに、樹脂パッケージ1は、陽極用リード3の一部を露出させるように陽極用リード3を覆っている。樹脂パッケージ1は、陰極用リード4の一部を露出させるように陰極用リード4を覆っている。
【0034】
固体電解コンデンサチップ201は、図1〜図3に示すように、陽極ワイヤ2と、陰極金属膜23と、x方向に長く延びる直方体状に形成された多孔質焼結体24と、疎水部材25とを備えている。固体電解コンデンサチップ201は、たとえばタンタルコンデンサチップである。
【0035】
陽極ワイヤ2は、後述するようにタンタル製の製造用ワイヤを加工して形成されたものであり、x方向における図1中左端部が多孔質焼結体24の外側に露出するように、多孔質焼結体24に接続されている。陽極ワイヤ2は、基部21と、基部21よりもx方向における図1中左方に位置する連結部22とを備えている。陽極ワイヤ2は、図示しない誘電体膜で覆われている。この誘電体膜は、五酸化タンタルの薄膜である。基部21は、多孔質焼結体24に埋設されている埋設部211と、多孔質焼結体24から露出する露出部212とを備えている。図1に示すように、露出部212は埋設部211のx方向における図中左端に連結されている。基部21は、たとえば直径100〜400μmの円形断面を有し、x方向に長く延びるように形成されている。連結部22は、露出部212の図1中左端からx方向における図1中左方に延び出るように形成されている。連結部22は露出部212のy方向における中央部から延び出している。図3に示すように、連結部22は、y方向を厚み方向とする薄板状に形成されている。図2に示すように、連結部22のy方向における長さは基部21の直径よりも小さくなっており、連結部22の断面積は基部21の断面積よりも小さくなっている。
【0036】
さらに、連結部22は、z方向における図2中左端部に傾斜部221を、z方向における図2中右端部に傾斜部222を有している。傾斜部221は、z方向における図2中左方ほどy方向における図2中下方へ向かう斜面を有しており、z方向における図2中左方ほどy方向における長さが減少している。傾斜部222は、z方向における図2中右方ほどy方向における図2中下方へ向かう斜面を有しており、z方向における図2中右方ほどy方向における長さが減少している。
【0037】
陰極金属膜23は、たとえば、銀製あり、多孔質焼結体24のx方向における図1中左方の端面24aを露出させるように、多孔質焼結体24を覆っている。
【0038】
多孔質焼結体24は、直方体形状に加圧成形されたタンタル粉末を焼結させて作成される。焼結されたタンタル粉末を覆うように図示しない誘電体膜が形成されており、さらにタンタル粉末間の隙間は半導体で充填されている。焼結されたタンタル粉末および半導体層を覆うように図示しないグラファイト層が形成されている。
【0039】
疎水部材25は、たとえば疎水性のフッ素樹脂からなり、x方向視円環状に形成されている。図1に示すように、疎水部材25は、陽極ワイヤ2の露出部211および多孔質焼結体24の端面24aに接している。この疎水部材25は、後述するように、固体電解コンデンサチップ201を製造する際に機能を発揮する。
【0040】
陽極用リード3は、樹脂パッケージ1から露出する端子部31と、端子部31と接続され、かつ、固体電解コンデンサチップ201に接続されるリード側連結部32とを備えている。陰極用リード4は、樹脂パッケージ1から露出する端子部41を備えており、接合部材5を介して固体電解コンデンサチップ201に接続されている。接合部材5は、たとえば銀ペーストを焼成して形成されるものである。
【0041】
リード側連結部32は、図1および図2に示すように、y方向を厚み方向とする板状に形成されている。リード側連結部32は、連結部22のy方向における図1中下方側に配置されている。図2に示すように、連結部22のy方向における図中下面とリード側連結部32のy方向における図中上面とは接している。さらに、後述する製造方法により、連結部22のz方向における図2中左右の側縁とリード側連結部32とが溶接されている。より詳細には、傾斜部221の図2中左端縁とリード側連結部32とが溶接されており、傾斜部222の図2中右端縁とリード側連結部32とが溶接されている。
【0042】
次に、固体電解コンデンサ101の製造方法について図4〜図7を参照にしつつ説明を行う。
【0043】
まず、固体電解コンデンサチップ201の製造を行う。
【0044】
固体電解コンデンサチップ201を製造する際には、まず、直径100〜400μmのタンタル製の製造用ワイヤ20を用意し、その基端20aをタンタル粉末に埋設した状態で多孔質焼結体24を形成する。多孔質焼結体24は、たとえば以下の手順により形成されるものである。
【0045】
