説明

固定クランプ

【課題】取り付け工程中に、より大幅に調整可能な骨固定クランプを提供する。
【解決手段】固定要素を用いて互いに隣り合う骨片を保持するための創外固定システムで用いられる固定クランプ10であって、少なくとも1つのクランプアセンブリ20,30と、このクランプアセンブリ20,30の位置を規定の角度位置にブロックするための、このクランプアセンブリ20,30を通って延びる少なくとも1つのロック要素40とを有し、クランプアセンブリ20,30は、少なくとも1つの収容部71,72を有し、収容部71,72の長手方向軸にそって固定要素を収容する固定クランプ10。ロック要素40と少なくとも1つのクランプアセンブリ20の間に、ワッシャ41が配置される。クランプアセンブリ20,30は、球面且つ凸状の第1の接触面80を有し、ワッシャ41は、球面且つ凹状の第2の接触面81を有し、第1の接触面80が第2の接触面81と接触する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定クランプ、及び、より具体的には、互いに隣り合う(adjacent)骨片を保持するための創外固定システムで使用する固定クランプに関する。
【背景技術】
【0002】
創外固定システムは、2つ以上の骨片を互いに連結するために広く用いられる。このようなシステムは、骨材料内に直接挿入される骨ねじ、ピン、ワイヤを含み、これらのシステムは固定ロッド、バー及びリング等の創外構造要素を使用する。ロッド及びバーを連結して剛性フレームを形成するために、固定クランプが用いられる。さらに、固定クランプは、特に骨片を目的とする場所で保持するため、このねじ及びピンを剛性フレームに連結するために使用される。
【0003】
1つの調整可能な固定クランプは特許文献1から公知であり、これはロッド並びにピンのクランプを可能にする二対の顎部を含む。
【0004】
特許文献2からは、顎部を一対だけ有する複数のロッド形要素用のクランプが公知である。このようなクランプは、2より多い、例えば3又は4個のピン等のロッド形要素をただ1つのクランプでクランプできるため、クランプの数を減らすことができる。しかしながら、前記クランプのロッドを固定システムのフレームに固定するには、さらに1つの固定クランプが必要となる。
【0005】
特許文献3は、例えば特許文献1から公知の通常の固定クランプでは、フレームにクランプできるのは、ねじ又はピン1つだけで、複数のピン又はロッドをこの方法で取り付けると、固定システムが嵩張ってしまうと述べる。そのため、特許文献3は、この問題に対処する固定クランプを開示し、二対の顎部を有し、この二対の各対の顎部が2つのロッド又はピン等の挿入及びクランプを同時に可能にする。
【0006】
これらの先行技術によるクランプは、寸法の異なるロッド、ピン又はワイヤを挿入するために、顎部によって提供される収容部の直径を違わせておくか、又は、例えば特許文献4に開示されるような、付加的なインサートに頼っている。このようなインサートは、収容部の空洞の直径を小さくし、寸法の異なるロッド、ピン又はワイヤを確実に固定できる。
【0007】
特許文献5からは、さらなる固定クランプが公知である。特許文献5による固定クランプに、使用者は非常に満足している。しかしながら、より簡単に洗浄でき、取り付け行程中にロッド又はピンの間の角度方向を補正することもできる固定クランプが必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】EP 0 700 664
【特許文献2】EP 1 627 609
【特許文献3】WO 2007/001945
【特許文献4】EP 1 661 523
【特許文献5】EP 2 250 968
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、従来技術の欠点を克服する固定クランプを提供することである。具体的には、本発明の目的は、取り付け工程中に、より大幅に(to a larger degree)調整可能な固定クランプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような目的は、請求項1の特徴により解決される。従って、固定クランプ、より具体的には、固定要素を用いて互いに隣り合う骨片を保持するための創外固定システムにおいて用いるための固定クランプであって、少なくとも1つのクランプアセンブリと、このクランプアセンブリの位置を規定の角度位置でブロックするためのクランプアセンブリを通って延びる少なくとも1つのロック要素とを有し、前記クランプアセンブリは、少なくとも1つの収容部を有し、この収容部の長手方向軸に沿って固定要素を収容し、前記ロック要素と前記少なくとも1つのクランプアセンブリの間にワッシャが配置される。クランプアセンブリは、少なくとも部分的に球面且つ凸状である第1の接触面を有し、前記ワッシャは、少なくとも部分的に球面且つ凹状である第2の接触面を有し、第1の接触面が第2の接触面と接触する。この球面で凸状及び凹状の面の配置により、より調節性の高い固定クランプを提供することができる。
