説明

固体電解コンデンサ及びその製造方法

【課題】高電導度かつ高熱耐久性の導電性高分子を与える導電性高分子形成用電解重合液を提供すること、また、上記電解重合液を用い、ESRが低く、高い熱耐久性を有する固体電解コンデンサとその製造方法を提供すること。
【解決手段】導電性高分子単量体と下記一般式(1)で示される支持電解質塩とが水に溶解されてなる導電性高分子形成用の電解重合用電解液及び該電解液を用いて製造した導電性高分子及び固体電解コンデンサ。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性高分子形成用の電解重合液を使用し形成した導電性高分子並びに、該導電性高分子からなる固体電解質層を形成させてなる固体電解コンデンサとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルミニウムやタンタル等の弁作用金属表面に誘電体酸化皮膜を形成し、該誘電体酸化皮膜上に固体電解質として電気伝導度の高い導電性高分子を形成させてなる固体電解コンデンサは、静電容量が高く、等価直列抵抗(以下、「ESR」と略記する。)が低い優れた特性を有することが知られている。
【0003】
上記固体電解コンデンサは一般的に、エッチング処理により表面積を拡大した弁作用金属箔、あるいは弁作用金属の粒子を焼結させることにより表面積を拡大した焼結体を、化成処理により該表面に誘電体酸化皮膜を形成させ、次いで、該誘電体酸化皮膜上に固体電解質層を形成し、カーボン及び銀ペーストからなる導電層を順次形成した後、リードフレームなどの外部端子に接続し、トランスファーモールド等による外装を施して製品化される。
【0004】
固体電解コンデンサのESRは、コンデンサを形成する各部材の固有抵抗と、コンデンサを形成する各部材間に発生する接触抵抗からなる、合成抵抗が主要な因子となっており、それらの改善によるESRのより一層の低減が望まれている。
【0005】
固体電解コンデンサの劣化は、偶発的に発生する不具合の他は一般的に、コンデンサを形成する各部材の熱劣化と、コンデンサの外装部を介して浸入する水分等の酸素源に起因する各部材の酸化劣化が主要な因子となっており、これらの劣化要因に対し、コンデンサを形成する各部材、特に固体電解質層の熱耐久性能の向上と、外装部材を中心としたガスバリア性の向上等の対策が行われている。
【0006】
固体電解コンデンサに用いられる一般的な固体電解質としては、ポリピロールとポリエチレンジオキシチオフェンが挙げられ、さらに詳しくは、電解酸化重合によって形成されるポリピロールと、化学酸化重合によって形成されるポリエチレンジオキシチオフェンに大別される。
【0007】
電解酸化重合によって形成される固体電解質は、緻密な膜を形成することができるため、導電性が優れる傾向があり、積層型のコンデンサの製造に用いられている。一方、化学酸化重合は、複雑な形状の素子にも対応できるため、巻回型のコンデンサの製造に多く用いられている。
【0008】
前記、固体電解コンデンサを形成する固体電解質の固有の性能については、ポリピロールやポリエチレンジオキシチオフェン等の固体電解質の種類のみではなく、固体電解質形成時に使用する支持電解質によっても固体電解質の導電性や熱耐久性等の性能が変化することが知られている。
【0009】
特許文献1、特許文献2に開示されているように、積層型の固体電解コンデンサに用いられるポリピロールからなる固体電解質では、代表的な支持電解質として、パラトルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸が挙げられるが、前記パラトルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸を支持電解質として用いたポリピロールからなる固体電解質では、導電性や熱耐久性が十分ではなく、得られた固体電解コンデンサのESRが高く、高温下での耐久性が低いという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平06−77093号公報
【特許文献2】特開2001−110682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、高電導度かつ高熱耐久性の導電性高分子を与える導電性高分子形成用電解重合液を提供すること、また、上記電解重合液を用い、ESRが低く、高い熱耐久性を有する固体電解コンデンサとその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、鋭意検討した結果、上記問題を解決しうる導電性高分子形成用電解重合液、導電性高分子、固体電解コンデンサとその製造方法を完成するに至った。
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
第一の発明は、導電性高分子単量体と支持電解質塩とが、溶媒に溶解されてなる導電性高分子形成用電解重合液において、
該支持電解質塩として、下記一般式(1)で示される化合物を少なくとも1種類含むことを特徴とする導電性高分子形成用電解重合液である。
【0015】
【化1】

【0016】
式(1)中、R〜Rはそれぞれ同一であっても異なってもよい水素原子、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖状アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、スルホン酸基のいずれかを示し、少なくとも2つはスルホン酸基を示す。Xは対カチオンを示す。
【0017】
第二の発明は、該支持電解質塩として、一般式(1)で表される化合物(D1)を少なくとも1種類以上含み、更に一般式(1)で表される化合物と同一ではない下記一般式(2)で表される化合物(D2)を少なくとも1種類以上含み、それぞれの化合物のモル比がD1:D2=99:1〜70:30であることを特徴とする第一の発明に記載の導電性高分子形成用電解重合液である。
【0018】
【化2】

