説明

固体高分子形燃料電池

【課題】エネルギー密度を低下することなく、クロスオーバー、フラッディングを抑制することのできる、固体高分子形燃料電池を提供する。
【解決手段】燃料を酸化する負極と、酸素を還元する正極と、該負極と該正極の間に配置された電解質膜とを含んでなり、該負極がスルホン酸当量(EW)815以下のパーフルオロスルホン酸系イオン交換樹脂を含有する負極触媒層を含むことを特徴とする、固体高分子形燃料電池。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体高分子形燃料電池(PEFC)に関係する。
【背景技術】
【0002】
近年、ノート型パソコン、携帯電話、PDA等の携帯電子機器の高機能化に伴い、そのような機器の消費電力が増大しつつある。現在、このような携帯電子機器の電源の主流はリチウムイオン二次電池であるが、そのエネルギー密度を近年の消費電力の増大に追従させることができず、携帯電子機器の高機能化の妨げになっている。
【0003】
リチウムイオン二次電池に代わる携帯電子機器用電源として、固体高分子形燃料電池が注目されている。固体高分子形燃料電池は、高分子電解質膜の両面にガス拡散性の触媒層を配置し、その負極(アノード)側を燃料ガス(水素等)に、正極(カソード)側を酸化剤ガス(空気等)に暴露し、高分子電解質膜を介した化学反応により水を合成し、これによって生じる反応エネルギーを電気的に取り出すことを基本原理としている。
【0004】
固体高分子形燃料電池の中でも、常温で液体の燃料を、水素に改質することなく、電極において直接酸化して電気エネルギーを取り出すことができる液体燃料供給型燃料電池は、改質器が不要であるため電源の小型化に有利であり、特に携帯電子機器用電源として最も期待されている。
【0005】
液体燃料供給型燃料電池の中でも、特に直接メタノール形燃料電池(DMFC)は、エネルギー密度の高いメタノールを燃料に用い、燃料の取り扱いも水素ガス燃料に比べて容易なことから、注目されている。
【0006】
DMFCは負極にメタノール、正極に空気(酸素)を供給して発電する。反応式は以下である。
負極: CHOH + HO → CO + 6H + 6e (1)
正極: 3/2O + 6H + 6e → 3HO (2)
(1)に示されるとおり、負極ではメタノールと水が反応するので、通常、負極にはメタノール水溶液が供給される。負極で発生するプロトンは、負極と正極の間にある高分子電解質膜を透過して、正極へ移動する。(2)に示されるとおり、正極に移動したプロトンは、正極に供給された酸素と反応して水を生成する。
【0007】
ここで、燃料電池各部の材質について概説しておく。通常、プロトンが透過する、高分子電解質膜にはNafion(登録商標)に代表されるパーフルオロスルホン酸樹脂が用いられている。負極にはメタノールを酸化させる白金とルテニウムからなる触媒が主に使われる。この触媒を固定するためと、酸化反応で生じたプロトンを運ぶために必要な電解質をバインダーとして使用し触媒層を形成する。カソードも同様に酸素還元触媒である白金に代表される触媒と電解質から構成される。通常、これらの正極および負極に用いられる電解質には、高分子電解質膜と同様のNafion(登録商標)などのパーフルオロスルホン酸樹脂が用いられる。
【0008】
上述のとおり、一般的なDMFCの負極ではメタノール水溶液が供給され、正極には水が生成する。そして、電解質材料として用いられる、パーフルオロスルホン酸樹脂は水やメタノールに膨潤しやすい性質を持っている。電解質材料であるパーフルオロスルホン酸樹脂が膨潤すると、電解質材料中の物質移動経路が拡がりおよび/または繋がり、プロトンやメタノール等の移動が容易になる。これにより、いわゆるクロスオーバーと呼ばれる現象が生じやすくなる。クロスオーバーとは、正極と負極間にメタノールの濃度勾配が生じることからメタノールが電解質膜を通過(移動)して正極に達する現象である。これにより、負極に供給したメタノールが正極に移動し、正極でメタノールの酸化が生じるために電池性能や発電効率が低下するという問題が生じる。
【0009】
このクロスオーバーを抑えるために、従来はメタノール濃度を1Mや2Mなどの低濃度に希釈して供給する必要があった。しかし、メタノールを低濃度に希釈した場合は体積エネルギー密度が著しく減少し、小型電子機器の電力を賄うことが出来なくなる。
【0010】
なお、クロスオーバーに関連して、正極ではフラッディングも生じやすくなる。フラッディングとは、水の凝縮による電極多孔性体が閉塞することをいう。正極での反応生成水も存在し、さらにクロスオーバーによって負極から正極にメタノールとともに水も高分子電解質膜を透過(移動)してくる。これらの透過水や生成水が凝縮し、正極が閉塞する(フラッディング)現象により、正極でのガス(酸素)拡散が阻害され電池出力が低下するという問題も生じている。
