説明

固体電解コンデンサ

【課題】 静電容量の低下が少なく、ショート不良やオープン不良の発生が抑制され、従来に比べて製造歩留まりが高い固体電解コンデンサを提供すること。
【解決手段】 拡面化されたアルミニウム箔を陽極体1とし、その陰極電極部20が形成される部分の端面を含めたすべての表面に誘電体酸化皮膜2が形成され、誘電体酸化皮膜2上に第一の導電性高分子層5が形成され、その上の端面および端面からの距離が0.03mm〜1mmの範囲に絶縁性樹脂層12が形成され、さらに、それらの上に第二の導電性高分子層6が形成されている。その上の絶縁性樹脂層12が形成されていない部分に第一の導電性樹脂層7が形成され、さらに、それらの上に、第二の導電性樹脂層8、第三の導電性樹脂層9が形成されている。第一の導電性樹脂層7の厚さは絶縁性樹脂層12の厚さと同程度である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体電解コンデンサに関し、特に電解質として導電性高分子を用いた固体電解コンデンサの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電解質として導電性高分子を用いた固体電解コンデンサの従来の構造の一例を図5に示す。図5は、従来の固体電解コンデンサの構造を模式的に示す断面図である。図5において、表面が多孔質状に拡面化された平板状または箔状の弁作用金属からなる陽極体41の、表面の陰極電極部が形成される部分に第一の誘電体酸化皮膜42が形成され、その陽極体41を所定の寸法に切断した後、陽極体41が露出した陰極電極部側の切断端面に第二の誘電体酸化皮膜43が形成されている。この端面を含めた陰極電極部が形成される部分の誘電体酸化皮膜上に導電性高分子層45が形成され、さらにその上に第一の導電性樹脂層としてグラファイト層46が形成され、さらにその上に第二の導電性樹脂層として銀導電性樹脂層47が順次形成されている。陽極体41の陰極電極部が形成されない他端部側に陽極リード49が接続され、銀導電性樹脂層47の下面に陰極リード50が接続されて引き出され、外装樹脂48でモールド成型されている。
【0003】
ここで、弁作用金属としては、主にタンタル、ニオブ、アルミニウムを用いたものが実用化されている。弁作用金属としてアルミニウムを用いたアルミニウム固体電解コンデンサでは、缶ケースに素子を封入する巻回型の製品と、図5に示したチップ状の素子をモールド樹脂で外装したモールド樹脂外装型の製品があるが、巻回型では背が高くなってしまうため、近年の電子機器の薄型化要求に対応できなくなってきており、代わりにモールド樹脂外装型の製品が増えてきている。このようなモールド樹脂外装型の製品では、モールド樹脂で外装する際に内部の素子に圧力が加わるので、特に陽極体の陰極電極部側の端部が原因となる漏れ電流の発生による短絡不良(ショート不良)を起こしやすい。製品の定格電圧が高い程この現象が顕著であり、製造歩留まりにも大きな影響を与える。
【0004】
モールド樹脂外装型のアルミニウム固体電解コンデンサは、平坦なアルミニウム箔の表面をエッチングすることで多孔質状に拡面化処理をしたものを陽極体とし、それを化成液中で陽極酸化し、アルミニウム表面に誘電体酸化皮膜を形成した化成箔を用いて作製される。モールド成型前の素子、すなわちコンデンサ素子の作製においては、ロール状、シート状の化成箔を素子形状に切断して使用する。この場合、切断された化成箔の端面は誘電体酸化皮膜がなく、そのままではアルミニウムが露出した状態となる。そこで、上記の陽極体の陰極電極部側の端部付近でのショート不良が特に問題となり、この改善方法が特許文献1〜4に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平3−95910号公報
【特許文献2】特開2007−42932号公報
【特許文献3】特開2007−335825号公報
【特許文献4】特開2008−78641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、電解質としてポリピロールを化学重合で形成する巻回型のアルミニウム固体電解コンデンサの製造方法において、陽極体の陰極電極部側の切断面の未化成部分を絶縁性樹脂で被覆することが提案されている。しかし、この方法には、絶縁性樹脂が拡面化により生じた空孔内部に浸透し、静電容量が減少してしまうという課題がある。
【0007】
図6は特許文献2に記載された構造を有する従来の固体電解コンデンサの構成を模式的に示す図であり、図6(a)は絶縁樹脂層を形成後の製造途中における平面図、図6(b)はコンデンサ素子完成後の図6(a)のA−Aに相当する部分の断面図、図6(c)は陽極体とその上の層構造を微細に示す断面図である。図6に示すように、特許文献2に記載の固体電解コンデンサの場合は、誘電体酸化皮膜が表面に形成された陽極体となる化成箔を素子形状に切断後、陽極電極部31と陰極電極部40を分断する絶縁性樹脂パターン30を形成し、再度、陽極酸化を行って陰極電極部40の露出した端面のアルミニウム表面にも誘電体酸化皮膜32を形成する。その後、素子の表面側から、端面を含めた端面付近の部分、すなわち端部に絶縁性樹脂を印刷することで素子の端部に絶縁性樹脂層22を形成し、その上から導電性高分子層35を形成する。導電性高分子層35の上にはグラファイト層37、銀導電性樹脂層38を順次形成する。このように誘電体酸化皮膜32上に絶縁性樹脂層22を形成した場合、図6(c)に示すように陽極体41の表面は拡面化されているので、絶縁性樹脂が端部の表面の広い領域に染み込んでしまい、静電容量が大幅に減少してしまうという課題がある。また、端部の領域のみに絶縁性樹脂層22があるので、図6(b)に示すように、端部のみ層厚の合計が他の部分よりも厚くなった形状となり、モールド樹脂で外装する場合など、外部からの強い圧力が加わると、素子の端部の絶縁性樹脂が形成されていない部分との境界付近はもろくなり、外部圧力のストレスによって、誘電体酸化皮膜にクラックが入り、ショート不良が発生しやすいという課題もある。また、断面が端部のみ厚い形状になっていると、コンデンサ素子を基板に搭載する時に、コンデンサ素子と基板上の電極とが接する領域が不足し、電気的な接続が不十分となるオープン不良が発生しやすいという課題もある。
【0008】
特許文献3においては、上記の絶縁性樹脂層による静電容量の減少を改善するための技術が記載されている。すなわち、アルミニウム陽極体の切断後の端面に誘電体酸化皮膜を形成した後、先ず、導電性高分子層を陰極電極部の端面を含めた誘電体酸化皮膜上の全体に形成する。その後、陰極電極部の端部のみに絶縁性樹脂層を形成する。この場合は静電容量の減少は改善できるが、端部の領域のみに絶縁性樹脂層があるので、断面が図6(b)に示すような端部のみ厚い形状となってしまうことには変わりなく、ショート不良が発生しやすいという課題は解決されない。また、特許文献3では、端部の絶縁性樹脂層を設ける範囲についての記載は十分ではない。
