説明

固定器

本発明は、関節結合型のブレスレット(12a,12b)を備えた固定器(10)を開示する。各ブレスレットは、複数の列で配置された複数の構成部材を備えている。構成部材は、複数の列とされた構成部材を関節移動可能な態様であるいは固定された関係で互いに連結するための相補的連結手段を備えている。各ブレスレットの1つまたは複数の構成部材は、結合デバイス(16a,16b,16c,16d)の位置がブレスレットの周縁まわりにおいてあるいはそのブレスレットが取り付けられる手足の周縁まわりにおいて変更可能とされているようにして、結合デバイスの少なくとも一部を受領してその少なくとも一部に対して係合するための手段を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に骨折箇所の固定に適した非侵襲的な外部固定器に関するものである。本発明の格別の実施形態は、骨折部位に隣接した関節の動作または移動(movement)を可能とする外部固定器に関するものである。一方、ある種の実施形態は、骨折箇所の動作や延長(distraction)や低減化に有効な固定器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
骨折したときには、多くの場合、適切な治癒を可能とするために、骨の断片どうしを保持することが必要とされる。これが実行されない場合には、例えば不整列または不完全な治癒といったような問題が、発生し得る。
【0003】
骨折断片どうしを固定するための従来的な手段は、外部固定器である。外部固定器は、典型的には、骨折部位を跨って配置されるスチール製のまたは他の材料製のロッドとされる。ロッドは、複数のピンを使用して骨断片に対して固定される。ロッドは、体外に配置される。一方、複数のピンは、皮膚を貫通させて、骨内に固定される。この侵襲的な手法においては、手術を実施する。そのため、軟組織または骨が感染するというリスクがあり、さらに、手術に起因する複雑さというリスクがある。
【0004】
従来の外部固定器のさらなる欠点は、固定器が、例えば手首または足首といったような関節にわたって延在するところである。スチール製のまたは他の材料製のロッドは、関節移動するものではなく、そのため、関節の動作を妨げる。
【0005】
関節移動型の固定器は、公知である。しかしながら、これも、また、欠点を有している。固定器の関節移動が関節の軸線と同じ平面上にないことのために、固定器の関節移動を関節に対して位置合わせすることは、不可能でないとしても、困難なことである。公知の固定器では、関節の運動平面内において運動することができない。例えば、固定器の関節移動の位置は、骨内に埋設された複数のピンの位置に依存している。そして、それら複数のピンの位置は、限られた数の位置でしかない。さらに、公知の関節移動型の固定器は、また、骨折した関節が骨折状態へと動かされたときには骨折位置を妨害するという欠点を有している。特に、公知の固定器は、回転を含む様々な方向への移動を可能とする。これにより、骨折位置をスリップさせてしまう。
【0006】
特許文献1は、軟組織損傷の処置のための手首用添え木を開示している。手首用添え木は、手術後の添え木とされている、あるいは、手首(手根骨)の小さな骨の骨折処置時のものとされている。しかしながら、特許文献1における固定器は、本発明におけるような複数の列として配置された複数の部材からなるブレスレットを有していない。さらに、他の公知の固定器と同様に、特許文献1における固定器は、長尺の骨折を治療することには適していない。なぜなら、関節移動部材が、骨折部位のところ関節位置のところにないために、関節平面内における動作ができないからである。参考のためにここに組み入れられる特許文献2の開示も、また、固定器または添え木に関するものである。
【0007】
ある種の状況においては、例えば橈骨の骨折といったような状況においては、患者の親指が、スチール製ロッドと関節移動との間の適切な位置合わせを妨害してしまう。この問題は、例えばIlazarovといったようなリング状の外部固定器を使用することにより、ある程度は、対処される。しかしながら、そのような固定器は、多数のピンを侵襲的に配置することを必要とし、固定器を嵩高いものとするとともに、固定器の複雑さを増大させる。
【0008】
また、ギブスが公知である。ギブスの場合には、化学反応によって、包帯(フレキシブル)からギブス(剛直)へと、不可逆的に変化させる。これに対し、本発明は、適用時に非化学的であり機械的な手法を提供するものであり、可逆的な態様でもって、フレキシブルなものから剛直なものへと、調節することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】US 4,677,971
【特許文献2】WO 2006/120482
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、従来の固定器における上記の欠点および他の欠点を除去することまたは軽減することである。本発明のさらなる目的は、非侵襲的な外部固定器を提供することであって、骨折部位の近傍における関節の動作を可能とし得るとともに、骨折の低減化を可能として、骨折箇所の操作を補助し得るような、固定器を提供することである。本発明は、また、本発明の固定器のための結合デバイスを提供する。従来技術における結合デバイスは、ロッドまたはシリンダを、すなわち円筒形表面を、固定するのに使用されてきた。さらにまた、本発明は、固定器と一緒に使用するのに適した関節結合デバイス(あるいは、ヒンジ)に関するものである。ヒンジは、医療デバイスにおいて使用されてきた。しかしながら、これらのヒンジは、骨折箇所の固定器において使用するに際しては、制限を有している。これらのヒンジは、従来から、例えば金属といったような放射線不透過材料から形成されたものであり、そのため、放射線撮影(X線)時には、骨折に関する関心領域を隠してしまう。例えば、EP0676941や、EP0879032を参照されたい。X線写真上でこれらヒンジの回転中心を決定して、ヒンジの回転中心が関節の動作平面内にあるかどうかを確かめることは、非常に難しい。本発明は、視野内における欠点を克服することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、骨折または軟組織損傷を固定するための外部の非侵襲的な固定器を開示するものであり、本発明による固定器は、少なくとも2つの関節移動型のブレスレットを具備している。本発明は、また、そのような固定器における様々な構成部材に関するものであり、それら構成部材の様々な実施態様を含んでいる。本発明においては、関節移動型のブレスレット、結合デバイス、架橋デバイス、関節結合デバイス、および、係合解除デバイス、が開示される。これらのすべては、骨折または軟組織損傷を固定するための非侵襲的な固定器と一緒に、適切に使用することができる。
【0012】
以下においては、本発明につき、さらに説明する。以下においては、本発明の様々な見地が、より詳細に規定される。各見地は、明らかに組み合わせ得ないもの以外は、他の任意の見地に対して組み合わせることができる。特に、好ましい任意の特徴点や有利な任意の特徴点は、他の好ましい任意の特徴点に対して、また、他の有利な任意の特徴点に対して、組み合わせることができる。
【0013】
第1見地においては、本発明は、骨折または軟組織損傷を固定するための非侵襲的な固定器であって、
第1関節結合ブレスレットおよび第2関節結合ブレスレットであるとともに、各ブレスレットが、複数の列で配置された複数の構成部材を備え、構成部材が、複数の列とされた構成部材を関節移動可能な態様であるいは固定された関係で互いに連結するための相補的連結手段を備えているような、第1関節結合ブレスレットおよび第2関節結合ブレスレットと;
第1関節結合ブレスレットおよび第2関節結合ブレスレットの各々に付設された少なくとも1つの関節結合可能な結合デバイスと;
第1関節結合ブレスレット上における結合デバイスと第2関節結合ブレスレット上における結合デバイスとを連結するためのロッドと;
関節結合デバイスと;
を具備してなり、
各ブレスレットの1つまたは複数の構成部材が、結合デバイスの位置がブレスレットの周縁まわりにおいてあるいはそのブレスレットが取り付けられる手足の周縁まわりにおいて変更可能とされているようにして、結合デバイスの少なくとも一部を受領してその少なくとも一部に対して係合するための手段を備えている、
固定器を提供する。
【0014】
他の実施形態においては、固定器は、第3のあるいはそれ以上のブレスレットを具備することができる。
【0015】
他の見地においては、本発明は、上述したような骨折または軟組織損傷を固定するための外部の非侵襲的な固定器のための関節結合ブレスレットであって、ブレスレットが、複数の列で配置された複数の構成部材を備え、構成部材が、複数の列とされた構成部材を関節移動可能な態様であるいは固定された関係で互いに連結するための相補的連結手段を備え、1つまたは複数の構成部材が、結合デバイスの位置がブレスレットの周縁まわりにおいてあるいはそのブレスレットが取り付けられる手足の周縁まわりにおいて変更可能とされているようにして、結合デバイスの少なくとも一部を受領してその少なくとも一部に対して係合するための手段を備えている、ブレスレットを提供する。
【0016】
本発明の他の見地による関節結合ブレスレットの好ましい実施形態については、後述する。
【0017】
本発明においては、「関節移動可能な関係」という用語は、相対移動を行い得る関係を意味しており、「固定された関係」という用語は、相対移動が実質的に阻止された関係を意味している。関節移動可能な関係においては、相対移動を行うに際しての多少程度の抵抗性が存在し得ることを理解されたい。例えば、関節結合ブレスレットに関しては、垂下することなく形状を保持し得るだけで十分である。
【0018】