【0011】
そこで、エネルギー密度を減少させずにクロスオーバーやフラッディングを抑制するために、メタノールを蒸気で供給することが提案されている。しかしながら、その場合、負極で必要とされる水の供給をどのように行うかが問題となる。例えばWO2005/112172(特許文献1)ではメタノール透過膜を介してメタノール蒸気を供給し、正極には保湿層を設けることにより正極での生成水の外部への蒸散を低減し、正極の水分を負極より高くすることによって水の濃度勾配によって正極から負極へ水を逆拡散させて負極の反応に必要な水を確保している。さらに、負極のメタノール透過膜を保湿層として機能させることにより負極の保湿性も高めて電池出力を向上させることが出来たと記載されている。
【0012】
また、特開平9−213350号(特許登録番号第3588889号)(特許文献2)が、燃料に水素ガスを用いる固体高分子形燃料電池の空気極(正極)におけるフラッディング抑制について開示している。特許文献2に記載された固体高分子形燃料電池では、燃料極(負極)および空気極(正極)がフルオロカーボンスルホン酸型イオン交換樹脂で被覆されたガス拡散電極である。そこでは、燃料極(負極)のイオン交換樹脂のスルホン酸当量(EW)を空気極(正極)のイオン交換樹脂のEWより低くすることを特徴としている。ここで、スルホン酸当量(EW)とは、イオン交換樹脂のスルホン酸1mol当たりの分子量を意味する。一般に、イオン交換樹脂は、スルホン酸当量(EW)が低いほど、すなわちスルホン酸が多いほど、膨潤しやすく、水を含水しやすく、プロトン導電率および水素透過性が高い。つまり、特許文献2では、空気極(正極)のイオン交換樹脂のEWを高くすることにより、イオン交換樹脂の膨潤を少なくし、ガス拡散パスを確保して、フラッディングを抑制している。また、燃料極(負極)では、発電時に電気浸透水が燃料極(負極)から空気極(正極)へ移動し、イオン交換樹脂が脱水されて高抵抗化する傾向にあるが、燃料極(負極)のイオン交換樹脂のEWを低くすることにより、含水率が高く、脱水とそれに伴う高抵抗化を回避できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】国際公開WO2005/112172号
【特許文献2】特開平9−213350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
気相式DMFCでは、高濃度のメタノールを使用できる。しかしながら、気相でメタノールを供給するため、電解質膜が乾燥しやすいという問題、負極反応に必要な水が不足しやすいという問題が生じる。
【0015】
この問題に対して、特許文献1では正極を保湿することにより、正極から負極へ水の逆拡散を生じ、クロスオーバーおよびフラッディングを抑制しようとしている。しかしながら、特許文献1では、負極を保湿するための材料について詳細は記載されていない。固体高分子形燃料電池向けで一般に入手できるものとして、Dupont社のNafion(登録商標)溶液や旭硝子社のフレミオン(登録商標)溶液が挙げられる。これらのEWは900〜1100程度である。負極の保湿のために、この程度のEWの材料を用いても、含水率が十分ではなく、したがって負極の水分量が十分ではなく、高い電流密度を得ることが出来ない。
【0016】
特許文献2は、負極の低EWイオン交換樹脂、すなわち高含水率の樹脂を用いて、負極の脱水(乾燥)を抑制するとある。しかしながら、特許文献2は、燃料に水素ガスを用いることを前提にしており、メタノールを燃料とした場合には、樹脂に含水した水とメタノールが水溶液となり、メタノール濃度差(メタノールは負極側で富であり、正極側では希薄)によるメタノール水溶液のクロスオーバーの問題は避けられない。一方、正極は、負極よりも高いEWを有するイオン交換樹脂を用いており、すなわち、負極の方が含水しやすい傾向にあり、このため正極で生成された水が正極から負極へ逆拡散することも考えられる。しかしながら、正極はフラッディングを抑制するために、EWを1000以上としている。このEWでは生成水の吸湿または吸水が不十分であり、この正極のイオン交換樹脂は、負極まで生成水を逆拡散する経路となりえない。
【0017】
本願発明の課題は、上記の問題を解決し、エネルギー密度を低下することなく、クロスオーバー、フラッディングを抑制することのできる、固体高分子形燃料電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明によると、以下が提供される。
(1) 燃料を酸化する負極と、酸素を還元する正極と、該負極と該正極の間に配置された電解質膜とを含んでなり、該負極がスルホン酸当量(EW)815以下のパーフルオロスルホン酸系イオン交換樹脂を含有する負極触媒層を含むことを特徴とする、固体高分子形燃料電池。