【0009】
一方、特許文献4に記載の構成では、切断面に誘電体酸化皮膜を形成した後、陰極電極部の端部のみに絶縁性樹脂層ではなく第二の導電性高分子層を厚くインクジェットで形成する。その後、陰極電極部全体に第一の導電性高分子層を形成する。また、第一の導電性高分子層を陰極電極部全体に形成後に、端部のみに第二の導電性高分子層を形成してもよい。ここで、第二の導電性高分子層は、そこを流れる電流により絶縁化され易い組成で構成されている。しかし、この方法では、使用する第二の導電性高分子層の材料となる分散液の管理や印刷が難しく、材料費も高いため実用的ではない。また、特許文献2、3と同様に、端部だけ層厚が厚くなる形状となってしまうことには変わりなく、ショート不良やオープン不良が発生しやすいという課題は解決されない。
【0010】
そこで、本発明の課題は、静電容量の低下が少なく、ショート不良やオープン不良の発生が抑制され、従来に比べて製造歩留まりが高い固体電解コンデンサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の固体電解コンデンサは、表面が多孔質状に拡面化された平板状または箔状の弁作用金属を陽極体とし、陽極電極部および陰極電極部を備える固体電解コンデンサにおいて、前記弁作用金属の前記陰極電極部が形成される部分の端面を含めたすべての表面に誘電体酸化皮膜が形成され、前記誘電体酸化皮膜上に第一の導電性高分子層が形成され、前記弁作用金属の端面および前記弁作用金属の端面からの距離が0.03mm〜1mmの範囲の前記第一の導電性高分子層上に絶縁性樹脂層が形成され、前記第一の導電性高分子層上および前記絶縁性樹脂層上に第二の導電性高分子層が形成され、前記絶縁性樹脂層が形成されていない部分の前記第二の導電性高分子層上に第一の導電性樹脂層が形成され、前記第二の導電性高分子層上および前記第一の導電性樹脂層上に第二の導電性樹脂層が形成され、前記第一の導電性樹脂層および第二の導電性高分子層の厚さは、絶縁性樹脂層の厚さの0.9倍以上1.1倍以下であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の固体電解コンデンサは、表面が多孔質状に拡面化された平板状または箔状の弁作用金属を陽極体とし、陽極電極部および陰極電極部を備える固体電解コンデンサにおいて、前記弁作用金属の前記陰極電極部が形成される部分の端面を含めたすべての表面に誘電体酸化皮膜が形成され、前記誘電体酸化皮膜上に導電性高分子層が形成され、前記弁作用金属の端面および前記弁作用金属の端面からの距離が0.03mm〜1mmの範囲の前記導電性高分子層上に絶縁性樹脂層が形成され、前記絶縁性樹脂層が形成されていない前記導電性高分子層上に第一の導電性樹脂層が形成され、前記絶縁性樹脂層および前記第一の導電性樹脂層上に第二の導電性樹脂層が形成され、前記第一の導電性樹脂層の厚さは前記絶縁性樹脂層の厚さの0.9倍以上1.1倍以下であってもよい。
【0013】
上記の場合、前記第二の導電性樹脂層上に第三の導電性樹脂層が形成されていてもよい。
【0014】
また、本発明の固体電解コンデンサは、表面が多孔質状に拡面化された平板状または箔状の弁作用金属を陽極体とし、陽極電極部および陰極電極部を備える固体電解コンデンサにおいて、前記弁作用金属の前記陰極電極部が形成される部分の端面を含めたすべての表面に誘電体酸化皮膜が形成され、前記誘電体酸化皮膜上に導電性高分子層が形成され、前記弁作用金属の端面および前記弁作用金属の端面からの距離が0.03mm〜1mmの範囲の前記導電性高分子層上に絶縁性樹脂層が形成され、前記導電性高分子層上および前記絶縁性樹脂層上に第一の導電性樹脂層が形成され、前記絶縁性樹脂層が形成されていない部分の前記第一の導電性樹脂層上に第二の導電性樹脂層が形成され、前記第一の導電性樹脂層上および第二の導電性樹脂層上に第三の導電性樹脂層が形成され、前記第二の導電性樹脂層の厚さは前記絶縁性樹脂層の厚さの0.9倍以上1.1倍以下であってもよい。
【0015】
また、本発明の固体電解コンデンサは、表面が多孔質状に拡面化された平板状または箔状の弁作用金属を陽極体とし、陽極電極部および陰極電極部を備える固体電解コンデンサにおいて、前記弁作用金属の前記陰極電極部が形成される部分の端面を含めたすべての表面に誘電体酸化皮膜が形成され、前記誘電体酸化皮膜上に導電性高分子層が形成され、前記弁作用金属の端面および前記弁作用金属の端面からの距離が0.03mm〜1mmの範囲を除く前記導電性高分子層の表面に第一の導電性樹脂層が形成され、前記第一の導電性樹脂層の外縁部と前記導電性高分子層の表面に絶縁性樹脂層が形成され、前記絶縁性樹脂層および前記第一の導電性樹脂層上に第二の導電性樹脂層が形成され、前記第一の導電性樹脂層の厚さは前記絶縁性樹脂層の厚さの0.9倍以上1.1倍以下であることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の固体電解コンデンサは、表面が多孔質状に拡面化された平板状または箔状の弁作用金属を陽極体とし、陽極電極部および陰極電極部を備える固体電解コンデンサにおいて、前記弁作用金属の前記陰極電極部が形成される部分の端面を含めたすべての表面に誘電体酸化皮膜が形成され、前記誘電体酸化皮膜上に第一の導電性高分子層が形成され、前記弁作用金属の端面および前記弁作用金属の端面からの距離が0.03mm〜1mmの範囲の前記第一の導電性高分子層上に、絶縁性樹脂層が形成され、前記第一の導電性高分子層上および前記絶縁性樹脂層上に第二の導電性高分子層が形成され、前記第二の導電性高分子層上に第一の導電性樹脂層が形成され、前記絶縁性樹脂層が形成されていない部分の前記第一の導電性樹脂層上に第二の導電性樹脂層が形成され、前記第一の導電性樹脂層上および第二の導電性樹脂層上に第三の導電性樹脂層が形成され、前記第二の導電性樹脂層の厚さは前記絶縁性樹脂層の厚さの0.9倍以上1.1倍以下であってもよい。
【0017】
ここで、前記第一の導電性樹脂層および前記第二の導電性樹脂層をいずれもグラファイト層とし、前記第三の導電性樹脂層を銀導電性樹脂層としてもよい。
【0018】
または、前記第一の導電性樹脂層をグラファイト層とし、前記第二の導電性樹脂層および前記第三の導電性樹脂層をいずれも銀導電性樹脂層としてもよい。
【発明の効果】
【0019】