よって、例えば患者の手足まわりにおけるブレスレットの組立時には、複数の構成部材は、適切なサイズをもたらし得るよう、関節移動可能な関係で連結することことができる。適切に組み立てた後には、複数の構成部材は、治療プロセス時に手足を支持し得るよう、互いに固定することができる。したがって、ブレスレットは、ストラップや他の囲みバンドを何ら使用する必要なく、取付時に長さと湾曲度合いとを調節することによって患者の手足まわりにぴったりと適合させることができる。ブレスレットは、ブレスレットの構成部材の係合を含むビルトインロック機構に対する単なるデジタル的圧力の印加によって、実質的に剛直なものとすることができる。安定性は、手足まわりの適切な形状に合わせる際に実質的に剛直なものとなり得る複数の列を使用することのために、もたらされる。よって、本発明によるブレスレットは、実質的に剛直な固定された状態から、フレキシブルな関節移動可能な状態へと、移行することができる。ブレスレットおよびその構成部材は、所望の形状(円形、楕円形、その他)および所望の長さに適合し得るように、操作することができる。
【0019】
非侵襲的な固定器は、骨折箇所または軟組織損傷箇所を跨いで配置された2つのブレスレットを備えることができる。好ましくは、固定器は、3つのブレスレットを備えている。複数のブレスレットの相対的な位置を維持するために、連結ロッドあるいは同様のものを使用することができる。連結ロッドは、例えば結合デバイスによって、ブレスレットに対して固定することができる。したがって、1つまたは複数の構成部材には、結合デバイスの少なくとも一部を受領するとともにその一部に対して係合するための手段が、設けられる。
【0020】
本発明の範囲においては、「結合デバイス」という用語は、1つの構成部材と他の構成部材とを連結するのに使用し得るような任意の構造を意味している。好ましくは、結合デバイスは、例えば溶接やハンダ付けといったような技術的プロセスを必要とすることなく、受領および係合を行うことができる。例示としての結合デバイスの実施形態が、以下において説明されている。しかしながら、他の適切な結合デバイスを代替的に使用し得ることは、理解されるであろう。結合デバイスは、フラットな平面/長方形/正方形(ブレスレット側)に対して、および、円筒形表面(ロッド側)に対して、取り付けることができる、あるいは、固定することができる。結合デバイスは、好ましくは金属から形成される。しかしながら、そのような結合デバイスは、骨折部位から離間したところで使用される。
【0021】
関節移動型のブレスレットの好ましい実施形態においては、隣接した列の構成部材は、互いに隣接する列間において互いにオフセットされている。好ましくは、ブレスレットは、複数の構成部材からなる中央列と、複数の構成部材からなる2つの外側列と、を備えている。そして、中央列の1つまたは複数の構成部材が、結合デバイスの少なくとも一部を受領してその一部に対して係合するための手段を備えることができる。これによっても、安定性がもたらされる。
【0022】
好ましい実施形態においては、受領して係合するための手段は、チャネルを備え、チャネルは、内向きに延出されたセグメントによって部分的に包囲されることができる。結合デバイスは、チャネル内へと、嵌合される、あるいは、押圧される、あるいは、ターンされる、あるいは、挿入される、ことができる。しかしながら、好ましい実施形態においては、チャネルは、結合デバイスをチャネル内へとスライドさせ得るよう、少なくとも1つの開口端を有している。これにより、ブレスレットを素速く組み立て得るとともに、結合デバイスを固定的に係合することができる。結合デバイスを容易に挿入可能とし得るよう、内向きに延出されたセグメントは、少なくとも開口端のところにおいては、傾斜した(あるいは、丸められた、あるいは、面取りされた)コーナーを有することができる。さらに、チャネルは、構成部材の延在長さの実質的に全体に沿って延在することができる。
【0023】
構成部材は、複数の構成部材からなる列どうしを関節移動可能な関係でまたは固定された関係で互いに連結するための相補的連結手段を備えている。好ましい実施形態について後述しているけれども、例えばヒンジやピンやフックといったような他の実施態様も、また、本発明の範囲内である。
【0024】
連結手段は、隣接した列に対してのある列の位置を所望位置に調節したりあるいは固定またはロックしたりし得るような機構を提供する。このように、ブレスレットの湾曲度合いを調節することができる。所望の位置に調節した後には、相対関係を固定することができる。これにより、連結手段の係合が解除されない限りにおいては、相対位置が変更されない。よって、患者がブレスレット内へと不注意に手を入れることができないことのために、治療プロセスは危険にさらされない。
【0025】
1つの実施形態においては、連結手段は、第1種類の構成部材から、互いに隣接する列どうしを結ぶ列間方向に延出された少なくとも1つの円弧状突起と;第2種類の構成部材に設けられていて、円弧状突起を受領するための少なくとも1つの円弧状グルーブと;を備え、第1種類の構成部材と第2種類の構成部材とが、隣接する列に属するものとされている。大まかに言って、突起とスロットの円弧状性質は、相対配置の範囲を選択し得ることを意味している。突起とスロットとの弧長さは、実質的に同等のものとし得るけれども、例えば実質的に円形(すなわち、円筒形)とし得るけれども、好ましい実施形態においては、スロットの弧長さ(あるいは、円弧形状)は、突起の弧長さ(あるいは、円弧形状)よりも大きなものとされる。例えば、円弧状スロットの弧長さは、半円のそれとすることができ、他方、突起の弧長さが、4分の1円のそれとすることができる。これにより、相対回転の範囲を効果的に制限することができる。これにより、例えば、ブレスレットが適切に組み立てることを、より確実なものとすることができる。
【0026】
突起とスロットとを、異なる様々な手法で、固定された関係でもって係合させ得ることは、理解されるであろう。しかしながら、好ましい実施形態においては、円弧状突起の第1円弧状表面には、列間方向に延出された1つまたは複数のリッジ形状の歯が設けられる。1つまたは複数のリッジ形状の歯は、突起の延在長さのうちの途中までにわたって列間方向に延在しているだけとすることができる。これにより、スロットは、固定される前に、(部分的に挿入された)円弧状突起を、望ましい位置へ案内することができる。好ましい実施形態においては、スロットの第1円弧状表面には、列間方向に延出された1つまたは複数のリッジ形状の歯が設けられる。リッジ形状の歯の数および位置を変更し得ることは、理解されるであろう。
【0027】
好ましい実施形態においては、円弧状突起の第2円弧状表面には、1つまたは複数の円弧状グルーブが設けられている。好ましい実施形態においては、スロットの第2円弧状表面には、列間方向に延出されたラッチが設けられている。
【0028】
大まかに言って、突起とスロットのリッジ形状の歯は、相対回転を阻止するように機能し、グルーブとラッチとは、相対的な横方向移動を阻止するように機能する。これに代えて、あるいは、これに加えて、相対的な横方向移動は、スロットと突起との間における摩擦係合によって阻止することができる。例えば、円弧状突起は、奥に行くほど狭くなるスロットによって保持されることができる。これに代えて、あるいは、これに加えて、円弧状突起は、弾性変形可能な材料から形成することができる。当然のことながら、関節移動可能な関係あるいは固定された関係を可能とし得る限りにおいては、例えばピンやフックやヒンジといったような他の連結手段を、利用することもできる。
【0029】
好ましい実施形態においては、複数の構成部材は、第1種類の構成部材と第種類の構成部材とを備え、第1種類の構成部材が、複数の円弧状突起を備え、第2種類の構成部材が、複数のスロットを備えている。便宜上、以下の説明においては、複数の円弧状突起を有した第1種類の構成部材は、「突起付き部材」と称され、そして、複数のスロットを有した第2種類の構成部材は、「スロット付き部材」と称される。しかしながら、「突起付き部材」という用語が、スロットによって受領され得る突起を有した任意の構成部材を意味することを意図していることは、および、「スロット付き部材」という用語が、突起を受領し得るスロットを有した任意の構成部材を意味することを意図していることは、理解されるであろう。構成部材は、突起またはスロットの一方のみを有したものに限定されるものではなく、双方を有することができる。
【0030】
好ましい実施形態においては、第1種類の構成部材は、4つの円弧状突起を備え、第2種類の構成部材は、2つのスロットを備えている。好ましい実施形態においては、所定の列の実質的にすべての構成部材は、第1種類の構成部材とされている、あるいは、第2種類の構成部材とされている。よって、例えば、中央列は、第1種類の構成部材を備えることができ、2つの外側列の各々は、第2種類の構成部材を備えることができる。
【0031】
好ましい実施形態においては、複数の構成部材は、剛直で、放射線透過性で、弾力的な材料から形成される。例えば、プラスチック材料から形成される。使用される材料は、また、防水性である。材料の底面は、着用の快適性を増大させ得るよう、非剛直なかつ空気を通す材料によって内張り(あるいは、ライニング)することができる。
【0032】
好ましくは、ブレスレットの複数の構成部材は、ツールを使用することなく手動で互いに連結し得るものとされ、この連結によって、複数の連結部材を、互いに固定された関係とすることができる。よって、例えば、ブレスレットは、単なる指の圧力によって(デジタル的な圧力によって)、剛直なものとしたり、あるいは、関節移動可能なものとしたり、することができる。好ましくは、ここに記述される実施形態の場合のように、一度固定された関係とされた後においては、連結手段は、手では簡単に外すことができない。これにより、不注意に取り外されないブレスレットを得ることができ、患者がブレスレットを不注意に調節するのを防止することができる。好ましくは、構成部材どうしの係合を解除するためには、係合解除ツール(詳細に後述する)が必要とされる。
【0033】
