説明

固体電解コンデンサ及びその製造方法

【課題】固体電解コンデンサの生産性を向上させると共に、陽極リードと陽極端子の接続不良や陽極端子の折れ曲がりを生じにくくする。
【解決手段】本発明に係る固体電解コンデンサにおいては、陽極端子3は、1枚の金属板から形成されて、陽極端子面3aを形成する端子部31と、該端子部31の側端縁にて折り返されて該端子部31の上面31bに重なる折り返し部32と、該折り返し部32の先端部の前端縁321にて端子部31の上面31bに対して垂直に折り曲げられた立設部33とを有し、該立設部33の先端331には陽極リード12の先端部12aが電気的に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体電解コンデンサ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の固体電解コンデンサは、図12に示される様に、陽極リード112が前方へ突出すると共に表面に陰極層115が形成されたコンデンサ素子101と、該コンデンサ素子101を被覆する外装樹脂102と、該外装樹脂102の下面102aから露出する陽極端子面103a及び陰極端子面104aをそれぞれ有する陽極端子103及び陰極端子104とを具えている(例えば、特許文献1参照)。そして、陽極端子103の上面には所定の高さを有する接続部材105が接続され、接続部材105の上端には、陽極リード112の先端部112aが接続されている。又、陰極端子104には、コンデンサ素子101の陰極層115が接続されている。
このように、陽極リード112の先端部112aを、接続部材105によって陽極端子103に接続することにより、高さ方向の所定位置に陽極リード112を配置することが可能となっている。
【0003】
しかし、上記固体電解コンデンサでは、接続部材105を陽極端子103に接続する工程と、該接続部材105に陽極リード112の先端部112aを接続する工程の両方において、溶接が必要であり、溶接は、固体電解コンデンサの生産性を低下させる1つの要因となっている。
【0004】
そこで、溶接回数を減少させるべく、特許文献2に開示されているように、1枚の金属板に対して折り曲げ加工を施すことによって、従来の陽極端子103と接続部材105が一体となった陽極端子を形成することが提案されている。
【0005】
特許文献2では、図13(a)〜図13(c)に示される様に、平板状の陽極フレーム材106に対して折り曲げ加工を施すことによって陽極端子を形成している。陽極フレーム材106は、図13(a)に示される様に、陽極端子面103aとなる下面161aを有する端子形成部161と、端子形成部161の側端縁に形成された突設部162と、端子部161の側端縁に沿って突設部162から帯状に延びる帯部163とから構成されている。そして、図13(b)に示される様に、突設部162を端子形成部161に対して上方へ垂直に折り曲げると共に、図13(c)に示される様に、帯部163を突設部162に対して垂直に折り曲げて、該帯部163を端子形成部161の上面に垂直に配置することによって陽極端子を形成する。
陽極端子を構成する帯部163の上端163aには、コンデンサ素子101の陽極リード112の先端部112aが接続される。
【0006】
このように1枚の金属板に対して折り曲げ加工を施して陽極端子を形成することにより、従来において必要であった陽極端子103と接続部材105との溶接が不要となるため、固体電解コンデンサの生産性が向上する。
【特許文献1】特開2001−6977号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献2に開示されている固体電解コンデンサでは、帯部163を突設部162に対して折り曲げる工程(図13(b))において折り曲げ角度に誤差(90°からのズレ)が生じると、帯部163は、陽極リード112の先端部112aが接続されるべき位置から前後にずれ、帯部163と陽極リード112の先端部112aとの接続不良を生じる虞がある。特に、横幅の大きな固体電解コンデンサにおいて、折り曲げ角度の誤差によって生じる帯部163の位置ずれが顕著となる。
【0008】
又、帯部163と陽極リード112の先端部112aとを抵抗溶接により接続する場合、帯部163の上端163aに陽極リード112の先端部112aが押し付けられるため、帯部163には下方に向けて大きな力が加わる。ところが、帯部163の下端は、該帯部163に対して垂直に位置する端子形成部161と直接には連結されていないので、抵抗溶接時に加わる力に耐え得る強度が帯部163には不足し、該力によって帯部163が折れ曲がってしまう虞がある。
【0009】