【0011】
本発明のさらなる目的は、洗浄のために非常に簡単に取り外すことのできる固定クランプを提供することである。この目的は、前記ロック要素にほぼ垂直な方向に取り外すことのできる前記ワッシャによって達成される。
【0012】
特に、固定クランプは、取り外しが複雑であること、及び/又は、固定クランプの部品のすべてをバラバラにしなければならないことが避けられなければならない。この目的は、当接面によって達成される。穴は、接触面に向かって、好ましくは、第2の直径と境界を接する(adjoined by)第1の直径を有し、第1の直径は、第1の直径と第2の直径の間に当接面が設けられるように第2の直径より大きく、ワッシャが取り外された場合に、この当接面がロック要素、特にフランジのための当接要素として働く。
【0013】
本発明のさらなる実施形態は従属請求項に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の固定クランプの第1の実施形態の斜視図である。
【図2】図2は、図1の固定クランプの断面図である。
【図3】図3は、図1の固定クランプの上面図である。
【図4】図4は、図1の固定クランプで使用されるワッシャの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の好ましい実施形態を、図を参照して以下に述べるが、これらは、本発明の好ましい実施形態を例示するためのものであって、本発明を限定するためのものではない。
【0016】
図1及び2は、本発明によるクランプ要素又は固定クランプ10の好ましい第1の実施形態を示す。クランプ要素10は、第1のクランプアセンブリ20及び第2のクランプアセンブリ30、及びロック要素又はシャフト40から成り、このロック要素又はシャフトは、シャフト40の長手方向軸Mに沿う2つのクランプアセンブリ20,30内の穴21,31を通って配置される。シャフト40は好ましくは、クランプアセンブリ20及び30を閉じることができるように構成されるロック要素である。シャフト40はワッシャ41を通って第1の顎部11に入る。
【0017】
シャフト40は、ヘッド部分44、シャフト部分42が続く減径部分43、及びねじ山部分49を有する。外ねじ部分49は、遠位顎部11内の相補的な内ねじにねじ込まれるように構成され、その結果、シャフト40のヘッドを回すと下側の顎部11に対するシャフト40の長手方向部分が変わり、これによって、2つのクランプアセンブリ20及び30の間に設けられるバネ15の力に反してクランプ10全体を開閉することができる。前記バネ15は、好ましくは、顎部12内の対応する収容部16に配置される。シャフト40の周りに設けたバネ15の代わりに、皿ばね(Belleville washer)等の異なるバネ手段、又は弾性圧縮性の固体又は発泡体を設けることもできる。クランプアセンブリ20及び30を閉鎖すると、バネ15に隣接する顎部12同士が最終的に接触し、両顎部12の面に設けられる両回転防止面55が、各クランプアセンブリ20及び30の角度方向を他方に対し固定できる。
【0018】
好ましくは、下側顎部11内のねじ山49を用いてシャフト40を取り付けた後は、クランプを1つの部品として維持するために、シャフト40のクランプアセンブリ20,30からの取り外しが確実にできないようにするため、ねじ山49の端部は圧力によって破壊される。
【0019】
各クランプアセンブリ20又は30は、2つの向かい合うクランプ顎部11及び12を有する。これらの顎部11及び12は、互いと向き合う側は実質的に同じ形状をしている。顎部12,11のそれぞれは、相手側の顎部11,12の面に向いている接触面18,19をそれぞれ有する。
【0020】