(2) 該正極が、EW1100以下のパーフルオロスルホン酸系イオン交換樹脂を含有する正極触媒層を含む、(1)に記載の固体高分子形燃料電池。
(3) 該負極触媒層中のパーフルオロスルホン酸系イオン交換樹脂のEWが該正極触媒層中のパーフルオロスルホン酸系イオン交換樹脂のEWより小さい、(1)または(2)に記載の固体高分子形燃料電池。
(4) 該負極触媒層中のパーフルオロスルホン酸系イオン交換樹脂のEWが700以下である、(1)〜(3)のいずれかに記載の固体高分子形燃料電池。
(5) 該正極触媒層中のパーフルオロスルホン酸系イオン交換樹脂のEWが920以下である、(1)〜(4)のいずれかに記載の固体高分子形燃料電池。
(6) 該燃料が、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ジメチルエーテル、ギ酸およびそれらの水溶液、ならびに水素化ホウ素ナトリウム水溶液、水素化ホウ素カリウム水溶液および水素化ホウ素リチウム水溶液からなる群より選ばれた少なくとも1種の液体燃料である、(1)〜(5)のいずれかに記載の固体高分子形燃料電池。
(7) 該負極触媒層へ該燃料を気相で供給する、(1)〜(6)のいずれかに記載の固体高分子形燃料電池。
【発明の効果】
【0019】
本願発明により、エネルギー密度を低下することなく、クロスオーバー、フラッディングを抑制することのできる、固体高分子形燃料電池を提供することができる。本発明で規定した、電極触媒層のイオン交換樹脂のEWでは、正極での反応で生成した水を正極のイオン交換樹脂が吸水し、その水が負極に移動することによって反応が潤滑に進む。特に、負極のEWを正極のEWより小さくすると水の逆拡散がより促進され効果的である。これにより、気相式DMFCにおいては反応で生成する水を効率よくアノードに逆拡散させて反応に再利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】固体高分子形燃料電池の概略断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の固体高分子形燃料電池は、燃料を酸化する負極と、酸素を還元する正極と、該負極と該正極の間に配置された電解質膜とを含んでなる。その負極側を燃料ガスに、正極側を酸化剤ガス(空気等)に暴露し、高分子電解質膜を介した化学反応により水を合成し、これによって生じる反応エネルギーを電気的に取り出す。
【0022】
本発明による負極および正極は、一般に、ガス拡散層と、上記電解質膜に接する触媒層とを含む。
【0023】
触媒層は、触媒粒子とイオン交換樹脂を含む。触媒は、通常、触媒粒子または触媒粒子を担持した導電材からなる。触媒粒子としては、燃料の酸化反応あるいは酸素の還元反応に触媒作用を有するものであればよく、白金(Pt)その他の貴金属のほか、鉄、クロム、ニッケル等、およびこれらの合金を用いることができる。導電材としては炭素系粒子、例えばカーボンブラック、活性炭、黒鉛等が好適であり、特に微粉末状粒子が好適に用いられる。代表的には、表面積20m/g以上のカーボンブラック粒子に、貴金属粒子、例えばPt粒子またはPtと他の金属との合金粒子を担持したものがある。特に、負極用触媒については、Ptは一酸化炭素(CO)の被毒に弱いため、メタノールのように副反応でCOを生成する燃料、またはメタン等を改質したガスを使用する場合には、Ptとルテニウム(Ru)との合金粒子を用いることが好ましい。触媒層中に含まれる触媒量は、一般に0.01〜20mg/cmの範囲内にあればよいが、特に負極については1.0〜14mg/cmの範囲内に、また正極については0.3〜6mg/cmの範囲内にあることが好適である。触媒層の厚さは、一般に1〜500μmの範囲内にあればよいが、特に負極については50〜300μmの範囲内に、また正極については10〜150μmの範囲内にあることが好適である。
【0024】
触媒層中のイオン交換樹脂は、触媒を支持し、触媒層を形成するバインダーとなる材料であり、触媒によって生じたイオン等が移動するための通路を形成する役割をもつ。負極側ではメタノール等の液体燃料の蒸気、正極側では酸素や空気等の酸化剤ガスが触媒とできるだけ多く接触することができるように、触媒層は多孔性であることが好ましい。本発明では、このようなイオン交換樹脂として、パーフルオロスルホン酸系イオン交換樹脂を用いる。
【0025】