そこで本発明の目的は、固体電解コンデンサの生産性を向上させると共に、陽極リードと陽極端子の接続不良や陽極端子の折れ曲がりを生じにくくすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る固体電解コンデンサは、陽極リード(12)が前方へ突出すると共に表面に陰極層(15)が形成されたコンデンサ素子(1)と、該コンデンサ素子(1)を被覆する外装樹脂(2)と、該外装樹脂(2)の下面から露出する陽極端子面(3a)及び陰極端子面(4a)をそれぞれ有する陽極端子(3)及び陰極端子(4)とを具え、該陽極端子(3)には前記陽極リード(12)が電気的に接続され、該陰極端子(4)には前記陰極層(15)が電気的に接続されている。
【0011】
前記陽極端子(3)は、1枚の金属板から形成されて、前記陽極端子面(3a)を形成する端子部(31)と、該端子部(31)の側端縁にて折り返されて該端子部(31)の上面に重なる折り返し部(32)と、該折り返し部(32)の先端部の前端縁又は後端縁にて前記端子部(31)の上面に対して垂直に折り曲げられた立設部(33)とを有し、該立設部(33)の先端には前記陽極リード(12)の先端部(12a)が電気的に接続されている。
【0012】
具体的構成において、前記折り返し部(32)は、前記端子部(31)の側端縁から前記陽極リード(12)の先端部(12a)の下方位置まで前記端子部(31)の上面に沿って延びている。
【0013】
上記固体電解コンデンサによれば、1枚の金属板に折り曲げ加工を施すことによって端子部(31)及び立設部(33)を形成することが出来るので、端子部(31)及び立設部(33)を形成する工程では溶接が不要である。よって、固体電解コンデンサの生産性が、従来の固体電解コンデンサに比べて向上することとなる。
【0014】
立設部(33)と陽極リード(12)の先端部(12a)とを抵抗溶接により接続する場合、立設部(33)の先端に陽極リード(12)の先端部(12a)が押し付けられるため、立設部(33)には下方に向けて大きな力が加わる。
しかし、立設部(33)の基端が、該立設部(33)に対して垂直に位置する折り返し部(32)に直接連結されているので、立設部(33)は、抵抗溶接時に加わる力に耐え得る強度を有している。従って、該力によって立設部(33)が折れ曲がることがない。
【0015】
より具体的な構成において、前記立設部(33)の高さが、前記折り返し部(32)の長さよりも小さい。
該具体的構成によれば、折り曲げ位置から立設部(33)の先端までの長さが、同じサイズの従来の固体電解コンデンサについての帯部163の長さL1(図13(c)参照)よりも短くなるので、立設部(33)を形成する際の折り曲げ角度に誤差が生じた場合でも、立設部(33)の先端の位置は、陽極リード(12)の先端部が接続されるべき所定の位置から前後に僅かにずれるだけである。よって、立設部(33)と陽極リード(12)の先端部との接続不良が生じにくい。つまり、固体電解コンデンサは、折り曲げ角度の誤差による影響を受けにくい。
【0016】
本発明に係る固体電解コンデンサの製造方法は、陽極リード(12)が前方へ突出すると共に表面に陰極層(15)が形成されたコンデンサ素子(1)と、該コンデンサ素子(1)を被覆する外装樹脂(2)と、該外装樹脂(2)の下面から露出する陽極端子面(3a)及び陰極端子面(4a)をそれぞれ有する陽極端子(3)及び陰極端子(4)とを具える固体電解コンデンサの製造方法であって、フレーム体形成工程と、素子搭載工程とを有する。
【0017】
フレーム体形成工程では、前記陽極端子(3)となる陽極部(61)と前記陰極端子(4)となる陰極部(62)とを有する平板状のフレーム材(6)に対して折り曲げ加工を施してフレーム体(7)を形成する。前記陽極部(61)は、前記陽極端子面(3a)となる下面を有する端子形成部(611)と、該端子形成部(611)から帯状に延びる帯部(612)と、該帯部(612)の先端部に形成された突設部(613)とから構成され、該帯部(612)は、陽極部(61)から陰極部(62)に向かう一方向に対して垂直な方向に延びると共に、前記突設部(613)は、前記帯部(612)の先端部から前記一方向又はその逆方向に突出している。前記折り曲げ加工では、前記突設部(613)を前記帯部(612)に対して下方へ垂直に折り曲げると共に、該帯部(612)を前記端子形成部(611)の上面に折り重ねて、前記フレーム体(7)を形成する。
【0018】
素子搭載工程では、前記フレーム体(7)の上面に前記コンデンサ素子(1)を搭載し、該コンデンサ素子(1)の陽極リード(12)の先端部(12a)を該フレーム体(7)の突設部(613)の先端に接触させると共に、陰極層(15)をフレーム体(7)の陰極部(62)に接触させる。