【0019】
式(2)中、R〜R16はそれぞれ同一であっても異なってもよい水素原子、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖状アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、スルホン酸基のいずれかを示し、少なくとも1つはスルホン酸基を示す。Xは対カチオンを示す。
【0020】
第三の発明は、下記一般式(3)〜(5)で示される少なくとも一つの化合物が添加剤として溶解されてなることを特徴とする第一又は第二の発明に記載の導電性高分子形成用電解重合液である。
【0021】
【化3】

【0022】
式中、R17〜R32はそれぞれ同一でも異なっていてもよい、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基又はフェニル基を示す。
【0023】
第四の発明は、前記導電性高分子単量体がピロール及び/又はピロール誘導体であることを特徴とする第一から第三の発明のいずれかに記載の導電性高分子形成用電解重合液である。
【0024】
第五の発明は、第一から第四の発明のいずれかに記載の導電性高分子形成用電解重合液中にて電解重合することにより形成されたことを特徴とする導電性高分子である。
【0025】
第六の発明は、弁作用金属に誘電体酸化被膜が形成され、該誘電体酸化被膜上に固体電解質を有する固体電解コンデンサにおいて、固体電解質に少なくとも第五の発明に記載の導電性高分子が含有されていることを特徴とする固体電解コンデンサである。
【0026】
第七の発明は、誘電体酸化被膜が形成された弁作用金属上に、第一から第四の発明のいずれかに記載の導電性高分子形成用電解重合液中で導電性高分子層を電解重合により形成する工程を少なくとも有する固体電解コンデンサの製造方法である。
【0027】
第八の発明は、誘電体酸化被膜が形成された弁作用金属上に、導電性高分子層(A)を形成する工程と、前記導電性高分子層(A)上に第一から第五の発明のいずれかに記載の導電性高分子形成用電解重合液中で導電性高分子層(B)を電解重合により形成する工程とを有する固体電解コンデンサの製造方法である。
【0028】
第九の発明は、導電性高分子層(A)が層構造を有していることを特徴とする第八の発明に記載の固体電解コンデンサの製造方法である。
【0029】
第十の発明は、導電性高分子層(A)の形成方法が、溶媒溶解性又は溶媒分散性の導電性高分子を含有した溶液を付着後乾燥させることにより形成する工程を含むことを特徴とする第八又は第九の発明に記載の固体電解コンデンサの製造方法である。
【0030】
第十一の発明は、導電性高分子層(A)の形成方法が、導電性高分子単量体の化学重合により形成されることを特徴とする第八又は第九の発明に記載の固体電解コンデンサの製造方法である。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、従来よりも高電導度かつ高熱耐久性の導電性高分子を与える導電性高分子形成用電解重合液を提供すること、並びに、従来の固体電解コンデンサと比較して著しく優れたESR特性、高い熱耐久性を示す固体電解コンデンサとその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
最初に、本発明の導電性高分子形成用電解重合液について説明する。
【0033】
本発明の導電性高分子形成用電解重合液は、ドーパントを放出できる支持電解質塩及び導電性高分子単量体であるモノマーが、溶媒中に溶解されたものである。
【0034】
ドーパントとしては、例えば、ヨウ素、臭素、塩素等のハロゲンイオン、ヘキサフロロリン、ヘキサフロロヒ素、ヘキサフロロアンチモン、テトラフロロホウ素、過塩素酸等のハロゲン化物イオン、またはメタンスルホン酸、ドデシルスルホン酸等のアルキル置換有機スルホン酸イオン、カンファースルホン酸イオンなどの環状スルホン酸イオン、またはベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸等のアルキル置換もしくは無置換のベンゼンモノもしくはジスルホン酸イオン、2−ナフタレンスルホン酸、1,7−ナフタレンジスルホン酸等のスルホン酸基を1〜4個置換したナフタレンスルホン酸のアルキル置換もしくは無置換イオン、アントラセンスルホン酸イオン、アントラキノンスルホン酸イオン、アルキルビフェニルスルホン酸、ビフェニルジスルホン酸等のアルキル置換もしくは無置換のビフェニルスルホン酸イオン、ポリスチレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合体等の高分子スルホン酸イオン等、に例示される置換または無置換の芳香族スルホン酸イオン、またはビスサルチレートホウ素、ビスカテコレートホウ素等のホウ素化合物イオン、またはモリブドリン酸、タングストリン酸、タングストモリブドリン酸等のヘテロポリ酸イオンなどが一般にあげられるが、本発明で用いる支持電解質塩は下記一般式(1)及び下記一般式(2)で示される化合物である。
【0035】
【化4】