平板状または箔状の弁作用金属を陽極体とし、その表面および端面に誘電体酸化皮膜を形成し、その端部の誘電体酸化皮膜上に直接、絶縁性樹脂層を形成した場合は、陽極体の多孔質部に絶縁性樹脂が浸透することにより静電容量の低下が生じ、さらに、一般的な絶縁性樹脂は水をはじくため、導電性高分子層の形成において、電解重合、化学重合で水溶液を使用する場合や、導電性高分子懸濁水溶液を使用する場合には、さらに容量の低下が顕著となる。しかし、本発明においては、端部を含めた陰極電極部全体の誘電体酸化皮膜上に導電性高分子層を形成した後、端部に絶縁性樹脂層を形成することにより、静電容量の低下を防ぐことができる。さらに、本発明では、端部の絶縁性樹脂層を形成する範囲を、端面からの距離が0.03mm〜1mmの範囲とすることで、静電容量の低下がほとんどない固体電解コンデンサが得られる。
【0020】
また、端部を含めた陰極電極部全体の誘電体酸化皮膜上に導電性高分子層を形成し、端部に絶縁性樹脂層を形成した後、その上から陰極電極部全体を覆うように第二の導電性高分子層を形成しても同様の効果が得られる。
【0021】
また、本発明においては、絶縁性樹脂の塗布範囲を予め設定することにより、静電容量の設計値からのずれを小さくできる。また、絶縁性樹脂層を陰極電極部の表面からの簡便な印刷により塗布して形成することができ、インクジェット等の特殊な塗布装置を必要とせず、使用する絶縁性樹脂の選択肢も広い。
【0022】
また、アルミニウムなどの弁作用金属の化成箔をコンデンサ素子の形状に金型を用いて打ち抜きで切断した場合、その片面の切断部付近に、打ち抜き方向に依存したクラックが発生する。クラックの付近は機械的に脆く、漏れ電流による不良発生の原因となりやすいため、この部分を絶縁性樹脂で覆うことが好ましい。したがって、本発明では、クラックの発生する領域の大きさに応じて、クラックが存在する部分を広く覆うことができるように、端部の絶縁性樹脂を塗布する領域を設定することで、静電容量の低下を低くし、ショート不良の発生を抑制できる。また、端部への絶縁性樹脂の塗布は、印刷条件を適宜調整することにより、陰極電極部の上下両面のうちの一方からの印刷でも、安定して塗布することも可能である。
【0023】
また、陰極電極部の端部に形成する導電性高分子層を可能な限り薄くすることで、誘電体酸化皮膜を絶縁性樹脂で確実に覆うことが出来るようになるため漏れ電流を低くできる。
【0024】
本発明においては、端部の絶縁性樹脂層を形成後、陰極電極部のその絶縁性樹脂層が形成された領域以外の部分にのみ、絶縁性樹脂層と同程度の厚さの第一の導電性樹脂を形成し、その上に陰極電極部全体を覆うように第二の導電性樹脂層、または第二および第三の導電性樹脂層を形成する構造としている。これにより、絶縁性樹脂層の形成による陰極電極部の端部のみが厚くなる形状を防ぐことができ、オープン不良やショート不良を低減することができる。
【0025】
本発明においては、上記のように、絶縁性樹脂層が形成された領域以外の部分にのみ、絶縁性樹脂層と同程度の厚さの導電性樹脂層を形成することにより、陰極電極部全体の層構造の厚さを均一化して、端部のみが厚くなる形状を防ぐものであるので、陰極電極部全体を覆う均一な厚さの導電性高分子層、または導電性樹脂層を形成した後、絶縁性樹脂層と同程度の厚さの導電性樹脂層を絶縁性樹脂層が形成された領域以外の部分にのみ形成してもよい。
【0026】
また、本発明において、陰極電極部における導電性高分子層上に、始めに導電性樹脂層を形成し、その後、導電性樹脂層の外縁部に重なるとともに、導電性高分子層の端面に絶縁性樹脂層を形成することによって、静電容量の低下をさらに抑制することが可能になる。
【0027】
以上のように、本発明により、静電容量の低下が少なく、ショート不良やオープン不良の発生が抑制され、従来に比べて製造歩留まりが高い固体電解コンデンサが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明による固体電解コンデンサの第一の実施の形態の構成を模式的に示す図であり、図1(a)は絶縁性樹脂層を形成後の製造途中における平面図、図1(b)はコンデンサ素子完成後の図1(a)のA−Aに相当する部分の断面図。
【図2】本発明による固体電解コンデンサの第二の実施の形態の構成を模式的に示す図であり、図2(a)は絶縁性樹脂層を形成後の製造途中における平面図、図2(b)はコンデンサ素子完成後の図2(a)のA−Aに相当する部分の断面図。
【図3】本発明による固体電解コンデンサの第三の実施の形態の構成を模式的に示す図であり、図3(a)は絶縁性樹脂層を形成後の製造途中における平面図、図3(b)はコンデンサ素子完成後の図3(a)のA−Aに相当する部分の断面図。
【図4】本発明による固体電解コンデンサの第四の実施の形態の構成を模式的に示す図であり、図4(a)は絶縁性樹脂層を形成後の製造途中における平面図、図4(b)はコンデンサ素子完成後の図4(a)のA−Aに相当する部分の断面図。
【図5】従来の固体電解コンデンサの構造を模式的に示す断面図。
【図6】従来の固体電解コンデンサの構成を模式的に示す図であり、図6(a)は絶縁樹脂層を形成後の製造途中における平面図、図6(b)はコンデンサ素子完成後の図6(a)のA−Aに相当する部分の断面図、図6(c)は陽極体とその上の層構造を微細に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明による固体電解コンデンサの第一の実施の形態の構成を模式的に示す図であり、図1(a)は絶縁性樹脂層を形成後の製造途中における平面図、図1(b)はコンデンサ素子完成後の図1(a)のA−Aに相当する部分の断面図である。図1に示すように、本実施の形態の固体電解コンデンサのコンデンサ素子は、表面が多孔質状に拡面化された弁作用金属であるアルミニウム箔を陽極体1とし、陽極電極部11および陰極電極部20を備えている。また、陽極体1の陰極電極部20が形成される部分の端面を含めたすべての表面に誘電体酸化皮膜2が形成され、陰極電極部20の誘電体酸化皮膜2上に第一の導電性高分子層5が形成されている。アルミニウム箔の端面およびアルミニウム箔の端面からの距離が0.03mm〜1mmの範囲の第一の導電性高分子層5上に絶縁性樹脂層12が形成され、さらに、第一の導電性高分子層5上および絶縁性樹脂層12上に第二の導電性高分子層6が形成されている。絶縁性樹脂層12が形成されていない第二の導電性高分子層6上に、第一の導電性樹脂層7が形成されている。さらに、絶縁性樹脂層12および第一の導電性樹脂層7上に、第二の導電性樹脂層8が形成されている。ここで第二の導電性樹脂層8の上に第三の導電性樹脂層9が形成されてもよい。また、陰極電極部20の厚みの均一化をはかるために、第一の導電性樹脂層7および第二の導電性高分子層6の厚さは、絶縁性樹脂層12の厚さの0.9倍以上1.1倍以下が好ましい。
【0030】
