固定構造
【課題】開閉するパネルを容易且つ短時間に筐体に固定でき、固定作業の作業性の低下を防止できる簡素な固定構造を提供すること。
【解決手段】固定構造10は、パネル30が閉まる際に互いに係合する凸部46aと凹部46bとを有する固定機構46と、凹部46bからの凸部46aの抜けを防止する抜け防止機構52とを具備している。防止機構52は、固定部材54と、固定部材54と係合する係合機構60とを有している。係合機構60は、開口本体部63aを有するカバー部材62と、カバー部材62によってカバーされ、固定部材54が開口部64bと係合する際に、開口部64bの長手方向に沿って開口本体部63aを移動可能な本体部64と、カバー部材62によってカバーされ、固定部材54が本体部64に係合している時を除いて、本体部64がカバー部材62の長手方向における開口本体部63aの略中央に位置するように本体部64を支持する支持部材66とを有している。
【解決手段】固定構造10は、パネル30が閉まる際に互いに係合する凸部46aと凹部46bとを有する固定機構46と、凹部46bからの凸部46aの抜けを防止する抜け防止機構52とを具備している。防止機構52は、固定部材54と、固定部材54と係合する係合機構60とを有している。係合機構60は、開口本体部63aを有するカバー部材62と、カバー部材62によってカバーされ、固定部材54が開口部64bと係合する際に、開口部64bの長手方向に沿って開口本体部63aを移動可能な本体部64と、カバー部材62によってカバーされ、固定部材54が本体部64に係合している時を除いて、本体部64がカバー部材62の長手方向における開口本体部63aの略中央に位置するように本体部64を支持する支持部材66とを有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体に配設され開閉可能なパネルを閉じた際に、閉じたパネルを筐体に固定する固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に筐体の内部には、筐体を駆動させる電子機器が実装されている。この筐体には、図3A乃至図3Cに示すように例えば筐体の正面200aに対して自在に開閉するパネル300(扉)が配設されている。このようなパネル300には、図3Aと図3Bとに示すように、重量物400が配設されている。また一般的に筐体とパネル300とには、パネル300を筐体に固定する固定構造100が配設されている。
【0003】
図3Bに示すように、固定構造100は、パネル300が筐体の正面200aに対して開閉(回動)自在となるように、パネル300と筐体(正面200a)とを連結するヒンジ420(蝶番)を有している。
【0004】
また図3Cに示すように、固定構造100は、パネル300が閉まり筐体が搬送される際に、パネル300が不用意に開かないようにパネル300と筐体(正面200a)とを固定するために、凸部460aと、パネルが閉まる際に凸部460aに係合する凹部460bとを有している。例えば、凸部460aはパネル300に配設され、凹部460bは正面200aに配設されている。
【0005】
また図3C乃至図3Eに示すように固定構造100は、凹部460bからの凸部460aの抜けを防止する抜け防止機構520を有している。抜け防止機構520は、パネル300の端300cに配設される抜け止め部材522と、正面200aの端200cに配設され抜け止め部材522の先端522aが係合する開口部524と、パネル300の端300cと開口部524との間に配設され、抜け止め部材522(先端522a)を開口部524にガイドするガイド部526と、ガイド部526と抜け止め部材522の基端522bとの間に配設され、パネル300からの抜け止め部材522の抜けを防止する防止部材528とを有している。
【0006】
抜け止め部材522は、例えばローレットネジである。開口部524は、例えばタップ穴である。なお開口部524には、フローティングナットが配設されていても良い。ガイド部526は、パネル300の一部である。防止部材528は、例えばワッシャーである。
【0007】
例えば特許文献1には、部品点数の減少、加工費用の低減、作業時間の減少が図れるフローティングナットの構造が開示されている。
【0008】
また例えば特許文献2には、ガイドレールの上下方向においても安定して固定できる電子機器ユニットの実装構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−336517号公報
【特許文献2】特開2005−5634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述した固定構造100において、パネル300とヒンジ420と筐体とには組立誤差が生じる。また、端300cと開口部524との間には一定の距離がある。そのため電子機器が交換または調整されるためにパネル300が開閉される際、ガイド部526が用いられても、抜け止め部材522の先端522aをスムーズに開口部524にまでガイドすることが難しく、抜け止め部材522をスムーズに開口部524に係合させることが容易ではない。そのため、開閉するパネル300を容易且つ短時間に筐体に固定できず、パネル300と筐体との固定作業の作業性が低下し、電子機器の交換作業の作業性が低下する虞が生じる。
【0011】
またフローティングナットが配設されていても、フローティング量が少なく、組立誤差を解消するにいたらない虞が生じる。
また抜け止め部材522の挿脱によって、防止部材528が摩耗及び損傷し、防止部材528が外れてしまう虞が生じる。
また固定構造100は、部品点数が多く、固定作業の作業性がさらに低下する虞が生じる。
【0012】
そのため本発明は、上記事情に鑑み、開閉するパネルを容易且つ短時間に筐体に固定でき、固定作業の作業性の低下を防止できる簡素な固定構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は目的を達成するために、筐体の一端とパネルの一端とを連結し、前記筐体に対して前記パネルを開閉自在にする開閉部と、前記パネルの他端と前記筐体の他端とのいずれか一方に配設されている凸部と、他方に配設され、前記パネルが閉まる際に前記凸部と係合する凹部とを有し、前記パネルが閉まる際に前記凸部と前記凹部とが係合することで、閉じた前記パネルの他端を前記筐体の他端に固定する固定機構と、前記筐体の他端に配設されている第1の開口部と、前記パネルが閉まった際に先端が前記第1の開口部を挿通するように、前記パネルの他端に圧入されている固定部材と、前記パネルが閉まった際に、前記第1の開口部を挿通している前記先端と係合する係合機構とを有し、前記パネルが閉まった際に、前記凹部からの前記凸部の抜けを防止する抜け防止機構と、を具備し、前記係合機構は、長穴形状の第2の開口部を有するカバー部材と、前記第2の開口部に配設され、前記カバー部材によってカバーされ、前記先端と係合し、前記先端と係合する際に前記第2の開口部の長手方向に沿って前記第2の開口部を移動可能な本体部と、前記第2の開口部に配設され、前記カバー部材によってカバーされ、前記先端が前記本体部に係合する時を除いて、前記本体部が前記長手方向における前記第2の開口部の略中央に位置するように前記本体部を支持する支持部材とを有することを特徴とする固定構造を提供する。