【0036】
【化5】

【0037】
上記一般式(1)中のR〜Rはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状アルコキシル基、アミノ基、ニトロ基、スルホン酸基のいずれかを示し、それらの内、少なくとも二つがスルホン酸基であり、より好ましくはR又はRの内少なくとも1つはスルホン酸基であり、かつ、R又はRの内少なくとも1つはスルホン酸基である。Xは対カチオンを示す。
【0038】
上記一般式(1)で示される化合物の具体例としては、好ましくは、アントラキノン−1,4−ジスルホン酸塩、アントラキノン−1,5−ジスルホン酸塩、アントラキノン−1,6−ジスルホン酸塩、アントラキノン−1,7−ジスルホン酸塩、アントラキノン−1,8−ジスルホン酸塩、アントラキノン−2,6−ジスルホン酸塩、アントラキノン−2,7−ジスルホン酸塩が挙げられ、より好ましくは、アントラキノン−2,6−ジスルホン酸塩、アントラキノン−2,7−ジスルホン酸塩が挙げられる。
【0039】
上記一般式(1)中の対カチオンとしては、アンモニウムカチオン、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオンが挙げられる。
前記アンモニウムカチオンとしては、NH、NH、NH、NHR、NR等が挙げられる。Rは炭素数1〜8の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であり、R同士で連結して環を形成してもよい。
前記アルカリ金属カチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。
前記アルカリ土類金属カチオンとしては、マグネシウム、カルシウム等が挙げられる。
また、カチオンが水素イオンである酸も使用できる。
これらカチオンは、1種若しくは2種以上を混合して用いることが出来る。
【0040】
上記一般式(1)により表される化合物は、1種類若しくは2種類以上を使用することができる。
【0041】
上記一般式(1)中のアントラキノンスルホン酸誘導体から生じるアニオンは、導電性高分子中にドーパントとして取り込まれることによって高電導度の導電性高分子を与え、かつ該ドーパントを有する導電性高分子は該ドーパントの脱離が生じにくく、極めて熱耐久性に優れたものとなる。
【0042】
上記一般式(2)中のR〜R16はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状アルコキシル基、アミノ基、ニトロ基、スルホン酸基のいずれかを示し、それらの内、少なくとも一つがスルホン酸基を示し、Xは対カチオンを示す。
【0043】
上記一般式(2)中のアントラキノンスルホン酸誘導体から生じるアニオンは、上記一般式(1)中のアントラキノンスルホン酸誘導体から生じるアニオンとともに、導電性高分子中にドーパントとして取り込まれることによってより高電導度の導電性高分子を与え、かつ該ドーパントを有する導電性高分子は該ドーパントの脱離が生じにくく、更に熱耐久性に優れたものとなる。
【0044】
上記一般式(2)中のアントラキノンスルホン酸誘導体の具体例としては、好ましくは、アントラキノン−1−スルホン酸塩、アントラキノン−2−スルホン酸塩、1−ニトロアントラキノン−5-スルホン酸塩、5−ニトロアントラキノン−1−スルホン酸塩、1-アミノアントラキノン−5−スルホン酸塩、アントラキノン−1,4−ジスルホン酸塩、アントラキノン−1,5−ジスルホン酸塩、アントラキノン−1,6−ジスルホン酸塩、アントラキノン−1,7−ジスルホン酸塩、アントラキノン−1,8−ジスルホン酸塩、アントラキノン−2,6−ジスルホン酸塩、アントラキノン−2,7−ジスルホン酸塩、等が挙げられる。
【0045】
上記一般式(2)中の対カチオンとしては、アンモニウムカチオン、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオンが挙げられる。
前記アンモニウムカチオンとしては、NH、NH、NH、NHR、NR等が挙げられる。Rは炭素数1〜8の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であり、R同士で連結して環を形成してもよい。
前記アルカリ金属カチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。
前記アルカリ土類金属カチオンとしては、マグネシウム、カルシウム等が挙げられる。
また、カチオンが水素イオンである酸も使用できる。
これらカチオンは、1種若しくは2種以上を混合して用いることが出来る。
【0046】
従って、上記一般式(2)により表される化合物の具体例としては、例えば、アントラキノン−2−スルホン酸ナトリウムが挙げられる。
上記一般式(2)により表される化合物は、1種類若しくは2種類以上を使用することができる。
【0047】
上記一般式(1)により表される化合物D1と上記一般式(2)により表される化合物D2のモル比は、D1:D2=60:40〜100:0の間であればよく、より好ましくは70:30〜99:1である。
上記モル比で混合させた電解重合液を用いることで優れたESRの電解コンデンサを得ることができる。
【0048】
本発明の一般式(1)で表される化合物で表される少なくとも2つスルホン酸基を有するアントラキノンスルホン酸誘導体は、スルホン酸基が1つ置換したアントラキノンスルホン酸誘導体より水に対する溶解度が高い特徴を有する。
これにより、導電性高分子形成用電解重合液中の支持電解質塩の濃度を上げることができ、該導電性高分子形成用電解重合液を用いることで優れた電気特性の固体電解コンデンサを得ることができる。
【0049】
本発明の電解重合液中には添加剤を含有することができる。本発明にて使用される添加剤は、主に酸化防止剤、界面活性剤のいずれかの特性を有するものが好ましい。そのような添加剤としてより好ましくは下式(3)〜(5)で示される化合物である。
【0050】
【化6】