以下、本実施の形態の固体電解コンデンサの具体的な作製方法の一例について説明する。本実施の形態では弁作用金属としてアルミニウムを用いたが、弁作用金属としては、タンタル、アルミニウム、チタン、ニオブ、ジルコニウム、またはこれらの合金などが使用でき、タンタル、アルミニウム、ニオブから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。陽極体1は、アルミニウム箔の表面をエッチングにより多孔質化して作製され、中心の陽極体芯部と表面の多孔質部とからなる。この拡面化されたアルミニウム箔を製造時に必要な余白を含めてコンデンサ素子の形状に切断する。絶縁性樹脂パターン10として、エポキシ系のレジストを用いて、コンデンサ素子の陽極電極部11と陰極電極部20とを分断する。次に、アルミニウム箔の陰極電極部20をアジピン酸二水素アンモニウムの13質量%水溶液を用いて印加電圧60Vで陽極酸化し、アルミニウム箔の表面に誘電体酸化皮膜2を形成する。なお、誘電体酸化皮膜2を形成後に、分断用の絶縁性樹脂パターン10を形成することも可能である。
【0031】
次に、固形成分量が0.1〜30質量%、好ましくは0.3〜3質量%、粘度が10〜500mPa・s、好ましくは10〜100mPa・sのポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)懸濁水溶液に陰極電極部20を浸漬し、引き上げ後、陰極電極部20に余分に付着したポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)懸濁水溶液を除去し、洗浄、乾燥工程を数回繰り返すことで、陽極体1の多孔質部の空孔内部、および端部の誘電体酸化皮膜2上に第一の導電性高分子層5を形成する。端部への第一の導電性高分子層5の形成においては、付着したポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)懸濁水溶液の除去方法により、その厚さを調整することができる。
【0032】
次に、陰極電極部20の端部に絶縁性樹脂層12を形成する。図1(a)に示すように、第一の導電性高分子層5を形成した陰極電極部20の端面から延伸して第一の導電性高分子層5の主面部の外周を覆うように絶縁性樹脂を塗布し絶縁性樹脂層12(矢印B)を形成する。具体的には、図1(b)の寸法Cに示すように、誘電体酸化皮膜2を形成した陽極体1の端面からの距離が0.03mm〜1mmの範囲、好ましくは0.1mm〜0.5mmの範囲と、端面に絶縁性樹脂からなる絶縁性樹脂層12を形成する。ここで、塗布範囲を0.03mm未満にすると、陰極電極部20の端部の角部が露出しショート不良の発生率が大きくなってしまい、また、この範囲だけを塗り残しなく絶縁性樹脂を塗布するのは非常に困難である。一方、塗布範囲を1mmより大きくすると、静電容量の減少が大きくなり、本発明の課題を解決できない。絶縁性樹脂層12の材料としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂等を用いることができるが、封止性の良好なエポキシ樹脂が特に好ましい。絶縁性樹脂層12は、陰極電極部20の上下両面からのスクリーン印刷により形成するとよい。スクリーン印刷に使用するスクリーン版の開口部は、例えば陽極体1の端面から内側方向に0.03mm〜1mmの範囲、好ましくは0.1mm〜0.5mmの範囲と絶縁性樹脂層12の厚み寸法を加えた大きさが開口部の寸法となるようにする。
【0033】
さらに、固形成分量が2.0質量%、粘度が20mPa・sの導電性高分子懸濁水溶液に、端部に絶縁性樹脂層12を形成した陰極電極部20を浸漬し、引き上げ後、125℃で15分間乾燥して、第一の導電性高分子層5上および絶縁性樹脂層12上に第二の導電性高分子層6を形成することができる。第二の導電性高分子層6の形成方法としては、電解重合、化学重合、または、これらの組み合わせで形成することも可能である。導電性高分子層の材料としては、ピロール、チオフェン、アニリンおよびその誘導体からなる導電性重合体などがあり、二酸化マンガン、酸化ルテニウムなどの酸化物誘導体、TCNQ(7,7,8,8−テトラシアノキノジメタンコンプレックス塩)などの有機物半導体が含まれていてもよいが、熱に対して安定なチオフェンを用いることが好ましい。
【0034】
次に、絶縁性樹脂層12が形成されていない第二の導電性高分子層6上に、第一の導電性樹脂層7として、絶縁性樹脂層12と同程度の厚さの第一のグラファイト層を形成し、その上に陰極電極部全体に第二の導電性樹脂層8として第二のグラファイト層を形成する。さらに、第三の導電性樹脂層9として銀導電性樹脂層を形成し、図1(b)に示すアルミ固体電解コンデンサのモールド成型前の素子が完成する。上記の第一のグラファイト層、第二のグラファイト層、銀導電性樹脂層もスクリーン印刷により作成することができる。なお、第二の導電性樹脂層8としてグラファイト層の代わりに銀導電性樹脂層を形成してもよい。
【0035】
図2は本発明による固体電解コンデンサの第二の実施の形態の構成を模式的に示す図であり、図2(a)は絶縁性樹脂層を形成後の製造途中における平面図、図2(b)はコンデンサ素子完成後の図2(a)のA−Aに相当する部分の断面図である。本実施の形態においては、第一の実施の形態と比べて、第二の導電性高分子層を絶縁性樹脂層の形成後ではなく、絶縁性樹脂層を形成する前に形成することが異なっている。
【0036】
したがって、図2(a)に示すように、本実施の形態のコンデンサ素子は、一方に陽極電極部11が形成され、絶縁性樹脂パターン10を介してもう一方にある陰極電極部20が、第二の導電性高分子層6の端面から延伸して第二の導電性高分子層6の主面部の外周を覆うように絶縁性樹脂が塗布され絶縁性樹脂層12(矢印B)が形成される工程を経る。
【0037】
つづいて陰極電極部の構成を説明する。図2(b)に示すように、誘電体酸化皮膜2が形成された弁作用金属からなる陽極体1の上に第一の導電性高分子層5が形成され、その上に第二の導電性高分子層6が形成される。さらに寸法Cに示すように、陽極体1の端面および陽極体1の端面からの距離が0.03mm〜1mmの範囲の第二の導電性高分子層6上に絶縁性樹脂層12が形成されている。よって、誘電体酸化皮膜2上に形成される導電性高分子層は2層構造である。絶縁性樹脂層12が形成されていない第二の導電性高分子層6上に、第一の導電性樹脂層7が形成され、さらに、絶縁性樹脂層12および第一の導電性樹脂層7上に、第二の導電性樹脂層8が形成され、その上に第三の導電性樹脂層9が形成されていることは第一の実施の形態と同様である。また、陰極電極部20の厚みの均一化をはかるために、第一の導電性樹脂層7の厚さは絶縁性樹脂層12の厚さの0.9倍以上1.1倍以下とすることが好ましい。本実施の形態の固体電解コンデンサの作製方法も、第一の実施の形態と同様な作製方法が可能である。なお、本実施の形態において、導電性高分子層は、1層の導電性高分子層から形成されていてもよく、または3層以上の導電性高分子層から形成されていていてもよい。