まず、タンタル粉末をx方向に長く延びる直方体形状に加圧成形し、これを高真空において焼結することにより多孔質焼結体24の基礎部を作成する工程を行う。次に、この基礎部を強酸性の液中に浸漬するとともに電圧を印加する工程を行う。この工程により、基礎部中のタンタル粉末粒子表面に五酸化タンタルの薄膜が形成される。この五酸化タンタルの薄膜が上述した図示しない誘電体膜として機能し、この誘電体膜の表面積がコンデンサとしての容量を規定する。なお、このとき、タンタル製の製造用ワイヤ20の上記液中に浸漬した部分にも五酸化タンタルからなる誘電体膜が形成される。
【0046】
次に、疎水部材25を設置する工程を行う。この工程では、たとえば、製造用ワイヤ20の基部20aの反対側の端から環状の疎水部材25を通し、その疎水部材25を多孔質焼結体24の基礎部の接するまで移動させて固定する。あるいは、製造用ワイヤ20をタンタル粉末に埋設する時点で疎水部材25を取り付けておいても構わない。
【0047】
さらに次に、基礎部に形成されている多孔空洞部を半導体で充填する工程を行う。半導体の形成は、たとえば、基礎部を硝酸マンガン溶液中に浸漬し、硝酸マンガン溶液を熱分解することによって行われる。この工程では、先に設置された疎水部材25により、硝酸マンガン溶液の製造用ワイヤ20へのしみ上がりが抑制される。硝酸マンガン溶液を熱分解することによって、五酸化タンタルの薄膜を覆うように酸化物半導体である二酸化マンガンが形成される。その後、半導体で充填された基礎部をグラファイト層で覆うことで多孔質焼結体24は形成される。
【0048】
その後、多孔質焼結体24の製造用ワイヤ20が突出する端面24aを露出させるように、多孔質焼結体24をたとえば銀製の膜で覆う。ここで形成される銀製の膜が陰極金属膜23となる。以上の工程により形成された中間物を図4に示している。図4に示す中間物において、製造用ワイヤ20は、x方向に長く延び、x方向における図中右方の端部が露出するように多孔質焼結体24に接続されている。製造用ワイヤ20の基端20aを含む図4中左端部は、多孔質焼結体24に埋設されており、この部分が完成品における埋設部211となる。
【0049】
次に、製造用ワイヤ20を加工するワイヤ加工工程を行う。このワイヤ加工工程では、製造用ワイヤ20の多孔質焼結体24の外側に突き出している部分に対して断面積を減少させる加工を施す。たとえば、製造用ワイヤ20の一部をプレス機で押圧して薄板状に変形させることで、図5に示すような断面形状が得られる。この工程で、製造用ワイヤ20のうち、加工が施されず、かつ、多孔質焼結体24から露出している部分が露出部212となる。この露出部212と先に形成された埋設部211とをあわせたものが基部21となる。その後、たとえば不要部分を除去することで連結部22が形成され、図3に示すような、連結部22を備えた固体電解コンデンサチップ201を得ることができる。連結部22の傾斜部221,222を形成する工程も、製造用ワイヤ20の不要部分を切除する工程において行うことができる。なお、製造用ワイヤ20を完全に切除せずに、たとえば、連結部22が図3に示す状態よりもx方向に長く延びている状態で、以下に示す溶接工程を行うことも可能である。樹脂パッケージ1を形成する前に不要な部分を切除しておけばよい。
【0050】
次に、製造用リードフレームに対して打ち抜き加工や折り曲げ加工を行い、互いに離間する製造用リード30および製造用リード40を形成する工程を行う。その後、図6に示すように、製造用リード30および製造用リード40に、先に製造した固体電解コンデンサチップ201を設置する工程を行う。この工程では、固体電解コンデンサチップ201の連結部22が製造用リード30のリード側連結部32に接触する。また、この工程では、製造用リード40に予め銀ペースト50を塗布しておく。銀ペースト50を介して固体電解コンデンサチップ201の陰極金属膜23は製造用リード40に導通し、かつ、固定される。銀ペースト50が硬化したものが接合部材5となる。
【0051】
次に、製造用リード30のリード側連結部32と固体電解コンデンサチップ201の連結部22とを溶接する溶接工程を行う。この工程は、レーザ照射装置を用いて行われる。図7にはリード側連結部32に連結部22を接触させた状態で溶接用レーザ光La,Lbを照射している状態を示している。図7に示すように、溶接用レーザ光Laは傾斜部221とリード側連結部32との接触部分を照射する。より詳細には、溶接用レーザ光Laは傾斜部221のz方向における図7中左端縁を照射する。このため、傾斜部221の図7中左端縁とリード側連結部32とが溶接される。また、溶接用レーザ光Lbは傾斜部222とリード側連結部32との接触部分を照射する。より詳細には、溶接用レーザ光Lbは傾斜部222のz方向における図7中右端縁を照射する。このため、傾斜部222の図7中右端縁とリード側連結部32とが溶接される。溶接用レーザ光La,Lbの照射はy方向視においてリード側連結部32と連結部22とが重なる領域のx方向における全長に対して行われる。このような溶接は、溶接用レーザ光La,Lbの照射位置をx方向に順次ずらしていくことにより行うことができる。