【0019】
上記固体電解コンデンサの製造方法によれば、フレーム材(6)の陽極部(61)に折り曲げ加工を施すことによって端子形成部(611)及び突設部(613)が形成されるので、フレーム体形成工程では溶接が不要である。よって、固体電解コンデンサの生産性が、従来の固体電解コンデンサに比べて向上することとなる。
【0020】
素子搭載工程において、突設部(613)の先端と陽極リード(12)の先端部(12a)とを抵抗溶接により接続する場合、突設部(613)の先端に陽極リード(12)の先端部(12a)が押し付けられるため、突設部(613)には下方に向けて大きな力が加わる。
しかし、突設部(613)の基端が、該突設部(613)に対して垂直に位置する帯部(612)に直接連結されているので、突設部(613)は、抵抗溶接時に加わる力に耐え得る強度を有している。従って、該力によって突設部(613)が折れ曲がることがない。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、固体電解コンデンサの生産性が向上すると共に、陽極リードと陽極端子の接続不良や陽極端子の折れ曲がりが生じにくくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態につき、図面に沿って具体的に説明する。
本発明の実施の形態に係る固体電解コンデンサは、図1及び図2に示される様に、コンデンサ素子1と、該コンデンサ素子1を被覆する外装樹脂2と、陽極端子3と、陰極端子4とを具えている。
【0023】
コンデンサ素子1は、図1に示される様に、陽極体11、陽極リード12、誘電体層13、電解質層14及び陰極層15から構成されている。
陽極体11は、弁作用を有する金属からなる多孔質焼結体によって構成されている。弁作用を有する金属には、例えばタンタル、ニオブ、チタン、アルミニウムなどが用いられる。
【0024】
陽極リード12は、その先端部12aが陽極体11から前方に突出すると共に、基端部12bが陽極体11内に埋設されている。陽極リード12は、陽極体11を構成する金属と同種の金属によって構成され、陽極体11と電気的に接続している。
【0025】
誘電体層13は、陽極体11の表面を酸化することによって形成される酸化皮膜によって構成されている。具体的には、陽極体11をリン酸水溶液などの電解溶液に浸し、陽極体11の表面を電気化学的に酸化すること(陽極酸化)によって酸化皮膜が形成され、該酸化被膜によって誘電体層13が構成されている。
【0026】
電解質層14は、二酸化マンガン等の導電性無機材料、TCNQ(Tetracyano-quinodimethane)錯塩、導電性ポリマー等の導電性有機材料などによって、誘電体層13の表面に形成されている。
【0027】
陰極層15は、電解質層14の表面に形成されたカーボン層と、カーボン層の表面に形成された銀ペースト層とから構成され、電解質層14と電気的に接続している。
【0028】
陽極端子3は、図1に示される様に、外装樹脂2の下面2aから露出する陽極端子面3aを有し、陽極端子3には、コンデンサ素子1の陽極リード12の先端部12aが電気的に接続されている。
【0029】
具体的には図2に示される様に、陽極端子3は、1枚の金属板から形成されて、端子部31と、折り返し部32と、立設部33とを有している。端子部31は、外装樹脂2の下面2aに沿って配置され、端子部31の下面が外装樹脂2の下面2aに露出することによって陽極端子面3aが形成されている。
【0030】
折り返し部32は、端子部31の側端縁311にて折り返されて、端子部31の上面31bに重なっている。そして、折り返し部32は、端子部31の側端縁311から陽極リード12の先端部12aの下方位置まで、端子部31の上面31bに沿って帯状に延びている。
【0031】
立設部33は、折り返し部32の先端部の前端縁321にて、端子部31の上面31bに対して垂直に折り曲げられている。本実施の形態では、立設部33の高さHは、折り返し部32の長さLよりも小さくなっている。
そして、立設部33の先端(上端)331には、陽極リード12の先端部12aが載置されて電気的に接続されている。これにより、陽極端子3と陽極リード12の先端部12aとが電気的に接続されている。
【0032】
陰極端子4は、図1に示される様に、外装樹脂2の下面2aから露出する陰極端子面4aを有し、陰極端子4の上面4bには、コンデンサ素子1の陰極層15が電気的に接続されている。
【0033】
次に、上記固体電解コンデンサの製造方法について説明する。該製造方法では、フレーム体形成工程、素子搭載工程、樹脂被覆工程、及び切断工程がこの順に実行される。
【0034】