【0038】
図3は本発明による固体電解コンデンサの第三の実施の形態の構成を模式的に示す図であり、図3(a)は絶縁性樹脂層を形成後の製造途中における平面図、図3(b)はコンデンサ素子完成後の図3(a)のA−Aに相当する部分の断面図である。本実施の形態においては、第二の実施の形態と比べて、第一の導電性樹脂層を均一に形成し、第二の導電性樹脂層を絶縁性樹脂層が形成されていない第一の導電性樹脂層上に形成することが異なっている。
【0039】
したがって、図3(a)に示すように、本実施の形態におけるコンデンサ素子は、第二の実施の形態と同様に、一方に陽極電極部11が形成され、絶縁性樹脂パターン10を介してもう一方にある陰極電極部20が、第二の導電性高分子層6の端面から延伸して第二の導電性高分子層6の主面部の外周を覆うように絶縁性樹脂が塗布され絶縁性樹脂層12(矢印B)が形成される工程を経る。
【0040】
つづいて陰極電極部の構成を説明する。図3(b)に示すように、誘電体酸化皮膜2が形成された陽極体1の上に第一の導電性高分子層5が形成され、その上に第二の導電性高分子層6が形成される。さらに寸法Cに示すように、陽極体1の端面および陽極体1の端面からの距離が0.03mm〜1mmの範囲の第二の導電性高分子層6上に絶縁性樹脂層12が形成されている。その後、第一の導電性樹脂層7は、絶縁性樹脂層12が形成されていない第二の導電性高分子層6と絶縁性樹脂12上に形成され、つづいて絶縁性樹脂層12の形成されていない導電性樹脂層7の上に第二の導電性樹脂層8が形成される。そして第二の導電性樹脂層8と第一の導電性樹脂層7との上に第三の導電性樹脂層9が形成されている。第一の導電性樹脂層8の厚さは絶縁性樹脂層12の厚さの0.9倍以上1.1倍以下である。本実施の形態の固体電解コンデンサの作製方法も、第一の実施の形態と同様な作製方法が可能である。なお、本実施の形態において、導電性高分子層は、1層の導電性高分子から形成されてもよい。
【0041】
また、第一の実施の形態においても、この第三の実施の形態のように、第一の導電性樹脂層を均一に形成し、第二の導電性樹脂層を絶縁性樹脂層が形成されていない第一の導電性樹脂層上に形成するように構成しても本発明の効果が得られる。
【0042】
図4は本発明による固体電解コンデンサの第四の実施の形態の構成を模式的に示す図であり、図4(a)は絶縁性樹脂層を形成後の製造途中における平面図、図4(b)はコンデンサ素子完成後の図4(a)のA−Aに相当する部分の断面図である。本実施の形態においては、予め第二の導電性高分子層の上に第一の導電性樹脂層を形成し、その後、第一の導電性樹脂層が形成されていない第二の導電性高分子層の上に絶縁性樹脂層を形成することが異なっている。
【0043】
したがって、図4(a)に示すように、本実施の形態のコンデンサ素子は、一方に陽極電極部11が形成され、絶縁性樹脂パターン10を介してもう一方にある陰極電極部20が第一の導電性樹脂層7と絶縁性樹脂層12(矢印B)で形成される工程を経る。
【0044】
さらに本実施の形態の陰極電極部の構成を説明する。図4(b)に示すように、本実施の形態のコンデンサ素子は、誘電体酸化皮膜2が形成された陽極体1の上に第一の導電性高分子層5が形成され、第一の導電性高分子層5上に第二の導電性高分子層6が形成されており、これらの構成までは第二の実施の形態と同様である。
【0045】
しかし、本実施の形態では、寸法Cに示すように、誘電体酸化皮膜2が形成された陽極体1の端面および陽極体1の端面からの距離が0.03mm〜1.0mmの範囲を除く第二の導電性高分子層6の表面に、初めに第一の導電性樹脂層7が形成され、寸法Dに示すように、第一の導電性樹脂層7の外縁部に重なるとともに、第一の導電性樹脂層7が形成されていない第二の導電性高分子層6の表面に絶縁性樹脂層12が形成されている。
【0046】
上記の構造は、絶縁性樹脂層12をエポキシ樹脂等で形成した場合に発生する絶縁性樹脂層12の端部の樹脂ダレの影響を排除するために実施するものである。前述したように本発明ではスクリーン印刷を用いて絶縁性樹脂層12を形成することができる。導電性高分子層上において、エポキシ樹脂等の粘度のばらつきにより端部に樹脂ダレが発生すると、第一の導電性樹脂層7を形成する本来の領域まで絶縁性樹脂層12が形成され、静電容量が減少してしまうことや等価直列抵抗(ESR)が増加する場合がある。したがって、エポキシ樹脂等よりも安定して端部を形成することが出来るグラファイトペースト等を用いて第一の導電性樹脂層7を形成した後、絶縁性樹脂層12を形成することによって樹脂ダレの発生を低減でき、静電容量の低下を抑制することが可能となる。
【0047】
前述の範囲に限定する理由は、前述した通り、第一の導電性樹脂層7を形成する範囲を弁作用金属である陽極体の端面からの距離を0.03mm未満にすると、絶縁性樹脂層12の形成領域が不十分となり、第二の導電性高分子層6の角部が露出し漏れ電流が増加してしまうからである。一方、第一の導電性樹脂層7の形成範囲を1.0mmより大きくすると、静電容量の減少が大きくなり、本発明の課題を解決できないためである。また、陰極電極部20の厚みの均一化をはかるために、第一の導電性樹脂層7の厚さは絶縁性樹脂層12の厚さの0.9倍以上1.1倍以下とすることが好ましい。
【0048】
その後、第一の導電性樹脂層7と絶縁性樹脂層12の表面に第二の導電性樹脂層8が形成される。第二の導電性樹脂層8の形成もスクリーン印刷を用いて行う。その他、構成材料や製造工程は第一の実施の形態と同様である。なお、本実施の形態においても、導電性高分子層は、1層の導電性高分子層から形成されていてもよく、または3層以上の導電性高分子層から形成されていていてもよい。
【0049】
なお、絶縁性樹脂層12における第一の導電性樹脂層7の外縁部への重なりは必ずしも必要ではなく、始めに第一の導電性樹脂層7が形成され、その後、第一の導電性樹脂層7の端部と絶縁性樹脂層12とが隙間無く密着して形成され、漏れ電流の増加を抑制できればよい。このようにして静電容量が減少せず、漏れ電流の増加を抑制した固体電解コンデンサを得ることが出来る。
【0050】