【0052】
溶接終了後に、樹脂パッケージ1を形成する工程を行う。樹脂パッケージ1を形成する工程は、固体電解コンデンサチップ201をエポキシ樹脂で包み込むモールド成型を行うことによって行われる。このとき固体電解コンデンサチップ201を包み込むエポキシ樹脂が硬化することで樹脂パッケージ1が形成される。その後、製造用リード30を折り曲げ加工することで陽極用リード3が形成され、製造用リード40を折り曲げ加工することで陰極用リード4が形成される。
【0053】
以上の工程により、固体電解コンデンサ101は完成する。
【0054】
次に、固体電解コンデンサ101および固体電解コンデンサ101の製造方法の作用について説明を行う。
【0055】
固体電解コンデンサチップ201の連結部22は、y方向における長さが基部21の直径に比べて短く、比較的厚みの薄い板状に形成されている。上述した製造方法によれば、比較的厚みの薄い連結部22とリード側連結部32とを溶接用レーザ光La,Lbを用いて溶接している。この溶接工程においては、連結部22が比較的薄く形成されているため、連結部22を設けずに基部21とリード側連結部32とを溶接する場合に比べて溶接に必要な熱量が少なくてすむ。すなわち、基部21を太く形成しても、連結部22を上述した薄板状の形状とすることにより、溶接に必要な熱量が大きくなることを防ぐことができる。溶接時に連結部22に加えられる熱量が抑制されるため、多孔質焼結体24に加えられる熱量が抑制され、多孔質焼結体24に形成されている五酸化タンタルの薄膜が破損することを防ぎやすくなっている。このため、固体電解コンデンサ101は、漏洩電流の発生を好ましく抑制することができる。従って、固体電解コンデンサチップ201は、たとえば従来の固体電解コンデンサ90で用いられている陽極ワイヤ921よりも太い製造用ワイヤ20を用いて陽極ワイヤ2を形成することが可能となっている。直径の太い製造用ワイヤ20を用いれば、加工されない部分である基部21の直径も太くなり、基部21と多孔質焼結体24との接触面積が増加する。このような固体電解コンデンサチップ201を備えた固体電解コンデンサ101はESRを低下させるのに適している。
【0056】
本実施形態では、連結部22に設けられた傾斜部221,222に対して溶接用レーザ光La,Lbが照射されている。傾斜部221,222は連結部22の中でもy方向における厚みが特に薄くなっている部分である。このようにすることで、連結部22とリード側連結部32との溶接に必要な熱量をさらに抑えることができる。この構成により、前述した固体電解コンデンサチップ201および固体電解コンデンサ101の作用はより顕著なものとなる。また、溶接に必要な熱量を抑えることで、たとえば、溶接用レーザ光La,Lbの出力を抑えて溶接工程を行うことができるようになる。このため、溶接工程に必要な電力消費量を下げる効果もあり、固体電解コンデンサ101の製造コストの削減を図ることができる。
【0057】
図8〜図15は、本発明の他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。上記実施形態と同一または類似の要素については一部の説明を省略する。
【0058】
図8および図9は、本発明の第2実施形態に基づく固体電解コンデンサを説明するための図である。本実施形態における固体電解コンデンサ102は、連結部22の構造が固体電解コンデンサチップ201と異なる固体電解コンデンサ202を備えており、その他の構成は固体電解コンデンサ101と同様となっている。なお、図8および図9では、樹脂パッケージ1を省略している。
【0059】
固体電解コンデンサチップ202の連結部22は、図8に示すように複数の突起片22aが形成された粗面223が形成されている。粗面223は、連結部22の図8中下面に設けられており、リード側連結部32に当接している。図8に示すように、粗面223は、連結部22のz方向における略全長に渡って設けられている。図9に示すように、粗面223は、連結部22のx方向における大部分に渡って設けられている。粗面223のx方向における長さは、y方向視において連結部22とリード側連結部32とが重なる領域のx方向における長さよりも長くなっている。このような粗面223は、たとえば、ワイヤ加工工程において、製造用ワイヤ20の一部をプレス機で押圧して薄板状に変形させた後に、適所に梨地加工を施すことにより形成できる。