顎部11及び顎部12の間の回転を阻止するため、並びに顎部11,12の不整合を防ぐため、面18,19上に少なくとも1つの方向付け装置13,14が配置される。本実施形態では、第2のクランプアセンブリ30において、顎部11が面18内に延びる開口部14を有し、顎部12が面19から延びるピン13を有する。ピン13は開口部14内に延びる。従って、このピン−穴式接続により、顎部11,12間の起こり得る回転と、顎部11,12間の起こり得る不整合が阻止される。
【0021】
ここでは、顎部11及び12に3つの溝51,52及び53が設けられる。溝51,52及び53は、全て、シャフト40の長手方向軸に垂直な同一平面に設けられる。この平面において、これらの溝は、穴21又は31の中心から半径方向に対して垂直に向いている。このように(as such)、溝51,52及び53は、顎部11及び12からなる各対の外側壁61,62又は63にほぼ平行である。
【0022】
各顎部11及び12において、溝51,52又は53の各対はそれぞれ、1つの収容部、つまり、第1の収容部71、第2の収容部72及び第3の収容部73を画定する。溝51,52及び53はそれぞれ、断面が丸い半球の凹所として形成され、クランプが閉じられた場合に、規定の直径を有する円筒形のピン又はロッドを収容する収容部71,72及び73を提供する。このようなピン又はロッド100を対応する収容部内へより簡単に挟むことができるように、外側壁61,62又は63は、斜めになった摺動面を有してもよい。溝51,52,53は、断面が丸い半球の凹所を形成するように求められる(called to)。このことは、溝51,52,53によって提供される凹所が、ロッド形の要素を収容するために、中空の円筒形であることを意味する。溝51,52及び53のいくつか又は全てには、リブ56のような摩擦増強要素も設けられる。
【0023】
3つの溝51,52及び53の全ては異なる寸法を有するため、対応する収容部71,72及び73は、3つの異なる寸法を有する。言い換えれば、各収容部71,72又は73は、異なる固定要素、つまり、異なる直径を有するロッド、ねじ、ピン又はワイヤを受け入れるように構成される。第1のクランプアセンブリ20の1つの好ましい実施形態は、それぞれ12mm、8mm及び5mmの直径を有する固定要素を受け入れるための溝を有する。異なる実施形態では、それぞれ8mm、6mm及び4mmの一連の直径を有してもよい。
【0024】
図1の実施形態による第2のクランプアセンブリ30もまた、2つの顎部11及び12を有し、これらが3つの溝51,52,53を有する。これらの溝51,52,53もまた、一連の異なる寸法を持つ。この実施例では、内側の顎部12は、とりわけ回転防止装置55、バネ15用の収容部16に関して、外側の顎部11と同一の構造を有する。
【0025】
好ましい実施形態において、第1のクランプアセンブリ20が、例えば7mm、5mm及び3mm、又は6mm、5mm及び4mmといった一連のより小さな寸法を有してもよく、第2のクランプアセンブリ30が、例えば13.5mm、12mm及び10mmといった一連のより大きな寸法を有してもよい。このようなクランプ10内では、通常、2mm径のワイヤに始まり、30mmの直径を有するより太いロッドまで、異なる寸法の使用が可能である。このようなクランプ10により、万能クランプ1つだけを用いることが可能となり、この場合、第1のクランプアセンブリ20が、収容部71,72又は73の1つに適応される直径を有する特定のピン又はねじ又はワイヤを固定するために使用される。使用者はクランプ10を手に取り、第1のクランプアセンブリ20を、方向を正しく位置合わせすることによって、ピン又はねじを対応する収容部内に挟むことができる。
【0026】
その後、クランプ10を第2のクランプアセンブリ30を用いて、創外固定器のロッドにクランプすることができる。前記第2のクランプアセンブリ30を幾分(in a way)方向付けることができるため、ロッドを対応する収容部内に挟むことができる。本発明の2つのクランプアセンブリ20及び30を有するクランプ10の利点は、1つのクランプアセンブリ20を用いてこのようなクランプを骨ねじに取り付け、その後、もう一方のクランプアセンブリ30に創外固定器のロッドを取り付ける施術者が、自分の創外固定器の頑健性をチェックでき、施術者が使用したロッドのかたさ(stiff)が十分でないと分かれば、第2のクランプアセンブリ30を開けて、より細いロッドを取り除き、第2のクランプアセンブリ30を長手方向軸の周りに例えば60度一方向又は他方向に回して、より大きい収容部を新しいより太いロッドで調整してこれに置き換えるだけでよいことである。この取り換えは、先行技術のシステムには必要であった、クランプ10自体の置き換えを必要としない。このようなロッドを置き換える方法は、骨ねじのクランプを変えないためより迅速且つより確実であり、当該時点で、第2の殺菌したクランプの使用が避けられる。