【0051】
上記一般式(3)〜(5)中、R17〜R32はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基又はフェニル基を示す。
【0052】
上記一般式(3)で表される化合物の具体例としては、例えば、4−ニトロフェノール、2−メチル−4−ニトロフェノール、3−メチル−4−ニトロフェノール、2−エチル−4−ニトロフェノール、3−エチル−4−ニトロフェノール、2−ヘキシル−4−ニトロフェノール、3−ヘキシル−4−ニトロフェノール等のニトロフェノール類が挙げられる。
上記一般式(4)で表される化合物の具体例としては、例えば、4−ニトロ−1−ナフトール等のニトロナフトール類が挙げられる。
上記一般式(5)で表される化合物の具体例としては、例えば、1−ヒドロキシ−4−ニトロアントラキノン等のニトロアントラキノン類を挙げることができる。
【0053】
上記一般式(3)〜(5)により表される化合物は、1種若しくは2種以上を使用することができる。上記一般式(3)〜(5)により表される化合物は、得られる導電性高分子の熱耐久性の面から、4−ニトロフェノール、4−ニトロ−1−ナフトール、1−ヒドロキシ−4−ニトロアントラキノンであることが好ましい。
【0054】
次いで本発明に使用できる導電性高分子単量体について説明する。
【0055】
本発明に使用されるモノマーとしては、ピロール、アニリン、フラン、チオフェン又はこれらの誘導体を用いることができる。該誘導体としては、3−アルキルピロール、3−アルキルチオフェン、3,4−アルキレンジオキシピロール、3,4−アルキレンジオキシチオフェンなどが挙げられる。前記モノマーは1種若しくは2種以上を同時に含有することができる。これらの中でも、得られる導電性高分子の電導度及び熱耐久性の面から、ピロール及び/又はその誘導体が好ましい。
【0056】
本発明に使用する電解重合液の溶媒は、水、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル類、或いはアセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジメチルホルムアミド(DMF)やアセトニトリル、ベンゾニトリル、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の非プロトン性極性溶媒、酢酸エチルや酢酸ブチル等のエステル類、クロロホルムや塩化メチレン等の非芳香族性の塩素系溶媒、ニトロメタンやニトロエタン、ニトロベンゼン等のニトロ化合物、あるいはメタノールやエタノール、プロパノール等のアルコール類、またはギ酸や酢酸、プロピオン酸等の有機酸または該有機酸の酸無水物(無水酢酸等)を0〜30%以下の割合で水と混合した混合溶媒を挙げることができる。これらの中でも、環境負荷、安全性の面から、水を単独で使用したものが好ましい。
【0057】
次に本発明の導電性高分子形成用電解重合液の組成について説明する。
【0058】
本発明の導電性高分子形成用電解重合液については、導電性高分子単量体を0.05〜0.7mol/L、好ましくは0.1〜0.3mol/Lの濃度で含有するものである。
また、前記支持電解質は0.005〜0.30mol/L、好ましくは0.01〜0.1mol/Lの濃度で含有するものである。
添加剤を含有させる場合、前記添加剤を0.002〜0.1mol/L、好ましくは0.003mol/Lの濃度で含有するものである。
【0059】
本組成の導電性高分子形成用電解重合液を用いることで著しく電導度、熱耐久性に優れた導電性高分子が得られるとともに、優れた電気特性を有する固体電解コンデンサを得ることができる。
【0060】
次に本発明の導電性高分子形成用電解重合液を用い、固体電解コンデンサを製造する方法について説明する。
【0061】
本発明は、誘電体酸化被膜が形成された弁作用金属上に、導電性高分子層(A)を形成する工程と、前記導電性高分子層(A)上に上記の導電性高分子形成用電解重合液中で導電性高分子層(B)を電解重合により形成する工程とを有する固体電解コンデンサの製造方法である。
【0062】
弁作用金属表面の誘電体酸化皮膜上にプレコート層として導電性高分子層を予め形成しておき、次に前記プレコート層上に新たな導電性高分子層を本発明の電解重合液を用いて電解重合により形成することで固体電解質層を形成した後、該固体電解質層にカーボンペースト、銀ペースト等の導電ペーストを塗布乾燥することによって陰極層を形成する。
プレコート層の導電性高分子の形成方法としては(1)化学重合による導電性高分子層を形成する方法、(2)導電性高分子溶液を塗布乾燥して導電性高分子層を形成する方法が挙げられる。
次に弁作用金属から陽極リード端子、陰極層から陰極リード端子を接続して電極を取り出して素子を形成し、この素子全体をエポキシ樹脂等の絶縁性樹脂、あるいはセラミック製や金属製の外装ケース等により封止することで固体電解コンデンサを得ることができる。
【0063】
導電性高分子(A)の形成方法として、溶媒溶解性又は溶媒分散性の導電性高分子を含有した溶液を付着後乾燥させることによる工程を含んでもよい。
【0064】
前記溶媒溶解性導電性高分子としては、ポリアニリン、アルキルチオフェン又はそれらの誘導体が挙げられる。
前記溶媒分散性導電性高分子としては、ポリピロール、3,4−エチレンジオキシチオフェン又はそれらの誘導体が挙げられる。