拡散層は、一般に、導電性および通気性を有する導電性多孔質体である。代表例として、カーボンペーパー、カーボン織布、カーボン不織布、カーボンフェルト等の通気性導電性基材にPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などで撥水処理を施したものが挙げられる。また、炭素系粒子とフッ素系樹脂から得られた多孔性シートを用いることもできる。例えば、カーボンブラックを、PTFEをバインダーとしてシート化して得られた多孔性シートを用いることができる。ガス拡散層の厚さは、一般に50〜500μm、好ましくは100〜350μmの範囲内にあることが好適である。
【0026】
負極と該正極の間に配置される電解質膜としては、プロトン(H)伝導性が高く、電子絶縁性であり、かつ、ガス不透過性であるものであれば、特に限定はされず、公知の高分子電解質膜であればよい。代表例として、含フッ素高分子を骨格とし、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、ホスホン基等の基を有する樹脂が挙げられる。高分子電解質膜の厚さは、抵抗に大きな影響を及ぼすため、電子絶縁性およびガス不透過性を損なわない限りにおいてより薄いものが求められ、具体的には、1〜200μm、好ましくは5〜140μmの範囲内に設定される。本発明における高分子電解質膜の材料は、全フッ素系高分子化合物に限定はされず、炭化水素系高分子化合物や無機高分子化合物との混合物、または高分子鎖内にC−H結合とC−F結合の両方を含む部分フッ素系高分子化合物であってもよい。炭化水素系高分子電解質の具体例として、スルホン酸基等の電解質基が導入されたポリアミド、ポリアセタール、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル系樹脂、ポリエステル、ポリスルホン、ポリエーテル等、およびこれらの誘導体(脂肪族炭化水素系高分子電解質)、スルホン酸基等の電解質基が導入されたポリスチレン、芳香環を有するポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート等、およびこれらの誘導体(部分芳香族炭化水素系高分子電解質)、スルホン酸基等の電解質基が導入されたポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド等、およびこれらの誘導体(全芳香族炭化水素系高分子電解質)等が挙げられる。部分フッ素系高分子電解質の具体例としては、スルホン酸基等の電解質基が導入されたポリスチレン−グラフト−エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、ポリスチレン−グラフト−ポリテトラフルオロエチレン等、およびこれらの誘導体が挙げられる。全フッ素系高分子電解質膜の具体例としては、側鎖にスルホン酸基を有するパーフルオロポリマーであるナフィオン(登録商標)膜(デュポン社製)、アシプレックス(登録商標)膜(旭化成社製)およびフレミオン(登録商標)膜(旭硝子社製)が挙げられる。また、無機高分子化合物としては、シロキサン系またはシラン系の、特にアルキルシロキサン系の有機珪素高分子化合物が好適であり、具体例としてポリジメチルシロキサン、γ‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0027】
拡散層と、触媒層と、電解質膜とを接合することにより膜電極接合体(MEA)を作製することができる。接合方法としては、電解質膜を損なうことなく接触抵抗が低い緻密な接合が達成されるものであれば、従来公知のいずれの方法でも採用することができる。接合に際しては、まず触媒層と拡散層を組み合わせて負極または正極を形成した後、これらを電解質膜に接合することができる。例えば、適当な溶媒を用いて触媒粒子とイオン交換樹脂を含む触媒層形成用コーティング液を調製して拡散層用シート材料に塗工することにより負極または正極を形成し、これらを電解質膜にホットプレスで接合することができる。また、触媒層を高分子電解質膜と組み合わせた後に、その触媒層側に拡散層を組み合わせてもよい。触媒層と高分子電解質膜とを組み合わせる際には、スクリーン印刷法、スプレー塗布法、デカール法等、従来公知の方法を採用すればよい。
【0028】
図1は、本発明で使用することができる固体高分子形燃料電池(単セル)の概略断面図である。この固体高分子形燃料電池は燃料室を備え、燃料、空気(酸素)の拡散ともに自然対流により供給を行うパッシブタイプである。燃料室と負極側集電板の間には延伸多孔質PTFE膜などの気化膜が設けてあり、燃料室に入れた燃料を蒸気で供給することができる。燃料気化の方法としては燃料を多孔体に吸水させ毛管現象を使って供給したりする方法もあり、その他の気化方法でも良い。集電板は導電性のTiやSUSなどの耐腐食性金属が主に使用される。これに直径約2mmの穴を規則的に多数設けた多孔板を用いてもよい。集電板は導電性で燃料ガスが透過できる孔が設けてあればその形態は問わない。集電板の厚さは、一般に10μm〜5mmの範囲にある。さらに、正極側集電体外部は空気に露出されており、乾燥しやすいことなどから延伸多孔質PTFEや不織布などの吸水・吸湿性繊維から成る保湿するための膜を配置してもよい。