【0027】
もちろん、第2のクランプアセンブリ30は、従来のクランプアセンブリ、又はクランプ要素を有する先行技術で公知の他のいずれの要素であってもよい。3つの異なる寸法のねじ、ピン又はワイヤの1つを、第1のクランプアセンブリ20の簡単な再配向(reorientation)によりクランプすることができるため、万能クランプアセンブリとしての目的は、第1のクランプアセンブリ20ひとつによって既に達成されている。
【0028】
図2は、図1のクランプの断面図であり、クランプ10が取り付け前の状態を示し、すなわち、バネ15に張力がかかっている。従って、第1のクランプアセンブリ20の上側の顎部11は、シャフト40のヘッドのフランジ45に対し、ワッシャ41を押している。シャフト部分42の一部と減径部分43を収容する穴21には、シャフト40の各直径より大きな直径が与えられており、そのため、シャフト40に対する第1のクランプアセンブリ20の角運動又は旋回運動が可能となる。このことは、固定クランプの取り付け工程時、特に有利である。これに関し、第2のクランプアセンブリの顎部12がシャフト40に対し旋回可能となるように、穴31にもシャフト40の各部分より大きな直径を与えることができる点に留意しなければならない。
【0029】
第1のクランプアセンブリ20の穴21の直径D1,D2は、穴21を通って延びるロック要素40の直径より大きい。これにより、クランプアセンブリ20,30、及びピン又はロッドを配置する間、ロック要素40と第1のクランプアセンブリ20との間の旋回運動又は移動が可能となる。本実施形態においては、第1の顎部11内の穴21は当接面86を有する穴21である。この当接面86は、第1の直径D1を有する第1の部分と、第2の直径D2を有する第2の部分とを有する階段状の穴21によって提供される。第1の直径D1は第2の直径D2より大きい。当接面86は、ワッシャ41が取り外された場合に、ロック要素40、特にフランジ45のための当接要素として働く。従って、ワッシャが取り外されたとき、当接面86はフランジ45とともに、第1のクランプアセンブリ20が第2のクランプアセンブリ30から分離されることを防ぐ。特に、洗浄又は殺菌工程中に、このような分離が防止されることは非常に有利である。
【0030】
あるいは、第1のクランプアセンブリの顎部12の穴21で示されるように、穴21に円錐部分32を設けることができる。本実施形態では、2つの円錐部分が配置されており、これにより、穴21の直径は、顎部12の外側から見て、穴の長さが増すにつれて減少する。円錐部分32が2つある場合、旋回運動の程度(degree)を増やすことができる。
【0031】
ロック要素の一部であるシャフト40は、第2のクランプアセンブリ30の下側の顎部11にねじ込まれる。従って、下側の顎部11はねじ山付き開口部を有する。ねじ切りは穴の中に設けられてもよいし、又はねじがセルフタッピングねじ切りであってもよい。かなり一般的に(quite generally)、ロック要素が設けられてもよく、ロック要素は、レバーロック要素又はバヨネットロックであってもよい。これらのロック要素の間に、支持ディスク又は歯付きディスクがあってもよいが、簡単のため図には示さない。
【0032】
従って、2つのクランプアセンブリ20,30は、シャフト40のヘッドを回して、故にこのシャフト40を顎部ねじ山に回し入れることによって、開閉することができる。
【0033】
図2の断面図では、ロック要素40が第1のクランプアセンブリ20を通って延び、ねじ山付き部分49によって第2のクランプアセンブリ30と接触することも分かる。ロッド又はピンを収容部71,72,73内に配置しようとする取り付けポジションでは、第1のクランプアセンブリ20は、ねじ山付き部分49の中心軸Mに沿って移動可能である。ロック要素40を作動させると、第1のクランプアセンブリ20が第2のクランプアセンブリ30の方へバネ圧に対抗して動かされ、第1のクランプアセンブリ20の回転防止面55が、第2のクランプアセンブリ30の回転防止面55と接触するようになる。一旦、ロック要素40がしっかりと締め付けられると、第1のクランプアセンブリ20及び第2のクランプアセンブリ30は、回転防止面55を介して互いと接触する。
【0034】