溶媒溶解性又は溶媒分散性の導電性高分子に用いる溶媒としては、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、n−アミルアルコール、s−アミルアルコール、t−アミルアルコール、アリルアルコール、アソアミルアルコール、イソブチルアルコール、2−エチルブタノール、2−オクタノール、n−オクタノール、シクロヘキサノール、テトラヒドロフルフリルアルコール、フルフリルアルコール、n−ヘキサノール、n-ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、ベンジルアルコール、メチルシクロヘキサノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、グリセリン、ジエチレングリコール、プロピレンカルボナート、プロピレングリコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−プロピルケトン等のケトン類、アセト酢酸エチル、安息香酸エチル、安息香酸メチル、蟻酸イソブチル、蟻酸エチル蟻酸プロピル、蟻酸メチル、酢酸イソブチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸メチル、サリチル酸メチル、シュウ酸ジエチル、酒石酸ジエチル、酒石酸ジブチル、フタル酸エチル、フタル酸メチル、フタル酸ブチル等のエステル類が挙げられる。
【0065】
前記導電性高分子形成用電解重合液を用いることによって、電導度に優れ、かつ、高温に暴露された際に特定の安定構造をとる導電性高分子が得られ、さらに前記導電性高分子を固体電解質とすることにより、従来よりも格段に優れたESR特性、熱耐久性を有する固体電解コンデンサを得ることができる。
【0066】
本発明に用いられる陽極弁作用金属としては、アルミニウム、タンタル、ニオブ又はチタンからなる群から選ばれた1種が挙げられ、焼結体又は箔の形状で用いられる。
【0067】
本発明の固体電解コンデンサは、用いられる陽極弁作用金属の種類、形状により、チップ型または巻回型のいずれとすることができる。
【0068】
本発明の固体電解コンデンサは、以下の方法により製造される。なお、本発明は以下の製造方法により、なんら限定されない。
【実施例】
【0069】
以下、本発明について実施例を挙げより詳細に説明する。
【0070】
(導電性高分子フィルムの評価)
(実施例1)
20mm×20mmサイズのステンレス(SUS)からなる透明導電膜付きの基板を用意し、これをアセトン、純水にて洗浄後、105℃乾燥機中で10分間乾燥させた。つぎに、電解重合液(アントラキノン−1,5−ジスルホン酸二ナトリウム(東京化成工業(株)製):1.4(mmol)+ピロール:0.6(g)+HO:45.8(g)の混合液)中に浸漬し、透明導電膜側を陽極として、電流値を10mAに固定して電解重合を行い、基板上に導電性高分子層を形成した。
【0071】
次に、上記透明導電膜付き基板上に形成された導電性高分子層を剥離し、導電性高分子フィルムを完成させた。
【0072】
(実施例2)
導電性高分子の製造方法を以下の方法に代えたこと以外は実施例1と同様にして、導電性高分子フィルムを得た。すなわち、電解重合液(アントラキノン−1,8−ジスルホン酸二カリウム(東京化成工業(株)製):1.4(mmol)+ピロール:0.6(g)+HO:45.8(g)の混合溶液)を用いて電解重合を行い、導電性高分子フィルムを形成した。
【0073】
(実施例3)
導電性高分子の製造方法を以下の方法に代えたこと以外は実施例1と同様にして、導電性高分子フィルムを得た。すなわち、電解重合液(アントラキノン−2,6−ジスルホン酸二ナトリウム(東京化成工業(株)製):1.4(mmol)+ピロール:0.6(g)+HO:45.8(g)の混合溶液)を用いて電解重合を行い、導電性高分子フィルムを形成した。
【0074】
(実施例4)
導電性高分子の製造方法を以下の方法に代えたこと以外は実施例1と同様にして、導電性高分子フィルムを得た。すなわち、電解重合液(アントラキノン−2,7−ジスルホン酸二ナトリウム(東京化成工業(株)製):1.4(mmol)+ピロール:0.6(g)+HO:45.8(g)の混合溶液)を用いて電解重合を行い、導電性高分子フィルムを形成した。
【0075】
(実施例5)
導電性高分子の製造方法を以下の方法に代えたこと以外は実施例1と同様にして、導電性高分子フィルムを得た。すなわち、電解重合液(アントラキノン−1,5−ジスルホン酸二ナトリウム(東京化成工業(株)製):1.4(mmol)+ピロール:0.6(g)+4−ニトロフェノール:0.5(g)+HO:45.8(g)の混合溶液)を用いて電解重合を行い、導電性高分子フィルムを形成した。
【0076】
(比較例1)
導電性高分子の製造方法を以下の方法に代えたこと以外は実施例1と同様にして、導電性高分子フィルムを得た。すなわち、電解重合液にブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム:1.4(mmol)+ピロール:0.6(g)+HO:45.8(g)の混合溶液を用いて電解重合を行い、導電性高分子フィルムを形成した。
【0077】
(比較例2)
導電性高分子の製造方法を以下の方法に代えたこと以外は実施例1と同様にして、導電性高分子フィルムを得た。すなわち、電解重合液に2,7−ナフタレンジスルホン酸二ナトリウム:1.4(mmol)+ピロール:0.6(g)+HO:45.8(g)の混合溶液を用いて電解重合を行い、導電性高分子フィルムを形成した。
【0078】
実施例1〜5及び比較例1、2の導電性高分子フィルムについて、4端子法を用いて電導度を測定した。また、105℃大気中放置による熱耐久性試験を行い、100時間経過後に電導度を評価した。結果を表1に示した。
【0079】
【表1】