【0029】
本発明による燃料電池は、その負極側に液体燃料を供給することができる。液体燃料としては、メタノール水溶液、エタノール水溶液、1−プロパノール水溶液、2−プロパノール水溶液、ジメチルエーテル水溶液、水素化ホウ素ナトリウム水溶液、水素化ホウ素カリウム水溶液、水素化ホウ素リチウム水溶液、ギ酸水溶液等が挙げられる。これらの水溶液における溶質濃度は、一般に2〜100質量%、好ましくは20〜100質量%、さらに好ましくは50〜100質量%の範囲内である。溶質濃度が2質量%未満では、燃料電池のエネルギー密度が低下し十分な出力を得られない。なお、本発明の理解を促すために燃料の例としてメタノール等を用いることがあるが、本発明において燃料は特にメタノール等に限定されない。
【0030】
本発明では、触媒層中のパーフルオロスルホン酸系イオン交換樹脂のスルホン酸当量(EW)を特定することを特徴とする。スルホン酸当量(EW)とは、本明細書において特に断りのない限り、電解質材料であるパーフルオロ酸系イオン交換樹脂のスルホン酸1mol当たりの分子量を意味する。一般に、イオン交換樹脂は、スルホン酸当量(EW)が低いほど、すなわちスルホン酸が多いほど、膨潤しやすく、水を含水しやすく、プロトン導電率および水素透過性が高い。
【0031】
本発明の負極触媒層中のパーフルオロスルホン酸系イオン交換樹脂のスルホン酸当量(EW)は815以下である。以下にその利点について説明する。
負極での燃料酸化反応には水が必要な場合がある。例えばメタノール酸化反応にはメタノールと等モルの水が必要である。従来の液系のメタノール水溶液を供給する場合は負極にメタノールと水が十分存在しているため反応が円滑に進むが、高濃度のメタノール溶液や気相のメタノールを負極に供給した場合、負極でのメタノール酸化反応に必要な水が不足する。特に、メタノールが気相で供給される場合は、イオン交換樹脂(触媒層中に含まれるものだけでなく、電解質膜に含まれるものも含む)が乾燥しやすいため、負極において水分不足となり、メタノール酸化反応が十分進まず、電池出力が低下する。
さらに、燃料電池は様々な環境での使用が想定され、また発電中は概して反応熱により燃料電池内部は周囲より温度が上昇する。それによって燃料電池内部が乾きやすくなる。イオン交換樹脂(触媒層中に含まれるものだけでなく、電解質膜に含まれるものも含む)に十分な水がないと、負極で発生したプロトン(H)が正極へ移動できず、抵抗が増し、出力が低下する。
そこで、負極の含水率が非常に重要になる。負極の含水率はイオン交換樹脂のEWによって制御できる。EW815以下のイオン交換樹脂は、従来使用されているイオン交換樹脂、例えばEW1100のnafion(登録商標)に比べて、含水率が高い。したがって、正極での酸素還元反応により生成した水が正極側から負極側へ逆拡散し、負極触媒層のイオン交換樹脂が含水する。これにより、三相界面においてメタノールと水が反応し発電が円滑に進む。また、負極触媒層および電解質膜の乾燥が抑制され、負極で発生したプロトン(H)の正極へ移動が円滑に進む。
さらに、正極で生成した水が負極へ移動しやすいので、正極でのフラッディングが緩和される。また、負極の低EW樹脂は含水率(保湿性)が高いので、負極に燃料ガスを供給するための加湿器を簡略化もしくは排除できる。なお、正極側に低EWのイオン交換樹脂を用いたときも同様に、空気側の加湿器を簡略化もしくは排除できる。
【0032】
正極は、EW1100以下のパーフルオロスルホン酸系イオン交換樹脂を含有する正極触媒層を含んでもよい。正極触媒層中のイオン交換樹脂のEWが1100を超えていると、イオン交換樹脂は含水率が低く、正極での生成水を十分に吸水できない。したがって、正極生成水が正極側から負極側への逆拡散が生じにくくなり、負極でのメタノール酸化反応に必要な水を保持できず出力が大幅に低下する。結果として電池性能が低下する。
【0033】