図2は、クランプアセンブリ20,30の取り付けポジションを示す。この場合、クランプアセンブリ20,30は、中心軸Mに関して、互いに対し距離をおいて配置される。第2のクランプアセンブリ20はロック要素40と接触し、バネ15は、第1のクランプアセンブリを、第2のクランプアセンブリ20から離れロック要素のフランジ45と接触するワッシャ41の方に押す。
【0035】
まとめると、クランプアセンブリ20,30は、ロック要素40の作動により、取り付けポジションからロックポジションへ、その後固定が解除されると、ロックポジションから取り付けポジションへと動かされる。使用後、さらなる使用のためにクランプ要素10を殺菌するため、以下に説明するように、ワッシャ41が取り外される。
【0036】
図3は、図1及び2のクランプを上から見た図である。図1の実施形態は3つの溝51,52及び53を有するため、3つの側壁61,62及び63があり、これらにより、上から見ると、図2でも同様に、各クランプアセンブリ20又は30は三角形となる。
【0037】
本実施形態において、第1のクランプアセンブリ20は、顎部11が、ワッシャ41の第2の接触面81と接触する第1の接触面80を有する。ワッシャ41及び第1のクランプアセンブリ20は、前記接触面80,81を介して接触する。この接触面80,81は、ロック要素40に対して第1のクランプアセンブリ20が上述の旋回運動に入ると、ワッシャ41が接触面80上を第1のクランプアセンブリ20に対して滑ることができるように、同じ曲率半径を有する球面である。この湾曲は、少なくとも、接触面80上でのワッシャ41の最大の滑り動きを網羅する面として画定される重なり面の上では同じである。
【0038】
本実施形態において、第1の接触面80は凸形状を有し、一方、第2の接触面81は凹形状を有する。このような形状は、軸方向及び半径方向の寸法に関して固定クランプの非常にコンパクトな構造を提供する一方で、上述の旋回運動を可能にするため、特に有利である。さらに、説明のような形の面により、以下で詳細に説明するワッシャ41を、クランプ要素10から取り外すことができる。これにより、第1のクランプアセンブリ20と第2のクランプアセンブリ30が緩められ、部品が中心軸Mに沿ってわずかに移動可能となり、クランプ要素10を完全に取り外さなくともクランプ要素10の殺菌が可能となる。これは、殺菌中、部品をともに保持し、殺菌後部品を再び組み立てる必要がないため、非常に有利である。それ故、クランプ要素10の部品は、個々の部品の間の隙間に殺菌液が入り込めるように、ともに緩く保持される。上述のように、直径D1及びD2を提供することによって、当接面86は、部品をともに緩く保持する要素として働く。
【0039】
第1のクランプアセンブリ20の第1の接触面80は、ロック要素40の中心軸Mと前記第1の接触面80との間の切片点(section point)82から、第1のクランプアセンブリ20の方へと延びる。
【0040】
図3は、クランプ要素を上から見た図である。図3では、限界端(limiting edge)54を有する重なり面を認識できる。
【0041】
図4は、斜視図でのワッシャ41を示し、図2には、ワッシャ41の断面図が示される。以下、ワッシャ41の構造について説明する。
【0042】
ワッシャ41は、上述のように、接触面81と、接触面81から距離を置いて配置される上面88を有する。中心軸M1を有する中央の貫通孔84は、側壁85によって少なくとも部分的に取り囲まれる。前記貫通孔は、接触面81から上面88へ延びる。前記貫通孔を通って、ロック要素40が延びる。
【0043】
側壁85は、側壁85が中断されるように、中心軸M1に対し半径方向に、側壁85を通り抜けて開口部84へと延びる切り欠き87により中断される。切り欠き87は、ロック要素40の減径部分43よりわずかに大きな幅を有し、クランプ要素10の使用後、ワッシャ41を取り外すために、ワッシャ41を、ロック要素40に対し半径方向に動かすことができる。この幅は、切り欠きを制限する側壁の面89からの切り欠き87の隙間として画定される。
【0044】
さらに、ワッシャ41は、接触面81の反対側に配置される上面88から、中心軸M1に沿って延びる凹所83を有する。凹所83は、ロック要素40のフランジ45を収容するように形成される。凹所83は、ワッシャがロック要素40の中心軸Mに対し半径方向に移動できないようにするため、当接要素として形成することもできる。ワッシャ41を取り外すためには、ロック要素40の中心軸Mに沿ってワッシャ41を動かすことができるように、第1のクランプアセンブリ10を第2のクランプアセンブリの方へ押す必要がある。一旦フランジ45を動かして、フランジ45と凹所83との間の連結がなくなると、ワッシャ41をロック要素40に対し半径方向に動かすことができ、これにより、ロック要素のシャフトがワッシャの切り欠き87を通る。