【0014】
また本発明は目的を達成するために、前記第2の開口部の幅と前記本体部の幅とは、略同一であり、前記第2の開口部の長さは、前記本体部の長さよりも長いことを特徴とする上記に記載の固定構造を提供する。
【0015】
また本発明は目的を達成するために、前記本体部は、前記先端が係合する第3の開口部を有し、前記第3の開口部の縁においてテーパ部を有していることを特徴とする上記に記載の固定構造を提供する。
【0016】
また本発明は目的を達成するために、前記支持部材は、前記長手方向において前記カバー部材の内面と前記本体部の外面とに接続し、前記長手方向において前記本体部を両端で支持していることを特徴とする上記に記載の固定構造を提供する。
【0017】
また本発明は目的を達成するために、筐体に対して開閉自在で、固定部材が圧入されているパネルが閉じた際に、前記パネルを前記筐体に固定する固定構造であって、長穴形状の開口部を有するカバー部材と、前記開口部に配設され、前記カバー部材によってカバーされ、前記固定部材と係合し、前記固定部材と係合する際に前記開口部の長手方向に沿って前記開口部を移動可能な本体部と、前記開口部に配設され、前記カバー部材によってカバーされ、前記固定部材が前記本体部に係合する時を除いて、前記本体部が前記長手方向における前記開口部の略中央に位置するように前記本体部を支持する支持部材と、を有する係合機構を具備することを特徴とする固定構造を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、開閉するパネルを容易且つ短時間に筐体に固定でき、固定作業の作業性の低下を防止できる簡素な固定構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1A】図1Aは、パネルと筐体とにおける本発明の固定構造の概略斜視図である。
【図1B】図1Bは、図1Aに示す固定構造の正面図である。
【図1C】図1Cは、図1Bに示す1C―1C線における断面図である。
【図1D】図1Dは、図1Cにおける枠1Dにおける拡大図である。
【図1E】図1Eは、抜け防止機構の概略斜視図である。
【図2A】図2Aは、フローティングナットの斜視図である。
【図2B】図2Bは、フローティングナットの上面図である。
【図2C】図2Cは、図2Bに示す2C―2C線における断面図である。
【図3A】図3Aは、パネルと筐体とにおける一般的な固定構造の概略斜視図である。
【図3B】図3Bは、図3Aに示す固定構造の正面図である。
【図3C】図3Cは、図3Bに示す3C―3C線における断面図である。
【図3D】図3Dは、一般的な抜け防止機構の概略斜視図である。
【図3E】図3Eは、抜け止め部材を除く一般的な抜け防止機構の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図1A乃至図1Eと図2A乃至図2Cとを参照して本発明に係る実施形態について詳細に説明する。
図示しない筐体の内部には、筐体を駆動させる図示しない電子機器が実装されている。図1Aと図1Bとに示すように、この筐体には、例えば筐体の正面20aに対して自在に開閉するパネル30(扉)が配設されている。パネル30が開くと、電子機器はパネル30が開いた正面20aから取り出され、交換または調整される。このように電子機器が交換または調整される際、その都度パネル30が開閉し、電子機器が筐体から取り出されまたは筐体に実装される。
【0021】
このようなパネル30には、図1Aと図1Bとに示すように重量物40が配設されている。また筐体とパネル30とには、パネル30を筐体に固定する固定構造10が配設されている。
図1Aと図1Bとに示すように固定構造10は、筐体の正面20aの一端20bとパネル30の一端30bとを連結し、正面20aに対してパネル30を開閉自在にする開閉部であるヒンジ42(蝶番)を有している。
【0022】
また図1Bと図1Cに示すように、固定構造10は、閉じたパネル30の他端30cを正面20aの他端20cに固定する固定機構46を有している。
図1Cに示すように、固定機構46は、パネル30の他端30cと正面20aの他端20cとのいずれか一方に配設されている凸部46aと、他方に配設され、パネル30が閉まる際に凸部46aと係合する凹部46bとを有している。凸部46aと凹部46bとは、互いに係合する係合部材であり、例えばボールキャッチなどである。
また図1Cに示すように、パネル30が閉まる際に、凸部46aと凹部46bとが係合することで、固定機構46は、例えば筐体が搬送される際に、パネル30が不用意に開かないように、閉じたパネル30の他端30cを正面20aの他端20cに固定する。
【0023】
また図1C乃至図1Eに示すように、固定構造10は、パネル30が閉まった際に、凹部46bからの凸部46aの抜けを防止する抜け防止機構52を有している。
図1C乃至図1Eに示すように、抜け防止機構52は、正面20aの他端20cに配設されている開口部48と、パネル30が閉まった際に先端54aが開口部48を挿通するように、パネル30の他端30cに圧入されている固定部材54と、パネル30が閉まった際に、開口部48を挿通している固定部材54の先端54aと係合する係合機構60とを有している。
【0024】
図1Eに示すように、開口部48は、例えば長穴形状を有している。
図1Dに示すようにパネル30が閉まる際に、先端54aが係合機構60と係合することで、固定部材54は、凹部46bからの凸部46aの抜けを防止し、例えば筐体が搬送される際に、パネル30の他端30cを正面20aの他端20cに固定し、パネル30が不用意に開くことを防止する。固定部材54は、例えばネジであり、特にローレットネジが好適である。図1Dに示すように、固定部材54は、パネル30の他端30cの表面30d側から正面20aの他端20cの表面20dに対向するパネル30の他端30cの裏面30e側に向ってパネル30を貫通している。