好ましい実施形態においては、非侵襲的な固定器における関節結合可能な結合デバイスは、一対のクランプ部材と、支持部材と、ベースと、ピンと、を備え、各クランプ部材が、チャネルを有し、これらチャネルが、互いに対向した位置関係でもって位置合わせされ得るものとされ、この位置合わせによって、ロッドを受領するための穴が形成され、一対のクランプ部材の少なくとも一方が、部分球形状部分を有し、この部分球形状部分が、支持部材の相補的部分球形状部分に対して係合し得るものとされ、支持部材が、ベースのスペーサ部上に設置可能とされ、あるいは、ベースのスペーサ部と一体的なものとされ、一対のクランプ部材と、支持部材と、ベースとが、ピンによって、着脱可能に固定可能とされ、結合デバイスが、フラットな表面上に、あるいは、長方形または正方形の表面上に、あるいは、円筒形の表面上に、取り付け得るものとされている。関節結合可能な結合デバイスのさらなる実施形態については、後述する。
【0034】
本発明の他の見地においては、外部の非侵襲的な固定器のための関節結合可能な結合デバイスであって、結合デバイスが、一対のクランプ部材と、支持部材と、ベースと、ピンと、を備え、各クランプ部材が、チャネルを有し、これらチャネルが、互いに対向した位置関係でもって位置合わせされ得るものとされ、この位置合わせによって、ロッドを受領するための穴が形成され、一対のクランプ部材の少なくとも一方が、部分球形状部分を有し、この部分球形状部分が、支持部材の相補的部分球形状部分に対して係合し得るものとされ、支持部材が、ベースのスペーサ部上に設置可能とされ、あるいは、ベースのスペーサ部と一体的なものとされ、一対のクランプ部材と、支持部材と、ベースとが、ピンによって、着脱可能に固定可能とされ、結合デバイスが、フラットな表面上に、あるいは、長方形または正方形の表面上に、あるいは、円筒形の表面上に、取り付け得るものとされているような、結合デバイスが提供される。
【0035】
大まかに言って、結合デバイスのクランプ部材および支持部材の互いに相補的な部分球形状部分どうしは、ユニバーサルジョイントを形成し、これにより、両クランプ部材の相対回転と傾斜とを可能とする。よって、一対をなすクランプ部材は、すべての平面内において移動することができる。しかしながら、一対をなすクランプ部材の位置は、固定することができる。
【0036】
好ましい実施形態においては、チャネルは、結合デバイスの中心軸線からオフセットされており、これにより、ピンは、各構成部材の中心位置を通過することができる。好ましい実施形態においては、ベースは、上記ブレスレットの構成部材のチャネル内へとスライド的に受領可能とされる。
【0037】
固定器は、さらに、架橋デバイスを具備することができる。好ましい実施形態においては、この架橋デバイスは、第1対をなす複数のクランプ部材と第2対をなす複数のクランプ部材とを備え、各クランプ部材が、チャネルを有し、これらチャネルが、対をなすクランプ部材のチャネルに対して互いに対向した位置関係でもって位置合わせされ得るものとされ、この位置合わせによって、ロッドを受領するための穴が形成され、第1対をなす複数のクランプ部材と第2対をなす複数のクランプ部材とが、ピンによって、互いに背中合わせの態様でもって着脱可能に対して固定される。架橋デバイスのさらなる実施形態については、後述する。
【0038】
本発明のさらに他の見地においては、さらに、非侵襲的な固定器のための架橋デバイスであって、第1対をなす複数のクランプ部材と第2対をなす複数のクランプ部材とを備え、各クランプ部材が、チャネルを有し、これらチャネルが、対をなすクランプ部材のチャネルに対して互いに対向した位置関係でもって位置合わせされ得るものとされ、この位置合わせによって、ロッドを受領するための穴が形成され、第1対をなす複数のクランプ部材と第2対をなす複数のクランプ部材とが、ピンによって、互いに背中合わせの態様でもって着脱可能に対して固定されるような、架橋デバイスが提供される。
【0039】
好ましい実施形態においては、各チャネルは、架橋デバイスの中心軸線からオフセットされている。
【0040】
固定器は、また、関節結合デバイスを具備している。好ましい実施形態においては、この関節結合デバイスは、互いに離間された一対の第1リング部材および第2リング部材を有した第1部分と;第1リング部材と第2リング部材との間に回転可能に収容される第3リング部材を有した第2部分であるとともに、第3リング部材が、この第3リング部材の内周面上に内向きの突出した複数の歯を有しているような、第2部分と;第1リング部材を通して延在する第1円筒形部材と、第2リング部材を通して延在する第2円筒形部材と、を有した第3部分であるとともに、第1および第2円筒形部材の各々が、外周面上に形成された複数の外向き歯を有し、これら複数の外向き歯が、第3リング部材の複数の内向き歯に対して係合するためのものとされた、第3部分と;第1部分と第2部分と第3部分とを互いに着脱可能に固定するためのピンと;を備え、第1部分と第2部分と第3部分とが、実質的に放射線に対して透明な材料から形成され、関節結合デバイスが、すべての平面内における移動を可能としている。関節結合デバイスのさらなる実施形態については、後述する。
【0041】
本発明のさらに他の見地においては、骨折または軟組織損傷を固定するための非侵襲的な固定器のための関節結合デバイスであって、関節結合デバイスが、互いに離間された一対の第1リング部材および第2リング部材を有した第1部分と;第1リング部材と第2リング部材との間に回転可能に収容される第3リング部材を有した第2部分であるとともに、第3リング部材が、この第3リング部材の内周面上に内向きの突出した複数の歯を有しているような、第2部分と;第1リング部材を通して延在する第1円筒形部材と、第2リング部材を通して延在する第2円筒形部材と、を有した第3部分であるとともに、第1および第2円筒形部材の各々が、外周面上に形成された複数の外向き歯を有し、これら複数の外向き歯が、第3リング部材の複数の内向き歯に対して係合するためのものとされた、第3部分と;第1部分と第2部分と第3部分とを互いに着脱可能に固定するためのピンと;を備え、第1部分と第2部分と第3部分とが、実質的に放射線に対して透明な材料から形成され、関節結合デバイスが、すべての平面内における移動を可能としている、関節結合デバイスが提供される。
【0042】
本発明の様々な見地による関節結合デバイスの様々な実施形態については、後述する。
【0043】
医療デバイスにおいて典型的に使用されるヒンジ(すなわち、関節結合デバイス)は、放射線に対して不透明な材料から形成されている。本発明による関節結合デバイスにおいては、中央ピンを除いて、放射線に対して透明な材料が使用されている。これにより、骨折領域の視覚化を可能とするとともに、金属ピンは、関節の回転中心と位置合わせしなければならない関節結合デバイス回転中心を特定することができる。これは、側方からのX線写真において、ヒンジの中央のこのピンが見られたときに、ピンが点として現れるということによって容易に実行される。前後方向のX線写真においては、上記と同じピンは、「放射線に対して不透明な線」として現れる。しかしながら、ピンが手足の外部にあって内部に埋設されていないことのために、線は、骨折領域の外部に見えることとなる。線および点が、X線写真上において関節の中心を通過するものとして投影された直線として見える場合には、関節結合デバイスの軸線と関節の軸線とは、互いに位置合わせされている。
【0044】
移動範囲を設定することは、現在利用されているヒンジの場合には、ツールおよび/または金属ピンを必要とすることのために、困難であった。本発明による関節結合デバイスの場合には、使用者が関節結合デバイスに対して力を印加することにより、移動範囲をデジタル的に制御することができる。移動範囲は、2つのディスクの間に刻まれた数字から読み出すことができる。関節結合デバイスの使用者は、指でもって、関節結合デバイスの両サイドへと数mmだけ2つのディスクを引っ張ることができ、ディスク上に刻まれた数字によって、使用者は、最適な位置を選択することができる。例えば、一方のディスクでは15°で、他方のディスクでは45°、といったような位置を選択することができる。その後、使用者は、その位置を固定するために、2つのディスクを互いに挟み付ける。加えて、不正操作を防止するために、中央ピンまたはボルトを、スロット付きキーを使用してロックすることができる。
【0045】
本発明の様々な見地における好ましい実施形態においては、第1部分と第2部分と第3部分とに、第1部分に対しての第2部分の回転移動範囲を選択的に制限し得る手段が設けられる。よって、関節結合デバイスは、剛直なもの(すなわち、移動不可能な状態)とすることができる、あるいは、移動範囲を選択的な設定することができる(例えば、180°という円弧、あるいは、例えば30°〜45°という範囲)。好ましい実施形態においては、ヒンジすなわち関節結合デバイスは、すべての平面内において移動と延伸とを行うことができる。
【0046】
上述したように、2つのディスクに刻まれる数字は、移動範囲の設定を容易とする。
【0047】
本発明のさらに他の見地においては、上述したような骨折または軟組織損傷を固定するための外部の非侵襲的な固定器と一緒に使用するための上記のブレスレットのための構成部材であって、構成部材が、第1種類の構成部材と、第2種類の構成部材と、を備え、第1種類の構成部材が、第2種類の構成部材に対しての、関節移動可能な態様でのあるいは固定された関係での連結を可能とするための連結手段を備え、第1種類の構成部材が、チャネルを有したボディを備え、チャネルが、内向きに延在するセグメントによって部分的に囲まれており、チャネルが、少なくとも1つの開口端を有しており、円弧状突起の各々が、第1円弧状表面上に、横方向に延出された1つまたは複数のリッジ形状の歯を有している、構成部材が提供される。
【0048】
好ましくは、円弧状突起の各々には、第2円弧状表面上に、1つまたは複数の円弧状グルーブが設けられている。
【0049】