【0045】
前記凹所83は、上面88から貫通孔84の中心軸M1に沿ってワッシャ41内に延びる。
【0046】
ワッシャは、好ましくは、金属材料から作られる。
【0047】
まとめると、接触面80,81の配置には、固定クランプ10の取り付け工程中、第1のクランプアセンブリの大きな振れでの(with a large deflection)旋回運動が可能となる、という利点がある。さらに、取り外し可能なワッシャ41には、クランプアセンブリ20,30がインターロック要素40に沿って移動可能となり、効果的な殺菌が可能となる、という利点がある。
【符号の説明】
【0048】
10 固定クランプ
11 顎部
12 顎部
13 ピン
14 穴
15 バネ
16 収容部
18 接触面
19 接触面
20 第1のクランプアセンブリ
21 穴
30 第2のクランプアセンブリ
31 穴
32 円錐部分
40 シャフト、ロック要素
41 ワッシャ
42 シャフト部分
43 減径部分
44 ヘッド部分
45 フランジ
49 ねじ山付き部分
51 第1の溝
52 第2の溝
53 第3の溝
54 限界端
55 回転防止面
56 リブ
61 第1の側壁
62 第2の側壁
63 第3の側壁
71 第1の収容部
72 第2の収容部
73 第3の収容部
80 接触面
81 接触面
82 切片点
83 凹所
84 貫通孔
85 側壁
86 当接面
87 切り欠き
88 上面
89 面
D1 直径
D2 直径
M1 中心軸
M2 ワッシャの中心軸


【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定クランプ(10)、より具体的には、固定要素を用いて互いに隣り合う(adjacent)骨片を保持するための創外固定システムで用いられる固定クランプ(10)であって、
少なくとも1つのクランプアセンブリ(20,30)と、前記クランプアセンブリ(20,30)の位置を規定の角度位置にブロックするための前記クランプアセンブリ(20,30)を通って延びる少なくとも1つのロック要素(40)とを有し、
前記クランプアセンブリは、少なくとも1つの収容部(71,72,73)を有し、この収容部(71,72,73)の長手方向軸にそって固定要素を収容し、
前記ロック要素(40)と前記少なくとも1つのクランプアセンブリ(20)の間に、ワッシャ(41)が配置される固定クランプ(10)において、
前記クランプアセンブリ(20,30)が、球面且つ凸状である第1の接触面(80)を有し、前記ワッシャ(41)が、球面且つ凹状である第2の接触面(81)を有し、前記第1の接触面(80)は前記第2の接触面(81)と接触することを特徴とする固定クランプ(10)。
【請求項2】
前記ワッシャ(41)が、前記ロック要素(40)にほぼ垂直な方向に取り外すことができることを特徴とする、請求項1に記載の固定クランプ。
【請求項3】
前記クランプアセンブリ(20,30)の第1の接触面(80)が、前記ロック要素(40)の中心軸(M)と前記第1の接触面(80)との間の切片点(section point)(82)から、前記クランプアセンブリ(20,30)の方へ延びることを特徴とする、請求項1又は2に記載の固定クランプ。
【請求項4】
前記接触面(80,81)の曲率半径が、少なくとも、前記クランプアセンブリの第1の接触面(80)と前記ワッシャ(41)の前記第2の接触面(81)の間の重なり面に関して一定であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の固定クランプ。
【請求項5】
前記凹面(80)が前記凸面(81)と相補的であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の固定クランプ。
【請求項6】
前記ワッシャ(41)が、少なくとも部分的に側壁(85)によって取り囲まれる、中心軸(M1)を有する中央貫通孔(84)を有し、前記貫通孔(84)を通って前記ロック要素(40)が延びることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の固定クランプ。