該負極触媒層中のパーフルオロスルホン酸系イオン交換樹脂のEWが該正極触媒層中のパーフルオロスルホン酸系イオン交換樹脂のEWより小さくてもよい。すなわち、負極と正極のイオン交換樹脂の間にEWの勾配が生じる。これにより、負極のイオン交換樹脂の含水率が、正極のイオン交換樹脂の含水率より高くなる。すなわち、負極と正極のイオン交換樹脂の間に含水率の勾配が生じる。含水率の勾配があることによって、正極のイオン交換樹脂が吸収した水が、負極のイオン交換樹脂へ逆拡散しやすくなる。このEW勾配の差は0〜300が好ましく、より好ましくは100〜250である。EWが本発明の範囲であれば、EW勾配が0でも反応は進むが、EW勾配が大きい方が水の逆拡散が進みやすい。しかし、EW勾配を大きくしていくと、正極イオン交換樹脂のEWが高くなり、その含水率が低下し、生成水を吸水・吸湿し難くなるので、逆拡散が減少し発電性能が低下する。負極のイオン交換樹脂のEW、正極のイオン交換樹脂のEWともに、本発明の範囲であれば、両EWが同じ場合も十分高い出力を得ることはできるが、EWの勾配が無い場合、両者の含水率は均一となる。この場合、正極側から負極側への水の逆拡散の駆動力は、水の濃度勾配だけである。この水の濃度勾配は、負極ではメタノール酸化反応により水が消費され、正極では酸素の還元によって水が生成されることに起因する。
【0034】
負極触媒層中のパーフルオロスルホン酸系イオン交換樹脂のEWが700以下であってもよい。負極触媒層中にEW700以下のイオン交換樹脂を使うと、更にイオン交換樹脂の含水率が向上し、負極でのメタノール酸化反応が促進される。
【0035】
正極触媒層中のパーフルオロスルホン酸系イオン交換樹脂のEWが920以下であってもよい。正極のイオン交換樹脂のEWを920以下にすることにより、正極のイオン交換樹脂の含水率が向上し、負極のイオン交換樹脂への生成水の逆拡散が促進され、電池性能が向上する。ただし、正極のイオン交換樹脂のEWを700まで下げると、正極EW920のときに比べて、電池性能が若干低下する。この理由としては、負極と正極のEW勾配(正極EW値−負極EW値)が小さくなり、負極と正極の含水率の差が小さくなることに起因する。含水率差の勾配が小さくなると、正極のイオン交換樹脂が吸収した水が負極のイオン交換樹脂へ逆拡散しにくくなる。場合によっては、負極EWの方が正極EWより大きくなり、負極の含水率が正極の含水率より小さくなることもある。この場合、さらに、正極から負極への水の逆拡散は難しくなる。
【0036】
特に、負極触媒層にはEW700以下、正極触媒層にはEW920以下のイオン交換樹脂を採用することによって、気体の燃料を供給したときに高い電池出力を得ることができる。
【0037】
本発明では、負極触媒層へ燃料を気相で供給してもよい。本発明による固体高分子形燃料電池では、気相の燃料を負極に供給しても、負極での乾燥が生じず、高い電池出力を保つことができる。
【0038】
所望のEWのパーフルオロスルホン酸系イオン交換樹脂は、市販されているものを利用してもよい。あるいは、所望のEWのパーフルオロスルホン酸系イオン交換樹脂は、以下の手順により作製してもよい。所要量の脱イオン水、パーフルオロオクタン酸アンモニウム塩水溶液、CF=CF−O−CFCF(CF)−O−CFCFSOFモノマー、パーフルオロ炭化水素を混合して、水系ミニエマルジョンを調製する。水系ミニエマルジョンをテトラフルオロエチレンガスによってパージする。その後、攪拌しながら、水系ミニエマルジョンにアンモニウムパーサルフェイトおよび脱イオン水を加えて、反応混合液(分散体)を得る。得られた分散液を冷凍することによってエマルジョンを破壊し、ポリマーを凝集させる。解凍後、ポリマー凝集物(ポリマースポンジ)を濾過して回収し、水洗し、細かく切断する。再度、水洗し、空気中に放置してある程度乾かした後、窒素パージした真空オーブンに入れて乾燥し、前駆体ポリマーを得る。水酸化カリウムとジメチルスルホキシドを溶解した水溶液中に前駆体ポリマーを入れ、攪拌してアルカリ加水分解処理を行った。加水分解したポリマーを濾過して回収し、塩酸中で攪拌した後、イオン交換水で水洗、乾燥することにより、所望のEWのパーフルオロスルホン酸系イオン交換樹脂を得る。所望のEWに応じて、適宜反応条件は調整される。
【実施例】
【0039】
本実施例では、触媒層中のバインダーであるイオン交換樹脂のEWを変化させた固体高分子形燃料電池を作製し、それらの発電試験を行った。また、本発明との比較のために、比較例の固体高分子形燃料電池を作製し、それらの発電試験も行った。本発明は本実施例を用いて具体的に説明されるが、本発明は本実施例に何ら限定されるものではない。
【0040】
本発明で使用した固体高分子形燃料電池は、拡散層、負極、正極、電解質膜、集電体、気化膜を組み合わせて、作製した。各部分について、以下説明する。
【0041】
(拡散層)
カーボンペーパー(東レ製、型番TGP−H−060)を、PTFEディスパーション(ダイキン製、D1E、PTFE含有量60質量%)を水で5倍に希釈した液に浸漬して90℃のオーブンで乾燥させた後、350℃で2時間焼成することによって、撥水処理した。
【0042】
負極として、EWの異なる4種類のものを用意した。
(負極1)