本発明のさらに他の見地においては、上述したような骨折または軟組織損傷を固定するための外部の非侵襲的な固定器と一緒に使用するための上記のブレスレットのための構成部材であって、構成部材が、第1種類の構成部材と、第2種類の構成部材と、を備え、第2種類の構成部材が、第1種類の構成部材に対しての、関節移動可能な態様でのあるいは固定された関係での連結を可能とするための連結手段を備え、第2種類の構成部材が、互いに並置された2つの半円形スロットを有したボディを備え、スロットの各々が、第1円弧状表面上に、横方向に延出された1つまたは複数のバレーを有している、構成部材が提供される。
【0050】
好ましくは、スロットの各々には、第2円弧状表面上に、横方向に延出された1つまたは複数のキャッチが設けられている。
【0051】
本発明に関連した見地においては、骨折を治療するための方法が提供され、この方法においては、非侵襲的な固定器を患者の手足に対して固定する。この場合、固定器は、少なくとも上記のような第1関節結合ブレスレットおよび第2関節結合ブレスレットと;第1関節結合ブレスレットおよび第2関節結合ブレスレットの各々に付設された少なくとも1つの上記のような結合デバイスと;第1関節結合ブレスレット上における結合デバイスと第2関節結合ブレスレット上における結合デバイスとを連結するためのロッドと;を具備している。
【0052】
本発明による固定器は、骨折箇所を固定することに適している。骨折という用語は、長尺の骨の骨折を含んでいる。1つの実施形態においては、本発明の固定器を使用することにより、長尺の骨の骨折を治療することができる。固定器は、骨折箇所の低減化(骨の破損断片を除去して通常の構成とする)や、骨折操作(骨折断片を動かす)や、骨折箇所を不動に維持しつつ近傍の関節を移動可能とし得るようにした態様での骨折治療、を含めた骨折箇所の固定に関するすべてのステージにおいて、使用することができる。
【0053】
固定器は、すぐに適用し得ることのために、病院へのアクセスが利用できない際には応急手当において特に有効である。さらにまた、固定器は、骨折部位のところにおける、例えば寒冷療法といったような局所治療が適用され得る皮膚に対してのアクセスを可能にする。これは、例えば足首の骨折といったように軟組織の腫れが起こるような骨折の場合に、特に重要である。固定器は、また、手術後のケースにおいて、軟組織に対してのアクセスおよび創傷治療を可能とする。
【0054】
上述したように、ここに記述される固定器は、特に骨折箇所の固定に適している。さらにまた、ここに記述される固定器は、軟組織の修正のために、および、変形の処置のために、使用することもできる。関節結合は、繰り返し的な調節を行い得る手段を提供することができる。これは、通常は、個別的な石膏鋳造によって実施される。この手法は、時間のかかるものであるとともに、患者にとって不快なものである。本発明による固定器の使用は、調節可能であるという利点と、関節の動作を可能にするという利点と、を提供する。よって、本発明のさらに他の関連した見地においては、軟組織の損傷を治療するための方法が提供され、この方法においては、非侵襲的な固定器を、患者の手足に対して固定する。この場合、固定器は、上記のような第1関節結合ブレスレットおよび第2関節結合ブレスレットと;第1関節結合ブレスレットおよび第2関節結合ブレスレットの各々に付設された少なくとも1つの上記のような結合デバイスと;第1関節結合ブレスレット上における結合デバイスと第2関節結合ブレスレット上における結合デバイスとを連結するためのロッドと;を具備している。
【0055】
さらにまた、ここに記述される固定器は、骨または軟組織の一方または双方に対しての外科手術の後において、使用することができる。そのような外科手術は、隣接した関節の移動を許容するかどうかは別として、手足の位置を維持した状態での、救急的なまたは選択的な手術とすることができる。
【0056】
本発明は、治療時に、骨断片の位置を維持することができる。関節結合デバイスおよび結合デバイスにより、固定器の2つのブレスレットの間における移動を可能とする。これにより、患者は、骨断片どうしを位置状態に維持しつつも、骨折箇所の近傍において関節を撓ませたり手足を移動させたりすることができ、これにより、疲労を軽減して、凝りを減らすことができる。さらに、固定器は、非侵襲性である。よって、感染のリスクがなく、切開手術の複雑さがない。非侵襲性であることにより、固定器は、関節の移動平面が固定器の関節移動セグメントの移動平面と一致しているようにして、配置することができる。これにより、関節を動作させる際に骨折断片の位置を妨害する機会を最小化することができる。これにより、患者の快適さを改良して、治癒を促進する。ピンを埋設するタイプの固定器の場合には、そのような位置決めを達成することは、困難である。なぜなら、ピンの配置が、親指や肝要部位や手足の他の部位の存在によって、束縛されるからである。
【0057】
固定器は、また、獣医的な手術においても使用することができる。
【0058】
本発明のさらなる実施形態においては、固定器は、また、複数の構成部材からなる組立キットとして提供することもできる。
【0059】
本発明のさらに他の見地においては、上記のブレスレットの構成部材どうしの係合を解除するための係合解除デバイスであって、構成部材が、複数の列で配置された複数の構成部材を備え、各列が、固定された関係でもって互いに連結されている場合に、係合解除デバイスが、一端部にヘッド部を有した長尺ボディと;第1ハンドル部材および第2ハンドル部材であるとともに、これら第1ハンドル部材および第2ハンドル部材の各々が、把持部とジョー部とを有しているような、第1ハンドル部材および第2ハンドル部材と;を具備し、第1ハンドル部材および第2ハンドル部材が、長尺ボディの両サイドにおいてそれぞれ回転可能に連結され、把持部を互いに近接させる向きに移動させた際には、ジョー部どうしが互いに離間する向きに移動するものとされている、係合解除デバイスが提供される。
【0060】
本発明の関連する見地においては、上記のブレスレットの構成部材どうしの係合を解除するための方法が提供され、構成部材が、複数の列で配置された複数の構成部材を備え、各列が、固定された関係でもって互いに連結されている場合に、係合解除デバイスが、一端部にヘッド部を有した長尺ボディと;第1ハンドル部材および第2ハンドル部材であるとともに、これら第1ハンドル部材および第2ハンドル部材の各々が、把持部とジョー部とを有しているような、第1ハンドル部材および第2ハンドル部材と;を具備し、第1ハンドル部材および第2ハンドル部材が、長尺ボディの両サイドにおいてそれぞれ回転可能に連結され、把持部を互いに近接させる向きに移動させた際には、ジョー部どうしが互いに離間する向きに移動するものとされている場合に、この方法においては、長尺ボディのヘッド部および第1ハンドル部材および第2ハンドル部材のジョー部を、複数の列のうちの第1列に属する2つの隣接した構成部材の間に配置し、第1ハンドル部材および第2ハンドル部材の把持部を、互いに近接する向きに押圧し、これにより、ジョー部を、第1列に属する2つの隣接した構成部材に対して押圧する。
【0061】
本発明のさらに他の見地においては、図面を参照して実質的に説明されたような、関節移動型のブレスレット、結合デバイス、架橋デバイス、関節結合デバイス、係合解除デバイス、および、非侵襲的な固定器が提供される。
【0062】
固定器は、好ましくは、弾性材料(スプリングなど)を一切有していない。関節結合デバイスは、関節ラインのレベルにおいて、および、骨折箇所のレベルにおいて、関節移動する。2つのレベルにおける関節移動可能性のために、固定器は、骨折断片を低減させるとともに、手首を可動とする。よって、固定器は、骨折箇所の近傍の関節の移動を可能とし、骨折断片の操作および低減を可能とし、さらに、関節平面内における移動を可能とする。したがって、固定器は、患者が関節を動かすことを許容しつつ、骨折断片の操作を補助する。1つの実施形態においては、固定器は、長尺の骨の骨折を処置することができる。
【0063】
1つの実施形態においては、固定器は、裏張り(ライニング)材料を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施形態による固定器を、患者の腕に取り付けられた状態で示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態におけるブレスレットの詳細を、組立完成の直前の状態で示す図である。
【図3】本発明の実施形態における第1種類の連結可能部材を示す上面からの透視図である。
【図4】本発明の実施形態における第1種類の連結可能部材を示す底面からの透視図である。
【図5】本発明の実施形態における第2種類の連結可能部材を示す上面からの透視図である。
【図6】本発明の実施形態における第2種類の連結可能部材を示す底面からの透視図である。
【図7a】本発明の実施形態における相補型連結手段の互いに異なる3つの状態を示す図である。
【図7b】本発明の実施形態における相補型連結手段の互いに異なる3つの状態を示す図である。
【図7c】本発明の実施形態における相補型連結手段の互いに異なる3つの状態を示す図である。
【図7d】本発明の実施形態における相補型連結手段の互いに異なる3つの状態を示す図である。
【図7e】本発明の実施形態における相補型連結手段の互いに異なる3つの状態を示す図である。
【図7f】本発明の実施形態における相補型連結手段の互いに異なる3つの状態を示す図である。
【図8】本発明の実施形態における結合デバイスを、組立状態で示す斜視図である。
【図9】本発明の実施形態における結合デバイスを、分解状態で示す斜視図である。
【図10】本発明におけるブレスレットの詳細および結合デバイスの詳細を、結合デバイスをブレスレットに取り付ける前の状況でもって、示す図である。
【図11】本発明におけるブレスレットの詳細および結合デバイスの詳細を、結合デバイスをブレスレットに取り付けた後の状況でもって、示す図である。
【図12】本発明の実施形態における架橋デバイスを、組立状態で示す斜視図である。
【図13】本発明の実施形態における架橋デバイスを、分解状態で示す斜視図である。
【図14】本発明の実施形態における関節結合デバイスを、組立状態で示す斜視図である。