【0060】
本実施形態では、連結部22の粗面223がリード側連結部32に接触している。より詳細には、図8に示すように、突起片22aの先端がリード側連結部32と接触している。このため、連結部22とリード側連結部32との接触面積は、連結部22が平坦である場合に比べて小さなものとなる。このような連結部22とリード側連結部32とを溶接するときに必要な熱量は、平坦な連結部22とリード側連結部32とを溶接するときに必要な熱量よりも小さくなると考えられる。従って、本実施形態の固体電解コンデンサ102を製造する際に使用される溶接用レーザ光La,Lbの強度は、固体電解コンデンサ101を製造する際に用いられるものより弱くすることができる。このことは、溶接時に多孔質焼結体24に伝わる熱量を抑制し、多孔質焼結体24に形成されている五酸化タンタルの薄膜が破損することをさらに防ぎやすくする。さらに、溶接工程で必要な電力消費量を下げる効果もある。
【0061】
図10および図11は、本発明の第3実施形態に基づく固体電解コンデンサを示している。図10および図11に示す固体電解コンデンサ103は、樹脂パッケージ1、固体電解コンデンサチップ203、陽極用リード3、陰極用リード4、および、接合部材5を示している。なお、図11では樹脂パッケージ1を省略している。
【0062】
固体電解コンデンサチップ203は、連結部22の形状が固体電解コンデンサチップ201と異なっており、その他の構成は固体電解コンデンサチップ201と同様である。図10に示すように、固体電解コンデンサチップ203の連結部22は、基部21のy方向における図中下端部から延び出している。図10に示すように、連結部22は、x方向視において基部21の図中下端部と重なるように形成されており、基部21と比較してその断面積が大幅に小さくなっている。
【0063】
陽極用リード3は、端子部31と、端子部31に接続されたリード側連結部32とを備えている。図10に示すように、リード側連結部32は、連結部22のy方向における図中下方側を支えるように配置されている。図11に示すように、リード側連結部32には、y方向に凹み、かつ、x方向に沿って延びる、x方向視V字形状の溝部32aが形成されている。溝部32aのV字を成す1対の斜面のそれぞれが、連結部22のy方向における図11中下端部のz方向における両端縁を支えている。溝部32aのy方向における図11中下端部と連結部22との間には空洞部33が形成されている。溝部32aと連結部22とが接触するのは、x方向に沿って延びるほぼ線状の領域となり、両者の接触面積は比較的小さなものとなる。本実施形態の固体電解コンデンサチップ203の連結部22もレーザ光を用いてリード側連結部32と溶接される。連結部22とリード側連結部32との接触面積が小さいため、溶接に必要な熱量が軽減される。
【0064】
溝部32aは、製造用リード30を製造する工程において、たとえば掘削加工により溝部32aを形成する工程を行うことによって形成される。
【0065】
上述のように、固体電解コンデンサ103を製造する際に、比較的少ない熱量で連結部22とリード側連結部32とを溶接することができる。このため、固体電解コンデンサ103は、固体電解コンデンサ101と同様にESRを低下させるのに適したものである。
【0066】
なお、連結部22に、固体電解コンデンサチップ202の連結部22に形成されている粗面223と同様の粗面を設けることで、溶接に必要な熱量のさらなる軽減を図ることも可能である。
【0067】
図12は、本発明の第4実施形態に基づく固体電解コンデンサを示している。図12に示す固体電解コンデンサ104は、固体電解コンデンサチップ204を備えており、リード側連結部32に溝部32bが形成されており、その他の構成は固体電解コンデンサ103と同様となっている。なお、図12では樹脂パッケージ1を省略している。
【0068】
固体電解コンデンサチップ204は、図12に示すように、断面が菱形である連結部22を備えており、その他の構成は固体電解コンデンサチップ201と同様となっている。連結部22は、断面である菱形の対角線の一つがz方向に沿うように配置されており、z方向における両端の頂点部分で溝部32bと接触している。連結部22の断面である菱形のy,z方向に沿う対角線の長さは、いずれも基部21の直径よりも短くなっている。
【0069】