カーボン担持白金ルテニウム触媒(田中貴金属工業製、TEC61E54DM:白金・ルテニウム(PtRu)担持量50質量%)5gを、Dupon社製のNafion溶液(EW=1100)に、上記触媒のカーボン量の上記電解質に対する質量比が1.2になるように混合することにより混合インクを調製した。その混合インクを、上記拡散層に塗布し乾燥させることにより、触媒貴金属量3mg/cmの負極を形成した。
(負極2)
前記負極1のイオン交換樹脂に旭硝子社製のフレミオン溶液(EW=920)を用い、負極1と同様の方法で負極2を作製した。
(負極3)
前記負極1イオン交換樹脂にパーフルオロスルホン酸溶液(EW=815)を用い、負極1と同様の方法で負極3を作製した。EW=815のパーフルオロスルホン酸樹脂は、特開2007−257884の実施例に記載されているイオン交換樹脂Bの作成法に準じて、その反応条件を調整することにより合成した。
(負極4)
前記負極1のイオン交換樹脂にパーフルオロスルホン酸溶液(EW=700)を用い、負極1と同様の方法で負極4を作製した。EW=700のパーフルオロスルホン酸樹脂は、特開2007−257884の実施例に記載されているイオン交換樹脂Bの作成法に準じて、その反応条件を調整することにより合成した。
【0043】
正極として、EWの異なる5種類のものを用意した。
(正極1)
カーボン担持白金触媒(エヌイーケムキャット社製、SA50BK:白金担持量50質量%)5gを、Dupon社製のNafion溶液(EW=1100)に上記触媒のカーボン量の上記電解質に対する質量比が1.0になるように混合することにより混合インクを調製した。その混合インクを、前記拡散層に塗布し乾燥させることにより、触媒貴金属量1.3mg/cmの正極を形成した。
(正極2)
前記正極1のイオン交換樹脂に旭硝子社製のフレミオン溶液(EW=920)を用い、正極1と同様の方法で正極2を作製した。
(正極3)
前記正極1のイオン交換樹脂にパーフルオロスルホン酸溶液(EW=815)を用い、正極1と同様の方法で正極3を作製した。EW=815のパーフルオロスルホン酸樹脂は、特開2007−257884の実施例に記載されているイオン交換樹脂Bの作成法に準じて、その反応条件を調整することにより合成した。
(正極4)
前記正極1のイオン交換樹脂にパーフルオロスルホン酸溶液(EW=700)を用い、正極1と同様の方法で正極4を作製した。EW=700のパーフルオロスルホン酸樹脂は、特開2007−257884の実施例に記載されているイオン交換樹脂Bの作成法に準じて、その反応条件を調整することにより合成した。
(正極5)
前記正極1のイオン交換樹脂にDupon社製のNafion溶液(EW=1000)を用い、正極1と同様の方法で正極5を作製した。
【0044】
(電解質膜)
高分子電解質膜として大きさ5×5cm、厚さ30μmのイオン交換膜GORE−SELECT(登録商標)(ジャパンゴアテックス社製)を用意した。その電解質膜片面に上記いずれかの負極を、その反対面に上記いずれかの正極をそれぞれ配置し、ホットプレスで熱圧(160℃、1MPa、5分間)を加えて積層し、MEAを作製した。
【0045】
(集電体)
集電体としてチタン(Ti)製多孔板(大きさ5×5cm、厚さ2mm、空隙率70%)を用意し、これを上記MEAの負極および正極に接するように配置した。
【0046】
(気化膜)
メタノール水溶液を燃料とした場合の気化膜として、撥油性の延伸多孔質PTFE(厚さ160μm、ジャパンゴアテックス製 ベントフィルター膜)を用意し、これを負極側の集電体に接するように配置した。図1は、本発明の例で用いた固体高分子形燃料電池の概略断面図を示す。
【0047】
上記の固体高分子形燃料電池において、異なるEWのイオン交換樹脂を含む負極および正極を組み合わせて、本発明の実施例および比較例とした。
(比較例1)
負極1(EW1100)と正極1(EW1100)の組み合わせの固体高分子形燃料電池を作製し、発電試験を行った。
(比較例2)
負極2(EW920)と正極2(EW920)の組み合わせの固体高分子形燃料電池を作製し、発電試験を行った。
(実施例1)
負極3(EW815)と正極3(EW815)の組み合わせの固体高分子形燃料電池を作製し、発電試験を行った。
(実施例2)
負極4(EW700)と正極4(EW700)の組み合わせの固体高分子形燃料電池を作製し、発電試験を行った。
(実施例3)
負極5(EW700)と正極3(EW815)の組み合わせの固体高分子形燃料電池を作製し、発電試験を行った。
(実施例4)
負極3(EW815)と正極4(EW700)の組み合わせの固体高分子形燃料電池を作製し、発電試験を行った。
(実施例5)
負極4(EW700)と正極2(EW920)の組み合わせの固体高分子形燃料電池を作製し、発電試験を行った。
(実施例6)
負極4(EW700)と正極5(EW1000)の組み合わせの固体高分子形燃料電池を作製し、発電試験を行った。
(実施例7)