【図15】本発明の実施形態における関節結合デバイスを、分解状態で示す斜視図である。
【図16a】図14および図15の関節結合デバイスにおける関節結合の態様を概略的に示す図である。
【図16b】図14および図15の関節結合デバイスにおける関節結合の態様を概略的に示す図である。
【図16c】図14および図15の関節結合デバイスにおける関節結合の態様を概略的に示す図である。
【図17】本発明の実施形態における係合解除デバイスを示す斜視図である。
【図18】本発明の実施形態における係合解除デバイスを示す平面図である。
【図19】関節結合デバイスを示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
本発明の上記の見地について、また、本発明の他の見地について、本発明を何ら限定することなく単なる例示として、添付図面を参照して、以下説明する。
【0066】
図1は、本発明による非侵襲的な固定器10を、患者の腕11に取り付けた状態で示している。固定器10は、2つのブレスレット12a,12bを備えている。2つのブレスレット12a,12bは、2つのほぼ平行した長尺ロッド14a,14bによって、腕上における相対位置が維持される。長尺ロッド14a,14bは、ブレスレット12a,12bに対して、4つの結合デバイス16a,16b,16c,16d(各ブレスレットにつき、2つの結合デバイス)によって、固定されている。第3のロッド20が、2つの架橋デバイス18a,18bによって、交差方向に固定されている。関節結合デバイス22が、ロッド14bの一端部に連結されている。この関節結合デバイスは、他のブレスレットまたはカフ(図示せず)に対して、ロッドを介して連結されている。よって、好ましい実施形態においては、固定器は、3つのブレスレットを備えている。関節結合デバイスは、骨折領域の近傍において、関節移動平面に対して位置合わせされている。
【0067】
ブレスレット12は、複数の列に配置された複数の構成部材から構成されている。図1に示す例示としての構成においては、複数の構成部材は、3つの列でもって配置されている。すなわち、中央の列と、2つの外側の列と、でもって配置されている。ブレスレット12の構成は、図2において、より詳細に示されている。図2は、組立完成の直前の状態でもって、ブレスレットの一部を示している。この場合、中央の列は、突起48を有した構成部材24(便宜的に、「突起付き部材」と称される)を備えており、外側の2つの列は、スロット62を有した構成部材26(便宜的に、「スロット付き部材」と称される)を備えている。
【0068】
図1および図2においては、中央列の各々の構成部材は、隣接した2つの外側列の構成部材に対して連結されている。そのため、隣接した列の構成部材どうしは、互いに対してオフセットされている。よって、突起付き部材24bは、左側の外側列のスロット付き部材26cに対して、および、右側の外側列のスロット付き部材26dに対して、固定された関節移動関係にあり、さらに、スロット付き部材26a,26bに対して連結される直前とされている。スロット付き部材26a,26bに対して連結完了された際には、左の外側列に対してのおよび右の外側列に対しての連結を完了することとなる。
【0069】
図2に示すように、構成部材26aのスロット62aの内部円弧状表面上には、リッジ形状の歯70が形成されている。リッジ形状の歯70は、構成部材24aの突起48aの上部円弧状表面上に形成されたリッジ形状の歯52に対して係合するためのものである。突起付き部材およびスロット付き部材のこれらの特徴点および他の例示としての特徴点については、後述する。ここで、リッジ形状の歯70,52が相補的である点に注意されたい。よって、これら歯70,52が係合した際には、構成部材26a,24bを、固定された相互関係でもって、互いに連結することができる。これについては、図7a〜図7fを参照して、より詳細に後述する。
【0070】
まず最初に、図3および図4においては、構成部材24が、それぞれ上方からおよび底面から示されている。構成部材24は、矩形横断面のチャネル34を形成しているボディ32を備えている。チャネル34は、フラットなベース36と、互いに平行に直立した側壁38と、を有している。側壁38と一体的に、内方に突出したセグメント40が設けられている。セグメント40は、ベース36上に覆い被さっているとともに、チャネルを部分的に囲んでいる。この特定の例においては、セグメントどうしの間にギャップが延在しており、このギャップは、実質的にチャネルの長手方向全体に沿って延在しているとともに、両端42a,42bのところにおいて開口している。セグメントは、傾斜した(あるいは、面取りされた)コーナー44を有している。傾斜した(あるいは、面取りされた)コーナー44のために、チャネル内への結合デバイス(図示されていない、後述する)の挿入が、容易なものとされている。セグメントは、さらに、丸められた肩部47(あるいは、46)を有している。丸められた肩部により、係合解除デバイス(図示されていない、後述する)のジョーの配置を可能とすることができる。
【0071】
図示された例示としての構成部材24においては、4つの円弧状突起48が、側壁38の長手方向両端部のところにおいて、側方に延在している。4つの円弧状突起のうちの2つは、図3においては、構成部材26のよって図示から隠されている。突起48は、側壁の上部から側部にかけて、およそ90°という角度にわたって、側壁を覆っている。円弧状表面50は、凹んだ位置とされている。複数の(この場合には5つの)互いに平行なリッジ形状の歯52が、側壁から、上面円弧状表面50の延在方向に沿って途中まで、延在している。複数の(この場合には5つの)互いに平行なリッジ形状の歯52は、また、円弧状表面50の円弧形状に沿って互いに離間されている。図4に示すように、突起48の反対側の底面円弧状表面71上には、内側円弧状グルーブ54と外側円弧状グルーブ56とが形成されている。ボディ32の底面上には、発泡体58または他のクッション部材を設けることができる。
【0072】
さて、図5および図6に示すように、構成部材26は、ボディ60を備えている。ボディ60は、2つの半円形のスロット62a,62bを形成している。各スロット62は、下側円弧状表面63と、より大きな曲率半径を有した上側円弧状表面(図5においては見えない位置に位置している)と、を有している。下側円弧状表面63は、一体的に形成されたラッチ68(図5においては、部分的に図示から隠されている)を特徴としており、一方、上側円弧状表面は、複数の互いに平行に配置されたリッジ形状の歯70を特徴としている。リッジ形状の歯70は、スロットの開口から奥向き(奥行き方向に)に延在している。
【0073】
ラッチ68は、リッジ形状の歯70と同じく、奥向きに延在している。ラッチの先端は、構成部材24の突起48の外側および内側の円弧状グルーブ56,54(図5)に対して係合するためのものである。底面側から見た場合(図6)、ボディの一部は、底面から除去されている。これにより、ラッチを上下動させることができる。
【0074】
図7a〜図7fは、円弧状突起48とこの突起を受領するためのスロット62との間における互いに異なる3つの「連結状態」を示している。すなわち、非連結状態(図7aおよび図7b)と;相対移動を許容した連結状態(図7cおよび図7d)と;固定した関係での連結状態(図7eおよび図7f)と;を示している。左側の図と右側の図とは、互いと対応したものである。しかしながら、明瞭さのために、リッジ形状の歯どうしの連結と、ラッチとグルーブとの連結とが、個別的に図示されている。
【0075】
図7aにおいては、円弧状突起48のリッジ形状の歯52の横方向長さ(あるいは、開口から奥向きに見れば奥行き方向の長さ)1 は、スロットのリッジ形状の歯70が奥行き方向に延在している深さ1 (一点鎖線によって示されている)と、ほぼ同じである。さらに、スロットのリッジ形状の歯70によってカバーされた円弧方向角度範囲は、突起付き部材24の突起48のリッジ形状の歯52によってカバーされた円弧方向角度範囲と比較して、より大きなものとすることができる。しかしながら、他の構成においては、リッジ形状の歯52,70の一方または双方は、それぞれの表面の異なる領域をカバーすることができる。図7bは、円弧状突起のグルーブ54,56と、スロット62の先端72付きラッチ68と、を示している。
【0076】
図7cにおいては、円弧状突起48は、スロット62内へと部分的に挿入される。そして、この場合、リッジ形状の歯52,70がほぼ互いに係合する。図7dに示すように、外側グルーブ56は、この変化可能な関係に達した際にラッチ68の先端が外側グルーブ56に対して係合するような、位置とされている。よって、スロットは、所望の位置に到達するまで円弧状突起を回転可能に案内し得るとともに、このような配置プロセス時における相対的な横方向位置ズレを最小化することができ、そして、様々な連結可能部材が固定関係でもって互いに連結される前の状態において、様々な連結可能部材を様々な位置に配置することを可能とする。
【0077】
図7eにおいては、円弧状突起は、スロット内へと完全に挿入されている。この時点では、リッジ形状の歯52,70は、互いに噛合する。これにより、さらなる回転を禁止する。図から理解されるように、2組の歯52,70の相対的な配置は、相対的な関節移動位置にかかわわず円弧状突起のすべての歯52が係合し得るような、ものとすることができる。これら構成部材(すなわち、円弧状突起、および、スロット)がこのような固定された関節移動関係(図7e)とされたときには、内側グルーブが、ラッチの先端に対して係合する。
【0078】
図8および図9は、例示としての結合デバイス16を、それぞれ、組み立てられた図でもって、および、分解図でもって、示している。結合デバイス16は、一対のクランプ部材76a,76bと、カップ状支持部材78と、ベース80と、を備えている。これら構成部材は、ピン84によって一緒に固定することができる。ピン84は、ネジ山付き端部(詳細に図示されていない)を有することができる。
【0079】