リード側連結部32に形成されている溝部32bは、溝部32aと同様にV字状の断面を有している。図12に示すように溝部32bは、溝部32aと比較して深く形成されており、リード側連結部32のy方向における図中上端部が構造的に脆くなる可能性が高くなっている。この問題を解消するために、本実施形態のリード側連結部32は、溝部32bの両側を補強するように平板部34を備えている。さらに、図12に示すように、溝部32bのy方向における図中下端部と連結部22との間には空洞部33が形成されている。このような構成によれば、連結部22とリード側連結部32との接触面積を小さくすることが可能である。従って、固体電解コンデンサ104は、固体電解コンデンサ103と同様に、製造時の溶接工程で必要となる熱量が軽減される構成を備えている。
【0070】
なお、連結部22に、固体電解コンデンサチップ202の連結部22に形成されている粗面223と同様の粗面を設けることで、溶接に必要な熱量のさらなる軽減を図ることも可能である。
【0071】
また、図12では、連結部22はx方向視において基部21の断面である円の中心と重なる位置に配置されているが、固体電解コンデンサチップ203の連結部22と同様に、連結部22が基部21のy方向における図中下端部から延び出す構成としても構わない。
【0072】
図13は、本発明の第5実施形態に基づく固体電解コンデンサを示している。図13に示す固体電解コンデンサ105は、固体電解コンデンサチップ205を備えており、リード側連結部32に溝部32cが形成されており、その他の構成は固体電解コンデンサ104と同様となっている。なお、図13では樹脂パッケージ1を省略している。
【0073】
固体電解コンデンサチップ205は、図13に示すように、断面が円形である連結部22を備えており、その他の構成は固体電解コンデンサチップ101と同様となっている。連結部22の直径は基部21の直径よりも短くなっている。具体的には連結部22の直径は200μm程度が望ましい。
【0074】
リード側連結部32に形成されている溝部32cは、溝部32bと同様にV字状の断面を有している。図13に示すように、溝部32bのy方向における図中下端部と連結部22との間には空洞部33が形成されている。このような構成によれば、連結部22とリード側連結部32との接触面積を小さくすることが可能である。従って、固体電解コンデンサ105は、固体電解コンデンサ103,104と同様に、溶接工程で必要となる熱量が軽減される構成を備えている。
【0075】
なお、連結部22に、固体電解コンデンサチップ202の連結部22に形成されている粗面223と同様の粗面を設けることで、さらなる溶接工程に必要な熱量の軽減を図ることも可能である。
【0076】
また、図13では、連結部22はx方向視において基部21の断面である円の中心と重なる位置に配置されているが、固体電解コンデンサチップ203の連結部22と同様に、連結部22が基部21のy方向における図中下端部から延び出す構成としても構わない。
【0077】
図14は、本発明の第6実施形態に基づく固体電解コンデンサを示している。図14に示す固体電解コンデンサ106は、リード側連結部32の形状が固体電解コンデンサ105の場合と異なっており、その他の構成は固体電解コンデンサ105と同様となっている。なお、図14では樹脂パッケージ1を省略している。
【0078】
本実施形態におけるリード側連結部32のz方向における図14中上端部には、y方向における上方ほどz方向において互いに近付く1対の斜面35が形成されている。このため、リード側連結部32のy方向における上端部のz方向における長さは、y方向における下方の部分より短くなっている。この上端部には、連結部22の円形断面に嵌合する溝部32dが形成されている。図14に示すように、連結部22と溝部32dとは接触している。本実施形態の固体電解コンデンサ106を製造する際には、たとえば、z方向に進行する溶接用のレーザ光を、図14における左右から、連結部22と溝部32dとの接触部分に照射することで行われる。このとき、実際に溶接されるのは、連結部22と溝部32dの接触部分のうち、z方向における両端部である。このため、固体電解コンデンサ106を製造する際の溶接工程で必要な熱量は、固体電解コンデンサ105を製造する場合と大差ないものと考えられる。従って、本実施形態の固体電解コンデンサ106は固体電解コンデンサ105と同様に溶接工程で必要となる熱量が軽減される構成を備えている。
【0079】
なお、連結部22に、固体電解コンデンサチップ202の連結部22に形成されている粗面223と同様の粗面を設けることで、さらなる溶接工程に必要な熱量の軽減を図ることも可能である。
【0080】
また、図14では、連結部22はx方向視において基部21の断面である円の中心と重なる位置に配置されているが、固体電解コンデンサチップ203の連結部22と同様に、連結部22が基部21のy方向における図中下端部から延び出す構成としても構わない。
【0081】