【0025】
図2A乃至図2Cに示すように、係合機構60は、カバー部材62と、本体部64と、支持部材66とを有している。このような係合機構60は、例えばフローティングナットである。
【0026】
図2Cに示すようにカバー部材62は、開口部63を有している。開口部63は、本体部64と支持部材66とが配設される開口本体部63aと、開口本体部63aの上側に配設され、開口本体部63aよりも小さく、開口本体部63aと外部70とに連通している上側開口部63bと、開口本体部63aの下側に配設され、開口本体部63aよりも小さく、開口本体部63aと外部70とに連通している下側開口部63cとを有している。
【0027】
図2Bに示すように、開口本体部63aは、長穴形状を有しており、そのためカバー部材62の長手方向に沿って配設されている直線部631aを有している。
【0028】
図2Cに示すように上側開口部63bと下側開口部63cとは、本体部64と支持部材66とが上側開口部63bまたは下側開口部63cを挿通し開口本体部63aに配設可能な形状を有している。そのため上側開口部63bと下側開口部63cとは、本体部64と支持部材66とよりも微小に大きい。上側開口部63bと下側開口部63cとは、互いに同じ形状を有しており、例えば長穴形状を有している。上側開口部63bと下側開口部63cとは、カバー部材62の高さ方向において、開口本体部63aと同軸上に配設されている。
【0029】
図2Aと図2Bと示すように、カバー部材62は、略楕円形状の外形を有している。図1Eと図2Cとに示すように、カバー部材62は、開口部48に圧入するために、筐体の正面20aの他端20cの裏面20fに対向する底面62cにてテーパ部62dを有している。
【0030】
また図2Bと図2Cとに示すように、本体部64は、開口本体部63aに配設され、カバー部材62によってカバーされる。図2Bに示すように、本体部64は、カバー部材62の長手方向に平行な直線部64aを有する楕円形状の外形を有している。
【0031】
また図2A乃至図2Cに示すように、本体部64は、先端54aが係合し、カバー部材62の高さ方向に貫通している開口部64bを有している。本体部64は、先端54aが開口部64bと係合する際に、上述したように、カバー部材62(開口部64b)の長手方向に沿って開口本体部63aを移動可能である。
【0032】
また図2Bと図2Cとに示すように、本体部64は、カバー部材62の高さ方向の両端(上端と下端)において、開口部64bの縁64cにおいてテーパ部64dを有している。テーパ部64dは、先端54aを開口部64bに向ってガイドする。本体部64が開口本体部63aに配設された際、上端側と下端側との縁64cはカバー部材62の高さ方向において開口本体部63aから突出し、上端側の縁64cは上側開口部63bに位置し、下端側の縁64cは下側開口部63cに位置する。
上述したように、本体部64が開口本体部63aを移動する際に、上端側の縁64cが上側開口部63bの円弧状の内周面である円弧部632bに当接し、下端側の縁64cが下側開口部63cの円弧状の内周面である円弧部632cに当接することで、縁64cと円弧部632b,632cとは、本体部64の移動を規制する。本体部64は、例えばナットである。
【0033】
ここで開口本体部63aと本体部64との関係について説明する。
図2Bに示すように開口本体部63aの幅と本体部64の幅とは、略同一である。つまり、開口本体部63aの一方の直線部631aから他方の直線部631aまでの長さである開口本体部63aの幅W1は、本体部64の一方の直線部64aから他方の直線部64aまでの長さである本体部64の幅W2と略同一である。そのため本体部64は、先端54aが開口部64bに係合する際に、開口本体部63aにおいて回転できない。これにより係合の際に、固定部材54と共に本体部64は回転しないために、先端54aは開口部64bに係合する。このように開口本体部63aは、本体部64が回転することを防止する回転防止部でもあり、先端54aが開口部64bに係合することを補助する補助部でもある。
【0034】
また図2Cに示すように、開口本体部63aの長さは、本体部64の長さよりも長い。つまり開口本体部63aの一方の円弧状の内周面である円弧部632aから他方の円弧状の内周面である円弧部632aまでの長さL1は、本体部64の一方の円弧状の外面64gである円弧部64fから他方の円弧状の外面64gである円弧部64fまでの長さL2よりも長い。そのため本体部64は、開口本体部63aにおいて、カバー部材62の長手方向に沿って移動可能である。また開口本体部63aにおける本体部64のフローティング(移動)量は、所望に確保される。また幅W1は幅W2と略同一であるため、本体部64は、開口本体部63aにおいて、直線部64aが直線部631aを摺動し、カバー部材62の長手方向に沿ってぶれることなく移動可能である。このとき、直線部631aは、本体部64がカバー部材62の長手方向に沿って移動するためのガイド部となる。
【0035】
図2Cに示すように支持部材66は、開口本体部63aに配設され、カバー部材62によってカバーされる。支持部材66は、先端54aが本体部64(開口部64g)に係合している時を除いて、本体部64がカバー部材62の長手方向における開口本体部63aの略中央に位置するように本体部64を支持する。そのため支持部材66は、カバー部材62の長手方向において開口本体部63aの円弧部632aと本体部64の円弧部64fとに接続し、カバー部材62の長手方向において本体部64を両端で支持し、本体部64を両端から引っ張る。また支持部材66は、上端側の縁64cが上側開口部63bに位置し、下端側の縁64cが下側開口部63cに位置するように、開口本体部63aにて本体部64を支持する。支持部材66は、例えばバネである。
【0036】
次に本実施形態の動作方法について説明する。
固定部材54は、他端30cに圧入される。支持部材66は、本体部64がカバー部材62の長手方向における開口本体部63aの略中央に位置するように本体部64を支持する。このとき上端側の縁64cは上側開口部63bに位置し、下端側の縁64cは下側開口部63cに位置している。カバー部材62は、テーパ部62dを介して開口部48に圧入される。
【0037】
電子機器が交換または調整され、開いたパネル30がヒンジ42を中心に閉じられた際、凸部46aと凹部46bとは係合し、パネル30は正面20aに固定する。