この例においては、クランプ部材76a,76bは、実質的に同一のものであり、ディスク形状部材として形成されている。各クランプ部材76a,76bの一方の面上には、部分球形状の突部86a,86bが形成されている。一方、各クランプ部材76a,76bの他方の面は、チャネル88a,88bを特徴としている。クランプ部材76a,76bが互いに固定されたときには、両チャネルは、1つの穴を形成する。この穴により、ロッドまたは他の対象物を、両チャネルの間に固定することができる。両チャネルは、中心位置からオフセットされており、これにより、ピン84が中心位置を通過することを可能とする。2つのブロック90a,90bが、表面から突出している。これらブロックを互いに連結することにより、クランプ部材76a,76bの相対移動を禁止することができる。
【0080】
クランプ部材の部分球形状突部86は、この場合には凹状部分を有した突部である。その凹状部分は、支持部材78の凸状部分球形状部分92に対して、相補的な形状とされている。これにより、ユニバーサルジョイントが形成される。これにより、両クランプ部材を回転させたり、傾斜させたり、することができる。クランプ部材の長穴94は、ワッシャ96と協働することにより、両クランプ部材が前後方向に傾斜した際であっても、ピン84を、実質的に垂直に維持することができる。
【0081】
支持部材78は、スペーサ82上に配置される。スペーサ82は、ベース80のディスク状部分98を、支持部材78から離間させる。スペーサ82は、ピン84のネジ山付き端部を受領し得るものであって、ディスクの直径を横切って長尺形状で延在しており、丸められた両端部100を有している。
【0082】
図10および図11は、ブレスレットの組立が完了した後に、結合デバイス16をどのようにしてブレスレット12上に取り付けるかを示している(しかしながら、結合デバイスは、組立完了前にも同様に取り付けることができる、あるいは、結合デバイスは、連結可能部材と一体的なものとすることさえ可能である)。ベース80のディスク状部分98が、開口端から、内向きに延在しているセグメント40の下方へと、構成部材24のチャネル内へとスライドする。これにより、セグメント40どうしの間に、長尺スペーサが受領される。支持部材78は、セグメント40の上側に位置する。ピンは、まず最初に、結合デバイスをなす様々な構成部材を緩く結合させることができ、その後、きつくネジ止めすることができる。これにより、支持部材78とベース80とが、内向きに延在するセグメント40を、固定的に把持することができる。これにより、結合デバイス16を、ブレスレット構成部材に対して係合することができる。
【0083】
図12および図13は、例示としての架橋デバイス18を、それぞれ、組み立てた状態でもって、および、分解図でもって、示している。架橋デバイス18は、2つのクランプ104a,104bとして構成された4つのクランプ部材106a,106b,106c,106dを備えている。これらクランプ部材は、結合デバイス16のクランプ部材と共通した特徴点を有することができる。例えば、これらクランプ部材は、全体的にディスク形状のものとされ、チャネル108を有している(図12においては、2つのチャネルだけを見ることができる)。しかしながら、これらクランプ部材は、少なくとも1つのフラットな面を有することができる。これにより、2つのクランプ部材106b,106cを、互いに背中合わせにして組み立てることができる。また、各部材は、ディスク構造の周縁部上に、凹所112と、隣接ノッチ114と、を有している。それらは、互いに対をなすものに対して係合することができる(例えば、114aと112b;114bと112a)。ピンは、ネジ山付き端部(図示せず)を有し得るものである。ピンを使用することにより、複数の構成部材を固定することができる。クランプ104a,104bは、互いに対して相対回転することができる。これにより、複数のロッドを、異なる配向関係へと案内することができる。例えば、図13は、互いに90°という角度とされた2つの穴(破線A,Bによって示されている)を示している。
【0084】
関節結合デバイス22が、図14および図15に示されている。図14は、組立状態を示す図であり、図15は、分解図である。関節結合デバイス22は、第1部分115と、この第1部分115に対して第3部分を介して関節結合される第2部分116と、を備えている。第3部分は、2つの部材117a,117bと、ナットおよびボルトからなるアセンブリ119,120と、を有している。第1部分115は、2つのリング124a,124bを有した円筒形ボディ122を備えている。2つのリング124a,124bは、互いに離間されており、第2部分116のリング126を受領することができる。リング126は、円滑な上面および円滑な下面を有している。内周面上には、複数の歯128が設けられている。使用時には、複数の歯128は、第3部分の2つの構成部材117a,117bの外周面上の複数の歯130,132に対して係合する。2つの構成部材は、リング部材126を通してリング部材126のほぼ中央のところにおいて当接することができる。このようにして、関節結合デバイスの第2部分116および第3部分117は、一体となって、関節結合デバイスの第1部分115に対して回転する。数字や他の指標(明瞭さのために図示されていない)を、回転移動の選択可能な範囲を視覚化するために、関節結合デバイスの構成部材の1つまたは複数の構成部材に、刻むことができる。例えば、リングの外周面上に、および/または、第3部分の構成部材のディスク上に、刻むことができる。
【0085】
回転の円弧は、第3部分の2つの構成部材117上に設けられた突起134,136によって、および、第1部分115のリング上の突起138,142;140,144によって、制限することができる。回転の制限は、図16a〜図16c(底面図)に概略的に示すように、複数の突起の相対的な位置に、依存することができる。第1部分のリング124a,124b上の突起138,142;140,144が、ハッチング付き台形として図示されており、第3部分の2つの構成部材117上の突起134,136が、白抜きの台形として図示されている。図16aにおいては、突起134,136は、互いに反対側に位置しており、突起144,138と突起140,142との間において、およそ180°という円弧にわたって、前後に移動することができる。一方、図16bにおいては、突起136が、初期的に、下部突起142に対して当接する。これにより、突起134が突起140に対して当接するまでは、90°にわたって時計回りに回転することができる。しかしながら、初期位置からの反時計回りの回転は、禁止されている。図16cにおいては、すべての回転が禁止されている。
【0086】
図17および図18は、固定された関係で互いに連結された構成部材どうしの係合を解除するための係合解除デバイス150を概略的に示している。係合解除デバイス150は、長尺ボディ152と、2つのハンドル部材154,156と、を備えている。長尺ボディは、円形形状とされたヘッド部158を有している。ヘッド部の両側には、ハンドル部材154,156のジョー部160,162が配置されている。ジョー部の各々は、リップ186に向けて収束する内向き円弧状表面182,184を有している。ハンドル部材の把持部164,166は、ジョー部から、回転支点168,170を超えて、連結スプリングバンド172のところにまで、関節回転可能に延在している。スプリングバンドは、「スプリングバック」特性を有したプラスチック材料とすることができる。2つの凹所付き接触表面174,176が、長尺ボディ152の後部に形成されている。2つの凹所付き接触表面174,176は、ハンドル部材の2つの接触ブロック178,180に対して位置合わせされている。
【0087】
図2を参照すれば、固定された関係とされた関節移動型のブレスレットの構成部材どうしの係合を解除するためには(例えば、構成部材24b,24cから、構成部材26c,26dの係合を解除するためには)、長尺ボディのヘッド部158を、構成部材24b,24cの間に存在するギャップ180内に配置する。これにより、ジョー部160,162が、構成部材24b,24cの間に存在するギャップ182,184内に配置される。把持部どうしを互いに近接させる向きに押圧することにより、ジョー部が、構成部材26c,26dに対して押圧され、手で最終的な係合解除を十分に可能とし得る程度にまで、構成部材26c,26dを緩めることができる。
【0088】
図19は、関節結合デバイスの他の実施形態を示している。この関節結合デバイスにおいては、ダイヤル(ディスク)とこのダイヤルに刻まれた数字とを使用して調節可能であることのために、関節結合の移動範囲を調節することができる。位置は、中央ボルトを調節することによって、固定することができる。
【0089】
他の修正や変更は、当業者には自明である。
【符号の説明】
【0090】
10 固定器
12a ブレスレット
12b ブレスレット
14a ロッド
14b ロッド
16a 結合デバイス
16b 結合デバイス
16c 結合デバイス
16d 結合デバイス
18a 架橋デバイス
18b 架橋デバイス
20 ロッド
22 関節結合デバイス
24 構成部材
26 構成部材
32 ボディ
34 チャネル
40 セグメント
48 突起
52 リッジ形状の歯
54 グルーブ
56 グルーブ
62 スロット
68 ラッチ
70 リッジ形状の歯
72 先端
76a クランプ部材
76b クランプ部材
78 支持部材
80 ベース
82 スペーサ
84 ピン
86 部分球形状突部
88a チャネル
88b チャネル
92 凸状部分球形状部分
104a クランプ
104b クランプ
106a クランプ部材
106b クランプ部材
106c クランプ部材
106d クランプ部材
108 チャネル
115 第1部分
116 第2部分
124a リング
124b リング
126 リング
128 歯
130 歯
132 歯
150 係合解除デバイス
152 長尺ボディ
154 ハンドル部材
156 ハンドル部材
158 ヘッド部
160 ジョー部