【0080】
表1より、従来の電解重合液を用いた比較例1、2と比較して、実施例1〜5では高い電導度と熱耐久性を示した。特に、4−ニトロフェノールを添加した電解重合液では、高い熱耐久性が得られた。
【0081】
以上の結果より、ドーパントとして導電性高分子形成用電解重合液を使用することで、電導度及び熱耐久性に優れた導電性高分子を得られることを確認した。また、前記ドーパントを含む電解重合液において、添加剤として4−ニトロフェノールを含有せしめ、これを電解重合液として使用することで、得られる導電性高分子の熱耐久性が向上することを確認した。
【0082】
(固体電解コンデンサの評価)
(実施例6)
表面に誘電体酸化皮膜が形成された3mm×5mmサイズのエッチドアルミニウム化成箔を105℃乾燥機中で10分間乾燥させた。これを、18℃サーモプレート上に10分間静置した。次に18℃に冷却したモノマー液(ピロール:3(g)+エタノール:5(g)+HO:18.4(g)の混合液):4μlを箔上に滴下し、1分間静置した。さらに、酸化剤液(p−トルエンスルホン酸テトラエチルアンモニウム(PTS−TEA):5.6(mmol)+ペルオキソ二硫酸アンモニウム:1.56(g)+HO:10.63(g)の混合液):12μlを箔上に滴下し、10分間静置することで化学酸化重合しプレコート層を形成した。これを純水にて洗浄し、105℃乾燥機中で10分間乾燥させた。
【0083】
次に、電解重合液(アントラキノン−1,5−ジスルホン酸二ナトリウム:1.4(mmol)+ピロール:0.6(g)+HO:45.8(g)の混合液)を用意した。
【0084】
プレコート層形成済みエッチドアルミニウム化成箔を電解重合液中に浸漬し、プレコート層に接触させた外部電極を陽極として、電流値を0.4mAに固定して電解重合を行い、導電性高分子層(固体電解質層)を形成した。
【0085】
次に、上記アルミニウム箔の導電性高分子層を形成した部分にカーボンペーストと銀ペーストを順に塗布し、乾燥させて、合計20個のコンデンサ素子を完成させた。
【0086】
これら20個のコンデンサ素子について、100kHzにおける等価直列抵抗(ESR)を測定した。また、155℃大気中放置による熱耐久性試験を行い、100時間経過後に100kHzにおける等価直列抵抗(ESR)を評価した。なお、熱耐久性試験において素子モールドは行わなかった。
【0087】
(実施例7)
導電性高分子の製造方法を以下の方法に代えたこと以外は実施例6と同様にして、20個のコンデンサ素子を得た。すなわち、電解重合液にアントラキノン−1,8−ジスルホン酸二ナトリウム:1.4(mmol)+ピロール:0.6(g)+HO:45.8(g)の混合溶液を用いて電解重合を行い、導電性高分子層を形成した。コンデンサ素子の特性評価を実施例6と同様に行った。
【0088】
(実施例8)
導電性高分子の製造方法を以下の方法に代えたこと以外は実施例6と同様にして、20個のコンデンサ素子を得た。すなわち、電解重合液にアントラキノン−2,6−ジスルホン酸二ナトリウム:1.4(mmol)+ピロール:0.6(g)+HO:45.8(g)の混合溶液を用いて電解重合を行い、導電性高分子層を形成した。コンデンサ素子の特性評価を実施例6と同様に行った。
【0089】
(実施例9)
導電性高分子の製造方法を以下の方法に代えたこと以外は実施例6と同様にして、20個のコンデンサ素子を得た。すなわち、電解重合液にアントラキノン−2,7−ジスルホン酸二ナトリウム:1.4(mmol)+ピロール:0.6(g)+HO:45.8(g)の混合溶液を用いて電解重合を行い、導電性高分子層を形成した。コンデンサ素子の特性評価を実施例6と同様に行った。
【0090】
(実施例10)
導電性高分子の製造方法を以下の方法に代えたこと以外は実施例6と同様にして、20個のコンデンサ素子を得た。すなわち、電解重合液にアントラキノン−1,5−ジスルホン酸二ナトリウム:1.26(mmol)+アントラキノン−2−スルホン酸ナトリウム:0.14(mmol)+ピロール:0.6(g)+HO:45.8(g)の混合溶液を用いて電解重合を行い、導電性高分子層を形成した。コンデンサ素子の特性評価を実施例6と同様に行った。
【0091】
(実施例11)
導電性高分子の製造方法を以下の方法に代えたこと以外は実施例6と同様にして、20個のコンデンサ素子を得た。すなわち、電解重合液にアントラキノン−1,8−ジスルホン酸二ナトリウム:1.26(mmol)+アントラキノン−1,5−ジスルホン酸二ナトリウム:0.14(mmol)+ピロール:0.6(g)+HO:45.8(g)の混合溶液を用いて電解重合を行い、導電性高分子層を形成した。コンデンサ素子の特性評価を実施例6と同様に行った。
【0092】
(実施例12)
導電性高分子の製造方法を以下の方法に代えたこと以外は実施例6と同様にして、20個のコンデンサ素子を得た。すなわち、電解重合液にアントラキノン−2,6−ジスルホン酸二ナトリウム:1.26(mmol)+アントラキノン−2−スルホン酸ナトリウム:0.14(mmol)+ピロール:0.6(g)+HO:45.8(g)の混合溶液を用いて電解重合を行い、導電性高分子層を形成した。コンデンサ素子の特性評価を実施例6と同様に行った。