図15は、本発明の第7実施形態に基づく固体電解コンデンサを示している。図15に示す固体電解コンデンサ107は、リード側連結部32の形状が固体電解コンデンサ105の場合と異なっており、その他の構成は固体電解コンデンサ105と同様となっている。なお、図15では樹脂パッケージ1を省略している。
【0082】
図15に示すように、本実施形態におけるリード側連結部32のz方向における幅が連結部22の直径と同程度の長さである。リード側連結部32には、断面形状がy方向に長い半楕円である溝部32eが形成されている。溝部32eのy方向における図15中下端部と連結部22との間には空洞部33が形成されている。
【0083】
本実施形態においても、固体電解コンデンサ105の場合と同様に、連結部22と溝部32eとの接触面積が小さくなっている。本実施形態の固体電解コンデンサ107の構成でも、溶接工程で必要となる熱量が軽減することが可能である。
【0084】
本発明の範囲は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に基づく固体電解コンデンサの各部の具体的な構成および製造方法は、種々に設計変更自在である。
【0085】
たとえば、固体電解コンデンサ103においてリード側連結部32に形成されている溝部32aは、連結部22との接触面積を減らすための構成であるが、このような構成を固体電解コンデンサ101または固体電解コンデンサ102において採用しても構わない。
【0086】
また、上述した製造方法においては、多孔質焼結体24のタンタル粉末間を埋める半導体として二酸化マンガンを用いているが、たとえば、高分子有機電解質を用いてもよい。また、高分子有機電解質の製造用ワイヤへのしみ上がりを抑制するために、製造用ワイヤ20の完成品における露出部212に相当する部分にシリコン樹脂を塗布してもよい。また、上述した実施形態では、疎水部材25として、環状の固形物を使っているが、多孔質焼結体24の端面24aにフッ素樹脂を塗布することで代用しても構わない。
【0087】
また、上述した製造方法においては、多孔質焼結体24を形成する際に、製造用ワイヤ20を埋め込んだ後に、タンタル粉末を加圧成形する例を示しているが、多孔質焼結体を形成後に製造用ワイヤを接続してもよい。この場合、多孔質焼結体と製造用ワイヤとの接続は溶接により行うのが適当である。このとき、製造用ワイヤを加工して連結部と基部とを作るワイヤ加工工程は、製造用ワイヤを多孔質焼結体に溶接する前に行っても、後に行っても構わない。
【符号の説明】
【0088】
x (第1の)方向
y (第2の)方向
z (第3の)方向
1 樹脂パッケージ
101〜107 固体電解コンデンサ
201〜205 固体電解コンデンサチップ
2 陽極ワイヤ
21 基部
211 埋設部
212 露出部
22 連結部
22a 突起片
23 陰極金属膜
24 多孔質焼結体
24a 端面
221,222 傾斜部
223 粗面
3 陽極用リード
31 端子部
32 リード側連結部
32a〜32e 溝部
33 空洞部
34 平板部
4 陰極用リード
41 端子部
5 接合部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質焼結体と、
第1の方向に長く延びるように形成されており、上記第1の方向における一方の端部を露出させるように上記多孔質焼結体に接続された陽極ワイヤと、
上記多孔質焼結体および上記陽極ワイヤを覆う樹脂パッケージと、
上記樹脂パッケージから露出する端子部、および、上記端子部と接続されたリード側連結部を有するリードと、
を備えており、
上記陽極ワイヤは、基部と、上記基部よりも上記第1の方向における一方側に配置された連結部と、を有しており、
上記連結部の断面積は上記基部の断面積よりも小さく、
上記連結部と上記リード側連結部とが溶接されていることを特徴とする、固体電解コンデンサ。
【請求項2】
上記基部は、円形断面を有し、上記第1の方向に長く延びるように形成されており、
上記連結部の上記第1の方向と直交する第2の方向における一方側に上記リード側連結部が配置されており、
上記第2の方向における上記連結部の長さは、上記基部の断面の直径よりも短くなっている、請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項3】
上記連結部は、上記第2の方向における長さが、上記基部の断面の直径よりも短い板状に形成されている、請求項2に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項4】