【0038】
このとき先端54aは、開口部48を挿通し、テーパ部64dによって開口部64bに向ってガイドされ、開口部64bと係合する。なお、パネル30とヒンジ42と筐体とに組立誤差が生じていても、先端54aが開口部64bと係合するように、本体部64はカバー部材62の長手方向に沿って開口本体部63aを移動する。
【0039】
このとき、また幅W1は幅W2と略同一であるため、本体部64は、カバー部材62の長手方向に沿ってぶれることなく移動可能である。また直線部631aは、本体部64がカバー部材62の長手方向に沿って移動するように、本体部64をガイドする。
【0040】
また本体部64が移動する際、上端側の縁64cが上側開口部63bの円弧部632bに当接し、下端側の縁64cが下側開口部63cの円弧部632cに当接することで、縁64cと円弧部632b,632cとは、本体部64の移動を規制する。
なお本体部64の移動は、支持部材66の支持力以上の力で操作者が本体部64を移動させればよい。
【0041】
また先端54aは開口部64bと係合する際、幅W1は幅W2と略同一であるため、固定部材54と共に本体部64は回転せず、先端54aは開口部64bに係合する。つまり開口本体部63aは、本体部64が回転することを防止し、先端54aが開口部64bに係合することを補助する。
【0042】
これにより先端54aは開口部64bに係合し、抜け防止機構52は凹部46bからの凸部46aの抜けを防止し、パネル30の他端30cを正面20aの他端20cに固定し、パネル30が不用意に開くことを防止する。
【0043】
なおパネル30を開く際、先端54aを開口部64bから抜き出し、凹部46bを凸部から離すことで、パネル30の他端30cと正面20aの他端20cとの固定が解除される。このとき本体部64は、支持部材66によって、カバー部材62の長手方向における開口本体部63aの略中央に位置するように支持される。
【0044】
このように本実施形態では、本体部64を開口本体部63aにて移動可能とし、先端54aが開口部64bに係合している時を除いて、本体部64が開口本体部63aの略中央に位置するように支持部材66によって本体部64を支持させることで、開閉するパネル30を容易且つ短時間に筐体に固定でき、固定作業の作業性の低下を防止することができ、
固定構造10を簡素にできる。
【0045】
また本実施形態では、長さL1を長さL2よりも長くすることで、開口本体部63aによって本体部64のフローティング量を所望に確保でき、組立誤差を解消することができる。
また本実施形態では、固定部材54をパネル30の他端30cに圧入できるために、パネル30に対する固定部材54の挿脱を防止でき、パネル30からの固定部材54の抜けを防止する防止部材を不要にできる。
また本実施形態では、係合機構60によって、部品点数を削減でき、固定作業の作業性の低下を防止することができる。
【0046】
また本実施形態では、幅W1と幅W2とを略同一にすることで本体部64をカバー部材62の長手方向に沿ってぶれることなく移動でき、直線部631aによって本体部64がカバー部材62の長手方向に沿って移動するように本体部64をガイドできる。
これにより本実施形態では、開閉するパネル30をさらに容易且つ短時間に筐体に固定でき、固定作業の作業性の低下をさらに防止することができる。
【0047】
また本実施形態では、縁64cと円弧部632b,632cとによって本体部64の移動を規制することができるために、開閉するパネル30をさらに容易且つ短時間に筐体に固定でき、固定作業の作業性の低下をさらに防止することができる。
【0048】
また本実施形態では、幅W1と幅W2とを略同一にすることで、先端54aが開口部64bに係合する際、開口本体部63aによって本体部64の回転を防止でき、先端54aが開口部64bに係合することを補助することができる。これにより本実施形態では、開閉するパネル30をさらに容易且つ短時間に筐体に固定でき、固定作業の作業性の低下をさらに防止することができる。
【0049】
また本実施形態では、テーパ部64dによって先端54aを開口部64bに向ってガイドすることができるために、開閉するパネル30をさらに容易且つ短時間に筐体に固定でき、固定作業の作業性の低下をさらに防止することができる。
【0050】
また本実施形態では、支持部材66が本体部64を両端で支持し本体部64を両端から引っ張ることで、本体部64が開口本体部63aの略中央に位置するために、先端54aを開口部64bに係合する際の位置合せを不要にでき、手間がかかることを防止している。
【0051】
本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。
【符号の説明】
【0052】
10…固定構造、20a…正面、20b…一端、20c…他端、20d…表面、20f…裏面、30…パネル、30b…一端、30c…他端、30d…表面、30e…裏面、40…重量物、42…ヒンジ、46…固定機構、46a…凸部、46b…凹部、48…開口部、52…防止機構、54a…先端、54…固定部材、60…係合機構、62…カバー部材、62c…底面、62d…テーパ部、63…開口部、63a…開口本体部、63b…上側開口部、63c…下側開口部、64…本体部、64a…直線部、64b…開口部、64c…縁、64d…テーパ部、64a…一方の直線部、64a…他方の直線部、64g…外面、64f…円弧部、66…支持部材、70…外部、631a…直線部、632b…円弧部、632c…円弧部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体に配設され開閉可能なパネルを閉じた際に、閉じたパネルを筐体に固定する固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に筐体の内部には、筐体を駆動させる電子機器が実装されている。この筐体には、図3A乃至図3Cに示すように例えば筐体の正面200aに対して自在に開閉するパネル300(扉)が配設されている。このようなパネル300には、図3Aと図3Bとに示すように、重量物400が配設されている。また一般的に筐体とパネル300とには、パネル300を筐体に固定する固定構造100が配設されている。
【0003】
図3Bに示すように、固定構造100は、パネル300が筐体の正面200aに対して開閉(回動)自在となるように、パネル300と筐体(正面200a)とを連結するヒンジ420(蝶番)を有している。