【0093】
(実施例13)
導電性高分子の製造方法を以下の方法に代えたこと以外は実施例6と同様にして、20個のコンデンサ素子を得た。すなわち、電解重合液にアントラキノン−2,7−ジスルホン酸二ナトリウム:1.26(mmol)+アントラキノン−2.6−ジスルホン酸二ナトリウム:0.14(mmol)+ピロール:0.6(g)+HO:45.8(g)の混合溶液を用いて電解重合を行い、導電性高分子層を形成した。コンデンサ素子の特性評価を実施例6と同様に行った。
【0094】
(実施例14)
導電性高分子の製造方法を以下の方法に代えたこと以外は実施例6と同様にして、20個のコンデンサ素子を得た。すなわち、電解重合液にアントラキノン−1,5−ジスルホン酸二ナトリウム:1.4(mmol)+ピロール:0.6(g)+HO:45.8(g)+4−ニトロフェノール:0.229(mmol)の混合溶液を用いて電解重合を行い、導電性高分子層を形成した。コンデンサ素子の特性評価を実施例6と同様に行った。
【0095】
(実施例15)
導電性高分子の製造方法を以下の方法に代えたこと以外は実施例6と同様にして、20個のコンデンサ素子を得た。すなわち、電解重合液にアントラキノン−1,8−ジスルホン酸二ナトリウム:1.4(mmol)+ピロール:0.6(g)+HO:45.8(g)+4−ニトロ−1−ナフトール:0.229(mmol)の混合溶液を用いて電解重合を行い、導電性高分子層を形成した。コンデンサ素子の特性評価を実施例6と同様に行った。
【0096】
(実施例16)
導電性高分子の製造方法を以下の方法に代えたこと以外は実施例6と同様にして、20個のコンデンサ素子を得た。すなわち、電解重合液にアントラキノン−2,6−ジスルホン酸二ナトリウム:1.4(mmol)+ピロール:0.6(g)+HO:45.8(g)+1−ヒドロキシ−4−ニトロアントラキノン:0.229(mmol)の混合溶液を用いて電解重合を行い、導電性高分子層を形成した。コンデンサ素子の特性評価を実施例6と同様に行った。
【0097】
(実施例17)
導電性高分子の製造方法を以下の方法に代えたこと以外は実施例6と同様にして、20個のコンデンサ素子を得た。すなわち、電解重合液にアントラキノン−2,7−ジスルホン酸二ナトリウム:1.4(mmol)+ピロール:0.6(g)+HO:45.8(g)+4−ニトロフェノール:0.229(mmol)の混合溶液を用いて電解重合を行い、導電性高分子層を形成した。コンデンサ素子の特性評価を実施例6と同様に行った。
【0098】
(実施例18)
導電性高分子の製造方法を以下の方法に代えたこと以外は実施例6と同様にして、20個のコンデンサ素子を得た。すなわち、電解重合液にアントラキノン−2,7−ジスルホン酸二ナトリウム:1.386(mmol)+アントラキノン−2.6−ジスルホン酸二ナトリウム:0.014(mmol)+ピロール:0.6(g)+HO:45.8(g)の混合溶液を用いて電解重合を行い、導電性高分子層を形成した。コンデンサ素子の特性評価を実施例6と同様に行った。
【0099】
(実施例19)
導電性高分子の製造方法を以下の方法に代えたこと以外は実施例6と同様にして、20個のコンデンサ素子を得た。すなわち、電解重合液にアントラキノン−2,7−ジスルホン酸二ナトリウム:0.98(mmol)+アントラキノン−2.6−ジスルホン酸二ナトリウム:0.42(mmol)+ピロール:0.6(g)+HO:45.8(g)の混合溶液を用いて電解重合を行い、導電性高分子層を形成した。コンデンサ素子の特性評価を実施例6と同様に行った。
【0100】
(比較例3)
導電性高分子の製造方法を以下の方法に代えたこと以外は実施例6と同様にして20個のコンデンサ素子を得た。すなわち、電解重合液にブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム:1.4(mmol)+ピロール:0.6(g)+HO:45.8(g)の混合溶液を用いて電解重合を行い、導電性高分子層を形成した。コンデンサ素子の特性評価を実施例6と同様に行った。
【0101】
(比較例4)
導電性高分子の製造方法を以下の方法に代えたこと以外は実施例6と同様にして20個のコンデンサ素子を得た。すなわち、電解重合液に1,5−ナフタレンスルホン酸二ナトリウム:1.4(mmol)+ピロール:0.6(g)+HO:45.8(g)の混合溶液を用いて電解重合を行い、導電性高分子層を形成した。コンデンサ素子の特性評価を実施例6と同様に行った。
【0102】
(比較例5)
導電性高分子の製造方法を以下の方法に代えたこと以外は実施例6と同様にして20個のコンデンサ素子を得た。すなわち、電解重合液に2,7−ナフタレンスルホン酸二ナトリウム:1.4(mmol)+ピロール:0.6(g)+HO:45.8(g)の混合溶液を用いて電解重合を行い、導電性高分子層を形成した。コンデンサ素子の特性評価を実施例6と同様に行った。
【0103】
実施例6〜19及び比較例3〜5のコンデンサ素子の測定結果を表2、3に示す。
【0104】
【表2】