162 ジョー部
164 把持部
166 把持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨折または軟組織損傷を固定するための非侵襲的な固定器であって、
第1関節結合ブレスレットおよび第2関節結合ブレスレットであるとともに、各ブレスレットが、複数の列で配置された複数の構成部材を備え、前記構成部材が、前記複数の列とされた前記構成部材を関節移動可能な態様であるいは固定された関係で互いに連結するための相補的連結手段を備えているような、第1関節結合ブレスレットおよび第2関節結合ブレスレットと;
前記第1関節結合ブレスレットおよび前記第2関節結合ブレスレットの各々に付設された少なくとも1つの関節結合可能な結合デバイスと;
前記第1関節結合ブレスレット上における前記結合デバイスと前記第2関節結合ブレスレット上における前記結合デバイスとを連結するためのロッドと;
関節結合デバイスと;
を具備してなり、
前記各ブレスレットの1つまたは複数の前記構成部材が、前記結合デバイスの位置が前記ブレスレットの周縁まわりにおいてあるいはそのブレスレットが取り付けられる手足の周縁まわりにおいて変更可能とされているようにして、前記結合デバイスの少なくとも一部を受領してその少なくとも一部に対して係合するための手段を備えていることを特徴とする固定器。
【請求項2】
請求項1記載の固定器において、
隣接した列の構成部材どうしが、列方向において互いに対してオフセットされていることを特徴とする固定器。
【請求項3】
請求項1または2記載の固定器において、
前記ブレスレットが、前記構成部材からなる中央列と、前記構成部材からなる2つの外側列と、を備えていることを特徴とする固定器。
【請求項4】
請求項3記載の固定器において、
前記中央列の1つまたは複数の構成部材が、前記結合デバイスの位置が前記ブレスレットの周縁まわりにおいてあるいはそのブレスレットが取り付けられる手足の周縁まわりにおいて変更可能とされているようにして、前記結合デバイスの少なくとも一部を受領してその少なくとも一部に対して係合するための前記手段を備えていることを特徴とする固定器。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の固定器において、
前記受領して前記係合するための前記手段が、チャネルを備えていることを特徴とする固定器。
【請求項6】
請求項5記載の固定器において、
前記チャネルが、内向きに延在するセグメントによって部分的に囲まれていることを特徴とする固定器。
【請求項7】
請求項5または6記載の固定器において、
前記チャネルが、少なくとも1つの開口端を有していることを特徴とする固定器。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の固定器において、
前記連結手段が、
第1種類の前記構成部材から、互いに隣接する列どうしを結ぶ列間方向に延出された少なくとも1つの円弧状突起と;
第2種類の前記構成部材に設けられていて、前記円弧状突起を受領するための少なくとも1つの円弧状グルーブと;
を備え、
前記第1種類の前記構成部材と前記第2種類の前記構成部材とが、隣接する列に属するものとされていることを特徴とする固定器。
【請求項9】
請求項8記載の固定器において、
前記円弧状グルーブの円弧形状の方が、前記円弧状突起の円弧形状よりも大きいことを特徴とする固定器。
【請求項10】
請求項8または9記載の固定器において、
前記円弧状突起の第1円弧状表面には、前記列間方向に延出された1つまたは複数のリッジ形状の歯が設けられていることを特徴とする固定器。
【請求項11】
請求項10記載の固定器において、
前記1つまたは複数のリッジ形状の歯が、前記突起の延在長さのうちの途中までにわたって前記列間方向に延在しているだけであることを特徴とする固定器。
【請求項12】
請求項8〜11のいずれか1項に記載の固定器において、
前記スロットの第1円弧状表面には、前記列間方向に延出された1つまたは複数のリッジ形状の歯が設けられていることを特徴とする固定器。
【請求項13】
請求項8〜12のいずれか1項に記載の固定器において、
前記円弧状突起の第2円弧状表面には、1つまたは複数の円弧状グルーブが設けられていることを特徴とする固定器。
【請求項14】
請求項8〜13のいずれか1項に記載の固定器において、
前記スロットの第2円弧状表面には、前記列間方向に延出されたラッチが設けられていることを特徴とする固定器。
【請求項15】
請求項8〜14のいずれか1項に記載の固定器において、
前記複数の構成部材が、前記第1種類の構成部材と前記第種類の構成部材とを備え、
前記第1種類の構成部材が、前記複数の前記円弧状突起を備え、
前記第2種類の構成部材が、前記複数の前記スロットを備えていることを特徴とする固定器。
【請求項16】
請求項15記載の固定器において、
前記第1種類の構成部材が、4つの前記円弧状突起を備え、
前記第2種類の構成部材が、2つの前記スロットを備えていることを特徴とする固定器。
【請求項17】
請求項15または16記載の固定器において、
所定の列の実質的にすべての構成部材が、前記第1種類の構成部材とされている、あるいは、前記第2種類の構成部材とされている、ことを特徴とする固定器。
【請求項18】
請求項15〜17のいずれか1項に記載の固定器において、
前記中央列が、前記第1種類の構成部材を備え、
前記2つの外側列の各々が、前記第2種類の構成部材を備えていることを特徴とする固定器。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか1項に記載の固定器において、
複数の前記構成部材が、剛直かつ弾力的な材料から形成されていることを特徴とする固定器。
【請求項20】
請求項19記載の固定器において、
前記材料が、放射線透過性であることを特徴とする固定器。
【請求項21】
請求項1〜20のいずれか1項に記載の固定器において、
前記複数の構成部材が、ツールを使用することなく手動で互いに連結し得るものとされ、
この連結によって、前記複数の連結部材を、互いに固定された関係とし得ることを特徴とする固定器。
【請求項22】
請求項1〜21のいずれか1項に記載の固定器において、
前記関節結合可能な結合デバイスが、一対のクランプ部材と、支持部材と、ベースと、ピンと、を備え、
前記各クランプ部材が、チャネルを有し、これらチャネルが、互いに対向した位置関係でもって位置合わせされ得るものとされ、この位置合わせによって、前記ロッドを受領するための穴が形成され、
前記一対のクランプ部材の少なくとも一方が、部分球形状部分を有し、この部分球形状部分が、前記支持部材の相補的部分球形状部分に対して係合し得るものとされ、
前記支持部材が、前記ベースのスペーサ部上に設置可能とされ、あるいは、前記ベースのスペーサ部と一体的なものとされ、
前記一対のクランプ部材と、前記支持部材と、前記ベースとが、前記ピンによって、着脱可能に固定可能とされ、
前記結合デバイスが、フラットな表面上に、あるいは、長方形または正方形の表面上に、あるいは、円筒形の表面上に、取り付け得るものとされていることを特徴とする固定器。
【請求項23】
請求項22記載の固定器において、
前記チャネルが、前記結合デバイスの中心軸線からオフセットされていることを特徴とする固定器。
【請求項24】
請求項22または23記載の固定器において、
前記ベースが、前記ブレスレットの構成部材のチャネル内へとスライドによって受領可能とされていることを特徴とする固定器。
【請求項25】
請求項22〜24のいずれか1項に記載の固定器において、
前記一対のクランプ部材が、すべての平面内において移動可能とされていることを特徴とする固定器。
【請求項26】
請求項25記載の固定器において、
前記一対のクランプ部材の位置が、固定され得るものとされていることを特徴とする固定器。
【請求項27】
請求項1〜26のいずれか1項に記載の固定器において、
さらに、架橋デバイスを具備し、
この架橋デバイスが、第1対をなす複数のクランプ部材と第2対をなす複数のクランプ部材とを備え、
前記各クランプ部材が、チャネルを有し、これらチャネルが、対をなすクランプ部材のチャネルに対して互いに対向した位置関係でもって位置合わせされ得るものとされ、この位置合わせによって、前記ロッドを受領するための穴が形成され、
前記第1対をなす複数のクランプ部材と前記第2対をなす複数のクランプ部材とが、ピンによって、互いに背中合わせの態様でもって着脱可能に対して固定されることを特徴とする固定器。
【請求項28】
請求項27記載の固定器において、
前記チャネルの各々が、前記架橋デバイスの中心軸線からオフセットされていることを特徴とする固定器。
【請求項29】
請求項1〜28のいずれか1項に記載の固定器において、
前記関節結合デバイスが、
互いに離間された一対の第1リング部材および第2リング部材を有した第1部分と;
前記第1リング部材と前記第2リング部材との間に回転可能に収容される第3リング部材を有した第2部分であるとともに、前記第3リング部材が、この第3リング部材の内周面上に内向きの突出した複数の歯を有しているような、第2部分と;
前記第1リング部材を通して延在する第1円筒形部材と、前記第2リング部材を通して延在する第2円筒形部材と、を有した第3部分であるとともに、前記第1および第2円筒形部材の各々が、外周面上に形成された複数の外向き歯を有し、これら複数の外向き歯が、前記第3リング部材の前記複数の内向き歯に対して係合するためのものとされた、第3部分と;
前記第1部分と前記第2部分と前記第3部分とを互いに着脱可能に固定するためのピンと;
を備え、
前記第1部分と前記第2部分と前記第3部分とが、実質的に放射線に対して透明な材料から形成され、
前記関節結合デバイスが、すべての平面内における移動を可能としていることを特徴とする固定器。
【請求項30】
請求項29記載の固定器において、
前記第1部分と前記第2部分と前記第3部分とに、前記第1部分に対しての前記第2部分の回転移動範囲を選択的に制限し得る手段が設けられていることを特徴とする固定器。
【請求項31】