上記連結部は、上記第1の方向および上記第2の方向と直交する第3の方向における一方の端縁に、上記第3の方向における一方側ほど上記第2の方向における長さが減少していく傾斜部を有している、請求項3に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項5】
上記連結部の上記傾斜部の上記第3の方向における一方側の端縁が、上記リード側連結部に溶接されている、請求項4に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項6】
上記連結部は、対角線の長さが上記基部の直径よりも短い菱形の断面を有する、請求項2に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項7】
上記連結部は、直径が上記基部の直径よりも短い円形の断面を有する、請求項2に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項8】
上記リード側連結部は、上記第2の方向に凹み、かつ、上記第1の方向に沿って延びる溝部を有しており、
上記連結部は上記溝部に溶接されている、請求項2ないし7のいずれかに記載の固体電解コンデンサ。
【請求項9】
上記第2の方向において、上記連結部と、上記溝部の上記第2の方向における一方の端とに挟まれる空洞部が形成されている、請求項8に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項10】
上記溝部は、上記第1の方向視V字状に形成されており、
V字を成す1対の斜面のそれぞれが、上記連結部と溶接されている、請求項9に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項11】
上記連結部は、上記第1の方向視において、上記基部の断面の中心と重なるように配置されている、請求項2ないし10のいずれかに記載の固体電解コンデンサ。
【請求項12】
上記連結部は、上記第1の方向視において、上記第2の方向における上記基部の一方の端部と重なるように配置されている、請求項2ないし10のいずれかに記載の固体電解コンデンサ。
【請求項13】
上記連結部が、上記第2の方向における一方側に粗面を有している、請求項2ないし12のいずれかに記載の固体電解コンデンサ。
【請求項14】
上記連結部の上記第1の方向における他方の端部が上記多孔質焼結体から露出している、請求項1ないし13のいずれかに記載の固体電解コンデンサ。
【請求項15】
上記基部の上記第1の方向における一方の端部が上記多孔質焼結体から露出している、請求項14に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項16】
上記基部は、上記多孔質焼結体から露出する露出部を有しており、
上記露出部および上記多孔質焼結体の上記第1の方向における一方の端面に接する疎水部材をさらに備えている、請求項1ないし13のいずれかに記載の固体電解コンデンサ。
【請求項17】
上記基部は、上記露出部に連結されており、かつ、上記多孔質焼結体に埋設された埋設部をさらに有している、請求項16に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項18】
第1の方向に長く延び、第1の方向における一方の端部が露出するように多孔質焼結体に接続される製造用ワイヤを加工するワイヤ加工工程と、
上記製造用ワイヤと製造用リードのリード側連結部とを溶接する溶接工程と、
上記多孔質焼結体を覆う樹脂パッケージを形成する工程と、
を備えており、
上記ワイヤ加工工程においては、上記製造用ワイヤの上記多孔質焼結体から露出する部分の少なくとも一部の断面積を減少させる加工が施され、この加工により上記製造用ワイヤの断面積が減少した部分が連結部となり、この加工が施されず、かつ、上記第1の方向における他方の端部を含む部分が基部となることを特徴とする、固体電解コンデンサの製造方法。
【請求項19】
上記製造用ワイヤは、円形断面を有し、
上記ワイヤ加工工程では、上記第1の方向と直交する第2の方向における長さが上記製造用ワイヤの断面の直径よりも短くなるように加工を施すことにより上記連結部を形成し、
上記溶接工程において、上記連結部の上記第2の方向における一方側が上記リード側連結部に溶接される、請求項18に記載の固体電解コンデンサの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−230990(P2012−230990A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−97861(P2011−97861)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)