負極4(EW700)と正極1(EW1100)の組み合わせの固体高分子形燃料電池を作製し、発電試験を行った。
【0048】
(発電試験)
上記で用意した固体高分子形燃料電池のそれぞれについて、発電試験を行った。本発明の図1に示した、燃料室に50wt%メタノール水溶液を6mL充填した。次いで、2分間開放起電力(OCV)で保持し、さらに40mA/cmの一定電流にて15分間保持した。その後、電圧を開放電圧から0.1Vまで掃引してIV曲線を取得した。この掃引手順を、3回繰り返し、その平均値として最高出力(mW/cm)を算出した。
【0049】
(発電試験の結果)
上記比較例と実施例の試験結果を表1にまとめた。
比較例1は50質量%メタノール水溶液を気化供給して試験した場合24mW/cmという出力が得られた。比較例2においては負極、正極ともにEWが1100から920に下がったので含水率が増し、出力は向上し、28.1mW/cmという出力が得られた。
それに対して実施例1〜4においては比較例1、2に比べてさらに出力が向上した。実施例1においては34.7mW/cmという出力が得られ、負極および正極のEWを下げたことによる効果が確認できた。そのうえ実施例2においては48.3mW/cmという出力が得られ、負極および正極のEWを700に下げたことによりさらに出力が伸びた。
負極と正極のEW勾配の効果は実施例3と実施例4で確認できた。メタノールの酸化反応に水が必要な負極のEWが700で、酸素の還元反応により水を生成する正極のEWが815として、EWに勾配をつけた比較例3の結果は、61.6mW/cmという出力が得られた。その逆の比較例4においては41.1mW/cmという出力が得られた。これより、負極のEWが正極のEWより低いことにより水の逆拡散が促進され負極でのメタノール酸化反応が促進することがわかった。
そこで、負極のバインダー(イオン交換樹脂)のEWを700に固定し、正極のバインダー(イオン交換樹脂)のEWを920〜1100に変えた実施例5〜7の結果から、実施例5(正極EW920)が72.2mW/cmと最適な結果が得られた。よって、負極にEW700の樹脂を用いた場合は、カソードのEWが1000未満で特に高い性能が得られることがわかった。
【0050】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を酸化する負極と、酸素を還元する正極と、該負極と該正極の間に配置された電解質膜とを含んでなり、該負極がスルホン酸当量(EW)815以下のパーフルオロスルホン酸系イオン交換樹脂を含有する負極触媒層を含むことを特徴とする、固体高分子形燃料電池。
【請求項2】
該正極が、EW1100以下のパーフルオロスルホン酸系イオン交換樹脂を含有する正極触媒層を含む、請求項1に記載の固体高分子形燃料電池。
【請求項3】
該負極触媒層中のパーフルオロスルホン酸系イオン交換樹脂のEWが該正極触媒層中のパーフルオロスルホン酸系イオン交換樹脂のEWより小さい、請求項1または2に記載の固体高分子形燃料電池。
【請求項4】
該負極触媒層中のパーフルオロスルホン酸系イオン交換樹脂のEWが700以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体高分子形燃料電池。
【請求項5】
該正極触媒層中のパーフルオロスルホン酸系イオン交換樹脂のEWが920以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の固体高分子形燃料電池。
【請求項6】
該燃料が、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ジメチルエーテル、ギ酸およびそれらの水溶液、ならびに水素化ホウ素ナトリウム水溶液、水素化ホウ素カリウム水溶液および水素化ホウ素リチウム水溶液、からなる群より選ばれた少なくとも1種の液体燃料である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の固体高分子形燃料電池。
【請求項7】
該負極触媒層へ該燃料を気相で供給する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の固体高分子形燃料電池。

【図1】
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【公開番号】特開2011−29070(P2011−29070A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−175325(P2009−175325)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(000107387)ジャパンゴアテックス株式会社 (121)
【Fターム(参考)】