さらに、本発明による固体電解コンデンサの第五の実施の形態として、第一の導電性高分子層上および絶縁性樹脂層上に第二の導電性高分子層が形成されるまでは第一の実施の形態と同様の構成を有し、その上に形成される導電性樹脂層の構成が違うものでも良い。すなわち、第五の実施の形態のコンデンサ素子は、表面が多孔質状に拡面化された弁作用金属であるアルミニウム箔を陽極体とし、陽極体の陰極電極部が形成される部分の端面を含めたすべての表面に誘電体酸化皮膜が形成され、陰極電極部の誘電体酸化皮膜上に第一の導電性高分子層が形成されている。そのアルミニウム箔の端面およびアルミニウム箔の端面からの距離が0.03mm〜1mmの範囲の第一の導電性高分子層上に絶縁性樹脂層が形成され、さらに、第一の導電性高分子層上および絶縁性樹脂層上に第二の導電性高分子層が形成されている。その第二の導電性高分子層の上に第一の導電性樹脂層が形成され、さらに絶縁性樹脂層が形成されていない部分に形成された第一の導電性樹脂層の上に第二の導電性樹脂層が形成され、最後に第一の導電性樹脂層と第二の導電性樹脂層の上に第三の導電性樹脂層が形成される。なお、他の実施の形態と同様に、第二の導電性樹脂層の厚さは前記絶縁性樹脂層の厚さの0.9倍以上1.1倍以下であることが好ましい。
【0051】
また、本発明による固体電解コンデンサの実施の形態において、第一の導電性樹脂層および第二の導電性樹脂層はいずれもグラファイト層であり、第三の導電性樹脂層が銀導電性樹脂層であってもよい。
【0052】
また、本発明による固体電解コンデンサの実施の形態において、第一の導電性樹脂層がグラファイト層であり、第二の導電性樹脂層および第三の導電性樹脂層はいずれも銀導電性樹脂層であってもよい。
【実施例】
【0053】
以下、本発明の効果を確認するため、第一の実施の形態の固体電解コンデンサの実施例を作製して評価を行った結果について説明する。
【0054】
厚み150μmの弁作用金属であるアルミニウム箔の表面をエッチングにより多孔質化して陽極体とし、それを必要な余白を含めコンデンサ素子の形状に切断した。陽極電極部と陰極電極部の分断用の絶縁性樹脂パターンとしてエポキシ系のレジストを用いた。コンデンサ素子の陰極電極部の大きさは、3.0×4.0mmとした。コンデンサ素子の陰極電極部となる部分をアジピン酸二水素アンモニウムの13質量%水溶液を用いて印加電圧60Vで陽極酸化し、陽極体の表面に誘電体酸化皮膜を形成した。
【0055】
第一の導電性高分子層の形成は、陰極電極部を導電性高分子懸濁水溶液に浸漬し形成する方法で行った。導電性高分子懸濁水溶液は固形成分量1.5質量%、粘度20mPa・sのポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)懸濁水溶液を用いた。ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)懸濁水溶液に上述の化成を行った陰極電極部を5分間浸漬し、125℃で10分間乾燥する工程を5回繰り返すことで第一の導電性高分子層を形成した。
【0056】
次に、絶縁性樹脂層として、エポキシ系の樹脂を陰極電極部の上下両面から印刷し、150℃、30分乾燥することで形成した。印刷に使用したスクリーン版の開口部は、陰極電極部における陽極体の端面からの距離が0.2mmの範囲の上下表面に絶縁性樹脂が塗られ、陰極電極部の端面にも絶縁性樹脂が回り込むように設定した。
【0057】
次に、固形成分量2.0質量%、粘度20mPa・sの導電性高分子懸濁水溶液に、端部に絶縁性樹脂層を形成した陽極体を浸漬した。浸漬後、125℃で30分間乾燥して、陽極体の表面に第二の導電性高分子層を形成した。
【0058】
次に、第一の導電性樹脂層として絶縁性樹脂層と同程度の厚さの第一のグラファイト層を、陰極電極部における陽極体の端面から距離が0.2mmの範囲を除く第二の導電性高分子層上にスクリーン印刷法にて形成した。その上に、陰極電極部の表面全体を覆うように、第二の導電性樹脂層として第二のグラファイト層を、さらにその上に、第三の導電性樹脂層として銀導電性樹脂層をスクリーン印刷法にて形成した。これにより、モールド成型前のアルミ固体電解コンデンサを完成した。以上のように、陰極電極部における陽極体の端面から0.2mmの範囲に絶縁性樹脂層を設けた素子を実施例1とする。
【0059】
上記の実施例1と同様な作製方法で、陰極電極部における陽極体の端面から0.1mmの範囲に絶縁性樹脂層を設けた実施例1と同じ層構造の素子を作製した。この場合、第一の導電性樹脂層は、陰極電極部における陽極体の端面から0.1mmの範囲を除く第二の導電性高分子層上に形成した。この素子を実施例2とする。
【0060】
上記の実施例1と同様な作製方法で、陰極電極部における陽極体の端面から0.3mmの範囲に絶縁性樹脂層を設けた実施例1と同じ層構造の素子を作製した。この場合、第一の導電性樹脂層は、陰極電極部における陽極体の端面から0.3mmの範囲を除く第二の導電性高分子層上に形成した。この素子を実施例3とする。
【0061】
上記の実施例1と同様な作製方法で、陰極電極部における陽極体の端面から0.4mmの範囲に絶縁性樹脂層を設けた実施例1と同じ層構造の素子を作製した。この場合、第一の導電性樹脂層は、陰極電極部における陽極体の端面から0.4mmの範囲を除く第二の導電性高分子層上に形成した。この素子を実施例4とする。
【0062】
上記の実施例1と同様な作製方法で、陰極電極部における陽極体の端面から0.5mmの範囲に絶縁性樹脂層を設けた実施例1と同じ層構造の素子を作製した。この場合、第一の導電性樹脂層は、陰極電極部における陽極体の端面から0.5mmの範囲を除く第二の導電性高分子層上に形成した。この素子を実施例5とする。
【0063】
上記の実施例1と同様な作製方法で、陰極電極部における陽極体の端面から1.0mmの範囲に絶縁性樹脂層を設けた実施例1と同じ層構造の素子を作製した。この場合、第一の導電性樹脂層は、陰極電極部における陽極体の端面から1.0mmの範囲を除く第二の導電性高分子層上に形成した。この素子を実施例6とする。
【0064】
つづいて、第四の実施の形態における固体電解コンデンサを作製した実施例7について説明する。実施例7でも弁作用金属としてアルミニウム箔を用いた。厚み150μmのアルミニウム箔の表面をエッチングにより多孔質化して陽極体とし、それを必要な余白を含めコンデンサ素子の形状に切断した。その他、陽極電極部と陰極電極部の寸法、誘電体酸化皮膜等は実施例1と同様とした。
【0065】
第一の導電性高分子層の形成は、陽極体における陰極電極部とする部分を導電性高分子懸濁水溶液に浸漬し形成する方法で行った。導電性高分子懸濁水溶液は固形成分量1.5質量%、粘度20mPa・sのポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)懸濁水溶液を用いた。ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)懸濁水溶液に上述の化成を行った陰極電極部を5分間浸漬し、125℃で10分間乾燥する工程を5回繰り返すことで第一の導電性高分子層を形成した。次に、第一の導電性高分子層を形成した陰極電極部を固形成分量2.0質量%、粘度20mPa・sの導電性高分子懸濁水溶液に浸漬した後、125℃で30分間加熱して乾燥し、第二の導電性高分子層を形成した。