【請求項7】
前記ロック要素(40)が、前記ワッシャ(41)と接触するフランジ(45)を有し、前記ワッシャ(41)が、好ましくは、少なくとも部分的に前記フランジ(45)を収容する凹所(83)を有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の固定クランプ。
【請求項8】
前記凹所(83)が、前記貫通孔(84)の中心軸(M1)に沿って、前記ワッシャ(41)内に延びることを特徴とする、請求項6に記載の固定クランプ。
【請求項9】
前記ワッシャが、前記ロック要素(40)の前記中心軸(M1)に対し実質的に半径方向に取り付け可能及び取り外し可能であるように、前記貫通孔(84)の前記中心軸(M1)に対し半径方向に前記側壁85を通り抜けて延びる切り欠き(87)を有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の固定クランプ。
【請求項10】
前記クランプアセンブリ(20,30)が穴(21,31)を有し、この穴を通って前記ロック要素(40)が延び、前記穴(21,31)は、前記クランプアセンブリ(20,30)及び/又は前記クランプアセンブリ(20,30)の一部が前記ロック要素(40)に対して旋回可能である各領域の前記ロック要素(40)の直径より大きい直径(D1)を有し、及び/又は、前記穴(31)は、前記クランプアセンブリ(20,30)が前記ロック要素(40)に対して旋回できるように、少なくとも1つの円錐部分(32)を有することを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の固定クランプ。
【請求項11】
前記穴(21)が、少なくとも部分的に、前記ロック要素(40)の前記フランジ(45)の直径より小さい直径(D2)を有することを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の固定クランプ。
【請求項12】
前記穴(21)が、前記接触面(80)の方に、第2の直径(D2)と境界を接する(adjoined by)第1の直径(D1)を有し、この第1の直径(D1)は、前記第1の及び前記第2の直径(D1,D2)の間に当接面(86)が設けられるように、前記第2の直径より大きく、前記ワッシャ(41)が取り外される場合、この当接面(86)が前記ロック要素(40)、特にフランジ(45)のための当接要素として働くことを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の固定クランプ。
【請求項13】
各クランプアセンブリ(20,30)が2つの顎部(11,12)を有し、各顎部(11,12)が、対応する顎部(12,11)とともに前記凹所(71,72,73)を形成するために複数の溝(51,52,53)を有し、及び/又は、前記クランプアセンブリ(20,30)の間に、前記ロック要素(40)に沿って力を提供するバネ要素(15)が配置されることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の固定クランプ(10)。
【請求項14】
前記ロック要素に沿って見て、第1のクランプアセンブリ(20)に、少なくとも第2のクランプアセンブリ(30)が続き、前記ロック要素(30)が、ねじ山(49)により前記第2のクランプ要素(30)と接触し、前記ロック要素(40)が前記第1のクランプアセンブリ(20)を通って延び、前記バネ(15)が、前記第1のクランプアセンブリ(20)上に軸方向の力を提供して前記ワッシャ(41)に押しつけることを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載の固定クランプ(10)。
【請求項15】
前記ロック要素(40)が、前記ワッシャ(41)の前記切り欠き(87)より小さい直径を有するシャフト部分(43)を有することを特徴とする、請求項1〜14のいずれかに記載の固定クランプ(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−125578(P2012−125578A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−271930(P2011−271930)
【出願日】平成23年12月13日(2011.12.13)
【出願人】(505103253)ストリカー トラウマ エスエー (22)
【Fターム(参考)】