【0004】
また図3Cに示すように、固定構造100は、パネル300が閉まり筐体が搬送される際に、パネル300が不用意に開かないようにパネル300と筐体(正面200a)とを固定するために、凸部460aと、パネルが閉まる際に凸部460aに係合する凹部460bとを有している。例えば、凸部460aはパネル300に配設され、凹部460bは正面200aに配設されている。
【0005】
また図3C乃至図3Eに示すように固定構造100は、凹部460bからの凸部460aの抜けを防止する抜け防止機構520を有している。抜け防止機構520は、パネル300の端300cに配設される抜け止め部材522と、正面200aの端200cに配設され抜け止め部材522の先端522aが係合する開口部524と、パネル300の端300cと開口部524との間に配設され、抜け止め部材522(先端522a)を開口部524にガイドするガイド部526と、ガイド部526と抜け止め部材522の基端522bとの間に配設され、パネル300からの抜け止め部材522の抜けを防止する防止部材528とを有している。
【0006】
抜け止め部材522は、例えばローレットネジである。開口部524は、例えばタップ穴である。なお開口部524には、フローティングナットが配設されていても良い。ガイド部526は、パネル300の一部である。防止部材528は、例えばワッシャーである。
【0007】
例えば特許文献1には、部品点数の減少、加工費用の低減、作業時間の減少が図れるフローティングナットの構造が開示されている。
【0008】
また例えば特許文献2には、ガイドレールの上下方向においても安定して固定できる電子機器ユニットの実装構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−336517号公報
【特許文献2】特開2005−5634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述した固定構造100において、パネル300とヒンジ420と筐体とには組立誤差が生じる。また、端300cと開口部524との間には一定の距離がある。そのため電子機器が交換または調整されるためにパネル300が開閉される際、ガイド部526が用いられても、抜け止め部材522の先端522aをスムーズに開口部524にまでガイドすることが難しく、抜け止め部材522をスムーズに開口部524に係合させることが容易ではない。そのため、開閉するパネル300を容易且つ短時間に筐体に固定できず、パネル300と筐体との固定作業の作業性が低下し、電子機器の交換作業の作業性が低下する虞が生じる。
【0011】
またフローティングナットが配設されていても、フローティング量が少なく、組立誤差を解消するにいたらない虞が生じる。
また抜け止め部材522の挿脱によって、防止部材528が摩耗及び損傷し、防止部材528が外れてしまう虞が生じる。
また固定構造100は、部品点数が多く、固定作業の作業性がさらに低下する虞が生じる。
【0012】
そのため本発明は、上記事情に鑑み、開閉するパネルを容易且つ短時間に筐体に固定でき、固定作業の作業性の低下を防止できる簡素な固定構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は目的を達成するために、筐体の一端とパネルの一端とを連結し、前記筐体に対して前記パネルを開閉自在にする開閉部と、前記パネルの他端と前記筐体の他端とのいずれか一方に配設されている凸部と、他方に配設され、前記パネルが閉まる際に前記凸部と係合する凹部とを有し、前記パネルが閉まる際に前記凸部と前記凹部とが係合することで、閉じた前記パネルの他端を前記筐体の他端に固定する固定機構と、前記筐体の他端に配設されている第1の開口部と、前記パネルが閉まった際に先端が前記第1の開口部を挿通するように、前記パネルの他端に圧入されている固定部材と、前記パネルが閉まった際に、前記第1の開口部を挿通している前記先端と係合する係合機構とを有し、前記パネルが閉まった際に、前記凹部からの前記凸部の抜けを防止する抜け防止機構と、を具備し、前記係合機構は、長穴形状の第2の開口部を有するカバー部材と、前記第2の開口部に配設され、前記カバー部材によってカバーされ、前記先端と係合し、前記先端と係合する際に前記第2の開口部の長手方向に沿って前記第2の開口部を移動可能な本体部と、前記第2の開口部に配設され、前記カバー部材によってカバーされ、前記先端が前記本体部に係合する時を除いて、前記本体部が前記長手方向における前記第2の開口部の略中央に位置するように前記本体部を支持する支持部材とを有することを特徴とする固定構造を提供する。
【0014】
また本発明は目的を達成するために、前記第2の開口部の幅と前記本体部の幅とは、略同一であり、前記第2の開口部の長さは、前記本体部の長さよりも長いことを特徴とする上記に記載の固定構造を提供する。
【0015】
また本発明は目的を達成するために、前記本体部は、前記先端が係合する第3の開口部を有し、前記第3の開口部の縁においてテーパ部を有していることを特徴とする上記に記載の固定構造を提供する。
【0016】
また本発明は目的を達成するために、前記支持部材は、前記長手方向において前記カバー部材の内面と前記本体部の外面とに接続し、前記長手方向において前記本体部を両端で支持していることを特徴とする上記に記載の固定構造を提供する。
【0017】
また本発明は目的を達成するために、筐体に対して開閉自在で、固定部材が圧入されているパネルが閉じた際に、前記パネルを前記筐体に固定する固定構造であって、長穴形状の開口部を有するカバー部材と、前記開口部に配設され、前記カバー部材によってカバーされ、前記固定部材と係合し、前記固定部材と係合する際に前記開口部の長手方向に沿って前記開口部を移動可能な本体部と、前記開口部に配設され、前記カバー部材によってカバーされ、前記固定部材が前記本体部に係合する時を除いて、前記本体部が前記長手方向における前記開口部の略中央に位置するように前記本体部を支持する支持部材と、を有する係合機構を具備することを特徴とする固定構造を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、開閉するパネルを容易且つ短時間に筐体に固定でき、固定作業の作業性の低下を防止できる簡素な固定構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1A】図1Aは、パネルと筐体とにおける本発明の固定構造の概略斜視図である。