まず、図3(a)及び図3(b)に示される様に、フレーム体形成工程において、平板状のフレーム材6に対して折り曲げ加工を施してフレーム体7を形成する。フレーム材6は、図3(a)に示される様に、陽極端子3となる陽極部61と陰極端子4となる陰極部62とを有している。
【0035】
陽極部61は、図4(a)に示される様に、端子形成部611と、帯部612と、突設部613とによって構成されている。端子形成部611は、陽極端子3の陽極端子面3aとなる下面611aを有している。帯部612は、陽極部61から陰極部62に向かう一方向91(図3(a)参照)に対して垂直な方向92に沿って、端子形成部611の側端縁611cから帯状に延びている。突設部613は、帯部612の先端部に形成され、帯部612の縁のうち、上記一方向91とは逆側の縁612cから該一方向91とは逆方向に突出している。
【0036】
上記フレーム材6に対する折り曲げ加工では、図4(b)に示される様に、突設部613を、帯部612の縁612cに沿う折り線F1にて、帯部612に対して下方へ垂直に折り曲げる。そして、図4(c)に示される様に、帯部612を、端子形成部611の側端縁611cに沿う折り線F2にて、端子形成部611に対して上方へ折り曲げると共に、帯部612を端子形成部611の上面611bに折り重ねる。
これにより、図3(b)に示される様にフレーム体7が形成され、フレーム体7の帯部612及び突設部613によって、上記固体電解コンデンサの陽極端子3の折り返し部32及び立設部33がそれぞれ構成されることとなる。
【0037】
尚、上述した折り曲げ加工において、帯部612の折り曲げを先に行い、その後に突設部613の折り曲げを行ってもよい。
【0038】
フレーム体形成工程の実行後、図5に示される様に素子搭載工程において、複数のコンデンサ素子1をフレーム体7の上面に搭載する。このとき、コンデンサ素子1の陽極リード12の先端部12aを、図6(a)及び図6(b)に示される様にフレーム体7の突設部613の先端613aに接触させると共に、陰極層15を、図6(a)に示される様にフレーム体7の陰極部62に接触させる。
【0039】
このとき、陽極リード12の先端部12aは、レーザ溶接や抵抗溶接等により突設部613の先端613aに接続され、陰極層15は、導電性接着剤等によりフレーム体7の陰極部62に接続される。これにより、陽極リード12の先端部12aは、フレーム体7の陽極部61に電気的に接続されると共に、陰極層15は、フレーム体7の陰極部62に電気的に接続されることとなる。
【0040】
素子搭載工程の実行後、図7(a)に示される様に、樹脂被覆工程においてフレーム体7及びコンデンサ素子1を外装樹脂2によって被覆し、素子ブロック8を作成する。このとき、図7(b)に示される様に、外装樹脂2の下面2aからはフレーム体7の下面が露出している。具体的には、陽極部61の端子形成部611の下面611aと陰極部62の下面62aが、外装樹脂2の下面2aから露出している。尚、外装樹脂2には、エポキシ樹脂などの樹脂材が用いられる。
【0041】
樹脂被覆工程の実行後、図8に示される様に、切断工程において素子ブロック8に切断加工を施す。具体的には、図8に示される一点鎖線に沿って素子ブロック8を切断する。これにより、フレーム体7の陽極部61からは陽極端子3が形成されると共に、該陽極部61の端子形成部611によって陽極端子3の端子部31が構成されることとなる。又、陰極部62からは陰極端子4が形成されることとなる。
このようにして、図1及び図2に示される固体電解コンデンサが作成される。
【0042】
上記固体電解コンデンサ及びその製造方法によれば、1枚の金属板からなる平板状のフレーム材6に折り曲げ加工を施すことによって、陽極端子3の端子部31及び立設部33を形成することが出来るので、端子部31及び立設部33を形成する工程では溶接が不要となる。よって、固体電解コンデンサの生産性が、従来の固体電解コンデンサに比べて向上することとなる。
【0043】
又、立設部33の高さHを調節することによって、高さ方向の所定の位置に陽極リード12の先端部12aを配置することが可能となる。
【0044】
立設部33と陽極リード12の先端部12aとを抵抗溶接により接続する場合、即ち、素子搭載工程において、陽極リード12の先端部12aを抵抗溶接により突設部613の先端613aに接続する場合、突設部613の先端613aに陽極リード12の先端部12aが押し付けられるため、突設部613には下方に向けて大きな力が加わる。
【0045】
しかし、本実施の形態においては、突設部613の基端が、該突設部613に対して垂直に位置する帯部612に直接連結されているので、突設部613は、抵抗溶接時に加わる力に耐え得る強度を有している。従って、該力によって突設部613が折れ曲がることがない。