【0066】
次に、第一の導電性樹脂層としてグラファイト層を、陽極体の端面および陽極体の端面からの距離が0.03mmの範囲を除く第二の導電性高分子層上にスクリーン印刷法にて形成した。
【0067】
次に、絶縁性樹脂層としてエポキシ系樹脂をグラファイト層の外縁部に重ねるとともに、グラファイト層が形成されていない第二の導電性高分子層の表面に塗布した。エポキシ系樹脂の塗布もスクリーン印刷法を用いた。エポキシ系樹脂の硬化は150℃、30分間で行った。この時、絶縁性樹脂層におけるグラファイト層の外縁部に対する重なりは約0.1mmとした。
【0068】
さらにグラファイト層と絶縁性樹脂層の上に、第二の導電性樹脂層として銀導電性樹脂層をスクリーン印刷法にて形成した。これにより、実施例7のコンデンサ素子を得た。
【0069】
上記の実施例7と同様な作製方法で、第一の導電性樹脂層としてグラファイト層を、陽極体の端面および陽極体の端面からの距離が0.3mmの範囲を除く第二の導電性高分子層上に形成した。また、絶縁性樹脂層における第一の導電性樹脂層の外縁部に対する重なりや他の構造も実施例7と同様とした。この素子を実施例8とする。
【0070】
上記の実施例7と同様な作製方法で、第一の導電性樹脂層としてグラファイト層を、陽極体の端面および陽極体の端面からの距離が0.5mmの範囲を除く第二の導電性高分子層上に形成した。なお、絶縁性樹脂層における第一の導電性樹脂層の外縁部に対する重なりを0.2mmとした以外は実施例7と同様とした。この素子を実施例9とする。
【0071】
上記の実施例7と同様な作製方法で、第一の導電性樹脂層としてグラファイト層を、陽極体の端面および陽極体の端面からの距離が1.0mmの範囲を除く第二の導電性高分子層上に形成した。なお、絶縁性樹脂層における第一の導電性樹脂層の外縁部に対する重なりを0.2mmとした以外は実施例7と同様とした。この素子を実施例10とする。
【0072】
また、従来例として、誘電体酸化皮膜2上の陰極電極部における陽極体の端部に直接、絶縁性樹脂層を形成した後、その上の陰極電極部全体に第一の導電性高分子層、第二の導電性高分子層を順次を形成し、その上に、第一の導電性樹脂層としてのグラファイト層、第二の導電性樹脂層としての銀導電性樹脂層を順に形成した素子を作製した。陰極電極部の陽極体の端面における絶縁樹脂層の塗布領域は実施例1と同様とした。素子の外形や各層の作製方法は実施例1と同様である。この従来例は、導電性高分子層が2層構造になっていることを除けば、図6に示した従来の構造と同様である。
【0073】
次に、上記のように作製した実施例1〜10および従来例の素子をモールド成型し、固体電解コンデンサを各々100個製造して、測定評価を行った。LCRメーターを用いて測定した周波数120Hzにおける静電容量と、周波数100kHzにおけるESRと、電源と電流計を用いて測定した25Vの電圧印加60秒後の漏れ電流の平均値と、ショート不良発生率およびオープン不良発生率の測定結果を表1に示す。
【0074】
【表1】

【0075】
まず、漏れ電流を比較した場合、従来例ではショート不良が発生したのに対し、実施例1〜6ではショート不良は発生していない。従来例においてショート不良発生率が高い理由は、図6(b)に示したように、端部の絶縁性樹脂層の形成領域の層厚の合計が、その他の部分よりも厚くなる形状になっているためと考えられる。従来例の場合、絶縁性樹脂層を形成した端部の厚みが、その他の部分の厚みに対して、片面で30〜60μm厚くなっている。このような端部のみ厚い形状になっていると、モールド成型した際の圧力により、素子の端部の絶縁性樹脂層が形成されていない部分との境界付近はもろくなり、外部圧力のストレスによって、誘電体酸化皮膜にクラックが入る確率が高まり、ショート不良発生率が増加すると考えられる。
【0076】
一方、実施例1〜6においては、絶縁性樹脂層を形成した範囲を除く部分に、絶縁性樹脂層と同程度の厚さの第一のグラファイト層を形成し、その上に表面全体を覆うように第二のグラファイト層を形成することで、従来例のような端部のみ厚い形状は生じない。従って、実施例1〜6においては、オープン不良が発生しなかったと考えられる。
【0077】
次に、静電容量について、陰極電極部の端部の絶縁性樹脂の塗布範囲が同じ実施例1と従来例とを比較した場合、実施例1の静電容量が大きい。これは、従来例の場合、絶縁性樹脂層を形成した後、第一の導電性高分子層を形成するため、絶縁性樹脂が端部の表面の広い領域に染み込んでしまい、その絶縁性樹脂が存在する部分が静電容量に寄与しないため、従来例の静電容量が実施例1に比べ大きく減少したと考えられる。実施例1〜6を比較した場合、実施例2の静電容量が最も大きく、実施例6が最も低くなっていた。従って、絶縁性樹脂の塗布範囲が広がるほど、静電容量が減少する傾向にある。
【0078】
次にESRを比較した場合、実施例1〜6はほぼ同等の値になっており、従来例においては、実施例1〜6に比べてESRが高くなる。これは、従来例では、素子の端部の広い領域が静電容量に寄与しないため静電容量が小さく、その分ESRも高くなったと考えられる。
【0079】
なお、オープン不良発生率を比較した場合、実施例1〜6においては、オープン不良が発生していないのに対し、従来例では約30%と不良確率が大きいことがわかる。アルミニウム固体電解コンデンサの製造では、あらかじめスクリーン印刷でインターポーザー上に塗布した接着銀の上に素子を置いて、インターポーザー上に搭載している。その際、従来例のように、素子の端部が素子の中央より厚くなっていると、荷重が端部に集中的にかかるため、素子の中央部は、荷重が不足し、陰極電極部の端部以外の部分と接着銀との間の接続が不十分となり、オープン不良発生率が高まる。実施例1〜6においては、従来例のような端部のみ厚い形状は生じないので、オープン不良が発生しなかったと考えられる。
【0080】
また、実施例7〜10では、表1に示すように、従来例と比べて静電容量、ESR、漏れ電流ともすべて改善している。また、ショート不良やオープン不良の発生も見られない。
【0081】
以上のように、本発明により、静電容量の低下が少なく、ショート不良やオープン不良の発生が抑制され、従来に比べて製造歩留まりが高い固体電解コンデンサを得られることが確認できた。
【0082】