【図1B】図1Bは、図1Aに示す固定構造の正面図である。
【図1C】図1Cは、図1Bに示す1C―1C線における断面図である。
【図1D】図1Dは、図1Cにおける枠1Dにおける拡大図である。
【図1E】図1Eは、抜け防止機構の概略斜視図である。
【図2A】図2Aは、フローティングナットの斜視図である。
【図2B】図2Bは、フローティングナットの上面図である。
【図2C】図2Cは、図2Bに示す2C―2C線における断面図である。
【図3A】図3Aは、パネルと筐体とにおける一般的な固定構造の概略斜視図である。
【図3B】図3Bは、図3Aに示す固定構造の正面図である。
【図3C】図3Cは、図3Bに示す3C―3C線における断面図である。
【図3D】図3Dは、一般的な抜け防止機構の概略斜視図である。
【図3E】図3Eは、抜け止め部材を除く一般的な抜け防止機構の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図1A乃至図1Eと図2A乃至図2Cとを参照して本発明に係る実施形態について詳細に説明する。
図示しない筐体の内部には、筐体を駆動させる図示しない電子機器が実装されている。図1Aと図1Bとに示すように、この筐体には、例えば筐体の正面20aに対して自在に開閉するパネル30(扉)が配設されている。パネル30が開くと、電子機器はパネル30が開いた正面20aから取り出され、交換または調整される。このように電子機器が交換または調整される際、その都度パネル30が開閉し、電子機器が筐体から取り出されまたは筐体に実装される。
【0021】
このようなパネル30には、図1Aと図1Bとに示すように重量物40が配設されている。また筐体とパネル30とには、パネル30を筐体に固定する固定構造10が配設されている。
図1Aと図1Bとに示すように固定構造10は、筐体の正面20aの一端20bとパネル30の一端30bとを連結し、正面20aに対してパネル30を開閉自在にする開閉部であるヒンジ42(蝶番)を有している。
【0022】
また図1Bと図1Cに示すように、固定構造10は、閉じたパネル30の他端30cを正面20aの他端20cに固定する固定機構46を有している。
図1Cに示すように、固定機構46は、パネル30の他端30cと正面20aの他端20cとのいずれか一方に配設されている凸部46aと、他方に配設され、パネル30が閉まる際に凸部46aと係合する凹部46bとを有している。凸部46aと凹部46bとは、互いに係合する係合部材であり、例えばボールキャッチなどである。
また図1Cに示すように、パネル30が閉まる際に、凸部46aと凹部46bとが係合することで、固定機構46は、例えば筐体が搬送される際に、パネル30が不用意に開かないように、閉じたパネル30の他端30cを正面20aの他端20cに固定する。
【0023】
また図1C乃至図1Eに示すように、固定構造10は、パネル30が閉まった際に、凹部46bからの凸部46aの抜けを防止する抜け防止機構52を有している。
図1C乃至図1Eに示すように、抜け防止機構52は、正面20aの他端20cに配設されている開口部48と、パネル30が閉まった際に先端54aが開口部48を挿通するように、パネル30の他端30cに圧入されている固定部材54と、パネル30が閉まった際に、開口部48を挿通している固定部材54の先端54aと係合する係合機構60とを有している。
【0024】
図1Eに示すように、開口部48は、例えば長穴形状を有している。
図1Dに示すようにパネル30が閉まる際に、先端54aが係合機構60と係合することで、固定部材54は、凹部46bからの凸部46aの抜けを防止し、例えば筐体が搬送される際に、パネル30の他端30cを正面20aの他端20cに固定し、パネル30が不用意に開くことを防止する。固定部材54は、例えばネジであり、特にローレットネジが好適である。図1Dに示すように、固定部材54は、パネル30の他端30cの表面30d側から正面20aの他端20cの表面20dに対向するパネル30の他端30cの裏面30e側に向ってパネル30を貫通している。
【0025】
図2A乃至図2Cに示すように、係合機構60は、カバー部材62と、本体部64と、支持部材66とを有している。このような係合機構60は、例えばフローティングナットである。
【0026】
図2Cに示すようにカバー部材62は、開口部63を有している。開口部63は、本体部64と支持部材66とが配設される開口本体部63aと、開口本体部63aの上側に配設され、開口本体部63aよりも小さく、開口本体部63aと外部70とに連通している上側開口部63bと、開口本体部63aの下側に配設され、開口本体部63aよりも小さく、開口本体部63aと外部70とに連通している下側開口部63cとを有している。
【0027】
図2Bに示すように、開口本体部63aは、長穴形状を有しており、そのためカバー部材62の長手方向に沿って配設されている直線部631aを有している。
【0028】
図2Cに示すように上側開口部63bと下側開口部63cとは、本体部64と支持部材66とが上側開口部63bまたは下側開口部63cを挿通し開口本体部63aに配設可能な形状を有している。そのため上側開口部63bと下側開口部63cとは、本体部64と支持部材66とよりも微小に大きい。上側開口部63bと下側開口部63cとは、互いに同じ形状を有しており、例えば長穴形状を有している。上側開口部63bと下側開口部63cとは、カバー部材62の高さ方向において、開口本体部63aと同軸上に配設されている。
【0029】
図2Aと図2Bと示すように、カバー部材62は、略楕円形状の外形を有している。図1Eと図2Cとに示すように、カバー部材62は、開口部48に圧入するために、筐体の正面20aの他端20cの裏面20fに対向する底面62cにてテーパ部62dを有している。
【0030】
また図2Bと図2Cとに示すように、本体部64は、開口本体部63aに配設され、カバー部材62によってカバーされる。図2Bに示すように、本体部64は、カバー部材62の長手方向に平行な直線部64aを有する楕円形状の外形を有している。
【0031】
また図2A乃至図2Cに示すように、本体部64は、先端54aが係合し、カバー部材62の高さ方向に貫通している開口部64bを有している。本体部64は、先端54aが開口部64bと係合する際に、上述したように、カバー部材62(開口部64b)の長手方向に沿って開口本体部63aを移動可能である。
【0032】