【0046】
更に、本実施の形態においては、立設部33の高さHが、折り返し部32の長さLよりも小さくなっているので(図2参照)、折り曲げ位置(折り線F1)から立設部33の先端331までの長さ(高さH)が、同じサイズの従来の固体電解コンデンサについての帯部163の長さL1(図13(c)参照)よりも短くなる。
【0047】
従って、立設部33を形成する際、即ち突設部613を折り線F1にて折り曲げる際に、折り曲げ角度に誤差が生じた場合でも、作成されたフレーム体7における突設部613の先端613aの位置は、陽極リード12の先端部12aが接続されるべき所定の位置から前後に僅かにずれるだけである。よって、立設部33と陽極リード12の先端部12aとの接続不良が生じにくい。つまり、本実施の形態に係る固体電解コンデンサは、折り曲げ角度の誤差による影響を受けにくい。
【0048】
図9は、上記固体電解コンデンサに対する改良形態の例を示している。図9に示される様に、立設部33は、折り返し部32の先端部の後端縁322にて、端子部31の上面31bに対して垂直に折り曲げられていてもよい。
【0049】
上記例に係る固体電解コンデンサの製造方法では、フレーム体形成工程において、図10(a)に示される様に、帯部612の一方向91側の縁612dから突設部613が該一方向91に突出している平板状のフレーム材6が用いられる。
【0050】
折り曲げ加工では、図10(b)に示される様に、突設部613を、帯部612の縁612dに沿う折り線F3にて、帯部612に対して下方へ垂直に折り曲げる。そして、図10(c)に示される様に、帯部612を、端子形成部611の側端縁611cに沿う折り線F4にて、端子形成部611に対して上方へ折り曲げると共に、帯部612を端子形成部611の上面611bに折り重ねる。
これにより、フレーム体7が形成され、フレーム体7の帯部612及び突設部613によって、上記固体電解コンデンサ(図9)の陽極端子3の折り返し部32及び立設部33がそれぞれ構成されることとなる。
【0051】
尚、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。例えば、固体電解コンデンサでの折り返し部32に対する立設部33の折り曲げ角度、即ちフレーム体形成工程での帯部612に対する突設部613の折り曲げ角度を、90°から僅かに大きな又は小さな角度としてもよい。
【0052】
上述した実施の形態では、複数のコンデンサ素子1を外装樹脂2によって被覆して素子ブロック8を形成し、該素子ブロック8に切断加工を施すことによって外装樹脂2及びフレーム体7を切断し、これにより固体電解コンデンサを作成したが(図8参照)、本発明に係る固体電解コンデンサの製造方法は、これに限られるものではない。
例えば、単一のコンデンサ素子1を外装樹脂2によって被覆して素子ブロック8を形成し、該素子ブロック8に切断加工を施すことによって、フレーム体7のみ、或いは外装樹脂2及びフレーム体7を切断し、これにより固体電解コンデンサを作成してもよい。
【0053】
又、上述した実施の形態では、フレーム体形成工程において突設部613を、帯部612の縁612cに沿う折り線F1にて折り曲げたが(図4参照)、本発明に係る固体電解コンデンサの製造方法は、これに限られるものではにない。
例えば、折り曲げ加工に対する帯部612の強度を高めるべく、図11(a)に示される様に、帯部612の基端部の幅W1を先端部の幅W2よりも大きくした陽極部61においては、帯部612の縁612cに沿って突設部613を折り曲げるのではなく、方向92に沿う折り線F3にて突設部613を、図11(b)に示される様に折り曲げる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施の形態に係る固体電解コンデンサを示す鉛直断面図である。
【図2】該固体電解コンデンサを示す斜視図である。
【図3】(a)該固体電解コンデンサの製造方法のフレーム体形成工程で用いられるフレーム材を示す斜視図、及び(b)該フレーム体形成工程によって形成されるフレーム体を示す斜視図である。
【図4】該フレーム体形成工程を説明する一連の斜視図である。
【図5】該製造方法の素子搭載工程を説明する斜視図である。
【図6】該素子搭載行程によってフレーム体に搭載されたコンデンサ素子を示す、(a)鉛直断面図及び(b)前面図である。
【図7】該製造方法の樹脂被覆工程で作成される素子ブロックを、(a)フレーム体の上面から見た斜視図、及び(b)フレーム体の下面から見た斜視図である。
【図8】該製造方法の切断工程を説明する斜視図である。
【図9】上記固体電解コンデンサに対する改良形態の一例を示す鉛直断面図である。