請求項1〜30のいずれか1項に記載された骨折または軟組織損傷を固定するための外部の非侵襲的な固定器と一緒に使用するための関節結合ブレスレットであって、
前記ブレスレットが、複数の列で配置された複数の構成部材を備え、
前記構成部材が、前記複数の列とされた前記構成部材を関節移動可能な態様であるいは固定された関係で互いに連結するための相補的連結手段を備え、
1つまたは複数の前記構成部材が、前記結合デバイスの位置が前記ブレスレットの周縁まわりにおいてあるいはそのブレスレットが取り付けられる手足の周縁まわりにおいて変更可能とされているようにして、前記結合デバイスの少なくとも一部を受領してその少なくとも一部に対して係合するための手段を備えていることを特徴とするブレスレット。
【請求項32】
請求項1〜30のいずれか1項に記載された外部の非侵襲的な固定器と一緒に使用するための関節結合可能な結合デバイスであって、
前記結合デバイスが、一対のクランプ部材と、支持部材と、ベースと、ピンと、を備え、
前記各クランプ部材が、チャネルを有し、これらチャネルが、互いに対向した位置関係でもって位置合わせされ得るものとされ、この位置合わせによって、前記ロッドを受領するための穴が形成され、
前記一対のクランプ部材の少なくとも一方が、部分球形状部分を有し、この部分球形状部分が、前記支持部材の相補的部分球形状部分に対して係合し得るものとされ、
前記支持部材が、前記ベースのスペーサ部上に設置可能とされ、あるいは、前記ベースのスペーサ部と一体的なものとされ、
前記一対のクランプ部材と、前記支持部材と、前記ベースとが、前記ピンによって、着脱可能に固定可能とされ、
前記結合デバイスが、フラットな表面上に、あるいは、長方形または正方形の表面上に、あるいは、円筒形の表面上に、取り付け得るものとされていることを特徴とする結合デバイス。
【請求項33】
請求項1〜30のいずれか1項に記載された外部の非侵襲的な固定器と一緒に使用するための関節結合可能な架橋デバイスであって、
前記架橋デバイスが、第1対をなす複数のクランプ部材と第2対をなす複数のクランプ部材とを備え、
前記各クランプ部材が、チャネルを有し、これらチャネルが、対をなすクランプ部材のチャネルに対して互いに対向した位置関係でもって位置合わせされ得るものとされ、この位置合わせによって、前記ロッドを受領するための穴が形成され、
前記第1対をなす複数のクランプ部材と前記第2対をなす複数のクランプ部材とが、ピンによって、互いに背中合わせの態様でもって着脱可能に対して固定されることを特徴とする架橋デバイス。
【請求項34】
請求項1〜30のいずれか1項に記載された骨折または軟組織損傷を固定するための非侵襲的な固定器と一緒に使用するための関節結合デバイスであって、
前記関節結合デバイスが、
互いに離間された一対の第1リング部材および第2リング部材を有した第1部分と;
前記第1リング部材と前記第2リング部材との間に回転可能に収容される第3リング部材を有した第2部分であるとともに、前記第3リング部材が、この第3リング部材の内周面上に内向きの突出した複数の歯を有しているような、第2部分と;
前記第1リング部材を通して延在する第1円筒形部材と、前記第2リング部材を通して延在する第2円筒形部材と、を有した第3部分であるとともに、前記第1および第2円筒形部材の各々が、外周面上に形成された複数の外向き歯を有し、これら複数の外向き歯が、前記第3リング部材の前記複数の内向き歯に対して係合するためのものとされた、第3部分と;
前記第1部分と前記第2部分と前記第3部分とを互いに着脱可能に固定するためのピンと;
を備え、
前記第1部分と前記第2部分と前記第3部分とが、実質的に放射線に対して透明な材料から形成され、
前記関節結合デバイスが、すべての平面内における移動を可能としていることを特徴とする関節結合デバイス。
【請求項35】
骨折または軟組織損傷を固定するための外部の非侵襲的な固定器のための請求項31記載のブレスレットのための構成部材であって、
前記構成部材が、第1種類の構成部材と、第2種類の構成部材と、を備え、
前記第1種類の構成部材が、前記第2種類の構成部材に対しての、関節移動可能な態様でのあるいは固定された関係での連結を可能とするための連結手段を備え、
前記第1種類の構成部材が、チャネルを有したボディを備え、
前記チャネルが、内向きに延在するセグメントによって部分的に囲まれており、
前記チャネルが、少なくとも1つの開口端を有しており、
前記円弧状突起の各々が、第1円弧状表面上に、横方向に延出された1つまたは複数のリッジ形状の歯を有していることを特徴とする構成部材。
【請求項36】
請求項35記載の構成部材において、
前記円弧状突起の各々には、第2円弧状表面上に、1つまたは複数の円弧状グルーブが設けられていることを特徴とする構成部材。
【請求項37】
骨折または軟組織損傷を固定するための外部の非侵襲的な固定器のための請求項31記載のブレスレットのための構成部材であって、
前記構成部材が、第1種類の構成部材と、第2種類の構成部材と、を備え、
前記第2種類の構成部材が、前記第1種類の構成部材に対しての、関節移動可能な態様でのあるいは固定された関係での連結を可能とするための連結手段を備え、
前記第2種類の構成部材が、互いに並置された2つの半円形スロットを有したボディを備え、
前記スロットの各々が、第1円弧状表面上に、横方向に延出された1つまたは複数のバレーを有していることを特徴とする構成部材。
【請求項38】
請求項37記載の構成部材において、
前記スロットの各々には、第2円弧状表面上に、横方向に延出された1つまたは複数のキャッチが設けられていることを特徴とする構成部材。
【請求項39】
骨折を治療するための方法であって、
請求項1〜30のいずれか1項に記載の非侵襲的な固定器を、患者の手足に対して固定することを特徴とする方法。
【請求項40】
軟組織の損傷を治療するための方法であって、
請求項1〜30のいずれか1項に記載の非侵襲的な固定器を、患者の手足に対して固定することを特徴とする方法。
【請求項41】
請求項31に記載のブレスレットの構成部材どうしの係合を解除するための係合解除デバイスであって、
前記構成部材が、複数の列で配置された複数の構成部材を備え、各列が、固定された関係でもって互いに連結されている場合に、
前記係合解除デバイスが、
一端部にヘッド部を有した長尺ボディと;
第1ハンドル部材および第2ハンドル部材であるとともに、これら第1ハンドル部材および第2ハンドル部材の各々が、把持部とジョー部とを有しているような、第1ハンドル部材および第2ハンドル部材と;
を具備し、
前記第1ハンドル部材および前記第2ハンドル部材が、前記長尺ボディの両サイドにおいてそれぞれ回転可能に連結され、
前記把持部を互いに近接させる向きに移動させた際には、前記ジョー部どうしが互いに離間する向きに移動するものとされていることを特徴とする係合解除デバイス。
【請求項42】
請求項31に記載のブレスレットの構成部材どうしの係合を解除するための方法であって、
前記構成部材が、複数の列で配置された複数の構成部材を備え、各列が、固定された関係でもって互いに連結されている場合に、
係合解除デバイスが、
一端部にヘッド部を有した長尺ボディと;
第1ハンドル部材および第2ハンドル部材であるとともに、これら第1ハンドル部材および第2ハンドル部材の各々が、把持部とジョー部とを有しているような、第1ハンドル部材および第2ハンドル部材と;
を具備し、
前記第1ハンドル部材および前記第2ハンドル部材が、前記長尺ボディの両サイドにおいてそれぞれ回転可能に連結され、
前記把持部を互いに近接させる向きに移動させた際には、前記ジョー部どうしが互いに離間する向きに移動するものとされている場合に、
この方法においては、
前記長尺ボディの前記ヘッド部および前記第1ハンドル部材および前記第2ハンドル部材の前記ジョー部を、前記複数の列のうちの第1列に属する2つの隣接した構成部材の間に配置し、
前記第1ハンドル部材および前記第2ハンドル部材の前記把持部を、互いに近接する向きに押圧し、これにより、前記ジョー部を、前記第1列に属する前記2つの隣接した構成部材に対して押圧する、
ことを特徴とする方法。
【請求項43】
図面を参照して実質的に説明されたような、関節移動型のブレスレット、結合デバイス、架橋デバイス、関節結合デバイス、係合解除デバイス、および、非侵襲的な固定器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図7c】
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【図7d】
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【図7e】
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【図7f】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16a】
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【図16b】
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【図16c】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公表番号】特表2012−518450(P2012−518450A)
【公表日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−550653(P2011−550653)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【国際出願番号】PCT/GB2010/050289
【国際公開番号】WO2010/094971
【国際公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(511178740)カンブフィックス・リミテッド (1)
【Fターム(参考)】