なお、本発明は、上記の実施の形態や実施例に限定されるものではないことはいうまでもなく、目的や用途に応じて設計変更可能である。例えば、弁作用金属、第一および第二の導電性高分子層、絶縁性樹脂層、第一、第二および第三の導電性樹脂層の材料については、所定の機能が得られれば、上記の実施の形態や実施例に示した材料以外の選択も可能である。また、第三の導電性樹脂層がなく、静電容量に寄与する導電性高分子層上に第一および第二の導電性樹脂層のみがあってもよい。
【符号の説明】
【0083】
1、41 陽極体
2、32 誘電体酸化皮膜
5 第一の導電性高分子層
6 第二の導電性高分子層
7 第一の導電性樹脂層
8 第二の導電性樹脂層
9 第三の導電性樹脂層
10、30 絶縁性樹脂パターン
11、31 陽極電極部
12、22 絶縁性樹脂層
20、40 陰極電極部
35、45 導電性高分子層
37、46 グラファイト層
38、47 銀導電性樹脂層
42 第一の誘電体酸化皮膜
43 第二の誘電体酸化皮膜
48 外装樹脂
49 陽極リード
50 陰極リード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面が多孔質状に拡面化された平板状または箔状の弁作用金属を陽極体とし、陽極電極部および陰極電極部を備える固体電解コンデンサにおいて、前記弁作用金属の前記陰極電極部が形成される部分の端面を含めたすべての表面に誘電体酸化皮膜が形成され、前記誘電体酸化皮膜上に第一の導電性高分子層が形成され、前記弁作用金属の端面および前記弁作用金属の端面からの距離が0.03mm〜1mmの範囲の前記第一の導電性高分子層上に絶縁性樹脂層が形成され、前記第一の導電性高分子層上および前記絶縁性樹脂層上に第二の導電性高分子層が形成され、前記絶縁性樹脂層が形成されていない部分の前記第二の導電性高分子層上に第一の導電性樹脂層が形成され、前記第二の導電性高分子層上および前記第一の導電性樹脂層上に第二の導電性樹脂層が形成され、前記第一の導電性樹脂層および第二の導電性高分子層の厚さは、前記絶縁性樹脂層の厚さの0.9倍以上1.1倍以下であることを特徴とする固体電解コンデンサ。
【請求項2】
表面が多孔質状に拡面化された平板状または箔状の弁作用金属を陽極体とし、陽極電極部および陰極電極部を備える固体電解コンデンサにおいて、前記弁作用金属の前記陰極電極部が形成される部分の端面を含めたすべての表面に誘電体酸化皮膜が形成され、前記誘電体酸化皮膜上に導電性高分子層が形成され、前記弁作用金属の端面および前記弁作用金属の端面からの距離が0.03mm〜1mmの範囲の前記導電性高分子層上に絶縁性樹脂層が形成され、前記絶縁性樹脂層が形成されていない前記導電性高分子層上に第一の導電性樹脂層が形成され、前記絶縁性樹脂層および前記第一の導電性樹脂層上に第二の導電性樹脂層が形成され、前記第一の導電性樹脂層の厚さは前記絶縁性樹脂層の厚さの0.9倍以上1.1倍以下であることを特徴とする固体電解コンデンサ。
【請求項3】
前記第二の導電性樹脂層上に第三の導電性樹脂層が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項4】
表面が多孔質状に拡面化された平板状または箔状の弁作用金属を陽極体とし、陽極電極部および陰極電極部を備える固体電解コンデンサにおいて、前記弁作用金属の前記陰極電極部が形成される部分の端面を含めたすべての表面に誘電体酸化皮膜が形成され、前記誘電体酸化皮膜上に導電性高分子層が形成され、前記弁作用金属の端面および前記弁作用金属の端面からの距離が0.03mm〜1mmの範囲の前記導電性高分子層上に絶縁性樹脂層が形成され、前記導電性高分子層上および前記絶縁性樹脂層上に第一の導電性樹脂層が形成され、前記絶縁性樹脂層が形成されていない部分の前記第一の導電性樹脂層上に第二の導電性樹脂層が形成され、前記第一の導電性樹脂層上および第二の導電性樹脂層上に第三の導電性樹脂層が形成され、前記第一の導電性樹脂層の厚さは前記絶縁性樹脂層の厚さの0.9倍以上1.1倍以下であることを特徴とする固体電解コンデンサ。
【請求項5】
表面が多孔質状に拡面化された平板状または箔状の弁作用金属を陽極体とし、陽極電極部および陰極電極部を備える固体電解コンデンサにおいて、前記弁作用金属の前記陰極電極部が形成される部分の端面を含めたすべての表面に誘電体酸化皮膜が形成され、前記誘電体酸化皮膜上に導電性高分子層が形成され、前記弁作用金属の端面および前記弁作用金属の端面からの距離が0.03mm〜1mmの範囲を除く前記導電性高分子層の表面に第一の導電性樹脂層が形成され、前記第一の導電性樹脂層の外縁部と前記導電性高分子層の表面に絶縁性樹脂層が形成され、前記絶縁性樹脂層および前記第一の導電性樹脂層上に第二の導電性樹脂層が形成され、前記第一の導電性樹脂層の厚さは前記絶縁性樹脂層の厚さの0.9倍以上1.1倍以下であることを特徴とする固体電解コンデンサ。
【請求項6】
表面が多孔質状に拡面化された平板状または箔状の弁作用金属を陽極体とし、陽極電極部および陰極電極部を備える固体電解コンデンサにおいて、前記弁作用金属の前記陰極電極部が形成される部分の端面を含めたすべての表面に誘電体酸化皮膜が形成され、前記誘電体酸化皮膜上に第一の導電性高分子層が形成され、前記弁作用金属の端面および前記弁作用金属の端面からの距離が0.03mm〜1mmの範囲の前記第一の導電性高分子層上に絶縁性樹脂層が形成され、前記第一の導電性高分子層上および前記絶縁性樹脂層上に第二の導電性高分子層が形成され、前記第二の導電性高分子層上に第一の導電性樹脂層が形成され、前記絶縁性樹脂層が形成されていない部分の前記第一の導電性樹脂層上に第二の導電性樹脂層が形成され、前記第一の導電性樹脂層上および第二の導電性樹脂層上に第三の導電性樹脂層が形成され、前記第二の導電性樹脂層の厚さは前記絶縁性樹脂層の厚さの0.9倍以上1.1倍以下であることを特徴とする固体電解コンデンサ。
【請求項7】
前記第一の導電性樹脂層および前記第二の導電性樹脂層はいずれもグラファイト層であり、前記第三の導電性樹脂層は銀導電性樹脂層であることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項8】
前記第一の導電性樹脂層はグラファイト層であり、前記第二の導電性樹脂層および前記第三の導電性樹脂層はいずれも銀導電性樹脂層であることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−93539(P2013−93539A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−63427(P2012−63427)
【出願日】平成24年3月21日(2012.3.21)
【出願人】(000134257)NECトーキン株式会社 (1,832)