【0105】
【表3】

【0106】
表中の※1)は、D1とD2のモル比は実施例10から実施例13ではD1:D2=90:10、実施例18ではD1:D2=99:1、実施例19ではD1:D2=70:30を意味する。
【0107】
実施例6〜19と比較例3〜5を比較すると、実施例6〜19の方がコンデンサのESRの低減及び優れた熱耐久性が得られた。実施例6〜9より実施例10〜13の方が、ESRが低いことより、D1とD2の混合した支持電解質を用いる方が優れたESRを得られることがわかった。
また、添加剤を加えた実施例14〜17では、大幅に熱耐久性が向上することがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明の電解重合液により得られる導電性高分子は、固体電解コンデンサはもとより、有機ELディスプレイ、有機トランジスタ、ポリマー電池、太陽電池、各種センサー材料、電磁波シールド材料、帯電防止材料、エレクトロクロミック材料、人工筋肉などに好適に使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性高分子単量体と支持電解質塩とが、溶媒に溶解されてなる導電性高分子形成用電解重合液において、
該支持電解質塩として、下記一般式(1)で示される化合物を少なくとも1種類含むことを特徴とする導電性高分子形成用電解重合液。
【化1】

(式(1)中、R〜Rはそれぞれ同一であっても異なってもよい水素原子、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖状アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、スルホン酸基のいずれかを示し、少なくとも2つはスルホン酸基を示す。Xは対カチオンを示す。)
【請求項2】
該支持電解質塩として、一般式(1)で表される化合物(D1)を少なくとも1種類以上含み、更に一般式(1)で表される化合物と同一ではない下記一般式(2)で表される化合物(D2)を少なくとも1種類以上含み、それぞれの化合物のモル比がD1:D2=99:1〜70:30であることを特徴とする請求項1に記載の導電性高分子形成用電解重合液。
【化2】

(式(2)中、R〜R16はそれぞれ同一であっても異なってもよい水素原子、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖状アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、スルホン酸基のいずれかを示し、少なくとも1つはスルホン酸基を示す。Xは対カチオンを示す。)
【請求項3】
下記一般式(3)〜(5)で示される少なくとも一つの化合物が添加剤として溶解されてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の導電性高分子形成用電解重合液。
【化3】

(式中、R17〜R32はそれぞれ同一でも異なっていてもよい、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基又はフェニル基を示す。)
【請求項4】
前記導電性高分子単量体がピロール及び/又はピロール誘導体であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の導電性高分子形成用電解重合液。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の導電性高分子形成用電解重合液中にて電解重合することにより形成されたことを特徴とする導電性高分子。
【請求項6】
弁作用金属に誘電体酸化被膜が形成され、該誘電体酸化被膜上に固体電解質を有する固体電解コンデンサにおいて、固体電解質に少なくとも請求項5に記載の導電性高分子が含有されていることを特徴とする固体電解コンデンサ。
【請求項7】
誘電体酸化被膜が形成された弁作用金属上に、請求項1から4のいずれかに記載の導電性高分子形成用電解重合液中で導電性高分子層を電解重合により形成する工程を少なくとも有する固体電解コンデンサの製造方法。
【請求項8】
誘電体酸化被膜が形成された弁作用金属上に、導電性高分子層(A)を形成する工程と、前記導電性高分子層(A)上に請求項1から4のいずれかに記載の導電性高分子形成用電解重合液中で導電性高分子層(B)を電解重合により形成する工程とを有する固体電解コンデンサの製造方法。
【請求項9】
導電性高分子層(A)が層構造を有していることを特徴とする請求項8に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
【請求項10】
導電性高分子層(A)の形成方法が、溶媒溶解性又は溶媒分散性の導電性高分子を含有した溶液を付着後乾燥させることにより形成する工程を含むことを特徴とする請求項8又は9に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
【請求項11】
導電性高分子層(A)の形成方法が、導電性高分子単量体の化学重合により形成されることを特徴とする請求項8又は9に記載の固体電解コンデンサの製造方法。

【公開番号】特開2010−245364(P2010−245364A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−93672(P2009−93672)
【出願日】平成21年4月8日(2009.4.8)
【出願人】(000228349)日本カーリット株式会社 (269)