また図2Bと図2Cとに示すように、本体部64は、カバー部材62の高さ方向の両端(上端と下端)において、開口部64bの縁64cにおいてテーパ部64dを有している。テーパ部64dは、先端54aを開口部64bに向ってガイドする。本体部64が開口本体部63aに配設された際、上端側と下端側との縁64cはカバー部材62の高さ方向において開口本体部63aから突出し、上端側の縁64cは上側開口部63bに位置し、下端側の縁64cは下側開口部63cに位置する。
上述したように、本体部64が開口本体部63aを移動する際に、上端側の縁64cが上側開口部63bの円弧状の内周面である円弧部632bに当接し、下端側の縁64cが下側開口部63cの円弧状の内周面である円弧部632cに当接することで、縁64cと円弧部632b,632cとは、本体部64の移動を規制する。本体部64は、例えばナットである。
【0033】
ここで開口本体部63aと本体部64との関係について説明する。
図2Bに示すように開口本体部63aの幅と本体部64の幅とは、略同一である。つまり、開口本体部63aの一方の直線部631aから他方の直線部631aまでの長さである開口本体部63aの幅W1は、本体部64の一方の直線部64aから他方の直線部64aまでの長さである本体部64の幅W2と略同一である。そのため本体部64は、先端54aが開口部64bに係合する際に、開口本体部63aにおいて回転できない。これにより係合の際に、固定部材54と共に本体部64は回転しないために、先端54aは開口部64bに係合する。このように開口本体部63aは、本体部64が回転することを防止する回転防止部でもあり、先端54aが開口部64bに係合することを補助する補助部でもある。
【0034】
また図2Cに示すように、開口本体部63aの長さは、本体部64の長さよりも長い。つまり開口本体部63aの一方の円弧状の内周面である円弧部632aから他方の円弧状の内周面である円弧部632aまでの長さL1は、本体部64の一方の円弧状の外面64gである円弧部64fから他方の円弧状の外面64gである円弧部64fまでの長さL2よりも長い。そのため本体部64は、開口本体部63aにおいて、カバー部材62の長手方向に沿って移動可能である。また開口本体部63aにおける本体部64のフローティング(移動)量は、所望に確保される。また幅W1は幅W2と略同一であるため、本体部64は、開口本体部63aにおいて、直線部64aが直線部631aを摺動し、カバー部材62の長手方向に沿ってぶれることなく移動可能である。このとき、直線部631aは、本体部64がカバー部材62の長手方向に沿って移動するためのガイド部となる。
【0035】
図2Cに示すように支持部材66は、開口本体部63aに配設され、カバー部材62によってカバーされる。支持部材66は、先端54aが本体部64(開口部64g)に係合している時を除いて、本体部64がカバー部材62の長手方向における開口本体部63aの略中央に位置するように本体部64を支持する。そのため支持部材66は、カバー部材62の長手方向において開口本体部63aの円弧部632aと本体部64の円弧部64fとに接続し、カバー部材62の長手方向において本体部64を両端で支持し、本体部64を両端から引っ張る。また支持部材66は、上端側の縁64cが上側開口部63bに位置し、下端側の縁64cが下側開口部63cに位置するように、開口本体部63aにて本体部64を支持する。支持部材66は、例えばバネである。
【0036】
次に本実施形態の動作方法について説明する。
固定部材54は、他端30cに圧入される。支持部材66は、本体部64がカバー部材62の長手方向における開口本体部63aの略中央に位置するように本体部64を支持する。このとき上端側の縁64cは上側開口部63bに位置し、下端側の縁64cは下側開口部63cに位置している。カバー部材62は、テーパ部62dを介して開口部48に圧入される。
【0037】
電子機器が交換または調整され、開いたパネル30がヒンジ42を中心に閉じられた際、凸部46aと凹部46bとは係合し、パネル30は正面20aに固定する。
【0038】
このとき先端54aは、開口部48を挿通し、テーパ部64dによって開口部64bに向ってガイドされ、開口部64bと係合する。なお、パネル30とヒンジ42と筐体とに組立誤差が生じていても、先端54aが開口部64bと係合するように、本体部64はカバー部材62の長手方向に沿って開口本体部63aを移動する。
【0039】
このとき、また幅W1は幅W2と略同一であるため、本体部64は、カバー部材62の長手方向に沿ってぶれることなく移動可能である。また直線部631aは、本体部64がカバー部材62の長手方向に沿って移動するように、本体部64をガイドする。
【0040】
また本体部64が移動する際、上端側の縁64cが上側開口部63bの円弧部632bに当接し、下端側の縁64cが下側開口部63cの円弧部632cに当接することで、縁64cと円弧部632b,632cとは、本体部64の移動を規制する。
なお本体部64の移動は、支持部材66の支持力以上の力で操作者が本体部64を移動させればよい。
【0041】
また先端54aは開口部64bと係合する際、幅W1は幅W2と略同一であるため、固定部材54と共に本体部64は回転せず、先端54aは開口部64bに係合する。つまり開口本体部63aは、本体部64が回転することを防止し、先端54aが開口部64bに係合することを補助する。
【0042】
これにより先端54aは開口部64bに係合し、抜け防止機構52は凹部46bからの凸部46aの抜けを防止し、パネル30の他端30cを正面20aの他端20cに固定し、パネル30が不用意に開くことを防止する。
【0043】
なおパネル30を開く際、先端54aを開口部64bから抜き出し、凹部46bを凸部から離すことで、パネル30の他端30cと正面20aの他端20cとの固定が解除される。このとき本体部64は、支持部材66によって、カバー部材62の長手方向における開口本体部63aの略中央に位置するように支持される。
【0044】
このように本実施形態では、本体部64を開口本体部63aにて移動可能とし、先端54aが開口部64bに係合している時を除いて、本体部64が開口本体部63aの略中央に位置するように支持部材66によって本体部64を支持させることで、開閉するパネル30を容易且つ短時間に筐体に固定でき、固定作業の作業性の低下を防止することができ、
固定構造10を簡素にできる。
【0045】
また本実施形態では、長さL1を長さL2よりも長くすることで、開口本体部63aによって本体部64のフローティング量を所望に確保でき、組立誤差を解消することができる。