【図10】該固体電解コンデンサの製造方法のフレーム体形成工程を説明する一連の斜視図である。
【図11】上記固体電解コンデンサの製造方法に対する改良形態の例を示すものであって、該製造方法のフレーム体形成工程を説明する一連の斜視図である。
【図12】従来の固体電解コンデンサを示す鉛直断面図である。
【図13】従来の固体電解コンデンサの陽極端子の作成方法を示す一連の斜視図である。
【符号の説明】
【0055】
1 コンデンサ素子
11 陽極体
12 陽極リード
12a 先端部
13 誘電体層
14 電解質層
15 陰極層
2 外装樹脂
3 陽極端子
31 端子部
32 折り返し部
33 立設部
3a 陽極端子面
4 陰極端子
4a 陰極端子面
6 フレーム材
61 陽極部
611 端子形成部
612 帯部
613 突設部
62 陰極部
7 フレーム体
8 素子ブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極リード(12)が前方へ突出すると共に表面に陰極層(15)が形成されたコンデンサ素子(1)と、該コンデンサ素子(1)を被覆する外装樹脂(2)と、該外装樹脂(2)の下面から露出する陽極端子面(3a)及び陰極端子面(4a)をそれぞれ有する陽極端子(3)及び陰極端子(4)とを具え、該陽極端子(3)には前記陽極リード(12)が電気的に接続され、該陰極端子(4)には前記陰極層(15)が電気的に接続されている固体電解コンデンサにおいて、
前記陽極端子(3)は、1枚の金属板から形成されて、前記陽極端子面(3a)を形成する端子部(31)と、該端子部(31)の側端縁にて折り返されて該端子部(31)の上面に重なる折り返し部(32)と、該折り返し部(32)の先端部の前端縁又は後端縁にて前記端子部(31)の上面に対して垂直に折り曲げられた立設部(33)とを有し、該立設部(33)の先端には前記陽極リード(12)の先端部(12a)が電気的に接続されていることを特徴とする固体電解コンデンサ。
【請求項2】
前記折り返し部(32)は、前記端子部(31)の側端縁から前記陽極リード(12)の先端部(12a)の下方位置まで前記端子部(31)の上面に沿って延びている請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項3】
前記立設部(33)の高さが、前記折り返し部(32)の長さよりも小さい請求項2に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項4】
陽極リード(12)が前方へ突出すると共に表面に陰極層(15)が形成されたコンデンサ素子(1)と、該コンデンサ素子(1)を被覆する外装樹脂(2)と、該外装樹脂(2)の下面から露出する陽極端子面(3a)及び陰極端子面(4a)をそれぞれ有する陽極端子(3)及び陰極端子(4)とを具える固体電解コンデンサの製造方法において、
前記陽極端子(3)となる陽極部(61)と前記陰極端子(4)となる陰極部(62)とを有する平板状のフレーム材(6)に対して折り曲げ加工を施してフレーム体(7)を形成するフレーム体形成工程であって、前記陽極部(61)は、前記陽極端子面(3a)となる下面を有する端子形成部(611)と、該端子形成部(611)から帯状に延びる帯部(612)と、該帯部(612)の先端部に形成された突設部(613)とから構成され、該帯部(612)は、陽極部(61)から陰極部(62)に向かう一方向に対して垂直な方向に延びると共に、前記突設部(613)は、前記帯部(612)の先端部から前記一方向又はその逆方向に突出しており、前記折り曲げ加工では、前記突設部(613)を前記帯部(612)に対して下方へ垂直に折り曲げると共に、該帯部(612)を前記端子形成部(611)の上面に折り重ねて、前記フレーム体(7)を形成するフレーム体形成工程と、
前記フレーム体(7)の上面に前記コンデンサ素子(1)を搭載し、該コンデンサ素子(1)の陽極リード(12)の先端部(12a)を該フレーム体(7)の突設部(613)の先端に接触させると共に、陰極層(15)をフレーム体(7)の陰極部(62)に接触させる素子搭載工程
とを有することを特徴とする固体電界コンデンサの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−109005(P2010−109005A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−277039(P2008−277039)
【出願日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(592181602)古河精密金属工業株式会社 (15)