また本実施形態では、固定部材54をパネル30の他端30cに圧入できるために、パネル30に対する固定部材54の挿脱を防止でき、パネル30からの固定部材54の抜けを防止する防止部材を不要にできる。
また本実施形態では、係合機構60によって、部品点数を削減でき、固定作業の作業性の低下を防止することができる。
【0046】
また本実施形態では、幅W1と幅W2とを略同一にすることで本体部64をカバー部材62の長手方向に沿ってぶれることなく移動でき、直線部631aによって本体部64がカバー部材62の長手方向に沿って移動するように本体部64をガイドできる。
これにより本実施形態では、開閉するパネル30をさらに容易且つ短時間に筐体に固定でき、固定作業の作業性の低下をさらに防止することができる。
【0047】
また本実施形態では、縁64cと円弧部632b,632cとによって本体部64の移動を規制することができるために、開閉するパネル30をさらに容易且つ短時間に筐体に固定でき、固定作業の作業性の低下をさらに防止することができる。
【0048】
また本実施形態では、幅W1と幅W2とを略同一にすることで、先端54aが開口部64bに係合する際、開口本体部63aによって本体部64の回転を防止でき、先端54aが開口部64bに係合することを補助することができる。これにより本実施形態では、開閉するパネル30をさらに容易且つ短時間に筐体に固定でき、固定作業の作業性の低下をさらに防止することができる。
【0049】
また本実施形態では、テーパ部64dによって先端54aを開口部64bに向ってガイドすることができるために、開閉するパネル30をさらに容易且つ短時間に筐体に固定でき、固定作業の作業性の低下をさらに防止することができる。
【0050】
また本実施形態では、支持部材66が本体部64を両端で支持し本体部64を両端から引っ張ることで、本体部64が開口本体部63aの略中央に位置するために、先端54aを開口部64bに係合する際の位置合せを不要にでき、手間がかかることを防止している。
【0051】
本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。
【符号の説明】
【0052】
10…固定構造、20a…正面、20b…一端、20c…他端、20d…表面、20f…裏面、30…パネル、30b…一端、30c…他端、30d…表面、30e…裏面、40…重量物、42…ヒンジ、46…固定機構、46a…凸部、46b…凹部、48…開口部、52…防止機構、54a…先端、54…固定部材、60…係合機構、62…カバー部材、62c…底面、62d…テーパ部、63…開口部、63a…開口本体部、63b…上側開口部、63c…下側開口部、64…本体部、64a…直線部、64b…開口部、64c…縁、64d…テーパ部、64a…一方の直線部、64a…他方の直線部、64g…外面、64f…円弧部、66…支持部材、70…外部、631a…直線部、632b…円弧部、632c…円弧部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の一端とパネルの一端とを連結し、前記筐体に対して前記パネルを開閉自在にする開閉部と、
前記パネルの他端と前記筐体の他端とのいずれか一方に配設されている凸部と、他方に配設され、前記パネルが閉まる際に前記凸部と係合する凹部とを有し、前記パネルが閉まる際に前記凸部と前記凹部とが係合することで、閉じた前記パネルの他端を前記筐体の他端に固定する固定機構と、
前記筐体の他端に配設されている第1の開口部と、前記パネルが閉まった際に先端が前記第1の開口部を挿通するように、前記パネルの他端に圧入されている固定部材と、前記パネルが閉まった際に、前記第1の開口部を挿通している前記先端と係合する係合機構とを有し、前記パネルが閉まった際に、前記凹部からの前記凸部の抜けを防止する抜け防止機構と、
を具備し、
前記係合機構は、
長穴形状の第2の開口部を有するカバー部材と、
前記第2の開口部に配設され、前記カバー部材によってカバーされ、前記先端と係合し、前記先端と係合する際に前記第2の開口部の長手方向に沿って前記第2の開口部を移動可能な本体部と、
前記第2の開口部に配設され、前記カバー部材によってカバーされ、前記先端が前記本体部に係合する時を除いて、前記本体部が前記長手方向における前記第2の開口部の略中央に位置するように前記本体部を支持する支持部材と、
を有することを特徴とする固定構造。
【請求項1】
筐体の一端とパネルの一端とを連結し、前記筐体に対して前記パネルを開閉自在にする開閉部と、
前記パネルの他端と前記筐体の他端とのいずれか一方に配設されている凸部と、他方に配設され、前記パネルが閉まる際に前記凸部と係合する凹部とを有し、前記パネルが閉まる際に前記凸部と前記凹部とが係合することで、閉じた前記パネルの他端を前記筐体の他端に固定する固定機構と、
前記筐体の他端に配設されている第1の開口部と、前記パネルが閉まった際に先端が前記第1の開口部を挿通するように、前記パネルの他端に圧入されている固定部材と、前記パネルが閉まった際に、前記第1の開口部を挿通している前記先端と係合する係合機構とを有し、前記パネルが閉まった際に、前記凹部からの前記凸部の抜けを防止する抜け防止機構と、
を具備し、
前記係合機構は、
長穴形状の第2の開口部を有するカバー部材と、
前記第2の開口部に配設され、前記カバー部材によってカバーされ、前記先端と係合し、前記先端と係合する際に前記第2の開口部の長手方向に沿って前記第2の開口部を移動可能な本体部と、
前記第2の開口部に配設され、前記カバー部材によってカバーされ、前記先端が前記本体部に係合する時を除いて、前記本体部が前記長手方向における前記第2の開口部の略中央に位置するように前記本体部を支持する支持部材と、
を有することを特徴とする固定構造。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【公開番号】特開2011−196476(P2011−196476A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−64794(P2010−64794)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(507207498)株式会社五洋電子 (43)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(507207498)株式会社五洋電子 (43)
【Fターム(参考)】
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